特許第5901646号(P5901646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901646
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】供給機構
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/02 20060101AFI20160331BHJP
   B65G 47/86 20060101ALI20160331BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   A24D3/02
   B65G47/86 H
   B65G47/14 102A
   B65G47/86 G
【請求項の数】54
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-541329(P2013-541329)
(86)(22)【出願日】2011年11月30日
(65)【公表番号】特表2013-545471(P2013-545471A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】EP2011071374
(87)【国際公開番号】WO2012072676
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年9月9日
(31)【優先権主張番号】2010/08663
(32)【優先日】2010年12月1日
(33)【優先権主張国】ZA
(73)【特許権者】
【識別番号】512001371
【氏名又は名称】タバコ リサーチ アンド ディベロップメント インスティテュート (プロプリエタリー) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ル・ルー、ジェラルド
【審査官】 白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−135542(JP,A)
【文献】 特開平06−070739(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/071272(WO,A1)
【文献】 特開昭61−243725(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0289660(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/115829(WO,A1)
【文献】 特表2007−504824(JP,A)
【文献】 特表2010−535494(JP,A)
【文献】 米国特許第03550508(US,A)
【文献】 国際公開第2010/103000(WO,A1)
【文献】 米国特許第05875824(US,A)
【文献】 特表2002−537789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00−3/18
B65G 47/00−47/20
B65G 47/80
B65G 47/84−47/86
B65G 47/90−47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象物を供給して複数のタバコ産業製品に挿入する供給機構であって、
複数の流路を有し複数の対象物を収容する回転部材を備え、各流路は使用中に前記回転部材と共に回転するその流路内で複数の対象物が一列に集合するように構成され、各流路は1つの対象物をその流路から分配する出口を有し、前記供給機構は更に
1つの列内の1つの対象物が分配される前に、その対象物をその列内に保持するように構成された空圧式機構を備える供給機構。
【請求項2】
前記空圧式機構は、1つの流路内の1つの対象物が分配される間、その流路内の複数の対象物の外側向きの移動を制限するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の供給機構。
【請求項3】
前記空圧式機構は、第2の対象物が流路から分配される間、その流路内の長手方向位置にある第1の対象物を保持するよう構成されており、前記流路は、使用中は前記第1の対象物が他の複数の対象物の通過を妨害するように構成されており、それによって、前記第2の対象物が分配される間、前記流路内の複数の対象物の外側向きの移動を制限することを特徴とする請求項2記載の供給機構。
【請求項4】
前記空圧式機構は吸引機構を含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の供給機構。
【請求項5】
前記吸引機構は、1つの流路が分配位置にあるときに吸引を解除して1つの対象物がその流路の出口を通過することができるようにし、1つの対象物が分配される前は、その対象物を吸引して前記出口を通過しないようにするように構成されていることを特徴とする請求項4記載の供給機構。
【請求項6】
前記回転部材は前記吸引機構の入り口領域に対し相対回転するよう取り付けられ、前記流路は、分配位置にあるときに前記入り口領域と整列するように配置された開口部を含み、それによって、使用中は、第2の対象物が流路から分配される間、開口部経由で吸引して第1の対象物を流路内の長手方向位置に保持することを特徴とする請求項4または5記載の供給機構。
【請求項7】
前記吸引機構は、流路の最も外側の前記対象物の吸引を解除するように構成されており、前記流路が分配位置に配置されたとき前記最も外側の対象物が分配され、更に前記吸引機構は、前記最も外側の対象物が分配される間、前記流路内の外側から2番目の対象物を吸引して保持するように構成されていることを特徴とする請求項4乃至6いずれか1項記載の供給機構。
【請求項8】
前記吸引機構は入り口領域を含み、前記回転部材は前記入り口領域に対して相対回転するように構成され、
各流路は入り口領域と整列する1つ以上の開口部を有し、
使用中は開口部が入り口領域と整列したとき、その開口部経由で吸引が加えられることを特徴とする請求項4乃至7いずれか1項記載の供給機構。
【請求項9】
前記出口は各流路の底面に形成され、
前記吸引機構は1つ以上の入り口領域と吸引解除領域を含み、
前記回転部材は前記1つ以上の入り口領域および前記吸引解除領域に対し相対回転するように構成され、
各流路は、回転中に入り口領域および吸引解除領域と整列するように構成された開口部を有し、前記開口部は流路の上面に流路出口と一致するように形成され、
使用中は、開口部が入り口領域と整列したときに1つの対象物が出口上の吸引によって保持され、かつ、開口部が吸引解除領域と整列したときに1つの対象物が出口から分配されることを特徴とする請求項4乃至8いずれか1項記載の供給機構。
【請求項10】
各流路は、その流路に沿って異なる長手方向位置にある2つの開口部を備え、内側に位置付けされた開口部は、外側に位置付けされた開口部が吸引解除領域と整列したときに吸引機構の入り口領域と整列するように配置されており、使用中は1つの対象物が前記内側開口部経由の吸引によって所定位置に保持される間に別の1つの対象物が分配されることを特徴とする請求項9記載の供給機構。
【請求項11】
前記1つ以上の入り口領域は第1および第2の同心円弧領域を備え、前記第1の円弧領域は外側に位置付けされた開口部と整列するように構成され、前記第2の円弧領域は内側に位置付けされた開口部と整列するように構成されていることを特徴とする請求項10記載の供給機構。
【請求項12】
複数の対象物を収容する対象物投入部と複数の対象物を前記投入部から前記複数の流路へ案内する対象物案内部とを更に備えていることを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載の供給機構。
【請求項13】
前記回転部材は、
第1の投入部であって、その中に収容された複数の対象物が1つ以上の流路の第1の組に入るように配置された第1の投入部と、
第2の投入部であって、その中に収容された複数の対象物が1つ以上の流路の第2の組に入るように配置された第2の投入部と
を備えていることを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載の供給機構。
【請求項14】
