(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5901822
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】樹脂射出成形方法及び樹脂射出成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20160331BHJP
B29C 45/13 20060101ALI20160331BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20160331BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C45/13
B29C33/12
B29C45/76
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-101442(P2015-101442)
(22)【出願日】2015年5月18日
【審査請求日】2015年10月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596019905
【氏名又は名称】スギヤマプラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】杉山 修平
【審査官】
越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−279867(JP,A)
【文献】
特開2012−025044(JP,A)
【文献】
特開2014−151639(JP,A)
【文献】
特開2008−183818(JP,A)
【文献】
特開2011−056927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを備えた、3つ以上の独立した加熱筒と、
前記各加熱筒に対応する、3つ以上の金型キャビティを備えた1つの成形金型と、
前記成形金型から樹脂成形体を取り出し、3つ以上の金型キャビティ間で樹脂成形体を搬送する搬送ロボットと、
前記加熱筒、前記成形金型の型締めと型開きを行う型締装置、及び搬送ロボットにそれぞれ制御信号を出力する制御回路と、
を備え、
前記制御回路が、
前記成形金型を開き、搬送ロボットにより、第1金型キャビティに基礎成形体をセットし、前回の工程にて前記第1金型キャビティで成形された第1樹脂成形体を第2金型キャビティまで搬送しセットし、前回の工程にて第2金型キャビティで成形された第2樹脂成形体を第3金型キャビティまで搬送しセットし、前回の工程で第3金型キャビティで成形された第3樹脂成形体を取り出す搬送制御と、
前記成形金型の型締めを行う型締め制御と、
ノズルを備えた第1加熱筒ないし第3加熱筒、前記成形金型及び型締装置を用いて、それぞれのノズルから樹脂を射出して少なくとも第1樹脂成形体ないし第3樹脂成形体を同時に成形する成形制御と、を実行する演算回路を備え、
該演算回路において、
第1金型キャビティにおいて、前記基礎成形体に部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂成形部(1)を被覆するように追加的に成形することにより、前記第1樹脂成形体とし、
第2金型キャビティにおいて、前記第1樹脂成形体に樹脂成形部(2)を部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂を被覆するように追加的に成形することにより、前記第2樹脂成形体とし、
第3金型キャビティにおいて、前記第2樹脂成形体に樹脂成形部(3)を部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂を被覆するように追加的に成形することにより、前記第3樹脂成形体とし、
且つ、少なくとも前記3つの追加的な成形が同時に行われることを特徴とする樹脂射出成形装置。
【請求項2】
前記加熱筒が直列、格子、又は、円形に配置される請求項1の樹脂射出成形装置。
【請求項3】
3つ以上の金型キャビティを備えた1つの成形金型を備える射出成形機を用いて前記3つ以上の金型キャビティで同時に成形工程を行う樹脂射出成形方法であって、
前記成形金型の型開きを行う型開き工程と、
搬送ロボットにより、第1金型キャビティに基礎成形体をセットし、前回の工程にて前記第1金型キャビティで成形された第1樹脂成形体を第2金型キャビティまで搬送しセットし、前回の工程にて第2金型キャビティで成形された第2樹脂成形体を第3金型キャビティまで搬送しセットし、前回の工程で第3金型キャビティで成形された第3樹脂成形体を取り出す搬送工程と、
