(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901797
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】カスケード冷凍システム
(51)【国際特許分類】
F25B 7/00 20060101AFI20160331BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
F25B7/00 E
F25B1/00 396D
F25B1/00 396A
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-553777(P2014-553777)
(86)(22)【出願日】2013年1月8日
(65)【公表番号】特表2015-505029(P2015-505029A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】FR2013050034
(87)【国際公開番号】WO2013110866
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年8月13日
(31)【優先権主張番号】1250746
(32)【優先日】2012年1月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ラシェッド, ウィサム
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−190917(JP,A)
【文献】
特開2005−241195(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0210736(US,A1)
【文献】
特開2005−180866(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/056824(WO,A2)
【文献】
特開昭62−049160(JP,A)
【文献】
特開平02−192546(JP,A)
【文献】
特表2007−505963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 7/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱伝達流体を含む少なくとも1つの第1の蒸気圧縮回路(10)、及び第2の熱伝達流体を含む少なくとも1つの第2の蒸気圧縮回路(20)によって、流体又は物体を冷却するためのプロセスであって、前記プロセスは:
−前記第1の蒸気圧縮回路(10)における:
・前記流体又は物体との熱交換による、前記第1の熱伝達流体の少なくとも部分的な蒸発;
・前記第1の熱伝達流体の圧縮;
・前記第2の熱伝達流体との熱交換による、前記第1の熱伝達流体の少なくとも部分的な凝縮;
・前記第1の熱伝達流体の減圧;を含み、
−前記第2の蒸気圧縮回路(20)における:
・前記第1の熱伝達流体との熱交換による、前記第2の熱伝達流体の少なくとも部分的な蒸発;
・前記第2の熱伝達流体の圧縮;
・外部媒体との熱交換による、前記第2の熱伝達流体の少なくとも部分的な凝縮;
・前記第2の熱伝達流体の減圧;を含み、
前記プロセスは更に:
−前記外部媒体の温度の測定;及び、
−前記第2の熱伝達流体の前記蒸発時の温度を前記外部媒体の温度の関数としての最適な蒸発温度にする調整であって、前記最適な蒸発温度は、以下の式:
Topt=A×Text+B
によって定義され、ここでTextは前記外部媒体の前記温度(℃)、Aは無次元定数、Bは定数(℃)である、調整を含む、プロセス。
【請求項2】
前記第2の熱伝達流体の前記蒸発時の前記温度の前記調整は、連続的に実施されるか、又は1時間に少なくとも1回実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記外部媒体の前記温度の変動の検知を含み、
前記第2の熱伝達流体の前記蒸発時の前記温度の前記調整は、前記外部媒体の前記温度の上昇が検知された場合には、前記第2の熱伝達流体の前記蒸発時の前記温度の上昇を、前記外部媒体の前記温度の低下が検知された場合には、前記第2の熱伝達流体の前記蒸発時の前記温度の低下を含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記最適な蒸発温度は、前記第1の蒸気圧縮回路及び前記第2の蒸気圧縮回路の性能の総括係数が最大となる蒸発温度に対応する、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記定数Aは0.3〜0.6、又は0.4〜0.45の値を有し、
前記定数Bは−50℃〜0℃、又は−30℃〜−20℃の値を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記流体又は物体は、−50℃〜−15℃、又は−40℃〜−25℃の温度まで冷却される、請求項1から5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
−前記第1の熱伝達流体は、二酸化炭素、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、フルオロオレフィン及びこれらの混合物から選択され;並びに/又は
