(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図面において、同一の部材または相当する部材(機能が共通する部材)には同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。また、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜のため、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
【0019】
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る水平磁場型のMRI(磁気共鳴イメージング)装置1の斜視図を示す。
MRI装置1は、被検体10を内部の撮像空間(空間)8に導入可能な円筒形状の静磁場発生装置2と、導入された被検体10の生体組織を構成する原子核に核磁気共鳴を起こさせるために高周波信号を照射する照射コイル4と、被検体10から発せられる各々の信号に位置情報を与えるための傾斜磁場発生装置3と、被検体10から発せられる信号を受信するための受信コイル22と、被検体10を積載するベッド11等で構成されている。
【0020】
静磁場発生装置2は、被検体10の生体組織を構成する原子のスピンを配向させるために、撮像空間8に均一磁場7(
図2参照)を生成する。その均一磁場7の磁場を補正し、その均一度を高めるために、均一磁場の調整用のシムコイル(
図1では図示せず)が静磁場発生装置2の撮像空間8側に設けられている。静磁場発生装置2は、真空容器支持脚2fで支えられている。静磁場発生装置2は、水平方向に平行なz軸を中心軸とする円筒形状を呈している。傾斜磁場発生装置3は、静磁場発生装置2の撮像空間8側に設けられている。傾斜磁場発生装置3は、静磁場発生装置2と中心軸を共通とする(z軸を中心軸とする)円筒形状を呈している。
【0021】
傾斜磁場発生装置3は、撮像空間8に、互いに直交する3軸方向である、x軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれに沿って磁場強度が線形的に変化する傾斜磁場9を発生させ、計測される磁気共鳴信号(NMR信号)に位置情報を持たせている。照射コイル4は、傾斜磁場発生装置3の撮像空間8側に設けられている。照射コイル4は、静磁場発生装置2と中心軸を共通とする(z軸を中心軸とする)円筒形状を呈している。照射コイル4は、被検体10の生体組織を構成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせるために、高周波信号を照射する。また、受信コイル22が、核磁気共鳴によるNMR信号を受け取るために、ベッド11に取り付けられている。被検体10の周囲を囲むように受信コイル22が設けられている。
【0022】
なお、このMRI装置1では、その構造の理解を容易にするために、撮像空間8の中に原点を有するxyz座標系を設定している。z軸の方向は均一磁場7(
図2参照)の向き(静磁場発生装置2の中心軸の方向)に一致する方向に定義し、x軸の方向は被検体10が仰臥した時の左右方向(肩幅の方向)に一致する方向に定義し、y軸の方向はz軸とx軸に直交する方向(上下方向)に定義している。また、z軸を法線とする平面において、z軸から遠ざかる方向を径方向と表記する。
【0023】
図2に、本発明の第1の実施形態に係る水平磁場型のMRI装置1の概略縦断面図(切断面:yz平面)を示す。
静磁場発生装置2は、超電導コイルである複数のメインコイル(静磁場発生源)2aと、超電導コイルである複数のシールドコイル(静磁場発生源)2bと、メインコイル2aとシールドコイル2bを冷媒と共に収納し冷却する冷却容器2eと、冷却容器2eを覆い真空容器2cから放射される輻射熱をシールドする輻射シールド2dと、冷却容器2eと輻射シールド2dを真空環境下に収納し断熱する真空容器2cと、真空容器2cを設置床面12に支持する真空容器支持脚2f(
図1参照)と、冷却容器2eと輻射シールド2dを真空容器2c内に断熱支持する荷重支持体(図示せず)等を有している。
【0024】
複数のメインコイル(静磁場発生源)2aは、z軸を互いに共通する中心軸とするリング(円環)形状を呈している。複数のメインコイル2aは、z軸方向に複数(
図2の例では4個)配置されている。複数のメインコイル2aは、撮像空間(空間)8に、均一磁場7となる静磁場を生成する。均一磁場7の方向(均一磁場方向)は、設置床面12に対して平行になっている。複数のメインコイル2aは、撮像空間8以外にも、静磁場を生成し、特に、z軸に対して、メインコイル2aよりも遠くの位置に、静磁場の漏れ磁場を生成させる。複数のシールドコイル(静磁場発生源)2bは、この漏れ磁場の大きさを小さくすることができる。複数のシールドコイル2bは、z軸を互いに共通する中心軸とするリング形状をしている。複数のシールドコイル2bは、z軸方向に複数(
図2の例では2個(一対))配置されている。複数のシールドコイル2bは、z軸方向において複数個配列された内の両端に配置された一対のメインコイル2aの近傍に配置されている。複数のシールドコイル2bは、z軸方向において両端に配置された一対のメインコイル2aよりも、z軸に対して遠く(径方向外側)に配置されている。
【0025】
図3に、本発明の第1の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:yz平面)のうちz軸より上方部分かつy軸より右側部分を示す。
図3に示すように、傾斜磁場発生装置3は、メインコイル(傾斜磁場発生源)3aと、シールドコイル(傾斜磁場発生源)3bを有している。そして、傾斜磁場発生装置3は、メインコイル3aとシールドコイル3bを互いに固定するレジン3cを有している。メインコイル3aは、z軸を中心軸とする円筒形状をしている。メインコイル3aは、撮像空間8に、静磁場の均一磁場7(
図2参照、以下同じ)に重畳し、パルス状に変動する変動磁場である傾斜磁場9(
図2参照、以下同じ)を生成する。メインコイル3aは、撮像空間8以外には、変動磁場の漏れ磁場を生成させる。シールドコイル3bは、この漏れ磁場の大きさを小さくすることができる。シールドコイル3bは、z軸を中心軸とする円筒形状をしている。シールドコイル3bは、z軸に対して、メインコイル3aよりも遠くに配置されている。シールドコイル3bは、メインコイル3aに対して、静磁場発生装置2(
図2参照、以下同じ)の側に配置されている。傾斜磁場発生装置3は、取付部材(図示せず)を介して真空容器2c(
図2参照、以下同じ)に取り付けられている。
【0026】
傾斜磁場発生装置3は、例えばx,y,zの各軸方向に傾斜磁場9をそれぞれ発生させるXメインコイル31a、Yメインコイル32a、Zメインコイル33aから構成されるメインコイル(傾斜磁場発生源)3aと、メインコイル3aが作る磁場を動的に遮蔽するシールドコイル(傾斜磁場発生源)3bと、撮像部位の磁化率の違いによる変動要因に対して静磁場均一性を補償するための均一磁場の調整用のシムコイル34a(シムコイルのメインコイル),34b(シムコイルのシールドコイル)、並びに、図示しない冷却配管、電気配線、支持構造物等を備えている。ここで、
図3では、傾斜磁場発生源のメインコイル3aおよびシムコイル34aは、径方向内側からXメインコイル31a、Yメインコイル32a、Zメインコイル33a、シムコイル34aの順、傾斜磁場発生源のシールドコイル3bおよびシムコイル34bは、径方向内側からZシールドコイル33b、Yシールドコイル32b、Xシールドコイル31b、シムコイル34bの順で図示したが、径方向の積層順序は任意である。
【0027】
傾斜磁場発生装置3は、少なくとも一対の導体リング(導電性部材)5を有している。導体リング5は、傾斜磁場発生装置3の内部に配置されている。導体リング5は、傾斜磁場発生源3a,3bを挟んで撮像空間8の反対側、すなわち傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられている。また、導体リング5は、z軸方向(均一磁場方向)において、均一磁場7が発生する領域(撮像空間8)の静磁場方向(z軸方向)両側、好ましくは、均一磁場7が発生する領域(撮像空間8)の静磁場方向(z軸方向)両側の外側(
図3中に「R」で示す)に配置されている。
【0028】
導体リング5の板厚あたりの電気抵抗率(シート抵抗)は、静磁場発生装置2の導電性部材(真空容器2c、輻射シールド2d、冷却容器2e(いずれも
図2参照、以下同じ))、および傾斜磁場発生装置3のレジン3cの板厚あたりの電気抵抗率より低くなっている。導体リング5は、z軸方向において複数個配列された静磁場発生源のメインコイル2a(
図2参照、以下同じ)のうち両端に配置された一対のメインコイル2aの近傍に配置されている。導体リング5は、z軸方向において、傾斜磁場発生源のメインコイル3aとシールドコイル3bの端部が配置された位置に配置されている。導体リング5は、z軸に対して周回方向に連続体で構成されるのが望ましいが、特にこれに限定されるものではない。導体リング5は、傾斜磁場発生装置3の径方向や静磁場方向(z軸方向)の端部に達していても良いが、突出はしない。
