特許第5901656号(P5901656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー イノテック カンパニー リミテッドの特許一覧

特許5901656太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME}
<>
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000002
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000003
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000004
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000005
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000006
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000007
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000008
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000009
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000010
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000011
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000012
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000013
  • 特許5901656-太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME} 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901656
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】太陽電池およびその製造方法{SOLARCELLANDMANUFACTURINGMETHODOFTHESAME}
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0749 20120101AFI20160331BHJP
   H01L 31/0352 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   H01L31/06 460
   H01L31/04 340
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-550372(P2013-550372)
(86)(22)【出願日】2011年10月6日
(65)【公表番号】特表2014-503127(P2014-503127A)
(43)【公表日】2014年2月6日
(86)【国際出願番号】KR2011007397
(87)【国際公開番号】WO2012102451
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2014年9月26日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0006989
(32)【優先日】2011年1月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン クン
【審査官】 池谷 香次郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0147384(US,A1)
【文献】 特開2012−114414(JP,A)
【文献】 特開2002−319686(JP,A)
【文献】 特開2010−212614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/0749
H01L 31/0352
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成される背面電極層と、
前記背面電極層上に形成され、第2貫通溝を含む光吸収層と、
前記光吸収層上に形成されるウィンドウ層と、
前記背面電極層の内部に前記基板と前記背面電極層が接触する界面に形成されたバリア層と、
前記背面電極層の内部に前記背面電極層と前記光吸収層が接触する界面に形成されるオーミック層と、を含み、
前記バリア層と前記オーミック層は一部重なって配置される太陽電池。
【請求項2】
