(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非硬質領域は、前記膨張領域の後縁部と前記硬質領域との間に位置していて、前記膨張領域が膨張展開することによって前記衝突想定領域にわたって略平面状に緊張する形状を有していることを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ。
前記幅広部は、前記取付点と車両とを接続する線状体をさらに有し、該線状体を介して前記車両に取り付けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカーテンエアバッグ。
前記取付点が1つである場合において、前記線状体の車両への取付け位置である車両接続点は、該取付点と前記衝突想定領域の中心点とがなす直線上に位置することを特徴とする請求項4に記載のカーテンエアバッグ。
【背景技術】
【0002】
近年、車両には高い安全性が求められている。この傾向は世界各国に共通していて、現在では世界各国でエアバッグが車両の安全装置としてほぼ標準装備されている。そして、車両開発に関係する事業者ではさらなる安全性向上が重要な開発テーマとして掲げられていて、これに伴って日々新たなエアバッグが開発されている。
【0003】
車両の安全性の評価基準は各国において異なっていて、各事業者は製造品が多国の評価基準に対応し得るよう開発を行っている。例えば世界最大の自動車保有台数をほこる米国では、NHTSA(米国高速道路交通安全局)によってFMVSS(米国連邦自動車安全基準)が制定されている。そして現在、NHTSAが今後定める予定のFMVSSの規則策定の通知(NPRM)には「側突時・ロールオーバ(横転)時において、放出緩和システムによりサイドウィンドウを通した乗員の車外放出の見込みを減少させる」という要件が提案されている(FMVSS226)。この要件は、放出緩和システムを成す車外放出軽減対策装置としてカーテンエアバッグを備えることで達成可能である。
【0004】
カーテンエアバッグは、ドア上方に設置されていて、衝撃発生時に車両のサイドウィンドウに沿って膨張展開して乗員の保護を行うエアバッグである。通常のカーテンエアバッグは、膨張展開した際の圧力持続時間がフロントエアバッグ等よりも長くなっている。側面衝突に続いてロールオーバが発生した場合などは衝撃が発生し得る時間が長いからである。このように、カーテンエアバッグはロールオーバ時にまで膨張状態を維持することで、乗員を拘束して車外放出防止を図っている。
【0005】
上記説明した乗員の車外放出防止を確実に達成するためには、カーテンエアバッグは車両側面部に複数存在するサイドウィンドウの全てを覆って膨張展開する必要がある。例えば、特許文献1に記載のカーテンエアバッグは3列シートの車両に設置されていて、3列目シートの側方の固定式のサイドウィンドウ(いわゆるクォータウィンドウ)も覆うことが可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のカーテンエアバッグのように、3列目シートの側方まで覆う大容量のカーテンエアバッグを膨張させるためには出力の高いガス発生装置(インフレータ)が必要である。通常、上記の3列目シートおよびクォータウィンドウに代表されるように、最後部座席の側方のサイドウィンドウはその前方の他のサイドウィンドウと比較して、形状が異なっていて面積が狭くなっている場合が多い。このようなサイドウィンドウにまで到達するようむやみに膨張領域を拡大させていては、インフレータの高出力化が必要となって製造コストの増大を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、インフレータに必要な出力を抑えながら、特に最後部座席近傍において高い車外放出防止性能を有するカーテンエアバッグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために発明者らは鋭意検討し、ガスが流入しない非膨張領域であっても緊張しさえすれば乗員を拘束可能であることに着目した。そして、最後部座席の側方のサイドウィンドウのような比較的小型のサイドウィンドウ等は、膨張領域によらずとも、緊張した布状の非膨張領域で覆うことで乗員の車外放出防止を行い得ることを見出した。しかし、布状の非膨張領域を用いて、信頼性の高い車外放出防止機能を図るためには、弛んでしまう部分が少なく、可能な限り広範囲にわたって緊張し、かつ乗員から受ける荷重がなるべく分散できるよう、非膨張領域を工夫して構成する必要があった。