−前記第2の熱伝達流体は、アンモニア、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、フルオロオレフィン及びこれらの混合物から選択されるか又は、テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン若しくは1,3,3,3−テトラフルオロプロペンである、請求項1から6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第2の熱伝達流体の前記圧縮は、1つ又は複数の圧縮器(22a、22b、22c)によって実施され、
前記第2の熱伝達流体の前記蒸発時の前記温度の前記調整は、前記圧縮器(22a、22b、22c)を調節することによって実施され、
前記圧縮器(22a、22b、22c)の前記調節は、前記圧縮器(22a、22b、22c)の回転速度の調整を含むか、又は前記圧縮器(22a、22b、22c)を連続的にオン/オフすることによって実施される、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
急速冷凍又は冷凍された製品、又は食品を含むコンパートメントを冷却するためのプロセスである、請求項1から8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
流体又は物体を冷却するための設備であって、少なくとも:
−第1の熱伝達流体を含む第1の蒸気圧縮回路(10);
−第2の熱伝達流体を含む第2の蒸気圧縮回路(20);
−前記第1の熱伝達流体と前記第2の熱伝達流体との間の熱交換に適した、カスケード熱交換器(30);を備え、
前記第1の蒸気圧縮回路(10)は:
−前記第1の熱伝達流体と前記流体又は物体との間の熱交換に適した、第1の蒸発器(11);
−1つ又は複数の第1の圧縮器(12);
−第1の膨張デバイス(14);を備え、
前記第2の蒸気圧縮回路(20)は:
−1つ又は複数の第2の圧縮器(22a、22b、22c);
−前記第2の熱伝達流体と外部媒体との間の熱交換に適した第2の凝縮器(23);
−第2の膨張デバイス(24);を備え、
前記設備はまた:
−前記外部媒体(41)の温度を測定するためのデバイス;
−前記カスケード熱交換器(30)における蒸発温度(42)を最適な蒸発温度に調整するための手段;及び
−前記外部媒体の温度の関数として、前記最適な蒸発温度を算出するためのモジュールであって、前記最適な蒸発温度は、以下の式:
Topt=A×Text+B
によって定義され、ここでTextは前記外部媒体の前記温度(℃)、Aは無次元定数、Bは定数(℃)である、モジュールを備える、設備。
【請求項11】
前記最適な蒸発温度は、前記第1の蒸気圧縮回路及び前記第2の蒸気圧縮回路の性能の総括係数が最大となる蒸発温度に対応する、請求項10に記載の設備。
【請求項12】
前記定数Aは0.3〜0.6、又は0.4〜0.45の値を有し、
前記定数Bは−50℃〜0℃、又は−30℃〜−20℃の値を有する、請求項10又は11に記載の設備。
【請求項13】
前記物体又は前記流体を−50℃〜−15℃、又は−40℃〜−25℃の温度まで冷却するのに適している、請求項10から12のいずれか1項に記載の設備。
【請求項14】
−前記第1の熱伝達流体は、二酸化炭素、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、フルオロオレフィン及びこれらの混合物から選択され;並びに/又は
−前記第2の熱伝達流体は、アンモニア、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、フルオロオレフィン及びこれらの混合物から選択されるか又は、テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン若しくは1,3,3,3−テトラフルオロプロペンである、請求項10から13のいずれか1項に記載の設備。
【請求項15】
前記カスケード熱交換器(30)における前記蒸発温度(42)を調整するための前記手段は、前記第2の圧縮器(22a、22b、22c)を調節するための手段を備える、請求項10から14のいずれか1項に記載の設備。
【請求項16】
前記第2の圧縮器(22a、22b、22c)を調節するための前記手段は、前記第2の圧縮器(22a、22b、22c)の回転速度を調節するのに適しているか、又は前記第2の圧縮器(22a、22b、22c)を連続的にオン/オフするのに適している、請求項15に記載の設備。
【請求項17】
急速冷凍又は冷凍された製品、又は食品を受承するのに適したコンパートメントを備える、請求項10から16のいずれか1項に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適に動作するよう設計されたカスケード冷凍システム、及びこのシステム内で実施される冷凍プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍システムは一般に、低圧での流体の蒸発(ここで流体は熱を吸収する);蒸発した流体の高圧への圧縮;高圧の液体を発生させるための、蒸発した流体の凝縮(ここで流体は熱を放出する);及びサイクルを完結させるための流体の減圧からなる、熱力学的サイクルに基づく。
【0003】
熱伝達流体(これは純粋な1つの化合物であっても、又は複数の化合物の混合物であってもよい)の選択は、一方では流体の熱力学的特性によって、また他方では更なる制約によって規定される。従って、検討される流体が環境に与える影響の基準が、重要な基準となる。特に塩化化合物(クロロフルオロカーボン及びハイドロクロロフルオロカーボン)には、オゾン層を破壊するという欠点がある。よって今後は、ハイドロフルオロカーボン、フルオロメタン及びフルオロオレフィン等の非塩化化合物が上記塩化化合物よりも一般に好まれる。