前記オーミック層は、二セレン化モリブデン(MoSe)を含む請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記オーミック層は、前記第2貫通溝が形成されていない領域に対応して形成される請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記バリア層はナトリウム拡散を防止する請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記バリア層は、前記第2貫通溝に対応する領域に形成された請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記バリア層の幅は前記背面電極層の幅の1/3〜2/3である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記バリア層の厚さは前記背面電極層の厚さの1/5〜1/3である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記バリア層はSiOまたはSiOを含む請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
基板上に配置され、第1貫通溝を含む背面電極層と、
前記背面電極層上に配置され、第2貫通溝を含む光吸収層と、
前記光吸収層上に配置されるウィンドウ層と、
前記背面電極層の内部に前記基板と前記背面電極層が接触する界面に形成されたバリア層と、
前記背面電極層の内部に前記背面電極層と前記光吸収層が接触する界面に形成されたオーミック層とを含む太陽電池セルを、多数個含み、
前記バリア層と前記オーミック層は一部重なって配置される太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記太陽電池セルのそれぞれは、第3貫通溝によって分離される請求項9に記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
前記バリア層は、前記第2貫通溝と前記第3貫通溝の間に対応して形成される請求項10に記載の太陽電池モジュール。
【請求項12】
前記基板は、
前記太陽電池セルが配置される活性領域と、
前記活性領域の間に配置される非活性領域と、
を含む請求項9に記載の太陽電池モジュール。
【請求項13】
前記バリア層は前記非活性領域に対応して配置され、
前記オーミック層は前記活性領域に対応して配置される請求項12に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換させるものとして、最近エネルギー需要の増加にともない商業的に広く利用されている。
【0003】
太陽電池は、ナトリウムを含む基板、背面電極層、光吸収層、ウィンドウ層の薄膜を順次形成し、その上にグリッド電極を形成することで製造される。なお、光吸収層にはCIGS化合物が用いられ、CIGS化合物が背面電極層上に形成される時、背面電極層と光吸収層の間には二セレン化モリブデン層(MoSe)が形成される。
【0004】
二セレン化モリブデン層は、背面電極層と光吸収層の間の界面接着力を増加させる効果があるが、背面電極層より抵抗が高いからウィンドウ層と背面電極層の間の接触抵抗を増加させ、これは太陽電池の全体効率を減少させる問題点を誘発する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背面電極層とウィンドウ層の間の接触抵抗を向上させ、背面電極層と光吸収層の間の界面接着力を向上させることができる、太陽電池および太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の太陽電池は、基板と、前記基板上に形成される背面電極層と、前記背面電極層上に形成され、第2貫通溝を含む光吸収層と、前記光吸収層上に形成されるウィンドウ層と、前記基板と前記背面電極層の間に形成されたバリア層と、を含む。
【0007】
本発明の太陽電池の製造方法は、基板上にバリア層を形成する段階と、前記バリア層上に背面電極層を形成する段階と、前記基板および前記背面電極層上に光吸収層を形成するとともに、前記背面電極層と前記光吸収層の間にオーミック層を形成する段階と、前記光吸収層上にウィンドウ層を形成する段階と、を含む。
【0008】
本発明の太陽電池モジュールは、基板上に配置され、第1貫通溝を含む背面電極層と、前記背面電極層上に配置され、第2貫通溝を含む光吸収層と、前記光吸収層上に配置されるウィンドウ層と、前記基板と前記背面電極層の間に形成されたバリア層と、前記背面電極層と前記光吸収層の間に形成されたオーミック層とを含む太陽電池セルを、多数個含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の太陽電池によれば、背面電極層と光吸収層の間にオーミック層を形成することで、背面電極層と光吸収層の間の界面接着力を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の太陽電池によれば、基板と背面電極層の間にバリア層を形成することで、背面電極層とウィンドウ層が連結される領域にオーミック層(二セレン化モリブデン層)が形成されることを防止できる効果がある。従って、ウィンドウ層はオーミック層より接触抵抗が優れる背面電極層と電気的に連結され、これによって太陽電池の効率が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係る太陽電池モジュールを示す平面図である。
