特許第5901722号(P5901722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

<>
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000002
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000003
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000004
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000005
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000006
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000007
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000008
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000009
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000010
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000011
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000012
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000013
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000014
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000015
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000016
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000017
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000018
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000019
  • 特許5901722-自転車チェーンの横方向変位止め装置 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901722
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】自転車チェーンの横方向変位止め装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 9/00 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   B62M9/00 Z
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-204282(P2014-204282)
(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公開番号】特開2015-74447(P2015-74447A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2015年4月20日
(31)【優先権主張番号】MI2013A001641
(32)【優先日】2013年10月4日
(33)【優先権主張国】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592072182
【氏名又は名称】カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】CAMPAGNOLO SOCIETA A RESPONSABILITA LIMITATA
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】ラッツァリン・レオポルド
(72)【発明者】
【氏名】パスカ・パオロ
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0095969(US,A1)
【文献】 特開2005−247302(JP,A)
【文献】 特開2007−203954(JP,A)
【文献】 特開2008−195381(JP,A)
【文献】 特開2008−132934(JP,A)
【文献】 特開2007−137412(JP,A)
【文献】 特開2008−273512(JP,A)
【文献】 特開2009−083845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のチェーンの横方向の変位を止める装置(1)において、
自転車フレーム(T)に装着されるように構成された取付エレメント(5)を備えており、当該取付エレメント(5)が、
−第1のカップリング軸(X)で、自転車のフロントディレイラ(50,60)と連結する第1部位(5a)、および
−前記第1のカップリング軸(X)から離れた第2のカップリング軸(Y)で、前記チェーンの横方向の変位を止めるストップエレメント(14)と連結する第2部位(5b)、を有することを特徴とする、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記第2のカップリング軸(Y)が前記第1のカップリング軸(X)と平行である、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記取付エレメント(5)が前記自転車フレーム(T)に装着されたとき、前記第2部位(5b)が、前記第1部位(5a)よりも低い位置に位置する、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記取付エレメント(5)が、前記フロントディレイラ(50,60)を前記取付エレメント(5)に固定する第1のねじ(11,11’)を収容する、前記第1のカップリング軸(X)と同軸な孔(6)を有している、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記第2のカップリング軸(Y)において、前記ストップエレメント(14)を前記取付エレメント(5)に固定する第2のねじ(13)を具備している、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項6】
