(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
短柱、長柱で一対となる支柱を少なくとも2組有し、該2組の支柱における短柱同士、長柱同士を直線状に配置すると共に平面視で全体が矩形になるように配置し、前記同種または異種の各柱の上端部を梁部材で連結し、前記梁部材に直交して根太を配置して前記長柱側から前記短柱側に向って傾斜する傾斜架構を構成してなる太陽電池パネル用架台であって、
前記各支柱の上端部と前記梁部材との接合部に設けられて前記梁部材を支持する支持機構を有し、
該支持機構は、前記支柱側に設けられると共に前記傾斜架構の傾斜方向に直交する方向に延出する回転軸と、前記梁部材側に設けられて前記回転軸が挿入かつ移動可能で前記傾斜方向に延びる長孔貫通孔とを有し、
太陽電池パネル用架台の設置初期状態では、前記回転軸が前記長孔貫通孔における傾斜方向上側の壁に当接していることを特徴とする太陽電池パネル用架台。
短柱、長柱で一対となる支柱を少なくとも2組有し、該2組の支柱における短柱同士、長柱同士を直線状に配置すると共に平面視で全体が矩形になるように配置し、前記同種または異種の各柱の上端部を梁部材で連結し、前記梁部材に直交して根太を配置して前記長柱側から前記短柱側に向って傾斜する傾斜架構を構成してなる太陽電池パネル用架台であって、前記各支柱の上端部と前記梁部材との接合部に設けられて前記梁部材を支持する支持機構を有し、
該支持機構は、前記梁部材側に設けられると共に前記傾斜架構の傾斜方向に直交する方向に延出する回転軸と、前記各支柱側に設けられて前記回転軸が挿入かつ移動可能で前記傾斜方向に延びる長孔貫通孔とを有し、
太陽電池パネル用架台の設置初期状態では、前記回転軸が前記長孔貫通孔における傾斜方向下側の壁に当接していることを特徴とする太陽電池パネル用架台。
短柱、長柱で一対となる支柱を少なくとも2組有し、該2組の支柱における短柱同士、長柱同士を直線状に配置すると共に平面視で全体が矩形になるように配置し、前記同種または異種の各柱の上端部を梁部材で連結し、前記梁部材に直交して根太を配置して前記長柱側から前記短柱側に向って傾斜する傾斜架構を構成してなる太陽電池パネル用架台であって、
前記各支柱の上端部と前記梁部材との接合部に設けられて前記梁部材を支持する支持機構を有し、
該支持機構は、前記短柱の上端部で前記梁部材を支持する第1支持機構と、前記長柱の上端部で前記梁部材を支持する第2支持機構とを備え、
前記第1支持機構は前記短柱側又は前記梁部材側に設けられると共に前記傾斜架構の傾斜方向と直交する方向に延出する回転軸と、前記梁部材側又は前記短柱側に設けられて前記回転軸が挿入かつ移動可能で前記傾斜方向に延びる長孔貫通孔とを有し、太陽電池パネル用架台の設置初期状態では、前記回転軸が前記長孔貫通孔における傾斜方向中間部に配置されてなり、
前記第2支持機構は前記長柱の上端と前記梁部材とを回転可能に支持することを特徴とする太陽電池パネル用架台。
短柱、長柱で一対となる支柱を少なくとも2組有し、該2組の支柱における短柱同士、長柱同士を直線状に配置すると共に平面視で全体が矩形になるように配置し、前記同種または異種の各柱の上端部を梁部材で連結し、前記梁部材に直交して根太を配置して前記長柱側から前記短柱側に向って傾斜する傾斜架構を構成してなる太陽電池パネル用架台であって、
前記各支柱の上端部と前記梁部材との接合部に設けられて前記梁部材を支持する支持機構を有し、
該支持機構は、前記短柱の上端部で前記梁部材を支持する第1支持機構と、前記長柱の上端部で前記梁部材を支持する第2支持機構とを備え、
前記第2支持機構は前記長柱側又は前記梁部材側に設けられると共に前記傾斜架構の傾斜方向と直交する方向に延出する回転軸と、前記梁部材側又は前記長柱側に設けられて前記回転軸が挿入かつ移動可能で前記傾斜方向に延びる長孔貫通孔とを有し、太陽電池パネル用架台の設置初期状態では、前記回転軸が前記長孔貫通孔における傾斜方向中間部に配置されてなり、
前記第1支持機構は前記短柱の上端と前記梁部材とを回転可能に支持することを特徴とする太陽電池パネル用架台。
前記支持機構が設けられる梁部材を2本以上の棒状部材を用いて構成すると共に、前記支持機構は、前記梁部材に取り付けられる支持機構部材を備えてなり、該支持機構部材は長孔貫通孔を形成した板状部材と、該板状部材に直交すると共に前記梁部材に挟持される挟持部と、前記梁部材の底面を支持する底面支持部とを有し、
前記支持機構部材は、前記挟持部を前記梁部材で挟持して前記梁部材に接着すると共に、梁底面支持部の下面側と前記梁部材の上面側に配設された一対の板状又は形鋼状の固定部材を用いてこれら一対の固定部材を前記梁部材側面に当接する棒状体で連結固定することによって前記梁部材に固定されていることを特徴とする請求項1記載の太陽電池パネル用架台。
梁部材を2本以上の棒状部材を用いて構成すると共に、前記梁部材の一端側に取り付けられる第1支持機構部材を備えてなり、該第1支持機構部材は長孔貫通孔を形成した板状部材と、該板状部材に直交すると共に前記梁部材に挟持される挟持部と、前記梁部材の底面を支持する底面支持部とを有し、
前記梁部材の他端側に取り付けられる第2支持機構部材を備えてなり、該第2支持機構部材は回転軸が挿通される貫通孔を形成した板状部材と、該板状部材に直交すると共に前記梁部材に挟持される挟持部と、前記梁部材の底面を支持する底面支持部とを有し、
前記第1支持機構部材及び第2支持機構部材は、前記挟持部を前記梁部材で挟持して前記梁部材に接着すると共に、梁底面支持部の下面側と前記梁部材の上面側に配設された一対の板状又は形鋼状の固定部材を用いてこれら一対の固定部材を前記梁部材側面に当接する棒状体で連結固定することによって前記梁部材に固定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の太陽電池パネル用架台。
前記短柱および/または前記長柱は、下柱に上柱を連結した連結柱構造であり、かつ、下柱または上柱の一方を他方に挿入すると共に、前記傾斜架構の傾斜方向と直交する方向に傾動可能な傾動軸で両者を連結してなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の太陽電池パネル用架台。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された太陽電池架台装置の構造は、伸縮、角度調整が可能な脚部構造を設置時に地盤状況に応じて長さ、角度をあわせて固定し、所定のレベルを確保できる。
しかし、全体を固定してしまうため、その後の脚部の不等沈降に対しての自動調整機能を持っていない。すなわち、不等沈降が発生すると、脚部のレベルが変わるため、架台上部構造も不等沈降に追従しようとする応力が発生し、曲げ、ねじれなど、架台にゆがみ変形が発生する。変形が過大になると、太陽電池に損傷を与える可能性がある。
もっとも、この構造においては、脚部の固定ボルトを緩めて再調整することは可能だが、すでに変形した後の再調整であるため、不等沈降によって太陽電池に作用する応力を常時緩和する機構は期待できない。仮に、長孔部分をスライド可能な状態、すなわち、固定ボルトを緩めた場合には、形状保持が困難となる。
【0009】
特許文献2に開示されたソーラーパネルの架台の構造は、支持部の揺動に関し、回転軸と長孔によるスライド機構を有しており、傾斜角変更時の材長変化に対応させている。
しかしながら、揺動用支柱、スライド柱ともに、それぞれの柱グループごとに足元および上部を連結し、さらに、所定の傾斜角とした後は各部を固定して長孔のスライド機構が作用しない状態にして架台を剛体化している。すなわち、柱の上下位置不変を前提とした構造であり、柱の沈降を想定していないので、長孔を有していても、本願の目的である不等沈降時の応力緩和作用はなく、特許文献1と同じく、各接合部等に想定外の応力が作用してしまう。
【0010】
以上のように、特許文献1、2に開示の従来技術は、不等沈降による架台の変形や作用応力を常時緩和する機能を持たないため、不等沈降により、架台に作用する応力が不均一となり、基礎梁、架台の横架材、接合部に、想定外の曲げ、せん断応力が作用する場合があり、また、全体が傾く可能性も高い。この場合、大型化された太陽電池アレイの修正作業は極めて困難を伴う。
