(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に粉体を貯留する圧送タンクと、前記圧送タンクに加圧ガスを供給する加圧ガスラインと、前記圧送タンクの流動化室に流動化ガスを供給する流動化ガスラインと、前記流動化室から流動化された前記粉体とガスとの混合物が送出される送出管と、前記送出管に搬送ガスを供給する搬送ガスラインと、前記搬送ガスと合流した前記粉体とガスとの混合物を搬送する搬送管とを備えるとともに、前記圧送タンク内からブリードガスを抜き取るブリードガスラインを有し、
前記送出管は、前記流動化室の出口に接続されており、
前記送出管は、並列に分岐した大流量用の第一支管と小流量用の第二支管とを少なくとも有し、
前記搬送ガスラインは、前記第一支管と前記搬送管との合流部分に接続される第一分岐管と、前記第二支管と前記搬送管との合流部分に接続される第二分岐管とを少なくとも有し、
前記ブリードガスラインは、前記第二分岐管に接続され、
前記第一支管、前記第二支管、前記第一分岐管、前記第二分岐管および前記ブリードガスラインには、それぞれ開閉弁が設置される
ことを特徴とする粉体搬送装置。
【背景技術】
【0002】
従来、空気等の搬送用媒体によって搬送対象の粉体(粉粒体)を流動化させ、搬送用媒体の流れに乗せてパイプライン搬送する設備が知られている(特許文献1など参照)。
【0003】
図5に、このような粉体搬送装置の一例を示す。
粉体搬送装置90は、内部に粉体を貯留する圧送タンク91を有し、圧送タンク91はその下部が円錐状のホッパとされている。圧送タンク91の下端には流動化室91Aが形成され、この流動化室91Aは送出管92を介してパイプラインを構成する搬送管99に接続されている。
圧送タンク91の上部には、加圧ガスライン93が接続されている。圧送タンク91の流動化室91Aには、流動化ガスライン94が接続されている。送出管92には搬送ガスライン95が接続されている。送出管92の搬送ガスライン95の合流部分と流動化室91Aとの間には、送出管92を流れる粉体を含むガスの流量を調節するための送出流量調整弁92Aが設置されている。
【0004】
加圧ガスライン93は、圧送タンク91内に加圧ガス(通常は空気)を供給し、送出管92から粉体を空気とともに送出させるものである。加圧ガスライン93の途中には、加圧ガスの流量を調節するための加圧ガス調整弁93Aが設置されている。
流動化ガスライン94は、圧送タンク91の流動化室91A内に流動化ガスを供給し、当該部分の粉体を流動化させて送出管92から送出するものである。流動化ガスライン94の途中には、流動化ガスの流量を調節するための流動化ガス調整弁94Aが設置されている。
搬送ガスライン95は、送出管92に搬送ガスを供給し、流動化室91Aから送出された流体(加圧ガスおよび流動化ガスの混合ガスであって粉体が混合されたもの)に搬送ガスを合流させ、搬送管99へと送って搬送させるものである。搬送ガスライン95の途中には、搬送ガスの流量を調節するための搬送ガス調整弁95Aが設置されている。
【0005】
粉体搬送装置90では、加圧ガスライン93の加圧ガス調整弁93Aから圧送タンク91までの間の部位と、搬送ガスライン95の搬送ガス調整弁95Aから送出管92との合流部までの間の部位とを結ぶバイパス管96が設置されている。
バイパス管96は、加圧ガスライン93を通る加圧ガスの一部を搬送ガスライン95にバイパスさせるものである。
バイパス管96の途中には、加圧ガスライン93から搬送ガスライン95にバイパスされる加圧ガス(バイパスガス)の流量を調節するためのバイパスガス調整弁96Aが設置されている。
【0006】
このような粉体搬送装置90では、予め圧送タンク91内に搬送すべき粉体を収容しておく。流動化ガスライン94から流動化ガスを供給し、流動化室91Aの上方の粉体を吹き上げて流動化させ、この状態で加圧ガスライン93から加圧ガスを供給することで、圧送タンク91内を加圧するとともに、流動化された圧送タンク91内の粉体を送出管92へと順次送出する。送出管92に送られた流動化した粉体(粉体と加圧ガスおよび流動化ガスとが混合されて流動化したもの)は、搬送ガスライン95からの搬送ガスと合流して加速され、搬送管99へと送り出されて搬送される。
【0007】
ここで、粉体搬送装置90におけるガスの収支は次のようになっている。
粉体搬送装置90に入るガスは、加圧ガスライン93からの加圧ガス(流量Q
A)、流動化ガスライン94からの流動化ガス(流量Q
F)、搬送ガスライン95からの搬送ガス(流量Q
I)である。なお、図示省略するが、圧送タンク91内の圧力を一定に保持するために、適宜外部から補充ガスが供給され、その流量はQ
pである。
粉体搬送装置90から出て行くのは、搬送管99へ送り出される流動化した粉体とガスとの混合物(流量Q
T)である。
従って、粉体搬送装置90全体としては、次の関係が成立する。