【0004】
環境に関連する別の制約は、地球温暖化係数(global warming potential:GWP)に関する制約である。従って、可能な限り低いGWP及び良好なエネルギ性能を示す熱伝達組成物の開発が重要である。
【0005】
いくつかの具体的な冷凍システムは、複数の冷凍回路の使用、特に、連結された2つの回路、即ち高温回路及び低温回路をベースとしており、このようなシステムは「カスケード」システムと呼ばれる。これら2つの回路は一般に、異なる熱伝達流体を含む。
【0006】
カスケードシステムは、安全性の面で多くの利点を有する。特に、コスト及び性能を理由として、高温回路において特定の熱伝達流体を使用し、低温回路において可燃性が低い又は毒性が低い別の熱伝達流体を使用できる。このようにして、可燃性が極めて高い又は毒性が極めて高い熱伝達流体の総装填量を最小化し、この可燃性が極めて高い又は毒性が極めて高い熱伝達流体を、閉鎖されていない領域に、及び/又は流体漏れが発生した場合に公共の場若しくは一般大衆に接触する危険のない領域に制限する。
【0007】
例えば二酸化炭素は、その不燃性により、そして環境的観点から、極めて有利な熱伝達流体である。しかしながら、二酸化炭素はその臨界点の低さから、従来の熱伝達流体(炭化水素、ハイドロフルオロカーボン等)よりも一般に効果が低い。低温回路に二酸化炭素を、高温回路に従来の熱伝達流体を備えるカスケードシステムを使用することが、最適な解決策となり得る。
【0008】
特許文献1、特許文献2は、カスケード冷凍システムの例を提示する。
【0009】
Dopazoらによる非特許文献1、Bingmingらによる非特許文献2は、低温回路に二酸化炭素を、高温回路にアンモニアを使用するカスケードシステムの性能について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2008/150289号
【特許文献2】国際公開第2011/056824号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】レポート「Theoretical analysis of a CO2−NH3 cascade refrigeration system for cooling applications at low temperatures」、Applied Thermal Engineering、Vol.29、1577−1583頁(2009年)
【非特許文献2】レポート「Experimental investigation on the performances of NH3/CO2 cascade refrigeration system with twin−screw compressor」、International Journal of Refrigeration、Vol.32、1358−1365頁(2009年)
【0012】
しかしながら、カスケード冷凍システムの効率及び性能を改善する必要は今なお存在し、特に、このようなシステム全体のエネルギ消費及び関連する環境への影響を最小化する必要が今なお存在する。
【発明の概要】
【0013】
本発明はまず、第1の熱伝達流体を含む少なくとも1つの第1の蒸気圧縮回路、及び第2の熱伝達流体を含む少なくとも1つの第2の蒸気圧縮回路によって、流体又は物体を冷却するためのプロセスに関し、このプロセスは:
−第1の蒸気圧縮回路における:
・上記流体又は物体との熱交換による、第1の熱伝達流体の少なくとも部分的な蒸発;
・第1の熱伝達流体の圧縮;
・第2の熱伝達流体との熱交換による、第1の熱伝達流体の少なくとも部分的な凝縮;
・第1の熱伝達流体の減圧;を含み、
−第2の蒸気圧縮回路における:
・第1の熱伝達流体との熱交換による、第2の熱伝達流体の少なくとも部分的な蒸発;
・第2の熱伝達流体の圧縮;
・外部媒体との熱交換による、第2の熱伝達流体の少なくとも部分的な凝縮;
・第2の熱伝達流体の減圧を含み、
このプロセスは更に:
−外部媒体の温度の測定;及び
−外部媒体の温度に応じた、第2の熱伝達流体の蒸発時の温度調整を含む。
【0014】
ある実施形態によると、第2の熱伝達流体の蒸発時の温度調整は、連続的に実施されるか、又は1時間に少なくとも1回実施される。
【0015】
一実施形態によると、本プロセスは、外部媒体の温度の変動の検知を含み、第2の熱伝達流体の蒸発時の温度調整は、外部媒体の温度の上昇が検知された場合には第2の熱伝達流体の蒸発時の温度の上昇、外部媒体の温度の低下が検知された場合には第2の熱伝達流体の蒸発時の温度の低下を含む。
【0016】
一実施形態によると、本プロセスは、外部媒体の温度の測定に応じた、最適な蒸発温度の算出を含む。
【0017】
一実施形態によると、第2の熱伝達流体の蒸発時の温度は、上記最適な蒸発温度に調整される。
【0018】
一実施形態によると、最適な蒸発温度は、第1の蒸気圧縮回路及び第2の蒸気圧縮回路全体の性能係数が最大となる蒸発温度に対応する。
【0019】
一実施形態によると、最適な蒸発温度は以下の式:
T
opt=A×T
ext+B
によって定義され、ここでT
extは外部媒体の温度(℃)、Aは無次元定数、Bは定数(℃)である。
【0020】
一実施形態によると、定数Aは0.3〜0.6、好ましくは0.4〜0.45の値を有し、定数Bは−50℃〜0℃、好ましくは−30℃〜−20℃の値を有する。
【0021】
一実施形態によると、流体又は物体は、−50℃〜−15℃、好ましくは−40℃〜−25℃の温度まで冷却される。
【0022】
一実施形態によると:
