特許第5901623号(P5901623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5901623安定なホルムアルデヒド不含マイクロカプセル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901623
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】安定なホルムアルデヒド不含マイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   C08G 12/26 20060101AFI20160331BHJP
   B01J 13/18 20060101ALI20160331BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20160331BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20160331BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20160331BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20160331BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20160331BHJP
   D06M 15/423 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   C08G12/26
   B01J13/18
   A61Q13/00 102
   C11B9/00 Z
   A61Q19/10
   A61K8/11
   C11D17/08
   D06M15/423
【請求項の数】17
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2013-516015(P2013-516015)
(86)(22)【出願日】2011年6月21日
(65)【公表番号】特表2013-538879(P2013-538879A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】IB2011052700
(87)【国際公開番号】WO2011161618
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年5月20日
(31)【優先権主張番号】61/358,741
(32)【優先日】2010年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10167348.1
(32)【優先日】2010年6月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン ベルティエ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルディーヌ レオン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ パレ
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−516618(JP,A)
【文献】 特開平06−312128(JP,A)
【文献】 特開2006−124709(JP,A)
【文献】 特表平10−510309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 4/00− 16/06
B01J 13/18
A61K 8/11
A61Q 13/00
A61L 9/01
A61K 9/50
A61K 47/34
C11B 9/00
C11C 1/00− 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)メラミンの形態における、またはメラミンと2つのNH2官能基を有する少なくとも1種のC1〜4化合物との混合物の形態における、ポリアミン成分;
2)グリオキサール、C4〜62,2−ジアルコキシエタナール、および任意にグリオキサレートの混合物の形態のアルデヒド成分であって、当該混合物が、1/1〜10/1のグリオキサール/C4〜6−2,2−ジアルコキシ−エタナールのモル比を有する、アルデヒド成分;および
3)プロトン酸触媒
を一緒に反応させることにより得られるオリゴマー性組成物。
【請求項2】
前記ポリアミン成分が、メラミンと、2つのNH2官能基を有する少なくとも1種のC1〜4化合物との混合物であり、ならびに、該2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物が、尿素、1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン、およびそれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のオリゴマー性組成物。
【請求項3】
前記混合物が、2/1〜1/3の、メラミン/2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物のモル比を有することを特徴とする、請求項2に記載のオリゴマー性組成物。
【請求項4】
前記アルデヒド成分が、2.2/1〜6.5/1の、グリオキサール/2,2−ジアルコキシ−エタナールのモル比を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のオリゴマー性組成物。
【請求項5】
前記C4〜6のジアルコキシエタナールが、2,2−ジメトキシ−エタナール、2,2−ジエトキシ−エタナール、およびそれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項4に記載のオリゴマー性組成物。
【請求項6】
前記アルデヒド成分が、グリオキサレートを含むことを特徴とする、請求項4または5に記載のオリゴマー性組成物。
【請求項7】
前記グリオキサレートが、4/1〜1/1の、グリオキサール/グリオキサレートのモル比を有することを特徴とする、請求項6に記載のオリゴマー性組成物。
【請求項8】
前記ポリアミン成分および前記アルデヒド成分が、モル比(総アミン官能基)/(総遊離アルデヒド官能基)が2/1と1/2の間に含まれる比率において混和されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のオリゴマー性組成物。
【請求項9】
前記プロトン酸触媒が、鉱酸、C1〜6モノカルボン酸もしくはジカルボン酸、およびそれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー性組成物。
【請求項10】
以下の工程:
1)水中油分散体であって、その液滴サイズが1μmから600μmの間に含まれ、かつ請求項1〜9のいずれか1項において定義された少なくともオリゴマー性組成物を含む前記分散体を製造する工程;
2)任意に、該分散体に2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物を加える工程;
3)該分散体を加熱する工程;
4)該分散体を冷却する工程;
および
5)任意に、該最終的な分散体を乾燥させて、乾燥コア−シェルマイクロカプセルを得る工程
を含む、コア−シェルマイクロカプセルの製造方法。
【請求項11】
前記油が香油であり、かつ前記分散体が、10%〜50%の油を含み、この場合、百分率は該分散体の総質量に対してw/wベースで表されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記分散体が、1%〜10%のオリゴマー性組成物を含み、この場合、百分率は該分散体の総質量に対してw/wベースで表されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記分散体が、さらに、0%〜0.5%の少なくとも1つの安定化剤を含み、かつ0%〜2%の少なくとも1つのポリオールを含み、この場合、百分率は、該分散体の総質量に対してw/wベースで表されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
工程2)が実施され、かつ該工程において、5%から100%の間に含まれる量の2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物が加えられ、この場合、百分率は、前記樹脂の総質量に対してw/wベースで表されることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項において定義されたオリゴマー性組成物および任意に2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物をベースとする外側固体シェルと、当該外側シェルに封入された内側連続油相とを含む1〜600μmの平均径を有するコア−シェルマイクロカプセル。
【請求項16】
i)賦香成分として、請求項15において定義された、少なくとも1種のコア−シェルマイクロカプセル;および
ii)香料基材;
を含む、賦香消費者製品。
【請求項17】
前記香料基材が、香水、布地ケア製品、ボディケア製品、空気ケア製品、またはホームケア製品であることを特徴とする、請求項16に記載の賦香消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料の分野に関する。より詳しくは、本発明は、実質的にホルムアルデヒドを含まない水分散性コア−シェルマイクロカプセルに関する。
【0002】
さらに、本発明は、賦香組成物の一部または賦香消費者製品の一部としての本発明のコア−シェルマイクロカプセルも含む。
【0003】
マイクロカプセルは、液相のキャリアとして一般的に使用される、広く知られたタイプの製品である。
【0004】
当該マイクロカプセルの特定のタイプは、ポリアミン(一般的に、メラミン、すなわち、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン)とアルデヒド(実際には大抵の場合、ホルムアルデヒド)との反応によって得られる外壁を有する、いわゆる、アミノプラストマイクロカプセルである。これらのマイクロカプセルは、ある特定の条件下において破壊されることにより制御された方法において揮発物を放出し得るため、液体コアが香料のような揮発性化合物もしくは組成物の場合、非常に有用である。
【0005】
しかしながら、当該カプセルは、実質的にホルムアルデヒドをベースとしているため、常に、未反応前駆体または熱硬化性オリゴマーのゆるやかな分解による、残存量の遊離ホルムアルデヒドを含有している。近年、規制条例のために、ホルムアルデヒド不含のオリゴマーが所望されており、したがって、安定性および製造物送達において最良の性能を有するホルムアルデヒドベースのものと同程度の性能を有する、ホルムアルデヒド不含のコア−シェルマイクロカプセルが工業的に必要とされている。
【0006】
ホルムアルデヒド不含マイクロカプセルを得るためのいくつかの試みが、先行技術において公開されている。本発明に最も関連の深いものは、国際公開第2009/100553号に開示されている。この文献に記載されている系は、少なくともポリアミンと、明確には規定されていないがグリオキサールエステルのヘミアセタールまたは2,2−ジメトキシ−エタナール(DME)もしくは2,2−ジフェノキシ−エタナールによって例示されている「置換メチレン部分」との反応によって得られるアミノプラストオリゴマーを含む。実際に、具体的に記載されているすべてのカプセルは、(唯一のポリアミンとしての)メラミンと、「置換メチレン部分」としてのDMEまたはメチル2−ヒドロキシ−2−メトキシ−アセテートとの反応によって得られる。しかしながら、本発明者らは、下記の実施例において詳細に示されるように、そのようなカプセルの性能および安定性が、工業的用途において満足行くものではないということを見出した。
【0007】
本発明のオリゴマーとの関連において、国際公開第07/135108号は言及する価値がある。この文献において、アミン(例えば、メラミン、尿素、およびそれらの混合物)と、グリオキサールモノアセタールのみ(例えば、DME)との反応によって得られる樹脂が開示されている。当該樹脂は、化学構造および分子量において本発明のオリゴマーとは異なる化学物質であり、木質材料の製造において使用され、ならびに、マイクロカプセルへの応用ついては、示唆も提示も為されていない。
【0008】
したがって、ホルムアルデヒドを含有せず、優れた安定性性能を有するコア−シェルマイクロカプセルが依然として必要とされている。
【0009】
ここにおいて、本発明者らは、驚くべきことに、油コアを含有するコア−シェルマイクロカプセルの製造において特に好適であり、かつ先行技術における同様の構成のホルムアルデヒド不含コア−シェルマイクロカプセルと比べて優れた安定性を有する、新規のタイプのホルムアルデヒド不含のオリゴマーを発見した。
【0010】
したがって、本発明の第一の目的は、
1)メラミンの形態における、またはメラミンと2つのNH2官能基を有する少なくとも1種のC1〜4化合物との混合物の形態における、ポリアミン成分;
2)グリオキサール、C4〜62,2−ジアルコキシエタナール、および任意にグリオキサレートの混合物の形態におけるアルデヒド成分であって、当該混合物が、約1/1〜10/1のグリオキサール/C4〜62,2−ジアルコキシ−エタナールのモル比を有する、アルデヒド成分;ならびに、
3)プロトン酸触媒
の反応生成物を含むオリゴマー性組成物、またはこれらを一緒に反応させることによって得られるオリゴマー性組成物である。
【0011】
用語「グリオキサール」は、ジアルデヒド形態(すなわちOHC−CHO)および水和形態(例えば、(HO)2HC−CHO)の両方を意味するものと理解される。
【0012】
用語「グリオキサレート」は、グリオキサル酸、またはグリオキサル酸のアルカリ塩(例えば、OHC−COONaまたはOHC−COOK)、あるいはそれらの混合物を意味するものと理解される。用語「グリオキサレート」も、遊離アルデヒド形態(すなわち、OHC−COOH)および水和形態(例えば、(HO)2HC−COOHまたは(HO)2HC−COONa)の両方を意味するものと理解される。
【0013】
明瞭化のため、表現「オリゴマー性組成物」または同様の表現は、当業者によって理解される通常の意味、すなわち、反応生成物としてのオリゴマーと他の任意の構成要素との混合物、を意味する。本発明の最も簡素な実施形態において、当該任意の実施形態は、非限定的な例として、水および/またはプロセスの未反応試薬(例えば、酸触媒)であり得る。「オリゴマー」は、それ自体、樹脂のようなマクロポリマーではなく、モノマー性成分に由来する約4〜100個、さらに好ましくは30個のユニットを含む小さいサイズの分子である化合物を意味する。