【0010】
そこで上記課題を解決するために、本発明にかかるカーテンエアバッグの代表的な構成は、車両室内の側面部上方に収納されて側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグであって、膨張展開用ガスを受け、最後部座席の側方に位置する最後部ウィンドウの前側において最後部ウィンドウよりも車内側に突出する前側ピラー上および前側ピラーの前方で膨張する膨張領域と、布状であって膨張せず、膨張領域の後縁部に取り付けられ、最後部ウィンドウのうち乗員の衝突が想定される衝突想定領域にわたる形状の幅広部と、を備え、幅広部は、膨張領域の後縁部に接する相対的に硬度が低い非硬質領域と、非硬質領域のみに接する相対的に硬度が高い硬質領域とを含み、硬質領域内に設けられた少なくとも1つの取付点によって前側ピラーよりも後側で車両に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
上記の幅広部は、硬質領域内の取付点によって車両に取り付けられていて、膨張領域が膨張展開すると車両前方への張力(テンション)が加わって展開し、緊張する。仮に、幅広部に硬質領域を設けることなく単に取付点のみで車両へ取り付けた場合、膨張領域からテンションを受けて緊張する範囲は、取付点と膨張領域の後縁部とを結ぶ略三角形の範囲となる。しかし、本発明の構成であれば、幅広部のうち、特に非硬質領域を広い範囲で緊張させることが可能である。また硬質領域を設けることで、乗員から荷重を受けた際、取付点にかかる荷重を分散させて非硬質領域の伸びを抑えることができる。これらにより、膨張することのない布状の幅広部であっても高い乗員放出防止性能が発揮でき、膨張領域によることなく最後部ウィンドウからの乗員の確実な車外放出防止を達成可能である。さらに、最後部ウィンドウには膨張領域を設ける必要がないため、膨張領域の容量を増大させる必要がなく、インフレータに必要となる出力を抑えることが可能である。
【0012】
また上記幅広部の前側が取り付けられる膨張領域の後縁部は、カーテンエアバッグが膨張した際に最後部ウィンドウよりも車内側へ突出する。したがって幅広部は、最後部ウィンドウから離れた位置、すなわち乗員により近い位置で緊張して最後部ウィンドウを覆うことが可能である。これにより幅広部は、最後部座席の乗員を迅速に受け止めて着座位置からの移動量を減少させることができる。したがって、ロールオーバの発生時において、乗員に対する車外放出防止性能の向上を図ることが可能である。
【0013】
上記非硬質領域は、膨張領域の後縁部と硬質領域との間に位置していて、膨張領域が膨張展開することによって衝突想定領域にわたって略平面状に緊張する形状を有しているとよい。これにより、膨張領域によらずとも高い車外放出防止性能が発揮可能となる。
【0014】
上記の硬質領域は長尺な領域であって、その長手方向の両端近傍にそれぞれ取付点を有してもよい。この構成であれば、硬質領域をその両端2点でより強固に支持できる。したがって、幅広部を広い範囲にわたって緊張させ、車外放出防止性能の向上が可能となる。
【0015】
上記の幅広部は、取付点と車両とを接続する線状体をさらに有し、線状体を介して車両に取り付けられていてもよい。この構成であれば、幅広部自体を車両への取付け位置まで延伸させる必要がなく、幅広部の車両前後方向の長さを短縮可能である。したがって、当該カーテンエアバッグは限られた収納空間にも収納しやすくなる。
【0016】
上記の取付点が1つである場合において、線状体の車両への取付け位置である車両接続点は、取付点と衝突想定領域の中心点とがなす直線上に位置するとよい。この構成によれば、乗員から受ける荷重が吸収しやすくなり、乗員をより効率よく受け止めて拘束することが可能となる。したがって、車外放出性能の向上が可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インフレータに必要な出力を抑えながら、特に最後部座席近傍において高い車外放出防止性能を有するカーテンエアバッグを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