−第1の熱伝達流体は、二酸化炭素、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、フルオロオレフィン及びこれらの混合物から選択され、好ましくは二酸化炭素であり;並びに/又は
−第2の熱伝達流体は、アンモニア、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、フルオロオレフィン及びこれらの混合物から選択され、好ましくはテトラフルオロプロペン、より特に好ましくは2,3,3,3−テトラフルオロプロペン若しくは1,3,3,3−テトラフルオロプロペンである。
【0023】
一実施形態によると、第2の熱伝達流体の圧縮は、1つ又は複数の圧縮器によって実施され、第2の熱伝達流体の蒸発時の温度調整は、上記圧縮器を調節することによって実施される。
【0024】
一実施形態によると、上記圧縮器の調節は、圧縮器の回転速度の調整を含むか、又は圧縮器を連続的にオン/オフすることによって実施される。
【0025】
一実施形態によると、本プロセスは、急速冷凍又は冷凍された製品、好ましくは食品を含むコンパートメントを冷却するためのプロセスである。
【0026】
本発明は更に、流体又は物体を冷却するための設備に関し、少なくとも:
−第1の熱伝達流体を含む第1の蒸気圧縮回路;
−第2の熱伝達流体を含む第2の蒸気圧縮回路;
−第1の熱伝達流体と第2の熱伝達流体との間の熱交換に適した、カスケード熱交換器;を備え、
第1の蒸気圧縮回路は:
−第1の熱伝達流体と上記流体又は物体との間の熱交換に適した、第1の蒸発器;
−1つ又は複数の第1の圧縮器;
−第1の膨張デバイス;を備え、
第2の蒸気圧縮回路は:
−1つ又は複数の第2の圧縮器;
−第2の熱伝達流体と外部媒体との間の熱交換に適した第2の凝縮器;
−第2の膨張デバイス;を備え、
本設備はまた:
−外部媒体の温度を測定するためのデバイス;及び
−外部媒体の温度測定に応じて、カスケード熱交換器における蒸発温度を調整するための手段を備える。
【0027】
一実施形態によると、本設備は更に、外部媒体の温度測定に応じて、最適な蒸発温度を算出するためのモジュールを備える。
【0028】
一実施形態によると、カスケード熱交換器における蒸発温度を調整するための手段は、カスケード熱交換器における蒸発温度を上記最適な蒸発温度に調整するのに適している。
【0029】
一実施形態によると、最適な蒸発温度は、第1の蒸気圧縮回路及び第2の蒸気圧縮回路全体の性能係数が最大となる蒸発温度に対応する。
【0030】
一実施形態によると、最適な蒸発温度は以下の式:
T
opt=A×T
ext+B
によって定義され、ここでT
extは外部媒体の温度(℃)、Aは無次元定数、Bは定数(℃)である。
【0031】
一実施形態によると、定数Aは0.3〜0.6、好ましくは0.4〜0.45の値を有し、定数Bは−50℃〜0℃、好ましくは−30℃〜−20℃の値を有する。
【0032】
一実施形態によると、本設備は、物体又は流体を−50℃〜−15℃、好ましくは−40℃〜−25℃の温度まで冷却するのに適している。
【0033】
一実施形態によると:
−第1の熱伝達流体は、二酸化炭素、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、フルオロオレフィン及びこれらの混合物から選択され、好ましくは二酸化炭素であり;並びに/又は
−第2の熱伝達流体は、アンモニア、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、フルオロオレフィン及びこれらの混合物から選択され、好ましくはテトラフルオロプロペン、より特に好ましくは2,3,3,3−テトラフルオロプロペン若しくは1,3,3,3−テトラフルオロプロペンである。
【0034】
一実施形態によると、カスケード熱交換器における蒸発温度を調整するための手段は、第2の圧縮器を調節するための手段を備える。
【0035】
一実施形態によると、第2の圧縮器を調節するための手段は、第2の圧縮器の回転速度を調節するのに適しているか、又は第2の圧縮器を連続的にオン/オフするのに適している。
【0036】
一実施形態によると、本設備は、急速冷凍又は冷凍された製品、好ましくは食品を受承するのに適したコンパートメントを備える。
【0037】
本発明は、当該技術分野で感じられてきた必要を満たすことができる。より詳細には、本発明は、全体のエネルギ消費及び環境への影響が最小化される冷凍プロセス及びこれに対応する設備を提供する。
【0038】
これは、高温回路の熱伝達流体の蒸発温度を外部温度(周囲温度)に応じて調整することによって達成される。このような調整により、システム全体の性能を最適化できることが分かっている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図2】
図2は、(1)例として挙げた典型的な一日の間の周囲温度の変化(白色の円、左の縦軸、℃での値);及び(2)この典型的な一日の間の、急速冷凍食品の保存に必要な冷凍性能の従来の変化の例(黒色の正方形、右の縦軸、kWでの値)を示すグラフであり、これは1日の時間(横軸)に対するものである。
【
図3】
図3は、高温回路の熱伝達流体が(1)HFO−1234yf(白色の正方形);又は(2)HFO−1234ze(黒色の円)であるカスケード熱交換器に関する、周囲温度(℃、横軸)に応じた最適な蒸発温度(℃、縦軸)を示すグラフである。
【
図4】
