(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の説明において、各パネル、配線、電池、装置、面、またはパターン等が、各パターン、配線、電池、面、またはパターン等の「上」または「下」に形成されると記載される場合、「上」と「下」は直接または他の構成要素を介在して形成されるものを全部含む。また、各構成要素の上または下に対する基準は、図面を基準として説明する。図面における各構成要素の大きさは、説明の便宜を図り誇張されることもあり、実際適用される大きさを表すものではない。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る太陽電池モジュールを示す平面図である。前記太陽電池モジュールは、多数個の太陽電池セルC1、C2、C3…を含む。
【0014】
図1に示すように、太陽電池モジュールの基板100は、活性領域(active Area:AA)および非活性領域(non-active Area:NAA)を含む。
図1では、前記活性領域AAおよび前記非活性領域NAAがストライプ形態に配置されるが、これに限定されるものではなく、マトリックス形態等多様な形態に配置することができる。
【0015】
前記活性領域AAには、太陽電池セルC1、C2、C3…が配置される。即ち、前記活性領域AAおよび前記非活性領域NAAは、前記太陽電池セルC1、C2、C3…によって区分される。
【0016】
また、前記活性領域AAはオーミック層800を含むことができる。即ち、実施例に係る太陽電池モジュールは、前記活性領域AAにオーミック層800を形成することで、背面電極層200と光吸収層300間の界面接着力を向上させることができる。
【0017】
前記非活性領域NAAは、それぞれの前記活性領域AAの間に配置される。即ち、前記活性領域AAおよび前記非活性領域NAAは互交に配置される。前記非活性領域NAAは透明にすることができる。即ち、前記非活性領域NAAには、前記太陽電池セルC1、C2、C3…が配置されないため、光が透過することができる。
【0018】
また、前記非活性領域NAAは、前記太陽電池セルC1、C2、C3…を相互連結するための配線を含むことができる。例えば、各セルのウィンドウ層と各セルと隣接したセルの背面電極層は、前記非活性領域NAAに形成された接続配線310によって連結される。
【0019】
前記非活性領域NAAは、バリア層700を含むことができる。即ち、前記バリア層700は、前記非活性領域NAA上に形成することができる。本発明の実施例に係る太陽電池は、前記バリア層700を前記非活性領域NAA上に形成することで、前記非活性領域NAAにはオーミック層800を形成しないことができる。従って、前記各セルのウィンドウ層は、オーミック層800より接触抵抗が優れる背面電極層200と前記接続配線310により電気的に連結される。これによって、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0020】
図1では、前記バリア層700と前記オーミック層800は、相互分離して配置される形態で図示されているが、これとは違って、前記バリア層700と前記オーミック層800は一部重なるように配置することができる。例えば、
図2に示すように、前記バリア層700は、前記非活性領域NAA以外にも、前記活性領域AAの一部領域に形成される。また、前記オーミック層800も前記活性領域AA以外にも、前記非活性領域NAAの一部領域に形成される。これによって、前記バリア層700および前記オーミック層800は、一部重なる形態で配置される。これについては、後述する太陽電池においてより詳細に説明するようにする。
【0021】
図2は、本発明の実施例に係る太陽電池の断面図である。
図3は、本発明の実施例に係る太陽電池をバリア層を中心に示す断面図である。また、
図4および
図5は、本発明の実施例に係る太陽電池のバリア層の機能を説明するための断面図である。
【0022】
図2に示すように、実施例に係る太陽電池は、基板100、前記基板100上に順次配置される背面電極層200、光吸収層300、バッファ層400、高抵抗バッファ層500およびウィンドウ層600を含む。また、実施例に係る太陽電池は、前記基板100と前記背面電極層200の間に配置されるバリア層700と、前記背面電極層200と前記光吸収層300の間に選択的に配置されるオーミック層800とを含む。
【0023】
前記基板100は、プレート形状となり、前記背面電極層200、前記光吸収層300、前記バッファ層400、前記高抵抗バッファ層500、前記ウィンドウ層600、前記バリア層700および前記オーミック層800を支持する。
【0024】
前記基板100は、透明で堅固または柔軟な材質からなることができる。
【0025】
前記基板100は絶縁体からなることができる。例えば、前記基板100はガラス基板、プラスチック基板、または金属基板からなることができる。より詳しくは、前記基板100は、ナトリウム成分が含まれたソーダライムガラス(soda lime glass)基板からなることができる。これとは違って、前記基板100の材質として、アルミナのようなセラミック基板、ステンレススチール、柔軟性のある高分子等を用いることができる。
