【文献】
原田耕司他,ジオポリマーモルタルの耐久性に関する基礎的研究,コンクリート工学年次論文集,2011年 6月15日,Vol.33, No.1,P.1937-1942
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
参照として本明細書に援用されるPerez−Penaらによる米国特許第6869474号明細書は、水硬性セメント(ポルトランドセメント等)へアルカノールアミンを添加することおよび少なくとも90°F(32℃)の初期のスラリー温度を提供する条件下で水と共にスラリーを形成することによって達成されるセメントベースの製品(セメントボード等)の生産のためのセメント系組成物の超急結性について論じる。追加の反応性材料は、例えば高アルミナセメント、硫酸カルシウムおよびポゾラン材料(フライアッシュ等)が含まれ得る。超急結性は、セメント系製品の迅速な生産を可能にする。トリエタノールアミン添加は、フライアッシュおよび石膏のレベルを増加させても、アルミン酸カルシウムセメントの必要性なしに、比較的短い最終凝結時間を備えた配合を生産することができる非常に強力な促進剤であることが見出された。しかしながら、トリエタノールアミン含有配合は、本発明において記載されるようなフライアッシュ材料の活性化から生じるアルミノケイ酸塩相と比較して、アルミン酸塩相の有用性を限定する反応性粉末として主に水硬性セメント(ポルトランドセメントおよび石膏等)を含む。
【0004】
参照として本明細書に援用されるPerez−Penaらによる米国特許第7670427号明細書は、水硬性セメント(ポルトランドセメント等)へアルカノールアミンおよびリン酸塩を添加することおよび少なくとも90°F(32℃)の初期のスラリー温度を提供する条件下で水と共にスラリーを形成することによって達成されるセメントベースの製品(セメントボード等)の生産のための早期圧縮強度を備えたセメント系組成物の超急結性について論じる。追加の反応性材料は、例えば高アルミナセメント、硫酸カルシウムおよびポゾラン材料(フライアッシュ等)が含まれ得る。この場合もやはり、すべての組成物は有意な量の水硬性セメントおよび石膏を含んでいた。
【0005】
Perez−Penaの公開済み米国特許特許第US 010−0071597 A1号(2008年9月25日に出願された米国特許特許第12/237634号)明細書は、速い凝結時間および比較的高い早期圧縮強度を備えたコンクリート混合物を形成するフライアッシュおよびクエン酸のアルカリ金属塩(クエン酸ナトリウム等)を使用する配合を開示する。この出願中で記載されていた活性化フライアッシュ結合剤が遭遇する難題の1つは、これらの結合剤と、空気を連行しそれによって軽量ボードを作製するのに使用される従来の発泡システムとの間の明らかな最悪の相互作用である。この開示された方法に従う従来の泡により作製されたフライアッシュベースの結合剤は、泡の崩壊および/または大幅な強度低下を引き起こした。
【0006】
参照として本明細書に援用されるGalerらによる米国特許第4488909号明細書は、迅速な凝結が可能なセメント系組成物について論じる。組成物は、組成物が水と混合された後の約20分以内に、本質的にすべての可能なエトリンガイトを形成することによって、耐二酸化炭素性製品の高速での生産を可能にする。セメント系組成物の必須成分は、ポルトランドセメント、高アルミナセメント、硫酸カルシウムおよび石灰である。ポゾラン(フライアッシュ、モンモリロナイト粘土、珪藻土および軽石等)は、約25%まで添加することができる。セメント組成物は約14〜21重量%の高アルミナセメントを含み、それは他の成分と組み合わされて、エトリンガイトおよびセメント系混合物の早期の凝結のための原因である他のアルミン酸カルシウム水和物の早期の形成を可能にする。彼らの発明において、Galerらは、高アルミナセメント(HAC)を使用してアルミン酸塩および石膏を使用して硫酸イオンを提供して、エトリンガイトを形成し、セメント系混合物の迅速な凝結を達成した。
【0007】
エトリンガイトは、式Ca
6Al
2(SO
4)
3・32H
2Oまたはあるいは3CaO・Al
2O
3・3CaSO
4・32H
2Oを有する硫酸カルシウムアルミニウム化合物である。エトリンガイトは長い針状晶として形成され、セメントボードに迅速に早期強度を提供し、その結果、それらは型の中へまたは連続キャスティングおよび形成ベルトの上に注がれた後に、すぐに取り扱うことができる。
【0008】
一般に、Galerらの急結性配合は複数の制限を受ける。
【0009】
Brookらによる米国特許第5536310号明細書は、水硬性セメント(ポルトランドセメント等)を重量で10〜30部(pbw)、フライアッシュを50〜80pbw、およびカルボン酸の遊離酸として表現されるクエン酸塩またはそのアルカリ金属塩(例えばクエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム)等を0.5〜8.0pbw、緩結剤添加物(ホウ酸またはホウ砂等)を含む他の従来の添加物(それは、組成物の反応時間および凝結時間を加速して、セメント組成物中にフライアッシュ高含有量を使用するという開示された短所を克服するのに使用される)と共に含むセメント系組成物を開示する。
【0010】
Brookらによる米国特許第5536458号明細書は、水硬性セメント(ポルトランドセメント等)、フライアッシュを重量で70〜80部、およびクエン酸塩またはそのアルカリ金属塩(例えばクエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム)等の遊離カルボン酸を0.5〜8.0pbw、水酸化カリウムのような添加物、緩結剤添加物(ホウ酸またはホウ砂等)を含む他の従来の添加物(それは、組成物の反応時間および凝結時間を加速して、セメント組成物中にフライアッシュ高含有量を使用するという公知の短所を克服するのに使用される)と共に含むセメント系組成物を開示する。
【0011】
Harrisによる米国特許第4494990号明細書は、例えば25〜60pbw、例えば3〜50pbwのフライアッシュおよび1pbw未満のクエン酸ナトリウムのポルトランドセメントのセメント系混合物を開示する。
【0012】
Boggsらによる米国特許第6827776号明細書は、ポルトランドセメント、フライアッシュ(それは活性化剤のpHによって凝結時間を制御する)、酸(好ましくはクエン酸)および塩基のスラリー(それはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物または酸成分の塩でありえる)を含む水硬性セメント組成物を開示する。
【0013】
Kirkpatrickらによる米国特許第5490889号明細書は、水、フライアッシュ(50.33〜83.63pbw)、ポルトランドセメント、破砕シリカ、ホウ酸、ホウ砂、クエン酸(0.04〜2.85pbw)およびアルカリ金属活性化剤(例えば水酸化リチウム(LiOH)または水酸化カリウム)からなる、ブレンドされた水硬性セメントを開示する。
【0014】
Styronによる米国特許第5997632号明細書は、88〜98重量%のフライアッシュ、1〜10重量%のポルトランドセメントおよび約0.1〜4.0重量%のクエン酸を含む水硬性セメント組成物を開示する。所望される最小限の21%の石灰含有量を達成する石灰は、亜瀝青炭のフライアッシュまたは選鉱剤と組み合わせた亜瀝青炭のフライアッシュによって提供される。クエン酸に加えて、Styronはアルカリ源(水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム等)を使用する。