図4は、冷凍システムが本発明によるものである(灰色のバー、高温熱伝達流体の蒸発温度は周囲温度に応じて調整される)か、又は従来のシステムである(黒色のバー、高温熱伝達流体の温度は−10℃に設定される)かによる、典型的な一日の間の冷凍システムの全エネルギ消費をkWhで示すグラフである。これら2つの一連のデータは、(1)高温回路の熱交換流体がHFO−1234yfである場合、及び(2)高温回路の熱交換流体がHFO−1234zeである場合に対応する。
【
図5】
図5は、以下の様々な条件:従来の冷凍システム、高温回路にはHFO−1234yf(R1234yfバー);本発明による冷凍システム、高温回路にはHFO−1234yf(opti R1234yfバー);従来の冷凍システム、高温回路にはHFO−1234ze(R1234zeバー);本発明による冷凍システム、高温回路にはHFO−1234ze(opti R1234zeバー)における、典型的な1日を通してのカスケード冷凍システムのTEWI指数を示すグラフである。これらの値は、標準的な条件(従来の冷凍システム、高温回路にはHFO−1234yf)に対するTEWI指数のパーセンテージに対応する。従来のシステムは、高温熱伝達流体の蒸発温度が−10℃に設定されたシステムであり、本発明によるシステムは、高温熱伝達流体の蒸発温度が周囲温度に応じて調整されるシステムである。
【
図6】
図6は、
図4と同等のグラフであるが、ここでは従来のシステムにおいて、高温熱伝達流体の蒸発温度が−18℃に設定されている。
【
図7】
図7は、
図5と同等のグラフであるが、ここでは従来のシステムにおいて、高温熱伝達流体の蒸発温度が−18℃に設定されている。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ここで本発明をより詳細に、以下の説明に暗に制限することなく説明する。
【0041】
用語「熱伝達化合物」又は「熱伝達流体」(又は冷却剤)はそれぞれ、蒸気圧縮回路において、低温かつ低圧で蒸発させることで熱を吸収でき、高温かつ高圧で凝縮させることで熱を放出できる、化合物又は流体を意味するものとして理解される。一般に、熱伝達流体は1つのみ、2つ、3つ又は4つ以上の熱伝達化合物を含むことができる。
【0042】
用語「熱伝達組成物」は、熱伝達流体と、任意に、想定される応用例のための熱伝達化合物ではない1つ又は複数の添加剤とからなる、組成物を意味するものとして理解される。
【0043】
本発明は、流体又は物体の冷却のための設備、及び関連する冷却プロセスを目標とする。このような設備は、静止若しくは可動空調設備、又は好ましくは静止若しくは可動冷凍及び/若しくは冷凍及び/若しくは極低温設備とすることができる。
【0044】
図1を参照すると、一実施形態によると、本発明による設備は、第1の熱伝達流体を含む第1の蒸気圧縮回路10(又は低温回路)、及び第2の熱伝達流体を含む第2の蒸気圧縮回路20(又は高温回路)を備える。カスケード熱交換器30(又は蒸発器−凝縮器若しくは冷却剤間熱交換器)は、2つの蒸気圧縮回路間の熱結合を提供する。
【0045】
第1の蒸気圧縮回路10は、少なくとも1つの第1の蒸発器11、少なくとも1つの第1の圧縮器12、及び少なくとも1つの第1の膨張デバイス14を備える。第1の圧縮器12と第1の膨張デバイス14との間において、この回路はカスケード熱交換器30を通過し、カスケード熱交換器30は、この第1の回路のための凝縮器(第1の凝縮器)として機能する。
【0046】
この回路の全ての構成部品間に、流体輸送ラインを設ける。
【0047】
蒸気圧縮回路10は、従来の蒸気圧縮サイクルに従って動作する。このサイクルは、(第1の蒸発器11における)液相(又は液相/気相2相系)から比較的低圧の気相への第1の熱伝達流体の状態の変化、(第1の圧縮器12における)気相の流体の比較的高圧への圧縮、(カスケード熱交換器30における)気相から比較的高圧の液相への熱伝達流体の状態の変化(凝縮)、及び(第1の膨張デバイス14における)サイクルを再開するための減圧を含む。
【0048】
第2の蒸気圧縮回路20は、少なくとも1つの第2の圧縮器22a、22b、22c、少なくとも1つの第2の凝縮器23、及び少なくとも1つの第2の膨張デバイス24を備える。
【0049】
第2の膨張デバイス24と第2の圧縮器22a、22b、22cとの間において、この回路はカスケード熱交換器30を通過し、カスケード熱交換器30は、この第2の回路のための蒸発器(第2の蒸発器)として機能する。
【0050】
この回路の全ての構成部品間に、流体輸送ラインを設ける。
【0051】
第2の蒸気圧縮システム20は、第1の蒸気圧縮システムと同様に動作する。
【0052】
液体状態の流体の予備貯蔵を形成するために、回路内にアキュムレータ27を設けることができる。アキュムレータ内の液体の水位は、使用条件に応じた設置要件によって変化する。
【0053】
第1の熱伝達流体は、第1の蒸発器11内で冷却されることになる流体又は物体の一部から熱を受け取る。冷却されることになる物体が例えば1つ又は複数の冷凍又は急速冷凍製品(特に食品)からなる場合、この物体をコンパートメント内に配置でき、このコンパートメントの壁部の少なくとも一部は第1の蒸発器11と直接接触する(又はこのコンパートメントの壁部の少なくとも一部は第1の蒸発器11に属する)。
【0054】
あるいは、冷却されることになる流体又は物体と第1の熱伝達流体との間の熱の交換は、例えば空気又はグリコール化合物等の熱交換流体(状態の変化を伴う又は伴わない)を含む補助回路を介して実行できる。
【0055】
次に、2つの回路の間の連結を提供するカスケード熱交換器30において、第1の熱伝達流体は第2の熱伝達流体に熱を伝達する。第1の熱伝達流体から第2の熱伝達流体への熱の伝達は、第1の熱伝達流体の凝縮と、第2の熱伝達流体の蒸発とを引き起こす。
