(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の増幅回路から出力された前記第1の受光素子の増幅信号を検出したときに、前記第2の増幅回路から出力された前記第2の受光素子の増幅信号を検出したときには誤検出と判断する火災判断部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の煙感知器。
前記第1の増幅回路から出力された前記第1の受光素子の増幅信号を検出したときに、前記第2の増幅回路から出力された前記第2の受光素子の増幅信号を検出したときには誤検出と判断し、前記第2の増幅回路から出力された前記第2の受光素子の増幅信号を検出したときに、前記第1の増幅回路から出力された前記第1の受光素子の増幅信号を検出したときには誤検出と判断する火災判断部を備えたことを特徴とする請求項4記載の煙感知器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る煙感知器の発光素子及び受光素子の配置例を示す図、
図2は
図1の煙感知器をA−A方向から見て示す概略断面図、
図3は実施の形態1に係る煙感知器のブロック回路図である。
実施の形態1の煙感知器は、概略的には、感知器本体1と、例えば発光ダイオードからなる第1の発光素子7と、例えばフォトダイオードからなる第1の受光素子8及び第2の受光素子9と、回路基板20とで構成されている。その感知器本体1の外部(煙監視側)に煙検出領域Aが設定されている。なお、煙検出領域Aは周囲にラビリンス等の外光を妨げる手段を設けていないため、感知器本体1からラビリンスの周壁等が煙検出領域Aに向けて突出せず、感知器本体1が薄型となっている。
【0010】
感知器本体1は、片面に煙検出部2を有し、警戒区域の天井に開口された取付穴に、煙検出部2が煙監視側(床面側)に向くように、嵌め込まれて固定されている。感知器本体1の煙検出部2には、
図1に示すように、煙検出部2の中心を軸として周方向に、前述の第1の発光素子7、第1の受光素子8及び第2の受光素子9が配置されている。第1の受光素子8は、煙検出部2の中心を挟んで第1の発光素子7の略反対側に設けられている。さらに、第2の受光素子9は、第1の受光素子8と対向するように、第1の発光素子7に近接して設けられている。
【0011】
また、第1の発光素子7、第1及び第2の受光素子8、9は、各光軸が煙監視側に所定角度をなして煙検出部2の中心軸と交わるように設けられている。その交差点を中心として、前述の煙検出領域Aが設定されている。また、煙検出領域Aは感知器本体1の下方から離れた位置の空中に設定されている。つまり、煙検出領域Aの周囲には、従来の煙感知器のようにラビリンスを設けず、煙検出領域Aを感知器本体1の下方空中に設定しているので、煙検出部2、つまり感知器本体1の煙検出部2側表面に埃が付着しても直接煙検出領域Aに埃が入らないだけでなく、自然気流によって埃が落ちるので、煙検出に影響を与えるということがなくなり、誤報を防止できる。
【0012】
第1の発光素子7、第1及び第2の受光素子8、9の平面上の位置及び角度は、
図2に示すように、感知器本体1の煙検出部2にそれぞれ設けられた収納穴3、4に挿入されることにより設定される。なお、
図2には、第2の受光素子9の収納穴が示されていないが、第1の受光素子8の収納穴4と同様である。収納穴3、4の開口5、6には、例えば透明のカバーを嵌め込むことによって、埃などの誤報要因を入りにくくしても良い。
【0013】
第1の受光素子8は、煙検出領域Aに侵入した火災による白色煙の散乱光(ミー散乱)を検出するためである。ミー散乱の各散乱角度(散乱分布)は、粒子径によってその散乱強度が異なるが、主に第1の発光素子7からの光を前方へ散乱するため、第1の受光素子8を第1の発光素子7の光照射側、つまり煙検出部2の中心を挟んで第1の発光素子7の略反対側に設置している。なお、
図1に示す第1の受光素子8の設置位置は、一例であって、散乱光を検出できる範囲内であればどこでも良い。
【0014】
