【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の
ベースとなる走行体速度計測方法は、 走行経路に沿って走行する走行体の速度を計測する方法であって、 前記走行経路には、該経路に沿って繰り返し出現するように配置されている目標物が存在しており、 前記走行体に、走行方向にある間隔Lをおいて前記目標物を検知できる二つの目標物センサ(第1センサ・第2センサ)を配置しておき、 ある目標物を前記第1センサで検出した時刻T1を計測し、 該目標物を前記第2センサで検出した時刻T2を計測し、 該目標物の検出時刻から計測した走行体速度(目標物速度)Vmを、 Vm=L/(T2-T1) により求め、 走行体加速度や車輪回転数、走行体位置変化等の別途の原理により算出した走行体速度(別原理速度)と前記目標物速度を勘案又は補正して前記走行体の速度を求め
る。
【0008】
本発明の方法で求められる目標物速度は、隣接する目標物の存在ピッチ毎に得られる離散的なデータとなる。そこで、離散的に存在するデータ間を、別原理速度のうち、加速度や車輪回転数など連続的な(より離散的でない)データで補間する。つまり、本発明の方法で求められた目標物速度はある時刻における速度としてそのまま使用し、離散的に存在する時刻間の速度は、別原理速度を勘案又は補正して使用する。なお、離散的でも実用上十分な程度のデータが得られる場合は、あえて補正する必要はない。
【0009】
第1センサ・第2センサは、設備点検用の既存の測定装置などにも簡単に取り付けることができる。また、別原理速度を加速度計で測定した場合、高周波まで計測できるので、高周波域までの速度変化も計測できる。なお、センサの数を3以上とすることもできる。
【0010】
本発明の
ベースとなる電車速度計測方法は、 電車線路に沿って走行する電車の速度を計測する方法であって、 前記電車線路には、該経路に沿って繰り返し出現するトロリ線のハンガやドロッパ、電柱のような目標物が存在しており、 前記電車に、走行方向にある間隔Lをおいて前記目標物を検知できる二つの目標物センサ(第1センサ・第2センサ)を配置しておき、 ある目標物を前記第1センサで検出した時刻T1を計測し、 該目標物を前記第2センサで検出した時刻T2を計測し、 該目標物の検出時刻から計測した電車速度(目標物速度)Vmを、 Vm=L/(T2-T1) により求め
る。
【0011】
本発明においては、 N番目の目標物通過時刻TNからN+1番目の目標物通過時刻TN+1までの間の各時点における補正速度を、
時刻TNでは、N番目の目標物において計測した目標物速度VmNとし、
時刻TN+1では、N+1番目の目標物において計測した目標物速度VmN+1とし
両時刻間の時刻Tにおいては、目標物速度VmNと目標物速度VmN+1の時刻Tに関する時間比例配分値に、別原理速度Vbの変動を加味して得ることとできる。
【0012】
本発明においては、時刻TN+1に達した時点で、時刻TNから時刻TN+1の間の速度を、別原理速度を加味して補正する。つまり、時刻TN及び時刻TN+1の時点では、目標物速度VmNとVmN+1を正しいものとし、両時刻間の変動傾向は別原理速度Vbの変動を正しいものとして加味するのである。この方法は、ある時刻における速度を、該時刻からやや時間遅れをもって補正することになる。しかし、両時刻間においては、目標物速度VmNと目標物速度VmN+1の時間比例配分値に、別原理速度の変動分を加味するので、正確な値を得ることができる。
【0013】
具体的には、 N番目の目標物通過時刻TNからN+1番目の目標物通過時刻TN+1までの間の各時点における補正速度(Vh)を求める際に、
時刻TNでは、N番目の目標物において計測した目標物速度VmNを補正速度VhNとし、
時刻TN+1では、N+1番目の目標物において計測した目標物速度VmN+1を補正速度VhN+1とし
