(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図により本発明に係る多連型液状廃棄物処理装置の一実施形態を具体的に説明する。
【0017】
[比較例1]
図1乃至
図5を用いて
、多連型液状廃棄物処理装置の
比較例1を具体的に説明する。本
比較例1は、複数の廃棄物処理装置を連続させ、液状廃棄物の処理容量を増やした、いわゆる多連型の液状廃棄物処理装置である。
【0018】
(全体構成)
図1乃至
図3に示すように、多連型の液状廃棄物処理装置1は液状廃棄物27を収容する容器となるライナーLと、該ライナーLを着脱可能に収納する外容器となるボトルMとからなるキャニスターボトルEが複数一直線上に配置されてスタンド2により支持されている。
【0019】
ボトルMは、円筒形の透明なプラスチック容器であって、その背面側にスタンド2に着脱可能に係合し得る係合部が設けられており、表面には容量を示す目盛りが切ってある。
【0020】
図1及び
図3に示すように、ライナーLは低密度ポリエチレン製で可撓性の円筒形の透明な袋の開口部に円形のプラスチック製の蓋3を熱溶着して一体化したものである。従って、ボトルMの内部にライナーLを収容したキャニスターボトルEはライナーL内に吸引されて収容された液状廃棄物27を外から容易に視認出来、ボトルMの表面に設けられた目盛りにより液状廃棄物27の量及び残存許容容量を確認することが出来る。
【0021】
また、ライナーL内の底部4上には、比重が1よりも小さく、凝固剤となる吸水性ポリマー等の吸水性材料6を保持したフロート5が浮上可能に載置されている。
【0022】
蓋3にはライナーLの内部に連通して該ライナーL内に液状廃棄物27を導入する吸引口7と、隣設する容器となるライナーLの吸引口7と接続管15を介して連結可能な排出口8が設けられており、吸引口7からライナーL内へ液状廃棄物27を吸い込み、排出口8から隣設されたライナーLの吸引口7へ液状廃棄物27を排出する。
【0023】
また、蓋3の中央部にはライナーLの内部に連通して該ライナーL内から空気を排出して内部を負圧状態とするための排気口9が設けられている。排気口9のライナーL内側の下端部には、液状廃棄物27のライナーL外への吸出しを防止するストッパーを構成する
図4(a)に示す断面逆ハット型の封止性フィルター26が固定リング23により固定されている。
【0024】
また、蓋3には、ライナーL内に外気を導入して該ライナーL内の圧力を調整し得る圧力調整孔24aが形成されたオリフィス部24が設けられている。本実施形態のオリフィス部24は蓋3に口径直径が0.3mm以上、且つ6mm以下の圧力調整孔24aが穿設され、該圧力調整孔24aの容器内側となるライナーL内で該圧力調整孔24aの外周部には下方が開口された円筒部24bが設けられている。
【0025】
圧力調整孔24aの容器内側となるライナーL内には該圧力調整孔24aから液状廃棄物27が該ライナーL外へ流出することを防止する
図4(b)に示す円柱状の封止性フィルター29が円筒部24bの下方開口端部内に嵌入されている。封止性フィルター29は、
図5(a),(b)に示すように、連続した多数の孔28aが通気孔として容器となるライナーLの内部と外部とを連通する多孔性物質28の孔28a内に吸水により増積する吸水性高分子粒子28bを内包させた物質で円柱状で構成したものであり、オリフィス部24の円筒部24b内に嵌入して気密性及び水密性の接着剤により固定されている。尚、ストッパーとしての封止性フィルター26も同様の物質で構成される。
【0026】
蓋3に穿設された圧力調整孔24aに連通する円筒部24b内に嵌入された封止性フィルター29の下端面は、排出口8の下端8aよりも高いレベル位置に配置され、該排出口8の下端8aは排気口9に連通して設けられた封止性フィルター26の下端面よりも高いレベル位置に配置される。
【0027】
上記構成により、圧力調整孔24aのライナーLの内側に設けた封止性フィルター29により、該圧力調整孔24aから液状廃棄物27が該ライナーL外へ流出することを防止することが出来る。即ち、液状廃棄物27が封止性フィルター29よりも低い位置にある場合には、該封止性フィルター29を構成する多孔性物質28の連続した多数の孔28aが通気孔としてライナーLの内部と外部とを連通し、圧力調整孔24aからライナーL内に外気を導入して液状廃棄物27が吸引されたライナーL内の圧力を調整して負圧を解消し、過剰な液状廃棄物27を吸引してライナーLの蓋3の近傍まで満杯になったり、上流側のライナーLの排出口8とその下流側のライナーLの吸引口7とを連結した接続管15内にも液状廃棄物27が充満することがなく、接続管15を安全に取り外して各ライナーLを安全に分離して廃棄することが出来る。