【0011】
本発明は、これらの課題を解決するためになされたもので、設置後の不等沈降に対応して一定の沈降時応力緩和によって、架台への想定外の応力発生を抑制し、架台や太陽電池パネルの損傷を防止できる太陽電池パネル用架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明に係る太陽電池パネル用架台は、短柱、長柱で一対となる支柱を少なくとも2組有し、該2組の支柱における短柱同士、長柱同士を直線状に配置すると共に平面視で全体が矩形になるように配置し、前記同種または異種の各柱の上端部を梁部材で連結し、前記梁部材に直交して根太を配置して前記各柱の上端部を梁部材で連結して前記長柱側から前記短柱側に向って傾斜する傾斜架構を構成してなる太陽電池パネル用架台であって、
前記各支柱の上端部と前記梁部材との接合部に設けられて前記梁部材を支持する支持機構を有し、該支持機構は、前記支柱側に設けられると共に前記傾斜架構の傾斜方向に直交する方向に延出する回転軸と、前記梁部材側に設けられて前記回転軸が挿入かつ移動可能で前記傾斜方向に延びる長孔貫通孔とを有し、太陽電池パネル用架台の設置初期状態では、前記回転軸が前記長孔貫通孔における傾斜方向上側の壁に当接していることを特徴とするものである。
【0013】
(2)また、短柱、長柱で一対となる支柱を少なくとも2組有し、該2組の支柱における短柱同士、長柱同士を直線状に配置すると共に平面視で全体が矩形になるように配置し、前記同種または異種の各柱の上端部を梁部材で連結し、前記梁部材に直交して根太を配置して前記各柱の上端部を梁部材で連結して前記長柱側から前記短柱側に向って傾斜する傾斜架構を構成してなる太陽電池パネル用架台であって、
前記各支柱の上端部と前記梁部材との接合部に設けられて前記梁部材を支持する支持機構を有し、該支持機構は、前記梁部材側に設けられると共に前記傾斜架構の傾斜方向に直交する方向に延出する回転軸と、前記各支柱側に設けられて前記回転軸が挿入かつ移動可能で前記傾斜方向に延びる長孔貫通孔とを有し、太陽電池パネル用架台の設置初期状態では、前記回転軸が前記長孔貫通孔における傾斜方向下側の壁に当接していることを特徴とするものである。
【0014】
(3)また、短柱、長柱で一対となる支柱を少なくとも2組有し、該2組の支柱における短柱同士、長柱同士を直線状に配置すると共に平面視で全体が矩形になるように配置し、前記同種または異種の各柱の上端部を梁部材で連結し、前記梁部材に直交して根太を配置して前記各柱の上端部を梁部材で連結して前記長柱側から前記短柱側に向って傾斜する傾斜架構を構成してなる太陽電池パネル用架台であって、
前記各支柱の上端部と前記梁部材との接合部に設けられて前記梁部材を支持する支持機構を有し、該支持機構は、前記短柱の上端部で前記梁部材を支持する第1支持機構と、前記長柱の上端部で前記梁部材を支持する第2支持機構とを備え、前記第1支持機構は前記短柱側又は前記梁部材側に設けられると共に前記傾斜架構の傾斜方向と直交する方向に延出する回転軸と、前記梁部材側又は前記短柱側に設けられて前記回転軸が挿入かつ移動可能で前記傾斜方向に延びる長孔貫通孔とを有し、太陽電池パネル用架台の設置初期状態では、前記回転軸が前記長孔貫通孔における傾斜方向中間部に配置されてなり、
前記第2支持機構は前記長柱の上端と前記梁部材とを回転可能に支持することを特徴とするものである。
【0015】
(4)また、短柱、長柱で一対となる支柱を少なくとも2組有し、該2組の支柱における短柱同士、長柱同士を直線状に配置すると共に平面視で全体が矩形になるように配置し、前記同種または異種の各柱の上端部を梁部材で連結し、前記梁部材に直交して根太を配置して前記各柱の上端部を梁部材で連結して前記長柱側から前記短柱側に向って傾斜する傾斜架構を構成してなる太陽電池パネル用架台であって、
前記各支柱の上端部と前記梁部材との接合部に設けられて前記梁部材を支持する支持機構を有し、該支持機構は、前記短柱の上端部で前記梁部材を支持する第1支持機構と、前記長柱の上端部で前記梁部材を支持する第2支持機構とを備え、前記第2支持機構は前記長柱側又は前記梁部材側に設けられると共に前記傾斜架構の傾斜方向と直交する方向に延出する回転軸と、前記梁部材側又は前記長柱側に設けられて前記回転軸が挿入かつ移動可能で前記傾斜方向に延びる長孔貫通孔とを有し、太陽電池パネル用架台の設置初期状態では、前記回転軸が前記長孔貫通孔における傾斜方向中間部に配置されてなり、
前記第1支持機構は前記短柱の上端と前記梁部材とを回転可能に支持することを特徴とするものである。
【0016】
(5)また、上記(1)、(3)または(4)に記載のものにおいて、前記支持機構が設けられる梁部材を2本以上の棒状部材を用いて構成すると共に前記長孔貫通孔を板状部材に形成して前記梁部材に取り付けてなるものであって、
前記板状部材を、前記梁部材の上下方向に突出させて前記梁部材で挟持して接着すると共に、前記突出部の上下それぞれ2箇所ずつ以上の貫通孔を設け、該貫通孔に棒状体を略梁部材の全幅に亘って、梁部材と当接して配置したことを特徴とするものである。
【0017】
(6)また、上記(5)に記載のものにおいて、前記棒状体と前記梁部材の間に板状体を介在させたことを特徴とするものである。
【0018】
(7)上記(1)に記載のものにおいて、前記支持機構が設けられる梁部材を2本以上の棒状部材を用いて構成すると共に、前記支持機構は、前記梁部材に取り付けられる支持機構部材を備えてなり、該支持機構部材は長孔貫通孔を形成した板状部材と、該板状部材に直交すると共に前記梁部材に挟持される挟持部と、前記梁部材の底面を支持する底面支持部とを有し、
前記支持機構部材は、前記挟持部を前記梁部材で挟持して前記梁部材に接着すると共に、梁底面支持部の下面側と前記梁部材の上面側に配設された一対の板状又は形鋼状の固定部材を用いてこれら一対の固定部材を前記梁部材側面に当接する棒状体で連結固定することによって前記梁部材に固定されていることを特徴とするものである。
【0019】
(8)また、上記(3)又は(4)に記載のものにおいて、梁部材を2本以上の棒状部材を用いて構成すると共に、前記梁部材の一端側に取り付けられる第1支持機構部材を備えてなり、該第1支持機構部材は長孔貫通孔を形成した板状部材と、該板状部材に直交すると共に前記梁部材に挟持される挟持部と、前記梁部材の底面を支持する底面支持部とを有し、
前記梁部材の他端側に取り付けられる第2支持機構部材を備えてなり、該第2支持機構部材は回転軸が挿通される貫通孔を形成した板状部材と、該板状部材に直交すると共に前記梁部材に挟持される挟持部と、前記梁部材の底面を支持する底面支持部とを有し、
前記第1支持機構部材及び第2支持機構部材は、前記挟持部を前記梁部材で挟持して前記梁部材に接着すると共に、梁底面支持部の下面側と前記梁部材の上面側に配設された一対の板状又は形鋼状の固定部材を用いてこれら一対の固定部材を前記梁部材側面に当接する棒状体で連結固定することによって前記梁部材に固定されていることを特徴とするものである。
【0020】
(9)また、上記(1)又は(7)に記載のものにおいて、前記回転軸は前記支柱に設けられた板状体に固定手段によって固定され、かつ前記長孔貫通孔は前記梁部材側に設けられた板状部材に設けられ、
前記回転軸は前記板状部材の前記長孔貫通孔を貫通して延伸し、前記板状部材を軸方向に摺動可能かつ傾斜可能に保持していることを特徴とするものである。
【0021】
(10)また、上記(3)、(4)又は(8)に記載のものにおいて、
梁部材を支持する各支柱上端部には板状体が設けられ、該板状体に回転軸が固定されるとともに、梁部材側には前記長孔貫通孔が設けられた板状部材と貫通孔が設けられた板状部材がそれぞれ設けられ、
前記
長孔貫通孔に挿通される回転軸は前記板状部材の前記長孔貫通孔を貫通して延伸し、
前記貫通孔に挿通される回転軸は前記板状部材の
前記貫通孔を貫通して延伸し、各回転軸は前記各板状部材を
それぞれ軸方向に摺動可能かつ傾斜可能に保持していることを特徴とするものである。
【0022】
