(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901710
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】改良されたキャップ接合境界を備えた絶対圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20160331BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
G01L9/00 303L
H01L29/84 A
H01L29/84 B
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-160289(P2014-160289)
(22)【出願日】2014年8月6日
(65)【公開番号】特開2015-52594(P2015-52594A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2014年8月6日
(31)【優先権主張番号】61/864,148
(32)【優先日】2013年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/289,874
(32)【優先日】2014年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313005662
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティブ システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AUTOMOTIVE SYSTEMS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】シャオイー ディン
【審査官】
岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−145154(JP,A)
【文献】
米国特許第8171800(US,B1)
【文献】
特開2012−26956(JP,A)
【文献】
特開2011−237364(JP,A)
【文献】
特開平7−77471(JP,A)
【文献】
特開昭58−45533(JP,A)
【文献】
米国特許第4023562(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32
G01L27/00−27/02
H01L29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサであって、
トップキャップと、
該トップキャップの一方の端部に形成された凹部と、
前記トップキャップの前記端部に形成され、前記凹部と連通しているキャビティであって、該キャビティは、前記凹部よりも軸方向でさらに前記トップキャップ内部へと延在しており、その結果前記凹部の深さよりも大きい深さを有していて、前記凹部の外側縁部は前記キャビティの外側縁部を越えて横方向外側に向かって延在しており、これにより接合境界を規定している、キャビティと、
シリコン基板であって、該シリコン基板は、該シリコン基板の上面に設けられた検出回路を有しており、前記トップキャップが、該トップキャップの外側縁部から前記接合境界までの範囲で前記シリコン基板の上面に接合されている、シリコン基板と、を備えた圧力センサにおいて、
前記トップキャップの前記凹部と前記キャビティとは、前記シリコン基板の上面に面していて、基準真空キャビティを形成しており、圧力が前記基板の背面に作用すると、前記シリコン基板の一部が撓むように構成され、配置されており、
前記シリコン基板の一部はダイアフラムを有しており、前記検出回路の少なくとも一部は、前記ダイアフラムの上面に設けられており、
前記トップキャップは、前記ダイアフラムの変形を抑制する、前記ダイアフラムの中心に軸方向で整合する部分を含み、前記キャビティは該整合する部分を取り囲むように複数配置されていることを特徴とする、圧力センサ。
【請求項2】
前記凹部が、ほぼ矩形であって丸み付けられた角隅を備えている、請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
前記凹部の深さは約10μmよりも小さく、前記キャビティの深さは約100μmよりも大きい、請求項1又は2記載のセンサ。
【請求項4】
さらに台座を有しており、該台座は、前記シリコン基板の底面に接合されている、請求項1ないし3のいずれか1項記載のセンサ。
【請求項5】
前記台座はさらに、前記ダイアフラムの背面に連通する開口を有している、請求項4記載のセンサ。
【請求項6】
圧力センサ用のトップキャップを製造する方法であって、
キャップ基板を設けるステップと、
前記キャップ基板の一方の端部に凹部をエッチングするステップと、
前記凹部の一部にキャビティをエッチングするステップであって、前記キャビティは、前記凹部よりも軸方向にさらに前記キャップ基板の内部へと延在していて、前記凹部の外側縁部は前記キャビティの外側縁部を越えて横方向外側に向かって延在しており、接合境界を画成している、ステップと、
前記シリコン基板の上面を、前記トップキャップの外側縁部から前記接合境界までの範囲で、前記キャップ基板へと接合するステップと、を有し、
前記シリコン基板は、該シリコン基板の上面に設けられた検出回路を有しており、前記シリコン基板の一部はダイアフラムを有しており、前記検出回路の少なくとも一部は、前記ダイアフラムの上面に設けられており、
