(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明中の方向は図中の矢印方向を基準としている。
図1に示す車両用シート10は、車両床面に対して直接又は間接的に取り付けられるシートクッション11と、シートクッション11の後部に対して回転可能に接続したシートバック(図示略)とを備えるリクライニングシートである。車両用シート10のシートクッション11の下面の前端部にはマニュアル式オットマン装置13(駆動装置)が取り付けてある。
【0018】
オットマン装置13は以下に説明する構造である。
オットマン装置13は左右一対の固定部14A、14Bを具備している。左右の固定部14A、14Bに形成した円形孔には、左右方向に延びる円柱形状の連結軸16の両端部がそれぞれ回転可能に嵌合している。連結軸16の2カ所には、断面形状がコ字形状をなす固定部側上部リンク17の左右両側壁に形成した結合用凹部17aがそれぞれ固定状態で嵌合している。また左右の固定部14A、14Bには、左右一対の固定部側下部リンク18の一方の端部が左右方向に伸びる一対の回転接続ピン20によってそれぞれ回転可能に接続している。図示するように固定部側上部リンク17と固定部側下部リンク18は側面視においてほぼ平行であり、側面視における固定部側下部リンク18の長さは固定部側上部リンク17のほぼ半分である。固定部側上部リンク17の両側壁の中間部と左右の固定部側下部リンク18の他方の端部には、固定部側上部リンク17及び固定部側下部リンク18と異なる方向に伸びる左右一対のオットマン側後部リンク21の中間部と一方の端部がそれぞれ、共に左右方向に延びかつ左右一対の回転接続ピン22、23によって回転可能に接続してある。固定部側上部リンク17の両側壁の他方の端部には、オットマン側後部リンク21とほぼ平行なオットマン側前部リンク24の左右両側壁の一方の端部がそれぞれ、左右方向に延びる左右一対の回転接続ピン25によって回転可能に接続してある。
連結軸16、固定部側上部リンク17、固定部側下部リンク18、回転接続ピン20、オットマン側後部リンク21、回転接続ピン22、23、オットマン側前部リンク24、回転接続ピン25がリンク機構からなるオットマン変位機構15(移動機構)の構成要素である(左側の固定部側下部リンク18、オットマン側後部リンク21と右側の固定部側下部リンク18、オットマン側後部リンク21は互いに同期しながら回転する)。オットマン変位機構15は、
図1、
図2に示す短縮状態、
図3、
図4に示す最大展開状態、及び、短縮状態と最大展開状態の間の各状態に変形可能である。
【0019】
オットマン変位機構15の左右のオットマン側後部リンク21及びオットマン側前部リンク24の前端部にはオットマン32(移動体)が取り付けてある。オットマン32は、左右方向に長い矩形形状のベース板33と、ベース板33の表面及び周面に固着したクッション35(
図1、
図2の仮想線参照)と、を具備している。
ベース板33の左右両側の固定ブラケット33aには、オットマン側前部リンク24の左右両側壁の端部が左右方向に延びる左右一対の回転接続ピン37によって回転可能に接続してある。またベース板33の固定ブラケット33aには、左右のオットマン側後部リンク21の端部が左右方向に延びる左右一対の回転接続軸39によって回転可能に接続してある。このようにオットマン32はオットマン変位機構15(オットマン側後部リンク21、オットマン側前部リンク24)に回転可能に支持されているので、オットマン変位機構15の短縮動作及び展開動作に連動して固定部14A、14Bに対する前後方向距離を変化させる。即ち、オットマン変位機構15が上記短縮状態にあるときオットマン32は
図1、
図2に示す格納位置(初期位置)に位置し、短縮状態にあるオットマン変位機構15が前方に向かって伸張するとオットマン32は使用領域(格納位置より前方の領域)に移動する。そしてオットマン変位機構15が前方に向かって最大限伸張したときに、オットマン32は
