特許第5901709号(P5901709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5901709流体ラインのための壁貫通供給エレメント及び壁貫通供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901709
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】流体ラインのための壁貫通供給エレメント及び壁貫通供給装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   F16L5/00 J
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-157773(P2014-157773)
(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公開番号】特開2015-36584(P2015-36584A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2014年8月1日
(31)【優先権主張番号】10 2013 215 955.2
(32)【優先日】2013年8月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591044393
【氏名又は名称】ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス バウアー
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−160052(JP,A)
【文献】 特開2004−019799(JP,A)
【文献】 実開平03−048191(JP,U)
【文献】 特開2010−127321(JP,A)
【文献】 特開2010−281393(JP,A)
【文献】 実開平02−030592(JP,U)
【文献】 特開2006−292090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/00
F16L 5/00
F16B 21/02
F16B 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ラインのための壁貫通供給エレメントであって、
軸方向に連続している貫通供給領域部を有し、少なくとも1つの取付け用形状体部及び止め部を備えるハウジングを備え、
当該貫通供給領域部は、支持区画部と当該止め部から離れて面する当該支持区画部の一方の側に少なくとも1つの連結形状とを備えて構成され、当該支持区画部を半径方向に越えて突出し当該止め部に面する後壁部を備える少なくとも1つの形状体部、及び当該形状体部に関して周方向にオフセットされ、そして当該止め部に向かい軸方向に当該後壁部を越えて延在する、少なくとも1つの半径方向にばね作用する突出部を含み、
当該ハウジングは、内側部品と外側部品を備え、ここで、当該内側部品は流体通路と当該流体通路のための連結用幾何学形状を備え、当該外側部品は当該少なくとも1つの取付け用形状を備え、且つ
当該止め部は当該内側部品に配置されていることを特徴とする壁貫通供給エレメント。
【請求項2】
当該少なくとも1つの形状体部は、周方向に離間された多数の形状体部からなり、そして、当該少なくともばね1つのばね作用する突出部は、少なくとも2つの形状体部の間に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の壁貫通供給エレメント。
【請求項3】
当該支持区画部は円形断面を有していることを特徴とする請求項1に記載の壁貫通供給エレメント。
【請求項4】
当該少なくとも1つの突出部は、止め部から離れて面する側に偏向チャンファを有していることを特徴とする請求項1に記載の壁貫通供給エレメント。
【請求項5】
当該少なくとも1つの突出部は、無荷重状態において、少なくとも当該形状体部のところまで半径方向に延在していることを特徴とする請求項1に記載の壁貫通供給エレメント。
【請求項6】
当該ハウジングは、流体通路用開口部を囲む挿入用開口部を有していることを特徴とする請求項1に記載の壁貫通供給エレメント。
【請求項7】
当該挿入用開口部は、ねじり接触表面を有していることを特徴とする請求項6に記載の壁貫通供給エレメント。
【請求項8】
当該内側部品及び外側部品は、ロック連結によって互いに連結されていることを特徴とする請求項に記載の壁貫通供給エレメント。
