(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902004
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20160331BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20160331BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20160331BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20160331BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20160331BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20160331BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
H01L27/04 P
H01L27/06 102A
H01L21/90 A
H01L21/88 S
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-50888(P2012-50888)
(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公開番号】特開2013-187326(P2013-187326A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森田 健士
【審査官】
宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−249358(JP,A)
【文献】
特開2003−162954(JP,A)
【文献】
特開昭60−140854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 21/8234
H01L 23/522
H01L 27/04
H01L 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に下層電極を形成する工程と、
前記下層電極上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜内に前記下層電極に達する複数のコンタクトホールを形成する工程と、
前記複数のコンタクトホールを完全に充填しない膜厚で抵抗体薄膜を堆積する工程と、
前記抵抗体薄膜をエッチバックして前記複数のコンタクトホール底面の前記抵抗体薄膜を除去する工程と、
前記複数のコンタクトホール内の空隙に第3の絶縁膜を充填する工程と、
前記第3の絶縁膜と第2の絶縁膜と前記抵抗体薄膜をCMP法により研磨して複数の縦型抵抗体を形成する工程と、
前記複数の縦型抵抗体上部にそれぞれ接続された上層電極を形成する工程と、
からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記抵抗体薄膜の堆積膜厚は、前記複数のコンタクトホールの直径の半分未満であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記抵抗体薄膜を除去する工程の終了後に、サイドウォール状の抵抗体薄膜が形成されていることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記複数の縦型抵抗体を形成する工程は、前記サイドウォール状の抵抗体薄膜を上部から除去し、前記サイドウォール状の抵抗体薄膜が均一な膜厚となっている高さまで前記第2の絶縁膜を研磨することを特徴とする請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抵抗素子を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の抵抗素子には不純物を注入した多結晶シリコンからなる抵抗が使われることが多い。
図10は、抵抗素子を有する従来の半導体装置の一例であり、図の左方にMOSトランジスタ領域、右方に抵抗素子領域を備えている。MOSトランジスタ領域には、ゲート電極4とソース領域5とドレイン領域6とそれらに結線された導電性金属配線8からなるMOSトランジスタが形成されている。また、抵抗素子領域には、半導体基板1上のフィールド酸化膜2の上にBPSGなどの絶縁膜7を形成し、絶縁膜7上に多結晶シリコンの積層膜12が形成され薄膜抵抗をなしている。薄膜抵抗には導電性金属配線8が電極として設けられている。(例えば、特許文献1を参照のこと。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−312267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
抵抗素子の2次元的な寸法を単に小さくすると、近隣の抵抗素子間の相対誤差が大きくなり、高精度の半導体装置に用いることができなくなる、そのため、抵抗素子からなるブリーダー回路等が半導体装置内に占める面積が大きくなってしまう。そこで、抵抗素子領域の大きさの縮小により小型化された半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために以下の手段を用いた。