【0014】
本発明の特定の実施形態により、本発明のオリゴマーは、約200g/mol〜2500g/molの分子量(MW)を有する。本発明のさらなる別の局面において、当該MWは、約220g/mol〜1200g/molである。
【0015】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、ポリアミン成分として、メラミンと、2つのNH2官能基を有する少なくとも1種のC1〜4化合物との混合物が使用される。本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該化合物は、2つのNH2官能基を有するC1〜2化合物である。明瞭化のため、表現「2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物」または同様の表現は、2つのNH2官能基を有するC1〜4炭化水素化合物を意味し、さらに、当該化合物は、任意に、1〜3個の窒素原子および/または酸素原子を有していてもよい。特に、当該化合物は、2つのNH2官能基と、カルボニルまたは1,2,4−トリアゾール官能基とを有するC1〜2化合物である。当該2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物(ジアミノ化合物)の非限定的な例は、尿素、1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン、およびそれらの混合物であり得る。
【0016】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、メラミン/ジアミノ化合物のモル比が約4/1〜1/4、さらには約3.5/1〜1/3.5、または約2/1〜1/3、または約1.3/1〜1/3である混合物を使用することができる。当該ジアミノ化合物が1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミンの場合、約1.5/1〜1/1.5のメラミン/1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミンのモル比も言及することができる。
【0017】
明瞭化のため、表現「C4〜62,2−ジアルコキシエタナール」は、合計で4〜6個の炭素原子を有する2,2−ジアルコキシエタナールを意味する。本発明の実施形態により、当該C4〜62,2−ジアルコキシエタナールは、2,2−ジメトキシ−エタナール、2,2−ジエトキシ−エタナール、およびそれらの混合物であり得る。
【0018】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該アルデヒド成分は、約3/1〜7/1、さらには約2.2/1〜6.5/1、さらには約1.4/1〜6.5/1、のグリオキサール/2,2−ジアルコキシ−エタナールのモル比を有する。ジアミノ化合物が尿素の場合、当該グリオキサール/2,2−ジアルコキシ−エタナールは、有利には、約3/1〜6.1/1であり得ることも言及することができる。ジアミノ化合物が1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミンの場合、当該グリオキサール/2,2−ジアルコキシエタナールは、有利には、約1.4/1〜2.2/1であり得ることも言及することができる。
【0019】
アルデヒド成分は、(任意の構成要素として)グリオキサレートも含み得る。本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該グリオキサレートは、存在する場合、グリオキサール/グリオキサレートのモル比が約4/1〜1/1、さらには約3.5/1〜2/1、であるような量において存在する。本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該グリオキサレートは、特にジアミノ化合物が1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミンである場合、上記において言及された比率において言明されるような量以内において存在する。
【0020】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該ポリアミン成分およびアルデヒド成分は、総アミン官能基/総遊離アルデヒド官能基のモル比((NH2tot/(CHO)totとも呼ばれる)が、約2/1〜1/2、さらには約1.5/1〜1/1.5、あるいは約1.2/1〜1/1.2であるような比において混和される。明確化のため、メラミンは、3つのアミン官能基を有しており、ジアミノ化合物、例えば尿素、は2つ有する。同様に、グリオキサールは2つの遊離アルデヒド官能基を有しており、C4〜62,2−ジアルコキシ−エタナールまたはグリオキサレートは、1つの遊離アルデヒド官能基を有する。
【0021】
当業者が理解しかつ知っているように、当該プロトン酸は、オリゴマー化の触媒または開始剤であり、したがって、当該プロトン酸は、他の構成要素とも反応し得、少なくとも部分的に、形成されるオリゴマーの一部となる。本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該プロトン酸触媒は、鉱酸、C1〜6モノカルボン酸もしくはジカルボン酸、およびそれらの混合物の中から選択される。そのような酸の非限定的な例は、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、またはグリオキシル酸である。より具体的には、当該酸触媒は、ギ酸、酢酸、グリオキシル酸、および硝酸、ならびにそれらの混合物の中から選択される。
【0022】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、オリゴマー性組成物は、水中での様々な構成要素の反応によって得られ、ならびに、当該オリゴマー性組成物は、すべての試薬が一緒に混合される一段階プロセスによって、または続いて試薬が一緒に反応する多段階プロセスによって得られる。
【0023】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該オリゴマーは、すべての様々な構成要素が水中において一緒に反応するプロセスによって得られ、ならびに、最終反応媒体のpHは、好ましくは、6〜8である。
【0024】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該オリゴマーは、2段階プロセスによって得られる。第一工程において、ポリアミン成分が、塩基性pHにおいて、水性媒体中でアルデヒド成分と反応する。次いで、第二工程において、酸性pHにおいて作用するように、当該反応媒体に酸触媒を加える。
【0025】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該第一工程のpHは、約7〜10、さらには約8.5〜9.5であり得る。本発明のさらに別の局面において、当該第一工程の反応温度は、約20℃〜80℃、さらには約40℃〜80℃であり得る。
【0026】
本発明のさらに別の局面において、当該第一工程は、約0.1時間〜約4時間(反応時間)において実施され得る。しかしながら、より具体的には、当該第一工程の反応時間は、反応温度およびそのpHに応じて変わり、例えば、約40℃〜約80℃の温度および約8〜約10のpHの場合、約1時間〜約4時間であり得る。あるいは、当該反応時間は、例えば、約50℃〜約80℃の温度および約7〜約9.5のpHの場合、約0.5時間〜約2時間であり得る。
【0027】
当該第一工程のpHは、典型的には、反応媒体に適切な量の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを加えることによって調整することができる。
【0028】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該酸触媒は、第一工程の反応混合物を酸性化するのに十分な量で、当該反応混合物に加えられる。当該第二工程のpHは、約4.0〜6、さらには約4.5〜5.5であり得る。本発明のさらに別の局面において、当該第一工程の反応温度は、約40℃〜100℃、さらには約50℃〜90℃であり得る。
【0029】
本発明のさらに別の局面において、当該第二工程は、約0.5時間〜約4時間(反応時間)において実施され得る。しかしながら、より具体的には、当該第一工程の反応時間は、反応温度およびそのpHに応じて変わり、例えば、約50℃〜約80℃の温度および約4.5〜約5.5のpHの場合、約1時間〜約2.5時間であり得る。あるいは、当該反応時間は、例えば、約50℃〜約80℃の温度および約4.5〜約5.5のpHの場合、約0.5時間〜約4時間であり得る。
【0030】
理解されるように、そのようなプロセスの結果として、本発明のオリゴマー性組成物を含む水溶液が得られる。通常、当該水溶液は、約30%〜70%のオリゴマー性組成物(固体含有量)を含んでおり、この場合、百分率は、当該溶液の総質量に対してw/wベースで表される。
【0031】
当該水溶液は、下記において詳細に説明されるように、マイクロカプセルの製造プロセスに直接使用することができ、あるいは、乾燥させてオリゴマー性組成物を得ることもできる。
【0032】
本発明のオリゴマー性組成物は、とりわけ、グリオキサールの製造、特に、グリオキサールおよびC4〜6ジアルコキシエタナールの特定の混合物の製造、における使用により先行技術のオリゴマーと異なっている。理論に束縛されるものではないが、当該アルデヒド成分の特定使用が、遊離アルデヒドまたは遊離OH基を有するオリゴマーを提供すると考えられる(例えば、アルデヒドとして2,2−ジアルコキシ−エタナールのみを使用する場合には得られない)。当該遊離OH基は、マイクロカプセルシェルの形成の際に、より良好な架橋を可能にし、ひいては、下記において詳細に示されるように、そのようなオリゴマーを使用することによって得られるコア−シェルマイクロカプセルにおける安定性および性能の向上を可能にすることが予想される。
【0033】
したがって、本発明の第二の目的は、当該オリゴマー性組成物を使用して上記マイクロカプセルを得る方法である。換言すれば、コア−シェルマイクロカプセルの製造方法であって、以下の工程:
1)水中油分散体であって、その液滴サイズが1〜600μmであり、かつ上記において定義されたような少なくともオリゴマー性組成物を含む前記分散体を製造する工程;
2)任意に、2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物を当該分散体に加える工程;
3)当該分散体を加熱する工程;
4)当該分散体を冷却する工程;および
5)任意に、最終的な分散体を乾燥させて、乾燥コア−シェルマイクロカプセルを得る工程
を含む方法である。
【0034】
明瞭化のため、表現「コア−シェルマイクロカプセル」または同様の表現は、本発明において、当該カプセルが、ミクロン範囲(例えば、約1〜600μmの平均径)のサイズを有し、かつオリゴマーベースの外側固体シェルもしくは壁と、当該外側シェルに封入された内側連続油相とを含むことを意味する。換言すれば、コアセルベートまたは押出物(すなわち、液体の滴を含有する多孔性固相)のような本体は、本発明の一部ではない。本発明の実施形態により、当該マイクロカプセルのサイズ、および結果としての工程1)における液滴サイズは、約5〜200μmである。
【0035】
工程1)における分散体は、少なくとも本発明のオリゴマー性組成物、ならびに油を含む。当該分散体は、当技術分野において周知であるように、任意の成分として、少なくともポリオールおよび/または少なくとも安定化剤も含んでいてもよい。
【0036】
明瞭化のため、表現「分散体」は、本発明において、異なる組成物の連続相中に粒子が分散されている系を意味し、具体的には、懸濁液またはエマルションが挙げられる。
【0037】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、分散体は、約1%〜10%のオリゴマー性組成物を含み、この場合、百分率は、当該分散体の総質量に対してw/wベースで表される。本発明のさらなる別の局面において、分散体は、約1%〜5%のオリゴマー性組成物を含む。概して、分散体中に存在するオリゴマー性組成物の量は、当該分散体に添加される油の総質量に対してw/wベースで表される、5%〜15%のオリゴマー性組成物として定義することもできる。
【0038】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、分散体は、約10%〜50%の油を含み、この場合、百分率は、分散体の総質量に対してw/wベースで表される。本発明のさらに別の局面において、当該分散体は、約20%〜40%の油を含む。
【0039】
ここで、「油」は、約20℃で液体であってコア−シェルカプセルのコア内に存在するであろう有機相を意味している。本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該油は、香料、殺虫剤、消臭物質、殺菌剤、防虫剤、およびそれらの混合物の中から選択することができる。
【0040】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該油は香料である。当該香料は、純粋な賦香成分の形態、または賦香組成物の形態であり得る。
【0041】
「賦香組成物」は、ここにおいて、当技術分野における通常の意味、すなわち、いくつかの賦香成分と、任意に少なくとも1種の好適な溶媒および/または少なくとも1種の香料補助剤とを含む組成物、を意味する。
【0042】
「賦香成分」または「賦香補助成分」は、ここにおいて、快楽効果を付与するために賦香製造物または組成物において使用される化合物を意味する。換言すれば、賦香成分と見なされるそのような補助成分は、単に匂いを有しているものとしてではなく、肯定的なまたは好ましい方法において、組成物に匂いを付与するまたは組成物の匂いを変更することができるものとして、当業者に理解されるべきである。
【0043】
ここでは、基材中に存在する賦香補助成分の性質およびタイプについてのより詳細な説明は請け負わず、それは、いずれにしても包括的ではないであろうし、当業者は、自身の一般的知識に基づいて、ならびに意図される使用法もしくは用途および所望の感覚刺激性効果により、それらを選択することができる。一般的用語において、これら賦香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素含有もしくは硫黄含有複素環式化合物、およびエッセンシャルオイルなど変化に富む化学物質のクラスに属し、ならびに当該賦香補助成分は、天然または合成由来であってもよい。このような補助成分の多くは、いずれにしても、S.Arctander,Perfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USA、もしくはその最新版、または同様の種類の他の文献、ならびに香料分野における豊富な特許文献などの参考文献本文に列挙されている。当該補助成分は、制御された方法において様々なタイプの賦香化合物を放出することが知られている化合物であり得ることも理解される。