前記トップキャップは、前記ダイアフラムの変形を抑制する、前記ダイアフラムの中心に軸方向で整合する部分を含み、前記キャビティは該整合する部分を取り囲むように複数配置されていることを特徴とする、圧力センサ用のトップキャップを製造する方法。
【請求項7】
前記凹部を、丸み付けられた角隅を備えたほぼ矩形の凹部として設ける、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記凹部の深さは約10μmよりも小さく、前記キャビティの深さは約100μmよりも大きい、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
さらに台座を前記シリコン基板の底面に接合するステップを有する、請求項6ないし8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記台座はさらに、前記ダイアフラムの背面に連通する開口を有している、請求項9記載の方法。
【請求項11】
圧力センサ用のトップキャップであって、
キャップ基板と、
該キャップ基板の一方の端部に形成された凹部と、
前記凹部の一部に形成されたキャビティであって、該キャビティは、前記凹部よりも軸方向でさらに前記キャップ基板内部へと延在していて、前記凹部の外側縁部は前記キャビティの外側縁部を越えて横方向外側に向かって延在しており、接合境界を画成する、キャビティを有し、
前記トップキャップの外側縁部から前記接合境界までの範囲で前記キャップ基板に接合されるシリコン基板のダイアフラムの変形を抑制するため、前記トップキャップに、前記ダイアフラムの中心に軸方向で整合する部分が設けられ、前記キャビティは該整合する部分を取り囲むように複数配置されていることを特徴とする、圧力センサ用のトップキャップ。
【請求項12】
前記凹部が、ほぼ矩形の凹部であって丸み付けられた角隅を備えている、請求項11記載のトップキャップ。
【請求項13】
前記凹部の深さは約10μmよりも小さく、前記キャビティの深さは約100μmよりも大きい、請求項11又は12記載のトップキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2013年8月9日に提出された米国仮出願No.61/864148に基づいており、その優先権に関する利益を請求する。
【0002】
本発明は主として、改良された接合境界を備えたキャップを有する背面絶対圧力センサであって、改良された接合境界により、キャップと基板の取り付けにより生じる熱応力を効果的に均衡にし、センサの精度を改善した圧力センサに関する。
【背景技術】
【0003】
MEMS(メムス、microelectromechanical systems)圧力センサは一般的に公知であり広く使用されている。圧力センサの一つのタイプは絶対圧力センサであって、この絶対圧力センサは、シリコン基板の上面に形成された圧力検出回路、即ち典型的にはピエゾ抵抗ブリッジと、基準真空を形成するキャビティが位置しているシリコン基板の背面に陽極接合されるガラス台座とを含む。このような絶対圧力センサについては、検出回路が位置しているデバイスの正面が圧力媒体に面している。多くの絶対圧力センサは、センサが過酷な媒体にさらされている適用例において使用される。そのような適用例について、従来の絶対圧力センサによる正面での検出は、過酷な媒体において耐性がない。このような環境では、過酷な媒体への露出に抵抗力がある背面絶対(BSA)圧力センサのような別のタイプの絶対圧力センサが求められる。
【0004】
典型的なBSA圧力センサの1つは、検出回路を有したシリコン基板の正面上にキャビティを包囲するトップキャップを含む。このキャビティ内には基準となる真空が含まれ、センサの背面は圧力媒体にさらされている。基準真空は、埋め込まれた検出回路を有するシリコン基板の上面にトップキャップを接合することにより形成されるキャビティ内に密閉されている。シリコン基板の背面は、シリコンダイアフラムの背面を圧力媒体に連通させるための開口を有した台座に接合されて良い。シリコンダイアフラムは、シリコン基板の背面からバルクシリコンの一部を選択的に除去することにより成形されている。
【0005】
しかしながら、このタイプのBSA圧力センサにはいくつかの作動上の欠点がある。即ち、キャップのキャビティが限られた深さを有する設計と加工処理のために陽極接合するステップの間に蓄積された残留ガスによるキャビティ内の高い圧力が、作動温度が高い又は低い場合に出力エラーを引き起こすことが多い。
【0006】
生じ得る別の欠点は、キャップのキャビティを取り囲むキャップ接合境界の変動が大きいことである。これは、キャップのキャビティをエッチングする間、キャップのキャビティの横方向の寸法を制御するのが困難だからである。一般的に、キャップのキャビティの深さが深くなると、キャップのキャビティの横方向の寸法の誤差も大きくなる。キャップのキャビティの横方向の寸法は、シリコン基板に対するキャップの接合境界を定める。キャップの接合境界は、検出回路における熱応力の配分及びレベルに作用する重要な要素である。このようなプロセス誤差はしばしば熱応力を均衡にするための接合境界の許容誤差を越えており、結果として出力エラーが高くなり、デバイスの歩留まりは減じられる。さらに、このようなタイプのセンサでは、ダイアフラムの強度が弱められ易く、異なる適用例における高い圧力の変動によりダイアフラムが損傷されることがある。
【0007】