【0015】
先行技術製品のセメント系混合物の最終凝結時間は、典型的には9分を超える時間であり、標準的コンクリート製品のために2〜3時間に延長することができる。最終凝結時間は、それから作製されたコンクリート製品の取り扱いおよび積み重ねができる程度までセメント系混合物が凝結するが、化学反応は延長された期間の間継続し得る時間として、通常は定義される。
【0016】
先行技術のコンクリート製品における反応性粉末ブレンド中のタイプIポルトランドセメント(OPCとしても公知)および/またはタイプIIIポルトランドセメントの量に加えて、高アルミナセメント(アルミン酸カルシウムセメントとしても公知)の使用される量も非常に高い。典型的には、高ポルトランドセメントは反応性粉末ブレンドの60%を超え、アルミナセメントは14重量%を超える。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、改善された圧縮強度および水耐久性を有する軽量セメント系混合物を提供する方法であり、水、反応性粉末、クエン酸のアルカリ金属塩および軽量骨材を混合することを含み、水対反応性粉末固形物の比率が約0.17〜0.35:1.0、典型的には約0.17〜0.30:1.0、より好ましくは約0.2〜0.23:1.0である方法を含む。反応性粉末は、75〜100重量%のフライアッシュおよび0〜25重量%の水硬性セメントおよび/またはまたは石膏を含む。典型的には、本発明は、少なくとも室温〜115°F(24℃〜41℃)の初期スラリー温度でクエン酸カリウムおよび/またはクエン酸ナトリウムおよび水と共にフライアッシュを含むセメント系反応性粉末を混合して、好ましくは10〜13分以下、より好ましくは約4〜6分以下の急結性をもたらす。
【0038】
本発明は、促進された急速最終凝結性能および促進された早期の圧縮強度を備えたセメント系組成物も提供する。
【0039】
典型的な成分を以下の表A中にリストする。
【0041】
一般的に、水対セメント系反応性粉末の重量比は約0.15〜0.3:1.0である。不活性軽量骨材はセメント系反応性粉末の一部ではない。
【0042】
特定の理論により限定されるものではないが、早期圧縮強度の増加は、クラスCフライアッシュ単独またはクラスCおよびクラスFフライアッシュのブレンドを含む75〜100重量%のフライアッシュ鉱物高含有量を有するセメント系反応性粉末を提供すること;ならびにポルトランドセメント、アルミン酸カルシウムセメントまたは石膏が含まれないこと;ならびにセメント系反応性粉末、アルカリ金属クエン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩および水を混合して室温または20℃を超える上昇させた温度でスラリーを形成して、そしてフライアッシュ中に存在するアルカリアルミノケイ酸塩水和物および/またはアルミノケイ酸塩の水和物および/またはカルシウムアルミノケイ酸塩化合物の形成が、この反応性粉末ブレンドがアルカリ金属クエン酸塩と水和する結果として起こり得ることによる急結性により達成されるということが理論化される。
【0043】
したがって、セメント系反応性粉末を水和し、フライアッシュ中に存在するアルカリアルミノケイ酸塩水和物および他の水和物を迅速に形成する最小量の水が提供される。クエン酸のアルカリ塩の添加は、セメント系スラリーの実行可能性を非常に促進する。典型的には、スラリーにおける水対反応性粉末ブレンドの重量比は、約0.20〜0.35:1、より典型的には約0.20〜0.30:1、好ましくは約0.20〜0.25:1である。水の量は、セメント系組成物中に存在する個別の材料の必要性に依存する。
【0044】
アルカリアルミノケイ酸塩水和物および/またはアルミノケイ酸塩の他の水和物および/またはカルシウムアルミノケイ酸塩化合物は、水和プロセスにおいて非常に迅速に形成され、したがって本発明のセメント系組成物のセメント系反応性粉末ブレンドにより作製された混合物に急結性および剛性を与える。セメントベースの製品(セメントボード等)の製造において、本発明のセメント系組成物を好適な量の水と混合した後の数分以内に、セメントボードの取扱が可能になるのは、主としてアルカリアルミノケイ酸塩水和物および/またはアルミノケイ酸塩の他の水和物および/またはカルシウムアルミノケイ酸塩化合物の形成のためである。
【0045】
ASTM C266試験手順において規定されたギルモア針を使用して測定されるように、組成物の凝結は初期および最終の凝結時間を特徴づける。最終の凝結時間は、コンクリート床または道路の事例において、取り扱いまたは輸送ができるように、コンクリート製品(例えばコンクリートパネル)が十分に硬化した時間にも対応する。早期(3〜5時間)の比較的より高い圧縮強度により、変形なしにより高い応力に耐えることができるので、これはコンクリート材料の利点であり得る。最終凝結時間に到達した後に、養生反応が延長期間の間に継続されることが当業者によって理解されるだろう。
【0046】
組成物の早期の強度は、ASTM C109において規定されるような24時間または14日の養生後に圧縮強度を測定することにより特徴づけられる。早期の高強度の達成により、積み重ねられたパネルの取り扱い容易性が可能になる。
【0047】
本発明の好ましい組成物において、約5分の最終の凝結時間は、60〜65ポンド/フィート
3(pcf)の範囲のモルタル密度で達成され、約1,000〜1,400psiの範囲の立方体圧縮強度を達成する。
【0048】
セメント系反応性粉末
セメント系反応性粉末はフライアッシュおよび任意でポルトランドセメントを含む。セメント系反応性粉末は、典型的には75〜100重量%、典型的には80〜100重量%のフライアッシュおよび0〜25重量%のポルトランドセメントを含む。セメント系反応性粉末は好ましくは88.5〜100重量%のフライアッシュを含む。セメント系反応性粉末は、より好ましくは100重量%クラスCフライアッシュを含み、水硬性セメントを含まない。
【0049】
好ましくはセメント系反応性粉末は10〜40重量%の石灰を含む。しかしながら、この石灰は一般的には添加された石灰ではない。むしろ、それはフライアッシュの化学成分として含まれているものである。
【0050】
本発明のセメント系組成物のセメント系反応性粉末の主成分は、フライアッシュ鉱物添加物、好ましくはクラスCフライアッシュである。フライアッシュは、フライアッシュおよび非フライアッシュ鉱物添加物というタイトルのセクション中で以下に記載される。
【0051】
フライアッシュに加えて、セメント系反応性粉末は、0〜25重量%の任意のセメント系添加物(ポルトランドセメント、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムまたは石膏(粉末石膏)等)を含み得る。しかしながら、これらの任意のセメント系添加物を含む、本発明のより低い水分含有量のセメント系組成物(すなわち、水対反応性粉末の重量が約0.17〜0.35:1.0の比率であるセメント系組成物)は、追加のセメント系添加物なしの同じ本発明のより低い水分含有量組成物と比較して、有意に減少した圧縮強度を有する。
【0052】
例えば、いくつかのセメント系反応性粉末ブレンドにおいて、圧縮強度が必要とされない場合またはより高い水対反応性粉末の比率(例えば約0.35:1.0を超える比率)が使用される場合、ポルトランドセメントを約0〜25重量%およびフライアッシュを75〜100重量%で使用することができる。