【0044】
「好適な溶媒」は、ここにおいて、特に香料の観点から中性である、すなわち、賦香成分の官能的性質をほとんど変えず、かつ一般的に水に対して混和性でない、すなわち、水に対して10%未満、さらには5%未満の溶解度を有する物質を意味する。例えば溶媒は、概して、香料において一般的に使用される溶媒、例えば、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール、またはエチルシトレート、リモネンまたは他のテルペン、イソパラフィン、例えば、Isopar(登録商標)の商標において知られるもの(供給元:Exxon Chemical)、あるいはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、例えば、Dowanol(登録商標)の商標において知られるもの(供給元:Dow Chemical Company)、である。
【0045】
「賦香補助剤」は、ここでは、追加的に加えられる利点、例えば、色、特定の光に対する抵抗性、化学安定性、を付与することができる成分を意味する。賦香基材において一般的に使用される補助剤の性質およびタイプについての詳細な説明を、包括的に行うことはできないが、当該成分が当業者に周知であることは言及しておくべきである。
【0046】
本発明の実施形態により、分散体は、約0%〜5%の少なくとも安定化剤も含み、この場合、百分率は、当該分散体の総質量に対してw/wベースで表される。本発明のさらに別の局面において、当該分散体は、約0%〜2%の少なくとも安定化剤を含む。本発明のさらに別の局面において、当該分散体は、約0%〜0.5%の少なくとも安定化剤を含む。アルデヒド成分が、グリオキサレートも含み、かつ、特にジアミノ化合物が1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミンである場合、当該分散体は、0%の当該安定化剤を含む(すなわち、安定化剤の添加なし)。
【0047】
明瞭化のため、文脈における表現「安定化剤」または同様の表現は、当業者によって理解される通常の意味、すなわち、例えば適用中または製造中に、例えばマイクロカプセルの凝集または凝塊を防ぐために、系を安定化することができる化合物または安定化するために添加される化合物を意味する。当該安定化剤の使用は、当業者の標準的な知識である。
【0048】
本発明の目的のため、当該安定化剤は、イオン性または非イオン性の界面活性剤またはコロイド状安定化剤であり得る。そのような安定化剤の精確な性質は、当業者に周知である。非限定的な例として、以下の安定化剤:非イオン性ポリマー、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドとポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシドとのコポリマー、コポリマーアルキルアクリレートおよびN−ビニルピロリドン;イオン性ポリマー、例えば、アクリルアミドとアクリル酸とのコポリマー(例えば、CibaのAlcapsol(登録商標)144)、例えば、アクリル酸含有量が30〜70%である、アクリル酸およびアクリルアミドのモノマー混合物から製造された酸/アクリルアミドコポリマー、酸アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、スルホネート基を有するアクリルコポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、ならびにビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、が挙げられる。
【0049】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該安定化は、イオン性界面活性剤である。
【0050】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、分散体は、約0%〜10%の少なくともポリオール、さらには約0%〜2%の少なくともポリオールも含み、この場合、百分率は、分散体の総質量に対してw/wベースで表される。本発明のさらに別の局面において、ジアミノ化合物が尿素の場合、当該量は、約0.1%〜2%の少なくともポリオールであり得る。本発明のさらに別の局面において、ジアミノ化合物が1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミンの場合、当該量は、約0%〜1.5%または1%の少なくともポリオールであり得る。
【0051】
明瞭化のため、表現「ポリオール」または同様の表現は、当業者によって理解される通常の意味、すなわち、1つ以上のアルコール官能基を有し、概して、マイクロカプセルのシェルの網目構造化/硬化/被着を助けるために使用される化合物を意味する。当該ポリオールの使用は、当業者の標準的な知識である。
【0052】
上記ポリオールは、芳香族ポリオール、脂肪族ポリオール、およびポリマー性ポリオールから選択され得る。非限定的な例としては、芳香族ポリオール、例えば、3,5−ジヒドロキシトルエン、レゾルシノール、キシレノール、ビスフェノール、ポリヒドロキシナフタレン、セルロースの分解によって得られるポリフェノール;脂肪族ポリオール、例えば、フミン酸、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)−プロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、または糖誘導体など;ポリマー性ポリオール、例えば、セルロースまたはカルボキシメチルセルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースのアルカリ塩(例えば、特に、Ambergum(登録商標)1221(HERCULES AQUALON)のようなナトリウム塩)を列記することができる。
【0053】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、上記ポリオールは、脂肪族ポリマー性ポリオール、例えば、カルボキシメチルエーテルセルロース誘導体(例えば、特に、Ambergum(登録商標)1221など)、または塩素化糖、例えば、スクラロース、である。
【0054】
工程1)の分散体を形成するための典型的な方法は、当業者に公知であり、ならびに本明細書の下記において実施例においても説明する。
【0055】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、上記分散体のpHは、4〜8に設定される。本発明のさらに別の局面において、上記分散体のpHは、4.0〜7.0である。当該分散体は、水中に油を分散させるために最高24000rpmで撹拌され得る(機械的攪拌機ウルトラタラックスまたはマイクロウェーブによって)。
【0056】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、このようにして得られた分散体は、室温に維持され得る、または任意に、30℃〜70℃の温度に加熱され得る。本発明のさらに別の局面において、当該分散体の温度は、35℃〜60℃である。当該加熱工程は、約0.5時間〜6時間実施され得る。より具体的には、加熱工程の時間は、当該エマルションまたは分散体の温度およびpHに応じて変わり、例えば、温度が約35℃〜約60℃かつpHが約4.5〜約8の場合には、約1時間〜約2.5時間であり得る。
【0057】
本発明の方法により、上記において定義されたような2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物(ジアミノ化合物)を適量当該分散体に加えることも可能であり得る。当該工程は、マイクロカプセルシェルの硬質化を助けると考えられる。当該工程は、特に、NH2tot/CHOtot比が上記において指定された範囲の最小値に近いオリゴマーが使用される場合に魅力的であり得る。
【0058】
本発明の方法の上記実施形態のいずれか1つにより、上記工程2)が実施される(すなわち、任意選択ではない)。2つのNH2官能基を有する上記C1〜4化合物(ジアミノ化合物)は、尿素、1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン、およびそれらの混合物であり得る。
【0059】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、工程2)において、約5%〜100%、さらには約10%〜80%、あるいは約15%〜75%の量のジアミノ化合物が加えられるが、この場合、百分率は、樹脂の総質量に対するw/wで表される。当該加えられたジアミノ化合物の一部のみマイクロカプセルシェル中に組み入れられることは、当業者に明確に理解される。
【0060】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、工程3)において、分散体は60℃〜100℃に加熱される。本発明のさらに別の局面において、当該分散体の当該エマルションの温度は、70℃〜90℃である。当該熱処理は、約0.5時間〜6時間実施され得る。より具体的には、加熱工程の時間は、当該エマルションまたは分散体の温度およびpHに応じて変わり、例えば、温度が約70℃〜約80℃かつpHが約4.5〜約8の場合には、約1時間〜約5時間であり得る。
【0061】
本発明のプロセスの工程4)は、このようにして得られたコア−シェルマイクロカプセルのシェルの硬質化のプロセスを停止させることを意図しており、任意の公知の方法によって実施することができる。典型的には、分散体は、約10℃〜30℃、概して室温に冷却され得る。
【0062】
当該工程4)は、任意に、このようにして得られた分散体を、例えば、適切な量の塩基、例えば水酸化ナトリウム、を加えることによって6.5〜7.5のpHに中和する工程を含み得る。
【0063】
上記から理解されるように、そのようなプロセスの結果として、本発明のコア−シェルマイクロカプセルを含む水性分散体(またはスラリー)が得られる。通常、当該水性スラリーは、10%〜50%のカプセルを含み、この場合、百分率は、スラリーの総質量に対してw/wで表される。本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該水性スラリーは、20%〜50%のカプセルを含む。
【0064】
当該水性スラリーは、特に、水性ベースの用途、例えば、軟化剤または液体石鹸、に、賦香成分として直接使用することができる。したがって、本発明の別の目的は、本発明のマイクロカプセルを含む水性スラリー、例えば、マイクロカプセルの製造プロセスのために得られたそのままのスラリーである。当該スラリーはさらに、いくつかの配合助剤、例えば、安定化剤、粘度調整剤、あるいはさらに殺生物剤または殺菌剤、を含み得る。
【0065】
あるいは、上記において説明したプロセスによって得られるスラリーは、そのようなものとしての、すなわち粉末状形態のマイクロカプセルを提供するために、噴霧乾燥などの乾燥処理を施してもよい。そのような乾燥処理を実施するための、当業者に公知の任意の標準的な方法も適用可能であると理解される。
【0066】
上記において言明された理由から、本発明の別の目的は、上記において説明したプロセスによって得られる組成物または得ることが可能な組成物である。当該組成物は、乾燥状態においてまたは水懸濁液として、コア−シェルマイクロカプセルを含むことは当業者に理解される。
【0067】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該コア−シェルマイクロカプセルは、本発明のプロセスにおいて水中油分散体を使用することによって得られるものであり、この場合、当該油は香油であり、当該分散体は、
− 少なくとも、上記において定義されたようなオリゴマー性組成物;
− 少なくとも、上記において定義されたような安定化剤;
− 少なくとも、上記において定義されたようなポリオール;および
− 少なくとも、上記において定義されたような2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物を加える工程(本発明のプロセスの工程2)
を含む。
【0068】
当該コア−シェルマイクロカプセルの上記実施形態のいずれか1つにより、油コアの量は、典型的には、マイクロカプセルの総質量(すなわち、分散体の質量から水の質量を引いたもの)の40%〜98%を占める。本発明のさらに別の局面において、当該油コアは、マイクロカプセルの総質量の70%〜95%、さらには80%〜90%を占める。
【0069】
当該コア−シェルマイクロカプセルの上記実施形態のいずれか1つにより、当該シェルの量は、典型的には、カプセルの総質量の2%〜60%を占める。本発明のさらに別の局面において、当該オリゴマーベースのシェルは、マイクロカプセルの総質量の5%〜30%、さらには10%〜20%を占める。
【0070】
当該コア−シェルマイクロカプセルの上記実施形態のいずれか1つにより、安定化剤の量は、5%〜15%であり、この場合、百分率は、シェルの総質量(すなわち、乾燥形態におけるマイクロカプセルの固体含有量)に基づいてw/wで表される。本発明のさらに別の局面において、安定化剤の量は、7%〜13%であり、この場合、百分率は、シェルの総質量に対してw/wベースで表される。
【0071】
当該コア−シェルマイクロカプセルの上記実施形態のいずれか1つにより、ポリオールの量は、1%〜5%であり、この場合、百分率は、シェルの総質量に対してw/wベースで表される。本発明のさらに別の局面において、ポリオールの量は、1.5%〜3%であり、この場合、百分率は、シェルの総質量に対してw/wベースで表される。
【0072】
当該コア−シェルマイクロカプセルの上記実施形態のいずれか1つにより、2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物の量は、2%〜30%である。この場合、百分率は、シェルの総質量に対してw/wベースで表される。本発明のさらに別の局面において、2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物の量は、5%〜20%である。この場合、百分率は、シェルの総質量に対してw/wベースで表される。
【0073】