(11)また、上記(1)乃至(8)のいずれかに記載のものにおいて前記短柱および/または前記長柱は、下柱に上柱を連結した連結柱構造であり、かつ、下柱または上柱の一方を他方に挿入すると共に、前記傾斜架構の傾斜方向と直交する方向に傾動可能な傾動軸で両者を連結してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上記の構成を備えたことにより、太陽電池パネルを安定的に保持できると共に、地盤の緩みにより長柱及び/又は短柱が沈降した場合であっても、傾斜架構に内部応力が発生しないので、太陽電池パネルの破損等を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[実施の形態1]
本実施の形態に係る太陽電池パネル用架台1は、短柱3、長柱5で一対となる支柱を少なくとも2組有し、該2組の支柱における短柱3同士、長柱5同士を直線状に配置すると共に平面視で全体が矩形になるように配置し、前記各柱の上端部を梁部材7で連結して前記長柱5側から前記短柱3側に向って傾斜する傾斜架構9を構成してなる太陽電池パネル用架台1であって、前記各支柱の上端部と前記梁部材7との接合部に設けられて前記梁部材7を支持する支持機構11を有してなるものである。
以下、詳細に説明する。
【0026】
<短柱>
短柱3は、例えば角型鋼管によって構成される。短柱3の下端部にはベースプレート12が設置されている。
【0027】
<長柱>
長柱5は、例えば角型鋼管によって構成される。長柱5の下端部にはベースプレート12が設置されている。
【0028】
<梁部材>
梁部材7は各柱の上端部を連結する部材であり、本実施の形態の梁部材7は、長柱5の上端部と短柱3の上端部を連結している。
なお、梁部材7は長柱5の上端同士を連結し、かつ短柱3の上端同士を連結するようにしてもよい。
【0029】
<傾斜架構>
傾斜架構9は、長柱5と短柱3の上端部を連結するように設置された2本の梁部材7及びこの梁部材7に架設するようにした複数本の根太13によって構成される。傾斜架構9に太陽電池パネル15が太陽電池パネル取付ピース17を介して取り付けられている。
【0030】
<支持機構>
支持機構11は、長柱5及び短柱3の上端部と梁部材7との接合部に設けられて梁部材7を支持するものである。長柱5側と短柱3側に設けられる支持機構11は同一の機構であるので、以下においては、長柱5側に設けられる支持機構11について説明する。
支持機構11は、
図2に示すように、長柱5の上端部に設置された支持部材19と、梁部材7の傾斜上部側に取り付けられた接合部材21によって構成される。
支持部材19は、上端が円弧に形成された板状体23と、該板状体23に設けられると共に傾斜架構9の傾斜方向に直交する方向(梁部材7に直交する方向)に延出する回転軸25を備えている。
回転軸25はそれ自体が回転自在に取り付けてもよいし、あるいは固定であってもよく、いずれにしても回転軸25は接合部材21を構成する後述の矩形板状体27を回転可能及びスライド可能に支持すればよい。
回転軸25は、ボルト、ピン、棒鋼などによって形成される。
【0031】
本実施の形態では、支持部材19を1枚の板状体23によって構成しており、この場合の回転軸25の取付部の詳細を
図3における一部拡大図に基づいて説明する。
板状体23には、回転軸25を設置するための固定手段を設ける。固定手段の態様は種々のものが適用可能であるが、例えば
図3に示すように、板状体23にめねじ部材としてナット70を溶接し、先端部にねじ山を設けたボルトによって構成される回転軸25をねじ込み固定するようにしてもよい。
【0032】
ナット70は、板状体23における矩形板状体27に面しない側の面に溶接されている。板状体23と矩形板状体27の隙間部分には、2つの絶縁材を配設している。板状体23側に配設した絶縁材は、リング緩衝材71であり、これによって防振効果を持たせている。リング緩衝材71は、EPDMなどの弾性ゴム、ばね座金など、沈降傾斜による矩形板状体27の傾斜と回転軸25軸方向の移動により圧密容易な材料から選択可能である。
図3にはEPDMリングを用いた例が示されている。
もう一つの絶縁材として矩形板状体27側には、長孔貫通孔29内を回転軸25が移動するときにリング緩衝材71の破損防止と摺動性向上のために、金属性の座金72を配設した。
【0033】
回転軸25のボルト頭と矩形板状体27との間にも、リング緩衝材71と金属性の座金72を配設している。矩形板状体27側に配設した座金72は上記と同様のものであるが、リング緩衝材71は、比較的強度の大きいばね座金を用い、所定の位置に安定させる効果を持たせている。
なお、各リング緩衝材71、座金72の厚さは、非圧密時に、回転軸25の余長と略等しくなるように設定する。
【0034】
なお、板状体23に設ける回転軸25を設置するための固定手段の他の態様としては、回転軸25の先端側にねじを形成し、板状体23を貫通させ、ナット等により両側から締め付ける方法や、板状体23にめねじを形成しておき、回転軸25をねじ込み固定する方法がある。
【0035】
また、接合部材21は、矩形状に形成された矩形板状体27によって構成され、梁部材7の下面側に突出するように梁部材7に設置されている。矩形板状体27は、傾斜架構9の傾斜方向(梁部材7の材軸方向)に延びる長孔貫通孔29を有している。
長孔貫通孔29は、沈降許容量となった場合の短柱3と長柱5で支持される梁部材7の支点間距離の変化に相当する長さ以上の長さを有している。
回転軸25が長孔貫通孔29に挿入され、回転軸25は回転自在かつスライド可能に矩形板状体27を支持する。
【0036】
太陽電池パネル用架台1の設置初期状態では、
図1に示すように、回転軸25が長孔貫通孔29における傾斜方向上側の壁に当接している。
【0037】
上記のように構成された本実施の形態の動作を説明する。
<設置初期状態>
設置初期状態、すなわち地盤の沈降がない状態では、前述したように、回転軸25が長孔貫通孔29における傾斜方向上側の壁に当接しており、構造的に安定した状態が保持されている。この状態で、長柱5側から風力が作用しても、風力に起因して発生する揚力は長孔貫通孔29と直交方向に作用するので、通常のボルト接合部と応力状態は変わらない。
また、短柱3側から作用する風力に関しては、特に長柱5側で架台を地面側に押し付ける方向に荷重が大きく作用するので、傾斜架構9がずり上がることはない。
【0038】
<短柱側が先行沈降した場合>
短柱3側の沈降が先行して発生した場合、
図4に示すように、梁部材7が長柱5側の支持機構11における回転軸25を支点として図中時計回り方向(傾斜架構9の傾斜角度が大きくなる方向)に回動する。このとき、長柱5側の支持機構11においては、
図5に示すように、回転軸25と長孔貫通孔29との相対位置は変わらない。
他方、短柱3側の支持機構11においては、
図6に示すように、回転軸25が長孔貫通孔29の傾斜方向上側の壁から離れて下方に移動する。このように、回転軸25が長孔貫通孔29を移動することで、梁部材7の傾斜角度が大きくなることに伴う支点間距離の増加に追従することができる。その結果、傾斜架構9に内部応力を発生させない。
【0039】
<長柱側が先行沈降した場合>
長柱5側の沈降が先行して発生した場合、
図7に示すように、梁部材7が短柱3側の支持機構11における回転軸25を支点として図中反時計回り方向(傾斜架構9の傾斜角度が小さくなる方向)に回動する。このとき、短柱3側の支持機構11においては、
図8に示すように、回転軸25と長孔貫通孔29との相対位置は変わらない。
他方、長柱5側の支持機構11においては、
図9に示すように、回転軸25が長孔貫通孔29の傾斜方向上側の壁から離れて下方に移動する。このように、回転軸25が長孔貫通孔29を移動することで、梁部材7の傾斜角度が小さくなることに伴う支点間距離の減少に追従することができる。その結果、傾斜架構9に内部応力を発生させない。
【0040】
<短柱側が沈降した後、長柱側が沈降した場合>
短柱3側が先行沈降した状態では、
図4の二点鎖線で示す状態になっている。この状態で、長柱5側が沈降した場合、長柱5側の支持機構11においては、回転軸25と長孔貫通孔29との相対位置は変わらない。他方、短柱3側の支持機構11においては、回転軸25が長孔貫通孔29の傾斜方向上側に向かって移動し、最終的には
図1に示す元の状態に戻る。
