特許第5901635号(P5901635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5901635ブリッジトポロジーを用いるスイッチドモード電力コンバータ及びそのスイッチング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901635
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】ブリッジトポロジーを用いるスイッチドモード電力コンバータ及びそのスイッチング方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-527265(P2013-527265)
(86)(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公表番号】特表2013-537033(P2013-537033A)
(43)【公表日】2013年9月26日
(86)【国際出願番号】US2011049962
(87)【国際公開番号】WO2012030959
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2014年7月30日
(31)【優先権主張番号】12/872,896
(32)【優先日】2010年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ケイ へスター
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0108823(US,A1)
【文献】 特開2010−158116(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0164766(US,A1)
【文献】 特開2005−033862(JP,A)
【文献】 特開2009−183080(JP,A)
【文献】 特開2004−208448(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0045254(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0001587(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と出力端子と所定のバック利得と所定のブースト利得と所定のデッド時間と所定のオン時間とを有するバックブーストスイッチングレギュレータと、
前記出力端子と前記入力端子との少なくとも一方に結合される制御回路要素であって、前記バックブーストスイッチングレギュレータを制御する、前記制御回路要素と、
を含む装置であって
前記制御回路要素が、前記バックブーストスイッチングレギュレータのためのパルス幅変調(PWM)デューティサイクルを判定するために補償関数を用い、
前記制御回路要素が、プロセッサと、そこに具現化されるコンピュータプログラム製品を備えた記憶媒体とを含み、
前記コンピュータプログラム製品が、
前記補償関数の出力が前記所定のバック利得より小さいときに前記バックブーストスイッチングレギュレータをバックモードで動作させるためのコンピュータコードと、
前記補償関数の前記出力が前記所定のバック利得と中間値との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを第1のブリッジモードで動作させるためのコンピュータコードと、
前記補償関数の前記出力が前記中間値と前記所定のブースト利得との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを第2のブリッジモードで動作させるためのコンピュータコードと、
前記補償関数の前記出力が前記所定のブースト利得より大きいときに前記バックブーストスイッチングレギュレータをブーストモードで動作させるためのコンピュータコードと、
を含
前記第1及び第2のブリッジモードにおいて、前記バックブーストスイッチングレギュレータが前記バックモードと前記ブーストモードとの両方を用いて制御され、
前記第1のブリッジモードにおいて、前記バックモードのデューティサイクルが可変であり、前記ブーストモードのデューティサイクルが固定であり、
前記第2のブリッジモードにおいて、前記バックモードのデューティサイクルが固定であり、前記ブーストモードのデューティサイクルが可変である、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記バックブーストスイッチングレギュレータが、
前記入力端子と第1のスイッチングノードとの間に結合される第1のスイッチと、
前記第1のスイッチングノードと接地との間に結合される第2のスイッチと、
前記第1のスイッチングノードと第2のスイッチングノードとの間に結合されるインダクタと、
前記第2のスイッチングノードと接地との間に結合される第3のスイッチと、