【0056】
最後に、第2の凝縮器23によって、第2の熱交換流体から外部媒体へと熱を伝達させる。この外部媒体は好ましくは周囲の空気である。
【0057】
第2の熱交換流体と外部媒体との間の熱交換は、直接、又は熱交換流体(状態の変化を伴う又は伴わない)の補助回路を介して、実行できる。
【0058】
上述の回路では、圧縮器として、特に単段若しくは多段遠心圧縮器、又は小型遠心圧縮器を使用してよい。回転、ピストン又はスクリュー圧縮器を使用することもできる。圧縮器は、電気モータ又は(例えば自動車用途では、車両からの排気ガスによって供給を受ける)ガスタービン又は歯車によって駆動できる。
【0059】
本発明を実装するための熱交換器として、並流式熱交換器又は好ましくは向流式熱交換器を使用してよい。マイクロチャネル交換器を使用することもできる。
【0060】
各装置(凝縮器、膨張デバイス、蒸発器、圧縮器)は1つのユニット、又は直列及び/若しくは並列に配設した複数のユニットで構成できる。
図1の第2の圧縮器22a、22b、22cの場合のように、並列の複数のユニットを使用する場合、流体を様々なユニットに分配するため、及び様々なユニットからの流体を回収するために、必要に応じて分配器25及び回収器26を設ける。
【0061】
単一の第2の蒸気圧縮(高温)回路に連結された複数の第1の蒸気圧縮(低温)回路、又は単一の第1の蒸気圧縮(低温)回路に連結された複数の第2の蒸気圧縮(高温)回路を設けることもできる。
【0062】
第1の熱交換流体は好ましくは、二酸化炭素、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、フルオロオレフィン、及びこれらの混合物から選択される。第1の熱交換流体は、特に二酸化炭素であってよい。
【0063】
第2の熱交換流体は好ましくは、アンモニア、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、フルオロオレフィン、及びこれらの混合物から選択される。第2の熱交換流体は、特にテトラフルオロプロペン、及びより特に好ましくは、シス型若しくはトランス型又はシス型及びトランス型の混合形態の2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)又は1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)とすることができる。
【0064】
一実施形態によると、第1の熱交換流体は二酸化炭素であり、第2の熱交換流体はHFO−1234yfである。
【0065】
別の実施形態によると、第1の熱交換流体は二酸化炭素であり、第2の熱交換流体はHFO−1234zeである。
【0066】
第2の熱伝達流体の他のあり得る例は:
−HFO−1234yfとHFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)の混合物(これは好ましくは2成分混合物であり、好ましくは50〜65%のHFO−1234yfを含み、理想的には約56%のHFO−1234yfを含む)
−HFO−1234zeとHFC−134aの混合物(これは好ましくは2成分混合物であり、好ましくは50〜65%のHFO−1234zeを含み、理想的には約58%のHFO−1234zeを含む)
−HFO−1234yfとHFO−1234zeの混合物(これは好ましくは2成分混合物であり、好ましくは35〜65%のHFO−1234yfを含み、理想的には約50%のHFO−1234yfを含む)
−HFO−1234yf、HFO−1234ze、HFC−134aの混合物(これは好ましくは3成分混合物であり、好ましくは40〜45%のHFC−134a、35〜50%のHFO−1234ze、5〜25%のHFO−1234yfを含む)
−HFO−1234yfとアンモニアとの混合物(これは好ましくは2成分混合物であり、好ましくは15〜30%のアンモニアを含む)
−HFO−1234yf、HFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)、HFC−134aの混合物(これは好ましくは3成分混合物であり、好ましくは2〜15%のHFC−134a、2〜20%のHFC−152a、65〜96%のHFO1234yfを含む)
−HFO‐1234yf、HFC‐134a、HFO‐1336mzz(1,1,1,4,4,4‐ヘキサフルオロブト‐2‐エン)の混合物(これは好ましくは3成分混合物である)
である。
【0067】
上記の範囲内において、異なる化合物の比率は重量比である。
【0068】
蒸気圧縮回路内の本発明による熱交換流体には、様々な添加物を添加できる。これら添加物は特に、潤滑剤、安定剤、界面活性剤、トレーサ、蛍光剤、香気剤及び可溶化剤とすることができる。
【0069】
1つ又は複数の安定剤が存在する場合、これらは好ましくは熱伝達組成物の最大5重量%を示す。安定剤として、特にニトロメタン、アスコルビン酸、テレフタル酸、アゾール(トルトリアゾール又はベンゾトリアゾール等)、フェノール化合物(トコフェロール、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン又は2,6−ジ−(tert−ブチル)−4−メチルフェノール等)、(任意にフルオロ化若しくはパーフルオロ化されたアルキル、又はアルケニル又は芳香族)エポキシド(n−ブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル又はブチルフェニルグリシジルエーテル等)、ホスファイト、ホスホネート、チオール及びラクトンを挙げることができる。
