(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
LEDチップ列のチップ間ノードで得られる第1電圧またはその分圧電圧と、前記LEDチップ列の両端間電圧を分圧して得られる第2電圧とを監視してLEDショート検出信号を生成するLEDショート検出回路であって、
前記第1電圧またはその分圧電圧と前記第2電圧との差分に応じた第3電圧を生成する差動回路と、
前記第3電圧が所定の電圧範囲に収まっているか否かに応じて前記LEDショート検出信号の論理レベルを変遷させる比較回路と、
を有し、
前記差動回路は、
第1端が前記第1電圧またはその分圧電圧の印加端に接続された第1抵抗と;
第1端が前記第1抵抗の第2端に接続されて、第2端がオフセット電圧の印加端に接続された第2抵抗と;
第1端が前記第2電圧の印加端に接続された第3抵抗と;
第1端が前記第3抵抗の第2端に接続された第4抵抗と;
第1入力端が前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続ノードに接続され、第2入力端が前記第3抵抗と前記第4抵抗との接続ノードに接続され、出力端が前記第4抵抗の第2端に接続される一方、前記第3電圧の出力端にも接続されたオペアンプと;
を含み、
前記比較回路は、
前記第3電圧と前記オフセット電圧よりも低い第1閾値電圧とを比較して第1比較信号を生成する第1コンパレータと、
前記第3電圧と前記オフセット電圧よりも高い第2閾値電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2コンパレータと、
前記第3電圧が前記第1閾値電圧を下限として前記第2閾値電圧を上限とする電圧範囲に収まっているか否かに応じて前記LEDショート検出信号の論理レベルが変遷するように、前記第1比較信号と前記第2比較信号を論理合成して前記LEDショート検出信号を生成する論理ゲートと、
を含み、
前記第1電圧は、前記LEDチップ列に含まれるn個のLEDチップを(n−1):1に分割するチップ間ノードで得られる電圧であり、
前記第2電圧は、前記LEDチップ列の両端間電圧を(n−1):1に分圧して得られる電圧であることを特徴とするLEDショート検出回路。
前記LED照明装置は、車両のヘッドライト、白昼夜走行用光源、テールランプ、ストップランプ、及び、ターンランプの少なくとも一つとして用いられることを特徴とする請求項8に記載の車両。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<ブロック図>
図1は、本発明に係るLEDドライバICの第1構成例(昇降圧アプリケーション構成例)を示した回路ブロック図である。本構成例のLEDドライバIC100は、内部定電圧生成部101と、UVLO[Under Voltage Lock Out]部102と、TSD[Thermal Shut Down]部103と、OVP[Over Voltage Protection]部104と、制御ロジック部105と、OCP[Over Current Protection]部106と、コンパレータ107と、シュミットトリガ108と、発振部109と、スロープ生成部110と、PWM[Pulse Width Modulation]コンパレータ111と、ドライバ制御部112と、上側ドライバ113と、Nチャネル型MOS[Metal Oxide Semiconductor]電界効果トランジスタ114と、下側ドライバ115と、エラーアンプ116と、ソフトスタート部117と、LEDショート検出部118と、CRタイマ部119と、各種異常検出部120と、コンパレータ121及び122と、を集積化した半導体装置である。
【0027】
このように、従来、基板上に独立実装されていたスイッチング電源IC、マイコン/カウンタLSI、及び、ディスクリート保護回路を1チップのLEDドライバIC100に集約したことにより、基板面積の削減や製品の不良率低下を実現することが可能となる。また、基板面積の削減により、光源デザインの多様化にも柔軟に対応することができる。
【0028】
また、LEDドライバIC100は、IC外部との電気的な接続を確立するために、28本の外部端子(COMP、SS、VCC、EN、RT、SYNC、GND、THM、FB、DISC、VTH、DRLIN、FAIL1、FAIL2、OVP、LEDC、LEDR、NC、PGND、PWMOUT、CT、OUTL、DGND、SW、OUTH、CS、BOOT、及び、VREG)を有する。
【0029】
内部定電圧生成部101は、VCC端子に印加される入力電圧Vinから内部定電圧VREG(例えば5V)を生成する。
【0030】
UVLO部102は、内部定電圧VREGが4.3V以下となったときに、内部定電圧生成部101以外の回路をシャットダウンする。
【0031】
TSD部103は、LEDドライバIC100のジャンクション温度が175℃以上となったときに、内部定電圧生成部101以外の回路をシャットダウンする。なお、TSD部103は、LEDドライバIC100のジャンクション温度が150℃以下となったときに、回路動作を復帰させる。
【0032】
OVP部104は、DC/DCの出力電圧VoutをOVP端子電圧により検出し、OVP端子電圧が2.0V以上となったときに過電圧保護をかける。過電圧保護がかかるとSS端子容量C7がディスチャージされて、DC/DCスイッチングがオフされる。
【0033】
制御ロジック部105は、各種保護回路部の検出状態を監視してFAIL1端子から異常検出信号を出力する機能やPWM信号のタイマラッチ機能などを備えている。