当該コア−シェルマイクロカプセルの上記実施形態のいずれか1つにより、オリゴマー性組成物の量は(当業者にとって明かであるように、乾燥形態において)、50%〜95%である。この場合、百分率は、シェルの総質量に対してw/wベースで表される。本発明のさらに別の局面において、オリゴマーの量は、65%〜90%である。この場合、百分率は、シェルの総質量に対してw/wベースで表される。
【0074】
本発明の上記実施形態のいずれか1つにより、当該コア−シェルマイクロカプセルは、油が香油であり、かつ
− 少なくとも、上記において定義されたような、グリオキサレートを含むオリゴマー性組成物;
− 任意に、少なくとも、上記において定義されたようなポリオール;
を含む水中油分散体を、少なくとも、上記において定義されたような2つのNH2官能基を有するC1〜4化合物もプロセスの間に加えられる(本発明のプロセスの工程2)本発明のプロセス、すなわちグリオキサレートを含みかつ安定化剤を含まないマイクロカプセルカプセルを提供するプロセス、において使用することによって得られるものである。
【0075】
上記において言及されたように、本発明は、賦香成分としての本発明のマイクロカプセルの使用に関する。換言すれば、本発明は、賦香組成物または賦香された物品の香気性を付与、増強、改善、変更する方法であって、当該組成物または物品に、少なくとも、有効量の本発明のマイクロカプセルを添加する工程を含む、方法に関する。「本発明のマイクロカプセルの使用」は、ここでは、本発明のマイクロカプセルを含有する任意の組成物であって、香料産業において有利に用いることのできる組成物の使用であるとも理解されるべきである。
【0076】
実際に賦香成分として有利に使用可能な当該組成物も、本発明の目的である。
【0077】
したがって、本発明の別の目的は、
i)賦香成分として、上記において定義されたような、少なくとも1種の本発明のマイクロカプセル、または当該本発明のマイクロカプセルを含有するスラリー;
ii)液体香料キャリアまたは香料基材からなる群より選択される少なくとも1種の成分;および
iii)任意に少なくとも1種の賦香補助剤
を含む賦香組成物である。
【0078】
「液体香料キャリア」とは、ここでは、特に、香料の観点から中性である液体材料、すなわち、賦香成分の官能的特性をほとんど変えない液体材料、を意味する。
【0079】
液体香料キャリアとしては、非限定的な例として、乳化系、すなわち、溶媒および界面活性剤の系、あるいは香料において一般的に使用される溶媒を列記することができる。香料において一般的に使用される溶媒の性質およびタイプについて、包括的に詳述することはできない。しかしながら、非限定的な例として、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール、またはエチルシトレートなどの溶媒を列記することができ、これらが最も一般的に使用されている。香料キャリアおよび香料基材の両方を含む組成物の場合、前述において指定されたもの以外の好適な香料キャリアは、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン、イソパラフィン、例えば、Isopar(登録商標)(供給元:Exxon Chemical)の商標において知られるもの、あるいはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、例えば、Dowanol(登録商標)(供給元:Dow Chemical Company)の商標において知られるもの、でもあり得る。
【0080】
「香料基材」とは、ここでは、上記において定義されたような、少なくとも1種の賦香補助成分を含む組成物を意味する。表現「香料補助剤」は、上記において定義された通りである。
【0081】
少なくとも1種の本発明のマイクロカプセルと少なくとも1種の香料キャリアとからなる本発明の組成物は、本発明の特定の実施形態、ならびに、少なくとも1種の本発明のマイクロカプセル、少なくとも1種の香料キャリア、少なくとも1種の香料基材、および任意に少なくとも1種の香料補助剤を含む賦香組成物を表す。
【0082】
ここで、上記において言及された組成物において、2種以上の本発明のマイクロカプセルを有する可能性が重要であると言及することは有用であり、なぜなら、それは、調香師が、本発明の様々な化合物の香気の調性を有する調和物、香料を調製することを可能にし、したがって彼らの仕事のための新規のツールを創出するからである。
【0083】
さらに、本発明のコア−シェルマイクロカプセルは、本発明のマイクロカプセルが添加される消費者製品の匂いを好ましい方向に付与または変更するために、近代香料、すなわちファイン香料および機能性香料、のすべての分野において有利に使用することもできる。その結果、
i)賦香成分として、上記において定義されたような、少なくとも1種の本発明のマイクロカプセル;および
ii)香料基材;
を含む賦香消費者製品も、本発明の目的である。
【0084】
上記ファイン香料または機能性香料は、固体製品または液体製品であり得る。特定の実施形態により、液体製品が好ましい。
【0085】
明瞭化のため、「賦香消費者製品」は、少なくとも賦香効果を付与することが予想される消費者製品を意味し、換言すれば、それは着香された消費者製品であると言及すべきである。明瞭化のため、「香料基材」は、ここでは、賦香成分に対して適合性を有しかつそれが適用される表面(例えば、皮膚、髪、布地、または家の表面)に好ましい匂いを付与することが予想される消費者製品を意味すると言及すべきである。換言すれば、本発明による賦香消費者製品は、機能性配合物と、任意に所望の消費者製品、例えば、洗剤または空気清浄剤、に対応する追加的な有益剤と、嗅覚的有効量の少なくとも1種の本発明の化合物とを含む。
【0086】
ファイン香料基材または機能性香料基材の成分の性質およびタイプについてのより詳細な説明はここでは請け負わず、いずれにしてもそのような説明は包括的ではないであろうし、当業者は、自分の一般的知識に基づいて、ならびに上記製品の性質および所望の効果により、それらを選択することができる。
【0087】
好適なファイン香料基材または機能性香料基材の非限定的な例は、香料、例えば、ファイン香料、オーデコロン、またはアフターシェーブローション;布地ケア製品、例えば、液体洗剤または固体洗剤、布地用柔軟剤、布地用リフレッシャー、アイロン用水、紙、漂白剤;ボディケア製品、例えば、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、毛染め剤、またはヘアスプレー)、化粧用製造物(例えば、バニシングクリーム、消臭剤、または制汗剤)、またはスキンケア製品(例えば、着香石鹸、シャワー用またはバス用ムース、オイル、またはジェル、あるいは衛生製品)、空気ケア製品、例えば、エアフレッシュナー、または「すぐに使用できる」粉末状エアフレッシュナー;あるいは、ホームケア製品、例えば、ワイプ、食器用洗剤、または硬質表面用洗剤、であり得る。
【0088】
本発明の実施形態により、ファイン香料基材または機能性香料基材は、布地ケア製品、ホームケア製品、またはヘアケア製品の形態、例えば、布地用柔軟剤、洗剤、またはシャンプー、である。
【0089】
上述の消費者製品基材のいくつかは、本発明の化合物に対して攻撃的な媒体を表している場合があり、そのため、例えば、カプセル化によって、あるいは、酵素、光、熱、またはpHの変化などの好適な外部刺激において本発明の成分を放出するのに好適な別の化学物質に化学的に結合させることによって、当該化合物を時期尚早の分解から保護する必要があり得る。
【0090】
本発明による化合物を様々な前述の物品または組成物に組み入れることができる割合は、広範な値に亘る。これらの値は、着香される物品の性質、および所望の官能効果、ならびに、賦香補助成分、溶媒、または当技術分野において一般的に使用される添加剤と本発明による化合物とが混合される場合の所定の基材中における補助成分の性質に依存する。
【0091】
例えば、賦香組成物の場合、典型的な濃度は、それらが組み入れられる組成物の質量に基づいて0.001質量%〜5質量%またはさらにそれ以上のオーダーの本発明の化合物である。着香された物品にこれらの化合物が混入される場合、上記の濃度より低い濃度、例えば、0.01質量%〜3質量%のオーダー、も使用することができ、この場合、百分率は、当該物品の質量に対してである。
【0092】
すべての図において、縦軸は、マイクロカプセルの製造プロセスによって得られた、当該マイクロカプセルを含有するスラリーの失われた質量を百分率で表している。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1a】マイクロカプセル1〜3(オリゴマー性組成物1)対比較マイクロカプセル1(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの50℃でのTGA分析。
図1b】マイクロカプセル4および5(オリゴマー性組成物)対比較マイクロカプセル1(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの50℃でのTGA分析。
図2a】マイクロカプセル6および7(オリゴマー性組成物3)対比較マイクロカプセル1(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの50℃でのTGA分析。
図2b】マイクロカプセル9(オリゴマー性組成物4)対比較マイクロカプセル1(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの50℃でのTGA分析。
図3a】マイクロカプセル10および11(オリゴマー性組成物5)対比較マイクロカプセル1(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの50℃でのTGA分析。
図3b】マイクロカプセル12〜14(オリゴマー性組成物6)対比較マイクロカプセル1(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの50℃でのTGA分析。
図4a】マイクロカプセル15および16(オリゴマー性組成物7)対比較マイクロカプセル1(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの50℃でのTGA分析。
図4b】マイクロカプセル17(オリゴマー性組成物6)対比較マイクロカプセル1(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの50℃でのTGA分析。
図5a】マイクロカプセル19(オリゴマー性組成物8)および20(オリゴマー性組成物9)対比較マイクロカプセル1(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの50℃でのTGA分析。
図5b】マイクロカプセル3(オリゴマー性組成物1)対比較マイクロカプセル1(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)および比較マイクロカプセル4(比較オリゴマー5)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの50℃でのTGA分析。
図6a】マイクロカプセル9(オリゴマー性組成物4)対比較マイクロカプセル1(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号、プロセスにおいて尿素の添加無し)および比較マイクロカプセル2および3(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号、プロセスにおいて尿素の添加有り)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの50℃でのTGA分析。
図6b】マイクロカプセル20(オリゴマー性組成物12)およびマイクロカプセル21(オリゴマー性組成物12)対比較マイクロカプセル5(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの280℃でのTGA分析。
図7a】マイクロカプセル21(オリゴマー性組成物12)およびマイクロカプセル22(オリゴマー性組成物12)対比較マイクロカプセル5(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの280℃でのTGA分析。
図7b】マイクロカプセル23(オリゴマー性組成物12)、マイクロカプセル24(オリゴマー性組成物12、70℃で製造)、およびマイクロカプセル24(オリゴマー性組成物12、80℃で製造)対比較マイクロカプセル5(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの280℃でのTGA分析。
図8a】マイクロカプセル23(オリゴマー性組成物12)、マイクロカプセル26(オリゴマー性組成物12)、マイクロカプセル27(オリゴマー性組成物12)、マイクロカプセル28(オリゴマー性組成物12)およびマイクロカプセル29(オリゴマー性組成物12)対比較マイクロカプセル5(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの280℃でのTGA分析。
図8b】マイクロカプセル29(オリゴマー性組成物12)、マイクロカプセル30(オリゴマー性組成物10)、マイクロカプセル31(オリゴマー性組成物11)およびマイクロカプセル32(オリゴマー性組成物6)対比較マイクロカプセル5(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの280℃でのTGA分析。
図9a】マイクロカプセル33(オリゴマー性組成物13)、マイクロカプセル34(オリゴマー性組成物13)、マイクロカプセル36(オリゴマー性組成物13)、およびマイクロカプセル35(オリゴマー性組成物13)対比較マイクロカプセル5(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの300℃でのTGA分析。
図9b】マイクロカプセル34(オリゴマー性組成物13)およびマイクロカプセル37(オリゴマー性組成物13)対比較マイクロカプセル5(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの300℃でのTGA分析。
図10a】マイクロカプセル36(オリゴマー性組成物13)、マイクロカプセル39(オリゴマー性組成物13)、およびマイクロカプセル40(オリゴマー性組成物13)対比較マイクロカプセル5(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの300℃でのTGA分析。