第2の受光素子9は、煙検出領域Aに誤報要因となる煙以外の埃や虫、人の手等の誤報要因によって後方へ向かって反射する光を検出するために設けられている。埃や虫、人の手等の誤報要因に光が当たった場合、煙と異なりその光は前方以外に後方にも反射し、第2の受光素子9に入射する。この第2の受光素子9により反射光が検出された場合、第1の受光素子8により検出された光は、煙以外の誤報要因による反射光を検出したとして、火災発生の発報を行わないようにしている。なお、
図1に示す第2の受光素子9の設置位置は、一例であって、煙検出領域Aからの反射光を検出できる範囲内であればどこでも良い。
【0015】
回路基板20には、
図3に示すように、火災判断部21aを有する制御部21と、発光制御部22と、第1の増幅回路23と、第2の増幅回路24と、第1の発光素子7と、第1の受光素子8と、第2の受光素子9とが実装されている。第1の発光素子7、第1及び第2の受光素子8、9は、それぞれリード線を介して回路基板20に接続されている。
【0016】
発光制御部22は、制御部21からの制御に基づいて、例えば3秒毎に第1の発光素子7を点灯させる。第1の増幅回路23は、制御部21からの制御に基づいて、第1の発光素子7が点灯するのとほぼ同時に第1の受光素子8からの受光量に応じた信号を第1の増幅率で増幅し、その増幅信号を制御部21に入力する。その増幅率は、例えば数千倍である。第2の増幅回路24は、制御部21からの制御に基づいて、第1の発光素子7が点灯するのとほぼ同時に第2の受光素子9からの受光量に応じた信号を第1の増幅率よりも小さい第2の増幅率で増幅し、その増幅信号を制御部21に入力する。その増幅率は、例えば第1の増幅率の数十分の1倍である。第2の受光素子9の出力信号の増幅率を第1の増幅率の数十分の1倍としているのは、誤報要因による反射光は、煙による散乱光よりも十分大きい為、感度を鈍くすることによって、より確実に誤報要因の検出を行うためである。
【0017】
制御部21は、増幅信号が入力されたときには、火災判断部21aにより火災の有無を
判断させる。火災判断部21aは、第1の増幅回路23からの増幅信号と比較するための火災有無判別用の第1の閾値が設定され、また、第2の増幅回路24からの増幅信号と比較するための誤報有無判別用の第2の閾値が設定されている。
【0018】
前記のように構成された煙感知器において、先ず、煙を検出したときの動作を説明し、次いで、煙以外の埃や虫等を検出したときの動作を説明する。
警戒区域の天井に設置された感知器本体1の第1の発光素子7が、発光制御部22の出力信号に基づいて3秒毎に点灯しているときに、煙検出領域Aに煙が侵入すると、第1の発光素子7からの光が煙によって散乱し、第1の受光素子8に入射する。この時、第1の受光素子8は、受光量に応じて信号(電圧又は電流)を生成し、回路基板20上の第1の増幅回路23に入力する。
【0019】
第1の増幅回路23は、入力された信号を数千倍に増幅し、制御部21に出力する。制御部21は、増幅された信号が入力されると、その増幅信号を火災判断部21aに渡して火災の有無を判断させる。同時に、第2の増幅回路24は、入力された信号を第1の増幅率の数十分の一倍に増幅し、制御部21に出力する。制御部21は、第1の増幅率の数十分の1倍に増幅された信号が入力されると、その増幅信号を火災判断部21aに渡して誤報要因の有無を判断させる。火災判断部21aは、第1の増幅回路23からの増幅信号と火災有無判別用の第1の閾値とを比較し、かつ第2の増幅回路24からの増幅信号と誤報有無判別用の第2の閾値とを比較する。火災判断部21aは、第2の増幅回路24からの増幅信号が第2の閾値以下で、第1の増幅回路23からの増幅信号が第1の閾値を超えていたときには、火災であると判断し、制御部21に火災判別情報を出力する。火災判断部21aから火災判別情報を入力した制御部21は、図示しない火災警報装置へ火災信号を出力する。
なお、煙検出領域Aに煙が侵入している場合、第1の発光素子7から照射された光は前方へ散乱するので、第2の増幅回路24からの増幅信号のレベルは、ほぼゼロとなっている。
【0020】
次に、煙以外の埃や虫、人の手等の誤報要因を検出したときの動作について説明する。
