【文献】
N. Engl. J. Med.,2006年,Vol.354,p.821-831
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリペプチドのCDR配列が、配列番号572及び577のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つのCDR配列との本質的に100%のアミノ酸同一性を有する、請求項1に記載のポリペプチド。
半減期が増大したポリペプチドを提供する、前記1つ又は複数の他の結合単位が、血清アルブミン(ヒト血清アルブミン等)又は血清免疫グロブリン(IgG等)と結合することができる結合単位から成る群から選択される、請求項17に記載のポリペプチド。
半減期が増大したポリペプチドを提供する、前記1つ又は複数の他の結合単位が、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体、「dAb」、又は血清アルブミン(ヒト血清アルブミン等)若しくは血清免疫グロブリン(IgG等)と結合することができるナノボディから成る群から選択される、請求項17に記載のポリペプチド。
半減期が増大したポリペプチドを提供する、前記1つ又は複数の他の結合単位が、血清アルブミン(ヒト血清アルブミン等)又は血清免疫グロブリン(IgG等)と結合することができるナノボディである、請求項17に記載のポリペプチド。
薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤及び/又はアジュバントをさらに含み、且つ任意で1つ又は複数のさらなる薬学的に有効なポリペプチド及び/又は化合物を含む、薬学的組成物である、請求項34に記載の組成物。
【発明の概要】
【0018】
本発明のアミノ酸配列、ポリペプチド及び組成物は概して、RANK−LとRANKとの結合を調節、特に阻害及び/又は阻止するのに、及びしたがってRANK−L、RANK及び/又はOPGによって媒介されるシグナル伝達を調節、特に阻害及び/又は阻止するのに、RANK−L及び/又はRANKが関与する生物学的経路を調節するのに、及び/又はこのようなシグナル伝達又はこれらの経路に関連する、生物学的機構、応答及び効果を調節するのに使用することができる。RANK−LとRANKとの結合、及び/又はRANK−L、RANK及び/又はOPGによって媒介されるシグナル伝達が、同じ条件下であるが本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドの非存在下での、RANK−LとRANKとの結合、及び/又はRANK−L、RANK及び/又はOPGによって媒介されるシグナル伝達に比べて、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%又は少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上、阻害及び/又は阻止され得る。
【0019】
本発明の別の態様において、本発明のアミノ酸配列、ポリペプチド及び組成物は、RANK−LとOPGとの結合を調節、特に阻害及び/又は阻止するのに、及びしたがってRANK−L、RANK及び/又はOPGによって媒介されるシグナル伝達を調節(阻害及び/又は阻止又は促進)するのに、RANK−L、RANK及び/又はOPGが関与する生物学的経路を調節するのに、及び/又はこのようなシグナル伝達又はこれらの経路に関連する、生物学的機構、応答及び効果を調節するのに使用することができる。本発明のアミノ酸配列、ポリペプチド及び組成物は、RANK−L及び/又はこのようなシグナル伝達のアゴニスト又はアンタゴニストであり得る。これらは、OPGと同じようにRANK/RANK−L媒介性シグナル伝達を阻害することができるか、又はこれらは、OPGがRANK/RANK−L媒介性シグナル伝達を阻害するのを完全に又は部分的に阻止することができる。RANK−LとOPGとの結合、及び/又はRANK−L、RANK及び/又はOPGによって媒介されるシグナル伝達が、同じ条件下であるが本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドの非存在下での、RANK−LとOPGとの結合、及び/又はRANK−L、RANK及び/又はOPGによって媒介されるシグナル伝達に比べて、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%又は少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上、阻害及び/又は阻止され得る。
【0020】
本発明の別の態様において、本発明のアミノ酸配列、ポリペプチド及び組成物は、破骨細胞の分化及び/又は増殖を調節(阻害及び/又は阻止又は促進)するのに使用することができる。破骨細胞の分化及び/又は増殖がそれぞれ、同じ条件下であるが本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドの非存在下での、破骨細胞の分化及び/又は増殖に比べて、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%又は少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上、増大又は低減され得る。
【0021】
本発明の別の態様において、本発明のアミノ酸配列、ポリペプチド及び組成物は、骨再形成を調節するのに使用することができる。骨再形成が、同じ条件下であるが本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドの非存在下での、骨再形成に比べて、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%又は少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上、調節され得る。
【0022】
このようにして、本発明のポリペプチド及び組成物は、骨疾患及び骨障害の予防及び治療(本明細書中で規定)に使用することができる。一般的に「骨疾患及び骨障害」は、本発明のポリペプチド又は組成物のいずれかを(特にそれらの薬学的に活性のある量)、及び/又はRANK−L、又はRANK−Lが関与する生物学的経路若しくは機構に対して活性がある既知の活性成分を(特にそれらの薬学的に活性のある量)、それを必要とする(即ち疾患若しくは障害、又はそれらの少なくとも1つの症状を有するか、及び/又は疾患若しくは障害を誘発又は発症する危険性がある)被験体に好適に投与することによってそれぞれ、予防及び/又は治療することができる疾患及び障害として定義することができる。
【0023】
骨疾患及び骨障害は、骨形成及び骨吸収の調節に関与する疾患及び障害を包含する。骨の純減少(骨吸収が骨形成を上回る)を特徴とする骨疾患及び骨障害は、骨減少症(ostopenia)、骨粗鬆症及び骨溶解症を含む骨減少性障害とも称され、RANK−Lによって媒介される過剰及び/又は不要のシグナル伝達を特徴とする。RANK−LとRANKとの結合を調節、特に阻害及び/又は阻止する本発明のポリペプチド及び組成物は、アンタゴニストとして作用し、骨の純減少を特徴とする骨疾患及び骨障害の予防及び治療(本明細書中で規定)に一般的に使用される。また、RANK−LとOPGとの結合を調節、特に阻害及び/又は阻止する本発明のポリペプチド及び組成物は、アンタゴニストとして作用することができ、骨の純減少を特徴とする骨疾患及び骨障害の予防及び治療(本明細書中で規定)に一般的に使用される。
【0024】
骨量の純増加を特徴とする骨疾患及び骨障害は骨化石症と呼ばれ、RANK−Lによって媒介される弱いシグナル伝達を特徴とする。RANK−LとOPGとの結合を調節、特に阻害及び/又は阻止する本発明のポリペプチド及び組成物は、アゴニストとして作用することができ、骨量の純増加を特徴とする骨疾患及び骨障害の予防及び治療(本明細書中で規定)に一般的に使用される。
【0025】
このような骨疾患及び骨障害の例は、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかであり、例えば以下の疾患及び障害が挙げられる:骨粗鬆症(非特許文献14)、例えばこれらに限定されないが、原発性骨粗鬆症、内分泌性骨粗鬆症(例えば、これらに限定されないが、甲状腺機能高進症、副甲状腺機能高進症(Anandarajah and Schwarz 2006, J. Cell Biochem. 97: 226-232)、クッシング症候群、及び末端肥大症)、遺伝型及び先天型の骨粗鬆症(例えば、これらに限定されないが、骨形成不全症、ホモシスチン尿症、メンケス症候群、ライリー・デイ症候群)、四肢の運動不足による骨粗鬆症、グルココルチコイド誘導性骨粗鬆症(非特許文献24、非特許文献14、Anandarajah andSchwarz 2006, J. Cell Biochem. 97: 226-232)並びに閉経後骨粗鬆症(非特許文献14);(若年性又は家族性)パジェット病(Cundy et al. 2002, Hum. Mol. Genet. 11: 2119-2127、Whyte et al. 2002, J. Bone Miner. Res. 17: 26-29、Whyte et al. 2002, N. Engl. J. Med. 347: 175-184、Johnson-Pais et al. 2003, J. Bone Miner Res. 18: 376-380、Anandarajah and Schwarz 2006, J. Cell Biochem. 97: 226-232、Anandarajah and Schwarz 2006, J. Cell Biochem. 97: 226-232);骨髄炎、即ち骨減少をもたらす骨の感染病変;高カルシウム血症(Anandarajah and Schwarz 2006, J. Cell Biochem. 97: 226-232)、例えば、これらに限定されないが、固形腫瘍が生じる高カルシウム血症(例えば、これらに限定されないが、胸部、肺及び腎臓)及び血液悪性腫瘍(例えば、これらに限定されないが、多発性骨髄腫(Sordillo and Pearse 2003, Cancer 97 (3 Suppl): 802-812、Vanderkerken et al. 2003, CancerRes. 63: 287-289)、リンパ腫及び白血病)、特発性高カルシウム血症、甲状腺機能高進症及び腎機能障害に関連する高カルシウム血症;骨減少、例えばこれらに限定されないが、手術後の骨減少症、ステロイド投与によって誘導される骨減少症、小腸及び大腸の障害に関連する骨減少症、慢性の肝疾患および腎疾患に関連する骨減少症;骨壊死、即ち骨細胞死、例えばこれらに限定されないが、外傷に関連する骨壊死、ゴーシェ病に関連する骨壊死、鎌状赤血球貧血に関連する骨壊死、全身性エリテマトーデスに関連する骨壊死、関節リウマチに関連する骨壊死、歯周病に関連する骨壊死、溶骨性転移に関連する骨壊死、及び他の症状に関連する骨壊死;乾癬性関節炎、関節リウマチ、関節リウマチに関連する軟骨の減少及び関節の侵食等の関節障害に関連する骨減少(非特許文献13、Anandarajah and Schwarz 2006, J. Cell Biochem. 97: 226-232);関節炎(非特許文献13)、例えば炎症性関節炎(非特許文献14)、コラーゲン誘導性関節炎(非特許文献13);プロテーゼ周囲骨溶解(非特許文献14、Anandarajah and Schwarz 2006, J. Cell Biochem. 97: 226-232);癌関連骨疾患(非特許文献14);アロマターゼ阻害剤療法に関連する骨減少(非特許文献25);アンドロゲン枯渇療法に関連する骨減少(非特許文献25);骨転移に関連する骨減少;成人白血病及び小児白血病、癌転移、自己免疫、及び様々なウイルス感染等の免疫系関与を有する疾患に関連する骨減少(非特許文献12)、成人白血病及び小児白血病等の骨減少性障害(Oliveri et al.1999, Henry Ford Hosp. Med. 39: 45-48)、C型肝炎又はHIV等の慢性感染症(Stellon et al. 1985, Gastroenterology 89: 1078-1083)、糖尿病等の自己免疫障害(Piepkorn et al. 1997, Horm. Metab. Res. 29: 584-91)、及び紅斑性狼瘡(Seitz et al. 1985, Ann. Rheum Dis. 44: 438-445)、喘息等のアレルギー疾患(Ebeling et al. 1998, J. Bone Min. Res. 13: 1283-1289)、乳癌等の多発性癌における溶解性骨転移(Coleman 1998, Curr. Opin. Oncol. 10 (Suppl 1): 7-13);前立腺癌;骨髄腫骨疾患(Anandarajah and Schwarz2006, J. Cell Biochem. 97: 226-232);歯周感染症(Anandarajah and Schwarz 2006, J. Cell Biochem. 97: 226-232);拡張骨格性(Expansile skeletal)高ホスファターゼ症(Anandarajahand Schwarz 2006, J. Cell Biochem. 97: 226-232);骨転移(非特許文献25、Anandarajah and Schwarz 2006, J. Cell Biochem. 97: 226-232)。
【0026】
また、本発明のアミノ酸配列、化合物及び/又はポリペプチドによるRANK−L/RANK/OPG経路における不均衡に関連する他の疾患及び障害の予防及び/又は治療が、本発明の範囲内に包含される。このような疾患及び障害としては、骨粗鬆症、炎症状態、自己免疫状態、喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、多発性骨髄腫(Sordillo and Pearse 2003, Cancer 97 (3 Suppl): 802- 812、Vanderkerken et al. 2003, CancerRes. 63: 287-289)、血管疾患(Anandarajah and Schwarz 2006, J.Cell Biochem. 97: 226-232)及び心臓血管疾患(非特許文献25)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
また、本発明のアミノ酸配列、化合物及び/又はポリペプチドによる遅発性骨化石症、先天性骨化石症及び大理石骨病等の骨化石症に関連する疾患及び障害の予防及び/又は治療が、本発明の範囲内に包含される。
【0028】
特に、本発明のポリペプチド及び組成物は、RANK−Lが関与する経路(複数可)によって媒介される骨疾患及び骨障害の予防及び治療に使用することができる。このような骨疾患及び骨障害の例も、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかである。
【0029】
したがってこれに限定されないが、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは例えば、RANK−L媒介シグナル伝達を調節することができる活性成分(例えば上記の従来技術で言及されるもの)で現在予防又は治療されている全ての疾患及び障害を予防及び/又は治療するのに使用することができる。本発明のポリペプチドは、このような活性成分による治療が現在展開中であるか、提案されているか、又は将来提案若しくは展開予定である全ての疾患及び障害を予防及び/又は治療するのに使用することができることも予想される。また、本明細書でさらに記載される有利な特性から、本発明のポリペプチドは、これらの既知の活性成分が現在使用中か又は提案若しくは展開予定であるもの以外の疾患及び障害の予防及び治療に使用してもよいこと、及び/又は本発明のポリペプチドは、本明細書に記載の疾患及び障害を治療する新規の方法及びレジメンを提供し得ることが予想される。
【0030】
したがって、これらに限定されないが、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは例えば、現在デノスマブによって予防又は治療されている疾患及び障害の全てを予防及び/又は治療するのに使用することができる。
【0031】
本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドの他の用途及び使用は、本明細書のさらなる開示から当業者にとって明らかになる。
【0032】
概して、本発明の目的は、骨疾患及び骨障害、並びに本明細書で言及されるさらなる疾患及び障害の診断、予防及び/又は治療に使用することができる、薬学的に活性な作用物質、及びこれを含む組成物を提供すること、並びにこのような作用物質及び組成物の投与及び/又は使用を伴う、このような疾患及び障害を診断、予防及び/又は治療する方法を提供することである。
【0033】
具体的には本発明の目的は、現在当該技術分野で使用されている、及び/又は既知の作用物質、組成物及び/又は方法に比べて或る特定の利点を有するような薬理学的に活性な作用物質、組成物及び/又は方法を提供することである。これらの利点は、以下のさらなる記載から明らかになる。
【0034】
より具体的には本発明の目的は、骨疾患及び骨障害並びに本明細書で言及されるさらなる疾患及び障害の診断、予防及び/又は治療に、薬理学的に活性な作用物質、及びこれを含む組成物として使用することができる治療タンパク質を提供すること、並びにこのような治療タンパク質及び組成物の投与及び/又は使用を伴うような疾患及び障害を診断、予防及び/又は治療する方法を提供することである。
【0035】
したがって本発明の特定の目的は、(本明細書に規定の)RANK−L、具体的には温血動物由来のRANK−L、より具体的には哺乳動物由来のRANK−L、特にヒトRANK−Lに指向性があるアミノ酸配列を提供すること、並びに少なくとも1つのこのようなアミノ酸配列を含むか、又は本質的にこれから成るタンパク質及びポリペプチドを提供することである。
【0036】
具体的には本発明の特定の目的は、温血動物、具体的に哺乳動物、より具体的にヒトにおいて予防的用途、治療的用途及び/又は診断的用途に好適であるようなアミノ酸配列及びタンパク質及び/又はポリペプチドを提供することである。
【0037】
より具体的には本発明の特定の目的は、温血動物、具体的に哺乳動物、より具体的にヒトにおいてRANK−Lに関連する、及び/又はRANK−Lで媒介される1つ又は複数の疾患、障害又は症状(本明細書中で言及される疾患、障害及び症状等)の予防、治療、緩和及び/又は診断に使用することができるようなアミノ酸配列及びタンパク質及び/又はポリペプチドを提供することである。
【0038】
本発明の特定の目的は、温血動物、具体的に哺乳動物、より具体的にヒトにおいてRANK−Lに関連する、及び/又はRANK−Lで媒介される1つ又は複数の疾患、障害又は症状(本明細書中で言及される疾患、障害及び症状等)の予防及び/又は治療のための薬学的組成物又は獣医学的組成物の調製に使用することができるようなアミノ酸配列及びタンパク質及び/又はポリペプチドを提供することでもある。
【0039】
本発明において概して、これらの目的は、本明細書に記載のアミノ酸配列、タンパク質、ポリペプチド及び組成物の使用によって達成される。
【0040】
概して本発明は、(本明細書に規定のように)RANK−Lに指向性を有する、及び/又は(本明細書に規定のように)RANK−Lと特異的に結合することができるアミノ酸配列、並びに少なくとも1つのこのようなアミノ酸配列を含む化合物及び構築物、特にタンパク質及びポリペプチドを提供する。
【0041】
より具体的には本発明は、本明細書に規定の(さらに本明細書に記載されるような(実際又は見掛けの)K
D値、(実際又は見掛けの)K
A値、k
on速度及び/又はk
off速度、又は代替的にIC
50値として好適に測定される、及び/又は表される)親和性でRANK−Lと結合することができるアミノ酸配列、並びに少なくとも1つのこのようなアミノ酸配列を含む化合物及び構築物、特にタンパク質及びポリペプチドを提供する。
【0042】
特に、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドが、10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、及び好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、及びより好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)で(即ち10
5L/モル〜10
12L/モル以上、及び好ましくは10
7L/モル〜10
12L/モル以上、及びより好ましくは10
8L/モル〜10
12L/モルの結合定数(K
A)で)RANK−Lと結合するようなもの、及び/又は
10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1、好ましくは10
3M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、より好ましくは10
4M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、(10
5M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1等)のk
on速度でRANK−Lと結合するようなもの、及び/又は
1s
−1(t
1/2=0.69s)〜10
−6s
−1(t
1/2が数日である略不可逆的な複合体の場合)、好ましくは10
−2s
−1〜10
−6s
−1、より好ましくは10
−3s
−1〜10
−6s
−1(10
−4s
−1〜10
−6s
−1等)のk
off速度でRANK−Lと結合するようなものであるのが好ましい。
【0043】
好ましくは、本発明の一価のアミノ酸配列(又は本発明のアミノ酸配列を1つだけ含有するポリペプチド)が、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性でRANK−Lと結合するようなものであるのが好ましい。
【0044】
本発明のアミノ酸配列又はポリペプチドとRANK−Lとの結合に関する幾つかの好ましいEC
50及びIC
50値は、本明細書のさらなる記載及び実施例から明らかになる。
【0045】
RANK−Lとの結合のために、本発明のアミノ酸配列は通常、そのアミノ酸配列内に1つ又は複数のアミノ酸残基若しくは1つ又は複数のアミノ酸残基のストレッチ(即ちそれぞれの「ストレッチ」が、(即ちアミノ酸配列の一次構造又は三次構造で)互いに隣接しているか、又は互いに密接している2つ以上のアミノ酸残基を含む)を含有し、それを介して本発明のアミノ酸配列はRANK−Lと結合することができ、このようにしてアミノ酸残基又はアミノ酸残基のストレッチは、RANK−Lと結合する「部位」(本明細書で「抗原結合部位」とも称される)を形成する。
【0046】
本発明で与えられるアミノ酸配列は、(本明細書で規定のように)本質的に単離形態であるか、又は(本明細書で規定のように)本発明のタンパク質若しくはポリペプチド(1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列を含むか、又は本質的にこれから成り、任意でさらに1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列(全て任意で1つ又は複数の好適なリンカーを介して連結される)を含んでもよい)の一部を形成するのが好ましい。例えば、これに限定されないが、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列は、全て本明細書に記載される本発明の一価、多価、又は多重特異性のポリペプチドをそれぞれ提供するように、このようなタンパク質又はポリペプチドにおける結合単位として使用してもよい(任意で(即ちRANK−L以外の1つ又は複数の他の標的に対する)結合単位としての役割を果たし得る1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列を含有してもよい)。このようなタンパク質又はポリペプチドは、(本明細書に規定のように)本質的に単離形態でもあり得る。
【0047】
本発明のアミノ酸配列及びポリペプチド自体が、ジスルフィド架橋を介して任意の他のアミノ酸配列又はアミノ酸鎖と連結しない(が、1つ又は複数の分子内ジスルフィド架橋を含有しても又は含有しなくてもよい。例えば本明細書中に記載のナノボディは、CDR3とCDR1又はFR2との間にジスルフィド架橋を含有し得ることもあることが知られている)単一のアミノ酸鎖から本質的に成るのが好ましい。しかしながら、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列は、互いに及び/又は他のアミノ酸配列と(例えばジスルフィド架橋を介して)連結し、本発明に有用でもあり得るペプチド構築物(例えばFab’断片、F(ab’)
2断片、ScFv構築物、「ダイアボディ」及び他の多重特異性の構築物、例えばHolliger and Hudson, Nat Biotechnol. 2005 Sep; 23(9): 1126-36による総説を参照されたい)を提供し得ることに留意されたい。
【0048】
概して、本発明のアミノ酸配列(又はこれを含む化合物、構築物若しくはポリペプチド)は、(例えば本明細書に記載の治療目的及び/又は診断目的のための)被験体への投与を目的とする場合、該被験体において自然発生しないアミノ酸配列であるか、又は該被験体において自然発生する場合は、(本明細書に規定のように)本質的に単離形態であるのが好ましい。
【0049】
薬学的用途の場合、本発明のアミノ酸配列(並びにこれを含む化合物、構築物及びポリペプチド)はヒトRANK−Lに指向性を有するのが好ましく、一方で獣医学目的の場合は、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは治療する種由来のRANK−Lに指向性を有するか、又は治療する種由来のRANK−Lと少なくとも交差反応性を有するのが好ましいことも、当業者にとって明らかである。
【0050】
さらに、本発明のアミノ酸配列は、任意で且つRANK−Lとの結合のための少なくとも1つの結合部位の他に、他の抗原、タンパク質又は標的との結合のための1つ又は複数のさらなる結合部位を含有し得る。
【0051】
発症する特定の疾患又は障害に応じて、任意の好適なin vitroアッセイ、細胞ベースのアッセイ、in vivoアッセイ及び/又はそれ自体が既知の動物モデル、又はそれらの任意の組合せを使用して、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチド、並びにこれを含む組成物の有効性を試験することができる。好適なin vitroアッセイは、当業者にとって明らかであり、例えばELISA;FACS結合アッセイ;ビアコア;競合結合アッセイ(アルファスクリーン(登録商標)、Perkin Elmer, Massachusetts, USA;FMAT);TRAPアッセイ(破骨細胞分化アッセイ、Rissanen et al. 2005, J. Bone Miner. Res. 20, Suppl. 1: S256);NF−κBレポーター遺伝子アッセイ(Mizukami et al. 2002, Mol. Cell. Biol. 22: 992-1000)が挙げられる。例えばELISA又はFACSにおける本発明のナノボディ(及びこれを含むポリペプチド)とRANK−Lとの結合のEC
50値は、好ましくは1μM〜1pM、より好ましくは1nM〜1pM、及びより好ましくは100pM〜1pMである。例えばアルファスクリーン(登録商標)、NF−κBアッセイ又はTRAPアッセイにおける本発明のナノボディ(及びこれを含むポリペプチド)とRANK−Lとの結合のIC
50値は、好ましくは1μM〜1pM、より好ましくは1nM〜1pM、及びより好ましくは100pM〜1pMである。
【0052】
好適な動物モデルは、当業者にとって明らかであり、例えば(SCID)/ARH−77マウスモデル(Sordillo and Pearse 2003, Cancer 97 (3 Suppl): 802-812);ヒトMMのSCID−huマウスモデル(Sordillo andPearse 2003, Cancer 97 (3 Suppl): 802-812、Tassone et al. 2005, Blood 106:713-716);apoE遺伝子プロモータ及び関連のエンハンサの制御下でOPGを過剰発現するトランスジェニックマウス(非特許文献10);肉腫誘導性骨破壊のマウスモデル(Honore et al. 2000, Nat. Med. 6: 521-528);例えば卵巣切除サル(Jerome et al. 1995, Bone 17: 403S-408S)、卵巣切除マウス(Roggia et al. 2001, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 20: 13960-13965)又は卵巣切除ラット及びカニクイザル(非特許文献10、Hoegh-Andersen et al. 2004,Arthritis Res. Ther. 6:R169-R180)等の卵巣切除動物モデル;コラーゲン誘導性関節炎のモデル又はアジュバント誘導性関節炎のモデル等の関節炎のラット(動物)モデル(Bendele et al. 1999, Toxicologic Pathology 27: 134-142、Romas et al. 2002, Am. J. Pathol. 161: 1419-1427、Mori et al. 2002, Histochemistry and Cell Biology 117: 283-292);腫瘍由来PTHrP誘導性高カルシウム血症の動物モデル(Morony et al. 1999, J. Bone Miner. Res. 14: 1478-1485、Capparelli et al. 2000, Cancer Res. 60: 783-778);多発性骨髄腫のマウスモデル(Vanderkerken et al. 2003, Cancer Res. 63: 287-289);マウスにおける炎症性腸疾患モデル(Byrne et al. 2005, Gut 54: 78-86);MIFを過剰発現するトランスジェニックマウス(Onodera et al. 2006, J. Bone Miner. Res. 21: 876-885);可溶性破骨細胞分化因子(sODF)を過剰発現するトランスジェニックマウス(Mizuno et al. 2002, 20: 337-44);CSF−1Rプロモータ/第1イントロンドライバの制御下でCSF−1を発現するトランスジェニックマウス[導入遺伝子TgN(Csf1r−Csf1)Ers(TgRC)マウス](Wei et al. 2006, J. Leukoc. Biol. 80: 1445-1453);コア結合因子α1(Cbfa1)を過剰発現するトランスジェニックマウス(Geoffroy et al. Mol. Cell Biol. 22: 6222-6233);デコイ受容体3(DcR3)を過剰発現するトランスジェニックマウス(Tang et al. 2007, J. Biol. Chem. 282: 2346-2354)、並びに以下の実験部、及び本明細書中で引用される従来技術で使用されるアッセイ及び動物モデルが挙げられる。
【0053】
また本発明によれば、第1の種の温血動物由来のRANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列及びポリペプチドは、1つ又は複数の他の種の温血動物由来のRANK−Lと交差反応性を示しても又は示さなくてもよい。例えば、ヒトRANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列及びポリペプチドは、1つ又は複数の他の種の霊長類(例えば、これらに限定されないが、マカク属のサル(例えば特にカニクイザル(マカク・ファシクラリス(Macaca fascicularis))及び/又はアカゲザル(マカク・ムラット(Macacamulatta)))及びヒヒ(パピオ・ウルジヌス(Papio ursinus))由来のRANK−L、及び/又は疾患のための動物モデル(例えばマウス、ラット、ウサギ、ブタ又はイヌ)及び特にRANK−Lに関連がある疾患及び障害のための動物モデルで使用されることが多い、1種又は複数種の動物(例えば本明細書で言及される種及び動物モデル)由来のRANK−Lと交差反応性を示しても又は示さなくてもよい。この観点では、このような疾患モデルでヒトRANK−Lに対するアミノ酸配列及びポリペプチドを試験することが可能であるので、存在する場合、このような交差反応性は薬剤開発の観点から都合がいいことがあることが当業者にとって明らかである。
【0054】
より一般的には、複数種の哺乳動物由来のRANK−Lと交差反応性を有する本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは複数種にわたって使用することが可能であるので、このアミノ酸配列及びポリペプチドは通常、獣医学用途に使用するのに有利である。したがって、或る種の動物由来のRANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列及びポリペプチド(例えばヒトRANK−Lに対するアミノ酸配列及びポリペプチド)は、アミノ酸配列及び/又はポリペプチドの使用によって治療する種において所望の効果が提供されれば、別の種の動物の治療に使用することができることも本発明の範囲内に包含される。
【0055】
一実施の形態において、ヒトRANK−Lに指向性を有する、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、カニクイザル由来のRANK−Lと交差反応性である。
【0056】
別の実施の形態において、ヒトRANK−Lに指向性を有する、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、マウス又はラット由来のRANK−Lと交差反応性である。
【0057】
別の実施の形態において、ヒトRANK−Lに指向性を有する、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、カニクイザル由来のRANK−L及びマウス又はラット由来のRANK−Lと交差反応性である。
【0058】
別の実施の形態において、ヒトRANK−Lに指向性を有する、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、マウス又はラット由来のRANK−Lと交差反応性を有しない。
【0059】
別の実施の形態において、ヒトRANK−Lに指向性を有する、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、カニクイザル由来のRANK−Lと交差反応性であるが、マウス又はラット由来のRANK−Lと交差反応性ではない。
【0060】
別の実施の形態において、ヒトRANK−Lに指向性を有する、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、カニクイザル由来のRANK−Lと交差反応性ではない。
【0061】
別の実施の形態において、ヒトRANK−Lに指向性を有する、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、カニクイザル由来のRANK−Lと交差反応性ではなく、且つマウス又はラット由来のRANK−Lと交差反応性ではない。
【0062】
本発明は最も広範な意味でも、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドが指向性を有するRANK−Lの特定の抗原決定基、エピトープ、部、ドメイン、サブユニット又は立体配置(適用可能な場合)に特に限定されないか、又はこれらによって規定されない。例えば、アミノ酸配列及びポリペプチドは、「相互作用部位」(本明細書中に規定)に指向性を有していても、又は有していなくてもよい。しかしながら、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは好ましくは、相互作用部位(本明細書中に規定)に対して、特にRANKに関するRANK−L上の結合部位に対して、又はOPGに関するRANK−L上の結合部位に指向性を有することが概して推測され、且つ好ましい。
【0063】
したがって、好ましいが非限定的な一態様において、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−L上のRANK受容体結合部位に指向性を有し、且つ本明細書中にさらに規定される。RANK−L上での本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドと、RANK受容体結合部位との結合は、RANK−LとRANKとの結合を阻害及び/又は阻止することによって、このRANK−L/RANK結合によって媒介されるシグナル伝達を阻害又は阻止し得る。したがって、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−L/RANK媒介性シグナル伝達のアンタゴニストとして作用することができる。
【0064】
特異的ではあるが、非限定的な一態様において、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−L上のRANK受容体結合部位に指向性を有するが、RANK−L/OPG相互作用を抑制(低減/阻害)しない。この特定の態様では、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、破骨細胞の成熟及び活性化のOPG媒介性阻害に加えて、RANK−L/RANK媒介性シグナル伝達のアンタゴニストとして作用する(破骨細胞の成熟及び活性化を阻害する)。
【0065】
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−L上のOPG結合部位に指向性を有し、且つ本明細書中でさらに規定されるものである。RANK−L上の本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドと、OPG結合部位との結合は、RANK−LとOPGとの結合を阻害及び/又は阻止し得る。したがって、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−LとOPGとの結合の競合的又は非競合的な阻害因子として作用し得る(例えばELISA、アルファスクリーン(登録商標)アッセイ、TRAPアッセイ及び/又はNFκBアッセイにおいて)。RANK−L上の本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドと、OPG結合部位との結合は続いて、RANK−LとRANKとの結合を阻害及び/又は阻止することによって、このRANK−L/RANK結合によって媒介されるシグナル伝達を阻害及び/又は阻止し得る。したがって、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−L及びRANK−L/RANK媒介性のシグナル伝達のアンタゴニストとして作用することができる(即ちこれらはRANK/RANK−L相互作用を阻害する)。
【0066】
しかしながら場合によっては、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−L上のOPG結合部位に指向性を有し、且つRANK−LとRANKとの結合を本質的に低減することなく、RANK−LとOPGとの結合を阻止し得る。この場合、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、このRANK−L/RANK相互作用によって媒介されるシグナル伝達を促進し、且つRANK−L及びRANK−L/RANK媒介性シグナル伝達のアゴニストとして作用し得る(即ち、これらはOPGの作用のアンタゴニストとして作用する)。
【0067】
本発明の別の態様において、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、デノスマブのエピトープと重複するRANK−L上のエピトープに指向性を有するのが好ましい。本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドと、デノスマブのエピトープと重複するRANK−L上のエピトープとの結合は、デノスマブとRANK−Lとの結合を阻害及び/又は阻止し得る。したがって、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、デノスマブとRANK−Lとの結合の競合的又は非競合的な阻害因子として作用し得る(例えばELISA、アルファスクリーン(登録商標)アッセイ、TRAPアッセイ及び/又はNFκBアッセイにおいて)。
【0068】
本明細書中にさらに記載されるように、本発明のポリペプチドは、RANK−Lに指向性を有する本発明のアミノ酸配列を2つ以上含有し得る。概して、このようなポリペプチドは、本発明の単一のアミノ酸配列に比べて、増大した結合活性(avidity:親和力)でRANK−Lと結合する。このようなポリペプチドは例えば、RANK−L(相互作用部位であっても、又はなくてもよい)の同じ抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット又は立体配置(適用可能な場合)に指向性を有する本発明のアミノ酸配列を2つ含み得るか、又はRANK−L(相互作用部位であっても、又はなくてもよい)の第1の同じ抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット又は立体配置(適用可能な場合)に指向性を有する本発明の少なくとも1つの「第1の」アミノ酸配列と、第1のアミノ酸配列とは異なる、RANK−L(これも相互作用部位であっても、又はなくてもよい)の第2の抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット又は立体配置(適用可能な場合)に指向性を有する本発明の少なくとも1つの「第2の」アミノ酸配列とを含み得る。好ましくは、本発明のこのような「二重パラトピック(biparatopic)」ポリペプチドでは、少なくとも1つの本発明のアミノ酸配列が、相互作用部位(本明細書中に規定)に指向性を有するが、本発明はその最も広範な意味ではこれに限定されない。
【0069】
したがって、特定の一態様において、本発明のポリペプチドは、RANK−L上のRANKに関する結合部位に指向性を有する本発明のアミノ酸配列を2つ以上含み得るか、又はRANK−L上のRANKに関する結合部位に指向性を有する本発明の少なくとも1つの「第1の」アミノ酸配列と、第1のアミノ酸配列とは異なる、第2の抗原決定基、エピトープ、部、ドメイン、サブユニット又は立体配置に指向性を有し、且つRANK−L上のRANKに関する結合部位ではない本発明の少なくとも1つの「第2の」アミノ酸配列とを含み得る。
【0070】
したがって、別の特定の態様において、本発明のポリペプチドは、RANK−L上のOPGに関する結合部位に指向性を有する本発明のアミノ酸配列を2つ以上含み得るか、又はRANK−L上のOPGに関する結合部位に指向性を有する本発明の少なくとも1つの「第1の」アミノ酸配列と、第1のアミノ酸配列とは異なる、第2の抗原決定基、エピトープ、部、ドメイン、サブユニット又は立体配置に指向性を有し、且つRANK−L上のOPGに関する結合部位ではない本発明の少なくとも1つの「第2の」アミノ酸配列とを含み得る。
【0071】
また、標的が結合対部分(例えば、受容体−リガンド結合対)である場合、アミノ酸配列及びポリペプチドは、標的と結合する同族結合パートナー(例えば適用可能な場合、リガンド、受容体又は他の結合パートナー)と競合するようなもの、及び/又は結合パートナーと標的との結合を(完全に又は部分的に)中和するようなものであり得る。
【0072】
また適用可能な場合、本発明のアミノ酸配列が、RANK−Lの2つ以上の抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット又は立体配置と結合することができることは、本発明の範囲内である。このような場合、本発明のアミノ酸配列及び/又はポリペプチドが結合する、RANK−Lの抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、又はサブユニットは、本質的に同じであり得るか(例えば、RANK−Lが反復構造モチーフを含有するか、又は多量体形態で生じる場合)、又は異なり得る(後者の場合、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドが、同じであり得るか、若しくは異なり得る親和性及び/又は特異性で、RANK−Lのこのような異なる抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニットと結合し得る)。好ましいが非限定的な態様において、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−L三量体の2つ又は3つのサブユニットと結合する。また、例えば、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、付属リガンドと結合するRANK−Lの立体配置と結合しても、付属リガンドと結合していないRANK−Lの立体配置と結合しても、又はこのような立体配置の両方と(また同じであり得る又は異なり得る親和性及び/又は特異性で)結合してもよい。例えば、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANKと結合するRANK−Lの立体配置と結合しても、RANKと結合していないRANK−Lの立体配置と結合しても、又はこのような立体配置の両方と(また同じであり得る又は異なり得る親和性及び/又は特異性で)結合してもよい。例えば、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、OPGと結合するRANK−Lの立体配置と結合しても、OPGと結合していないRANK−Lの立体配置と結合しても、又はこのような立体配置の両方と(また同じであり得る又は異なり得る親和性及び/又は特異性で)結合してもよい。
【0073】
RANK−Lは、膜結合及び可溶性の形態で存在する。本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドはいずれかの形態と結合してもよく、又は好ましくは本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドはこれらの形態の両方と結合してもよい。RANK−Lは4つの異なるアイソフォームで存在する(上記を参照されたい)。本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−Lの4つのアイソフォームのいずれか1つと結合してもよく、又はRANK−Lの2つ以上(例えば2つ、3つ又は4つ全て)のアイソフォームと結合してもよい。
【0074】
また本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは概して、RANK−Lの天然又は合成の類似体、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分及び断片全て、又は本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドがRANK−L(例えば野生型RANK−L)で結合する抗原決定基(複数可)又はエピトープ(複数可)と本質的に同じである1つ又は複数の抗原決定基又はエピトープを含有する、RANK−Lの少なくともこれらの類似体、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分及び断片と結合することが予想される。また、このような場合、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、本発明のアミノ酸配列が(野生型)RANK−Lと結合する親和性及び特異性と同じか、又は異なる(即ちこれより高いか、又は低い)親和性及び/又は特異性で、このような類似体、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分及び断片と結合し得る。本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−Lの類似体、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分及び断片によっては結合するものもあれば、結合しないものもあることも本発明の範囲内に含まれる。
【0075】
本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、他の関連のTNFファミリー成員(例えば、TRAIL、TNF−α及び/又はCD40リガンド)と結合してもよい。しかしながら、好ましい態様では、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、関連のTNFファミリー成員に対して検出不可能な親和性しかない(即ち親和性が、RANK−Lに対する親和性よりも10倍超、好ましくは100倍超、より好ましくは1000倍超低い)。一態様では、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、TRAILに対して検出不可能な親和性しかない。別の態様では、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、TNF−αに対して検出不可能な親和性しかない。別の態様では、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、CD40リガンドに対して検出不可能な親和性しかない。さらに別の態様では、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、TRAIL、TNF−α及び/又はCD40リガンドに対して検出不可能な親和性しかない。
【0076】
全ての既知のTNFサイトカインファミリー成員と同様に、RANK−Lは、非共有結合的に結び付いた三量体へと自己集合化する。RANK−Lが単量体形態で、及び1つ又は複数の多量体形態で存在する場合、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドが、単量体形態のRANK−Lのみと結合するか、多量体形態のRANK−Lのみと結合するか、又は単量体形態及び多量体形態の両方のRANK−Lと結合することは本発明の範囲内である。また、このような場合、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、本発明のアミノ酸配列が多量体形態のRANK−Lと結合する親和性及び特異性と同じ又は異なる(即ちこれより高いか、又は低い)、親和性及び/又は特異性で単量体形態のRANK−Lと結合し得る。
【0077】
本発明の非限定的な一態様において、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−L三量体の形成を阻止及び/又は阻害するように、RANK−Lと結合する。
【0078】
RANK−Lは、ホモ三量体の隣接単量体によって形成される3つのクレフト(clefts)(又は溝)のそれぞれに沿って1つの受容体分子(RANK)と結合することが認められている。このように、RANK−L三量体は、3つの空間的に異なるが同等の、3つの受容体分子が結合するサブユニット間受容体結合溝を示す。したがって、RANK−Lとその受容体との間の相互作用を阻害するために、好ましくは治療分子は、RANK−Lのこれらのサブユニット間受容体結合溝を標的とする必要がある。ナノボディ(本明細書中でさらに規定)は、(特に従来のV
Hドメインに比べて伸長したCDR3ループのために)いわゆる空洞結合性を示し得るため、RANK−LとそのRANK受容体との相互作用の阻害に理想的に適合している。したがって、好ましい態様では、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、RANK−Lのサブユニット間受容体結合溝と結合する。
【0079】
またRANK−Lが他のタンパク質又はポリペプチドと結び付き、(例えば複数のサブユニットと)タンパク質複合体を形成することができる場合、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドが、非結合状態のRANK−Lと、結合状態のRANK−Lと、又はその両方と結合することは本発明の範囲内である。これら全ての場合において、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドが単量体で非結合状態のRANK−Lと結合する親和性及び/又は特異性と同じ又は異なる可能性がある(即ちこれより高いか、より低い)親和性及び/又は特異性で、このような多量体又は結合タンパク質複合体と結合し得る。
【0080】
概して当業者にとって明らかなように、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、少なくとも生物学的及び/又は治療的観点から最も関連があるこれらの形態のRANK−L(単量体、多量体及び結合形態を含む)と結合する。
【0081】
また概して、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列及び/又はナノボディを2つ以上含有する本発明のポリペプチドは、対応する単量体のアミノ酸配列及び/又はナノボディよりも高い結合活性で結合し得る。
【0082】
例示であって、限定するものではないが、RANK−Lの異なるエピトープに指向性を有するアミノ酸配列及び/又はナノボディを2つ以上含有する多価(本明細書中で規定)のタンパク質又はポリペプチドは、対応する単量体よりも高い結合活性でRANK−Lと結合し得る。
【0083】
より重要なことは、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列及び/又はナノボディを2つ以上含有する多価(本明細書中で規定)のタンパク質又はポリペプチドは、RANK−Lの単量体と結合するよりも高い結合活性でRANK−Lの多量体と結合することができ(通常結合し)、また通常対応する単量体のアミノ酸配列及び/又はナノボディよりも高い結合活性で結合する。このような多価タンパク質又はポリペプチドでは、2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディは例えば、同じエピトープ、実質的に同等のエピトープ、又は異なるエピトープに指向性を有し得る。このような多価タンパク質又はポリペプチドの一実施の形態では、2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディは同じであり得る(したがって同じエピトープに指向性を有し得る)。
【0084】
RANK−Lによる主な形態のシグナル伝達が、RANK受容体と、3つの受容体結合部位を含有するRANK−L分子の三量体との結合を包含することが知られているので、特に後者が重要である(例えばLam et al. 2001, J. Clin. Invest. 108: 971-979を参照されたい)。
【0085】
本発明において、in vitroモデル及び細胞モデルの両方でRANK−Lの活性が低減するように、アミノ酸配列及び/又はナノボディはRANK−Lと結合することが可能であることが見出されている(以下の実験部を参照されたい)。本発明は任意の特定の機構、解釈又は仮説に限定されないが、その小さいサイズ及びRANK−Lに対する高い親和性のために、2つ又は3つの本発明の一価のアミノ酸配列及び/又はナノボディは、RANK−L三量体上の2つ又は3つの異なる受容体結合部位を同時に占有し、このため三量体が受容体との結合を開始することにより、シグナル伝達が始まるのを防ぐことが可能であることが推測される(しかしながら、他の作用機構は除外されない。例えば指向性を有するエピトープに応じて、本発明のアミノ酸配列及び/又はナノボディは、三量体状態へのRANK−Lの会合も阻害し得る)。
【0086】
また、単一のRANK−L三量体上の2つ以上の受容体結合部位との結合に加えて、又はその代わりに、RANK−Lのエピトープに指向性を有する2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディを含むか、又は本質的にこれから成る、本発明のタンパク質又はポリペプチドは、2つの別々のRANK−L分子(例えば2つの別々の三量体)上のエピトープと(例えば分子間)結合し得ることに留意されたい。
【0087】
しかしながら、特に好ましい一実施の形態によれば、本発明は、RANK−L三量体の受容体結合部位(複数可)にある、及び/又はこの一部を形成するRANK−L(特にRANK−L三量体)上のエピトープに対してそれぞれ指向性を有する、2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディを含むか、又は本質的にこれから成るタンパク質又はポリペプチドであって、該ポリペプチドは、RANK−L三量体と結合する際に、該RANK−L三量体によって媒介されるRANK受容体結合、及び/又はこのような受容体結合によって媒介されるシグナル伝達を阻害又は低減することが可能であるようなものである、タンパク質又はポリペプチドに関する。
【0088】
特に、好ましいこの実施の形態によれば、本発明はRANK−L三量体の受容体結合部位(複数可)にある、及び/又はこの一部を形成するRANK−L(特にRANK−L三量体)上のエピトープに対してそれぞれ指向性を有する、2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディを含むか、又は本質的にこれから成るタンパク質又はポリペプチドであって、タンパク質又はポリペプチドが、単一のRANK−L三量体上の2つ以上の受容体結合部位と同時に結合可能である(言い換えれば、RANK−L三量体上の少なくとも2つのRANK−L受容体結合部位と分子内結合可能である)ように、上記アミノ酸配列及び/又はナノボディが互いに連結する、タンパク質又はポリペプチドに関する。この実施の形態では、2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディは、(タンパク質又はポリペプチドが本明細書中でさらに記載されるように多価ナノボディ構築物であるように)好ましくは上記で規定されるようなものであり、最も好ましくはナノボディである。また、この実施の形態では、2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディは、同じであっても又は異なっていてもよく、RANK受容体結合部位(複数可)内の異なるエピトープに指向性を有してもよいが、同じエピトープに指向性を有するのが好ましい。本発明のこの実施の形態の好ましいが非限定的な幾つかの構築物は、配列番号622〜配列番号693、配列番号761、配列番号762及び配列番号766〜配列番号773である。
【0089】
本発明のこの実施の形態において、2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディは通常、1つ又は複数の好適なリンカーを介して連結し、このリンカーは、それぞれのアミノ酸配列及び/又はナノボディが、同じRANK−L三量体上の異なる受容体結合部位と結合することができるようなものである。好適なリンカーは特に、アミノ酸配列及び/又はナノボディが結合するRANK−L三量体上のエピトープ(間の距離)によって変わり、幾らか制限のある日常実験の後任意に、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかになる。例えば、2つ以上のアミノ酸配列が(単一)ドメイン抗体又はナノボディである場合、好適なリンカーは、本明細書中に記載のリンカーから選択することができるが、リンカー長は、2つ以上の(単一)ドメイン抗体又はナノボディがそれぞれ、同じRANK−L三量体上の異なる受容体結合部位と結合することができるようなものである。
【0090】
また、RANK−Lの受容体結合部位と結合する2つ以上のアミノ酸配列は、(単一)ドメイン抗体又はナノボディである場合、第3の(単一)ドメイン抗体又はナノボディを介して互いに連結してもよい(ここで、2つ以上の(単一)ドメイン抗体又はナノボディは、第3の(単一)ドメイン抗体/ナノボディと直接、又は好適なリンカーを介して連結してもよい)。このような第3の(単一)ドメイン抗体又はナノボディは例えば、本明細書中でさらに記載されるように、半減期の増大を与える(単一)ドメイン抗体又はナノボディであってもよい。例えば、後者の(単一)ドメイン抗体又はナノボディは、本明細書中にさらに記載されるように、(ヒト)血清アルブミン等の(ヒト)血清タンパク質と結合可能な(単一)ドメイン抗体又はナノボディであってもよい。このような構築物の幾つかの非限定的な例は、配列番号694〜配列番号729及び配列番号759〜配列番号760の構築物である。このような第3の(単一)ドメイン抗体又はナノボディは例えば、本明細書中でさらに記載されるように、RANK−L上の別のエピトープに指向性を有する、及び/又はこれと結合することができる(単一)ドメイン抗体又はナノボディであってもよく、二重パラトピック(biparatopic)(単一)ドメイン抗体又はナノボディを与える。
【0091】
代替的に、RANK−Lの受容体結合部位(複数可)と結合する2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディは、連続して(直接又は好適なリンカーを介して)連結してもよく、第3の(単一)ドメイン抗体又はナノボディ(上記のように、半減期の増大を与え得るか、又はRANK−L上の別のエピトープと結合し得る)は、これらの2つ以上の上述のアミノ酸配列及び/又はナノボディの1つと直接、又はリンカーを介して連結し得る。
【0092】
より一般的に、2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディ間の距離は、タンパク質又はポリペプチドが、RANK−L三量体と(即ち分子間結合の代わりに)分子内結合させるようなものとする。2つの抗RANK−Lアミノ酸配列及び/又はナノボディのN末端とC末端との間の距離は、結晶モデリング又は分子モデリング(例えばLam et al. 2001, J. Clin. Invest. 108: 971-979によって記載される)等の任意の好適な手段によって確定することができる。またこれらの技法は一般的に、特定の多価又は多重特異性のタンパク質又はポリペプチドが分子内モデリングを与えることができるか否かを確定することを可能にする。代替的に、サイズ排除クロマトグラフィ(Santora et al., Anal. Biochem., 299: 119-129によって記載される)は、本発明の所定のタンパク質又はポリペプチドが(主に)RANK−L三量体との分子内結合、又は(主に)2つ以上のRANK−L三量体間の分子間結合を与えるか否かを確定するのに使用することができる。したがって、本発明の特定の一実施の形態において、本発明のタンパク質又はポリペプチドはこの実験では、主に又は本質的に単独で分子内結合をもたらすようなものであるのが好ましい。しかしながら、上記で強調されるように、別々のRANK−L分子(例えば三量体)の分子間結合を介して働く本発明のタンパク質又はポリペプチドも本発明の範囲内であることに留意されたい。
【0093】
したがって、別の好ましい態様において、本発明は、RANK−L(特にRANK−L三量体)に対する少なくとも2つのアミノ酸配列及び/又はナノボディを含む多価又は多重特異性のタンパク質又はポリペプチドを提供し、上記少なくとも2つのアミノ酸配列及び/又はナノボディが、少なくとも2つの抗RANK−Lアミノ酸配列及び/又はナノボディのN末端とC末端との間の距離が、タンパク質又はポリペプチドがRANK−L三量体と(本明細書中で記載のように)分子内結合可能であるように連結する。
【0094】
このような好ましいタンパク質又はポリペプチドにおいて、2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディは、少なくとも2つの抗RANK−Lアミノ酸配列及び/又はナノボディのN末端とC末端との間で好ましい距離に達し得ていれば、及び/又はタンパク質又はポリペプチドがRANK−L三量体と(本明細書中で記載のように)分子内結合可能であれば、任意の好適な形で連結してもよい。
【0095】
例えば、その最も単純な形態では、少なくとも2つのアミノ酸配列及び/又はナノボディは、少なくとも2つの抗RANK−Lアミノ酸配列及び/又はナノボディのN末端とC末端との間で好ましい距離を与え、またタンパク質又はポリペプチドをRANK−L三量体と(本明細書中で記載のように)分子内結合させ得る、好適なリンカー又はスペーサを介して直接連結する。好適なリンカーは本明細書中に記載され、例示であって限定するものではないが、好ましくは1個〜最大50個以上のアミノ酸、より好ましくは5個〜30個のアミノ酸、例えば約9個〜20個のアミノ酸の長さを有するのが好ましいアミノ酸配列を含み得る。また好ましくは、このようなアミノ酸配列は、タンパク質又はポリペプチドをRANK−L三量体と(本明細書中で記載のように)分子内結合させるようなものとする。
【0096】
したがって、別の好ましい態様において、本発明は、RANK−L(特にRANK−L三量体)に対する少なくとも2つのアミノ酸配列及び/又はナノボディを含む多価又は多重特異性のタンパク質又はポリペプチドを提供し、上記アミノ酸配列及び/又はナノボディは、少なくとも2つの抗RANK−Lアミノ酸配列及び/又はナノボディのN末端とC末端との間の距離が、タンパク質又はポリペプチドがRANK−L三量体と(本明細書中で記載のように)分子内結合可能であるように、好適なリンカー又はスペーサを使用して互いに直接連結するのが好ましい。
【0097】
より好ましくは、この好ましい態様において、リンカー又はスペーサは、好ましくは1個〜最大50個以上のアミノ酸、より好ましくは5個〜30個のアミノ酸、例えば約9個〜20個のアミノ酸の長さを有するアミノ酸配列である。好ましいが非限定的な一実施の形態では、リンカーは本質的に、(以下でさらに記載されるように)グリシン残基及びセリン残基から成る。例えば、1つの好適なリンカーは、9個のアミノ酸残基を含む本明細書中で記載されるGS9リンカー、15個のアミノ酸残基を含む本明細書中で記載されるGS15リンカー、20個のアミノ酸残基を含む本明細書中で記載されるGS20リンカー、及び30個のアミノ酸残基を含む本明細書中で記載されるGS30リンカーである。
【0098】
別の実施の形態において、RANK−Lに対する少なくとも2つのアミノ酸配列及び/又はナノボディは、別のタンパク質又はポリペプチドのような別の部分を介して(任意で1つ又は2つのリンカーを介して)互いに連結する。この実施の形態では、このアミノ酸配列及び/又はナノボディが、少なくとも2つの抗RANK−Lアミノ酸配列及び/又はナノボディのN末端とC末端との間で好ましい距離(即ち上述のような)を有すること、例えばタンパク質又はポリペプチドがさらに、RANK−L三量体と(本明細書中で記載のように)分子内結合することができるようなものであることが望まれ得る。この実施の形態では、少なくとも2つのアミノ酸配列及び/又はナノボディは、さらにまた好ましい距離及び/又は所望の分子内結合を達成することができれば、他の部分と直接、又は好適なリンカー若しくはスペーサを使用して連結してもよい。この部分は、タンパク質又はポリペプチドとRANK−Lとの結合、及び/又はさらにタンパク質又はポリペプチドのさらなる所望の生物学的特性若しくは薬理学的特性を(過度に)損わない任意の好適な部分であり得る。そのようなものとして、この部分は本質的に不活性であっても又は生物学的に活性であってもよく、それ自体がタンパク質又はポリペプチドの所望の特性を改善しても又はしなくてもよく、及び/又はタンパク質又はポリペプチドに1つ又は複数のさらなる所望の特性を与えてもよい。例示であって、限定するものではないが、この部分は、タンパク質又はポリペプチドの半減期を改善してもよく、及び/又はその免疫原性を低減しても、又は任意の他の所望の特性を改善してもよい。好ましい一実施の形態では、この部分は、別のアミノ酸配列及び/又はナノボディ(これが必要という訳でなく、通常あまり好ましくないが、RANK−Lに対する第3のアミノ酸配列及び/又はナノボディが挙げられるが、これらに限定されない)、及び特に、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミンに指向性を有するアミノ酸配列及び/又はナノボディのようなタンパク質又はポリペプチドの半減期を改善する別のアミノ酸配列及び/又はナノボディであってもよい。このようなタンパク質及びポリペプチドの例は本明細書中に記載される。