図3、
図4、
図6に示す前端位置(使用領域の前端位置)に位置する。
【0020】
右側の固定部14Aの内側面にはロック手段40が取り付けてある。このロック手段40は、シートクッション11とシートバックの回転接続部にも適用可能な周知のものである。そのためロック手段40の詳細な説明は省略するが、その構造を簡単に説明すると、大きな構成要素としてベースプレート41、ギヤプレート42、回転中心軸43、可動ロック部材、及び、バネを具備している。円盤状のベースプレート41は、その右側面に形成した凸部を固定部14Aに形成した結合孔14A1に嵌合することにより、固定部14Aに対して固定してある。ベースプレート41の左側面に形成された円形凹部(環状壁によって囲まれた空間)には、ベースプレート41より小径の円盤状部材であるギヤプレート42が相対回転可能に嵌合しており、ベースプレート41及びギヤプレート42の外周部は互いに径方向に対向している。ギヤプレート42の内周面全体には、(数十個又は100個以上の多数のギヤ歯を周方向に並べた構造である)内歯ギヤが形成してある。ベースプレート41とギヤプレート42の中心部には、左右方向に延びかつ該中心部を貫通する回転中心軸43が相対回転可能に支持してある。ベースプレート41の上記円形凹部には、ベースプレート41に対して相対回転不能かつ径方向に相対移動可能な可動ロック部材が配設してある。可動ロック部材は外歯ギヤ(ギヤプレート42の内歯ギヤより少ない数のギヤ歯を有する)を具備している。可動ロック部材は、回転中心軸43の回転動作に連動して、外歯ギヤがギヤプレート42の内歯ギヤと噛合するロック位置と、内歯ギヤから内周側に離間するアンロック位置との間を、ベースプレート41に対して径方向に相対移動可能であり、図示を省略したバネの付勢力によってロック位置側に付勢されている。従って、可動ロック部材がロック位置に位置するときは、ベースプレート41とギヤプレート42は相対回転不能であるが、バネの付勢力に抗して回転中心軸43を一方向に回転させると可動ロック部材がアンロック位置に移動するので、ベースプレート41とギヤプレート42が相対回転可能になる。
固定部14Aの右側には、その一端部(基端部)を回転中心軸43の右端部に固定した回転レバー45が配設してあり、回転レバー45の他端部(先端部)には操作ワイヤ46の一端が接続している。操作ワイヤ46の他端には図示を省略した操作ノブ(手動操作手段)が取り付けてある。操作ノブを操作しないとき(初期位置に位置するとき)ロック手段40は上記バネの付勢力によってロック状態に保持され(可動ロック部材がロック位置に位置する)、上記バネの付勢力に抗して操作ノブを操作すると(操作位置に移動させると)ロック手段40はアンロック状態になる(可動ロック部材がアンロック位置に位置する)。
【0021】
ギヤプレート42の左側面にはロック手段側リンク機構48が連係している。ロック手段側リンク機構48は、ブラケット49(第1リンク50)、第2リンク51、連結ピン52、第3リンク53(結合用凹部54)、及び、連結ピン55を具備するものである。
ギヤプレート42の左側面に固定したブラケット49には第1リンク50が一体的に突設してある。第1リンク50は、ブラケット49に比べて一段右側に位置している。第1リンク50の先端部の右側には、直線的に延びる板状の第2リンク51の一端部が位置しており、第1リンク50の先端部と第2リンク51の一端部は左右方向に延びる連結ピン52によって回転可能に接続してある。第2リンク51の他端部の左側には、左右方向位置が第1リンク50と一致している板状の第3リンク53の一端部が位置しており、第2リンク51の他端部と第3リンク53の一端部は左右方向に延びる連結ピン55によって回転可能に接続してある。第3リンク53には結合用凹部54が凹設してあり、結合用凹部54は連結軸16に嵌合固定してある(
図6参照)。