【0034】
OCP部106は、パワーFET(トランジスタN1)に流れる電流をハイサイド側検出抵抗R8によって電圧信号として検出し、CS端子電圧がVCC−0.6V以下となったときに過電流保護をかける。過電流保護がかかると、SS端子容量C7がディスチャージされて、DC/DCスイッチングがオフされる。
【0035】
コンパレータ107は、反転入力端(−)に入力されるCS端子電圧と、非反転入力端(+)に入力される所定の基準電圧(VCC−V1)とを比較し、その比較結果をOCP部106に出力する。
【0036】
シュミットトリガ108は、SYNC端子への入力信号を発振部109に伝達する。
【0037】
発振部109は、SYNC端子への入力信号、または、RT端子の端子電圧に応じて、所定のクロック信号を生成し、これをスロープ生成部110に出力する。
【0038】
スロープ生成部110は、発振部109から入力されるクロック信号に基づいて、スロープ信号(三角波信号)を生成し、これをPWMコンパレータ111に出力する。また、スロープ生成部110は、CS端子電圧(トランジスタN1に流れるスイッチング電流に相当)に応じて、スロープ信号にオフセットを与える機能も備えている。
【0039】
PWMコンパレータ111は、非反転入力端(+)に入力される誤差信号と、反転入力端(−)に入力されるスロープ信号とを比較して内部PWM信号を生成し、これをドライバ制御部112に出力する。
【0040】
ドライバ制御部112は、内部PWM信号に基づいて上側ドライバ113、トランジスタ114、及び、下側ドライバ115の駆動信号を生成する。
【0041】
上側ドライバ113は、ドライバ制御部112から入力される駆動信号に基づいて、OUTH端子電圧(トランジスタN1のゲート電圧)をBOOT端子電圧とSW端子電圧との間でパルス駆動する。
【0042】
トランジスタ114は、ドライバ制御部112から入力される駆動信号に基づいてオン/オフされる。
【0043】
下側ドライバ115は、ドライバ制御部112から入力される駆動信号に基づいて、OUTL端子電圧(トランジスタN2のゲート電圧)をVREG端子電圧と接地電圧との間でパルス駆動する。
【0044】
エラーアンプ116は、THM端子電圧と基準電圧のいずれか低い方と、FB端子電圧との差分を増幅して誤差信号を生成し、これをPWMコンパレータ111に出力する。
【0045】
ソフトスタート部117は、SS端子電圧に応じて誤差信号の電圧レベルを緩やかに高めていくように、エラーアンプ116を制御する。
【0046】
LEDショート検出部118は、LEDR端子電圧とLEDC端子電圧を監視して、発光ダイオードLED1〜LEDnのいずれかにショートが生じているか否かを検出する。
【0047】
CRタイマ部119は、DISC端子とVTH端子を用いて発光ダイオード列LEDのPWM調光制御を行う。
【0048】
各種異常検出部120は、自身に内蔵されるLEDオープン検出回路(OPEN)やLEDアノード/カソード地絡検出回路(SCP)の検出状態だけでなく、LEDショート検出部118の検出状態を監視して、各種保護動作を行うとともに、FAIL2端子から異常検出信号を出力する機能を備えている。
【0049】
コンパレータ121は、非反転入力端(+)に入力されるFB端子電圧と、反転入力端(−)に入力される所定の基準電圧(V2)とを比較し、その比較結果を各種異常検出部120に出力する。
【0050】
コンパレータ122は、非反転入力端(+)に入力されるFB端子電圧と、反転入力端(−)に入力される所定の基準電圧(V3)とを比較し、その比較結果を各種異常検出部120に出力する。
【0051】
<昇降圧アプリケーション構成>
また、
図1の昇降圧アプリケーション構成では、LEDドライバIC100の外部に、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN1〜N3と、抵抗R1〜R15と、キャパシタC1〜C9と、ツェナダイオードD1及びD2と、インダクタL1と、発光ダイオードLED1〜LEDn(以下では、直列に接続される発光ダイオードLED1〜LEDnをまとめて、適宜、発光ダイオード列LEDと呼ぶことがある)が接続されている。
【0052】
トランジスタN1のドレインは、抵抗R8を介して入力電圧Vinの印加端に接続される一方、抵抗R9を介してCS端子にも接続されている。トランジスタN1のソース及びバックゲートは、SW端子に接続されている。トランジスタN1のゲートは、OUTH端子に接続されている。ツェナダイオードD1のカソードは、SW端子に接続されている。ツェナダイオードD1のアノードは、接地端に接続されている。インダクタL1の第1端は、SW端子に接続されている。インダクタL1の第2端は、ツェナダイオードD2のアノードとトランジスタN2のドレインに接続されている。トランジスタN2のソース及びバックゲートは、接地端に接続されている。トランジスタN2のゲートは、OUTL端子に接続されている。ツェナダイオードD2のカソードは、発光ダイオードLED1のアノードに接続される一方、直列に接続される抵抗R6及びR7を介して接地端にも接続されている。抵抗R6と抵抗R7の接続ノードは、OVP端子に接続されている。発光ダイオードLEDnのカソードは、トランジスタN3のドレインに接続されている。トランジスタN3のソース及びバックゲートは、FB端子に接続される一方、抵抗R5を介して接地端にも接続されている。トランジスタN3のゲートは、PWMOUT端子に接続されている。抵抗R1の第1端は、発光ダイオードLEDnのアノードに接続されている。抵抗R1の第2端は、抵抗R2の第1端に接続される一方、LEDC端子にも接続されている。抵抗R2の第2端は、発光ダイオードLEDnのカソードに接続されている。抵抗R3の第1端は、発光ダイオードLED1のアノードに接続されている。抵抗R3の第2端は、抵抗R4の第1端に接続される一方、LEDR端子にも接続されている。抵抗R4の第2端は、発光ダイオードLEDnのカソードに接続されている。