前記第2のスイッチングノードと前記出力端子との間に結合される第4のスイッチと、
を更に含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記補償関数の前記出力が前記所定のバック利得と前記中間値との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを前記第1のブリッジモードで動作させるための前記コンピュータコードが、
前記補償関数の前記出力と第1の一定値との間の差である値を有する第1のデューティサイクルで前記第1のスイッチを動作させるためのコンピュータコードと、
第2の一定値である第2のデューティサイクルで前記第3のスイッチを動作させるためのコンピュータコードと、
を更に含み、
前記第1のブリッジモードにおいて、前記バックブーストスイッチングレギュレータの利得が、前記第1のデューティサイクルと、1と前記第2のデューティサイクルとの間の差の値とのである、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記補償関数の前記出力が前記中間値と前記所定のブースト利得との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを前記第2のブリッジモードで動作させるための前記コンピュータコードが、
の一定値を有する第3のデューティサイクルで前記第1のスイッチを動作させるためのコンピュータコードと、
前記補償関数の前記出力と第の一定値との間の差である値を有する第4のデューティサイクルで前記第3のスイッチを動作させるためのコンピュータコードと、
を更に含み、
前記第2のブリッジモードにおいて、前記バックブーストスイッチングレギュレータの利得が、前記第デューティサイクルと、と前記第4のデューティサイクルとの間のの値とのである、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記制御回路要素が、
前記出力端子に結合される分圧器と、
参照電圧を受け取る誤差増幅器であって、前記分圧器と前記プロセッサとに結合される、前記誤差増幅器と、
を更に含む、装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置であって、
前記プロセッサがデジタルシグナルプロセッサ(DSP)である、装置。
【請求項7】
バックブーストスイッチングレギュレータの入力電圧と出力電圧と入力電流と出力電流との少なくとも1つを検出する工程であって、前記バックブーストスイッチングレギュレータが、所定のバック利得と所定のブースト利得と所定のデッド時間と所定のオン時間とを含み、前記バックブーストスイッチングレギュレータが、
入力端子と第1のスイッチングノードとの間に結合される第1のスイッチと、
前記第1のスイッチングノードと接地との間に結合される第2のスイッチと、
前記第1のスイッチングノードと第2のスイッチングノードとの間に結合されるインダクタと、
前記第2のスイッチングノードと接地との間に結合される第3のスイッチと、
前記第2のスイッチングノードと出力端子との間に結合される第4のスイッチと、
を含む、前記検出する工程と、
補償関数の出力が前記所定のバック利得より小さいときに前記バックブーストスイッチングレギュレータをバックモードで動作させる工程であって、前記補償関数が前記バックブーストスイッチングレギュレータのためのPWMデューティサイクルを判定する、前記動作させる工程と、
前記補償関数の前記出力が前記所定のバック利得と中間値との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを第1のブリッジモードで動作させる工程と、
前記補償関数の前記出力が前記中間値と前記所定のブースト利得との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを第2のブリッジモードで動作させる工程と、
前記補償関数の前記出力が前記所定のブースト利得より大きいときに前記バックブーストスイッチングレギュレータをブーストモードで動作させる工程と、
を含む方法であって
前記第1及び第2のブリッジモードにおいて、前記バックブーストスイッチングレギュレータが前記バックモードと前記ブーストモードとの両方を用いて制御され、
前記第1のブリッジモードにおいて、前記バックモードのデューティサイクルが可変であり、前記ブーストモードのデューティサイクルが固定であり、
前記第2のブリッジモードにおいて、前記バックモードのデューティサイクルが固定であり、前記ブーストモードのデューティサイクルが可変である、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記補償関数の前記出力が前記所定のバック利得と前記中間値との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを前記第1のブリッジモードで動作させる工程が、