【請求項9】
当該内側部品及び外側部品は、互いに回転不能に連結されていることを特徴とする請求項に記載の壁貫通供給エレメント。
【請求項10】
請求項1の壁貫通供給エレメント、及び
少なくとも1つの形状体部に適合された内側輪郭を備える通過開口部を有する壁、を備えることを特徴とする壁貫通供給装置。
【請求項11】
当該内側輪郭は、少なくとも断面において、円形線に従い、当該円形線は当該支持区画部の直径に適合された直径を有していることを特徴とする請求項10に記載の壁貫通供給装置。
【請求項12】
シールが当該止め部と当該壁との間に配列されていることを特徴とする請求項10に記載の壁貫通供給装置。
【請求項13】
当該内側輪郭は、少なくとも断面において、当該形状体部の配列及び形状に対応するべく構成された少なくとも1つの凹部を含むことを特徴とする請求項10に記載の壁貫通供給装置。
【請求項14】
当該少なくとも1つの形状体部は、当該少なくとも1つの突出部の少なくとも一部が当該内側輪郭に接触している間に、当該壁を通過すべく構成されていることを特徴とする請求項13に記載の壁貫通供給装置。
【請求項15】
当該壁貫通供給エレメントは、当該内側輪郭が支持領域に軸方向に整列されているとき、当該少なくとも1つの突出部がばね作用して少なくとも1つの凹部に挿入されるまでは可能であることを特徴とする請求項14に記載の壁貫通供給装置。
【請求項16】
請求項1の壁貫通供給エレメントを壁の開口部を通して挿入する方法であって、
当該壁貫通供給エレメントの外側輪郭から半径方向に延在している形状体部を当該壁の開口部の内側輪郭から延在している凹部に整列させ、
当該内側輪郭が当該壁貫通供給エレメントの支持表面に軸方向に整列されるように、当該形状体部の全体を当該凹部を通して案内し、そして
当該支持表面を、少なくとも2つの形状体部の間に配列された少なくとも1つの突出部がばね作用して当該凹部の少なくとも1つに係合されるまで、当該内側輪郭に対して回転させる、ことを備えることを特徴とする方法。
【請求項17】
当該壁貫通供給エレメントは、シール及び止め部を含み、当該方法は、当該内側輪郭が当該支持表面に軸方向に整列されるとき、当該シールを当該止め部を介して当該壁の内側表面に対抗して押すのを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
当該形状体部が当該凹部を介して案内されているとき、当該少なくとも1つの突出部は当該内側輪郭によって半径方向内方に押されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取付け用形状及び止め部を備えて軸方向に連続している貫通供給領域部を含むハウジングを備える、流体ラインのための壁貫通供給エレメントに関する。当該貫通供給領域部は支持区画部を有している。さらに、実施形態は、上述の形式の壁貫通供給エレメント及び通過開口部を有する壁を有する、壁貫通供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合において、壁を通して流体を供給することができることが必要である。一例をあげると、タンクないしは容器から流体が抽出されることである。この目的のために、タンクないしは容器の壁の通過開口部が用いられている。壁貫通供給エレメントは、貫通供給領域部を備えてこの通過開口部を通して供給される。ある既知のケースでは、当該貫通供給領域部が取付け用形状としての外ねじを有している。ナットがこの外ねじにねじ込まれ、そして壁の他側において止め部が当該壁に当接するまで締め付けられる。当該壁によって囲まれている、ナットと止め部との間の貫通供給領域部の領域はまた、当該貫通供給領域部は、通常、ここで壁に接触しているので、「支持区画部」と称されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この形式の壁貫通供給エレメントは、設置のために、壁の両側からのアクセスを要求している。壁の一方側からのアクセスが、当該壁貫通供給エレメントを通過開口部を通して挿入することを可能にするために、必要とされる。そして、壁の他の側においてのアクセスが、ナットを外ねじにねじ込むのを可能にするために必要である。当該設置は、比較的多くの時間を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、設置するのが容易な壁貫通供給装置に向けられている。
【0005】