【0053】
フライアッシュおよび非フライアッシュ鉱物添加物
従来の反応性粉末組成物の水硬性セメントは、ポゾラン特性を有するフライアッシュ(クラスCフライアッシュ、クラスFフライアッシュまたはそのブレンド等、特にクラスCフライアッシュ)で実質的に置き換えられる。実質的なセメント特性保持するか、ほとんどセメント特性がないか、またはセメント特性がない他の任意の非フライアッシュ鉱物添加物を、添加することができる。添加された場合、ポゾラン特性を有する非フライアッシュ鉱物添加物が本発明のセメント系反応性粉末において好ましい。
【0054】
ASTM C618−97は、「それ自体では殆どまたは全くセメントとしての価値はないが、微細に分割された形態で、および水分の存在下で常温で水酸化カルシウムと化学的に反応することによってセメント特性を有する化合物を形成するケイ酸質、またはケイ酸質およびアルミナ質材料」としてポゾラン材料を定義する。様々な天然材料および人工材料がポゾラン特性を保持するポゾラン材料と称されてきた。ポゾラン材料のいくつかの例は、軽石、パーライト、珪藻土、シリカフューム、凝灰岩、トラス、籾殻、メタカオリン、高炉スラグ微粉末およびフライアッシュを含む。
【0055】
これらのポゾラン材料はすべて、本発明のセメント系反応性粉末の一部として単独でまたは組み合わせた形態で使用することができる。
【0056】
フライアッシュは、本発明のセメント系反応性粉末ブレンドにおける好ましいポゾランである。以下に説明されるように、酸化カルシウムおよびアルミン酸カルシウムを高含有量で含むフライアッシュ(ASTM C618規格のクラスCフライアッシュ等)は好ましい。他の鉱物添加物(炭酸カルシウム、バーミキュライト、粘土および粉砕雲母等)も、任意の鉱物添加物として含まれ得る。
【0057】
フライアッシュは石炭の燃焼から形成される細粉副産物である。微粉炭を燃焼させる電力プラント設備のボイラーによって最も商業的に入手可能なフライアッシュが生産される。これらのフライアッシュは主にガラス質の球状の粒子に加えて、ヘマタイトおよびマグネタイトの残渣、炭、ならびに冷却の間に形成されたいくつかの結晶相からなる。フライアッシュ粒子の構造、組成および特性は、石炭の構造および組成、ならびにフライアッシュが形成される燃焼プロセスに依存する。ASTM C618規格では、コンクリートにおける使用のための2つの主要なクラス(クラスCおよびクラスF)のフライアッシュが承認される。これらの2つのクラスのフライアッシュは、一般的に地質年代にわたって起こる石炭形成プロセスにおける差異の結果である異なる種類の石炭に由来する。クラスFフライアッシュは通常は無煙炭または瀝青炭の燃焼から生産されるが、クラスCフライアッシュは通常は褐炭または亜瀝青炭から生産される。
【0058】
ASTM C618規格は主としてそれらのポゾラン特性に従ってクラスFとクラスCフライアッシュを区別する。したがって、ASTM C618規格において、クラスFフライアッシュとクラスCフライアッシュとの間の主要な仕様の差異は、組成におけるSiO
2+Al
2O
3+Fe
2O
3の最小限度である。クラスFフライアッシュについてのSiO
2+Al
2O
3+Fe
2O
3の最小限度は70%であり、クラスCフライアッシュについては50%である。したがって、クラスFフライアッシュはクラスCフライアッシュよりもポゾラン性が強い。ASTM C618規格において明確に認識されないが、クラスCフライアッシュは典型的には酸化カルシウム(石灰)を高含有量で有する。
【0059】
クラスCフライアッシュは、通常、遊離石灰(酸化カルシウム)に起因してポゾラン特性に加えてセメント特性を有し、一方クラスFは水と単独で混合した場合ほとんどセメント特性を示さない。高含有量の酸化カルシウムの存在は、クラスCフライアッシュに、水と混合した場合に、ケイ酸カルシウムおよびアルミン酸カルシウムの水酸化物の形成を引き起こすセメント質特性を保持させる。以下の例において理解されるように、クラスCフライアッシュは、特にアルミン酸カルシウムセメントおよび石膏が使用されない好ましい配合において、優れた結果を提供することが見出されている。
【0060】
典型的には、セメント系反応性粉末中のフライアッシュの少なくとも50重量%は、クラスCフライアッシュである。より典型的には、セメント系反応性粉末の少なくとも75重量%はクラスCフライアッシュである。さらにより好ましくは、セメント系反応性粉末の少なくとも88.5重量%はクラスCフライアッシュである。
【0061】
フライアッシュ中に見出される典型的な鉱物は、とりわけ、石英(SiO
2)、ムライト(Al
2Si
2O
13)、ゲーレナイト(Ca
2Al
2SiO
7)、ヘマタイト(Fe
2O
3)、マグネタイト(Fe
3O
4)である。加えて、岩中に一般に見出されるケイ酸アルミニウムの多形体鉱物(シリマナイト、カイアナイトおよびアンダルサイト等、3つすべては、Al
2SiO
5の分子式によって示される)も、フライアッシュ中に見出される。
【0062】
亜瀝青炭から作製される典型的な好適なクラスCフライアッシュは、表B中にリストされる以下の組成物を有する。
【0064】
フライアッシュの細度は典型的には、ASTM試験手順C−311(“Sampling and Testing Procedures for Fly Ash as Mineral Admixture for Portland Cement Concrete」)で試験されるように、約34%未満が325メッシュふるい(U.S.Series)上で保持されるものである。このフライアッシュにはそ自己凝結性の本質があるので、好ましくは回収されて乾燥状態で使用される。
【0065】
典型的な好適なクラスFフライアッシュは、表C中にリストされる以下の組成物を有する。
【0067】
フライアッシュは、本発明の反応性粉末のセメント系材料の実質的にすべてを構成する。他の一般的なセメント系添加物の添加はクラスCフライアッシュで必要でなく、本発明の軽量骨材組成物の極限圧縮強度を減少させることが見出された。
【0068】
クラスFフライアッシュ(クラスCフライアッシュよりも実質的に低いアルミナおよび石灰含有量を有する)が、実質的な量のクラスCフライアッシュの代わりに使用される場合の(すなわち組み合わせたフライアッシュの約46〜60重量%を超える)事例において、タイプIIIポルトランドセメントの添加は、60重量%以上のクラスCフライアッシュ(実質的により多いアルミナおよび石灰含有量を有する)を含む組成物により得られたレベルまでクラスFフライアッシュ結合剤の圧縮強度を増加させるのに必要とされることが見出された。特に最大60重量%までのクラスFフライアッシュが結合剤システム中に使用される場合、最大30重量%までのタイプIIIポルトランドセメントの添加は、クラスFフライアッシュへクラスCフライアッシュのみの添加よりも3.5倍以上結合剤の圧縮強度を増加させるのに必要とされる。したがって、クラスFフライアッシュが本結合剤において使用される場合、好ましい混合物は、約46〜60重量%のクラスFフライアッシュ、10〜29重量%のタイプIIIポルトランドセメント、および10〜32重量%のクラスCフライアッシュならびに水と共に2〜4重量%のクエン酸ナトリウムである。フライアッシュおよび必要とされる場合任意のポルトランドセメントに対する水の比率は、約0.37未満およびより好ましくは約0.33未満で維持されるべきである。
【0069】