まず、抵抗素子を有する半導体装置の製造方法であって、半導体基板上に下層電極を形成する工程と、前記下層電極上に第一絶縁膜を形成する工程と、前記第一絶縁膜内に前記下層電極に達するコンタクトホールを形成する工程と、前記コンタクトホールを埋めない膜厚で抵抗体薄膜を堆積する工程と、前記抵抗体薄膜をエッチバックして前記コンタクトホール底面の前記抵抗体薄膜を除去する工程と、前記コンタクトホール内の空隙に第二絶縁膜を埋める工程と、前記第二絶縁膜と第一絶縁膜と前記抵抗体薄膜をCMP研磨して縦型抵抗体を形成する工程と、前記縦型抵抗体上部に接続された上層電極を形成する工程と、からなることを特徴とする半導体装置の製造方法を用いた。
【0006】
また、前記抵抗体薄膜の堆積膜厚は、前記コンタクトホールの直径の半分未満であることを特徴とする半導体装置の製造方法を用いた。
また、前記抵抗体薄膜を除去する工程終了後、サイドウォール状の抵抗体薄膜が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法を用いた。
また、前記CMP研磨工程にて、前記サイドウォール状抵抗体薄膜の上部が除去され、均一な膜厚となる高さまで第二の絶縁膜9を研磨することを特徴とする半導体装置の製造方法を用いた。
【発明の効果】
【0007】
上記構造を用いることで、コンタクトホール内に上下に電極を有する縦長の抵抗体を形成することができ、抵抗素子の占有面積を小さくし半導体装置の小型化に貢献できる。
また、角柱の側面と異なりで円柱の側面に抵抗体を作成するため、円周上で同じ厚さで形成することが可能なため、薄く形成することで温度変化に対して抵抗値の変化が少ない縦型抵抗体として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の抵抗体を有するMOS型トランジスタの模式断面図である。
【
図2】本発明の抵抗体を有する半導体の製造工程を説明するための模式断面図である。
【
図3】本発明の抵抗体を有する半導体の製造工程を説明するための模式断面図である。
【
図4】本発明の抵抗体を有する半導体の製造工程を説明するための模式断面図である。
【
図5】本発明の抵抗体を有する半導体の製造工程を説明するための模式断面図である。
【
図6】本発明の抵抗体を有する半導体の製造工程を説明するための模式断面図である。
【
図7】本発明の抵抗体を有する半導体の製造工程を説明するための模式断面図である。
【
図8】本発明の抵抗体を有する半導体の製造工程を説明するための模式断面図である。
【
図9】本発明の抵抗体を有する半導体の製造工程を説明するための模式断面図である。
【
図10】従来技術による抵抗素子を有する半導体のMOS型トランジスタの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の第一の実施形態を示す抵抗体構造を有するMOS型トランジスタの模式断面図である。本実施形態の半導体装置は、半導体シリコン基板の表面にMOSトランジスタと縦型抵抗体からなる抵抗素子を有する構造である。
【0010】
P型導電性の半導体シリコン基板1の表面に、LOCOS(
Local
Oxidation of
Silicon)法によって形成された素子分離のためのフィールド酸化膜2が設けられている。MOSトランジスタ形成領域はフィールド酸化膜2の無い領域に配置されている。半導体シリコン基板上にゲート酸化膜3を介してゲート電極4が設けられており、ゲート電極4の上面及び側面は第一の絶縁膜7で被覆され、また、ゲート電極4端部の半導体シリコン基板1の表面にはソース領域5とドレイン領域6が形成されている。ソース領域5とドレイン領域6には第一の絶縁膜を貫通して第一の金属配線8の一方の端部が接触するように設けられソース電極とドレイン電極として機能する。第一の金属配線8の他端部は第一の絶縁膜7上にあって、上層の第二の金属配線11cと接触している。なお、第一の金属配線8と第二の金属配線11cの間には第二の絶縁膜9が設けられている。
【0011】
次に、縦型抵抗体からなる抵抗素子が配置された領域の構造について説明する。フィールド酸化膜2の上には第一の絶縁膜7が設けられ、第一の絶縁膜7の上には第一の金属配線8が形成され、第一の金属配線膜8の上には第二の絶縁膜9、そして第二の金属配線11が順に設けられている。第一の金属配線8と第二の金属配線11の間には第二の絶縁膜9を貫通して円柱状の縦型抵抗体10a、10bが形成されている。導電性の高抵抗多結晶シリコンからなる縦型抵抗体10a、10bの上端は互いに離間した第二の金属配線11a、11bに各々接続され、下端は共に第一の金属配線8に接続されている。第一の金属配線8に接続された2つの縦型抵抗体10a、10bが抵抗素子の一つの基本単位となる。
【0012】
