【実施例】
【0042】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
以下の実施例及び比較例で用いる表面処理剤B及び樹脂の記号は以下の通りである。
【0044】
<表面処理剤B>
HTS:ヘキシルトリメトキシシラン
GPTS:3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン
MPTS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
MHSO:メチルハイドロジェンシリコーンオイル
APTS:3−アミノプロピルトリメトキシシラン
【0045】
<樹脂>
PBT:ポリブチレンテレフタレート(ジュラネックス2002、ウィンテックポリマー株式会社製)
PET:ポリエチレンテレフタレート(ルミラーS10、東レ株式会社製)
LCP:液晶ポリエステル(I型)
66−Nylon:6,6−ナイロン(アミランCM3001−N、東レ株式会社製)
9T−Nylon:(ジェネスタN1000A、株式会社クラレ製)
PC/ABS:(ノバロイS1100、ダイセルポリマー株式会社製)
m−PPE:(ザイロンA0210、旭化成ケミカルズ株式会社製)
【0046】
(実施例1)
〔表面処理炭酸カルシウムの合成〕
平均一次粒子径が0.15μmであり、BET比表面積が10.5m
2/gである合成炭酸カルシウムの10質量%のスラリーを調製し、これを混合攪拌しながら20℃となるように温度調整した。この合成炭酸カルシウムスラリーに、合成炭酸カルシウム100質量部に対して、ピロリン酸が7質量部となるように、ピロリン酸の10質量%希釈水溶液
を添加し、10分間撹拌混合した。その後、脱水・乾燥・粉砕して、表面処理剤Aとしてピロリン酸を処理した表面処理炭酸カルシウム粉体を得た。
【0047】
得られた表面処理炭酸カルシウム粉体を攪拌混合器に入れ、表面処理炭酸カルシウム中の炭酸カルシウム100質量部に対して、表面処理剤BとしてのHTSが1質量部となるようにHTSを添加し、80℃で10分間撹拌混合して、表面処理剤A及び表面処理剤Bで表面処理した表面処理炭酸カルシウムを得た。
【0048】
〔ポリマー組成物の調製〕
得られた表面処理炭酸カルシウムをポリマー中に含有させ、ポリマー組成物を調製した。ポリマーとしては、PBT樹脂を用い、PBT樹脂80質量%、表面処理炭酸カルシウム20質量%の割合で、二軸押出機(東芝機械社製、TEM−37BS)に入れ、溶融混練し、ポリマー組成物としてのPBT樹脂組成物を得た。
【0049】
〔ポリマー組成物の物性の評価〕
得られたポリマー組成物について、以下のようにして、溶融粘度、曲げ強度、曲げ弾性率及びアイゾッド衝撃強度を測定した。
【0050】
(溶融粘度)
高化式フローテスタを用いて、オリフィス(直径1mm、長さ10mm)で、流動開始温度荷重10kg/cm
2、昇温速度1℃/分、溶融粘度荷重20kg/cm
2の条件で測定した。
【0051】
(曲げ強度及び曲げ弾性率)
ISO−178に準拠して、23℃で曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
【0052】
(アイゾッド衝撃強度)
ISO−180に準拠して、23℃でアイゾッド衝撃強度を測定した。
【0053】
(実施例2)
表面処理剤Bとして、HTSに代えてGPTSを用いる以外は、実施例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを調製し、これを用いてポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0054】
(実施例3)
表面処理剤Bとして、HTSに代えてMPTSを用いる以外は、実施例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを調製し、これを用いてポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0055】
(実施例4)
表面処理剤Bとして、HTSに代えてMHSOを用いる以外は、実施例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを調製し、これを用いてポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0056】
(実施例5)
表面処理剤Aとして、ピロリン酸に代えて、メタリン酸を用いる以外は、実施例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを合成し、この表面処理炭酸カルシウムを用いたポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0057】
(実施例6)
炭酸カルシウムとして、平均一次粒子径1μm、BET比表面積3.2m
2/gである重質炭酸カルシウムを用い、ピロリン酸を炭酸カルシウム100質量部に対し5質量部、HTSを0.5質量部表面処理する以外は、実施例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを得た。この表面処理炭酸カルシウムを用いて、実施例1と同様にしてPBT樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0058】
(実施例7)
炭酸カルシウムとして、平均一次粒子径4μm、BET比表面積1.8m
2/gである重質炭酸カルシウムを用い、ピロリン酸を炭酸カルシウム100質量部に対し5質量部、HTSを0.5質量部表面処理する以外は、実施例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを得た。この表面処理炭酸カルシウムを用いて、実施例1と同様にしてPBT樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0059】
(実施例8)
平均一次粒子径が0.02μm、BET比表面積が75.2m
2/gである合成炭酸カルシウムを用いて、炭酸カルシウム100質量部に対して、ピロリン酸8質量部、HTS2質量部となるように実施例1と同様にして表面処理し、表面処理炭酸カルシウムを得た。
【0060】
得られた表面処理炭酸カルシウムを、実施例1と同様にしてPBT樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0061】
(比較例1)
実施例1と同様にして表面処理剤Aとしてピロリン酸を処理した後、表面処理剤Bを処理せずに表面処理炭酸カルシウムとした。
【0062】
この表面処理炭酸カルシウムをPBT樹脂に配合して、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0063】
(比較例2)
表面処理剤Aを表面処理せずに、表面処理剤BとしてのHTSを実施例1と同様にして表面処理し、表面処理炭酸カルシウムを得た。
【0064】
