(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
歯科治療分野では、欠損歯牙や口腔組織を修復または置換するための歯冠,ブリッジ,インレー等の補綴物が用いられている。これら補綴物を歯牙に接着させる材料として重合性樹脂及び充填材粒子等を含む組成物が主に使用され、このような組成物は常温(化学)重合や光重合等の機構によって硬化する。
【0003】
ラジカル重合性を有するメタクリレートやアクリレート等のモノマー,オリゴマー,プレポリマーを含有する重合性組成物を常温で重合させる手段としては、酸化剤と還元剤を組み合わせたレドックス−ラジカル重合開始剤を用いるのが一般的である。例えば酸化剤として有機過酸化物,還元剤として芳香族第三級アミンを組み合わせた重合開始剤は古くから用いられてきた(例えば、特許文献1参照。)。この手段においては、水分が存在しない条件ではモノマー類の重合性に問題はないが、口腔内のような湿潤条件下では、しばしばモノマーの重合が阻害されてしまう問題があった。
【0004】
前述の通り、歯科材料分野で用いられる重合性組成物においては、口腔内のような湿潤条件下において重合させることが必要である。そのため、水分の影響によっても重合活性が低下しない重合触媒が求められる。しかしながら、このような重合触媒はそれほど多くは知られていない。その一例としては、例えば、アスコルビン酸−過硫酸のような水溶性還元剤及び水溶性酸化剤系の重合開始剤が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この系では水を含む場合でも良好な硬化性を示す。しかし開始剤の保存安定性が劣るため、実質的には酸化剤と還元剤のうちの一方あるいは両方をわざわざマイクロ封入しなければならないという欠点があった。
【0005】
また、前述の方法には、アスコルビン酸を含む重合物は変色してしまうという問題点があり、これを解決するためアスコルビン酸をあらかじめ金属錯化する方法も開示されているが、非常に煩雑な手順が必要となる問題がある(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
一方、本出願人は以前にクメンヒドロペルオキシド−チオ尿素誘導体−バナジウム化合物系の重合開始剤を開発した(特許文献4参照。)。この系では湿潤下での硬化性に優れ、さらに保存安定性も良好であるため有用とされる。しかしながら、チオ尿素誘導体はその多くが極めて毒性が高い物質である。重合開始剤として優れるアセチルチオ尿素やN−ベンゾイルチオ尿素は特に人体に有毒であり、例え少量の使用であっても口腔内で使用する歯科材料の原料としては適していなかった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る重合性組成物は、酸化剤と還元剤との酸化還元反応による(メタ)アクリレートのラジカル重合反応を利用しており、第一成分に(メタ)アクリレート及び酸化剤として有機過酸化物が配合され、第二成分に(メタ)アクリレート及び還元剤としてシステイン類が配合され、さらに第一成分及び/または第二成分に重合促進剤が配合されている。第一成分,第二成分はともに(メタ)アクリレートを含むため、基本的にはペースト状である。
【0014】
本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレート化合物またはメタクリレート化合物の各種のモノマー,オリゴマー,プレポリマーを意味している。(メタ)アクリレートは、重合・硬化して硬化体のマトリックスを形成する。その配合量は、第一成分,第二成分いずれの場合も15重量%以上であることが好ましく、15重量%未満ではペーストが硬くなりすぎて操作し難くなる。本発明に使用される(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらのモノマーあるいはオリゴマーあるいはプレポリマーが好適に使用できる。また、ウレタン結合を持つ(メタ)アクリレートとして、ジ−2−(メタ)アクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、1,3,5−トリス[1,3−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2−プロポキシカルボニルアミノヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオン、2,2−ビス−4−(3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−フェニルプロパン等があり、その他、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2’−ジ(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンと2−オキシパノンとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとからなるウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとからなるウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0015】
本発明では酸基を有する(メタ)アクリレートを使用することもできる。酸基を有する(メタ)アクリレートは重合・硬化して硬化体のマトリックスを形成することに加え、重合性組成物に歯質や、歯科用修復物の材料であるジルコニア及びアルミナ等のセラミックス、または貴金属を含む合金への接着性を付与する効果がある。酸基を有する(メタ)アクリレートの配合量は、第一成分及び/または第二成分中にそれぞれ1〜50重量%配合されていることが好ましい。1重量%未満では接着性の効果が得られ難く、50重量%を超えると、酸性度が高すぎるため(メタ)アクリレートの重合が阻害されてしまいやすく、硬化時間が著しく遅くなる傾向がある。酸基を有する(メタ)アクリレートはリン酸基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましく、1分子中にリン酸基またはカルボキシル基を1個または複数個有する(メタ)アクリレートを使用できる。リン酸基はカルボキシル基よりも強い酸性を示すことから、歯面のスメアー層の溶解や歯質脱灰の効果が高く、特にエナメル質に対して高い接着性の向上効果を発揮する。