図1は、本発明にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。
図1(a)はカーテンエアバッグ(以下、「エアバッグ100」と記載する。)の非展開時、
図1(b)はエアバッグ100の展開時をそれぞれ例示する。以下、
図1(a)および
図1(b)に例示する車両102の右側面用のカーテンエアバッグを参照して説明を行うが、左側面用のカーテンエアバッグも同様の対称な構造を有する。
【0021】
図1(a)に例示するように、エアバッグ100はガス発生装置であるインフレータ104を備えている。そして、インフレータ104から供給される膨張展開用ガス(以下、単に「ガス」と記載する。)を受給し、膨張して乗員の保護を行う。特に本発明によるエアバッグ100は、インフレータ104に必要な出力を抑えながら、最後部座席近傍において高い車外放出防止性能を発揮することが可能となっている。
【0022】
エアバッグ100は、
図1(a)のように巻回された状態で、または折り畳まれた状態(図示省略)で、車両室内の側面部上方のルーフサイドレール106(図中、仮想線で例示する。)に取り付けられて収納される。通常、ルーフサイドレール106はルーフトリムで覆われ、車両室内からは視認不能である。
【0023】
エアバッグ100は、例えば、その表面を構成する基布を表裏で縫製したり、OPW(One-Piece Woven)を用いて紡織したりすることにより袋状に形成される。
【0024】
本実施形態ではエアバッグ100が実施される車両として、3列シート(車両前方から前部座席108、後部座席110および最後部座席112)を有する車両102を例示している。車両102の側面部には、複数のサイドウィンドウ(車両前方からサイドウィンドウ114、116および最後部ウィンドウ118)が設置されている。車両室内では、最後部ウィンドウ118が最後部座席112の側方に位置している。
【0025】
各サイドウィンドウの前後方向にはルーフ(天井)を支える複数のピラー(柱)が接続している。これらは車両102の前方から、Aピラー120、Bピラー122、Cピラー(後述する前側ピラー124)、Dピラー(後述する後側ピラー126)と呼ばれる。
【0026】
車両102に側面衝突時やロールオーバ(横転)等が発生すると、まず車両102に備えられたセンサ(図示省略)による衝撃の感知に起因して、インフレータ104へ発火信号が発信される。すると、インフレータ104の火薬が燃焼し、発生したガスがエアバッグ100へ供給される。エアバッグ100は、インフレータ104からのガスを受給すると、
図1(b)に例示するように、車室の側面部(サイドウィンドウ114等)に沿うように下方へ膨張展開し、乗員の保護を行う。
【0027】
図2(a)は、
図1(b)の展開状態のカーテンエアバッグを例示する図である。
図2(a)(a)は、エアバッグ100の車室側を一部透過した状態で例示している。
【0028】
図2(a)に例示するように、エアバッグ100は車両102の衝突時や横転時に膨張する膨張領域130と、膨張せずに膨張領域130を区画する非膨張領域132(図中ハッチングで示す)と、を備えている。膨張領域130は非膨張領域132によって複数のチャンバに区画されている。チャンバは、衝突時等の非常事態時において乗員と直接接触する部分である。膨張領域130が複数のチャンバに区画される。
【0029】
複数のチャンバのうち、エアバッグ100の車両前後方向の後端にはリアチャンバ134が設置されている。リアチャンバ134は、
図1(b)に例示するように後部座席110の略真横において膨張展開する。リアチャンバ134は後部座席110の乗員に対して最も近い位置に膨張展開するため、後部座席110の乗員の車外放出防止はリアチャンバ134によって達成される。なお、リアチャンバ134の前方にあるチャンバー(符号省略)も後部座席110の乗員の車外放出防止に有効なことはいうまでもない。
【0030】
エアバッグ100の上縁には、取付部材として複数のタブ(タブ136等)が設けられている。タブ136はエアバッグ100を車両102に取り付ける際に用いる帯状の部材である。タブ136には、車両102への締結用のボルトを通すボルト穴138が設けられている。
【0031】
図1(b)に例示するように、当該エアバッグ100では最後部座席112の側方にはチャンバは膨張展開せず、幅広部140が展開する。幅広部140は最後部ウィンドウ118からの最後部座席112の乗員の車外放出防止を図る部位である。