したがって、上に概説したこの形式の壁貫通供給エレメントは、止め部から離れて面する支持区画部の一側に止め部に面する後壁部を備える少なくとも1つの形状体部であって、支持区画部において半径方向に突出している形状体部と、当該形状体部に関して周方向にオフセットされて半径方向にばね作用し、且つ当該後壁部から止め部に向かって軸方向に横切って突出している少なくとも1つの突出部を含んでいる。
【0006】
この形式の壁貫通供給エレメントによれば、当該壁貫通供給エレメントの生産が大幅に簡素化される。特に、当該壁貫通供給エレメントは、壁に穴を設けることによって、すなわち、当該穴の内側輪郭が止め部の領域又は当該止め部の取付け用形状の外側輪郭に合致されるように、穴を単に設けることによって用いられ得る。この場合、貫通供給領域部を備える壁貫通供給エレメントを当該壁の通過開口部を通して挿入することが可能である。当該形状体部(単数又は複数)は、壁の通過開口部の周囲における対応する領域を通過することができる。当該貫通供給領域部は、壁の通過開口部を通して 支持区画部が壁の内側に配置されるように十分に遠くに挿入される。当該形状体部は止め部から離れて面する支持区画部の側に配置されているので、壁貫通供給エレメントは、通過開口部内で今や回転され得、その結果、当該形状体部は、壁貫通供給エレメントの通過開口部の外への移動、すなわち、挿入方向と反対の方向への移動が最早可能でない壁の領域に到達する。この形式の移動は、当該後壁部が壁に突き当たることで防止されている。壁貫通供給エレメントが十分に回転されると、その後、ばね作用する突出部が、当該形状体部が以前に通過された凹部の領域に到達する。ここで、当該ばね作用する突出部が半径方向外方にばね作用し、そして凹部に入ることができる。これは可能である。何故なら、突出部は、形状体部の後壁部から横切って止め部に向かって突出し、そして、上に述べたように、支持区画部内に突出しているからである。一旦、ばね作用する突出部が通過開口部の内側輪郭の凹部に係合すると、壁貫通供給エレメントの回転は最早可能ではない。回転が最早可能ではないので、壁貫通供給エレメントはまた、壁貫通供給エレメントが引き出されるように、通過開口部の内側輪郭の凹部に形状体部がもう一度対抗する位置をとることができない。このように、壁貫通供給エレメントは、壁の一方側から、すなわち、回転運動に引き継がれる簡単な貫通供給手順によって取り付けられ得る。この形式の設置は、外ねじにナットをねじ込むのよりも大幅に短い時間で実施することができる。
【0007】
好ましくは、多数の形状体部が、ばね作用する1つの突出部が少なくとも2つの形状体部の間に配列されるように、周方向に設けられている。多数の形状体部が設けられているのなら、その後の壁内での壁貫通供給エレメントの傾きが回避される。ここで、例えば、周方向に均等に配分された、少なくとも2つの、好ましくは、3つ又は4つの形状体部が設けられているなら、有利である。したがって、当該通過開口部の内側輪郭はまた、等しい数の凹部を有している。
【0008】
好ましくは、当該支持区画部は円形断面を有している。当該通過開口部の内側輪郭が、少なくとも断面において、円形状に具体化されているなら、これは特に有利である。この場合、通過開口部内側の当該支持区画部は、回転運動中に滑ることができる。当該支持区画部は、通過開口部において当該壁貫通供給エレメントを支持することができる。
【0009】
好ましくは、当該突出部は、当該止め部から離れて面している側に偏向チャンファを有している。壁貫通供給エレメントが当該壁の通過開口部に挿入されるとき、その後で、当該偏向チャンファは、ばね作用する突出部が通過開口部内に完全に収容されるに十分な距離、半径方向内方に押されるのを可能にする。当該チャンファによって、壁貫通供給エレメントを当該壁の通過開口部内に挿入する力が、ばね作用する突出部に半径方向に作用する力に変換される。
【0010】
好ましくは、当該突出部は、無荷重状態において、少なくとも当該形状体部のところまで半径方向に延在している。結果として、当該突出部が半径方向外方に遠くまでばね作用することができ、且つ、上に述べたように、突出部が当該壁内での壁貫通供給エレメントの回転に対する比較的大きな抵抗を形成することができるということが、高い信頼性をもって達成される。当該壁の内側輪郭の凹部は、通常は、形状体部の半径方向延在部よりも僅かに大きいのみである。したがって、当該突出部は、もしもそれが半径方向外方にばね作用するのであれば、当該凹部を半径方向において事実上満たすことが保証される。
【0011】