図1では縦型抵抗体10a,10bがそれぞれ2本の細長い矩形により示されているが、これは抵抗体材料である薄膜からなる円筒状の形状を有する縦型抵抗体の断面を示すためであり、2本の矩形は連続した薄膜からなる円筒状の抵抗体を縦に切断した切り口を示している。縦型抵抗体11a、11bは円筒状であって、コンタクトホールの内壁面に薄膜状に形成されている。薄膜状の縦型抵抗体10a、10bの中心部には円柱状の第三の絶縁膜15が設けられている。すなわち、円筒の中心軸に沿って上から見れば同心円状である。このような形状とすることで温度変化に対する抵抗変化が少なく占有面積の少ない縦型抵抗体とすることができる。
【0013】
なお、抵抗体の材質は導電性の高抵抗多結晶シリコンのほか、タングステンシリサイド、クロムシリサイド、モリブデンシリサイド、ニクロム、チタンのいずれかひとつから選んでも良い。また、二種類以上の材料からなる多層膜とすることも可能である。
【0014】
次に、
図2〜9、および
図1を利用して、半導体装置の製造方法について説明する。
まず、
図2に示すように、例えば濃度が1×10
16cm
-3程度のP型導電性の半導体シリコン基板1の表面をLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法によって選択的に酸化し、膜厚1000〜5000Å程度の厚さのフィールド酸化膜2を形成する。次に、基板全面を酸化し膜厚50〜1000Å程度のゲート酸化膜3を形成する。この上にCVDを用いて膜厚2000〜3000Å程度のポリシリコンを堆積し、例えばリンのプリデポにより不純物濃度を高濃度にして導電性を持たせてゲート電極4を作製する。ここで、プリデポに代えて、イオン注入法を利用しても良いし、多結晶シリコン堆積時に不純物が既に含まれているドープト多結晶シリコンを堆積しても良い。
【0015】
次にゲート電極4をマスクとして、ゲート電極4に隣接する半導体シリコン基板1表面に不純物をイオン注入して、例えばリンの濃度が1×10
20cm
-3程度であるN型の高濃度ソース領域5とN型高濃度ドレイン領域6を形成する。
【0016】
これらの上に絶縁膜、例えばBPSG膜をCVDにより、例えば5000Å〜8000Å程度堆積し、熱処理によって平坦化を行って第一の絶縁膜7を形成する。この後CMPを用いて表面を削ることで、さらに平坦化を行う。
【0017】
次に、
図3に示すように、レジストマスクを使用して基板表面にあるソース領域5及びドレイン領域6に達するコンタクトホールを、例えば0.4μm×0.4μm程度の開口寸法となるようにドライエッチングにより形成する。このコンタクトホール内部および絶縁膜7上に、スパッタを用いて、例えばAl−Siを堆積して第一の金属配線8を形成する。
【0018】
続いて、
図4に示すように、これらの上に、例えばBPSG膜やTEOS膜をCVDにより例えば5000Å〜8000Å程度堆積し、熱処理によって平坦化を行って第二の絶縁膜9を形成する。
【0019】
次に、
図5に示すように、本発明の円筒状の抵抗を形成するため第二の絶縁膜9内にコンタクトホールを第一の金属配線8に達するように、ドライエッチングにより例えば直径0.4μmで形成する。このコンタクトホール内部に抵抗体薄膜10として使う物質、例えばタングステンシリサイドをCVD等で所望の厚さ、例えば1000Åの厚さでコンタクトホール側面および底面にコンフォーマルに堆積させる。このとき、抵抗体薄膜10でコンタクトホールが充填されないようにするため、抵抗体薄膜の膜厚はコンタクトホール直径の半分未満である必要がある。
【0020】
続いて、
図6に示すように、異方性ドライエッチングによるエッチバックにより第二の絶縁膜9上の抵抗体薄膜10とコンタクトホール底面の抵抗体薄膜10を除去する。これにより、抵抗体薄膜10はコンタクトホールの側壁にサイドウォール状に形成され、抵抗体薄膜10の上部には細くなった部分が形成される。
【0021】
次いで、
図7に示すように、CVDにより第三の絶縁膜15を堆積してサイドウォール状の抵抗体薄膜の中の空隙を完全に埋め、充填するようにする。
次に、
図8に示すように、CMP法を用いて、第三の絶縁膜15と第二の絶縁膜9を研磨し除去する。抵抗体薄膜10の上部の細い部分がなくなり、均一な膜厚となる高さまで第二の絶縁膜9を削り、縦長の縦型抵抗体10a、10bを形成する。
【0022】
次に、
図9に示すように、第二の絶縁膜9に第一の金属配線8に達するコンタクトホール(ビアホール)を例えば0.4μm程度の開口幅でドライエッチングにより形成し、次いで、コンタクトホール内部及び第二の絶縁膜9と第三の絶縁膜15表面に例えばAl−Siをスパッタ等により堆積し、パターニングすることで第二の金属配線11a、11b、11cを形成し、第一の金属配線8または抵抗体と結線して
図1に示す半導体装置が完成する。
【0023】
従来技術においてはLOCOS上に横長に配置された抵抗体が一般的であったが、本発明においては、抵抗体は縦長い同心円状の縦型抵抗体となっており、同心円の寸法を小さくすることができるので、占有面積の少ない抵抗体とすることが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 半導体シリコン基板
2 フィールド酸化膜
3 ゲート酸化膜
4 ゲート電極
5 ソース領域
6 ドレイン領域
7 第一の絶縁膜
8 第一の導電性金属配線
9 第二の絶縁膜
10 抵抗体薄膜
10a、10b 縦型抵抗体
11a、11b、11c 第二の金属配線
12 多結晶シリコン薄膜抵抗
15 第三の絶縁膜