【0053】
キャパシタC1は、入力電圧Vinの印加端と接地端との間に接続されている。キャパシタC2は、VREG端子と接地端との間に接続されている。キャパシタC3は、発光ダイオードLED1のアノードと接地端との間に接続されている。キャパシタC4は、入力電圧Vinの印加端とCS端子との間に接続されている。キャパシタC5は、BOOT端子とSW端子との間に接続されている。GND端子は、接地端に接続されている。VCC端子は、入力電圧Vinの印加端に接続されている。RT端子は、抵抗R10を介して接地端に接続されている。COMP端子は、直列に接続される抵抗R11とキャパシタC6を介して接地端に接続されている。SS端子は、キャパシタC7を介して接地端に接続されている。内部基準電圧VREGの印加端と接地端との間には、抵抗R12及びR13が直列に接続されている。抵抗R12と抵抗R13との接続ノードは、THM端子に接続されている。なお、抵抗R13は、負の温度特性を有するサーミスタである。内部基準電圧VREGの印加端と接地端との間には、抵抗R14及びR15とキャパシタC8が直列に接続されている。抵抗R14と抵抗R15との接続ノードは、DISC端子に接続されている。抵抗R15とキャパシタC8との接続ノードは、VTH端子に接続されている。PGND端子は、接地端に接続されている。CT端子は、キャパシタC9を介して接地端に接続されている。
【0054】
<端子説明>
図2は、LEDドライバIC100のピン配置図であり、
図3は、LEDドライバIC100の端子一覧表である。COMP端子(1ピン)は、エラーアンプ出力端子である。SS端子(2ピン)は、ソフトスタート端子である。VCC端子(3ピン)は、入力電源端子である。EN端子(4ピン)は、イネーブル端子である。RT端子(5ピン)は、発振周波数設定用抵抗接続端子である。SYNC端子(6ピン)は、外部同期信号入力端子である。GND端子(7ピン)は、小信号部GND端子である。THM端子(8ピン)はサーミスタ接続端子である。FB端子(9ピン)は、エラーアンプFB信号入力端子である。DISC端子(10ピン)は、CRタイマディスチャージ用端子である。VTH端子(11ピン)は、CRタイマスレッショルド端子である。DRLIN端子(12ピン)はDRL[Daytime Running Lamps]切替端子(パルス出力設定端子)である。FAIL1端子(13ピン)は、異常時出力端子である。FAIL2端子(14ピン)は、LEDオープン/ショート異常出力端子である。OVP端子(15ピン)は、過電圧検出端子である。LEDC端子(16ピン)は、LEDショート検出端子(LED検出側)である。LEDR端子(17ピン)は、LEDショート検出端子(抵抗検出側)である。N.C.端子(18ピン)は、ノンコネクト端子(不使用端子)である。PGND端子(19ピン)は、PWM調光ドライバソース端子である。PWMOUT端子(20ピン)は、PWM調光信号出力端子である。CT端子(21ピン)は、地絡保護タイマ時間設定端子である。OUTL端子(22ピン)は、ローサイド外付けFETゲートドライブ端子である。DGND端子(23ピン)は、ローサイドFETドライバソース端子である。SW端子(24ピン)は、ハイサイドFETソース端子である。OUTH端子(25ピン)は、ハイサイド外付けFETゲートドライブ端子である。CS端子(26ピン)は、DC/DC出力電流検出用端子である。BOOT端子(27ピン)は、ハイサイドFETドライバ電源端子である。VREG端子(28ピン)は、内部定電圧出力端子である。
【0055】
<概要>
LEDドライバIC100は、50V高耐圧の車載ランプ用白色LEDドライバ(スイッチングレギュレータタイプ)である。LEDドライバIC100は、昇降圧カレントモードに対応したDC/DCコントローラを内蔵しており、電源電圧に不安定な変動が生じる場合(バッテリへの直接接続時など)であっても、LED段数の制限なく安定した動作を実現することが可能である。LEDドライバIC100は、LEDの調光方式として、PWM方式とリニア方式のいずれかを選択することが可能である。LEDドライバIC100は、PWM調光信号生成回路を内蔵しており、マイコンレスでの制御が可能である。
【0056】
<特長>
LEDドライバIC100の第1の特長は、入力電圧範囲5.0V〜30Vを実現した点である。第2の特長は、昇降圧カレントモード対応のDC/DCコントローラを内蔵した点である。第3の特長は、PWM調光用CRタイマを内蔵した点である。第4の特長はPWMリニア調光に対応した点である。第5の特長は、各種の保護機能内蔵(UVLO、OVP、TSD、OCP、SCP[Short Circuit Protection])を内蔵した点である。第6の特長は、LED異常状態検出機能を内蔵(LEDオープン/LEDショート検出機能)を内蔵した点である。第7の特長は、HTSSOP[Heat-sink Thin-Shrink Small Outline Package]−B28パッケージを採用した点である。
【0057】
<用途>
LEDドライバIC100は、例えば、
図22A及び
