特許第5902009号(P5902009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902009
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】はんだバンプの形成方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/363 20060101AFI20160331BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20160331BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20160331BHJP
   B23K 101/42 20060101ALN20160331BHJP
【FI】
   B23K35/363 C
   H05K3/34 505B
   H05K3/34 512C
   B23K1/00 330E
   B23K101:42
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-60893(P2012-60893)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2013-193097(P2013-193097A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】古野 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】白井 大
【審査官】 市川 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−137283(JP,A)
【文献】 特開2007−222932(JP,A)
【文献】 特開2008−062242(JP,A)
【文献】 特開2008−221304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/363
B23K 35/22
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ粉末と、フラックスとを含有し、前記フラックスは、(A)軟化点が110℃以下であり、かつ酸価が140mgKOH/g以上であるロジン系樹脂と、(B)軟化点が110℃以下であり、かつ酸価が5mgKOH/g以下であるロジンエステル化合物と、(C)溶剤とを含有し、前記フラックスの酸価は、5mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であるはんだ組成物を用いたはんだバンプの形成方法であって、
配線基板上の電極が設けられた領域に、前記はんだ組成物を供給する供給工程と、
前記配線基板を加熱して、前記はんだ粉末を溶融させることにより、前記電極上にはんだバンプを形成する溶融工程と、を備え、
前記電極間の平均間隙をW(μm)、前記はんだ粉末の平均粒子径をD(μm)、および前記フラックスの酸価をAV(mgKOH/g)とした場合に、
下記数式(1)で表される条件を満たし、かつ、
前記平均間隙が35μm以下の場合には、下記数式(2)で表される条件を満たし、
前記平均間隙が35μmを超える場合には、下記数式(3)で表される条件を満たす
ことを特徴とするはんだバンプの形成方法。
D ≦ 0.2×W ・・・(1)
(0.5×W)+3 ≦ AV ≦ (0.5×W)+13 ・・・(2)
0.75×W ≦ AV ≦ 1.5×W ・・・(3)
【請求項2】
請求項1に記載のはんだバンプの形成方法において、
前記(A)ロジン系樹脂の軟化点が、100℃以下である
ことを特徴とするはんだバンプの形成方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のはんだバンプの形成方法において、
前記フラックスの酸価が、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である
ことを特徴とするはんだバンプの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだバンプの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子部品の高密度実装のために、電極ピッチ(電極の配列ピッチ)が狭くなっている。そのため、印刷法ではんだ組成物を供給する方法の場合、精度の点で限界があり、隣接する電極間がはんだで短絡されるブリッジが発生したり、はんだ量不足やはんだ未着(ミッシングバンプ)が発生するといった問題があった。