このようにロック手段側リンク機構48はロック手段40を介して固定部14Aとオットマン変位機構15(連結軸16)を連係しているので、ロック手段側リンク機構48の動きはオットマン変位機構15の動きと連係する。即ち、オットマン変位機構15が
図1、
図2に示す短縮状態にあるときロック手段側リンク機構48は
図2に示す折畳状態となり、オットマン変位機構15が
図3、
図4に示す最大展開状態にあるときロック手段側リンク機構48は
図4に示す最大伸張状態となる。ただし、ロック手段側リンク機構48はオットマン変位機構15の動き(連結軸16の回転)に追従するだけであり、ロック手段側リンク機構48側からオットマン変位機構15(連結軸16)へ回転力を伝達することはない。
またロック手段40がロック状態にあるとき(可動ロック部材がロック位置に位置するとき)ロック手段側リンク機構48は動作不能となり、ロック手段側リンク機構48と連係しているオットマン変位機構15も動作不能になる。そのためロック手段40をロック状態にすることにより、オットマン変位機構15の状態及びオットマン32の位置を保持できる。
【0022】
左側の固定部14Bの内側面と連結軸16の間には、第1リンク58(第2回転リンク)、連結ピン59(回転軸)、係合ピン60(係合部材)、第2リンク61(第1回転リンク)、回転支持ピン63(回転軸)、第3リンク65、連結ピン66、第4リンク67、及び、連結ピン69を具備するバネ手段側リンク機構57(伝達リンク機構)が設けてある。
板状の第1リンク58の一端部は、左右方向に延びる連結ピン59によって、固定部14Bの内側面に対して回転可能に取り付けてある。図示するように第1リンク58には、その一部を切り欠くことによりバネ接続片58aが形成してある。また第1リンク58の連結ピン59と反対側の端部には、左側に向かって突出する略円柱形状の係合ピン60が固定してある。第1リンク58の他端部の左側には、板状の第2リンク61の一端部が位置している。第2リンク61には、第2リンク61の長手方向に延びる長孔からなる係合孔62が形成してあり、係合孔62には係合ピン60がスライド自在に係合している。係合ピン60の係合孔62に対する係合部位の径は係合孔62の幅と略同一なので、係合ピン60は係合孔62に対してがたつくことなくスライドする。第2リンク61は、第2リンク61を貫通しかつ左右方向に延びる回転支持ピン63に対して回転可能であり、回転支持ピン63の左端部は固定部14Bに固定してある。第2リンク61の他端部の左側には、板状の第3リンク65の一端部が位置している。第2リンク61の他端部と第3リンク65の一端部は左右方向に延びる連結ピン66によって回転可能に接続してある。第3リンク65の他端部の左側には、第3リンク53とほぼ同じ形状である第4リンク67の一端部が位置しており、第3リンク65の他端部と第4リンク67の一端部は左右方向に延びる連結ピン69によって回転可能に接続してある。第4リンク67の結合用凹部68は、連結軸16の軸線方向の左端部近傍に嵌合固定してある(
図6参照)。
バネ手段側リンク機構57はロック手段側リンク機構48と実質的に同期しながら動作する。そのためオットマン変位機構15が
図1、
図2に示す短縮状態にあるときバネ手段側リンク機構57は
図1に示す折畳状態となり、オットマン変位機構15が
図3、
図4に示す最大展開状態にあるときバネ手段側リンク機構57は
図3に示す最大伸張状態となる。
【0023】
固定部14Bの周縁部には取付用ブラケット71が一体的に突設してあり、取付用ブラケット71にはゼンマイ式(渦巻き状)のバネ手段73の一端部(内周側端部)が固定してある。さらにバネ手段73の他端部(外周側端部)は第1リンク58のバネ接続片58aに固定してある。
図2、
図4に示すようにバネ手段側リンク機構57(及び、オットマン変位機構15、ロック手段側リンク機構48)がいかなる状態にあるときも、側面視において連結ピン59はバネ手段側リンク機構57の中心部に位置する(
図2、
図4参照)。