【0070】
トレーサ(検出可能な薬剤)として、重水素化又は非重水素化ハイドロフルオロカーボン、重水素化炭化水素、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、酸化窒素及びこれらの組み合わせを挙げることができる。トレーサは、熱伝達流体を構成する1つ又は複数の熱伝達化合物とは異なる。
【0071】
可溶化剤として、炭化水素、ジメチルエーテル、ポリオキシアルキレンエーテル、アミド、ケトン、ニトリル、塩化炭素、エステル、ラクトン、アリルエーテル、フルオロエーテル、及び1,1,1−トリフルオロアルカンを挙げることができる。可溶化剤は、熱伝達流体を構成する1つ又は複数の熱伝達化合物とは異なる。
【0072】
蛍光剤として、ナフタルイミド、ペリレン、クマリン、アントラセン、フェナントラセン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン、フルオレセイン、並びにこれらの誘導体及び組み合わせを挙げることができる。
【0073】
香気剤として、アルキルアクリレート、アリルアクリレート、アクリル酸、アクリルエステル、アルキルエーテル、アルキルエステル、アルキン、アルデヒド、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、アリルイソチオシアネート、アルカン酸、アミン、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、シクロヘキサン、芳香族複素環式化合物、アスカリドール、o−メトキシ(メチル)フェノール、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0074】
潤滑剤又は潤滑油として特に、無機系油、シリコーン油、天然パラフィン、ナフテン、合成パラフィン、アルキルベンゼン、ポリ(α−オレフィン)、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、及び/又はポリビニルエーテルから選択された化合物を選択してよい。ポリオールエステル及びポリビニルエーテルが好ましい。ポリアルキレングリコールは極めて好ましい。
【0075】
本発明は、流体又は物体を−50〜−15℃、好ましくは−40〜−25℃まで冷却するのに極めて適している。外部媒体の温度は典型的には−10〜50℃、特に0〜40℃、より詳細には10〜35℃で変化する。
【0076】
第1の熱伝達流体の蒸発温度(第1の蒸発器11の温度)は好ましくは−60〜−20℃、より詳細には−50〜−25℃である。
【0077】
第2の熱伝達流体の凝縮温度(第2の凝縮器23の温度)は、外部温度に依存し、典型的には20〜60℃、より詳細には20〜45℃である。これは例えば、外部温度に対して+10℃とすることができる。
【0078】
カスケード熱交換器30内の第1の熱伝達流体の凝縮温度は、この交換器内の第2の熱伝達流体の蒸発温度に依存する。上記凝縮温度は例えば、上記蒸発温度に対して+5℃とすることができる。
【0079】
更に、本発明は、外部媒体41の温度を測定するためのデバイス、及び測定された外部媒体の温度に応じてカスケード熱交換器30内の蒸発温度42を調整するための手段を提供する。
【0080】
発明者らは、カスケード熱交換器30内の第2の熱伝達流体の温度を外部温度に応じて調整すると、設備全体の性能が最適なものとなる(即ち、冷却対象の流体又は物体の所定の冷却温度に対してエネルギ消費が最小となる)ことを発見した。より良好な効果を得るためには、外部温度が高くなればなるほど、カスケード熱交換器30内の第2の熱伝達流体の温度を高くしなければならず、またその逆も真である。
【0081】
好ましい実施形態によると、カスケード熱交換器30内の蒸発温度は、測定された外部媒体の温度に応じて計算モジュールで決定された最適な蒸発温度に調整される。
【0082】
最適な蒸発温度は好ましくは、(所定の冷却性能に対して及び/又は冷却される流体若しくは物体の所定の冷却温度に対して)設備全体の性能係数が最大となり、設備全体のエネルギ消費が最小となるようなカスケード熱交換器30内の蒸発温度として定義される。
【0083】
所定の設備に対して、最適な蒸発温度は、
図3と関係する以下の実施例1で提供されるデータを直接使用することによって;又は以下の実施例1で提示するものと同様の計算を問題の設備に関して実行することによって;又は高温回路の様々な蒸発温度に対する設備のエネルギ消費を測定し、外部温度に対する相関性を確立することによって実験的若しくは経験的に、決定できる。
【0084】
最適な蒸発温度を決定するための手段を設備内に含むことができる。あるいは、そして好ましくは、最適な蒸発温度を外部温度と関係づける関数を事前に決定し、上述の計算モジュールにこの関数を組み込むだけである。
【0085】
その他の制約を考慮するために、カスケード熱交換器30内の蒸発温度を、上記最適な蒸発温度とは異なる温度に調整することもできる。例えば、カスケード熱交換器30内の蒸発温度に発生し得る変動を、特定の温度範囲T
1〜T
2に制限することが適切である場合がある。この場合、カスケード熱交換器30内の蒸発温度は、最適な蒸発温度が範囲T
1〜T
2にある場合は最適な蒸発温度に調整され、最適な蒸発温度がT
1未満である場合は温度T
1に調整され、そして最適な蒸発温度がT
2を超える場合は温度T
2に調整される。
【0086】