この問題を解決するために、電極のみならず、電極の周辺部を含む電極配列領域に対して、はんだ組成物をベタ塗りし(電極パターンに依らず、電極が配置された領域全面またはブロック毎に一定厚みではんだ組成物を全面印刷する)、その後リフローすることで、電極のみにはんだバンプを形成することができる方法(以下、ベタ塗り法と適宜称する)が考えられた。
このようなベタ塗り法としては、例えば、はんだ組成物中のはんだ粉末の体積比率を30%以下とし、はんだ粉末の粒子径を30μm以下としたはんだ組成物を、電極配列領域にベタ塗りする方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−163504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の方法では、電極ピッチが非常に狭い(例えば、電極ピッチが100μm以下)場合には、ブリッジの発生や、はんだ量不足やはんだ未着の不良を抑制できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、電極ピッチが非常に狭い場合にも、ブリッジの発生を抑制するとともに、はんだ量不足やはんだ未着の不良を抑制できるはんだ組成物、および、それを用いたはんだバンプの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決すべく、本発明は、以下のようなはんだ組成物およびはんだバンプの形成方法を提供するものである。
【0007】
すなわち、本発明に関連するはんだ組成物は、はんだ粉末と、フラックスとを含有するはんだ組成物であって、前記フラックスは、(A)軟化点が110℃以下であり、かつ酸価が140mgKOH/g以上であるロジン系樹脂と、(B)軟化点が110℃以下であり、かつ酸価が5mgKOH/g以下であるロジンエステル化合物と、(C)溶剤とを含有し、前記フラックスの酸価は、5mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に関連するはんだ組成物においては、前記(A)ロジン系樹脂の軟化点が、100℃以下であることが好ましい。
本発明に関連するはんだ組成物においては、前記フラックスの酸価が、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0009】
本発明のはんだバンプの形成方法は、前記はんだ組成物を用いるはんだバンプの形成方法であって、配線基板上の電極が設けられた領域に、前記はんだ組成物を供給する供給工程と、前記配線基板を加熱して、前記はんだ粉末を溶融させることにより、前記電極上にはんだバンプを形成する溶融工程と、を備え、前記電極間の平均間隙をW(μm)、前記はんだ粉末の平均粒子径をD(μm)、および前記フラックスの酸価をAV(mgKOH/g)とした場合に、下記数式(1)で表される条件を満たし、かつ、前記平均間隙が35μm以下の場合には、下記数式(2)で表される条件を満たし、前記平均間隙が35μmを超える場合には、下記数式(3)で表される条件を満たすことを特徴とする方法である。
D ≦ 0.2×W ・・・(1)
(0.5×W)+3 ≦ AV ≦ (0.5×W)+13 ・・・(2)
0.75×W ≦ AV ≦ 1.5×W ・・・(3)
また、本発明のはんだ組成物およびはんだバンプの形成方法により、微細ピッチの電極へはんだバンプを形成する場合において、ブリッジ、はんだ不足、はんだ未着(ミッシングバンプ)などの不良を抑制できる理由は、必ずしも定かでは無いが、本発明者らは以下のように推察する。
一般のソルダーペーストと言われる材料は、表面実装部品を電極に機械的電気的に接合するために、はんだ粉末を全て熔解合一させ、さらに表面実装部品の電極面および基板の電極面に濡れることが必要であった。すなわち、はんだが濡れるために、電極表面やはんだ粉末表面の酸化物や汚れを取り去り、正常な金属表面を露出させることが第一で、次いで、溶融したはんだが電極間に濡れ広がる必要があり、そのために活性を重視し、はんだ粒子の成長制御という概念がなかった。
本発明によるはんだ組成物およびはんだバンプ形成方法は、はんだ粉末の合一成長を制御することを前提に設計されたものであり、実験の結果、軟化点が110℃以下で、酸価が140mgKOH/g以上の樹脂(ロジン系樹脂)と、ロジンエステル化合物とを組み合わせて用いた場合に、以下のような効果があることを発見した。これらの樹脂は、はんだ溶融前の温度域(はんだ融点の70℃以下或いは50℃以下で、還元作用を発揮し、はんだバンプを形成するはんだ粉末表面および電極表面(一般には銅)の酸化膜を除去する。さらに、表面に形成された金属塩は、溶媒中に溶出し、清浄な金属表面が露出し、接触する同じく清浄化された金属表面を有する金属電極やはんだ粉末と金属接合することができる。金属接合したはんだは、銅側に拡散することが可能で、時間とともに、また温度上昇により拡散領域を拡大していく一方、はんだ粉末同士も拡散が進みより大きな凝集体へと成長する。このはんだ粉末の凝集体の一部は、金属電極と接合し、一部ははんだ粉末のみの凝集体を形成する。