前記回転部材は、複数の対象物が前記第1の投入部から前記第2の組の複数の流路のいずれにも入らないように、かつ複数の対象物が前記第2の投入部から前記第1の組の複数の流路のいずれにも入らないように配置された1つ以上の隔壁を含むことを特徴とする請求項13記載の供給機構。
【請求項15】
前記複数の流路のうちの1つ以上は半径方向通路からそれていることを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載の供給機構。
【請求項16】
前記複数の流路のうちの1つ以上は湾曲していることを特徴とする請求項15に記載の供給機構。
【請求項17】
前記複数の流路は、2つの隣り合う流路の入り口間の角距離がこれら2つの隣り合う流路の出口間の角距離より大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項15または16記載の供給機構。
【請求項18】
複数の対象物を供給して複数のタバコ産業製品に挿入する供給機構であって、
1つ以上の流路の複数の組を有し、使用中にこれらの対象物が前記複数の流路の組内を遠心力的に促されて通過するように構成された回転部材と、
複数の対象物を収容し、これらの対象物が前記1つ以上の流路の第1の組に入るように構成された第1の投入部と、
複数の対象物を収容し、これらの対象物が前記1つ以上の流路の第2の組に入るように構成された第2の投入部と
を備えている供給機構。
【請求項19】
前記回転部材は、複数の対象物が前記第1の投入部から前記第2の組の複数の流路のいずれにも入らないように、かつ複数の対象物が前記第2の投入部から前記第1の組の複数の流路のいずれにも入らないように配置された1つ以上の隔壁を含むことを特徴とする請求項18記載の供給機構。
【請求項20】
複数の対象物を供給して複数のタバコ産業製品に挿入する供給機構であって、
複数の流路を有し複数の対象物を収容する第1の回転部材を備え、複数の流路は使用中に前記回転部材と共に回転するその流路内を複数の対象物が遠心力的に促されて通過するように構成され、前記供給機構は更に
前記複数の流路から分配された複数の対象物を受け入れる対象物収容凹部を備える第2の回転部材を備え、
前記複数の流路のうち1つ以上は半径方向経路からそれていることを特徴とする供給機構。
【請求項21】
前記複数の流路の1つ以上は湾曲していることを特徴とする請求項20に記載の供給機構。
【請求項22】
前記複数の流路は、2つの隣り合う流路の入り口間の角距離がこれら流路の出口間の角距離より大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項20または21記載の供給機構。
【請求項23】
前記回転部材は1つ以上の流路の複数の組を有し、使用中に複数の対象物が前記1つ以上の流路内を遠心力的に促されて通過するように構成され、
複数の対象物を収容し、これらの対象物が前記1つ以上の流路の第1の組に入るように構成された第1の投入部と、
複数の対象物を収容し、これらの対象物が前記1つ以上の流路の第2の組に入るように構成された第2の投入部と
を更に備えていることを特徴とする請求項20乃至22いずれか1項記載の供給機構。
【請求項24】
前記回転部材は、複数の対象物が前記第1の投入部から前記第2の組の1つ以上の流路のいずれにも入らないように、かつ複数の対象物が前記第2の投入部から前記第1の組の1つ以上の流路のいずれにも入らないように配置された1つ以上の隔壁を含むことを特徴とする請求項23記載の供給機構。
【請求項25】
各流路は、複数の対象物を前記回転部材の回転中に一列にこの流路内に閉じ込めるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至24いずれか1項記載の供給機構。
【請求項26】
使用中に複数の対象物は、前記複数の流路から分配されるとき、前記回転部材から直接離れることを特徴とする請求項1乃至25いずれか1項記載の供給機構。
【請求項27】
各流路は床を有し、前記対象物出口が前記床に形成されることを特徴とする請求項1乃至26いずれか1項記載の供給機構。
【請求項28】
前記複数の流路は閉流路であり、各々入り口と出口を有することを特徴とする請求項1乃至27いずれか1項記載の供給機構。
【請求項29】
各流路は一度に1個の対象物だけを受け入れる大きさの入り口を有することを特徴とする請求項1乃至28いずれか1項記載の供給機構。
【請求項30】
前記複数の流路は半径方向に延びる流路であることを特徴とする請求項1乃至29いずれか1項記載の供給機構。
【請求項31】
前記回転部材は1つ以上の板で形成されていることを特徴とする請求項1乃至30いずれか1項記載の供給機構。
【請求項32】
前記回転部材は上板および下板で形成されていることを特徴とする請求項31記載の供給機構。
【請求項33】
前記複数の流路は上記板の1つに形成された溝によって形成されていることを特徴とする請求項31または32記載の供給機構。
【請求項34】
前記流路が分配位置に位置決めされたとき、1つの対象物を発射する気体流を発生するよう構成された気体流発生機構を更に備え、それによって前記対象物を分配することを特徴とする請求項1乃至33いずれか1項記載の供給機構。
【請求項35】
前記回転部材は複数の対象物を1つずつ分配するよう配置されていることを特徴とする請求項1乃至34いずれか1項記載の供給機構。
【請求項36】
前記複数の流路はほぼ水平に延びることを特徴とする請求項1乃至35いずれか1項記載の供給機構。
【請求項37】
第1および第2の回転部材を備え、前記第1の回転部材は前記複数の流路を備え、前記第2の回転部材は前記第1の回転部材から分配された複数の対象物を受け入れるように配列されており、前記第1の回転部材は第1の軸の周りを回転するように構成され、前記第2の回転部材は前記第の軸を横切る第2の軸の周りを回転するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至36いずれか1項記載の供給機構。


【請求項38】
前記第1の回転部材から前記第2の回転部材への対象物移送点で、前記第1の回転部材の接線速度が前記第2の回転部材の接線速度に等しくなるように、前記第1および前記第2の回転部材を回転させるように構成された同期部材を更に備えていることを特徴とする請求項37記載の供給機構。
【請求項39】
前記第2の回転部材はその周辺領域周りに配列された複数の対象物収容凹部を有し、使用中は複数の対象物が前記回転部材の一方の前記流路から他方の前記凹部に連続的に通過するように、前記同期機構が前記回転部材の回転を同期させるように構成されていることを特徴とする請求項38記載の供給機構。
【請求項40】
請求項1乃至39いずれか1項記載の供給機構を備えるフィルターロッド製造機であって、前記フィルターロッド製造機は前記供給機構から複数の対象物を受け入れ、複数のフィルターロッドを製造し、各ロッドは前記対象物のうちの1つ以上をその内部に有する、フィルターロッド製造機。
【請求項41】
フィルタープラグ材およびフィルターラッパーを収容し包装された細長いフィルターロッドを形成するように構成され舌状突起を備える付属装置と、
前記細長いフィルターロッドを切断するように構成され、それによってフィルターロッド片を形成し、各フィルターロッド片は1つ以上の対象物を内部に有する、切断機とを備え、
前記供給機構は第1および第2の回転部材を備え、前記第2の回転部材は前記第1の回転部材から1つ以上の対象物を受け入れるように配置され、前記第2の回転部材は、前記舌状突起を通過する前記フィルタープラグ材に1つ以上の対象物が挿入されるように、1つ以上の対象物を直接前記舌状突起内に供給するように配置されることを特徴とする請求項40記載のフィルターロッド製造機。
【請求項42】
前記第2の回転部材に収容された各対象物が前記舌状突起内の出口点で対象物搬送部材から出るように、前記第2の回転部材は前記舌状突起を貫通していることを特徴とする請求項41記載のフィルターロッド製造機。
【請求項43】
前記複数の対象物はそれぞれ液体を収容した破砕可能なカプセルであることを特徴とする請求項1乃至42いずれか1項記載の供給機構。
【請求項44】
複数の対象物を供給して複数のタバコ産業製品に挿入する方法であって、