好ましくは、当該ハウジングは内側部品及び外側部品を有し、当該内側部品は流体通路及び当該流体通路のための連結用幾何学形状を備え、及び 当該外側部品は取付け用形状を備えている。この場合、壁貫通供給エレメントのデザインは比較的柔軟である。多くの場合において、例えば、当該流体通路のために利用可能な異なる連結用幾何学形状を有することが望ましい。異なる内側部品がそのためにその後に用いられる。しかしながら、取付け用形状を備える当該外側部品は、異なる内側部品のためにも同じに保たれるので、結果として、道具のためのコストが低く保たれる。
【0012】
好ましくは、当該内側部品及び外側部品はロック連結によって互いに連結されている。これは、設置を容易にする。当該内側部品は、ロック連結の部品が互いに係合するように、当該外側部品に簡単に挿入されなければならない。
【0013】
好ましくは、当該内側部品及び外側部品は、回転不能に互いに連結される。多くの場合において、
当該流体通路の連結用幾何学形状がある配置構造を有していることが望ましい。この配置構造は当該外側部品内での内側部品の配列によって決定されてもよい。設置の完了後、壁貫通供給エレメントは当該壁に回転不能に取付けられるので、上述のように、流体通路の連結用幾何学形状の望ましい配置構造は、当該内側部品及び外側部品の回転不能連結によって固定されてもよい。
【0014】
好ましくは、当該止め部は当該内側部品に配列されている。これは構造を簡素化する。当該内側部品及び外側部品を生産する工具は、上に述べたように、比較的単純に構成され、コストを低減する。
【0015】
本発明の実施形態は、上で説明されたように、壁貫通供給エレメント、及び形状体部に適合された内側輪郭を有する通過開口部を含んでいる壁を有する壁貫通供給装置に向けられている。
【0016】
上述のように、この形式の壁貫通供給装置は比較的容易に生産され得る。これは、単に、通過開口部が、壁貫通供給エレメントの各々の形状体部のためにその内側輪郭に少なくとも1つの凹部を有する状態で達成され得る。その貫通供給領域部を備える当該壁貫通供給エレメントは、その後、通過開口部内に挿入され得る。当該形状体部(単数又は複数)は、その後、当該凹部(単数又は複数)を通過、すなわち、当該壁の反対側の壁から自由になるまで通過する。もしも、壁貫通供給エレメントが通過開口部内で回されると、ばね作用する突出部が凹部の領域に到達し、そして、その後、さらなる回転が防止されるように、半径方向外方にばね作用する。このようにして、形状体部(単数又は複数)が、再度、当該凹部(単数又は複数)に重なるべくもたらされるのが防止されている。
【0017】
好ましくは、当該内側輪郭は少なくとも断面において円形線に従い、当該円形線は支持区画部の直径に適合された直径を有している。この場合、当該支持区画部は、壁貫通供給エレメントの位置が事実上固定されるように、通過開口部内で回され得る。当該貫通供給領域部に直交する変位は、事実上、不可能である。壁貫通供給エレメントの当該壁に相対する回転のみが可能である。もちろん、当該円形線は、形状体部が通過可能な凹部が設けられているところで、中断されている。
【0018】
好ましくは、シールが止め部及び壁の間に配列される。このシールは、壁貫通供給エレメントの領域において当該壁をシールするという課題を有している。当該シールは弾性材料から形成されている。したがって、当該シールはまた、幾らかのばね作用を施し、当該止め部を当該壁から離して押圧する。その結果、形状体部の後壁部が当該止め部から離れて面している壁の側に対抗して引かれる。上に述べたように、当該壁貫通供給エレメントは、当該壁内に貫通供給方向に事実上遊び無く保持される。
【0019】
本発明の実施形態は、軸方向に連続している貫通供給領域部を有し、少なくとも1つの取付け用形状体部及び止め部を備えるハウジングを含んでいる、流体ラインのための壁貫通供給エレメントに向けられている。当該貫通供給領域部は、支持区画部と当該止め部から離れて面する当該支持区画部の一方の側に少なくとも1つの連結形状とを備えて構成され、当該支持区画部を半径方向に越えて突出し当該止め部に面する後壁部を備える少なくとも1つの形状体部、及び当該形状体部に関して周方向にオフセットされ、そして当該止め部に向かい軸方向に当該後壁部を越えて延在する、少なくとも1つの半径方向にばね作用する突出部を含んでいる。
【0020】
実施形態によれば、当該少なくとも1つの形状体部は、周方向に離間された多数の形状体部を含み、そして、当該少なくとも1つのばね作用する突出部は、少なくとも2つの形状体部の間に配列されていてもよい。
【0021】
本発明の他の実施形態に従えば、当該支持区画部は円形断面を有していてもよい。
【0022】