【0029】
導体リング5には、銅(Cu)やアルミニウム(Al)等の非磁性の良導体を用いることができる。導体リング5の製造方法としては、前記良導体を、ロール曲げ、ウォータージェット、パンチング等により所望の大きさに切断、もしくは鋳造、エッチング等により所望の大きさに成形する方法が挙げられる。
【0030】
図3に示すように、シムコイル34bに関しては、導体リング5の径方向に隣接して設置されたコイルパターン341bが、導体リング5のz軸方向の設置範囲外に設置されたコイルパターン342bよりも、前記径方向の寸法が小さく、前記z軸方向の寸法が大きく、扁平な形状となっている。コイルパターン341bが扁平であることにより、導体リング5を傾斜磁場発生源のメインコイル3aとシールドコイル3bに近づけることができる。
【0031】
シムコイル34a,34bには、CuやAl等の非磁性の良導体を用いることができる。シムコイル34a,34bの製造方法としては、伸線機等により細く成型された前記良導体を巻きつける、あるいは、ロール曲げ、ウォータージェット、パンチング等により所望の大きさに切断、もしくは鋳造、エッチング等により所望の大きさに成形された前記良導体を積層することでコイル形状とする方法が挙げられる。シムコイル34bのうち、コイルパターン341bとコイルパターン342bとは、電気的に接続されており、同一コイルにおける異なるターンを構成している。接続方法としては、半田付けや溶接、導線の使用等が挙げられる。接続位置は、傾斜磁場発生装置3の内部でも、外部でもよい。コイルパターン341bの電流方向を法線とする断面の面積は、コイルパターン342bの電流方向を法線とする断面の面積と略等しくなることが望ましい。
【0032】
次に、MRI装置1における振動の抑制について説明する。
撮影時には、静磁場発生装置2によって、撮像空間8に均一磁場7が生成されているが、同時に、傾斜磁場発生装置3が配置されている領域にも、静磁場が生成されている。傾斜磁場発生装置3においては、この静磁場中に配置された傾斜磁場発生源であるメインコイル3aとシールドコイル3bにパルス状の電流が流れる。静磁場とこのパルス状の電流のカップリングにより、パルス状のローレンツ力がメインコイル3aとシールドコイル3bに作用して、傾斜磁場発生装置3が振動する。これに伴い、傾斜磁場発生装置3を静磁場発生装置2に取り付けている取付部材を介して真空容器2cが振動し、真空容器2cから荷重支持体を介して輻射シールド2dや冷却容器2eに振動が伝播することで、静磁場発生装置2の各部材が振動する。
【0033】
また、傾斜磁場発生装置3のメインコイル3aとシールドコイル3bによって、撮像空間8に傾斜磁場9が生成されるが、同時に、静磁場発生装置2が配置されている領域に漏れる磁場が生成されている。この漏れ磁場が、真空容器(外壁)2cや輻射シールド2d、冷却容器2eといった導電性部材に渦電流を誘導し、これらの渦電流が静磁場とカップリングしてローレンツ力が導電性部材に作用することで、静磁場発生装置2の導電性部材が振動する。また、この漏れ磁場が静磁場発生装置2のメインコイル2aとシールドコイル2bに流れる電流とカップリングすることで、パルス状のローレンツ力がメインコイル2aとシールドコイル2bに作用して、静磁場発生装置2の内部が振動する。
【0034】
そして、導体リング5の設置によって、傾斜磁場発生装置3から静磁場発生装置2の側に漏れる磁場が遮蔽され、静磁場発生装置2を構成する導電性部材に生じる渦電流が減少してローレンツ力が減少する。これによって、静磁場発生装置2の振動は低減する。一般に、傾斜磁場発生装置3の漏れ磁場は、z軸方向における傾斜磁場発生装置3の両端付近で大きくなる傾向にある。この付近では、静磁場発生源のメインコイル2aの起磁力も大きくなっている。したがって、この付近に、導体リング5を設置することで、大きな渦電流を導体リング5に発生させることができ、導体リング5に生じた渦電流が作る磁場によって、漏れ磁場を遮蔽することができる。これにより、静磁場発生装置2の導電性部材では、渦電流の生成が抑制されるので、静磁場発生装置2の導電性部材に生じるローレンツ力が抑制され、静磁場発生装置2における振動を抑制することができる。
【0035】
前記した漏れ磁場の遮蔽効果は、導体リング5が傾斜磁場発生源であるメインコイル3aやシールドコイル3bに近いほど効果が大きい。これは、距離が近いほど導体リング5とメインコイル3aやシールドコイル3bとの磁気的な結合が強くなり、漏れ磁場を打ち消す導体リング5上の渦電流が大きくなるためである。このため、導体リング5とメインコイル3aやシールドコイル3bとの距離が近いほど、静磁場発生装置2の振動抑制の効果が大きくなる。
【0036】
なお、静磁場発生装置2の導電性部材で渦電流の生成が抑制されると、渦電流発熱が低減し、超電導コイルであるメインコイル2aとシールドコイル2bを冷却するために冷却容器2eに入れられる冷媒、例えば、液体ヘリウムや冷却水の量を少なくすることができる。
【0037】
一方、導体リング5は、傾斜磁場発生装置3が振動すると、これに伴って振動する。この振動によって、導体リング5と、静磁場発生装置2のメインコイル2aやシールドコイル2bとの相対距離が変化する。これにより、導体リング5に鎖交する磁束が変化し、導体リング5に渦電流が誘導される。この渦電流により、導体リング5と静磁場発生源(メインコイル2a、シールドコイル2b)の位置関係を保持しようとする電磁気的な反力が作用する。その結果、静磁場によって導体リング5の振動が抑制される。そして、導体リング5と機械的(相対位置不変)に結合した傾斜磁場発生装置3の振動も抑制される。
【0038】
さらに、導体リング5を傾斜磁場発生装置3に機械的(相対位置不変)に結合したことで、傾斜磁場発生装置3の機械的な剛性が増加し、傾斜磁場発生装置3の振動を機械的に低減する効果が得られる。
【0039】
前記の電磁気的および機械的な振動抑制効果によって傾斜磁場発生装置3の振動が減少することで、静磁場発生装置2への振動伝播も減少し、静磁場発生装置2の振動も抑制される。
以上が、MRI装置1の振動抑制に関する説明である。
【0040】
次に、断層画像の劣化防止と画質向上について説明する。
導体リング5には渦電流が誘導されるため、断層画像の撮影に対しては、渦電流による誤差磁場の影響で断層画像が劣化する可能性がある。導体リング5を傾斜磁場発生源であるメインコイル3aやシールドコイル3bに近づけると、導体リングに生じる渦電流が増加することから、前記誤差磁場も増加する関係にある。しかしながら、導体リング5を、撮像空間8からz軸方向外側(
図3中に「R」で示す)に離して配置することで、撮像空間8と導体リング5との距離が遠くなり、渦電流による誤差磁場の影響を小さくできる。また、導体リング5の漏れ磁場遮蔽効果により、静磁場発生装置2に発生する渦電流が減少することで、前記渦電流が作る誤差磁場の低減効果が奏される。更に、導体リング5の漏れ磁場遮蔽効果により、静磁場発生装置2の振動が抑制されることで、静磁場発生装置2の導電性部材に振動に伴って生じる渦電流が減少し、誤差磁場の低減効果が奏される。
【0041】
また、シムコイル34bのコイルパターン341bが存在することで、シムコイルの軸長が長く確保され、均一磁場7を調整可能な撮像空間8の領域の拡大や、シムコイルの漏れ磁場の低減が可能となる。また、前記コイルパターン341bが、シムコイル34bのコイルパターン342bと比べ、z軸方向の寸法が長いことにより、径方向の寸法が小さいことによるシムコイル34bの電気抵抗の増加を抑制することができる。
以上が、断層画像の劣化防止と画質向上に関する説明である。
【0042】
前記したように、本実施形態に係るMRI装置1では、傾斜磁場発生装置3は、該傾斜磁場発生装置3の内部かつ均一磁場方向における傾斜磁場発生装置3の端部側かつ静磁場発生源2a,2bの径方向における傾斜磁場発生源3a,3bの外側である配置領域に設けられた少なくとも一対の導体リング5を有している。また、導体リング5の径方向に近接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、径方向(y軸方向)と均一磁場方向(z軸方向)とを含む平面で切断される断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が小さく、均一磁場方向の寸法が大きく設定されている。
具体的には、第1の実施形態では、導体リング5は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの径方向外側に設けられている。また、シムコイル34bは、導体リング5の径方向に隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターン341bが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターン342bよりも、径方向(y軸方向)の寸法が小さく、均一磁場方向(z軸方向)の寸法が大きく設定されている。