バネ手段73は自由状態から縮径方向に弾性変形可能であり、縮径方向への弾性変形状態を解除すると自由状態に戻ろうとし、このときに回転付勢力を発生する。バネ手段73が縮径状態から自由状態へ戻ることにより発生する回転付勢力の方向は
図2、
図4の時計方向であるため、ロック手段40がアンロック状態になると(可動ロック部材がアンロック位置に位置すると)、バネ手段73の回転付勢力によってバネ手段側リンク機構57は最大伸張状態側に変形する。またバネ手段73の弾性変形量(回転付勢力)は、バネ手段側リンク機構57が
図1、
図2に示す折畳状態にあるとき(オットマン変位機構15が短縮状態にあるとき)が最も大きく、オットマン変位機構15が伸張するにつれて徐々に小さくなり、バネ手段側リンク機構57が
図3、
図4に示す最大伸張状態になったとき(オットマン変位機構15が最大展開状態になったとき)に最も小さくなる。
【0024】
バネ手段側リンク機構57が
図1、
図2に示す折畳状態にあるとき、第1リンク58、第2リンク61、第3リンク65、及び、第4リンク67の位置関係は
図7に示すようになる。ロック手段40をアンロック状態にすることによりバネ手段73の付勢力を第1リンク58に及ぼすと、係合ピン60が係合孔62の一方の内側面(
図7の下方の内側面)を押圧するので、第1リンク58が連結ピン59を中心に
図7の時計方向に回転し、さらに第2リンク61が回転支持ピン63を中心に
図7の時計方向に回転する。このときの係合ピン60と回転支持ピン63の間の直線距離はL1である。
バネ手段側リンク機構57がバネ手段73の付勢力によって伸張し
図8に示す状態になると、係合ピン60と回転支持ピン63の間の直線距離はL2となる。
バネ手段側リンク機構57がバネ手段73の付勢力によってさらに伸張して
図9に示す最大伸張状態になると、係合ピン60と回転支持ピン63の間の直線距離はL3となる。
係合ピン60と係合孔62による第1リンク58の回転力の第2リンク61への伝達効率(以下、「リンク間伝達効率」と呼ぶ)は、係合ピン60と回転支持ピン63の間の直線距離と比例する。本実施形態では係合ピン60と回転支持ピン63の間の直線距離はオットマン32が格納位置から使用領域の前端位置に移動するのに伴って徐々に大きくなり、L1、L2、L3の間にL1<L2<L3の関係が成立する。そのためリンク間伝達効率は、オットマン32が格納位置に位置するとき(バネ手段側リンク機構57が折畳状態にあるとき)が最も低く、オットマン32が前方に移動するにつれて徐々に大きくなり、オットマン32が使用領域の前端位置するとき(バネ手段側リンク機構57が最大伸張状態にあるとき)に最も高くなる。
【0025】
以上説明した構成のオットマン装置13は、左右の固定部14A、14Bをシートクッション11の下面の前端部に対してボルト等によってそれぞれ固定することにより、車両用シート10に取り付けることが可能である(
図1参照)。
【0026】
続いてオットマン装置13の動作について説明する。
オットマン32が
図1、
図2に示す格納位置に位置し(オットマン変位機構15が短縮状態にあり)、かつ、操作ノブを操作しないとき(操作ノブが上記初期位置に位置し、ロック手段40がロック状態にあるとき)、オットマン32は
図1、
図2に示すように水平方向に対して略直交する状態に保持される。
乗客が手等で操作ノブを操作する(上記操作位置に移動させる)ことによりロック手段40がアンロック状態になると、バネ手段73の回転付勢力によって折畳状態にあったバネ手段側リンク機構57(及びロック手段側リンク機構48)が伸張するので、バネ手段側リンク機構57(及びロック手段側リンク機構48)の動きに連動して、短縮状態にあったオットマン変位機構15が前方に伸張する。そしてオットマン32が所望の位置(使用領域の任意の位置)に到達したときに乗客が操作ノブへの操作力を解除すると(操作ノブが初期位置に戻ると)、ロック手段40の上記バネの付勢力によってロック手段40がロック状態に復帰するので、ロック手段40によってオットマン32が当該所望位置に保持される。