【0016】
リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニルハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルプロパン−2−ジハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルプロパン−2−フェニルハイドロジェンホスフェート、ビス[5−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニル}ヘプチル]ハイドロジェンホスフェート等が挙げられる。中でも10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートが接着性及び(メタ)アクリレート自体の安定性の点から特に好ましい。これらのリン酸基を有する(メタ)アクリレートは、単独あるいは2種以上を混合して用いても良い。
【0017】
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸無水物、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシピロメリット酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。中でも4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸,4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物が接着性の点から特に好ましい。これらのカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートは、単独あるいは2種以上を混合して用いても良い。
【0018】
本発明に係る重合性組成物に配合される有機過酸化物は重合開始剤の酸化剤として作用し、(メタ)アクリレート中で安定である。その配合量は、第一成分中に0.1〜5重量%であることが好ましく、0.1重量%未満では酸化剤としての機能が不足する傾向があり、5重量%を超えて配合すると第一成分中の(メタ)アクリレートが重合し易く組成物の保存安定性が低下してしまう傾向がある。重合性組成物としては、tert−ブチルヒドロペルオキシド,クメンヒドロペルオキシド等が例示できる。中でもtert−ブチルヒドロペルオキシドは(メタ)アクリレート中での安定性に優れることから特に好ましい。
【0019】
本発明では重合開始剤の還元剤としてシステイン類を配合する。システイン類はアミノ酸またはアミノ酸誘導体であり食物,医薬品,サプリメント等に配合されるものも多い。したがって、チオ尿素誘導体に比べ生体安全性は高く、口腔内で使用する歯科材料の原料として適している。本発明に係る重合性組成物に配合されるシステイン類は(メタ)アクリレート中で安定である。その配合量は、第二成分中に0.1〜5重量%であることが好ましく、0.1重量%未満では還元剤としての機能が不足する傾向があり、5重量%を超えると硬化時間が安定し難い。本発明におけるシステイン類とは、下記構造式で表わされる部分構造を有するものである。
【0021】
この構造式において窒素原子上及び酸素原子上の波線より先の結合は特に限定されない。例えば、窒素原子については、ともに水素原子と結合した場合(−NH
2;アミノ基)、一方または両方がアルキル基と結合した場合(−NHR,−NR
2(R=アルキル基);N−アルキル置換)、カルボニル基と結合した場合(−NHCO−;アミド基)等が挙げられる。酸素原子については、水素原子と結合した場合(−COOH;カルボン酸)、アルキル基と結合した場合(−COOR;エステル)等が挙げられる。中でも、システイン,アセチルシステイン,システインメチル,システインエチル,グルタチオンは有機過酸化物との反応効率が高く、さらに保存安定性に優れるため好適である。
【0022】
一方で、硫黄原子については、水素原子と結合したチオール基(−SH)でなければならない。これはこのチオール基上の水素原子が、還元作用を示すためである。したがって、この水素原子を持たない例えばシステイン酸等は、本発明に使用することはできない。
【0023】
また、システイン類の光学異性体による区別はなく、D体,L体,及び両者の混合物であってもよい。2つ以上のシステイン類を混合して用いてもよい。さらに、上記システイン類の酸塩(塩酸塩, 硫酸塩, リン酸塩等)であってもよい。この場合、酸塩による酸の中和のために、水酸化カルシウム, 酸化マグネシウム等の中和剤を配合することが好ましい。
【0024】
本発明に係る重合性組成物に配合される重合促進剤は(メタ)アクリレート中で安定であれば特に限定されない。その配合量は、第一成分及び/または第二成分中に0.001〜1重量%配合されていることが好ましく、0.001重量%未満であると重合促進剤としての効果が不足する傾向にあり、1重量%より多いと褐色に着色して見えたり、保管中に(メタ)アクリレートを重合させてしまう虞があるので好ましくない。
【0025】
重合促進剤としては、硫酸銅,アセチルアセトン銅,塩化銅,グルコン酸銅,オレイン酸銅,エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅(II)等の銅化合物,バナジウムアセチルアセトネート,バナジルアセチルアセトネート,バナジルステアレート,バナジウムナフテネート,バナジウムベンゾイルアセトネート等のバナジウム化合物が例示される。
【0026】