N番目の目標物通過時刻からN+1番目の目標物通過時刻までの間の時刻Tにおける補正速度(VhT)を、以下の方法によって求めることとできる:
1)時刻Tにおける目標物速度VmTを、時間・速度平面内における座標(TN、VmN)と座標(TN+1、VmN+1)を時刻Tで比例配分した速度とする、
2)時刻Tにおける別原理速度を、時間・速度平面内における座標(TN、VbN)と座標(TN+1、VbN+1)を時刻Tで比例配分した速度VbT´として近似する、
3)時刻Tにおける、別原理速度VbTと近似した別原理速度VbT´との差Δy1を求める、
4)時刻Tにおける補正速度VhTを、時刻Tにおける目標物速度VmTに差Δy1を加えた速度とする。
【0014】
本発明においては、 N番目の目標物通過時刻TNからN+1番目の目標物通過時TN+1までの間の各時点における補正速度を、
時刻TNでは、N番目の目標物において計測した目標物速度VmNとし、
時刻TN+1では、N+1番目の目標物において計測した目標物速度VmN+1とし
両時刻間においては、目標物速度VmNに別原理速度Vbの変動を加味して補正速度を得ることもできる。
【0015】
本発明においては、時刻Tに達した時点で、時刻TNにおける目標物速度VmNに、時刻TNから時刻Tまでの別原理速度Vbの変動分を加味するので、リアルタイムで補正することができる。
【0016】
具体的には、 N番目の目標物通過時刻TNからN+1番目の目標物通過時刻TN+1までの間の各時点における速度(補正速度Vh)を求める際に、
時刻TNでは、N番目の目標物において計測した目標物速度VmNを補正速度VhNとし、
時刻TN+1では、N+1番目の目標物において計測した目標物速度VmN+1を補正速度VhN+1とし
N番目の目標物通過時刻からN+1番目の目標物通過時刻までの間の時刻Tにおける補正速度VhTを、以下の方法によって求めることとできる:
1)時刻Tにおける別原理速度VbTと、時刻TNにおける別原理速度VbNとの差Δy2(時刻TNから時刻Tまでの別原理速度の変動分)を求める、
2)時刻Tにおける補正速度VhTを、時刻TNにおける目標物速度VmNに、時刻TNから時刻Tまでの別原理速度の変動分Δy2を加えた速度とする。
【0017】
本発明の
ベースとなる走行体速度計測装置は、 走行経路に沿って走行する走行体の速度を計測する装置であって、 前記走行経路には、該経路に沿って繰り返し出現するように配置されている目標物が存在しており、 前記走行体に配置された、走行方向にある間隔Lをおいて前記目標物を検知できる二つの目標物センサ(第1センサ・第2センサ)と、 前記走行体の加速度や車輪回転数、走行体位置変化等の別途の原理により算出される走行体速度計測手段と、 以下の演算装置と、を備え
る: ある目標物を前記第1センサで検出した時刻をT1、及び、該目標物を前記第2センサで検出した時刻T2から、 走行体の速度(目標物速度)Vmを、 Vm=L/(T2-T1) により求め、 前記走行体速度計測手段で計測された走行体速度(別原理速度)と前記目標物速度を勘案又は補正して前記走行体の速度を求める。
【0018】
本発明の
ベースとなる電車速度計測装置は、 電車線路に沿って走行する電車の速度を計測する装置であって、 前記電車線路には、該経路に沿って繰り返し出現するトロリ線のハンガやドロッパ、電柱のような目標物が存在しており、 前記電車に配置された、走行方向にある間隔Lをおいて前記目標物を検知できる二つの目標物センサ(第1センサ・第2センサ)と、 前記電車の加速度や車輪回転数、電車位置変化等の別途の原理により算出される電車速度計測手段と、 以下の演算装置と、を備え
る: ある目標物を前記第1センサで検出した時刻をT1、及び、該目標物を前記第2センサで検出した時刻T2から、 電車の速度(目標物速度)Vmを、
Vm=L/(T2-T1) により求め、 前記電車速度計測手段で計測された電車速度(別原理速度)と前記目標物速度を勘案又は補正して前記電車の速度を求める。