またオットマン32が当該所望位置に移動した後に、操作ノブを操作することによりロック手段40をアンロック状態にした上で、バネ手段73の付勢力に抗してオットマン32を後方に押圧すると、オットマン変位機構15が短縮してオットマン32が格納位置側に移動する。そしてオットマン32が格納位置まで移動したときにロック手段40をロック状態に戻せば、オットマン32を格納位置に保持できる。
【0027】
上記したようにバネ手段73の弾性変形量は、バネ手段側リンク機構57が
図1に示す折畳状態にあるとき(オットマン32が格納位置に位置するとき)に最大となるので、オットマン32が格納位置に位置するときにロック状態にあったロック手段40をアンロック状態に切り換えると、バネ手段73が発生する大きな回転付勢力がバネ手段側リンク機構57(及び、ロック手段側リンク機構48、オットマン変位機構15)に及び、第1リンク58の回転力はP1となる。しかし上記したようにこのときの係合ピン60と係合孔62によるリンク間伝達効率は最も小さいので、このときの第2リンク61の回転トルクT1=P1×L1はそれほど大きな値にはならない。そのため、格納位置において静止していたオットマン32がバネ手段73の強い付勢力によって急激に使用領域側に移動することはない。
オットマン32が前方に移動してバネ手段側リンク機構57が
図8に示す状態になると、バネ手段73の回転付勢力は減少する。しかし、このときのリンク間伝達効率は
図7のときより大きくなるので、このときの第1リンク58の回転力をP2(<P1)とすると、このときの第2リンク61の回転トルクT2=P2×L2がT1から大幅に低下することはない。オットマン32がさらに前方に移動してバネ手段側リンク機構57が
図9に示す最大伸張状態になると、バネ手段73の回転付勢力はさらに減少する。しかし、このときのリンク間伝達効率は
図8のときよりさらに大きくなるので、このときの第1リンク58の回転力をP3(<P2)とすると、このときの第2リンク61の回転トルクT3=P3×L3がT1、T2から大幅に低下することはない。従って、バネ手段側リンク機構57が最大伸張状態に近づくにつれてバネ手段73の回転付勢力が徐々に低下するものの、オットマン32を前端位置まで円滑に(素早く)移動させることが可能である。
また、互いに係合する係合孔62と係合ピン60とにより第2リンク61の回転トルクの制御を行っているので、第2リンク61の回転トルクを確実に制御できる。
【0028】
また本実施形態のオットマン装置13は、ロック手段40をロック手段側リンク機構48を介してオットマン変位機構15に接続しているので、ロック手段40をオットマン変位機構15の周辺(側面視においてオットマン変位機構15と重なる部分とは異なる場所)に配置できる。そのため(一般的に狭い空間しか存在しない)オットマン変位機構15と重なる部分にロック手段40を配置する場合に比べて、ロック手段40を簡単に取り付けることが可能である。
さらにオットマン装置13は、ロック手段40及びバネ手段73をリンク機構(ロック手段側リンク機構48、バネ手段側リンク機構57)を介してオットマン変位機構15に接続しているので、ロック手段40及びバネ手段73をオットマン変位機構15の周辺(側面視においてオットマン変位機構15と重なる部分とは異なる場所)に配置できる。そのためオットマン変位機構15と重なる部分(狭い空間しか存在しない部分)にロック手段40及びバネ手段73を配置する場合に比べて、ロック手段40及びバネ手段73を簡単に取り付けることができる。
またオットマン装置13は、固定部14Bとバネ手段側リンク機構57の間にバネ手段73を設けているので、固定部14A、14Bを車両用シート10に対して固定するだけで車両用シート10に対して取り付けることが可能である。そのためオットマン32を移動付勢するバネ手段73を具備する構造でありながら、車両用シート10側への取り付けを容易に行うことが可能である。
【0029】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば
図10、
図11に示す第一の変形例の態様で実施することが可能である。
このマニュアル式オットマン装置75(駆動装置)の第2リンク61に形成した係合孔76は側面視略円弧形状である。
係合孔76の一端側の領域(オットマン32が格納位置と格納位置近傍の第一中間位置の間に位置するときに係合ピン60が係合する領域。第一領域)の長手方向と略平行な直線をLA、他端側の領域(オットマン32が前端位置と前端位置近傍の第二中間位置の間に位置するときに係合ピン60が係合する領域。第二領域)の長手方向と略平行な直線をLB、オットマン32が格納位置に位置するときの係合ピン60の移動方向(第1リンク58の回転方向の接線方向)をDA、オットマン32が前端位置に位置するときの係合ピン60の移動方向(第1リンク58の回転方向の接線方向)をDB、オットマン32が格納位置に位置するときのLAとDAがなす角度をθA、オットマン32が前端位置に位置するときのLBとDBがなす角度をθBとすると、
θA>θBの関係が成立する。
従って、オットマン32が格納位置から前方に移動するときの係合ピン60と係合孔62の間の摩擦抵抗力が大きくなり、オットマン32が前端位置まで移動したときの係合ピン60と係合孔62の間の摩擦抵抗力が小さくなる。そのため、格納位置において静止していたオットマン32がバネ手段73の強い付勢力によって急激に使用領域側に移動することをより確実に防止でき、かつ、オットマン32の前端位置(近傍)における円滑な移動をより確実に実現できる。
なお、θA>θBの関係が成立する非直線形状であれば係合孔の形状は
図10、
図11のものに限定されない。例えば
図12に示すように直線的に延びる二つの部位を接続した形状(円弧ではない形状)である第二の変形例の係合孔77としたり、
図13に示すように全体として略台形をなす第三の変形例の係合孔78としてもよい。
さらに係合孔62、76、77、78を第1リンク58側に設けて、係合ピン60を第2リンク61側に固定してもよい。この場合は、オットマン32が格納位置から使用領域の前端位置側に移動するにつれて連結ピン59から係合ピン60までの距離が徐々に短くなるように、係合孔62、76、77、78の第1リンク58に対する形成位置及び形状、並びに、係合ピン60の第2リンク61に対する取付位置を設定する。
【0030】
また、ロック手段側リンク機構48からブラケット49(第1リンク50)を省略して、第2リンク51の端部を連結ピン52を介してギヤプレート42に回転可能に接続してもよい。
また、固定部14Aと固定部14Bを一体化することにより、一つの部材によって固定部を構成してもよい。
【0031】
また、ゼンマイ式のバネ手段73とはタイプの異なるバネ手段(例えばコイルバネ、板バネ等)を固定部(またはリンク等の移動部材)とバネ手段側リンク機構の間に設けてもよい(これらのバネ手段の両端部を固定部(またはリンク等の移動部材)と第1リンク58にそれぞれ接続してもよい)。
【0032】
図14、
図15に開示した第四の変形例のマニュアル式オットマン装置85(駆動装置)は、バネ手段73とはタイプの異なるバネ手段を適用した変形例の一例である。
左側の固定部14Bの内側面と連結軸16の間には、第1リンク87、第2リンク89、バネ取付ピン90、回転支持ピン91、第3リンク92、連結ピン93、第4リンク94、連結ピン95、連結ピン96、第5リンク97、及び、連結ピン99を具備するバネ手段側リンク機構86が設けてある。