図2(a)に例示するように、幅広部140はリアチャンバ134(または膨張領域130)の後縁部142に取り付けられる。幅広部140は幅広な布状であって膨張せず、膨張する膨張領域130に引っ張られるようにして略平面状に緊張し、乗員を拘束する。
【0032】
幅広部140は、硬度の異なる2つの領域として、相対的に硬度が低い非硬質領域143と、相対的に硬度が高い硬質領域144とを含んでいる。非硬質領域143は硬質領域144よりも柔軟な領域であって、膨張領域130の後縁部142に接している。硬質領域144は非硬質領域143よりも強硬な領域であって、本実施形態では幅広部140の車両後側の縁を構成して非硬質領域143のみに接している。
【0033】
図2(b)は、
図2(a)のA−A断面図である。
図2(b)に例示するように、本実施形態では、硬質領域144は幅広部140の表裏から貼り付けられる帯状の布部材144a、144bにより構成されている。これら布部材144a、144bとしては、例えば、シートベルトに使用されるウェビングと同様の素材や、当該エアバッグに使用される基布と同様の素材を適用可能である。
【0034】
幅広部140は、硬質領域内の少なくとも1つの取付点146によって前側ピラー124よりも後側で車両102に取り付けられている。これにより、幅広部のうちの後縁部142と硬質領域144との間の非硬質領域143は、膨張展開時において広く平面的に緊張することが可能となっている。本実施形態では、取付点146に線状体(ワイヤ148)を設置し、ワイヤ148を介して取付点146を後側ピラー126に接続している(
図1(b)参照)。ワイヤ148の後側ピラー126への取付け位置(車両接続点)には留め具150を設置している。なお線状体としては、ワイヤ以外にも帯状のストラップ等を利用してもよい。
【0035】
本実施形態では、上記のワイヤ148を利用して幅広部140を車両102に取り付けているため、幅広部140自体を車両102への取付け位置まで延伸させる必要がなくなっている。したがって、当該エアバッグ100は後端側を短縮することができ、後側ピラー126の上部近傍の限られた収納空間にも収容容易となっている。
【0036】
なお、ワイヤ148に代表される線状体は必ずしも用いる必要はない。例えば、後側ピラー126に重畳した硬質領域内で、所定の取付点として直接ボルト止め等を行ってもよい。この場合、取付点の位置を適宜変更することで、限られた収納空間であっても当該エアバッグ100は十分に収納可能である。
【0037】
図3は、
図2(a)の部分拡大図である。
図3に例示するように、幅広部140は最後部ウィンドウ118のうち乗員の衝突が想定される領域である衝突想定領域Eにわたる形状となっている。特に非硬質領域143は、後縁部142と硬質領域144との間に位置していて、膨張領域130が膨張展開することによって衝突想定領域Eにわたって略平面状に緊張する形状となっている。衝突想定領域Eとは、FMVSS(米国連邦自動車安全基準)によって定められた、側面衝突時に乗員頭部が衝突すると想定される領域を意味している。より具体的には、FMVSS226セクション7:車外放出軽減テスト装置仕様(Ejection mitigation test device specification)に記載され定義されるインパクタ(Ejection impactor)を用いて、同FMVSS226セクション5.2:衝撃標的位置の決定(Determination of impact target locations)で定められるターゲットロケーション(Target locations)に向けて車外放出テストを行った時に、当該インパクタが通過する可能性のある領域を衝突想定領域としている。本願の場合、特にリアウインドウについての標的位置決定方法を参照している。通常、FMVSSに基づく側面衝突試験時には、試験装置であるインパクタをこの衝突想定領域Eに衝突させて、カーテンエアバッグ等の安全装置の安全性を評価する(車外放出防止性能評価試験)。例えばサイドウィンドウ118のように、3列シートの車両における前方から3番目の比較的小型のウィンドウ上の衝突想定領域は、インパクタの衝突目標位置としてC1打点等と称される。
【0038】
