(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空間の幅が、前記容器の入口からおよそ中間点まで延在する容器の長さ方向の一部に沿って増加し、かつ該空間の幅が、該容器のおよそ中間点から出口まで延在する容器の長さ方向の一部に沿って減少する、請求項1記載の装置。
【発明の概要】
【0005】
(概要)
簡潔に、かつ一般的用語で、様々な実施態様は、一酸化窒素(NO)発生のためのシステ
ム及び装置に関する。一実施態様により、該装置は、入口、出口を有する本体、及び該本
体内に位置する多孔質固体マトリクスを含む。一実施態様において、該多孔質固体マトリ
クスは、シリカゲル及び熱可塑性樹脂から作製される。該多孔質固体マトリクスは、抗酸
化剤の水溶液で被覆されており、ここで、該入口は、ガス流を受け取り、該ガス流が該多
孔質固体マトリクスを通過し、該ガス流中の二酸化窒素を一酸化窒素に変換させて、該出
口まで流体連通するように構成されている。該多孔質固体マトリクスは、該装置を任意の
方向で使用させるようにする。また該多孔質固体マトリクスは、輸送及び操作と関連した
振動及び誤用に耐えるのに適した剛性構造をなしている。
【0006】
NO発生装置に加えて、NOを発生し、かつNOを患者に送達するための様々なシステムが本
明細書中に開示される。一実施態様により、該システムは、二酸化窒素(NO
2)、四酸化
二窒素(N
2O
4)又はNOを含むガス供給源を含む。該ガス供給源は、第1のNO変換装置と連
通している。該NO変換装置は、入口、出口、及び該入口と該出口との間に位置する抗酸化
剤の水溶液で被覆された固体マトリクスを含む。該NO変換装置の入口は、供給源からのガ
ス流を受け取り、該ガス流中のNO
2をNOに変換させるために、該ガス流が多孔質固体マト
リクスを通過し、出口まで流体連通するように構成されている。該システムはまた、第1
のNO変換装置の出口と連結した患者用インターフェイスを含む。
【0007】
別の実施態様において、該システムには、第1のNO変換装置と同様の第2のNO変換装置が
提供される。この実施態様において、該第2のNO変換装置は、第1のNO変換装置と直列に設
置され、患者用インターフェイスは、該第2の変換装置の出口に連通している。更に別の
実施態様において、加湿器が第1の変換装置より前に設置される。更に別の実施態様にお
いて、該加湿器は、該第1の変換装置と一体となっている。任意に、能動的加湿器が、第2
の変換装置より前に設置される。
【0008】
他の特徴は、様々な実施態様の特徴を実施例によって示した添付の図面を併せて、下記
の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
一酸化窒素(NO)を発生するための様々なシステム及び装置が、本明細書中に開示され
る。一般に、NOは吸引するか又は別の方法で患者の肺まで送達される。NOが吸引されると
、身体の他の血管を付随して拡張することなく、非常に高い局所的用量を達成することが
できる。したがって、およそ10〜およそ1000ppm(例えば、10を上回り、10、40、80、100
、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900
、950又は1000ppm)の濃度を有するNOガスを、患者に送達することができる。したがって
、高用量のNOを使用して、下記疾患の進行を防止する、逆行させる又は抑制することがで
きる;該疾患には、急性肺血管狭窄、外傷、誤嚥又は気道熱傷、肺の脂肪塞栓症、アシド
ーシス、肺の炎症、成人呼吸促迫症候群、急性肺水腫、急性高山病、心臓手術後の急性肺
高血圧症、新生児の遷延性肺高血圧症、周生期吸引症候群、硝子膜症、急性肺動脈血栓塞
栓症、ヘパリン-プロタミン反応、敗血症、喘息、気管支喘息重積発作又は低酸素症を含