前記成形金型の型締めを行う型締め工程と、
ノズルを備えた第1加熱筒ないし第3加熱筒、前記成形金型及び型締装置を用いて、それぞれのノズルから樹脂を射出して少なくとも第1樹脂成形体ないし第3樹脂成形体を同時に成形する成形工程と、を少なくとも備え、
該成形工程において、
第1金型キャビティにおいて、前記基礎成形体に部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂成形部(1)を被覆するように追加的に成形することにより、前記第1樹脂成形体とし、
第2金型キャビティにおいて、前記第1樹脂成形体に樹脂成形部(2)を部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂を被覆するように追加的に成形することにより、前記第2樹脂成形体とし、
第3金型キャビティにおいて、前記第2樹脂成形体に樹脂成形部(3)を部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂を被覆するように追加的に成形することにより、前記第3樹脂成形体とし、かつ、前記追加的な成形が同時に行われる樹脂射出成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂射出成形方法及び樹脂射出成形装置であって、多段階による分散処理射出に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示す通り、大型の成形品や複雑な形状の成形品を射出成形により作るためには、従来方法では成形品よりも大きな金型や複雑な形状の金型或いは分割された型等の特殊な金型を用いる必要があり、コストアップや金型の作成期間が長くなる等の問題があり、これらの問題を解決するため、成形品構成部でキャビティを形成して溶融樹脂を射出する成形工程を複数回に分けて行うことにより、複数の構成部からなる大型の成形品や複雑な形状の成形品を成形する発明が提案されている。
【0003】
特許文献2に示す通り、1つの樹脂成形品を多段階に分けて加圧成形する発明が提案されている。また、特許文献3に示す通り、フィルムを波打ちすることなく2色成形品中にインモールドすることができる2色成形用金型装置及び2色成形品であり、キャビティC1に樹脂を射出して1次成形品8を成形し、フィルム付きの1次成形品8を2次側金型に移動させ、2次側金型の第2キャビティC2に樹脂を射出して2次成形品を成形することにより、1次成形品、2次成形品、フィルムが一体化された2色成形品を得る発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−11752号公報
【特許文献2】特開2004−1309号公報
【特許文献3】特開2010−125784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に示す発明では、次のような課題が依然として解決されず、未だ十分なものではなかった。すなわち、金型が大型となり、構造が複雑で、型費が高くなる。成形を高速処理することが困難である。樹脂色、樹脂材料の変更が困難である。材料や色を分けることもできない。複雑で多様な仕様に対応することができない。さらに、1個の金型内で複数の樹脂を充填することが難しいため、通常、複数の成形機を使い加工する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、金型の小型化、構造の単純化、型費の低減、成形の高速処理、樹脂色、樹脂材料の変更の容易性、複雑で多様な仕様への対応性を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明の樹脂射出成形装置は、ノズルを備えた、
3つ以上の独立した加熱筒と、前記
3つ以上の加熱筒に対応する、
3つ以上の金型キャビティを備えた
1つの成形金型と、前記成形金型から樹脂成形体を取り出し、複数の金型キャビティ間で樹脂成形体を搬送する搬送ロボットと、前記加熱筒、前記成形金型の型締めと型開きを行う型締装置、及び搬送ロボットにそれぞれ制御信号を出力する制御回路と、を備え、