本実施形態では、より効果的な車外放出防止を図るために、ワイヤ148を車両102に取り付ける車両接続点(留め具150)を、幅広部上の取付点146と衝突想定領域Eの中心点Mとがなす直線L1上に設置している。この構成であれば、ワイヤ148が荷重を受けた幅広部140を支えやすくなる。すなわち、乗員から受ける荷重が吸収しやすくなり、乗員をより効率よく受け止めて拘束することが可能となる。特に本実施形態では、直線L1が車両前後方向、すなわちエアバッグ100の長尺方向と一致するように、上記取付点146および留め具150を設置している。これは、膨張領域130は膨張展開によって長尺方向により大きく収縮するからであって、この収縮によって幅広部140に生じる張力を衝突想定領域Eの中心点Mに加えるためである。これにより、幅広部140の車外放出性能は大きく向上する。
【0039】
図4は、
図1(b)の概略的なB−B断面図である。
図4に例示するように、当該エアバッグ100では、幅広部140はリアチャンバ134の後縁部142に取り付けられている。幅広部140は、硬質領域内の取付点146によって車両102に取り付けられていて、膨張領域130が膨張展開すると車両前方への張力(テンション)が加わる。そして幅広部140は、後縁部142と硬質領域144との間の非硬質領域143が衝突想定領域E(
図3参照)にわたって略平面状に緊張する。
【0040】
エアバッグ100の展開時の挙動は、その寸法やルーフサイドレール106への取付位置によって異なるが、エアバッグ100が巻回されていた状態から膨張展開するとき、後縁部142が当初の位置から前方に移動すると仮定する。その場合、留め具150から後縁部142までにおける幅広部140の長さは、留め具150から、膨張領域130の膨張展開によって後縁部142が移動しようとする位置までの寸法よりも短く設定すると好適である。
【0041】
膨張展開時において、幅広部140の前側が取り付けられる後縁部142およびリアチャンバ134は、前側ピラー124に重畳して膨張展開する。前側ピラー124は最後部ウィンドウ118の前側に位置していて、最後部ウィンドウ118よりも車内側に突出している。これにより、リアチャンバ134(膨張領域130)は前側ピラー124上およびその前方で膨張し、後縁部142の近傍は前側ピラー124に重畳する。そして、エアバッグ100の膨張展開後において幅広部140は、後縁部142と後側ピラー126との間で緊張し、略平面状の姿勢となる(
図5参照)。
【0042】
図5は、
図4の概略的なC−C断面図である。このC―C断面は、
図3の衝突想定領域Eの中心点Mを通る断面を想定している。
図5に例示するように、幅広部140の前側の取付位置である後縁部142近傍は、前側ピラー124に頂上することで車内側へ突出する。これにより幅広部140は、最後部ウィンドウ118から車内側へ離れた位置、すなわち乗員により近い位置において最後部ウィンドウ118を覆う。これにより幅広部140は、例えば最後部座席112の乗員を迅速に受け止めて着座位置からの移動量を減少させることができる。したがって、ロールオーバの発生時において、乗員に対する車外放出防止性能の向上を図ることが可能である。
【0043】
図6は、
図5の位置における車外放出防止性能評価試験を例示する図である。なお、
図6では理解を容易にするために、リアチャンバ134等を省略している。上記説明した幅広部140であれば、膨張しなくとも高い車外放出防止性能を発揮することができる。FMVSS(米国連邦自動車安全基準)では、
図6に例示するように、乗員を模擬したインパクタ160をエアバッグの各部位に衝突させてその性能評価を行っている。その際、インパクタ160の車外側の頂点(衝突想定領域Eの中心点Mに相当)の移動距離が、サイドウィンドウ118(
図5参照)との接触面(
図6における直線L2)から100mm以内(直線L3)におさまることが要件とされている。当該エアバッグ100が備える幅広部140であれば、この要件を達成可能である。
【0044】
上記
図3を参照しての説明において、エアバッグ100の長尺方向を示す直線であって衝突想定領域Eの中心点Mを通過する直線L1上に、幅広部上の取付点146および車両接続点(留め具150)を設置すると好適であると説明した。しかし、取付点146においては必ずしも膨張展開直後に直線L1上に位置しなくともよい。例えば
図6の姿勢の幅広部140のように、幅広部140が乗員を受け止めた姿勢となっている状態において、車内側から見た際に上記取付点146が直線L1上(
