(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901642
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】プラスチック溶融物濾過用装置
(51)【国際特許分類】
B29C 47/68 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
B29C47/68
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-534206(P2013-534206)
(86)(22)【出願日】2011年10月24日
(65)【公表番号】特表2013-542872(P2013-542872A)
(43)【公表日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】EP2011005351
(87)【国際公開番号】WO2012055528
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年10月6日
(31)【優先権主張番号】202010014709.3
(32)【優先日】2010年10月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515267482
【氏名又は名称】マーグ オートマティック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Maag Automatik GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100114465
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 健
(74)【代理人】
【識別番号】230111590
【弁護士】
【氏名又は名称】金本 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100105991
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100156915
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 奈月
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(72)【発明者】
【氏名】ポール,ハラルド
【審査官】
山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−131912(JP,A)
【文献】
特開昭61−057324(JP,A)
【文献】
特開2009−107330(JP,A)
【文献】
特開平07−299310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 47/00−47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック溶融物を濾過するための装置であって、前記プラスチック溶融物用の少なくとも1つの入口通路(2)および少なくとも1つの出口通路(3)を有するハウジング(1)を有し、前記少なくとも1つの入口通路(2)が、軸方向にその中で移動可能な少なくとも1つのフィルタピストン(5)を受け入れる少なくとも1つのフィルタ空洞(4)によって、前記少なくとも1つの出口通路(3)から隔てられ、前記少なくとも1つのフィルタピストン(5)が、フィルタ面(7)を有する少なくとも1つのフィルタ基体(6)を有し、前記フィルタ面(7)が、前記フィルタ基体(6)を貫通するフィルタ開口(8)を有し、前記開口を通ってプラスチック溶融物が、前記フィルタ基体(6)内の濾過物空洞(9)に流入し、前記濾過物空洞(9)が、前記少なくとも1つの出口通路(3)に流体連通する装置において、
前記フィルタ基体(6)の前記フィルタ面(7)が、可撓性、弾性のフィルタスクリーン(10)によって取り囲まれ、前記フィルタスクリーン(10)を前記フィルタ基体(6)上に自己締着させることができるようになっていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記自己締着されたフィルタスクリーン(10)の輪郭が、前記フィルタ面(7)の輪郭に従うことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フィルタ面(7)上に自己締着させることができる前記フィルタスクリーン(10)が、断面が湾曲するように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記フィルタ面(7)上に自己締着