【0041】
<長柱側が沈降した後、短柱側が沈降した場合>
長柱5側が先行沈降した状態では、
図7の二点鎖線で示す状態になっている。この状態で、短柱3側が沈降した場合、短柱3側の支持機構11においては、回転軸25と長孔貫通孔29との相対位置は変わらない。他方、長柱5側の支持機構11においては、回転軸25が長孔貫通孔29の傾斜方向上側に向かって移動し、最終的には
図1に示す元の状態に戻る。
【0042】
以上のように、本実施の形態の太陽電池パネル用架台1は、太陽電池パネル15を安定的に保持できると共に、地盤の緩みにより長柱5及び/又は短柱3が沈降した場合であっても、傾斜架構9に内部応力が発生しないので、太陽電池パネル15の破損等を防止できる。
【0043】
なお、上記の実施の形態では、梁部材7を長柱5と短柱3の間に架設して、各柱と梁部材7との接合部に支持機構11を設けた例を示したが、梁部材7を長柱5同士の間及び短柱3同士の間に架設した場合であっても同様に各柱と梁部材7との接合部に同様の支持機構11を設けることで同様の効果を得ることができる。もっとも、この場合であっても長孔貫通孔29の向きは傾斜架構9の傾斜方向に延びる方向にしなければならないので、矩形板状体27の向きが梁部材7の材軸方向に直交する向きに取り付けなければならない点が上記の実施の形態とは異なる。
【0044】
上記の実施の形態においては、傾斜架構9の傾斜方向での地盤の不等沈降の場合に太陽電池パネル15に応力が作用するのを抑制する構造について説明した。これは、傾斜架構9の傾斜方向での不等沈降が内部応力を発生の要因になることが大きいからである。
しかし、傾斜架構9の傾斜方向に直交する方向(
図1の根太軸方向)での不等沈降が発生した場合も合わせて内部応力発生を抑制するために、
図1〜
図9に示したのと同様の支持機構11を傾斜架構9の傾斜方向に直交する側に設けることで対応することができる。
【0045】
なお、コストを低減するためには、例えば接合部材21を構成する矩形板状体27を板ばねで形成して、板ばねの撓みによって根太支点間距離の変化を吸収するようにしてもよい。
また、支持部材19を構成する板状体23の高さを高くして曲げ剛性を低くするという手段を採用してもよい。
【0046】
また、支持機構11における矩形板状体27に設ける長孔貫通孔29に関し、回転軸25となるピン又はボルト部材径よりも長孔貫通孔29の幅を大きく設定し、かつ、支持部材19を対向する2枚の板状体23によって構成すると共に、梁部材7に取り付けた矩形板状体27の板厚よりも間隔をあけて設置するようにすればよい。これにより、隣接する短柱3同士または長柱5同士に高さの差が生じても、その支点部の間隔を適切に設定することによって、設定した範囲で当該方向への傾斜余裕度が大きくなる。この場合、隙間部分には弾性ゴム状の絶縁体を配置してもよい。
【0047】
上記板状体23の間隔、すなわち、回転軸25の有効長さをより具体的に
図45を用いて説明する。図中矩形板状体27上の矢印は、回転方向を、図中回転軸25上の矢印は後述する支点間移動距離を示す。なお、図中には矩形板状体27が2枚示されているが、これは矩形板状体27が回転軸25上をスライドする前と後を示したものであり、矩形板状体27は一枚のみが配設されている。
板状体23の間隔、すなわち回転軸25の有効長さは、以下のように設定する。
予め設定する不等沈下量と短柱3同士および長柱4同士の間隔から想定される支点間移動距離L1と、回転軸25の上面と、長孔貫通孔29上面の縁を回転中心として、沈下による矩形板状体27の傾斜角における正接と前記回転軸から板状体23の上端までの距離L2を乗じた寸法d2と、回転軸25の下面と、長孔貫通孔29の下面の縁を回転中心として、沈下による矩形板状体27の傾斜角の正弦と矩形板状体27の長孔貫通孔29よりも下方の部分の長さL3を乗じた寸法d3と、矩形板状体27の板厚tを加えた以上の間隔とする。このとき、長孔貫通孔29の幅は、回転軸25の部材径よりも、矩形板状体27の板厚tと前記沈下傾斜角の正接を乗じた寸法d4以上拡大する。
また、回転軸25の長孔貫通孔29と当接する範囲には、回転軸25の軸方向の移動を容易にするために、ねじ山を設けないことが望ましい。
【0048】
また、根太軸方向の不等沈降が大きいと予測されるような場合には、
図10に示すような構造を採用してもよい。以下、
図10に基づいて説明する。
図10においては、実施の形態1を示した
図1〜
図9と同一部分には同一の符号を付してある。なお、
図10では短柱3を示しているが、長柱5についても同様である。
根太軸方向の不等沈降による内部応力発生をも合わせて防止する構造としては、
図10に示すように、短柱3を根太軸方向に傾動可能な構造にすると共に、支持機構11を構成する矩形板状体27を板ばねで形成することで、根太軸方向の支点間距離の変化を、短柱3の傾動と矩形板状体27の撓みによって吸収するようにしている。
短柱3を根太軸方向に傾動可能な構造にするために、
図10に示す例では、短柱3を、下柱3aに上柱3bを連結した連結柱構造とし、下柱3aを構成する鋼管内に上柱3bを構成する鋼管の一部を挿入してボルトを傾動軸として上柱3bを傾動可能に設置している。なお、下柱3aは荷重分散を行うために鉄筋コンクリート基礎30上に設置されている。
また、
図10に示す例では、上柱3bにボルト33を挿入可能な沈降補正用ボルト孔31を複数設けて、上柱3bの高さを調整できるようにしている。これは、許容沈下量の範囲においては、不等沈下の相対差だけ伸長させることで傾斜角や架台の撓みを補正し、許容沈下量を超えて不等沈降が大きくなって上柱3bの傾動や板ばねの撓みでは支点間距離の変化を吸収できない場合に、上柱3bの高さを変更することで、許容沈下量以下にするように対応可能にしたものである。
矩形板状体27がより撓みやすくするには、矩形板状体27のせいを高く設定すればよい。
また、矩形板状体27のせいを高く設定することに加えて長孔貫通孔29の幅(長孔貫通孔の軸方向に直交する方向の長さ)を大きく設定することで、短柱3と短柱3の方向、長柱5と長柱5の方向での傾斜が可能になるので、よりフレキシブルな構造となる。
【0049】
図10に示す構造において、例えば
図11に示すように図中右側の短柱3側が沈降した場合には、左側の短柱3が傾動すると共に、図中右側の支持機構11における矩形板状体27が撓むことで支点間距離の変化を吸収する。
【0050】
なお、根太軸方向の不等沈降を防止するための手段として
図10に示した例では、短柱3を傾動可能にすると共に矩形板状体27を板ばねで形成したが、沈降が小さいと予測されるような場合には、いずれか一方の手段を用いるようにしてもよい。
また、回転軸25となるピン又はボルト部材径よりも長孔貫通孔29の幅を大きく設定して、かつ、回転軸25の軸線上で摺動かつ回転させる方法を用いてもよい。
【0051】
上記の実施の形態1で示した支持機構11は、長柱5及び短柱3に設置する支持部材19側に回転軸25を設け、梁部材7側に設置する接合部材21側に長孔貫通孔29を設けた例を示したが、
図12〜
図14に示すように、長柱5又は短柱3に設置する支持部材19側に長孔貫通孔29を設け、梁部材7に設置する接合部材21側に回転軸25を設けるようにしてもよい。
この場合、設置初期状態では、
図12〜
図14に示すように、回転軸25が長孔貫通孔29の傾斜方向下側の壁に当接する配置にすればよい。長柱5が沈降する場合には、回転軸25が長孔貫通孔29を傾斜上方向に移動する。短柱3が沈降する場合にも、回転軸25が長孔貫通孔29を傾斜上方向に移動する。
【0052】
なお、以上の説明で例示した傾斜架構9における傾斜角や断面形状および断面寸法は、実際の荷重条件等によって適宜選択できるのは言うまでもなく、長孔貫通孔29の寸法も、許容沈降量の設定によって適宜変更可能である。
【0053】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2を
図15〜
図23に基づいて説明する。なお、
図15〜
図23において、実施の形態1を示した
図1〜
図14と同一部分には同一の符号を付してある。