さらに他の実施形態によれば、当該少なくとも1つの突出部は、止め部から離れて面する側に偏向チャンファを有していてもよい。
【0023】
他の実施形態において、当該少なくとも1つの突出部は、無荷重状態において、少なくとも当該形状体部のところまで半径方向に延在していてもよい。
【0024】
他の実施形態に従えば、当該ハウジングは、流体通路用開口部を囲む挿入用開口部を有していてもよい。当該挿入用開口部は、ねじり接触面を有していてもよい。
【0025】
さらに他の実施形態によれば、当該ハウジングは、内側部品と外側部品を含んでもよい。当該内側部品は、流体通路と当該流体通路のための連結用幾何学形状を含み、当該外側部品は少なくとも1つの取付け用形状を含んでもよい。当該内側部品及び外側部品は、ロック連結によって互いに連結されてもよい。当該内側部品及び外側部品は、互いに回転不能に連結されていてもよい。当該止め部は内側部品に配置されていてもよい。
【0026】
本発明の実施形態は、上述の壁貫通供給エレメント、及び少なくとも1つの形状体部に適合された内側輪郭を備える通過開口部を有する壁を含む壁貫通供給装置に向けられている。
【0027】
実施形態において、当該内側輪郭は、少なくとも断面において、円形線に従ってもよい。当該円形線は、当該支持区画部の直径に適合された直径を有していてもよい。
【0028】
本発明の他の実施形態によれば、シールが当該止め部と当該壁との間に配列されていてもよい。
【0029】
さらに他の実施形態に従えば、当該内側輪郭は、少なくとも断面において、当該形状体部の配列及び形状に対応するべく構成された少なくとも1つの凹部を含むことができる。当該少なくとも1つの形状体部は、当該少なくとも1つの突出部の少なくとも一部が当該内側輪郭に接触している間に、当該壁を通過すべく構成されていてもよい。さらに、当該壁貫通供給エレメントは、当該内側輪郭が支持領域に軸方向に整列されているとき、当該少なくとも1つの突出部がばね作用して少なくとも1つの凹部に挿入されるまでは回転可能であってもよい。
【0030】
本発明の実施形態は壁貫通供給エレメントを壁の開口部を通して挿入する方法に向けられている。当該方法は、当該壁貫通供給エレメントの外側輪郭から半径方向に延在している形状体部を当該壁の当該開口部の内側輪郭から延在している凹部に整列させ、当該内側輪郭が当該壁貫通供給エレメントの支持表面に軸方向に整列されるように、当該形状体部の全体を当該凹部を通して案内し、そして当該支持表面を、少なくとも2つの形状体部の間に配列された少なくとも1つの突出部がばね作用して当該凹部の少なくとも1つに係合されるまで、当該内側輪郭に対して回転させる、ことを含んでいる。
【0031】
実施形態によれば、当該壁貫通供給エレメントは、シール及び止め部を含み、当該方法は、当該内側輪郭が当該支持表面に軸方向に整列されるとき、当該シールを、当該止め部を介して当該壁の内側表面に対抗して押圧するのを含んでいる。
【0032】
本発明のさらに他の実施形態に従えば、当該形状体部が当該凹部を介して案内されているとき、当該少なくとも1つの突出部は当該内側輪郭によって半径方向内方に押される。
【0033】
本発明の他の模範的実施形態、及び有利な点は、本開示及び添付図面を検討することによって確認されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明が、以下の詳細な説明において、本発明の模範的実施形態の非限定的実施例による複数の図を参照して、さらに説明される。ここで、図面の幾つかの図を通じて同一参照番号は同様の部品を表している。
図1】壁貫通供給装置の前面図を示す。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここに示された詳細は、ほんの例として、本発明の実施形態の図解の目的のためであり、本発明の原理及び概念的観点の最も有用で容易に理解可能な説明と信じられるものを提供する過程で提示されている。この点において、本発明の基本的理解のために必要とされるのより詳しく、本発明の構造的細部を示すつもりはない。図面と共になされる説明は、本発明の幾つかの形態が、どのように実際において具体化されるかを当業者に明らかにするであろう。
【0036】
壁貫通供給装置1は、壁貫通供給エレメント2及び壁3を有している。壁3は、例えば、流体がそこから外に供給される容器ないしはタンクの壁である。
【0037】