請求項5に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記ストップエレメント(14)が、前記第2のねじ(13)を挿通させる貫通開口(21)を有している、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項7】
請求項6に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記第2のねじ(13)のうち、前記貫通開口(21)から突き出る部分に螺合するロックナット(15)を具備している、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項8】
請求項1に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記ストップエレメント(14)を前記取付エレメント(5)に取り付けるためのスライドガイド(30)を具備している、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項9】
請求項1に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記取付エレメント(5)に対する前記ストップエレメント(14)の相対回転を防ぐ手段を具備している、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項10】
請求項9に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記ストップエレメント(14)を前記取付エレメント(5)に取り付けるためのスライドガイド(30)を具備しており、前記相対回転を防ぐ手段が、そのスライドガイド(30)によって形成されている、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項11】
請求項1に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記取付エレメント(5)が、前記第2部位(5b)において、前記第2のカップリング軸(Y)の両側に位置し片持ち状態で突設された一対のタブ(31)を具備している、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項12】
請求項11に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記ストップエレメント(14)を前記取付エレメント(5)に取り付けるためのスライドガイド(30)を具備しており、前記タブ(31)が、互いに平行であり且つそのスライドガイド(30)を形成している、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項13】
請求項1に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記ストップエレメント(14)が側面を有しており、当該ストップエレメント(14)が、その側面において、前記取付エレメント(5)の前記第2部位(5b)に当接する第1の表面部位(20)、前記チェーンと接触するように構成された第2の表面部位(23)、および前記第1の表面部位(20)と前記第2の表面部位(23)との間の連結表面部位(22)を有しており、その第2の表面部位(23)が曲線状である、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項14】
請求項1に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記取付エレメント(5)が、前記フロントディレイラ(50,60)を前記自転車フレーム(T)に支持するように構成された支持エレメント(2)と別体であるか、あるいは、前記フロントディレイラ(50,60)を前記自転車フレーム(T)に支持するように構成された支持エレメント(2)との一体品として形成されている、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【請求項15】
請求項14に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記取付エレメント(5)が、前記支持エレメント(2)との一体品として形成されており、当該支持エレメント(2)が、前記自転車フレーム(T)に締め付けられるように構成されたホースクランプである、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のチェーンの横方向の変位を止める装置に関する。
【0002】
本発明の好適な技術分野は、競走用自転車の分野である。
【背景技術】
【0003】
クランクセットの大径側の歯付きクラウンから小径側の歯付きクラウンへとギアシフト動作を実行する際に、チェーンがその小径側の歯付きクラウンを超えて横方向に変位するのを防ぐ特殊な装置を、フロントディレイラで、自転車フレームに装着することが知られている。
【0004】
このような装置は、例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載されている。
【0005】
特許文献2には、チェーン止め装置を、特に自転車フレームに設けられたボトルホルダに装着する構成が記載されている。このような装置は、ボトルホルダに取り付けられる直線部とチェーンを止める曲線部とが形成されたエレメントを備える。
【0006】
一方で、特許文献2および特許文献3には、チェーン止め装置を、フロントディレイラと同じ取付エレメントに取り付ける構成が記載されている。
【0007】