本実施の形態に係る太陽電池パネル用架台41は、各支柱の上端部と梁部材7との接合部に設けられて梁部材7を支持する支持機構を、短柱3の上端部で梁部材7を支持する第1支持機構43と、長柱5の上端部で梁部材7を支持する第2支持機構45とによって構成したものである。
【0054】
第1支持機構43は、実施の形態1で示した支持機構11と基本点に同一の構造であって、
図16に示すように、短柱3の上端部に設置された支持部材19と、梁部材7に取り付けられた接合部材21によって構成される。そして、支持部材19は、上端が円弧に形成された板状体23と、該板状体23に設けられると共に傾斜架構9の傾斜方向に直交する方向(梁部材7に直交する方向)に延出する回転軸25を備えている。回転軸25は、ボルト、ピン、棒鋼などによって形成される。
また、接合部材21は、矩形状に形成された矩形板状体27によって構成され、梁部材7の下面側に突出するように梁部材7に設置されている。矩形板状体27は、傾斜架構9の傾斜方向(梁部材7の材軸方向)に延びる長孔貫通孔29を有している。
【0055】
長孔貫通孔29には回転軸25が挿入されて、ここを支点に梁部材7が回転しながら、当該回転軸25が長孔貫通孔29内を移動することによって、短柱3及び/又は長柱5の沈降による支点間距離の変化を吸収する。
したがって、長孔貫通孔29の長さは、短柱3及び長柱5の沈降によって支点間距離の変化量を吸収できる長さに設定されている。より具体的には、短柱3が沈降許容量となった場合と沈降以前の梁部材7の支点間距離の変化量と、長柱5が沈降許容量となった場合と沈降以前の梁部材7の支点間距離の変化量との合計に相当する長さに設定されている。
回転軸25は、初期設置時には、
図16に示すように、長孔貫通孔29の中間部に配置されている。中間部の位置をより正確に言うと、短柱3の沈降時の梁部材7の支点間距離の変化分の長さを回転軸25から梁部材端部方向に有し、長柱5の沈降時の梁部材7の支点間距離の変化分の長さを回転軸25から梁部材中央方向に有する位置である。
【0056】
第2支持機構45は、
図17に示すように、長柱5の上端側と梁部材7側とを回転可能に連結するものであり、長柱5の上端に設置された支持部材19と梁部材7側に設置された接合板46によって構成される。支持部材19は、実施の形態1の支持部材19と同一のものであり、上端が円弧に形成された板状体23と、板状体23に設けられると共に傾斜架構9の傾斜方向に直交する方向(梁部材7に直交する方向)に延出する回転軸25を備えている。
接合板46は、略矩形の板体からなり、その中央部に回転軸25が挿入可能な挿通孔を有している。
第2支持機構45はピン支持構造になっているので、第1支持機構43において回転軸25と長孔貫通孔29との間に隙間があっても、傾斜架構9がずれることはない。
【0057】
上記のように構成された本実施の形態の動作を説明する。
<設置初期状態>
設置初期状態、すなわち地盤の沈降がない状態では、前述したように、第2支持機構45がピン支持構造になっているので、第1支持機構43において回転軸25と長孔貫通孔29との間に隙間があっても、傾斜架構9がずれることはなく安定した状態が保持される。
【0058】
<短柱側が先行沈降した場合>
短柱3側の沈降が先行して発生した場合、
図18に示すように、梁部材7が長柱5側の第2支持機構45における回転軸25を支点として図中時計回り方向(傾斜架構9の傾斜角度が大きくなる方向)に回動する。このとき、長柱5側の第2支持機構45においては、
図19に示すように、回転軸25を中心とした回動が行われる
他方、短柱3側の第1支持機構43においては、
図20に示すように、回転軸25が長孔貫通孔29の傾斜方向中間位置から下方に移動する。このように、回転軸25が長孔貫通孔29を移動することで、梁部材7の傾斜角度が大きくなることに伴う支点間距離の増加に追従することができる。その結果、傾斜架構9に内部応力を発生させない。
【0059】
<長柱側が先行沈降した場合>
長柱5側の沈降が先行して発生した場合、
図21に示すように、梁部材7が短柱3側の第1支持機構43における回転軸25を支点として図中反時計回り方向(傾斜架構9の傾斜角度が小さくなる方向)に回動する。このとき、長柱5側の第2支持機構45においては、
図22に示すように、回転軸25を中心として回動する。
他方、短柱3側の第1支持機構43においては、
図23に示すように、回転軸25が長孔貫通孔29の傾斜方向中間位置から上方に移動する。換言すれば、梁部材7が傾斜方向下方に向って移動することで、相対的に回転軸25が長孔貫通孔29の上方に移動する。
このように、回転軸25が長孔貫通孔29を移動することで、梁部材7の傾斜角度が小さくなることに伴う支点間距離の減少に追従することができる。その結果、傾斜架構9に内部応力を発生させない。
【0060】
<短柱側が沈降した後、長柱側が沈降した場合>
短柱3側が先行沈降した状態では、
図18の二点鎖線で示す状態になっている。この状態で、長柱5側が沈降した場合、長柱5側の第2支持機構45においては、回転軸25を中心とした回動が行われ、他方、短柱3側の第1支持機構43においては、回転軸25が長孔貫通孔29の傾斜方向上側に向かって移動し、
図15に示す元の状態に戻る。
【0061】
<長柱側が沈降した後、短柱側が沈降した場合>
長柱5側が先行沈降した状態では、
図21の二点鎖線で示す状態になっている。この状態で、短柱3側が沈降した場合、短柱3側の第1支持機構43においては、回転軸25が長孔貫通孔29の傾斜方向下側に向って移動し、
図15に示す元の状態に戻る。他方、長柱5側の第2支持機構45においては、回転軸25と貫通孔の相対位置は変わらない。
【0062】
以上のように、本実施の形態の太陽電池パネル用架台41は、実施の形態1と同様に、太陽電池パネル15を安定的に保持できると共に、地盤の緩みにより長柱5及び/又は短柱3が沈降した場合であっても、傾斜架構9に内部応力が発生しないので、太陽電池パネル15の破損等を防止できる。
【0063】
なお、実施の形態2においても、実施の形態1で説明したのと同様に、梁部材7を長柱5同士の間及び短柱3同士の間に架設した場合であっても同様に各柱と梁部材7との接合部に同様の第1支持機構43、第2支持機構45を設けることで同様の効果を得ることができ、この場合には実施の形態1で説明したのと同様の変更を行えばよい。
また、傾斜架構9の傾斜方向に直交する方向(
図15の根太軸方向)での不等沈降が発生した場合も合わせて内部応力発生を抑制するための構造についても、実施の形態1で説明した構造を採用することができる。
【0064】
上記の実施の形態2においては、短柱3側の第1支持機構43を、長孔貫通孔29を用いたスライド機構とし、長柱5側の第2支持機構45をピン接合にした例を示したが、長柱5の曲げ応力を緩和するために、短柱3側の第1支持機構43をピン接合にして、長柱5側の第2支持機構45を長孔貫通孔29を用いたスライド機構にしてもよい。この場合、上記動作説明は、短柱3と長柱4を読み替えればよい。
もっとも、短柱3側の第1支持機構43を、長孔貫通孔29を用いたスライド機構にした方が、メンテナンスが容易であり、足場等も省略できる。さらに、特許文献2に記載されている傾斜角可変構造を簡易に実現できる。
【0065】
特許文献2に開示された方式は、本発明における短柱3側を上下移動固定の回転軸25とし、長柱5側を上方向に延伸して傾斜角を大きくする方法である。長柱5側を上方向に延伸させると梁部材7の長柱5側支点が短柱3側へ水平変位を生ずる。そのため、特許文献2では、支柱に複雑な延伸機構を設けている。
しかし、実施の形態2において示したように、短柱3側の第1支持機構43を、長孔貫通孔29を用いたスライド機構とし、長柱5側の第2支持機構45をピン接合にすることで、長柱5側をジャッキアップしたとしても支点の水平変位は生じないから、長柱5をフリーにして架台の長柱5間位置でジャッキアップを行うことで、簡易に傾斜架構9の傾斜角度を変更できる。
この場合、各梁部材7の長柱5側支点から端部にかけてジャッキアップポイントを設けるか、前記位置において、長柱5側支点間を補強梁で補強して、補強梁の中央部一点あるいは所定の複数ポイントで行う。
梁部材7を短柱3同士、長柱5同士に掛け渡した場合も、同様であるが、この場合、ジャッキアップに長柱5側梁部材7を使用すれば、前記補強梁を用いる必要はない。