させることができる前記フィルタスクリーン(10)が、断面で視て、前記フィルタピストン(5)の円周の最小180°、最大270°の角度を取り囲み、前記フィルタ面(7)のそれに対応する円周部分を覆うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記フィルタ面(7)上に自己締着させることができる前記フィルタスクリーン(10)が、断面で視て、前記フィルタピストン(5)の円周の最小180°、最大240°の角度を取り囲み、前記フィルタ面(7)のそれに対応する円周部分を覆うことを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記フィルタピストン(5)が、少なくとも前記フィルタ基体(6)の領域および前記濾過物空洞(9)と前記出口通路(3)との間に前記流体連通が存在する領域に、断面において前記ハウジング(1)内の前記フィルタ空洞(4)の内側輪郭に対応する外側輪郭をもち、フィルタ面(7)をもたないフィルタ基部(13)を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記フィルタスクリーン(10)が、両側の軸方向終端縁部(11)によって、前記フィルタ基部(13)のそれぞれの軸方向溝(12)内に保持されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも2つの位置決めピン(16)が、前記フィルタ基体(6)の領域に設けられ、その結果、前記フィルタスクリーン(10)が、対応する開口(17)を用いて前記フィルタ基体上に配置され得、すなわち保持されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記フィルタスクリーン(10)が、少なくともその軸方向終端縁部(11)のそれぞれの領域に、1つまたは複数のハンドリング穴(14)を有し、それによって、ハンドリング工具をそこに用いて、前記フィルタスクリーン(10)を広げることができることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタ空洞(4)が断面において円形であり、前記フィルタ基体(6)が、断面において、少なくとも1つまたは複数の直径が異なる扇形の部分からなる形状を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記フィルタピストン(5)が、濾過位置と非濾過位置との間で軸方向に移動可能であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記フィルタピストン(5)が、前記フィルタ基体(6)に加えて、前記ハウジング(1)内の前記フィルタ空洞(4)の断面に断面が対応するピストン部分(15)を有し、その結果、前記ピストン部分が、非濾過位置で前記フィルタ空洞(4)を充填することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック溶融物、特に熱可塑性プラスチック溶融物を濾過する装置に関する。請求項1のプリアンブルによれば、その装置は、プラスチック溶融物用の少なくとも1つの入口通路および少なくとも1つの出口通路を有するハウジングを有し、少なくとも1つの入口通路は、軸方向にその中で移動可能な少なくとも1つのフィルタピストンを受け入れる少なくとも1つのフィルタ空洞によって、少なくとも1つの出口通路から隔てられ、少なくとも1つのフィルタピストンは、フィルタ面を有する少なくとも1つのフィルタ基体を有し、フィルタ面は、フィルタ基体を貫通するフィルタ開口を有し、その開口を通ってプラスチック溶融物が、フィルタ基体内の濾過物空洞に流入し、濾過物空洞は、少なくとも1つの出口通路に流体連通する。
【背景技術】
【0002】
請求項1のプリアンブルによる特徴を有する濾過用の装置は、たとえば独国特許第3419822C2号によって知られており、この一般的な装置のフィルタ面は、フィルタピストンの全円周に延在するように設計され、フィルタピストンをそこで取り巻く分散織布および濾過織布が設けられ、たとえば、円筒状締結体を用いてフィルタピストンの周りに保持されている。したがって、そのフィルタ機構は設計が比較的複雑であり、分散織布または濾過織布の整備または交換に際し、全体として多くの手作業およびそれに伴う装置の比較的長い休止時間が避けられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、従来技術の短所を克服するプラスチック溶融物濾過用装置を提供することであり、特に、作動において信頼性が高く、同時にまた交換が容易で迅速なフィルタスクリーン配置が簡単な構成様式で確保できるプラスチック溶融物濾過用装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、本発明により、請求項1の特徴を有する装置によって達成される。本発明の好ましい実施形態が従属請求項に記述される。