本発明において、タイプIIIポルトランドセメントのような水硬性セメントの使用の必要性は、回避することができ、比較的迅速な早期強度の発達は、反応性粉末としてタイプIIIポルトランドセメントを含むクラスFフライアッシュの混合物の代わりにクラスCフライアッシュを実質的にすべて使用して得ることができる。反応性粉末が本発明の好ましいクラスCフライアッシュである場合、タイプIおよびタイプIIポルトランドセメント、または白色セメント、スラグセメント(高炉スラグセメント等)およびポゾランブレンドセメント、膨張セメント、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび油井セメントを含む他の水硬性セメントを含む反応性粉末において使用される他の従来のセメントは必要とされない。
【0070】
クエン酸のアルカリ金属塩
本発明において、クエン酸のアルカリ金属塩(クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム等)の使用は、比較的良好な流動性を備えた混合物を作製し、この混合物はあまりにも急速には硬化しない(すなわち室温より上の温度で混合した後に5〜10分よりも速く硬化しない)が、良好な早期圧縮強度を達成する。
【0071】
クエン酸のアルカリ金属塩(例えばクエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウム)の用量は、100部の本発明のセメント系反応性成分に基づいて、約1.5〜6.0重量%、好ましくは約1.5〜4.0重量%、より好ましくは約2.0〜3.5重量%、および最も好ましくは約3.5重量%である。したがって例えば、100ポンドのセメント系反応性粉末について、合計約1.5〜4.0ポンドのクエン酸カリウムおよび/またはクエン酸ナトリウムが存在し得る。好ましいアルカリ金属クエン酸塩は、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ならびに特にクエン酸三カリウム一水化物およびクエン酸三ナトリウム一水化物である。
【0072】
アルカリ金属ケイ酸塩
本発明において、ケイ酸のアルカリ金属塩(ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム等)の使用は、比較的良好な流動性を備えた混合物を作製し、この混合物はあまりにも急速には硬化しない(すなわち室温より上の温度で混合した後に5〜10分よりも速く硬化しない)が、良好な早期圧縮強度を達成する。
【0073】
無水のケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウムの用量は、100部の本発明のセメント系反応性成分に基づいて、約0.25〜1.0重量%、好ましくは約0.5〜1.0重量%、およびより好ましくは約1.0である。したがって例えば、100ポンドのセメント系反応性粉末について、合計約0.5〜1.0ポンドのケイ酸カリウムおよび/またはケイ酸ナトリウムが存在し得る。好ましいアルカリ金属ケイ酸塩は、無水トリオキシルメタケイ酸ナトリウムおよび特にFischer Scientific(テクニカルグレード)からのケイ酸ナトリウム五水和物212.74である。
【0074】
緩結剤
本発明の組成物中の成分としての緩結剤の使用は任意である。緩結剤の主要な機能は、スラリー混合物があまりにも急速に硬化しないように維持し、それによって異なる反応性成分間の相乗的な物理的相互作用および化学反応を促進することである。
【0075】
クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、酢酸、ホウ酸などのような従来の緩結剤は、クエン酸のアルカリ金属塩(例えばクエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム)の使用により回避することができ、これらのアルカリ金属クエン酸塩の使用は、これらの従来の緩結剤の非存在下において、良好な流動性を提供し、コンクリートスラリーがあまりにも迅速に硬化するのを防止する。
【0076】
二次的な無機凝結促進剤
上で論じられるように、アルカリ金属クエン酸塩は、追加の緩結剤の非存在下において、超急結性特徴、良好な流動性に加えて、セメント系混合物へ比較的高い圧縮強度を与える主な原因である。しかしながら、他の無機凝結促進剤は、アルカリ金属クエン酸塩と組み合わせて、本発明のセメント系組成物中の二次的な無機凝結促進剤として添加することができる。
【0077】
これらの二次的な無機凝結促進剤の添加は、アルカリ金属クエン酸塩の添加に起因して達成された減少に対する比較において、凝結時間をわずかに減少させるのみであることが予想される。かかる二次的な無機凝結促進剤の例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、亜硝酸リチウム、硫酸アルミニウム、アルカノールアミン、ポリリン酸塩、および同種のものを含む。セメントボード留め具の腐食が懸念される場合、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび塩化カルシウムの使用は回避されるべきである。二次的な無機凝結促進剤は通常は必要ではない。二次的な凝結促進剤の使用は必要とされず、本発明の好ましい組成物の一部ではない。もし使用されれば、重量で100部のセメント系反応性粉末ブレンドに対する二次的な無機凝結促進剤の重量比は、典型的には約1.0重量%未満、好ましくは約0.25重量%未満であろう。これらの二次的な無機凝結促進剤は、単独でまたは組み合わせで使用することができる。
【0078】
超可塑剤および空気連行剤
減水剤(超可塑剤)はクエン酸のアルカリ金属塩(例えばクエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム)の使用により回避することができ、これらのアルカリ金属クエン酸塩の使用は、良好な流動性を提供し、コンクリートスラリーがあまりにも迅速に硬化するのを防止する。
【0079】
空気連行剤を本発明のセメント系スラリーへ添加して、in situで気泡(泡)を形成する。空気連行剤は典型的にはコンクリート中に微視的な気泡を意図的にトラップするのに使用される界面活性剤である。あるいは、空気連行剤は泡を外部で生産するのに用いられ、この泡は混合操作の間に本発明の組成物の混合物の中へ導入されて製品の密度を減少させる。典型的には、外部で泡を生産するために、空気連行剤(液体発泡剤としても公知である)、空気および水を混合して、好適な泡生成機器において泡を形成する。泡をセメント系スラリーへ添加する前に、泡安定剤(ポリビニルアルコール)を泡へ添加することができる。
【0080】
空気連行剤/発泡剤の例は、とりわけアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゾールスルホン酸塩およびアルキルエーテル硫酸塩オリゴマーを含む。これらの発泡剤についての一般式の詳細は、米国特許第5,643,510号(参照として本明細書に援用される)中で見出すことができる。
【0081】