複数の流路を有する回転部材を回転させて、前記回転部材と共に回転する複数の流路内で複数の対象物を一列に集合させることと、
1つの対象物が分配される前にその対象物を1つの列内に正圧または負圧によって保持することと、
前記複数の対象物を分配することと
を含む方法。
【請求項45】
1つの流路内の1つの列内の1つの対象物が分配される間、正圧または負圧を加えてその列内の複数の対象物を外側向きに移動しないようにすることを更に含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項46】
1つの流路内の複数の対象物の外側向きの移動を制限することは、前記1つの流路内の最も外側の対象物が分配される間前記1つの流路内の外側から2番目の対象物を吸引によって保持することを含むことを特徴とする請求項45記載の方法。
【請求項47】
最も外側の対象物が分配される前に、この最も外側の対象物を回転する流路の所定位置に保持することを更に含むことを特徴とする請求項44乃至46いずれか1項記載の方法。
【請求項48】
前記対象物は前記列内に吸引によって保持されることを特徴とする請求項44乃至47いずれか1項記載の方法。
【請求項49】
複数の対象物を第1の投入部から前記流路の第1の組へ移動させ、複数の対象物を第2の投入部から前記流路の第2の組へ移動させることを更に含むことを特徴とする請求項44乃至48いずれか1項記載の方法。
【請求項50】
流路が分配位置に位置決めされたときに、気体流を発生させて1つの対象物を前記流路から発射し、それによってこの対象物を分配することを更に含むことを特徴とする請求項44乃至49いずれか1項記載の方法。
【請求項51】
複数の対象物を連続した複数の流路から連続的に分配することを更に含むことを特徴とする請求項44乃至50いずれか1項記載の方法。
【請求項52】
複数の対象物を連続した複数の流路から更なる回転部材の連続した凹部に連続的に分配することを更に含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項53】
複数の対象物を供給して複数のタバコ産業製品に挿入する方法であって、
複数の対象物を第1の投入部から回転部材の1つ以上の流路の第1の組に案内することと、
複数の対象物を第2の投入部から前記回転部材の1つ以上の流路の第2の組に案内することと、
前記回転部材を回転させて、複数の対象物が前記流路内を遠心力的に促されて通過するようにすることと
を含む方法。
【請求項54】
複数の対象物を供給して複数のタバコ産業製品に挿入する方法であって、
第1の回転部材を回転させ、それと共に回転する複数の流路内を、複数の対象物を遠心力的に促がして通過させることと、
複数の対象物が隣り合う複数の流路を通過するときに複数の対象物間の角距離が変化するようにこれら対象物を前記複数の流路内に案内することと、
前記複数の流路から分配された複数の対象物を第2の回転部材の対象物収容凹部に収容することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタバコ産業機械に関する。より詳細には、複数の対象物を供給して紙巻きタバコのような複数のタバコ産業製品に挿入する供給機構に関するがこれに限定されない。
【背景技術】
【0002】
フィルター付き紙巻きタバコの製造に使用されるフィルターロッドは、ハウニマシーネンバウAG(Hauni Maschinenbau AG)のKDF−2フィルター製造機などのフィルターロッド製造機械によって製造される。製造機の中では、トウと呼ばれるセルロースアセテートフィルタープラグ材料が原料から通路に沿って引き抜かれた後に圧縮され、ガーニチャーで巻かれて細長い巻かれたロッドが形成され、これが切断されて個々のロッドが形成される。このロッドを形成する過程はいわゆる当業者には既知である。
【0003】
また、メントールを収容した破砕可能なカプセルをフィルター内に入れたフィルター付き紙巻きタバコを提供することも知られている。フィルターを押しつぶし、それによってカプセルを壊し、メントールを放出することによって、紙巻きタバコの煙を選択的に風味付けすることができる。すなわち、紙巻きタバコが煙をメントールで風味付けするか否かの選択肢を提供している。
【0004】
破砕可能なカプセルはこれまで、トウがフィルターロッド製造機械を通過するときに、個々のカプセルを1個ずつ供給ホイールからトウの流れに分配することによって、喫煙品のフィルターロッド内に組み込まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は複数の対象物を供給して複数のタバコ産業製品に挿入する供給機構を提供し、供給機構は、複数の対象物を収容し複数の流路を有する回転部材を備え、各流路は使用中に回転部材と共に回転する流路内で複数の対象物が一列に集合するように構成され対象物をこの流路から分配するための出口を有し、供給機構は更に、1つの列内の1つの対象物が分配される前、その対象物をその列内に保持するよう構成された空圧式機構を備える。
【0006】
本明細書に使用されているように「空圧式機構」なる用語は、対象物を分配する前の対象物の保持に吸引および/または気体流を用いる何らかの機能を指す。ふさわしい機構には、負圧を利用して対象物を保持する真空機構、または正圧を同じ目的に利用する圧縮空気機構または同種の機構がある。
【0007】
好ましくは、対象物は液体を収容した破砕可能なカプセルである。
【0008】
空圧式機構はカプセルを所定位置に選択的に保持することによって流路に沿ったカプセル移動を制御し、それによって供給機構からのカプセルの規則的な供給を容易にする。
【0009】
供給機構によってカプセルに加わる衝撃/圧力が減少し、カプセルを損傷することなく高速に供給することができる。具体的には、カプセル分配前の吸引および/または気体流手段によるカプセル保持によって、カプセルを確実に傷つかないように保持する。
【0010】
好ましくは、供給機構は第1および第2の回転部材を備え、第1の回転部材は上記の複数の流路を備え、第2の回転部材は流路からカプセルを受け入れる複数のカプセル収容凹部を備える。第2の回転部材は複数のカプセルをトウの流れの中に連続的に供給するように構成してもよい。
【0011】
好ましくは、第1の回転部材は第1の軸のまわりを回転するように構成され、第2の回転部材は第1の軸を横切る第2の軸のまわりを回転するように構成される。好ましくは、供給機構は同期機構を備えており、同期機構は回転部材の回転を同期させるように構成されている。そのため使用中は、対象物が第1の回転部材の連続した流路から第2の回転部材の連続した凹部へ連続的に通過する。好ましくは、同期機構によって、第1の回転部材から第2の回転部材へのカプセル移送点で第1の回転部材の接線速度が第2の回転部材の接線速度と確実に等しくなる。これによってカプセルへの接線方向の衝撃が無いことから、移送中はたとえ高速であってもカプセルを確実に優しく取り扱うことができる。その結果、ひびが入ったカプセルが最終のフィルターロッドに入る恐れが減る。
【0012】
好ましくは、第1の回転部材はほぼ水平に置かれ、第2の回転部材はほぼ垂直に置かれる。好ましくは、対象物は水平に置かれた回転部材から垂直に置かれた回転部材へほぼ垂直方向に供給される。好ましくは、水平に置かれた回転部材は反時計方向に回転し、垂直に置かれた回転部材は時計方向に回転するが、その逆でもよい。
【0013】
好ましくは、流路は対象物を回転部材の周縁方向に案内する。流路は、好ましくは回転部材の回転の軸を横切る方向に延びる。好ましくは、流路および列は回転部材の回転の中心に対して半径方向外向きに延びる。あるいは、流路および列は半径方向通路からずれていてもよく、湾曲していてもよい。好ましくは、回転部材はほぼ垂直な軸のまわりを回転する。
【0014】
好ましくは、回転部材の回転によって各流路は連続的に分配位置に到達する。
【0015】
空圧式機構は負圧を利用してカプセルを回転する流路内に保持してもよく、またはその代わりに、この目的に正圧を利用してもよい。
【0016】
しかし好ましくは、空圧式機構は吸引機構である。
【0017】
好ましくは、吸引機構は、流路が分配位置にあるときは吸引を解除して1つの対象物が流路の出口を通過できるようにし、対象物が分配される前は吸引してその対象物が出口を通過しないように構成される。
【0018】