【0099】
したがって、一実施の形態において、本発明は、受容体結合部位にある、及び/又はこの一部を形成するRANK−L(例えばRANK−L三量体)上のエピトープに対してそれぞれ指向性を有する、また半減期の増大を与える少なくとも1つのアミノ酸配列及び/又はナノボディを介して(任意で1つ又は複数の好適なリンカーを介して)互いに連結する、2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディを含む多価多重特異性構築物であって、上記ポリペプチドは、RANK−L三量体と結合する際、RANK受容体結合及び/又は該RANK−L三量体によって媒介されるシグナル伝達を阻害又は低減することが可能であるような、多価多重特異性構築物に関する。このようなポリペプチドは、上述の2つ以上のアミノ酸配列及び/又はナノボディがそれぞれ、RANK−L三量体上の異なる受容体結合部位と結合することができるようなものであり得る。
【0100】
特に、この実施の形態において、ポリペプチドは、受容体結合部位にある、及び/又はこの一部を形成するRANK−L(特にRANK−L三量体)上のエピトープに対してそれぞれ指向性を有する2つのナノボディを含む三価二重特異性ナノボディを含んでいてもよく、該ナノボディは、半減期の増大を与える第3のナノボディ(例えばヒト血清アルブミン等の血清タンパク質に指向性を有するナノボディ)を介して互いに連結し、ここで最初に言及された2つのナノボディのそれぞれは、上記ポリペプチドが、RANK−L三量体と結合する際、RANK受容体結合及び/又は上記RANK−L三量体によって媒介されるシグナル伝達を阻害又は低減することが可能であるように、直接又は1つ若しくは複数の好適なリンカーを介して、上記第3のナノボディと連結してもよい。このようなポリペプチドは、上述の2つのナノボディがそれぞれ、RANK−L三量体上の異なる受容体結合部位と結合することができるようなものであり得る。また、本発明のこの実施の形態での使用に特に好ましい幾つかのナノボディは、配列番号560〜配列番号621、並びにそれらのヒト化変異体及び他の変異体(例えば配列番号730〜配列番号757及び配列番号765等);及び本明細書中に記載のヒト血清アルブミンに指向性を有するナノボディで表される。本発明のこの実施の形態の幾つかの好ましいが非限定的な構築物は、配列番号694〜配列番号729及び配列番号759、配列番号760である。
【0101】
本明細書で想定される使用に好適である限り、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドの部分、断片、類似体、突然変異体、変異体、対立遺伝子及び/又は誘導体を使用すること、及び/又はこのような部分、断片、類似体、突然変異体、変異体、対立遺伝子及び/又は誘導体を1つ又は複数含むか、又は本質的にこれから成るタンパク質又はポリペプチドを使用することも本発明の範囲内である。このような部分、断片、類似体、突然変異体、変異体、対立遺伝子及び/又は誘導体は通常、RANK−Lとの結合に機能的な抗原結合部位(の少なくとも一部)を含有し、より好ましくはRANK−Lと特異的に結合することができ、さらにより好ましくは本明細書に規定のように(さらに本明細書に記載されるような(実際又は見掛けの)K
D値、(実際又は見掛けの)K
A値、k
on速度及び/又はk
off速度、又は代替的にIC
50値として好適に測定される、及び/又は表される)親和性でRANK−Lと結合することができる。このような部分、断片、類似体、突然変異体、変異体、対立遺伝子、誘導体、タンパク質及び/又はポリペプチドの幾つかの非限定的な例は、本明細書のさらなる記載から明らかになる。また本発明のさらなる断片又はポリペプチドは、本明細書に記載の1つ又は複数の(より小さい)部分又は断片を好適に組み合わせることによって(即ち連結又は遺伝子融合によって)提供され得る。
【0102】
本明細書でさらに記載される、本発明の具体的であるが非限定的な一態様において、このような類似体、突然変異体、変異体、対立遺伝子、誘導体は、それら由来のアミノ酸配列に比べて(本明細書にさらに記載されるように)増大した血清半減期を有する。例えば、本発明のアミノ酸配列は、本発明のアミノ酸配列の誘導体の半減期が増大するように、半減期を延長する1つ又は複数の基又は部分(例えばPEG)と(化学的に又は別の方法で)連結し得る。
【0103】
具体的ではあるが非限定的な一態様では、本発明のアミノ酸配列は、免疫グロブリンフォールドを含むアミノ酸配列であり得るか、又は好適な条件(例えば生理的条件)下で(即ちフォールディングによって)免疫グロブリンフォールドを形成することができるアミノ酸配列であり得る。特にHalaby et al., J. (1999) Protein Eng. 12, 563-71による概説を参照する。好ましくは、免疫グロブリンフォールドを形成するように適切にフォールディングする場合、このようなアミノ酸配列は、RANK−Lと(本明細書に規定のように)特異的に結合することができ、より好ましくは本明細書に規定のように(さらに本明細書に記載されるような(実際又は見掛けの)K
D値、(実際又は見掛けの)K
A値、k
on速度及び/又はk
off速度、又は代替的にIC
50値として好適に測定される、及び/又は表される)親和性でRANK−Lと結合することができる。また、このようなアミノ酸配列の部分、断片、類似体、突然変異体、変異体、対立遺伝子及び/又は誘導体は、免疫グロブリンフォールドを含むか、又は好適な条件下で免疫グロブリンフォールドを形成することができるようなものであるのが好ましい。
【0104】
具体的であるが、非限定的に、本発明のアミノ酸配列は、本質的に4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)とから成るアミノ酸配列、又はこのようなアミノ酸配列の任意の好適な断片(したがって通常、本明細書でさらに記載されるように、CDRの少なくとも1つを形成するアミノ酸残基の少なくとも幾つかを含有する)であり得る。
【0105】
本発明のアミノ酸配列は、具体的に免疫グロブリン配列又はその好適な断片、より具体的には免疫グロブリン可変ドメイン配列又はその好適な断片(例えば軽鎖可変ドメイン配列(例えばV
L配列)若しくはその好適な断片、又は重鎖可変ドメイン配列(例えばV
H配列)若しくはその好適な断片)であり得る。本発明のアミノ酸配列が重鎖可変ドメイン配列である場合、従来の4鎖抗体由来の重鎖可変ドメイン配列(例えば、これに限定されないが、ヒト抗体由来のV
H配列)又はいわゆる(本明細書に規定の)「重鎖抗体」由来のいわゆる(本明細書に規定の)V
HH配列であり得る。
【0106】
しかし本発明が、本発明のアミノ酸配列(又はこれを発現するのに使用される本発明のヌクレオチド配列)の起源に関しても、また本発明のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を生成又は入手する(又は生成若しくは入手している)方法に関しても限定されないことに留意すべきである。したがって本発明のアミノ酸配列は、(任意の好適な種由来の)天然アミノ酸配列、又は合成若しくは半合成のアミノ酸配列であり得る。本発明の具体的ではあるが非限定的な態様では、アミノ酸配列は(任意の好適な種由来の)天然免疫グロブリン配列、又は合成若しくは半合成の免疫グロブリン配列であり、これにはこれらに限定されないが、(本明細書に規定の)「ヒト化」免疫グロブリン配列(例えば部分又は完全ヒト化マウス又はウサギ免疫グロブリン配列、及び特に部分又は完全ヒト化V
HH配列又はナノボディ)、(本明細書に規定の)「ラクダ化(camelized)」免疫グロブリン配列、並びに親和性成熟(例えば、合成、ランダム又は天然免疫グロブリン配列から開始する)、CDRグラフト化、ベニヤリング(veneering)、異なる免疫グロブリン配列由来の断片の結合(combining)、重複プライマーを使用したPCRアセンブリ、及び当業者に既知の免疫グロブリン配列を遺伝子操作する(engineering)同様の技法、又は上記のいずれかの任意の好適な組合せ等の技法によって得られる免疫グロブリン配列が含まれる。例えば標準的なハンドブック、並びに本明細書に言及されるさらなる記載及び従来技術を参照する。
【0107】
同様に、本発明のヌクレオチド配列は、天然ヌクレオチド配列、又は合成若しくは半合成の配列であってもよく、例えばPCRによって好適な天然鋳型から単離される配列(例えば細胞から単離されるDNA又はRNA)、ライブラリ(特に発現ライブラリ)から単離されたヌクレオチド配列、(それ自体が既知の任意の好適な技法(例えばミスマッチPCR)を使用して)天然ヌクレオチド配列に突然変異を導入することによって調製されたヌクレオチド配列、重複プライマーを使用してPCRによって調製されたヌクレオチド配列、又はそれ自体が既知のDNA合成のための技法を使用して調製されたヌクレオチド配列であり得る。
【0108】
本発明のアミノ酸配列は特に、ドメイン抗体(又はドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、単一ドメイン抗体(又は単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、「dAb」(又はdAbとしての使用に好適なアミノ酸配列)、又はナノボディ(本明細書に規定のように、V
HH配列を含むが、これに限定されない)、他の単一可変ドメイン、又はそれらのいずれか1つの任意の好適な断片であり得る。(単一)ドメイン抗体の概説に関しては、上記で言及された従来技術、及び欧州特許第0368684号明細書も参照する。用語「dAb」に関しては、例えばWard et al.(Nature 1989 Oct 12; 341 (6242): 544-6)、Holtet al.(Trends Biotechnol., 2003, 21(11):484-490)、例えば国際公開第06/030220号パンフレット、国際公開第06/003388号パンフレット、及びDomantis Ltd.の他の公開特許出願を参照する。哺乳動物起源ではないため、本発明に関してあまり好ましくはないが、単一ドメイン抗体又は単一可変ドメインは、或る特定種のサメ由来である可能性があることにも留意すべきである(例えばいわゆる「IgNARドメイン」、例えば国際公開第05/18629号パンフレットを参照されたい)。
【0109】
特に本発明のアミノ酸配列は、(本明細書で規定の)ナノボディ(登録商標)又はその好適な断片(備考:ナノボディ(登録商標)、ナノボディ(Nanobodies)(登録商標)及びナノクローン(登録商標)は、Ablynx N. V.の登録商標である)。RANK−Lに指向性を有するこのようなナノボディは、「本発明のナノボディ」とも称される。
【0110】
ナノボディの概説に関しては、以下のさらなる記載、及び本明細書で言及される従来技術を参照する。しかしこれに関して、本明細書及び従来技術は主に、いわゆる「V
H3群」のナノボディ(即ちDP−47、DP−51又はDP−29等のV
H3群のヒト生殖細胞系列の配列との高度な配列相同性を有するナノボディ)を説明し、このナノボディは本発明の好ましい態様を形成することに留意すべきである。しかし概して、本発明は最も広い意味で、RANK−Lに指向性を有する任意種のナノボディを包含し、例えば国際公開第07/118670号パンフレットに記載されるように、例えばいわゆる「V
H4群」に属するナノボディ(即ちDP−78等のV
H4群のヒト生殖細胞系列の配列との高度な配列相同性を有するナノボディ)も包含することに留意すべきである。
【0111】
概して、ナノボディ(特にV
HH配列及び部分ヒト化ナノボディ)は特に、(また本明細書にさらに記載される)1つ又は複数のフレームワーク配列において(本明細書に記載される)1つ又は複数の「特徴的な(Hallmark:ホールマーク)残基」の存在を特徴とし得る。
【0112】
したがって概して、ナノボディは、(一般)構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表し、1つ又は複数の特徴的な残基は本明細書にさらに規定されるようなものである)を有するアミノ酸配列として定義することができる。
【0113】
特にナノボディは、(一般)構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表し、フレームワーク配列は本明細書にさらに規定されるようなものである)を有するアミノ酸配列であり得る。
【0114】
より具体的に、ナノボディは、(一般)構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を指し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を指す)を有するアミノ酸配列であり得る;ここで
i)好ましくは、カバットナンバリング(Kabatnumbering)による11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数は、以下の表A−3で言及した特徴的な残基から選択され、
ii)上記アミノ酸配列は、配列番号1〜配列番号22のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基(配列番号1〜配列番号22の配列においてXで示す)は無視する。
【0115】
これらのナノボディにおいて、CDR配列は概して、本明細書中にさらに規定されるようなものである。
【0116】
したがって、本発明は、RANK−Lと(本明細書中で規定のように)結合することができる、及び/又はRANK−Lに指向性を有するこのようなナノボディ、この好適な断片、及びこのようなナノボディ及び/又は好適な断片を1つ又は複数含むか、又は本質的にこれらから成るポリペプチドにも関する。
【0117】
配列番号560〜配列番号621は、RANK−Lに対して産生された多くのV
HH配列のアミノ酸配列を与える。
【0118】
特に、本発明は幾つかの特定の態様において、
(本明細書中に規定のように)RANK−Lに指向性を有し、且つ配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、例えば90%又は95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列(これらのアミノ酸配列はさらに、RANK又はOPGと、RANK−Lとの結合を中和するようなもの、及び/又はRANK−Lと結合するRANK又はOPGと競合するようなもの、及び/又はRANK−L上の(本明細書中に規定の)相互作用部位(RANK又はOPG結合部位等)に指向性を有するようなものであり得る)、
(本明細書中に規定のように)配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つとRANK−Lとの結合を交差遮断(cross-block)する、及び/又はRANK−Lと結合する配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つと競合するアミノ酸配列(またこれらのアミノ酸配列はさらに、同族リガンドと、RANK−Lとの結合を中和するようなもの、及び/又はRANK−Lと結合する同族リガンドと競合するようなもの、及び/又はRANK−L上の(本明細書中に規定の)相互作用部位(RANK又はOPG結合部位等)に指向性を有するようなものであり得る);
このアミノ酸配列は本明細書中にさらに記載され得る(例えばナノボディであり得る);並びに(本明細書中でさらに記載し、且つ例えば本明細書中に記載の二重特異性及び/又は二重パラトピックのポリペプチドであり得る)このようなアミノ酸配列を1つ又は複数含む本発明のポリペプチド、並びにこのようなアミノ酸配列及びポリペプチドをコードする核酸配列を提供する。このようなアミノ酸配列及びポリペプチドは、全く天然リガンドを含まない。
【0119】
したがって、幾つかの特に好ましい本発明のナノボディは、(本明細書にさらに規定のように)RANK−Lと結合することができる、及び/又はこれに指向性を有するナノボディであり、
i)配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基は無視する(またこれに関して、表A−1を参照し、これは配列番号560〜配列番号621のナノボディのフレームワーク1配列(配列番号126〜配列番号187)、フレームワーク2配列(配列番号250〜配列番号311)、フレームワーク3配列(配列番号374〜配列番号435)及びフレームワーク4配列(配列番号498〜配列番号559)を列挙する)(フレームワーク1配列の1位〜4位及び27位〜30位のアミノ酸残基に関しては、以下で為されるコメントも参照する。したがって、アミノ酸同一性の程度を決定するためにこれらのアミノ酸残基は無視するのが好ましい)、
ii)好ましくはカバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、以下の表A−3で言及される特徴的な残基から選択される。
【0120】
これらのナノボディにおいて、概してCDR配列は、本明細書にさらに規定されるようなものである。
【0121】
またこのようなナノボディは、任意で好適な方法で任意の好適な供給源から誘導されてもよく、例えば(即ち好適なラクダ種由来の)天然V
HH配列、又は合成若しくは半合成のアミノ酸配列であってもよく、これにはこれらに限定されないが、(本明細書に規定の)「ヒト化」ナノボディ、(本明細書に規定の)「ラクダ化」免疫グロブリン配列(特にラクダ化重鎖可変ドメイン配列)、並びに本明細書にさらに記載されるように、親和性成熟(例えば、合成、ランダム又は天然免疫グロブリン配列から開始する)、CDRグラフト化、ベニヤリング、異なる免疫グロブリン配列由来の断片の結合、重複プライマーを使用したPCRアセンブリ、及び当業者に既知の免疫グロブリン配列を遺伝子操作する同様の技法、又は上記のいずれかの任意の好適な組合せ等の技法によって得られるナノボディが含まれる。また、ナノボディがV
HH配列を含む場合、該ナノボディは、1つ又は複数の本発明のさらなる(部分又は完全)ヒト化ナノボディを提供するように、本明細書でさらに記載されるように好適にヒト化され得る。同様に、ナノボディが合成又は半合成の配列(例えば部分ヒト化配列)を含む場合、該ナノボディは、ここでもまた1つ又は複数の本発明のさらなる(部分又は完全)ヒト化ナノボディを提供するように、ここでもまた本明細書で記載されるように任意でさらに好適にヒト化され得る。
【0122】
特にヒト化ナノボディは、概してこれまでの段落でナノボディに関して規定されたようなアミノ酸配列であり得るが、この中に(本明細書に規定の)ヒト化置換である、及び/又はヒト化置換に対応する少なくとも1つのアミノ酸残基が(特にフレームワーク残基の少なくとも1つに)存在する。本明細書中の開示に基づいて、当業者にとって、幾つかの好ましいが非限定的なヒト化置換(及びその任意の組合せ)は明らかである。付加的に又は代替的に、天然V
HH配列のフレームワーク領域の配列を、1つ又は複数の密接に関連したヒトV
H配列の対応するフレームワーク配列と比較することによって、他の潜在的に有用なヒト化置換を確認することができ、その後このようにして決定した潜在的に有用なヒト化置換(又はその組合せ)の1つ又は複数を上記V
HH配列に(それ自体が既知の任意の方法で、本明細書にさらに記載のように)導入することができ、得られたヒト化V
HH配列を、標的に対する親和性、安定性、発現の容易さ及びレベル、及び/又は他の所望の特性に関して試験することができる。このように、試行錯誤による限定によって、本明細書中の開示に基づき、当業者によって、他の好適なヒト化置換(又はその好適な組合せ)を決定することができる。また上記に基づいて、ナノボディ(のフレームワーク領域)を部分ヒト化又は完全ヒト化してもよい。
【0123】
幾つかの特に好ましい本発明のヒト化ナノボディは、配列番号560〜配列番号621のナノボディのヒト化変異体であり、配列番号730〜配列番号757及び配列番号765のアミノ酸配列が幾つかの特に好ましい例である。
【0124】
したがって、幾つかの他の好ましい本発明のナノボディは、(本明細書にさらに規定のように)RANK−Lと結合することができるナノボディであり、
i)配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の1つのヒト化変異体であり、及び/又は
ii)配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つ、及び/又は配列番号730〜配列番号757及び配列番号765のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基は無視する、且つ
i)好ましくはカバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、以下の表A−3で言及される特徴的な残基から選択される。
【0125】
本発明の別の特定の態様によれば、本発明は、RANK−Lとの結合に特に適する多くのアミノ酸残基のストレッチ(即ち低分子ペプチド)を提供する。これらのアミノ酸残基のストレッチは、特に本発明のアミノ酸配列の抗原結合部位の(一部)を形成するように、本発明のアミノ酸配列に存在し得る、及び/又は組み込まれ得る。初めに、これらのアミノ酸残基のストレッチを重鎖抗体のCDR配列、又はRANK−Lに指向性を有するV
HH配列として生成した(又は本明細書でさらに記載されるように、このようなCDR配列に基づき得る、及び/又はこれに由来し得る)ので、これらのアミノ酸残基のストレッチは概して、本明細書で「CDR配列」(即ちそれぞれCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列)とも称される。しかし、本発明が最も広い意味で、これらのアミノ酸残基のストレッチによる本発明のアミノ酸配列とRANK−Lとの結合が可能である限り、これらのアミノ酸残基のストレッチが本発明のアミノ酸配列中に有し得る特定の構造的役割又は機能に限定されないことに留意すべきである。したがって概して、本発明は最も広い意味で、全アミノ酸配列が、RANK−Lと結合することができる結合ドメイン及び/又は結合単位を形成するように、RANK−Lと結合することができ、本明細書に記載の1つ又は複数のCDR配列及び特に2つ以上のこのようなCDR配列の好適な組合せを含み、1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列を介して互いに好適に連結する、任意のアミノ酸配列を含む。しかし、本発明のアミノ酸配列における1つだけのこのようなCDR配列の存在は、それ自体で既にRANK−Lと結合することができる本発明のアミノ酸配列を提供するのに十分であり得ることにも留意すべきである。例えばここでもまた、国際公開第03/050531号パンフレットに記載される、いわゆる「促進断片(Expedite fragments)」を参照する。
【0126】
したがって別の具体的ではあるが非限定的な態様において、本発明のアミノ酸配列は、本明細書に記載のCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列(又はそれらの任意の好適な組合せ)から成る群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むアミノ酸配列であり得る。特に、本発明のアミノ酸配列は、少なくとも1つの抗原結合部位(該抗原結合部位は、本明細書に記載のCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列(又はそれらの任意の好適な組合せ)から成る群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む)を含むアミノ酸配列であり得る。
【0127】
概して本発明のこの態様において、本発明のアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸残基のストレッチ(該アミノ酸残基のストレッチは、本明細書に記載のCDR配列の少なくとも1つの配列に対応するアミノ酸配列を有する)を含む任意のアミノ酸配列であり得る。このようなアミノ酸配列は、免疫グロブリンフォールドを含んでも、又は含んでいなくてもよい。例えば、これに限定されないが、このようなアミノ酸配列は、少なくとも1つのこのようなCDR配列を含むが、(完全)免疫グロブリンフォールドを形成するのに十分な大きさではない好適な免疫グロブリン配列の断片であり得る(例えばここでもまた、国際公開第03/050531号パンフレットに記載される、「促進断片」を参照する)。代替的に、このようなアミノ酸配列は、このようなCDR配列に対応する(即ちその抗原結合部位の一部として)少なくとも1つのアミノ酸残基のストレッチを含む、好適な「タンパク質足場」であり得る。アミノ酸配列を提示するのに好適な足場が当業者にとって明らかであり、例えばこれらに限定されないが、(即ち本明細書に既に記載の免疫グロブリン配列以外の)免疫グロブリンに基づく若しくはこれに由来する結合足場、プロテインAドメイン由来のタンパク質足場(例えばアフィボディ(Affibodies)(商標))、テンダミスタット、フィブロネクチン、リポカリン、CTLA−4、T細胞受容体、設計アンキリン反復、アビマー(avimers)及びPDZドメイン(Binz et al., Nat. Biotech2005, Vol 23:1257)、並びにDNA又はRNAに基づく結合部分(DNAアプタマー又はRNAアプタマーを含むが、これに限定されない)(Ulrich et al., Comb Chem High Throughput Screen 2006 9(8): 619-32)が含まれる。
【0128】
また、これらのCDR配列を1つ又は複数含む、任意の本発明のアミノ酸配列は、RANK−Lと(本明細書に規定のように)特異的に結合することができるようなもの、及びより具体的には本明細書に規定のように(さらに本明細書に記載されるような(実際又は見掛けの)K
D値、(実際又は見掛けの)K
A値、k
on速度及び/又はk
off速度、又は代替的にIC
50値として好適に測定される、及び/又は表される)親和性でRANK−Lと結合することができるようなものであるのが好ましい。
【0129】
より具体的には、本発明のこの態様によるアミノ酸配列は、少なくとも1つの抗原結合部位(該抗原結合部位は、(i)第1のアミノ酸配列が、本明細書に記載のCDR1配列から選択される場合、第2のアミノ酸配列が、本明細書に記載のCDR2配列又は本明細書に記載のCDR3配列から選択されるように、(ii)第1のアミノ酸配列が、本明細書に記載のCDR2配列から選択される場合、第2のアミノ酸配列が、本明細書に記載のCDR1配列又は本明細書に記載のCDR3配列から選択されるように、又は(iii)第1のアミノ酸配列が、本明細書に記載のCDR3配列から選択される場合、第2のアミノ酸配列が、本明細書に記載のCDR1配列又は本明細書に記載のCDR3配列から選択されるように、本明細書に記載のCDR1配列、本明細書に記載のCDR2配列、及び本明細書に記載のCDR3配列から成る群から選択される、少なくとも2つのアミノ酸配列を含む)を含む任意のアミノ酸配列であり得る。
【0130】
さらにより具体的には、本発明のアミノ酸配列は、少なくとも1つの抗原結合部位(該抗原結合部位は、第1のアミノ酸配列が、本明細書に記載のCDR1配列から選択され、第2のアミノ酸配列が、本明細書に記載のCDR2配列から選択され、第3のアミノ酸配列が、本明細書に記載のCDR3配列から選択されるように、本明細書に記載のCDR1配列、本明細書に記載のCDR2配列、及び本明細書に記載のCDR3配列から成る群から選択される、少なくとも3つのアミノ酸配列を含む)を含むアミノ酸配列であり得る。CDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の好ましい組合せは、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。当業者にとって明らかなように、このようなアミノ酸配列は、(本明細書にさらに記載のように)免疫グロブリン配列であるのが好ましいが、例えばまた上記CDR配列を提示するのに好適な足場を含む、任意の他のアミノ酸配列であってもよい。
【0131】
したがって具体的ではあるが非限定的な一態様において、本発明は、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列であって、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列、又は
任意の好適なこれらの組合せから成る群から選択される1つ又は複数のアミノ酸残基のストレッチを含む、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列に関する。
【0132】
本発明のアミノ酸配列が、1つ又は複数のb)及び/又はc)によるアミノ酸配列を含有する場合、
i)(本明細書に規定のように)このようなb)及び/又はc)によるアミノ酸配列における任意のアミノ酸置換は好ましくは、対応するa)によるアミノ酸配列に比べて保存的なアミノ酸置換であり、及び/又は
ii)b)及び/又はc)によるアミノ酸配列は、対応するa)によるアミノ酸配列に比べて、アミノ酸置換だけを含有し、アミノ酸欠失又はアミノ酸挿入を含有しないのが好ましく、及び/又は
iii)b)及び/又はc)によるアミノ酸配列は、それ自体が既知の1つ又は複数の親和性成熟技法を用いる親和性成熟によって、a)によるアミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列であり得る。
【0133】
同様に本発明のアミノ酸配列が、1つ又は複数のe)及び/又はf)によるアミノ酸配列を含有する場合、
i)(本明細書に規定のように)このようなe)及び/又はf)によるアミノ酸配列における任意のアミノ酸置換は好ましくは、対応するd)によるアミノ酸配列に比べて保存的なアミノ酸置換であり、及び/又は
ii)e)及び/又はf)によるアミノ酸配列は、対応するd)によるアミノ酸配列に比べて、アミノ酸置換だけを含有し、アミノ酸欠失又はアミノ酸挿入を含有しないのが好ましく、及び/又は
iii)e)及び/又はf)によるアミノ酸配列は、それ自体が既知の1つ又は複数の親和性成熟技法を用いる親和性成熟によって、d)によるアミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列であり得る。
【0134】
また同様に本発明のアミノ酸配列が、1つ又は複数のh)及び/又はi)によるアミノ酸配列を含有する場合、
i)(本明細書に規定のように)このようなh)及び/又はi)によるアミノ酸配列における任意のアミノ酸置換は好ましくは、対応するg)によるアミノ酸配列に比べて保存的なアミノ酸置換であり、及び/又は
ii)h)及び/又はi)によるアミノ酸配列は、対応するg)によるアミノ酸配列に比べて、アミノ酸置換だけを含有し、アミノ酸欠失又はアミノ酸挿入を含有しないのが好ましく、及び/又は
iii)h)及び/又はi)によるアミノ酸配列は、それ自体が既知の1つ又は複数の親和性成熟技法を用いる親和性成熟によって、g)によるアミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列であり得る。
【0135】
概して上述の段落は、それぞれ1つ又は複数のb)、c)、e)、f)、h)又はi)によるアミノ酸配列を含む、任意の本発明のアミノ酸配列にも適用することが理解されるべきである。
【0136】
この特定の態様において、アミノ酸配列は、
i)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
ii)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、及び
iii)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、又は
任意の好適なそれらの組合せから成る群から選択される1つ又は複数のアミノ酸残基のストレッチを含むのが好ましい。
【0137】
また好ましくはこのようなアミノ酸配列において、上記のアミノ酸残基のストレッチの少なくとも1つが、RANK−Lと結合するための抗原結合部位の一部を形成する。
【0138】
より具体的ではあるが、さらに非限定的な態様において、本発明は、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列であって、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択される2つ以上のアミノ酸残基のストレッチを含み、このため、(i)アミノ酸残基の第1のストレッチがa)、b)又はc)によるアミノ酸配列の1つに対応する場合、アミノ酸残基の第2のストレッチは、d)、e)、f)、g)、h)又はi)によるアミノ酸配列の1つに対応し、(ii)アミノ酸残基の第1のストレッチがd)、e)又はf)によるアミノ酸配列の1つに対応する場合、アミノ酸残基の第2のストレッチは、a)、b)、c)、g)、h)又はi)によるアミノ酸配列の1つに対応し、又は(iii)アミノ酸残基の第1のストレッチがg)、h)又はi)によるアミノ酸配列の1つに対応する場合、アミノ酸残基の第2のストレッチは、a)、b)、c)、d)、e)又はf)によるアミノ酸配列の1つに対応する、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列に関する。
【0139】
この特定の態様において、アミノ酸配列は、
i)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
ii)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、及び
iii)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列から成る群から選択される2つ以上のアミノ酸残基のストレッチを含むのが好ましく、このため、(i)アミノ酸残基の第1のストレッチが配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の1つに対応する場合、アミノ酸残基の第2のストレッチは、配列番号312〜配列番号373及び配列番号758又は配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の1つに対応し、(ii)アミノ酸残基の第1のストレッチが配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の1つに対応する場合、アミノ酸残基の第2のストレッチは、配列番号188〜配列番号249又は配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の1つに対応し、又は(iii)アミノ酸残基の第1のストレッチが配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の1つに対応する場合、アミノ酸残基の第2のストレッチは、配列番号188〜配列番号249又は配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の1つに対応する。
【0140】
またこのようなアミノ酸配列において、少なくとも2つのアミノ酸残基のストレッチが、RANK−Lと結合するための抗原結合部位の一部を形成することがさらに好ましい。
【0141】
さらにより具体的であるが、非限定的な態様において、本発明は、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列であって、3つ以上のアミノ酸残基のストレッチを含み、アミノ酸残基の第1のストレッチが、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、
アミノ酸残基の第2のストレッチが、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、且つ
アミノ酸残基の第3のストレッチが、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択される、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列に関する。
【0142】
好ましくはこの特定の態様において、アミノ酸残基の第1のストレッチは、配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列から成る群から選択され、アミノ酸残基の第2のストレッチは、配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列から成る群から選択され、且つアミノ酸残基の第3のストレッチは、配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列から成る群から選択される。
【0143】
また好ましくはこのようなアミノ酸配列において、少なくとも3つのアミノ酸残基のストレッチが、RANK−Lと結合するための抗原結合部位の一部を形成する。
【0144】
このようなアミノ酸配列のストレッチの好ましい組合せは、本明細書中のさらなる開示から明らかになる。
【0145】
好ましくはこのようなアミノ酸配列において、CDR配列が、配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つのCDR配列との少なくとも70%のアミノ酸同一性、好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性(95%以上のアミノ酸同一性等)、又はさらに本質的に100%のアミノ酸同一性を有する。例えば、(本明細書中に記載の方法で)上記アミノ酸配列と、配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の1つ又は複数とのアミノ酸同一性の程度を求めることによって、このアミノ酸同一性の程度を決定することができ、ここではフレームワーク領域を形成するアミノ酸残基は無視する。また、このような本発明のアミノ酸配列は、本明細書中でさらに記載するようなものであり得る。
【0146】
またこのアミノ酸配列は、(本明細書に規定のように)RANK−Lと特異的に結合することができるようなもの、及びより具体的には本明細書に規定のように(さらに本明細書に記載されるような(実際又は見掛けの)K
D値、(実際又は見掛けの)K
A値、k
on速度及び/又はk
off速度、又は代替的にIC
50値として好適に測定される、及び/又は表される)親和性でRANK−Lと結合することができるようなものであるのが好ましい。
【0147】
本発明のアミノ酸配列が、本質的に4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)とから成る場合、本発明のアミノ酸配列は、CDR1が、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、及び/又は
CDR2が、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、及び/又は
CDR3が、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるようなものであるのが好ましい。
【0148】
特にこのような本発明のアミノ酸配列は、CDR1が配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列から成る群から選択され、及び/又はCDR2が配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列から成る群から選択され、及び/又はCDR3が配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列から成る群から選択されるようなものであり得る。
【0149】
特に本発明のアミノ酸配列が、本質的に4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)とから成る場合、本発明のアミノ酸配列は、CDR1が、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、且つ
CDR2が、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、且つ
CDR3が、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるようなもの、又はこのようなアミノ酸配列の任意の好適な断片であるのが好ましい。
【0150】
特にこのような本発明のアミノ酸配列は、CDR1が配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列から成る群から選択され、且つCDR2が配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列から成る群から選択され、且つCDR3が配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列から成る群から選択されるようなものであり得る。
【0151】
また、CDR配列の好ましい組合せは、本明細書中のさらなる開示から明らかになる。
【0152】
またこのようなアミノ酸配列は、(本明細書に規定のように)RANK−Lと特異的に結合することができるようなもの、及びより具体的には本明細書に規定のように(さらに本明細書に記載されるような(実際又は見掛けの)K
D値、(実際又は見掛けの)K
A値、k
on速度及び/又はk
off速度、又は代替的にIC
50値として好適に測定される、及び/又は表される)親和性でRANK−Lと結合することができるようなものであるのが好ましい。
【0153】
好ましいが非限定的な一態様において本発明は、本質的に4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)とから成るアミノ酸配列であって、アミノ酸配列のCDR配列が、配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つのCDR配列との少なくとも70%のアミノ酸同一性、好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性(95%以上のアミノ酸同一性等)、又はさらに本質的に100%のアミノ酸同一性を有する、アミノ酸配列に関する。このアミノ酸同一性の程度は例えば、上記アミノ酸配列と、配列番号560〜配列番号621の配列の1つ又は複数との間のアミノ酸同一性の程度を(本明細書に記載の方法で)求めることによって決定することができる(フレームワーク領域を形成するアミノ酸残基は無視する)。このような本発明のアミノ酸配列は、本明細書にさらに記載されるようなものであり得る。
【0154】
このような本発明のアミノ酸配列において、フレームワーク配列は任意の好適なフレームワーク配列であってもよく、好適なフレームワーク配列の例は、例えば標準的なハンドブック、並びに本明細書に言及されるさらなる開示及び従来技術に基づいて当業者にとって明らかである。
【0155】
フレームワーク配列は、免疫グロブリンフレームワーク配列、又は(例えばヒト化又はラクダ化によって)免疫グロブリンフレームワーク配列から誘導されているフレームワーク配列(の好適な組合せ)であるのが好ましい。例えば、フレームワーク配列は、軽鎖可変ドメイン(例えばV
L配列)及び/又は重鎖可変ドメイン(例えばV
H配列)から誘導されているフレームワーク配列であり得る。特に好ましい一態様では、フレームワーク配列は、V
HH配列(該フレームワーク配列は任意で、部分又は完全ヒト化し得る)から誘導されているか、又は(本明細書に規定のように)ラクダ化した従来のV
H配列であるいずれかのフレームワーク配列である。
【0156】
フレームワーク配列は、本発明のアミノ酸配列が、ドメイン抗体(又はドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、単一ドメイン抗体(又は単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、「dAb」(又はdAbとしての使用に好適なアミノ酸配列)、又はナノボディ(商標)(V
HH配列を含むが、これに限定されない)であるようなものであるのが好ましい。また、好適なフレームワーク配列は、例えば標準的なハンドブック、並びに本明細書に言及されるさらなる開示及び従来技術に基づいて当業者にとって明らかである。
【0157】
特に、本発明のアミノ酸配列に存在するフレームワーク配列は、本発明のアミノ酸配列がナノボディであるように、(本明細書に規定の)特徴的な残基を1つ又は複数含有し得る。このようなフレームワーク配列(の好適な組合せ)の幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書中のさらなる開示から明らかになる。
【0158】
また概して、本発明のアミノ酸配列に関して本明細書に記載のように、上記のいずれかの好適な断片(又は断片の組合せ)(例えば1つ又は複数のフレームワーク配列に好適に隣接した、及び/又はこれを介して連結した、1つ又は複数のCDR配列を含有する断片)を使用することも可能である(例えば、これらのCDR配列及びフレームワーク配列が、断片が誘導された完全長の(full-sized:フルサイズの)免疫グロブリン配列で発生し得るのと同じ配列(order)で)。またこのような断片は、免疫グロブリンフォールドを含むか、若しくは形成することができるようなもの、又は代替的に免疫グロブリンフォールドを含まないか、若しくは形成することができないようなものであってもよい。
【0159】
1つの特定の態様において、このような断片は、本明細書に記載の単一CDR配列(特にCDR3配列)を含み、フレームワーク配列(の一部)(特に断片が誘導される免疫グロブリン配列において該CDR配列に隣接するフレームワーク配列(複数可)の一部)が両側に位置する。例えば、CDR3配列は、FR3配列(の一部)の後にあり、FR4配列(の一部)の前にあり得る。このような断片はまた、ジスルフィド架橋、特にそれぞれCDR配列の前後にある2つのフレームワーク領域と連結するジスルフィド架橋を含有してもよい(このようなジスルフィド架橋を形成するために、該フレームワーク領域で自然発生するシステイン残基を使用するか、又は代替的にシステイン残基を該フレームワーク領域に合成的に付加若しくは導入してもよい)。これらの「促進断片」のさらなる説明に関しては、ここでもまた国際公開第03/050531号パンフレット、及び2006年12月5日に出願されたAblynx N. V.の"Peptides capable ofbinding to serum proteins"と題する米国仮出願(発明者:Revets,Hilde Adi Pierrette; Kolkman, Joost Alexander;及びHoogenboom,Hendricus Renerus Jacobus Mattheus)(国際出願PCT/EP2007/063348号明細書も参照されたい)を参照する。
【0160】
別の態様において本発明は、化合物又は構築物、特にタンパク質又はポリペプチド(それぞれ本明細書で「本発明の化合物」又は「本発明のポリペプチド」とも称される)であって、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列(又はその好適な断片)を含むか、又は本質的にこれから成り、任意で1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位をさらに含む、化合物又は構築物、特にタンパク質又はポリペプチドに関する。本明細書中のさらなる開示から当業者にとって明らかになるように、このようなさらなる基、残基、部分、結合単位又はアミノ酸配列は、本発明のアミノ酸配列(及び/又はそれが存在する化合物又は構築物)に対しさらなる機能性を与えても、又は与えなくてもよく、本発明のアミノ酸配列の特性を変えても、又は変えなくてもよい。
【0161】
例えば、このようなさらなる基、残基、部分又は結合単位は、化合物又は構築物が(融合)タンパク質又は(融合)ポリペプチドになるように、1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列であり得る。好ましいが非限定的な態様において、該1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位は免疫グロブリン配列である。さらにより好ましくは、該1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位は、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」、dAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又はナノボディから成る群から選択される。
【0162】
代替的に、このような基、残基、部分又は結合単位は例えば、化学的な基、残基、部分(それ自体が生物学的に及び/又は薬理学的に活性であっても、又は活性でなくてもよい)であり得る。例えば、これに限定されないが、このような基は、本明細書にさらに記載されるように、本発明のアミノ酸配列又はポリペプチドの「誘導体」を提供するように、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列と連結し得る。
【0163】
本明細書に記載の1つ又は複数の誘導体を含むか、又は本質的にこれから成り、任意で1つ又は複数のリンカーを介して連結した、1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位を任意でさらに含む、化合物又は構築物も本発明の範囲内である。好ましくは、該1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位はアミノ酸配列である。
【0164】
上記の化合物又は構築物において、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列、及び1つ又は複数の基、残基、部分又は結合単位は、互いに直接、及び/又は1つ又は複数の好適なリンカー又はスペーサを介して連結してもよい。例えば、1つ又は複数の基、残基、部分又は結合単位がアミノ酸配列である場合、リンカーは、得られる化合物又は構築物が融合(タンパク質)又は融合(ポリペプチド)になるようにアミノ酸配列であってもよい。
【0165】
概して本発明の化合物又はポリペプチドは、本発明の化合物又はポリペプチドを提供するように、任意で1つ又は複数の好適なリンカーを介して、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列と、1つ又は複数のさらなる基、残基、部分又は結合単位とを好適に連結する工程を少なくとも1つ含む方法で調製することができる。本発明のポリペプチドは、概して少なくとも本発明のポリペプチドをコードする核酸を準備する工程と、好適な方法で該核酸を発現する工程と、発現した本発明のポリペプチドを回収する工程とを含む方法で調製することもできる。このような方法は、例えば本明細書にさらに記載の方法及び技法に基づいて、当業者にとって明らかな、それ自体が既知の方法で行うことができる。
【0166】
本発明のアミノ酸配列から開始して本発明の化合物又はポリペプチドを設計/選択、及び/又は調製する方法は、本明細書では該本発明のアミノ酸配列を「フォーマットする(formatting)」とも称され、本発明の化合物又はポリペプチドの一部を構成する本発明のアミノ酸は、「フォーマットされた(formatted)」、又は該本発明の化合物又はポリペプチド「のフォーマット形態(in theformat of)」であるといわれる。本発明のアミノ酸配列をフォーマットすることができる方法の例及びこのようなフォーマットの例が、本明細書中の開示に基づいて当業者にとって明らかであり、このようなフォーマットされたアミノ酸配列は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0167】
本発明の特定の一態様において、本発明の化合物、又は本発明のポリペプチドは、対応する本発明のアミノ酸配列に比べて増大した半減期を有し得る。このような化合物及びポリペプチドの幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書中のさらなる開示に基づいて当業者にとって明らかとなり、例えば半減期が増大するように(例えばペグ化によって)化学修飾された本発明のアミノ酸配列又はポリペプチド、血清タンパク質(例えば血清アルブミン)と結合するための少なくとも1つのさらなる結合部位を含む本発明のアミノ酸配列、又は本発明のアミノ酸配列の半減期を増大させる少なくとも1つの部分(特に少なくとも1つのアミノ酸配列)と連結する少なくとも1つの本発明のアミノ酸配列を含む本発明のポリペプチドが含まれる。このような半減期が延長した部分又はアミノ酸配列を含む本発明のポリペプチドの例は、本明細書中のさらなる開示に基づいて当業者にとって明らかとなり、例えばこれらに限定されないが、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列が、1つ又は複数の血清タンパク質若しくはその断片(例えば(ヒト)血清アルブミン又はその好適な断片)、又は血清タンパク質と結合することができる1つ又は複数の結合単位と好適に連結するポリペプチド(例えばドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」、dAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又は血清アルブミン(例えばヒト血清アルブミン)、血清免疫グロブリン(例えばIgG)等の血清タンパク質又はトランスフェリンと結合することができるナノボディ、さらなる記載及び本明細書で言及される参考文献を参照する);本発明のアミノ酸配列がFc部分(例えばヒトFc)又はその好適な部分若しくは断片と連結するポリペプチド;又は1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列が、血清タンパク質と結合することができる1つ又は複数の低分子タンパク質又はペプチドと好適に連結するポリペプチドが含まれる(例えば、これに限定されないが、国際公開第91/01743号パンフレット、国際公開第01/45746号パンフレット、国際公開第02/076489号パンフレット、及び2006年12月5日に出願されたAblynx N. V.の"Peptides capable ofbinding to serum proteins"と題する米国仮出願(国際出願PCT/EP2007/063348号明細書も参照されたい)に記載のタンパク質及びペプチド)。
【0168】
概して、半減期が増大した、本発明の化合物又はポリペプチドは、対応する本発明のアミノ酸配列自体の半減期よりも少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍(少なくとも5倍等)、例えば少なくとも10倍、又は20倍を超えて大きい半減期を有するのが好ましい。例えば、半減期が増大した、本発明の化合物又はポリペプチドは、対応する本発明のアミノ酸配列自体に比べて、1時間を超えて、好ましくは2時間を超えて、より好ましくは6時間を超えて(12時間等を超えて)、又はさらに24時間、48時間若しくは72時間を超えて増大した半減期を有し得る。
【0169】
好ましいが、本発明の非限定的な態様において、このような本発明の化合物又はポリペプチドは、対応する本発明のアミノ酸配列自体に比べて、1時間を超えて、好ましくは2時間を超えて、より好ましくは6時間を超えて(12時間等を超えて)、又はさらに24時間、48時間若しくは72時間を超えて増大した血清半減期を有する。
【0170】
別の好ましいが、本発明の非限定的な態様において、このような本発明の化合物又はポリペプチドは、少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも48時間、さらにより好ましくは少なくとも72時間以上のヒトにおける血清半減期を示す。例えば本発明の化合物又はポリペプチドは、少なくとも5日(約5日〜10日等)、好ましくは少なくとも9日(約9日〜14日等)、より好ましくは少なくとも約10日(約10日〜15日等)、若しくは少なくとも約11日(約11日〜16日等)、より好ましくは少なくとも約12日(約12日〜18日以上等)、又は14日超(約14日〜19日等)の半減期を有し得る。
【0171】
別の態様において本発明は、本発明のアミノ酸配列又は本発明のポリペプチド(又はその好適な断片)をコードする核酸に関する。このような核酸は、本明細書で「本発明の核酸」とも称され、例えば本明細書でさらに記載されるように遺伝子構築物の形態であり得る。
【0172】
別の態様において本発明は、本発明のアミノ酸配列及び/又は本発明のポリペプチドを発現し(又は好適な環境下で発現することができ)、及び/又は本発明の核酸を含有する、宿主又は宿主細胞に関する。このような宿主又は宿主細胞の幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0173】
本発明はさらに、少なくとも1つの本発明のアミノ酸配列、少なくとも1つの本発明のポリペプチド(又はその好適な断片)、及び/又は少なくとも1つの本発明の核酸、及び任意で(即ち組成物の目的とする用途に応じて)それ自体が既知のこのような組成物の1つ又は複数のさらなる成分を含有するか又は含む産物又は組成物に関する。このような産物又は組成物は例えば、(本明細書に記載の)薬学的組成物、獣医学的組成物又は(本明細書にも記載の)診断用途のための産物又は組成物であり得る。このような産物又は組成物の幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0174】
本発明は、in vitro(例えばin vitroアッセイ又は細胞アッセイ)又はin vivo(例えば単一細胞又は多細胞生物、詳細には哺乳動物、より詳細にはヒト、例えば「骨疾患又は骨障害」の危険性があるか、又はそれを患うヒト)のいずれかでのRANK−Lの調節(のための方法又は組成物)における本発明のアミノ酸配列、ナノボディ若しくはポリペプチド、又はこれを含む組成物の使用にも関する。
【0175】
本発明は、in vitro(例えばin vitroアッセイ又は細胞アッセイ)又はin vivo(例えば単一細胞又は多細胞生物、詳細には哺乳動物、より詳細にはヒト、例えば骨疾患又は骨障害の危険性があるか、又はそれを患うヒト)のいずれかでRANK−Lを調節する方法であって、少なくとも本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドの少なくとも1つでRANK−Lを調節するのに適した方法及び量で、RANK−Lを本発明の少なくとも1つのアミノ酸配列、ナノボディ若しくはポリペプチド、又はこれを含む組成物に接触させる工程を含む、調節する方法にも関する。
【0176】
本発明は、in vitro(例えばin vitroアッセイ又は細胞アッセイ)又はin vivo(例えば単一細胞又は多細胞生物、詳細には哺乳動物、より詳細にはヒト、例えば骨疾患又は骨障害の危険性があるか、又はそれを患うヒト)のいずれかでRANK−Lを調節するための組成物(例えば、これに限定されないが、本明細書中にさらに記載の薬学的組成物又は製剤)の調製における本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドの1つの使用にも関する。
【0177】
本発明に関して、「調節すること("modulating" or "to modulate")」は概して、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ、又はin vivoアッセイ(例えば本明細書で言及されるもの)を用いて測定されるように、RANK−Lの活性を低減若しくは阻害、又は代替的にRANK−Lの活性を増大させることのいずれかを意味する。特に「調節すること」は、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ、又はin vivoアッセイ(例えば本明細書で言及されるもの)を用いて測定されるように、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドが存在しない以外は同じ条件下で同じアッセイでのRANK−Lの活性に比べて、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、少なくとも10%等若しくは少なくとも25%、少なくとも50%等、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上RANK−Lの活性を低減若しくは阻害、又は代替的にRANK−Lの活性を増大させることのいずれかを意味し得る。
【0178】
また当業者にとって明らかなように、「調節すること」は、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドが存在しない以外は同じ条件下に比べて、その標的、リガンド又は基質の1つ又は複数に対するRANK−Lの親和性、結合活性、特異性及び/又は選択性を変化させること(増大又は減少のいずれであってもよい)、及び/又はRANK−Lが存在する媒体又は環境における1つ又は複数の条件(pH、イオン強度、補因子の存在等)に対するRANK−Lの感度を変化させること(増大又は減少のいずれであってもよい)も伴い得る。当業者にとって明らかなように、任意の好適な方法で、及び/又は本明細書中に記載の、若しくは本明細書中で言及した従来技術におけるアッセイのようなそれ自体が既知の任意の好適なアッセイを使用してさらにこれを求めてもよい。
【0179】
「調節すること」は、RANK−Lが関与する(又はその基質(複数可)、リガンド(複数可)若しくは経路(複数可)が関与する、シグナル伝達経路若しくは代謝経路及び関連の生物学的作用若しくは生理学的作用のような)1つ又は複数の生物学的な若しくは生理学的な機構、作用、反応、機能、経路又は活性に関して変化させる(即ちそれぞれ、アゴニスト又はアンタゴニストとしての活性を与える)ことも意味し得る。さらに、当業者にとって明らかなように、任意の好適な方法で、及び/又は本明細書中に記載の、若しくは本明細書中で言及した従来技術におけるアッセイのようなそれ自体が既知の任意の好適な(in vitro及び通常は細胞又はアッセイ内(in assay))アッセイを使用して、アゴニスト又はアンタゴニストとしてのこのような作用を求めてもよい。特に、アゴニスト又はアンタゴニストとしての作用は、対象の生物学的活性又は生理学的活性をそれぞれ、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドが存在しない以外は同じ条件下での同じアッセイにおける生物学的活性又は生理学的活性に比べて少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%若しくは少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上増大又は低減させるようなものであり得る。
【0180】
例えば調節は、RANK−Lとその基質又はリガンドの1つとの結合を低減又は阻害すること、及び/又はRANK−Lとの結合に対して、天然のリガンド、基質と競合することを伴い得る。調節は、RANK−L、又はそれに関与する機構若しくは経路を活性化することを伴ってもよい。調節は、可逆であっても又は不可逆であってもよいが、薬学的目的及び薬理学的目的では通常、可逆的である。
【0181】
本発明はさらに、本明細書に記載のアミノ酸配列、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、産物及び組成物を製造又は生成する方法に関する。このような方法の幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0182】
概してこれらの方法は、
a)アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリを準備する工程と、
b)RANK−Lと結合することができる、及び/又はRANK−Lに対する親和性を有するアミノ酸配列に関して、上記のアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングする工程と、
c)RANK−Lと結合することができる、及び/又はRANK−Lに対する親和性を有するアミノ酸配列(複数可)を単離する工程とを含み得る。
【0183】
このような方法では、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、任意の好適なアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリであり得る。例えば、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、(本明細書に記載の)免疫グロブリン配列のセット、コレクション又はライブラリ(例えば免疫グロブリン配列のナイーブセット、ナイーブコレクション又はナイーブライブラリ、免疫グロブリン配列の合成又は半合成のセット、コレクション又はライブラリ、及び/又は親和性成熟を受けている免疫グロブリン配列のセット、コレクション又はライブラリ)であり得る。
【0184】
またこのような方法では、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、重鎖可変ドメイン(例えばV
Hドメイン又はV
HHドメイン)又は軽鎖可変ドメインのセット、コレクション又はライブラリであり得る。例えば、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、ドメイン抗体若しくは単一ドメイン抗体のセット、コレクション若しくはライブラリであり得るか、又はドメイン抗体若しくは単一ドメイン抗体として機能することができるアミノ酸配列のセット、コレクション若しくはライブラリであり得る。
【0185】
この方法の好ましい態様では、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、例えばRANK−L、又はこれに基づく若しくはこれに由来する好適な抗原決定基(例えばその抗原の部分、断片、領域、ドメイン、ループ又は他のエピトープ)を好適に免疫付与した哺乳動物由来の免疫グロブリン配列の免疫セット、免疫コレクション又は免疫ライブラリであり得る。1つの特定の態様では、該抗原決定基は、細胞外の部分、領域、ドメイン、ループ又は他の細胞外エピトープ(複数可)であり得る。
【0186】
上記の方法において、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、スクリーニングを容易にするように、ファージ、ファージミド、リボソーム又は好適な微生物(例えば酵母)上に提示してもよい。アミノ酸配列(のセット、コレクション又はライブラリ)を提示及びスクリーニングするのに好適な方法、技法及び宿主生物は、例えば本明細書中のさらなる開示に基づいて当業者にとって明らかである。Nature Biotechnology, 23, 9, 1105-1116(2005)におけるHoogenboomによる総説も参照する。
【0187】
別の態様において、アミノ酸配列を生成する方法は、少なくとも
a)アミノ酸配列を発現する細胞のコレクション又はサンプルを準備する工程と、
b)RANK−Lと結合することができる、及び/又はRANK−Lに対する親和性を有するアミノ酸配列を発現する細胞に関して上記細胞のコレクション又はサンプルをスクリーニングする工程と、
c)(i)上記アミノ酸配列を単離する工程、又は(ii)該アミノ酸配列をコードする核酸配列を上記細胞から単離し、その後該アミノ酸配列を発現する、単離する工程のいずれかとを含む。
【0188】