第1の発光素子7が点灯したときに、煙検出領域Aに埃や虫、人の手等の誤報要因が侵入した場合、煙の場合とは異なり、第1の発光素子7からの光が埃や虫、人の手等の誤報要因に当たって前方に散乱すると共にと後方へ反射し、第1及び第2の受光素子8、9にそれぞれ入射する。第1の受光素子8は、入射された受光量に応じて信号を生成して、第1の増幅回路23に入力し、第2の受光素子9は、入射された受光量に応じて信号を生成して、第2の増幅回路24に入力する。
【0021】
第1の増幅回路23は、前述したように、入力された信号を数千倍に増幅し、第2の増幅回路24は、第1の増幅率の数十分の1倍に増幅し、それぞれ増幅信号を制御部21に出力する。制御部21に増幅信号が入力されると、制御部21の火災判断部21aは、第1の増幅回路23からの増幅信号と火災有無判別用の第1の閾値とを比較し、第2の増幅回路24からの増幅信号と誤報有無判別用の第2の閾値とを比較する。
【0022】
火災判断部21aは、第1の増幅回路23からの増幅信号が第1の閾値を超え、かつ第2の増幅回路24からの増幅信号が第2の閾値を超えていたときには、第1の受光素子8が誤検出していると判断して火災発生の発報を行わないようにする。また、第2の増幅回路24からの増幅信号のみが第2の閾値を超えた場合も、誤報と判断して火災発生の発報を行わないようにする。より詳しく述べるとこの状況は、煙検出領域Aに侵入した虫に第1の発光素子7の照射光が当たって殆ど後方に反射したときを意味している。
【0023】
以上のように実施の形態1によれば、第1の発光素子7の光照射側に位置する第1の受光素子8の他に、第1の発光素子7に近接して第2の受光素子9を設けているので、煙以外の後方へ反射する光も監視することができる。そのため、煙検出領域Aに煙以外の埃や虫等の侵入による第1の受光素子8の誤検出を、ラビリンスを設けなくても、防止できる。
【0024】
また、第1の受光素子8からの信号を数千倍と大きく増幅し、第2の受光素子9からの信号を第1の増幅率の数十分の1倍と小さく増幅するようにしている。このように、第2の受光素子9側の増幅率を小さくしたにもかかわらず、第2の受光素子9からの信号(増幅信号)が第2の閾値を超えた場合、第1の受光素子8の光検出を誤検出と判断するので、より確実にかつ正確に煙を検出できる。
【0025】
実施の形態2.
図4は実施の形態2に係る煙感知器の発光素子及び受光素子の配置例を示す図、
図5は実施の形態2に係る煙感知器のブロック回路図である。なお、実施の形態1と同様あるいは相当部分には同じ符号を付している。
実施の形態2においては、
図4に示すように、感知器本体1の煙検出部2に、煙検出部2の中心を軸として周方向に、第1の発光素子7と、第1の受光素子8及び第2の受光素子9と、第2の発光素子10とが配置されている。その第2の発光素子10は、例えば第1の発光素子7と同様に発光ダイオードからなり、第1の発光素子7と対向するように、第1の受光素子8に近接して配置されている。また、感知器本体1には、回路基板20が収納されている。
【0026】
第1及び第2の発光素子7、10と第1及び第2の受光素子8、9は、各光軸が煙監視側に所定角度をなして煙検出部2の中心軸と交わるように設けられている。その交差点を中心として、煙検出領域Aが設定されている。第1及び第2の発光素子7、10と第1及び第2の受光素子8、9の平面上の位置及び角度は、実施の形態1と同様に、感知器本体1の煙検出部2にそれぞれ設けられた収納穴3、4に挿入されることにより設定される。収納穴3、4の開口5、6には、前述したように透明のカバーが嵌め込んでも良い。
【0027】
前述の回路基板20には、
図5に示すように、火災判断部21aを有する制御部21と、発光制御部22と、第1の増幅回路23と、第2の増幅回路24と、第1及び第2の発光素子7、10と、第1及び第2の受光素子8、9とが実装されている。第1及び第2の発光素子7、10と第1及び第2の受光素子8、9は、それぞれリード線を介して回路基板20に接続されている。
【0028】