【0066】
上記の実施の形態1,2においては、梁部材7と長孔貫通孔29を形成する矩形板状体27との接合方法については特に限定しておらず、種々の方法、例えば溶接接合によって接合することができる。
しかし、例えば太陽電池パネル用架台1、41の設置場所が海の近くのように腐食されやすい環境にある場合には、梁部材7等に腐食防止用のメッキ等の腐食防止手段を施すことになるため、溶接による接合であると腐食防止手段が剥がれる等するために好ましくない。
そこでこのような場合の矩形板状体27の接合構造について説明する。
【0067】
矩形板状体27の接合構造の一例を示す。
図24、
図25に示すように、矩形板状体27が接合される梁部材7を2本の断面矩形の矩形棒状部材47を用いて構成すると共に、矩形板状体27の上下部を、矩形棒状部材47の上下方向に突出させて矩形棒状部材47で挟持すると共に接着材(2液性のエポキシ系接着剤が好ましい)で接着する。そして、矩形板状体27の上下突出部のそれぞれに2箇所ずつの貫通孔49を設け、該貫通孔49に棒部材51を挿通して矩形棒状部材47の上下に棒部材51を当接させることで矩形板状部材が棒部材51でも保持されるようにしたものである。
【0068】
上記のように、梁部材7を2本の矩形棒状部材47で形成することで、梁部材単材の小断面化を図ることができ、また根太13との共通断面化すればコストダウンを図ることもできる。
また、矩形板状体27を2本の矩形棒状部材47で挟持する構造にすることで、部材重心の適正化をはかるとともに、梁部材7と矩形板状体27の接合の信頼性確保にもなる。すなわち、矩形棒状部材47のほぼ全幅に亘って、矩形棒状部材47と当接するように配置した棒部材51は、矩形板状体27の接合面内の接着部または部材縁部(矩形棒状部材47の上下フランジと板状体の接点近傍)の溶接部への応力緩和のための、補助的な機械的応力伝達手段となり、また組み立て時の上下のずれ止めにも寄与することができる。
【0069】
棒部材51は、端部にL型に屈曲させたフックを設けることで、組み立て管理を容易にすることができるメリットもある。
組み立て方法としては、一本目の矩形棒状部材47を横倒しに配置し、次いで矩形板状体27を配置し、さらに二本目の矩形棒状部材47を横倒しにして配置した後、上方から矩形板状体27の貫通孔49に棒部材51を差込み、フック部分を二本目の矩形棒状部材47の面に当接させて配置するようにする。
【0070】
上記のような矩形板状体27の接合構造によれば、梁部材の穴あけや溶接など部材加工が不要となるため、工数削減効果が得られる。
また、耐食性が高く廉価なプレめっき材を用いた場合にも、加工部がないため、加工部耐食性確保のための補修を考慮せずに使用可能となり、火気使用禁止の場所でも組み立てが可能になる。
なお、上記の例では、溶接を用いない例であるが、腐食を問題にしないのであれば、接着剤に代えて、溶接でもよく、あるいはその他の機械的締結手段でもよい。
【0071】
なお、
図26、
図27に示すように、棒部材51と矩形棒状部材47の当接部には、板材53を配置固定するのが好ましい。板材53を配置固定することで、矩形棒状部材47の部材板厚全体を増やすことなく、簡易に矩形棒状部材47の上下部における棒部材51の接触部の局部変形防止が可能となる。
板材53は、応力分布によって板厚を変えることにより、コストミニマム化が可能となる。板材53は、平板でも良いが、
図26、
図27に示すように、長辺部を上方に折り曲げる、山形に折り曲げるなどして、棒部材51が嵌まり込む形状とするとなおよい。
なお、板材53は、矩形棒状部材47によって梁部材7を組み立てる前に接着等の固定手段で所定の位置に固定しておくと、組み立て時の位置あわせが簡略化できる。
【0072】
棒部材51としては、丸棒のほか、ねじを使用することができる。ねじを使用した場合、その両端部に上下の棒部材51に亘るように添え板を配置し、梁部材7の両側面に添え板を当ててねじを締め込んで挟持し、一体化するようにするのが好ましい。この場合、添え板は鋼板のほか、より望ましくは剛性の高い形鋼部材を用いるとよい。さらに望ましくは、棒部材51と矩形板状体27をねじ加工、あるいは接着、または溶接により固着し、棒部材51と梁部材7とを固定させるとよい。これらは、梁部材7と矩形板状体27を接着によって接合する場合に、がたつきを抑えることによって、接合面内の健全性を保つのに有効である。
【0073】
[実施の形態3]
上記の実施の形態1、2においては、梁部材7を長柱5と短柱3の間に架設して、各柱と梁部材7との接合部に支持機構11を設けた例を示したが、梁部材7を長柱5同士の間及び短柱3同士の間に架設した場合であっても同様に各柱と梁部材7との接合部に同様の支持機構11を設けることで同様の効果を得ることができる。この点は、上記の実施の形態1,2においても言及したとことである。
ただ、このような配置であっても長孔貫通孔29の向きは傾斜架構9の傾斜方向に延びる方向にしなければならないので、矩形板状体27の向きが梁部材7の材軸方向に直交する向きに取り付けなければならない。
そこで、本実施の形態においては、矩形板状体27の向きが梁部材7の材軸方向に直交する向きに取り付ける場合の接合構造を、
図28〜
図32に基づいて説明する。
【0074】
なお、
図28〜
図31に示す例は、実施の形態2において説明した長柱5の上端側と梁部材7とを回転可能に連結する第2支持機構45に適用した例である。
本例では、第2支持機構45が設けられる梁部材7を2本の断面矩形の矩形棒状部材47を用いて構成すると共に、矩形板状体27を梁部材7に取り付けるための取付片部を矩形板状体27に一体的に形成してなる支持機構部材62を備えている。
【0075】
図28は、支持機構部材62の説明図であり、
図28(a)が正面図、
図28(b)が
図28(a)における矢視C−C図、
図28(c)が
図28(a)における矢視D−D図である。
支持機構部材62は、
図28に示すように、貫通孔28を形成した矩形板状体27と、梁部材7を構成する矩形棒状部材47に挟持される挟持部60と、梁部材7を構成する矩形棒状部材47の底面を支持する底面支持部61を備えている。
挟持部60は、矩形板体からなり、梁部材7のせい以下の長さに設定されている。挟持部60は、は矩形棒状部材47に挟持されるためその軸線は梁部材7の材軸方向となり、矩形板状体27とは面の向きが90°回転した向きになっている。
また、梁底面支持部61は、矩形板状体27と挟持部60との間にこれら矩形板状体27と挟持部60に直交するように配置された矩形板体から形成され、その幅寸法が梁部材7の幅以下に設定されている。
【0076】
次に上記のように構成された支持機構部材62の矩形棒状部材47からなる梁部材7への取付方法を
図29、
図30に基づいて説明する。なお、
図30は
図29の矢視E−E図に相当する。
支持機構部材62の挟持部60を2本の矩形棒状部材47で挟持すると共に接着材(2液性のエポキシ系接着剤が好ましい)で接着する。
そして、梁底面支持部61の下面側と梁部材7の上面側とで一対となるアングル形状の固定部材65を2組用いてこれら固定部材65を固定ボルト67及びナットによって連結することによって支持機構部材62を梁部材7に固定する。
固定部材65の両端に設けられた固定ボルト貫通孔66は、その内法間隔が梁部材7の幅以下に設定されており、固定ボルト67は梁部材7の側面に当接する構造になっている。
【0077】
上記のように、梁部材7を2本の矩形棒状部材47で形成することで、梁部材単材の小断面化を図ることができ、また根太13との共通断面化すればコストダウンを図ることもできる。
また、支持機構部材62を2本の矩形棒状部材47で挟持し、アングル形状の固定部材65の両端部に備える固定ボルト貫通孔66の内法間隔を、梁部材7の幅以下することによって、固定ボルト67は梁部材7の側面に当接する構造にでき、梁部材7と支持機構部材62の接合の信頼性が向上する。すなわち、固定部材65と固定ボルト67によって、矩形棒状部材47と支持機構部材62を一体として上下左右から拘束し、接着部への応力緩和のための、補助的な機械的応力伝達手段となり、組み立て時のずれ止めにもなる。