前記制御回路が、前記成形金型を開き、搬送ロボットにより、第1金型キャビティに基礎成形体をセットし、前回の工程にて前記第1金型キャビティで成形された第1樹脂成形体を第2金型キャビティまで搬送しセットし、前回の工程にて第2金型キャビティで成形された第2樹脂成形体を第3金型キャビティまで搬送しセットし、前回の工程で第3金型キャビティで成形された第3樹脂成形体を取り出す搬送制御と、前記成形金型の型締めを行う型締め制御と、ノズルを備えた第1加熱筒ないし第3加熱筒、前記成形金型及び型締装置を用いて、それぞれのノズルから樹脂を射出して少なくとも第1樹脂成形体ないし第3樹脂成形体を同時に成形する成形制御と、を実行する演算回路を備え、該演算回路において、第1金型キャビティにおいて、前記基礎成形体に部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂成形部(1)を被覆するように追加的に成形することにより、前記第1樹脂成形体とし、第2金型キャビティにおいて、前記第1樹脂成形体に樹脂成形部(2)を部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂を被覆するように追加的に成形することにより、前記第2樹脂成形体とし、第3金型キャビティにおいて、前記第2樹脂成形体に樹脂成形部(3)を部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂を被覆するように追加的に成形することにより、前記第3樹脂成形体とし、
且つ、少なくとも前記3つの追加的な成形が同時に行われる、ことを特徴とする。金型の中に、ノズル本数に対応した複数の各工程の金型キャビティ(製品を実現する部分)を配置する構造である。成形金型は1個で、型締装置も1個であることが好ましい。
【0008】
前記加熱筒が直列、格子、又は、円形に配置されることが好ましい。また、加熱筒の駆動源は、油圧、電動共に可能である。
【0009】
搬送ロボットは、シンプルな搬送装置を平行移動するタイプと、多関節で角度等、製品形状に合わせて搬送するタイプとが好ましい。
【0010】
本発明の樹脂射出成形方法は、
3つ以上の金型キャビティを備えた
1つの成形金型を備える射出成形機を用いて前記
3つ以上の金型キャビティで同時に成形工程を行う樹脂射出成形方法であって、前記成形金型の型開きを行う型開き工程と、搬送ロボットにより、第1金型キャビティに基礎成形体をセットし、前回の工程にて前記第1金型キャビティで成形された第1樹脂成形体を第2金型キャビティまで搬送しセットし、前回の工程にて第2金型キャビティで成形された第2樹脂成形体を第3金型キャビティまで搬送しセットし、前回の工程で第3金型キャビティで成形された第3樹脂成形体を取り出す搬送工程と、前記成形金型の型締めを行う型締め工程と、ノズルを備えた第1加熱筒ないし第3加熱筒、
前記成形金型及び型締装置を用いて、それぞれのノズルから樹脂を射出して
少なくとも第1樹脂成形体ないし第3樹脂成形体を
同時に成形する成形工程と、を少なくとも備え、
該成形工程において、第1金型キャビティにおいて、前記基礎成形体に部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂成形部(1)を被覆するように追加的に成形することにより、前記第1樹脂成形体とし、第2金型キャビティにおいて、前記第1樹脂成形体に樹脂成形部(2)を部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂を被覆するように追加的に成形することにより、前記第2樹脂成形体とし、第3金型キャビティにおいて、前記第2樹脂成形体に樹脂成形部(3)を部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂を被覆するように追加的に成形することにより、前記第3樹脂成形体とし、かつ、前記追加的な成形が同時に行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金型キャビティを分割し、金型を小さくでき、型費を安くできる。射出成形を部分化し高速処理できる。樹脂色、樹脂材料をも変更できる。複雑で多様な仕様に対応することができる。さらに、1個の金型内で複数の樹脂が充填出来る為、通常なら複数の成形機を使い、加工するところを一回で成形加工することで、コストダウンすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は本発明の実施形態1の樹脂射出成形装置1の正面図、(b)は同側面図である。
【
図2】同じく樹脂射出成形装置1の成形金型2の断面図である。
【
図3】同じく樹脂射出成形装置1の成形金型2の正面図、ハンド8a〜8dの平面図を含む、縦走加工の説明図である。
【
図4】同じく樹脂射出成形装置1の制御回路100のブロック図である。
【
図5】同じく樹脂射出成形装置1により成形された樹脂成形体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る実施形態の樹脂射出成形装置1及び樹脂射出成形装置1を用いる樹脂射出成形方法について、