むことができるが、これに限定されない。またNOを使用して、慢性肺高血圧症、気管支肺
異形成症、慢性肺血栓塞栓症、特発性肺高血圧症、原発性肺高血圧症又は慢性低酸素症を
治療することができる。
【0013】
現在、吸入NOガスを送達するための認可された装置及び方法は、複雑でかつ重い機器を
必要とする。NOガスは、窒素とともに、かつ微量な酸素もない状態で、重いガスボンベに
貯蔵される。NOガスは空気又は酸素と、特殊なインジェクター及び複雑なベンチレータを
用いて混合され、該混合プロセスは、高精度のマイクロプロセッサ及び電子機器を有する
機器を用いて監視される。NO
2は毒性が強いので、該混合プロセスの間にNOがNO
2に酸化さ
れないようにするために、この全ての機器が必要とされる。しかし、この機器はその大き
さ、費用、複雑さ、及び安全性の問題のために、こうした機器の操作が医療施設にて高度
に熟練した専門家に制限されるので、非医療施設での使用には寄与しない。
【0014】
対照的に、本明細書中に開示されるシステム及び装置は、重いガスボンベ、高機能な電
子機器又は監視機器を必要としない。例えば、
図1に、NO
2からNOを発生する装置100の一
実施態様を示す。該装置100は、NO発生カートリッジ、GENOカートリッジ、GENOシリンダ
ー又はレキュペレータとも呼ぶことができ、入口104及び出口106を有する本体102を含む
。入口104及び出口106は、ガス配管に係合するか、又は他の構成要素、例えば、限定はさ
れないが、ガスタンク、調節器、バルブ、加湿器、患者用インターフェイス又はレキュペ
レータなどに直接連結するように大きさが設定される。加えて、入口104及び出口106は、
これらの構成要素と係合するネジ山又は特別に設計された継手を含むことができる。
【0015】
図1に示すように、該本体102は一般に、円筒形状であり、固体マトリクス108を保持す
る空洞を明確にしている。一実施態様により、多孔質固体マトリクス108は、限定はされ
ないが、シリカゲル及び高温で焼結されて多孔質固体マトリクスを形成する1以上の適当
な熱可塑性樹脂などの表面活性材料の混合物である。該ポリマーには、限定はされないが
、ポリエチレン、ポリプロピレン又はすりつぶして微細な粉末にし、鋳型に注ぎ、高温で
焼結して多孔質固体マトリクスを形成することができる任意の熱可塑性樹脂が含まれる。
熱可塑性樹脂は硬化すると、表面活性材料が細孔中に固定された剛性多孔質構造をなす。
加えて、該ポリマーは、任意の形状に成形することができるか、又は鋳型成形することが
できる。
【0016】
一実施態様により、多孔質固体マトリクス108は、少なくとも20%のシリカゲルを含む。
別の実施態様において、多孔質固体マトリクス108は、およそ20%〜およそ60%のシリカゲ
ルを含む。更に別の実施態様において、多孔質固体マトリクス108は、50%のシリカゲルを
含む。当業者には明らかなように、多孔質固体マトリクス108の機械的及び構造的強度が
維持される限り、シリカゲルと熱可塑性樹脂とのいかなる比率も意図される。一実施態様
において、均一な混合及び最終的に均一な多孔質固体マトリクス108を達成するために、
シリカゲル及びポリマーの密度は概して同等である。
【0017】
図1に示すように、多孔質固体マトリクス108はまた、内孔112を有する円筒形状を有す
る。他の実施態様において、多孔質固体マトリクスは、当該分野で公知の又は開発された
任意の形状を有することができる。多孔質固体マトリクス108は、空間114が本体と多孔質
固体マトリクスとの間に形成されるような本体102内部に配置される。本体102の入口端10
4において、分流器110が入口と多孔質固体マトリクス108との間に配置される。該分流器1
10は、ガス流を多孔質固体マトリクス108の外径に方向付ける(白い矢印で示される)。
ガス流は強制的に多孔質固体マトリクス108を通過し、それによって、全てのNO