ASTM C 260「Standard Specification for Air−Entraining Admixtures for Concrete」(2006年8月1日)中で記載されるような規格に従うもの等の空気連行剤(発泡剤)を、使用することができる。かかる空気連行剤は当業者に周知であり、Kosmatkaら「Design and Control of Concrete Mixtures」、第14版、ポルトランドセメント協会、特に「Air Entrained Concrete」という題の8章(米国特許出願第2007/0079733A1号中で引用された)中で記載される。商業的に入手可能な空気連行材は、ビンソル(vinsol)木質樹脂、スルホン化炭化水素、脂肪酸および樹脂酸、脂肪族置換アリールスルホン酸塩(スルホン化リグニン塩、および通常はアニオン性または非イオン性の界面活性剤の形態をとる多数の他の界面活性材料等)アビエチン酸ナトリウム、飽和脂肪酸もしくは不飽和の脂肪酸およびその塩、テンサイド、アルキル−アリール−スルホ酸塩、フェノールエトキシレート、リグノスルホン酸塩、樹脂石鹸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸塩)、LAS(直線状アルキルベンゼンスルホン酸塩)、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステルもしくはその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステルもしくはその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホコハク酸塩、αオレフィンスルホン酸塩、αオレフィンスルホン酸塩のナトリウム塩、またはラウリル硫酸ナトリウムもしくはそのスルホン酸塩および混合物を含む。
【0082】
典型的には、空気連行剤(発泡剤)は、全体的なセメント系組成物の重量の約0.01〜8重量%である。
【0083】
他の化学混和剤(収縮制御剤、着色剤および粘度修飾剤(増粘剤)および内部硬化剤等)も、所望されるならば本発明の組成物中に添加することができる。
【0084】
スクリム
異なるタイプの個別の強化繊維も、本発明の結合剤により作製されたセメント系ボード組成物中に含まれ得る。ポリマーでコートしたガラス繊維等の材料ならびにポリプロピレン、ポリエチレンおよびナイロン等のポリマー材料から作製したスクリムを使用して、その機能および用途に応じて、セメントベースの製品を強化することができる。本発明に従って生産されるセメントボードは、典型的にはポリマーでコートしたガラス繊維から作製するスクリムにより強化される。
【0085】
骨材およびフィラー
開示されたセメント質反応性粉末ブレンドは本発明のセメント質組成物の迅速凝結成分を定義するが、その意図された使用および用途に応じて、組成物中に他の材料が含まれ得ることは当業者によって理解されるだろう。
【0086】
例えば、セメントボード用途については、製品の所望される機械的特性を過度に損なわずに、軽量ボードを生産することが所望される。この目的は軽量骨材およびフィラーの添加による達成される。有用な軽量骨材およびフィラーの例は、高炉スラグ、凝灰岩、軽石、膨張形態の粘土、膨張形態の頁岩および膨張形態のパーライト、中空性セラミック球、中空性塑性球、膨張プラスチックビーズおよび同種のものを含む。セメントボードの生産のために、膨張した粘土および頁岩の骨材は特に有用である。組成物中で使用する場合、膨張プラスチックビーズおよび中空性塑性球は非常に低いかさ密度であるので、重量ベースでは非常に少量でしか必要とされない。
【0087】
選択された軽量骨材またはフィラーの選択に応じて、反応性粉末ブレンドに対する軽量骨材またはフィラーの重量比は、約1/100〜200/100、好ましくは約2/100〜125/100であり得る。例えば、軽量セメントボードの作製のために、反応性粉末ブレンドに対する軽量骨材またはフィラーの重量比は、好ましくは約2/100〜125/100である。軽量製品の特色が重要な基準でない用途において、コンクリートの建物中で通常使用されるような川砂および粗骨材を、本発明の組成物の一部として利用することができる。
【0088】
初期スラリー温度
本発明において、最初に高いスラリー温度を提供する条件下でのスラリーの形成は、セメント系配合の急速凝結および硬化の達成に重要であることが見出された。初期スラリー温度は少なくともおよそ室温であるべきである。38℃〜41℃の範囲中のスラリー温度は短い凝結時間を生じ、したがって好ましい。
【0089】
一般に、この範囲内でスラリーの初期温度を増加させることは、反応が進行し、凝結時間が減少するので、温度上昇率を増加させる。したがって、95°F(35℃)の初期スラリー温度は90°F(32.2℃)の初期スラリー温度よりも好ましく、100°F(37.7℃)の温度は95°F(35℃)よりも好ましく、115°F(41.1℃)の温度は100°F(37.7℃)よりも好ましく、110°F(40.6℃)の温度は105°F(41.1℃)よりも好ましいなどである。広範囲の温度範囲の上限に接近するにつれて、初期スラリー温度を増加させる利益は減少すると考えられている。
【0090】
当業者によって理解されるように、初期スラリー温度の達成は1つ以上の方法によって遂行することができる。恐らく、最も好都合な方法はスラリーの1つまたは複数の成分を加熱することがある。実施例において、本発明者は、乾燥した反応性粉末および未反応性固形物へ添加した場合に、生じたスラリーが所望される温度であるような温度まで加熱された水を供給した。あるいは、所望されるならば、固形物は周囲温度より上で提供することができる。採用できる他の可能な方法としては、蒸気を使用してスラリーへ熱を提供することである。
【0091】
より遅い可能性があるが、周囲温度でスラリーを調製し、速やかに(例えば約10、5、2または1分内)加熱して、約90°Fまたはより高い(または他の上でリストされた範囲のいずれか)温度へ上昇させることができ、それでもなお本発明の利益が達成される。
【0092】
セメントボード等のプレキャストコンクリート製品の製造
【0093】
セメントボード等のプレキャストコンクリート製品は、反応性粉末を骨材、フィラーおよび他の必要な成分と共にブレンドし、続いて水および他の化学添加物を添加し、その直後に型中または連続キャスティングおよび形成ベルトの上に混合物を置くという連続プロセスにおいて最も効率的に製造される。
【0094】
セメント系混合物の急結性特徴に起因して、セメント系ブレンドの乾燥成分の水との混合が、キャスト操作の直前に通常行われるであろうことは認識されるべきである。アルカリアルミノケイ酸塩水和物および/またはアルミノケイ酸塩の他の水和物および/またはカルシウムアルミノケイ酸塩化合物の形成の結果として、コンクリート製品は、硬く、切断できる状態になり、取り扱われ、さらなる養生のために積み重ねられるようになる。
【0095】
2つの方法がフライアッシュ結合剤中の空気連行のために使用された。
【0096】
1つのアプローチ(以下の実施例1)は、フライアッシュ結合剤へ発泡混和剤(すなわちαオレフィンスルホン酸塩(AOS)石鹸)を添加し、フライアッシュ結合剤を決定された量の時間で混合しながらin situで泡またはエアポケットを生成することによる。第2のアプローチにおいて、泡をex−situで調製し、フライアッシュ結合剤と共にブレンドした。この事例において、フライアッシュスラリーの中へブレンドする間の泡沫の崩壊を防止するために、αオレフィンスルホン酸塩(AOS)石鹸およびポリビニルアルコール(PVOH)のブレンドを使用することが必要であることが見出された。PVOHの添加は安定剤として作用し、発泡フライアッシュ結合剤の泡安定性およびセル全体性に重要であるようである。
【0097】