図3参照)に位置していればよい。この構成であれば、乗員からの荷重が最も強くかかる時点において荷重が吸収しやすくなり、乗員を効率よく受け止めて拘束することができる。またこれに伴って、ワイヤ148もエアバッグ100の膨張展開直後においては緊張することなく弛んだ状態となっていてもよい。すなわち、乗員が幅広部140に衝突した際に緊張しさえすれば、荷重を好適に吸収可能である。
【0045】
上記説明したように、幅広部140は硬質領域内の取付点146をもって車両102に取り付けられている。仮に、幅広部140に硬質領域144を設けず、非硬質領域内に取付点146を設けて車両102へ取り付けた場合、膨張領域130からテンションを受けて緊張する非硬質領域143の範囲は、取付点146と膨張領域130の後縁部142とを結ぶ略三角形の範囲となる。しかし、上記構成であれば、硬質領域144と膨張領域130の後縁部142との間の非硬質領域143を広い範囲で緊張させることが可能である。また硬質領域144を設けることで、乗員から荷重を受けた際、取付点146にかかる荷重を分散させて非硬質領域143の伸びを抑えることができる。これらにより、膨張領域によることなく最後部ウィンドウ118からの乗員の確実な車外放出防止を達成可能となる。
【0046】
また当該エアバッグ100によれば、最後部ウィンドウ118にはチャンバ(膨張領域130)を設ける必要がないため、膨張領域130の容量を最後部ウィンドウ118に到達するまで増大させる必要はなく、インフレータ104に求める出力を抑えることが可能である。
【0047】
(第1の変更例)
図7は、幅広部140の第1の変更例を例示する図である。
図7は
図3に対応している。
図7に例示する第1の変更例では、幅広部上の取付点146および車両上の車両接続点の設置位置において、
図3の例と異なっている。
【0048】
図7に例示するように、前側ピラー125が傾斜している場合、前側ピラー125またはその縁がなす直線L4に直交し、衝突想定領域Eの中心点Mを通過する直線L5上に、幅広部上の取付点146および留め具150を設置してもよい。この構成では、膨張慮領域130(またはリアチャンバ134)は前側ピラー125に直線L4に沿って接触する。このとき、衝突想定領域Eの中心点Mと直線L4とを最短で結ぶ線分が直線L5である。したがって、直線L5上に取付点146および留め具150を設置することで、幅広部140にかかる荷重が吸収しやすくなり、乗員をより効率よく受け止めて拘束することが可能となる。なお、この設置構成においても、衝突想定領域Eの中心点Mと留め具150とがなす直線上に取付点146が設置されることで、ワイヤ148を介して乗員を効率よく受け止めて拘束している。
【0049】
(第2の変更例)
図8は、幅広部140の第2の変更例を例示する図である。
図8は
図3に対応していて、幅広部上の取付点の設置数において、
図3の例と異なっている。
【0050】
図8に例示するように、硬質領域144は長尺な領域であって、その長手方向の両端近傍にそれぞれ取付点200a、200bを有している。そして取付点200a、200bにワイヤ148a、148bをそれぞれ設置し、車両取付部150に取り付けている。この構成であれば、硬質領域144をその両端2点でより強固に支持できる。したがって、幅広部140(非硬質領域143)を広い範囲にわたって緊張させ、車外放出防止性能の向上が可能となる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
【0052】
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0053】
なお、上記実施形態ではエアバッグ100を3列シートを有する車両102に実施した。しかし、エアバッグ100が実施可能な車両はこれに限らない。最後部座席の側方に位置している窓の後方にさらに他の窓を有する車両にも本発明にかかる技術は適用可能である。また、幅広部140が乗員の車外放出防止を図る対象となるサイドウィンドウは、その形状の如何を問わない。
【0054】
また、上記実施形態においては本発明にかかるカーテンエアバッグを自動車に適用した例を説明したが、自動車以外にも航空機や船舶などに適用することも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。