【0043】
したがって第1の実施形態によれば、傾斜磁場発生装置3の漏れ磁場を低減しつつ、導体リング5に発生する渦電流による誤差磁場の撮像空間8への影響を小さくできる。また、傾斜磁場発生装置3の軸長を長くすることなくシムコイル34bの軸長を長く確保することができ、さらにシムコイル34bのコイルパターン341bの径方向寸法を小さくしたことで、傾斜磁場発生装置3の外径を増加させずに導体リング5を設置可能である。
これにより、漏れ磁場を低減しつつ断層画像の劣化を抑制でき、且つ、薄肉化、並びに、短軸長化された傾斜磁場発生装置を有する水平磁場型のMRI装置を提供できる。
すなわち、振動や騒音を低減可能で、断層画像の劣化を抑制した、開口部が広く短軸長化された水平磁場型のMRI装置を提供できる。
【0044】
(第2の実施形態)
図4に、本発明の第2の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:yz平面)のうちz軸より上方部分かつy軸より右側部分を示す。
第2の実施形態では、導体リング5は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの径方向内側かつ傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられている。また、シムコイル34bは、導体リング5の径方向に隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターン341bが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターン342bよりも、径方向の寸法が小さく、均一磁場方向の寸法が大きく設定されている。
【0045】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なっている点は、導体リング5が、シムコイル34bのコイルパターン341bよりも、傾斜磁場発生装置3の径方向内側に位置している点である。第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、シムコイル34a,34bから静磁場発生装置2の側に漏れる磁場の遮蔽効果は小さくなるものの、傾斜磁場発生源のシールドコイル3bとの距離が小さくなり、傾斜磁場発生源3a,3bから静磁場発生装置2の側に漏れる磁場の遮蔽効果が向上する。一般に、傾斜磁場発生源3a,3bの方が、シムコイル34a,34bよりも起磁力が大きいことから、静磁場発生装置2の側に漏れる磁場も大きい。このため、シムコイル34a,34bの漏れ磁場の遮蔽効果が小さくなるデメリットよりも、傾斜磁場発生源3a,3bの漏れ磁場の遮蔽効果が大きくなるメリットの方が大きく、MRI装置1の振動低減により効果的である。
【0046】
(第3の実施形態)
図5に、本発明の第3の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:yz平面)のうちz軸より上方部分かつy軸より右側部分を示す。
第3の実施形態では、導体リング5は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの径方向内側かつ傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられている。また、傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bは、導体リング5の径方向に隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が小さく、均一磁場方向の寸法が大きく設定されている。
【0047】
第3の実施形態が第2の実施形態と異なっている点は、シムコイル34bのコイルパターン341bが、扁平ではなくシムコイル34bのコイルパターン342bと略等しい断面形状を有しており、かつ傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bで、導体リング5と径方向に隣接して設置されたコイルパターンが、導体リング5のz軸方向の設置範囲外に設置されたコイルパターンよりも、径方向の寸法が小さく、z軸方向の寸法が大きく、扁平な形状となっている点である。第3の実施形態は、第2の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、導体リング5と傾斜磁場発生源のシールドコイル3bとの距離がより小さくなり、傾斜磁場発生源3a,3bから静磁場発生装置2の側に漏れる磁場の遮蔽効果がより大きくなる。
【0048】
(第4の実施形態)
図6に、本発明の第4の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:yz平面)のうちz軸より上方部分かつy軸より右側部分を示す。
第4の実施形態では、導体リング5は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの径方向外側に設けられている。また、傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bは、導体リング5の径方向に近接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が小さく、均一磁場方向の寸法が大きく設定されている。
【0049】
第4の実施形態が第1の実施形態と異なっている点は、シムコイル34bのコイルパターン341bが、扁平ではなくシムコイル34bのコイルパターン342bと略等しい断面形状を有しており、かつ傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bで、導体リング5と径方向に近接して設置されたコイルパターンが、導体リング5のz軸方向の設置範囲外に設置されたコイルパターンよりも、径方向の寸法が小さく、z軸方向の寸法が大きく、扁平な形状となっている点である。第4の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、シムコイル34bのコイルパターン341bをシムコイル34aに近づけることができるため、シムコイル34a,34bから静磁場発生装置2の側に漏れる磁場の遮蔽効果が大きくなる。
【0050】
(第5の実施形態)
図7に、本発明の第5の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:yz平面)のうちz軸より上方部分かつy軸より右側部分を示す。
第5の実施形態では、導体リング5a,5bは、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの径方向外側、および径方向におけるシムコイル34bと傾斜磁場発生源3a,3bとの間にそれぞれ設けられている。また、シムコイル34bおよび傾斜磁場発生源3bは、それぞれ、導体リング5a,5bの径方向に隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が小さく、均一磁場方向の寸法が大きく設定されている。
【0051】
第5の実施形態が第4の実施形態と異なっている点は、導体リング5aの径方向に隣接して設置されたシムコイル34bのコイルパターン341bが、導体リング5aのz軸方向の設置範囲外に設置されたコイルパターン342bよりも、径方向の寸法が小さく、z軸方向の寸法が大きく、扁平な形状となっており、更に径方向内側に導体リング5bを有する点である。導体リング5bの寸法は、導体リング5aと異なっていてもよい。導体リング5bが傾斜磁場発生装置3内に設置される軸方向位置は、導体リング5aの設置位置と異なっていてもよい。第5の実施形態は、第4の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、導体リング5bが追加されることで、傾斜磁場発生源3a,3bから静磁場発生装置2の側に漏れる磁場の遮蔽効果がより大きくなる。
【0052】
(第6の実施形態)
図8に、本発明の第6の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:yz平面)のうちz軸より上方部分かつy軸より右側部分を示す。
第6の実施形態では、傾斜磁場発生装置3は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの径方向外側に複数設けられる導体リング5a,5cを有している。また、シムコイル34bは、複数の導体リング5a,5cの径方向にそれぞれ隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターン341b,343bが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターン342bよりも、径方向の寸法が小さく、均一磁場方向の寸法が大きく設定されている。