次いで、はんだの融点を迎えると、この凝集体は一気に合一し大きな粒子を形成するが、金属電極に接合していた凝集体は電極に引き込まれる様に濡れ広がり始め、これと接合していたはんだ粉末の凝集体は、一緒に金属電極上に引き込まれ、金属電極上にはんだバンプを形成することになる。一方、金属電極と接触していなかったはんだ粉末の凝集体は個々により大きなはんだ粉末を形成する。
一方で、金属表面の酸素を剥ぎ取ったロジン系樹脂は、当初は金属塩の形で溶液中に溶解するが、粒子の凝集・粒成長に伴い、溶液中に溶解せず、金属表面に金属塩のまま残り始める。これはリフロー工程において、溶剤が蒸発して溶解する溶媒がなくなることによるか、金属塩の溶解度を超えることによるかは定かではない。
この金属表面に残った金属塩は、有機皮膜として、他のはんだ粉末の接触を妨げる存在となり、以降の粒成長を抑止する機能を果たすことになる。
以上の金属表面への塩形成から、溶媒中への塩の溶解、金属表面の露出と接触による金属接合と拡散現象による粒子の凝集・成長と最後に金属塩による粒子接触の妨げによる粒成長の抑制、これら一連の反応によりはんだ組成物のべた塗り法でも、局所的なはんだバンプ形成を可能とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電極ピッチが非常に狭い場合にも、ブリッジの発生を抑制するとともに、はんだ量不足やはんだ未着の不良を抑制できるはんだ組成物、および、それを用いたはんだバンプの形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のはんだバンプの形成方法を適用できる配線基板を示す概略図である。
図2】本発明のはんだバンプの形成方法を適用できる他の配線基板を示す概略図である。
図3】本発明のはんだバンプの形成方法を適用できる他の配線基板を示す概略図である。
図4】本発明において、配線基板上にはんだ組成物を塗布した状態を示す概略図である。
図5】本発明において、配線基板およびはんだ組成物を加熱している状態を示す概略図である。
図6】本発明において、配線基板およびはんだ組成物を加熱している状態を示す概略図である。
図7】本発明において、配線基板およびはんだ組成物を加熱した結果、はんだ粉末が溶融する直前の状態を示す概略図である。
図8】本発明において、配線基板の電極上にはんだバンプを形成した状態を示す概略図である。
図9】実施例1におけるリフロー後の配線基板の表面の状態を示す写真である。
図10】実施例1における残渣洗浄後の配線基板の表面の状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明のはんだ組成物について説明する。すなわち、本発明のはんだ組成物は、以下説明するはんだ粉末およびフラックスを含有するものである。このようなはんだ組成物は、後述するはんだバンプの形成方法などの、いわゆるベタ塗り法に好適に用いることができるものである。
【0013】
本発明に用いるはんだ粉末は、有鉛のはんだ粉末であってもよく、無鉛のはんだ粉末であってもよい。このはんだ粉末におけるはんだ合金としては、スズまたはビスマスを主成分とする合金が好ましい。また、この合金の第二元素としては、銀、銅、亜鉛、ビスマス、スズ、鉛などが挙げられる。さらに、この合金には、必要に応じて他の元素(第三元素以降)を添加してもよい。他の元素としては、銅、銀、ニッケル、コバルト、鉄、アンチモン、チタン、リン、ゲルマニウムなどが挙げられる。
【0014】
前記はんだ粉末の平均粒子径は、特に限定されないが、本発明のはんだバンプの形成方法が電極ピッチの狭い配線基板に好適に用いられることから、前記はんだ粉末の平均粒子径は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上5μm以下であることがより好ましい。なお、平均粒子径は、動的光散乱式の粒子径測定装置により測定できる。
【0015】
前記はんだ粉末の含有量は、はんだ組成物100質量%に対して、30質量%以上92質量%以下であることが好ましい。はんだ粉末の含有量が30質量%未満の場合には、得られるはんだ組成物を用いた場合に、十分なはんだ接合を形成できにくくなる傾向にあり、他方、はんだ粉末の含有量が92質量%を超える場合には、バインダーとしてのフラックスが足りないため、フラックスとはんだ粉末とを混合しにくくなる傾向にある。