また固定部材65を固定ボルト67によって、施工時応力には十分耐えられる強度を確保できるので、接着剤硬化以前に移動することが可能であり、養生期間が不要となり、工期短縮にも寄与する。
【0078】
固定部材65は、接着を併用するのがより望ましく、断面は、アングル形状のほか、板状、コ字形状、パイプ形状など、任意の断面形状を選択できる。また、固定部材65は、固定ボルト67の替わりに、線材で拘束してもよいし、あるいは全体をバンド、線材で拘束するようにしてもよい。また、固定ボルト67の先端側に位置する貫通孔66に直接ねじを形成して、ナットを省略してもよい。
【0079】
上記のような支持構造部材62の接合構造によれば、梁部材の穴あけや溶接など部材加工が不要となるため、工数削減効果が得られる。
また、耐食性が高く廉価なプレめっき材を用いた場合にも、加工部がないため、加工部耐食性確保のための補修を考慮せずに使用可能となり、火気使用禁止の場所でも組み立てが可能になる。
なお、上記の例では、溶接を用いない例であるが、腐食を問題にしないのであれば、接着剤に代えて、溶接でもよく、あるいはその他の機械的締結手段でもよい。
【0080】
なお、
図31に支持構造部材62を用いた場合の支持部材19の板状体23との接合した状態を示す。
また、上記の説明は、実施の形態2にける第2支持機構45に適用した場合であるが、実施の形態2における第1支持機構43に適用した場合を
図32に示す。
【0081】
以上の各実施の形態においては、梁部材7と根太13の接合方法について特に規定を設けていないが、上記柱と梁のフレキシブルな支点構造では、前記梁部材7と根太13の接合部も一定の柔軟性を保持することが望ましい。
以下において柔軟性を保持した梁部材7と根太13の接合部の構造を
図33〜
図39に基づいて説明する。なお、
図33は接合部の正面図、
図34は
図33の矢視F−F図、
図35は
図33の矢視G−G図、
図36は
図33の矢視H−H図であり、
図37〜
図39は接合部に用いる部品の説明図である。なお、
図37〜
図39においては、図中に示した矢視A−A´、矢視B−B´に沿う断面図をそれぞれの図中に図示している。
【0082】
図33、
図34に示すように、梁部材7の上面の所定の位置に根太13の下面を当接して設置し、根太13の上方から、
図33〜39に示すように、該梁部材7を構成する2本の矩形棒状部材47の間隙部を通して、その内法幅を前記根太13に合わせた角Uボルト80を配置する。
梁部材7の下面には、
図38に例示する中心部に角Uボルト80を挿通する挿通孔81を有する矩形状の位置決め部材82が、
図34および
図35に示すように、梁部材7を構成する2本の矩形棒状部材47に掛け渡して貼り付けられている。
位置決め部材82の長さを梁部材7の長さとし、その両端部を立ち上げて該梁部材7の側面に当接させると、より位置決め効果が高まる。
角Uボルト80は、位置決め部材82の挿通孔81を貫通し、
図37に例示する、その厚さを位置決め部材82の厚さ以上とし、かつ、位置決め部材82と嵌合可能な大型座金83を介し、更に丸座金、ばね座金などを介してナット84を締め付けて固定する。
位置決め部材82と大型座金83の嵌合形態は、どちらか一方を平板形状としてもう一方を形鋼形状としても、両方を形鋼形状として嵌合させてもよい。これにより、ナット84の締め付け時において、大型座金83の供回りを防止できる。
【0083】
角Uボルト80と根太13上面の接触部は、該角Uボルト80の位置決めや、該根太13の板厚が薄い場合には局部座屈防止のために、板材53を貼り付けるのが望ましい。位置決めに供する場合には、板材53を山型、あるいは
図39に例示するコ形状などにして、
図34に示すように、角Uボルト80と略嵌合するようにする。
【0084】
前記位置決め部材82および板材53の貼り付けは、2液性エポキシ系接着剤を用いる。より望ましくは、ゴム系接着剤など耐水性と耐衝撃性を有するものがよく、最も望ましくは、ブチルゴム系両面粘着テープによる粘着により貼り付ける。これら望ましい貼り付け方法によれば、ナット84を締め付け固定する工程で、ゴム系接着剤またはブチルゴム系両面粘着テープが圧密されて位置決め部材82および板材53の外周部にはみ出し、該接合面内の隙間腐食を有効に防止することができる。
【実施例1】
【0085】
傾斜架構9の傾斜角を約20度、不等沈降による相対差300mmを許容沈降量とした場合における
図1に示した実施の形態1に係る太陽電池パネル用架台1の実施例を示す。
傾斜前方の支柱(短柱)に外形150mm、板厚3.2mm、長さ1200mmの角型鋼管を用い、傾斜後方の支柱(長柱)に外形150mm、板厚3.2mm、長さ3000mmの角型鋼管を用いた短柱2本、長柱2本の4脚構造とし、各柱は5メートルの間隔で地盤上に正方形に配置する。
支持機構11を構成する支持部材19は厚さ15mmの鋼板を、支柱上部に溶接によって固定されている。支持部材19には、回転軸25として径20mmのボルトを配置するための挿通孔を設ける。支柱上面から、挿通孔までの距離は、梁部材7側に取り付ける接合部材21と干渉しない高さにすればよい。ここでは、支持部材19は、幅100mm、挿通孔高さを100mm、上部を半円形にして最高高さを150mmとして製作した。
【0086】
各支柱下部にはベースプレート12を設け、各支柱ごとに独立した鉄筋コンクリート基礎30に緊結する。この部分は、根巻構造としても良い。鉄筋コンクリート基礎30は、望ましくは応力分散を行うため、底面積を広くする。
梁部材7には、長辺150mm、短辺75mm、板厚4.5mm、長さ6130mmの角型鋼管からなり、短柱3および長柱5のそれぞれの支持部材19と対向する位置で、当該梁部材7の材軸方向に平行にその表面を配した、長さ230mm、高さ200mm、厚さ22mmの鋼板製の接合部材21を取り付けた。
【0087】
その接合部材21には、沈降許容量である300mmの沈降が生じた場合の短柱3と長柱5で支持される梁部材7の材長変化に相当する長さ以上である、梁部材7と平行な長孔貫通孔29がそれぞれ形成している。ここで、長孔貫通孔29の寸法(長孔貫通孔29両端円中心距離)は、短柱3側で110mm、長柱5側で95mmあればよいが、部材製作の都合上、両方を110mmとして製作した。なお、接合部材21下端からの位置は60mmとした。
支持部材19と接合部材21は、
図2、
図3に示すように、短柱3と長柱5により傾斜支持される梁部材7に取り付けた矩形板状体27の長孔貫通孔29の傾斜最上部壁に回転軸25が当接するように設置する。これにより、接合部材21の取り付け位置は、梁部材7の端部からそれぞれ290mmの位置に接合部材21の端部が位置するようにして取り付けた。
【0088】
梁部材7に直交して、太陽電池パネル15の支持間隔を例えば1009mmで長辺125mm、短辺75mm、板厚3.2mmの角型鋼管からなる根太13を配置して傾斜架構9を構成成する。根太13端部は、梁部材7位置で揃えても、跳ね出してもよい。
根太13上部には太陽電池パネル取り付けピース17が所定の間隔で固定され、そこに太陽電池パネル15を固定し、大型の太陽電池アレイを構成する。
【0089】
上記のように形成された本実施例において、短柱3及び/又は長柱5の沈降が発生した場合には、上記の実施の形態で説明したように、支持機構11の動作によって傾斜架構9における内部応力の発生が抑制されることを確認した。また、支柱の沈降によって自動的に支点が移動し、ジャッキアップによって自動的に元の位置に復帰することも確認している。
【実施例2】
【0090】
長柱5同士、短柱3同士を梁部材7で連結するものについて、実施例1と同様の部材を用いて製作して動作確認を行った。
実施例1と同様に円滑な動作が行われた。
【実施例3】
【0091】
実施の形態2で示したように短柱3側に長孔貫通孔29を有する接合部材21と支持部材19からなる第1支持機構43を設け、長柱5側にピン結合からなる第2支持機構45を設けた太陽電池パネル用架台41を製作した。
【0092】
基本構成は実施例1と同じであるが、長孔貫通孔29については以下のように設定した。