図22Bで示すように、車両X10のヘッドライト(ハイビーム/ロービーム/スモールランプ/フォグランプなどを適宜含む)X11、白昼夜走行(DRL)用光源X12、テールランプ(スモールランプやバックランプなどを適宜含む)X13、ストップランプX14、及び、ターンランプX15などの駆動手段として好適に用いることができる。なお、LEDドライバIC100は、駆動対象となるLEDと共にLEDランプモジュール(
図23AのLEDヘッドライトモジュールY10、
図23BのLEDターンランプモジュールY20、及び、
図23CのLEDリアランプモジュールY30など)として提供されるものであってもよいし、LEDとは独立にIC単体として提供されるものであってもよい。
【0058】
<5V定電圧(VREG)>
LEDドライバIC100は、VCC端子に印加される入力電圧Vinから5Vの内部定電圧VREGを生成する内部定電圧生成部101を有する(EN=Hi時)。この内部定電圧VREGは、LEDドライバIC100に含まれる内部回路の電源として使用されるとともに、LEDドライバIC100の外部で端子をハイレベル電圧に固定するときにも使用される。内部定電圧VREGは、UVLO部102によって監視されている。内部定電圧VREGが4.5V以上になると内部回路が動作し始め、4.3V以下になると内部回路が動作を停止する。VREG端子には、回路動作を安定化させるために、位相補償用容量C2(例えば10μF)を接続することが望ましい。
【0059】
<出力電流の設定方法について>
発光ダイオード列LEDに流れる出力電流ILEDは、下記の(1)式で表される。なお、下記の(1)式において、min[THM/5V,0.2V]としては、THM端子電圧とVFB=0.2Vのうち、小さい方が選択される。
ILED=min[THM/5V,0.2V]/RISET[A] … (1)
【0060】
THM端子を用いて出力電流ILEDを制御する場合、LED地絡検出機能の誤動作を回避するために、入力範囲は0.25V〜5Vの範囲で入力することが望ましい。なお、THM=1.0Vからはリニア制御となる。THM端子を使用しない場合には、THM端子をVREG端子と接続することが望ましい。
【0061】
<PWM調光制御>
PWM調光制御については、外部からのPWM信号による調光制御と、CRタイマ部119による調光制御のいずれかを行うことが可能である。
図4は、VTH、OUTL、及び、ILEDの挙動を示したタイムチャートである。PWM調光制御の駆動周波数FPWM、及び、オン時間TON_PWMは、それぞれ、下記の(2)、(3)式で算出することができる。なお、(2)、(3)式中のパラメータRCR1、RCR2、及び、CCRは、それぞれ、
図1で示した抵抗R14及びR15の抵抗値、並びに、キャパシタC8の容量値を示している。各値の一例としては、RCR1=20kΩ、RCR2=10kΩ、CCR=100000pFに設定するとよい。
FPWM=1.44/{(RCR1+2RCR2)×CCR} … (2)
TON_PWM={RCR2/(RCR1+2RCR2)}×100 … (3)
【0062】
<EN投入からPWM投入までの時間及びPWM低デューティからの起動について>
図5は、EN投入後のPWM起動シーケンスを説明するためのタイムチャートである。外部からのPWM信号による調光制御を行う場合には、イネーブル信号ENの投入と同時に動作を開始する地絡保護検出機能(SCP)の誤動作を回避するために、イネーブル信号ENの投入からPWM信号の投入までの時間を、地絡保護検出タイマ時間よりも短く設定することが望ましい。
【0063】
地絡保護検出機能(SCP)は、EN=Low→Hiで起動し、CT端子に接続される外付けキャパシタC9によって設定されたSCPタイマ時間経過後にラッチオフする(
図5中の丸付き数字1、2を参照)。また、ENの投入に同期して、SS端子に接続されたキャパシタC6の充電が開始される。PWMラッチタイマ時間内にPWM信号の投入がない場合には、PWM信号がラッチオフされる(
図5中の丸付き数字3、4を参照)。PWMラッチオフ検出時は、SS端子に接続されたキャパシタC6が放電されると共に、SCPタイマのカウンタがリセットされる。なお、PWMラッチタイマ時間は、DC/DCの発振周波数×32770カウントで算出される。そのため、外部からのPWM信号による調光制御を行う場合には、EN投入後、PWM投入までの時間、PWMラッチタイマ時間とSCPタイマ時間との間に、下記のような関係がある。
(2)<(4)<(3)→SCP検出し、LED不灯
(4)<(2)<(3)→LED点灯
(4)<(3)<(2)→LED点灯
((3)投入後は(4)は動作しないため、(3)<(4)はシーケンスから除外)
【0064】
<PWM制御切替機能>
LEDドライバIC100は、DRLIN端子を用いて昼モード(LEDにDC電流を供給する動作モード)と夜モード(LEDにパルス状の電流を供給する動作モード)を切り替えることが可能である。なお、昼モードでは、LEDにDC電流が供給されるので、LEDドライバIC100をロービーム駆動用に展開することも可能である。また、夜モードでは、LEDにパルス状の電流が供給されるので、LEDドライバIC100をターンランプ駆動用に展開することも可能である。このように、LEDドライバIC100であれば、1つのICで様々なライトユニットに対応することが可能である。
【0065】
<THM端子を用いたLED電流のディレーティングについて>