例えば、所望のアミノ酸配列が免疫グロブリン配列である場合、細胞のコレクション又はサンプルは例えば、B細胞のコレクション又はサンプルであり得る。また、この方法では、細胞のサンプルは、RANK−L、又はこれに基づく若しくはこれに由来する好適な抗原決定基(例えばその抗原の部分、断片、領域、ドメイン、ループ又は他のエピトープ)を好適に免疫付与した哺乳動物に由来し得る。1つの特定の態様では、該抗原決定基は、細胞外の部分、領域、ドメイン、ループ又は他の細胞外エピトープ(複数可)であり得る。
【0189】
上記の方法は、当業者にとって明らかなように、任意の好適な方法で行われ得る。例えば欧州特許第0542810号明細書、国際公開第05/19824号パンフレット、国際公開第04/051268号パンフレット及び国際公開第04/106377号パンフレットを参照する。工程b)のスクリーニングは、FACS等のフローサイトメトリ技法を使用して行うのが好ましい。これに関しては、例えばLieby et al., Blood, Vol. 97, No. 12, 3820 (2001)を参照する。
【0190】
別の態様において、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列を生成する方法は、少なくとも
a)アミノ酸配列をコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリを準備する工程と、
b)RANK−Lと結合することができる、及び/又はRANK−Lに対する親和性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列に関して、上記の核酸配列のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングする工程と、
c)上記核酸配列を単離した後、上記アミノ酸配列を発現する工程とを含み得る。
【0191】
このような方法では、アミノ酸配列をコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリは例えば、免疫グロブリン配列のナイーブセット、ナイーブコレクション又はナイーブライブラリをコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリ、免疫グロブリン配列の合成又は半合成のセット、コレクション又はライブラリをコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリ、及び/又は親和性成熟を受けている免疫グロブリン配列のセット、コレクション又はライブラリをコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリであり得る。
【0192】
またこのような方法では、核酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、重鎖可変ドメイン(例えばV
Hドメイン又はV
HHドメイン)又は軽鎖可変ドメインのセット、コレクション又はライブラリをコードし得る。例えば、核酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、ドメイン抗体若しくは単一ドメイン抗体のセット、コレクション若しくはライブラリ、又はドメイン抗体若しくは単一ドメイン抗体として機能することができるアミノ酸配列のセット、コレクション若しくはライブラリをコードし得る。
【0193】
この方法の好ましい態様では、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、例えばRANK−L、又はこれに基づく若しくはこれに由来する好適な抗原決定基(例えばその抗原の部分、断片、領域、ドメイン、ループ又は他のエピトープ)を好適に免疫付与した哺乳動物由来の核酸配列の免疫セット、免疫コレクション又は免疫ライブラリであり得る。1つの特定の態様では、該抗原決定基は、細胞外の部分、領域、ドメイン、ループ又は他の細胞外エピトープ(複数可)であり得る。
【0194】
核酸配列のセット、コレクション又はライブラリは例えば、重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインの免疫セット、免疫コレクション又は免疫ライブラリをコードし得る。1つの特定の態様では、ヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリは、V
HH配列のセット、コレクション又はライブラリをコードし得る。
【0195】
上記の方法において、ヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリは、スクリーニングを容易にするように、ファージ、ファージミド、リボソーム又は好適な微生物(例えば酵母)上に提示してもよい。アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(のセット、コレクション又はライブラリ)を提示及びスクリーニングするのに好適な方法、技法及び宿主生物は、例えば本明細書中のさらなる開示に基づいて当業者にとって明らかである。Nature Biotechnology, 23, 9, 1105-1116(2005)におけるHoogenboomによる総説も参照する。
【0196】
別の態様において、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列を生成する方法は、少なくとも
a)アミノ酸配列をコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリを準備する工程と、
b)RANK−Lと結合することができる、及び/又はRANK−Lに対する親和性を有する、並びに交差遮断されるか、又は本発明のナノボディ、例えば配列番号560〜配列番号621、若しくは本発明のヒト化ナノボディ、例えば配列番号730〜配列番号757及び配列番号765、若しくは本発明のポリペプチド若しくは構築物、例えば配列番号622〜配列番号729、配列番号759〜配列番号762及び配列番号766〜配列番号789を交差遮断するアミノ酸配列をコードする核酸配列に関して、上記核酸配列のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングする工程と、
c)上記核酸配列を単離した後、上記アミノ酸配列を発現する工程とを含み得る。
【0197】
本発明は、上記の方法、又は代替的に上記の方法の1つと、さらに少なくとも上記免疫グロブリン配列のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を決定する工程と、それ自体が既知の方法において、例えば好適な宿主細胞若しくは宿主生物における発現によって、又は化学合成によって該アミノ酸配列を発現又は合成する工程とを含む方法によって得られるアミノ酸配列にも関する。
【0198】
また上記の工程の後に、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列は好適にヒト化(又は代替的にラクダ化)してもよく、及び/又はこのようにして得られたアミノ酸配列(複数可)は、本発明のポリペプチドを提供するために、(任意で1つ又は複数の好適なリンカーを介して)互いに又は1つ若しくは複数の他の好適なアミノ酸配列と連結してもよい。また、本発明のアミノ酸配列をコードする核酸配列は、好適にヒト化(又は代替的にラクダ化)、及び好適に発現してもよく、及び/又は本発明のアミノ酸配列をコードする1つ又は複数の核酸配列は、(任意で1つ又は複数の好適なリンカーをコードするヌクレオチド配列を介して)互いに又は他の好適なアミノ酸配列をコードする1つ若しくは複数の核酸配列と連結してもよく、その後このようにして得られたヌクレオチド配列は、本発明のポリペプチドを提供するために好適に発現してもよい。
【0199】
本発明はさらに、本明細書に記載のアミノ酸配列、化合物、構築物、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、産物及び組成物の適用及び使用に、並びにRANK−Lに関連する疾患及び障害を予防及び/又は治療する方法に関する。幾つかの好ましいが非限定的な適用及び使用は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0200】
本発明は、治療に使用する、本明細書中に記載のアミノ酸配列、化合物、構築物、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、産物及び組成物にも関する。
【0201】
詳細には、本発明は、それを必要とする被験体に、(薬学的に有効な量の)本明細書中に記載のアミノ酸配列、化合物、構築物又はポリペプチドを投与することによって予防又は治療することができる疾患又は障害の治療に使用する、本明細書中に記載のアミノ酸配列、化合物、構築物、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、産物及び組成物にも関する。
【0202】
より詳細には、本発明は、本明細書中に記載の骨疾患又は骨障害の治療に使用する、アミノ酸配列、化合物、構築物、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、産物及び組成物に関する。
【0203】
また本発明の他の態様、実施の形態、利点及び用途は、本明細書中のさらなる記載から明らかになり、その中で本発明は、これらを含む本発明のナノボディ及びこれを含む本発明のポリペプチド(これらは本発明の好ましい態様の幾つかを形成する)に関してより詳細に説明及び考察する。
【0204】
本明細書中のさらなる記載から明らかになるように、一般的にナノボディは、「dAb」又は同様の(単一)ドメイン抗体又は免疫グロブリン配列に比べて(本明細書で概説される)或る特定の利点があり、この利点は本発明のナノボディでも与えられる。しかし、以下の教示のより一般的な態様を、(直接又は同じように)他の本発明のアミノ酸配列に適用することもできることは、当業者にとって明らかである。
【0205】
本明細書、実施例及び特許請求の範囲において:
a)特に他に指示又は規定がなければ、使用される全ての用語は、当業者にとって明らかな、当該技術分野における通常の意味を有する。例えば標準的なハンドブック(例えばSambrook et al, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual"(2nd.Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring HarborLaboratory Press(1989)、F.Ausubel et al, eds., "Current protocols in molecular biology", GreenPublishing and Wiley Interscience, New York(1987)、Lewin, "Genes II", John Wiley & Sons, New York, N.Y.,(1985)、Old et al., "Principles of GeneManipulation: An Introduction to Genetic Engineering", 2nd edition,University of California Press, Berkeley, CA(1981)、Roitt et al., "Immunology"(6th.Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh(2001)、Roitt et al., Roitt's EssentialImmunology, 10
th Ed. Blackwell Publishing, UK(2001)、及びJaneway et al.,"Immunobiology"(6th Ed.), Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New York(2005))、並びに本明細書で言及される一般的な背景技術を参照する。
【0206】
b)特に他に指示がなければ、用語「免疫グロブリン配列」は、本明細書で重鎖抗体に言及するのに使用されるのか又は従来の4鎖抗体に言及するのに使用されるかに関係なく、全長抗体、その個々の鎖、及びその全ての部分、ドメイン又は断片(これらに限定されないが、それぞれV
HHドメイン又はV
H/V
Lドメイン等の抗原結合ドメイン又は断片を含む)の両方を含む一般的な用語として使用される。さらに(例えば「免疫グロブリン配列」、「抗体配列」、「可変ドメイン配列」、「V
HH配列」又は「タンパク質配列」等の用語で)本明細書で使用される用語「配列」は一般的に、文脈上さらなる限定的な解釈が要求される場合を除き、関連のアミノ酸配列と、これをコードする核酸配列又はヌクレオチド配列との両方を含むと理解されるべきである。
【0207】
c)特に他に指示がなければ、具体的に詳しく説明されていない全ての方法、工程、技法及び操作を実施することができ、当業者にとって明らかなそれ自体が既知の方法で実施する。また例えば、例えば標準的なハンドブック及び本明細書で言及される一般的な背景技術、並びに本明細書で言及されるさらなる参考文献並びに例えば以下の総説、Presta, Adv. Drug Deliv. Rev. 2006, 58 (5-6): 640-56、Levin and Weiss, Mol. Biosyst.2006, 2(1): 49-57、Irving et al., J.Immunol. Methods, 2001, 248(1-2), 31-45、Schmitzet al., Placenta, 2000, 21 Suppl. A, S106-12、Gonzaleset al., Tumour Biol., 2005, 26(1), 31-43(これらは、親和性成熟等のタンパク質工学技法及び免疫グロブリン等のタンパク質の特異性及び他の所望の特性を改善する他の技法を記載している)を参照する。
【0208】
d)アミノ酸残基は、表A−2に言及されるように標準的な3文字アミノ酸コード又は1文字アミノ酸コードに従って示す。
【0209】
表A−2:1文字アミノ酸コード及び3文字アミノ酸コード
【表1】
【0210】
e)2つ以上のヌクレオチド配列を比較するために、[第2のヌクレオチド配列における対応する位置のヌクレオチドと同一な第1のヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの数]を[第1のヌクレオチド配列におけるヌクレオチド総数]で除算し、[100%]で乗算することによって、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間の「配列同一性」のパーセントを算出することができ、第1のヌクレオチド配列に比べて、第2のヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの欠失、挿入、置換又は付加のそれぞれは、単一ヌクレオチド(位置)での差異と考えられる。
【0211】
代替的に、標準的な設定を用いて、NCBI Blast v2.0等の配列アラインメント用の既知のコンピュータアルゴリズムを使用して、2つ以上のヌクレオチド配列間の配列同一性の程度を算出することができる。
【0212】
配列同一性の程度を決定するための幾つかの他の技法、コンピュータアルゴリズム及び設定は例えば、国際公開第04/037999号パンフレット、欧州特許第0967284号明細書、欧州特許第1085089号明細書、国際公開第00/55318号パンフレット、国際公開第00/78972号パンフレット、国際公開第98/49185号パンフレット及び英国特許出願公開第2357768号明細書に記載されている。
【0213】
通常、上述で概説された算出方法に従って、2つのヌクレオチド配列間の「配列同一性」のパーセントを決定するために、最も多くのヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を「第1の」ヌクレオチド配列とし、他のヌクレオチド配列を「第2の」ヌクレオチド配列とする。
【0214】
f)2つ以上のアミノ酸配列を比較するために、[第2のアミノ酸配列における対応する位置のアミノ酸残基と同一な第1のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の数]を[第1のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基総数]で除算し、[100%]で乗算することによって、第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列との間の「配列同一性」(本明細書で「アミノ酸同一性」と称される)のパーセントを算出することができ、第1のアミノ酸配列に比べて、第2のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の欠失、挿入、置換又は付加のそれぞれは、単一アミノ酸残基(位置)での差異、即ち本明細書に規定の「アミノ酸差異」と考えられる。
【0215】
代替的に、ここでもまた標準的な設定を用いて、既知のコンピュータアルゴリズム(例えばヌクレオチド配列に関する配列同一性の程度を決定するのに上記で言及されるもの)を使用して、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を算出することができる。
【0216】
通常、上述で概説された算出方法に従って、2つのアミノ酸配列間の「配列同一性」のパーセントを決定するために、最も多くのアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を「第1の」アミノ酸配列とし、他のアミノ酸配列を「第2の」アミノ酸配列とする。
【0217】
また、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を決定する際、当業者は、いわゆる「保存的な」アミノ酸置換を考慮してもよく、これは一般的に、アミノ酸残基が同様の化学構造を有する別のアミノ酸残基に置き換わり、且つポリペプチドの機能、活性又は他の生物学的特性への影響がほとんど、又は本質的に全くないアミノ酸置換と説明することができる。このような保存的なアミノ酸置換は、例えば国際公開第04/037999号パンフレット、英国特許出願公開第3357768号明細書、国際公開第98/49185号パンフレット、国際公開第00/46383号パンフレット及び国際公開第01/09300号パンフレットから当該技術分野において既知であり、このような置換の(好ましい)種類及び/又は組合せは、関連の教示に基づいて国際公開第04/037999号パンフレット及び国際公開第98/49185号パンフレット、並びに本明細書で言及されるさらなる参考文献から選択することができる。
【0218】
このような保存的な置換は、好ましくは以下の(a)群〜(e)群内の或るアミノ酸が、同じ群内の別のアミノ酸残基に置換される置換である:(a)低分子脂肪族で非極性又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro及びGly、(b)極性で負に荷電した残基及びこの(非荷電)アミド:Asp、Asn、Glu及びGln、(c)極性で正に荷電した残基:His、Arg及びLys、(d)巨大な脂肪族で非極性の残基:Met、Leu、Ile、Val及びCys、並びに(e)芳香族残基:Phe、Tyr及びTrp。
【0219】
特に好ましい保存的置換は以下のようなものである:AlaをGlyに又はSerに、ArgをLysに、AsnをGlnに又はHisに、AspをGluに、CysをSerに、GlnをAsnに、GluをAspに、GlyをAlaに又はProに、HisをAsn又はGlnに、IleをLeuに又はValに、LeuをIleに又はValに、LysをArgに、Glnに又はGluに、MetをLeuに、Tyrに又はIleに、PheをMetに、Leuに又はTyrに、SerをThrに、ThrをSerに、TrpをTyrに、TyrをTrpに、及び/又はPheをValに、Ileに又はLeuに。
【0220】
本明細書に記載のポリペプチドに適用される任意のアミノ酸置換はまた、Schulz et al., Principles of Protein Structure, Springer-Verlag,1978によって開発された異なる種の相同タンパク質間のアミノ酸変異頻度の解析、Chou and Fasman,Biochemistry 13: 211, 1974及びAdv. Enzymol., 47: 45-149,1978によって開発された構造形成可能性(structure forming potentials)の解析、並びにEisenberg et al., Proc. Nad. Acad Sci. USA 81: 140-144, 1984; Kyte& Doolittle; J Molec. Biol. 157: 105-132, 1981、及びGoldmanet al., Ann. Rev. Biophys. Chem. 15: 321-353, 1986によって開発されたタンパク質における疎水性パターンの解析に基づき得る(全て全体が参照により本明細書に援用される)。ナノボディの一次構造、二次構造、及び三次構造に関する情報は、本明細書中の記載及び上記で言及された一般的な背景技術で与えられる。またこのため、ラマ由来のV
HHドメインの結晶構造は例えば、Desmyter et al., Nature Structural Biology, Vol. 3, 9, 803(1996)、Spinelli et al., Natural StructuralBiology(1996); 3, 752-757、及びDecanniere et al., Structure, Vol. 7, 4, 361(1999)によって与えられる。従来のV
Hドメインにおいてこれらの位置でV
H/V
L界面及び潜在的なラクダ化置換を形成する幾つかのアミノ酸残基に関するさらなる情報は、上記で言及された従来技術で見出すことができる。
【0221】
g)アミノ酸配列及び核酸配列は、その全長にわたって(本明細書に規定のように)100%の配列同一性を有する場合、「全く同じ」であると言える。
【0222】
h)2つのアミノ酸配列を比較するとき、用語「アミノ酸差異」は、第2の配列に比べて第1の配列の位置での単一アミノ酸残基の挿入、欠失又は置換を表し、2つのアミノ酸配列は、1つ又は2つ以上のこのようなアミノ酸差異を含有し得ることが理解される。
【0223】
i)ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列が、それぞれ別のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を「含む」、又は別のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列「から本質的に成る」というとき、これは、後者のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列がそれぞれ、初めに言及されたヌクレオチド配列又はアミノ酸配列に組み込まれていることを意味し得るが、より一般的に概してこれは、初めに言及されたヌクレオチド配列又はアミノ酸配列がそれぞれ、(例えば本明細書に記載の任意の好適な方法によるものであり得る)実際にどのように初めに言及された配列を生成又は入手するかに関係なく、その配列内にそれぞれ後者の配列と同じヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を有するヌクレオチド又はアミノ酸残基のストレッチを含むことを意味する。非限定的な例によって、本発明のナノボディがCDR配列を含むというとき、これは、該CDR配列が、本発明のナノボディに組み込まれていることを意味し得るが、より一般的に概してこれは、本発明のナノボディが、どのように該本発明のナノボディを生成又は入手するかに関係なく、その配列内に該CDR配列と同じアミノ酸配列を有するアミノ酸残基のストレッチを含むことを意味する。後者のアミノ酸配列は、特異的な生物学的又は構造的な機能を有する場合、初めに言及されたアミノ酸配列において本質的に同じ、類似の又は同等の生物学的又は構造的な機能を有するのが好ましい(言い換えれば、初めに言及されたアミノ酸配列は、後者の配列が本質的に同じ、類似の又は同等の生物学的又は構造的な機能を果たすことができるようなものであるのが好ましい)ということにも留意すべきである。例えば、本発明のナノボディがそれぞれ、CDR配列又はフレームワーク配列を含むというとき、CDR配列及びフレームワークはそれぞれ、該ナノボディでCDR配列又はフレームワーク配列として機能することができるのが好ましい。また、ヌクレオチド配列が別のヌクレオチド配列を含むというとき、初めに言及されたヌクレオチド配列は、発現産物(例えばポリペプチド)で発現する場合、後者のヌクレオチド配列でコードされるアミノ酸配列が該発現産物の一部を形成するようなもの(言い換えれば後者のヌクレオチド配列が、初めに言及されたより大きなヌクレオチド配列と同じリーディングフレーム内にあるようなもの)であるのが好ましい。
【0224】
j)核酸配列又はアミノ酸配列は、通常該供給源又は媒体に関連がある少なくとも1つの他の成分(例えば別の核酸、別のタンパク質/ポリペプチド、別の生物学的成分、又は巨大分子)、又は少なくとも1つの汚染物質、不純物若しくは微量成分から分離されている場合、(例えばその天然の生物学的供給源及び/又はそれが得られる反応媒体又は培養媒体に比べて)「本質的な単離(形態)」であると見なされる。特に、核酸配列又はアミノ酸配列は、少なくとも2倍、具体的に少なくとも10倍、より具体的に少なくとも100倍、及び最大1000倍以上精製されている場合に、「本質的に単離された」と考えられる。「本質的に単離形態である」核酸配列又はアミノ酸配列は、好適な技法、例えば好適なクロマトグラフィ技法(例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動法)を使用して決定されたものと、本質的に相同であるのが好ましい。
【0225】
k)本明細書で使用される用語「ドメイン」は概して、アミノ酸配列の球状領域(例えば抗体鎖、特に重鎖抗体の球状領域)又は本質的にこのような球状領域から成るポリペプチドを表す。通常、このようなドメインは、例えばシートとして、又はジスルフィド結合によって安定化したペプチドループ(例えば3つ又は4つのペプチドループ)を含む。用語「結合ドメイン」は(本明細書で規定されるように)抗原決定基に指向性を有するようなドメインを表す。
【0226】
l)用語「抗原決定基」は、抗原結合分子(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)によって、及びより具体的には該分子の抗原結合部位によって認識される抗原上のエピトープを表す。用語「抗原決定基」及び「エピトープ」は、本明細書で区別なく使用することもできる。
【0227】
m)特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質(又はその少なくとも1つの部分、断片若しくはエピトープに関して)と(特異的に)結合することができる、特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質に対する親和性を有する、及び/又は特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質に対する特異性を有するアミノ酸配列(例えば本発明のナノボディ、抗体、ポリペプチド、又は概して抗原結合タンパク質若しくはポリペプチド、又はその断片)は、該抗原決定基、該エピトープ、該抗原又は該タンパク質「に対する」、又は「に指向性を有する」と言われる。
【0228】
n)用語「特異性」は、特定の抗原結合分子又は抗原結合タンパク質(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)分子が結合することができる、様々な種類の抗原又は抗原決定基の数を表す。抗原結合タンパク質の特異性は、親和性及び/又は結合活性に基づき決定することができる。親和性(抗原と抗原結合タンパク質との解離に関する平衡定数(K
D)によって表される)は、抗原結合タンパク質上の抗原決定基と抗原結合部位との間の結合力に関する評価基準であり、K
D値が小さくなれば、抗原決定基と抗原結合分子との間の結合力が大きくなる(代替的に、親和性は、1/K
Dである親和定数(K
A)としても表すことができる)。(例えば本明細書中のさらなる開示に基づき)当業者にとって明らかなように、対象となる特異的な抗原に応じて、それ自体が既知の方法で親和性を決定することができる。結合活性は、抗原結合分子(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)と関連抗原との間の結合力の測定基準である。結合活性は、抗原結合分子上での抗原決定基とその抗原結合部位との間の親和性、及び抗原結合分子上に存在する関連結合部位の数の両方に関係する。典型的には、抗原結合タンパク質(例えば本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチド)は、10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、及び好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、及びより好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)で(即ち10
5L/モル〜10
12L/モル以上、及び好ましくは10
7L/モル〜10
12L/モル以上、及びより好ましくは10
8L/モル〜10
12L/モルの結合定数(K
A)で)これらの抗原と結合する。10
4モル/Lより大きい任意のK
D値(即ち10
4M
−1(L/モル)よりも小さい任意のK
A値)は一般的に非特異的な結合を示すと考えられる。好ましくは、本発明の一価の免疫グロブリン配列は、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性で所望の抗原と結合する。抗原結合タンパク質と抗原又は抗原決定基との特異的な結合は、それ自体が既知の任意の好適な方法(例えばスキャッチャード解析及び/又は競合的結合アッセイ(例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)及びサンドイッチ競合アッセイ)を含む)及び当該技術分野でそれ自体が既知の様々なその変更方法、並びに本明細書で言及される他の技法で求めることができる。
【0229】
当業者にとって明らかなように、解離定数は実際又は見掛けの解離定数であってもよい。解離定数を決定する方法は、当業者にとって明らかであり、例えば本明細書で言及される技法が含まれる。これに関して、10
−4モル/L又は10
−3モル/Lより(then)大きい(例えば10
−2モル/Lの)解離定数を測定することが不可能であり得ることも明らかである。任意で、また当業者にとって明らかなように、(実際又は見掛けの)解離定数は、その関係性(K
D=1/K
A)から(実際又は見掛けの)結合定数(K
A)に基づき算出することができる。
【0230】
親和性は、分子相互作用の強さ又は安定性を示す。一般的に親和性はK
D即ち解離定数として与えられ、その単位はモル/L(又はM)である。親和性は、1/K
Dに等しい結合定数K
Aとも表すことができ、その単位は(モル/L)
−1(又はM
−1)である。本明細書では、2つの分子(例えば本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドと、その目的標的との)間の相互作用の安定性は主に、これらの相互作用のK
D値で表され、K
A=1/K
Dの関係性を考慮して、K
D値で分子相互作用の強さを特定することを、対応するK
A値を算出するのに利用することもできることは、当業者にとって明らかである。K
D値は、DG=RT.ln(K
D)(等しくはDG=−RT.ln(K
A))(式中、Rは気体定数に等しく、Tは絶対温度に等しく、lnは自然対数を示す)の既知の関係性から、結合の自由エネルギー(DG)と関連するので、熱力学的意味でも分子相互作用の強さを特徴付ける。
【0231】
有意(例えば特異的)と見なされる、生物学的相互作用に関するK
Dは典型的に、10
−10M(0.1nM)〜10
−5M(10000nM)の範囲内である。相互作用が強くなれば、K
Dは低くなる。
【0232】
K
Dは、(K
D=k
off/k
on及びK
A=k
on/k
offのように)複合体の解離速度定数(k
offと称される)と、その結合速度(k
onと称される)との比としても表すことができる。解離速度(off-rate)k
offの単位は、s
−1(sは秒のSI単位表記である)である。結合速度k
onの単位は、M
−1s
−1である。結合速度は、10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1の間で変化し、二分子相互作用に関する拡散律速結合速度定数に近づき得る。解離速度は、t
1/2=ln(2)/k
offの関係性から所定の分子相互作用の半減期に関連する。解離速度は、10
−6s
−1(t
1/2が数日である略不可逆的な複合体)〜1s
−1(t
1/2=0.69s)の間で変化し得る。
【0233】
2つの分子間の分子相互作用の親和性は、それ自体が既知の様々な技法(例えば既知の表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサ技法(例えばOber et al., Intern. Immunology, 13, 1551-1559, 2001を参照されたい)(ここで、1つの分子がバイオセンサーチップ上に固定され、もう1つの分子が、k
on、k
off測定値、及びしたがってK
D(又はK
A)値が得られるフロー条件下で固定分子上を通る)で測定することができる。例えば、既知のBIACOREの機器を使用してこれを実施することができる。
【0234】
測定プロセスが、例えば1つの分子のバイオセンサ上でのコーティングに関するアーチファクト(artifact:人工産物)によって、示唆した分子の固有の結合親和性に幾らか影響を与える場合、測定されたK
Dは見掛けのK
Dに対応し得ることも、当業者にとって明らかである。また、1つの分子が、もう1つの分子に対して2つ以上の認識部位を含有する場合、見掛けのK
Dを測定することができる。このような状況下で、測定された親和性は、2つの分子による相互作用の結合活性により影響され得る。
【0235】
親和性を評価するのに使用することができる別のアプローチは、Friguet et al.(J. Immunol. Methods, 77,305-19, 1985)の2段階ELISA(酵素免疫吸着アッセイ)法である。この方法によって、溶液相の結合平衡測定が確立され、プラスチック等の支持体上での分子の1つの吸着に関連すると考えられ得るアーチファクトが避けられる。
【0236】
しかし、K
Dの正確な測定はかなりの労働集約型である可能性があり、結果として2つの分子の結合力を評価するのに、見掛けのK
D値を求めることが多い。全ての測定が一貫して(例えばアッセイ条件を一定にして)行われていれば、見掛けのK
D測定値は真のK
Dの近似値として使用することができ、したがって本明細書で、K
D及び見掛けのK
Dは、等しい重要性又は関連性があるとして処理されるべきであることに留意すべきである。
【0237】
最後に、多くの状況下で経験豊かな科学者は、幾つかの参照分子に関して結合親和性を決定するのに都合がいいと判断することができることに留意すべきである。例えば、分子Aと分子Bとの間の結合力を評価するために、例えば分子Bと結合することが知られており、且つELISA又はFACS(蛍光活性化細胞選別)での検出を容易にするためのフルオロフォア若しくはクロモフォア群、又は他の化学部分(例えばビオチン)、又は他のフォーマット(蛍光検出用フルオロフォア、吸光検出用クロモフォア、ストレプトアビジン媒介性ELISA検出用ビオチン)で好適に標識される参照分子Cを使用することができる。典型的に、参照分子Cは固定濃度に維持し、分子Aの濃度は、分子Bの所定の濃度又は量に対して変化する。結果として、分子Aの非存在下で分子Cについて測定されたシグナルが半分になる分子Aの濃度に対応して、IC
50値が得られる。参照分子のK
DであるK
Dref及び参照分子の総濃度c
refが既知であれば、以下の式:K
D=IC
50/(1+c
ref/K
Dref)からA−B相互作用に対する見掛けのK
Dを得ることができる。c
ref<<K
Drefの場合、K
D≒IC
50であることに留意されたい。IC
50の測定が、比較用の結合因子に関して一貫して(例えばc
refを一定にして)実施されれば、IC
50によって分子相互作用の強さ又は安定性を評価することができ、この測定値は、本明細書を通してK
D又は見掛けのK
Dと同等であると判断される。
【0238】
o)本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドの半減期は概して、例えば自然機構による配列若しくは化合物の分解及び/又は配列若しくは化合物のクリアランス(clearance)若しくは捕捉(sequestration)のために、in vivoでアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドの血清濃度が50%低減するのにかかる時間と定義することができる。本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのin vivo半減期は、それ自体が既知の任意の方法(例えば薬物動態解析)で求めることができる。好適な技法は当業者にとって明らかであり、例えば概して、好適な用量の本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドを温血動物(即ち、ヒト又は別の好適な哺乳動物、例えばマウス、ウサギ、ラット、ブタ、イヌ又は霊長類(例えばマカク属のサル(例えば特にカニクイザル(マカク・ファシクラリス)及び/又はアカゲザル(マカク・ムラット))及びヒヒ(パピオ・ウルジヌス))に好適に投与する工程と、血液サンプル又は他のサンプルを該動物から採取する工程と、該血液サンプル中の本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのレベル又は濃度を求める工程と、このようにして得られたデータ(のプロット)から本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのレベル又は濃度が投与時の最初のレベルに比べて50%低減するまでの時間を算出する工程とを伴い得る。例えば、以下の実験部部分、及び標準的なハンドブック(例えばKenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbookfor Pharmacists及びPeters et al, Pharmacokinete analysis:A Practical Approach(1996))を参照する。"Pharmacokinetics", MGibaldi & D Perron, published by Marcel Dekker, 2nd Rev. edition(1982)も参照する。
【0239】
また当業者にとって明らかなように(例えば国際公開第04/003019号パンフレットの6頁及び7頁とそこに言及されたさらなる参考文献とを参照されたい)、半減期は、t1/2−α、t1/2−β及び曲線下面積(AUC)等のパラメータを利用して表すことができる。本明細書において、「半減期の増大」は、これらのパラメータのいずれか1つ、例えばこれらのパラメータのいずれか2つ、又は本質的に3つ全てのこれらのパラメータの増大を表す。本明細書で使用される「半減期の増大」又は「増大した半減期」は特にt1/2−βの増大を表し、t1/2−α及び/又はAUCのいずれか又は両方は増大しても又は増大しなくてもよい。
【0240】
p)本発明に関して、「調節すること」は一般的に、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ又はin vivoアッセイを使用して測定するような標的又は抗原の活性の低減若しくは阻害のいずれか、又は代替的に活性の増大を意味する。特に「調節すること」は、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ、又はin vivoアッセイ(通常関与する標的又は抗原によって変わる)を用いて測定するような、本発明の構築物が存在しない以外は同じ条件下での同じアッセイにおける標的又は抗原の活性に比べて、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%若しくは少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上標的又は抗原の活性を低減又は阻害すること、又は代替的に(関連又は対象の)生物学的活性を増大させることを意味し得る。
【0241】
当業者にとって明らかなように、「調節すること」は、本発明の構築物が存在しない以外は同じ条件下に比べて、そのリガンド、結合パートナー、ホモ多量体形態若しくはヘテロ多量体形態で結び付くパートナー又は基質の1つ又は複数に対する標的又は抗原の親和性、結合活性、特異性及び/又は選択性を変化させること(増大又は減少のいずれであってもよい)、及び/又は標的又は抗原が存在する媒体又は環境における1つ又は複数の条件(pH、イオン強度、補因子の存在等)に対する標的又は抗原の感度を変化させること(増大又は減少のいずれであってもよい)も伴い得る。当業者にとって明らかなように、関与する標的又は抗原に応じて、任意の好適な方法で、及び/又はそれ自体が既知の任意の好適なアッセイを用いてさらにこれを求めてもよい。
【0242】
「調節すること」は、標的又は抗原が関与する(又はその基質(複数可)、リガンド(複数可)若しくは経路(複数可)が関与する、シグナル伝達経路若しくは代謝経路及び関連の生物学的作用若しくは生理学的作用のような)1つ又は複数の生物学的な若しくは生理学的な機構、作用、反応、機能、経路又は活性に関して変化させる(即ち標的又は抗原及び所望の生物学的作用若しくは生理学的作用に応じて、それぞれ、アゴニスト、アンタゴニスト、又は逆アゴニストとしての活性を与える)ことも意味し得る。ここでも同様に、当業者にとって明らかなように、関与する標的又は抗原に応じて、任意の好適な方法で、及び/又はそれ自体が既知の任意の好適な(in vitro及び通常は細胞又はアッセイ内)アッセイを使用して、アゴニスト又はアンタゴニストとしての作用を求めてもよい。特に、アゴニスト又はアンタゴニストとしての作用は、対象の生物学的活性又は生理学的活性をそれぞれ、本発明の構築物が存在しない以外は同じ条件下での同じアッセイにおける生物学的活性又は生理学的活性に比べて少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%若しくは少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上増大又は低減させるようなものであり得る。
【0243】
調節は例えば、標的又は抗原のアロステリック調節、及び/又は標的又は抗原とその基質又はリガンドの1つとの結合の低減又は阻害及び/又は標的又は抗原との結合に対する基質である天然リガンドとの競合も伴い得る。調節は、標的若しくは抗原、又はそれが関与する機構若しくは経路を活性化することも伴い得る。調節は、標的若しくは抗原のフォールディング若しくは立体配置に関して、又は標的若しくは抗原がフォールディングする能力、(例えばリガンドの結合の際に)その立体配置を変更する能力、他の(サブ)ユニットと結び付く能力、又は解離する能力に関して変化させることも伴い得る。調節は例えば、標的若しくは抗原が、他の化合物を移動させる能力、又は他の化合物(イオン等)に対するチャネルとして働く能力を変化させることも伴い得る。
【0244】
調節は、可逆であっても又は不可逆であってもよいが、薬学的及び薬理学的目的では通常、可逆的である。
【0245】
q)標的又は抗原に関して、標的又は抗原上の「相互作用部位」という用語は、リガンド、受容体若しくは他の結合パートナーとの結合に関する部位、触媒部位、開裂部位、アロステリック相互作用に関する部位、標的又は抗原の多量体化(ホモマー化又はヘテロ二量体化等)に関与する部位である、標的又は抗原上のアミノ酸残基の部位、エピトープ、抗原決定部位、部分、ドメイン若しくはストレッチ、又は標的若しくは抗原の生物学的作用又は機構に関与する標的又は抗原上のアミノ酸残基の任意の他の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン又はストレッチを意味する。より一般的には、「相互作用部位」は、本発明のアミノ酸配列又はポリペプチドが、(本明細書中に規定のように)標的又は抗原(及び/又は標的又は抗原が関与する任意の経路、相互作用、シグナル伝達、生物学的機構又は生物学的作用)を調節するように結合することができる、標的又は抗原上のアミノ酸残基の任意の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン又はストレッチであり得る。
【0246】
r)アミノ酸配列又はポリペプチドは、該アミノ酸配列又はポリペプチドが第2の標的又はポリペプチドと結合する親和性よりも少なくとも10倍、例えば少なくとも100倍、好ましくは少なくとも1000倍、及び最大10000倍以上良好な親和性(上記のように、好適にK
D値、K
A値、K
off速度及び/又はK
on速度と表す)で第1の抗原と結合する場合、第2の標的又は抗原と比べて、第1の標的又は抗原「に特異的」であると言える。例えば、第1の抗原は、上記アミノ酸配列又はポリペプチドが第2の標的又はポリペプチドと結合するK
Dよりも少なくとも10分の1、例えば少なくとも100分の1、及び好ましくは少なくとも1000分の1、例えば10000分の1以下のK
D値で標的又は抗原と結合し得る。好ましくは、アミノ酸配列又はポリペプチドが、第2の標的又は抗原に比べて第1の標的又は抗原「に特異的」である場合、そのアミノ酸配列又はポリペプチドは、(本明細書中に規定のように)該第1の標的又は抗原に指向性を有するが、該第2の標的又は抗原に対しては指向性を有しない。
【0247】
s)用語「交差遮断("cross-block", "cross-blocked" and"cross-blocking")」は、本明細書中で区別なく使用し、アミノ酸配列又は他の結合剤(本発明のポリペプチド等)が、他の本発明のアミノ酸配列又は結合剤と所定の標的との結合を妨げる能力を意味する。本発明のアミノ酸配列又は他の結合剤が別のアミノ酸配列又は他の結合剤とRANK−Lとの結合を妨げることができる範囲、ひいては本発明に従って交差遮断するということができるか否かを、競合結合アッセイを使用して求めることができる。1つの特に好ましい定量的な交差遮断アッセイは、表面プラズモン共鳴技術を用いて相互作用の範囲を測定することができるビアコア機器を使用する。別の好適な定量的な交差遮断アッセイは、標的とのこれらの結合に関して、アミノ酸配列又は他の結合剤間の競合を測定するELISAに基づくアプローチを使用する。
【0248】
概して以下に、アミノ酸配列又は他の結合剤が、本発明に従って交差遮断するか、又は交差遮断することができるか否かを求めるのに適したビアコアアッセイを説明している。このアッセイは、本明細書中に記載のアミノ酸配列又は他の結合剤のいずれかと共に使用することができることが理解されよう。ビアコア機器(例えばビアコア3000)は、製造元の推奨に沿って操作する。このように、1つの交差遮断アッセイでは、標的でコーティングする表面を作製するのに、標準的なアミンカップリングケミストリを用いて、標的タンパク質をCM5ビアコアチップと連結させる。典型的に200個〜800個の標的の共鳴単位をチップに連結させる(容易に測定可能なレベルの結合を与えるが、使用する試験試薬の濃度によって容易に飽和することができる量)。互いに交差遮断する能力を評価する、2つの試験アミノ酸配列(A
*及びB
*と呼ばれる)を、好適なバッファー中で、1:1の結合部位のモル比で混合し、試験混合物を作製する。結合部位ベースの濃度を算出する場合、アミノ酸配列の分子量は、アミノ酸配列の全分子量を、このアミノ酸配列上の標的結合部位の数で除算したものであると見なす。試験混合物中の各アミノ酸配列の濃度は、ビアコアチップ上に捕捉された標的分子上のこのアミノ酸配列に対する結合部位を容易に飽和するのに十分高いものとする。混合物中のアミノ酸配列は、典型的に(結合部位ベースで)1.00マイクロモル〜1.5マイクロモルである(結合部位ベースの)モル濃度と同じである。A
*及びB
*を単独で含有する分離溶液も調製する。これらの溶液中のA
*及びB
*は、試験混合物と同じバッファー中で、且つ試験混合物と同じ濃度であるとする。試験混合物を標的コーティングビアコアチップに通し、結合総量を記録する。それから、チップ結合標的を損なうことなく、結合したアミノ酸配列を取り除くようにチップを処理する。典型的に、チップを30mMのHClで60秒処理することによってこれを行う。その後、A
*単独の溶液を標的コーティング表面に通し、結合量を記録する。さらに、チップを処理し、チップ結合標的を損なうことなく、結合したアミノ酸配列を全て取り除く。それから、B
*単独の溶液を標的コーティング表面に通し、結合量を記録する。次に、A
*とB
*との混合物の理論最大結合を算出し、これは単独で標的表面を通した際の各アミノ酸配列の結合の合計である。実際に記録された混合物の結合がこの理論最大よりも小さい場合、2つのアミノ酸配列は互いに交差遮断している。このように概して、交差遮断する本発明のアミノ酸配列又は他の結合剤は、アッセイ中、及び本発明の第2のアミノ酸配列又は他の結合剤の存在下で、記録された結合が、組合せた2つのアミノ酸配列又は結合剤の最大理論結合(直前に規定)の80%〜0.1%(例えば80%〜4%)、具体的に最大理論結合の75%〜0.1%(例えば75%〜4%)、及びより具体的に最大理論結合の70%〜0.1%(例えば70%〜4%)であるように、上記のビアコア交差遮断アッセイで標的と結合するものである。上記のビアコアアッセイは、アミノ酸配列又は他の結合剤が本発明に従って互いに交差遮断するかどうかを求めるのに使用する主なアッセイである。稀に、特定のアミノ酸配列又は他の結合剤が、CM5ビアコアチップとアミンケミストリを介して連結した標的と結合しないことがある(通常、標的上の関連の結合部位がチップとの連結によって塞がれるか、又は破壊される場合にこれが起こる)。このような場合、標識型、例えばN末端His標識型の標的を用いて交差遮断を求めることができる。この特定のフォーマットで、抗Hisアミノ酸配列をビアコアチップに連結させた後、His標識した標的をチップの表面上に通し、抗Hisアミノ酸配列で捕捉する。各チップ再生サイクル後に、抗Hisアミノ酸配列コーティング表面上に、新たなHis標識した標的を充填し戻すことを除いて、本質的に上記のように、交差遮断解析を行う。N末端His標識した標的を使用するとして与えられた例の他に、代替的にC末端His標識した標的を使用することができる。さらに、当該技術分野で既知の様々な他の標識及び標識結合タンパク質の組合せをこのような交差遮断解析に使用することができる(例えば、抗HA抗体によるHA標識;抗FLAG抗体によるFLAG標識;ストレプトアビジンによるビオチン標識)。
【0249】
概して以下に、標的に指向性を有するアミノ酸配列又は他の結合剤が、本明細書中に規定のように、交差遮断するか、又は交差遮断することができるか否か求めるELISAアッセイを説明している。このアッセイは、本明細書中に記載のアミノ酸配列(又は本発明のポリペプチド等の他の結合剤)のいずれかと共に使用することができることが理解されよう。このアッセイの一般原理は、ELISAプレートのウェル上にコーティングした標的に指向性を有するアミノ酸配列又は結合剤を有することである。過剰量の第2の、潜在的に交差遮断する抗標的アミノ酸配列を溶液中に添加する(即ちELISAプレートと結合しない)。それから、限定量の標的をウェルに添加する。コーティングしたアミノ酸配列と溶液中のアミノ酸配列とは、限定数の標的分子の結合に対して競合する。プレートを洗浄し、コーティングしたアミノ酸配列と結合していない過剰な標的を取り除き、また第2の溶液相のアミノ酸配列及び第2の溶液相のアミノ酸配列と標的との間に形成される任意の複合体を取り除く。その後、標的を検出するのに適切な試薬を使用して、結合標的の量を測定する。コーティングしたアミノ酸配列を交差遮断することができる溶液中のアミノ酸配列によって、第2の溶液相のアミノ酸配列の非存在下でコーティングしたアミノ酸配列と結合することができる標的分子の数に比べて、コーティングしたアミノ酸配列と結合することができる標的分子の数を低減させることができる。アミノ酸配列を固定化させるように、第1のアミノ酸配列、例えばAb−Xを選択する場合、第1のアミノ酸配列をELISAプレートのウェル上にコーティングし、その後、プレートを好適な遮断溶液で遮断し、その後添加する試薬の非特異的な結合を最小にする。Ab−Y標的結合部位の1つのウェル当たりのモルが、ELISAプレートのコーティング中に使用したAb−X標的結合部位の1つのウェル当たりのモルの少なくとも10倍になるように、過剰量の第2のアミノ酸配列、即ちAb−YをELISAプレートに添加する。それから、添加した標的の1つのウェル当たりのモルが、各ウェルをコーティングするのに使用したAb−X標的結合部位のモルの少なくとも25分の1になるように、標的を添加する。好適なインキュベート期間の後、ELISAプレートを洗浄し、標的を検出する試薬を添加し、コーティングした抗標的アミノ酸配列(この場合、Ab−X)と特異的に結合した標的の量を測定する。アッセイに関するバックグラウンドシグナルは、コーティングしたアミノ酸配列(この場合、Ab−X)、第2の溶液相のアミノ酸配列(この場合、Ab−Y)、標的バッファーのみ(即ち標的を添加しない)及び標的検出試薬を用いてウェル中で得られたシグナルと定義する。アッセイに関する陽性対照シグナルは、コーティングしたアミノ酸配列(この場合、Ab−X)、第2の溶液相のアミノ酸配列バッファーのみ(即ち第2の溶液相のアミノ酸配列を添加しない)、標的及び標的検出試薬を用いてウェル中で得られたシグナルと定義する。陽性対照シグナルがバックグラウンドシグナルの少なくとも6倍になるように、ELISAアッセイを行い得る。どのアミノ酸配列をコーティングアミノ酸配列として使用し、どのアミノ酸配列を第2の(競合)アミノ酸配列として使用するかという選択に起因する任意のアーチファクト(例えば有意に異なる、標的に対するAb−XとAb−Yとの親和性)を避けるために、交差遮断アッセイを2つのフォーマットで行い得る:1)フォーマット1は、Ab−Xが、ELISAプレート上にコーティングするアミノ酸配列であり、且つAb−Yが、溶液中にある競合アミノ酸配列である場合であり、また2)フォーマット2は、Ab−Yが、ELISAプレート上にコーティングするアミノ酸配列であり、且つAb−Xが、溶液中にある競合アミノ酸配列である場合である。Ab−X及びAb−Yは、フォーマット1又はフォーマット2のいずれかで、溶液相の抗標的アミノ酸配列が、溶液相の抗標的アミノ酸配列の非存在下で得られた標的検出シグナル(即ち陽性対照ウェル)に比べて、標的検出シグナル(即ちコーティングしたアミノ酸配列で結合した標的の量)の60%〜100%、具体的に70%〜100%、及びより具体的に80%〜100%の低減を引き起こすことができる場合、交差遮断すると定義する。
【0250】
t)アミノ酸配列が、2つの異なる抗原又は抗原決定基の両方に(本明細書中で規定されるように)特異的である場合、これらの異なる抗原又は抗原決定基の両方に「交差反応性」であると言える。
u)「本質的にpHとは独立した」結合とは概して本明細書中では、動物又はヒトの身体の細胞で現れるpH値(複数可)(本明細書中でさらに記載される)での血清タンパク質(例えば血清アルブミン)に対するアミノ酸配列の結合定数(K
A)が、上記細胞外で現れるpH値(複数可)での同じ血清タンパク質に対するアミノ酸配列の結合定数(K
A)の少なくとも5%、例えば少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、例えばさらにより好ましくは少なくとも70%、例えば少なくとも80%又は90%以上(又はさらに100%超、例えば110%超、120%超、又はさらに130%以上、又はさらに150%超、又はさらに200%超)であることを意味する。代替的には、「本質的にpHに依存する」結合とは概して本明細書中では、動物又はヒトの身体の細胞で現れるpH値(複数可)(本明細書中でさらに記載される、例えばpH約5.5、例えば5.3〜5.7)での血清タンパク質(例えば血清アルブミン)に対するアミノ酸配列のk
off速度(ビアコアによって測定される)が、上記細胞外で現れるpH値(複数可)、例えばpH7.2〜7.4での同じ血清タンパク質に対するアミノ酸配列のk
off速度の少なくとも5%、例えば少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、例えばさらにより好ましくは少なくとも70%、例えば少なくとも80%又は90%以上(又はさらに100%超、例えば110%超、120%超、又はさらに130%以上、又はさらに150%超、又はさらに200%超)であることを意味する。「動物又はヒトの身体の細胞で現れるpH値(複数可)」とは、細胞内、特に血清タンパク質の再生に関与する細胞内で現れ得るpH値(複数可)を意味する。特に、「動物又はヒトの身体の細胞で現れるpH値(複数可)」とは、エンドソーム、リソソーム又はピノソーム等の(例えばピノサイトーシス、エンドサイトーシス、トランスサイトーシス、エキソサイトーシス及びファゴサイトーシス、又は同様の上記細胞への取り込み若しくは内在化の機構の結果として)血清タンパク質の再生に関与する、細胞(内)コンパートメント又は小胞内で現れ得るpH値(複数可)を意味する。
【0251】
v)本明細書でさらに記載されるように、ナノボディにおけるアミノ酸残基の総数は、110〜120、好ましくは112〜115の範囲内、及び最も好ましくは113であり得る。しかし、ナノボディの部分、断片、類似体又は誘導体(本明細書中に記載)は、本明細書に概説されるさらなる要求を満たし、また好ましくは本明細書に記載の目的に好適であれば、その長さ及び/又はサイズに特に限定されないことに留意すべきである。
【0252】
w)ナノボディのアミノ酸残基は、Riechmann and Muyldermans, J. Immunol. Methods 2000 Jun 23; 240 (1-2):185-195の論文(例えば本明細書の
図2を参照されたい)においてラクダ由来のV
HHドメインに適用されるように、又は本明細書に参照されるようにKabat et al. ("Sequence of proteins ofimmunological interest", US Public Health Services, NIH Bethesda, MD,Publication No. 91)によって与えられたV
Hドメインに関する一般的なナンバリングに従って数字が付けられる。このナンバリングに従うと、ナノボディのFR1は1位〜30位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR1は31位〜35位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR2は36位〜49位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR2は50位〜65位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR3は66位〜94位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR3は95位〜102位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR4は103位〜113位のアミノ酸残基を含む。[これに関して、V
Hドメイン及びV
HHドメインに関して当該技術分野で既知のように、CDRそれぞれにおけるアミノ酸残基の総数は変わる可能性があり、カバットナンバリングで示されるアミノ酸残基の総数に対応していなくてもよい(即ちカバットナンバリングによる1つ又は複数の位置が実際の配列で占められていなくてもよく、又は実際の配列が、カバットナンバリングが可能な数より多くのアミノ酸残基を含んでいてもよい)ことに留意すべきである。このことは、概してカバットによるナンバリングは、実際の配列におけるアミノ酸残基の実際のナンバリングに対応していても、又は対応していなくてもよいことを意味する。しかし一般的に、CDRにおけるアミノ酸残基の数に関係なく、カバットナンバリングに従うと、カバットナンバリングによる1位は、FR1の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる36位は、FR2の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる66位は、FR3の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる103位は、FR4の出発点に対応する(逆もまた同様)]。
【0253】
V
Hドメインのアミノ酸残基の数字を付ける代替方法(この方法は、類似の方法でラクダ由来のV
HHドメイン及びナノボディに適用することができる)は、Chothia et al.(Nature 342, 877-883(1989))によって説明される方法、いわゆる「AbM定義」及びいわゆる「接触定義」である。しかし本明細書、特許請求の範囲及び図面では、特に他に指示がなければ、Riechmann and MuyldermansによってV
HHドメインに適用されるようなカバットによるナンバリングに従う。
【0254】
x)図面、配列表及び実験部部分/実施例は、本発明をさらに説明するためだけに与えられ、特に他にはっきりと本明細書中に指示がなければ、本発明の範囲及び/又は添付の特許請求の範囲を限定するものとしては決して解釈すべきではない。
【0255】
重鎖抗体及びその可変ドメインの概要に関しては、特に本明細書で言及される従来技術、Reviews in Molecular Biotechnology 74(2001), 277-302におけるMuyldermansによる総説、及び一般的な背景技術として言及される以下の特許出願:Vrije Universiteit Brusselの国際公開第94/04678号パンフレット、国際公開第95/04079号パンフレット、及び国際公開第96/34103号パンフレット;Unileverの国際公開第94/25591号パンフレット、国際公開第99/37681号パンフレット、国際公開第00/40968号パンフレット、国際公開第00/43507号パンフレット、国際公開第00/65057号パンフレット、国際公開第01/40310号パンフレット、国際公開第01/44301号パンフレット、欧州特許第1134231号明細書及び国際公開第02/48193号パンフレット;Vlaams Instituut voor Biotechnologie(VIB)の国際公開第97/49805号パンフレット、国際公開第01/21817号パンフレット、国際公開第03/035694号パンフレット、国際公開第03/054016号パンフレット及び国際公開第03/055527号パンフレット;Algonomics N.V.及びAblynx N. V.の国際公開第03/050531号パンフレット;カナダのNational Research Councilによる国際公開第01/90190号パンフレット;Institute of Antibodiesによる国際公開第03/025020号パンフレット(=欧州特許第1433793号明細書);並びにAblynx N.V.による国際公開第04/041867号パンフレット、国際公開第04/041862号パンフレット、国際公開第04/041865号パンフレット、国際公開第04/041863号パンフレット、国際公開第04/062551号パンフレット、国際公開第05/044858号パンフレット、国際公開第06/40153号パンフレット、国際公開第06/079372号パンフレット、国際公開第06/122786号パンフレット、国際公開第06/122787号パンフレット及び国際公開第06/122825号パンフレット、並びにAblynx N.V.によってさらに公開された特許出願を参照する。これらの出願で言及されるさらなる従来技術、特に国際出願の国際公開第06/040153号パンフレットの41頁〜43頁で言及される参考リストも参照する(このリスト及び参考文献は参照により本明細書に援用される)。
【0256】
当該技術分野で使用される専門用語(上記の参考文献を参照されたい)に従って、天然重鎖抗体に存在する可変ドメインは、この可変ドメインを従来の4鎖抗体に存在する重鎖可変ドメイン(以下「V
Hドメイン」と表す)と、及び従来の4鎖抗体に存在する軽鎖可変ドメイン(以下、「V
Lドメイン」と表す)と区別するために、「V
HHドメイン」とも表される。
【0257】
上記で表された従来技術で言及されるように、V
HHドメインは、単離V
HHドメイン(並びにこれに基づくナノボディ、これは天然V
HHドメインと、これらの構造的特徴及び機能的性質を共有する)及び機能的な抗原結合ドメイン又はタンパク質としての使用に非常に有利である、これを含有するタンパク質を作製する、多くの特有の構造的特徴及び機能的性質を有する。特に、以下に限定されないが、(軽鎖可変ドメインの非存在下で、及びこれとの相互作用が全くなく、自然に抗原と機能的に結合するように「設計」された)V
HHドメイン及びナノボディは、単一で比較的低分子の機能的な抗原結合構造単位、ドメイン又はタンパク質としても機能することができる。このことは、V
HHドメインを従来の4鎖抗体のV
Hドメイン及びV
Lドメインと区別し、概してこれら自体は単一抗原結合タンパク質又はドメインとしての実際の適用に適しておらず、幾つかの形態又は機能的な抗原結合単位を与えるような別の形態で(例えばFab断片等の従来の抗体断片、V
Lドメインと共有結合するV
Hドメインから成るScFv断片等で)組合せる必要がある。
【0258】
これらの特有の性質のために、単一抗原結合タンパク質又は抗原結合ドメインとして(即ちより大きなタンパク質又はポリペプチド部分として)のV
HHドメイン及びナノボディの使用によって、従来のV
Hドメイン及びV
Lドメイン、scFv又はその従来の抗体断片(例えばFab断片又はF(ab’)
2断片)の使用に対する多くの有意な利点が与えられる:
単一ドメインだけが、高い親和性及び高い選択性で抗原と結合することが要求されるので、2つの分離ドメインを存在させる必要もなく、これらの2つのドメインが正しい空間配座及び構造で存在することを(即ち特別に設計されたリンカー(scFv等)の使用によって)確認する必要もない。
V
HHドメイン及びナノボディは単一遺伝子から発現することができ、翻訳後フォールディング又は修飾の必要はない。
V
HHドメイン及びナノボディは、(本明細書でさらに考察されるように)容易に多価及び多重特異性のフォーマットに容易に遺伝子操作することができる。
V
HHドメイン及びナノボディは、高溶解性であり、凝集しにくい(Ward et al., Nature, Vol. 341, 1989, p. 544で記載されるマウス由来の「dAb’s」等)。
V
HHドメイン及びナノボディは、熱、pH、プロテアーゼ及び他の変性剤又は条件に対する安定性が高い(例えば上記のEwert et alを参照されたい)。
V
HHドメイン及びナノボディは、製造で要求される規模であっても調製するのが容易であり、且つ比較的安価である。例えば、V
HHドメイン、ナノボディ、及びこれを含有するタンパク質/ポリペプチドは、微生物発酵を使用して(例えば以下でさらに記載されるように)製造することができ、哺乳動物の発現系(例えば従来の抗体断片)を使用する必要がない。
V
HHドメイン及びナノボディは、従来の4鎖抗体及びその抗原結合断片に比べて比較的低分子(約15kDa、即ち従来のIgGの10分の1)であるため、このような従来の4鎖抗体及びその抗原結合断片よりも高い組織(充実性腫瘍及び他の高密度組織を含むが、これらに限定されない)への浸透性を示す。
V
HHドメイン及びナノボディは、(特に従来のV
Hドメインに比べてCDR3ループが伸長するため)いわゆるキャビティ結合性を示すことができ、したがって従来の4鎖抗体及びその抗原結合断片には接近することができない標的及びエピトープに接近することもできる。例えば、V