出願人は、チェーン止め装置を、フロントディレイラと同じ取付エレメントに取り付けるという、例えば上記の特許文献2や特許文献3などに記載された既知の解決手段に注目した。
【0008】
出願人は、運転中に正確なギアシフト動作を実現すると共にチェーン止め装置の機能を効果的に発揮させるには、フロントディレイラとチェーン止め装置の両方を、クランクセットに対して正確に位置決めする必要があることに気付いた。
【0009】
出願人は、さらに、例えば上記の特許文献2や特許文献3などに記載された既知の解決手段では、フロントディレイラを上記の取付エレメントに固定する際に、チェーン止め装置を、フロントディレイラをその取付エレメントにロックするのと同じねじを介して固定を行っていることに気付いた。そのため、クランクセットに対するチェーン止め装置の位置を調節しようと当該チェーン止め装置に手を加えるたびに、そのクランクセットに対するフロントディレイラの正確な位置が変わってしまうか又はそのような正確な位置が損なわれてしまうというリスクが必然的に伴い、その逆も然りである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0172164号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0095969号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/0230287号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の根底をなす技術的課題は、クランクセットに対するフロントディレイラの正確な位置に影響を及ぼすことなく、そのクランクセットに対するチェーン止め装置の位置調節を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上を踏まえて、本発明は、自転車のチェーンの横方向の変位を止める装置において、自転車フレームに装着されるように構成された取付エレメントを備えており、当該取付エレメントが、
−第1のカップリング軸で、自転車のフロントディレイラと連結する第1部位、および
−前記第1のカップリング軸から離れた第2のカップリング軸で、前記チェーンの横方向の変位を止めるストップエレメントと連結する第2部位、
を有することを特徴とする、自転車チェーンの横方向変位止め装置に関する。
【0013】
有利なことに、出願人は、上記のような取付エレメントを使用し、フロントディレイラとのカップリング部位と前記ストップエレメントとのカップリング部位とを、2種類の相異なるカップリング部位とすることにより、クランクセットに対する適切な位置でフロントディレイラを固定するためのエレメントや部品に干渉することなく、前記ストップエレメントの位置調節作業を行えることを見出した。同様に、クランクセットに対するフロントディレイラの位置調節作業も、前記ストップエレメントの位置調節作業と独立して実行・完了することができる。事実、チェーンの横方向の変位を止める前記ストップエレメントを、クランクセットに対する正確な位置で固定する際には、前記取付エレメントのうち、クランクセットに対するフロントディレイラの位置を調節する際にユーザが作業を行う部位と異なる取付部位に対して作業を行う。
【0014】
好ましくは、前記第2のカップリング軸は、前記第1のカップリング軸と平行である。
【0015】
より好ましくは、前記取付エレメントが前記自転車フレームに装着されたとき、前記第2部位が、前記第1部位よりも低い位置に位置する。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、前記取付エレメントは、前記フロントディレイラを前記取付エレメントに固定する第1のねじを収容する、前記第1のカップリング軸と同軸な孔を有している。
【0017】
好ましくは、前記孔は、貫通孔である。
【0018】
好ましくは、モータ駆動のディレイラ(モータ付ディレイラとも称される)の場合、前記第1のねじが、前記フロントディレイラの被取付部位に固定連結されている。この場合、前記第1のねじの前記貫通孔から突き出た端部にロックナットを螺合させることにより、フロントディレイラを前記取付エレメントにロックすることができる。
【0019】
好ましくは、手動のディレイラ(機械式ディレイラとも称される)の場合、前記第1のねじにヘッドが設けられており、当該第1のねじが、前記フロントディレイラの前記被取付部位に形成されたねじ孔に螺合するように構成される。
【0020】
前記ねじ(場合によっては、前記ねじおよび前記ロックナット)により、フロントディレイラを、クランクセットに対する所望の高さで前記取付エレメントにロックすることができる。
【0021】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「固定連結」という表現は、2つの相異なる構成要素同士が、相対運動不能に安定的にカップリングしている状態を指す。
【0022】
好ましくは、本発明にかかる前記装置は、前記第2のカップリング軸において、前記ストップエレメントを前記取付エレメントに固定する第2のねじを具備している。
【0023】
より好ましくは、前記第2のねじは、前記取付エレメントに固定連結されている。さらに好ましくは、前記第2のねじは、前記取付エレメントと一体成形されている。
【0024】
好ましくは、前記ストップエレメントは、前記第2のねじを挿通させる貫通開口を有している。
【0025】
この場合、より好ましくは、本発明にかかる前記装置は、前記第2のねじの、前記貫通開口から突き出る部分に螺合するロックナットを具備している。
【0026】
本発明にかかる前記装置の他の実施形態において、前記取付エレメントは、前記第2のカップリング軸において、ヘッドが設けられたねじを収容するねじ孔を有している。
【0027】
本発明の好ましい実施形態において、前記貫通開口は、スロットによって形成されている。このようなスロットにより、チェーンの横方向の変位を止める前記ストップエレメントを、所望の最適な位置に達するまで、クランクセットに向かって動かしたりクランクセットから遠ざけたりすることができる。
【0028】
好ましくは、本発明にかかる前記装置は、前記ストップエレメントを前記取付エレメントに取り付けるためのスライドガイドを具備している。この構成によれば、前記取付エレメント上で前記ストップエレメントをスライド案内させることにより、前記取付エレメントに対する前記ストップエレメントの位置決めや位置調節を実行することができる。