板状の第1リンク87には第1リンク87の長手方向に延びる長孔からなる係合孔88が形成してある。第1リンク87の左側には板状かつ第1リンク87と同じ長さの第2リンク89が位置しており、第2リンク89の一端部に形成した貫通孔には左右方向に延びるバネ取付ピン90が嵌合固定してある。第1リンク87及び第2リンク89の中間部どうしは互いに左右方向に重なっており、第1リンク87及び第2リンク89の当該重なり部分を左右方向に延びる回転支持ピン91が貫通している。回転支持ピン91は第1リンク87及び第2リンク89を相対回転可能に支持しており、回転支持ピン91の左端部は14Bに固定状態で支持してある。第1リンク87の一端部の左側には、板状の第3リンク92の一端部が位置しており、第1リンク87の一端部と第3リンク92の一端部を左右方向に延びる連結ピン93が相対回転可能に接続している。第2リンク89及び第3リンク92の左側には第3リンク92より短い板状の第4リンク94が位置している。第2リンク89の他端部(バネ取付ピン90と反対側の端部)と第4リンク94の一端部を左右方向に延びる連結ピン95が相対回転可能に接続しており、第3リンク92の中間部と第4リンク94の他端部を左右方向に延びる連結ピン96が相対回転可能に接続している。第3リンク92の他端部(連結ピン93と反対側の端部)の右側には、ロック手段側リンク機構48の第3リンク53とほぼ同じ形状である第5リンク97の一端部が位置しており、第3リンク92の他端部と第5リンク97の一端部は左右方向に延びる連結ピン99によって回転可能に接続してある。第5リンク97の結合用凹部98は、連結軸16の軸線方向の左端部近傍に嵌合固定してある。
第1リンク87の他端部(連結ピン93と反対側の端部)から回転支持ピン91までの直線距離とバネ取付ピン90から回転支持ピン91までの直線距離は同じ距離aである。また回転支持ピン91から連結ピン95までの直線距離と回転支持ピン91から連結ピン93までの直線距離は同じ距離bであり、距離bは距離aより短い。さらに連結ピン93から連結ピン96までの直線距離と連結ピン95から連結ピン96までの直線距離は同じである。
バネ手段側リンク機構86はロック手段側リンク機構48と実質的に同期しながら動作する。即ち、オットマン変位機構15が短縮状態にあるときバネ手段側リンク機構86は
図14に示す折畳状態となり、オットマン変位機構15が最大展開状態にあるときバネ手段側リンク機構86は
図15に示す最大伸張状態となる。
【0033】
バネ取付ピン90には引張バネ100(バネ手段)の一端が取り付けてあり、引張バネ100の他端には係合ピン60が取り付けてある。係合ピン60は係合孔88に対してスライド自在に係合している。係合ピン60の係合孔88に対する係合部位の径は係合孔88の幅と略同一なので、係合ピン60は係合孔88に対してがたつくことなくスライドする。バネ手段側リンク機構86が
図14に示す折畳状態にあるとき引張バネ100は自由状態から大きく伸張しているため、引張バネ100は第1リンク87と第2リンク89を互いに近づける方向に付勢する。しかしロック手段40がロック状態にあるとき第1リンク87と第2リンク89は
図14に示す位置に保持される。バネ手段側リンク機構86が
図14に示す折畳状態にあるときの係合ピン60と回転支持ピン91の間の直線距離はL4である。
一方、ロック手段40がアンロック状態になると、引張バネ100の付勢力(引張力)によってバネ手段側リンク機構86は最大伸張状態側に変形する。また引張バネ100の弾性変形量(付勢力。引張バネ100の全長)は、バネ手段側リンク機構86が
図14に示す折畳状態にあるとき(オットマン変位機構15が短縮状態にあるとき)が最も大きく、オットマン変位機構15が伸張するにつれて徐々に小さくなり、バネ手段側リンク機構86が
図15に示す最大伸張状態になったとき(オットマン変位機構15が最大展開状態になったとき)に最も小さくなる。係合ピン60と回転支持ピン91の間の直線距離はオットマン32が格納位置から使用領域の前端位置に移動するのに伴って徐々に大きくなり、バネ手段側リンク機構57が
図15に示す最大伸張状態になったときの直線距離はL5(>L4)となる。
【0034】
以上説明した構成のオットマン装置85は、左右の固定部14A、14Bをシートクッション11の下面の前端部に対してボルト等によってそれぞれ固定することにより、車両用シート10に取り付けることが可能である。
【0035】
続いてオットマン装置85の動作について説明する。