【0026】
前記背面電極層200は前記基板100上に配置される。前記背面電極層200は導電層である。前記背面電極層200は、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、タングステン(W)および銅(Cu)のいずれか1つから形成されるが、これに限定されるものではない。この中で、特にモリブデン(Mo)は、他の元素に比べて前記基板100との熱膨張係数の差が少ないので、接着性が優れて剥離現象の発生を防止でき、前記背面電極層200に要求される特性を全般的に充足することができる。
【0027】
前記背面電極層200は2個以上の層を含むことができる。この時、それぞれの層は同一金属、または相互異なる金属からなることができる。
【0028】
前記背面電極層200は第1貫通溝P1を含む。即ち、前記背面電極層200は前記第1貫通溝P1によってパターニングされる。また、前記第1貫通溝P1は、
図2のようにストライプ形態に限らず、マトリックス形態等多様な形態で形成されることができる。前記第1貫通溝P1の幅は約80μm〜200μmにすることができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
前記光吸収層300は前記背面電極層200上に配置される。前記光吸収層300はI-III-VI族化合物を含む。例えば、前記光吸収層300は、銅-インジウム-ガリウム-セレニド(Cu(In,Ga)(Se,S)
2;CIGSS)系結晶構造、銅-インジウム-セレニド系、または銅-ガリウム-セレニド系結晶構造を有することができる。
【0030】
前記バッファ層400は前記光吸収層300上に配置される。前記バッファ層は、前記吸収層300と後述されるウィンドウ層600とのエネルギーギャップの差を緩和させる役割をすることができる。
【0031】
また、前記バッファ層400は、硫化カドミウム、ZnS、In
XS
YおよびIn
XSe
YZn(O,OH)等を含む。前記バッファ層400は約50nm〜約150nmの厚さを有することができ、前記バッファ層400のエネルギーバンドギャップは約2.2eV〜2.4eVである。
【0032】
前記高抵抗バッファ層500は前記バッファ層400上に配置される。前記高抵抗バッファ層500は、高い抵抗を有するように形成され、前記ウィンドウ層600との絶縁および衝撃ダメージを防止することができる。
【0033】
前記高抵抗バッファ層500には、不純物がドーピングされていないジンクオキサイド(i-ZnO)を用いることができる。前記高抵抗バッファ層500のエネルギーバンドギャップは約3.1eV〜約3.3eVである。また、前記高抵抗バッファ層500は省略することができる。
【0034】
前記光吸収層300、前記バッファ層400および前記高抵抗バッファ層500は、第2貫通溝P2を含むことができる。即ち、前記光吸収層300、前記バッファ層400および前記高抵抗バッファ層500は、前記第2貫通溝P2によって貫通される。前記第2貫通溝P2によって、前記背面電極層200の一部は露出される。前記第2貫通溝P2の幅は約80μm〜約200μmにすることができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
前記第2貫通溝P2には前記ウィンドウ層600を形成する物質と同一物質を充填することができ、これによって接続配線310が形成される。前記接続配線310は、前記ウィンドウ層600と前記背面電極層200を電気的に連結することができる。
【0036】
前記ウィンドウ層600は透光性伝導性物質からなることができる。また、前記ウィンドウ層600はn型半導体の特性を有することができる。この時、前記ウィンドウ層600は、前記バッファ層400と一緒にn型半導体層を形成して、p型半導体層である前記光吸収層300とpn接合を形成することができる。前記ウィンドウ層600は、例えばアルミニウムがドーピングされたジンクオキサイド(AZO)からなることができ、約100?〜約500?の厚さを有することができる。
【0037】
前記ウィンドウ層600、前記高抵抗バッファ層500、前記バッファ層400および前記光吸収層300は、第3貫通溝P3を含む。即ち、前記ウィンドウ層600、前記高抵抗バッファ層500、前記バッファ層400および前記光吸収層300は、前記第3貫通溝P3によって貫通される。前記第3貫通溝P3によって、前記背面電極層200の一部は露出される。前記第3貫通溝P3の幅は約80μm〜約200μmにすることができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