2がNOに変
換される(黒い矢印で示される)。次いで、NOガスは装置100の出口106を出る。多孔質固
体マトリクス108は、装置100を任意の方向(例えば、水平、垂直又は任意の角度)で使用
させるようにする。加えて、多孔質固体マトリクス108は、輸送及び操作と関連した振動
及び誤用に耐えるのに適した剛性構造をなしている。
【0018】
図1に示す装置100において、多孔質固体マトリクス108を横断する圧力損失は、概して
、毎分40〜60リッターのガス流量のとき2.54〜5.08cm(1〜2インチ)水である。一実施態
様により、多孔質固体マトリクス108は、長さおよそ25.4cm(10インチ)、外径約3.30cm
(1.3インチ)及び内径約2.54cm(1インチ)である。別の実施態様において、多孔質固体
マトリクス108は使用目的に応じて、異なる大きさ及び直径を有し得る。例えば、可搬式
の短期間用装置は、長期間用装置と比べてより小さいサイズの多孔質固体マトリクスを有
することができる。
【0019】
装置100の本体102は、ポリマー、金属、ガラス繊維、ガラス、炭素繊維、セラミック、
又はNO
2によって急激に腐食又は損傷されない当該分野で公知の又は開発された他の材料
から作製することができる。使用される材料にかかわらず、本体102の構造は、空気が該
本体に入るのを防ぐために密閉される必要がある。多孔質固体マトリクス108は実質的に
圧力損失が0であり、空気が入口104又は出口106の密閉部周辺で逆流し、かつ本体102に流
れ込むおそれがあるので、空気の漏洩が生じる場合がある。本体100への空気の漏洩を回
避するために、固体マトリクス108を保持している本体102の内部フレームは、該固体マト
リクスの肉厚よりも大きな深さを有する。
【0020】
図2に、NO
2をNOに変換するための装置200の別の実施態様を示す。装置200は、変換カー
トリッジ100及び加湿器202を含む。加湿器202は、固体マトリクス108のシリカゲル部分の
水分を交換することによって、該カートリッジ100の寿命を向上させる。例えば、一実施
例において、非加熱式加湿器202が、カートリッジ100より前の流管に配置される。該加湿
器中の水温は、気化冷却のために、周囲温度23℃から18℃未満まで低下した。該気化冷却
からの水分は、カートリッジ100の寿命を100時間をはるかに上回るように延長させたが、
一方で湿気のないカートリッジであれば、12時間未満の寿命であったであろう。加湿器20
2がカートリッジ100とともに使用される場合、カートリッジ中の湿度は露点未満でなけれ
ばならない。そうでない場合、液体水の存在が装置100中のシリカゲル上の活性部分を「
水浸し」にし、それによって、NO
2ガスが抗酸化剤と相互作用するのを妨害する。
【0021】
図2に示すように、加湿器202は、カートリッジ100より前に設置された別個の装置であ
ってよい。あるいは、該加湿器202及びカートリッジ100は、一体の構成要素であってもよ
い。一実施態様において、多孔質固体マトリクス108の寿命を長持ちさせる、カートリッ
ジ100中の含水量を維持するのに、およそ250mlの水で十分であろう。別の実施態様におい
て、より大きい及びより小さいカートリッジのために、それぞれより多くの又はより少な
い水が必要となり得る。他の実施態様(例えば、短期間用装置)において、加湿器は不要
となり得る。
【0022】
図3に、患者にNOを送達するためのシステム300を示す。システム300は、NOを発生する
ための又はNOを含むガス供給源302を含む。ガス供給源302は、圧縮(又は非圧縮)NO、NO
2又はN
2O
4のタンクであってよい。非圧縮式ガス供給源を有するシステムにおいて、ガス
供給源からのガスを移動させ、変換カートリッジ306、310を通過させるために、ポンプが