好ましくは、吸引機構は入り口領域を含み、回転部材は入り口領域に対し相対回転するように構成されている。好ましくは、各流路は入り口領域と整列する1つ以上の開口部を有して、使用中に開口部が入り口領域と整列すると開口部経由で吸引する。1つ以上の開口部はそれぞれ流路内に形成された開口部を好ましく備える。
【0019】
好ましくは、吸引機構は、流路内の1つの対象物が分配される間、その流路内の複数の対象物の外向きの動きを制限するように構成される。これによって、所定数の対象物が分配位置に位置決めされたときに流路から分配される。
【0020】
好ましくは、各流路は回転部材の回転中に複数の対象物を流路内に一列に閉じ込めるよう構成される。
【0021】
好ましくは、吸引機構は、流路が分配位置と位置決めされたとき、流路内の最も外側の対象物の吸引を解除して最も外側の対象物を分配することができるように構成される。吸引機構は、好ましくは最も外側の対象物が分配される間、流路内の外側から2番目の対象物を保持するように構成される。この構成によって、流路が分配位置に位置決めされたときに、最も外側の対象物だけが流路から確実に分配される。
【0022】
好ましくは、流路の側壁は流路内の対象物を横方向に拘束するように構成される。更に好ましくは、流路は側壁および天井を有する閉鎖された流路である。対象物は回転中も天井によって流路内に確実に保持される。
【0023】
好ましくは、回転部材は1つ以上の板で形成される。流路は板の1つに形成された溝によって形成されてもよい。
【0024】
更に好ましくは、回転部材は上板と下板とから形成される。
【0025】
回転部材を2部品で形成することによって、溝を上板に機械加工して流路を形成することが容易になり、下板を機械加工して所望の形状を得ることも容易になる。
【0026】
回転部材は、その中に収容された複数の対象物が1つ以上の流路の第1の組の中へ入るよう配置された第1の投入部と、その中に収容された複数の対象物が1つ以上の流路の第2の組の中へ入るよう配置された第2の投入部とを備えてもよい。
【0027】
回転部材は、対象物を第1の投入部から流路の第2の組のいずれにも入れないように、かつ対象物を第2の投入部から流路の第1の組のいずれにも入れないように配置された1つ以上の隔壁を含むのが好ましい。1つ以上の隔壁は回転部材の内部壁を構成してもよい。
【0028】
供給機構は、流路が分配位置に位置決めされたときに気体流を発生して対象物を放出するように構成された気体流発生機構を備えるのが好ましい。
【0029】
気体流発生機構は、空気の噴流を対象物に向けて対象物を押し出すように構成された空気噴出機構を備えてもよい。その代わりまたはそれに加えて、気体流発生機構は真空吸引機構を備えて、流路が分配位置に位置決めされたときに対象物を流路から吸引しそれによって対象物を分配してもよい。
【0030】
本発明は複数の対象物を供給して複数のタバコ産業製品の中に挿入する方法も提供し、本方法は、回転部材と共に回転する流路内に複数の対象物が一列に集合するように複数の流路を有する回転部材を回転させることと、一つの列内の1つの対象物が分配される前に、その対象物を吸引および/または気体流によってその列内に保持することと、対象物を分配することとを含む。
【0031】
本発明はまた、供給機構を備えるフィルターロッド製造機を提供する。フィルターロッド製造機は、複数の対象物を供給機構から受け取り、複数のフィルターロッドを製造し、各ロッドは1つ以上の対象物をその中に有するように構成してよい。
【0032】
好ましくは、フィルターロッド製造機はフィルタープラグ材およびフィルターラッパーを収容し、包装された細長いフィルターロッドを形成するように構成されたガーニチャーを備える。好ましくは、本ガーニチャーは舌状突起を備える。好ましくは、本製造機は細長いフィルターロッドを切断するように構成された切断機を備え、それによってフィルターロッドセグメントを形成し、各セグメントは1つ以上の対象物をその中に有する。第2の回転部材を配置して対象物を舌状突起内に直接供給し、舌状突起を通過するフィルタープラグ材に対象物を挿入してもよい。好ましくは、第2の回転部材に収容された各対象物が舌状突起内の出口点の対象物移送部材から抜け出るように、第2の回転部材は舌状突起内を貫通している。
【0033】
好ましくは、対象物は香味剤を含有する破砕可能なカプセルである。
【0034】
本明細書で使用されているように、「香味料」および「香味剤」は、各国の規制が認可し所望の味または風味を作り出すために製品に使用してよい材料を意味する。これらには抽出物を含み例えば:カンゾウ、アジサイ、ホウノキ、カモミール、コロハ、クローブ、メントール、和種ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、桃、リンゴ、ドランブイ(Dramboui)、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セルリー、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、桂皮、キャラウェー、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピメント、ジンジャー、アニス、コリアンダー、コーヒー、または何らかの種のハッカ属のミント油a)、香料遮蔽剤、苦み受容体部位ブロッカー、受容体部位促進剤、甘味料例えば、スクラロース、カリウムアセサルフェーム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、サクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、またはマンニトール、および他の添加物例えばクロロフィル、無機物、植物、または息清涼剤である。これらは模倣品、合成物または自然材料、またはその混合物でもよい。
【0035】
本発明はまた、入り口トウ案内部と充填ノズルを有するガーニチャー領域を備えるフィルターロッド製造機も提供する。充填ノズルの出口と入り口トウ案内部の投入口との間には隙間がある。好ましくは、入り口トウ案内部は、ガーニチャーの舌状突起の入り口部分である。好ましくは、上記隙間は空間である。更に好ましくは、上記隙間はほぼ10mmである。
【0036】
本発明はまた、喫煙品の製造に使用されるフィルターロッドを製造する機械も提供し、第1および第2の部分を有する舌状突起と回転式対象物搬送部材とを備え、フィルターロッド製造機は、上記第1の舌状突起部を備える第1の本体部と、上記対象物搬送部材および上記第2の舌状突起部を備える第2の本体部と、第1および第2の本体部の相対位置を、清掃およびトウを通す目的で舌状突起内部に接近できるように第1および第2の舌状突起部が分離される第1の位置と、トウが一方から他方へ通過することができるよう第1および第2の舌状突起部が整列される第2の位置との間に調整できるように配置されたヒンジとを有する。好ましくは、第1の本体部は充填ノズルを更に備える。好ましくは、第1の本体部は遠心式供給機構を更に備える。
【0037】
本発明がより完全に理解されるように、その実施形態を、添付図面を参照してあくまで例示としてここに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】供給機構の図である。
図2a】供給機構のディスク状組立体の斜視図である。
図2b】供給機構のディスク状組立体の断面図である。
図3】ディスク状組立体の分解斜視図である。
図4】ディスク状組立体の上側ディスクの上から見た図である。
図5図4の上側ディスクの下から見た図である。
図6】ディスク状組立体の下側ディスクの上から見た図である。
図7】ディスク状組立体の吸引リングの底部平面図である。
図8】分配位置におけるディスク状組立体の回転式供給ディスクを説明する上から見た図である。
図9】流路内の最終カプセルに真空が加えられる「滞留位置」の流路を示すディスク状組立体の断面図である。
図10】流路内の第2の最終カプセルに真空が加えられる分配位置の流路を示すディスク状組立体の断面図である。
図11】別のカプセル供給機構の図である。
図12図11の供給機構の回転式供給ディスクの上から見た図である。
図13図12の回転式供給ディスクの分解斜視図である。
図14】上側および下側ディスクの下面を示す、図11の供給機構の回転式供給ディスクの分解図である。