壁3には、壁貫通供給エレメント2を受け入れるための通過開口部4が設けられている。通過開口部4は基本的には円形線の内側輪郭であるが、しかしながら、それから半径方向に外方に延在している4つの凹部5を有している。4つの凹部5に代えて、異なる数の凹部5、例えば、3つ、4つ、6つ、7つ、又は8つの凹部5が設けられてもよい。凹部5は、通過開口部4の周方向に均等に配分されている。それらは、基本的に矩形状を有するが、台形状を有することもできる。
【0038】
壁貫通供給エレメント2は、内側部品6及び外側部品7から形成されているハウジングを有している。当該ハウジングは、本模範的実施形態においては内側部品6に配列され、そして内側部品6に一部品として具体化ないしは形成されている止め部8を有している。さらに、当該ハウジングは、外側部品7に、以下により詳細に説明される、接続用幾何学形状を備える貫通供給領域部9を有している。壁貫通供給エレメント2の設置のために、貫通供給領域部9を備える当該ハウジングが通過開口部4を通して供給される。
【0039】
止め部8と壁3との間には、本ケースの場合、シール用リングとして弾性材料から形成されているシール10が配列されている。
【0040】
外側部品7は、壁貫通供給エレメント2が設置されたときに、通過開口部4の内側に配列される支持区画部11を有している。当該支持区画部11は、基本的に円形線形状の外側輪郭を有している。この外側輪郭の直径は、通過開口部4の内径に一致している。小さな遊びは許容される。
【0041】
当該ハウジングは、外側部品7上に周方向に配分された、例えば、おおよそ矩形状の突出部として具体化ないしは形成される多数の形状体部12を有している。本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、他の形態もまた可能である。
【0042】
各形状体部12は、止め部8に面する側に後壁部13を有している。後壁部13は、言うなれば、支持区画部11の境界を形成している。換言すると、形状体部12は支持区画部11の止め部8から離れて面する側に配列されている。本ケースの場合、4つの形状体部12が設けられている。形状体部12の数と凹部5の数は等しい。
【0043】
形状体部12は、止め部8から離れて面する側に偏向チャンファ14を有してもよい。
【0044】
4つの突出部15が、形状体部12の間で周方向に配分されて配列されている。各突出部15は、外側部品7に連結されているウェブ16の先端部に位置されている。ウェブ16は、突出部15がばね作用で半径方向に支えられるように、ある形式のばねを形成している。
【0045】
特に、図2において認識されるように、突出部15は後壁部13から止め部8に向かって軸方向に突出している。突出部15はまた、止め部8から離れて面する側に偏向チャンファ17を有している。
【0046】
内側部品6及び外側部品7は、ロック連結を介して互いに連結されている。この目的のために、外側部品7はその内側に、周方向に均等に配分された多数のロック用フィンガ18を有している。各ロック用フィンガ18は偏向チャンファ19を有している。内側部品6が外側部品7に(図2に図示された関係で、外側部品7に関する内側部品6のこの移動が右側から左側に生ずる)挿入されたとき、その後、ロック用フィンガ18が円周突出部20の背後で内側部品6に係合する。各ロック用フィンガ18のためには、収容チャンバ21が設けられており、収容チャンバ21は周方向に制限壁を有している。したがって、係合されたロック用フィンガ18は、内側部品6及び外側部品7の間の挿入方向(以下、軸方向とも称される)の移動を防止するのみならず、内側部品6及び外側部品7の間の回転運動をも防止する。
【0047】
内側部品6は流体通路22を有している。さらに、内側部品6は流体通路の各端部について連結用幾何学形状23、24を有している。図示された連結用幾何学形状23、24は単に実施例として理解されるべきであり、他の連結用幾何学形状が同じく本発明の精神及び範囲から逸脱することなく用いられてもよい。
【0048】
壁貫通供給エレメント2の設置は比較的簡単である。それは、壁3の一方側から起こり得る。すなわち、図2に図示された関係で、本模範的実施形態において右側である。
【0049】
壁貫通供給エレメント2には、壁3への設置の前にシール10が設けられてもよい。シール10は、内側部品6及び外側部品7が組立てられ互いに係合されるときに据付けられてもよい。
【0050】
壁貫通供給エレメント2はその貫通供給領域部9でもって通過開口部4を通して供給される。形状体部12は、通過開口部4の円周輪郭の凹部5を通過するべく方向付けられている。もちろん、これは、凹部5に関しての壁貫通供給エレメント2の対応する配置構造を介して達成されてもよい。
【0051】