HHドメイン及びナノボディは酵素を阻害することができることが分かっている(例えば国際公開第97/49805号パンフレット、Transue et al., Proteins 1998 Sep 1; 32(4): 515-22; Lauwereys et al., EMBO J. 1998 Jul 1; 17(13): 3512-20を参照されたい)。
【0259】
特定の好ましい態様において、本発明は、RANK−Lに対するナノボディ、及び詳細には温血動物由来のRANK−Lに対するナノボディ、及びより詳細には哺乳動物由来のRANK−Lに対するナノボディ、及び具体的にヒトRANK−Lに対するナノボディ、並びに少なくとも1つのこのようなナノボディを含むタンパク質及び/又はポリペプチドを提供する。
【0260】
特に、本発明は、RANK−Lに対する従来の抗体又はその断片に比べて、このような従来の抗体又は抗体断片(Fab’断片、F(ab’)
2断片、ScFv構築物、「ダイアボディ」及び他の多重特異性構築物(例えばHolliger and Hudson, Nat Biotechnol. 2005 Sep; 23(9): 1126-36による総説を参照されたい)等)に基づき得る構築物に比べて、及びまた従来の抗体の可変ドメインに由来し得るいわゆる「dAb」又は同様の(単一)ドメイン抗体に比べて、改善した治療特性及び/又は予防特性、及び/又は他の有益な特性(例えば調製の簡便性の向上、及び/又は製品のコスト低減等)を有するRANK−Lに対するナノボディ、及びこれを含むタンパク質及び/又はポリペプチドを提供する。これらの改善した有益な特性は、本明細書中のさらなる記載から明らかになり、例えばこれらに限定されないが、
一価フォーマット、多価フォーマット(例えば二価フォーマット)のいずれか及び/又は多重特異性のフォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)でのRANK−Lに対する親和性及び/又は結合活性の増大、
多価フォーマット(例えば二価フォーマット)に合わせるのにより良好な適合性、
多重特異性フォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)に合わせるのにより良好な適合性、
「ヒト化」置換(本明細書中で規定)に対する適合性又は感受性の改善、
一価フォーマット、多価フォーマット(例えば二価フォーマット)のいずれか及び/又は多重特異性のフォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)での免疫原性の低下、
一価フォーマット、多価フォーマット(例えば二価フォーマット)のいずれか及び/又は多重特異性のフォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)での安定性の増大、
一価フォーマット、多価フォーマット(例えば二価フォーマット)のいずれか及び/又は多重特異性のフォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)でのRANK−Lに対する特異性の増大、
異なる種由来のRANK−Lとの交差反応性の低減又は所望の増大、及び/又は
一価フォーマット、多価フォーマット(例えば二価フォーマット)のいずれか及び/又は多重特異性のフォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)での薬学的用途(予防的用途及び/又は治療的用途を含む)及び/又は診断的用途(画像化目的への使用を含むが、これに限定されない)に望ましい、1つ又は複数の特性の改善の1つ又は複数が含まれる。
【0261】
概して本発明のアミノ酸配列に対して本明細書中に記載するように、本発明のナノボディは、(本明細書中に規定のように)本質的に単離形態であるか、又は(本明細書中に規定のように)本発明のタンパク質若しくはポリペプチドの一部を形成するのが好ましく、1つ又は複数の本発明のナノボディを含むか、又は本質的にこれから成っていてもよく、任意で1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列(任意で全て1つ又は複数の好適なリンカーを介して)をさらに含んでいてもよい。例えば、限定はしないが、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列は、このようなタンパク質又はポリペプチドにおける結合単位として使用してもよく、全て本明細書中に記載の本発明の一価、多価又は多重特異性のポリペプチドをそれぞれ提供するように、任意で結合単位として(即ちRANK−L以外の1つ又は複数の標的に対して)有用であり得る1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列を含有し得る。特に、このようなタンパク質又はポリペプチドは、本明細書中にさらに記載の一価、多価又は多重特異性のナノボディ構築物をそれぞれ提供するように、任意で全て1つ又は複数の好適なリンカーを介して連結した、1つ又は複数の本発明のナノボディと、任意で1つ又は複数の(他の)(即ちRANK−L以外の標的に指向性を有する)ナノボディとを含み得るか、又は本質的にこれから成り得る。このようなタンパク質又はポリペプチドは、(本明細書中に規定のように)本質的に単離形態であってもよい。
【0262】
本発明のナノボディにおいて、RANK−Lとの結合に関する結合部位は、CDR配列によって形成されるのが好ましい。任意で、本発明のナノボディは、RANK−Lとの結合に関する少なくとも1つの結合部位の他に、他の抗原、タンパク質又は標的との結合に関する1つ又は複数のさらなる結合部位を含有してもよい。このような第2の結合部位を導入する方法及び位置に関しては、例えばKeck and Huston, Biophysical Journal, 71, October 1996, 2002-2011、欧州特許第0640130号明細書、国際公開第06/07260号パンフレットを参照する。
【0263】
本発明のアミノ酸配列に関して本明細書中に概して記載するように、本発明のナノボディ(又はこれを含む本発明のポリペプチド)が、被験体への投与を目的とする場合(例えば本明細書中に記載の治療目的及び/又は診断目的)、本発明のナノボディは、ヒトRANK−Lに指向性を有するのが好ましいが、獣医学的目的では、治療する種由来のRANK−Lに指向性を有するのが好ましい。また、本発明のアミノ酸配列と同様に、本発明のナノボディは交差反応性(即ち、ヒトRANK−L及び本明細書中で言及した種の少なくとも1種の哺乳動物由来のRANK−Lのような2種以上の哺乳動物由来のRANK−Lに対する指向性)を有していても又は有しなくてもよい。
【0264】
またここでも同様に、本発明のアミノ酸配列に関して本明細書中に概して記載するように、本発明のナノボディは概して、RANK−Lの抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット又は立体配置(適用可能な場合)のいずれかに指向性を有し得る。しかしながら概して、本発明のナノボディ(及びこれを含むポリペプチド)は、RANK−L上のRANKに対する結合部位又はRANK−L上のOPGに対する結合部位に指向性を有することが推測され、かかる指向性を有するのが好ましい。本発明の別の態様において、本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、デノスマブのエピトープと重複するRANK−L上のエピトープに対し指向性を有するのが好ましい。
【0265】
本明細書中で既に記載のように、ナノボディのアミノ酸配列及び構造は、これらに限定されないが、4つのフレームワーク領域即ち「FR」(又は「FW」と呼ばれることもある)から構成されていると考えることができ、当該技術分野及び本明細書中でそれぞれ、「フレームワーク領域1」即ち「FR1」、「フレームワーク領域2」即ち「FR2」、「フレームワーク領域3」即ち「FR3」及び「フレームワーク領域4」即ち「FR4」と称され、このフレーム領域の間には、3つの相補性決定領域即ち「CDR」が挿入され、これは当該技術分野でそれぞれ、「相補性決定領域1」即ち「CDR1」、「相補性決定領域2」即ち「CDR2」及び「相補性決定領域3」即ち「CDR3」と称される。本発明のナノボディに存在する、幾つかの好ましいフレームワーク配列及びCDR(及びそれらの組合せ)を本明細書中に記載している。他の好適なCDR配列は、本明細書中に記載の方法によって得ることができる。
【0266】
本発明の非限定的であるが、好ましい態様によれば、本発明のナノボディ(に存在するCDR配列)は、
ナノボディが、10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、及び好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、及びより好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)で(即ち10
5L/モル〜10
12L/モル以上、及び好ましくは10
7L/モル〜10
12L/モル以上、及びより好ましくは10
8L/モル〜10
12L/モルの結合定数(K
A)で)RANK−Lと結合し得るようなもの、及び/又は
ナノボディが、10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1、好ましくは10
3M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、より好ましくは10
4M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1(10
5M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1等)のk
on速度でRANK−Lと結合し得るようなもの、及び/又は
ナノボディが、1s
−1(t
1/2=0.69s)〜10
−6s
−1(t
1/2が数日である略不可逆的な複合体の場合)、好ましくは10
−2s
−1〜10
−6s
−1、より好ましくは10
−3s
−1〜10
−6s
−1(10
−4s
−1〜10
−6s
−1等)のk
off速度でRANK−Lと結合し得るようなものである。
【0267】
好ましくは、本発明のナノボディ(に存在するCDR配列)は、本発明の一価ナノボディ(又は本発明のナノボディを1つだけ含有するポリペプチド)が、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性でRANK−Lと結合するようなものである。
【0268】
例えば本明細書中で言及した、K
D、K
A、k
off又はk
onを測定する一般的技法、及び本明細書中に記載の特定のアッセイの幾つかを使用するそれ自体が既知の方法で、RANK−Lに対する本発明のナノボディの親和性を求めることができる。
【0269】
本発明のナノボディ(及びこれを含むポリペプチド)とRANK−Lとの結合に関する幾つかの好ましいIC
50値は、本明細書中のさらなる記載及び実施例から明らかになる。
【0270】
好ましいが非限定的な態様において、本発明は、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)とから成る、RANK−Lに対する(本明細書中に規定の)ナノボディであって、
CDR1が、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、及び/又は
CDR2が、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、及び/又は
CDR3が、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択される(又はこのようなアミノ酸配列の任意の好適な断片)、ナノボディに関する。
【0271】
特に、好ましいが非限定的なこの態様において、本発明は、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)とから成る、RANK−Lに対する(本明細書中に規定の)ナノボディであって、
CDR1が、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、
CDR2が、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、及び
CDR3が、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択される(又はこのようなアミノ酸配列の任意の好適な断片)、ナノボディに関する。
【0272】
概して本発明のアミノ酸配列に関して本明細書中に言及するように、本発明のナノボディが、b)及び/又はc)による1つ又は複数のCDR1配列を含有する場合、
i)このようなb)及び/又はc)によるCDRにおける任意のアミノ酸置換は、対応するa)によるCDRに比べて保存的なアミノ酸置換(本明細書に規定)であるのが好ましく、及び/又は
ii)b)及び/又はc)によるCDRは、対応するa)によるCDRに比べて、アミノ酸置換だけを含有し、アミノ酸欠失又はアミノ酸挿入を含有しないのが好ましく、及び/又は
iii)b)及び/又はc)によるCDRは、それ自体が既知の1つ又は複数の親和性成熟技法を用いる親和性成熟によって、a)によるCDRから誘導されるCDRであり得る。
【0273】
同様に本発明のナノボディが、e)及び/又はf)による1つ又は複数のCDR2配列を含有する場合、
i)このようなe)及び/又はf)によるCDRにおける任意のアミノ酸置換は、対応するd)によるCDRに比べて保存的なアミノ酸置換(本明細書に規定)であるのが好ましく、及び/又は
ii)e)及び/又はf)によるCDRは、対応するd)によるCDRに比べて、アミノ酸置換だけを含有し、アミノ酸欠失又はアミノ酸挿入を含有しないのが好ましく、及び/又は
iii)e)及び/又はf)によるCDRは、それ自体が既知の1つ又は複数の親和性成熟技法を用いる親和性成熟によって、d)によるCDRから誘導されるCDRであり得る。
【0274】
また同様に本発明のナノボディが、h)及び/又はi)による1つ又は複数のCDR3配列を含有する場合、
i)このようなh)及び/又はi)によるCDRにおける任意のアミノ酸置換は、対応するg)によるCDRに比べて保存的なアミノ酸置換(本明細書に規定)であるのが好ましく、及び/又は
ii)h)及び/又はi)によるCDRは、対応するg)によるCDRに比べて、アミノ酸置換だけを含有し、アミノ酸欠失又はアミノ酸挿入を含有しないのが好ましく、及び/又は
iii)h)及び/又はi)によるCDRは、それ自体が既知の1つ又は複数の親和性成熟技法を用いる親和性成熟によって、g)によるCDRから誘導されるCDRであり得る。
【0275】
概して上述の3つの段落は、b)、c)、e)、f)、h)又はi)によるCDR1配列、CDR2配列及び/又はCDR3配列をそれぞれ1つ又は複数含む、本発明のいずれのナノボディにも適用することを理解されたい。
【0276】
詳細には、本発明のナノボディの中でも上記で明示的に列挙したCDRを1つ又は複数含むナノボディが好ましく、より詳細には、上記で明示的に列挙したCDRを2つ以上含むナノボディが好ましく、最も詳細には、上記で明示的に列挙したCDRを3つ含むナノボディが好ましい。
【0277】
CDR配列の幾つかの特に好ましいが非限定的な組合せ、及びCDR配列とフレームワーク配列との好ましい組合せは以下の表A−1で言及し、表A−1は、多くの好ましい(が非限定的な)本発明のナノボディに存在するCDR配列及びフレームワーク配列を挙げている。当業者にとって明らかなように、同じクローンで発生するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の組合せ(即ち表A−1で同じ列で言及するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列)が、通常好ましい(が、本発明はその最も広い意味でこれらに限定されず、表A−1で言及するCDR配列の他の好適な組合せも含む)。また、同じクローンで発生するCDR配列とフレームワーク配列との組合せ(即ち表A−1で同じ列で言及するCDR配列及びフレームワーク配列)が、通常好ましい(が、本発明はその最も広い意味でこれらに限定されず、表A−1で言及するCDR配列とフレームワーク配列との他の好適な組合せ、並びに例えば本明細書中にさらに記載のこのようなCDR配列と他の好適なフレームワーク配列との組合せも含む)。
【0278】
また、表A−1で言及するCDRの組合せを含む本発明のナノボディにおいて、各CDRを、言及したCDRと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で規定)を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるCDRで置き換えることができ、ここで
i)このようなCDRにおける任意のアミノ酸置換は、対応する表A−1で言及するCDR配列に比べて保存的なアミノ酸置換(本明細書に規定)であるのが好ましく、及び/又は
ii)任意のこのようなCDR配列は、対応する表A−1で言及するCDR配列に比べて、アミノ酸置換だけを含有し、アミノ酸欠失又はアミノ酸挿入を含有しないのが好ましく、及び/又は
iii)任意のこのようなCDR配列は、それ自体が既知の親和性成熟技法によって誘導する、特に対応する表A−1で言及するCDR配列から開始するCDRである。
【0279】
しかしながら、当業者にとって明らかなように、表A−1で言及するCDR配列(の組合せ)、及びCDR配列とフレームワーク配列(との組合せ)が概して好ましい。
【0280】
表A−1:CDR配列の好ましい組合せ、フレームワーク配列の好ましい組合せ、及びフレームワーク配列とCDR配列との好ましい組合せ
(「ID」は添付の配列表中の配列番号を示す)
【表2】
【0281】
このように、本発明のナノボディにおいて、存在するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の少なくとも1つは、それぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列から成る群、又はそれぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の少なくとも1つとの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の「配列同一性」(本明細書で規定)を有するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列それぞれの群、及び/又はそれぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つだけの「アミノ酸差異(複数可)」(本明細書で規定)を有するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列それぞれから成る群から好適に選択される。
【0282】
これに関して、「好適に選択される」とは、適用可能な場合、それぞれCDR1配列が、好適なCDR1配列(即ち本明細書中で規定)から選択され、CDR2配列が、好適なCDR2配列(即ち本明細書中で規定)から選択され、CDR3配列が、好適なCDR3配列(即ち本明細書中で規定)から選択されることを意味する。より詳細には、CDR配列は、本発明のナノボディが、本明細書に規定されるようなものである、(本明細書にさらに記載されるように(実際又は見掛けの)K
D値、(実際又は見掛けの)K
A値、k
on速度及び/又はk
off速度、又は代替的にIC
50値として好適に測定される、及び/又は表される)親和性でRANK−Lと結合するように選択されるのが好ましい。
【0283】
特に、本発明のナノボディにおいて、少なくとも存在するCDR3配列は、表A−1で列挙するCDR3配列から成る群、又は表A−1で列挙するCDR3配列の少なくとも1つとの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR3配列の群、及び/又は表A−1で列挙するCDR3配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つだけのアミノ酸差異(複数可)を有するCDR3配列から成る群から好適に選択される。
【0284】
好ましくは、本発明のナノボディにおいて、存在するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の少なくとも2つは、それぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列から成る群、又はそれぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の少なくとも1つとの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列それぞれから成る群、及び/又はそれぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つだけの「アミノ酸差異(複数可)」を有するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列それぞれから成る群から好適に選択される。
【0285】
特に、本発明のナノボディにおいて、少なくとも存在するCDR3配列は、表A−1で列挙するCDR3配列から成る群、又はそれぞれ表A−1で列挙するCDR3配列の少なくとも1つとの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR3配列の群から好適に選択され、存在するCDR1配列及びCDR2配列の少なくとも1つは、それぞれ表A−1で列挙するCDR1配列及びCDR2配列から成る群、又はそれぞれ表A−1で列挙するCDR1配列及びCDR2配列の少なくとも1つとの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR1配列及びCDR2配列それぞれの群、及び/又はそれぞれ表A−1で列挙するCDR1配列及びCDR2配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つだけのアミノ酸差異(複数可)を有するCDR1配列及びCDR2配列それぞれから成る群から好適に選択される。
【0286】
最も好ましくは、本発明のナノボディにおいて、存在する3つ全てのCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列は、それぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列から成る群、又はそれぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の少なくとも1つとの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列それぞれの群、及び/又はそれぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つだけのアミノ酸差異(複数可)を有するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列それぞれから成る群から好適に選択される。
【0287】
さらにより好ましくは、本発明のナノボディにおいて、存在するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の少なくとも1つは、それぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列から成る群から好適に選択される。好ましくはこの態様では、存在する他の2つのCDR配列の少なくとも1つ又は好ましくは両方が、それぞれ表A−1で列挙する対応するCDR配列の少なくとも1つとの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR配列から、及び/又はそれぞれ表A−1で列挙する対応する配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つだけのアミノ酸差異(複数可)を有するCDR配列から成る群から好適に選択される。
【0288】
特に、本発明のナノボディにおいて、少なくとも存在するCDR3配列は、表A−1で列挙するCDR3から成る群から好適に選択される。好ましくはこの態様では、存在するCDR1配列及びCDR2配列の少なくとも1つ及び好ましくは両方は、それぞれ表A−1で列挙するCDR1配列及びCDR2配列との少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR1配列及びCDR2配列それぞれの群、及び/又はそれぞれ表A−1で列挙するCDR1配列及びCDR2配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つだけのアミノ酸差異(複数可)を有するCDR1配列及びCDR2配列それぞれから成る群から好適に選択される。
【0289】
さらにより好ましくは、本発明のナノボディにおいて、存在するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の少なくとも2つは、それぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列から成る群から好適に選択される。好ましくはこの態様では、存在する残りのCDR配列が、表A−1で列挙する対応するCDR配列の少なくとも1つとの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR配列の群、及び/又は表A−1で列挙する対応する配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つだけのアミノ酸差異(複数可)を有するCDR配列から成る群から好適に選択される。
【0290】
特に、本発明のナノボディにおいて、少なくともCDR3配列は、表A−1で列挙するCDR3配列から成る群から好適に選択され、CDR1配列又はCDR2配列のいずれかは、それぞれ表A−1で列挙するCDR1配列及びCDR2配列から成る群から好適に選択される。好ましくはこの態様では、存在する残りのCDR配列は、表A−1で列挙する対応するCDR配列の少なくとも1つとの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR配列の群、及び/又は表A−1で列挙する対応するCDR配列との、3つ、2つ若しくは1つだけのアミノ酸差異(複数可)を有するCDR配列から成る群から好適に選択される。
【0291】
さらにより好ましくは、本発明のナノボディにおいて、存在する3つ全てのCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列は、それぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列から成る群から好適に選択される。
【0292】
また概して、表A−1で列挙するCDRの組合せ(即ち表A−1の同じ列で言及されるもの)が好ましい。したがって、概して、本発明のナノボディにおけるCDRが、表A−1で言及されるCDR配列であるか、又は表A−1で列挙するCDR配列との少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR配列の群、及び/又は表A−1で列挙するCDR配列との、3つ、2つ若しくは1つだけのアミノ酸差異(複数可)を有するCDR配列から成る群から好適に選択される場合、他のCDRの少なくとも1つ及び好ましくは両方が、表A−1での同じ組合せに属する(即ち表A−1で同じ列に言及される)CDR配列から好適に選択されるか、又は同じ組合せに属するCDR配列(複数可)と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR配列の群、及び/又は同じ組合せに属するCDR配列(複数可)との、3つ、2つ若しくは1つだけのアミノ酸差異(複数可)を有するCDR配列から成る群から好適に選択される。上記段落で示した他の参考文献は、表A−1で言及されるCDRの組合せにも適用される。
【0293】
このように、非限定的な例によって、例えば本発明のナノボディは、表A−1で言及されるCDR1配列の1つとの80%を超える配列同一性を有するCDR1配列と、表A−1で言及される(が、異なる組合せに属する)CDR2配列の1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するCDR2配列と、CDR3配列とを含むことができる。
【0294】
例えば、本発明の幾つかの好ましいナノボディは、(1)表A−1で言及されるCDR1配列の1つとの80%を超える配列同一性を有するCDR1配列と、表A−1で言及される(が、異なる組合せに属する)CDR2配列の1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するCDR2配列と、表A−1で言及される(が、異なる組合せに属する)CDR3配列の1つとの80%を超える配列同一性を有するCDR3配列と、又は(2)表A−1で言及されるCDR1配列の1つとの80%を超える配列同一性を有するCDR1配列と、CDR2配列と、表A−1で列挙するCDR3配列の1つと、又は(3)CDR1配列と、表A−1で列挙するCDR2配列の1つとの80%を超える配列同一性を有するCDR2配列と、CDR2配列と同じ組合せに属する、表A−1で言及されるCDR3配列との、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するCDR3配列とを含み得る。
【0295】
例えば、幾つかの特に好ましい本発明のナノボディは、(1)表A−1で言及されるCDR1配列の1つとの80%を超える配列同一性を有するCDR1配列と、同じ組合せに属する、表A−1で言及されるCDR2配列との、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するCDR2配列と、同じ組合せに属する、表A−1で言及されるCDR3配列との80%を超える配列同一性を有するCDR3配列と、(2)CDR1配列と、表A−1で列挙するCDR2配列と、表A−1で列挙するCDR3配列(CDR2配列及びCDR3配列は異なる組合せに属してもよい)とを含み得る。
【0296】
例えば、幾つかのさらにより好ましい本発明のナノボディは、(1)表A−1で言及されるCDR1配列の1つとの80%を超える配列同一性を有するCDR1配列と、同じ組合せに属する、表A−1で列挙するCDR2配列の1つと、異なる組合せに属する、表A−1で言及されるCDR3配列と、又は(2)表A−1で言及されるCDR1配列と、同じ組合せに属する、表A−1で言及されるCDR2配列との、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するCDR2配列と、同じ又は異なる組合せに属する、表A−1で列挙するCDR3配列との80%を超える配列同一性を有するCDR3配列とを含み得る。
【0297】
例えば、特に好ましい本発明のナノボディは、表A−1で言及されるCDR1配列と、同じ組合せに属する、表A−1で言及されるCDR2配列との80%を超える配列同一性を有するCDR2配列と、同じ組合せに属する、表A−1で言及されるCDR3配列とを含み得る。
【0298】
最も好ましい本発明のナノボディにおいて、存在するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列は、それぞれ表A−1で列挙するCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列の組合せの1つから好適に選択される。
【0299】
別の好ましいが非限定的な本発明の態様によれば、(a)CDR1は、1個〜12個のアミノ酸残基長、及び通常2個〜9個のアミノ酸残基(5個、6個又は7個のアミノ酸残基等)長を有し、及び/又は(b)CDR2は、13個〜24個のアミノ酸残基長、及び通常15個〜21個のアミノ酸残基(16個及び17個のアミノ酸残基等)長を有し、及び/又は(c)CDR3は、2個〜35個のアミノ酸残基長、及び通常3個〜30個のアミノ酸残基(6個〜23個のアミノ酸残基等)長を有する。
【0300】
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明は、CDR配列(本明細書中に規定)が、配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つのCDR配列との80%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超(99%以上等)の配列同一性(本明細書中に規定)を有するナノボディに関する。
【0301】
概して、上記CDR配列を有するナノボディは、本明細書中でさらに記載するようなものとすることができ、また好ましくは、同様に本明細書中にさらに記載のフレームワーク配列を有し得る。したがって例えば、本明細書中で言及されるように、このようなナノボディは、(任意の好適な種由来の)天然ナノボディ、天然V
HH配列(即ち好適なラクダ科動物種由来)、又は部分ヒト化ナノボディ又はV
HH配列、完全ヒト化ナノボディ又はV
HH配列、ラクダ化重鎖可変ドメイン配列、並びに本明細書中で言及される技法で得られたナノボディを含むが、これらに限定されない、合成若しくは半合成のアミノ酸配列若しくはナノボディであり得る。
【0302】
したがって、具体的であるが、非限定的な一態様において、本発明は、ヒト化ナノボディであって、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)とから成り、CDR1〜CDR3が本明細書中に規定され、該ヒト化ナノボディが、少なくとも1つのヒト化置換(本明細書中に規定)、及び特にそのフレームワーク配列の少なくとも1つにおける少なくとも1つのヒト化置換(本明細書中に規定)を含む、ヒト化ナノボディに関する。
【0303】
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明は、CDR配列が、配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つのCDR配列との少なくとも70%のアミノ酸同一性、好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは90%のアミノ酸同一性(95%以上のアミノ酸同一性等)、又はさらに本質的に100%のアミノ酸同一性を有するナノボディに関する。例えば、該ナノボディと配列番号560〜配列番号621の配列の1つ又は複数との(本明細書中に記載の方法での)アミノ酸同一性の程度を求めることによって、このアミノ酸同一性の程度を求めることができ、フレームワーク領域を形成するアミノ酸残基は無視する。このようなナノボディは、本明細書中でさらに記載するようなものであり得る。
【0304】
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明は、配列番号560〜配列番号621から成る群、又は配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つとの80%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超(99%以上等)の配列同一性(本明細書で規定)を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を有するナノボディに関する。
【0305】
別の好ましいが非限定的な本発明の態様は、対応する天然V
HH配列に比べて、少なくとも1つのヒト化置換(本明細書中に規定)、及び特にそのフレームワーク配列の少なくとも1つにおける少なくとも1つのヒト化置換(本明細書中に規定)を含む、配列番号560〜配列番号621のナノボディのヒト化変異体に関する。このようなヒト化変異体の幾つかの好ましいが非限定的な例は、配列番号730〜配列番号757及び配列番号765のヒト化ナノボディである。したがって、本発明は、配列番号730〜配列番号757及び配列番号765から成る群から、又は配列番号730〜配列番号757及び配列番号765のアミノ酸配列の少なくとも1つとの80%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超(99%以上等)の配列同一性(本明細書中で規定)を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を有するヒト化ナノボディにも関する(ここで、アミノ酸配列の後者の群から選択されるアミノ酸配列は、対応する配列番号730〜配列番号757及び配列番号765の配列に存在するヒト化置換の少なくとも1つを保持していれば、対応する配列番号730〜配列番号757及び配列番号765の配列に比べてより多くの数又はより小さい数のヒト化置換を含有してもよい)。
【0306】
本発明のポリペプチドは、少なくとも1つの本発明のナノボディを含むか、又は本質的にこれから成る。本発明のポリペプチドの幾つかの好ましいが非限定的な例は、配列番号622〜配列番号729、配列番号759〜配列番号762、及び配列番号766〜配列番号789で与えられる。
【0307】
「好ましい」(又は「より好ましい」、「さらにより好ましい」等)と本明細書中で言及されるナノボディが、本明細書中に記載のポリペプチドで使用するのにも好ましい(又はより好ましい、又はさらにより好ましい等)ことは、当業者にとって明らかである。このように概して、1つ又は複数の「好ましい」本発明のナノボディを含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチドが好ましく、概して1つ又は複数の「より好ましい」本発明のナノボディを含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチドがより好ましい。
【0308】
概して、単一のナノボディ(本発明の単一のナノボディ等)を含むか、又は本質的にこれから成るタンパク質又はポリペプチドは、本明細書で「一価」タンパク質若しくはポリペプチド、又は「一価構築物」と呼ばれる。2つ以上のナノボディ(少なくとも2つの本発明のナノボディ、又は少なくとも1つの本発明のナノボディ及び少なくとも1つの他のナノボディ等)を含むか、又は本質的にこれから成るタンパク質及びポリペプチドは、本明細書で「多価」タンパク質若しくはポリペプチド、又は「多価構築物」と呼ばれ、これらは、対応する本発明の一価のナノボディに比べて或る特定の利点を与え得る。このような多価構築物の幾つかの非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0309】
具体的であるが、非限定的な一態様によれば、本発明のポリペプチドは、少なくとも2つの本発明のナノボディ、例えば2つ又は3つの本発明のナノボディを含むか、又は本質的にこれから成る。本明細書中にさらに記載のように、このような多価構築物は、本発明の単一ナノボディを含むか、又はこれから成るタンパク質又はポリペプチドに比べて、RANK−Lに対する結合活性が大きく改善する等、或る特定の利点を与えることができる。このような多価構築物は、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかであり、このような多価ナノボディ構築物の幾つかの好ましいが非限定的な例は、配列番号622〜配列番号693、配列番号761〜配列番号762、配列番号766〜配列番号773(二価)及び配列番号694〜配列番号729及び配列番号759〜配列番号760(三価)の構築物である。
【0310】
具体的であるが、非限定的な別の態様によれば、本発明のポリペプチドは、少なくとも1つの本発明のナノボディと、少なくとも1つの他の結合単位(即ち別のエピトープ、抗原、標的、タンパク質又はポリペプチドに指向性を有する)とを含むか、又は本質的にこれから成り、これは好ましくはナノボディでもある。このようなタンパク質又はポリペプチドは、本明細書中で「多重特異性」タンパク質若しくはポリペプチド、又は「多重特異性構築物」とも称され、これらは、(好ましいが非限定的な幾つかの多重特異性構築物の本明細書中のさらなる考察から明らかになるように)対応する本発明の一価ナノボディに比べて或る特定の利点を与え得る。このような多重特異性構築物は、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかであり、このような多重特異性ナノボディ構築物の幾つかの好ましいが非限定的な例は、配列番号694〜配列番号729及び配列番号759〜配列番号790の構築物である。
【0311】
さらに別の具体的であるが、非限定的な態様によれば、本発明のポリペプチドは、少なくとも1つの本発明のナノボディと、任意で1つ又は複数のさらなるナノボディと、本発明のナノボディに及び/又は得られた融合タンパク質に少なくとも1つの所望の特性を与える少なくとも1つの他のアミノ酸配列(タンパク質又はポリペプチド等)とを含むか、又は本質的にこれから成る。ここでも同様に、このような融合タンパク質は、対応する本発明の一価ナノボディに比べて或る特定の利点を与え得る。このようなアミノ酸配列及びこのような融合構築物の幾つかの非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0312】
例えば2つ以上の上記の態様を組合せて、2つの本発明のナノボディと、1つの他のナノボディと、任意で1つ又は複数の他のアミノ酸配列とを含む三価の二重特異性構築物を提供することも可能である。このような構築物、及び本発明の背景内で特に好ましい幾つかの構築物のさらなる非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0313】
上記の構築物において、1つ又は複数のナノボディ及び/又は他のアミノ酸配列は、互いに直接連結しても、及び/又は1つ又は複数のリンカー配列を介して互いに好適に連結してもよい。このようなリンカーの幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0314】
具体的な本発明の一態様において、本発明のナノボディ、又は少なくとも1つの本発明のナノボディを含む、本発明の化合物、構築物若しくはポリペプチドの半減期は、対応する本発明のアミノ酸配列に比べて増大し得る。このようなナノボディ、化合物及びポリペプチドの幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書中のさらなる開示に基づき、当業者にとって明らかになり、例えば(例えばペグ化によって)半減期が増大するように化学修飾した本発明のナノボディ配列又はポリペプチド;血清タンパク質(血清アルブミン等)との結合に関する、少なくとも1つのさらなる結合部位を含む本発明のアミノ酸配列;又は本発明のナノボディの半減期を増大させる、少なくとも1つの部位(特に少なくとも1つのアミノ酸配列)と連結する、少なくとも1つの本発明のナノボディを含む本発明のポリペプチドを含む。このような半減期が延びた部位又はアミノ酸配列を含む本発明のポリペプチドの例は、本明細書中のさらなる開示に基づき、当業者にとって明らかになり、例えば1つ又は複数の本発明のナノボディが、1つ又は複数の血清タンパク質若しくはその断片(血清アルブミン又はその好適な断片等)、又は血清タンパク質と結合することができる、1つ又は複数の結合単位(例えば血清アルブミン等の血清タンパク質、IgG等の血清免疫グロブリン、又はトランスフェリンと結合することができるナノボディ又は(単一)ドメイン抗体等)と好適に連結するポリペプチド;本発明のナノボディがFc部分(ヒトFc等)又はその好適な部分若しくは断片と連結するポリペプチド(本発明は例えば、ナノボディが異なるサイズのリンカーによってFc部分と好適に連結してRANK−Lの分子内及び/又は分子間結合を可能にする);又は1つ又は複数の本発明のナノボディが、血清タンパク質と結合することができる、1つ又は複数の小さいタンパク質又はペプチドと好適に連結するポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない(例えば国際公開第91/01743号パンフレット、国際公開第01/45746号パンフレット、国際公開第02/076489号パンフレット、及び2006年12月5日付で出願したAblynx N.V.の"Peptides capable ofbinding to serum proteins"と題したAblynx N.V.の米国仮特許出願(国際出願PCT/EP/2007/063348号明細書も参照されたい)に記載のタンパク質及びペプチドであるが、これに限定されない)。
【0315】
さらに、当業者にとって明らかなように、このようなナノボディ、化合物、構築物又はポリペプチドは、三重特異性又は多重特異性ナノボディ構築物を提供するように、1つ又は複数のさらなる基、残基、部位、又は結合単位(例えば1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列、特に1つ又は複数のさらなるナノボディ(即ちRANK−Lに指向性を有しない))を含有し得る。
【0316】
概して、半減期が増大した本発明のナノボディ(又はこれを含む化合物、構築物若しくはポリペプチド)は、対応する本発明のアミノ酸配列自体の半減期の少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍(少なくとも5倍等)、例えば少なくとも10倍又は20倍を超える半減期を有する。例えば、半減期が増大した本発明のナノボディ、化合物、構築物又はポリペプチドは、対応する本発明のアミノ酸配列自体に比べて、半減期が1時間を超えて、好ましくは2時間を超えて、より好ましくは6時間を超えて(12時間等を超えて)、又はさらに24時間、48時間若しくは72時間を超えて増大し得る。
【0317】
好ましいが非限定的な本発明の態様において、このような本発明のナノボディ、化合物、構築物又はポリペプチドは、少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも48時間、さらにより好ましくは少なくとも72時間以上のヒトにおける血清半減期を示す。例えば本発明の化合物又はポリペプチドは、少なくとも5日(約5日〜10日等)、好ましくは少なくとも9日(約9日〜14日等)、より好ましくは少なくとも約10日(約10日〜15日等)、若しくは少なくとも約11日(約11日〜16日等)、より好ましくは少なくとも約12日(約12日〜18日以上等)、又は14日超(約14日〜19日等)の半減期を有し得る。
【0318】
本発明の別の一態様では、本発明のポリペプチドは、得られた本発明のポリペプチドが血液脳関門を横断するのを可能にする(任意で1つ又は複数の好適なリンカー配列を介して)1つ又は複数(例えば2つ及び好ましくは1つ)のアミノ酸配列に連結する、1つ又は複数(例えば2つ又は好ましくは1つ)の本発明のナノボディを含む。特に、得られた本発明のポリペプチドが血液脳関門を横断するのを可能にする上記1つ又は複数のアミノ酸配列は、1つ又は複数の(例えば2つ及び好ましくは1つ)ナノボディ、例えば、国際公開第02/057445号パンフレットに記載のナノボディ(好ましい例は、FC44(国際公開第06/040153号パンフレットの配列番号189)及びFC5(国際公開第06/040154号パンフレットの配列番号190)である)であり得る。
【0319】
特に、1つ又は複数の本発明のナノボディを含むポリペプチドは、
10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、及び好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、及びより好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)で(即ち10
5L/モル〜10
12L/モル以上、及び好ましくは10
7L/モル〜10
12L/モル以上、及びより好ましくは10
8L/モル〜10
12L/モルの結合定数(K
A)で)RANK−Lと結合するようなもの、及び/又は
10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1、好ましくは10
3M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、より好ましくは10
4M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1(10
5M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1等)のk
on速度でRANK−Lと結合するようなもの、及び/又は
1s
−1(t
1/2=0.69s)〜10
−6s
−1(t
1/2が数日である略不可逆的な複合体の場合)、好ましくは10
−2s
−1〜10
−6s
−1、より好ましくは10
−3s
−1〜10
−6s
−1(10
−4s
−1〜10
−6s
−1等)のk
off速度でRANK−Lと結合するようなものであるのが好ましい。
【0320】
好ましくは、本発明のアミノ酸配列を1つだけ含有するポリペプチドが、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性でRANK−Lと結合するようなものである。これに対して、本発明のナノボディを2つ以上含有するポリペプチドは、本発明のアミノ酸配列を1つだけ含有するポリペプチドに比べて、増大した結合活性でRANK−Lと結合することができることが当業者には明らかである。
【0321】
本発明のアミノ酸配列又はポリペプチドとRANK−Lとの結合に関する幾つかの好ましいIC
50値は、本明細書のさらなる記載及び実施例から明らかになる。
【0322】
本発明の好ましいこの態様による他のポリペプチドは例えば、配列番号622〜配列番号729、配列番号759〜配列番号762、及び配列番号766〜配列番号773のアミノ酸配列の1つ又は複数との80%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超(99%以上等)の「配列同一性」(本明細書で規定)を有するアミノ酸配列から成る群から選択され得る。該アミノ酸配列内に含まれるナノボディは、本明細書中にさらに規定されるようなものが好ましい。
【0323】
本発明の別の態様は、本発明のアミノ酸配列(本発明のナノボディ等)をコードする核酸、又はこれを含む本発明のポリペプチドに関する。さらに、本発明の核酸に関して本明細書中に概して記載するように、このような核酸は、本明細書中に規定のように遺伝子構築物の形態であり得る。
【0324】
別の態様において、本発明は、本発明のアミノ酸配列(ナノボディ等)及び/又はこれを含む本発明のポリペプチドを発現するか、又は発現することができる、及び/又は本発明の核酸を含有する宿主又は宿主細胞に関する。このような宿主又は宿主細胞の幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0325】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの本発明のアミノ酸配列と、少なくとも1つの本発明のポリペプチド及び/又は少なくとも1つの本発明の核酸と、任意で(即ち組成物の使用目的に応じて)それ自体が既知のこのような組成物の1つ又は複数のさらなる成分とを含有するか又は含む産物又は組成物に関する。このような産物又は組成物は例えば、(本明細書に記載の)薬学的組成物、獣医学的組成物又は(同様に本明細書に記載の)診断用途のための産物又は組成物であり得る。このような産物又は組成物の幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0326】
本発明はさらに、本明細書中に記載のアミノ酸配列、化合物、構築物、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、産物及び組成物を調製又は生成する方法に関する。このような方法の幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0327】
本発明はさらに、本明細書中に記載のアミノ酸配列、化合物、構築物、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、産物及び組成物の適用及び使用、並びにRANK−Lに関連する疾患及び障害を予防及び/又は治療する方法に関する。幾つかの好ましいが非限定的な適用及び使用は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0328】
また本発明の他の態様、実施形態、利点及び用途は、本明細書中の以下のさらなる記載から明らかになる。
【0329】
概して、最も広い意味で本明細書で使用される用語ナノボディは、特定の生物学的供給源又は特定の調製方法に限定されないことに留意すべきである。例えば、以下でより詳細に考察されるように、本発明のナノボディは概して、(1)天然の重鎖抗体のV
HHドメインを単離すること、(2)天然のV
HHドメインをコードするヌクレオチド配列の発現、(3)天然V
HHドメインの(本明細書に記載の)「ヒト化」、又はこのようなヒト化V
HHドメインをコードする核酸の発現、(4)任意の動物種、特に哺乳動物種(例えばヒト)由来の天然V
Hドメインの(本明細書に記載の)「ラクダ化」、又はこのようなラクダ化V
Hドメインをコードする核酸の発現、(5)Ward et al(上記)によって記載されるような「ドメイン抗体」若しくは「Dab」の「ラクダ化」、又はこのようなラクダ化V
Hドメインをコードする核酸の発現、(6)それ自体が既知である、タンパク質、ポリペプチド又は他のアミノ酸配列を調製するのに合成技法又は半合成技法を使用すること、(7)それ自体が既知である核酸合成技法を使用して、ナノボディをコードする核酸を調製した後、このようにして得られた核酸を発現すること、及び/又は(8)上記の任意の組合せの1つ又は複数によって得ることができることに留意すべきである。上記を実施するのに好適な方法及び技法は、本明細書中の開示に基づいて当業者にとって明らかであり、例えば本明細書でより詳細に記載される方法及び技法を含む。
【0330】
1つの好ましい群のナノボディは、RANK−Lに指向性を有する天然重鎖抗体のV
HHドメインに対応する。本明細書にさらに記載されるように、このようなV
HH配列は概して、RANK−Lをラクダ種に好適に(即ち免疫応答及び/又はRANK−Lに指向性を有する重鎖抗体を生じるように)免疫付与すること、該ラクダ由来の好適な生体サンプル(例えば血液サンプル、血清サンプル又はB細胞のサンプル)を得ること、及びそれ自体が既知の任意の好適な技法を使用して、該サンプルからRANK−Lに指向性を有するV
HH配列を生成することによって、生成又は入手することができる。このような技法は、当業者にとって明らかであり、及び/又は本明細書でさらに記載される。
【0331】
代替的に、RANK−Lに対するこのような天然V
HHドメインは、例えばそれ自体が既知の1つ又は複数のスクリーニング技法を用いて、RANK−L、又は少なくとも1つのその部分、断片、抗原決定基若しくはエピトープを使用して、このようなライブラリをスクリーニングすることによってラクダV
HH配列のナイーブライブラリから得ることができる。このようなライブラリ及び技法は例えば、国際公開第99/37681号パンフレット、国際公開第01/90190号パンフレット、国際公開第03/025020号パンフレット及び国際公開第03/035694号パンフレットに記載されている。代替的に、ナイーブV
HHライブラリ由来の改良型の合成ライブラリ又は半合成ライブラリ(例えばランダム突然変異法及び/又はCDRシャッフリング(例えば国際公開第00/43507号パンフレットに記載されているようなもの)等の技法によって、ナイーブV
HHライブラリから得られるV
HHライブラリ)を使用してもよい。
【0332】
このように、別の態様において、本発明は、RANK−Lに指向性を有するナノボディを生成する方法に関する。一態様では、該方法は少なくとも、
a)ナノボディ配列のセット、コレクション又はライブラリを準備する工程と、
b)RANK−Lと結合することができる、及び/又はRANK−Lに対する親和性を有するナノボディ配列に関して、上記のナノボディ配列のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングする工程と、
c)RANK−Lと結合することができる、及び/又はRANK−Lに対する親和性を有するアミノ酸配列(複数可)を単離する工程とを含む。
【0333】
このような方法では、ナノボディ配列のセット、コレクション又はライブラリは、ナノボディ配列のナイーブセット、ナイーブコレクション又はナイーブライブラリ、ナノボディ配列の合成又は半合成のセット、コレクション又はライブラリ、及び/又は親和性成熟を受けているナノボディ配列のセット、コレクション又はライブラリであり得る。
【0334】
この方法の好ましい態様では、ナノボディ配列のセット、コレクション又はライブラリは、RANK−L、又はこれに基づく若しくはこれに由来する好適な抗原決定基(例えばその抗原の部分、断片、領域、ドメイン、ループ又は他のエピトープ)を好適に免疫付与したラクダ種に由来している、ナノボディ配列の免疫セット、免疫コレクション又は免疫ライブラリ、特にV
HH配列の免疫セット、免疫コレクション又は免疫ライブラリであり得る。特定の一態様では、該抗原決定基は、細胞外の部分、領域、ドメイン、ループ又は他の細胞外エピトープ(複数可)であり得る。
【0335】
上記の方法において、ナノボディ配列又はV
HH配列のセット、コレクション又はライブラリは、スクリーニングを容易にするように、ファージ、ファージミド、リボソーム又は好適な微生物(酵母等)上に提示してもよい。ナノボディ配列(のセット、コレクション又はライブラリ)を提示及びスクリーニングするのに好適な方法、技法及び宿主生物は、例えば本明細書中のさらなる開示に基づいて当業者にとって明らかである。国際公開第03/054016号パンフレット及びNature Biotechnology, 23, 9, 1105-1116(2005)におけるHoogenboomによる総説も参照されたい。
【0336】
別の態様において、ナノボディ配列を生成する方法は、少なくとも
a)免疫グロブリン配列を発現するラクダ種由来の細胞のコレクション又は試料を準備する工程と、
b)(i)RANK−Lと結合することができる、及び/又はRANK−Lに対する親和性を有する免疫グロブリン配列を発現する細胞、(ii)重鎖抗体を発現する細胞に関して上記細胞のコレクション又は試料をスクリーニングする工程であって、RANK−Lと結合することができる、及び/又はRANK−Lに対して親和性を有する重鎖抗体を発現する細胞を少なくとも1つ提供するように、本質的に単一のスクリーニング工程として、又は2つの別々のスクリーニング工程として任意の好適な順番で下位工程(i)及び(ii)を実施することができる、スクリーニングする工程と、
c)(i)上記重鎖抗体に存在するV
HH配列を上記細胞から単離する工程、又は(ii)該重鎖抗体に存在するV
HH配列をコードする核酸配列を該細胞から単離し、その後該V
HHドメインを発現する、単離する工程のいずれかとを含む。
【0337】
この態様による方法において、細胞のコレクション又は試料は例えば、B細胞のコレクション又は試料であり得る。また、この方法では、細胞の試料は、RANK−L、又はこれに基づく若しくはこれに由来する好適な抗原決定基(例えばその抗原の部分、断片、領域、ドメイン、ループ又は他のエピトープ)を好適に免疫付与したラクダ科動物に由来し得る。特定の一態様では、該抗原決定基は、細胞外の部分、領域、ドメイン、ループ又は他の細胞外エピトープ(複数可)であり得る。
【0338】
上記の方法は、当業者にとって明らかなように、任意の好適な方法で行われ得る。例えば欧州特許第0542810号明細書、国際公開第05/19824号パンフレット、国際公開第04/051268号パンフレット及び国際公開第04/106377号パンフレットを参照されたい。工程b)のスクリーニングは、FACS等のフローサイトメトリ法を使用して行うのが好ましい。これに関しては、例えばLieby et al., Blood, Vol. 97, No. 12, 3820を参照されたい。特に、Ablynx N.V.による国際出願である国際公開第06/079372号で記載のいわゆる「ナノクローン(商標)」法を参照されたい。
【0339】
別の態様において、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列を生成する方法は、少なくとも
a)重鎖抗体又はナノボディ配列をコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリを準備する工程と、
b)RANK−Lと結合することができる、及び/又はRANK−Lに対する親和性を有する重鎖抗体又はナノボディ配列をコードする核酸配列に関して、上記核酸配列のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングする工程と、
c)上記核酸配列を単離し、その後それぞれ上記重鎖抗体に存在するV
HH配列を発現するか、又は上記ナノボディ配列を発現する、単離する工程とを含み得る。
【0340】
このような方法では、重鎖抗体又はナノボディ配列をコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリは例えば、重鎖抗体又はV
HH配列のナイーブセット、ナイーブコレクション又はナイーブライブラリをコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリ;ナノボディ配列の合成又は半合成のセット、コレクション又はライブラリをコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリ;及び/又は親和性成熟を受けているナノボディ配列のセット、コレクション又はライブラリをコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリであり得る。
【0341】
この方法の好ましい態様では、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、RANK−L、又はこれに基づく若しくはこれに由来する好適な抗原決定基(例えばその抗原の部分、断片、領域、ドメイン、ループ又は他のエピトープ)を好適に免疫付与したラクダ科動物由来の重鎖抗体又はV
HH配列をコードする核酸配列の免疫セット、免疫コレクション又は免疫ライブラリであり得る。特定の一態様では、該抗原決定基は、細胞外の部分、領域、ドメイン、ループ又は他の細胞外エピトープ(複数可)であり得る。
【0342】
上記の方法において、ヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリは、スクリーニングを容易にするように、ファージ、ファージミド、リボソーム又は好適な微生物(例えば酵母)上に提示してもよい。アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(のセット、コレクション又はライブラリ)を提示及びスクリーニングするのに好適な方法、技法及び宿主生物は、例えば本明細書中のさらなる開示に基づいて当業者にとって明らかである。国際公開第03/054016号パンフレット及びNature Biotechnology, 23, 9, 1105-1116(2005)におけるHoogenboomによる総説も参照されたい。
【0343】
当業者にとって明らかなように、本明細書中に記載の方法のスクリーニング工程を選択工程として実施することもできる。したがって、本記載で使用する用語「スクリーニング」は、選択、スクリーニング、又は選択法及び/又はスクリーニング法の任意の好適な組合せを含むことができる。また、配列のセット、コレクション又はライブラリを使用する場合、これは、1個、2個、3個又は約5個、10個、50個、100個、500個、1000個、5000個、10
4個、10
5個、10
6個、10
7個、10
8個以上の配列等の任意の好適な数の配列を含有し得る。
【0344】
また、上記のアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリにおける配列の1つ又は複数又は全ては、コンピュータモデリング法又は生物静力学法又はデータマイニング法等の合理的又は半経験的なアプローチで入手又は規定され得る。
【0345】
さらに、このようなセット、コレクション又はライブラリは、自然に多様化した配列(例えば免疫ライブラリ)の多様なセットに由来する複数の配列を含む(compromise)、(例えば、指定の点突然変異又はランダム化した位置で)互いの変異体である1つ、2つ以上の配列、又は任意の他の多様な配列源(例えばHoogenboom et al, Nat Biotechnol 23: 1105, 2005及びBinz et al, Nat Biotechnol 2005, 23: 1247に記載)を含み得る。配列のこのようなセット、コレクション又はライブラリは、ファージ粒子、リボソーム、細菌、酵母細胞、哺乳動物細胞の表面上に提示し、これらの担体内でアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に連結することができる。このことが、このようなセット、コレクション又はライブラリを、所望の本発明のアミノ酸配列を単離する選択法に従わせる。より一般的には、配列が好適な宿主又は宿主細胞上に提示される場合、初めに該宿主又は宿主細胞から所望の配列をコードするヌクレオチド配列を単離した後、好適な宿主生物で該ヌクレオチド配列を好適に発現することによって所望の配列を得ることも可能である(慣習になっている)。さらに、当業者にとって明らかなように、それ自体が既知の任意の好適な方法でこれを実施することができる。
【0346】
RANK−Lに指向性を有するV
HH配列又はナノボディ配列を得るためのさらに別の技法は、(即ち免疫応答及び/又はRANK−Lに指向性を有する重鎖抗体を生じるように)重鎖抗体を発現することができるトランスジェニック哺乳動物に好適に免疫付与すること、該V
HH配列又はナノボディ配列(をコードする核酸配列)を含有する該トランスジェニック哺乳動物由来の好適な生体サンプル(例えば血液サンプル、血清サンプル又はB細胞のサンプル)を得ること、及びそれからそれ自体が既知の任意の好適な技法(本明細書で記載の方法又はハイブリドーマ法等)を使用して、該サンプルからRANK−Lに指向性を有するV
HH配列を生成することを伴う。例えばこのために、国際公開第02/085945号パンフレット、国際公開第04/049794号パンフレット、国際公開第06/008548号パンフレット及びJanssens et al., Proc. Natl. Acad. Sci .USA. 2006 Oct 10;103(41):15130-5に記載されている重鎖抗体発現マウス、並びにさらなる方法及び技法を使用することができる。例えば、このような重鎖抗体発現マウスは、天然源由来の(単一)可変ドメイン(例えばヒト(単一)可変ドメイン、ラクダ科動物(単一)可変ドメイン又はサメ(単一)可変ドメイン)及び例えば合成又は半合成の(単一)可変ドメイン等の任意の好適な(単一)可変ドメインを有する重鎖抗体を発現することができる。
【0347】
本発明は、上記方法、又は代替的に上記の方法の1つと、さらに少なくとも上記V
HH配列又はナノボディ配列のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を決定する工程と、好適な宿主細胞若しくは宿主生物における発現又は化学合成のようなそれ自体が既知の方法で該V
HH配列又はナノボディ配列を発現又は合成する工程とを含む方法によって得られるV
HH配列又はナノボディ配列にも関する。
【0348】
本明細書で言及されるように、特に好ましい群の本発明のナノボディは、天然V
HHドメインのアミノ酸配列に対応するが、即ち該天然V
HH配列(特にフレームワーク配列)のアミノ酸配列における1つ又は複数のアミノ酸残基を、(例えば上記の)ヒトの従来の4鎖抗体由来のV
Hドメインの対応する位置(複数可)で発生する1つ又は複数のアミノ酸残基に置き換えることによって「ヒト化」したアミノ酸配列を有するナノボディを含む。例えば本明細書中のさらなる記載及び本明細書で言及されたヒト化に関する従来技術に基づいて、当業者にとって明らかなそれ自体が既知の方法で、これを実施することができる。また、このような本発明のヒト化ナノボディは、それ自体が既知の任意の好適な方法で(即ち上記の(1)〜(8)で示されたように)得ることができ、このため出発材料として天然V