【0005】
プラスチック溶融物、特に熱可塑性プラスチック溶融物を濾過する本発明の装置は、濾過するプラスチック溶融物用の少なくとも1つの入口通路および少なくとも1つの出口通路を備えるハウジングを有する。少なくとも1つの入口通路は、少なくとも1つのフィルタ空洞、好ましくはこれらの通路に垂直に延在する少なくとも1つのフィルタ空洞、特に好ましくは円筒状のフィルタ空洞によって、少なくとも1つの出口通路から隔てられ、少なくとも1つのフィルタ空洞の内部には、その中で軸方向に移動可能なフィルタピストンが配置され、その結果、それによって少なくとも1つの入口通路は少なくとも1つの出口通路から隔てられる。好ましくは、この設計における各フィルタピストンは、フィルタピストンが軸方向に移動する場合であっても、プラスチック溶融物が、ピストンの該当する外壁と円筒状フィルタ空洞の該当する内壁との間を不都合にも通り抜けることを、追加の封止手段なしに、できなくするように、好ましくは円筒状であるフィルタ空洞内に、精密に配置されている。好ましくは円筒状のフィルタピストンは、フィルタ面を有する少なくとも1つのフィルタ基体を有し、フィルタ面は、フィルタ基体をそこで貫通するフィルタ開口を有し、その開口を通って、濾過されるプラスチック溶融物が、フィルタ基体内の濾過物空洞に流入し、濾過物空洞は、少なくとも1つの出口通路に流体連通する。それにより、濾過されるプラスチック溶融物は、フィルタ基体の外側領域から中へ向かってフィルタ基体内の濾過物空洞へ移動し、その過程で、濾過されるプラスチック溶融物は、それに応じて、入口通路を通ってハウジング1のフィルタ空洞へ移送され、そこから濾過物空洞およびそこに流体連通されたハウジング内の出口通路を通って運び去られる。上記の一般的な従来技術の装置とは対照的に、本発明による装置では、フィルタ基体のフィルタ面が、可撓性、弾性のフィルタスクリーンで取り囲まれ、そのフィルタスクリーンがフィルタ基体上に締着されるようになっており、すなわち、フィルタスクリーンそれ自体が、少なくともフィルタ面の領域ではフィルタスクリーンがフィルタ基体を自己締着するように取り巻くように、十分に剛性で、その上同時に可撓性で弾性であるように設計されている。
【0006】
したがって、本発明によれば、フィルタスクリーン自体を剛性かつ弾性的に可撓性であるように設計し、それによって、この性質のフィルタスクリーンが、本発明により、フィルタ面を取り囲み、追加の締結要素を必要とせずにフィルタ基体上に締着され得ることによって、対応するフィルタスクリーンを有するフィルタ要素の設計および取扱いが簡単化され得る。さらに、フィルタスクリーンの可撓性、弾性設計は、たとえば金属材料から製作され、好ましくは十分に剛性も有し得るので、そのようなフィルタスクリーンを本発明によって取り付ける際、スクリーン材料の座屈やしわは生じ得ず、別個の固定具によって取り付けられる従来技術によるマット状のスクリーン材料による場合とは対照的であり得る。したがって、本発明によれば、そのようなフィルタ装置の作動は、特に信頼性が高くなり、整備のためのフィルタスクリーンの交換は、特に容易かつ迅速に行うことができる。
【0007】
本発明によるフィルタ装置の領域で生じ得るデッドスペースを可能な限り防止することができるように、それによってそのようなフィルタ装置の作動は特に信頼性が高くなるが、またフィルタ面の領域でのフィルタ基体上の可撓性、弾性フィルタスクリーンの締着作用を格段の程度にまで確保するために、本発明の好ましい実施形態によれば、締着したフィルタスクリーンの輪郭は、断面で視て、フィルタ面の輪郭に従うことができる。
【0008】
特に確実な締着および最適なスペースの利用は、有利には、フィルタ面上に締着させることができるフィルタスクリーンが、断面において湾曲するように設計されているとき、本発明によって達成され、フィルタスクリーンが、さらにそこのフィルタ基体のフィルタ面の対応する湾曲輪郭に従うことが特に好ましい。
【0009】
締着作用は、フィルタ面上に締着させることができるフィルタスクリーンが、断面で視て、フィルタピストンの円周の最小180°、最大270°、より好ましくは円周の約240°の角度を取り囲み、フィルタ面のそれに対応する円周部分を覆うとき、本発明により特に好ましい態様で達成される。その結果、そのように完全には取り囲まないことによって、また、本発明によるフィルタスクリーンが、確実に、比較的簡単にフィルタスクリーンから再び取り外せるようにもなる。
【0010】