【0016】
本発明に用いるフラックスは、以下説明する(A)ロジン系樹脂、(B)ロジンエステル化合物、および(C)溶剤を含有するものである。
また、前記フラックスの酸価は、電極の大きさと、そこに堆積させるはんだ層(はんだバンプの体積)によるが、5mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることが必要である。酸価が5mgKOH/g未満では、はんだ粉末や電極の表面を活性化させることができず、他方、70mgKOH/gを超えると、ブリッジの発生を抑制できない。また、電極ピッチが100μm以下と非常に狭い場合に、ブリッジの発生とはんだ量不足の不良とを十分に抑制するという観点から、前記フラックスの酸価は、10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることがより好ましく、15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることがさらにより好ましく、18mgKOH/g以上28mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
【0017】
本発明に用いる(A)ロジン系樹脂は、軟化点が110℃以下であり、かつ酸価が140mgKOH/g以上であるロジン系樹脂である。このようなロジン系樹脂としては、ロジンおよびロジン誘導体が挙げられる。ここで、ロジンとは、L−アビエチン酸を主成分とする天然樹脂類のことをいう。ロジン誘導体としては、変性ロジン、重合ロジン、水添ロジンなどが挙げられる。これらのロジン系樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(A)ロジン系樹脂の軟化点は、活性作用の観点から、60℃以上100℃以下であることがより好ましく、60℃以上95℃以下であることが特に好ましい。なお、軟化点は、熱機械分析(TMA)装置により測定できる。
前記(A)ロジン系樹脂の酸価は、活性作用の観点から、150mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましく、150mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であることが特に好ましい。なお、酸価は、試料1gに含まれている遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムを求めることで測定できる。
【0018】
前記(A)ロジン系樹脂の含有量は、前記フラックス100質量%に対して、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。含有量が前記下限未満では、電極の銅箔面の酸化を防止してその表面に溶融はんだを濡れやすくする、いわゆるはんだ付性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粒成長が著しく進展し、ブリッジ不良が増える傾向にある。
【0019】
本発明に用いる(B)ロジンエステル化合物は、軟化点が110℃以下であり、かつ酸価が5mgKOH/g以下であるロジンエステル化合物である。このようなロジンエステル化合物としては、ロジンおよびロジン誘導体をエステル化したものが挙げられる。これらのロジンエステル化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。前記ロジンエステル化合物により、フラックスの酸価を調整することができる。
前記(B)ロジンエステル化合物の軟化点は、リフロー時の流動性の観点から、60℃以上100℃以下であることがより好ましい。
前記(B)ロジンエステル化合物の酸価は、フラックスの酸価を調整しやすいという観点から、1mgKOH/g以上5mgKOH/g未満であることがより好ましい。
【0020】
前記(B)ロジンエステル化合物の含有量は、前記フラックス100質量%に対して、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。含有量が前記下限未満では、フラックスの酸価が高くなりすぎる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フラックスの酸価が低くなりすぎる傾向にある。
【0021】