【0053】
第6の実施形態が第1の実施形態と異なっている点は、z軸方向端部側の導体リング5aとシムコイル34bの扁平なコイルパターン341bの組み合わせの他に、導体リング5cとシムコイル34bの扁平なコイルパターン343bの組み合わせが、z軸方向における導体リング5aの撮像空間8側、好ましくは撮像空間8の外側(
図8中に「R」で示す)に配置されている点である。導体リングと扁平なコイルパターンの組み合わせは、
図8では導体リング5aと扁平なコイルパターン341bおよび導体リング5cと扁平なコイルパターン343bの2組が示されているが、3組以上配置されていてもよい。導体リング5cの寸法は、導体リング5aと異なっていてもよい。導体リング5cが傾斜磁場発生装置3内に設置される径方向位置は、導体リング5aの設置位置と異なっていてもよい。第6の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、z軸方向に導体リングが複数存在することで、傾斜磁場発生装置3から静磁場発生装置2の側に漏れる磁場を遮蔽できる領域が多くなる。
【0054】
(第7の実施形態)
図9に、本発明の第7の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:yz平面)のうちz軸より上方部分かつy軸より右側部分を示す。
第7の実施形態では、傾斜磁場発生装置3は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの径方向内側かつ傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に複数設けられる導体リング5a,5cを有している。また、シムコイル34bは、複数の導体リング5a,5cの径方向にそれぞれ隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターン341b,343bが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターン342bよりも、径方向の寸法が小さく、均一磁場方向の寸法が大きく設定されている。
【0055】
第7の実施形態が第2の実施形態と異なっている点は、z軸方向端部側の導体リング5aとシムコイル34bの扁平なコイルパターン341bの他に、導体リング5cとシムコイル34bの扁平なコイルパターン343bが、z軸方向における導体リング5aの撮像空間8側、好ましくは撮像空間8の外側(
図9中に「R」で示す)に配置されている点である。導体リングと扁平なコイルパターンの組み合わせは、
図9では導体リング5aと扁平なコイルパターン341bおよび導体リング5cと扁平なコイルパターン343bの2組が示されているが、3組以上配置されていてもよい。導体リング5cの寸法は、導体リング5aと異なっていてもよい。導体リング5cが傾斜磁場発生装置3内に設置される径方向位置は、導体リング5aの設置位置と異なっていてもよい。第7の実施形態は、第2の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、z軸方向に導体リングが複数存在することで、傾斜磁場発生装置3から静磁場発生装置2の側に漏れる磁場を遮蔽できる領域が多くなる。
【0056】
(第8の実施形態)
図10に、本発明の第8の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:yz平面)のうちz軸より上方部分かつy軸より右側部分を示す。
第8の実施形態では、傾斜磁場発生装置3は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの径方向内側かつ傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に複数設けられる導体リング5a,5cを有している。また、傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bは、複数の導体リング5a,5cの径方向にそれぞれ隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が小さく、均一磁場方向の寸法が大きく設定されている。
【0057】
第8の実施形態が第3の実施形態と異なっている点は、z軸方向端部側の導体リング5aとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンの他に、導体リング5cとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンが、z軸方向における導体リング5aの撮像空間8側、好ましくは撮像空間8の外側(
図10中に「R」で示す)に配置されている点である。なお、シムコイル34bのコイルパターン341b,343bは、扁平ではなくシムコイル34bのコイルパターン342bと略等しい断面形状を有している。導体リングと扁平なコイルパターンの組み合わせは、
図10では導体リング5aと扁平なコイルパターンおよび導体リング5cと扁平なコイルパターンの2組が示されているが、3組以上配置されていてもよい。導体リング5cの寸法は、導体リング5aと異なっていてもよい。導体リング5cが傾斜磁場発生装置3内に設置される径方向位置は、導体リング5aの設置位置と異なっていてもよい。第8の実施形態は、第3の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、z軸方向に導体リングが複数存在することで、傾斜磁場発生装置3から静磁場発生装置2の側に漏れる磁場を遮蔽できる領域が多くなる。
【0058】
(第9の実施形態)
図11に、本発明の第9の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:yz平面)のうちz軸より上方部分かつy軸より右側部分を示す。
第9の実施形態では、傾斜磁場発生装置3は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの径方向外側に複数設けられる導体リング5a,5cを有している。また、傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bは、複数の導体リング5a,5cの径方向にそれぞれ近接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が小さく、均一磁場方向の寸法が大きく設定されている。
【0059】
第9の実施形態が第4の実施形態と異なっている点は、z軸方向端部側の導体リング5aとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンの他に、導体リング5cとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンが、z軸方向における導体リング5aの撮像空間8側、好ましくは撮像空間8の外側(
図11中に「R」で示す)に配置されている点である。なお、シムコイル34bのコイルパターン341b,343bは、扁平ではなくシムコイル34bのコイルパターン342bと略等しい断面形状を有している。導体リングと扁平なコイルパターンの組み合わせは、
図11では導体リング5aと扁平なコイルパターンおよび導体リング5cと扁平なコイルパターンの2組が示されているが、3組以上配置されていてもよい。導体リング5cの寸法は、導体リング5aと異なっていてもよい。導体リング5cが傾斜磁場発生装置3内に設置される径方向位置は、導体リング5aの設置位置と異なっていてもよい。第9の実施形態は、第4の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、z軸方向に導体リングが複数存在することで、傾斜磁場発生装置3から静磁場発生装置2の側に漏れる磁場を遮蔽できる領域が多くなる。
【0060】
(第10の実施形態)
図12に、本発明の第10の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:yz平面)のうちz軸より上方部分かつy軸より右側部分を示す。