Q
T=Q
A+Q
F+Q
I−Q
p …(1)
【0008】
一方、圧送タンク91について見ると、ガスの収支は次のようになっている。
圧送タンク91に入るガスは、基本的に加圧ガスライン93からの加圧ガス(流量Q
A)および流動化ガスライン94からの流動化ガス(流量Q
F)である。
ただし、加圧ガスライン93からは、バイパス管96によりガスの一部がバイパスガス(流量Q
AB)として分岐され、圧送タンク91に加圧ガスとして供給されるのはQ
AR=Q
A−Q
ABである。
圧送タンク91から出て行くのは、粉体を伴って送出管92へと送出される送出ガス(流量Q
O)である。
従って、圧送タンク91については、次の関係が成立する。
Q
O=Q
AR+Q
F−Q
P …(2)
【0009】
これらの各ライン92〜96の流量は、それぞれの調整弁92A〜96Aで調整が可能であり、粉体搬送装置90全体として適切な状態となるように調整される。
特許文献1においては、圧送タンク91内の圧力を検出し、この検出圧力に基づいてバイパスガス(流量Q
AB)を調節することで、加圧ガスライン93の流量を変更することなく圧送タンク91に流入するガス流量Q
ARを微調整し、これにより圧送タンク91内を所望の圧力で安定化できるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述のような粉体搬送装置90においては、搬送管99で搬送される粉体の量を調節することが求められる。
搬送される粉体の量の調節は、基本的に、送出管92に設置された送出流量調整弁92Aにより、圧送タンク91から搬送管99へと圧送される流動化した粉体およびガスの流量を絞ることで行われる。
すなわち、圧送タンク91において流動化ガスで流動化され、加圧ガスにより加圧された粉体とガスとの混合物は、流動化室91Aから前述した流量Q
Oで送出されるが、これは送出流量調整弁92Aが全開の状態であり、送出流量調整弁92Aを絞ることで流量Q
O以下に絞り込むことができる。
【0012】
しかし、送出流量調整弁92Aの調整代は、機構的な制約から1:2程度とされている。このため、より大きな調整代が必要な場合、圧送タンク91側の圧力およびガス流量を調節することで、送出流量調整弁92Aの調整代を補助することがなされる。
例えば、送出管92を送られる粉体およびガスの流量を大きくする場合、加圧ガスの流量Q
Aを大きくし、これにより送出流量調整弁92Aで絞られる流量の基準となる流量Q
Oを大きくする。
一方、送出管92を送られる粉体およびガスの流量を小さくする場合には、逆に加圧ガスの流量Q
Aを小さくする。
しかし、流量Q
Tを小さくする場合には、流動化ガスの流量Q
Fについての機能的な制約が避けられない。
【0013】
すなわち、流動化ガスは、流動化室91Aにおいて粉体の流動化を適切に行うために、最小流量Q
FNおよび最大流量Q
FXが制限され、流動化ガスの流量Q
Fは所定の流量範囲内に維持されなくてはならない。
Q
FN≦Q
F≦Q
FX …(3)
このようなことから、送出ガスの流量Q
O(=Q
AR+Q
F−Q
p)は、例え導入される加圧ガスの流量Q
ARを0に近づけても、流動化のための最小限の流量Q
FNが残るため、流量Q
Oを0に近づけることはできない。
【0014】
前述のような限界(送出流量調整弁92Aの調整代の限界、送出ガスの流量Q
Oの限界)は、圧送タンク91を単独で用いる場合にいえることである。
これに対し、複数の圧送タンクを用い、各々から送出される流量Q
Oを比較的大きいものと、比較的小さいものとに設定しておき、必要に応じて切り替えるようにすることも行われている。
このような複数の圧送タンクを並列に用いる場合、小流量時には小流量用に設定された圧送タンクのみを用い、大流量時には大流量用に設定された圧送タンクに切り替え、さらに両方を同時に使用することで更に大流量にも対応することができる。
しかし、このような複数の圧送タンクを並列に用いる場合、装置が巨大化し、設備費用も膨大となり、保守管理も煩雑になるという問題がある。
【0015】
本発明の目的は、単一の圧送タンクを用いて粉体量を広範囲に調節できる粉体搬送装置および粉体搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の粉体搬送装置は、内部に粉体を貯留する圧送タンクと、前記圧送タンクに加圧ガスを供給する加圧ガスラインと、前記圧送タンクの流動化室に流動化ガスを供給する流動化ガスラインと、前記流動化室から流動化された前記粉体とガスとの混合物が送出される送出管と、前記送出管に搬送ガスを供給する搬送ガスラインと、前記搬送ガスと合流した前記粉体とガスとの混合物を搬送する搬送管とを備えるとともに、前記圧送タンク内からブリードガスを抜き取るブリードガスラインを有