【0028】
一方、液状廃棄物27が封止性フィルター29の高さ位置まで上昇して、該封止性フィルター29を構成する多孔性物質28の連続した多数の孔28a内に液状廃棄物27が浸入すると、該孔28a内に内包させた吸水性高分子粒子28bが吸水して膨張増積し、該多孔性物質28の連続した多数の孔28aからなる通気孔を閉塞して圧力調整孔24aから液状廃棄物27がライナーL外へ流出することを防止することが出来る。
【0029】
図3に示すように、吸引口7のライナーL内側の下端円筒部7aの外周には、
図7(b)に示す断面逆ハット型で底部に弁構造を有する逆止弁25の筒状本体25bが嵌装固定されている。
【0030】
また、蓋3の外周部には把手10aが設けられたリング状のホルダ10が嵌合して係止されている。ホルダ10は、ボトルMの開口周縁に嵌め込んで固定するプラスチックからなる環状体に把手10aを一体的に成形したものである。
【0031】
図2に示すように、ライナーLをボトルM内に挿入する際には、スタンド2に取り付けられているキャニスターヘッド12を回動軸12aを中心に上方向に回動させて開放し、スタンド2に一直線上に配列して固定された4個のボトルM
1,M
2,M
3,M
4に夫々ライナーL
1,L
2,L
3,L
4を挿入する。
【0032】
このとき、各ライナーLを各ボトルM内に挿入した際、ホルダ10の円筒部がボトルMの開口部に嵌入されると、該ボトルMの開口周縁に設けられたパッキン11にホルダ10の鍔部が当接する。そして、キャニスターヘッド12を回動軸12aを中心に下方向に回動させて閉じることで、
図2に示すようにキャニスターヘッド12に設けられた吸引通路13がライナーLの蓋3に設けられた排気口9に連結されて連通し、これと同時に蓋3及びホルダ10が一体的にスタンド2に固定されたボトルMに押圧されてパッキン11を介してライナーLとボトルMとの間の空間が気密的に密封された状態でライナーLの蓋3がホルダ10を介してボトルMに固定される。
【0033】
第1のキャニスターボトルE
1から、第2、第3、第4のキャニスターボトルE
2,E
3,E
4の順番で一直線上に配置された第1のライナーL
1の蓋3に設けられた吸引口7にはペーシェントホース14が連結される。該ペーシェントホース14はその先端を手術、治療中に発生する廃棄すべき血液やその他の体液や分泌物、或いは膿汁または患部の洗浄に使用した生理食塩水等の液状廃棄物27を吸引すべき患者の患部等に当てて該液状廃棄物27を吸引する。
【0034】
また、第1のライナーL
1の蓋3に設けられた排出口8には接続管15を介して第2のライナーL
2の蓋3に設けられた吸引口7が連結され、第2のライナーL
2の蓋3に設けられた排出口8には接続管15を介して第3のライナーL
3の蓋3に設けられた吸引口7が連結され、第3のライナーL
3の蓋3に設けられた排出口8には接続管15を介して第4のライナーL
4の蓋3に設けられた吸引口7が連結される。
【0035】
また、連結の最後となる第4のライナーL
4においては、その蓋3に設けられた排出口8には接続管15を介して該第4のライナーL
4の蓋3に設けられた閉塞栓16に連結されている。
【0036】
接続管15の一端部は各ライナーLの蓋3に設けられた排出口8に対して回動自在且つ気密的に連結されており、排出口8を中心に接続管15を回動させて隣設されるライナーLの蓋3に形成された吸引口7或いは閉塞栓16に接続管15の他端部を選択的に連結出来るようになっている。
【0037】
ペーシェントホース14の液状廃棄物処理装置1側に接続される端部には図示しない弁部材が設けてあり、ペーシェントホース14の端部を吸引口7に接続した状態で該吸引口7の開口部周辺に設けられた突起部が弁部材に設けられたゴム弁を押し上げて開放すると共に該吸引口7の開口部内壁面に弁部材の外周部に設けられたOリングが圧接されて気密性が保持された状態でペーシェントホース14と吸引口7とが連通する。
【0038】