この表面処理炭酸カルシウムをPBT樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0065】
(比較例3)
表面処理剤Aとして、ピロリン酸に代えてオルトリン酸を用いる以外は、実施例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを得た。
【0066】
この表面処理炭酸カルシウムをPBT樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0067】
(比較例4)
ピロリン酸の処理量を、炭酸カルシウム100質量部に対し、14質量部とした以外は、比較例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを得た。
【0068】
この表面処理炭酸カルシウムをPBT樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0069】
(比較例5)
HTSの処理量を、炭酸カルシウム100質量部に対し2質量部とする以外は、比較例2と同様にして表面処理炭酸カルシウムを得た。
【0070】
この表面処理炭酸カルシウムをPBT樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0071】
(比較例6)
実施例1で用いた合成炭酸カルシウムを、表面処理せずに、PBT樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0072】
(比較例7)
実施例7で用いた重質炭酸カルシウムを、表面処理せずに、PBT樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0073】
(参考例)
PBT樹脂に炭酸カルシウムを配合せずに、その物性を評価した。
【0074】
実施例1〜8及び比較例1〜7並びに参考例における、炭酸カルシウムの平均一次粒子径、表面処理に用いた表面処理剤A及び表面処理剤B、並びにポリマー組成物の物性を表1に示す。
【0075】
(実施例9)
実施例1で得られた表面処理炭酸カルシウムを、PET樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0076】
(実施例10)
実施例1で得られた表面処理炭酸カルシウムを、LCP樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0077】
(実施例11)
実施例7で得られた表面処理炭酸カルシウムを、LCP樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0078】
(実施例12)
表面処理剤BとしてHTSに代えてMHSOを用いて表面処理する以外は、実施例7と同様にして表面処理炭酸カルシウムを得た。
【0079】
この表面処理炭酸カルシウムをLCP樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0080】
(実施例13)
実施例1で得られた表面処理炭酸カルシウムを、66−Nylon樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0081】
(実施例14)
表面処理剤BとしてAPTSを用いる以外は、実施例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを得た。
【0082】
この表面処理炭酸カルシウムを66−Nylon樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製
し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0083】
(実施例15)
実施例1で得られた表面処理炭酸カルシウムを、9T−Nylon樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0084】
(実施例16)
実施例14で得られた表面処理炭酸カルシウムを、9T−Nylon樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0085】
(実施例17)
実施例1で得られた表面処理炭酸カルシウムを、PC/ABS樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0086】
(実施例18)
実施例1で得られた表面処理炭酸カルシウムを、m−PPE樹脂に配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0087】
(比較例8〜比較例13)
比較例1で得られた表面処理炭酸カルシウムを、PET樹脂(比較例8)、LCP樹脂(比較例9)、66−Nylon樹脂(比較例10)、9T−Nylon樹脂(比較例11)、PC/ABS樹脂(比較例12)、m−PPE樹脂(比較例13)にそれぞれ配合し、ポリマー組成物を調製し、ポリマー組成物の物性を評価した。
【0088】
実施例9〜18及び比較例8〜13における、表面処理炭酸カルシウムの平均一次粒子径、表面処理剤A、表面処理剤B並びにポリマー組成物の物性を表2に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
表1に示すように、表面処理剤A及び表面処理剤Bを表面処理した表面処理炭酸カルシウムを用いた実施例1は、表面処理剤Aのみを表面処理した比較例1、及び表面処理剤Bのみを表面処理した比較例2に比べ、溶融粘度が低くなっており、曲げ強度、曲げ弾性率及びアイゾッド衝撃強度がそれぞれ高められていることがわかる。
【0092】
また、実施例1と比較例3との比較から明らかなように、表面処理剤Aとして、縮合リン酸ではないオルトリン酸を用いた比較例3では、実施例1のように、溶融粘度が低くならず、曲げ強度、曲げ弾性率及びアイゾッド衝撃強度も高められていないことがわかる。
【0093】
また、ピロリン酸の処理量を2倍に増やした比較例4及びHTSの処理量を2倍にした比較例5も、実施例1のような溶融粘度の低下、曲げ強度、曲げ弾性率及びアイゾッド衝撃強度の向上が認められないことがわかる。
【0094】
実施例2〜4から明らかなように、HTSに代えて、GPTS、MPTS、及びMHSOを用いた場合にも、本発明の効果が得られることがわかる。
【0095】
また、実施例5から明らかなように、ピロリン酸に代えてメタリン酸を用いた場合においても本発明の効果が得られることがわかる。
【0096】
実施例6〜8から明らかなように、炭酸カルシウムの平均一次粒子径を変化させた場合においても、本発明の効果が得られることがわかる。
【0097】
表2の結果から明らかなように、PBT樹脂以外の樹脂を用いた場合においても、溶融粘度を低減し、曲げ強度、曲げ弾性率及びアイゾッド衝撃強度が向上していることがわかる。
【0098】
また、実施例14及び実施例16から明らかなように、表面処理剤Bとして、APTSを用いた場合にも、本発明の効果が得られていることがわかる。