本発明に用いる(C)溶剤としては、公知の溶剤を適宜用いることができる。前記(C)溶剤は、前記(A)ロジン系樹脂および前記(B)ロジンエステル化合物の溶解が可能なものであって、沸点が高く、水溶性のものであることが好ましい。前記(C)溶剤としては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘキシルジグリコール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、1,5−ペンタンジオール、オクタンジオール、2−エチルヘキシルジグリコール、フェニルグリコールが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
前記溶剤(C)の含有量は、前記フラックス100質量%に対して、20質量%以上60質量%以下であることが好ましい。含有量が前記範囲内であれば、得られるはんだ組成物の粘度を適正な範囲に適宜調整できる。
【0023】
本発明に用いるフラックスには、前記(A)ロジン系樹脂、前記(B)ロジンエステル化合物および前記(C)溶剤の他に、必要に応じて、有機酸、つや消し剤、酸化防止剤、チクソ剤、消泡剤、防錆剤、界面活性剤、熱硬化剤などの添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤の含有量としては、前記フラックス100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましい。
【0024】
次に、本発明のはんだバンプの形成方法について、図面に基づいて説明する。
図1図8は、本発明のはんだバンプの形成方法の一態様を説明するための図である。なお、図1図3は、それぞれ、本発明のはんだバンプの形成方法を適用できる配線基板の一例を示している。
本発明のはんだバンプの形成方法は、前記本発明のはんだ組成物を用いた方法である。そして、具体的には、図4図8に示すように、配線基板1の表面に形成された複数の電極12にはんだバンプ3を形成するはんだバンプの形成方法であって、以下説明する供給工程および溶融工程を備える方法である。
【0025】
配線基板1は、図1に示すように、絶縁基材11と、電極12とを備える。
絶縁基材11としては、適宜公知のものを用いることができ、ガラスエポキシ基材、ポリイミド基材、シリコン基材などが挙げられる。
電極12は、配線基板1の表面に形成されるものであり、他の電子部品との電気的接続を図るためのものである。電極12の材質は、特に限定されないが、銅、銀、スズなどが挙げられる。また、電極12の形状は、特に限定されないが、図1に示すように円形状であってもよく、図2に示すように四角形状であってもよい。さらに、図3に示すように、電極12が複数のブロックに分かれて設けられていてもよい。このような場合、電極12間の平均間隙W,Wは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0026】
供給工程においては、図3に示すように、配線基板1上の電極12が設けられた領域に、はんだ組成物2を供給する。
はんだ組成物2は、後述するが、はんだ粉末21と、フラックス22とを含有するものである。
はんだ組成物2の供給方法としては、適宜公知の方法を採用でき、例えば、印刷機による方法、ディスペンサによる方法を採用できる。
【0027】
溶融工程においては、配線基板1を加熱して、はんだ粉末21を溶融させる。
配線基板1を、リフロー装置などを用いて加熱すれば、はんだ粉末21の表面酸化膜がフラックス22に含まれる活性成分によって還元されることで、表面酸化膜が除去される。図4では、簡潔に説明するために、配線基板1上に搭載された電子部品の図示を省略している。
リフロー装置の条件は、特に限定されず、はんだ粉末の種類などに応じて適宜設定できる。
リフロー装置におけるプリヒート温度は、はんだの融点よりも70℃低い温度以上であることが好ましく、はんだの融点よりも50℃低い温度以上であることがより好ましく、はんだの融点よりも30℃低い温度以上であることが特に好ましい。
リフロー装置におけるピーク温度は、はんだの融点以上であることが好ましく、はんだの融点よりも10℃高い温度以上であることがより好ましく、はんだの融点よりも20℃高い温度以上であることが特に好ましい。
【0028】
前記溶融工程においては、プリヒート時に、フラックス22の還元作用により、電極12の表面およびはんだ粉末21の表面の酸化膜が除去される(図4参照)。接触するはんだ粉末21や電極12の表面と金属接合し、その後拡散が進み粒子の合一が進行する(図5および図6参照)。この時、反応性生物として水と、ロジンと金属の反応物(金属塩23)が生成する(図6参照)。また、合一の進行に伴い、はんだ粉末21の分布に粗密が生じ、密の部位にはんだ粉末21が集まり始める(図7参照)。はんだの融点に達すると、一気に拡散でつながっていたはんだ粉末21同士は凝集・合一し、一塊の大きな粒子となる(図8参照)。