ここで記載された以下の発泡フライアッシュ組成物は、全組成物のパーセントとして、75〜80.5%のフライアッシュ、3〜6%のクエン酸ナトリウム(またはクエン酸カリウム)、0.5〜1.5%のケイ酸ナトリウム、14〜20%の水および0.4〜0.7%の発泡剤を含む。クエン酸ナトリウムはクエン酸カリウムで置換することができるか、または両方のブレンドを使用することができる。好ましい発泡剤は、長炭素鎖(C
12〜C
16)から作製する安定した石鹸であり、反応が混合操作の間に起こっているので、望まれないアンモニア臭を防止するためにアンモニアを含まない。
【0098】
本成果は、発泡フライアッシュ結合剤の生産が成功するためには以下の2つのパラメータの最適化が必要とされることを示すだろう。
【0100】
フライアッシュ/クエン酸ナトリウム結合剤に泡を導入する方法。
【0101】
水、クエン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムおよび発泡剤を、最初に均質に混合する。これらの成分を反応性粉末をフライアッシュに追加する。この混合物の発泡は直ちに開始され、3〜6分内に完了する。混合物の温度上昇は混合後すぐに開始し、著者による従来の特許出願において記載されるような発熱を伴う反応を示す。室温での硬化は最初の24時間継続し、最終強度は数日内に達成される。これを形成するin situ泡結合剤は、改善された圧縮強度と関連する低重量のユニークな組み合わせを提示する。
【0102】
上記の成分は、0.18/1〜0.23の水/反応性粉末(フライアッシュ)の重量比を使用して組み合わせられた。混合物の立方体圧縮強度は標準試験手順で測定した。混合物の微細構造は走査電子顕微鏡を使用して分析した。
【実施例】
【0103】
以下の実施例は、本発明のセメント系組成物のスラリー温度上昇挙動、凝結特徴および立方体圧縮強度(CCS)に対するアルカリ金属クエン酸塩およびクエン酸ナトリウム添加の影響を示す。反応性粉末の成分としては、ポルトランドセメント、クラスCフライアッシュおよび硫酸カルシウム二水塩(粉末石膏)の混合物である。
【0104】
実施例1−混合手順(in situ発泡)
ケイ酸ナトリウムを水に添加し溶解する。クエン酸ナトリウムを溶液に添加し溶解する。生じたケイ酸ナトリウム/クエン酸ナトリウム溶液に石鹸を添加する。次いで、ケイ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよび石鹸の溶液をフライアッシュ反応性粉末に添加し、中位のスピードでHobartのミキサー中で混合する。約40秒後に、混合速度を増加し(#3)、混合を合計最大4〜6分まで継続する。
【0105】
最初にすべてのケイ酸ナトリウムがおよび次いでクエン酸ナトリウムが溶解されるまで撹拌して、2.5〜8.0%のケイ酸ナトリウム、15〜35%のクエン酸ナトリウムを含む溶液を作製する。この溶液に3〜6%の発泡剤を添加する。この添加に際して、クエン酸ナトリウム溶液の粘度は有意に増加し、クエン酸ナトリウムと発泡剤との間の相乗的な相互作用を示す。使用される界面活性剤は、Akzo Nobelからのαオレフィンスルホン酸塩(AOS)で、石鹸ブランド名はWitconate AOSであった。
【0106】
溶液の混合を室温で実行し、次いで結合剤により充填された立方体の型を、試験の時間まで90%の相対的湿度および90°Fの温度で維持した空調室中に置いた。
【0107】
この実施例は、硫酸カルシウム半水化物とのブレンドと比較した、硫酸カルシウム二水塩とブレンドしたクエン酸ナトリウムおよびクラスCフライアッシュを含む発泡結合剤の圧縮強度性能を改善するためにケイ酸ナトリウムを含む溶液を使用することの、前述の混合手順によって得られた骨材粒子に対する効果を示す。表1は、2%クエン酸ナトリウムならびに様々な用量のケイ酸ナトリウムおよび発泡剤(AOS)の添加によるin situ発泡フライアッシュスラリーについての組成物および圧縮強度の値を示す。混和剤および発泡剤はすべて、フライアッシュ粉末と3〜5分間混合する前に水に添加して、与えられた密度を得た。
図1は表1中のデータのグラフを示し、クエン酸ナトリウムおよびケイ酸ナトリウムを含む発泡フライアッシュ結合剤についての、ケイ酸ナトリウムなしでクエン酸ナトリウムを含む結合剤と比較した、圧縮強度vs密度の関係性を示す。
【0108】
フライアッシュの活性化に使用する混和剤(クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウムおよび任意の添加物(クエン酸、ホウ砂、ホウ酸等)等)は、フライアッシュ、セメントおよびいずれかの任意の軽量骨材と混合する前に混合水に添加された。
【0109】
本明細書において記載された組成物は、0.56:1.0の膨張粘土骨材対セメント反応性粉末の重量比を使用して組み合わせられた。
【0110】
立方体を、湿ったタオルを含む密封ビニール袋の内部で室温で24時間維持し、型から出し、次いで14日の試験の間90%の相対的湿度および90°Fの空調室中に置いた。立方体の粉砕に必要とされる最大荷重は、ASTM C109中の手順において規定された荷重率を満たすようにプログラムされたSATEC UTC 120HVL圧縮機を使用して測定した。
【0111】
実施例1中に含まれる組成物は、約0.26/1の水/反応性粉末の重量比、および約0.56/1の膨張粘土骨材/フライアッシュ(反応性粉末)の重量比を使用して組み合わせられた。
【0112】
アルカリクエン酸塩は室温でセメントと混合する前に水中で溶解した。セメントとの混合物への固体アルカリクエン酸塩の添加による他の実験は、同じ結果であった。Hobartのミキサー中で混合した後に、混合物を標準的な2インチの立方体の型中に置いた。
【0113】
立方体の粉砕に必要とされる最大荷重は、手順ASTM C109によって規定された荷重率を満たすようにプログラムされたSATEC UTC 120HVL圧縮機を使用して試験時に測定した。
【0114】
これらの実施例中で使用される原材料および成分は以下のとおりであった。
【0115】
ケイ酸ナトリウム
【0116】
αオレフィンスルホン酸塩石鹸(Witconate)
【0117】
クラスCフライアッシュ(Campbell)
【0118】
膨張粘土骨材
【0119】
クエン酸ナトリウム(トリクエン酸ナトリウム一水化物)
【0120】
水対フライアッシュ反応性粉末の重量比は、反応性粉末が実質的に100重量%のクラスCフライアッシュであり、石膏がほとんどない場合、典型的には0.22〜0.287:1.0、好ましくは0.22〜0.2:1の重量比の範囲中である。クラスCフライアッシュの一部がクラスFフライアッシュと置き換えられる事例において、石膏は使用されるが、石膏の量は本発明の好ましい実践によれば最小限にされる。
【0121】
実施例1(混合物1〜17)−in situ混合手順
【0122】
ケイ酸ナトリウムを最初に水に添加し溶解し、次いでクエン酸ナトリウムを溶液に添加し溶解する。次いで石鹸発泡剤をケイ酸ナトリウム/およびクエン酸ナトリウムの溶液へ添加する。次いで、ケイ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよび石鹸の生じた水溶液をクラスCフライアッシュ反応性粉末に添加し、中位のスピードでHobartのミキサー中で混合する。約40秒後に、混合機速度を増加し(#3)、混合を合計最大4〜6分まで継続する。
【0123】