長孔貫通孔29の両端部の円中心距離は、短柱3が沈降許容量300mmとなった場合と沈降以前との梁部材7の支点間距離変化である110mmと、長柱5が許容沈降量300mmとなった場合と沈降以前との梁部材7の支点間距離変化である95mmの合計である205mmが必要である。このような長孔貫通孔29を形成するため、矩形板状体27の幅は325mmとした。
なお、初期状態においては、短柱3沈降時の梁部材7の支点間距離変化分の長さである梁端側から110mmの位置に回転軸25がくるように矩形板状体27を取り付けた。
【0093】
上記の構造で試作したところ、実施例1と同様に円滑な動作が行われた。
【実施例4】
【0094】
長柱5同士、短柱3同士を梁部材7で連結するものについて、実施例3と同様の部材を用いて製作して動作確認を行った。
なお、長柱5同士、短柱3同士を梁部材7で連結する場合、長柱5と短柱3とは根太13で連結されることになるが、実施例4では、長柱5と短柱3を連結する根太13を実施例3の梁部材7と同一の長さに設定したので、長孔貫通孔29の長さや長孔貫通孔29と回転軸25との配置関係は実施例3と同一とした。
実施例3と同様に円滑な動作が行われた。
【実施例5】
【0095】
短柱3側にピン結合からなる第1支持機構43を設け、長柱5側に長孔貫通孔29を有する接合部材21と支持部材19からなる第2支持機構45を設けた太陽電池パネル用架台を試作した。
基本構成は、実施例4と同じであるが、短柱3、長柱5ともに、下柱3aと上柱3bとボルト33により、梁部材7の軸方向に傾動可能な構造にし(
図10、
図11参照)、梁部材7は実施の形態3による構造とした。
【0096】
短柱3と長柱5は基本構造が同じであるため、柱に関しては、短柱3を例に説明する。
図40は下柱3aの説明図、
図41は上柱3bの説明図である。
図40、
図41において
図10、
図11と同一部分には同一の符号が付してある。また、
図41においては、
図41(a)における矢視I−I図が
図41(b)に示されている。
【0097】
短柱3は、
図40に示す下柱3aに
図41に示す上柱3bを連結した連結柱構造になっており、下柱3aに上柱3bを挿入してボルト33を傾動軸として上柱3bを傾動可能に構成されている。
下柱3aは、外径125mm、板厚4.5mmの角型鋼管を用いており、高さ1.2メートルである。上部から50mmの位置で、正面および裏面側にボルト33を挿入する径22mmの貫通孔からなる沈降補正用ボルト31を設けている。下部には板厚12mmのベースプレート12を設けている。
上柱3bは、外径100mm、板厚3.2mmの角型鋼管を用いており、その上面には、支持部材19を備える。上柱3bには上面から100mm間隔でボルト33を挿入可能な沈降補正用ボルト孔31を正面側に設けて、上柱3bの高さを調整できるようにしている。沈降補正用ボルト孔31は、等間隔に設置してもよいが、上面から下方に向かって50mm、150mm、300mmの位置に配置すると、左右の各柱を表1に示すように上下方向に調整することによって、許容沈降差を300mmとした場合には、相対差を50mm以内に補正することが可能である。
【0098】
【表1】
【0099】
表1に示した調整方法の一例を説明する。例えば、右側が不等沈降したことによって左右の相対差が50mmの場合(表1の再上欄参照)には、右側を50mmの位置にある沈降補正用ボルト孔31にボルト33を挿通することで、左右の差を0にすることができる。
【0100】
また、正面方向へのがたつきを防止するために、前記沈降補正用ボルト孔31には、縦横50mm、板厚6mmのスペーサー4を併設している。
本例では、下柱3aと上柱3bの隙間を、必要な傾斜量から、左右10mm程度に想定して設定したが、設定する許容沈下量によって、この隙間を調整して各寸法を設定してよい。また、予め長方形断面の鋼管をその一方または両方に用いて、スペーサーを省略してもよい。
【0101】
上記下柱3aと上柱3bからなる短柱3および長柱5の高さは、夫々1.2メートル、2.4メートルで、短柱3同士、長柱5同士の柱間隔は5.3メートル、短柱3と長柱5の間隔は約6メートルである。
各柱頭の支持部材19は厚さ19mmの鋼板を、支柱上部に溶接によって固定している。支持部材19には、後述する回転軸25を配置するための径20mmの挿通孔を設け、梁端部側の面にはナットを溶接している。支柱上面から、挿通孔までの距離は、梁部材7側に取り付ける接合部材21と干渉しない高さにすればよい。ここでは、支持部材19は、幅100mm、挿通孔高さを100mm、上部を半円形にして最高高さを150mmとして製作した。
【0102】
短柱3側の第1支持機構43側の支持機構部材62は、挟持部60および梁底面支持部61を厚さ19mm、一辺150mmの正方形の鋼板とし、矩形板状体27は、厚さ19mm、高さ191mm、幅150mmで、柱頭と干渉しないように、面取りをした。そして、下から60mmの位置に径22mmの貫通孔28を設けた。
挟持部60と、梁底面支持部61とをT型に形成し、前記梁底面支持部61の下方向に前記挟持部60と直交して上記矩形板状体27を配して第1支持機構43側の支持機構部材62を構成する。
【0103】
長柱側の第2支持機構45は、前記第1支持機構43側の支持機構部材62と同様であるが、矩形板状体27には、貫通孔28に替えて、長孔貫通孔29を設けた点が異なる。
長孔貫通孔29は、幅を22mmとし、両端部の円中心距離は、短柱3が沈降許容量300mmとなった場合と沈降以前との梁部材7の支点間距離変化である65mmと、長柱5が許容沈降量300mmとなった場合と沈降以前との梁部材7の支点間距離変化である50mmの合計である115mmが必要である。このような長孔貫通孔29を形成するため、矩形板状体27の幅は235mmとした。また、初期状態において、回転軸25が梁部材7の中心になるように、長孔貫通孔29の中心を、梁部材7の中心から、短柱3側に向けて7.5mmずらして形成した。高さ方向の位置は、短柱3側と同じである。
【0104】
そして、各支持機構部材62の挟持部60を、許容沈降量の300mmとなった場合の梁部材7の傾斜にともなう矩形板状体27の傾斜時に、支持部材19と矩形板状体27の干渉を防止するために、相互に15mmの隙間が生じるように、矩形板状体27の中心間距離を5368mmとして対称となる位置で矩形棒状部材47で挟持すると共に2液性のエポキシ接着剤で接着した。
更に、辺長40mm、板厚5mm、長さ230mmで、両端から24mmの位置を中心とした(中心間距離182mm)、径14mmの固定ボルト貫通孔66を設けた固定部材65を、
図29、
図32に示すように、当該梁部材7の上面および前記梁底面支持部61の下面に、接着剤を塗布して配置し、前記固定ボルト貫通孔66に、首下長さ210mmで、先端30mmにねじ山を形成した径12mmの固定ボルト67を、梁部材7の側面に当接して配置し、座金を介してナットを締めて固定し、梁部材7に接合部材21を配置した。
【0105】
回転軸25は、有効スライド量を約10mmに想定し、首下95mmで先端30mmにねじ山を形成した径20mmのボルトを用い、矩形板状体の梁端部側の面から支持部材19にねじ込んで固定した。支持部材19と矩形板状体27間の隙間は15mmであり、その寸法に等しい緩衝材を入れることを原則とするが、上柱3bを傾動可能に支持しているので、支持部材19側に圧密可能な厚さ12mmのEPDMリング、矩形板状体27側にはM20用の標厚さ4mmの座金72を介した。
回転軸25のボルト頭と矩形板状体27の間隔は、12mmであり、この部分のボルトの軸にも緩衝材71と金属性の座金72を配しており、矩形板状体27側に座金72を配する。ここで用いる緩衝材は、比較的強度の大きい、M20用のばね座金を用い、所定の位置に安定させる効果を持たせている。
【0106】
以上の仕様によって構成した架台を
図42に示す。この架台について、動作確認を行った。このような薄鋼管による大スパン構造では、大きな不等沈下によって生じる支点間隔の伸縮に伴う応力によって、部材の一部塑性化や損傷が生じるが、本実施例の構造は、
図43の写真に示すように、対角で200mmの相対沈下(単独沈下では400mm相当)においても、支点部が
図44の写真のように柔軟に撓むことによって、沈降応力を緩和して変形を分散させ、部材に損傷がないことを確認した。