図15図11の供給機構の上側ディスクの上から見た図である。
図16図11の供給機構の上側ディスクの下から見た図である。
図17図11の供給機構の下側ディスクの上から見た図である。
図18図11の供給機構の下側ディスクの下から見た図である。
図19】収容されたカプセル用のカプセル通路を示す第1の投入部における断面図である。
図20】収容されたカプセル用のカプセル通路を示す第2の投入部における断面図である。
図21】吸引リング組立体を示す図である。
図22】吸引リング組立体を示す図である。
図23】吸引リング組立体を示す図である。
図24図11の供給ユニットをフィルター製造機に取り付けるための組立体を示す図である。
図25図11の供給ユニットをフィルター製造機に取り付けるための組立体を示す図である。
図26】フィルター製造機に取り付けられた図11の供給ユニットを示す図である。
図27】供給ユニットが高い位置にあるフィルター製造機の図である。
図28】別の上側ディスクの下から見た図である。
図29】フィルターロッドの図である。
図30】カプセルを正圧によって流路内に保持するための別の空圧式機構の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1はカプセル供給機構1を示す。図示のように、供給機構1は水平に置かれたディスク状組立体2と垂直に置かれた回転式供給ホイール3を備える。
【0040】
図2aはディスク状組立体2を単独に示す。図示のようにディスク状組立体2は、回転式供給ディスク4と、吸引リング5の形状の吸引機構を備える。供給ディスク4は垂直軸のまわりを静止吸引リング5に対して相対回転するように構成されている。ディスク4は、中心に置かれ破砕可能なカプセルを収容するためのカプセル投入部6を有する。半径方向に延びる複数のカプセル受け入れ口溝7が投入部6の基部に形成されている。各入り口溝7は複数の閉流路9の入り口8の1つに通じ、流路9はそれぞれ供給ディスク4内を半径方向に貫通して延びる。流路9は図2aに点線で示されており、図示のようにディスク4の周りに等間隔に配置されている。図2bの断面図に図示するように、各流路9は、ディスク4の外周近くに位置づけされ流路9の床を貫通するカプセル出口13を有するため、カプセルが供給ディスク4から供給ホイール3内へ通過することができる。図1に示すように、供給ホイール3は孔3aの形状の複数のカプセル収容凹部を有し、使用時にディスク4およびホイール3が回転するとき流路9のカプセル出口13と順次整列する。そのためカプセルはディスク4からホイール3へ順次通過することができる。
【0041】
使用中、ディスク4の回転中に投入部6内へカプセルが投入される。カプセルは、ディスク上のカプセル貯留部(図示せず)から管を経て投入部6内へ供給してもよい。検出器を含む高さ制御機構を設けて投入部6内のカプセル高さを監視してもよい。投入部6内のカプセルの高さが所定高さを下回ったときだけ、カプセル貯留部から投入部6内へカプセルを投入するように高さ制御機構を配置してもよい。あるいは、カプセルを他の手段、例えば手で投入部6に供給することもできる。
【0042】
ディスク4が回転すると、遠心力によって投入部6内に収容されたカプセルが外側方向へ入り口8まで動き、入り口溝7内を案内され、入り口8を通過し、流路9内を一列に出口13に向かって移動する。図3に示すように、各流路の天井には孔21、22が設けられており、この孔を経由して静止吸引リング5から吸引して、カプセルを選択的に所定位置に保持することによって流路9に沿ったカプセル移動を制御する。流路出口13が凹部3aと整列すると、流路9の天井の孔21は静止吸引リング5の空気噴出開口部23と整列し、正圧の空気流を作用させて流路9内の最も外側のカプセルが出口13経由で凹部3aへ押し出される。
【0043】
供給ホイール3は、回転し、製造機を通過するトウの流れにカプセルを連続的に供給してフィルターロッド内に組み込むように配置されている。カプセルをフィルタートウと接触させるカプセル供給ホイールの操作はいわゆる当業者には既知である。
【0044】
供給機構によって供給される各カプセルは、好ましくは全体に球体で、ゼラチンで形成され、香味剤、例えばメントール、スペアミント、オレガノ油、ミント、甘草、ユーカリ、種々の果実香味料または香味剤のいずれかの1つ以上の組合せが充填される内容積を有する。カプセルの直径は3.5mmでもよい。もちろん、フィルターロッドへの挿入に適した他の対象物を代わりにまたは追加で供給機構1によって供給することができる。
【0045】
遠心式の供給の結果、カプセルへの衝撃/圧力が減少し、カプセルを損傷することなく高速で供給することができる。
【0046】
ディスク4の構成要素を更に詳細に説明すると、図3の分解斜視図に示すように、ディスク4はディスク10の形状の上板とディスク11の形状の下板を含む。上側および下側ディスク10、11は互いに例えばボルトで固定されており、使用中は共に静止吸引リング5に対し相対回転する。
【0047】
上側ディスク10の底部を示す図5を参照すると、断面がU型で半径方向に延びる溝12が上側ディスク10の下側に複数形成されている。これらの溝12は閉流路9の側壁および天井を形成する。各閉流路9の床は下側ディスク11の平らな上面によって規定され、この下側ディスクは図6に立位で示されている。図6に示すように、下側ディスク11はその外周の近くに複数の孔13を有する。孔13は円周方向に間隔が空けてあり、そのため各流路9の床に孔が設けられてカプセル出口13を形成する。
【0048】
図6に示すように下側ディスク11は隆起したディスク14の形状をしたカプセル案内部を含み、これが投入部6の基部を形成しカプセルを投入部6から流路9へ案内する役目を果たす。隆起したディスク14の半径は下側ディスク11より小さい。隆起したディスク14は、複数のカプセルを収容するための滑らかに湾曲した面を形成するように形作られた中央凹部領域15を有する。入り口溝7が中央凹部領域15から半径方向外側に延び、使用中は凹部領域に収容された複数のカプセルが遠心力によってディスク14の周縁にある入り口8の方へ促され、入り口溝7によって案内される。入り口溝7間で受けられたカプセルは、入り口溝内のカプセルの流れに間隙が生じたときに、最終的に入り口溝に落ちる。
【0049】
図3および図4に示すように、投入部6は、上側ディスク10に取り付けられた漏斗16を更に備えて、カプセルをカプセル案内14の方に向ける。漏斗16は上側ディスクにボルト(図示せず)で取り付けてもよく、あるいは漏斗16と上側ディスク10を一体に形成してもよい。
【0050】
各入り口8の寸法はカプセルが一度に1個だけ入れるように設定され、流路9の寸法は各流路9に沿って一列のカプセルしか移動できないように設定される。したがって複数のカプセルが入り口8に入ると、カプセルは流路9に沿ってディスク4内をカプセル出口13に到着するまで一列になって移動する。
【0051】
図7は静止吸引リング5の下側を示す。使用中は真空ポンプ(図示せず)が吸引リング5の真空流路17を吸引し、そのようにして吸引機構の入り口領域の役目を果たす。図7を参照すると、流路17はリングの周囲の第1の半径の円弧18に倣う。図示のように、流路17は点17aで円状通路18からそれ、半径方向内側に向きを変え、その後再度向きを変えて第1の半径より小さい第2の半径の短い円弧19を形成する。次に真空流路17は再度円弧19から弧18に戻る。すなわち真空流路17は第1の半径の第1の円弧領域18および別の半径の第2の円弧領域19を備える。図7に示すように、流路17がそれることによって円弧18中に間隙20が形成され、以下に詳細に述べる真空解除領域20の役目を果たす。真空解除領域20を図8に点線で示す。
【0052】
図3〜5に示すように、上側ディスク10は、回転中に円弧領域18、19と整列するように配置された複数対の貫通孔21、22を有する。貫通孔21、22は真空流路17から流路内のカプセルを吸引することができるように位置が合わせられている。図示のように、外側孔21はディスク10の面の周りに円状に互いに等間隔に配置されている。外側孔21のピッチ円の半径は吸引リング5の外側の円弧領域18の半径に等しい。内側孔22はやや小さい半径の円状に配置され、同様に互いに等間隔である。内側孔22のピッチ円の半径は吸引リング5の内側の円弧領域19の半径に等しい。