与えられる。任意に、加湿器304又は308が、1以上のNO変換装置306、310より前に設置さ
れ得る。
【0023】
図3に示すように、システム300は、2つの変換装置306、310を含む。一実施態様により
、第2の変換装置310はレキュペレータと呼ばれる。レキュペレータ310は、典型的に、該
レキュペレータが大きさ及び形においてより小さいことを除いて、主要変換装置306と同
一である。一般に、該レキュペレータ310は利便性のために、かつ重量及び大きさを低減
させるために、より小型である。それにもかかわらず、レキュペレータ310は、主要カー
トリッジ306と同様に機能する。該システムの別の実施態様において、2つのカートリッジ
306、310は、同一のもの(例えば、2つの主要カートリッジ)であってよい。
【0024】
任意に、システム300は、変換カートリッジ310と患者用インターフェイス312との間に
配置された加熱式加湿器308を含む。患者用インターフェイス312は、マウスピース、鼻カ
ニューレ、フェイスマスク又は完全密封されたフェイスマスクであってよい。一実施態様
により、加湿器308は加熱式加湿器であり、含水量を32〜37℃の露点まで上げ、それによ
って、肺からの水分の損失を防止する。
【0025】
一方法により、固体マトリクスは、シリカゲルと熱可塑性樹脂とを混合することによっ
て形成される。次いで、該混合物を高温で焼結して多孔質固体マトリクスを形成し、冷却
する。多孔質固体マトリクス108が形成された後、該多孔質固体マトリクスを抗酸化剤溶
液で洗浄する。一実施態様において、該抗酸化剤溶液は、水中およそ20%のアスコルビン
酸である。あるいは、アスコルビン酸を他の抗酸化剤、例えば、限定はされないが、αト
コフェロール又はγトコフェロールと置き換えてもよい。他の実施態様において、該抗酸
化剤溶液は、様々な抗酸化剤濃度を有することができる。固体ポリマー/シリカゲルマト
リクス周辺の顕微鏡レベルの気泡の形成を防止するために、溶存ガス(例えば、酸素及び
空気)は、該抗酸化剤溶液から取り除かれる。該気泡は表面化学を変化させ、かつNO
2が
シリカゲル内部の抗酸化剤液体と相互作用することを妨害するであろう。
【0026】
固体マトリクス108が洗浄されると、乾燥工程中の過剰な抗酸化剤溶液の沈殿を抑制す
るために、シリカゲルに拘束されない過剰な抗酸化剤溶液は洗い流され得る。一実施態様
により、多孔質固体マトリクス108は、含水量がおよそ30%まで低下するまで真空乾燥され
る。別の実施態様において、固体マトリクス108を乾燥させて、およそ1%〜およそ99%の範
囲の任意の含水量を有することができる。該乾燥プロセスの間、酸素を確実に取り除くた
めに注意が必要である。乾燥された固体マトリクス108は、本体102に組み込まれ、密封プ
ロセスの前及び最中に不活性ガスで洗浄される。一実施態様により、該カートリッジ100
は、酸素及び気密性容器中に保管される。アスコルビン酸(又は他の抗酸化剤)が、長期
間の保管中、徐々にデヒドロアスコルビン酸及び他の酸化生成物に酸化するのを防止する
ために、酸素は製造プロセスから及び保管の間排除される。別の実施態様において、カー
トリッジは、検出可能な水の存在がなくなるまで乾燥され、次いで、該カートリッジは密
封され、防湿性容器に乾燥して封入される。該乾燥したカートリッジは、使用に先立ち該
カートリッジを水に曝すことによって、活性を有するカートリッジに再構成される。
【0027】
上記の様々な実施態様は例証のみの目的で提供され、請求項に係る発明を限定すると解
釈されるべきではない。当業者には、本明細書中に例示されかつ記載された例示的実施態
様及び適用に従うことなしに、及び下記の特許請求の範囲に記載される請求項に係る発明
の真の精神及び範囲を逸脱することなしに、請求項に係る発明になされ得る様々な改良及
び変更が容易に理解されるであろう。