前記補償関数の前記出力と第1の一定値との間の差である値を有する第1のデューティサクルで前記第1のスイッチを動作させることと、
第2の一定値である第2のデューティサイクルで前記第3のスイッチを動作させることと、
を更に含み、
前記第1のブリッジモードにおいて、前記バックブーストスイッチングレギュレータの利得が、前記第3のデューティサイクル、1と前記第のデューティサイクルとの間差の値とのである、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記補償関数の前記出力が前記中間値と前記所定のブースト利得との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを前記第2のブリッジモードで動作させる工程が、
の一定値を有する第3のデューティサイクルで前記第1のスイッチを動作させることと、
前記補償関数の前記出力と第の一定値との間の差である値を有する第4のデューティサクルで前記第3のスイッチを動作させることと、
を更に含み、
前記第2のブリッジモードにおいて、前記バックブーストスイッチングレギュレータの利得が、前記デューティサイクルと、と前記第4のデューティサイクルとの間の差の値とのである、方法。
【請求項10】
ソーラーセルと、
入力端子と出力端子と所定のバック利得と所定のブースト利得と所定のデッド時間と所定のオン時間とを有するバックブーストスイッチングレギュレータであって、前記入力端子が前記ソーラーセルに結合される、前記バックブーストスイッチングレギュレータと、
前記出力端子に結合される制御回路要素であって、前記バックブーストスイッチングレギュレータを制御する、前記制御回路要素と、
を含む装置であって
前記制御回路要素が、前記バックブーストスイッチングレギュレータのためのPWMデューティサイクルを判定するために補償関数を用い、
前記制御回路要素が、プロセッサと、そこに具現化されるコンピュータプログラム製品を備えた記憶媒体とを含み、
前記コンピュータプログラム製品が、
前記補償関数の出力が前記所定のバック利得より小さいときに前記バックブーストスイッチングレギュレータをバックモードで動作させるためのコンピュータコードと、
前記補償関数の前記出力が前記所定のバック利得と中間値との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを第1のブリッジモードで動作させるためのコンピュータコードと、
前記補償関数の前記出力が前記中間値と前記所定のブースト利得との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを第2のブリッジモードで動作させるためのコンピュータコードと、
前記補償関数の前記出力が前記所定のブースト利得より大きいときに前記バックブーストスイッチングレギュレータをブーストモードで動作させるためコンピュータコードと、
を含
前記第1及び第2のブリッジモードにおいて、前記バックブーストスイッチングレギュレータが前記バックモードと前記ブーストモードとの両方を用いて制御され、
前記第1のブリッジモードにおいて、前記バックモードのデューティサイクルが可変であり、前記ブーストモードのデューティサイクルが固定であり、
前記第2のブリッジモードにおいて、前記バックモードのデューティサイクルが固定であり、前記ブーストモードのデューティサイクルが可変である、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、
前記バックブーストスイッチングレギュレータが、
前記入力端子と第1のスイッチングノードとの間に結合される第1のスイッチと、
前記第1のスイッチングノードと接地との間に結合される第2のスイッチと、
前記第1のスイッチングノードと第2のスイッチングノードとの間に結合されるインダクタと、
前記第2のスイッチングノードと接地との間に結合される第3のスイッチと、
前記第2のスイッチングノードと前記出力端子との間に結合される第4のスイッチと、
を更に含む、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、
前記補償関数の前記出力が前記所定のバック利得と前記中間値との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを前記第1のブリッジモードで動作させるための前記コンピュータコードが、
前記補償関数の前記出力と第1の一定値との間の差である値を有する第1のデューティサイクルで前記第1のスイッチを動作させるためのコンピュータコードと、
第2の一定値である第2のデューティサイクルで前記第3のスイッチを動作させるためのコンピュータコードと、
を更に含み、