【0053】
図5に示すように、孔21、22の各対は流路9の1つの屋根を貫通する。このようにして、各流路には外側貫通孔21と内側貫通孔22が各円弧領域18、19と整列するように設けられる。貫通孔21、22は十分に小さいためカプセルは通過できない。3.5mm径のカプセルを供給する場合、内側孔22と外側孔21の間隔は4mmでもよい。
【0054】
外側孔21は流路9内で下側ディスク11のカプセル出口13と整列するように位置決めされている。このようにして、外側孔21とカプセル出口13は両方共、真空流路17の第1の円弧領域18の半径に等しいディスク4の中心からの半径距離に配置される。
【0055】
ディスク4は回転自在に静止吸引リング5と同心に取り付けられている。使用中、ディスク4は反時計回りに回転する(上から見たとき)。回転中、各流路9の外側孔21は、静止真空流路17の第1の円弧領域18の真下を回転する。そのため吸引リング5から孔21経由で吸引することができる。外側孔21は真空解除領域20に達するまで真空流路17と整列している。真空解除領域20に達すると孔21はもはや真空流路17と整列しないため、もはや孔21を介して吸引しない。
【0056】
回転中、流路9内の最も外側のカプセルは、分配される前、孔21経由の吸引によってカプセル出口13の上に保持される。流路と出口13の寸法は、他のカプセルが外側方向に移動して最も外側のカプセルを追い越して出口13から出ないように設定されている。すなわち各流路9には一列のカプセルが形成される。
【0057】
流路9aの孔21が真空解除領域に到達すると、最も外側のカプセルの吸引が中断するため、カプセルをカプセル出口13経由で押し出すことができる。
【0058】
図7および8に示すように、吸引リング5は、真空解除領域20に配置され圧縮空気を噴出してカプセルを流路9から押し出す押し出し開口部23を含む。押し出し開口部23は上側ディスク10の外側孔21と同じ半径だけずれた位置にあるため、流路9aが図8の位置に移動すると流路9aの外側孔21は押し出し開口部23と一致する。流路9aが図8の分配位置に達すると、押し出し開口部23から外側孔21経由で空気が噴出され、流路9a内の最も外側のカプセルを供給ホイール3の凹部3aに吹き入れる。
【0059】
図示のように、押し出し開口部23は、真空解除領域20内であってカプセルが押し出される直前に吸引が中断されるような位置に配置されている。ディスク4の回転速度は十分に速いため、真空が解除された後押し出されるまでの短い自由落下時間内にはカプセルは出口13から完全には落下しない。
【0060】
次の流路9bが分配位置に移動し、同時にホイール3が時計回りに回転すると、次の凹部3aが出口13の上に位置決めされるため、流路9b内の最も外側のカプセルが分配される。連続した流路9からホイール3の連続した凹部3aへ確実に供給するため、ディスク4およびホイール3の回転速度を同期させる同期機構が設けられている。こうして供給ディスク4およびホイール3の連続回転によって、連続した各流路9の中の最も外側のカプセルが連続的にホイール3に分配される。
【0061】
流路9内の最も外側のカプセルがホイール3に分配されると、流路9は回転して真空解除領域20から外れる。すると遠心力によって流路9内のカプセル列が、新しい最も外側のカプセルが孔21に達するまで外側方向へ移動し、その位置で最も外側のカプセルが孔21経由の吸引によって出口13の上側の所定位置に保持される。ディスク4の連続回転が流路9を連続的に真空解除領域20に戻し、最も外側のカプセルが分配され、サイクルが繰り返えされる。
【0062】
同期機構によってホイール3およびディスク4の円周速度が確実に同じになり、そのためカプセルにはホイール3からディスク4への移送中も接線方向の衝撃力は作用しない。その結果、ひびが入ったカプセルが最終のフィルターロッドに入る恐れが減る。
【0063】
単一の同期原動機を用いて歯車箱を介してディスク4およびホイール3を同期駆動してもよい。比が2:1の傘歯車を有する歯車箱が適する。代わりに複数の同期原動機と位置検出器(encoder)を用いて回転を必要に応じて同期させることもできる。ベルト駆動を用いてディスク4およびホイール3を駆動してもよい。
【0064】
ホイール3は吸引筐体を備える。吸引筐体はディスク4の流路9から孔3aへのカプセル移送を補助し、複数のカプセルがトウ内へ押し出されるときにカプセルを孔3a内の所定位置に維持するのを補助するよう配置される。筐体は、ホイールの12時の位置の10度前に吸引が始まるように構成されている。ホイール3は空気の噴流を供給する押し出し開口部も含んでカプセルをホイール3からフィルタートウの中に押し出す。孔3aの深さはカプセルの直径のおよそ半分であるため、カプセルは押し出されるまでホイール3の外周上の凹部3a内に収まっている。これによってディスク4からホイール3までの移送距離が最短に保たれ、増速することができる。吸引筐体の代わりまたはそれに加えて、静止した案内部をホイールの周縁周りに位置づけてカプセルが脱落しないようにしてもよい。
【0065】
ここで内側貫通孔22を説明する。これらの孔は真空流路の第2の(内側)円弧領域19の半径に等しいディスク中心からの半径方向距離に位置づけられている。その結果、図8に示すように、流路9の孔21が真空解除領域20と整列すると流路9の内側孔22は第2の円弧領域19と一致する。内側孔22は外側孔21から離れているため、流路9が真空解除領域と整列すると列内の外側から2番目のカプセルが吸引されて、最も外側のカプセルが分配されるときに2番目のカプセルは保持される。流路9の寸法は、保持されたカプセルによって他のカプセルが外側方向にカプセル出口13を通過するのを防止するように設定されている。このようにすると、カプセルが分配されるときの列内の外向きの移動が制限される。これによって、一度に1個のカプセルだけが出口13から確実に分配される。
【0066】
流路9aが回転して真空解除領域20を過ぎると、内側孔22は真空流路17から外れ、内側孔22経由の吸引は停止し、そのため遠心力によって列内の他のカプセルは、流路9a内の最も外側のカプセルがカプセル出口13の上の位置へ移動するまで外側方向にカプセル出口13に向かって移動し、そこで孔21経由の吸引により所定位置に保持される。
【0067】
図9と10はディスク状組立体2の異なる回転位置の断面図を示す。図9は「滞留」位置にある流路9を示し、ここで流路9内の複数のカプセル24の列内の最も外側のカプセル24aが吸引される。図示のようにこの位置では、外側孔21は真空流路17と整列して最も外側のカプセル24aを所定位置に保持する。図10は分配位置にある流路9を示す。図示のように、外側孔21は押し出し開口部23と整列し、内側孔22は真空流路17と整列して最後から2番目のカプセル24bを所定位置に保持し、そのようにして列内のカプセル24bおよび他の複数のカプセル24が分配されないようにしている。
【0068】
図9および図10の説明のように、流路9内の最も外側のカプセル24aの位置が流路9内で外側から2番目のカプセル24bの位置よりも低くなるように、下側ディスク11の出口13および上側ディスク10の溝12は形作られている。これは流路9の端部でカプセルが割り込まないようにするのに役立つとともに、最も外側のカプセル24aをホイール3に更に近接させてカプセルをホイール3へ移送するときに移動しなければならない距離を短縮するのにも役立つ。
【0069】
図11〜20は別の供給機構30を説明する。図示のように、図1の供給機構1と同様、供給機構30は固定吸引リング32に対し相対回転する回転式供給ディスク31を備えるディスク状組立体を有する。回転式供給ディスク31は内部を半径方向に延びる複数の流路33a、33bも有し、カプセルをカプセル投入部34から受け取り、流路33a、33bの床内のディスク外周近くのカプセル出口35まで案内する。図12に示すように、各流路33a、33bは、図1の供給機構1のディスク10と同じ方法で配置された一対の貫通孔36、37を備える。吸引リング32は図7の吸引リング5と同じであり同じ目的を有する。すなわち流路33a、33b内の最も外側のカプセルを外側貫通孔37で分配まで保持し、最も外側のカプセルの分配中は外側から2番目のカプセルを所定位置に内側貫通孔36で保持する。吸引リング32は、流路33a、33bが分配位置にあるときにカプセルを供給板31から押し出す押し出し開口部も有する。供給ディスク4と同様に供給板31は、互いに固定された上側ディスク31aおよび下側ディスク31bから形成されている。流路33a、33bは図14に示す様に、上側ディスクの下面の半径方向溝38a、38bによって形成されている。図2の供給ディスク4と同様に、下側ディスク31bの上面は流路33a、33bの床を規定する。図13に示すように、各流路33a、33bは供給板31の外周近くに位置決めされたカプセル出口35を備え、カプセル出口35は流路33a、33bの床を貫通しているため、カプセルは供給板31から供給ホイール3へ通過することができる。