発光制御部22は、制御部21からの制御に基づいて、例えば第1及び第2の発光素子7、10を交互に3秒毎に点灯させる。つまり、第1及び第2の発光素子7、10は、それぞれ6秒毎に点灯する。なお、第1及び第2の発光素子7、10の点灯を6秒毎としたが、これは一例であって、限定されるものではない。より詳しく述べると、所定時間内に火災を検出できる時間であれば良く、例えば交互に1.5秒毎に点灯するように設定し、各発光素子7、10が、それぞれ3秒毎に点灯するようにしても良い。第1及び第2の増幅回路23、24は、それぞれ入力信号を第1の増幅率である数千倍又は第2の増幅率である第1の増幅率の数十分の1倍に増幅率を切替可能な回路構成となっている。この増幅率の切替は、動作を説明するときに詳述するが、制御部21からの制御に基づいて行われる。
【0029】
制御部21の火災判断部21aは、第1の発光素子7が点灯したときの第1の受光素子8の増幅信号が火災有無判別用の第1の閾値を超え、かつ第2の受光素子9の増幅信号が誤報有無判別用の第2の閾値以下のとき、また、第2の発光素子10が点灯したときの第2の受光素子9の増幅信号が第1の閾値を超え、かつ第1の受光素子8の増幅信号が第2の閾値以下のときには、火災発生を発報する。
【0030】
また、火災判断部21aは、第1の発光素子7が点灯したときの第1の受光素子8の増幅信号が火災有無判別用の第1の閾値を超え、かつ第2の受光素子9の増幅信号が誤報有無判別用の第2の閾値を超えたとき、また、第2の発光素子10が点灯したときの第2の受光素子9の増幅信号が第1の閾値を超え、かつ第1の受光素子8の増幅信号が第2の閾値を超えたときには、誤検出と判断して火災発生の発報を行わないようにする。
【0031】
前記のように構成された煙感知器において、先ず、煙を検出したときの動作を説明し、次いで、煙以外の埃や虫、人の手等の誤報要因を検出したときの動作を説明する。
警戒区域の天井に設置された感知器本体1の第1及び第2の発光素子7、10が交互に点灯しているときに、煙検出領域Aに煙が侵入すると、第1の発光素子7の点灯時に第1の受光素子8から受光量に応じた信号(電圧又は電流)が第1の増幅回路23に入力し、また、第2の発光素子10の点灯時に第2の受光素子9から受光量に応じた信号が第2の増幅回路24に入力する。
【0032】
一方、制御部21は、第1の発光素子7を点灯した際に、制御部21からの制御に基づいて、第1の発光素子7が点灯するのとほぼ同時に第1の増幅回路23の増幅率を第1の増幅率である数千倍にして、第1の受光素子8からの信号を増幅させると共に、第2の増幅回路24の増幅率を第1の増幅率の数十分の1倍にして、第2の受光素子9からの信号を増幅させる。また、制御部21は、第2の発光素子10を点灯した際に、制御部21からの制御に基づいて、第2の発光素子10が点灯するのとほぼ同時に第1の増幅回路23の増幅率を第1の増幅率の数十分の1倍に切り替えて、第1の受光素子8からの信号を増幅させると共に、第2の増幅回路24の増幅率を第1の増幅率である数千倍に切り替えて、第2の受光素子9からの信号を増幅させる。
【0033】
制御部21の火災判断部21aは、前述したように、第1の発光素子7が点灯したときに、第2の受光素子9の増幅信号(第1の増幅率の数十分の1倍に増幅された信号)が第2の閾値以下で、第1の受光素子8の増幅信号(第1の増幅率である数千倍に増幅された信号)が第1の閾値を超え、かつ第2の発光素子10が点灯したときに、第1の受光素子8の増幅信号(第1の増幅率の数十分の1倍に増幅された信号)が第2の閾値以下で、第2の受光素子9の増幅信号(第1の増幅率の数千倍に増幅された信号)が第1の閾値を超えたときには、煙検出領域Aに煙が侵入したとして、制御部21に火災判別情報を出力する。火災判断部21aから火災判別情報を入力した制御部21は、図示しない火災警報装置へ火災信号を出力する。
【0034】
次に、煙以外の埃や虫等を検出したときの動作について説明する。
前述したように、制御部21は、第1の発光素子7を点灯した際に、第1の増幅回路23の増幅率を第1の増幅率である数千倍にして、第1の受光素子8からの信号を増幅させると共に、第2の増幅回路24の増幅率を第1の増幅率の数十分の1倍にして、第2の受光素子9からの信号を増幅させる。また、制御部21は、第2の発光素子10を点灯した際に、第1の増幅回路23の増幅率を第1の増幅率の数十分の1倍に切り替えて、第1の受光素子8からの信号を増幅させると共に、第2の増幅回路24の増幅率を第1の増幅率である数千倍に切り替えて、第2の受光素子9からの信号を増幅させる。