HHドメインを含むポリペプチドを使用して得られたポリペプチドに厳密に限定されないことに留意すべきである。
【0349】
別の特に好ましい群の本発明のナノボディは、天然V
Hドメインのアミノ酸配列に対応するが、即ち従来の4鎖抗体由来の天然V
Hドメインのアミノ酸配列における1つ又は複数のアミノ酸残基を、重鎖抗体のV
HHドメインの対応する位置(複数可)で発生する1つ又は複数のアミノ酸残基に置き換えることによって「ラクダ化」したアミノ酸配列を有するナノボディを含む。例えば本明細書中のさらなる記載に基づいて、当業者にとって明らかなそれ自体が既知の方法で、これを実施することができる。このような「ラクダ化」置換は、本明細書に規定のように、V
H−V
L界面及び/又はいわゆるラクダ科の特徴的な残基を形成し、及び/又はV
H−V
L界面及び/又はいわゆるラクダ科の特徴的な残基に存在するアミノ酸位置に挿入するのが好ましい(例えば国際公開第94/04678号パンフレット及びDavies and Riechmann(1994 and 1996)(上記)を参照されたい)。好ましくは、出発材料又はラクダ化ナノボディを生成若しくは設計するための出発点として使用されるV
H配列は、好ましくは哺乳動物由来のV
H配列、より好ましくはヒトのV
H配列(例えばV
H3)である。しかし、このような本発明のラクダ化ナノボディは、それ自体が既知の任意の好適な方法で(即ち上記の(1)〜(8)で示されたように)得ることができ、このため出発材料として天然V
Hドメインを含むポリペプチドを使用して得られたポリペプチドに厳密に限定されないことに留意すべきである。
【0350】
例えばまた、本明細書にさらに記載されるように、それぞれ天然のV
HHドメイン又はV
Hドメインをコードするヌクレオチド配列を準備した後、それ自体が既知の方法で、新規のヌクレオチド配列がそれぞれ、本発明の「ヒト化」又は「ラクダ化」ナノボディをコードするように、該ヌクレオチド配列における1つ又は複数のコドンを変えることによって、「ヒト化」及び「ラクダ化」の両方を行うことができる。次にこの核酸は、所望の本発明のナノボディを提供するようにそれ自体が既知の方法で発現することができる。代替的に、それぞれ天然のV
HHドメイン又はV
Hドメインのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列に基づき、それぞれ所望の本発明のヒト化又はラクダ化ナノボディのアミノ酸配列を設計した後、それ自体が既知のペプチド合成技法を使用してde novoで合成することができる。また、それぞれ天然のV
HHドメイン又はV
Hドメインのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列に基づき、それぞれ所望の本発明のヒト化又はラクダ化ナノボディをコードするヌクレオチド配列を設計した後、それ自体が既知の核酸合成技法を使用してde novoで合成することができ、その後所望の本発明のナノボディを提供するように、それ自体が既知の方法で、このようにして得られた核酸を発現することができる。
【0351】
天然V
H配列又は好ましくはV
HH配列から、本発明のナノボディ及び/又はこれをコードする核酸を得るのに好適な他の方法及び技法は、当業者にとって明らかであり、例えば本発明のナノボディ、又はこれをコードするヌクレオチド配列若しくは核酸を提供するように好適な方法で、1つ又は複数の天然V
H配列(例えば1つ又は複数のFR配列及び/又はCDR配列)の一部分又は複数部分、1つ又は複数の天然V
HH配列(例えば1つ又は複数のFR配列及び/又はCDR配列)の一部分又は複数部分、及び/又は1つ又は複数の合成又は半合成の配列を組み合わせることを含み得る(したがって適切に表すことができる)。V
HH配列又はナノボディのフレームワーク配列をコードするヌクレオチド配列は、本明細書中の開示及び/又は本明細書中で言及したさらなる従来技術に基づき、当業者にとって明らかであり(及び/又は代替的に本明細書中に記載の方法を使用して得られたヌクレオチド配列から始めるPCRによって入手され得る)、本発明のナノボディをコードする核酸を提供するように、(例えば重複プライマーを使用したPCRアセンブリによって)所望のCDRをコードするヌクレオチド配列と好適に組合せ得る。
【0352】
本明細書中に言及されるように、ナノボディは特に、1つ又は複数のフレームワーク配列における1つ又は複数の「特徴的な残基」(本明細書中に記載)の存在を特徴とし得る。
【0353】
したがって、好ましいが、本発明の非限定的な一態様によれば、ナノボディは概して、最も広い意味で
a)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQである)、及び/又は
b)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、(本明細書に規定の)荷電アミノ酸又はシステイン残基であり、44位のアミノ酸残基はEであるのが好ましい)、及び/又は
c)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はP、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択される)を含む、ポリペプチドと定義することができる。
【0354】
したがって好ましいが非限定的な第1の態様において、本発明のナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を指し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を指す)を有し得る;ここで
a)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQであり、及び/又は
b)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、荷電アミノ酸又はシステイン残基であり、カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基はEであるのが好ましく、及び/又は
c)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はP、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択され、
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0355】
特に、ナノボディは概して、最も広い意味で
a)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQである)、及び/又は
b)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基はEであり、カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基はRである)、及び/又は
c)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はP、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択される)を含む、ポリペプチドと定義することができる。
【0356】
したがって好ましいが非限定的な態様によれば、本発明のナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を指し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を指す)を有し得る;ここで
a)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQであり、及び/又は
b)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基はEであり、カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基はRであり、及び/又は
c)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はP、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択され、
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0357】
特に本発明によるRANK−Lに対するナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を指し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を指す)を有し得る;ここで
a)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQであり、及び/又は
b)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基はEであり、カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基はRであり、及び/又は
c)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はP、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択され、
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0358】
特に、好ましいが、本発明の非限定的な一態様によれば、ナノボディは、3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列を含むポリペプチドと定義することができ、
a−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、A、G、E、D、G、Q、R、S、Lから成る群から選択され、好ましくはG、E若しくはQから成る群から選択され、
a−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、L、R若しくはCから成る群から選択され、好ましくはL若しくはRから成る群から選択され、
a−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、W、R若しくはSから成る群から選択され、好ましくはW若しくはRであり、最も好ましくはWであり、
a−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQであるか、又は
b−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、E及びQから成る群から選択され、
b−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基はRであり、
b−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、W、R及びSから成る群から選択され、好ましくはWであり、
b−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQ及びLから成る群から選択され、好ましくはQであるか、又は
c−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、A、G、E、D、Q、R、S及びLから成る群から選択され、好ましくはG、E及びQから成る群から選択され、
c−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、L、R及びCから成る群から選択され、好ましくはL及びRから成る群から選択され、
c−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、P、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択され、
c−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQ及びLから成る群から選択され、好ましくはQであり、且つ
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0359】
したがって、別の好ましいが、本発明の非限定的な態様において、本発明のナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を指し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を指す)を有し得る;ここで
a−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、A、G、E、D、G、Q、R、S、Lから成る群から選択され、好ましくはG、E若しくはQから成る群から選択され、
a−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、L、R若しくはCから成る群から選択され、好ましくはL若しくはRから成る群から選択され、
a−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、W、R若しくはSから成る群から選択され、好ましくはW若しくはRであり、最も好ましくはWであり、
a−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQであり、且つ
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0360】
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を指し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を指す)を有し得る;ここで
b−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、E及びQから成る群から選択され、
b−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基はRであり、
b−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、W、R及びSから成る群から選択され、好ましくはWであり、
b−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQ及びLから成る群から選択され、好ましくはQであり、且つ
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0361】
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を指し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を指す)を有し得る;ここで
c−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、A、G、E、D、Q、R、S及びLから成る群から選択され、好ましくはG、E及びQから成る群から選択され、
c−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、L、R及びCから成る群から選択され、好ましくはL及びRから成る群から選択され、
c−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、P、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択され、
c−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQ及びLから成る群から選択され、好ましくはQであり、且つ
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0362】
2つの特に好ましいが、本発明の非限定的なナノボディ群は、上記のa)、上記の(a−1)〜(a−4)、上記のb)、上記の(b−1)〜(b−4)、上記の(c)、上記の(c−1)〜(c−4)によるものであり、
i)カバットナンバリングによる44位〜47位のアミノ酸残基は、配列GLEW(又は本明細書に記載のGLEW様配列)を形成し、108位のアミノ酸残基はQであるか、又は
ii)カバットナンバリングによる43位〜46位のアミノ酸残基は、配列KERE又はKQRE(又は記載されるようなKERE様配列)を形成し、108位のアミノ酸残基はQ又はLであり、好ましくはQである。
【0363】
したがって、別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を指し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を指す)を有し得る;ここで
i)カバットナンバリングによる44位〜47位のアミノ酸残基は、配列GLEW(又は本明細書に記載のGLEW様配列)を形成し、108位のアミノ酸残基はQであり、且つ
ii)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0364】
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を指し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を指す)を有し得る;ここで
i)カバットナンバリングによる43位〜46位のアミノ酸残基は、配列KERE又はKQRE(又はKERE様配列)を形成し、108位のアミノ酸残基はQ又はLであり、好ましくはQであり、且つ
ii)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0365】
カバットナンバリングによる43位〜46位のアミノ酸残基が、配列KERE又はKQREを形成する、本発明のナノボディにおいて、37位のアミノ酸残基がFであるのが最も好ましい。カバットナンバリングによる44位〜47位のアミノ酸残基が、配列GLEWを形成する、本発明のナノボディにおいて、37位のアミノ酸残基は、Y、H、I、L、V又はFから成る群から選択され、Vであるのが最も好ましい。
【0366】
したがって、決してこれらには限定されないが、上記で言及された位置に存在するアミノ酸残基に基づき、概して本発明のナノボディを以下の3つの群に分類することができる:
i)「GLEW群」:カバットナンバリングによる44位〜47位にアミノ酸配列GLEW、及びカバットナンバリングによる108位にQを有するナノボディ。本明細書でさらに記載されるように、この群内のナノボディは通常、37位にVを有し、103位にW、P、R又はSを有することができ、好ましくは103位にWを有する。GLEW群は、以下の表A−3で言及されるもののような幾つかのGLEW様配列も含む。より一般的には、これに限定されないが、GLEW群に属するナノボディは、44位にG、及び/又は47位にWを有し、46位は通常Eであり、好ましくは45位が荷電アミノ酸残基でもシステインでもないナノボディと定義することができる。
ii)「KERE群」:カバットナンバリングによる43位〜46位にアミノ酸配列KERE又はKQRE(又は別のKERE様配列)、及びカバットナンバリングによる108位にQ又はLを有するナノボディ。本明細書でさらに記載されるように、この群内のナノボディは通常、37位にF、及び47位にL又はFを有し、103位にW、P、R又はSを有することができ、好ましくは103位にWを有する。より一般的には、これに限定されないが、KERE群に属するナノボディは、44位にK、Q又はR(通常K)を有し、45位が荷電アミノ酸残基又はシステインであり、47位が本明細書でさらに規定されるようなものであるナノボディと定義することができる。
iii)「103P、R、S群」:103位にP、R又はSを有するナノボディ。これらのナノボディは、カバットナンバリングによる44位〜47位にアミノ酸配列GLEW、又はカバットナンバリングによる43位〜46位にアミノ酸配列KERE又はKQREのいずれかを有することができ(後者は、(KERE群に関して規定のように)37位のFと、47位のL又はFと組合せるのが最も好ましい)、カバットナンバリングによる108位にQ又はLを有することができ、Qを有するのが好ましい。
【0367】
また必要に応じて、ナノボディは、2つ以上のこれらの群に属し得る(即ちこれらの特徴を有し得る)。例えば、1つの特に好ましいナノボディ群は、44位〜47位にGLEW又はGLEW様配列、103位にP、R又はS(特にR)、及び108位にQを有する(Lへとヒト化してもよい)。
【0368】
より一般的には、上記に言及される定義が、天然(即ち非ヒト化)V
HH配列の形態のナノボディを説明し、またこれに適用すること、及びこれらのナノボディのヒト化変異体は、上記のもの以外のアミノ酸残基(即ち本明細書中に規定の1つ又は複数のヒト化置換)を含み得ることに留意されたい。例えばこれに限定されないが、GLEW群又は103P、R、S群の幾つかのヒト化ナノボディにおいて、108位のQは、108Lにヒト化し得る。本明細書中に既に言及されたように、他のヒト化置換(及びその好適な組合せ)は、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかになる。付加的に又は代替的に、天然のV
HH配列のフレームワーク領域の配列を、1つ又は複数の密接に関連するヒトV
H配列の対応するフレームワーク配列と比較することによって、他の潜在的に有用なヒト化置換を確認することができ、その後(本明細書中にさらに記載のように、それ自体が既知の任意の方法で)このようにして求めた、潜在的に有用なヒト化置換(又はその組合せ)の1つ又は複数を該V
HH配列に導入することができ、標的に対する親和性、安定性、発現の容易さ及びレベル、及び/又は他の所望の特性に関して、得られたヒト化V
HH配列を試験することができる。このようにして、試行試験及び誤差の程度を限定することによって、本明細書中の開示に基づき当業者によって、他の好適なヒト化置換(又はその好適な組合せ)を求めることができる。また、上記に基づき、ナノボディ(のフレームワーク領域)を部分ヒト化又は完全ヒト化してもよい。
【0369】
したがって、別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、(本明細書に規定のように)GLEW群に属するナノボディであってもよく、その中のCDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0370】
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、(本明細書に規定のように)KERE群に属するナノボディであってもよく、CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0371】
したがって、別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、(本明細書に規定のように)103P、R、S群に属するナノボディであってもよく、その中のCDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものであり、好ましくは本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであり、より好ましくは本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものである。
【0372】
また、より一般的には、上記で言及された108Q、43E/44R及び103P、R、S残基の他に、本発明のナノボディは、従来のV
HドメインでV
H/V
L界面(の一部)が形成される1つ又は複数の位置で、対応する天然V
H配列における同じ位置(複数可)で自然発生するアミノ酸残基よりも強く荷電する、1つ又は複数のアミノ酸残基、特に(表A−2で言及される)1つ又は複数の荷電アミノ酸残基を含有することができる。このような置換としては、これらに限定されないが、以下の表A−3で言及されるGLEW様配列、及び44位〜47位のKLEWと共に108位にQを有するナノボディを得るために、いわゆる「ミクロボディ」に関して国際出願の国際公開第00/29004号パンフレットで説明される置換が挙げられる。これらの位置での他の可能性のある置換は、本明細書中の開示に基づいて当業者にとって明らかである。
【0373】
本発明のナノボディの一態様において、83位のアミノ酸残基は、L、M、S、V及びWから成る群から選択され、Lであるのが好ましい。
【0374】
また、本発明のナノボディの一態様において、83位のアミノ酸残基は、R、K、N、E、G、I、T及びQから成る群から選択され、(天然V
HHドメインに対応するナノボディに関しては)K若しくはE、又は(本明細書に記載の「ヒト化」ナノボディに関しては)Rのいずれかであるのが最も好ましい。一態様では、84位のアミノ酸残基は、P、A、R、S、D、T及びVから成る群から選択され、(天然V
HHドメインに対応するナノボディに関しては)P、又は(本明細書に記載の「ヒト化」ナノボディに関しては)Rのいずれかであるのが最も好ましい。
【0375】
さらに本発明のナノボディの一態様において、104位のアミノ酸残基は、G及びDから成る群から選択され、Gであるのが最も好ましい。
【0376】
まとめると、ナノボディにおいて上記で言及される、11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基は、本明細書で「特徴的な残基」とも称される。特徴的な残基及び最も密接に関連したヒトV
Hドメイン(V
H3)の対応する位置のアミノ酸残基を表A−3に要約する。
【0377】
幾つかの特に好ましいが非限定的な天然V
HHドメインで生じるこれらの特徴的な残基の組合せを表A−4で言及する。比較のために、DP−47と呼ばれるヒトV
H3の対応するアミノ酸残基をイタリック体で示している。
【0378】
表A−3:ナノボディにおける特徴的な残基
【表3】
【0379】
表A−4:幾つかの好ましいが非限定的な天然ナノボディにおける特徴的な残基の組合せ
これらの組合せのヒト化に関しては、明細書を参照する。
【表4】
【0380】
ナノボディにおいて、特徴的な残基以外の任意の位置の各アミノ酸残基は、天然V
HHドメインの(カバットナンバリングによる)対応する位置で自然発生する任意のアミノ酸残基であり得る。
【0381】
このようなアミノ酸残基は当業者にとって明らかである。表A−5〜表A−8は、天然V
HHドメインのFR1、FR2、FR3及びFR4の(カバットナンバリングによる)それぞれの位置に存在し得る幾つかの非限定的な残基を表す。それぞれの位置に関しては、天然V
HHドメインのそれぞれの位置で最も頻繁に発生する(ナノボディにおける該位置に最も好ましいアミノ酸残基である)アミノ酸残基を太字で示し、それぞれの位置に好ましい他のアミノ酸残基を下線処理する(備考:天然V
HHドメインの26位〜30位で見られるアミノ酸残基の数字は、これらの位置の残基が既にCDR1部分を形成するというChothia(上記)によるナンバリングに基づく仮説を支持する)。
【0382】
表A−5〜表A−8では、ヒトV
H3ドメインのそれぞれの位置に存在し得る非限定的な残基の幾つかも表している。また、それぞれの位置に関しては、天然ヒトV
H3ドメインのそれぞれの位置で最も頻繁に発生するアミノ酸残基を太字で示し、他の好ましいアミノ酸残基を下線処理する。
【0383】
参考のみのために、表A−5〜表A−8は、1118V
HH配列の代表的なサンプルにおけるそれぞれのアミノ酸位置でV
HHエントロピー(「V
HHEnt.」)及びV
HH変動性(「V
HH Var.」)に関するデータ(David Lutje Hulsing and Prof. Theo Verrips of Utrecht Universityによって無償(kindly)提供されたデータ)も含有する。V
HHエントロピー及びV
HH変動性の値は、解析する1118V
HH配列間のアミノ酸残基の変動性及び保存度に対する評価基準を与え、低い値(即ち1未満、例えば0.5未満)は、アミノ酸残基が、V
HH配列間で強く保存される(即ちほとんど変動性がない)ことを示す。例えば、8位のG及び9位のGはそれぞれ、0.1及び0のV
HHエントロピー値を有し、これは(解析する全ての1118配列において9位がGである場合)これらの残基が強く保存され、ほとんど変動しないことを示す一方で、CDR部分を形成する残基に関しては概して、1.5以上の値が見られる(データ図示せず)。(1)表A−5〜表A−8の2列目に列挙されるアミノ酸残基は、後の2列で言及されるV
HHエントロピー及びV
HH変動性を決定するのに解析された1118V
HH配列よりも大きいサンプルに基づいており、(2)以下で表すデータは、27位〜30位のアミノ酸残基、並びにおそらく93位及び94位のアミノ酸残基でさえも既にCDR部分を形成しているという仮説を支持することに留意されたい(しかしながら、本発明は任意の特定の仮説又は説明に限定されず、上記のように、本明細書ではカバットによるナンバリングを使用する)。配列エントロピー、配列変動性及びこれを決定する方法の一般的説明に関しては、Oliveira et al., PROTEINS: Structure, Function and Genetics, 52:544-552(2003)を参照されたい。
【0384】
表A−5:FR1におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注に関しては、表A−3の脚注を参照する)
【表5】
【0385】
表A−6:FR2におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注に関しては、表A−3の脚注を参照する)
【表6】
【0386】
表A−7:FR3におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注に関しては、表A−3の脚注を参照する)
【表7】
【0387】
表A−8:FR4におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注に関しては、表A−3の脚注を参照する)
【表8】
【0388】
このように、別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、(一般)構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を指し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を指す)を有するアミノ酸配列として規定することができ、ここで
i)カバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択され、
ii)CDR1、CDR2及びCDR3が、本明細書中で規定されるようなものであり、本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのものが好ましく、本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのがより好ましい。
【0389】
上記ナノボディは例えば、V
HH配列であっても、又はヒト化ナノボディであってもよい。上記ナノボディ配列がV
HH配列である場合、これらは、本明細書中にさらに記載のように、好適にヒト化されていてもよい。ナノボディが部分ヒト化ナノボディである場合、これらは任意で、さらに本明細書中に記載のようにさらに好適にヒト化してもよい。
【0390】
特に、本発明のナノボディは、(一般)構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を指し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を指す)を有するアミノ酸配列である可能性があり、ここで
i)カバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位の(好ましくは)アミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択され(V
HH配列が1つ又は複数の特徴的な残基を含有すること、並びに部分ヒト化ナノボディが通常及び好ましくは[依然として]1つ又は複数の特徴的な残基を含有すること[しかしながら、本発明に応じて好適であれば、1つ又は複数の他のアミノ酸残基ではなく、全ての特徴的な残基がヒト化した部分ヒト化ナノボディを提供することも本発明の範囲内である]、並びに本発明に応じて好適であれば、完全ヒト化ナノボディにおいて特徴的な残基の位置の全てのアミノ酸残基がヒトV
H3配列で発生するアミノ酸残基であることが理解される。本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかなように、このようなV
HH配列、少なくとも1つの特徴的な残基を有するこのような部分ヒト化ナノボディ、特徴的な残基を有しないこのような部分ヒト化ナノボディ及びこのような完全ヒト化ナノボディは全て、本発明の態様を形成する)、
ii)上記アミノ酸配列が、配列番号1〜配列番号22のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し(アミノ酸同一性の程度を求めるために、CDR配列を形成するアミノ酸残基(配列番号1〜配列番号22の配列においてXで示す)は無視する)、
iii)CDR1、CDR2及びCDR3が、本明細書中で規定されるようなものであり、本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのものが好ましく、本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのがより好ましい。
【0391】
上記ナノボディは例えば、V
HH配列であっても、又はヒト化ナノボディであってもよい。上記ナノボディ配列がV
HH配列である場合、これらは、本明細書中にさらに記載のように、好適にヒト化されていてもよい。ナノボディが部分ヒト化ナノボディである場合、これらは任意で、さらに本明細書中に記載のようにさらに好適にヒト化してもよい。
【0392】
表A−9:KERE、GLEW及びP、R、S 103群のナノボディの代表的なアミノ酸配列
CDRはXXXXで示す
【表9】
【0393】
特に、KERE群の本発明のナノボディは、(一般)構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
を有するアミノ酸配列である可能性があり、ここで
i)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、荷電アミノ酸(本明細書中に規定)又はシステイン残基であり、44位のアミノ酸残基は好ましくはEであり、
ii)FR1は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0394】
表A−10:KERE群のナノボディの代表的なFW1配列
【表10】
【0395】
iii)FR2は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0396】
表A−11:KERE群のナノボディの代表的なFW2配列
【表11】
【0397】
iv)FR3は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0398】
表A−12:KERE群のナノボディの代表的なFW3配列
【表12】
【0399】
v)FR4は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0400】
表A−13:KERE群のナノボディの代表的なFW4配列
【表13】
【0401】
vi)CDR1、CDR2及びCDR3が、本明細書中で規定されるようなものであり、本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのものが好ましく、本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのがより好ましい。
【0402】
上記ナノボディにおいて、1つ又は複数のさらなる特徴的な残基は、(例えばこれらがV
HH配列又は部分ヒト化ナノボディである場合)本明細書中に記載のようなものが好ましい。
【0403】
また、上記ナノボディは例えば、V
HH配列であっても、又はヒト化ナノボディであってもよい。上記ナノボディ配列がV
HH配列である場合、これらは、本明細書中にさらに記載のように、好適にヒト化されていてもよい。ナノボディが部分ヒト化ナノボディである場合、これらは任意で、さらに本明細書中に記載のようにさらに好適にヒト化してもよい。
【0404】
フレームワーク1に関して、上記で概説のアミノ酸配列がヌクレオチド配列の発現によって生成する場合、該核酸を生成するのに使用されているプライマー(複数可)によって、始めの4つのアミノ酸配列(即ちカバットナンバリングによる1位〜4位のアミノ酸残基)を求め得ることが多いことは、当業者にとって明らかである。このように、アミノ酸同一性の程度を求めるために、始めの4つのアミノ酸残基を無視するのが好ましい。
【0405】
また、フレームワーク1に関して、カバットナンバリングによる27位〜30位のアミノ酸が(CDRではなく)フレームワーク領域の一部であると考えられる場合、1000個を超えるV
HH配列のデータベースの解析によって、27位〜30位のアミノ酸が、1位〜26位のアミノ酸に対する変動性よりも非常に大きい変動性(V
HHエントロピー及びV
HH変動性に関して表される、表A−5〜表A−8を参照されたい)を有することが見出されている。このため、アミノ酸同一性の程度を求めるために、27位〜30位のアミノ酸残基も無視するのが好ましい。
【0406】
これを考慮して、KERE群のナノボディは、3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から構成されるアミノ酸配列であり得る;
i)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、荷電アミノ酸(本明細書中に規定)又はシステイン残基であり、44位のアミノ酸残基は好ましくはEであり、
ii)FR1は、カバットナンバリングによる5位〜26位で、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0407】
表A−14:KERE群のナノボディの代表的なFW1配列(5位〜26位のアミノ酸残基)
【表14】
【0408】
iii)FR2、FR3及びFR4は、KERE群のナノボディのFR2、FR3及びFR4に関して本明細書中に言及されるようなものであり、
iv)CDR1、CDR2及びCDR3が、本明細書中で規定されるようなものであり、本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのものが好ましく、本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのがより好ましい。
【0409】
上記ナノボディは例えば、V
HH配列であっても、又はヒト化ナノボディであってもよい。上記ナノボディ配列がV
HH配列である場合、これらは、本明細書中にさらに記載のように、好適にヒト化されていてもよい。ナノボディが部分ヒト化ナノボディである場合、これらは任意で、さらに本明細書中に記載のようにさらに好適にヒト化してもよい。
【0410】
GLEW群のナノボディは、3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から構成されるアミノ酸配列であり得る;
i)好ましくは、GLEW群のナノボディが非ヒト化ナノボディである場合、108位のアミノ酸残基はQであり、
ii)FR1は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0411】
表A−15:GLEW群のナノボディの代表的なFW1配列
【表15】
【0412】
iii)FR2は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0413】
表A−16:GLEW群のナノボディの代表的なFW2配列
【表16】
【0414】
iv)FR3は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0415】
表A−17:GLEW群のナノボディの代表的なFW3配列
【表17】
【0416】
v)FR4は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0417】
表A−18:GLEW群のナノボディの代表的なFW4配列
【表18】
【0418】
vi)CDR1、CDR2及びCDR3が、本明細書中で規定されるようなものであり、本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのものが好ましく、本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのがより好ましい。
【0419】
上記ナノボディにおいて、1つ又は複数のさらなる特徴的な残基は、(例えばこれらがV
HH配列又は部分ヒト化ナノボディである場合)本明細書中に記載のようなものが好ましい。
【0420】
さらにフレームワーク1に関して、アミノ酸同一性の程度を求めるために、1位〜4位及び27位〜30位のアミノ酸残基を無視するのが好ましいことは当業者にとって明らかである。
【0421】
これを考慮して、GLEW群のナノボディは、3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から構成されるアミノ酸配列であり得る;
i)好ましくは、GLEW群のナノボディが非ヒト化ナノボディである場合、108位のアミノ酸残基はQであり、
ii)FR1は、カバットナンバリングによる5位〜26位で、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0422】
表A−19:KERE群のナノボディの代表的なFW1配列(5位〜26位のアミノ酸残基)
【表19】
【0423】
iii)FR2、FR3及びFR4は、GLEW群のナノボディのFR2、FR3及びFR4に関して本明細書中に言及されるようなものであり、
iv)CDR1、CDR2及びCDR3が、本明細書中で規定されるようなものであり、本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのものが好ましく、本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのがより好ましい。
【0424】
上記ナノボディは例えば、V
HH配列であっても、又はヒト化ナノボディであってもよい。上記ナノボディ配列がV
HH配列である場合、これらは、本明細書中にさらに記載のように、好適にヒト化されていてもよい。ナノボディが部分ヒト化ナノボディである場合、これらは任意で、さらに本明細書中に記載のようにさらに好適にヒト化してもよい。上記ナノボディにおいて、1つ又は複数のさらなる特徴的な残基は、(例えばこれらがV
HH配列又は部分ヒト化ナノボディである場合)本明細書中に記載のようなものが好ましい。
【0425】
P、R、S 103群のナノボディは、3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から構成されるアミノ酸配列であり得る;
i)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はWではなく、
ii)好ましくは、カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、P、R又はSであり、より好ましくはRであり、
iii)FR1は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0426】
表A−20:P、R、S 103群のナノボディの代表的なFW1配列
【表20】
【0427】
iv)FR2は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0428】
表A−21:P、R、S 103群のナノボディの代表的なFW2配列
【表21】
【0429】
v)FR3は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0430】
表A−22:P、R、S 103群のナノボディの代表的なFW3配列
【表22】
【0431】
vi)FR4は、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0432】
表A−23:P、R、S 103群のナノボディの代表的なFW4配列
【表23】
【0433】
vii)CDR1、CDR2及びCDR3が、本明細書中で規定されるようなものであり、本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのものが好ましく、本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのがより好ましい。
【0434】
上記ナノボディにおいて、1つ又は複数のさらなる特徴的な残基は、(例えばこれらがV
HH配列又は部分ヒト化ナノボディである場合)本明細書中に記載のようなものが好ましい。
【0435】
フレームワーク1に関して、アミノ酸同一性の程度を求めるために、1位〜4位及び27位〜30位のアミノ酸残基を無視するのが好ましいことはここでもまた当業者にとって明らかである。
【0436】
これを考慮して、P、R、S 103群のナノボディは、3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から構成されるアミノ酸配列であり得る;
i)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はWではなく、
ii)好ましくは、カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、P、R又はSであり、より好ましくはRであり、
iii)FR1は、カバットナンバリングによる5位〜26位で、以下のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、
【0437】
表A−24:P、R、S 103群のナノボディの代表的なFW1配列(5位〜26位のアミノ酸残基)
【表24】
【0438】
iv)FR2、FR3及びFR4は、P、R、S 103群のナノボディのFR2、FR3及びFR4に関して本明細書中に言及されるようなものであり、
v)CDR1、CDR2及びCDR3が、本明細書中で規定されるようなものであり、本明細書中の好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのものが好ましく、本明細書中のより好ましい態様の1つに従って規定されるようなものであるのがより好ましい。
【0439】
上記ナノボディは例えば、V
HH配列であっても、又はヒト化ナノボディであってもよい。上記ナノボディ配列がV
HH配列である場合、これらは、本明細書中にさらに記載のように、好適にヒト化されていてもよい。ナノボディが部分ヒト化ナノボディである場合、これらは任意で、さらに本明細書中に記載のようにさらに好適にヒト化してもよい。
【0440】
上記ナノボディにおいて、1つ又は複数のさらなる特徴的な残基は、(例えばこれらがV
HH配列又は部分ヒト化ナノボディである場合)本明細書中に記載のようなものが好ましい。
【0441】
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明は、配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つのCDR配列との少なくとも70%のアミノ酸同一性、好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは90%のアミノ酸同一性(95%以上のアミノ酸同一性等)、又はさらに本質的に100%のアミノ酸同一性を有する上記のナノボディに関する。例えば、該ナノボディと配列番号560〜配列番号621の配列の1つ又は複数との(本明細書中に記載の方法での)アミノ酸同一性の程度を求めることによって、このアミノ酸同一性の程度を求めることができ、フレームワーク領域を形成するアミノ酸残基は無視する。このようなナノボディは、本明細書中でさらに記載するようなものであり得る。
【0442】
既に本明細書中で言及されたように、別の好ましいが非限定的な本発明の態様は、配列番号560〜配列番号621から成る群、又は配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つとの80%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超(99%以上等)の配列同一性(本明細書で規定)を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を有するナノボディに関する。
【0443】
また、上記ナノボディにおいて、
i)(本明細書に規定のように)(本明細書中に規定のヒト化置換ではなければ)あらゆるアミノ酸置換が好ましくは、対応する配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列に比べて保存的なアミノ酸置換であり、及び/又は
ii)そのアミノ酸配列が好ましくはアミノ酸置換のみ、又はそうでなければ対応する配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列に比べて5つ以下、好ましくは3つ以下、より好ましくは1つだけ又は2つのアミノ酸の欠失又は挿入のいずれかを含有し、及び/又は
iii)CDRが、例えば対応する配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列のCDRから始まり、親和性成熟によって誘導されるCDRであり得る。
【0444】
好ましくは、本発明のナノボディにおけるCDR配列及びFR配列は、本発明のナノボディ(及びこれを含む本発明のポリペプチド)が、
10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、より好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)で(即ち、10
5L/モル〜10
12L/モル以上、好ましくは10
7L/モル〜10
12L/モル以上、より好ましくは10
8L/モル〜10
12L/モルの結合定数(K
A)で)RANK−Lに結合する、及び/又は
10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1、好ましくは10
3M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、より好ましくは10
4M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1(10
5M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1等)のk
on速度でRANK−Lに結合する、及び/又は
1s
−1(t
1/2=0.69秒)〜10
−6s
−1(t
1/2が数日のほぼ非可逆的な複合体の場合)、好ましくは10
−2s
−1〜10
−6s
−1、より好ましくは10
−3s
−1〜10
−6s
−1(10
−4s
−1〜10
−6s
−1等)のk
off速度でRANK−Lに結合するものである。
【0445】
好ましくは、本発明のナノボディに存在するCDR配列及びFR配列は、本発明のナノボディが、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性でRANK−Lと結合するようなものである。
【0446】
本発明の非限定的な一態様によれば、ナノボディは本明細書で規定されるようなものであり得るが、天然のヒトV
Hドメインの対応するフレームワーク領域と比較して、特にDP−47の対応するフレームワーク領域と比較して、フレームワーク領域の少なくとも1つに少なくとも「1つのアミノ酸差異」(本明細書で規定される)を有することが条件である。より具体的には、本発明の非限定的な一態様によれば、ナノボディは本明細書で規定されるようなものであり得るが、天然のヒトV
Hドメインの対応するフレームワーク領域と比較して、特にDP−47の対応するフレームワーク領域と比較して、特徴的な残基(例えば108位、103位及び/又は45位のもの)の少なくとも1つに少なくとも「1つのアミノ酸差異」(本明細書で規定)を有することが条件である。通常、ナノボディは、FR2及び/又はFR4の少なくとも1つにおいて、特にFR2及び/又はFR4の特徴的な残基の少なくとも1つ(同様に、例えば108位、103位及び/又は45位のもの)において、天然のV
Hドメインとの少なくとも1つのこのようなアミノ酸差異を有する。
【0447】
また、本発明のヒト化ナノボディは本明細書で規定されるようなものであり得るが、天然のV
HHドメインの対応するフレームワーク領域と比較して、フレームワーク領域の少なくとも1つに少なくとも「1つのアミノ酸差異」(本明細書で規定)を有することが条件である。より具体的には、本発明の非限定的な一態様によれば、ヒト化ナノボディは本明細書で規定されるようなものであり得るが、天然のV
HHドメインの対応するフレームワーク領域と比較して、特徴的な残基(例えば108位、103位及び/又は45位のもの)の少なくとも1つに少なくとも「1つのアミノ酸差異」(本明細書で規定)を有することが条件である。通常、ヒト化ナノボディは、FR2及び/又はFR4の少なくとも1つにおいて、特にFR2及び/又はFR4の特徴的な残基の少なくとも1つ(同様に、例えば108位、103位及び/又は45位のもの)において、天然のV
HHドメインとの少なくとも1つのこのようなアミノ酸差異を有する。
【0448】
本明細書における開示より明らかなように、本明細書で規定されるような本発明のナノボディの天然又は合成の類似体、突然変異体、変異体、対立遺伝子、ホモログ及びオーソログ(本明細書中で集合的に「類似体」と称される)、特に配列番号560〜配列番号621のナノボディの類似体の使用も本発明の範囲内である。したがって、本発明の一実施形態によれば、用語「本発明のナノボディ」は最も広い意味ではこのような類似体も包含する。
【0449】
概して、このような類似体では、本明細書で規定されるような本発明のナノボディと比較して、1つ又は複数のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されていてもよい。このような置換、挿入又は欠失はフレームワーク領域の1つ又は複数、及び/又はCDRの1つ又は複数において起こってもよい。このような置換、挿入又は欠失がフレームワーク領域の1つ又は複数において起こる場合、特徴的な残基の1つ又は複数、及び/又はフレームワーク残基中の他の位置の1つ又は複数において起こってもよいが、特徴的な残基での置換、挿入又は欠失は(それらが本明細書中で説明されるような適切なヒト化置換であっても)一般にあまり好適ではない。
【0450】
非限定的な例によると、置換は例えば保存的置換(本明細書中で説明される)であってもよく、及び/又はアミノ酸残基は、別のV
HHドメインの同じ位置に自然発生する別のアミノ酸残基により置換されてもよいが(このような置換の幾つかの非限定的な例については表A−5〜表A−8を参照)、本発明は概してそれに限定されない。したがって、本発明のナノボディの特性を改善するか、又は少なくとも本発明のナノボディの所望の特性又は所望の特性のバランス若しくは組合せを過度に損なわない(即ち、ナノボディがもはやその使用目的に適さなくなる程度までの)任意の1つ又は複数の置換、欠失又は挿入、又はその任意の組合せは本発明の範囲内に含まれる。当業者は一般に、本明細書における開示に基づいて、また任意に、例えば限られた数の可能な置換を導入すること、及びそのようにして得られるナノボディの特性に対するその影響を求めることを含み得る限られた日常実験の後、適切な置換、欠失又は挿入、又はその適切な組合せを決定及び選択することが可能である。
【0451】
例えば、本発明のナノボディ又はポリペプチドを発現するために使用される宿主生物に応じて、このような欠失及び/又は置換を、翻訳後修飾される1つ又は複数の部位(例えば1つ又は複数のグリコシル化部位)を除去し、当業者の能力の範囲内となるように設計してもよい。代替的には、置換又は挿入を官能基(本明細書中で説明される)が結合する1つ又は複数の部位を導入する、例えば部位特異的ペグ化(同様に本明細書中で説明される)を可能にするように設計してもよい。
【0452】
上記の表A−5〜表A−8に示すV
HHエントロピー及びV
HH変動性に関するデータから明らかなように、フレームワーク領域内の幾つかのアミノ酸残基は他よりも保存されている。一般に、任意の置換、欠失又は挿入は好ましくは保存されにくい位置で起こるが、本発明は最も広い意味ではそれに限定されない。また、一般に、アミノ酸置換はアミノ酸欠失又はアミノ酸挿入よりも好適である。
【0453】
類似体は好ましくは、本発明のナノボディに関して本明細書で規定されるような親和性(本明細書中でさらに説明されるように、(実際又は見掛けの)K
D値、(実際又は見掛けの)K
A値、k
on速度及び/又はk
off速度として、又は代替的にはIC
50値として適切に測定されるか、及び/又は表される)をもってRANK−Lに結合することができるものである。
【0454】
類似体は好ましくは、本明細書中で説明されるようなナノボディの有利な特性を保持するものでもある。
【0455】
また、好適な一態様によれば、類似体は、配列番号560〜配列番号621のナノボディの1つとの少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%(少なくとも95%等)又は99%以上の程度の配列同一性を有し、及び/又は好ましくは多くても20個、好ましくは多くても10個、さらにより好ましくは多くても5個、例えば4個、3個、2個又はただ1個のアミノ酸差異(本明細書で規定される)を有する。
【0456】
また、類似体のフレームワーク配列及びCDRは好ましくは、本明細書で規定される好適な態様に従うものである。より一般には、本明細書中で説明されるように、類似体は(a)108位にQ、及び/又は(b)45位に荷電アミノ酸又はシステイン残基、好ましくは44位にE、より好ましくは44位にE且つ45位にR、及び/又は(c)103位にP、R又はSを有する。
【0457】
本発明のナノボディの1つの好適な種類の類似体は、ヒト化された(即ち、本発明の天然のナノボディの配列と比較して)ナノボディを含む。本明細書中で引用される背景技術で述べられたように、このようなヒト化は一般に、ヒトV
Hドメインでの同じ位置、例えばヒトV
H3ドメインに起こる、天然のV
HHの配列における1つ又は複数のアミノ酸残基のアミノ酸残基での置換を含む。可能なヒト化置換又はヒト化置換の組合せの例は、例えば本明細書中の表から、本明細書中で引用される背景技術で述べられた可能なヒト化置換から、及び/又はナノボディの配列と天然のヒトV
Hドメインの配列との比較から当業者に明らかである。
【0458】
ヒト化置換は、得られるヒト化ナノボディが、本明細書で規定されるようなナノボディの有利な特性を依然として保持するように、より好ましくは類似体に関して前述の段落に説明されるようなものであるように選択されるべきである。当業者は一般に、本明細書における開示に基づいて、また任意に、例えば限られた数の可能なヒト化置換を導入すること、及びそのようにして得られるナノボディの特性に対するその影響を求めることを含み得る限られた日常実験の後、適切なヒト化置換又は適切なヒト化置換の組合せを決定及び選択することが可能である。
【0459】
概して、ヒト化の結果として、本発明のナノボディは、本明細書中で説明されるような本発明のナノボディの有利な特性を依然として保持すると同時に、より「ヒト様」と成り得る。結果として、このようなヒト化ナノボディは幾つかの利点、例えば対応する天然のV
HHドメインと比較して低減された免疫原性を有し得る。また、当業者は一般に、本明細書における開示に基づいて、また任意に限られた日常実験の後、一方ではヒト化置換によりもたらされる有利な特性、他方では天然のV
HHドメインの有利な特性の間の所望の又は適切なバランスを最適化又は達成するヒト化置換又は適切なヒト化置換の組合せを選択することが可能である。
【0460】
本発明のナノボディは任意のフレームワーク残基(複数可)、例えば1つ又は複数の特徴的な残基(本明細書で規定される)又は1つ又は複数の他のフレームワーク残基(即ち、非特徴的な残基)又はそれらの任意の適切な組合せで適切にヒト化され得る。「P、R、S−103群」又は「KERE群」のナノボディに関する1つの好適なヒト化置換は、Q108からL108への置換である。「GLEW群」のナノボディもまた、他の特徴的な残基の少なくとも1つがラクダ化(camelid(camelizing))置換(本明細書で規定される)を含有するという条件で、Q108からL108への置換によりヒト化され得る。例えば、上述したように、1つの特に好適な種類のヒト化ナノボディは、GLEW又はGLEW様配列を44位〜47位に、P、R又はS(特にR)を103位に、Lを108位に有する。
【0461】
ヒト化及び他の類似体、並びにそれをコードする核酸配列は、それ自体が既知の任意の方法で準備することができる。例えば、類似体は、天然のV
HHドメインをコードする核酸を準備すること、(例えば部位特異的突然変異誘発法、又は適切なミスマッチプライマーを使用するPCRによって)置換を受ける1つ又は複数のアミノ酸残基に対するコドンを、対応する所望のアミノ酸残基に対するコドンに変えること、得られる核酸/ヌクレオチド配列を適切な宿主又は発現システムにおいて発現させること、及び任意に、得られる類似体を(例えば本明細書中でさらに説明されるように)単離及び/又は精製して、本質的に単離された形の該類似体を提供する、単離及び/又は精製することにより得ることができる。これは概して、例えば本明細書中で引用されるハンドブック及び参考文献、本明細書中で引用される背景技術及び/又は本明細書中のさらなる記載から当業者に明らかな、それ自体が既知の方法及び技法を用いて実行することができる。代替的には、所望の類似体をコードする核酸は、それ自体が既知の方法で(例えば所定のアミノ酸配列を有する核酸配列を合成する自動装置を用いて)合成することができ、次に本明細書中で説明されるように発現させることができる。さらに別の技法は、各々が所望の類似体の一部をコードする1つ又は複数の天然及び/又は合成の核酸配列を組み合わせること、及び次に組み合わせた核酸配列を本明細書中で説明されるように発現させることを含み得る。また、類似体は、例えば本明細書中で述べたような、それ自体が既知のペプチド合成技法を用いた関連アミノ酸配列の化学合成を利用して準備することができる。
【0462】
これに関して、本発明のナノボディの配列を提供するため及び/又は得られる配列にナノボディの有利な特性を付与するために、本発明のナノボディ(例えばその類似体)を、例えばヒトV
H3配列、例えばDP−47、DP−51又はDP−29等のヒトV
H配列(即ち、アミノ酸配列又は対応するヌクレオチド配列)から設計及び/又は準備すること、即ち、1つ又は複数のラクダ化置換を導入する(即ち、該ヒトV
Hドメインのアミノ酸配列中の1つ又は複数のアミノ酸残基を、V
HHドメインの対応する位置で生じるアミノ酸残基に変化させる)ことが可能であることも、当業者には明らかである。また、これは一般に、開始点としてヒトV
Hドメインに対するアミノ酸配列及び/又はヌクレオチド配列を使用し、前の段落で言及される多様な方法及び技法を用いて実行することができる。
【0463】
幾つかの好ましいが非限定的なラクダ化置換は、表A−5〜表A−8から導くことができる。特徴的な残基の1つ又は複数でのラクダ化置換は一般に、所望の特性に他のアミノ酸位置の1つ又は複数での置換よりも大きな影響を与えるが、その両方及び任意の適切な組合せが本発明の範囲内に含まれることも明らかである。例えば、既に少なくとも幾つかの所望の特性を付与している1つ又は複数のラクダ化置換を導入すること、及び次に該特性をさらに改善するか、及び/又はさらなる有利な特性を付与するさらなるラクダ化置換を導入することが可能である。また、当業者は一般に、本明細書における開示に基づいて、また任意に、例えば限られた数の可能なラクダ化置換を導入すること、及びナノボディの有利な特性が得られたか又は改善されたか否かを求める(即ち、本来のV
Hドメインと比較する)ことを含み得る限られた日常実験の後、適切なラクダ化置換又は適切なラクダ化置換の組合せを決定及び選択することが可能である。しかしながら、一般にこのようなラクダ化置換は好ましくは、得られるアミノ酸配列が少なくとも(a)108位にQ、及び/又は(b)45位に荷電アミノ酸又はシステイン残基、好ましくは44位にE、より好ましくは44位にE且つ45位にR、及び/又は(c)103位にP、R又はS、並びに任意に1つ又は複数のさらなるラクダ化置換を含有するものである。より好ましくは、ラクダ化置換は、本発明のナノボディ及び/又はその類似体(本明細書で規定される)、例えばヒト化類似体及び/又は好ましくは前述の段落に規定されるような類似体をもたらすものである。
【0464】
他の類似体及びこれをコードする核酸配列は例えば、ナノボディの安定性を向上するのに与えられ得る。保存中、ナノボディ及び他の型の免疫グロブリンは、
i)典型的に「接近可能な」メチオニンのみで起こる酸化事象(複数可)であって、インキュベーション温度及び時間と並行して保存中に酸化が増大する、酸化事象(複数可)、
ii)存在する場合、ピログルタミン酸塩の形成をもたらす、第1のグルタミン酸残基の結晶化、及び
iii)DG、DS、NG又はNSモチーフにおける「接近可能な」アスパラギン酸又はアスパラギンのみの異性化であって、インキュベーション温度及び時間と並行して保存中に異性化が増大する、異性化の結果として、或る特定の変異体を生成し得る。
【0465】
安定性プロファイルが改善した本発明のナノボディの変異体の類似体が生成され得る。例えば、これらに限定されないが、Asp(D)及びAsn(N)の異性化を避けること、例えばCDRにおけるAsp−Gly(DG)、Asp−Ser(DS)、Asn−Gly(NG)及びAsn−Ser(NS)を、例えばGlu(E)又はGln(Q)等の別のアミノ酸で置き換えること;Metの酸化を避けること、例えば強制酸化しやすいMetを、例えばAla又はThr等の別のアミノ酸で置き換えること、及び/又はN末端のGluを、代替的なN末端のアミノ酸、例えばAspによって置き換えることによってこれを行うことができる。また、当業者は一般的に、本明細書中の開示に基づき、任意で幾らか制限のある日常実験の後、好適な安定化置換又は好適な安定化置換の組合せを確定及び選択することができ、これは例えば限定数の可能性のある安定化置換を導入すること、及びナノボディが依然としてRANK−Lと結合するか否かと、(即ち元のV
H又はV
HHドメインに比べて)ナノボディの有益な特性が入手又は改善されるか否かとを確定することを包含し得る。好ましい安定化ナノボディは配列番号756)で示され、CDR2におけるDSモチーフは、以下のCDR2:SITGSGGSTYYAESVKG(配列番号758)により生じるESで置き換えられる。
【0466】
本明細書における開示から同様に明らかなように、本明細書で規定されるような本発明のナノボディの部分又は断片、又は2つ以上の部分又は断片の組合せ、特に配列番号560〜配列番号621のナノボディの部分又は断片の使用もまた本発明の範囲内である。したがって、本発明の一態様によれば、用語「本発明のナノボディ」は最も広い意味ではこのような部分又は断片も包含する。
【0467】
概して、本発明のナノボディ(例えばその類似体)のこのような部分又は断片は、対応する本発明の全長ナノボディ(又はその類似体)のアミノ酸配列と比較して、N末端の1つ又は複数のアミノ酸残基、C末端の1つ又は複数のアミノ酸残基、1つ又は複数の連続内部アミノ酸残基、又はその任意の組合せが欠失しているか、及び/又は除去されたアミノ酸配列を有する。
【0468】