図2】本発明の実施例に係る太陽電池を示す断面図である。
図3】本発明の実施例に係る太陽電池を、バリア層を中心に示した断面図である。
図4】本発明の実施例に係る太陽電池のバリア層の作用を説明するための断面図である。
図5】本発明の実施例に係る太陽電池のバリア層の作用を説明するための断面図である。
図6】本発明の実施例に係る太陽電池の製造工程を示す断面図である。
図7】本発明の実施例に係る太陽電池の製造工程を示す断面図である。
図8】本発明の実施例に係る太陽電池の製造工程を示す断面図である。
図9】本発明の実施例に係る太陽電池の製造工程を示す断面図である。
図10】本発明の実施例に係る太陽電池の製造工程を示す断面図である。
図11】本発明の実施例に係る太陽電池の製造工程を示す断面図である。
図12】本発明の実施例に係る太陽電池の製造工程を示す断面図である。
図13】本発明の実施例に係る太陽電池の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の説明において、各パネル、配線、電池、装置、面、またはパターン等が、各パターン、配線、電池、面、またはパターン等の「上」または「下」に形成されると記載される場合、「上」と「下」は直接または他の構成要素を介在して形成されるものを全部含む。また、各構成要素の上または下に対する基準は、図面を基準として説明する。図面における各構成要素の大きさは、説明の便宜を図り誇張されることもあり、実際適用される大きさを表すものではない。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る太陽電池モジュールを示す平面図である。前記太陽電池モジュールは、多数個の太陽電池セルC1、C2、C3…を含む。
【0014】
図1に示すように、太陽電池モジュールの基板100は、活性領域(active Area:AA)および非活性領域(non-active Area:NAA)を含む。図1では、前記活性領域AAおよび前記非活性領域NAAがストライプ形態に配置されるが、これに限定されるものではなく、マトリックス形態等多様な形態に配置することができる。
【0015】
前記活性領域AAには、太陽電池セルC1、C2、C3…が配置される。即ち、前記活性領域AAおよび前記非活性領域NAAは、前記太陽電池セルC1、C2、C3…によって区分される。
【0016】
また、前記活性領域AAはオーミック層800を含むことができる。即ち、実施例に係る太陽電池モジュールは、前記活性領域AAにオーミック層800を形成することで、背面電極層200と光吸収層300間の界面接着力を向上させることができる。
【0017】
前記非活性領域NAAは、それぞれの前記活性領域AAの間に配置される。即ち、前記活性領域AAおよび前記非活性領域NAAは互交に配置される。前記非活性領域NAAは透明にすることができる。即ち、前記非活性領域NAAには、前記太陽電池セルC1、C2、C3…が配置されないため、光が透過することができる。
【0018】
また、前記非活性領域NAAは、前記太陽電池セルC1、C2、C3…を相互連結するための配線を含むことができる。例えば、各セルのウィンドウ層と各セルと隣接したセルの背面電極層は、前記非活性領域NAAに形成された接続配線310によって連結される。
【0019】
前記非活性領域NAAは、バリア層700を含むことができる。即ち、前記バリア層700は、前記非活性領域NAA上に形成することができる。本発明の実施例に係る太陽電池は、前記バリア層700を前記非活性領域NAA上に形成することで、前記非活性領域NAAにはオーミック層800を形成しないことができる。従って、前記各セルのウィンドウ層は、オーミック層800より接触抵抗が優れる背面電極層200と前記接続配線310により電気的に連結される。これによって、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0020】
図1では、前記バリア層700と前記オーミック層800は、相互分離して配置される形態で図示されているが、これとは違って、前記バリア層700と前記オーミック層800は一部重なるように配置することができる。例えば、図2に示すように、前記バリア層700は、前記非活性領域NAA以外にも、前記活性領域AAの一部領域に形成される。また、前記オーミック層800も前記活性領域AA以外にも、前記非活性領域NAAの一部領域に形成される。これによって、前記バリア層700および前記オーミック層800は、一部重なる形態で配置される。これについては、後述する太陽電池においてより詳細に説明するようにする。
【0021】
図2は、本発明の実施例に係る太陽電池の断面図である。図3は、本発明の実施例に係る太陽電池をバリア層を中心に示す断面図である。また、図4および図5は、本発明の実施例に係る太陽電池のバリア層の機能を説明するための断面図である。
【0022】
図2に示すように、実施例に係る太陽電池は、基板100、前記基板100上に順次配置される背面電極層200、光吸収層300、バッファ層400、高抵抗バッファ層500およびウィンドウ層600を含む。また、実施例に係る太陽電池は、前記基板100と前記背面電極層200の間に配置されるバリア層700と、前記背面電極層200と前記光吸収層300の間に選択的に配置されるオーミック層800とを含む。