図1〜
図4を参照し説明する。樹脂射出成形装置1は、
図1〜
図3に示す通り、固定側金型2aが取り付けられている固定盤2bと、可動側金型2cが取り付けられている可動盤2dが、互いに上下に離間して設けられ、固定側金型2aにはエジェクタピン2fを備える成形金型2と、固定側金型2aと可動側金型2cに形成された複数個(ここでは3個)の金型キャビティ3x〜3zと、複数(ここでは3本)の独立した筒を有する加熱筒4a〜4cと、成形金型2の型締めと型開きを行う型締装置9(
図4参照)と、を備えている。型締装置9の構造と動作は従来技術に従うので、説明は省略する。加熱筒4a〜4cから可動側金型2cに溶融樹脂を供給する。ここでは、1個の樹脂成形体を成形する構成である(複数個取りが可能である。)。成形金型2には、複数本ここでは4本の加熱筒4a〜4cからそれぞれ樹脂を受け入れるための対応する単数又は複数のここでは3個のマニホールド5と、各加熱筒4a〜4cにそれぞれ対応するホットランナーノズル6と、が形成されている。
図2のポイントで示す箇所は樹脂の入射点6aである。また、樹脂射出成形装置1は、
図1に示す通り、搬送ロボット7を備えている。第1樹脂成形体Xないし第3樹脂成形体Zが成形されて、最終的には、第3樹脂成形体Zが成形された製品として取出される。20は材料供給装置である。
【0014】
樹脂射出成形装置1は、加熱筒4a〜4c内から射出する溶融樹脂の計量設定、溶融樹脂を射出するための射出設定、溶融樹脂の温度設定、加熱筒動作条件設定を、それぞれの加熱筒4a〜4cで個別に条件設定し、当該条件設定となるように加熱筒4a〜4c及び成形金型2にそれぞれ制御信号を出力する制御回路100を備える。なお、加熱筒4a〜4cの設定条件は、同一条件でもよい。以下、詳細に説明する。
【0015】
加熱筒4a〜4cは、その図示は略すが、先端にノズル45a〜45cを有し、その中にそれぞれスクリューが回転可能に配設され、スクリューの後端には、スクリューを回転させるモータと、スクリューを軸方向に移動させるピストンとを備えた駆動装置が設けられる。詳細は従来技術に従っているので、説明は割愛する。
【0016】
加熱筒4a〜4cの側面部に材料供給装置20が設けられ、この材料供給装置20から供給される成形材料がホッパー、投入口を通して加熱筒4a〜4c内に供給され、第1樹脂成形体Xないし第3樹脂成形体Zが、それぞれ、金型キャビティ3xないし3zにセットされ、型締装置9で成形金型2が型締めされ、それぞれ、
図3の矢印に示す通り、金型キャビティ3xにセットされた基礎成形体Mに樹脂成形部(1)が成形されて第1樹脂成形体Xとなる。金型キャビティ3yにおいては、金型キャビティ3xで形成され金型キャビティ3yに移転された第1樹脂成形体Xに樹脂成形部(2)が成形されて第2樹脂成形体Yとなる。金型キャビティ3zにおいては、金型キャビティ3yで形成され金型キャビティ3zに移転された第2樹脂成形体Yに樹脂成形部(3)が成形されて第3樹脂成形体Zとなる。
【0017】
搬送ロボット7は、成形金型2の型開きと同時に、3つの金型キャビティ3x〜3z分の搬送部である複数本(ここでは4本)のハンド8a〜8dの全てが動作する構造である。
図3のハンド8a〜8dは平面図で示す。金型キャビティ3x及び3yに存在する第1樹脂成形体Xないし第2樹脂成形体Yを、それぞれ、
図3の矢印に示す通り、ハンド8bと8cで金型キャビティ3xと3yから、それぞれ、隣の金型キャビティ3y及び3zに移転させる。また、基礎成形体Mを金型キャビティ3xにハンド8aでセットし、第3樹脂成形体Zは金型キャビティzからハンド8dで取り出す。基礎成形体Mはインサート金具であり、適宜の形状でよいが、
図3の例では、棒材、
図5の例では板状の金属が例示される。
【0018】
射出制御を司る制御回路100について
図4を参照して説明する。この制御回路100は、CPU101、RAM102、ROM103、カウンタ104、タイマ105、音声制御部106、入力部107、表示装置108、入出力インタフェース109をバス110により相互に接続したものである。入出力インタフェース109には、各加熱筒4a〜4cの検出部(背圧センサ、位置センサ、圧力センサ、温度センサ等)、各型締装置9の検出部(温度センサ、圧力センサ等)、搬送ロボット7の検出部(成形品検出センサ、例えばフォトセンサ)が接続され、その検出結果を示す出力信号が入力される。また、制御回路100は、各加熱筒4a〜4cの駆動部(ポンプ、調圧装置、バルブ、タンク、ヒータ等)、型締装置9の駆動部(ポンプ、バルブ、ヒータ等)、搬送ロボット7の駆動部(バルブ、モータ、スイッチ等)に接続され、CPU101が初期設定、或いは入力信号を受けて所定の演算等を行い、各加熱筒4a〜4c、型締装置9、搬送ロボット7に対して、制御信号が出力される。