部分又は断片は好ましくは、本明細書で規定されるような親和性(本発明のナノボディに関して本明細書中でさらに規定されるように、(実際又は見掛けの)K
D値、(実際又は見掛けの)K
A値、k
on速度及び/又はk
off速度として、又は代替的にはIC
50値として適切に測定されるか、及び/又は表される)をもってRANK−L、並びに少なくとも1つのこのようなアミノ酸配列を含む化合物及び構築物、特にタンパク質及びポリペプチドに結合することができるものである。
【0469】
任意の部分又は断片は好ましくは、対応する本発明の全長ナノボディのアミノ酸配列の少なくとも10個の連続アミノ酸残基、好ましくは少なくとも20個の連続アミノ酸残基、より好ましくは少なくとも30個の連続アミノ酸残基、例えば少なくとも40個の連続アミノ酸残基を含むものである。
【0470】
また、任意の部分又は断片は好ましくは、CDR1、CDR2及び/又はCDR3の少なくとも1つ又は少なくともその一部(特に少なくともCDR3又は少なくともその一部)を含むものである。より好ましくは、任意の部分又は断片は、好ましくは適切なフレームワーク配列(複数可)又は少なくともその一部により連結した、CDRの少なくとも1つ(好ましくは少なくともCDR3又はその一部)及び少なくとも1つの他のCDR(即ち、CDR1又はCDR2)又は少なくともその一部を含むものである。より好ましくは、任意の部分又は断片は、好ましくは同様に適切なフレームワーク配列(複数可)又は少なくともその一部により連結した、CDRの少なくとも1つ(好ましくは少なくともCDR3又はその一部)及び残り2つのCDRの少なくとも一部を含むものである。
【0471】
別の特に好ましいが非限定的な実施の形態によれば、このような部分又は断片は、対応する本発明の全長ナノボディの少なくともCDR3、例えばFR3、CDR3及びFR4を含む(即ち、例えば国際出願の国際公開第03/050531号パンフレット(Lasters et al.)に説明される)。
【0472】
上記で既に述べたように、2つ以上のこのような部分又は断片(即ち、同一又は別個の本発明のナノボディに由来する)を組み合わせる、即ち、本発明のナノボディの類似体(本明細書で規定される)及び/又はさらなる部分又は断片(本明細書で規定される)を提供することも可能である。例えば、本発明のナノボディの1つ又は複数の部分又は断片を、ヒトV
Hドメインの1つ又は複数の部分又は断片と組み合わせることもまた可能である。
【0473】
好適な一態様によれば、部分又は断片は、配列番号560〜配列番号621のナノボディの1つとの少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%(少なくとも90%等)、95%又は99%以上の程度の配列同一性を有する。
【0474】
部分及び断片、並びにそれをコードする核酸配列は、任意のそれ自体が既知の方法で準備して任意に組み合わせることができる。例えば、このような部分又は断片は、完全長の本発明のナノボディをコードする核酸中に終止コドンを挿入すること、及び次に得られる核酸をそれ自体が既知の方法(例えば本明細書中で説明される)で発現させることで得ることができる。代替的には、このような部分又は断片をコードする核酸は、完全長の本発明のナノボディをコードする核酸を適切に制限すること、又はこのような核酸をそれ自体が既知の方法で合成することにより得ることができる。部分又は断片はまた、それ自体が既知のペプチド合成技法を用いて準備してもよい。
【0475】
本発明は最も広い意味では本発明のナノボディの誘導体も含む。このような誘導体は概して、本発明のナノボディ及び/又は本発明のナノボディを形成するアミノ酸残基の1つ又は複数の修飾、特に化学的及び/又は生物学的(例えば酵素的)修飾により得ることができる。
【0476】
このような修飾の例、並びにこのような形(即ち、タンパク質骨格、又は好ましくは側鎖のいずれか)で修飾することができるナノボディ配列中のアミノ酸残基の例、このような修飾の導入のために使用することができる方法及び技法、並びにこのような修飾の潜在的使用及び利点は当業者に明らかである。
【0477】
例えば、このような修飾は、1つ又は複数の官能基、残基又は部分、特に1つ又は複数の所望の特性又は官能性を本発明のナノボディに付与する1つ又は複数の官能基、残基又は部分を本発明のナノボディ中又はナノボディ上に(例えば共有結合によるか、又は他の適切な形で)導入することを含み得る。このような官能基の例は当業者に明らかである。
【0478】
例えば、このような修飾は、本発明のナノボディの半減期、溶解性及び/又は吸収性を増大する、本発明のナノボディの免疫原性及び/又は毒性を低減する、本発明のナノボディの任意の望ましくない副作用を排除又は減衰する、及び/又は本発明のナノボディ及び/又はポリペプチドに他の有益な特性を付与するか、及び/又は本発明のナノボディ及び/又はポリペプチドの不要な特性を減らす、又は上記の2つ以上の任意の組合せである1つ又は複数の官能基を(例えば共有結合によるか、又は他の適切な形で)導入することを含み得る。このような官能基及びそれらを導入する技法の例は当業者に明らかであり、一般に、以上で引用される一般的背景技術で述べた全ての官能基及び技法、並びに医薬用タンパク質の修飾、特に抗体又は抗体断片(例えばScFv及び単一ドメイン抗体)の修飾に関するそれ自体が既知の官能基及び技法を含み得る;これに関しては例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 16th ed., Mack Publishing Co., Easton,PA (1980)を参照する。同様に当業者に明らかなように、このような官能基は、例えば本発明のナノボディに直接(例えば共有結合的に)結合するか、又は任意に適切なリンカー又はスペーサーを介して結合する。
【0479】
半減期を増大するか、及び/又は医薬用タンパク質の免疫原性を低減するために最も広く使用される技法の1つは、適切な薬学的に許容可能なポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)又はその誘導体(例えばメトキシポリ(エチレングリコール)又はmPEG)の結合を含む。概して、任意の適切な形のペグ化、例えば当該技術分野で抗体及び抗体断片(例えば、限定されるものではないが、(単一)ドメイン抗体及びScFv)に対して使用されるペグ化を使用することができる;例えばChapman, Nat. Biotechnol., 54, 531-545 (2002)、Veronese and Harris, Adv. Drug Deliv. Rev. 54, 453-456 (2003)、Harris and Chess, Nat. Rev. Drug. Discov.,2, (2003)及び国際公開第04/060965号パンフレットを参照する。タンパク質のペグ化に関する多様な試薬も、例えばNektar Therapeutics, USAより市販されている。
【0480】
好ましくは、特にシステイン残基を介した部位特異的ペグ化を使用する(例えばYang et al., Protein Engineering, 16, 10, 761-770 (2003)を参照)。例えば、そのために、本発明のナノボディにおいて自然発生するシステイン残基にPEGを結合してもよく、本発明のナノボディを、PEGに結合する1つ又は複数のシステイン残基を適切に導入するように修飾してもよく、又はPEGに結合する1つ又は複数のシステイン残基を含むアミノ酸配列を、本発明のナノボディのN末端及び/又はC末端と融合してもよい(全て、それ自体が当業者に既知であるタンパク質工学の技法を使用する)。
【0481】
好ましくは、PEGは、本発明のナノボディ及びタンパク質に対して5000を超える(例えば10000を超える)且つ200000未満(例えば100000未満)の分子量、例えば20000〜80000の範囲の分子量で使用する。
【0482】
さらに、通常あまり好ましくない修飾は、一般的に翻訳時及び/又は翻訳後の修飾の一部として、本発明のナノボディ又はポリペプチドを発現するのに用いられる宿主細胞に応
じてN結合型又はO結合型のグリコシル化を含む。
【0483】
さらに別の修飾は、標識したナノボディの用途に応じて、1つ又は複数の検出可能な標識、又は他のシグナル生成基若しくはシグナル生成部分の導入を含んでいてもよい。それらを結合、使用及び検出するのに好適な標識及び技法は当業者にとって明らかであり、例としては、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタアルデヒド、及びフルオレサミン、並びに
152Eu等の蛍光金属、又はランタニド種からの他の金属)、リン光標識、化学発光標識又は生物発光標識(例えば、ルミナール、イソルミナール、セロマティックアクリジニウムエステル(theromatic acridinium ester)、イミダゾール、アクリジニウム塩、シュウ酸エステル、及びジオキセタン又はGFP、並びにその類似体)、放射性同位体(例えば、
3H、
125I、
32P、
35S、
14C、
51Cr、
36Cl、
57Co、
58Co、
59Fe、及び
75Se)、金属、金属キレート又は金属カチオン(例えば、
99mTc、
123I、
111In、
131I、
97Ru、
67Cu、
67Ga、及び
68Ga等の金属カチオン、又はin vivo、in vitro又はin situ診断及びイメージングに特に適す他の金属若しくは金属カチオン、例えば(
157Gd、
55Mn、
162Dy、
52Cr、及び
56Fe)、並びに、発色団及び酵素(例えば、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、スタフィロコッカスヌクレアーゼ、デルタ−V−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ビオチンアビジンペルオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−VI−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、及びアセチルコリンエステラーゼ)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な標識は当業者にとって明らかであり、例としては、NMR分光法又はESR分光法を用いて検出することができる部分が挙げられる。
【0484】
本発明のこのような標識したナノボディ及びポリペプチドは、例えば、特異的標識の選択に応じて、(ELISA、RIA、EIA及び他の「サンドイッチアッセイ」等の既知のイムノアッセイを含む)in vitro、in vivo又はin situアッセイに、並びにin vivo診断及びイメージングの目的で使用され得る。
【0485】
当業者にとって明らかであるように、別の修飾は、例えば、上記の金属又は金属カチオンの1つをキレート化するキレート官能基(chelating group)の導入を含んでいてもよい。例えば好適なキレート官能基としては、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン五酢酸(EDTA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0486】
さらに別の修飾は、ビオチン−(ストレプト)アビジン結合対等の特異的結合対の一部である官能基の導入を含んでいてもよい。このような官能基は、本発明のナノボディを別のタンパク質、ポリペプチド、又は結合対の残り半分と結合する化合物に連結させるのに(即ち、結合対の形成を介して)使用され得る。例えば、本発明のナノボディは、ビオチンと結合し、別のタンパク質、ポリペプチド、アビジン又はストレプトアビジンと結合する化合物又は担体に連結し得る。例えば、このような結合ナノボディは、例えば、検出可能なシグナル生成剤がアビジン又はストレプトアビジンに結合する診断系のレポーターとして使用され得る。このような結合対は、例えば、本発明のナノボディを、医薬目的に好適な担体を含む担体に結合させるのにも使用することができる。非限定的な一例は、Cao and Suresh, Journal of Drug Targetting, 8, 4, 257 (2000)によって記載のリポソーム製剤である。このような結合対はまた、本発明のナノボディに治療に有効な作用物質を連結させるのに使用することができる。
【0487】
用途によっては、特に、(例えば、癌の治療において)本発明のナノボディが指向性を有する標的を発現する細胞を死滅させること、又はこのような細胞の成長及び/又は増殖を低減するか若しくは遅延させることを意図する用途では、本発明のナノボディは、毒素又は毒素残基又は毒素部分にも連結し得る。本発明のナノボディに連結して、例えば細胞毒性化合物をもたらし得る毒素部分、化合物又は残基の例は当業者にとって明らかであり、例えば、上記の従来技術に及び/又は本明細書中のさらなる説明に見ることができる。一例はいわゆるADEPT(商標)技術である(国際公開第03/055527号パンフレット)。
【0488】
他の可能な化学修飾及び酵素修飾は当業者にとって明らかであろう。このような修飾を、(例えば、機能−活性関係を研究するために)調査目的で導入してもよい。例えば、Lundblad and Bradshaw, Biotechnol. Appl. Biochem., 26, 143-151 (1997)を参照する。
【0489】
好ましくは、この誘導体は、((実際又は見掛けの)K
D値、(実際又は見掛けの)K
A値、k
on速度及び/又はk
off速度として、又は代替的に本明細書中にさらに記載のIC
50値として好適に測定及び/又は表される)、本発明のナノボディに関して本明細書中に規定される親和性を有して、RANK−Lと結合するような誘導体である。
【0490】
上述のように、本発明はまた、少なくとも1つの本発明のナノボディから本質的に成るか又はこれを含む、タンパク質又はポリペプチドに関する。「から本質的に成る」とは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列のいずれかが、本発明のナノボディのアミノ酸配列と厳密に同じであるか、又は、1個〜20個のアミノ酸残基、例えば、1個〜10個のアミノ酸残基、及び好ましくは1個〜6個のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個又は6個のアミノ酸残基)である限定数のアミノ酸残基をナノボディのアミノ酸配列のアミノ末端、カルボキシ末端、又はアミノ末端及びカルボキシ末端の両方に付加させた本発明のナノボディのアミノ酸配列に対応することを意味する。
【0491】
上記のアミノ酸残基は、ナノボディの(生物学的)特性を変更するか、改質するか、さもなければこれに影響を与えることもあり又は与えない場合もあり、ナノボディにさらなる官能基を付加することもあり又は付加しない場合もある。例えば、このようなアミノ酸残基は、
例えば、異種宿主細胞又は異種宿主生物において発現した結果得られるN末端Met残基を含み得る。
合成の際に宿主細胞からのナノボディの分泌を導く、シグナル配列又はリーダー配列を形成してもよい。好適な分泌リーダーペプチドは当業者にとって明らかであり、本明細書中にさらに記載される通りであり得る。通常、発明は最も広い意味では、限定されるものではないが、このようなリーダー配列は、ナノボディのN末端に連結されるであろう。
ナノボディを、特定の器官、組織、細胞、又は細胞の一部若しくはコンパートメントに指向性を有し、及び/又はそれらに侵入させるか若しくは入り込ませ、及び/又はナノボディを、細胞膜、上皮細胞の層等の細胞層、固形腫瘍を含む腫瘍、又は血液脳関門のような生物学的障壁に侵入させるか若しくはそれらに対して横断させる、配列又はシグナルを形成し得る。このようなアミノ酸配列の例は当業者にとって明らかであろう。幾つかの非限定的な例は、国際公開第03/026700号パンフレット、並びにTemsamani et al., Expert Opin. Biol. Ther., 1, 773 (2001)、Temsamani and Vidal, Drug Discov.Today, 9, 1012 (004)及びRousselle,J. Pharmacol. Exp. Ther., 296, 124-131 (2001)に記載されている小さいペプチドベクター(「Pep−トランスベクター」)、並びにZhao et al., Apoptosis, 8, 631-637 (2003)によって記載されている膜輸送体配列である。抗体断片の細胞内標的のためのC末端アミノ酸配列及びN末端アミノ酸配列は、例えば、Cardinale et al., Methods, 34, 171 (2004)によって記載されている。細胞内標的の他の好適な技法は、以下に記述されるような、本発明のナノボディを含むいわゆる「細胞内抗体」の発現及び/又は使用を伴う。
「タグ」、例えば、例えば上記の配列又は残基を対象とする親和性技法を用いてナノボディの精製を可能にするか又は容易にする、アミノ酸配列又は残基を形成し得る。その後、(例えば、化学的又は酵素学的な開裂によって)上記の配列又は残基を除去して、ナノボディ配列をもたらし得る(この目的のために、タグは任意で、開裂可能なリンカー配列を介してナノボディ配列に連結されてもよく、又は開裂可能なモチーフを含有していてもよい)。このような残基の好ましいが非限定的な幾つかの例は、複数のヒスチジン残基、グルタチオン残基、及びmycタグ(例えば国際公開第06/12282号パンフレットの配列番号31を参照)であり、
官能基の結合のために官能化し及び/又は部位として機能することができる1つ又は複数のアミノ酸残基であり得る。好適なアミノ酸残基及び官能基は当業者にとって明らかであり、本発明のナノボディの誘導体について本明細書中に記述されたアミノ酸残基及び官能基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0492】
別の態様によれば、本発明のポリペプチドは、そのアミノ末端、そのカルボキシ末端、又はそのアミノ末端及びカルボキシ末端の両方で、少なくとも1つのさらなるアミノ酸配列に融合する、即ち本発明のナノボディと1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列とを含む融合タンパク質がもたらされるように本発明のナノボディを含む。このような融合は本明細書中で「ナノボディ融合」とも呼ばれる。
【0493】
1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列は、任意の好適及び/又は所望のアミノ酸配列であり得る。さらなるアミノ酸配列は、ナノボディの(生物学的)特性を変更するか、改質するか、さもなければこれに影響を与えることもあり又は与えない場合もあり、本発明のナノボディ又はポリペプチドにさらなる官能基を付加することもあり又は付加しない場合もある。好ましくは、さらなるアミノ酸配列は、本発明のナノボディ又はポリペプチドに、1つ又は複数の所望の特性又は官能性を付与するものである。
【0494】
例えば、さらなるアミノ酸配列はまた、任意の所望のタンパク質、ポリペプチド、抗原、抗原決定基又はエピトープ(本発明のナノボディが対象とする同様のタンパク質、ポリペプチド、抗原、抗原決定基若しくはエピトープ、又は異なるタンパク質、ポリペプチド、抗原、抗原決定基若しくはエピトープが挙げられるが、これらに限定されない)のいずれかを対象とし得る第2の結合部位をもたらし得る。
【0495】
このようなアミノ酸配列の例は当業者にとって明らかであり、概して、従来の抗体及びその断片に基づきペプチド融合に用いられる全てのアミノ酸配列を含み得る(ScFv抗体及び単一ドメイン抗体が挙げられるが、これらに限定されない)。例えば、Holliger and Hudson, Nature Biotechnology, 23, 9, 1126-1136 (2005)による総説を参照する。
【0496】
例えば、このようなアミノ酸配列は、本発明のナノボディ自体に比べて、半減期、溶解性又は吸着を増大させる、免疫原性又は毒性を低減させる、望ましくない副作用を排除又は減衰させる、及び/又は他の有益な特性を本発明のポリペプチドに付与するか、及び/又は本発明のポリペプチドの望ましくない特性を減らすアミノ酸配列であり得る。このようなアミノ酸配列の幾つかの非限定的な例は、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(例えば国際公開第00/27435号パンフレットを参照)又はハプテン分子(例えば、循環抗体として認識されるハプテン(例えば国際公開第98/22141号パンフレットを参照))である。
【0497】
特に、血清アルブミン又はその断片に対する免疫グロブリンの連結断片(例えば、V
Hドメイン)を使用して半減期を増大させることができることは、当該技術分野において記載されている。例えば、国際公開第00/27435号パンフレット及び国際公開第01/077137号パンフレットを参照する)。本発明によれば、本発明のナノボディは好ましくは、血清アルブミン(又はその好適な断片)に直接連結するか、又は好適なリンカーを介して、特に好適なペプチドを介して連結することにより、本発明のポリペプチドを遺伝子融合(タンパク質)として発現することができる。具体的な一態様によれば、本発明のナノボディは、少なくとも血清アルブミンのドメインIII又はその一部を含む、血清アルブミンの断片に連結し得る。例えば、AblynxN.V.の国際公開第07/112940号パンフレットを参照されたい。
【0498】
代替的に、さらなるアミノ酸配列は、血清中の半減期を増大させるように、血清タンパク質(例えば、IgG等のヒト血清アルブミン又は別の血清タンパク質等)に指向性を有する、第2の結合部位又は結合単位を付与し得る。このようなアミノ酸配列は例えば、下記のナノボディ、並びに、国際公開第91/01743号パンフレット、国際公開第01/45746号パンフレット及び国際公開第02/076489号パンフレットに記載の小さいペプチド及び結合タンパク質、及び国際公開第03/002609号パンフレット及び国際公開第04/003019号パンフレットに記載のdAbを含む。Harmsen et al., Vaccine, 23 (41); 4926-42, 2005、並びに欧州特許第0,368,684号明細書、並びに、本明細書中に記載のAblynx N.V.による以下の米国仮特許出願第60/843,349号明細書(国際出願PCT/EP2007/059475号明細書も参照されたい)、同第60/850,774号明細書(国際出願PCT/EP2007/060849号明細書も参照されたい)、同第60/850,775号明細書(国際出願PCT/EP2007/060850号明細書も参照されたい)、及び"Peptides capable of binding to serum proteins"と題されたAblynx N.V.による米国仮特許出願(2006年12月5日出願)(国際出願PCT/EP2007/063348号明細書も参照されたい)にも言及されている。
【0499】
このようなアミノ酸配列は特に、血清アルブミン(及びより詳細にはヒト血清アルブミン)及び/又はIgG(及びより詳細にはヒトIgG)に指向性を有し得る。例えば、このようなアミノ酸配列は、(ヒト)血清アルブミンに指向性を有するアミノ酸配列、及びFcRnへの血清アルブミンの結合に関与しない(ヒト)血清アルブミン上のアミノ酸残基に結合し得るアミノ酸配列(例えば、国際公開第06/0122787号パンフレットを参照)、及び/又は血清アルブミンのドメインIIIの一部を形成しない血清アルブミン上のアミノ酸残基に結合し得るアミノ酸配列(例えば、同様に国際公開第06/0122787号パンフレットを参照);増大した半減期を有するか又は半減期を増大させ得るアミノ酸配列(例えば、Ablynx N.V.の国際公開第08/028977号パンフレットを参照されたい);哺乳動物の少なくとも1種及び特に霊長類の少なくとも1種(例えば、限定されるものではないが、マカク属のサル(例えば、及び特に、カニクイザル(Macaca fascicularis)及び/又はアカゲサル(Macaca mulatta))、並びにヒヒ(Papio ursinus))に由来の血清アルブミンと交差反応性であるヒト血清アルブミンに対するアミノ酸配列(同様に米国仮特許出願第60/843,349号明細書及び国際出願PCT/EP2007/059475号明細書も参照);pH非依存的に血清アルブミンに結合し得るアミノ酸配列(例えば、"Amino acid sequences that bind to serum proteins in a mannerthat is essentially independent of the pH, compounds comprising the same, anduses thereof"と題されたAblynx N.V.による米国仮特許出願第60/850,774号明細書(2006年10月11日出願)(国際出願PCT/EP2007/059475号明細書も参照されたい)を参照)、及び/又は条件付き結合剤であるアミノ酸配列(例えば、"Amino acid sequences that bind to a desired molecule in aconditional manner"と題されたAblynx N.V.による米国仮特許出願第60/850,775号明細書(2006年10月11日出願(国際出願PCT/EP2007/060850号明細書も参照されたい))を参照)であり得る。
【0500】
別の態様によれば、1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列は、従来の4本鎖抗体(及び、特にヒト抗体)及び/又は重鎖抗体の1つ又は複数の部分、断片、又はドメインを含み得る。例えば、本発明の通常好ましくないナノボディは、従来の(好ましくはヒト)V
Hドメイン若しくはV
Lドメイン、又はV
Hドメイン若しくはV
Lドメインの天然型類似体若しくは合成類似体に、ここでもまた任意でリンカー配列(Ward et al.によって記載されているdAb抗体等の他の(単一)ドメイン抗体が挙げられるが、これらに限定されない)を介して連結され得る。
【0501】
また、少なくとも1つのナノボディは、任意でリンカー配列を介して、1つ又は複数の(好ましくはヒト)CH
1、CH
2及び/又はCH
3ドメインと連結してもよい。例えば、好適なCH
1ドメインと連結するナノボディは、例えば従来のFab断片又はF(ab’)
2断片に類似する抗体断片/構築物を生成するように(好適な軽鎖と共に)使用することができるが、従来のV
Hドメインの1つ、又は(F(ab’)
2断片の場合)1つ若しくは両方を本発明のナノボディで置換した。また、2つのナノボディは、(任意でリンカーを介して)CH
3ドメインと連結してin vivoで半減期が増大した構築物をもたらすことができる。
【0502】
本発明のポリペプチドの具体的な一態様によれば、1つ又は複数の本発明のナノボディは、1つ又は複数の定常ドメイン(例えば、Fc部分の一部として使用する/Fc部分を形成することができる2つ又は3つの定常ドメイン)、Fc部分、及び/又は1つ又は複数のエフェクタ機能を本発明のポリペプチドに付与し及び/又は1つ又は複数のFc受容体に結合する能力を付与し得る1つ又は複数の抗体部、断片又はドメインと(任意で好適なリンカー又はヒンジ領域を介して)連結する。例えば、この目的で、及びこれらに限定されるものではないが、1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列は、重鎖抗体(本明細書中に記載)及びより好ましくは従来のヒト4本鎖抗体等に由来する抗体の1つ又は複数のCH
2及び/又はCH
3ドメインを含んでいてもよく、及び/又は例えばIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)、IgE、又はIgA、IgD若しくはIgM等の別のヒトIgに由来するFc領域(の一部)を形成してもよい。例えば、国際公開第94/04678号パンフレットは、ラクダV
HHドメイン又はそのヒト化誘導体(即ち、ナノボディ)を含む重鎖抗体を記載しており、ここでは、ラクダCH
2及び/又はCH
3ドメインが、ヒトCH
2及びCH
3ドメインで置換されている。それによりナノボディと(CH
1ドメインは含まないが)ヒトCH
2及びCH
3ドメインとをそれぞれ含む2つの重鎖から成る免疫グロブリンがもたらされるが、その免疫グロブリンは、CH
2及びCH
3ドメインによって付与されるエフェクタ機能を有し、如何なる軽鎖も存在することなく機能することができる。本発明のナノボディと好適に連結してエフェクタ機能を付与し得る他のアミノ酸配列は当業者にとって明らかであり、所望のエフェクタ機能(複数可)に基づき選択され得る。例えば、国際公開第04/058820号パンフレット、国際公開第99/42077号パンフレット、国際公開第02/056910号パンフレット、及び国際公開第05/017148号パンフレット、上記のHolliger and Hudsonの概説、並びに"Constructscomprising single variable domains and an Fc portion derived from IgE"と題されたAblynx N. V.による非公開の米国仮出願(2007年12月4日出願)を参照する。本発明のナノボディとFc部分とのカップリングによっても、対応する本発明のナノボディに比べて半減期の増大が生じ得る。用途によっては、如何なる生物学的に重要なエフェクタ機能も含まない半減期の増大を与えるFc部分及び/又は定常ドメイン(即ち、CH
2及び/又はCH
3ドメイン)の使用も好適であるか、又は一層好ましい。1つ又は複数のナノボディと、in vivoで半減期が増大した1つ又は複数の定常ドメインとを含む他の好適な構築物は当業者にとって明らかであり、例えば、任意でリンカー配列を介してCH
3ドメインに連結する2つのナノボディを含み得る。一般に、半減期が増大した任意の融合タンパク質又は誘導体は好ましくは、50kDを超える分子量、即ち腎臓吸収のカットオフ値を有する。
【0503】
別の具体的であるが、非限定的な一態様において、本発明のポリペプチドを形成するために、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列は、(即ち従来の4鎖抗体で自然発生する定常ドメインに比べて)二量体に自己会合する傾向が低減した(又は本質的にその傾向がない)天然、合成又は半合成の定常ドメイン(又はその類似体、変異体、突然変異体、部分又は断片)と(任意で好適なリンカー又はヒンジ領域を介して)連結し得る。このような単量体の(即ち自己会合していない)Fc鎖変異体又は断片は、当業者にとって明らかである。例えば、Helm et al.(J Biol Chem 1996 271 7494)は、本発明のポリペプチド鎖で使用することができる単量体Fcε鎖変異体を説明している。
【0504】
また、このような単量体Fc鎖変異体は、依然として(これらが由来するFc部位に応じて)補体又は関連のFc受容体(複数可)に結合することができるようなもの、及び/又は依然としてこれらが由来するFc部位のエフェクター機能を幾らか又は全て(又は依然として使用目的に適した低減レベルで)有するようなものであるのが好ましい。代替的に、このような本発明のポリペプチド鎖では、単量体Fc鎖を使用して、ポリペプチド鎖の半減期を増大させることができ、この場合、単量体Fc鎖はエフェクター機能を有しなくても、又は本質的に有しなくてもよい。
【0505】
二価/多価、二重特異性/多重特異性又は二重パラトピック/多重パラトピックの本発明のポリペプチドは、2007年12月4日に出願された表題"immunoglobulin constructs"の非公開米国仮特許出願第61/005331号明細書に記載される種類のポリペプチド構築物を提供するためにFc部位と連結してもよい。
【0506】
また、さらなるアミノ酸配列は、(例えば、本発明のポリペプチドを発現するのに用いられる宿主細胞に応じて、本発明のポリペプチドのプレフォーム、プロフォーム又はプレプロフォームをもたらすように)合成の際に宿主細胞から本発明のナノボディ又はポリペプチドの分泌を導くシグナル配列又はリーダー配列を形成し得る。
【0507】
また、さらなるアミノ酸配列は、本発明のナノボディ又はポリペプチドを、特定の器官、組織、細胞、又は細胞の一部若しくはコンパートメントに誘導し、及び/又はそれらに侵入させるか若しくは入り込ませ、及び/又は本発明のナノボディ又はポリペプチドを、細胞膜、上皮細胞の層等の細胞層、固形腫瘍等の腫瘍、又は血液脳関門のような生物学的障壁に侵入させるか若しくはそれらに対して横断させる配列又はシグナルを形成し得る。このようなアミノ酸配列の好適な例は当業者にとって明らかであり、例えば、例えば国際公開第94/02610号パンフレット、国際公開第95/22618号パンフレット、米国特許第7004940号明細書、国際公開第03/014960号パンフレット、国際公開第99/07414号パンフレット;国際公開第05/01690号パンフレット;欧州特許第1,512,696号明細書;及び、Cattaneo, A. & Biocca, S. (1997) Intracellular Antibodies:Development andApplications. Landes and Springer-Verlag;及びKontermann,Methods 34, (2004), 163-170、並びに本明細書中に記載のさらなる参照文献に記載されるような、上記の「Peptrans」のベクター、即ち、Cardinale et al.によって記載される配列、並びにいわゆる「細胞内抗体」である本発明のナノボディ及びポリペプチドを発現又は産生するのに使用することができる、それ自体が既知のアミノ酸配列及び抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0508】
用途によっては、特に(例えば癌の治療において)本発明のナノボディが指向性を有する標的を発現する細胞を死滅させること、又はこのような細胞の成長及び/又は増殖を抑えるか若しくは遅延させることを意図する用途では、本発明のナノボディはまた、(細胞)毒性タンパク質又はポリペプチドと連結し得る。本発明のナノボディと連結して、例えば、本発明の細胞毒性をもたらし得るこのような毒性タンパク質及びポリペプチドの例は当業者にとって明らかであり、例えば、上記従来技術及び/又は本明細書中のさらなる開示に見出すことができる。一例は、国際公開第03/055527号パンフレットに記載のいわゆるADEPT(商標)技術である。
【0509】
好ましいが非限定的な一態様によれば、上記1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列は、少なくとも1つのさらなるナノボディを含み、これにより、少なくとも2つ、例えば3つ、4つ、5つ以上のナノボディを含む本発明のポリペプチドをもたらし、該ナノボディは任意で、1つ又は複数のリンカー配列(本明細書中に規定)を介して連結され得る。少なくとも1つが本発明のナノボディである2つ以上のナノボディを含む本発明のポリペプチドは、本明細書中で本発明の「多価」ポリペプチドとも呼ばれ、このようなポリペプチド中に存在するナノボディは、本明細書中で「多価フォーマット」であるとも称される。例えば、本発明の「二価」ポリペプチドは、任意でリンカー配列を介して連結される2つのナノボディを含み、本発明の「三価」ポリペプチドは、任意で2つのリンカー配列等を介して連結される3つのナノボディを含む。ポリペプチド中に存在するナノボディの少なくとも1つ、及びポリペプチド中に存在するナノボディの最大で全てが、本発明のナノボディである。
【0510】
本発明の多価ポリペプチドでは、2つ以上のナノボディは、同じであっても異なっていてもよく、同じ抗原又は抗原決定基(例えば、同じ部分(複数可)若しくはエピトープ(複数可)、又は異なる部分若しくはエピトープ)に指向性を有するものであってもよく、代替的に異なる抗原若しくは抗原決定基、又はそれらの任意の好適な組合せに指向性を有するものであってもよい。例えば、本発明の二価ポリペプチドは、(a)2つの同一のナノボディ、(b)タンパク質若しくは抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する第1のナノボディ、及び第1のナノボディと異なる上記タンパク質若しくは抗原の同一抗原決定基に指向性を有する第2のナノボディ、(c)タンパク質若しくは抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する第1のナノボディ、及び上記タンパク質若しくは抗原の別の抗原決定基に指向性を有する第2のナノボディ、又は(d)第1のタンパク質若しくは抗原に指向性を有する第1のナノボディ、及び第2のタンパク質若しくは抗原(即ち、上記第1の抗原と異なる)に指向性を有する第2のナノボディを含み得る。同様に、本発明の三価ポリペプチドは例えば、これらに限定されるものではないが、(a)3つの同一のナノボディ、(b)抗原の第1の抗原決定基に対する2つの同一のナノボディ、及び同一抗原の異なる抗原決定基に指向性を有する第3のナノボディ、(c)抗原の第1の抗原決定基に対する2つの同一のナノボディ、及び上記第1の抗原と異なる第2の抗原に指向性を有する第3のナノボディ、(d)第1の抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する第1のナノボディ、上記第1の抗原の第2の抗原決定基に指向性を有する第2のナノボディ、及び上記第1の抗原と異なる第2の抗原に指向性を有する第3のナノボディ、又は(e)第1の抗原に指向性を有する第1のナノボディ、上記第1の抗原と異なる第2の抗原に指向性を有する第2のナノボディ、及び上記第1の抗原及び上記第2の抗原と異なる第3の抗原に指向性を有する第3のナノボディを含み得る。
【0511】
少なくとも1つのナノボディが第1の抗原に指向性を有する(即ち、RANK−Lに対する)ものであり、少なくとも1つのナノボディが第2の抗原(即ち、RANK−Lと異なる抗原)に指向性を有するものである、少なくとも2つのナノボディを含有する本発明のポリペプチドは、本発明の「多重特異性」ポリペプチドとも呼ばれており、このようなポリペプチド中に存在するナノボディは、本明細書中で「多重特異性フォーマット」であるとも称される。このため例えば、本発明の「二重特異性」ポリペプチドは、第1の抗原(即ちRANK−L)に指向性を有する少なくとも1つのナノボディ及び第2の抗原(即ち、RANK−Lと異なる)に指向性を有する少なくとも1つのさらなるナノボディを含むポリペプチドであり、本発明の「三重特異性」ポリペプチドは、第1の抗原(即ち、RANK−L)に指向性を有する少なくとも1つのナノボディ、第2の抗原(即ち、RANK−Lと異なる抗原)に指向性を有する少なくとも1つのさらなるナノボディ、及び第3の抗原(即ち、RANK−L及び第2の抗原の両方と異なる)に指向性を有する少なくとも1つのさらなるナノボディを含むポリペプチド等である。
【0512】
したがって、その最も単純な別の形態において、本発明の二重特異性ポリペプチドは、RANK−Lに指向性を有する第1のナノボディと、第2の抗原に指向性を有する第2のナノボディとを含み、該第1のナノボディ及び該第2のナノボディが任意でリンカー配列(本明細書中に規定)を介して連結され得る本発明の二価ポリペプチド(本明細書中に規定)であるのに対し、その最も単純な形態の本発明の三重特異性ポリペプチドは、RANK−Lに指向性を有する第1のナノボディと、第2の抗原に指向性を有する第2のナノボディと、第3の抗原に指向性を有する第3のナノボディとを含み、該第1のナノボディ、第2のナノボディ及び第3のナノボディが、任意で1つ又は複数、特に1つ及び複数、特に2つのリンカー配列を介して連結され得る本発明の三価ポリペプチド(本明細書中に規定)である。
【0513】
しかしながら、上述から明らかであるように、本発明は、本発明の多重特異性ポリペプチドが、RANK−Lに対する少なくとも1つのナノボディと、RANK−Lと異なる1つ又は複数の抗原に指向性を有する任意の数のナノボディとを含み得るという意味において、これらに限定されない。
【0514】
さらに、本発明のポリペプチド中における種々のナノボディの特定の順序又は配置が、最終的に得られる本発明のポリペプチドの性質(RANK−Lに関する、又は1つ若しくは複数の他の抗原に対する、親和性、特異性、又は結合活性が挙げられるが、これらに限定されない)に何らかの影響を及ぼし得る点は、本発明の範囲内に包含されるが、通常、上記順序又は配置は重要なものでなく、場合によっては任意で本明細書中の開示に基づく限定された日常実験を幾つか実施した後に、当業者であれば好適に選択することができるであろう。したがって、特定の本発明の多価又は多重特異性のポリペプチドについて述べられる場合、明示的に指示がない限り、これは関連するナノボディの任意の順序又は配置を包含するものであることに留意されたい。
【0515】
最終的に、本発明のポリペプチドが、2つ以上のナノボディと、1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列(本明細書中に記述)とを含有することも、本発明の範囲内である。
【0516】
1つ又は複数のV
HHドメインを含有する多価の多重特異性のポリペプチド、及びそれらの調製に関して、Conrath et al., J. Biol. Chem., Vol. 276, 10. 7346-7350, 2001;Muyldermans, Reviews in Molecular Biotechnology 74 (2001), 277-302、並びに、例えば国際公開第96/34103号パンフレット及び国際公開第99/23221号パンフレットにも述べられている。本発明の幾つかの特定の多重特異性及び/又は多価のポリペプチドの幾つかの他の例は、本明細書中で参照されるAblynx N.V.による出願に見ることができる。
【0517】
本発明の多重特異性ポリペプチドの好ましいが非限定的な一例は、少なくとも1つの本発明のナノボディと、少なくとも1つの半減期の増大をもたらすナノボディとを含む。このようなナノボディは例えば、血清タンパク質、、特にヒト血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、チロキシン結合タンパク質、(ヒト)トランスフェリン、フィブリノゲン、IgG、IgE若しくはIgM等の免疫グロブリン、又は国際公開第04/003019号パンフレットに列挙された血清タンパク質の1つに指向性を有するナノボディであり得る。これらの内で、血清アルブミン(特にヒト血清アルブミン)又はIgG(特にヒトIgG、例えば上記のMuyldermansによる総説に記載されているナノボディVH−1を参照されたい)と結合することができるナノボディが特に好ましい(が、例えばマウス又は霊長類での実験に関しては、それぞれマウス血清アルブミン(MSA)又は該霊長類由来の血清アルブミンに対する、又はこれと交差反応性のナノボディを使用することができる。しかしながら、薬学的使用に関しては、通常ヒト血清アルブミン又はヒトIgGに対するナノボディが好ましい)。半減期を増大させ、本発明のポリペプチドで使用することができるナノボディには、上記で言及されたようなもの等の国際公開第04/041865号パンフレット、国際公開第06/122787号パンフレット及びAblynx N. V.によるさらなる特許出願で記載されている血清アルブミンに指向性を有するナノボディが含まれる。
【0518】
例えば、本発明で使用する半減期を増大させる、幾つかの好ましいナノボディには、血清アルブミンとFcRnとの結合に関与しない(ヒト)血清アルブミン上のアミノ酸残基と結合することができるナノボディ(例えば国際公開第06/0122787号パンフレットを参照されたい);血清アルブミンのドメインIII部分を形成しない血清アルブミン上のアミノ酸残基と結合することができるナノボディ(例えば国際公開第06/0122787号パンフレットを参照されたい);半減期を増大させたか又は増大させることができるナノボディ(例えば本明細書中に言及されるAblynx N.Vによる米国仮特許出願第60/843349号明細書を参照されたい、また国際出願PCT/EP2007/059475号明細書を参照されたい);少なくとも1種の哺乳動物、特に少なくとも1種の霊長類(例えば、限定されるものではないが、マカク属のサル(例えば、及び特に、カニクイザル(マカク・ファシクラリス)及び/又はアカゲザル(マカク・ムラット))及びヒヒ(パピオ・ウルジヌス)由来の血清アルブミンと交差反応性であるヒト血清アルブミンに対するナノボディ(例えばAblynx N.Vによる米国仮特許出願第60/843349号明細書を参照されたい、また国際出願PCT/EP2007/059475号明細書を参照されたい);pH依存的に血清アルブミンと結合することができるナノボディ(例えばAblynx N.V.による米国仮特許出願第60/850774号を参照されたい、また国際出願PCT/EP2007/060849号明細書を参照されたい)及び/又は条件付き結合剤(conditional binders)であるナノボディ(例えばAblynx N.V.による米国仮特許出願第60/850775号を参照されたい、また国際出願PCT/EP2007/060850号明細書を参照されたい)が含まれる。
【0519】
半減期を増大させ、本発明のポリペプチドで使用することができる、幾つかの特に好ましいナノボディには、国際公開第06/122787号パンフレット(表II及び表IIIを参照されたい)に開示のナノボディALB−1〜ALB−10が含まれ、その中でもALB−8(国際公開第06/122787号パンフレットにおける配列番号62)が特に好ましい。
【0520】
少なくとも1つの本発明のナノボディ、及び少なくとも1つの半減期を増大させたナノボディを含む本発明のポリペプチドの幾つかの好ましいが非限定的な例は、配列番号694〜配列番号729及び配列番号759、配列番号760に挙げられる。
【0521】
具体的であるが非限定的な本発明の態様によれば、本発明のポリペプチドは、1つ又は複数の本発明のナノボディ以外に、少なくとも1つのヒト血清アルブミンに対するナノボディを含有する。
【0522】
概して、1つ又は複数の本発明のナノボディを含有する、半減期が増大した任意の本発明のポリペプチド、及び本発明のナノボディ又は半減期が増大したこのようなポリペプチドの任意の誘導体は好ましくは、対応する本発明のナノボディ自体の少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍(少なくとも5倍等)、例えば少なくとも10倍又は20倍を超える半減期を有する。例えば、このような誘導体又は半減期を増大させたポリペプチドは、対応する本発明のナノボディ自体に比べて、半減期が1時間を超えて、好ましくは2時間を超えて、より好ましくは6時間を超えて(12時間等を超えて)、又はさらに24時間、48時間若しくは72時間を超えて増大し得る。
【0523】
好ましいが非限定的な本発明の態様において、このような誘導体又はポリペプチドは、少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも48時間、さらにより好ましくは少なくとも72時間以上のヒトにおける血清半減期を示し得る。例えばこのような誘導体又はポリペプチドは、少なくとも5日(約5日〜10日等)、好ましくは少なくとも9日(約9日〜14日等)、より好ましくは少なくとも約10日(約10日〜15日等)、若しくは少なくとも約11日(約11日〜16日等)、より好ましくは少なくとも約12日(約12日〜18日以上等)、又は14日超(約14日〜19日等)の半減期を有し得る。
【0524】
本発明の一態様によれば、ポリペプチドは、in vivoにおいてポリペプチドの半減期を増大させることができる1又は複数の分子と結合することができる。
【0525】
本発明のポリペプチドは、in vivoにおいて安定化され、それらの半減期は、分解耐性及び/又はクリアランス耐性若しくは捕捉耐性のある分子への結合により増大する。通常、このような分子は、それ自体がin vivoにおいて長い半減期を有する天然タンパク質である。
【0526】
本発明の多重特異性ポリペプチドの別の好ましいが非限定的な例は、少なくとも1つの本発明のナノボディ、及び本発明のポリペプチドを特定の器官、組織、細胞、又は細胞の一部若しくはコンパートメントに誘導し、及び/又は本発明のポリペプチドを特定の器官、組織、細胞、又は細胞の一部若しくはコンパートメントに侵入させるか若しくは入り込ませ、及び/又はナノボディを細胞膜、上皮細胞層等の細胞層、固形腫瘍を含む腫瘍、又は血液脳関門のような生物学的障壁に侵入させるか若しくはそれらに対して横断させる、少なくとも1つのナノボディを含む。このようなナノボディの例としては、所望の器官、組織又は細胞(例えば、腫瘍細胞に関連する細胞表面マーカー)に特有の細胞表面タンパク質、マーカー又はエピトープ、並びに国際公開第02/057445号パンフレット及び国際公開第06/040153号パンフレットに記載の単一ドメイン脳標的化抗体断片に指向性を有するナノボディが挙げられ、このうち、FC44(国際公開第06/040153号パンフレットの配列番号189)及びFC5(国際公開第06/040154号パンフレットの配列番号190)が好ましい例である。
【0527】
本発明のポリペプチドにおいて、1つ又は複数のナノボディ、及び1つ又は複数のポリペプチドは、(例えば、国際公開第99/23221号パンフレットに記載のように)互いに直接連結していてもよく、及び/又は1つ又は複数の好適なスペーサー若しくはリンカー、又はこれらの任意の組合せを介して互いに連結していてもよい。
【0528】
多価及び多重特異性のポリペプチドに使用するのに好適なスペーサー又はリンカーは当業者にとって明らかであり、一般に、アミノ酸配列を連結させる当該技術分野で使用する任意のリンカー又はスペーサーであってよい。好ましくは、上記リンカー又はスペーサーは、医薬用途で意図されるタンパク質又はポリペプチドを構築する上での使用に好適である。
【0529】
幾つかの特に好ましいスペーサーとしては、抗体断片又は抗体ドメインを連結させるのに当該技術分野で使用されるスペーサー及びリンカーが挙げられる。これらは、上記で引用した包括的な背景技術に記載したリンカーと共に、例えば、ダイアボディ又はScFv断片を構築するのに当該技術分野で使用するリンカーを含む(しかし、この点で、ダイアボディ及びScFv断片では、使用するリンカー配列が、関連するV
Hドメイン及びV
Lドメインが一体となって、完全な抗原結合部位を形成することができるような長さ、柔軟性の程度、及び他の性質を有している必要があるが、それぞれのナノボディは単独で完全な抗原結合部位を形成するため、本発明のポリペプチドに使用するリンカーの長さ又は柔軟性に関しては特に制限が存在しないことに留意されたい)。
【0530】
例えば、リンカーは、好適なアミノ酸配列、具体的には1個〜50個、好ましくは1個〜30個、例えば1個〜10個のアミノ酸残基のアミノ酸配列であってもよい。このようなアミノ酸配列の幾つかの好ましい例としては、(国際公開第99/42077号パンフレットに記載の例えば(gly
4ser)
3又は(gly
3ser
2)
3)等の例えば、(gly
xser
y)
z型のgly−serリンカー、本明細書で上述したAblynxによる出願に記載のGS30リンカー、GS15リンカー、GS9リンカー及びGS7リンカー(例えば国際公開第06/040153号パンフレット及び国際公開第06/122825号パンフレットを参照)、並びに天然型重鎖抗体のヒンジ領域等のヒンジ類似領域、又は(国際公開第94/04678号パンフレットに記載のもの等の)同様の配列が挙げられる。
【0531】
幾つかの他の特に好ましいリンカーは、ポリアラニン(AAA等)、並びにGS30リンカー(国際公開第06/122825号パンフレットの配列番号85)及びGS9リンカー(国際公開第06/122825号パンフレットの配列番号84)である。
【0532】
他の好適なリンカーは一般に、有機化合物又はポリマー、特に医薬用途のタンパク質に使用するのに好適な有機化合物又はポリマーを含む。例えば、ポリ(エチレングリコール)部分が、抗体ドメインを連結させるのに使用されており、例えば、国際公開第04/081026号パンフレットを参照されたい。
【0533】
使用するリンカー(複数可)の長さ、柔軟性の程度及び/又は他の性質(重要ではないが、ScFv断片に使用されるリンカーにおいて一般的なもの)は、RANK−L又は1つ又は複数の他の抗原に対する親和性、特異性又は結合活性を含むがこれらに限定されない、最終的に得られる本発明のポリペプチドの性質に何らかの影響を及ぼし得る点が、本発明の範囲内に包含される。本明細書中での開示に基づき、任意で、限定された日常実験を幾つか実施した後に、当業者であれば本発明の特定のポリペプチドに使用するために最適なリンカー(複数可)を決定することができるであろう。
【0534】
例えば、(多量体受容体又は他のタンパク質等の)多量体抗原に指向性を有するナノボディを含む本発明の多価のポリペプチドにおいて、リンカーは、好ましくは、ポリペプチド中に存在する本発明のそれぞれのナノボディを、多量体のそれぞれのサブユニット上の抗原決定基に結合させるような長さ及び柔軟性を有している。同様に、同一の抗原上の2つ以上の異なる抗原決定基(例えば、抗原の異なるエピトープ、及び/又は多量体受容体、チャネル若しくはタンパク質の異なるサブユニット)に指向性を有するナノボディを含む本発明の多重特異性ポリペプチドにおいて、リンカーは、好ましくは、それぞれのナノボディを、目的の抗原決定基に結合させるような長さ及び柔軟性を有している。この場合にも、本明細書中での開示に基づき、任意で、限定された日常実験を幾つか実施した後に、当業者であれば本発明の特定のポリペプチドに使用するために最適なリンカー(複数可)を決定することができるであろう。
【0535】
使用するリンカー(複数可)が、本発明のポリペプチドに、1つ又は複数の他の望ましい性質又は機能を付与し、及び/又は(例えば本発明のナノボディの誘導体について本明細書中に記載の)誘導体の形成及び/又は官能基の結合のための1つ又は複数の部位をもたらすことも本発明の範囲内に包含される。例えば、1つ又は複数の荷電アミノ酸残基(上記の表A−2を参照)を含有するリンカーは、高められた親水性をもたらすことができるのに対し、低分子量のエピトープ又はタグを形成するか又はそれらを含有するリンカーは、検出、同定及び/又は精製の目的で使用することができる。この場合でも、本明細書中での開示に基づき、任意で、限定された通常実験を幾つか実施した後に、当業者であれば本発明の特定のポリペプチドに使用するために最適なリンカーを決定することができるであろう。
【0536】
最終的に、本発明のポリペプチドに2つ以上のリンカーを使用する場合、これらのリンカーは同一であっても異なっていてもよい。この場合でも、本明細書中での開示に基づき、任意で、限定された日常実験を幾つか実施した後に、当業者であれば本発明の特定のポリペプチドに使用するのに最適なリンカーを決定することができるであろう。
【0537】
通常、発現及び産生を容易にするため、本発明のポリペプチドは直鎖ポリペプチドである。しかしながら、本発明は、最も広い意味ではこれらに限定されない。例えば、本発明のポリペプチドが3つ以上のナノボディを含む場合、「星型」の構築物を得るために、各「アーム」がナノボディに結合する3つ以上の「アーム」を有するリンカーを使用することによってこれらを結合させることも可能である。通常あまり好ましくないが、環状の構築物を使用することも可能である。
【0538】
また、本発明には、本発明のポリペプチドの誘導体が含まれ、これは本発明の、即ち本明細書中に記載のナノボディの誘導体に本質的に類似するものであり得る。
【0539】
また、本発明には、本発明のポリペプチドから「本質的に成る」タンパク質又はポリペプチドが含まれる(「から本質的に成る」という語句は、上記で示したものと本質的に同じ意味を有する)。
【0540】
本発明の一態様によれば、本発明のポリペプチドは、本明細書中に規定したように、本質的に単離形態である。
【0541】
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ、ポリペプチド及び核酸は、それ自体が既知であり、本明細書中のさらなる説明により当業者にとって明らかである方法で調製することができる。例えば、本発明のナノボディ及びポリペプチドは、抗体の調製、特に抗体断片((単一)ドメイン抗体及びScFv断片が挙げられるが、これらに限定されない)の調製のためのそれ自体が既知の任意の方法で調製することができる。アミノ酸配列、ナノボディ、ポリペプチド及び核酸を調製するための、好ましいが非限定的な幾つかの方法としては、本明細書中に記載の方法及び技法が挙げられる。
【0542】
当業者にとって明らかであるように、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチドの調製に特に有用な一方法は通常、
i)好適な宿主細胞又は宿主生物(本明細書中では「本発明の宿主」とも呼ぶ)において、又は本発明の上記アミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドをコードする核酸(本明細書中では「本発明の核酸」とも呼ぶ)に適切な別の発現系において、発現する工程と、場合によってはその後、
ii)このようにして得られる本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを単離及び/又は精製する工程とを含む。
【0543】
特に、このような方法は、
i)本発明の上記宿主が少なくとも1つの本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチドを発現及び/又は産生するような条件下で、本発明の宿主を培養及び/又は維持する工程と、場合によってはその後、
ii)このようにして得られる本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを単離及び/又は精製する工程とを含み得る。
【0544】
本発明の核酸は、一本鎖又は二本鎖のDNA又はRNAの形態を取ることができ、好ましくは二本鎖DNAの形態をとる。例えば、本発明のヌクレオチド配列はゲノムDNA、cDNA又は合成DNA(目的とする宿主細胞又は宿主生物内の発現に特異的に適合しているコドンの使用によるDNA等)であってもよい。
【0545】
本発明の一態様によれば、本発明の核酸は、本明細書中に記載したように、本質的に単離形態である。
【0546】
本発明の核酸は、例えば、プラスミド、コスミド又はYAC等のベクターの形態をとり、ベクター中に存在し、及び/又はその一部であってもよく、また本質的に単離形態であってもよい。
【0547】
本発明の核酸は、本明細書中に記載の本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に関する情報に基づき、それ自体が既知の方法で調製されるか又は得ることができ、及び/又は好適な天然資源から単離することができる。類似体を得るためには、天然型V
HHドメインをコードするヌクレオチド配列に、例えば、部位特異的な突然変異誘発を起こして、該類似体をコードする本発明の核酸を得ることができる。また、当業者にとって明らかであるように、本発明の核酸を調製するために、例えば、ナノボディをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、及び例えば、1つ又は複数のリンカーをコードする核酸等の幾つかのヌクレオチド配列を好適な方法で連結することができる。
【0548】
本発明の核酸を生成するための技法は当業者にとって明らかであり、例えば、自動DNA合成、部位特異的突然変異誘発、2つ以上の天然型配列及び/又は合成型配列(又はこれらの2つ以上の部分)の結合(combining)、切断された発現産物を発現させる変異の導入、(例えば、好適な制限酵素を用いて容易に消化及び/又はライゲーションすることができるカセット及び/又は領域を生成するための)1つ又は複数の制限部位の導入、及び/又は1つ又は複数の「ミスマッチ」プライマーを使用するPCR反応による変異の導入が挙げられ得るが、これらに限定されない。これらの技法及び他の技法は当業者にとって明らかであり、同様に上記のSambrook et al.及びAusubel et al.の文献等の標準的なハンドブック、及び以下の実施例を参照する。
【0549】
本発明の核酸はまた、当業者にとって明らかであるように、遺伝子構築物の形態をとり、遺伝子構築物中に存在し、及び/又はその一部であってもよい。このような遺伝子構築物は一般に、例えば、1つ又は複数の好適な調節要素(好適なプロモーター(複数可)、エンハンサー(複数可)、ターミネーター(複数可)等)、及び本明細書中に述べられている遺伝子構築物のさらなる要素等)といった、1つ又は複数のそれ自体が既知の遺伝子構築物の要素に、場合によっては連結する少なくとも1つの本発明の核酸を含む。少なくとも1つの本発明の核酸を含むこのような遺伝子構築物は、本明細書中において「本発明の遺伝子構築物」とも呼ばれる。
【0550】
本発明の遺伝子構築物は、DNAであってもRNAであってもよく、好ましくは二本鎖DNAである。また、本発明の遺伝子構築物は、目的とする宿主細胞又は宿主生物の形質転換に好適な形態、目的とする宿主細胞のゲノムDNAへの組込みに好適な形態、又は目的とする宿主生物における単独での複製、保持及び/又は継代に好適な形態をとり得る。例えば、本発明の遺伝子構築物は、例えば、プラスミド、コスミド、YAC、ウイルスベクター又はトランスポゾン等のベクターの形態をとることができる。特に、ベクターは、発現ベクター、即ち、in vitro及び/又はin vivo(例えば、好適な宿主細胞、宿主生物及び/又は発現系)での発現を提供し得るベクターであってもよい。
【0551】
好ましいが非限定的な一態様では、本発明の遺伝子構築物は、
i)ii)と作用可能に結合している少なくとも1つの本発明の核酸と、
ii)プロモーター、及び場合によっては好適なターミネーター等の、1つ又は複数の調節要素と、場合によってはさらに
iii)それ自体が既知の遺伝子構築物の1つ又は複数のさらなる要素とを含み、ここで、用語「調節要素」、「プロモーター」、「ターミネーター」、及び「作用可能に結合した」は、当該技術分野における(本明細書中に詳述するような)通常の意味を有しており、遺伝子構築物中に存在する上記「さらなる要素」とは、例えば、3’−又は5’−UTR配列、リーダー配列、選択マーカー、発現マーカー/レポーター遺伝子、及び/又は形質転換若しくは組込み(の効率)を促進又は増大させ得る要素であってもよい。このような遺伝子構築物に好適なこれら及び他の要素は当業者にとって明らかであり、例えば、使用する構築物の種類、目的とする宿主細胞又は宿主生物、対象となる本発明のヌクレオチド配列を発現させる方法(例えば、構成的発現、一時的発現、又は誘導性発現等を介するもの)、及び/又は使用する形質転換法に応じて決定することができる。例えば、抗体及び抗体断片((単一)ドメイン抗体及びScFv断片が挙げられるが、これらに限定されない)の発現及び産生のための、それ自体が既知の制御配列、プロモーター、及びターミネーターを、ほぼ同様の方法で使用してもよい。
【0552】
好ましくは、本発明の遺伝子構築物において、上記少なくとも1つの本発明の核酸、及び上記調節要素、及び場合によっては上記1つ又は複数のさらなる要素は、互いに「作用可能に連結」しており、これにより、これらは通常互いに機能的な関係にあることが意図されている。例えば、プロモーターが、コーティング配列の転写及び/又は発現を、開始又は他の方法により制御/調節することができる場合(上記コーティング配列は、上記プロモーター「に制御されている」ものとして理解されたい)、コーティング配列に「作用可能に連結」していると考えられる。一般に、2つのヌクレオチド配列が作用可能に連結している場合、これらは同一の配向を有し、通常、同一リーディングフレーム内にある。必ずしも必要ではないが、通常、それらは本質的に隣接している。
【0553】
好ましくは、本発明の遺伝子構築物の調節要素及びさらなる要素は、目的とする宿主細胞又は宿主生物において意図される生物学的機能を付与することができるほどのものである。
【0554】
例えば、プロモーター、エンハンサー又はターミネーターは、目的とする宿主細胞又は宿主生物において「作用可能」でなければならず、このため(例えば)、上記プロモーターは、(本明細書で規定したように)作用可能に連結したヌクレオチド配列(例えばコーティング配列)の転写及び/又は発現を、開始、又は他の方法により制御/調節することができるものであると意図される。
【0555】
特に好ましい幾つかのプロモーターとしては、本明細書中に述べた宿主細胞における発現のためのそれ自体が既知のプロモーター、特に、本明細書中に述べたもの及び/又は実施例において使用されるもの等の、細菌細胞における発現のためのプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0556】
選択マーカーは、(即ち、適切な選択条件下で)本発明のヌクレオチド配列による形質転換が(首尾良く)起こった宿主細胞及び/又は宿主生物を、形質転換が(首尾良く)起こらなかった宿主細胞及び/又は宿主生物と区別できるようなものでなければならない。このようなマーカーの好ましいが非限定的な幾つかの例は、抗生物質(カナマイシン又はアンピシリン等)に対する耐性を付与する遺伝子、温度耐性を付与する遺伝子、形質転換されていない細胞又は生物が生存する上で不可欠な、培地中の或る種の因子、化合物及び/又は(食品)成分がない状態で宿主細胞又は宿主生物を維持させる遺伝子である。
【0557】
リーダー配列は、(目的とする宿主細胞又は宿主生物において)所望の翻訳後修飾を可能にし、及び/又は転写されたmRNAを細胞の所望の部分又はオルガネラに配向させるようなものでなければならない。また、リーダー配列は、上記細胞から発現生成物を分泌させてもよい。そのようなものとして、リーダー配列は、宿主細胞又は宿主生物中で作用可能な任意のプロ配列、プレ配列、又はプレプロ配列であってもよい。リーダー配列は、細菌細胞中で発現しなくてもよい。例えば、抗体及び抗体断片(単一ドメイン抗体及びScFv断片が挙げられるが、これらに限定されない)の発現及び産生のための、それ自体が既知であるリーダー配列を、ほぼ同様の方法で使用することができる。
【0558】
発現マーカー又はレポーター遺伝子は、(宿主細胞又は宿主生物中で)遺伝子構築物(に存在する遺伝子又はヌクレオチド配列)の発現を検出できるようなものでなければならない。発現マーカーは、場合によっては、発現産物を、例えば、細胞の特定の部分又はオルガネラ、及び/又は多細胞生物の特定の細胞(複数可)、組織(複数可)、器官(複数可)、又は部分(複数可)に局在化させてもよい。このようなレポーター遺伝子は、本発明のアミノ酸配列とのタンパク質融合として発現されてもよい。好ましいが非限定的な幾つかの例としては、GFP等の蛍光性タンパク質が挙げられる。
【0559】
好適なプロモーター、ターミネーター、及びさらなる要素の好ましいが非限定的な幾つかの例としては、本明細書中に記載した宿主細胞における発現に使用することができるもの、及び具体的には本明細書中に論じ、及び/又は下記の実施例で用いられているもの等の細菌細胞における発現に好適であるものが挙げられる。ターミネーター、転写及び/又は翻訳エンハンサー、及び/又は組込み因子等の、本発明の遺伝子構築物中に存在/使用し得るプロモーター、選択マーカー、リーダー配列、発現マーカー、及びさらなる要素についての(さらなる)非限定的な幾つかの例については、上記Sambrook et al.、及びAusubel et al.文献等の概説ハンドブック、並びに国際公開第95/07463号パンフレット、国際公開第96/23810号パンフレット、国際公開第95/07463号パンフレット、国際公開第95/21191号パンフレット、国際公開第97/11094号パンフレット、国際公開第97/42320号パンフレット、国際公開第98/06737号パンフレット、国際公開第98/21355号パンフレット、米国特許第7,207,410号明細書、米国特許第5,693,492号明細書、及び欧州特許第1085089号明細書に示された例を参照する。他の例は当業者にとって明らかであろう。上記の包括的な背景技術に関する参考文献及び本明細書中にさらに引用した参考文献も参照する。
【0560】
本発明の遺伝子構築物は、通常、例えば、上記Sambrook et al.及びAusubel et al. 文献等の概説ハンドブックに記載の技法を用いて、本発明のヌクレオチド配列(複数可)を、1つ又は複数の上記さらなる要素と適切に連結させることにより得ることができる。
【0561】
多くの場合、本発明の遺伝子構築物は、本発明のヌクレオチド配列を、それ自体が既知の好適な(発現)ベクターに挿入することによって得られる。好適な発現ベクターの好ましいが非限定的な幾つかの例は、以下の実施例において使用されるもの、及び本明細書中に記載したものである。