これら複数のキャニスターボトルEを保持するスタンド2には吸引圧力(真空圧)を調整するためのコントローラ17が設けられており、医療ガス配管設備の吸引配管設備の吸引配管の末端取り出し口(アウトレットバルブ)或いはエアポンプに接続された一次側吸引ホース18に吸引通路13、排気口9及び封止性フィルター26からなる吸引通路を介してライナーLの内部が負圧にされる。この吸引通路の中途部に、コントローラ17が接続されており、調整ハンドル17aを回転させることにより吸引圧力を調整することができる。
【0039】
一方、
図2に示すように、吸引通路13には、吸引通路19が連通されており、該吸引通路19はボトルMとライナーLとの隙間空間に連結されている。そして、ライナーLの内部の吸引圧力と、ボトルMとライナーLとの隙間空間の吸引圧力とが等しい吸引圧力で負圧にされるためボトルM内においてライナーLの内外の気圧が等しくなり、可撓性のシートによって構成されたライナーLが伸縮することなく
図2に示す状態で維持され、安定した吸引を行うことが出来る。
【0040】
排気口9には、ライナーLの蓋3と一体成形された排気管21が形成されており、この排気管21の開口端部21aに封止性フィルター26の鍔部26aの上端面が当接され、該鍔部26aの下端面に固定リング23の段部23aが当接すると共に、固定リング23の内周面に鍔部26aの外周面が嵌合されて断面逆ハット型の封止性フィルター26が気密性及び液密性の接着剤等により固定されている。
【0041】
本
比較例1では、連続した多数の孔28aが通気孔としてライナーLの内部と外部とを連通する多孔性物質28からなる封止性フィルター26が排気口9に取り付けた排気管21に外装して接続された固定リング23内に挿入嵌合して固定されているため該排気管21の断面積の範囲内で吸引を行わなければならないという制約があり、封止性フィルター26を例えば単純に円柱型とした場合には容器の内部と外部とを連通する連続した多数の孔28aからなる通気孔は排気管21の断面積に対応した通気孔の数しか吸気作用を発揮させることが出来ないため十分な吸気量が得られない場合がある。
【0042】
液状廃棄物処理装置1において、十分な吸気量が得られないと手術中の患者にとっては手術時間が長引いてしまい大きなストレスとなっている。本
比較例1では、封止性フィルター26を断面逆ハット型で構成したことにより、単純に円柱型とした封止性フィルターの場合と比較して表面積を大きくすることができ、封止性フィルター26が排気口9に取り付けた排気管21に外装して接続された固定リング23内に挿入嵌合して固定されているため該排気管21の断面積の範囲内で吸引を行わなければならないという制約がありながらも、断面逆ハット型の封止性フィルター26の筒状本体部26bの内周凹部により増加した表面積に応じてライナーLの内部と外部とを連通する連続した多数の孔28aからなる吸気作用を発揮できる通気孔の数を増加させることが出来、これにより十分な吸気量が得られ、手術中の患者のストレスを最小限に抑えることが出来る。
【0043】
(フロートの構成)
図1乃至
図3に示すように、ライナーLの底部4上にはフロート5が載置されている。フロート5はその比重が1より小さくなるよう構成され、
図1に示すようにライナーL内に液状廃棄物27が流入した際には常に該液状廃棄物27の水準まで浮上して気液界面に位置する。
【0044】
フロート5は環状体5aの内面縁部に凝固剤となる吸水性ポリマー等の吸水性材料6を充填して保持するカップ部5bがふせた形状で支持されており、本
比較例1の環状体5a及びカップ部5bは比重が1より小さいポリプロピレンによって形成されている。
【0045】
吸引口7からライナーL内に吸引された液状廃棄物27は該ライナーLとフロート5の環状体5aとの隙間、或いは環状体5aとカップ部5bとの隙間を通って下側へ回り込み、カップ部5bの周縁部に展張された透水性シート22に浸透して吸水性材料6に接触し、該吸水性材料6が膨張して該透水性シート22が破れ、吸水性材料6がライナーL内に収容された液状廃棄物27に溶け込んで該液状廃棄物27をゲル状に凝固させる。
【0046】
(封止性フィルターの構成)
封止性フィルター26,29の構成を
図4(a),(b)及び
図5を用いて説明する。
図4(a)は封止性フィルター26の形状を示す斜視説明図、
図4(b)は封止性フィルター29の形状を示す斜視説明図、
図5は封止性フィルター26,29の一部拡大断面図である。