【0070】
図11の供給機構30と図1の供給機構1の違いはカプセル投入部34および流路33a、33bの構造にある。
【0071】
図示のように、カプセル投入部34は同心の2つの管34a、34bを備える。管34a、34bは供給板31の平面外に延びる。内側管34aは第1のカプセル投入部39を形成する。内側管34aと外側管34bの間隙は第2のカプセル投入部40を形成する。図13および14の説明のように、内側管34a、外側管34b、上側ディスク31a、下側ディスク31bは共にフランジ45にボルト孔46の手段によって固定されている。
【0072】
図12を参照すると、ディスク31は第1および第2のカプセル投入部39、40にそれぞれ収容された複数のカプセルを案内する二組の流路33a、33bを有する。流路33a、33bはディスク31の内部を貫通し、図12に点線で示されている。流路33a、33bの第1および第2の組は、ディスク31aの下側に形成された溝38a、38bの第1および第2の組によってそれぞれ形成される。第1および第2の組の流路33a、33bはディスク31の周りに交互に位置決めされている。溝38aの第1の組は第1のカプセル投入部39から延び、溝38bの第2の組は第2のカプセル投入部40から延びる。図20に示すように、溝38bの第2の組は内側投入部管34aと外側投入部管34bの間隙内で止まる。
【0073】
図13に示すように、下側ディスク31bは図6の隆起したディスク14に似た隆起したディスク41を有する。図14を参照すると、上側ディスク31aは隆起したディスク41を収容するよう形成された陥凹領域42を有するため、上側および下側ディスク31a、31bは平らに組み合う。しかし、隆起したディスク14とは異なり、隆起したディスク41の入り口溝43は上側ディスク31aの全ての流路には繋がらず、上側ディスク31aの1つ置きの流路33aに繋がる。すなわち、入り口溝43は流路33aの第1の組と整列するが、流路33bの第2の組とは整列しない。入り口溝43から流路33bの第2の組に通過するカプセルは回転ディスク31の内部壁によって遮断される。
【0074】
従って第1の投入部39に収容された複数のカプセルは入り口溝43によって流路33aの第1の組へ案内される。同様に、第1の投入部39に収容された複数のカプセルは排他的に流路33aの第1の組に入る。
【0075】
図13に示すように、短い流路33bは上側ディスク31aの上面に形成された細長い入り口44を有する。これら入り口44は内側投入部管34aと外側投入部管34bの間に位置決めされているため、カプセルは第2のカプセル投入部40から入り口44経由で流路33bの第2の組へ通過することができる。したがって短い流路33bは内側投入部管34aの外側に始まり、外側投入部管34bの下を通過し、そこで図20に示すように下側ディスク31bの表面下へ下がる。使用中は、第2のカプセル投入部40に収容されたカプセルは重力落下して入り口44に入り、遠心力によって移動し流路33bを通過して流路出口に至る。
【0076】
このようにして、第2の投入部40に収容された複数のカプセルは排他的に流路33bの第2の組に入る。
【0077】
図19は、回転ディスク31の、第1の組の流路33aの1つの長手方向軸に垂直な面に対する断面図である。図19は第1のカプセル投入部39から流路33aまでのカプセル通路100を説明する。
【0078】
図20は、回転ディスク31の、第2の組の流路33bの1つの長手方向軸に垂直な面に対する断面図である。図20は第2のカプセル投入部40から流路33bまでのカプセル通路110を説明する。
【0079】
すなわち、流路33aの第1の組は第1の投入部からの複数のカプセルが装填され、流路33bの第2の組は第2の投入部からの複数のカプセルが装填される。その後、供給ホイール3への移送が図1の供給機構1と関連して先に説明したように進行する。すなわち、流路が真空解除領域に達するまで、各流路内の最も外側のカプセルが吸引リング32による吸引によって保持され、真空解除領域では真空が正圧供給に切り替わり、カプセルが供給ホイール3に押し出される。流路群33a、33bは交互に配置されているため、第1および第2の投入部からの複数のカプセルは供給ホイールの凹部に交互に分配され、したがって交互にトウに分配される。
【0080】
もちろん、流路群33a、33bを交互に配置する必要は無く、どのような順番にも配置でき、供給ホイールにすなわちトウに所望の順で移送することができる。例えば、2つのカプセルを第1の投入部から連続的にホイール3に分配し、その後第2の投入部から1対のカプセルを分配し、その後1対のカプセルを第1の投入部からというように流路群33a、33bを配置することができる。
【0081】
カプセル投入部39、40には同種のカプセルを装填してもよく、または異種のカプセルを装填してもよい。例えば、カプセル投入部39、40にそれぞれ異なる香味料を有するカプセルを装填してもよい。このようにすると、流路群33a、33bの配列によって決定される任意の所望の順番で異種のカプセルをトウに分配することができる。
【0082】
更に、図16のディスク31aの流路38a、38bはディスクの周囲に等間隔であるが、これは必須ではない。その代わりに、例えば、流路33a、33bを対にして配置してもよい。その場合、対の隣り合う流路間の角距離は隣り合う対の隣り合う流路間の角距離よりも小さい。このとき供給ホイールの凹部3aの間隔は、カプセルがディスク4の連続した流路からホイール3の連続した凹部に連続的に分配されるように、上記の流路配置に対応してすなわち対の間隔に従って設定される。すなわち、カプセルを供給ホイール3からトウに連続分配の間隔を変化させて分配することができるため、最終のフィルターロッドでカプセルの任意所望の長手方向配置を実現することができる。
【0083】
一部の実施例では、流路は半径方向の通路からずれてもよい。流路は湾曲してもよい。図28は湾曲した流路33a、33bを有する別の回転部材の上側ディスクを説明している。対応する下側ディスク(図示せず)では、対応する溝の端部に一致するように出口が配置されている。
【0084】
図示のように、図28のディスクでは、流路33a、33bは対を成して配置され、各対は湾曲した流路を含む。流路が湾曲しているため対の流路の流路の出口は互いに近接して設けられている。流路入り口間の角度間隙が比較的大きいため、カプセルが流路へ入るときの詰まりが防止される。出口の間隙が比較的狭いため、対のカプセルを連続して分配する間隔が狭くなり、すなわち最終のフィルターロッド内に配置されたときのカプセル間の「ピッチ」が狭くなる。
【0085】
一実施例では、各最終のフィルターロッドは、第1の香味料(カプセル種類「A」)を有する4つのカプセルと、第2の香味料(カプセル種類「B」)を有する4つのカプセルを、順番A−B−B−A−A−B−B−Aの順に配置して含む。8つのカプセルは、例えば図29の例示的フィルターロッド200に示すように、隣り合う対のカプセル間の距離を対内の隣り合うカプセル間の距離より大きい4つの対で配置してもよい。紙巻きタバコの製造時、そのようなフィルターロッドを切断して部片にし、その部片をタバコロッドにつないで「二重カプセル」紙巻きタバコ、すなわち2つの異なるカプセルを各フィルターに含む紙巻きタバコを形成してもよい。紙巻きタバコフィルターとタバコロッドを結合して紙巻きタバコを作る方法および機械は、いわゆる当業者には既知であり本明細書では説明しない。
【0086】