従って、上述したような欠点を克服するBSA圧力センサの必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8171800号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上述した必要性を満たすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施態様の原理によると、圧力センサはトップキャップを有しており、該トップキャップは、該トップキャップの一方の端部に形成された凹部と、該凹部に連通する、トップキャップの前記端部に形成されたキャビティとを有している。キャビティは、軸方向で凹部よりもさらにトップキャップ内部へと延在しており、従って、凹部の深さよりも大きな深さを有している。凹部の外側縁部は、キャビティの外側縁部を越えて横方向外側に延在しており、これにより接合境界を画成している。シリコン基板は、シリコン基板の上面に設けられた検出回路を有している。トップキャップは、トップキャップの外側縁部から接合境界までの範囲でシリコン基板の上面に接合されている。トップキャップの凹部とキャビティとは、シリコン基板の上面に面していて、基準真空キャビティを形成している。圧力が基板の背面に作用すると、基板の一部が撓むように構成され、配置されている。
【0011】
実施態様の別の態様によれば、圧力センサ用のトップキャップを製造する方法によりキャップ基板を設ける。凹部を該キャップ基板の一方の端部にエッチングする。キャビティを、前記凹部の一部にエッチングし、該キャビティが、前記凹部よりも軸方向にさらに前記キャップ基板内部に延在しており、前記凹部の外側縁部は前記キャビティの外側縁部を越えて横方向外側に向かって延在しており、接合境界を画成する。
【0012】
本発明のさらなる応用の範囲は、以下に記載される詳細な説明により明らかとなるだろう。本発明の好適な実施態様を示す詳細な説明及び特殊な例は、図示する目的のためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0013】
以下の図面に基づく詳細な説明により、本発明はより完全に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施態様による背面絶対圧力センサを示した側面図である。
【
図2A】一実施態様による背面絶対圧力センサの一部であるトップキャップを示した平面図である。
【
図2B】別の実施態様による背面絶対圧力センサの一部であるトップキャップを示した平面図である。
【
図2C】さらに別の実施態様による背面絶対圧力センサの一部であるトップキャップを示した平面図である。
【
図2D】さらに別の実施態様による背面絶対圧力センサの一部であるトップキャップを示した平面図である。
【
図4】一実施態様による、背面絶対圧力センサの一部であるトップキャップを製作するために使用される薄板のキャップ基板を示す断面図である。
【
図5】一実施態様による、
図4の薄板のキャップ基板に形成された浅い凹部のみを備えたキャップ基板を示す断面図である。
【
図6】一実施態様による、浅い凹部と該凹部に形成された深いキャビティとの両方を備えた完成したトップキャップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の好適な態様の説明は、勿論一例であって、本発明、その適用または使用を限定するものではない。
【0016】
本発明の一態様を示す
図1には絶対圧力センサが符号10で概略的に示されている。この圧力センサ10は過酷な媒体における使用のためのものであり、トップキャップ12と、該トップキャップ12に接合されたシリコン基板13とを含んでいる。圧力検出回路14は、シリコン基板13の上面15に設けられている。圧力検出回路14の少なくとも一部は、シリコン基板13のダイアフラム20の上面に成形されている、又は埋め込まれている。回路14は好適には、米国特許第8171800号明細書に開示されたようなピエゾ抵抗ブリッジであって、当該明細書の内容は、ここで参照することにより本願に含まれる。台座17は、従来の形式で基板13の底面に接合されていて、この台座17には、基板13の背面21に連通する開口19が設けられている。
【0017】
トップキャップ12は、この実施態様では約10μmよりも小さい深さを有した浅い凹部16と、この浅い凹部16に連通する深いキャビティ18との両方を有している。凹部16とキャビティ18とは軸方向Yで延在している。この実施態様では、深いキャビティ18は約100μmよりも大きい深さを有している。浅い凹部16と深いキャビティ18の深さの一例を述べたが、その他の深さが使用された場合も本発明の範囲内にある。浅い凹部16の面を形成する1つの部分22は、基板13のダイアフラム20の中心に軸方向で整合されており、これにより、使用現場における高い圧力ピークによる損傷を回避するようにダイアフラム20の変形を抑制する。横方向(Y軸に対して直交方向)における浅い凹部16の縁部24は、キャップ12が基板に接合されているところに隣接して、キャップ接合境界(後述する)を規定している。これは、接合境界が深いキャビティの横方向縁部により規定されている従来のキャップとは異なるものである。
図3Aに示されているように、凹部16とキャビティ18とがトップキャップ12の開放側端部26を画成している。トップキャップ12の反対側の端部28は閉鎖側端部であり、トップキャップ12が基板13に接合されたときに閉じられた基準真空キャビティ38が形成される。
【0018】
深いキャビティ18は、必要な基準真空レベルを達するために凹部16とキャビティ18とに残留ガスを収容するための大きなキャビティ容積Vを画成している。浅い凹部16は、接合境界を正確に規定することができる程度の最小限のプロセス誤差を有する。