【0035】
一方、火災判断部21aは、第1の発光素子7が点灯したときに、第1の受光素子8の増幅信号(第1の増幅率の数千倍に増幅した信号)が火災有無判別用の第1の閾値を超えると共に、第2の受光素子9の増幅信号(第1の増幅率の数十分の1倍に増幅した信号)が誤報有無判別用の第2の閾値を超えたとき、かつ、第2の発光素子10が点灯したときに、第2の受光素子9の増幅信号(数千倍に増幅した信号)が第1の閾値を超えると共に、第1の受光素子8の増幅信号(数十分の1倍に増幅した信号)が第2の閾値を超えたときには、煙検出領域Aに侵入した埃や虫、人の手等の誤報要因からの反射光として、第1及び第2の受光素子8、9の光検出は誤検出と判断して、火災発生の発報を行わないようにする。
【0036】
以上のように実施の形態2によれば、第1の発光素子7が点灯したときの第1の受光素子8の増幅信号が火災有無判別用の第1の閾値を超え、かつ第2の発光素子10が点灯したときの第2の受光素子9の増幅信号が第1の閾値を超えたときに火災発生を発報するようにしているので、感知器本体1にラビリンスを設けなくても、煙検出領域Aに侵入した煙を確実に検出することができる。
【0037】
また、第1の発光素子7を点灯した際に、第1の増幅回路23の増幅率を数千倍にすると共に、第2の増幅回路24の増幅率を第1の増幅率の数十分の1倍にし、第2の発光素子10を点灯した際に、第1の増幅回路23の増幅率を第1の増幅率の数十分の1倍に切り替えると共に、第2の増幅回路24の増幅率を数千倍に切り替えるようにしているので、煙以外の埃や虫、人の手等の誤報要因だけでなく、外光の入射による誤検出を防止でき、実施の形態1と比べ、より確実にかつ正確に煙を検出できる。
なお、実施の形態2では、第1の発光素子7が点灯したときの第1の受光素子8の増幅信号が火災有無判別用の第1の閾値を超え、かつ第2の発光素子10が点灯したときの第2の受光素子9の増幅信号が第1の閾値を超えたときに火災発生を発報するようにしたが、第1の発光素子7または第2の発光素子10のいずれかが点灯したときの増幅信号が第1の閾値を超えたときに火災発生を発報することで、火災の検出感度をより高感度にしてもよい。
【0038】
実施の形態3.
図6は実施の形態3に係る煙感知器の発光素子及び受光素子の配置例を示す図である。なお、実施の形態1、2と同様あるいは相当部分には同じ符号を付している。
実施の形態3における感知器本体1の煙検出部2には、
図6に示すように、煙検出部2の中心を軸として周方向に、例えば120度毎に3つの発光素子(第1、第2及び第3の発光素子7、10、12)が配置されている。また、その煙検出部2には、第1の発光素子7に近接して第2の受光素子9が設置され、第2の発光素子10に近接して第1の受光素子8が設置され、さらに、第3の発光素子12に近接して第3の受光素子11が設置されている。
【0039】
第1、第2及び第3の発光素子7、10、12は、例えば交互に3秒毎に点灯するように設定されている。つまり、各発光素子7、10、12は、それぞれ9秒毎に点灯する。
なお、第1、第2及び第3の発光素子7、10、12の点灯を9秒毎としたが、これは一例であって、限定されるものではない。より詳しく述べると、所定時間内に火災を検出できる時間であればよく、例えば交互に2秒毎に点灯するように設定し、各発光素子7、10、12が、それぞれ6秒毎に点灯するようにしても良い。第1、第2及び第3の発光素子7、10、12と第1、第2及び第3の受光素子8、9、11は、各光軸が煙監視側に所定角度をなして煙検出部2の中心軸と交わるように設けられている。その交差点を中心として、煙検出領域Aが設定されている。第1、第2及び第3の発光素子7、10、12と第1、第2及び第3の受光素子8、9、11の平面上の位置及び角度は、実施の形態1と同様に、感知器本体1の煙検出部2にそれぞれ設けられた収納穴(図示せず)に挿入されることにより設定される。収納穴の開口には、前述したように透明のカバーが嵌め込まれている。