前記第1のブリッジモードにおいて、前記バックブーストスイッチングレギュレータの利得が、前記デューティサイクル、1と前記第のデューティサイクルとの間差の値とのである、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記補償関数の前記出力が前記中間値と前記所定のブースト利得との間であるときに前記バックブーストスイッチングレギュレータを前記第2のブリッジモードで動作させるための前記コンピュータコードが、
の一定値を有する第3のデューティサイクルで前記第1のスイッチを動作させるためのコンピュータコードと、
前記補償関数の前記出力と第の一定値との間の差である値を有する第4のデューティサイクルで前記第3のスイッチを動作させるためのコンピュータコードと、
を更に含み、
前記第2のブリッジモードにおいて、前記バックブーストスイッチングレギュレータの利得が、前記第デューティサイクルと、と前記第4のデューティサイクルとの間のの値とのである、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記制御回路要素が、
前記出力端子に結合される分圧器と、
参照電圧を受け取る誤差増幅器であって、前記分圧器と前記プロセッサとに結合される、前記誤差増幅器と、
を更に含む、装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置であって、
前記プロセッサがDSPである、装置。
【請求項16】
請求項13に記載の装置であって、
前記ソーラーセルが複数のソーラーセルを更に含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に電力コンバータに関し、更に特定して言えば、ブリッジトポロジーを用いる電力コンバータに関連する。
【背景技術】
【0002】
非反転バックモード又はブーストモードにおいて、これら2つのモード間で比較的シームレスに遷移して、動作するためにスイッチングレギュレータ又はスイッチドモード電源を必要とし得るアプリケーションが数多くある。図1に移ると、ブーストモード及びバックモードにおいて動作し得る例示のブリッジ100を見ることができる。このブリッジ100は、概して、スイッチS1〜S4及びインダクタLを用いるHブリッジであり、インダクタLは、Hブリッジのスイッチングノード間に結合される。バックモードにおいて、スイッチS4は閉じられ、S3は開かれ、パルス幅変調(PWM)信号がスイッチS1及びS2に供給される。代替として、ブーストモードにおいて、スイッチS1が閉じられ、S2が開かれ、PWM信号がスイッチS3及びS4に供給される。
【0003】
しかし、ブリッジ100に関する問題は、バックモード及びブーストモード、即ち、オン時間及びデッド時間、の間でシームレスに遷移する能力を制限する幾つかの実用上の制約があることである。バックモードを見ると、例えば、スイッチS1(又はS2)は、シームレスに100%デューティサイクルに到達することができない。図2で分かるように、スイッチS2は、例えば、最小オン時間TMIN(これは、概して、スイッチS2の物理的性質により決まる)を有し、スイッチS1のためのPWM信号の立ち上がり/立ち下がりエッジとスイッチS2のためのPWM信号の立ち下がり/立ち上がりエッジとの間にデッド時間TDEADがある。1/Tの固定周波数(期間TのバックモードDBU倍におけるデューティサイクル)に対するスイッチS1(例えば)のための全オン時間が、期間Tからこの所定の制約期間を減じたものより大きい(DBU×T>T−2TDEAD−TMIN)場合、レギュレータの利得(VOUT/VIN)は、予期される値から逸れる恐れがある。
【0004】
幾つかの他の従来の回路が下記文献に記載されている。
【特許文献1】米国特許番号第6,166,527号
【特許文献2】米国特許番号第6,037,755号
【特許文献3】米国特許公開番号2009/0039852
【発明の概要】
【0005】
従って、本発明の例示の一実施例は、改良されたスイッチングレギュレータ装置を提供する。この装置は、入力端子、出力端子、所定のバック利得、所定のブースト利得、所定のデッド時間、及び所定のオン時間を有するバックブーストスイッチングレギュレータと、前記出力端子及び前記入力端子の少なくとも一方に結合され、バックブーストスイッチングレギュレータを制御する制御回路要素とを含む。この制御回路要素は、バックブーストスイッチングレギュレータのためのパルス幅変調(PWM)デューティサイクルを判定するために補償関数を用いる。この制御回路要素は、プロセッサ、及びそこに具現化されるコンピュータプログラム製品を備えた記憶媒体を含む。このコンピュータプログラム製品は、補償関数の出力が所定のバック利得より小さいとき、バックブーストスイッチングレギュレータをバックモードで動作させるためのコンピュータコード、補償関数の出力が所定のバック利得と所定のブースト利得との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータをブリッジモードで動作させるためのコンピュータコード、及び補償関数の出力が所定のブースト利得より大きいとき、バックブーストスイッチングレギュレータをブーストモードで動作させるためのコンピュータコードを含む。