形状体部12は困難を伴わずに凹部5を通過することができるが、突出部15のための利用可能な対応する通路はない。上に述べたように、突出部15は半径方向内方に押され(この目的のために、偏向チャンファ17が有益である)、そしてそれらもまた、凹部5外の通過開口部4に入ることができるのに十分な距離だけ半径方向にばね作用する。
【0052】
壁貫通供給エレメント2の壁3への挿入移動は、シール10が壁3に対して当接し、そして止め部8によっていくらか圧縮されるまで継続される。シール10は、形状体部12がそれらの後壁部13で壁3から自由になるか、又は壁3に対して.止め部8から離れて面している表面にかすかな張力をもって当たるのみに、十分な距離だけ圧縮されている。この状態では、壁貫通供給エレメント2の壁3に関しての回転は可能である。この回転において、支持区画部11は、回転運動のみが生ずるが壁3に平行する変位は生じないように、通過開口部4によって支持されている。
【0053】
壁貫通供給エレメント2の回転移動は、ばね作用する突出部15が通過開口部4の凹部5に係合するまで継続される。突出部15は半径方向外方にばね作用するので、この形式の係合は問題なく可能であり、作業者に対する可聴警報ともなり得る。
【0054】
一旦、突出部15が凹部5に係合されると、当該設置は終了である。シール10が解放し、そして形状体部12の後壁部13を壁3に対して引くことができる。シール10は、それによって、そのシール機能を適切に実行できるように、いくらか圧縮されたままである。
【0055】
ばね作用する突出部15の凹部5への係合が可能である。突出部15は、形状体部12の後壁部13を越えて止め部8に向かって突出しているからである。たとえ、形状体部12が壁を完全に通過したとしても、ばね作用する突出部15は未だに壁3内に配置されている。突出部15の通過開口部4外への移動は、止め部8及びシール10の相互作用によって防止されている。
【0056】
図1において理解されるように、形状体部12及び突出部15はほぼ等しい距離、半径方向に突出している。
【0057】
内側部品6及び外側部品7の間に、当該ハウジングは、挿入用開口部25を有しており、その中に、流体ライン(不図示)と流体通路22との間の連結を生じさせるために連結エレメントが挿入される。本模範的実施形態においては、当該挿入用開口部25はねじり接触表面26を有しており、これは、例えば、円形形状の平坦化として、具体化ないしは形成されている。もちろん、他のねじり接触表面、例えば、多角形もまた可能である。もし、対応すべく適合された連結エレメントが用いられると、その後に当該連結エレメントは壁貫通供給エレメント2に関して回転不能に保持される。その結果、壁3に関しての壁貫通供給エレメント2の回転位置のみならず、壁貫通供給エレメント2に連結された流体ラインの角度位置までが比較的正確に規定される。
【0058】
内側部品6及び外側部品7を備える当該ハウジングの実施形態は、生産に関連する優位性を有している。当該ハウジングを生産するのに用いられる道具、好ましくは、射出成形機は比較的簡単に保持される。しかしながら、当該ハウジングを一部品で具体化ないしは形成すること、又は当該内側部品6及び外側部品7を、例えば、接着又は溶着による異なる方法で、互いに連結することも可能である。
【0059】
前述の実施例は単に説明の目的のために提供され、本発明の限定として解釈されるべきではないことが注意される。本発明が模範的実施形態を参照しつつ説明されたが、ここで用いられた用語は限定の用語というよりもむしろ記述及び説明の用語であるということが理解されよう。現状及び補正された添付の請求項の範囲内で、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく変更がなされ得る。本発明が、ここで、特定の手段、材料及び実施形態を参照して説明されたが、本発明は、ここに説明された特定のものに限定されるようには意図されておらず、むしろ、本発明は、添付の請求項の範囲内のような、全ての機能的に均等な構造、方法及び用法にまで延びている。
【符号の説明】
【0060】
1 壁貫通供給装置
2 壁貫通供給エレメント
3 壁
4 通過開口部
5 凹部
6 内側部品
7 外側部品
8 止め部
9 貫通供給領域部
10 シール
11 支持区画部
12 形状体部
13 後壁部
14 偏向チャンファ
15 突出部
16 ウェブ
17 偏向チャンファ
18 ロック用フィンガ
19 偏向チャンファ
20 円周突出部
21 収容チャンバ
22 流体通路
23 連結用幾何学形状
24 連結用幾何学形状
25 挿入用開口部
26 ねじり接触表面
図1
図2