また、実施例に係る太陽電池は、前記基板100と前記背面電極層200の間に配置されるバリア層700を更に含む。前記バリア層700は、後述するオーミック層800を前記背面電極層200の一部領域にのみ形成させる役割をする。即ち、前記バリア層700は、前記基板100から生成されるナトリウムの拡散を防止することができる。
【0039】
前記バリア層700は、前記基板100と前記背面電極層200の間に形成される。前記バリア層700は、前記背面電極層200の内部に形成することができる。より詳しくは、前記バリア層700は、前記基板と前記背面電極層200が接触する界面に形成される。
【0040】
また、前記バリア層700は、前記光吸収層300に形成された第2貫通溝P2に対応する背面電極層200の領域に形成される。より詳しくは、前記バリア層700は、前記第2貫通溝P2と前記第3貫通溝P3の間に対応して形成される。
【0041】
前記バリア層700は、SiO
2またはSiO
4を含むことができる。また、
図3に示すように、前記バリア層700の幅の長さL2は前記背面電極層200幅の長さL1の1/3〜2/3の範囲に形成され、前記バリア層700の厚さT3は前記背面電極層200厚さT1の1/5〜1/3に形成される。
【0042】
また、実施例に係る太陽電池は、前記背面電極層200と前記光吸収層300の間に前記オーミック層800が選択的に形成される。
【0043】
図3に示すように、前記オーミック層800は前記背面電極層200の内部に形成することができる。前記オーミック層800は前記背面電極層200内の上部領域に形成することができる。より詳しくは、前記オーミック層800は、前記背面電極層200と前記光吸収層300が接触する界面に形成される。また、前記オーミック層800は、前記光吸収層300に形成された前記第2貫通溝P2と対応しないように、前記背面電極層200の上部一側にのみ形成される。
【0044】
また、
図2および
図3に示すように、前記バリア層700と前記オーミック層800は一部重なって(D)配置されるが、これに限定されない。即ち、
図1のように、前記バリア層700と前記オーミック層800は、相互重なる領域がないように配置されることができる。
【0045】
前記オーミック層800は、モリブデン(Mo)とセレン(Se)を両方とも含む化合物からなることができる。例えば、前記オーミック層800は二セレン化モリブデン(MoSe
2)を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
前記オーミック層800は、前記光吸収層300のCIGS化合物が前記背面電極層200上に同時蒸着される時、自然的に形成される。また、前記オーミック層800の形成は、前記基板100に含まれたナトリウム成分によって促進される。即ち、前記基板100に含まれたナトリウム成分は、前記光吸収層300のセレン(Se)成分と前記背面電極層200のモリブデン(Mo)成分の結合および生成を促進させることができる。
【0047】
図4および
図5は、実施例に係る太陽電池のバリア層700の機能を説明するための断面図である。
図4に示すように、前記背面電極層200上に前記光吸収層300が蒸着される過程で、前記基板100に含まれたナトリウム成分は前記背面電極層200に向かって移動する。この時、前記バリア層700の下部(A領域)に存在するナトリウム成分は、前記バリア層700によって移動できない。
【0048】
反面、前記バリア層700が形成されていない領域(B領域)のナトリウム成分は、前記背面電極層200の上部へと容易に移動できる。これによって、前記A領域から前記背面電極層200へと移動するナトリウムの量は、前記B領域から前記背面電極層200へと移動するナトリウムの量より少ない。
【0049】
これによって、前記基板100のナトリウム成分と前記光吸収層300に含まれたセレンが結合される量は、前記背面電極層200の領域によって相互異なるようになる。即ち、
図5に示すように、前記B領域の背面電極層200にはオーミック層800が厚く形成される。これとは違って、前記A領域の背面電極層200にはオーミック層800が形成されないか、薄く形成される。勿論、前記A領域にも前記基板100のナトリウム成分と前記光吸収層300のセレン成分が結合されるが、その結合量は極少量であるため、前記オーミック層800の厚さを非常に薄くすることができる。
【0050】
即ち、実施例に係る太陽電池において、前記オーミック層800は前記バリア層700によって、前記光吸収層300に形成された第2貫通溝P2と対応しないように前記背面電極層200上の一部にのみ形成される。
【0051】
図6〜
図13は、実施例に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。本製造方法に関する説明では、前述した太陽電池に対する説明を参考とし、その重複説明は適宜省略する。
【0052】
図6および
図7に示すように、基板100上にバリア層700を形成する。前記バリア層700は、前記基板100にバリア層700を蒸着し、前記バリア層700を多数個に分離されるようにパターニングして製造される。前記パターニング工程は、レーザースクライビング、湿式・乾燥エッチング等多様な方法によって行うことができる。