【0006】
本発明の例示の一実施例に従って、補償関数の出力が所定のバック利得と所定のブースト利得との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータをブリッジモードで動作させるためのコンピュータコードが、補償関数の出力が所定のバック利得と中間値との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータを第1のブリッジモードで動作させるためのコンピュータコードと、補償関数の出力がこの中間値と所定のブースト利得との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータを第2のブリッジモードで動作させるためのコンピュータコードとを更に含む。
【0007】
本発明の例示の一実施例に従って、バックブーストスイッチングレギュレータは、入力端子と第1のスイッチングノードとの間に結合される第1のスイッチ、第1のスイッチングノードと接地との間に結合される第2のスイッチ、第1のスイッチングノードと第2のスイッチングノードとの間に結合されるインダクタ、第2のスイッチングノードと接地との間に結合される第3のスイッチ、及び第2のスイッチングノードと出力端子との間に結合される第4のスイッチングを更に含む。
【0008】
本発明の例示の一実施例に従って、補償関数の出力が所定のバック利得と中間値との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータを第1のブリッジモードで動作させるためのコンピュータコードが、補償関数の出力と第1の一定値との間の差である値を有する第1のデューティサイクルで第1のスイッチを動作させるためのコンピュータコードと、第2の一定値である第2のデューティサイクルで第3のスイッチを動作させるためのコンピュータコードとを更に含み、第1のブリッジモードにおいて、バックブーストスイッチングレギュレータの利得が、第3の一定値と第1のデューティサイクルの値との積である。
【0009】
本発明の例示の一実施例に従って、補償関数の出力が中間値と所定のブースト利得との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータを第2のブリッジモードで動作させるためのコンピュータコードが、第4の一定値を有する第3のデューティサイクルで第1のスイッチを動作させるためのコンピュータコードと、補償関数の出力と第5の一定値との間の差である値を有する第4のデューティサイクルで第3のスイッチを動作させるためのコンピュータコードとを更に含み、第2のブリッジモードにおいて、バックブーストスイッチングレギュレータの利得が、第4の一定値と、第6の一定値及び補償関数の出力の差との積である。
【0010】
本発明の例示の一実施例に従って、制御回路要素は、出力端子に結合される分圧器と、参照電圧を受け取り、分圧器及びプロセッサに結合される誤差増幅器とを更に含む。
【0011】
本発明の例示の一実施例に従って、プロセッサはデジタルシグナルプロセッサ(DSP)である。
【0012】
本発明の例示の一実施例に従って或る方法が提供される。この方法は、バックブーストスイッチングレギュレータの入力電圧、出力電圧、入力電流、及び出力電流の少なくとも1つを検出する工程を含む。バックブーストスイッチングレギュレータは、所定のバック利得、所定のブースト利得、所定のデッド時間、及び所定のオン時間を含む。また、バックブーストスイッチングレギュレータは、入力端子と第1のスイッチングノードとの間に結合される第1のスイッチ、第1のスイッチングノードと接地との間に結合される第2のスイッチ、第1のスイッチングノードと第2のスイッチングノードとの間に結合されるインダクタ、第2のスイッチングノードと接地との間に結合される第3のスイッチ、及び第2のスイッチングノードと出力端子との間に結合される第4のスイッチを含む。この方法は更に、補償関数の出力が所定のバック利得より小さいとき、バックブーストスイッチングレギュレータをバックモードで動作させる工程、補償関数の出力が所定のバック利得と中間値との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータを第1のブリッジモードで動作させる工程、補償関数の出力がこの中間値と所定のブースト利得との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータを第2のブリッジモードで動作させる工程、及び補償関数の出力が所定のブースト利得より大きいとき、バックブーストスイッチングレギュレータをブーストモードで動作させる工程を含む。
【0013】