【0040】
実施の形態3においては、第1の発光素子7、第3の発光素子12及び第2の発光素子10の順に点灯し、繰り返し行われている。煙検出領域Aに煙が侵入したときに、第1の発光素子7が点灯した場合、
図6(a)に示すように、第1の発光素子7の光は、第1及び第3の受光素子8、11に入射する(破線)。第1の発光素子7が点灯してから3秒後に第3の発光素子12が点灯した場合は、
図6(b)に示すように、第3の発光素子12の光は、第1及び第2の受光素子8、9に入射する(破線)。さらに、第3の発光素子12が点灯してから3秒後に第2の発光素子10が点灯した場合は、
図6(c)に示すように、第2の発光素子10の光は、第2及び第3の受光素子9、11に入射する(破線)。
【0041】
また、煙検出領域Aに煙以外の埃や虫等が侵入したときに、第1の発光素子7が点灯した場合、
図6(a)に示すように、第1の発光素子7の光は、前方へ散乱して第1及び第3の受光素子8、11に入射すると共に(破線)、その光は、後方に反射して第2の受光素子9に入射する(一点鎖線)。第1の発光素子7が点灯してから3秒後に第3の発光素子12が点灯した場合は、
図6(b)に示すように、第3の発光素子12の光は、前方へ散乱して第1及び第2の受光素子8、9に入射すると共に(破線)、その光は、後方に反射して第3の受光素子11に入射する(一点鎖線)。さらに、第3の発光素子12が点灯してから3秒後に第2の発光素子10が点灯した場合は、
図6(c)に示すように、第2の発光素子10の光は、第2及び第3の受光素子9、11に入射すると共に(破線)、その光は、後方に反射して第1の受光素子8に入射する(一点鎖線)。
【0042】
なお、図中には示していないが、3つ発光素子7、10、12が順に点灯する毎に、発光素子の光照射側に位置する受光素子の信号を第1の増幅率である数千倍に増幅すると共に、光を照射した発光素子に近接する受光素子の信号を第1の増幅率の数十分の1倍に増幅するように回路構成されている。この増幅の切替は、制御部21によって行われる。
【0043】
以上のように、前述した3つ発光素子7、10、12が順に点灯する毎に、発光素子の光照射側に位置する2つの受光素子が受光したときには、煙検出領域A内に煙が進入したと判断するので、火災発生による煙を確実に検出することができる。また、3つ発光素子7、10、12が順に点灯する毎に、発光素子の光照射側に位置する2つの受光素子が受光すると共に、各発光素子に近接して設けられた受光素子が受光したときには、煙検出領域A内に煙以外の埃や虫等が進入したと判断するので、誤検出を防止できる。
【0044】
なお、実施の形態3では、3つ発光素子7、10、12が順に点灯する毎に、発光素子の光照射側に位置する2つの受光素子が受光したときに、火災発生による煙と判断するようにしたが、発光素子の光照射側に位置する2つの受光素子のうち何れか一方の発光素子が受光したときに、火災発生による煙と判断するようにしても良い。
【0045】
また、実施の形態3では、発光素子の光照射側に2つの受光素子を配置したが、受光素子を3つ配置するようにしても良い。また、3つの発光素子7、10、12が順に点灯しているときに、光を照射した発光素子の隣の受光素子全てが後方への反射光を検出したときに煙以外のもの(埃や虫等)を検出したと判断するようにしたが、受光素子の配置状態によっては、1つあるいは2つの受光素子が後方への反射光を検出したときに煙以外のものを検出したと判断するようにしても良い。
【0046】
また、実施の形態3では、3つ発光素子7、10、12が順に点灯するようにしたが、発光素子及び受光素子の配置状態に応じて2つあるいは1つの発光素子を発光させるようにしても良い。
【0047】
実施の形態1、2、3では、煙検出部2に設けられた収納穴に発光素子と受光素子を挿入したことを述べたが、煙検出部2の表面に発光素子と受光素子を設けても良い。その場合、受光素子の受光面側に開口を有する露出型の収納部(例えばリブ)を煙検出部2に設けることで、外光の影響を小さくすることができる。