LEDドライバIC100は、THM端子を用いた機能の1つとして、温度に対するLED電流のディレーティング曲線を設定する能力を備えている。LEDは高温時における劣化が速いため、LEDのデータシートには最大許容LED電流と温度の曲線が与えられている。そこで、LEDドライバIC100は、サーミスタ抵抗R13を用いてTHM端子に負の温度特性を持つ電圧を入力することにより、周囲の温度に応じてLED電流を制御することが可能である。また、LEDドライバIC100は、
図19に示すように、サーミスタ抵抗R13に代えて、2つの外付けトランジスタQ1及びQ2を用いることにより、2入力セレクタ構成(INP1、INP2)とすることも可能である。
【0066】
<過電圧保護回路OVPについて>
OVP端子には、抵抗R6と抵抗R7との接続ノードから引き出される出力電圧Voutの分圧電圧が入力される。OVP設定電圧は、発光ダイオード列LEDの直列数nと順方向降下電圧VFのばらつきにより決定すればよい。OVP設定電圧を決定する際、オープン検出トリガであるOVP×0.85も考慮して決定することが望ましい。OVPが一旦動作すると、出力電圧VoutがOVP設定電圧の72.5%に落ちたときに、OVPが解除される。抵抗R6の抵抗値をROVP1とし、抵抗R7の抵抗値をROVP2とすると、下記の(4)式が成立する。従って、例えば、ROVP1=330kΩ、ROVP2=22kΩに設定すると、Voutが32V以上となったときにOVPが掛かる。
Vout≧{(ROVP1+ROVP2)/ROVP2}×2.0V … (4)
【0067】
<昇降圧DC/DCコンバータの発振周波数FOSCについて>
RT端子に接続される抵抗R10の抵抗値を調整することにより、内部コンデンサに対する充放電電流を決定し、三角波の発振周波数(延いては、昇降圧DC/DCコンバータの発振周波数FOSC)を設定することが可能である。下記の理論式(5)を参考に、抵抗R10の抵抗値(RT)を設定することが望ましい。(5)式中の60×10
6[V/A/S]は回路内部で決まる定数であり、αは補正係数となっている(RT:α=50kΩ:0.98、60kΩ:0.985、70kΩ:0.99、80kΩ:0.994、90kΩ:0.996、100kΩ:1.0、150kΩ:1.01、200kΩ:1.02、300kΩ:1.03、400kΩ:1.04、500kΩ:1.045)。また、
図6の周波数範囲から外れた設定では、スイッチングが停止するおそれがあるため、抵抗値RTは、62.6kΩ〜523kΩの範囲で設定することが望ましい。
FOSC=(60×10
6/RT[Ω])×α[kHz] … (5)
【0068】
<外部同期発振周波数FSYNCについて>
LEDドライバIC100は、昇降圧DC/Dコンバータを外部同期させるためのクロック入力を受け付けるSYNC端子を備えている。ただし、SYNC端子にクロック入力を行っているときに、途中で内部発振に切り替えるなどの動作を行うべきではない。SYNC端子をハイレベルからローレベル固定に切り替えた後、発振部109が動作し始めるまで約30μsec程度の遅延時間がある。SYNC端子に入力されたクロックは立ち上がりエッジのみ有効となっている。SYNC端子にクロック入力を行っているときには、SYNC端子を用いて設定される外部発振周波数が優先される。そのため、RT端子を用いて設定される内部発振周波数が低く、SYNC端子を用いて設定される外部発振周波数が高い場合には、減電電圧時などに誤発振を生じるおそれがあるので、外部発振周波数を使用する場合には、RT端子に接続される抵抗R10の抵抗値を100kΩに設定することが望ましい。
【0069】
<ソフトスタートSSについて>
LEDドライバIC100では、起動時の電流に制限をかけながら緩やかに出力電圧Voutが立ち上がるため、出力電圧Voutのオーバーシュートや突入電流を防ぐことができる。また、OCP検出時やOVP検出時には、SS端子電圧がローレベルにリセットされるので、スイッチングが停止され、再復帰動作が開始される。
【0070】
<自己診断機能>
図7は、FAIL1出力機能を説明するためのブロック図であり、
図8は、FAIL2出力機能を説明するためのブロック図である。
【0071】
図7に示すように、FAIL1出力機能を実現する手段としては、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタX21と、NANDゲートX22と、SRフリップフロップX23と、カウンタX24と、を有する。トランジスタX21のドレインは、FAIL1端子に接続されている。トランジスタX21のソースは、接地端に接続されている。トランジスタX21のゲートは、NANDゲートX22の出力端に接続されている。NANDゲートX22に設けられた5つの入力端は、各種信号の印加端X25(UVLO信号、TSD信号、OVP信号、及び、OCP信号の印加端)と、SRフリップフロップX23の出力端(Q)に接続されている。SRフリップフロップX23のセット端(S)は、カウンタX24の出力端に接続されている。カウンタX24の入力端は、SCP信号の印加端X26に接続されている。SRフリップフロップX23のリセット端(R)は、各種信号の印加端X27(EN信号、UVLO信号、及び、TSD信号の印加端)に接続されている。
【0072】