図10b】マイクロカプセル36(オリゴマー性組成物13)およびマイクロカプセル41(オリゴマー性組成物14)対比較マイクロカプセル5(比較オリゴマー3、先行技術の国際公開第2009/100553号)の、それぞれの製造によって得られたスラリーの300℃でのTGA分析。
【0094】
実施例
ここで、以下の実施例により本発明についてさらに詳細に説明するが、略名は、当技術分野において通常の意味を有し、温度は摂氏(℃)で示されている。
【0095】
TGA:樹脂の固体含有量は、微量天秤(精度:1μg)および内部容量35mlの精確なオーブンを備える熱重量分析計(Mettler−Toledo TGA/SDTA851e)により、20ml/分の一定の窒素流下において測定した。樹脂(10mg)を、40μlのアルミニウムパンに導入した。測定は25℃から開始し、5℃/分で100℃まで昇温し、100℃で1時間維持し、最後に10℃/分で200℃まで昇温した。固体含有量は、るつぼにおける試料の質量(平坦部)と初期の質量との比を取り決定した。
【0096】
カプセル性能は、同様の熱重量分析計により、50℃(図1a〜6a)、および280℃(図6b〜10b)もしくは300℃(図9a〜10b)において評価した。香料の蒸発は、時間の関数として測定した。マイクロカプセル分散体(10mg)を70μlのアルミナパンに導入した。50℃での測定は、25℃で開始し、5℃/分で50℃まで昇温し、50℃で4時間維持した。280℃での測定は、25℃で開始し、5℃/分で280℃まで昇温し、280℃で1時間5分維持した。300℃での測定は、25℃で開始し、5℃/分で300℃まで昇温し、300℃で1時間維持した。長期持続プロファイルを有する香油のより遅い蒸発が、より安定なカプセルに関連していた。
【0097】
TOF−MS:樹脂組成の分析は、バイナリソルベントマネージャ(またはポンプG1312b)および自動サンプリング装置(g1329a)で構成されたTOF−MS検出装置(>10000のTOF高分解能、マルチモードソースAPCI+ESIで構成されたAgilent 1200 HPLCシステムAgilent G1969A MS TOFシステム)を備えた液体クロマトグラフィによって実施した。このTOF検出装置は、3000g/molまでの分子量を有する生成物を分析することができる。分析は、カラムを用いずに室温で0.1質量%においてギ酸水溶液中で実施した。方法は標準:水は予備混合:酸は0.1%のギ酸(Biosolvc n°23244125 ULC/MSD ロット:550361)。HPLC:0.5ml/分、注入量:ウェルプレートサンプラーでの1μl(カラム無し)、サーモスタットの温度:60℃(+/−0.1℃)。各サンプル間、1回の空試験を実施した。
【0098】
MSD:マルチモードエレクトロスプレー(ESI)+APCI Pos LCMSD TOF高分解能3ppm精度。ソース:モードは正イオン、イオン化電圧は2000V、電圧の上限は2500V、コロナ電流は4μA、乾燥ガスはN2、325℃で5l/分、噴霧装置圧力は200℃で30psig。フラグメンター電圧:140〜320V。スキャン範囲:103〜3000、質量調節のためのオンライン標準。
【0099】
SEC:0.1質量%のギ酸および0.05Mの酢酸アンモニウム水溶液(移動相、pH=4.70)において、サイズ排除クロマトグラフィにより、樹脂の溶液(0.5質量%)を分析した。分析は、ThermoFinnigan SurveyorのLC−ポンプおよびAutosampler(20μLの注入量)を使用して、0.45ml/分の流量において、30℃で実施した。使用したカラムは、TOSOH BIOSCIENCEより提供された(TSKgel Super AW2500 ID:6.0mm、L:15.0cm、ポリビニル樹脂)。分子量は、ThermoFinnigan Surveyor UV/VIS検出装置とSpectraSystem RI−150屈折率検出装置(35℃)を使用して測定した。検出装置は、106〜1982g/molの標準物質ポリ(エチレングリコール)によって較正した。
【0100】
材料:2,2−ジメトキシエタナール(DME)、オキサルアルデヒド(グリオキサール、GY)、および2−オキソ酢酸(グリオキシル酸、AGY)は、それぞれ60%w/w、40%w/w、および50%w/wの水溶液として使用した。1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン、M)、尿素、および1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(グアナゾール、T、純度=88.6%)は、入手したまま使用した。Ambergum(登録商標)1221は、水中において2%w/wの溶液として使用した。Alcapsol 144は、20%w/wにおいて水に溶解させた。水酸化ナトリウム(NaOH)は、30%w/wにおいて水に溶解させた。硝酸は、水中において30%w/wの溶液として使用した。ギ酸(Aldrich、スイス)は、入手したまま使用した。
【0101】
実施例1
本発明によるオリゴマーの製造
オリゴマー性組成物1:
250mlの丸底フラスコにおいて、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン、28g、222mmol)、尿素(13.33g、222mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、38.5g、222mmol)、およびオキサルアルデヒド(グリオキサール(GY)、64.4g、444mmol)を、水(11g、611mmol)に溶解させた。0.51gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=8.89)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸(23.56g、112mmol)を加えてpHを4.52に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.04)。固体含有量=51質量%(TGAによって測定)。分子量(MW)=275〜601g/mol(SECによって測定)。
【0102】
第1表:様々な開始材料の比率
【表1】
【0103】
オリゴマー性組成物2:
25mlの丸底フラスコにおいて、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン、2.5g、19.9mmol)、尿素(3.6g、59.5mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、6.2g、35.7mmol)、およびオキサルアルデヒド(GY、10.4g、71.7mmol)を、水(5g、277.8mmol)に溶解させた。0.57gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.31)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸を加えてpHを4.60に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.73)。固体含有量=49.2質量%(TGAによって測定)。MW=320〜600g/mol(SECによって測定)。
【0104】
第2表:様々な開始材料の比率
【表2】
【0105】
オリゴマー性組成物3:
25mlの丸底フラスコにおいて、メラミン(5.0g、39.7mmol)、尿素(0.8g、13.1mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、5.1g、29.1mmol)、およびオキサルアルデヒド(GY、8.4g、58.1mmol)を、水(5g、277.8mmol)に溶解させた。0.39gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.02)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸を加えてpHを4.40に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.72)。固体含有量は50.5質量%である(TGAによって測定)。MW=305〜586g/mol(SECによって測定)。
【0106】
第3表:様々な開始材料の比率
【表3】
【0107】
オリゴマー性組成物4:
25mlの丸底フラスコにおいて、メラミン(6.0g、47.6mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、4.95g、28.5mmol)、およびオキサルアルデヒド(GY、8.3g、57.0mmol)を、水(5g、277.8mmol)に溶解させた。0.39gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.02)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸を加えてpHを4.40に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.72)。固体含有量は43.5質量%である(TGAによって測定)。MW=305〜585g/mol(SECによって測定)。
【0108】
第4表:様々な開始材料の比率
【表4】
【0109】
オリゴマー性組成物5:
250mlの丸底フラスコにおいて、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン、28g、222mmol)、尿素(13.33g、222mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、38.5g、222mmol)、およびオキサルアルデヒド(グリオキサール(GY)、64.4g、444mmol)を、水(11g、611mmol)に溶解させた。2.03gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=8.89)。当該混合物を60℃で10分間加熱して、白色懸濁液を得、これは、ますます粘性となった(pH=7.15)。次いで、硝酸(19g、90mmol)を加えてpHを4.49に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.75)。固体含有量は52.3質量%である(TGAによって測定)。MW=320〜601g/mol(SECによって測定)。
【0110】
第5表:様々な開始材料の比率
【表5】
【0111】
オリゴマー性組成物6:
250mlの丸底フラスコにおいて、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン、9.3g、74mmol)、尿素(13.33g、222mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、12.8g、74mmol)、およびオキサルアルデヒド(グリオキサール(GY)、42.9g、296mmol)を、水(11g、611mmol)に溶解させた。1.3gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.03)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸(19.0g、90mmol)を加えてpHを4.48に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.57)。固体含有量は49質量%である(TGAによって測定)。MW=320〜601g/mol(SECによって測定)。
【0112】
第6表:様々な開始材料の比率
【表6】
【0113】
オリゴマー性組成物7:
250mlの丸底フラスコにおいて、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン、12.6g、100mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、5.8g、33.3mmol)、およびオキサルアルデヒド(グリオキサール(GY)、19.4g、133.3mmol)を、水(11g、611mmol)に溶解させた。1.16gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.01)。当該混合物を60℃で5分間加熱して、白色懸濁液を得、これは、ますます粘性となった。次いで、硝酸(18.6g、89mmol)を加えてpHを0.67に固定し、続いて、4.5gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えた(pH=4.43)。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.10)。固体含有量は41.4質量%である(TGAによって測定)。MW=334〜615g/mol(SECによって測定)。
【0114】
第7表:様々な開始材料の比率
【表7】
【0115】
オリゴマー性組成物8:
100mlの丸底フラスコにおいて、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン、3.0g、23.8mmol)、尿素(4.3g、71.5mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、2.9g、16.5mmol)、およびオキサルアルデヒド(グリオキサール(GY)、14.4g、99mmol)を、水(5g)に溶解させた。0.8gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.45)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸(1.2g、5.7mmol)を加えてpHを4.67に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.64)。固体含有量=46.7質量%(TGAによって測定)。MW=305〜601g/mol(SECによって測定)。
【0116】
第8表:様々な開始材料の比率
【表8】
【0117】
オリゴマー性組成物9:
100mlの丸底フラスコにおいて、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン、3.0g、23.8mmol)、尿素(4.3g、71.5mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、1.8g、10.2mmol)、およびオキサルアルデヒド(グリオキサール(GY)、14.8g、102mmol)を、水(4.5g)に溶解させた。1.1gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.46)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸(2.7g)を加えてpHを4.49に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.75)。固体含有量=45.8質量%(TGAによって測定)。MW=305〜601g/mol(SECによって測定)。