図4(a)に示すように、封止性フィルター26は筒状本体部26bが所定の外径直径(例えば20mm)及び所定の厚み(例えば3mm)を有した断面逆ハット型で形成され、
図4(a)に示すように、排気管21の開口端部21aに鍔部26aの上面が当接され、該鍔部26aの外周面が固定リング23内に圧入され、或いは機密性の接着剤により固定されている。
【0047】
封止性フィルター26の形状を断面逆ハット型として、筒状本体部26b内に凹部を有する形状とすることで、表面積を大きくすることが出来、筒状本体部26bの内周凹部により増加した表面積に応じてライナーLの内部と外部とを連通する連続した多数の孔28aからなる吸気作用を発揮できる通気孔の数を増加させることが出来、これにより十分な吸気量が得られ、手術中の患者のストレスを最小限に抑えることが出来る。
【0048】
図4(b)に示すように、封止性フィルター29は円柱状で形成され、その外周面が蓋3の一部に穿設された圧力調整孔24aに連通された円筒部24b内に圧入され、或いは機密性の接着剤により固定されている。
【0049】
封止性フィルター26,29は、
図5(a)に示すように、本体を多数の孔28aが連通した多孔性物質28により構成し、それぞれの孔28a内に吸水膨張性を有する吸水性高分子粒子28bが固定されている。
【0050】
多孔性物質28は、ポリエチレン粉粒体にポリアクリル酸ソーダやポリビニルアルコールの不溶化誘導体など、吸水性高分子粉体を10%〜20%混合したものを原料として作られる。このように得られた粉体を一定形状の金型に充填し、焼結法により形成されたもので、吸水性高分子が気孔中に内包された焼結多孔性物質である。
【0051】
ここで吸水性物質として上述の合成樹脂系の他、デンプンやマンナンなどの天然高分子やカルロースなどの誘導体なども用いることができる。
【0052】
通常の場合、排気口9において封止性フィルター26の連続した多数の孔28aが通気孔となってライナーLの内部と外部を連通し、吸引ポンプによる排気によりライナーL内を負圧状態とする。
【0053】
また、圧力調整孔24aに連通された円筒部24b内において封止性フィルター29の連続した多数の孔28aが通気孔となって圧力調整孔24aを介してライナーLの内部と外部を連通し、吸引ポンプによる排気に影響しない程度にライナーL内に外気を導入することができる。
【0054】
しかしながら、ライナーL内に液状廃棄物27が満杯となった場合や、ライナーLが傾いた場合は排気口9や圧力調整孔24aから液状廃棄物27が漏れ出る可能性がある。その際は、
図5(b)に示すように、液状廃棄物27が封止性フィルター26,29に接触すると、孔28a内の吸水性高分子粒子28bが液状廃棄物27の水分を吸収して膨張し、孔28a内に広がって、これを塞ぐこととなる。また、同時に、液状廃棄物27の物質が表面の孔28aを目詰まりさせて、これを塞ぐこととなる。
【0055】
このように、封止性フィルター26,29が液状廃棄物27の漏れ出しを阻止して、病院設備の汚染を防止することができる。
【0056】
図6(a),(b)は他の構成を示す断面説明図であり、
図6(a)では容器となるライナーLの蓋3から垂下された円筒部24bの所定の位置に設けられたフランジ部24cに圧力調整孔24aが形成されており、前記円筒部24bの下端内部で前記フランジ部24cの下面に円柱状の封止性フィルター29が圧入され、或いは機密性の接着剤により固定されている。
図6(b)では
図3に示す蓋3に形成された圧力調整孔24aの内面側に当接させて円柱状の封止性フィルター29が円筒部24b内に圧入され、或いは機密性の接着剤により固定されている。
【0057】
上記構成によれば、容器となるライナーL内に外気を導入して該ライナーL内の圧力を調整し得る圧力調整孔24aを設けたことにより、該圧力調整孔24aからライナーL内に外気を導入して液状廃棄物27が吸引されたライナーL内の圧力を調整して負圧を解消し、過剰な液状廃棄物27を吸引してライナーLの上部の蓋3近傍まで満杯になったり、上流側のライナーLの排出口8とその下流側のライナーLの吸引口7とを連結した接続管15内にも液状廃棄物27が充満することがなく、接続管15を安全に取り外して各ライナーLを安全に分離して廃棄することが出来る。
【0058】