最初にすべてのケイ酸ナトリウムがおよび次いでクエン酸ナトリウムが溶解されるまで撹拌して、2.5〜8.0%のケイ酸ナトリウム、15〜35%のクエン酸ナトリウムを含む溶液を作製する。この溶液に3〜6%の発泡剤を添加する。この添加に際して、クエン酸ナトリウム溶液の粘度は有意に増加し、クエン酸ナトリウムと発泡剤との間の相乗的な相互作用を示す。使用される界面活性剤は、Akzo Nobelからのαオレフィンスルホン酸塩(AOS)で、石鹸ブランド名はWitconate AOSであった。
【0124】
液体および混合を室温で維持し、結合剤を含む立方体の型を、試験の時間まで90%の相対的湿度および90°Fの温度で維持した空調室中に置いた。
【0125】
表1は、様々な用量のケイ酸ナトリウムおよび未精製の石鹸と共に20/100の重量比でクラスCフライアッシュおよび2.0重量%のクエン酸ナトリウムを含む混合物の組成物を示す。これらの組成物中で、フライアッシュに対するクエン酸ナトリウムの重量%はフライアッシュの重量に対して2.0%で一定に保たれた。表1からのデータは、クエン酸ナトリウムのみを含むフライアッシュ結合剤と比較して、クエン酸ナトリウムを含みケイ酸ナトリウムを増加させることが、発泡フライアッシュ結合剤について同じ密度で立方体圧縮強度を増加させることを示す。
【0126】
表1中のデータは、クエン酸ナトリウムの効果は、ホウ酸を含む混合物の効果と比較して、ホウ砂の存在下において減じられることも示す。同じレベル(21.8g)のクエン酸ナトリウムを含む混合物6および7の比較であるが、クエン酸を使用する(7.2g)混合物6の事例およびホウ酸の使用する(7.2g)混合物7の事例において、クエン酸を含む混合物はわずかに良好な3時間の圧縮強度であるが類似した14日の圧縮強度を有する。表1における、CCSは立方体圧縮強度についての略語である。
【0127】
【表4】
【0128】
一定のレベルのクエン酸ナトリウムとの混合物についての混合温度上昇に対するケイ酸ナトリウム含有量の増加効果は、
図1中のプロットされたグラフ中で示される。
図1において理解することができるように、より高い用量のケイ酸ナトリウムとの混合は、同じ密度での圧縮強度においてより急激な上昇を有する。
【0129】
2.0重量%のクエン酸ナトリウムを含みケイ酸ナトリウムを含まない混合物#1および#2の事例において、圧縮強度は67pcfの密度で800psi未満まで上昇し、これと比較して、2.0重量%クエン酸ナトリウムを含む同じスラリーへの0.5〜1.0重量%のケイ酸ナトリウムの添加により、同じ密度で約1200〜1400psiを超えた。この比較からケイ酸ナトリウムの存在が反応を促進することが示され、これはクエン酸ナトリウムをのみ含んでいる混合物について測定された比較的より高い早期圧縮強度と相関する。
実施例2−ex situ発泡についての混合手順
【0130】
混合手順(ex situ発泡)
【0131】
PVOH溶液(濃度2〜5%)は、PVOHが完全に溶解されるまで暖めた水(50〜80℃)を使用して最初に調製する。溶液を室温に到達させ、次いで界面活性剤石鹸(8%の石鹸液)を添加し、発泡させ、その後フライアッシュ/クエン酸ナトリウム/水スラリーを使用して標準的混合手順によりブレンドする。この実施例について、ケイ酸ナトリウムは添加されず、主要な目標はex situ発泡を使用する泡フライアッシュ結合剤に対するPVOHの影響を決定することである。使用される界面活性剤は、Akzo Nobelからのαオレフィンスルホン酸塩(AOS)で、石鹸ブランド名はWitconate AOSであった。使用されるPVOHは、Scksui Specialty Chemical America LLC、Scksui Chemical Company LtdからのCELVOL 205−Sだった。
【0132】
PVOHありで石鹸液+発泡剤を使用する実施例#2についての配合は表2−1中に含まれ、PVOHなしで4%の石鹸液+発泡剤を使用する実施例#2についての配合は表2−1中に含まれる。液体の合計量は、混合水、石鹸液中で使用する水、およびフライアッシュおよび水混合物へ添加する泡の作製に使用した発泡剤の量を含んでいた。表2−1および表2−2中に含まれたデーターポイントを
図2中でプロットする。立方体試料は実施例1中のものに類似して養生させた。
【0133】
泡安定性の改良が指摘され、この発泡手順を使用する比較的より小さな泡沫が存在する。実験室において、PVOHの添加前にex situ泡を含む混合物については、発泡結合剤は不安定化効果(崩壊等)を示し、結合剤が型の中にキャストされるとすぐに泡沫が合体することが注目された。これらの不安定化効果は発泡結合剤が空気に接する上部表面の近くで最も顕著であった。対照的に、ex situ泡へ添加されたPVOHを含む混合物は、フライアッシュ/クエン酸ナトリウム結合剤の中へブレンドされた場合、崩壊せずに、その代りに肉眼による観察が困難な微細なセルの泡のネットワークを示した。改善された泡安定性は、38〜70pcfの範囲中のスラリー密度を備えた安定した発泡フライアッシュ結合剤を可能にした。PVOHの添加は、濃度範囲の下端(38〜40pcf)での圧縮強度に対する著しい効果を示さなかったが、圧縮強度の改良は40pcfより上の密度を備えた混合物および特に50〜70pcfの範囲中の混合物について顕著だった。
図2中のグラフ中でプロットされた表2−1および2−2中に含まれる結果は、PVOHの添加を使用して、(ex situ)泡を介して添加された気泡の変形の防止によってフライアッシュ結合剤の脆性挙動を改善できることを示す。
【0134】
【表5】
【0135】
【表6】
【0136】
図2中のグラフは、表2−1中に含まれるデーターポイントについてPVOHありで予備形成された泡を持つ発泡フライアッシュ結合剤、および表2−2中のデーターポイントについてPVOHなしで予備形成された泡を持つ混合物の圧縮強度vs密度である。比較的より小さなサイズの泡により、比較的より高いパーセンテージの空気がフライアッシュ結合剤中に混合されることが可能になるので、この方法は有利である。
【0137】
実施例3−クラスFフライアッシュを使用して作製された混合物
【0138】
従来の実験はクエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウムと組み合わせて主要なセメント系結合剤としてクラスCフライアッシュの使用に集中していたが、これはクラスFフライアッシュによる予備的な結果から、クラスFフライアッシュ結合剤は、クラスCフライアッシュによる類似した配合と比較して、比較的より低い圧縮強度であることが示されたためである。使用される石炭の地域の供給源に依存して、いずれかタイプのフライアッシュを使用することが商業上所望される。周知のことであるが、化学分析から、クラスCとクラスFフライアッシュとの間の化学成分中の主要な差異は、クラスCでの石灰含有量がクラスFフライアッシュと比較してより高いということであることが示されていた(20%vs10%)。
【0139】
この実施例については、混合物は以下の成分を含んでいた。
【0140】
成分A=クラスFフライアッシュ
【0141】
成分B=タイプIII PC
【0142】
成分C=水
【0143】
プロセス可変的なX=クエン酸ナトリウム
【0144】
実施例3において使用される混合物成分の各々の量に加えて、正規化された割合についての下限および上限は、表3−1中に含まれる。研究制約が課された混合物の合計と組み合わせて、各々の成分についての下限および上限に注目されたい。例えば、実験の実際条件によって規定されるような最小水分含有量がある。加えて、混合物についての主要な成分がクラスFフライアッシュであることが指摘され、これはこれらの混合物による従来の経験に基づいて選択された。同様に、低レベルのクエン酸ナトリウムを従来の研究に基づいて選択したが、従来の研究では高いレベルを選択して比較的高いレベルで情報が集められていた。