本発明による装置の有利な実施形態によれば、フィルタピストンは、少なくともフィルタ基体の領域および濾過物空洞と出口通路との間に流体連通が存在する領域に、断面においてハウジング内のフィルタ空洞の内側輪郭に対応する外側輪郭をもち、フィルタ面をもたないフィルタ基部を有し得る。それによって、デッドスペース空間をさらに減らすことができ、さらに、ハウジングのフィルタ空洞内のフィルタピストンの軸方向案内をその結果改善することができ、さらにこの手段によって、濾過されるプラスチック溶融物はフィルタピストンとハウジングとの間を通ることができない。
【0011】
フィルタスクリーンの位置合せおよび固定は、たとえば、フィルタスクリーンが、両側の軸方向終端縁部によって、上記のフィルタ基部のそれぞれの軸方向溝内に保持されることによって、達成することができる。実際の締着に加えて、この結果、本発明によるフィルタスクリーンの特に信頼性の高い案内が行える。
【0012】
本発明の好ましい別の実施形態によれば、少なくとも2つの位置決めピンが、フィルタ基体の領域に設けられ、その結果、対応する開口を有するフィルタスクリーンが、フィルタ基体上に配置され得、すなわち保持され、その手段によって、前段に説明された追加案内の対応する利点がこの場合にも達成される。この実施形態では、さらに、プラスチック溶融物によってより容易に詰まってしまい得る溝を設ける必要がないというさらに別の利点が達成される。
【0013】
本発明によるフィルタスクリーンの装着および取外しの際の取扱いを簡単化するために、このフィルタスクリーンは、少なくともその軸方向終端縁部のそれぞれの領域に1つまたは複数のハンドリング穴を有し得、それによって、ハンドリング工具をそこに用いて、フィルタスクリーンを広げることができる。このようにして、フィルタスクリーンを交換する工程を、特に迅速かつ容易に実施することができる。
【0014】
上記にすでに説明したように、フィルタ空洞またはその中のフィルタピストンの形状は円筒形であることが好ましい。この設計に関し、本発明の好ましい実施形態によれば、フィルタ空洞は断面において円形であり得、フィルタ基体は、断面において、少なくとも1つまたは複数の直径が異なる扇形の部分からなる形状を有し得る。そのような形状は、構造的に製造が特に簡単であり、通過する溶融物の流れに対して特に良好な流れ特性を有し、その結果、本発明によりこのように設計された装置の作動は特に信頼性が高くなり得る。
【0015】
有用な形態では、フィルタピストンは、濾過位置と非濾過位置との間で軸方向に移動可能であり得る。この場合の移動は、(独立の)油圧装置を用いて有効に達成することができる。
【0016】
好ましい実施形態によれば、フィルタピストンが、フィルタ基体に加えて、ハウジング内のフィルタ空洞の断面に断面が対応するピストン部分を有し、その結果、そのピストン部分が、非濾過位置でこのフィルタ空洞を充填することが特に好ましい。したがって、本発明による、たとえば、フィルタスクリーンの交換の場合、濾過されるプラスチック材の供給および排出を、この手段のみによる簡単な設計態様で、中断することができる。
【0017】
本記述で使用される用語「プラスチック溶融物」は、特に、ポリプロピレン、ポリエチレン、高圧ポリプロピレン、低圧ポリエチレン、リニア低圧ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエステル、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、またはポリビニルクロライドの溶融物を意味し得ることが留意されるべきである。円筒形または円形として説明される本発明による装置の要素は、それ相応に多角形の形状も有し得ることがさらに言及されるべきである。
【0018】
本発明による装置が、図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】熱可塑性プラスチック溶融物を濾過するための、本発明による装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1では、本発明によるプラスチック溶融物濾過用装置が概略的に示されている。装置は、ハウジング1を有し、ハウジング1は2つの円筒状フィルタ空洞4を備え、フィルタ空洞4のそれぞれは、その中で軸方向に移動可能なフィルタピストン5を備える。その軸方向の移動可能性は、
図1の右下のそれに対応する両頭矢印によって示されている。フィルタピストン5に軸方向移動を行わせるために、油圧要素が各ピストンと連携している。フィルタピストン5は、隣り合って配置され、同一の設計である。ここでは、左側のフィルタピストン5は、濾過位置に示され、右側のピストン5は、非濾過位置に示されている。濾過されるプラスチック溶融物の流れの方向で視ると、溶融物は入口通路2を通ってハウジング1に入り、そこからY字形に分かれる入口通路2を通って移動し、ハウジング1内の各フィルタ空洞4の1つに入り、そこで、プラスチック溶融物は、フィルタ面7を有する該当するフィルタ基体6をフィルタ面のフィルタ開口8を通って通り抜け、その開口を通ってプラスチックは、フィルタ基体6内の濾過物空洞9に入り、次いで、濾過物空洞9から、濾過物空洞に流体連通する少なくとも1つの出口通路3へ移動し、そして再びハウジング1の外へ出る。場合によっては、要素および通路または空洞の正確な位置は