その他の多数の変形例が可能である。特に、頻度が余りに高い又は余りに急激な調整を防止するために、カスケード熱交換器30内の蒸発温度の、外部媒体の温度に応じた遅延型調整又は履歴型調整を提供できる。
【0087】
一般に、最適な蒸発温度は、外部媒体の温度の増加関数である。従って、外部媒体の温度の上昇が検出された場合、カスケード熱交換器30内の蒸発温度を上昇させ、また、外部媒体の温度の下降が検出された場合、カスケード熱交換器30内の蒸発温度を低下させることが望ましい。又は、別の実施形態によると、上記調整は、外部媒体の全ての所定の温度T
1、T
2(T
2>T
1)に関して、カスケード熱交換器30内の蒸発温度をそれぞれT
1’、T
1’以上のT
2’の温度に調整するものである。
【0088】
カスケード熱交換器30内の蒸発温度の調整は、第2の圧縮器22a、22b、22cを調節することによって得ることができる。例えば、カスケード熱交換器30内の蒸発温度を調整するための手段42は、第2の圧縮器22a、22b、22cの回転速度を調整するための手段、又は第2の圧縮器22a、22b、22cを連続的に始動及び停止するための手段も備えることができる。
【0089】
カスケード熱交換器30内の蒸発温度の調整は、連続的に実施でき、又は例えば規則的な間隔(1、15、30、45又は60分毎等)で隔てられた時点において実施できる。温度の調整はまた、特定の期間、例えば10分間、30分間、又は1時間にわたって測定した外部媒体の温度の平均を基準として用いることによって実施できる。
【0090】
以下の実施例は、本発明を限定することなく例示するものである。
【実施例1】
【0091】
最適な蒸発温度の実証
図2は、一日の間の外部媒体の温度(周囲温度)の変動の典型例と、この一日の間、スーパーマーケット型店舗において冷凍又は急速冷凍食品を含むコンパートメントを冷凍するための、冷凍性能の要件の典型例とを提供する。
【0092】
冷凍設備は、
図1に図示した種類のものである。低温回路は二酸化炭素を含み、高温回路はHFO−1234yf又はHFO−1234zeを含む。
【0093】
低温回路に関して、蒸発温度は−40℃であり、過熱は25℃であり、過冷却は5℃である。圧縮器は、以下の等式:
η
iso=0.00476τ
2−0.09238τ+0.8981
に従った等エントロピー効率を有するスクリュー圧縮器であり、ここでτは圧力の比である(Tzong−Shringらによる「Thermodynamic analysis of optimal condensing temperature of cascade−condenser in CO2/NH3 cascade refrigeration system」(International Journal of Refrigeration、Vol.29、No.7、2006年、1100‐1108頁)を参照のこと)。
【0094】
凝縮温度は、高温回路の蒸発温度より5℃高い。
【0095】
高温回路に関して、蒸発温度は一定値(−10℃又は−18℃)に固定されるか、又は外部温度に応じて可変である。過熱は25℃であり、過冷却は5℃である。圧縮器は、以下の等式:
η
iso=0.00060079τ
2−0.03002352τ+0.90880781
に従った等エントロピー効率を有するスクリュー圧縮器である(参照:ASHRAE 2008 Handbook、「HVAC system and equipments」、37章、22頁、Twin screw compressor、
図34)。凝縮温度は、外部温度より10℃高い。
【0096】
蒸発温度(高温ステージの蒸発温度)をパラメータとして、性能係数(coefficient of performance:COP)を周囲温度に応じて最適化する。全設備に関するCOPの値は、以下の式に対応する。
(ここで、COP
1及びCOP
2は、低温及び高温回路の性能係数である。)
【0097】
周囲温度(T
ext)と、高温回路の最適な蒸発温度(T
opt)との相関関係を、
図3に示す。
【0098】
傾向方程式は、試験した2つの冷却剤について極めて類似している。
−HFO−1234yfについて、T
opt=0.4411×T
ext−26.549(℃)
−HFO−1234zeについて、T
opt=0.4208×T
ext−26.107(℃)
【実施例2】
【0099】
本発明によって提供される利得
本実施例では、実施例1で実証された最適な蒸発温度を用いて、エネルギ節約を達成する。
【0100】
図4のグラフは:(1)本発明に従って動作する、即ち(
図3において決定したように)一日の間に
図2の曲線に従って変化すると仮定される周囲温度に応じて高温回路の蒸発温度を1時間毎に最適値に調整する設備の全エネルギ消費(灰色)と;(2)従来の様式で動作する、即ち高温回路の一定の蒸発温度が−10℃(これは最も一般的に選択される値である)である同一の設備の全エネルギ消費(黒色)との間の比較を示す。
【0101】
図5のグラフは、基準EN378−1:2008+A1:2010の添付書類Bに定義されるようなTEWI(総合等価温暖化因子)指標に関する、同一の2つの状況の間の比較を示す。このグラフにおいて、上記指標は、高温回路内にHFO−1234yfを有しかつ従来の様式で動作する設備に関する基準100に対するものである。
【0102】
図6、7のグラフは、従来の様式で動作する設備が、−10℃ではなく−18℃の高温回路の一定の蒸発温度で動作する点を除いて、
図4、5のグラフと同様のものである。
【0103】
本発明により、
図2の典型的な日の周囲温度よりも周囲温度が高い場合又は低い場合の一日のエネルギ消費に、(特に
図3のグラフに基づいて)正確に対処できることも確認されている。