【0029】
より好ましくは、前記スライドガイドは、前記取付エレメントの前記第2部位に形成されている。
【0030】
好ましくは、本発明にかかる前記装置は、前記取付エレメントに対する前記ストップエレメントの相対回転を防ぐ手段を具備している。
【0031】
より好ましくは、前記相対回転を防ぐ手段は、前記取付エレメントの前記第2部位に形成されている。
【0032】
本発明の好ましい実施形態において、前記相対回転を防ぐ手段は、前記スライドガイドによって形成されている。すなわち、前記スライドガイドにより、前記取付エレメントに対する前記ストップエレメントの相対回転が阻止される。
【0033】
好ましくは、前記取付エレメントは、前記第2部位において、前記第2のカップリング軸の両側に位置し片持ち状態で突設された一対のタブを具備している。
【0034】
好ましくは、前記タブは、互いに平行であり且つ前記スライドガイドを形成している。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、前記ストップエレメントが側面を有しており、当該ストップエレメントが、その側面において、前記取付エレメントの前記第2部位に当接する第1の表面部位、前記チェーンと接触するように構成された第2の表面部位、および前記第1の表面部位と前記第2の表面部位との間の連結表面部位を有しており、その第2の表面部位が曲線状である。このような曲線状の表面部位は、チェーンが小径側の歯付きクラウンを超えて横方向に変位するのを止めると共に、そのチェーンを当該小径側の歯付きクラウンに向けて方向転換させるという二重の役割を果たす。
【0036】
本発明の好ましい一部の実施形態において、前記取付エレメントは、前記フロントディレイラを前記自転車フレームに支持するように構成された支持エレメントと別体である。この場合、好ましくは、前記支持エレメントは前記自転車フレームに突設され、より好ましくは前記自転車フレームに溶接され、さらに好ましくは自転車のシートチューブに溶接される。
【0037】
本発明の好ましい他の一部の実施形態では、前記取付エレメントが、前記支持エレメントとの一体品として形成されている。この場合、好ましくは、前記支持エレメントは、前記自転車フレームに締め付けられるように構成されたホースクランプ(hose clamp)であり、より好ましくは自転車のシートチューブに締め付けられるように構成されたホースクランプである。
【0038】
本発明では、前記取付エレメントと前記ストップエレメントの両方が、前記支持エレメントに対し、フロントディレイラとは反対の側に取り付けられる。このことは、フロントディレイラの取付作業と前記ストップエレメントの取付作業とを互いに切り離すことに貢献する。
【0039】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながら行う、好適な実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになる。なお、図面はあくまでも例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明にかかる自転車チェーンの横方向変位止め装置の第1の実施形態を示す概略斜視図であって、モータ駆動のフロントディレイラを自転車フレームのシートチューブに装着する、一連の過程(図1〜4)の一つが描かれている。
図2】本発明にかかる自転車チェーンの横方向変位止め装置の第1の実施形態を示す概略斜視図であって、モータ駆動のフロントディレイラを自転車フレームのシートチューブに装着する、一連の過程(図1〜4)の一つが描かれている。
図3】本発明にかかる自転車チェーンの横方向変位止め装置の第1の実施形態を示す概略斜視図であって、モータ駆動のフロントディレイラを自転車フレームのシートチューブに装着する、一連の過程(図1〜4)の一つが描かれている。
図4】本発明にかかる自転車チェーンの横方向変位止め装置の第1の実施形態を示す概略斜視図であって、モータ駆動のフロントディレイラを自転車フレームのシートチューブに装着する、一連の過程(図1〜4)の一つが描かれている。
図5図4の止め装置を異なる視点から描いた概略拡大詳細図である。
図6図2の止め装置の概略断面図である。
図7】本発明にかかる自転車チェーンの横方向変位止め装置の第2の実施形態を示す概略斜視図であって、手動のディレイラを自転車フレームのシートチューブに装着する、一連の過程(図7〜10)の一つが描かれている。
図8】本発明にかかる自転車チェーンの横方向変位止め装置の第2の実施形態を示す概略斜視図であって、手動のディレイラを自転車フレームのシートチューブに装着する、一連の過程(図7〜10)の一つが描かれている。
図9】本発明にかかる自転車チェーンの横方向変位止め装置の第2の実施形態を示す概略斜視図であって、手動のディレイラを自転車フレームのシートチューブに装着する、一連の過程(図7〜10)の一つが描かれている。
図10】本発明にかかる自転車チェーンの横方向変位止め装置の第2の実施形態を示す概略斜視図であって、手動のディレイラを自転車フレームのシートチューブに装着する、一連の過程(図7〜10)の一つが描かれている。
図11図10の止め装置を異なる視点から描いた概略拡大詳細図である。
図12図7の止め装置の概略拡大詳細図である。
図13図10の止め装置を、図10図11と異なる視点から描いた概略拡大詳細図である。
図14図1図4及び図7図10の止め装置の一構成品を示す概略斜視図である。
図15図1図4及び図7図10の止め装置の一構成品を、異なる視点で描いた概略斜視図である。
図16図1図4及び図7図10の止め装置の一構成品を、異なる視点で描いた概略斜視図である。
図17】本発明にかかる自転車チェーンの横方向変位止め装置の第3の実施形態を示す概略斜視図である。
図18】本発明にかかる自転車チェーンの横方向変位止め装置の第3の実施形態を、異なる視点から描いた概略斜視図である。
図19】本発明にかかる自転車チェーンの横方向変位止め装置の第3の実施形態を、異なる視点から描いた概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