なお、溶融したはんだの表面には、溶媒の蒸発により溶解できなくなった金属塩23が付いており、これが立体障害となり、個々に粒成長したはんだ粉末21の更なる合一を抑制することになる。
その後、配線基板1を冷却して残渣洗浄して、はんだバンプ3以外のはんだ粉末21を除去する。
以上のようにして、電極12上にはんだバンプ3を形成することができる。
【0029】
本発明のはんだバンプの形成方法は、前記供給工程と、前記溶融工程とを備える方法であるが、はんだ組成物2が、以下説明する条件を満たすものであることが必要である。
すなわち、電極12間の平均間隙をW(μm)、はんだ粉末21の(初期の)平均粒子径をD(μm)、およびフラックス22の酸価をAV(mgKOH/g)とした場合に、下記数式(1)で表される条件を満たし、かつ、前記平均間隙が35μm以下の場合には、下記数式(2)で表される条件を満たし、前記平均間隙が35μmを超える場合には、下記数式(3)で表される条件を満たすことが必要である。
D ≦ 0.2×W ・・・(1)
(0.5×W)+3 ≦ AV ≦ (0.5×W)+13 ・・・(2)
0.75×W ≦ AV ≦ 1.5×W ・・・(3)
【0030】
なお、電極12間の平均間隙は、電極12の直径などと、電極ピッチとの関係から算出することができる。
例えば、電極12の形状が図1に示すように円形状である場合には、電極ピッチの値から電極12の直径の値を減じることで算出できる。また、図1に示すWを測定し、その平均値を算出してもよい。
さらに、電極12の形状が図2に示すように四角形状である場合には、電極ピッチの値から電極12の短辺の値を減じることで算出できる。また、図2に示すWを測定し、その平均値を算出してもよい。
はんだ粉末21の平均粒子径は、動的光散乱式の粒子径測定装置により測定できる。
フラックス22の酸価は、試料1gに含まれている遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムを求めることで測定できる。
【0031】
はんだ粉末21の平均粒子径が前記数式(1)の条件を満たさない場合には、ブリッジの発生を抑制できない。また、ブリッジの抑制の観点から、はんだ粉末21の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
【0032】
電極12同士の平均間隙が35μm以下の場合において、フラックス22の酸価が前記数式(2)の条件を満たさない場合には、ブリッジの発生と、はんだ量不足の不良とを同時に抑制することはできない。また、ブリッジの抑制とはんだ量不足の解消との両立の観点から、下記数式(2A)を満たすことがより好ましい。
(0.5×W)+5 ≦ AV ≦ (0.5×W)+11 ・・・(2A)
【0033】
電極12同士の平均間隙が35μmを超える場合において、フラックス22の酸価が前記数式(3)の条件を満たさない場合には、ブリッジの発生と、はんだ量不足の不良とを同時に抑制することはできない。また、ブリッジの抑制とはんだ量不足の解消との両立の観点から、下記数式(3A)を満たすことがより好ましい。
0.8×W ≦ AV ≦ 1.3×W ・・・(3A)
【0034】
以上のような実施形態によれば、電極ピッチが非常に狭い場合にも、ブリッジの発生を抑制するとともに、はんだ量不足やはんだ未着の不良を抑制できる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0035】
次に、本発明を実施例、比較例および参考例などによりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例、比較例および参考例にて用いた材料を以下に示す。
ロジン系樹脂A:ロジン誘導体(平均酸価:150mgKOH/g、軟化点:85〜95℃)商品名「FG−90」、ハリマ化成社製
ロジン系樹脂B:ロジンをアクリル酸にて酸変性したもの(平均酸価:180mgKOH/g、軟化点:85〜95℃)、タムラ製作所社製
ロジン系樹脂C:ロジンを酸変性したもの(平均酸価:238mgKOH/g、軟化点:124〜134℃)、商品名「KE−604」、荒川化学工業社製
ロジンエステル化合物:不均化ロジングリセリンエステル(平均酸価:5mgKOH/g未満、軟化点:95〜105℃)、商品名「GEDIR−100M」、三菱油化商事社製
溶剤:ヘキシルジグリコール
チクソ剤:ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、商品名「スリパックスZHH」、日本化成社製
消泡剤:商品名「フローレンAC−303」、共栄社化学社製