【0118】
第9表:様々な開始材料の比率
【表9】
【0119】
オリゴマー性組成物10:
250mlの丸底フラスコにおいて、メラミン(0.93g、8.80mmol)、尿素(0.87g、14.00mmol)、DME(0.63g、6.00mmol)、およびGY(1.40g、24.20mmol)を、水(10.00g、556.00mmol)に溶解させた。0.28gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.40)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸(0.92g、4.30mmol)を加えてpHを4.60に固定した。当該樹脂は、カプセルを製造するために、すぐに使用することができる。
【0120】
第10表:様々な開始材料の比率
【表10】
【0121】
オリゴマー性組成物11:
250mlの丸底フラスコにおいて、メラミン(0.93g、8.80mmol)、尿素(1.09g、17.60mmol)、DME(0.71g、6.80mmol)、およびGY(1.58g、27.30mmol)を、水(10.00g、556.00mmol)に溶解させた。0.34gの水酸化ナトリウムによりpHを調節した(pH=9.45)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸(0.91g、4.30mmol)を加えてpHを4.61に固定した。当該樹脂は、カプセルを製造するために、すぐに使用することができる。
【0122】
第11表:様々な開始材料の比率
【表11】
【0123】
オリゴマー性組成物12:
250mlの丸底フラスコにおいて、メラミン(4.67g、44.00mmol)、尿素(6.69g、108.00mmol)、DME(4.02g、39mmol)、およびGY(8.97g、155mmol)を、水(5.50g、306.00mmol)に溶解させた。2.23gの水酸化ナトリウムによりpHを調節した(pH=9.67)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸(4.04g、19mmol)を加えてpHを4.62に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.65)。固体含有量は64質量%(TGAによって測定)である。
【0124】
第12表:様々な開始材料の比率
【表12】
【0125】
オリゴマー性組成物13:
50mlの丸底フラスコにおいて、メラミン(1.10g、8.78mmol)、DME(1.68g、9.69mmol)、AGY(0.72g、4.85mmol)、およびGY(2.11g、14.54mmol)を、水(1.90g、105.60mmol)に溶解させた。0.95gの水酸化ナトリウムによりpHを調節した(pH=9.10)。当該混合物を45℃で25分間加熱した。次いで、水(8.35g、463.90mmol)を加え、5分間撹拌した。前もって水(22.50mL)に溶解させたグアナゾール(0.98g、8.74mmol)を加えた。混合物は、カプセルを作製するために、すぐに使用した。
【0126】
第13表:様々な開始材料の比率
【表13】
【0127】
オリゴマー性組成物14:
50mlの丸底フラスコにおいて、メラミン(1.10g、8.78mmol)、DME(1.68g、9.69mmol)、AGY(0.72g、4.85mmol)、およびGY(2.11g、14.54mmol)を、水(1.90g、105.60mmol)に溶解させた。0.95gの水酸化ナトリウムによりpHを調節した(pH=9.10)。当該混合物を45℃で25分間加熱した。次いで、水(8.35g、463.90mmol)を加え、5分間撹拌した。水(32.50mL)に溶解させたグアナゾール(1.47g、13.08mmol)を加えた。混合物は、カプセルを作製するために、すぐに使用した。
【0128】
第14表:様々な開始材料の比率
【表14】
【0129】
実施例2
本発明の範囲外の比較オリゴマーの製造
比較オリゴマー1:
25mlの丸底フラスコにおいて、尿素(5.0g、83.0mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、5.8g、33.3mmol)、およびオキサルアルデヒド(GY、9.7g、66.6mmol)を、水(4g、222mmol)に溶解させた。0.39gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.02)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸を加えてpHを4.40に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.72)。固体含有量は48.2質量%である(TGAによって測定)。MW=334〜601g/mol(SECによって測定)。
【0130】
第1表:様々な開始材料の比率
【表15】
【0131】
比較オリゴマー2:
25mlの丸底フラスコにおいて、尿素(8.0g、133mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、5.1g、29.6mmol)、およびオキサルアルデヒド(グリオキサール(GY)、17.1g、118.4mmol)を、水(4g、222mmol)に溶解させた。5.33gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.05)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸を加えてpHを4.65に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.73)。固体含有量は質量%である(TGAによって測定)。MW=349〜630g/mol(SECによって測定)。
【0132】
第2表:様々な開始材料の比率
【表16】
【0133】
比較オリゴマー3:先行技術国際公開第2009/100553号により
250mlの丸底フラスコにおいて、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン、11.2g、89mmol)、および2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、30.8g、178mmol)を、水(3.7g、205mmol)に溶解させた。0.27gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.53)。当該混合物を60℃で2時間加熱して溶液を得た。次いで、ギ酸(1.02g、22mmol)を加えてpHを4.50に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.23)。MW=350g/mol(SECによって測定)。
【0134】
第3表:様々な開始材料の比率
【表17】
【0135】
比較オリゴマー4:
100mlの丸底フラスコにおいて、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン、2.8g、22.2mmol)、尿素(4.0g、66.6mmol)、およびオキサルアルデヒド(グリオキサール(GY)、14.5g、100mmol)を、水(4g、205mmol)に溶解させた。1.78gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.06)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸(0.55g、2.6mmol)を加えてpHを4.67に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.89)。MW=305〜601g/mol(SECによって測定)。
【0136】
第4表:様々な開始材料の比率
【表18】
【0137】
比較オリゴマー5:
100mlの丸底フラスコにおいて、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン、5.0g、39.7mmol)、尿素(2.4g、39.6mmol)、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(DME、22.9g、132mmol)、およびオキサルアルデヒド(グリオキサール(GY)、4.8g、33.1mmol)を、水(4g)に溶解させた。0.83gの30質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調節した(pH=9.24)。当該混合物を60℃で20分間加熱した。次いで、硝酸(1.91g、30.3mmol)を加えてpHを4.56に固定した。当該混合物を60℃で4時間加熱した。溶液を冷蔵庫に貯蔵した(pH=4.95)。固体含有量=47.9質量%(TGAによって測定)。分子量(MW)=320〜601g/mol(SECによって測定)。
【0138】
第5表:様々な開始材料の比率
【表19】
【0139】
実施例3
本発明によるコア−シェルマイクロカプセルの製造
マイクロカプセル1:
200mlの反応器において、ポリオール(Ambergum(登録商標)1221、15.0g、水中において2質量%)と、実施例1において得られたそのままのオリゴマー性組成物1(4.5g)との溶液を水(30.0g)に溶解させ、室温で30分間撹拌した(pH=4.55)。香油(20.0g、下記の表を参照のこと)を加え、当該反応混合物をウルトラタラックスにより24000rpmで2分間剪断した。コロイド状安定化剤の溶液を導入した(Alcapsol(登録商標)144、水中において20質量%、0.4g、pH=4.73)。当該反応混合物を、40℃で1時間加熱し、次いで、60℃で2時間、最後に75℃で3時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=4.79)、水酸化ナトリウムの溶液(水中において30質量%、0.24g、pH=6.37)により中和した。
【0140】
表:香油の組成
【表20】
【0141】
第1表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表21】
【0142】
マイクロカプセル2:
200mlの反応器において、Ambergum(登録商標)1221(15.0g、水中において2質量%)と、実施例1において得られたそのままのオリゴマー性組成物1(4.5g)との溶液を、水(30.0g)に溶解させ、室温で30分間撹拌した(pH=4.53)。香油(20.0g、第2表)を加え、当該反応混合物をウルトラタラックスにより24000rpmで2分間剪断した。コロイド状安定化剤の溶液を導入した(Alcapsol(登録商標)144、水中において20質量%、0.4g、pH=4.72)。当該反応混合物を、40℃で1時間加熱し、さらに60℃で1時間加熱した。尿素(50質量%、1.0g)の溶液を導入し、当該反応混合物を60℃で1時間攪拌した。最後に、混合物を75℃で3時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=4.87)、水酸化ナトリウムの溶液(水中において30質量%、0.23g、pH=6.75)により中和した。
【0143】
第2表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表22】
【0144】
マイクロカプセル3:
200mlの反応器において、Ambergum(登録商標)1221(30.0g、水中において2質量%)と、実施例1において得られたそのままのオリゴマー性組成物1(9.0g)との溶液を、水(60.0g)に溶解させ、室温で30分間撹拌した(pH=4.65)。香油(40.0g、第11表)を加え、当該反応混合物をウルトラタラックスにより24000rpmで2分間剪断した。コロイド状安定化剤の溶液を導入した(Alcapsol(登録商標)144、水中において20質量%、0.8g、pH=4.58)。当該反応混合物を、40℃で1時間加熱し、さらに60℃で1時間加熱した。尿素の溶液(水中において50質量%、4.0g)を60℃において導入し、当該反応混合物を1時間攪拌した。最後に、混合物を75℃で3時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=4.76)、水酸化ナトリウムの溶液(水中において30質量%、0.47g、pH=6.45)により中和した。
【0145】
第3表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表23】
【0146】
マイクロカプセル4:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物2を使用して、マイクロカプセル2において説明したのと同様に製造した。
【0147】
第4表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表24】
【0148】
マイクロカプセル5:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物2を使用して、マイクロカプセル3において説明したのと同様に製造した。
【0149】
第5表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表25】
【0150】
マイクロカプセル6:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物3を使用して、マイクロカプセル2において説明したのと同様に製造した。
【0151】
第6表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表26】
【0152】
マイクロカプセル7:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物3を使用して、マイクロカプセル3において説明したのと同様に製造した。
【0153】
第7表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表27】
【0154】