初めに図1図6を参照する。符号1は、本発明にかかる自転車のチェーン(図示せず)の横方向の変位を止める装置(止め装置)の第1の実施形態を指す。
【0042】
止め装置1は、フロントディレイラ50付近の自転車フレーム(自転車のフレーム)Tに装着される。図1図6の例では、フロントディレイラ50をモータ駆動のディレイラとしているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。
【0043】
止め装置1は、フレームTに装着される取付エレメント5を備えている。具体的に述べると、取付エレメント5は、自転車フレームTのシートチューブに突設された支持エレメント2に連結される。(好ましくは、支持エレメント2は、前記シートチューブに溶接されている。)支持エレメント2は、自転車のクランクセットに対するフロントディレイラ50の位置および自転車のクランクセットに対する止め装置1の位置を所望の高さに調節することを可能にする、縦方向のスロットを有している。
【0044】
図5から明らかなように、取付エレメント5は、フロントディレイラ50と第1のカップリング軸Xで連結する第1部位5aと、前記チェーンの横方向の変位を止めるストップエレメント14と第1のカップリング軸Xから離れた第2のカップリング軸Yで連結する第2部位5bと、を有し、第2部位5bは第1部位5aよりも低い位置に位置している。図示の例では、第2のカップリング軸Yを第1のカップリング軸Xと実質的に平行としているが、本発明は必ずしもこれに限定されず、第2のカップリング軸Yは第1のカップリング軸Xと平行でなくてもよい。
【0045】
取付エレメント5およびストップエレメント14は、支持エレメント2に対し、フロントディレイラ50とは反対の側に取り付けられる。
【0046】
図1図6において、符号10は、フロントディレイラ50を第1のカップリング軸Xで支持エレメント2および取付エレメント5に固定する手段を包括的に指す。図示の例や本明細書で説明する例では、手段10をねじ11およびロックナット12を含むものとしているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。
【0047】
ねじ11は、支持エレメント2の前記スロットおよび取付エレメント5に形成された前記第1のカップリング軸Xと同軸な貫通孔6に挿通される。
【0048】
好ましくは、ねじ11は、フロントディレイラ50の取付部位51に固定連結されている。取付エレメント5の貫通孔6から突き出たねじ11の端部に、ロックナット12を螺合させることにより、フロントディレイラ50を支持エレメント2および取付エレメント5にロックすることができる。
【0049】
図示しない代替的な実施形態では、ねじ11にヘッドが設けられており、当該ねじ11が、フロントディレイラ50の取付部位51に形成されたねじ孔に螺合する。
【0050】
止め装置1は、さらに、第2のカップリング軸Yと同軸に配置されてストップエレメント14を取付エレメント5に固定するねじ13を具備している。
【0051】
ねじ13は、取付エレメント5に形成された、前記第2のカップリング軸Yと同軸な貫通開口21に挿通されるように構成されている。
【0052】
好ましくは、ねじ13は、図6に示すように取付エレメント5と一体成形されている。一変形例として、ねじ13は、取付エレメント5に締まり嵌め(interference)で連結されていてもよい。
【0053】
図示の例では、貫通開口21をスロットによって形成されたものとしているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。このようなスロットにより、クランクセットに対するストップエレメント14の位置を、所望の最適な位置に達するまで、クランクセットの回転軸心に対して実質的に平行な方向に沿って調節することができる。
【0054】
ねじ13のうち、貫通開口21から突き出た部分にロックナット15を螺合させることにより、ストップエレメント14を、クランクセットに対する所望の位置で取付エレメント5にロックすることができる。
【0055】
図14図16に、ストップエレメント14の詳細を示す。
【0056】
ストップエレメント14は側面を有しており、その側面において、取付エレメント5の第2部位5bに当接する第1の表面部位20(貫通開口21が形成された部位)、自転車のチェーンと接触する第2の表面部位23、および第1の表面部位20と第2の表面部位23との間の連結表面部位22を有する。
【0057】
第2の表面部位23は曲線状である。
【0058】
図1図6に示す例では、取付エレメント5を支持エレメント2とは別体としているが、本発明は必ずしもこれに限定されず、取付エレメント5は支持エレメント2との一体品として形成されてもよい。
【0059】
図7図13に、本発明にかかるチェーンの横方向の変位を止める装置の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態についても、その全体を符号1で指す。
【0060】
図7図13において、図1図6を参照しながら説明した止め装置1の構成要素と同一であるか又は機能的に等価である構成要素については、図1図6と同じ符号を付すと共に、以降では詳述しない。
【0061】
第2の実施形態は、フロントディレイラ60が手動のディレイラである点、さらに、固定手段10をフロントディレイラ60の取付部位51に形成されたねじ孔(図示せず)に螺合する、ヘッドが設けられたねじ11’を含むものとした点が、第1の実施形態と異なる。
【0062】
第1の実施形態と第2の実施形態の両方において、止め装置1は、ストップエレメント14を取付エレメント5に取り付けるためのスライドガイド30を具備している。
【0063】
特に図12及び図13から明らかなように、スライドガイド30は、取付エレメント5の第2部位5bに形成されている。図示の例では、スライドガイド30を、取付エレメント5に対するストップエレメント14の相対回転を防ぐ手段としても機能するものとしているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。
【0064】
