特許第5901946号(P5901946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5901946-排気弁 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901946
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】排気弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 24/04 20060101AFI20160331BHJP
   F16K 31/18 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   F16K24/04 M
   F16K31/18 C
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-251891(P2011-251891)
(22)【出願日】2011年11月17日
(65)【公開番号】特開2013-108529(P2013-108529A)
(43)【公開日】2013年6月6日
【審査請求日】2014年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲夫
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−061523(JP,A)
【文献】 特開2010−249231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 24/04
F16K 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングで内部に弁室が形成されており、弁室の下部に弁室の中心軸上から偏心させて入口が形成されており、弁室の中心軸上から入口とは反対側の弁室の上部側方に出口に通じる弁口が形成されており、弁口を外表面で直接開閉する球形のフロートが弁室内に自由状態で配置されており、降下位置にあるフロートの外周の側部を入口の一部の上方に位置せしめる傾斜面が弁室の底部に形成されているものにおいて、弁室底部に形成した傾斜面に弁室上部側方の弁口方向に向けて開口する第2入口が設けられており、第2入口が弁室の水位が低いときに降下しているフロートの外表面で直接閉じられ弁室の水位が上昇したときに浮上するフロートにより開けられることを特徴とする排気弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷水や温水等の水配管に取り付けて、水配管内の空気を排出する排気弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排気弁は、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシングで内部に弁室を形成し、弁室の下部に弁室の中心軸上から偏心させて入口を形成し、弁室の中心軸上から入口とは反対側の弁室の上部側方に出口に通じる弁口を形成し、弁口を外表面で直接開閉する球形のフロートを弁室内に自由状態で配置し、降下位置にあるフロートの外周の側部を入口の一部の上方に位置せしめる傾斜面を弁室の底部に形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開特開2005−61523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の排気弁は、水が入口から弁室内に流入してきたときに、出口から漏水してしまう問題点があった。これは、空気の排出完了後、水の殆どが入口から弁室内を上方に直進し、弁室の天井壁に衝突して跳ね返りフロートを下方に押し下げるために、フロートの浮上が遅れるためである。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、水が入口から弁室内に流入してきたときに、漏水を生じない排気弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の排気弁は、ケーシングで内部に弁室を形成し、弁室の下部に弁室の中心軸上から偏心させて入口を形成し、弁室の中心軸上から入口とは反対側の弁室の上部側方に出口に通じる弁口を形成し、弁口を外表面で直接開閉する球形のフロートを弁室内に自由状態で配置し、降下位置にあるフロートの外周の側部を入口の一部の上方に位置せしめる傾斜面を弁室の底部に形成したものにおいて、弁室底部に形成した傾斜面に弁室上部側方の弁口方向に向けて開口する第2入口を設け、第2入口が弁室の水位が低いときに降下しているフロートにより閉じられ弁室の水位が上昇したときに浮上するフロートにより開けられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、弁室底部に形成した傾斜面に弁室上部側方の弁口方向に向けて開口する第2入口を設け、第2入口が弁室の水位が低いときに降下しているフロートにより閉じられ弁室の水位が上昇したときに浮上するフロートにより開けられるものであるので、水が入口から弁室内に流入してきたときに、フロートを迅速に浮上させることができ、漏水を生じることがないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係わる排気弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。本体1に蓋2をボルトで締結してケーシングを形成し、内部に弁室4を形成する。弁室4の下部に入口5及び第2入口12を上部に出口6を形成する。蓋2に弁座7をねじ結合する。弁座7は弁室4の上部側方に位置している。弁座7に出口通路3を介して弁室4と出口6を連通する弁口8を開ける。入口5及び第2入口12と出口6は弁室4の中心軸上から左側に偏心し、弁口8は弁室4の中心軸上から右側に偏心している。
【0010】
弁室4内に中空球形のフロート9を自由状態で配置する。フロート9はその外表面で弁口8を直接開閉する。浮上して弁口8を閉じたフロート9を保持する二条のフロート座10を弁座7に溶接して取り付ける。降下位置にあるフロート9が空気流で押し上げられないようにフロート9外周の側部を入口5の一部の上方に位置せしめる傾斜面11を弁室4の底壁に形成する。第2入口12は傾斜面11に設け、弁室4の上部側方の弁口8方向に向けて開口する。第2入口12が弁室4の水位が低いときに降下しているフロート9により閉じられ弁室4の水位が上昇したときに浮上するフロート9により開けられる。
【0011】
上記実施例の作動を説明する。入口5から弁室4内に空気が流入する場合、フロート9は図1に示すように、弁座7から離座して降下し弁口8を開くと共に傾斜面11によりその外周の側部が入口5の一部の上方に位置し第2入口12を閉じた状態である。入口5から流入し弁室4を上昇する空気は水よりも比重量が小さいので、フロート9を吹き上げることがなく、弁口8から出口通路3を介して出口に排出される。
【0012】
空気の排出を完了すると入口5から弁室4内に水が流入してくる。入口5から流入する水によりフロート9が浮上して第2入口12を開くと共に弁座7に着座して弁口8を閉じる。水が入口から弁室4内に流入してきたときに、浮上するフロート9により第2入口12が開けられるものであるので、フロート9を迅速に浮上させることができ、漏水を生じることがない。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、冷水や温水等の水配管に取り付けて、水配管内の空気を排出する排気弁に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 蓋
3 出口通路
4 弁室
5 入口
6 出口
7 弁座
8 弁口
9 フロート
10 フロート座
11 傾斜面
12 第2入口
図1