本発明に係る重合性組成物においては、強度を高めるために第一成分または第二成分のどちらか一方、あるいは両方にフィラーを配合しても良い。例えば歯科用の接着性組成物として利用する場合、フィラーを配合して各成分をペースト状とすれば操作性を高めることができる。フィラーは第一成分及び/または第二成分中に5〜85重量%配合されていることが好ましく、5重量%よりも少ないと配合による効果が得られ難く、85重量%より多いと、ペーストが硬くなりすぎて操作性が悪化する。フィラーとしては無水ケイ酸,バリウムガラス,アルミナガラス,カリウムガラス,フルオロアルミノシリケートガラス等のガラス類、合成ゼオライト,リン酸カルシウム,長石,ヒュームドシリカ,ケイ酸アルミニウム,ケイ酸カルシウム,炭酸マグネシウム,含水ケイ酸,含水ケイ酸カルシウム,含水ケイ酸アルミニウム,石英等の粉末が例示される。
【0027】
これらのフィラーは(メタ)アクリレートと結合させるために、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,ビニルトリクロロシラン,ビニルトリエトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリアセトキシシラン等のシランカップリング剤で表面処理されていても良い。また、前記のフィラーを予め前述した(メタ)アクリレートのモノマーやオリゴマーと混合して重合硬化させた後、粉砕して作製した有機無機複合フィラーも使用することができる。これらのフィラーは1種または2種以上を混合して使用することができる。中でも、無水ケイ酸,ヒュームドシリカ,石英は、酸成分との共存時に最も安定である。なお、本発明に使用する第一成分と第二成分は各成分でそれぞれ異なるフィラーを用いても良いのは勿論である。
【0028】
本発明に係る重合性組成物の第一成分と第二成分の混合割合は、重量で10:1〜1:10であることが好ましい。この範囲外では各成分中での重合触媒のバランスがとり難くなり重合に問題が生じる虞がある。本発明に係る重合性組成物の混合は、術者がヘラと練和紙を用いて手動で混合しても良いし、ミキシングチップによるオートミキシングシステムを用いても良い。
【0029】
本発明に係る重合性組成物には必要に応じて通常用いられる光重合触媒,重合禁止剤,抗菌剤,顔料等を第一成分または第二成分のどちらか一方、あるいは両方に適宜配合することもできるのは勿論である。また、酸基を有する(メタ)アクリレートの歯質に対する反応性を高めるために水も同様に配合することができる。さらに、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤も同様に配合することができる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0031】
表2に示した配合に従い、実施例及び比較例を作製し、湿潤条件下での硬化性及び保存安定性を評価した。
【0032】
表2中の略語はそれぞれ以下の通りである。
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
M−90G:メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート
Bis−GMA:2,2−ビス−4−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−フェニルプロパン
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート
UDMA:ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート
MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
4MET:4−メタクリロキシエチルトリメリット酸
CHPO:クメンヒドロペルオキシド
tBHPO:tert−ブチルヒドロペルオキシド
SiO
2粉末:二酸化ケイ素粉末
ガラス粉末:フィラーとして配合するガラス粉末は下記表2を参照。
アエロジル:ヒュームドシリカ(商品名 R812,日本アエロジル社製)
DW:蒸留水
IA:6−tert−ブチル−2,4−キシレノール
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド
【0033】
フィラーとして配合したガラス粉末の組成を表1に示す。
<表1>
【0034】
表1に示す原料を混合し、1200℃の高温電気炉中で5時間保持しガラスを溶融させた。溶融後急冷し、ボールミルを用いて10時間粉砕し、200メッシュ(ASTM)ふるいを通過させた後の粉末(フルオロアルミノシリケートガラス粉末)をフィラーとして配合した。
【0035】
『湿潤条件下での硬化性の評価』
湿潤条件下での硬化性を評価するために、各実施例及び比較例において、JIS/6609−1:2005 8.4に準じて圧縮試験を行った。すなわち、第一成分と第二成分とを重量比1:1で練和したものを直径4mm、高さ6mmの金型に填入して湿潤条件下(湿度100%)で1時間硬化させた後、37℃の水中に24時間浸漬したものをクロスヘッドスピード1mm/min.にて圧縮試験を実施した。なお、通常は練和終了から24時間後に圧縮試験を行うが、本発明に係る重合性組成物の初期の硬化性も併せて評価するため、練和終了から10分後の圧縮試験も併せて行った。この場合、硬化体は湿潤条件下で硬化したのみで、37℃の水中に24時間浸漬する過程は行っていない。結果を表2に示す。
【0036】
『保存安定性の確認試験』
各実施例及び比較例において、重合性組成物は50℃において保管され、それぞれ0(調製時),12週間後に硬化時間が測定された。23±1℃の恒温室内において、第一成分0.2g、第二成分0.2gを練和紙上に測り採り、スパチュラを用いて15秒間の練和操作を行うことで均一に混合し、この重合性組成物の発熱曲線をISO4029:2000 7.6に準じて測定した。また、硬化時間の読み取り方法はISO4029:2000 7.8に準じた。結果を表2に示す。
【0037】
表2から明らかなように、チオ尿素誘導体を含む重合開始剤を使用した重合性組成物(比較例1及び比較例2)と比較しても、本発明の有機過酸化物−システイン類−重合促進剤系の重合開始剤を使用した重合性組成物は、歯科材料に一般的に用いられている(メタ)アクリレート化合物の異なる組成や酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の有無に関らず、湿潤条件下での硬化性及び保存安定性が良好であることが確認できた。
【0038】
<表2>