図1では完全には分からないが、
図2にはより明確に示されている。
【0021】
図1の表示で分かるように、それぞれの場合、フィルタ基体6のフィルタ面7は、取外し可能で、可撓性、弾性で、それにも拘らず本来的に剛体のフィルタスクリーン10によって取り巻かれており、そのフィルタスクリーンは、いわゆるマットの様式で造られてはおらず、その結果、このフィルタスクリーン10を、フィルタ基体6上に締着させることができる。ここでは、フィルタスクリーン10は、そのそれぞれの軸方向終端縁部11を、フィルタ基部13のそれぞれの軸方向溝12に入れることによって保持することができる。図面に示すように、少なくとも2つの位置決めピン16が、さらに、フィルタ基体6の上側領域に設けられ、その結果、フィルタスクリーン10が、対応する開口17を用いてフィルタ基体上に配置され得、すなわち保持される。フィルタスクリーン10は、そのそれぞれの軸方向終端縁部の領域にハンドリング穴14を有し、それによって、ハンドリング工具をそこに用いて、フィルタスクリーン10を広げることができる。締着させたフィルタスクリーン10の輪郭は、フィルタ面7の輪郭に従う。この設計では、図面に示すように、フィルタ面7上に締着させることができるフィルタスクリーンは、断面が湾曲するように設計され、フィルタピストン5の円周の約240°を囲い込み、フィルタスクリーン10が、フィルタ面7の対応する円周部分を覆う。
【0022】
すでに指摘したように、
図1および
図2に示された本発明による装置では、左側のフィルタピストン5は濾過位置(稼働位置)にあり、他方、右側のピストン5は、そのフィルタ基体6のフィルタ面7が外側から自由にアクセスできる非濾過位置に示されており、この位置では、たとえば汚染粒子が積もったフィルタスクリーン10は、
図1の両頭矢印によって示されるように、清浄なフィルタスクリーン10によって交換することができる。
【0023】
円筒状フィルタピストン5は、ハウジング1内の該当するフィルタ空洞4の直径に一致しており、その結果、
図1の矢印の該当する方向にフィルタピストン5が軸方向に移動しても、漏洩は起こらず、したがって、濾過位置または非濾過位置のどちらでも、この場合、プラスチック溶融物が、不都合にも出てくるようなことはない。このために、フィルタピストン5は、フィルタ基体6およびフィルタ基部13に隣接して、断面がハウジング1内のフィルタ空洞4の断面に対応するピストン部分15をさらに有する。それによって、フィルタ空洞4は非濾過位置において適切に充填される。
【0024】
図2は、本発明による装置の実施形態を、
図1の線A−Aに沿った断面で示す。
図2で特に良く分かるように、ハウジング1内の入口通路2は、Y字形に2つの副通路に分かれ、濾過されるプラスチック溶融物の一部の流れが左側のフィルタ空洞4に送られ、そこではフィルタピストン5が濾過位置に配置され、一部の流れが右側のフィルタ空洞4に送られ、そこではフィルタピストン5が非濾過位置に配置されている。フィルタピストン5が、ハウジング1内のフィルタ空洞4の断面に断面が対応するピストン部分15をさらに有し、それによって、ピストン部分15が非濾過位置で右側のフィルタ空洞4を充填することが、
図2の右側で特に良く分かる。図面に示されるように、各フィルタ空洞4は別々の出口通路3を有するが、当該の出口通路3をハウジング1内で再び統合し、共通の出口としてハウジング1から出すことも可能である(ただしこれは図示されていないが)。
【0025】
図2による断面の左側に明らかに見られるように、フィルタ基体6の隣にフィルタ基部13があり、その外側の輪郭は、断面でハウジング1のフィルタ空洞4のそこでの内側輪郭に対応し、そこではフィルタ面7を有しない。フィルタ基体6は、フィルタ面7を有し、フィルタ開口8を介しその面を貫通してプラスチック溶融物がフィルタ基体6内の濾過物空洞9に入り、濾過物空洞9は、
図2の左側に見られる濾過位置では出口通路3に流体連通している。本発明によれば、フィルタ基体6のフィルタ面7は、可撓性、弾性のフィルタスクリーン10によって取り囲まれ、このフィルタスクリーン10は、フィルタ基体6上に取外し可能に締着させることができる。フィルタスクリーン10は、
図2の左側で分かるように、両側の軸方向終端縁部11によって、フィルタ基部13のそれぞれの軸方向溝12内で軸方向に案内される。
【0026】
本発明による装置を用いると、作動上信頼性が高く、さらに交換が容易で迅速なフィルタスクリーンを、構築費用が高くならずに簡単な設計手段によって、本発明に従って達成することができる。