第10の実施形態では、傾斜磁場発生装置3は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの径方向外側、および径方向におけるシムコイル34bと傾斜磁場発生源3a,3bとの間にそれぞれ複数設けられる導体リング5a,5b,5c,5dを有している。また、シムコイル34bおよび傾斜磁場発生源3bは、それぞれ、複数の導体リング5a,5b,5c,5dの径方向にそれぞれ隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が小さく、均一磁場方向の寸法が大きく設定されている。すなわち、シムコイル34bのコイルパターン341b,343bは、導体リング5a,5cのz軸方向の設置範囲外に設置されたコイルパターン342bよりも、y軸方向(径方向)の寸法が小さく、z軸方向(均一磁場方向)の寸法が大きく、扁平な形状となっている。また、Xシールドコイル31bの導体リング5b,5dに隣接して位置されるコイルパターンは、導体リング5b,5dのz軸方向の設置範囲外に設置されたコイルパターンよりも、y軸方向(径方向)の寸法が小さく、z軸方向(均一磁場方向)の寸法が大きく、扁平な形状となっている。
【0061】
第10の実施形態が第5の実施形態と異なっている点は、z軸方向端部側の導体リング5a,5bとシムコイル34bの扁平なコイルパターン341bとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンの組み合わせの他に、導体リング5c,5dとシムコイル34bの扁平なコイルパターン343bとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンの組み合わせが、z軸方向における導体リング5a,5bの撮像空間8側、好ましくは撮像空間8の外側(
図12中に「R」で示す)に配置されている点である。導体リングと扁平なコイルパターンの組み合わせは、
図12では導体リング5a,5bと扁平なコイルパターンおよび導体リング5c,5dと扁平なコイルパターンの2組が示されているが、3組以上配置されていてもよい。導体リング5c,5dの寸法は、導体リング5a,5bと異なっていてもよい。導体リング5b,5dが傾斜磁場発生装置3内に設置されるz軸方向位置は、導体リング5a,5cの設置位置と異なっていてもよい。導体リング5c,5dが傾斜磁場発生装置3内に設置される径方向位置は、導体リング5a,5bの設置位置と異なっていてもよい。第10の実施形態は、第5の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、z軸方向に導体リングが複数存在することで、傾斜磁場発生装置3から静磁場発生装置2の側に漏れる磁場を遮蔽できる領域が多くなる。
【0062】
(第11の実施形態)
図13に、本発明の第11の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:xy平面)のうちx軸より上方部分かつy軸より右側部分を示す。
第11の実施形態では、傾斜磁場発生装置3は、z軸方向(均一磁場方向)と直交する断面内においてy軸方向の半径よりもx軸方向の半径が長く楕円形状となったメインコイル3aを有しており、かつ、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの径方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34b(
図3参照)の径方向外側に設けられる導体リング5aと、導体リング5aとy軸方向に隣接して積層された導体リング5eを有している。すなわち、第11の実施形態は、
図3の示す断面(切断面:yz平面)において、導体リング5に代えて導体リング5a,5eが配置されたものである。また、シムコイル34bは、導体リング5a及び5eの径方向に隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターン341bが、前記断面(切断面:yz平面)内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターン342bよりも、径方向の寸法が小さく、均一磁場方向の寸法が大きく設定されている。
【0063】
第11の実施形態が第1の実施形態と異なっている点は、メインコイル3aが楕円形となっている点、及び、導体リングにおける前記楕円形状の短軸方向の径方向厚さ寸法が長軸方向の径方向厚さ寸法より大きくなるよう、導体リング5aに対して導体リング5eが設けられている点である。導体リング5eの周方向の設置範囲は任意であるが、xy面内においてy軸を中心に±90°程度の範囲となるのが望ましい。第11の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。メインコイル3aが楕円形かつシールドコイル3bが円形の場合、メインコイル3aとシールドコイル3bの間隔は、前記楕円形の長軸方向より短軸方向で広くなる。このため、前記長軸方向より前記短軸方向で漏れ磁場が大きくなる。これに対し、導体リング5eの追加によって、前記短軸方向の漏れ磁場の遮蔽効果が大きくなり、楕円形のメインコイル3aを有する傾斜磁場発生装置3を備えたMRI装置1の振動低減に効果的である。
【0064】
なお、本実施形態では導体リング5aに対し前記径方向外側に導体リング5eを積層した構成について記したが、導体リング5aの前記径方向寸法が、前記楕円形の前記長軸方向よりも前記短軸方向で大きい構成であれば、上記構成に限らない。例えば、導体リング5aの板厚を周方向に変化させる方法や、導体リング5eを前記径方向内側に積層する方法が採用されてもよい。また、本実施形態では、傾斜磁場発生装置3の導体リング5eが設置された径方向範囲のうち、導体リング5eが設置されない周方向範囲がスペースとして存在するが、前記スペースに冷却配管や電気配線、制振材といった傾斜磁場発生装置3の構成部材を配置することができる。更に、本実施形態ではメインコイル3aがx軸方向に幅広の楕円形である構成について記したが、この他にも、メインコイル3aがxy面内の任意の方向に幅広の楕円形である場合や、シールドコイル3bが楕円形である場合が考えられるが、その場合にも本実施形態の構成はMRI装置1の振動低減に効果的である。
【0065】
また、前記した第11の実施形態が第1の実施形態と相違している構成を、第2〜第10の実施形態に対して同様に適用して実施することも勿論可能である。
【0066】
(第12の実施形態)
図14に、本発明の第12の実施形態に係る垂直磁場型のMRI装置1の斜視図を示す。なお、前記したように、第12の実施形態において第1の実施形態と機能が共通する部材には同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0067】
第12の実施形態が第1から第11の実施形態と異なっている点は、均一磁場7の向きが垂直方向(鉛直方向;z軸方向)である垂直磁場型(オープン型)のMRI装置となっている点である。第12の実施形態に係るMRI装置1は、撮像空間8を挟むように上下一対の静磁場発生装置2を対向配置することで、被検体10がベッド11に仰臥して撮像空間8に置かれても、検査者からアクセスされるための十分なガントリーギャップを確保している。連結柱17は、上下一対の静磁場発生装置2の間に設けられ、上下一対の静磁場発生装置2をそれぞれ連結して、上下1対の静磁場発生装置2を互いに離して保持している。上下一対の静磁場発生装置2は、撮像空間8に、向きが垂直方向(z軸方向)で磁場強度が均一の静磁場(均一磁場7)を発生させる。
【0068】
傾斜磁場発生装置3は、一対の円板形状を呈しており、一対の静磁場発生装置2の対それぞれの撮像空間8の側に配置されている。傾斜磁場発生装置3は、撮像空間8に、互いに直交する3軸方向である、x軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれに沿って磁場強度が線形的に変化する傾斜磁場9を発生させ、計測されるNMR信号に位置情報を持たせている。MRI装置1は、この位置情報に基づいて、被検体10の検査画像を作成している。
【0069】
また、照射コイル4も、一対の円板形状を呈しており、一対の傾斜磁場発生装置3の対それぞれの撮像空間8の側に配置されている。照射コイル4は、撮像空間8に仰臥した被検体10に、高周波の電磁波を照射し、被検体10からNMR信号を発生させている。また、受信コイル22が、NMR信号を受け取るためにベッド11に取り付けられている。
【0070】
なお、第12の実施形態でも、MRI装置1に対して撮像空間8の中に原点を有するxyz座標系を設定している。座標系の定義は、第1の実施形態で記したのと同じく、z軸の方向は均一磁場7の向きに一致する方向、x軸の方向は被検体10が仰臥した時の左右方向に一致する方向、y軸の方向はz軸とx軸に直交する方向に定義している。また、z軸を法線とする平面において、z軸から遠ざかる方向を径方向と表記する。
【0071】
図15に、本発明の第12の実施形態に係る垂直磁場型のMRI装置1の概略縦断面図(切断面:yz平面)を示す。