オットマン32が
図14に示す格納位置に位置し(オットマン変位機構15が短縮状態にあり)、かつ、操作ノブを操作しないとき(操作ノブが上記初期位置に位置し、ロック手段40がロック状態にあるとき)、オットマン32は
図14に示すように水平方向に対して略直交する状態に保持される。
乗客が手等で操作ノブを操作する(上記操作位置に移動させる)ことによりロック手段40がアンロック状態になると、引張バネ100の付勢力によって折畳状態にあったバネ手段側リンク機構86(及びロック手段側リンク機構48)が伸張するので、バネ手段側リンク機構86(及びロック手段側リンク機構48)の動きに連動して、短縮状態にあったオットマン変位機構15が前方に伸張する。そしてオットマン32が所望の位置(使用領域の任意の位置)に到達したときに乗客が操作ノブへの操作力を解除すると(操作ノブが初期位置に戻ると)、ロック手段40の上記バネの付勢力によってロック手段40がロック状態に復帰するので、ロック手段40によってオットマン32が当該所望位置に保持される。
またオットマン32が当該所望位置に移動した後に、操作ノブを操作することによりロック手段40をアンロック状態にした上で、引張バネ100の付勢力に抗してオットマン32を後方に押圧すると、オットマン変位機構15が短縮してオットマン32が格納位置側に移動する。そしてオットマン32が格納位置まで移動したときにロック手段40をロック状態に戻せば、オットマン32を格納位置に保持できる。
【0036】
以上説明した第四の変形例のオットマン装置85も、引張バネ100の付勢力はオットマン32が格納位置に位置するときに最大となり、オットマン32が前端位置に向かうにつれて徐々に減少する。しかしL4<L5であるため、引張バネ100の付勢力を受ける係合ピン60の移動力の第1リンク87(係合孔88)への伝達効率は、
図14のときに最小となり、
図15のときに最大となる。
そのため上記実施形態と同様に格納位置において静止していたオットマン32が引張バネ100の強い付勢力によって急激に使用領域側に移動することを防止でき、かつ、オットマン32の前端位置(近傍)における円滑な移動を実現できる。
なお、第2リンク89、第4リンク94、及び、連結ピン95、96を省略し、(図示形状より大型化した)固定部14Bに引張バネ100の一端(係合ピン60と反対側の端部)を取り付けてもよい。
【0037】
さらに取付用ブラケット71を固定部14Bとは別体として成形した上で、この取付用ブラケット71を固定部14Bに固定してもよい。
さらにオットマン変位機構15を、リンクの数や配置或いは各リンクの具体的形状を変更することにより別の構造からなるリンク機構としてもよい。
また、連結軸16や固定部側上部リンク17に、ロック手段側リンク機構48の構成要素である第3リンク53や、付勢手段側リンク機構の構成要素である第4リンク67に相当するリンク(突片)を一体的に成形してもよい。またギヤプレート42に、ロック手段側リンク機構48の構成要素であるブラケット49(第1リンク50)を一体的に形成してもよい。
【0038】
また第3リンク53(結合用凹部54)を、オットマン変位機構15における連結軸16の軸線方向の中央点や中央点よりやや左側に固定してもよい。
さらに、ギヤプレート42の内歯ギヤの歯数と同じ数の位置にオットマン32を選択的に保持できる上記ロック手段40の代わりに、保持位置が少ないロック手段を利用してもよい。この種のロック手段は、例えば、オットマン変位機構15とオットマン32の一方に形成した複数のロック溝と、他方に設けた各ロック溝に対して選択的に係脱可能なロックピンと、により構成できる。
さらに本発明はオットマン装置とは別の車両シート用移動体の駆動装置にも適用可能である。例えば、シート本体に対して(格納位置と使用位置との間を)移動可能なテーブル(移動体)を移動させるための駆動装置や、ランバーサポートのシートバッククッションを押すためのプレート(移動体)を移動させるための駆動装置に適用してもよい。