図8に示すように、FAIL2出力機能を実現する手段としては、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタX31と、SRフリップフロップX32と、ANDゲートX33及びX34と、を有する。トランジスタX31のドレインは、FAIL2端子に接続されている。トランジスタX31のソースは、接地端に接続されている。トランジスタX31のゲートは、SRフリップフロップX32の出力端(Q)に接続されている。SRフリップフロップX32のセット端(S)は、ANDゲートX33の出力端に接続されている。SRフリップフロップX32のリセット端(R)は、各種信号の印加端X38(EN信号、UVLO信号、及び、TSD信号の印加端)に接続されている。ANDゲートX33の第1入力端は、OPEN信号の印加端X35に接続されている。ANDゲートX33の第2入力端は、ANDゲートX34の出力端に接続されている。ANDゲートX34の第1入力端は、SHORT信号の印加端X36に接続されている。ANDゲートX34の第2入力端は、MASK信号の印加端X37に接続されている。
【0073】
LEDドライバIC100は、ICに内蔵されている保護回路動作状態をFAIL1端子及びFAIL2端子(いずれもオープンドレイン形式)に出力する。FAIL1端子の出力信号は、UVLO、TSD、OVP、SCPのいずれかが動作したときにローレベルとなる。FAIL2端子の出力信号は、LEDのオープン検出またはショート検出のいずれかが動作したときにローレベルとなる。
【0074】
<保護回路動作>
低電圧誤動作防止回路(UVLO部102)は、内部定電圧VREGが4.3V以下となったときに、内部定電圧生成部101以外の回路をシャットダウンする。温度保護回路(TSD部103)は、ICのジャンクション温度が175℃以上となったときに、内部定電圧生成部101以外の回路をシャットダウンする。なお、TSD部103は、ICのジャンクション温度が150℃以下となったときに、回路動作を復帰させる。過電流保護回路(OCP部106)は、パワーFET(トランジスタN1)に流れる電流をハイサイド側検出抵抗R8によって電圧信号として検出し、CS端子電圧がVCC−0.6V以下となったときに過電流保護をかける。過電流保護がかかると、SS端子容量C7がディスチャージされて、DC/DCスイッチングがオフされる。過電圧保護回路(OVP部104)は、DC/DCの出力電圧VoutをOVP端子電圧により検出し、OVP端子電圧が2.0V以上となったときに過電圧保護をかける。過電圧保護がかかると、SS端子容量C7がディスチャージされて、DC/DCスイッチングがオフされる。
【0075】
<出力短絡保護回路(SCP)>
各種異常検出部120の出力短絡保護回路(SCP)では、FB端子電圧が50mV以下になると、内蔵されているカウンタ動作が開始され、約150ms(CT:0.1μF時)経過後にラッチがかかって回路がシャットダウンされる。50ms以内にFB端子電圧が50mV以上になるとカウンタはリセットされる。発光ダイオード列LEDのアノード側(DC/DC出力端側)が地絡したとき、FB端子電圧はローレベルとなる。また、発光ダイオード列LEDのカソード側が地絡した場合にも、FB端子電圧はローレベルとなる。従って、出力短絡保護回路(SCP)は、発光ダイオード列LEDのアノード/カソード双方の地絡保護に対応している。
【0076】
<LEDオープン検出回路(OPEN)>
各種異常検出部120のLEDオープン検出回路(OPEN)では、FB端子電圧が50mV以下で、かつ、OVP端子電圧が1.7V以上のときに、LEDオープン検出がかかり、DC/DC動作が停止される。
【0077】
<LEDショート検出部>
LEDショート検出部118では、複数個の発光ダイオードを内蔵している高輝度LED内のどこか1つがショートした場合を検出するため、LEDR−LEDC≧0.2、または、LEDC−LEDR≧0.2Vの条件になると、内蔵されているカウンタ動作が開始され、約100ms(FOSC=300kHz時)経過後に回路がラッチオフされる。PWM調光時にはPWM信号がハイレベルであるときにのみ、LEDショート検出動作が有効となるように、LEDショート検出信号がマスクされており(
図8のANDゲートX34を参照)、検出後約100ms(FOSC=300kHz時)経過後に回路がラッチオフされる。100ms以内にLEDショート検出条件が解除されると、カウンタはリセットされる。ただし、PWMパルス幅が20μs以下の場合、LEDショート検出は行われない。また、接続される発光ダイオードの順方向降下電圧VFに大きなばらつきがある場合には、LEDショート検出が誤動作するおそれがある。そのため、接続される発光ダイオードの順方向降下電圧VFを考慮して、抵抗R1〜R4を適宜調整することが望ましい。また、LEDR端子及びLEDC端子の入力範囲は2V〜3Vが望ましい。カウンタの周波数は、RT端子を用いて決定される周波数となり、32770カウントでラッチがかかる。
【0078】
図9は、LEDショート検出機能を説明するための回路図(マルチチップ使用時)である。1チップ内にX個の発光ダイオードを内蔵している高輝度発光ダイオード(マルチチップ)MCLEDをY個使用する場合、R1:R2=X:1、R3:R4=(X+1)×Y−1:1に設定するとよい。
【0079】
図10は、LEDショート検出機能を説明するための回路図(シングルチップ使用時)である。1チップ内に1個の発光ダイオードを内蔵している発光ダイオード(シングルチップ)SCLEDをY個使用する場合、R1:R2=1:1、R3:R4=2×Y−1:1に設定するとよい。
【0080】
<全ての異常条件について>