上下一対の静磁場発生装置2は、撮像空間8の上下に対向配置された1対の超電導コイルであるメインコイル(静磁場発生源)2aと、一対のメインコイル2aのz軸方向外側に配置された上下1対の超電導コイルであるシールドコイル(静磁場発生源)2bを有している。メインコイル2aおよびシールドコイル2bは、z軸を互いに共通する中心軸とするリング(円環)形状を呈している。メインコイル2aは、撮像空間(空間)8に、均一磁場7となる静磁場を生成する。均一磁場7の方向(均一磁場方向)は、設置床面12に対して垂直になっている。冷却容器2eは、上下一対のメインコイル2aと、上下一対のシールドコイル2bとを、液体ヘリウム(He)のような冷媒と共に収納して、冷却することができる。冷却されたメインコイル2aとシールドコイル2bは、超電導コイルとして機能することができる。真空容器2cは、冷却容器2eを収納し、真空容器2cと冷却容器2eとの間の空間を真空に保持することができる。真空容器2cは、冷却容器2eを外気(外部)から断熱することができ、冷却容器2eを低温に保持することができる。輻射シールド2dは、冷却容器2eと真空容器2cとの間の真空の空間に設けられ、真空容器2cから冷却容器2eへの輻射熱を低減し、冷却容器2eを低温に保持することができる。
【0072】
また、上下一対のシムコイル(
図15では図示せず)が、上下一対の静磁場発生装置2のz軸方向の内側に、撮像空間8を挟んで上下に対向配置されている。上下一対のシムコイルは、上下一対の傾斜磁場発生装置3の内部に配置されている。各シムコイルの起磁力を調整することにより、撮像空間8に静磁場発生装置2が発生させた静磁場の磁場均一度を向上させることができる。
【0073】
また、上下一対の傾斜磁場発生装置3が、上下一対の静磁場発生装置2のz軸方向の内側に、撮像空間8を挟んで上下に対向配置されている。上下一対の傾斜磁場発生装置3は、例えば、
図15に示すように、y軸方向に磁場強度が傾斜した傾斜磁場9を発生させて、静磁場の均一磁場7に重畳している。上下一対の照射コイル4が、上下一対の静磁場発生装置2のz軸方向の内側に、撮像空間8を挟んで上下に対向配置されている。上下一対の照射コイル4は、上下一対の傾斜磁場発生装置3の近傍に配置されている。
【0074】
図16に、本発明の第12の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:xz平面)のうちx軸(径方向)より上方部分かつz軸より右側部分を示す。
図16に示すように、傾斜磁場発生装置3は、少なくとも一対の導体リング5を有している。導体リング5は、傾斜磁場発生装置3の内部に配置されている。導体リング5は、傾斜磁場発生源3a,3bを挟んで撮像空間8の反対側、すなわち傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられている。導体リング5は、均一磁場7の発生する領域(撮像空間8)の径方向(均一磁場7の磁場方向と直交する方向)に外側、好ましくは、均一磁場7の発生する領域(撮像空間8)の径方向の外側(
図16中に「R」で示す)に配置されている。導体リング5は、径方向において、傾斜磁場発生源のメインコイル3aとシールドコイル3bの端部が配置された位置に配置されている。導体リング5は、z軸に対して周回方向に連続体で構成されるのが望ましいが、特にこれに限定されるものではない。
【0075】
図16に示すように、シムコイル34bに関しては、導体リング5の均一磁場方向(z軸方向)に隣接して設置されたコイルパターン341bが、導体リング5の径方向の設置範囲外に設置されたコイルパターン342bより、前記径方向の寸法が大きく、z軸方向の寸法が小さく、扁平な形状となっている。コイルパターン341bが扁平であることにより、導体リング5を傾斜磁場発生源のメインコイル3aとシールドコイル3bに近づけることができる。
【0076】
シムコイル34a,34bには、CuやAl等の非磁性の良導体を用いることができる。シムコイル34a,34bの製造方法としては、伸線機等により細く成型された前記良導体を巻きつける、あるいは、ロール曲げ、ウォータージェット、パンチング等により所望の大きさに切断、もしくは鋳造、エッチング等により所望の大きさに成形された前記良導体を積層することでコイル形状とする方法が挙げられる。シムコイル34bのうち、コイルパターン341bとコイルパターン342bとは、電気的に接続されており、同一コイルにおける異なるターンを構成している。接続方法としては、半田付けや溶接、導線の使用等が挙げられる。接続位置は、傾斜磁場発生装置3の内部でも、外部でもよい。コイルパターン341bの電流方向を法線とする断面の面積は、コイルパターン342bの電流方向を法線とする断面の面積と略等しくなることが望ましい。
【0077】
前記したように、本実施形態に係るMRI装置1では、傾斜磁場発生装置3は、該傾斜磁場発生装置3の内部かつ静磁場発生源2a,2bの径方向における傾斜磁場発生装置3の端部側かつ均一磁場方向における傾斜磁場発生源3a,3bの外側である配置領域に設けられた少なくとも一対の導体リング5を有している。また、導体リング5の均一磁場方向に近接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、径方向(x軸方向)と均一磁場方向(z軸方向)とを含む平面で切断される断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が大きく、均一磁場方向の寸法が小さく設定されている。
具体的には、第12の実施形態では、導体リング5は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの均一磁場方向外側に設けられている。また、シムコイル34bは、導体リング5の均一磁場方向に隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターン341bが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターン342bよりも、径方向(x軸方向)の寸法が大きく、均一磁場方向(z軸方向)の寸法が小さく設定されている。
【0078】
したがって第12の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、傾斜磁場発生装置3の漏れ磁場を低減しつつ、導体リング5に発生する渦電流による誤差磁場の撮像空間8への影響を小さくできる。また、傾斜磁場発生装置3の外径を大きくすることなくシムコイル34bの外径を大きく確保することができ、さらにシムコイル34bのコイルパターン341bの均一磁場方向寸法を小さくしたことで、傾斜磁場発生装置3の均一磁場方向(z軸方向)の寸法を増加させずに導体リング5を設置可能である。
これにより、漏れ磁場を低減しつつ断層画像の劣化を抑制でき、且つ、薄肉化、並びに、径方向寸法が縮小化された傾斜磁場発生装置を有する垂直磁場型のMRI装置を提供できる。
すなわち、振動や騒音を低減可能で、断層画像の劣化を抑制した、開口部が広く径方向寸法が縮小化された垂直磁場型のMRI装置を提供できる。
【0079】
(第13の実施形態)
図17に、本発明の第13の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:xz平面)のうちx軸(径方向)より上方部分かつz軸より右側部分を示す。
第13の実施形態では、導体リング5は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの均一磁場方向内側かつ傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられている。また、シムコイル34bは、導体リング5の均一磁場方向に隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターン341bが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターン342bよりも、径方向の寸法が大きく、均一磁場方向の寸法が小さく設定されている。
【0080】
第13の実施形態が第12の実施形態と異なっている点は、導体リング5が、シムコイル34bのコイルパターン341bよりも、傾斜磁場発生装置3の撮像空間8側、すなわち均一磁場方向(z軸方向)内側に位置している点である。第13の実施形態は、第12の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、第2の実施形態と同様に、シムコイル34a,34bから静磁場発生装置2の側に漏れる磁場の遮蔽効果は小さくなるものの、傾斜磁場発生源のシールドコイル3bとの距離が小さくなり、傾斜磁場発生源3a,3bから静磁場発生装置2の側に漏れる磁場の遮蔽効果が向上する。
【0081】
(第14の実施形態)
図18に、本発明の第14の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:xz平面)のうちx軸(径方向)より上方部分かつz軸より右側部分を示す。