本発明の例示の一実施例に従って、補償関数の出力が所定のバック利得と中間値との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータを第1のブリッジモードで動作させる工程が、補償関数の出力と第1の一定値との間の差である値を有する第1のデューティサイクルで第1のスイッチを動作させる工程と、第2の一定値である第2のデューティサイクルで第3のスイッチを動作させる工程とを更に含み、第1のブリッジモードにおいて、バックブーストスイッチングレギュレータの利得が、第3の一定値と第1のデューティサイクルの値との積である。
【0014】
本発明の例示の一実施例に従って、補償関数の出力が中間値と所定のブースト利得との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータを第2のブリッジモードで動作させる工程が、第4の一定値を有する第3のデューティサイクルで第1のスイッチを動作させる工程と、補償関数の出力と第5の一定値との間の差である値を有する第4のデューティサイクルで第3のスイッチを動作させる工程とを更に含み、第2のブリッジモードにおいて、バックブーストスイッチングレギュレータの利得が、第4の一定値と第6の一定値及び補償関数の出力の差との積である。
【0015】
本発明の例示の一実施例に従って或る装置が提供される。この装置は、ソーラーセルと、入力端子、出力端子、所定のバック利得、所定のブースト利得、所定のデッド時間、及び所定のオン時間を有するバックブーストスイッチングレギュレータであって、入力端子がソーラーセルに結合されるバックブーストスイッチングレギュレータと、出力端子に結合され、バックブーストスイッチングレギュレータを制御する制御回路要素とを含む。制御回路要素は、バックブーストスイッチングレギュレータのためのPWMデューティサイクルを判定するために補償関数を用いる。制御回路要素は、プロセッサと、そこに具現化されるコンピュータプログラム製品を備えた記憶媒体とを含む。コンピュータプログラム製品は、補償関数の出力が所定のバック利得より小さいとき、バックブーストスイッチングレギュレータをバックモードで動作させるためのコンピュータコード、補償関数の出力が所定のバック利得と中間値との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータを第1のブリッジモードで動作させるためのコンピュータコード、補償関数の出力がこの中間値と所定のブースト利得との間であるとき、バックブーストスイッチングレギュレータを第2のブリッジモードで動作させるためのコンピュータコード、及び補償関数の出力が所定のブースト利得より大きいとき、バックブーストスイッチングレギュレータをブーストモードで動作させるためコンピュータコードを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
例示の実施例を添付の図面を参照して説明する。
図1図1は従来のブリッジの回路図である。
図2図2は、図1のブリッジのオペレーションの制約を図示するタイミング図である。
図3図3は、本発明の例示の一実施例に従ったシステムの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図3は、本発明の例示の一実施例に従ったシステム300を図示する。システム300は、概して、ブリッジ100、ソーラーセル302、キャパシタC1、分圧器(レジスタR1及びR2)、誤差増幅器308、プロセッサ304、及び記憶媒体306を含む。総合的に、分圧器(R1、R2)、誤差増幅器308、プロセッサ304、及び記憶媒体306は、概して、制御回路要素として動作し、一方、ブリッジ100及びキャパシタC1は概してバックブーストスイッチングレギュレータとして動作する。オペレーションにおいて、入力電圧VIN及び入力電流IINが、例えばソーラーセル302(これは、入力端子に直列又は並列に結合される多数のソーラーセルを含み得る)からスイッチングレギュレータの入力端子に供給されて、出力端子で出力電圧VOUT及び出力電流IOUTを生成するようにする。制御回路要素は、出力電圧VOUT及び入力電圧VINを測定し、スイッチS1〜S4に対し適切なパルス幅変調(PWM)又は制御信号を生成する。誤差増幅器308は、プロセッサ304がPWM信号の補正を実行できるように、分圧器からの出力を参照電圧REFと比較する。代替の配置において、誤差増幅器308及び分圧器が取り除かれ得、それらの機能がプロセッサ304によって提供される。他の代替の配置において、PWM信号の補正のための出力電圧VOUTの代わりに、入力電流IIN、出力電流Ιout、又は入力電圧VINを用いることができる。また、プロセッサ304はデジタル・シグナル・プロセッサ又はDSPとし得る。
【0018】