図11は、LEDドライバIC100の保護機能一覧表である。UVLO検出条件はVREG<4.3Vであり、UVLO解除条件はVREG>4.5Vである。UVLO検出時動作は、全ブロック(REG以外)のシャットダウンである。TSD検出条件はTj>175℃であり、TSD解除条件はTj<150℃である。TSD検出時動作は、全ブロック(REG以外)のシャットダウンである。OVP検出条件はVOVP>2.0Vであり、OVP解除条件はVOVP<1.45Vである。OVP検出時動作は、SS端子の電荷引き抜き(ディスチャージ)である。OCP検出条件はVCS≦VCC−0.6Vであり、OCP解除条件はVCS>VCC−0.6Vである。OCP検出時動作は、SS端子の電荷引き抜き(ディスチャージ)である。SCP検出条件はVFB<0.05V(150msディレイ、CT=0.1μF時)であり、SCP解除条件はEN入力またはUVLO解除である。SCP検出時動作は、ディレイカウンタによる所定時間カウント後のラッチオフ(REG以外)である。LEDオープン保護検出条件はVFB<0.05VかつVOVP>1.7Vであり、LEDオープン保護解除条件はEN入力またはUVLO解除である。LEDオープン保護検出時動作は、全ブロック(REG以外)のシャットダウンである。LEDショート保護検出条件は、|LEDR−LEDC|≧0.2V(100msディレイ、300kHz時)であり、LEDショート保護解除条件はEN入力またはUVLO解除である。LEDショート保護検出時動作は、ディレイカウンタによる所定時間カウント後のラッチオフ(REG以外)である。
【0081】
<電源投入シーケンス>
図12は、電源投入シーケンスを説明するためのタイムチャートである。(1)VCC印加後、VCC≧4.5V以上でENを投入することが望ましい。(2)EN投入前にDRLIN端子及びTHM端子の電位を固定することが望ましい。(3)EN投入と同時にソフトスタートが動作し、スイッチング出力される。(4)VTH端子を用いて外部PWM信号入力を行う場合、VCC投入後であれば、その他入力に対して順序は問わない。
【0082】
<LED異常時の動作>
[LEDオープン検出機能]
図13は、LEDオープン検出機能を説明するための回路図であり、
図14は、LEDオープン検出機能を説明するためのタイムチャートである。LEDオープンが生じると、スイッチングデューティが広がり、FB端子電圧VFBが低下する。そして、VOVP≧1.7VかつVFB≦50mVという検出条件が満たされると、LEDオープンが検出されてFAIL2端子がローレベルとされ、全ブロック(REG以外)のシャットダウンが行われる。
[LEDショート検出機能]
図15は、LEDショート検出機能を説明するための回路図であり、
図16は、LEDショート検出機能を説明するためのタイムチャートである。LEDショートが生じて、出力電圧VoutがLED一段分だけ低くなり、|LEDR−LEDC|≧0.2Vという検出条件が満たされると、ΔT(=32770×(1/FOSC))のタイマ時間経過後にFAIL2端子がローレベルとされる。
[LEDアノード/カソード地絡検出]
図17は、LEDアノード/カソード地絡検出機能を説明するための回路図であり、
図18はLEDアノード/カソード地絡検出機能を説明するためのタイムチャートである。LEDアノード地絡(Vout=0V)が生じて、FB端子電圧VFBが0Vになると、ΔT(CT端子に接続されたキャパシタC9の容量値に依存)のタイマ時間経過後にOUTH/OUTLのスイッチングが停止されて、FAIL1端子がローレベルとされる。
【0083】
<第2構成例>
図19は、LEDドライバIC100の第2構成例(降圧アプリケーション構成)を示す回路ブロック図である。第2構成例では、降圧アプリケーションを実現するために、
図1のトランジスタN2とツェナダイオードD2が取り除かれている。また、第2構成例では、
図1のサーミスタ抵抗R13に代えて、2つの外付けトランジスタQ1及びQ2を用いることにより、2入力セレクタ構成(INP1、INP2)でLED電流のディレーティング機能を実現する場合の接続例が示されている。
【0084】
<第3構成例>
図20は、LEDドライバIC100の第3構成例(昇圧アプリケーション構成)を示す回路ブロック図である。第3構成例では、昇圧アプリケーションを実現するために、
図1のトランジスタN1、ツェナダイオードD1、及び、キャパシタC5が取り除かれている。また、第3構成例ではSW端子が接地端に接続されている。また、第3構成例ではLEDショート検出機能を無効とする場合の接続例が示されている。具体的には、
図1の抵抗R1〜R4が取り除かれており、LEDR端子とLEDC端子がショートされている。
【0085】
<LEDショート検出部の詳細について>
図21は、LEDショート検出部118の一構成例を示す回路図である。本構成例のLEDショート検出部118は、LEDC端子電圧(LEDチップ列LED1〜LED5のチップ間ノードで得られる第1電圧またはその分圧電圧)と、LEDR端子電圧(LEDチップ列LED1〜LED5の両端間電圧を分圧して得られる第2電圧)とを監視してLEDショート検出信号S3を生成する回路ブロックであり、差動回路Aと、比較回路Bとを有する。
【0086】
なお、本構成例のLEDショート検出部118において、LEDC端子電圧として入力される第1電圧は、LEDチップ列に含まれている5個のLEDチップLED1〜LED5(本構成例ではいずれもシングルチップ型とする)を4:1に分割するチップ間ノード(LED4とLED5とのチップ間ノード)で得られる電圧である。また、LEDR端子電圧として入力される第2電圧は、LEDチップ列LED1〜LED5の両端間電圧を4:1に分圧して得られる電圧である。
【0087】