また、圧力調整孔24aのライナーLの蓋3の内側に設けた封止性フィルター29により、該圧力調整孔24aから液状廃棄物27が該ライナーL外へ流出することを防止することが出来る。即ち、液状廃棄物27が封止性フィルター29よりも低い位置にある場合には、該封止性フィルター29を構成する多孔性物質28の連続した多数の孔28aが通気孔としてライナーLの内部と外部とを連通し、圧力調整孔24aからライナーL内に外気を導入して液状廃棄物27が吸引されたライナーL内の圧力を調整して負圧を解消し、過剰な液状廃棄物27を吸引してライナーLの蓋3の近傍まで満杯になったり、上流側のライナーLの排出口8とその下流側のライナーLの吸引口7とを連結した接続管15内にも液状廃棄物27が充満することがなく、接続管15を安全に取り外して各ライナーLを安全に分離して廃棄することが出来る。
【0059】
一方、液状廃棄物27が封止性フィルター29に到達する位置まで上昇して、該封止性フィルター29を構成する多孔性物質28の連続した多数の孔28a内に液状廃棄物27が浸入すると、該孔28a内に内包させた吸水性高分子粒子28bが吸水して膨張増積し、該多孔性物質28の連続した多数の孔28aからなる通気孔を閉塞して圧力調整孔24aから液状廃棄物27がライナーL外へ流出することを防止することが出来る。
【0060】
また、圧力調整孔24aの口径直径を0.3mm以上、且つ6mm以下の口径範囲で形成すれば排気口9を介してライナーL内を負圧状態にする際に支障がない。また、圧力調整孔24aを1つだけ設けた場合、吸気時に吸気音が発生する場合には、複数の圧力調整孔24aを設けて吸気音の発生を解消することが出来る。
【実施例1】
【0061】
図7(a)に示す第
1実施形態では、圧力調整孔24aの容器となるライナーL内側に該圧力調整孔24aから液状廃棄物27が該ライナーL外へ流出することを防止する逆止弁25が設けられている。本実施形態では、圧力調整孔24aが設けられたオリフィス部24の円筒部24bの外周に
図7(b)に示す断面逆ハット型で底部に弁構造を有する逆止弁25の筒状本体25bが嵌装固定されている。
【0062】
逆止弁25は合成樹脂により作成され、
図7(b)に示すように、鍔部25aを有する筒状本体25bの開口端部に弁板25cの一部が接続されている。そして、容器となるライナーLの蓋3から垂下された円筒部24bの下端部に設けられたフランジ部24cに圧力調整孔24aが形成されており、該円筒部24bの外周に逆止弁25の筒状本体25bが液密的及び気密的に嵌装されている。そして、ライナーL内が負圧になると弁板25cが開放されると共に圧力調整孔24aを介して外気がライナーL内に吸気される。ライナーL内の圧力が外気圧と同じかそれよりも高いときは弁板25cはフランジ部24cに当接して圧力調整孔24aを閉塞する。
【0063】
本実施形態によれば、圧力調整孔24aの容器となるライナーL内側に設けた逆止弁25により該圧力調整孔24aから液状廃棄物27が該ライナーL外へ流出することを防止することが出来る。
【0064】
[比較例2]
上記圧力調整孔24aは、前記
比較例1や第
1実施形態のように容器となるライナーL上部の蓋3に設けることでも良いが、
図8(a),(b)に示すように、最上流側のライナーL
1のペーシェントホース14が接続される吸引口7の外気に露出する側の管壁面に設けたり、そのペーシェントホース14の途中の管壁面に設けることが出来る。
【0065】
ペーシェントホース14の途中の管壁面に設ける場合には、
図8(b)に示すように、中央部に貫通する圧力調整孔24aを設けた合成樹脂製のブッシュ20をペーシェントホース14の途中の管壁面に設けた貫通孔14aに液密的及び気密的に挿入することが出来る。
【0066】
図8(c)は更に他の例であり、容器となるライナーLの蓋3に貫通孔3aを設けた突出部3bが設けられ、該突出部3bに外装されるキャップ30に前記貫通孔3aに連通する圧力調整孔24aを設けたものである。
【0067】
尚、前記
比較例1では、排気口9に取り付けられ、液状廃棄物27の容器外への吸出しを防止するストッパーとして
図3に示す封止性フィルター26を用いたが、ストッパーの他の構成としては、特許文献1〜3に記載されたように、排気口9のライナーL内の端部内側にストップバルブを設け、フロート5が天端部まで浮上しない間は、該ストップバルブの自重により下方位置に維持されてライナーL内部から吸引通路13に連通する吸引通路が確保され、フロート5が天端部まで浮上すると、該ストップバルブの自重に抗して該ストップバルブを押し上げて吸引通路13に連通する吸引通路を閉塞する構成としても良い。