【0019】
CPU101は、各部に出力する制御信号を生成し、コマンドを出力することで、射出制御及び搬送制御を実行する。RAM102は、射出制御及び搬送制御などのデータを一時的に読み書きするものである。ROM103には射出制御及び搬送制御などのプログラムが読み出し専用で格納されている。CPU101は、各部に出力する制御信号を生成し、制御信号を出力することで、射出制御及び搬送制御を実行する。なお、プログラム制御に代えて、LSIロジック等のハードウェア制御によっても実施が可能である。
【0020】
カウンタ104は成形回数の計数部等として機能するものであり、電源投入後、カウンタ104のカウント値の初期値を「0」とし、各種入力信号を参照して、インクリメントするものである。
【0021】
タイマ105は射出時間等に関する演算処理等を行なうものである。
【0022】
音声制御部106は音源IC及び増幅器等から構成され、スピーカ等の駆動制御を司るものである。
【0023】
表示装置108は、液晶表示盤等からなるものであり、制御回路100に隣接して配置されている。表示装置108は、射出制御及び搬送制御に関しての各種のメッセージや図柄等を表示するものである。液晶表示盤、LED、CRT等、その他の種類の表示装置でも良い。
【0024】
前記樹脂射出成形装置1による樹脂射出成形方法を説明する。射出成形サイクルの実施前に、制御回路100に、入力部107を介して、射出成形条件(1ショットの加熱筒4a〜4c内の溶融樹脂圧力、樹脂温度、加熱筒4a〜4cから射出される溶融樹脂の射出速度、射出時間等の設定条件)がそれぞれ入力される。
【0025】
成形条件には、射出設定、計量設定、加熱筒設定、温度設定(溶融樹脂の目標温度)があり、それぞれの加熱筒4a〜4cに個別に又は同一に設定される条件である。
【0026】
つぎのような順序で射出成形搬送サイクルを行う。(A)型開き工程、(B)搬送工程、(C)型締め工程、(D)成形工程である。以下、詳細に説明する。
【0027】
型開き工程(A)は、型締装置9により可動側金型2cを固定側金型2aから離れる方向に移動させて成形金型2を開き、この型開動作の終了間際にエジェクタピン2fによって第1樹脂成形体Xないし第3樹脂成形体Zが固定側金型2aからそれぞれ離型される。型締め状態にある可動側金型2cと固定側金型2aとを開いて、成形用金型内の複数個の金型キャビティ3x〜3zをそれぞれ上側部分と下側部分に分離する工程であり、型締装置9によって可動側金型2cを固定側金型2aから離れる方向に移動させる。
【0028】
つぎに、
図3の矢印に示す通り、搬送工程(B)を行う。搬送ロボット7により、前回の成形工程で第3金型キャビティ3zで成形された第3樹脂成形体Zをハンド8dにより製品として取り出し、空いた第3金型キャビティ3zに前回の工程にて第2金型キャビティ3yで成形された第2樹脂成形体Yを第3金型キャビティ3zまでハンド8cにより搬送しセットし、前回の成形工程にて第1金型キャビティ3xで成形された第1樹脂成形体Xを第2金型キャビティ3yまでハンド8bにより搬送しセットし、空いた第1金型キャビティ3xに基礎成形体Mをハンド8aによりセットする。つまり、成形された第1樹脂成形体Xと第2樹脂成形体Yを1個ずつ位置をずらせて走らせてハンド8b、8cにより位置を移し替え、第3樹脂成形体Zをハンド8dにより取出し、基礎成形体Mをハンド8aによりセットする。搬送ロボット7のハンド8a〜8dが、これらの動作を同期して行うことが効率的である。
【0029】
型締め工程(C)は、型開状態にある可動側金型2cと固定側金型2aとを閉じて成形金型2内に金型キャビティ3を形成する工程であり、型締装置9によって可動側金型2cを固定側金型2aの方向に移動して当接させ成形金型2の型締めを行う。
【0030】
成形工程(D)では、加熱筒4a〜4c、成形金型2及び型締装置9を用いて、ノズル45a〜45cをそれぞれ備えた第1加熱筒4aないし第3加熱筒4c、及び成形金型2を用いて、それぞれのノズル45a〜45cから樹脂を射出して第1樹脂成形体Xないし第3樹脂成形体Zを成形する。
【0031】
金型キャビティ3xにおいて、金属製の基礎成形体M(
図5の例では梯子形状)に樹脂成形部(1)を梯子部分に部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂(