具体的に述べると、スライドガイド30は、一対のタブ31によって形成されている。これらのタブ31は、互いに実質的に平行である。また、これらのタブ31は、取付エレメント5において、第2のカップリング軸Yの両側に位置し片持ち(カンチレバー)状態で突設されている。各タブ31は、取付エレメント5にストップエレメント14を取り付ける際に、そのストップエレメント14の表面部位20における対応する側面をスライド案内し、さらに、オペレーションにおいて、取付エレメント5に対するストップエレメント14の相対回転を防ぐ。
【0065】
図17図19に、本発明にかかるチェーンの横方向の変位を止める装置の第3の実施形態を示す。この第3の実施形態についても、その全体を符号1で指す。
【0066】
図17図19において、図1図6を参照しながら説明した止め装置1や図7図13を参照しながら説明した止め装置1の構成要素と同一であるか又は機能的に等価である構成要素については、図1図6図7図13と同じ符号を付すと共に、以降では詳述しない。
【0067】
第3の実施形態は、取付エレメント5が、フロントディレイラを自転車フレームTに支持する支持エレメント2との一体品として形成されている点が、第1の実施形態や第2の実施形態と異なる。具体的に述べると、この場合の支持エレメント2は、フレームTのシートチューブに締め付けられるように構成されたホースクランプである。
【0068】
図17図19に示すホースクランプは2つのジョー(Jaw)41,42を具備しており、取付エレメント5は、これら2つのジョーのうちの一方(図示の例では、ジョー41)との一体品として形成されている。
【0069】
以下では、図1〜6を参照しながら説明した止め装置1、図7図13を参照しながら説明した止め装置1および図17図19を参照しながら説明した止め装置1の装着方法について説明する。
【0070】
図1図6の止め装置1および図7図13の止め装置1の場合、フロントディレイラ50,60および取付エレメント5を、クランクセットに対する所望の高さで支持エレメント2に取り付ける。
【0071】
具体的に述べると、図1および図7に示すように、ねじ11,11’を支持エレメント2の前記スロットおよび取付エレメント5の孔6に挿通させることにより、フロントディレイラ50,60と取付エレメント5とを、支持エレメント2に対して当該支持エレメント2の互いに相対する側に取り付ける。クランクセットに対するそのフロントディレイラ50,60の所望の位置およびクランクセットに対するその取付エレメント5の所望の位置を得てから、ねじ11にナット12を螺合させる(図2)か、又はねじ11’を螺合させる(図8)ことにより、それらフロントディレイラ50,60および取付エレメント5を支持エレメント2に固定する。
【0072】
次に、ねじ13をスロット21に挿通させる(図3及び図9)ことにより、ストップエレメント14を取付エレメント5に取り付ける。クランクセットに対するそのストップエレメント14の所望の位置を得てから、ロックナット15を螺合させる(図4及び図10)ことにより、ストップエレメント14を取付エレメント5にロックする。
【0073】
図17図19の止め装置1の場合、ジョー41,42をクランプさせることにより、ホースクランプを、フレームTのシートチューブに所望の高さで予め締め付けておく。既述したように、図示の実施形態では、取付エレメント5をジョー41との一体品として形成されたものとしているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。
【0074】
この場合、ねじ11,11’を取付エレメント5の孔6に挿通させることにより、フロントディレイラ50,60を取付エレメント5に取り付ける。クランクセットに対するそのフロントディレイラ50,60の所望の位置を得てから、ねじ11にナット12を螺合させる(図1図6に示すディレイラの場合)か、又はねじ11’を螺合させる(図7図13に示すディレイラの場合)ことにより、フロントディレイラ50,60をホースクランプに固定する。
【0075】
この場合のストップエレメント14の取付過程は、前述した取付過程と全く同じである。
【0076】
以上の説明から明らかなように、説明・図示した本発明を限定しないどの例示的な実施形態も、取付エレメント5を、フロントディレイラ50,60とストップエレメント14との間に動作可能に介在するようにして、自転車フレームTに着脱可能に連結することができ、さらに、当該取付エレメント5に規定された2種類の相異なるカップリング軸X,Yで各種作業を行うことができるので、クランクセットに対してフロントディレイラ50,60が正確に位置決めされているのを変えてしまったり損なってしまったりすることなく、ストップエレメント14の取付けやクランクセットに対するストップエレメント14の位置調節を実行することができる。
【0077】
当然ながら、当業者であれば、特定の要件及びその時々の要件に応えるために、自転車のチェーンの横方向の変位を止める前記装置に対して様々な変更や変形を施し得ると思われるが、このような変更及び変形の全ては、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の保護範囲内に包含されることに留意されたい。 本発明の実施態様を下記に示す。
(1) 自転車のチェーンの横方向の変位を止める装置(1)において、
自転車フレーム(T)に装着されるように構成された取付エレメント(5)を備えており、当該取付エレメント(5)が、
−第1のカップリング軸(X)で、自転車のフロントディレイラ(50,60)と連結する第1部位(5a)、および
−前記第1のカップリング軸(X)から離れた第2のカップリング軸(Y)で、前記チェーンの横方向の変位を止めるストップエレメント(14)と連結する第2部位(5b)、を有することを特徴とする、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(2)前記(1)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記第2のカップリング軸(Y)が前記第1のカップリング軸(X)と平行である、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(3)前記(1)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記取付エレメント(5)が前記自転車フレーム(T)に装着されたとき、前記第2部位(5b)が、前記第1部位(5a)よりも低い位置に位置する、