第14の実施形態では、導体リング5は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの均一磁場方向内側かつ傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられている。また、傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bは、導体リング5の均一磁場方向に隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が大きく、均一磁場方向の寸法が小さく設定されている。
【0082】
第14の実施形態が第13の実施形態と異なっている点は、シムコイル34bのコイルパターン341bが扁平ではなくシムコイル34bのコイルパターン342bと略等しい断面形状を有しており、かつ傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bで、導体リング5とz軸方向に隣接して設置されたコイルパターンが、導体リング5の径方向の設置範囲外に設置されたコイルパターンよりも、z軸方向の寸法が小さく、径方向の寸法が大きく、扁平な形状となっている点である。第14の実施形態は、第13の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、第3の実施形態と同様に、導体リング5と傾斜磁場発生源のシールドコイル3bとの距離がより小さくなり、傾斜磁場発生源3a,3bから静磁場発生装置2の側に漏れる磁場の遮蔽効果がより大きくなる。
【0083】
(第15の実施形態)
図19に、本発明の第15の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:xz平面)のうちx軸(径方向)より上方部分かつz軸より右側部分を示す。
第15の実施形態では、導体リング5は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの均一磁場方向外側に設けられている。また、傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bは、導体リング5の均一磁場方向に近接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が大きく、均一磁場方向の寸法が小さく設定されている。
【0084】
第15の実施形態が第12の実施形態と異なっている点は、シムコイル34bのコイルパターン341bが扁平ではなくシムコイル34bのコイルパターン342bと略等しい断面形状を有しており、かつ傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bで、導体リング5とz軸方向に近接して設置されたコイルパターンが、導体リング5の径方向の設置範囲外に設置されたコイルパターンよりも、z軸方向の寸法が小さく、径方向の寸法が大きく、扁平な形状となっている点である。第15の実施形態は、第12の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、第4の実施形態と同様に、シムコイル34bのコイルパターン341bをシムコイル34aに近づけることができるため、シムコイル34a,34bから静磁場発生装置2の側に漏れる磁場の遮蔽効果が大きくなる。
【0085】
(第16の実施形態)
図20に、本発明の第16の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:xz平面)のうちx軸(径方向)より上方部分かつz軸より右側部分を示す。
第16の実施形態では、導体リング5a,5bは、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの均一磁場方向外側、および均一磁場方向におけるシムコイル34bと傾斜磁場発生源3a,3bとの間にそれぞれ設けられている。また、シムコイル34bおよび傾斜磁場発生源3bは、それぞれ、導体リング5a,5bの均一磁場方向に隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が大きく、均一磁場方向の寸法が小さく設定されている。
【0086】
第16の実施形態が第15の実施形態と異なっている点は、導体リング5aのz軸方向に隣接して設置されたシムコイル34bのコイルパターン341bが、導体リング5aの径方向の設置範囲外に設置されたコイルパターン342bよりも、z軸方向の寸法が小さく、径方向の寸法が大きく、扁平な形状となっており、更にz軸方向の撮像空間8側、すなわち均一磁場方向内側に導体リング5bを有する点である。導体リング5bの寸法は、導体リング5aと異なっていてもよい。導体リング5bが傾斜磁場発生装置3内に設置される軸方向位置は、導体リング5aの設置位置と異なっていてもよい。第16の実施形態は、第15の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、第5の実施形態と同様に、導体リング5bが追加されることで、傾斜磁場発生源3a,3bから静磁場発生装置2の側に漏れる磁場の遮蔽効果がより大きくなる。
【0087】
(第17の実施形態)
図21に、本発明の第17の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:xz平面)のうちx軸(径方向)より上方部分かつz軸より右側部分を示す。
第17の実施形態では、傾斜磁場発生装置3は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの均一磁場方向外側に複数設けられる導体リング5a,5cを有している。また、シムコイル34bは、複数の導体リング5a,5cの均一磁場方向にそれぞれ隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターン341b,343bが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターン342bよりも、径方向の寸法が大きく、均一磁場方向の寸法が小さく設定されている。
【0088】
第17の実施形態が第12の実施形態と異なっている点は、径方向外側の導体リング5aとシムコイル34bの扁平なコイルパターン341bの組み合わせの他に、導体リング5cとシムコイル34bの扁平なコイルパターン343bの組み合わせが、径方向における導体リング5aの撮像空間8側、好ましくは撮像空間8の外側(
図21中に「R」で示す)に配置されている点である。導体リングと扁平なコイルパターンの組み合わせは、
図21では導体リング5aと扁平なコイルパターン341bおよび導体リング5cと扁平なコイルパターン343bの2組が示されているが、3組以上配置されていてもよい。導体リング5cの寸法は、導体リング5aと異なっていてもよい。導体リング5cが傾斜磁場発生装置3内に設置されるz軸方向位置は、導体リング5aの設置位置と異なっていてもよい。第17の実施形態は、第12の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、第6の実施形態と同様に、径方向に導体リングが複数存在することで、傾斜磁場発生装置3から静磁場発生装置2の側に漏れる磁場を遮蔽できる領域が多くなる。
【0089】
(第18の実施形態)
図22に、本発明の第18の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:xz平面)のうちx軸(径方向)より上方部分かつz軸より右側部分を示す。
第18の実施形態では、傾斜磁場発生装置3は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの均一磁場方向内側かつ傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に複数設けられる導体リング5a,5cを有している。また、シムコイル34bは、導体リング5a,5cの均一磁場方向にそれぞれ隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターン341b,343bが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターン342bよりも、径方向の寸法が大きく、均一磁場方向の寸法が小さく設定されている。
【0090】
第18の実施形態が第13の実施形態と異なっている点は、径方向外側の導体リング5aとシムコイル34bの扁平なコイルパターン341bの組み合わせの他に、導体リング5cとシムコイル34bの扁平なコイルパターン343bの組み合わせが、径方向における導体リング5aの撮像空間8側、好ましくは撮像空間8の外側(
図22中に「R」で示す)に配置されている点である。導体リングと扁平なコイルパターンの組み合わせは、