はんだ粉末A:平均粒子径が3.7μmで、融点が217℃で、組成が96.5Sn/3Ag/0.5Cuのもの
はんだ粉末B:平均粒子径が3.7μmで、融点が227℃で、組成が99.3Sn/0.7Cuのもの
はんだ粉末C:平均粒子径が2.4μmで、融点が217℃で、組成が96.5Sn/3Ag/0.5Cuのもの
はんだ粉末D:平均粒子径が11μmで、融点が217℃で、組成が96.5Sn/3Ag/0.5Cuのもの
【0036】
[実施例1]
ロジン系樹脂A16質量%、ロジンエステル化合物37質量%、溶剤40質量%、チクソ剤6質量%および消泡剤1質量%を容器に投入し、らいかい機を用いて混合してフラックスを得た。
その後、得られたフラックス12質量%、およびはんだ粉末A88質量%を容器に投入し、混練機にて2時間混合することではんだ組成物を調製した。
そして、得られたはんだ組成物を、配線基板(絶縁基材:シリコン基材(Si)、電極材質:ラミネート銅(LMCu)、電極形状:円形状、電極ピッチ:80μm、電極直径:50μm、電極間の間隙:30μm)上の電極が設けられた領域に、印刷機にて印刷する。その後、リフロー炉(タムラ製作所「TNR25−53PH」)ではんだ組成物を溶解させて、さらに、配線基板の表面を残渣洗浄して、配線基板上の電極上にはんだバンプを形成した。ここでのリフロー条件は、プリヒート温度が160℃(75秒間)で、温度220℃以上の時間が30秒間以上50秒以内で、ピーク温度が240℃で、酸素濃度が100ppmで、搬送速度が0.8m/分である。
なお、リフロー後の配線基板の表面の状態を図9に示し、残渣洗浄後の配線基板の表面の状態を図10に示す。
【0037】
[実施例2、3および5〜9]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、はんだ組成物を得た。そして、表1に示す配線基板を用い、表1に示すリフロー条件ではんだ組成物を溶融させた以外は、実施例1と同様にして電極上にはんだバンプを形成した。
なお、表1中において、GEは、ガラスエポキシ基材を示し、EBCuは、電子線蒸着銅を示す。
[比較例1〜6
表2に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、はんだ組成物を得た。そして、表2に示す配線基板を用い、表2に示すリフロー条件ではんだ組成物を溶融させた以外は、実施例1と同様にして電極上にはんだバンプを形成した。
【0038】
<はんだ組成物およびはんだバンプの評価>
はんだ組成物の評価(フラックスの酸価)およびはんだバンプの評価(平均高さ、標準偏差、外観)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1および表2に示す。なお、電極形状が円形状でない場合には、はんだバンプの平均高さおよび標準偏差は測定しなかった。
(1)フラックスの酸価
はんだ組成物を量りとり、溶剤にて溶解させる。そして、フェノールフタレイン溶液を指示薬として0.5mol/L・KOHにて滴定した。
(2)平均高さ、および、(3)標準偏差
はんだバンプを形成した配線基板を試料とする。はんだバンプの高さを測定し、その平均高さおよび標準偏差を算出した。
(4)外観
はんだバンプを形成した配線基板を試料とする。試料の外観を拡大鏡にて観察する。そして、はんだバンプの状態を以下の基準に基づいて判定した。
○:はんだ量は十分であり、ブリッジは発生していない。
×:はんだ量が足りない箇所はあるが、ブリッジは発生していない。
××:ブリッジが発生している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
表1および表2に示す結果からも明らかなように、本発明のはんだ組成物を用いた場合(実施例1〜3および5〜9)には、ブリッジの発生を抑制するとともに、はんだ量不足やはんだ未着の不良を抑制できることが確認された。
一方で、フラックスが前記(A)成分を含有しないものを用いた場合(比較例1)には、ブリッジの発生、はんだ量不足やはんだ未着の不良を十分には抑制できなかった。
また、はんだバンプを形成するにあたり、前記数式(1)〜(3)の条件を満たさない場合(比較例2〜6)には、ブリッジの発生、はんだ量不足やはんだ未着の不良を抑制できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のはんだバンプの形成方法は、はんだを介して配線基板と電子部品とを接合する技術として有用である。
【符号の説明】
【0043】
1…配線基板
12…電極
2…はんだ組成物
21…はんだ粉末
22…フラックス
3…はんだバンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10