差動回路Aは、LEDC端子電圧とLEDR端子電圧との差分に応じた電圧信号Vzを生成する回路ブロックであり、抵抗A1〜A4と、オペアンプA5と、を含む。抵抗A1の第1端は、LEDC端子に接続されている。抵抗A1の第2端と抵抗A2の第1端は、電圧信号Vxの印加端として、オペアンプA5の非反転入力端(+)に接続されている。抵抗A2の第2端は、オフセット電圧Vofsの印加端に接続されている。抵抗A3の第1端は、LEDR端子に接続されている。抵抗A3の第2端と抵抗A4の第1端は、電圧信号Vyの印加端として、オペアンプA5の反転入力端(−)に接続されている。抵抗A4の第2端は、オペアンプA5の出力端に接続されている。オペアンプA5の出力端は、電圧信号Vzの出力端として、比較回路Bの入力端に接続されている。
【0088】
比較回路Bは、電圧信号Vzが所定の電圧範囲(Vth1<Vz<Vth2)に収まっているか否かに応じてLEDショート検出信号S3の論理レベルを変遷させる回路ブロックであり、コンパレータB1及びB2と、ANDゲートB3と、を含む。コンパレータB1の非反転入力端(+)とコンパレータB2の反転入力端(−)は、いずれも電圧信号Vzの印加端に接続されている。コンパレータB1の反転入力端(−)は、閾値電圧Vth1の印加端に接続されている。コンパレータB2の非反転入力端(+)は、閾値電圧Vth2の印加端に接続されている。ANDゲートB3の第1入力端は、コンパレータB1の出力端(比較信号S1の印加端)に接続されている。ANDゲートB3の第2入力端は、コンパレータB2の出力端(比較信号S2の印加端)に接続されている。ANDゲートB3の出力端は、LEDショート検出信号S3の出力端に接続されている。
【0089】
すなわち、コンパレータB1は、電圧信号Vzと閾値電圧Vth1とを比較して比較信号S1を生成する。なお、比較信号S1は、電圧信号Vzが閾値電圧Vth1よりも高いときにハイレベルとなり、低いときにローレベルとなる。
【0090】
一方、コンパレータB2は、電圧信号Vzと閾値電圧Vth2とを比較して比較信号S2を生成する。なお、比較信号S2は、電圧信号Vzが閾値電圧Vth2よりも高いときにローレベルとなり、低いときにハイレベルとなる。
【0091】
ANDゲートB3は、比較信号S1と比較信号S2とを論理積演算してLEDショート検出信号S3を生成する。なお、LEDショート検出信号S3は、比較信号S1と比較信号S2がともにハイレベルであるときにハイレベル(正常時の論理レベル)となり、比較信号S1と比較信号S2の少なくとも一方がローレベルであるときにローレベル(異常時の論理レベル)となる。
【0092】
上記構成から成るLEDショート検出部118の動作について、具体例を挙げながら詳細に説明する。なお、以下では、LED1〜LED5各々の順方向降下電圧VF=3V、A1〜A4=100kΩ、Vofs=2V、Vth1=1.8V、Vth2=2.2Vとして説明を行う。
【0093】
LED1〜LED5のいずれにも両端間ショートが生じていない場合、出力電圧Voutは15V(=3V×5段)となる。このとき、LEDC端子電圧とLEDR端子電圧はいずれも3V(LEDC=VF、LEDR=Vout(15V)×(1/5))となる。LEDC端子電圧が3Vであることから、電圧信号Vxは2.5Vとなり、オペアンプA5は、電圧信号Vyが電圧信号Vxと一致(イマジナリショート)するように、電圧信号Vzとして2Vを出力する。従って、比較信号S1及びS2は、いずれもハイレベルとなるので、LED検出信号S3はハイレベルとなる。
【0094】
一方、LEDチップ列LED1〜LED5のうち、LED1〜LED4のいずれか一つに両端間ショートが生じた場合、出力電圧Voutは12V(=3V×4段)となる。このとき、LEDC端子電圧は3V(=VF)となり、LEDR端子電圧は2.4V(=Vout(12V)×(1/5))となる。LEDC端子電圧が3Vであることから、電圧信号Vxは2.5Vとなり、オペアンプA5は、電圧信号Vyが電圧信号Vxと一致(イマジナリショート)するように、電圧信号Vzとして2.6Vを出力する。従って、比較信号S1がハイレベルとなり、比較信号S2がローレベルとなるので、LED検出信号S3はローレベルとなる。
【0095】
また、LEDチップ列LED1〜LED5のうち、LED5に両端間ショートが生じた場合、出力電圧Voutは12V(=3V×4段)となる。このとき、LEDC端子電圧はほぼ0V(=GND)となり、LEDR端子電圧は2.4V(=Vout(12V)×(1/5))となる。LEDC端子電圧がほぼ0Vであることから、電圧信号Vxはほぼ1Vとなり、オペアンプA5は、電圧信号Vyが電圧信号Vxと一致(イマジナリショート)するように、電圧信号Vzとして0.4Vを出力する。従って、比較信号S1がローレベルとなり、比較信号S2がハイレベルとなるので、LED検出信号S3はローレベルとなる。
【0096】
このように、本構成例のLEDショート検出部118は、従来の絶対値による検出手法ではなく、相対値による検出手法を用いてLEDショートを検出する構成とされているので、(1)外付け部品の削減、(2)検査工程での調整不要、(3)LEDショート検出精度の向上(LED温度特性の影響低減)などのメリットを享受することができる。
【0098】
なお、上記実施形態では、車載ランプ用白色LEDドライバに本発明を適用した構成を例示して説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、その他の用途に供されるLED駆動装置全般に広く適用することが可能である。
【0099】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。