マイクロカプセル8:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物4を使用して、マイクロカプセル1において説明したのと同様に製造した。
【0155】
第8表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表28】
【0156】
マイクロカプセル9:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物4を使用して、マイクロカプセル3において説明したのと同様に製造した。
【0157】
第9表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表29】
【0158】
マイクロカプセル10:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物5を使用して、マイクロカプセル2において説明したのと同様に製造した。
【0159】
第10表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表30】
【0160】
マイクロカプセル11:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物5を使用して、マイクロカプセル3において説明したのと同様に製造した。
【0161】
第11表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表31】
【0162】
マイクロカプセル12:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物6を使用して、マイクロカプセル1において説明したのと同様に製造した。
【0163】
第12表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表32】
【0164】
マイクロカプセル13:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物6を使用して、マイクロカプセル2において説明したのと同様に製造した。
【0165】
第13表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表33】
【0166】
マイクロカプセル14:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物6を使用して、マイクロカプセル3において説明したのと同様に製造した。
【0167】
第14表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表34】
【0168】
マイクロカプセル15:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物7を使用して、マイクロカプセル2において説明したのと同様に製造した。
【0169】
第15表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表35】
【0170】
マイクロカプセル16:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物7を使用して、マイクロカプセル3において説明したのと同様に製造した。
【0171】
第16表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表36】
【0172】
マイクロカプセル17:
200mlの反応器において、Ambergum(登録商標)1221(15.0g、水中において2質量%)と、実施例1において得られたそのままのオリゴマー性組成物6(4.5g)との溶液を、水(30.0g)に溶解させ、室温で30分間撹拌した(pH=4.49)。香油(20.0g、第11表)を加え、当該反応混合物をウルトラタラックスにより24000rpmで2分間剪断した。コロイド状安定化剤の溶液を導入した(Alcapsol 144、水中において20質量%、0.4g、pH=4.52)。当該反応混合物を、40℃で1時間加熱し、さらに60℃で1時間加熱した。1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミンの溶液(水中において50質量%、2.0g、>98%、供給元:Alfa Aesar)を60℃において導入し、反応混合物を1時間撹拌した。最後に、混合物を75℃で3時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=5.02)、水酸化ナトリウムの溶液(水中において30質量%、0.28g、pH=7.06)により中和した。
【0173】
第17表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表37】
【0174】
マイクロカプセル18:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物8を使用して、マイクロカプセル3において説明したのと同様に製造した。
【0175】
第18表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表38】
【0176】
マイクロカプセル19:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物9を使用して、マイクロカプセル3において説明したのと同様に製造した。
【0177】
第19表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表39】
【0178】
マイクロカプセル20:
200mlの反応器において、ポリオール(Ambergum(登録商標)1221(15.0g、水中において2質量%))と、実施例1において得られたそのままのオリゴマー性組成物12(4.5g)との溶液を、水(30.0g)に溶解させ、室温で30分間撹拌した(pH=5.17)。香油(20.0g、第11表)を加え、当該反応混合物をウルトラタラックスにより24000rpmで2分間剪断した。コロイド状安定化剤の溶液を導入した(Alcapsol(登録商標)144、水中において20質量%、0.4g、pH=5.27)。当該反応混合物を、40℃で1時間加熱し、さらに60℃で1時間加熱した。尿素の溶液(水中において50質量%、2.0g)を60℃において導入し、反応混合物を1時間撹拌した。最後に、混合物を75℃で3時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=5.31)、水酸化ナトリウムの溶液(水中において30質量%、0.30g、pH=7.60)により中和した。
【0179】
第20表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表40】
【0180】
マイクロカプセル21:
当該マイクロカプセルは、6.28%のオリゴマー性組成物12により、マイクロカプセル20について説明したのと同様に製造した。
【0181】
第21表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表41】
【0182】
3.11%のオリゴマー性組成物12により製造したマイクロカプセル20に対して、マイクロカプセル21は、6.28%のオリゴマー性組成物12により製造した。高濃度の樹脂により、カプセル安定性が向上した。比較マイクロカプセル5と比べて、マイクロカプセル20および21の安定性は向上した(図6b)。
【0183】
マイクロカプセル22:
当該マイクロカプセルは、尿素の代わりにグアナゾールを用いて、マイクロカプセル21に対して説明したのと同様に製造した。
【0184】
第22表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表42】
【0185】
グアナゾールでコーティングしたマイクロカプセル22に対し、マイクロカプセル21は、尿素でコーティングした。グアナゾールにより、カプセル安定性が向上した。比較マイクロカプセル5と比べて、マイクロカプセル21および22の安定性は向上した(図7a)。
【0186】
マイクロカプセル23:
200mlの反応器において、ポリオール(Ambergum(登録商標)1221、30.0g、水中において2%)および1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(2g)および実施例1において得られたそのままのオリゴマー性組成物12(18.85g、水中において25%)の溶液を撹拌した(pH=5.42)。香油(20.0g)を加え、当該反応混合物をウルトラタラックスにより24000rpmで2分間剪断した。当該混合物を60℃で6時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=4.94)、水酸化ナトリウムの溶液(水中において30質量%、0.42g、pH=6.53)により中和した。
【0187】
第23表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表43】
【0188】
マイクロカプセル24:
当該マイクロカプセルは、70℃において、マイクロカプセル23に対して説明したのと同様に製造した。
【0189】
第24表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表44】
【0190】
マイクロカプセル25:
当該マイクロカプセルは、80℃において、マイクロカプセル23に対して説明したのと同様に製造した。
【0191】
第25表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表45】
【0192】
マイクロカプセル23は、60℃において6時間かけて製造し、マイクロカプセル24および25は、それぞれ70℃および80℃において6時間かけて製造した。重合温度が高いほど、安定したマイクロカプセルが得られた。比較マイクロカプセル5と比べ、マイクロカプセル23、24、および25の安定性は向上した(図7b)。
【0193】
マイクロカプセル26:
当該マイクロカプセルは、1.88%w/wのグアナゾールにより、マイクロカプセル23に対して説明したのと同様に製造した。
【0194】
第26表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表46】
【0195】
マイクロカプセル27:
当該マイクロカプセルは、1.26%w/wのグアナゾールにより、マイクロカプセル23に対して説明したのと同様に製造した。
【0196】
第27表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表47】
【0197】
マイクロカプセル28:
当該マイクロカプセルは、1.63%w/wのグアナゾールにより、マイクロカプセル23に対して説明したのと同様に製造した。
【0198】
第28表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表48】
【0199】
マイクロカプセル29:
当該マイクロカプセルは、1.76%w/wのグアナゾールにより、マイクロカプセル23に対して説明したのと同様に製造した。
【0200】
第29表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表49】
【0201】
それぞれ1.88%、1.26%、1.63%、および1.76%のグアナゾールでコーティングされたマイクロカプセル26、27、28、および29に対し、マイクロカプセル23は2.49%のグアナゾールでコーティングした。上記1.76%の濃度が最適である。比較マイクロカプセル5と比べて、マイクロカプセル23、26、27、28、および29の安定性は向上した(図8a)。
【0202】
マイクロカプセル30:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物10を使用して、マイクロカプセル29において説明したのと同様に製造した。
【0203】
第30表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表50】
【0204】
マイクロカプセル31:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物11を使用して、マイクロカプセル29において説明したのと同様に製造した。
【0205】
第31表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表51】
【0206】
マイクロカプセル32:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物6を使用して、マイクロカプセル29において説明したのと同様に製造した。
【0207】
第32表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表52】
【0208】
マイクロカプセル29は、オリゴマー性組成物12により製造し、マイクロカプセル30(1/1.6)、31(1/2)、および32(1/3)に対して、マイクロカプセル29は1/2.45のメラミン/尿素モル比を有する。4.5未満のモル比では、より安定なマイクロカプセルが得られた。比較マイクロカプセル5と比べて、マイクロカプセル29、30、31、および32の安定性は向上した(図8b)。
【0209】
マイクロカプセル33:
200mlの反応器において、水(6.50g)中におけるコロイド状安定化剤の溶液(Alcapsol(登録商標)144、水中において20%、3.5g、pH=5.75)を、実施例1から得られたそのままのオリゴマー性組成物13(40.29g)に溶解させた。香油(21.0g)を加え、当該反応混合物をウルトラタラックスにより20000rpmで2分間剪断した。ギ酸(0.18g)により、pHを5.43に調節した。反応混合物を300r.p.m.で撹拌し、45℃で1.5時間加熱し、次いで、60℃で1.5時間、最後に75℃で2時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=5.40)、水酸化ナトリウムの溶液(0.43g、pH=7.16)により中和した。
【0210】
第33表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表53】
【0211】
マイクロカプセル34:
200mlの反応器において、水(6.50g)中におけるコロイド状安定化剤の溶液(Alcapsol(登録商標)144、3.50g、pH=5.75)を、実施例1から得られたそのままのオリゴマー性組成物13(40.29g)に溶解させた。香油(21.00g)を加え、当該反応混合物をウルトラタラックスにより20000rpmで2分間剪断した。ギ酸(0.20g)により、pHを5.42に調節した。反応混合物を300r.p.m.で撹拌し、45℃で1時間加熱し、次いで、60℃で1時間、最後に80℃で3時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=5.45)、水酸化ナトリウムの溶液(0.23g、pH=6.82)により中和した。
【0212】
第34表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表54】
【0213】
マイクロカプセル35:
200mlの反応器において、水(6.50g)中におけるコロイド状安定化剤の溶液(Alcapsol(登録商標)144、3.5g、pH=5.75)を、実施例1から得られたそのままのオリゴマー性組成物13(40.29g)に溶解させた。香油(21.0g)を加え、当該反応混合物をウルトラタラックスにより20000rpmで2分間剪断した。ギ酸(0.17g)により、pHを5.42に調節した。反応混合物を300r.p.m.で撹拌し、55℃で3時間加熱し、次いで、75℃で2時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=5.58)、水酸化ナトリウムの溶液(水中において30%、0.61g、pH=6.94)により中和した。
【0214】
第35表:散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表55】
【0215】
45℃で1時間、60℃で1時間、および80℃で3時間かけて製造したマイクロカプセル34ならびに55℃で3時間および75℃で2時間かけて製造したマイクロカプセル35に対し、マイクロカプセル33は、オリゴマー性組成物13により45℃で1.5時間、60℃で1.5時間、および最後に75℃で2時間かけて製造した。比較マイクロカプセル5と比べて、マイクロカプセル33、34、および35の安定性は向上した(図9a)。
【0216】
マイクロカプセル36:
200mlの反応器において、実施例1において得られたそのままのオリゴマー性組成物13(40.29g)を、水(10.00g)で希釈し、香油(21.00g)を加えた。反応混合物をウルトラタラックスにより20000rpmで2分間剪断した。ギ酸(0.24g)により、pHを5.40に調節した。反応混合物を300r.p.m.で撹拌し、45℃で1時間、次いで、60℃で1時間、最後に75℃で3時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=5.50)、水酸化ナトリウムの溶液(水中において30%、0.2g、pH=6.67)により中和した。
【0217】
第36表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表56】
【0218】
マイクロカプセル37:
200mlの反応器において、水(3.00g)中におけるコロイド状安定化剤の溶液(Alcapsol(登録商標)144、7.00g、pH=5.75)を実施例1において得られたそのままのオリゴマー性組成物13(40.29g)に溶解させた。香油(21.00g)を加えた。反応混合物をウルトラタラックスにより20000rpmで2分間剪断した。ギ酸(0.25g)により、pHを5.40に調節した。反応混合物を300r.p.m.で撹拌し、45℃で1時間、次いで、60℃で1時間、最後に75℃で3時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=5.50)、水酸化ナトリウムの溶液(水中において30質量%、0.31g、pH=6.70)により中和した。
【0219】
第37表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表57】
【0220】
マイクロカプセル36は、ポリオールおよびコロイド状安定化剤の不在下においてオリゴマー性組成物13により製造したが、マイクロカプセル34および37は、それぞれ1%および2%のコロイド状安定化剤を含有する。マイクロカプセル34、36、および37の安定性は、比較マイクロカプセル5と比べて向上した(図9b)。
【0221】
マイクロカプセル38:
200mlの反応器において、実施例1において得られたそのままのオリゴマー性組成物13(40.29g)を、水(10.00g)で希釈し、香油(21.00g)を加えた。反応混合物をウルトラタラックスにより20000rpmで2分間剪断した。ギ酸(0.23g)により、pHを5.42に調節した。反応混合物を300r.p.m.で撹拌し、45℃で1時間30分、次いで、60℃で1時間30分、最後に75℃で2時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=5.54)、水酸化ナトリウムの溶液(水中において30%、0.23g、pH=6.92)により中和した。
【0222】
第38表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表58】
【0223】
マイクロカプセル39:
200mlの反応器において、ポリオール(Ambergum(登録商標)1221、0.69g)を、水(10.00g)に溶解させ、実施例1において得られたそのままのオリゴマー性組成物13(40.29g)に加えた。香油(21.00g)を加え、当該反応混合物をウルトラタラックスにより21000rpmで2分間剪断した。ギ酸(0.17g)により、pHを5.39に調節した。反応混合物を300r.p.m.で撹拌し、45℃で1時間、次いで、60℃で1時間、最後に75℃で3時間加熱した。得られたスラリーを冷却し(pH=5.39)、水酸化ナトリウムの溶液(水中において30%、0.18g、pH=6.68)により中和した。
【0224】
第39表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表59】
【0225】
マイクロカプセル40:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物13および、ポリオールとしてAmbergum(登録商標)1221の代わりにスクラロースを使用して、マイクロカプセル39に対して説明したのと同様に製造した。
【0226】
第40表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表60】
【0227】
マイクロカプセル36は、ポリオールの不在下において、オリゴマー性組成物13により製造した。マイクロカプセル39および40は、1%の2種の異なるポリオールを含有する。本発明のプロセスおよび製造物におけるポリオールの存在は、性能向上に不可欠ではない。マイクロカプセル36、39、および40の安定性は、比較マイクロカプセル5と比べて向上した(図10a)。
【0228】
マイクロカプセル41:
当該マイクロカプセルは、オリゴマー性組成物14を使用して、マイクロカプセル36に対して説明したのと同様に製造した。
【0229】
第41表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表61】
【0230】
マイクロカプセル36および41は、それぞれオリゴマー性組成物13および14により製造した。両方のマイクロカプセルは安定である。マイクロカプセル36および41の安定性は、比較マイクロカプセル5と比べて向上した(図10b)。
【0231】
実施例4
本発明の範囲外の比較マイクロカプセルの製造
以下の条件によってコア−シェルマイクロカプセルを得る試みでは、本明細書の下記表に報告される結果が得られた。
【0232】
第1表:比較オリゴマー性組成物によってマイクロカプセルを形成する試み
【表62】
【0233】
比較マイクロカプセル1:(先行技術のオリゴマー性組成物を使用して得られたマイクロカプセル)
当該マイクロカプセルは、比較オリゴマー3(先行技術の国際公開第2009/100553号による)を使用して、マイクロカプセル1に対して説明したのと同様に製造した。
【0234】
第2表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表63】
【0235】
図1a〜5aから、本発明によるそれぞれのオリゴマー性組成物から得られた本発明のコア−シェルマイクロカプセルすべての性能は、先行技術により得られたマイクロカプセルより優れていることは明白である。先行技術のカプセルは熱安定性を示さず(TGAにおいて平坦部がない)、シェル全体での油の漏出を示し、その一方で、すべての本発明のマイクロカプセルは、(ポリアミン成分の性質に関係なく、および/または、本発明のプロセスの工程2)が実施されるまたは実施されない(例えばマイクロカプセル1および12)という事実に関係なく、あるいはジアミノ化合物の性質(例えばマイクロカプセル17)に関係なく)熱安定性の著しい向上を示し(TGAにおける平坦部)、シェル全体での油の漏出を示さない。
【0236】
比較マイクロカプセル2:(先行技術のオリゴマー性組成物および本発明のプロセスを使用して得られたマイクロカプセル)
当該マイクロカプセルは、比較オリゴマー3(先行技術の国際公開第2009/100553号による)を使用して、マイクロカプセル2に対して説明したのと同様に製造した。
【0237】
第3表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表64】
【0238】
比較マイクロカプセル4:(先行技術のオリゴマー性組成物および本発明のプロセスを使用して得られたマイクロカプセル)
当該マイクロカプセルは、比較オリゴマー3(先行技術の国際公開第2009/100553号による)を使用して、マイクロカプセル3に対して説明したのと同様に製造した。
【0239】
第4表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表65】
【0240】
図6aから、本発明のプロセスは、本発明のオリゴマー性組成物のために特異的に設計されていることが明白である。実際に、本発明のプロセスを先行技術の教示に対して適用した場合、そのようにして得られたマイクロカプセル(比較マイクロカプセル2および3)の性能は、先行技術のマイクロカプセル(比較マイクロカプセル1)より著しく劣る。
【0241】
比較マイクロカプセル4:(先行技術のオリゴマー性組成物および本発明のプロセスを使用して得られたマイクロカプセル)
当該マイクロカプセルは、比較オリゴマー5を使用して、マイクロカプセル3に対して説明したのと同様に製造した。
【0242】
第5表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表66】
【0243】
図5bから、モル過剰のC4〜62,2−ジアルコキシ−エタナールを有するオリゴマー性組成物による実施は、グリオキサールの場合(比較マイクロカプセル4)と比べて、安定でないマイクロカプセルを提供するが、その一方で、本発明のオリゴマー性組成物による実施は、安定なマイクロカプセルを提供することが明白である。
【0244】
比較マイクロカプセル5:(先行技術のオリゴマー性組成物および本発明のプロセスを使用して得られたマイクロカプセル)
当該マイクロカプセルは、比較オリゴマー3(先行技術の国際公開第2009/100553号による)を使用して、マイクロカプセル40に対して説明したのと同様に製造した。
【0245】
第6表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表67】
【0246】
比較マイクロカプセル7:(先行技術のオリゴマー性組成物および本発明のプロセスを使用して得られたマイクロカプセル)
当該マイクロカプセルは、比較オリゴマー3(先行技術の国際公開第2009/100553号による)を使用して、マイクロカプセル27に対して説明したのと同様に製造した。
【0247】
第7表:分散体に段階的に導入された様々な構成要素のw/w百分率
【表68】
【0248】
実施例5
本発明のマイクロカプセルの応用における使用
・ ボディウォッシュへの応用
第1A表:ボディウォッシュ用配合
【表69】
【0249】
カプセルを、第1A表に記載されたボディウォッシュ用配合に導入して、0.2%w/wの香料濃度を得た。分散体を室温で24時間貯蔵した。当該ボディウォッシュ用配合(1ml)を水(4ml)に希釈し、次いで、内部標準として1,4−ジブロモベンゼンを含有するイソオクタン(5ml)で抽出した。次いで、有機溶液をGCにより分析して、香料の漏出を測定する。マイクロカプセルの油漏出に関する結果を第1B表に報告する。
【0250】
第1B表:ボディウォッシュ応用における漏出
【表70】
*室温において純粋な基材中での24時間後
【0251】
第1B表から分かるように、CH2O−不含の先行技術のマイクロカプセルと比べた場合、本発明のすべてのマイクロカプセルは、貯蔵における油漏出に対してより安定である。
【0252】
・ 液体洗剤応用
カプセルを、0.2%w/wの香料濃度において液体洗剤(第2A表の組成物)に導入した。洗剤を室温で24時間貯蔵した。液体洗剤の分取(1ml)を水(4ml)に希釈し、次いで、内部標準(150mg/l)として1,4−ジブロモベンゼンを含有するイソオクタン(5ml)で抽出した。次いで、有機溶液をGCにより分析して、香料の漏出を測定した。マイクロカプセルの油漏出に関する結果を第2B表に報告する。
【0253】
第2A表:液体洗剤配合
【表71】
【0254】
第2B表:液体洗剤応用における漏出
【表72】
*室温において純粋な基材中での24時間後
【0255】
第2B表から分かるように、CH2O−不含の先行技術のマイクロカプセルと比べた場合、本発明のすべてのマイクロカプセルは、貯蔵における油漏出に対してより安定である。
【0256】
・ 柔軟剤への応用
マイクロカプセルを、布地用柔軟剤(組成:Stcpantcx(登録商標)VK90(Stcpan)16.5%、塩化カルシウム0.2%、水83.3%)に希釈して、0.8%w/wの香料濃度を得た。分散体を室温で24時間貯蔵した。柔軟剤の分取(1ml)を水(4ml)に希釈し、次いで、内部標準(150mg/L)として1,4−ジブロモベンゼンを含有するイソオクタン(5mg/L)で抽出した。次いで、有機溶液をGCにより分析して、香料の漏出を測定した。マイクロカプセルの油漏出に関する結果を第3B表に報告する。
【0257】
第3B表:布地用柔軟剤応用での漏出
【表73】
*室温において純粋な基材中での24時間後
【0258】
第3B表から分かるように、CH2O−不含の先行技術のマイクロカプセルと比べた場合、本発明のすべてのマイクロカプセルは、貯蔵における油漏出に対してより安定である。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b