図22では導体リング5aと扁平なコイルパターン341bおよび導体リング5cと扁平なコイルパターン343bの2組が示されているが、3組以上配置されていてもよい。導体リング5cの寸法は、導体リング5aと異なっていてもよい。導体リング5cが傾斜磁場発生装置3内に設置されるz軸方向位置は、導体リング5aの設置位置と異なっていてもよい。第18の実施形態は、第13の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、第7の実施形態と同様に、径方向に導体リングが複数存在することで、傾斜磁場発生装置3から静磁場発生装置2の側に漏れる磁場を遮蔽できる領域が多くなる。
【0091】
(第19の実施形態)
図23に、本発明の第19の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:xz平面)のうちx軸(径方向)より上方部分かつz軸より右側部分を示す。
第19の実施形態では、傾斜磁場発生装置3は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの均一磁場方向内側かつ傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に複数設けられる導体リング5a,5cを有している。また、傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bは、複数の導体リング5a,5cの均一磁場方向にそれぞれ隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が大きく、均一磁場方向の寸法が小さく設定されている。
【0092】
第19の実施形態が第14の実施形態と異なっている点は、径方向外側の導体リング5aとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンの組み合わせの他に、導体リング5cとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンの組み合わせが、径方向における導体リング5aの撮像空間8側、好ましくは撮像空間8の外側(
図23中に「R」で示す)に配置されている点である。なお、シムコイル34bのコイルパターン341b,343bは、扁平ではなくシムコイル34bのコイルパターン342bと略等しい断面形状を有している。導体リングと扁平なコイルパターンの組み合わせは、
図23では導体リング5aと扁平なコイルパターンおよび導体リング5cと扁平なコイルパターンの2組が示されているが、3組以上配置されていてもよい。導体リング5cの寸法は、導体リング5aと異なっていてもよい。導体リング5cが傾斜磁場発生装置3内に設置されるz軸方向位置は、導体リング5aの設置位置と異なっていてもよい。第19の実施形態は、第14の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、第8の実施形態と同様に、径方向に導体リングが複数存在することで、傾斜磁場発生装置3から静磁場発生装置2の側に漏れる磁場を遮蔽できる領域が多くなる。
【0093】
(第20の実施形態)
図24に、本発明の第20の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:xz平面)のうちx軸(径方向)より上方部分かつz軸より右側部分を示す。
第20の実施形態では、傾斜磁場発生装置3は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの均一磁場方向外側に複数設けられる導体リング5a,5cを有している。また、傾斜磁場発生源3bのXシールドコイル31bは、複数の導体リング5a,5cの均一磁場方向にそれぞれ近接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が大きく、均一磁場方向の寸法が小さく設定されている。
【0094】
第20の実施形態が第15の実施形態と異なっている点は、径方向外側の導体リング5aとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンの組み合わせの他に、導体リング5cとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンの組み合わせが、径方向における導体リング5aの撮像空間8側、好ましくは撮像空間8の外側(
図24中に「R」で示す)に配置されている点である。なお、シムコイル34bのコイルパターン341b,343bは、扁平ではなくシムコイル34bのコイルパターン342bと略等しい断面形状を有している。導体リングと扁平なコイルパターンの組み合わせは、
図24では導体リング5aと扁平なコイルパターンおよび導体リング5cと扁平なコイルパターンの2組が示されているが、3組以上配置されていてもよい。導体リング5cの寸法は、導体リング5aと異なっていてもよい。導体リング5cが傾斜磁場発生装置3内に設置されるz軸方向位置は、導体リング5aの設置位置と異なっていてもよい。第20の実施形態は、第15の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、第9の実施形態と同様に、径方向に導体リングが複数存在することで、傾斜磁場発生装置3から静磁場発生装置2の側に漏れる磁場を遮蔽できる領域が多くなる。
【0095】
(第21の実施形態)
図25に、本発明の第21の実施形態に係るMRI装置1の傾斜磁場発生装置3の概略縦断面図(切断面:xz平面)のうちx軸(径方向)より上方部分かつz軸より右側部分を示す。
第21の実施形態では、傾斜磁場発生装置3は、前記配置領域内で、傾斜磁場発生源3a,3bの均一磁場方向外側に設けられた均一磁場の調整用のシムコイル34bの均一磁場方向外側、および均一磁場方向におけるシムコイル34bと傾斜磁場発生源3a,3bとの間にそれぞれ複数設けられる導体リング5a,5b,5c,5dを有している。また、シムコイル34bおよび傾斜磁場発生源3bは、それぞれ、複数の導体リング5a,5b,5c,5dの均一磁場方向にそれぞれ隣接して位置される少なくとも一ターンのコイルパターンが、前記断面内において、前記少なくとも一ターンと同一コイルの他のターンのコイルパターンよりも、径方向の寸法が大きく、均一磁場方向の寸法が小さく設定されている。すなわち、シムコイル34bのコイルパターン341b,343bは、導体リング5a,5cのx軸方向の設置範囲外に設置されたコイルパターン342bよりも、x軸方向(径方向)の寸法が大きく、z軸方向(均一磁場方向)の寸法が小さく、扁平な形状となっている。また、Xシールドコイル31bの導体リング5b,5dに隣接して位置されるコイルパターンは、導体リング5b,5dのx軸方向の設置範囲外に設置されたコイルパターンよりも、x軸方向(径方向)の寸法が大きく、z軸方向(均一磁場方向)の寸法が小さく、扁平な形状となっている。
【0096】
第21の実施形態が第16の実施形態と異なっている点は、径方向外側の導体リング5a,5bとシムコイル34bの扁平なコイルパターン341bとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンの組み合わせの他に、導体リング5c,5dとシムコイル34bの扁平なコイルパターン343bとXシールドコイル31bの扁平なコイルパターンの組み合わせが、径方向における導体リング5aの撮像空間8側、好ましくは撮像空間8の外側(
図25中に「R」で示す)に配置されている点である。導体リングと扁平なコイルパターンの組み合わせは、
図25では導体リング5a,5bと扁平なコイルパターンおよび導体リング5c,5dと扁平なコイルパターンの2組が示されているが、3組以上配置されていてもよい。導体リング5c、5dの寸法は、導体リング5a,5bと異なっていてもよい。導体リング5b,5dが傾斜磁場発生装置3内に設置される径方向位置は、導体リング5a,5cの設置位置と異なっていてもよい。導体リング5c,5dが傾斜磁場発生装置3内に設置されるz軸方向位置は、導体リング5a,5bの設置位置と異なっていてもよい。第21の実施形態は、第16の実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、第10の実施形態と同様に、径方向に導体リングが複数存在することで、傾斜磁場発生装置3から静磁場発生装置2の側に漏れる磁場を遮蔽できる領域が多くなる。
【0097】
以上、本発明について実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、一方の実施形態の構成の一部を他方の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、一方の実施形態の構成に他方の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0098】
例えば、前記した第1から第21の実施形態では、静磁場発生源2a,2bとして超電導コイルを挙げたが、本発明の適用対象はこれに限らない。静磁場発生源2aと2bとして常電導コイルや永久磁石を用いてもよい。