このように形成された二重カプセル紙巻きタバコは、煙の特徴を変更する種々の選択肢を喫煙者に提供する。喫煙者はカプセルを取り囲む紙巻きタバコフィルターの領域に圧力を加えることによって選択的にどちらかのカプセルを破壊することができる。フィルターの外側に図画的な表示をして、どこに圧力を加えればどちらのカプセルを破壊することができるか喫煙者に示してもよい。例えば、カプセルの1つがメントール含有カプセルで他方がオレガノ油含有カプセルである場合、喫煙者はカプセルの片方だけ破壊するようにフィルターを絞る決断をして、煙をメントールの香りかオレガノ油の香りの片方で選択的に香り付けしてもよい。代わりに、喫煙者は両方のカプセルを破壊して混合した香りにしてもよく、あるいは更にその代わりにどのカプセルも破壊しないで香りを付けない紙巻きタバコを得ることを選んでもよい。一部の実施例では、両方のカプセルを紙巻きタバコの口側よりもタバコ側に近く配置することもできる。
【0087】
図21〜23は吸引リング5、32を取り付ける組立体50を説明する。図21〜23に示すようにリング5、32は取り付けリング51にボルトで固定されており、取り付けリング51は吸引リング5、32を所定位置に保持する複数の取り付け具52を備える。取り付けリング51は真空源と接続する真空接続部53を含む。図示のように、真空接続部はリング5、32の孔54と連通しており、結果的にリングの下側の真空流路17と連通している。こうすることによって、真空を真空接続部53経由で真空流路17に加えることができる。取り付けリング51は圧縮空気源と接続するための圧縮空気接続部55も含む。圧縮空気接続部は押し出し開口部23と連通しているため、カプセルを押し出す押し出し開口部に圧縮空気を加えることができる。
【0088】
図26はフィルター製造機70の所定位置にある供給ユニット30を示す。図示のように、ユニット30の回転ディスク31、吸引リング32、ホイール3が製造器70の所定位置に取り付けられている。
【0089】
機械70の稼働中、セルロースアセテートフィルター形式のフィルタープラグ材が原料から引き抜かれ、一組の延伸ローラー(図示せず)で引き延ばされ、充填ノズル73を通って更にガーニチャー74を通って圧縮される。ホイール3はカプセルを凹部3aからガーニチャー74の舌状突起76の形状をしたトウ案内に直接分配するように構成されているため、その中を通過するフィルタートウとカプセルが接触する。トウはガーニチャーの中で紙に包まれて細長いロッドに形成され、次に切断されてフィルターロッド片になり、各フィルターロッド片は例えば1個、2個、3個、または4個など所望数のカプセルを含む。
【0090】
図26を参照すると、充填ノズル73の出口はガーニチャー74の投入部から10mmの間隙だけ離れている。これは充填ノズルからの空気がガーニチャーに吹き込んでトウの中に閉じ込められるのを防止する助けとなる。もしそうしないとカプセルの位置決めが阻害される場合がある。異なる種類のトウには異なる寸法の間隙を用いてもよい。もっと重いトウの場合、多くの空気がトウの中に閉じ込められる場合があるからである。この影響は間隙を広げて相殺することができる。充填ノズル73は、端部に孔がある先細りの漏斗を有して空気が逃げられるようにしており、これが充填ノズルからの空気がトウに入るのを減らす助けにもなる。
【0091】
ホイール3は、機械70の本体75に軸上に回転自在に取り付けられている。舌状突起76はその長さに沿って先細りして、舌状突起76を通過するトウを半径方向に圧縮する。舌状突起76の入り口部分79の上部に開口部が形成されている。この開口部はホイール3のディスク部分3bを受け入れるのに十分な大きさがある。ディスク部分3bは開口部を通過して舌状突起4を貫通する。
【0092】
ホイール3を出るカプセルを、ホイール6の凹部3aから舌状突起76を通過するトウに落下させてもよい。ホイール3はカプセル押し出し機構を有してもよく、その機構には、例えばカプセルを凹部3aから舌状突起76を通過するトウに連続的に押し出すように構成された空気噴出推進機構がある。
【0093】
図24は搬送ユニット30をフィルター製造機械70に取り付ける組立体60を示す。図25に示すように、内側および外側管34a、34bはカプセル供給接続部62、63を有するカバー61を備えてもよい。カプセル供給接続部62、63はそれぞれ、カプセルを投入部39、40に供給するよう配置されている。
【0094】
図26に示すように、機械70にホッパー71a、71bを取り付けてもよい。各ホッパーは出力部72a、72bを有して、それぞれカプセルを供給接続部62、63に管の手段(図示せず)によって供給する。使用中、ホッパー71a、71bには、フィルターに挿入するために同種のカプセルまたは異種のカプセルを装填することができる。複数ホッパー71a、71bから搬送することによって高速のカプセル挿入ができる。一部の実施例では、ホッパー71a、71bにはそれぞれ異なる香味剤を含有するカプセルが装填され、切断機は、機械70によって作られた各最終のフィルターロッドが各種カプセルの1つ以上を含むように調整される。
【0095】
各カプセル投入部39、40は、投入部39、40内のカプセルの高さを監視する検出器を含む高さ制御機構を備えてもよい。高さ制御機構は、投入部39、40内のカプセルの高さが所定高さを下回ったときだけ、ホッパー71a、71bからそれぞれの投入部39、40にカプセルが投入されるように構成してもよい。
【0096】
図24〜27に示すように、機械70は、維持管理のために機械70の一部を旋回して外せるようにし、機械の始動前にトウを充填ノズル73から舌状突起4に通すのを容易にするヒンジ機構を有する。これによって舌状突起4内部の清掃も簡便になる。
【0097】
ヒンジ機構はヒンジ78と機械の下部本体の孔を通過する昇降シリンダ(図示せず)とを備える。ヒンジ78は、機械1の上部70aが下部70bに対して上方に、図27に示す上昇位置まで旋回することができるように配置されている。図示のように上部70aは、供給機構30、舌状突起76の入り口部分79、および充填ノズル3を含む。下部70bは舌状突起の固定部80を含む。
【0098】
本機械は、昇降シリンダを上昇または下降させることによって選択的に図26の位置または図27の位置のどちらかに置くことができる。昇降シリンダは油圧で作動させても空気圧で作動させてもよい。
【0099】
図24〜27はフィルター製造機70に合わせた搬送ユニット30を説明しているが、本搬送ユニットは例えば既存のフィルター製造機など、どのような製造機にも合わせることができ、またはそれに合わせて改造することができる。
【0100】
多くの他の変更形態および変形形態が可能である。
【0101】
例えば、分配前の負圧を用いたカプセル保持に吸引機構形式の空圧式機構を先に説明したが、これに制限されない。代わりに正圧機構形式の空圧式機構を本目的に用いることができる。図30は正圧機構85を説明しており、カプセル分配の前に正圧を加えて回転流路内のカプセルを保持するように構成されている。図示のように、2つの出口86、87からの正の空気圧+P1、+P2が、流路90内の外側の2つのカプセル88、89に選択的に働く。P1が働きP2が働かないと全てのカプセルが流路に保持されるが、P1が働かずP2が働くと最後のカプセル89は落下する。このように2つの出口間で圧力を切り替えることによって、最も外側のカプセルを落とす間、残りのカプセルを所定位置に保持することができる。正の空気圧+P1、+P2は圧縮空気源から提供してもよい。しかしもちろん、空気以外の気体流を用いて出口86、87から正圧を提供してもよい。
【0102】
更に、破砕可能なカプセルを供給する供給機構についてこれまで説明したが、フィルターロッドへの挿入に適した他の対象物を供給する供給機構の変形形態が想定される。挿入対象物の候補には香味剤ビーズまたはカプセル、あるいは木炭片などがある。
【0103】
更に、紙巻きタバコフィルターロッドへの挿入対象物を搬送するという背景で供給機構をここまで説明したが、代わりに本発明の供給機構を用いて、タバコロッドまたは他のタバコ産業製品またはその要素にふさわしい対象物を供給してもよい。
【0104】
当業者には自明の多くの他の改変形態および変更形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図28
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図30