図5の例では単数箇所であるが複数箇所としてもよい)を被覆するように追加的に成形し、金型キャビティ3yにおいて、金属製の基礎成形体Mに樹脂成形部(2)を部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂を被覆するように追加的に成形する。金型キャビティ3zにおいて、金属製の基礎成形体Mに樹脂成形部(3)を部分的に単数又は複数個所で形状の相違する樹脂を被覆するように追加的に成形する。
【0032】
また、この工程は、型締工程、射出充填工程、保圧冷却工程(計量工程を含む)の手順で行う。
【0033】
射出充填工程は、加熱筒4a〜4c内で溶融され流動状態になってノズル45a〜45cに貯蔵された成形材料を、スクリューの前進によりノズル45a〜45cから成形金型2内に射出する。これにより、溶融した成形材料が成形金型2内の金型キャビティ3x〜3z内に充填される。
【0034】
保圧冷却工程は、射出され充填された後も、スクリューによって金型キャビティ3内に圧力が加えられる保圧と、その状態で充填された樹脂を固化させるための冷却とを行う。保圧は、金型キャビティ3x〜3z内に充填された成形材料に内部の樹脂が逆流しなくなるまで圧力をかけ、押さえておく。また、保圧は保圧冷却工程の略前半で完了するが、冷却はその後も続けられ成形品が離型の際に十分な剛性が得られる程度まで行われる。
【0035】
計量工程は、保圧冷却工程のうち、保圧と冷却の間に行われる。
【0036】
なお、上記方法では、金型キャビティの数が3個であるが、金型キャビティの数が2個、あるいは、4個以上であってもよい。
【0037】
金型キャビティ3x〜3zの数に対して、ハンド8a〜8dの数は、少なくとも1個以上多く、連続成形及び順次搬送が可能となっている。搬送ロボット7は、シンプルな搬送装置で平行移動するタイプと、多関節で角度等、製品形状に合わせて搬送するタイプのいずれでもよい。
【0038】
以下、本発明に係る実施形態の樹脂射出成形装置1及び樹脂射出成形方法を説明したが、本実施形態によれば、金型キャビティ3x〜3zを分割し、金型を小さくでき、型費を安くできる。射出成形を部分化し高速処理できる。樹脂色、樹脂材料をも変更できる。複雑で多様な仕様に対応することができる。さらに、1個の金型内で複数の樹脂が充填出来る為、通常なら複数の成形機を使い、加工するところを一回で成形加工することで、コストダウンすることが可能である。
【0039】
また、ひとつの製品で多色の成形品を製造することが可能である。例えば、左側の加熱筒4aが赤色の樹脂、中央の加熱筒4bが青色の樹脂、右側の加熱筒4cが緑色の樹脂を射出し、成形することができる。
【0040】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることが出来るものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。ホットランナーの形状は、実施形態に限らず、たとえば、十字形状、H型形状などでもよい。基礎成形体Mは金属に限定されず、他の材料、例えば、樹脂、セラミック、炭素繊維品等、材料は適宜選択可能である。また、基礎成形体Mはインサート金具に限らず、セラミック、炭素繊維、樹脂等、他の材質でも良い。また、搬送ロボット7は1つの装置でなくても、複数のロボットに分割されていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1・・・樹脂射出成形装置
2a・・・固定側金型
2b・・・固定盤
2c・・・可動側金型
2d・・・可動盤
2f・・・エジェクタピン
2・・・成形金型
3x〜3z・・・金型キャビティ
4a〜4c・・・加熱筒
45a〜45c・・・ノズル
5・・・マニホールド
6・・・ホットランナーノズル
6a・・・入射点
7・・・搬送ロボット
8・・・ハンド
9・・・型締装置
10・・・製品
20・・・材料供給装置
100・・・制御回路
101・・・CPU
102・・・RAM
103・・・ROM
104・・・カウンタ
105・・・タイマ
106・・・音声制御部
107・・・入力部
108・・・表示装置
109・・・入出力インタフェース
110・・・バス
【要約】
【課題】1個の金型内で複数の樹脂を充填することが難しいため、通常、複数の成形機を使い加工する必要がある。
【解決手段】
樹脂成形搬送サイクルは、(1)第1成形工程と、(2)第1搬送工程と、(3)第2成形工程と、(4)第2搬送工程と、(5)第3成形工程と、(6)第3搬送工程と備え、基礎成形体Mに樹脂成形体(1)を形成し、金型キャビティ3xから金型キャビティ3yに搬送し、基礎成形体Mに樹脂成形体(2)を追加形成し、金型キャビティ3yから金型キャビティ3zに搬送し、基礎成形体Mに樹脂成形体(3)を追加形成し、搬送ロボット7で金型キャビティ3zから取り出す。
【選択図】
図3