【0023】
前記基板100は、プレート形状となり、前記背面電極層200、前記光吸収層300、前記バッファ層400、前記高抵抗バッファ層500、前記ウィンドウ層600、前記バリア層700および前記オーミック層800を支持する。
【0024】
前記基板100は、透明で堅固または柔軟な材質からなることができる。
【0025】
前記基板100は絶縁体からなることができる。例えば、前記基板100はガラス基板、プラスチック基板、または金属基板からなることができる。より詳しくは、前記基板100は、ナトリウム成分が含まれたソーダライムガラス(soda lime glass)基板からなることができる。これとは違って、前記基板100の材質として、アルミナのようなセラミック基板、ステンレススチール、柔軟性のある高分子等を用いることができる。
【0026】
前記背面電極層200は前記基板100上に配置される。前記背面電極層200は導電層である。前記背面電極層200は、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、タングステン(W)および銅(Cu)のいずれか1つから形成されるが、これに限定されるものではない。この中で、特にモリブデン(Mo)は、他の元素に比べて前記基板100との熱膨張係数の差が少ないので、接着性が優れて剥離現象の発生を防止でき、前記背面電極層200に要求される特性を全般的に充足することができる。
【0027】
前記背面電極層200は2個以上の層を含むことができる。この時、それぞれの層は同一金属、または相互異なる金属からなることができる。
【0028】
前記背面電極層200は第1貫通溝P1を含む。即ち、前記背面電極層200は前記第1貫通溝P1によってパターニングされる。また、前記第1貫通溝P1は、図2のようにストライプ形態に限らず、マトリックス形態等多様な形態で形成されることができる。前記第1貫通溝P1の幅は約80μm〜200μmにすることができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
前記光吸収層300は前記背面電極層200上に配置される。前記光吸収層300はI-III-VI族化合物を含む。例えば、前記光吸収層300は、銅-インジウム-ガリウム-セレニド(Cu(In,Ga)(Se,S)2;CIGSS)系結晶構造、銅-インジウム-セレニド系、または銅-ガリウム-セレニド系結晶構造を有することができる。
【0030】
前記バッファ層400は前記光吸収層300上に配置される。前記バッファ層は、前記吸収層300と後述されるウィンドウ層600とのエネルギーギャップの差を緩和させる役割をすることができる。
【0031】
また、前記バッファ層400は、硫化カドミウム、ZnS、InXSYおよびInXSeYZn(O,OH)等を含む。前記バッファ層400は約50nm〜約150nmの厚さを有することができ、前記バッファ層400のエネルギーバンドギャップは約2.2eV〜2.4eVである。
【0032】
前記高抵抗バッファ層500は前記バッファ層400上に配置される。前記高抵抗バッファ層500は、高い抵抗を有するように形成され、前記ウィンドウ層600との絶縁および衝撃ダメージを防止することができる。
【0033】
前記高抵抗バッファ層500には、不純物がドーピングされていないジンクオキサイド(i-ZnO)を用いることができる。前記高抵抗バッファ層500のエネルギーバンドギャップは約3.1eV〜約3.3eVである。また、前記高抵抗バッファ層500は省略することができる。
【0034】
前記光吸収層300、前記バッファ層400および前記高抵抗バッファ層500は、第2貫通溝P2を含むことができる。即ち、前記光吸収層300、前記バッファ層400および前記高抵抗バッファ層500は、前記第2貫通溝P2によって貫通される。前記第2貫通溝P2によって、前記背面電極層200の一部は露出される。前記第2貫通溝P2の幅は約80μm〜約200μmにすることができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
前記第2貫通溝P2には前記ウィンドウ層600を形成する物質と同一物質を充填することができ、これによって接続配線310が形成される。前記接続配線310は、前記ウィンドウ層600と前記背面電極層200を電気的に連結することができる。
【0036】
前記ウィンドウ層600は透光性伝導性物質からなることができる。また、前記ウィンドウ層600はn型半導体の特性を有することができる。この時、前記ウィンドウ層600は、前記バッファ層400と一緒にn型半導体層を形成して、p型半導体層である前記光吸収層300とpn接合を形成することができる。前記ウィンドウ層600は、例えばアルミニウムがドーピングされたジンクオキサイド(AZO)からなることができ、約100?〜約500?の厚さを有することができる。
【0037】
前記ウィンドウ層600、前記高抵抗バッファ層500、前記バッファ層400および前記光吸収層300は、第3貫通溝P3を含む。即ち、前記ウィンドウ層600、前記高抵抗バッファ層500、前記バッファ層400および前記光吸収層300は、前記第3貫通溝P3によって貫通される。前記第3貫通溝P3によって、前記背面電極層200の一部は露出される。前記第3貫通溝P3の幅は約80μm〜約200μmにすることができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