【0053】
例えば、ナトリウムを含むソーダライム基板100が用意され、前記基板100の一面にバリア層700を蒸着する段階を実行する。この時、前記バリア層700は、化学気相蒸着法(CVD)、スパッタリングによって形成することができ、約0.3μm〜約0.6μmの厚さに形成することができる。より詳しくは、前記バリア層700は、約0.2μm〜約0.3μmの厚さに形成することができる。
【0054】
図8に示すように、前記基板100および前記バリア層700上に背面電極層200が形成される。前記背面電極層200は、PVD(Physical Vapor Deposition)またはメッキ等の方法によって形成することができる。また、前記基板100および背面電極層200の間に、拡散防止膜等のような他の層を介在させることができる。
【0055】
次に、
図9に示すように、前記バリア層700が前記背面電極層200の一定領域に位置するように、前記背面電極層200をパターニングして第1貫通溝P1を形成する。
【0056】
図10に示すように、前記背面電極層200上に光吸収層300が形成される。また、前記背面電極層200上に光吸収層300が形成されるとともに、前記背面電極層200と前記光吸収層300の間にはオーミック層800が形成される。
【0057】
即ち、前記光吸収層300が形成される過程で、前記光吸収層300に含まれたセレン(Se)とソーダライム基板100に含まれたナトリウム成分が結合して、前記光吸収層300と前記背面電極層200の間にオーミック層800が形成される。また、
図4および
図5で説明したように、前記オーミック層800は、前記バリア層700によって前記背面電極層200上の一定領域にのみ選択的に形成される。
【0058】
次に、
図11に示すように、前記光吸収層300上にバッファ層400および高抵抗バッファ層500が形成される。前記バッファ層400は、前記光吸収層300上に硫化カドミウムをCBD(Chemical bath deposition)法によって蒸着することで形成することができる。
【0059】
前記高抵抗バッファ層500は、前記バッファ層400上に配置される。前記高抵抗バッファ層500は、不純物がドーピングされていないジンクオキサイド(i-ZnO)を含む。前記高抵抗バッファ層500のエネルギーバンドギャップは、約3.1eV〜3.3eVである。また、前記高抵抗バッファ層500は省略することができる。
【0060】
次に、
図12に示すように、前記高抵抗バッファ層500、前記バッファ層400、前記光吸収層300に第2貫通溝P2を形成する。前記第2貫通溝P2は、前記第1貫通溝P1と一定間隔離隔されて形成される。前記第2貫通溝P2は、機械的(Mechanical)の方法、またはレーザーを照射して形成することができる。例えば、前記第2貫通溝P2は、スクライビング工程によって形成することができる。ここで、前記第2貫通溝P2は、前記オーミック層800と対応しないように形成される。
【0061】
図13に示すように、前記高抵抗バッファ層500上にウィンドウ層600を形成する。前記ウィンドウ層600は、前記高抵抗バッファ層500上に透明な導電物質を積層して形成することができる。この時、前記透明な導電物質が前記第2貫通溝P2内部にも挿入されて接続配線310が形成される。
【0062】
前記接続配線310は、前記ウィンドウ層600と前記背面電極層200を電気的に連結する。上述したように、前記接続配線310が形成される第2貫通溝P2は、前記オーミック層800と対応しないように配置される。これによって、前記ウィンドウ層600は前記オーミック層800より接触抵抗が優秀な前記背面電極層200と電気的に連結され、これによって、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0063】
以後、前記ウィンドウ層600、前記高抵抗バッファ層500、前記バッファ層400、前記光吸収層300を貫通する第3貫通溝P2を形成する。前記第3貫通溝P2は、前記第2貫通溝P2と一定間隔離隔されて形成される。
【0064】
前記第3貫通溝P3によって、前記背面電極層200、前記光吸収層300、前記バッファ層400および前記高抵抗バッファ層500を含む太陽電池セルC1、C2、C3…が形成される。即ち、前記太陽電池セルC1、C2、C3…は、前記第3貫通溝P3によって分離される。
【0065】
前記第3溝320は、機械的(Mechanical)の方法、またはレーザーを照射して形成することができ、前記背面電極パターン200の上面が露出するように形成される。
【0066】
以上、本発明を特定の実施例を中心に説明したが、これは本発明を限定するものではなく例示であり、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者によって、本発明の技術思想と特許請求の範囲内で多様な修正と変形が可能なことは勿論である。