【0562】
本発明の核酸及び/又は本発明の遺伝子構築物は、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを発現及び/又は産生させるための、宿主細胞又は宿主生物の形質転換に使用することができる。好適な宿主又は宿主細胞は当業者にとって明らかであり、例えば、任意の好適な真菌、原核、又は真核細胞若しくは細胞株、又は任意の好適な真菌、原核、又は真核生物、例えば:
大腸菌の菌株、ミラビリス変形菌等のプロテウス属の菌株、蛍光菌等のシュードモナス属の菌株等のグラム陰性菌株、及び、枯草菌又はブレビス菌等のバチルス属の菌株、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)等のストレプトミセス属の菌株、スタフィロコッカス・カルノサス(Staphylococcus carnosus)等のブドウ球菌の菌株、及び乳酸連鎖球菌等のラクトコッカス属の菌株等のグラム陽性菌株が挙げられるがこれらに限定されない細菌株、
トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)等のトリコデルマ属、アカパンカビ等のニューロスポラ属、ソルダリア・マクロスポラ(Sordaria macrospora)等のソルダリア属、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillusniger)又はショウユコウジカビ等のアスペルギルス属、又は別の糸状菌由来の細胞が挙げられるがこれらに限定されない真菌細胞
出芽酵母等のサッカロミセス属、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomycespombe)等のシゾサッカロミセス属、ピキア・パストリス又はピキア・メタノリカ等のピキア属、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)等のハンセヌラ属、クルイベロミセス・ラクティス等のクルイベロミセス属、アークスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)等のアークスラ属、ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowialipolytica)等のヤロウィア属由来の細胞が挙げられるがこれらに限定されない酵母細胞、
アフリカツメガエル卵母細胞等の両生類細胞又は細胞株、
シロイチモンジヨトウSF9及びSf21細胞を含むがこれらに限定されない鱗翅目に由来する細胞/細胞株、又はシュナイダー細胞及びKc細胞等のショウジョウバエに由来する細胞/細胞株等の昆虫に由来する細胞又は細胞株、
タバコ植物等の植物又は植物細胞、及び/又は
CHO細胞、BHK細胞(BHK−21細胞等)、及びHeLa細胞、COS細胞(COS−7細胞等)、及びPER.C6細胞等のヒト細胞又は細胞株が挙げられるがこれらに限定されない、ヒトに由来する細胞又は細胞株、哺乳動物に由来する細胞又は細胞株等の哺乳動物細胞又は細胞株、及び、
抗体及び抗体断片((単一)ドメイン抗体及びScFv断片が挙げられるがこれらに限定されない)を発現及び産生することでそれ自体が既知の他の全ての宿主又は宿主細胞であってもよく、これらは当業者に明らかであろう。上記で引用した包括的な背景技術に関する文献及び、例えば、国際公開第94/29457号パンフレット、国際公開第96/34103号パンフレット、国際公開第99/42077号パンフレット、Frenken et al.(1998)(上記)、Riechmann及びMuyldermans (1999)(上記)、van der Linden (2000)(上記)、Thomassen et al.(2002)(上記)、Joosten et al.(2003)(上記)、Joosten et al.(2005)(上記)及び本明細書中にさらに引用した文献を参照する。
【0563】
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドはまた、例えば予防目的及び/又は治療目的(遺伝子治療等)のために、多細胞生物の1つ又は複数の細胞、組織、又は器官に導入し、発現させることができる。このために、本発明のヌクレオチド配列を、例えば、このように(例えば、リポソームを用いて)、又は好適な(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス等のパルボウイルス等のレトロウイルスに由来する)遺伝子治療用ベクターに挿入後、任意の好適な方法で細胞又は組織に導入することができる。当業者にとって明らかであるように、このような遺伝子治療は、本発明の核酸又は本発明の核酸をコードする好適な遺伝子治療用ベクターを、患者又は患者の特定の細胞又は特定の組織若しくは器官に投与することにより患者の体内において、in vivo及び/又はin situで行うことができ、又は好適な(多くの場合、外植リンパ球、骨髄吸引物又は組織生検試料等の、治療対象となる患者の体内から採取された)細胞は、本発明のヌクレオチド配列を用いてin vitroで治療した後、患者の体内に好適に(再)導入することができる。これらは全て、Culver, K. W., "Gene Therapy", 1994, p. xii, Mary AnnLiebert, Inc., Publishers, New York, N.Y)、Giordano,Nature F Medicine 2 (1996),534-539、Schaper, Circ. Res. 79 (1996), 911-919、Anderson,Science 256 (1992), 808-813、Verma, Nature 389 (1994), 239、Isner, Lancet 348 (1996), 370-374、Muhlhauser,Circ. Res. 77 (1995), 1077-1086、Onodera, Blood 91; (1998), 30-36、Verma, Gene Ther. 5 (1998), 692-699、Nabel,Ann. N.Y. Acad. Sci.: 811 (1997), 289-292、Verzeletti, Hum. Gene Ther. 9 (1998), 2243-51、Wang,Nature Medicine 2 (1996), 714-716、国際公開第94/29469号パンフレット、国際公開第97/00957号パンフレット、米国特許第5,580,859号明細書、米国特許第5,5895466号明細書、又はSchaper, Current Opinion in Biotechnology 7 (1996), 635-640に記載の当業者に既知の遺伝子治療用ベクター、技法、及びデリバリーシステムを用いて行うことができる。例えば、ScFv断片(Afanasieva et al., Gene Ther., 10, 1850-1859 (2003))及びダイアボディ(Blanco et al., J. Immunol,171, 1070-1077 (2003))のin situ発現は当該技術分野に記述されている。
【0564】
細胞中でのナノボディの発現のために、これらは、例えば、国際公開第94/02610号パンフレット、国際公開第95/22618号パンフレット、及び米国特許第7004940号明細書、国際公開第03/014960号パンフレット、Cattaneo, A.及びBiocca, S. (1997) Intracellular Antibodies: Developmentand Applications. Landes and Springer-Verlag、並びにKontermann,Methods 34, (2004), 163-170に記載の、いわゆる「細胞内抗体」として発現させることができる。
【0565】
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを、例えば、ウサギ、ウシ、ヤギ又はヒツジの母乳のトランスジェニック哺乳動物の母乳中(トランス遺伝子を哺乳動物に導入する一般的な技法については、例えば、米国特許第6,741,957号明細書、米国特許第6,304,489号明細書、及び米国特許第6,849,992号明細書を参照)、植物、又は葉、花、果実、種、根、塊茎を含むがこれらに限定されない植物の一部中(例えば、タバコ、トウモロコシ、大豆、又はアルファルファ)、又は、例えば、カイコガの蛹中で産生することもできる。
【0566】
さらに、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドを、細胞を含まない発現系で発現及び/又は産生してもよく、このような系の好適な例は当業者にとって明らかであろう。好ましいが非限定的な幾つかの例としては、小麦麦芽系、ウサギ網状赤血球溶解物、又はZubayの方法による大腸菌を用いた系での発現が挙げられる。
【0567】
上記のように、ナノボディを使用する利点の1つは、それに基づくポリペプチドを、好適な細菌系における発現によって調製することができる点であり、及び好適な細菌発現系、ベクター、宿主細胞、調節要素等は、例えば上記で引用した参考文献によって当業者にとって明らかであろう。しかしながら、本発明は、最も広い意味では細菌系における発現に限定されないことに留意されたい。
【0568】
好ましくは、本発明では、本発明のポリペプチドを医薬用途に適した形態で提供する細菌発現系等の(in vivo又はin vitro)発現系を使用し、このような発現系も当業者にとって明らかであろう。さらに当業者にとって明らかであるように、医薬用途に適した本発明のポリペプチドは、ペプチド合成法を用いて調製することができる。
【0569】
工業的スケールでの製造において、ナノボディ又はナノボディを含有するタンパク質治療剤の(工業的)製造のために好ましい異種宿主としては、大規模スケールでの発現/産生/培養、特に大規模スケール(即ち、GMPグレード)での医薬用途発現/産生/培養に適した大腸菌、ピキア・パストリス、出芽酵母の菌株が挙げられる。このような菌株の好適な例は、当業者にとって明らかであろう。このような菌株及び産生/発現系も、Biovitrum社(Uppsala, Sweden)等の企業から入手可能である。
【0570】
代替的には、哺乳動物細胞株、特にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、大規模スケールでの発現/産生/培養、特に大規模スケールでの医薬用途発現/産生/培養のために用いることができる。このような発現/産生系も、上記の幾つかの企業から入手可能である。
【0571】
特定の発現系の選択は、或る特定の翻訳後修飾、より具体的にはグリコシル化の必要条件に一部依存している。グリコシル化が望ましいか又は必要とされるナノボディを含有する組換えタンパク質の産生には、発現したタンパク質をグリコシル化する能力を有する哺乳動物発現用宿主の使用が必要である。これに関連して、得られるグリコシル化パターン(即ち、種類、数、及び残基が結合する位置)が、発現に用いられる細胞又は細胞株に依存することは、当業者にとって明らかであろう。好ましくは、ヒト細胞若しくは細胞株(即ち、本質的にヒトのグリコシル化パターンを有するタンパク質を与える)、又は、本質的に及び/又は機能的にヒトのグリコシル化と同一であるか、又は少なくともヒトのグリコシル化を模倣したグリコシル化パターンを与えることができる別の哺乳動物の細胞株が用いられる。一般に、大腸菌等の原核宿主はタンパク質をグリコシル化する能力を有しておらず、酵母等の下等原核細胞を使用すると、通常、ヒトのグリコシル化と異なるグリコシル化パターンがもたらされる。それにもかかわらず、上記宿主細胞及び発現系の全てを、得ようとする所望のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドに応じて、本発明に用いることができることを理解されたい。
【0572】
したがって、本発明の非限定的な一態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドはグリコシル化される。本発明の別の非限定的な態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドはグリコシル化されない。
【0573】
本発明の好ましいが非限定的な一態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、細菌細胞中、具体的には大規模スケールでの医薬品製造に適した上記の株の細胞等の細菌細胞中で産生する。
【0574】
本発明の別の好ましいが非限定的な態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、酵母細胞中、具体的には大規模スケールでの医薬品製造に適した上記の種の細胞等の酵母細胞中で産生する。
【0575】
本発明のさらに別の好ましいが非限定的な態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、哺乳動物細胞中、具体的にはヒト細胞又はヒト細胞株の細胞中で、さらに具体的には大規模スケールでの医薬品製造に適した上記の細胞株等のヒト細胞又はヒト細胞株の細胞中で産生する。
【0576】
宿主細胞中での発現が、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの製造に用いられる場合、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、細胞内(例えば、細胞質中、ペリプラズム中、又は封入体中)で産生し、次いで宿主細胞から単離し、場合によってはさらに精製してもよく、又は細胞外(例えば、宿主細胞を培養する培地中)で産生し、次いで培地から単離し、場合によってはさらに精製してもよい。真核宿主細胞を使用する場合、得られるナノボディ及びタンパク質のさらなる単離及び下流工程での処理が大幅に容易になるため、通常、細胞外で産生されることが好ましい。通常、大腸菌の菌株等の上記細菌細胞は、毒素及び血液毒等の数種のタンパク質を除き、タンパク質を細胞外に分泌せず、大腸菌において分泌物を産生することは、内膜を通してペリプラズム空間へタンパク質を転移させることを意味する。ペリプラズムでの産生は、細胞質での産生に対して、幾つかの利点がある。例えば、分泌産物のN末端のアミノ酸配列は、特異的シグナルペプチダーゼによる分泌シグナル配列の切断後の天然遺伝子産物と同一であってもよい。また、ペリプラズム中では、細胞質中よりもプロテアーゼ活性がはるかに低いと思われる。さらに、ペリプラズム中では、混入するタンパク質が少ないため、タンパク質の精製がより容易である。別の利点は、ペリプラズムが細胞質よりも酸化的な環境をもたらすため、正しい位置にジスルフィド結合が形成される可能性があるという点である。大腸菌中で過剰発現されたタンパク質は、封入体と呼ばれる不溶性の凝集物中に見られることが多い。これらの封入体は、細胞質中にもペリプラズム中にも存在させることができ、これらの封入体からの生理活性タンパク質の回収は、変性/リフォールディングプロセスを必要とする。治療効果を有するタンパク質を含む多くの組換えタンパク質は、封入体から回収される。代替的には、当業者に明らかであるように、所望のタンパク質、特に本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを分泌するように遺伝的に修飾された細菌の組換え菌株を用いることができる。
【0577】
したがって、本発明の非限定的な一態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、細胞内で産生され、宿主細胞から、特に細菌細胞又は細菌細胞中の封入体から単離したアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドである。本発明の別の非限定的な態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、細胞外で産生され、宿主細胞を培養する培地から単離されたアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドである。
【0578】
好ましいが非限定的な幾つかの、これらの宿主細胞で用いるためのプロモーターとしては、
大腸菌における発現のための:lacプロモーター(及び、lacUV5プロモーター等のこれらの誘導体);アラビノースプロモーター;λファージの左側(PL)及び右側(PR)プロモーター;trpオペロンのプロモーター;ハイブリッドlac/trpプロモーター(tac及びtrc);T7−プロモーター(より具体的にはT7−ファージ遺伝子10のプロモーター);及び他のT−ファージプロモーター;Tn10テトラサイクリン耐性遺伝子のプロモーター、外来制御オペレーター配列の1つ又は複数の複製を含む上記プロモーターの組換え変異体;
出芽酵母における発現のための:ADH1(アルコール脱水素酵素1)、ENO(エノラーゼ)、CYC1(チトクロームc異性化酵素1)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)、PGK1(ホスホグリセリン酸キナーゼ)、PYK1(ピルビン酸キナーゼ)の構成的プロモーター;GAL1,10,7(ガラクトース代謝酵素)、ADH2(アルコール脱水素酵素2)、PHO5(酸ホスファターゼ)、CUP1(銅メタロチオネイン)の制御的プロモーター;CaMV(カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター)の外来プロモーター;
ピキア・パストリスにおける発現のための:AOX1プロモーター(アルコール酸化酵素I);
哺乳動物細胞における発現のための:ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)前初期エンハンサー/プロモーター;プロモーターがTetリプレッサーによって制御可能なように2個のテトラサイクリンオペレーター配列を含有するヒトサイトメガロウイルス(hCMV)前初期プロモーター変異体;単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(TK)プロモーター;ラウス肉腫ウイルスの長末端反復配列(RSV LTR)エンハンサー/プロモーター;ヒト、チンパンジー、マウス、又はラット由来の伸長因子1α(hEF−1α)プロモーター;SV40初期プロモーター;HIV−1の長末端反復配列プロモーター;βアクチンプロモーターが挙げられる。
【0579】
好ましいが非限定的な幾つかの、これらの宿主細胞で用いるためのベクターとしては、
哺乳動物細胞における発現のためのベクター:pMAMneo(Clontech)、pcDNA3(Invitrogen)、pMC1neo(Stratagene)、pSG5(Stratagene)、EBO−pSV2−neo(ATCC 37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC 37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC 37224)、pRSVgpt(ATCC 37199)、pRSVneo(ATCC 37198)、pSV2−dhfr(ATCC 37146)、pUCTag(ATCC 37460)及びlZD35(ATCC 37565)、並びにアデノウイルスに基づくもの等のウイルスに基づく発現系;
細菌細胞における発現のためのベクター:pETベクター(Novagen)及びpQEベクター(Qiagen);
酵母又は他の真菌細胞における発現のためのベクター:pYES2(Invitrogen)及びピキア発現ベクター(Invitrogen);
昆虫細胞における発現のためのベクター:pBlueBacII(Invitrogen)及び他のバキュロウイルスベクター;
植物又は植物細胞における発現のためのベクター:例えば、カリフラワーモザイクウイルス又はタバコモザイクウイルス、アグロバクテリウムの好適な菌株又はTi-プラスミドベースのベクターが挙げられる。
【0580】
好ましいが非限定的な幾つかの、これらの宿主細胞で使用するための分泌配列としては、
大腸菌等の細菌細胞における使用のための:PelB、Bla、OmpA、OmpC、OmpF、OmpT、StII、PhoA、PhoE、MalE、Lpp、LamB等;TATシグナルペプチド、ヘモリシンC−末端分泌シグナル;
酵母における使用のための:α−接合因子プレプロ配列、ホスファターゼ(pho1)、インベルターゼ(Suc)等;
哺乳動物細胞における使用のための:標的タンパク質が真核細胞由来である場合には、固有シグナル、マウスIgκ鎖V−J2−Cシグナルペプチド等が挙げられる。
【0581】
本発明の宿主又は宿主細胞を形質転換するのに好適な技法は、当業者にとって明らかであり、目的とする宿主細胞/宿主生物及び使用する遺伝子構築物に依存することもある。同様に、上記ハンドブック及び特許出願を参照する。
【0582】
形質転換後、本発明のヌクレオチド配列/遺伝子構築物によってうまく形質転換された宿主細胞又は宿主生物を検出及び選択する工程を実行することができる。この工程は、例えば、本発明の遺伝子構築物中にある選択可能なマーカーに基づいて選択する工程、又は、例えば、特異的抗体を使用する本発明のアミノ酸配列の検出を含む工程であってもよい。
【0583】
形質転換された宿主細胞(安定な細胞株の形態を取ることができる)又は宿主生物(安定な変異体系列又は株の形態を取ることができる)は、本発明のさらなる態様をなす。
【0584】
好ましくは、これらの宿主細胞又は宿主生物は、(宿主生物の場合には、その少なくとも1つの細胞、部分、組織又は器官において)本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを発現し、又は(少なくとも)(例えば、好適な条件下で)発現することができるようなものである。本発明はまた、本発明の宿主細胞又は宿主生物のさらなる世代、後代及び/又は子孫を含んでおり、それらは、例えば、細胞分裂又は有性若しくは無性生殖により得られるものであってよい。
【0585】
本発明のアミノ酸配列を生成し/その発現を得るために、形質転換された宿主細胞又は形質転換された宿主生物は一般に、(所望の)本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドが発現/産生されるような条件下で飼育、維持及び/又は培養され得る。好適な条件は当業者にとって明らかであり、通常、使用する宿主細胞/宿主生物、及び(関連する)本発明のヌクレオチド配列の発現を制御する調節因子に依存する。この場合にも、本発明の遺伝子構築物に関する上記の段落に記載したハンドブック及び特許出願を参照する。
【0586】
一般に、好適な条件には、好適な培地の使用、好適な食餌及び/又は好適な栄養源の存在、好適な温度の使用、及び場合によっては好適な誘導因子又は化合物の存在(例えば、本発明のヌクレオチド配列が誘導性プロモーターにより制御される場合)が含まれることができ、これらは全て当業者が選択することができる。この場合にも、このような条件下で、本発明のアミノ酸配列は、連続的、一時的、又は適切に誘導された場合にのみ発現することができる。
【0587】
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、(まず)未成熟型(上記)で産生され、次いで、使用する宿主細胞/宿主生物に応じて翻訳後修飾されてもよいことも、当業者にとって明らかであろう。また、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、この場合にも、使用する宿主細胞/宿主生物に応じてグリコシル化されてもよい。
【0588】
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、次いで、宿主細胞/宿主生物から、及び/又は該宿主細胞若しくは宿主生物を培養した培地から、(分取)クロマトグラフィ法、及び/又は電気泳動法、分別沈殿法、アフィニティ法(例えば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドに融合した特定の切断可能なアミノ酸配列を用いる)、及び/又は分取免疫法(即ち、単離対象のアミノ酸配列に対する抗体を用いる)等の、それ自体が既知のタンパク質の単離技法及び/又は精製技法を用いて単離することができる。
【0589】
一般に、医薬用途のために、本発明のポリペプチドは、少なくとも1つの本発明のポリペプチドと、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤、及び/又はアジュバントとを含み、場合によっては1つ又は複数のさらなる薬理活性ポリペプチド及び/又は化合物を含む薬学的調製剤又は薬学的組成物として製剤化することができる。非限定的な例により、このような製剤は、経口投与のため、非経口投与(静脈内、筋内若しくは皮下注射、又は静脈内点滴等による)のため、全身投与のため、吸入、経皮パッチ、インプラント、座剤等による投与のために適した形態を取ることができる。このような好適な投与形態は、投与の方法、及びその調製剤で用いるための方法及び担体に応じて、固体、半固体又は液体であってよく、当業者にとって明らかであり、本明細書にさらに記載する。
【0590】
したがって、他の態様において、本発明は、少なくとも1つの本発明のアミノ酸配列、少なくとも1つの本発明のナノボディ又は少なくとも1つの本発明のポリペプチド、及び少なくとも1つの好適な(医薬用途に好適な)担体、希釈剤又は賦形剤を含み、場合によっては1つ又は複数のさらなる活性物質を含有する薬学的組成物に関する。
【0591】
概して、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、それ自体が既知の任意の好適な方法により製剤化及び投与することができ、これらについては、例えば、上記で引用した包括的な背景技術(特に、国際公開第04/041862号パンフレット、国際公開第04/041863号パンフレット、国際公開第04/041865号パンフレット、国際公開第04/041867号パンフレット、及び国際公開第08/020079号パンフレット)、及びRemington's Pharmaceutical Sciences, 18
th Ed., MackPublishing Company, USA (1990)若しくはRemington, the Science and Practice of Pharmacy, 21th Edition,Lippincott Williams and Wilkins (2005)等の標準的なハンドブック、又はTherapeutic Antibodies (S. Dubel, Ed), Wiley, Weinhein, 2007(例えば、頁252〜255を参照されたい)等の標準的なハンドブックを参照する。
【0592】
例えば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、従来の抗体及び抗体断片(例えばScFv及びダイアボディ)及び他の薬理活性タンパク質のための、それ自体が既知の任意の方法で製剤化及び投与することができる。このような製剤及びそれを調製する方法は当業者にとって明らかであり、例えば、非経口(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋内、管腔内、動脈内若しくは髄腔内投与)又は局所(経皮若しくは皮内)投与に好適な調製剤が挙げられる。
【0593】
非経口投与のための調製剤は、例えば、点滴又は注射に好適な滅菌液剤、懸濁剤、分散剤又は乳化剤であってもよい。このような調製剤に好適な担体又は希釈剤としては、例えば、限定するものではないが、滅菌水及び緩衝水溶液、並びにリン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及びハンクス液等の溶液、水性油、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール等のグリコール、又は鉱物油、動物油、及び植物油、例えば、落花生油、大豆油、並びに好適なこれらの混合物が挙げられる。通常、水溶液剤又は懸濁剤が好ましい。
【0594】
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、遺伝子治療の送達方法を使用して投与することもできる。例えば、その全文が参照により本明細書中に援用される米国特許第5,399,346号明細書を参照されたい。遺伝子治療の送達方法を使用して、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドをコードする遺伝子によりトランスフェクトされた初代細胞を、特定の器官、組織、移植片、腫瘍又は細胞を標的とするための組織特異的プロモーターによりさらにトランスフェクトすることができるか、又は細胞内に局在化した発現のためのシグナル及び安定化配列によりさらにトランスフェクトすることもできる。
【0595】
このように、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、不活性希釈剤又は吸収可能な食用の担体等の薬学的に許容される溶媒と組み合わせて、例えば、経口的に全身投与することができる。それらを、ハード又はソフトシェルゼラチンカプセルに封入してもよく、錠剤として打錠してもよく、又は患者の食事中の食品に直接加えてもよい。経口治療用の投与のために、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドを1つ又は複数の賦形剤と組み合わせ、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ剤、ウェハー剤等の形態で使用することができる。このような組成物及び調製剤は、少なくとも0.1%の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを含有していなければならない。組成物及び調製剤中のそれらの割合は、当然ながら変えることができ、便宜的には所定の単位投薬形態の重量の約2%〜約60%であろう。このような治療上有用な組成物中の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドの量は、有効な用量レベルが得られるような量である。
【0596】
また、錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤等は、トラガカントガム、アラビアゴム、コーンスターチ又はゼラチン等の結着剤;リン酸二カルシウム等の賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;及びスクロース、フルクトース、ラクトース又はアスパルテーム等の甘味料を含有していてもよく、又はペパーミント、冬緑油、チェリー香料等の香料を加えてもよい。単位投薬形態がカプセル剤である場合、上記のような種類の物質以外に、植物油又はポリエチレングリコール等の液体担体を含有していてもよい。種々の他の物質が、コーティングとして、又は固体状の単位投薬形態の物理的形態を他の方法により変化させるために存在していてもよい。例えば、錠剤、丸剤又はカプセル剤は、ゼラチン、ロウ、シェラック又は砂糖等でコーティングされていてもよい。シロップ剤又はエリキシル剤は、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチド、甘味料としてのスクロース又はフルクトース、保存料としてのメチルパラベン又はプロピルパラベン、色素、及びチェリー又はオレンジ香料等の香料を含有していてもよい。当然ながら、単位投薬形態の調製に使用される全ての物質は、薬学的に許容され、使用する量において実質的に無毒でなければならない。さらに、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、徐放剤及び装置中に封入されていてもよい。
【0597】
経口投与のための調製剤及び製剤にはまた、本発明の構築物が胃内環境に耐性を有し且つ腸内を通過することを可能にする腸溶コーティングが付与される。より包括的には、経口投与のための調製剤及び製剤は、消化管のいずれかの所望部分に送達するのに好適に製剤化され得る。また、消化管に送達するのに好適な坐薬を使用してもよい。
【0598】
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドはまた、点滴又は注射によって静脈内投与又は腹腔内投与してもよい。本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの溶液、又はそれらの塩は、水中で調製することがき、任意で無毒性界面活性剤と混合することができる。分散剤液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、及びそれらの混合物中、並びに油中で調製することができる。通常の保存及び使用条件下において、これらの調製剤は、微生物の増殖を防ぐための保存料を含有している。
【0599】
注射又は点滴に好適な薬剤投薬形態としては、滅菌注射又は滅菌点滴可能な溶液剤又は分散液剤の即時調製に適合し、場合によってはリポソームに封入された活性成分を含む、滅菌水溶液剤又は分散液剤又は滅菌粉末が挙げられ得る。全ての場合において、最終的な投薬形態は、滅菌されており、流体であり、製造及び保存条件下で安定でなければならない。液体の担体又は溶媒は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、植物油、非毒性グリセリルエステル、及びこれらの好適な混合物を含む溶媒又は液体の分散媒であってもよい。例えば、リポソームの形成により、分散液剤の場合には必要な粒子サイズを維持することにより、又は界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等の種々の抗菌剤及び抗真菌剤により微生物の作用を妨害することができる。多くの場合において、等張剤、例えば、砂糖、緩衝剤、又は塩化ナトリウムを含んでいることが好ましい。組成物において、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを使用することにより、注射可能な組成物の長時間にわたる吸収をもたらすことができる。
【0600】
滅菌注射可能な溶液剤は、所望の量の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドを、必要に応じて、上記に列挙した種々の他の成分を含む適切な溶媒中に混合させた後、滅菌濾過することにより調製される。滅菌注射可能な溶液剤を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、減圧乾燥法及び凍結乾燥法であり、活性成分の粉末、及び先に滅菌濾過された溶液剤中に存在する任意のさらなる望ましい成分が得られる。
【0601】
局所投与のためには、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドが液体の場合には、純粋な形態で適用することができる。しかし、概して、それらは、固体であっても液体であってもよい皮膚科学的に許容される担体と共に、組成物又は製剤として皮膚に投与されることが望ましい。
【0602】
有用な固体担体としては、タルク、粘土、微結晶セルロース、シリカ、アルミナ等の微粉砕された固体が挙げられる。有用な液体担体としては、水、ヒドロキシアルキル又はグリコール又は水−アルコール/グリコール配合物が挙げられ、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、場合によっては非毒性の界面活性剤の作用により、有効なレベルで溶解又は分散することができる。所定用途のための性質を最適化するために、芳香剤及び他の抗菌剤等のアジュバントを加えてもよい。得られる液体組成物は、ばんそうこう及び他の包帯に薬剤を含浸させるのに用いられる吸収パッドによって塗布することができ、又はポンプ型又はエアロゾルスプレーを使用して患部の上に噴霧することができる。
【0603】
使用者の皮膚に直接塗布するための塗布用ペースト、ゲル、軟膏及び石鹸等を形成するために、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩及びエステル、脂肪アルコール、修飾セルロース又は修飾無機物質等の増粘剤を液体担体と共に使用することができる。
【0604】
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドを皮膚に送達するために使用することができる有用な皮膚科用組成物の例は当該技術分野に既知であり、例えば、Jacquet et al.(米国特許第4,608,392号明細書)、Geria(米国特許第4,992,478号明細書)、Smith et al.(米国特許第4,559,157号明細書)及びWortzman(米国特許第4,820,508号明細書)を参照されたい。
【0605】
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの有用な用量は、それらのin vitro活性、及び動物モデルにおけるin vivo活性を比較することにより決定することができる。マウス及び他の動物における有効用量をヒトに外挿するための方法は当該技術分野に既知であり、例えば、米国特許第4,938,949号明細書を参照されたい。
【0606】
概して、ローション等の液体組成物中の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの濃度は、約0.1重量%〜25重量%、好ましくは、約0.5重量%〜10重量%である。ゲル又は粉末等の半固形又は固形組成物中の濃度は、約0.1重量%〜5重量%、好ましくは約0.5重量%〜2.5重量%である。
【0607】
治療における使用に必要な本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの量は、選択される特定のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドだけでなく、投与経路、治療する症状の性質、並びに患者の年齢及び状態によっても変動し、最終的には担当する医師又は臨床医の判断に委ねられる。また、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの用量は、標的となる細胞、腫瘍、組織、移植片又は器官によっても変動する。
【0608】
望ましい用量は便宜上、単回用量で、又は例えば、1日2回、3回、4回以上の部分用量として、適切な間隔での分割投与で示され得る。部分用量自体を、例えば、吸入器からの複数回の吸入又は複数滴の点眼投与等の、個別で、大まかな間隔の数多くの投与にさらに分割してもよい。
【0609】
投与計画には、長期間の1日処置が含まれ得る。「長期間」とは、少なくとも2週間、好ましくは数週間、数ヶ月、又は数年の期間を意味する。この用量範囲における必要な改変は、本明細書中で教示される通常の実験のみを使用して当業者によって決定され得る。Remington's Pharmaceutical Sciences (Martin,E. W., ed. 4), Mack Publishing Co., Easton, PAを参照されたい。用量は、何らかの合併症が発症した場合には、個々の医師が調節することもできる。
【0610】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの骨疾患又は骨障害を予防及び/又は治療する方法であって、それを必要とする患者に、薬学的に有効な量の本発明のアミノ酸配列、本発明のナノボディ、本発明のポリペプチド、及び/又はこれを含む薬学的組成物を投与することを含む、予防及び/又は治療する方法に関する。
【0611】
本発明の文脈において、用語「予防及び/又は治療」とは、疾患を予防及び/又は治療することを含むだけでなく、概して、疾患の発症を予防すること、疾患の進行を遅延又は退行させること、疾患に関連する1つ又は複数の症状の発症を予防又は遅延させること、疾患に関連する1つ又は複数の症状を低減及び/又は軽減すること、疾患及び/又はそれに関連するあらゆる症状の重傷度及び/又は期間を低減すること、及び/又は疾患及び/又はそれに関連するあらゆる症状の重症度のさらなる増大を予防すること、疾患によって生じるあらゆる生理学的損傷を予防、低減又は退行させること、及び概して治療すべき患者に有益なあらゆる薬理作用も含む。
【0612】
治療すべき被験体とは、任意の温血動物であり得るが、具体的には哺乳動物、より具体的にはヒトである。当業者にとって明らかであるように、治療すべき被験体は、特に本明細書中に記載の疾患及び障害を患っているか又はそれらの危険性のあるヒトであり得る。
【0613】
本発明は、RANK−Lに、その生物活性若しくは薬理活性に、及び/又はRANK−Lが関与する生物学的経路若しくはシグナル伝達に関連がある少なくとも1つの疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、それを必要とする被験体に薬学的に有効な量の本発明のアミノ酸配列、本発明のナノボディ、本発明のポリペプチド、及び/又はこれらを含む薬学的組成物を投与することを含む、方法に関する。特に、本発明は、RANK−L、その生物活性若しくは薬理活性、及び/又はRANK−Lが関与する生物学的経路若しくはシグナル伝達を調節することによって治療することができる少なくとも1つの疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、それを必要とする被験体に薬学的に有効な量の本発明のアミノ酸配列、本発明のナノボディ、本発明のポリペプチド、及び/又はこれらを含む薬学的組成物を投与することを含む、方法に関する。特に、上記の薬学的に有効な量とは、RANK−L、その生物活性若しくは薬理活性、及び/又はRANK−Lが関与する生物学的経路又はシグナル伝達を調節するのに十分な量とすることができ、且つ/又は、RANK−L、その生物学的活性又は薬学的活性、及び/又はRANK−Lが関与する生物学的経路又はシグナル伝達を調節するのに十分な、循環血液中で本発明のアミノ酸配列、本発明のナノボディ、本発明のポリペプチドのレベルを与える量とすることができる。
【0614】
本発明はさらに、本発明のアミノ酸配列、本発明のナノボディ、又は本発明のポリペプチドを患者に投与することによって予防及び/又は治療することができる少なくとも1つの疾患及び障害を予防及び/又は治療する方法であって、それを必要とする被験体に薬学的に有効な量の本発明のアミノ酸配列、本発明のナノボディ、本発明のポリペプチド、及び/又はこれらを含む薬学的組成物を投与することを含む、方法に関する。
【0615】
より具体的には、本発明は、本明細書中に列挙される疾患及び障害から成る群から選択される少なくとも1つの疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、それを必要とする被験体に薬学的に有効な量の本発明のアミノ酸配列、本発明のナノボディ、本発明のポリペプチド、及び/又はこれらを含む薬学的組成物を投与することを含む、方法に関する。
【0616】
別の態様では、本発明は、免疫療法、及び特に受動免疫療法に関する方法であって、本明細書中に記載の疾患及び障害を患っているか又はそれらの危険性のある被験体に、薬学的に有効な量の本発明のアミノ酸配列、本発明のナノボディ、本発明のポリペプチド、及び/又はこれらを含む薬学的組成物を投与することを含む、方法に関する。
【0617】
上記の方法において、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチド、及び/又はこれらを含む組成物は、使用される特定の薬学的製剤又は薬学的組成物に応じて任意の好適な方法で投与することができる。したがって、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチド、及び/又はこれらを含む組成物は、例えば、この場合にも使用される特定の薬学的製剤又は薬学的組成物に応じて経口的、腹腔内(例えば、静脈内、皮下、筋内、又は消化管を回避した投与の任意の他の経路を介して)、鼻腔内、経皮、局所的に、座薬を用いて、吸入によって投与することができる。臨床医は、予防又は治療すべき疾患又は障害、及び臨床医に既知の他の因子に応じて、好適な投与経路、及びこのような投与に使用される好適な薬学的製剤又は薬学的組成物を選択することができるであろう。
【0618】
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチド、及び/又はこれらを含む組成物は、予防又は治療すべき疾患又は障害の予防及び/又は治療に好適な治療計画に従って投与される。臨床医は一般的に、予防又は治療すべき疾患又は障害、治療すべき疾患の重症度及び/又はその症状の重症度、使用される本発明の特定のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチド、特定の投与経路、及び使用される薬学的製剤又は薬学的組成物、患者の年齢、性別、体重、食事、全身状態、並びに臨床医に既知の同様の因子に応じて、好適な治療計画を決定することができるであろう。
【0619】
通常、治療計画には、1つ又は複数の薬学的に有効な量又は用量における1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチド、又はこれらを含む1つ又は複数の組成物の投与が含まれるであろう。投与される具体的な量(複数可)又は用量はこの場合でも上記の因子に基づき臨床医によって決定することができる。
【0620】
通常、本明細書中に記載した疾患及び障害の予防及び/又は治療に関して、また治療すべき特定の疾患又は障害、使用される本発明の特定のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの効力、特定の投与経路、及び使用される特定の薬学的製剤又は薬学的組成物に応じて、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは概して、1g/kg(体重)/日〜0.01μg/kg(体重)/日、好ましくは、0.1g/kg(体重)/日〜0.1μg/kg(体重)/日、例えば、約1μg/kg(体重)/日、10μg/kg(体重)/日、100μg/kg(体重)/日又は1000μg/kg(体重)/日の量で、連続して(例えば、点滴によって)、日々の単回用量として、又は1日の中の複数回の分割用量として投与されるであろう。臨床医は一般的に、本明細書中に記載の因子に応じて好適な日用量を決定することができるであろう。特定の場合には、例えば、上記の因子及び臨床医の専門的判断に基づきこれらの量から外れるように臨床医が選択することもあることが明らかであろう。一般的に、親和性/結合活性、有効性、体内分布、半減期及び当業者に既知の同様の因子の差異は考慮するものの、本質的に同様の経路を介して投与される、同様の標的に対する比較可能な従来の抗体又は抗体断片に関して通常投与される量から、投与量に関する指針を幾らか得ることができる。
【0621】
通常上記の方法では、本発明の単一のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを使用するであろう。しかしながら、2つ以上の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチドを組み合わせて使用することも本発明の範囲内である。
【0622】
本発明のナノボディ、アミノ酸配列及びポリペプチドは、1つ又は複数のさらなる薬学的に有効な化合物又は成分と組み合わせて、即ち、相乗効果をもたらすことも又はもたらさないこともある複合治療計画として使用することもできる。この場合でも、臨床医は、上記の因子及び臨床医の専門的判断に基づき、このようなさらなる化合物又は成分、並びに好適な複合治療計画を選択することができるであろう。
【0623】
特に、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、本明細書中に記載の疾患及び障害の予防及び/又は治療に用いられるか又は用いることができる他の薬学的に有効な化合物又は成分と組み合わせて使用してもよく、その結果、相乗効果が得られることも又は得られないこともある。このような化合物及び成分、並びにそれらを投与するための経路、方法及び薬学的製剤又は薬学的組成物は臨床医にとって明らかであろう。
【0624】
特に、本発明の薬学的組成物は、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチドと、骨形態形成因子、形質転換成長因子−β(TGF−β)、インターロイキン−1(IL−1)阻害剤、IL−1ra、Kineret(商標)、TNFα阻害剤、可溶性TNFα受容体、Enbrel(商標)、抗TNFα抗体、Remicade(商標)、D2E7抗体、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモンの類似体、副甲状腺ホルモン関連タンパク質、副甲状腺ホルモン関連タンパク質の類似体、プロスタグランジン、ビスホスフォネート、アレンドロネート、フッ化物、カルシウム、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、COX−2阻害剤、Celebrex(商標)、Vioxx(商標)、免疫抑制剤、メトトレキサート、レフルノミド、セリンプロテアーゼ阻害剤、分泌性白血球プロテアーゼ阻害剤(SLPI)、IL−6阻害剤、IL−6に対する抗体又はナノボディ、IL−8阻害剤、IL−8に対する抗体又はナノボディ、IL−18阻害剤、IL−18結合タンパク質、IL−18に対する抗体又はナノボディ、インターロイキン−1変換酵素(ICE)モジュレータ、線維芽細胞成長因子(FGF)、FGFモジュレータ、PAFアンタゴニスト、ケラチノサイト成長因子(KGF)、KGF関連分子、KGFモジュレータ、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)モジュレータ、一酸化窒素合成酵素(NOS)モジュレータ、グルココルチコイド受容体のモジュレータ、グルタミン酸受容体のモジュレータ、リポ多糖類(LPS)レベルのモジュレータ、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン模倣剤、例えば米国特許第2004/00335353号明細書に記載のノルアドレナリンモジュレータから選択される少なくとも1つのさらなる治療剤とを含み得る。
【0625】
2つ以上の物質又は成分を複合治療計画の一環として使用する場合、それらは、同様の投与経路を介して又は種々の投与経路を介して、本質的に同じ時間で又は種々の時間で(例えば、本質的に同時に、連続して、又は交互に)投与することができる。物質又は成分を、同様の投与経路を介して同時に投与しようとする場合、当業者にとって明らかであるような、種々の薬学的製剤又は薬学的組成物、又は併せた薬学的製剤又は薬学的組成物の一部として投与してもよい。
【0626】
また、2つ以上の有効な物質又は成分を複合治療計画の一環として使用しようとする場合、化合物又は成分を単独で使用する場合に用いられるものと同様の量で、また同様の計画に従って、物質又は成分の各々を投与してもよく、このような併用によって、相乗効果がもたらされることも又はもたらされないこともある。しかしながら、2つ以上の有効な物質又は成分の併用によって相乗効果がもたらされる場合には、所望の治療作用を達成しつつも、投与される物質又は成分の1つ、複数又は全ての量を低減することができる可能性がある。これは、例えば、所望の薬学的効果又は治療効果を依然として得ると共に、一般的な量で使用される場合の物質又は成分の1つ又は複数の使用に関連するあらゆる望ましくない副作用を回避、制限又は低減するのに有用であり得る。
【0627】
本発明に従って使用される治療計画の有効性は、臨床医にとって明らかであるように、関与する疾患又は障害についてそれ自体が既知の任意の方法で決定及び/又は追及され得る。臨床医はまた、必要に応じて及びケースバイケースに基づき、特定の治療計画を変更又は改変し、それにより、所望の治療効果を達成し、望ましくない副作用を回避、制限又は低減し、及び/又は一方で所望の治療効果を達成することと、他方で望ましくない副作用を回避、制限又は低減することとの適切な均衡を達成することができる。
【0628】
通常、所望の治療効果が達成されるまで、及び/又は所望の治療効果を維持する必要がある以上、治療計画は続けられる。また、これは臨床医が決定することができるものである。
【0629】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの骨疾患又は骨障害を予防及び/又は治療するため;及び/又は本明細書中に言及される1つ又は複数の治療方法に使用するための薬学的組成物の調製における本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドの使用に関する。
【0630】
治療すべき被験体とは、任意の温血動物であり得るが、具体的には哺乳動物、より具体的にはヒトである。当業者にとって明らかであるように、治療すべき被験体は、特に本明細書中に記載の疾患及び障害を患っているか又はそれらの危険性のあるヒトであり得る。
【0631】
本発明はまた、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを患者に投与することによって予防及び/又は治療することができる少なくとも1つの疾患又は障害を予防及び/又は治療するための薬学的組成物の調製における本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドの使用に関する。
【0632】
より具体的には、本発明は、骨疾患又は骨障害を予防及び/又は治療するための、並びに特に本明細書中に列挙した疾患及び障害の1つ又は複数を予防及び治療するための薬学的組成物の調製における本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドの使用に関する。
【0633】
また、このような薬学的組成物では、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを、本明細書中に記載したもの等の1つ又は複数の他の有効な成分と好適に組み合わせてもよい。
【0634】
最終的に、本発明のナノボディ(本明細書中に規定)及び本発明のポリペプチドの使用がはるかに好ましいが、本明細書中の記載に基づき、当業者であれば、同様の方法で、RANK−Lに対する他のアミノ酸配列及び特に(単一)ドメイン抗体、並びにこのような(単一)ドメイン抗体を含むポリペプチドを設計及び/又は生成することもできることは明らかであろう。
【0635】
例えば、本発明のナノボディに関して上記で記載されるCDRの1つ又は複数をヒトの足場又は非免疫グロブリンの足場を含むがこれらに限定されないこのような(単一)ドメイン抗体又は他のタンパク質「足場」上に「グラフト化」することが可能であり得ることは、当業者にとって明らかであろう。このようなCDRグラフト化の好適な足場及び技法は当業者にとって明らかであり、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第7,180,370号明細書、国際公開第01/27160号パンフレット、欧州特許第0,605,522号明細書、欧州特許第0,460,167号明細書、米国特許第7,054,297号明細書、Nicaise et al., Protein Science (2004), 13: 1882-1891、Ewert et al., Methods, 2004Oct; 34 (2): 184-199、Kettleborough et al., Protein Eng. 1991 Oct; 4(7): 773-783、O'Brienand Jones, Methods Mol. Biol. 2003: 207: 81-100、及びSkerra,J. Mol. Recognit. 2000: 13: 167-187、及びSaerens et al.,J. Mol. Biol. 2005 Sep 23; 352(3): 597-607、及び本明細書中に引用したさらなる参考文献を参照されたい。例えば、マウス又はラットのCDRをヒトのフレームワーク及び足場上にグラフト化するそれ自体が既知の技法は、本発明のナノボディのCDRの1つ又は複数と、1つ又は複数のヒトフレームワーク領域又は配列とを含むキメラタンパク質をもたらすのと同様に使用することができる。
【0636】
本発明のナノボディが、上記の好ましいCDR配列以外の1つ又は複数の他のCDR配列を含有する場合、これらのCDR配列は、それ自体が既知の任意の方法で、例えば、(好ましい)ナノボディ、従来の抗体に由来の(及び特にヒト抗体に由来の)V
Hドメイン、重鎖抗体、従来の4本鎖抗体(例えば、従来のヒト4本鎖抗体)、又はRANK−Lに指向性を有する他の免疫グロブリン配列から得ることができることにも留意されたい。RANK−Lに指向性を有するこのような免疫グロブリン配列は、それ自体が既知の任意の方法で、当業者にとって明らかであるように、即ち、RANK−Lによる免疫化によって、又はRANK−Lを有する免疫グロブリン配列の好適なライブラリをスクリーニングすることによって、又は任意の好適なそれらの組合せによって生成することができる。任意で、この後、ランダム又は部位特異的突然変異のような技法、及び/又はそれ自体が既知の親和性成熟のような他の技法を続けてもよい。このような免疫グロブリン配列を生成する好適な技法は当業者にとって明らかであり、例えば、Hoogenboom, Nature Biotechnology, 23, 9, 1105-1116 (2005)に概説されるスクリーニング法が挙げられる。特定の標的に対する免疫グロブリンを生成する他の技法としては、例えば、ナノクローン技術(例えば、公開米国特許出願第2006−0211088号明細書に記載)、いわゆるSLAM技術(例えば、欧州特許出願第0,542,810号明細書に記載)、ヒト免疫グロブリンを発現するトランスジェニックマウスの使用、又は既知のハイブリドーマ技法(例えば、Larrick et al., Biotechnology, Vol.7, 1989, p.934を参照)が挙げられる。全てのこれらの技法は、RANK−Lに対する免疫グロブリンを生成するのに使用することができ、且つこのような免疫グロブリンのCDRは、即ち上記で概説されるように、本発明のナノボディにおいて使用することができる。例えば、このようなCDRの配列は、本明細書中に記載されるもの等のそれ自体が既知の技法を全て用いて、測定、合成及び/又は単離して、本発明のナノボディの配列(例えば、対応する従来のCDRに取って代わるように)に挿入することができ、又は、ここでも同様に、本明細書中に記載の技法を用いて、このようなCDR(又はこのようなCDRをコードする核酸)を含有する本発明のナノボディをデノボ合成することができる。
【0637】
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ、ポリペプチド、核酸、遺伝子構築物、並びに宿主及び宿主細胞のさらなる使用は、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかであろう。例えば、限定するものではないが、本発明のアミノ酸配列は、好適な担体又は固体支持体と連結することができ、組成物及び組成物を含む調製剤からRANK−Lを精製するそれ自体が既知の方法で使用することができる培地をもたらす。好適な検出可能な標識を含む本発明のアミノ酸配列の誘導体はまた、組成物又は調製剤中のRANK−Lの存在を(定性的に又は定量的に)測定するマーカーとして、又は(例えば、好適な細胞選別技法と組み合わせて)細胞又は組織の表面上のRANK−Lの存在を選択的に検出するマーカーとして使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0638】
ここで、以下の非限定的な好ましい態様、例及び図面を用いて本発明をさらに説明する。
【0639】
1. RANK−Lに指向性を有する、及び/又はRANK−Lと特異的に結合することができるアミノ酸配列。
2. RANK−L上のRANK受容体結合部位に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様1に記載のアミノ酸配列。
3. RANK−L三量体上のサブユニット間受容体結合溝に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様1又は2に記載のアミノ酸配列。
4. RANKL−LとRANKとの結合を調節する、態様1〜3のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
5. RANKL−LとRANKとの結合を阻害及び/又は阻止する、態様4に記載のアミノ酸配列。
6. RANKL−LとRANKとの結合を阻害及び/又は阻止するが、RANK−L/OPG相互作用を低減及び/又は阻害しない、態様5に記載のアミノ酸配列。
7. RANK−Lのアンタゴニストである、態様1〜6のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
8. RANK−L上のOPG結合部位に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様1に記載のアミノ酸配列。
9. RANKL−LとOPGとの結合を調節する、態様1〜8のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
10. RANK/RANK−L相互作用を阻害及び/又は阻止する、態様9に記載のアミノ酸配列。
11. RANK−Lのアンタゴニストである、態様10に記載のアミノ酸配列。
12. RANK/RANK−L相互作用を低減又は阻害しない、態様8に記載のアミノ酸配列。
13. RANK−Lのアゴニストである、態様12に記載のアミノ酸配列。
14. 上記RANK−L三量体の形成を阻止及び/又は阻害する、態様1に記載のアミノ酸配列。
15.破骨細胞の分化及び/又は増殖を阻止及び/又は阻害する、態様1に記載のアミノ酸配列。
16. 骨再形成を調節する、態様1に記載のアミノ酸配列。
17. TRAILと結合しない、態様1〜16のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
18. TNF−αと結合しない、態様1〜17のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
19. CD40リガンドと結合しない、態様1〜18のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
20. 関連のTNFファミリー成員と結合しない、態様1〜19のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
21. 本質的に単離形態である、態様1〜20のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
22. 被験体に投与するためのものであり、該被験体内で自然発生するものではない、態様1〜21のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
23. 10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、及び好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、及びより好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様1〜22のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
24. 10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1、好ましくは10
3M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、より好ましくは10
4M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1(10
5M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1等)の結合速度(k
on速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様1〜23のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
25. 1s
−1〜10
−6s
−1、好ましくは10
−2s
−1〜10
−6s
−1、より好ましくは10
−3s
−1〜10
−6s
−1(10
−4s
−1〜10
−6s
−1等)の解離速度(k
off速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様1〜24のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
26. 500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様1〜25のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
27. (任意の好適な種由来の)天然アミノ酸配列、又は合成若しくは半合成のアミノ酸配列である、態様1〜26のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
28. 免疫グロブリンフォールドを含むか、又は好適な条件下で免疫グロブリンフォールドを形成することができる、態様1〜27のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
29. 本質的に4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)とから成る、態様1〜28のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
30. 免疫グロブリン配列である、態様1〜29のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
31. (任意の好適な種由来の)天然免疫グロブリン配列、又は合成若しくは半合成の免疫グロブリン配列である、態様1〜30のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
32. ヒト化免疫グロブリン配列、ラクダ化免疫グロブリン配列、又は親和性成熟等の技法によって得られる免疫グロブリン配列である、態様1〜31のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
33. 本質的に軽鎖可変ドメイン配列(V
L配列等)又は重鎖可変ドメイン配列(V
H配列等)から成る、態様1〜32のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
34. 本質的に従来の4鎖抗体由来の重鎖可変ドメイン配列から成るか、又は本質的に重鎖抗体由来の重鎖可変ドメイン配列から成る、態様1〜33のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
35. 本質的にドメイン抗体(又はドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、単一ドメイン抗体(又は単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、「dAb」(又はdAbとしての使用に好適なアミノ酸配列)、又はナノボディ(V
HH配列を含むが、これに限定されない)から成る、態様1〜34のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
36. 本質的にナノボディから成る、態様1〜35のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
37. 本質的に
i)配列番号1〜配列番号22のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基は無視する、且つ
ii)好ましくはカバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択される、ナノボディから成る、態様1〜36のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