また、実施例に係る太陽電池は、前記基板100と前記背面電極層200の間に配置されるバリア層700を更に含む。前記バリア層700は、後述するオーミック層800を前記背面電極層200の一部領域にのみ形成させる役割をする。即ち、前記バリア層700は、前記基板100から生成されるナトリウムの拡散を防止することができる。
【0039】
前記バリア層700は、前記基板100と前記背面電極層200の間に形成される。前記バリア層700は、前記背面電極層200の内部に形成することができる。より詳しくは、前記バリア層700は、前記基板と前記背面電極層200が接触する界面に形成される。
【0040】
また、前記バリア層700は、前記光吸収層300に形成された第2貫通溝P2に対応する背面電極層200の領域に形成される。より詳しくは、前記バリア層700は、前記第2貫通溝P2と前記第3貫通溝P3の間に対応して形成される。
【0041】
前記バリア層700は、SiOまたはSiOを含むことができる。また、図3に示すように、前記バリア層700の幅の長さL2は前記背面電極層200幅の長さL1の1/3〜2/3の範囲に形成され、前記バリア層700の厚さT3は前記背面電極層200厚さT1の1/5〜1/3に形成される。
【0042】
また、実施例に係る太陽電池は、前記背面電極層200と前記光吸収層300の間に前記オーミック層800が選択的に形成される。
【0043】
図3に示すように、前記オーミック層800は前記背面電極層200の内部に形成することができる。前記オーミック層800は前記背面電極層200内の上部領域に形成することができる。より詳しくは、前記オーミック層800は、前記背面電極層200と前記光吸収層300が接触する界面に形成される。また、前記オーミック層800は、前記光吸収層300に形成された前記第2貫通溝P2と対応しないように、前記背面電極層200の上部一側にのみ形成される。
【0044】
また、図2および図3に示すように、前記バリア層700と前記オーミック層800は一部重なって(D)配置されるが、これに限定されない。即ち、図1のように、前記バリア層700と前記オーミック層800は、相互重なる領域がないように配置されることができる。
【0045】
前記オーミック層800は、モリブデン(Mo)とセレン(Se)を両方とも含む化合物からなることができる。例えば、前記オーミック層800は二セレン化モリブデン(MoSe)を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
前記オーミック層800は、前記光吸収層300のCIGS化合物が前記背面電極層200上に同時蒸着される時、自然的に形成される。また、前記オーミック層800の形成は、前記基板100に含まれたナトリウム成分によって促進される。即ち、前記基板100に含まれたナトリウム成分は、前記光吸収層300のセレン(Se)成分と前記背面電極層200のモリブデン(Mo)成分の結合および生成を促進させることができる。
【0047】
図4および図5は、実施例に係る太陽電池のバリア層700の機能を説明するための断面図である。図4に示すように、前記背面電極層200上に前記光吸収層300が蒸着される過程で、前記基板100に含まれたナトリウム成分は前記背面電極層200に向かって移動する。この時、前記バリア層700の下部(A領域)に存在するナトリウム成分は、前記バリア層700によって移動できない。
【0048】
反面、前記バリア層700が形成されていない領域(B領域)のナトリウム成分は、前記背面電極層200の上部へと容易に移動できる。これによって、前記A領域から前記背面電極層200へと移動するナトリウムの量は、前記B領域から前記背面電極層200へと移動するナトリウムの量より少ない。
【0049】
これによって、前記基板100のナトリウム成分と前記光吸収層300に含まれたセレンが結合される量は、前記背面電極層200の領域によって相互異なるようになる。即ち、図5に示すように、前記B領域の背面電極層200にはオーミック層800が厚く形成される。これとは違って、前記A領域の背面電極層200にはオーミック層800が形成されないか、薄く形成される。勿論、前記A領域にも前記基板100のナトリウム成分と前記光吸収層300のセレン成分が結合されるが、その結合量は極少量であるため、前記オーミック層800の厚さを非常に薄くすることができる。
【0050】
即ち、実施例に係る太陽電池において、前記オーミック層800は前記バリア層700によって、前記光吸収層300に形成された第2貫通溝P2と対応しないように前記背面電極層200上の一部にのみ形成される。
【0051】
図6図13は、実施例に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。本製造方法に関する説明では、前述した太陽電池に対する説明を参考とし、その重複説明は適宜省略する。
【0052】