従来のブリッジスイッチング又はバックブーストオペレーションの場合、スイッチS1/S3又はS2/S4の対は、ほぼ同じ時間でオン及びオフに切り替えられ、デューティサイクルDBRは、スイッチS1/S3がオンであるサイクルの分数である。このスイッチングモードは、概して、1の利得G(出力電圧VOUTと入力電圧V1の比)を通してスムーズに動作するが、これはまた、バックモード又はブーストモードのいずれかよりも多くの電力を消散する。この過剰な電力消散は、(2つではなく)4つのアクティブスイッチがあることに概して起因し、また、バックモード(I=IOUT)又はブーストモード(I=IIN)のいずれかにおける場合よりも高い平均インダクタ電流Iがあること、即ち、平均インダクタ電流Iが、入力電流IIN及び出力電流IOUTの合計である(I=IIN+IOUT)こと、に概して起因する。
【0019】
この平均インダクタ電流Iを低減することは可能であるが、(スイッチS1及びS2のための)バック側及び(スイッチS3及びS4のための)ブースト側のデューティサイクルが無関係であると仮定し、かつ、バックデューティサイクルDBU(又はブーストデューティサイクルDBO)が、スイッチS1(又はS3)がオンであるスイッチング期間Tの分数を表すと仮定すると、利得G及びインダクタ電流Iは、下記のように表すことができる。
(1) G=VOUT/VIN=DBU/(1−DBO
(2) I=(IIN+IOUT)/(1+DBU−DBO
【0020】
示されているように、この利得Gは、バックデューティサイクルDBUとブーストデューティサイクルDBOの間の関係が守られる(即ち、DBU=G(1−DBO)である)限り、利得Gを生成し得るバックデューティサイクルDBU及びブーストデューティサイクルDBOの組合せの連続があることを示す。また、大きなバックデューティサイクルDBU及び小さなブーストデューティサイクルDBOは、インダクタ電流Iにおけるかなりの低減を生成することが分かる。概して、これらのデューティサイクルDBU及びDBOの制御は、ソフトウェアの利用又は、記憶媒体306(即ち、フラッシュメモリ)に具現化されるコンピュータプログラム製品の利用を介して、プロセッサ304により実行又は実施される。
【0021】
各ブリッジ(即ち、100)は、概して、所定のデッド時間、所定のオン時間、所定の最大バック利得、及び所定の最小ブースト利得などの所定の特性を有する。これらの特性の各々は、概して、ブリッジ動作モードに寄与し、典型的に、2つのブリッジモードが用いられる。補償関数D(これは、プロセッサ304により生成され、PWMデューティサイクルを判定するために用いられる)の出力が所定の最大バック利得より小さいとき、スイッチングレギュレータはバックモードで動作し、補償関数Dの出力が所定の最小ブースト利得より大きいとき、スイッチングレギュレータはブーストモードで動作する。しかし、補償関数Dの出力が所定の最大バック利得と一定値との間であるとき、スイッチングレギュレータはイニシャルブリッジモードで動作し、このモードでは、
(3)DBU=D−C、及び
(4)DBO=C
であり、C及びCは一定値である。ここで、式(1)及び(2)を式(3)及び(4)に適用すると、イニシャルブリッジモードのための、利得G、及びインダクタ電流Iの入力電流IINに対する比は下記の通りである。
(5) G=(D−C)/(1−C
【数1】
【0022】
また、補償関数Dの出力が一定値と所定の最小ブースト利得との間であるとき、スイッチングレギュレータはファイナルブリッジモードで動作し、このモードでは、
(7)DBU=C、及び
(8)DBO=D−C
であり、C及びCは一定値である。ここで、式(1)及び(2)を式(7)及び(8)に適用すると、ファイナルブリッジモードのための、利得G、及びインダクタ電流Iの入力電流IINに対する比は下記の通りである。
(9)G=C3/(1−D+C
【数2】
【0023】
システム300のためのブリッジモードのオペレーションを更に示すため、表1の説明のために、スイッチング期間T、最大バック利得、最小ブースト利得、デッド時間、及びオン時間がそれぞれ、4000ns、0.9、1.0292、150ns、及び133nsであると仮定することができる。
【表1】
【0024】
プロセッサ304及び記憶媒体306においてこれらのブリッジモードを実現するため、コントローラクロックサイクルに関してブーストデューティサイクルDBO及びバックデューティサイクルDBUを調節するアルゴリズムが提供される(即ち、l/60MHz=16.67ns)。下記表2において、このアルゴリズムの一例のための、利得、及びインダクタ電流Iの入力電流IINに対する比、バックデューティサイクルDBU、及びブーストデューティサイクルDBOを見ることができる。
【表2】
【0025】
この構成の結果、幾つかの利点が実現され得る。まず、バックモード及びブーストモード間の比較的シームレスな遷移があり、これは、入力電圧及び入力電流が概して不動的であるソーラー用途に有用であり得る。また、平均インダクタ電流Iを低減することができ、これにより、スイッチングレギュレータ内の電力損失が低減される。
【0026】
本発明に関連する技術に習熟した者であれば、説明した例示の実施例に変形が成され得、本発明の特許請求の範囲内で他の実施例を実装し得ることが分かるであろう。
図1
図2
図3