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(4)前記(1)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記取付エレメント(5)が、前記フロントディレイラ(50,60)を前記取付エレメント(5)に固定する第1のねじ(11,11’)を収容する、前記第1のカップリング軸(X)と同軸な孔(6)、好ましくは貫通孔を有している、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(5)前記(1)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記第2のカップリング軸(Y)において、前記ストップエレメント(14)を前記取付エレメント(5)に固定する第2のねじ(13)を具備しており、当該第2のねじが、好ましくは前記取付エレメント(5)に固定連結されており、より好ましくは前記取付エレメント(5)と一体成形されている、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(6)前記(5)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記ストップエレメント(14)が、前記第2のねじ(13)を挿通させる貫通開口(21)を有しており、好ましくは、当該貫通開口(21)がスロットによって形成されている、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(7)前記(6)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記第2のねじ(13)のうち、前記貫通開口(21)から突き出る部分に螺合するロックナット(15)を具備している、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(8)前記(1)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記ストップエレメント(14)を前記取付エレメント(5)に取り付けるためのスライドガイド(30)を具備しており、好ましくは、当該スライドガイド(30)が前記取付エレメント(5)の前記第2部位(5b)に形成されている、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(9)前記(1)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記取付エレメント(5)に対する前記ストップエレメント(14)の相対回転を防ぐ手段を具備しており、好ましくは、当該相対回転を防ぐ手段が前記取付エレメント(5)の前記第2部位(5b)に形成されている、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(10)前記(9)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記ストップエレメント(14)を前記取付エレメント(5)に取り付けるためのスライドガイド(30)を具備しており、前記相対回転を防ぐ手段が、そのスライドガイド(30)によって形成されており、好ましくは、当該スライドガイド(30)が前記取付エレメント(5)の前記第2部位(5b)に形成されている、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(11)前記(1)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記取付エレメント(5)が、前記第2部位(5b)において、前記第2のカップリング軸(Y)の両側に位置し片持ち状態で突設された一対のタブ(31)を具備している、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(12)前記(11)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、当該装置(1)が、前記ストップエレメント(14)を前記取付エレメント(5)に取り付けるためのスライドガイド(30)を具備しており、前記タブ(31)が、互いに平行であり且つそのスライドガイド(30)を形成しており、好ましくは、当該スライドガイド(30)が前記取付エレメント(5)の前記第2部位(5b)に形成されている、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(13)前記(1)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記ストップエレメント(14)が側面を有しており、当該ストップエレメント(14)が、その側面において、前記取付エレメント(5)の前記第2部位(5b)に当接する第1の表面部位(20)、前記チェーンと接触するように構成された第2の表面部位(23)、および前記第1の表面部位(20)と前記第2の表面部位(23)との間の連結表面部位(22)を有しており、その第2の表面部位(23)が曲線状である、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(14)前記(1)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記取付エレメント(5)が、前記フロントディレイラ(50,60)を前記自転車フレーム(T)に支持するように構成された支持エレメント(2)と別体であるか、あるいは、前記フロントディレイラ(50,60)を前記自転車フレーム(T)に支持するように構成された支持エレメント(2)との一体品として形成されている、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
(15) 前記(14)に記載の自転車チェーンの横方向変位止め装置において、前記取付エレメント(5)が、前記支持エレメント(2)との一体品として形成されており、当該支持エレメント(2)が、前記自転車フレーム(T)に締め付けられるように構成されたホースクランプである、自転車チェーンの横方向変位止め装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19