【0145】
【表7】
【0146】
表3−2は実験的混合物デザインを示す。38の混合物を別記の標準的混合技法を使用して調製した。混合物成分を膨張粘土骨材およびパーライトと組み合わせ、一定のレベルで保持した。クエン酸ナトリウムを、フライアッシュ、セメントおよび軽量骨材との混合の前に混合水へ添加した。
【0147】
加えて、表3−2は、W/C(水/フライアッシュ+セメント)比率として表現される混合物成分を含む。フライアッシュ含有量はFA/(FA+PC)パーセンテージとして表現される。W=混合水、C=FA+PC=全セメント(または反応性粉末)、FA=クラスFフライアッシュ含有量、およびPC=ポルトランドセメントタイプIII含有量である。表3−2中で、パーセンテージとして示されなかったならば、量はグラムである。表3−2および3−3中で、PCはポルトランドセメントを意味し、FAはフライアッシュを意味する。
【0148】
【表8】
【0149】
【表9】
【0150】
表3−3は、24時間および14日の養生後に測定された実施例2において使用される混合物についての立方体圧縮強度データを含む。
【0151】
24時間のCCSデータからの観察は以下のとおりである。
【0152】
24時間の強度は水分含有量を増加させることによって有意に減少し、特に比較的より低レベルのクエン酸ナトリウムとのそれらの混合物について有意に減少した。
【0153】
強度の減少はクエン酸ナトリウムを増加させることによって補うことができる。
【0154】
ポルトランドセメントの量を増加させること(クラスFフライアッシュの量を減少させることによる)は、有意に24時間の圧縮強度を増加させる。これは、クラスCフライアッシュの使用により観察された結果に反していた。
【0155】
24時間のCCSデータからの観察は以下のとおりである。
【0156】
24時間の強度は水分含有量を増加させることによって有意に減少し、特に比較的より低レベルのクエン酸ナトリウムとのそれらの混合物について有意に減少した。
【0157】
強度の減少はクエン酸ナトリウムを増加させることによって補うことができる。ポルトランドセメントを増加させること(クラスFフライアッシュの量を減少させることによる)は、有意に24時間の圧縮強度を増加させる。これは、我々が実行した従来の試験において報告されたクラスCフライアッシュによる結果について観察された逆の挙動である。
【0158】
以下の観察は、実施例3において使用される混合物についての圧縮強度の分析から生じた。
【0159】
全体として、固形物に対する水の比率が増加されるので強度は減少する。
【0160】
24時間のCCSおよび14日のCCSは正に相関する。
【0161】
14日のCCSおよびクラスFフライアッシュ含有量は逆相関するが、ポルトランドセメント含有量に正相関する。
【0162】
実施例3の結果は、タイプIII PCを含むクラスFフライアッシュのクエン酸ナトリウムとのブレンドを使用して所望される強度を達成できることを示す。
【0163】
これらの結果は、石灰を欠くクラスFフライアッシュが使用される場合、必要とされる強度を達成するために石灰およびアルミナ含有量を補足するには、ポルトランドセメントの少量の添加が必要であることをさらに示す。
【0164】
実施例3の結果に基づくクラスFフライアッシュおよびタイプIIIポルトランドセメント配合の混合物についての好ましい配合パラメータは、以下のとおりである。
【0165】
70〜90%のクラスFフライアッシュ
【0166】
10〜30%のポルトランドセメントタイプIII
【0167】
2〜4%のクエン酸ナトリウム
【0168】
水/(フライアッシュ+ポルトランドセメント)<0.37および好ましくは<0.33
【0169】
実施例4
この実施例は、クエン酸ナトリウムおよびクラスCフライアッシュを含む発泡結合剤の圧縮強度性能を改善するためにケイ酸ナトリウムを含む溶液を使用する効果をさらに示す。
【0170】
表4−1および4−2は、水へ添加されたクエン酸ナトリウムおよび泡/石鹸を使用する発泡フライアッシュ混合物についての組成物および圧縮強度の値を示し、表3−3および3−4は、ケイ酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムおよび発泡剤がフライアッシュ反応性粉末と混合される前に水へ添加される発泡フライアッシュ混合物の組成物および圧縮強度を示す。
【0171】
表4−1中の混合物#2および#4は、それぞれ65.4および59.8pcfの密度であり、それぞれ661および479の14日の圧縮強度を有していた。表3−2において、混合物#2の圧縮強度は62.9pcfの密度で514psiの圧縮強度であり、混合物の密度を減少させる類似の有害な効果が指摘された。
【0172】
【表10】
【0173】
【表11】
【0174】
【表12】
【0175】
試験混合物はすべて1000gのクラスCフライアッシュ含有量および40グラムのクエン酸ナトリウム含有量を有し、クラスCフライアッシュの重量に基づいて4.0%のクエン酸ナトリウム重量%である。
【0176】
【表13】
【0177】
以下の試験混合物はすべて1000gのクラスCフライアッシュ含有量および40gのクエン酸ナトリウム含有量を有し、クラスCフライアッシュの重量に基づいて4.0%のクエン酸ナトリウム重量%である。
【0178】
表4−3および4−4中に示されるように、ケイ酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムの両方を含む混合物は、表3−1および3−2中のケイ酸ナトリウムなしの混合物の圧縮強度の2倍以上である圧縮強度を有していた。例えば、51.4pcfの密度である表4−3中の混合物#1は471psiの圧縮強度を有しており、それはケイ酸ナトリウムが添加されない場合に59.8の密度である表4−1中の混合物#4についての479psiの圧縮強度に同等であった。さらに、表4−4中の59.5〜65.5pcfの範囲中の密度で作製された混合物は、891〜1327psiの圧縮強度を有し、65.4pcfの密度で660psiの圧縮強度を有する表4−1中のケイ酸ナトリウムなしの混合物と比較して有利であった。
【0179】
表4−3および4−4中の結果の精査において、フライアッシュの1.5重量%を超えてケイ酸ナトリウムの重量%を増加させることは、圧縮強度を有意に改善せず、したがって好ましくない。1.5重量%を超えるケイ酸ナトリウムの用量は、発泡剤の効率を減少させる傾向も示した。ケイ酸ナトリウムの推奨される用量は、約0.25〜1.5重量%の間、好ましい範囲は約0.5〜1.0重量%である。0.25重量%ケイ酸ナトリウム未満の用量は圧縮強度の著しい改良を提供しない。
【0180】
ケイ酸ナトリウムは、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムの発泡に必要とされる混合の初期の3〜6分の間に生じる、初期の発熱性反応および粘稠なフライアッシュおよびクエン酸ナトリウム結合剤のブローイングの制御を支援するようであることも見出された。
【0181】
本発明の実施のための好ましい実施形態を記載してきたが、修飾および追加が、趣旨および範囲から逸脱せずに本発明へ行なえることは、本開示の対象とされる当業者によって理解されるだろう。