図6および図7に示すように、基板100上にバリア層700を形成する。前記バリア層700は、前記基板100にバリア層700を蒸着し、前記バリア層700を多数個に分離されるようにパターニングして製造される。前記パターニング工程は、レーザースクライビング、湿式・乾燥エッチング等多様な方法によって行うことができる。
【0053】
例えば、ナトリウムを含むソーダライム基板100が用意され、前記基板100の一面にバリア層700を蒸着する段階を実行する。この時、前記バリア層700は、化学気相蒸着法(CVD)、スパッタリングによって形成することができ、約0.3μm〜約0.6μmの厚さに形成することができる。より詳しくは、前記バリア層700は、約0.2μm〜約0.3μmの厚さに形成することができる。
【0054】
図8に示すように、前記基板100および前記バリア層700上に背面電極層200が形成される。前記背面電極層200は、PVD(Physical Vapor Deposition)またはメッキ等の方法によって形成することができる。また、前記基板100および背面電極層200の間に、拡散防止膜等のような他の層を介在させることができる。
【0055】
次に、図9に示すように、前記バリア層700が前記背面電極層200の一定領域に位置するように、前記背面電極層200をパターニングして第1貫通溝P1を形成する。
【0056】
図10に示すように、前記背面電極層200上に光吸収層300が形成される。また、前記背面電極層200上に光吸収層300が形成されるとともに、前記背面電極層200と前記光吸収層300の間にはオーミック層800が形成される。
【0057】
即ち、前記光吸収層300が形成される過程で、前記光吸収層300に含まれたセレン(Se)とソーダライム基板100に含まれたナトリウム成分が結合して、前記光吸収層300と前記背面電極層200の間にオーミック層800が形成される。また、図4および図5で説明したように、前記オーミック層800は、前記バリア層700によって前記背面電極層200上の一定領域にのみ選択的に形成される。
【0058】
次に、図11に示すように、前記光吸収層300上にバッファ層400および高抵抗バッファ層500が形成される。前記バッファ層400は、前記光吸収層300上に硫化カドミウムをCBD(Chemical bath deposition)法によって蒸着することで形成することができる。
【0059】
前記高抵抗バッファ層500は、前記バッファ層400上に配置される。前記高抵抗バッファ層500は、不純物がドーピングされていないジンクオキサイド(i-ZnO)を含む。前記高抵抗バッファ層500のエネルギーバンドギャップは、約3.1eV〜3.3eVである。また、前記高抵抗バッファ層500は省略することができる。
【0060】
次に、図12に示すように、前記高抵抗バッファ層500、前記バッファ層400、前記光吸収層300に第2貫通溝P2を形成する。前記第2貫通溝P2は、前記第1貫通溝P1と一定間隔離隔されて形成される。前記第2貫通溝P2は、機械的(Mechanical)の方法、またはレーザーを照射して形成することができる。例えば、前記第2貫通溝P2は、スクライビング工程によって形成することができる。ここで、前記第2貫通溝P2は、前記オーミック層800と対応しないように形成される。
【0061】
図13に示すように、前記高抵抗バッファ層500上にウィンドウ層600を形成する。前記ウィンドウ層600は、前記高抵抗バッファ層500上に透明な導電物質を積層して形成することができる。この時、前記透明な導電物質が前記第2貫通溝P2内部にも挿入されて接続配線310が形成される。
【0062】
前記接続配線310は、前記ウィンドウ層600と前記背面電極層200を電気的に連結する。上述したように、前記接続配線310が形成される第2貫通溝P2は、前記オーミック層800と対応しないように配置される。これによって、前記ウィンドウ層600は前記オーミック層800より接触抵抗が優秀な前記背面電極層200と電気的に連結され、これによって、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0063】
以後、前記ウィンドウ層600、前記高抵抗バッファ層500、前記バッファ層400、前記光吸収層300を貫通する第3貫通溝P2を形成する。前記第3貫通溝P2は、前記第2貫通溝P2と一定間隔離隔されて形成される。
【0064】
前記第3貫通溝P3によって、前記背面電極層200、前記光吸収層300、前記バッファ層400および前記高抵抗バッファ層500を含む太陽電池セルC1、C2、C3…が形成される。即ち、前記太陽電池セルC1、C2、C3…は、前記第3貫通溝P3によって分離される。
【0065】
前記第3溝320は、機械的(Mechanical)の方法、またはレーザーを照射して形成することができ、前記背面電極パターン200の上面が露出するように形成される。
【0066】
以上、本発明を特定の実施例を中心に説明したが、これは本発明を限定するものではなく例示であり、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者によって、本発明の技術思想と特許請求の範囲内で多様な修正と変形が可能なことは勿論である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13