38. 本質的に
i)配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基は無視する、且つ
ii)好ましくはカバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択される、ナノボディから成る、態様1〜37のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
39. 本質的に
i)配列番号622〜配列番号729、配列番号759〜配列番号762及び配列番号766〜配列番号773のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基は無視する、且つ
ii)好ましくはカバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択される、ポリペプチドから成る、態様1〜38のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
40. 本質的にヒト化ナノボディから成る、態様1〜39のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
41. RANK−Lとの結合のための少なくとも1つの結合部位の他に、他の抗原、タンパク質又は標的との結合のための1つ又は複数のさらなる結合部位を含有する、態様1〜40のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
42. RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列であって、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列、又は
任意の好適なこれらの組合せから成る群から選択される1つ又は複数のアミノ酸残基のストレッチを含む、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列。
43. 上記アミノ酸残基のストレッチの少なくとも1つが、RANK−Lと結合するための抗原結合部位の一部を形成する、態様42に記載のアミノ酸配列。
44. a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号439〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択される2つ以上のアミノ酸残基のストレッチを含み、このため、(i)アミノ酸残基の第1のストレッチがa)、b)又はc)によるアミノ酸配列の1つに対応する場合、アミノ酸残基の第2のストレッチは、d)、e)、f)、g)、h)又はi)によるアミノ酸配列の1つに対応し、(ii)アミノ酸残基の第1のストレッチがd)、e)又はf)によるアミノ酸配列の1つに対応する場合、アミノ酸残基の第2のストレッチは、a)、b)、c)、g)、h)又はi)によるアミノ酸配列の1つに対応し、又は(iii)アミノ酸残基の第1のストレッチがg)、h)又はi)によるアミノ酸配列の1つに対応する場合、アミノ酸残基の第2のストレッチは、a)、b)、c)、d)、e)又はf)によるアミノ酸配列の1つに対応する、態様42に記載のアミノ酸配列。
45. 少なくとも2つのアミノ酸残基のストレッチが、RANK−Lと結合するための抗原結合部位の一部を形成する、態様44に記載のアミノ酸配列。
46. 3つ以上のアミノ酸残基のストレッチを含み、アミノ酸残基の第1のストレッチが、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、
アミノ酸残基の第2のストレッチが、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、且つ
アミノ酸残基の第3のストレッチが、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択される、態様42〜44のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
47. 少なくとも3つのアミノ酸残基のストレッチが、RANK−Lと結合するための抗原結合部位の一部を形成する、態様46に記載のアミノ酸配列。
48. 上記アミノ酸配列のCDR配列が、配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つのCDR配列との少なくとも70%のアミノ酸同一性、好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性(95%以上のアミノ酸同一性等)、又はさらに本質的に100%のアミノ酸同一性を有する、態様42〜47のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
49. 態様42〜48のいずれか一つに記載のアミノ酸配列の少なくとも1つとRANK−Lとの結合を交差遮断する、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列。
50. 態様42〜48のいずれか一つに記載のアミノ酸配列の少なくとも1つによってRANK−Lと結合するのを交差遮断する、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列。
51. 上記アミノ酸配列が交差遮断するか又は交差遮断される能力がビアコアアッセイで検出される、態様49又は50に記載のアミノ酸配列。
52. 上記アミノ酸配列が交差遮断するか又は交差遮断される能力がELISAアッセイで検出される、態様49又は50に記載のアミノ酸配列。
53. 本質的に単離形態である、態様42〜52のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
54. 被験体に投与するためのものであり、該被験体内で自然発生するものではない、態様42〜53のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
55. 10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、及び好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、及びより好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様42〜54のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
56. 10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1、好ましくは10
3M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、より好ましくは10
4M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1(10
5M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1等)の結合速度(k
on速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様42〜55のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
57. 1s
−1〜10
−6s
−1、好ましくは10
−2s
−1〜10
−6s
−1、より好ましくは10
−3s
−1〜10
−6s
−1(10
−4s
−1〜10
−6s
−1等)の解離速度(k
off速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様42〜56のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
58. 500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様42〜57のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
59. (任意の好適な種由来の)天然アミノ酸配列、又は合成若しくは半合成のアミノ酸配列である、態様42〜58のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
60. 免疫グロブリンフォールドを含むか、又は好適な条件下で免疫グロブリンフォールドを形成することができる、態様42〜59のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
61. 免疫グロブリン配列である、態様42〜60のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
62. (任意の好適な種由来の)天然免疫グロブリン配列、又は合成若しくは半合成の免疫グロブリン配列である、態様42〜61のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
63. ヒト化免疫グロブリン配列、ラクダ化免疫グロブリン配列、又は親和性成熟等の技法によって得られる免疫グロブリン配列である、態様42〜62のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
64. 本質的に軽鎖可変ドメイン配列(V
L配列等)又は重鎖可変ドメイン配列(V
H配列等)から成る、態様42〜63のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
65. 本質的に従来の4鎖抗体由来の重鎖可変ドメイン配列から成るか、又は本質的に重鎖抗体由来の重鎖可変ドメイン配列から成る、態様42〜64のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
66. 本質的にドメイン抗体(又はドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、単一ドメイン抗体(又は単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、「dAb」(又はdAbとしての使用に好適なアミノ酸配列)、又はナノボディ(V
HH配列を含むが、これに限定されない)から成る、態様42〜65のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
67. 本質的にナノボディから成る、態様42〜66のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
68. 本質的に
i)配列番号1〜配列番号22のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基は無視する、且つ
ii)好ましくはカバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択される、ナノボディから成る、態様42〜67のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
69. 本質的に
i)配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基は無視する、且つ
ii)好ましくはカバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択される、ナノボディから成る、態様41〜63のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
70. 本質的にヒト化ナノボディから成る、態様42〜69のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
71. CDR配列によって形成される結合のための少なくとも1つの結合部位の他に、他の抗原、タンパク質又は標的との結合のための1つ又は複数のさらなる結合部位を含有する、態様42〜70のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
72. 本質的に4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)とから成るアミノ酸配列であって、
CDR1が、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、及び/又は
CDR2が、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、及び/又は
CDR3が、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択される、アミノ酸配列。
73. 本質的に4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)とから成るアミノ酸配列であって、
CDR1が、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、且つ
CDR2が、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、且つ
CDR3が、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択される、アミノ酸配列。
74. 上記アミノ酸配列のCDR配列が、配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つのCDR配列との少なくとも70%のアミノ酸同一性、好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性(95%以上のアミノ酸同一性等)又はさらに本質的に100%のアミノ酸同一性を有する、態様72又は73に記載のアミノ酸配列。
75. 態様72〜74のいずれか一つに記載のアミノ酸配列の少なくとも1つとRANK−Lとの結合を交差遮断する、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列。
76. 態様72〜74のいずれか一つに記載のアミノ酸配列の少なくとも1つによってRANK−Lと結合するのを交差遮断する、RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列。
77. 上記アミノ酸配列が交差遮断するか又は交差遮断される能力がビアコアアッセイで検出される、態様75又は76に記載のアミノ酸配列。
78. 上記アミノ酸配列が交差遮断するか又は交差遮断される能力がELISAアッセイで検出される、態様75又は76に記載のアミノ酸配列。
79. 本質的に単離形態である、態様72〜78のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
80. 被験体に投与するためのものであり、該被験体内で自然発生するものではない、態様72〜79のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
81. 10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、及び好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、及びより好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様72〜80のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
82. 10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1、好ましくは10
3M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、より好ましくは10
4M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1(10
5M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1等)の結合速度(k
on速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様72〜81のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
83. 1s
−1〜10
−6s
−1、好ましくは10
−2s
−1〜10
−6s
−1、より好ましくは10
−3s
−1〜10
−6s
−1(10
−4s
−1〜10
−6s
−1等)の解離速度(k
off速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様72〜82のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
84. 500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様72〜83のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
85. (任意の好適な種由来の)天然アミノ酸配列、又は合成若しくは半合成のアミノ酸配列である、態様72〜84のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
86. 免疫グロブリンフォールドを含むか、又は好適な条件下で免疫グロブリンフォールドを形成することができる、態様72〜85のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
87. 免疫グロブリン配列である、態様72〜86のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
88. (任意の好適な種由来の)天然免疫グロブリン配列、又は合成若しくは半合成の免疫グロブリン配列である、態様72〜87のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
89. ヒト化免疫グロブリン配列、ラクダ化免疫グロブリン配列、又は親和性成熟等の技法によって得られる免疫グロブリン配列である、態様72〜88のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
90. 本質的に軽鎖可変ドメイン配列(V
L配列等)又は重鎖可変ドメイン配列(V
H配列等)から成る、態様73〜89のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
91. 本質的に従来の4鎖抗体由来の重鎖可変ドメイン配列から成るか、又は本質的に重鎖抗体由来の重鎖可変ドメイン配列から成る、態様72〜90のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
92. 本質的にドメイン抗体(又はドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、単一ドメイン抗体(又は単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、「dAb」(又はdAbとしての使用に好適なアミノ酸配列)、又はナノボディ(V
HH配列を含むが、これに限定されない)から成る、態様72〜91のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
93. 本質的にナノボディから成る、態様72〜92のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
94. 本質的に
i)配列番号1〜配列番号22のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基は無視する、且つ
ii)好ましくはカバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択される、ナノボディから成る、態様72〜93のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
95. 本質的に
i)配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基は無視する、且つ
ii)好ましくはカバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択される、ナノボディから成る、態様72〜94のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
96. 本質的にヒト化ナノボディから成る、態様72〜95のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
97. 上記CDR配列によって形成される結合のための少なくとも1つの結合部位の他に、他の抗原、タンパク質又は標的との結合のための1つ又は複数のさらなる結合部位を含有する、態様72〜96のいずれか一つに記載のアミノ酸配列。
98. RANK−Lに指向性を有する、及び/又はRANK−Lと特異的に結合することができるナノボディ。
99. RANK−L上のRANK受容体結合部位に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様98に記載のナノボディ。
100. RANK−L三量体上のサブユニット間受容体結合溝に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様98又は99に記載のナノボディ。
101. RANKL−LとRANKとの結合を調節する、態様98〜100のいずれか一つに記載のナノボディ。
102. RANKL−LとRANKとの結合を阻害及び/又は阻止する、態様101に記載のナノボディ。
103. RANKL−LとRANKとの結合を阻害及び/又は阻止するが、RANK−L/OPG相互作用を低減及び/又は阻害しない、態様102に記載のナノボディ。
104. RANK−Lのアンタゴニストである、態様98〜103のいずれか一つに記載のナノボディ。
105. RANK−L上のOPG結合部位に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様98に記載のナノボディ。
106. RANKL−LとOPGとの結合を調節する、態様98又は105に記載のナノボディ。
107. RANK/RANK−L相互作用を阻害する、態様106に記載のナノボディ。
108. RANK−Lのアンタゴニストである、態様107に記載のナノボディ。
109. RANK/RANK−L相互作用を低減又は阻害しない、態様106に記載のナノボディ。
110. RANK−Lのアゴニストである、態様109に記載のナノボディ。
111. 上記RANK−L三量体の形成を阻止及び/又は阻害する、態様98に記載のナノボディ。
112. 破骨細胞の分化及び/又は増殖を阻止及び/又は阻害する、態様98に記載のナノボディ。
113. 骨再形成を調節する、態様98に記載のナノボディ。
114. TRAILと結合しない、態様98〜113のいずれか一つに記載のナノボディ。
115. TNF−αと結合しない、態様98〜114のいずれか一つに記載のナノボディ。
116. CD40リガンドと結合しない、態様98〜115のいずれか一つに記載のナノボディ。
117. 関連のTNFファミリー成員と結合しない、態様98〜116のいずれか一つに記載のナノボディ。
118. 本質的に単離形態である、態様98〜117のいずれか一つに記載のナノボディ。
119. 10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、及び好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、及びより好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様98〜118のいずれか一つに記載のナノボディ。
120. 10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1、好ましくは10
3M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、より好ましくは10
4M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1(10
5M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1等)の結合速度(k
on速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様98〜119のいずれか一つに記載のナノボディ。
121. 1s
−1〜10
−6s
−1、好ましくは10
−2s
−1〜10
−6s
−1、より好ましくは10
−3s
−1〜10
−6s
−1(10
−4s
−1〜10
−6s
−1等)の解離速度(k
off速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様98〜120のいずれか一つに記載のナノボディ。
122. 500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様98〜121のいずれか一つに記載のナノボディ。
123. (任意の好適な種由来の)天然ナノボディ、又は合成若しくは半合成のナノボディである、態様98〜122のいずれか一つに記載のナノボディ。
124. V
HH配列、部分ヒト化V
HH配列、完全ヒト化V
HH配列、ラクダ化重鎖可変ドメイン又は親和性成熟等の技法によって得られたナノボディである、態様98〜123のいずれか一つに記載のナノボディ。
125.i)配列番号1〜配列番号22のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基は無視する、且つ
ii)好ましくはカバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択される、態様98〜124のいずれか一つに記載のナノボディ。
126.i)配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここでアミノ酸同一性の程度を決定するためにCDR配列を形成するアミノ酸残基は無視する、且つ
ii)好ましくはカバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択される、態様98〜125のいずれか一つに記載のナノボディ。
127. CDR1が、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、及び/又は
CDR2が、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、及び/又は
CDR3が、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択される、態様98〜126のいずれか一つに記載のナノボディ。
128. CDR1が、
a)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列、
b)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
c)配列番号188〜配列番号249のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、且つ
CDR2が、
d)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列、
e)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
f)配列番号312〜配列番号373及び配列番号758のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択され、且つ
CDR3が、
g)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列、
h)配列番号436〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、
i)配列番号439〜配列番号497のアミノ酸配列の少なくとも1つとの、3つ、2つ若しくは1つのアミノ酸差異を有するアミノ酸配列から成る群から選択される、態様98〜129のいずれか一つに記載のナノボディ。
129. 上記CDR配列が、配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つのCDR配列との少なくとも70%のアミノ酸同一性、好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性(95%以上のアミノ酸同一性等)、又はさらに本質的に100%のアミノ酸同一性を有する、態様98〜128のいずれか一つに記載のナノボディ。
130. 部分ヒト化ナノボディである、態様98〜129のいずれか一つに記載のナノボディ。
131 完全ヒト化ナノボディである、態様98〜130のいずれか一つに記載のナノボディ。
132. 配列番号560〜配列番号621から成る群から、又は配列番号560〜配列番号621のアミノ酸配列の少なくとも1つとの80%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超(99%以上等)の配列同一性(本明細書中に規定)を有するアミノ酸配列から成る群から選択される、態様98〜131のいずれか一つに記載のナノボディ。
133. 配列番号730〜配列番号757及び配列番号765から成る群から、又は配列番号730〜配列番号757及び配列番号765のアミノ酸配列の少なくとも1つとの80%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超(99%以上等)の配列同一性(本明細書中に規定)を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるヒト化ナノボディである、態様98〜131のいずれか一つに記載のナノボディ。
134. 配列番号560〜配列番号621から成る群から、又は配列番号730〜配列番号757及び配列番号765から成る群から選択される、態様98〜133のいずれか一つに記載のナノボディ。
135. 態様42〜48若しくは態様72〜74のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、又は態様127〜134のいずれか一つに記載のナノボディの少なくとも1つとRANK−Lとの結合を交差遮断する、RANK−Lに指向性を有するナノボディ。
136. 態様42〜48若しくは72〜74のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、又は態様127〜143のいずれか一つに記載のナノボディの少なくとも1つによってRANK−Lと結合するのを交差遮断する、RANK−Lに指向性を有するナノボディ。
137. 上記ナノボディが交差遮断するか又は交差遮断される能力がビアコアアッセイで検出される、態様135又は136に記載のナノボディ。
138. 上記ナノボディが交差遮断するか又は交差遮断される能力がELISAアッセイで検出される、態様135又は136に記載のナノボディ。
139. ポリペプチドであって、1つ又は複数の態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列及び/又は1つ又は複数の態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディを含むか、又は本質的にこれらから成り、任意で1つ又は複数のペプチドリンカーを介して連結した、1つ又は複数の他のアミノ酸結合単位を任意でさらに含む、ポリペプチド。
140. 上記1つ又は複数の結合単位が免疫グロブリン配列である、態様139に記載のポリペプチド。
141. 上記1つ又は複数の他の結合単位が、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」、dAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又はナノボディから成る群から選択される、態様139又は140に記載のポリペプチド。
142. 上記1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列が免疫グロブリン配列である、態様139〜141のいずれか一つに記載のポリペプチド。
143. 上記1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列が、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」、dAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又はナノボディから成る群から選択される、態様139〜142のいずれか一つに記載のポリペプチド。
144. 1つ又は複数の態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディを含むか、又は本質的にこれから成り、上記1つ又は複数の他の結合単位がナノボディである、態様139〜143のいずれか一つに記載のポリペプチド。
145. 多価構築物である、態様139〜144のいずれか一つに記載のポリペプチド。
146. 多重パラトピックの構築物である、態様139〜145のいずれか一つに記載のポリペプチド。
147. 多重特異性の構築物である、態様139〜146のいずれか一つに記載のポリペプチド。
148. それぞれ対応する態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列自体、又は態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ自体に比べて半減期が増大する、態様139〜147のいずれか一つに記載のポリペプチド。
149. 上記1つ又は複数の他の結合単位が、それぞれ対応する態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列自体、又は態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ自体に比べて半減期が増大したポリペプチドを提供する、態様148に記載のポリペプチド。
150. 半減期が増大したポリペプチドを提供する、上記1つ又は複数の他の結合単位が、血清タンパク質又はその断片、血清タンパク質と結合することができる結合単位、Fc部分、及び血清タンパク質と結合することができる低分子タンパク質又はペプチドから成る群から選択される、態様149に記載のポリペプチド。
151. 半減期が増大したポリペプチドを提供する、上記1つ又は複数の他の結合単位が、ヒト血清アルブミン又はその断片から成る群から選択される、態様149に記載のポリペプチド。
152. 半減期が増大したポリペプチドを提供する、上記1つ又は複数の他の結合単位が、血清アルブミン(ヒト血清アルブミン等)又は血清免疫グロブリン(IgG等)と結合することができる結合単位から成る群から選択される、態様149に記載のポリペプチド。
153. 半減期が増大したポリペプチドを提供する、上記1つ又は複数の他の結合単位が、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」、dAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又は血清アルブミン(ヒト血清アルブミン等)若しくは血清免疫グロブリン(IgG等)と結合することができるナノボディから成る群から選択される、態様149に記載のポリペプチド。
154. 半減期が増大したポリペプチドを提供する、上記1つ又は複数の他の結合単位が、血清アルブミン(ヒト血清アルブミン等)又は血清免疫グロブリン(IgG等)と結合することができるナノボディである、態様149に記載のポリペプチド。
155. それぞれ対応する態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列自体、又は態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ自体の半減期よりも少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍(少なくとも5倍等)、例えば少なくとも10倍、又は20倍を超えて大きい血清半減期を有する、態様148〜154のいずれか一つに記載のポリペプチド。
156. それぞれ対応する態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列自体、又は態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ自体に比べて、1時間を超えて、好ましくは2時間を超えて、より好ましくは6時間を超えて(12時間等を超えて)、又はさらに24時間、48時間若しくは72時間を超えて増大する血清半減期を有する、態様148〜155のいずれか一つに記載のポリペプチド。
157. 少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも48時間、さらにより好ましくは少なくとも72時間以上、例えば少なくとも5日(約5日〜10日等)、好ましくは少なくとも9日(約9日〜14日等)、より好ましくは少なくとも約10日(約10日〜15日等)、若しくは少なくとも約11日(約11日〜16日等)、より好ましくは少なくとも約12日(約12日〜18日以上等)、又は14日超(約14日〜19日等)のヒトにおける血清半減期を有する、態様148〜156のいずれか一つにポリペプチド。
158. 化合物又は構築物であって、1つ又は複数の態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列及び/又は1つ又は複数の態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディを含むか、又は本質的にこれから成り、任意で1つ又は複数のリンカーを介して連結した、1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位を任意でさらに含む、化合物又は構築物。
159. 上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位がアミノ酸配列である、態様158に記載の化合物又は構築物。
160. 存在する場合、上記1つ又は複数のリンカーが1つ又は複数のアミノ酸配列である、態様158又は159に記載の化合物又は構築物。
161. 上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位が免疫グロブリン配列である、態様158〜160のいずれか一つに記載の化合物又は構築物。
162. 上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位が、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」、dAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又はナノボディから成る群から選択される、態様158〜161のいずれか一つに記載の化合物又は構築物。
163. 上記1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列が免疫グロブリン配列である、態様158〜162のいずれか一つに記載の化合物又は構築物。
164. 上記1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列が、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」、dAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又はナノボディから成る群から選択される、態様158〜163のいずれか一つに記載の化合物又は構築物。
165. 化合物又は構築物であって、1つ又は複数の態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディを含むか、又は本質的にこれから成り、上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位がナノボディである、化合物又は構築物。
166. 多価構築物である、態様158〜165のいずれか一つに記載の化合物又は構築物。
167. 多重パラトピック構築物である、態様158〜166のいずれか一つに記載の化合物又は構築物。
168. 多重特異性の構築物である、態様158〜167のいずれか一つに記載の化合物又は構築物。
169. それぞれ対応する態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列自体、又は態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ自体に比べて半減期が増大する、態様158〜168のいずれか一つに記載の化合物又は構築物。
170. 上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位が、それぞれ対応する態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列自体、又は態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ自体に比べて半減期が増大した化合物又は構築物を提供する、態様169に記載の化合物又は構築物。
171. 半減期が増大した化合物又は構築物を提供する、上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位が、血清タンパク質又はその断片、血清タンパク質と結合することができる結合単位、Fc部分、及び血清タンパク質と結合することができる低分子タンパク質又はペプチドから成る群から選択される、態様170に記載の化合物又は構築物。
172. 半減期が増大した化合物又は構築物を提供する、上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位が、ヒト血清アルブミン又はその断片から成る群から選択される、態様170に記載の化合物又は構築物。
173. 半減期が増大した化合物又は構築物を提供する、上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位が、血清アルブミン(ヒト血清アルブミン等)又は血清免疫グロブリン(IgG等)と結合することができる結合単位から成る群から選択される、態様170に記載の化合物又は構築物。
174. 半減期が増大した化合物又は構築物を提供する、上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位が、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」、dAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又は血清アルブミン(ヒト血清アルブミン等)若しくは血清免疫グロブリン(IgG等)と結合することができるナノボディから成る群から選択される、態様170に記載の化合物又は構築物。
175. 半減期が増大した化合物又は構築物を提供する、上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位が、血清アルブミン(ヒト血清アルブミン等)又は血清免疫グロブリン(IgG等)と結合することができるナノボディである、態様170に記載の化合物又は構築物。
176. それぞれ対応する態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列自体、又は態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ自体の半減期よりも少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍(少なくとも5倍等)、例えば少なくとも10倍、又は20倍を超えて大きい血清半減期を有する、態様169〜175のいずれか一つに記載の化合物又は構築物。
177. それぞれ対応する態様1〜978のいずれか一つに記載のアミノ酸配列自体、又は態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ自体に比べて、1時間を超えて、好ましくは2時間を超えて、より好ましくは6時間を超えて(12時間等を超えて)、又はさらに24時間、48時間若しくは72時間を超えて増大する血清半減期を有する、態様169〜176のいずれか一つに記載の化合物又は構築物。
178. 少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも48時間、さらにより好ましくは少なくとも72時間以上、例えば少なくとも5日(約5日〜10日等)、好ましくは少なくとも9日(約9日〜14日等)、より好ましくは少なくとも約10日(約10日〜15日等)、若しくは少なくとも約11日(約11日〜16日等)、より好ましくは少なくとも約12日(約12日〜18日以上等)、又は14日超(約14日〜19日等)のヒトにおける血清半減期を有する、態様169〜177のいずれか一つに記載の化合物又は構築物。
179. 態様1〜97のいずれか一つに記載の1つのアミノ酸配列、及び/又は態様98〜138のいずれか一つに記載の1つのナノボディを含むか、又は本質的にこれらから成る一価の構築物。
180. 上記本発明のアミノ酸配列が、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」、dAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又はナノボディから成る群から選択される、態様179に記載の一価の構築物。
181. 態様98〜138のいずれか一つに記載の1つのナノボディを含むか、又は本質的にこれから成る一価の構築物。
182. 核酸又はヌクレオチド配列であって、態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、又は態様179〜181のいずれか一つに記載の一価の構築物をコードする、核酸又はヌクレオチド配列。
183. 遺伝子構築物の形態である、態様182に記載の核酸又はヌクレオチド配列。
184. 宿主又は宿主細胞であって、態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、又は態様179〜181のいずれか一つに記載の一価の構築物を発現する、又は好適な環境下で発現することができ、及び/又は態様182に記載の核酸又はヌクレオチド配列、又は態様183に記載の遺伝子構築物を含む、宿主又は宿主細胞。
185. 組成物であって、態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、態様179〜181のいずれか一つに記載の一価の構築物、又は態様182若しくは183に記載の核酸又はヌクレオチド配列の少なくとも1つを含む、組成物。
186. 薬学的組成物である、態様185に記載の組成物。
187. 薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤及び/又はアジュバントをさらに含み、且つ任意で1つ又は複数のさらなる薬学的に有効なポリペプチド及び/又は化合物の少なくとも1つを含む、薬学的組成物である、態様186に記載の組成物。
188. 態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、態様186若しくは187に記載の薬学的組成物、又は態様179〜181のいずれか一つに記載の一価の構築物(これをコードする核酸又はヌクレオチド配列の発現によって得ることができるようなものである)を製造する方法であって、少なくとも
好適な宿主細胞若しくは宿主生物において、又は別の好適な発現系において、態様182に記載の核酸又はヌクレオチド配列、又は態様183に記載の遺伝子構築物を発現する工程と、任意でその後に
このようにして得られる、態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物(これをコードする核酸又はヌクレオチド配列の発現によって得ることができるようなものである)、又は態様179〜181のいずれか一つに記載の一価の構築物を単離及び/又は精製する工程とを含む、方法。
189. 態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、態様186若しくは187に記載の薬学的組成物、又は態様179〜181のいずれか一つに記載の一価の構築物(これをコードする核酸又はヌクレオチド配列の発現によって得ることができるようなものである)を製造する方法であって、少なくとも
態様184に記載の宿主又は宿主細胞が、態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物(これをコードする核酸又はヌクレオチド配列の発現によって得ることができるようなものである)、又は態様179〜181のいずれか一つに記載の一価の構築物の少なくとも1つを発現及び/又は産生するような条件下で、該宿主又は該宿主細胞を培養及び/又は維持する工程と、任意でその後に
このようにして得られる、態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物(これをコードする核酸又はヌクレオチド配列の発現によって得ることができるようなものである)、又は態様179〜181のいずれか一つに記載の一価の構築物を単離及び/又は精製する工程とを含む、方法。
190. RANK−Lに指向性を有するアミノ酸配列をスクリーニングする方法であって、少なくとも
a)アミノ酸配列をコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリを準備する工程と、
b)RANK−Lと結合することができる、及び/又はRANK−Lに対する親和性を有する、また交差遮断されるか、又は本発明のナノボディ、例えば配列番号560〜配列番号621、若しくは本発明のヒト化ナノボディ、例えば配列番号730〜配列番号757及び配列番号765、若しくは本発明のポリペプチド若しくは構築物、例えば配列番号622〜配列番号729、配列番号759〜配列番号762及び配列番号766〜配列番号773を交差遮断している、アミノ酸配列をコードする核酸配列に関して、上記核酸配列のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングする工程と、
c)上記核酸配列を単離した後、上記アミノ酸配列を発現する工程とを含む、方法。
191. 少なくとも1つの骨疾患又は骨障害を予防及び/又は治療する方法であって、それを必要とする被験体に、薬学的に有効な量の態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、態様179〜181のいずれか一つに記載の一価構築物、又は態様186若しくは187に記載の組成物の少なくとも1つを投与することを含む、予防及び/又は治療する方法。
192. RANK−L、その生物学的又は薬理学的な活性、及び/又はRANK−Lが関与する生物学的経路又はシグナル伝達に関連する少なくとも1つの疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、それを必要とする被験体に、薬学的に有効な量の態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、態様179〜181のいずれか一つに記載の一価構築物、又は態様186若しくは187に記載の組成物の少なくとも1つを投与することを含む、予防及び/又は治療する方法。
193. それを必要とする被験体に態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、又は態様179〜181のいずれか一つに記載の一価の構築物を投与することによって予防及び/又は治療することができる、少なくとも1つの疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、それを必要とする被験体に薬学的に有効な量の態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、態様179〜181のいずれか一つに記載の一価の構築物、又は態様186若しくは187に記載の組成物の少なくとも1つを投与することを含む、方法。
194. 免疫療法に関する方法であって、それを必要とする被験体に薬学的に有効な量の態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、態様179〜181のいずれか一つに記載の一価の構築物、又は態様186若しくは187に記載の組成物の少なくとも1つを投与することを含む、免疫療法に関する方法。
195. 少なくとも1つの骨疾患又は骨障害を予防及び/又は治療するため;及び/又は態様191〜194のいずれか一つに記載の方法の1つ又は複数で使用するための薬学的組成物の製造における態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、又は態様179〜181のいずれか一つに記載の一価構築物の使用。
196. 少なくとも1つの骨疾患又は骨障害を予防及び/又は治療するための態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、又は態様179〜181のいずれか一つに記載の一価構築物。
197. 態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列又は態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディの部分又は断片。
198. RANK−L上のRANK受容体結合部位に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様197に記載の部分又は断片。
199. RANK−L三量体上のサブユニット間受容体結合溝に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様197又は198に記載の部分又は断片。
200. RANKL−LとRANKとの結合を調節する、態様197〜199のいずれか一つに記載の部分又は断片。
201. RANKL−LとRANKとの結合を阻害及び/又は阻止する、態様200に記載の部分又は断片。
202. RANKL−LとRANKとの結合を阻害及び/又は阻止するが、RANK−L/OPG相互作用を低減及び/又は阻害しない、態様201に記載の部分又は断片。
203. RANK−Lのアンタゴニストである、態様197〜202のいずれか一つに記載の部分又は断片。
204. RANK−L上のOPG結合部位に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様197に記載の部分又は断片。
205. RANKL−LとOPGとの結合を調節する、態様197又は204に記載の部分又は断片。
206. RANK/RANK−L相互作用を阻害する、態様205に記載の部分又は断片。
207. RANK−Lのアンタゴニストである、態様206に記載の部分又は断片。
208. RANK/RANK−L相互作用を低減又は阻害しない、態様205に記載の部分又は断片。
209. RANK−Lのアゴニストである、態様208に記載の部分又は断片。
210. 上記RANK−L三量体の形成を阻止及び/又は阻害する、態様197に記載の部分又は断片。
211. 破骨細胞の分化及び/又は増殖を阻止及び/又は阻害する、態様197に記載の部分又は断片。
212. 骨再形成を調節する、態様197に記載の部分又は断片。
213. TRAILと結合しない、態様197〜212のいずれか一つに記載の部分又は断片。
214. TNF−αと結合しない、態様197〜213のいずれか一つに記載の部分又は断片。
215. CD40リガンドと結合しない、態様197〜214のいずれか一つに記載の部分又は断片。
216. 関連のTNFファミリー成員と結合しない、態様197〜215のいずれか一つに記載の部分又は断片。
217. 10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、及び好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、及びより好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様197〜216のいずれか一つに記載の部分又は断片。
218. 10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1、好ましくは10
3M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、より好ましくは10
4M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1(10
5M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1等)の結合速度(k
on速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様197〜217のいずれか一つに記載の部分又は断片。
219. 1s
−1〜10
−6s
−1、好ましくは10
−2s
−1〜10
−6s
−1、より好ましくは10
−3s
−1〜10
−6s
−1(10
−4s
−1〜10
−6s
−1等)の解離速度(k
off速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様197〜218のいずれか一つに記載の部分又は断片。
220. 化合物又は構築物であって、1つ又は複数の態様197〜219のいずれか一つに記載の部分又は断片を含むか、又は本質的にこれらから成り、任意で1つ又は複数のリンカーを介して連結した、1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位を任意でさらに含む、化合物又は構築物。
221. 上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位がアミノ酸配列である、態様220に記載の化合物又は構築物。
222. 存在する場合、上記1つ又は複数のリンカーが1つ又は複数のアミノ酸配列である、態様220又は221に記載の化合物又は構築物。
223. 核酸又はヌクレオチド配列であって、態様197〜219のいずれか一つに記載の部分又は断片、又は態様222に記載の化合物又は構築物をコードする、核酸又はヌクレオチド配列。
224. 組成物であって、態様197〜219のいずれか一つに記載の部分又は断片、態様220〜222のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、又は態様223に記載の核酸又はヌクレオチド配列の少なくとも1つを含む、組成物。
225. 態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列、又は態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディの誘導体。
226. RANK−Lと特異的に結合することができる、態様225に記載の誘導体。
227. RANK−L上のRANK受容体結合部位に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様226に記載の誘導体。
228. RANK−L三量体上のサブユニット間受容体結合溝に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様226又は227に記載の誘導体。
229. RANKL−LとRANKとの結合を調節する、態様226〜228のいずれか一つに記載の誘導体。
230. RANKL−LとRANKとの結合を阻害及び/又は阻止する、態様229に記載の誘導体。
231. RANKL−LとRANKとの結合を阻害及び/又は阻止するが、RANK−L/OPG相互作用を低減及び/又は阻害しない、態様230に記載の誘導体。
232. RANK−Lのアンタゴニストである、態様226〜231のいずれか一つに記載の誘導体。
233. RANK−L上のOPG結合部位に指向性を有する、及び/又はこれと特異的に結合することができる、態様226に記載の誘導体。
234. RANKL−LとOPGとの結合を調節する、態様226又は233に記載の誘導体。
235. RANK/RANK−L相互作用を阻害及び/又は阻止する、態様234に記載の誘導体。
236. RANK−Lのアンタゴニストである、態様235に記載の誘導体。
237. RANK/RANK−L相互作用を低減又は阻害しない、態様234に記載の誘導体。
238. RANK−Lのアゴニストである、態様237に記載の誘導体。
239. RANK−L三量体の形成を阻止及び/又は阻害する、態様226に記載の誘導体。
240. 破骨細胞の分化及び/又は増殖を阻止及び/又は阻害する、態様226に記載の誘導体。
241. 骨再形成を調節する、態様226に記載の誘導体。
242. TRAILと結合しない、態様226〜241のいずれか一つに記載の誘導体。
243. TNF−αと結合しない、態様226〜242のいずれか一つに記載の誘導体。
244. CD40リガンドと結合しない、態様226〜243のいずれか一つに記載の誘導体。
245. 関連のTNFファミリー成員と結合しない、態様226〜244のいずれか一つに記載の誘導体。
246. 10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、及び好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、及びより好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様226〜245のいずれか一つに記載の誘導体。
247. 10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1、好ましくは10
3M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、より好ましくは10
4M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1(10
5M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1等)の結合速度(k
on速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様226〜246のいずれか一つに記載の誘導体。
248. 1s
−1〜10
−6s
−1、好ましくは10
−2s
−1〜10
−6s
−1、より好ましくは10
−3s
−1〜10
−6s
−1(10
−4s
−1〜10
−6s
−1等)の解離速度(k
off速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様226〜247のいずれか一つに記載の誘導体。
249. 態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物の誘導体。
250. RANK−Lと特異的に結合することができる、態様249に記載の誘導体。
251. 10
−5モル/L〜10
−12モル/L以下、及び好ましくは10
−7モル/L〜10
−12モル/L以下、及びより好ましくは10
−8モル/L〜10
−12モル/Lの解離定数(K
D)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様249又は250に記載の誘導体。
252. 10
2M
−1s
−1〜約10
7M
−1s
−1、好ましくは10
3M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1、より好ましくは10
4M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1(10
5M
−1s
−1〜10
7M
−1s
−1等)の結合速度(k
on速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様249〜251のいずれか一つに記載の誘導体。
253. 1s
−1〜10
−6s
−1、好ましくは10
−2s
−1〜10
−6s
−1、より好ましくは10
−3s
−1〜10
−6s
−1(10
−4s
−1〜10
−6s
−1等)の解離速度(k
off速度)でRANK−Lと特異的に結合することができる、態様249〜252のいずれか一つに記載の誘導体。
254. 対応する態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列自体、態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ自体、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、又は態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物自体の半減期よりも少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍(少なくとも5倍等)、例えば少なくとも10倍、又は20倍を超えて大きい血清半減期を有する、態様225〜253のいずれか一つに記載の誘導体。
255. 対応する態様1〜97のいずれか一つに記載のアミノ酸配列自体、又は態様98〜138のいずれか一つに記載のナノボディ自体、態様139〜157のいずれか一つに記載のポリペプチド、又は態様158〜178のいずれか一つに記載の化合物又は構築物自体に比べて、血清半減期が、1時間を超えて、好ましくは2時間を超えて、より好ましくは6時間を超えて(12時間等を超えて)、又はさらには24時間、48時間若しくは72時間を超えて増大する、態様225〜254のいずれか一つに記載の誘導体。
256. 少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも48時間、さらにより好ましくは少なくとも72時間以上、例えば少なくとも5日(約5日〜10日等)、好ましくは少なくとも9日(約9日〜14日等)、より好ましくは少なくとも約10日(約10日〜15日等)、若しくは少なくとも約11日(約11日〜16日等)、より好ましくは少なくとも約12日(約12日〜18日以上等)、又は14日超(約14日〜19日等)のヒトにおける血清半減期を有する、態様225〜255のいずれか一つに記載の誘導体。
257. ペグ化誘導体である、態様225〜256のいずれか一つに記載の誘導体。
258. 化合物又は構築物であって、1つ又は複数の態様225〜257のいずれか一つに記載の誘導体を含むか、又は本質的にこれから成り、任意で1つ又は複数のリンカーを介して連結した、1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位を任意でさらに含む、化合物又は構築物。
259. 上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位がアミノ酸配列である、態様258に記載の化合物又は構築物。
260. 存在する場合、上記1つ又は複数のリンカーが1つ又は複数のアミノ酸配列である、態様258又は259に記載の化合物又は構築物。
261. 態様225〜257のいずれか一つに記載の1つの誘導体、又は態様258〜260のいずれか一つに記載の1つの化合物又は構築物をコードする核酸。
262. 組成物であって、態様225〜257のいずれか一つに記載の誘導体、態様258〜260のいずれか一つに記載の化合物又は構築物、又は態様261に記載の核酸又はヌクレオチド配列の少なくとも1つを含む、組成物。