【0019】
図2A〜
図2D及び
図3A〜
図3Dにはトップキャップ12の複数の選択的な実施態様が示されており、同じ要素には同じ符号が付与されている。トップキャップ12の変化実施態様は、浅い凹部16,16´,16´´,16´´´によって定められる方形の接合境界を含む。接合境界は丸み付けられた角隅30を有している。各キャビティ18,18´,18´´,18´´´は、関連する浅い凹部16,16´,16´´,16´´´からそれぞれ軸方向でキャップ12内部へと延在している。別の選択的な実施態様では、接合境界(浅い凹部16)は、円形(図示せず)のような別の形状であって良い。
【0020】
図4〜
図6には、
図1の実施態様によるトップキャップ12を製作するのに使用されるステップが示されている。図示を簡略にするために、
図4〜
図6には、キャップウェハ32の一部分における1つのキャップ構造12のみが示されている。しかしながらMEMS製作プロセスでは、各キャップウェハ32につき同じキャップ構造12のコピーを多数製作することができる。
図4には薄板状のキャップウェハ32の一部が示されており、矢印34は、
図5に示されたような浅い凹部16の外側の横方向縁部24によって形成される接合境界のターゲットを示している。
図5には、浅い凹部16を成形するステップが示されている。従って、浅い凹部16は、約10μmよりも小さい深さまで基板32の一方の端部にエッチングされる。有利には浅いエッチングのプロセスは凹部16の横方向の寸法において無視できるプロセス誤差を有しているので、接合境界は、浅い凹部16の外側の横方向縁部24によって正確に形成される。
図6にはこのプロセスにおける次のステップが示されている。
図6では深いキャビティ18が浅い凹部16の内部へとエッチングされ、約100μmよりも大きい深さを有するものとなる。深いキャビティ18を成形している間、深いキャビティ18の横方向縁部36が浅い凹部16の縁部24を越えて外側に延在するのを防止するために、十分なプロセス許容誤差範囲が設けられている。従って、浅い凹部16の横方向縁部24が、深いキャビティ18の横方向縁部36を越えて延在していることが重要である。プロセス許容誤差範囲は、深いキャビティ18の外側縁部36と、浅い凹部16の外側縁部24との間の距離Dである。この実施態様では、プロセス許容誤差範囲Dは30μmよりも大きいが、本発明の範囲では、深いキャビティ18の縁部36が浅い凹部16の縁部24を越えて外側に延びるのを阻止するために、(用いられるエッチングプロセスに基づき)その他の距離を利用することもできる。
【0021】
図1に戻り、トップキャップ12が形成されると、トップキャップ12の端部26が、キャップ12の外側縁部40から浅い凹部16の縁部24によって規定される接合境界までの範囲で、基板13の上面15に接合される。トップキャップ12の凹部16とキャビティ18とは、シリコン基板13の上面15に面していて、基準真空キャビティ38を形成している。基準となる真空Vはキャビティ38内に存在するので、台座17に設けられた開口19を介して基板13の背面21に作用する圧力Pに反応して、ダイアフラム20が上方及び下方に撓んだときに、絶対圧力の検出が行われる。
【0022】
このようにしてこの実施態様は、必要なデバイス精度を達するために、キャップと基板の取り付けにより生じる熱応力を効果的に均衡にするために構成された背面絶対圧力センサ10を提供する。キャップ接合境界は圧力検出ブリッジ14における熱応力に影響を与える。熱応力を均衡にするための、浅い凹部16の横方向縁部によって規定された接合境界の許容範囲は、典型的には、特に湿式エッチング技術のためのガラス−Si接合を使用して深いキャビティを成形するときのプロセス誤差よりも小さい。これは深いキャビティのエッチングプロセスにおける横方向のエッチング率は、予想し、制御するのが極めて困難であり、しばしばウェハごとに、ロットごとに、及びその他のプロセス状況において変化するからである。キャビティが深くなるほど、横方向のキャビティ寸法におけるプロセス誤差が大きくなる。昨今の多くの手法では、深いキャビティの縁部が接合境界を画成しており、その結果、大きな歩留まり損失を伴い、高い偏差を含むデバイスを除去するための冗長なスクリーニングテストを要する。本実施態様は、(10μmよりも小さい深さを有する)浅い凹部と、(100μmよりも大きい深さを有する)深いキャビティの両方を有するキャップ構造を使用している。接合境界を正確に規定するために浅い凹部が利用される。この浅い凹部の横方向の凹部寸法のプロセス誤差は、熱応力を均衡にするための許容範囲と比べてごく僅かである。さらに、浅い凹部16は、いくつかの適用例で生じる高い圧力ピークによるダイアフラムの損傷も防止する。深いキャビティは、正確な絶対圧力検出のために必要な真空レベルを達するためにキャビティ内に残留ガスを収容する。
【0023】
この実施態様の説明は勿論一例であり、従って、本発明の思想を離れない変化実施態様は本発明の範囲内にある。そのような変化実施態様は、本発明の精神と範囲から離れていないものとみなされる。
【符号の説明】
【0024】
10 圧力センサ、 12 トップキャップ、 13 シリコン基板、 14 検出回路、 15 上面、 16,16´,16´´,16´´´ 浅い凹部、 17 台座、 18,18´,18´´,18´´´ 深いキャビティ、 19 開口、 20 ダイアフラム、 21 背面、 22 部分、 24 縁部、 26 開放側端部、 28 反対側の端部、 32 キャップウェハ、 34 矢印、 36 縁部、 38 基準真空キャビティ、 40 縁部、 D 距離、 V キャビティ容積