し、前記送出管は、前記流動化室の出口に接続されており、前記送出管は、並列に分岐した大流量用の第一支管と小流量用の第二支管とを少なくとも有し、前記搬送ガスラインは、前記第一支管と前記搬送管との合流部分に接続される第一分岐管と、前記第二支管と前記搬送管との合流部分に接続される第二分岐管とを少なくとも有し、前記ブリードガスラインは、前記第二分岐管に接続され、前記第一支管、前記第二支管、前記第一分岐管、前記第二分岐管および前記ブリードガスラインには、それぞれ開閉弁が設置されることを特徴とする。
【0017】
本発明の粉体搬送方法は、前述した本発明の粉体搬送装置を用い、前記搬送管へ送出する前記粉体とガスとの混合物を比較的大流量とする際には、
前記第一支管および前記第一分岐管のそれぞれの前記開閉弁を開くとともに、前記第二支管、前記第二分岐管および前記ブリードガスラインのそれぞれの前記開閉弁を閉じ、前記加圧ガスの供給および前記流動化ガスの供給を行い、前記搬送管へ送出する前記粉体とガスとの混合物を比較的小流量とする際には、前記加圧ガスの供給を停止し、
前記第一支管および前記第一分岐管のそれぞれの前記開閉弁を閉じるとともに、前記第二支管、前記第二分岐管および前記ブリードガスラインのそれぞれの前記開閉弁を開いて、前記流動化ガスの供給および前記ブリードガスの抜き取りを行うことを特徴とする。
【0018】
本発明において、ブリードガスラインとしては、圧送タンク内から抜き出したブリードガスを前記送出管または前記搬送管の何れかに合流させることができる。
本発明において、加圧ガスライン、流動化ガスライン、搬送ガスライン、ブリードガスラインおよび送出管には、それぞれの流量を調整する調整弁を設置することが望ましい。
本発明において、加圧ガスラインおよびブリードガスラインは、それぞれ流量を0(遮断状態)から全開(最大流量)まで調節可能であることが望ましく、流量を調整する調整弁と流通を断続する開閉弁とをともに備えることが望ましい。また、加圧ガスラインおよびブリードガスラインは遮断状態が排他的(一方が0のとき他方は0でない)とされることが望ましい。
【0019】
このような本発明では、ブリードガスの抜き取りを停止し、加圧ガスの供給および流動化ガスの供給を行うことで、送出管へ送出される粉体とガスとの混合物を大流量とすることができる(大流量モード)。
すなわち、ブリードガスの抜き取りを停止した状態では、圧送タンクに加圧ガスおよび流動化ガスが供給され、これにより粉体とガスとの混合物が送出される。従って、この状態では、従来の粉体搬送装置と同様な機能が得られ、加圧ガスを増加させれば送出管に送出される粉体およびガスの流量を増加させることができ、この流量は送出管に設置された調整弁の範囲内で絞ることもできる。
【0020】
一方、加圧ガスの供給を停止し、流動化ガスの供給およびブリードガスの抜き取りを行うことで、送出管へ送出される粉体とガスとの混合物を小流量とすることができる(小流量モード)。
すなわち、加圧ガスを停止した状態では、圧送タンクに供給されるのは流動化ガスだけとなり、送出管へ送出される粉体と混合したガスは専ら流動化ガスとなる。さらに、ブリードガスの抜き取りを行うことで、送出管へ送出される粉体と混合したガスは流動化ガスからブリードガスを差し引いた流量となる。
前述した通り、流動化ガスには最小流量の制限があるが、ブリードガス分の流量を差し引くことで、送出管への送出ガスの流量を流動化ガスの最小流量以下まで調節することができる。このように、送出ガスの流量を流動化ガスの最小流量以下まで減少させた状態でも、圧送タンクの流動化室には前述した最小流量を上回る流動化ガスが供給されているため、粉体の流動化に何ら支障は生じない。
【0021】
このような本発明によれば、大流量モードで従来通りの大流量が得られるとともに、小流量モードにおいて従来は困難であった小流量が得られる。
こうして得られる圧送タンクからの送出流量に対しては、従来同様に送出流量調整弁による絞りを加えて流量の調整を行うことができる。
このように、本発明では、送出される粉体およびガスの調節可能な流量比が、従来は困難であった小流量に対する最大流量となるため、従来の流量比に比べて十分に大きくすることができる。
以上により、単一の圧送タンクを用いて粉体量を広範囲に調節することができる。
【0022】
本発明の粉体搬送装置において
、前記
第一支管
および前記第二支管にはそれぞれ流量調整用の調整弁が設置されていることが望ましい。
本発明の粉体搬送方法において
、前記
第一支管
および前記第二支管にはそれぞれ流量調整用の調整弁が設置されているものを用いることが望ましい。
このような本発明では、
第一支管
および第二支管のそれぞれの適用流量を異なる設定としておくことで、送出管へと送出される粉体およびガスの流量が大きく変化しても、適切な支管を選択して利用することができ、送出流量調整弁の調整範囲を使い分けることができる。
また、同時に複数の支管
(第一支管、第二支管)を利用することで、より大きな流量に対応することもできる。
なお、
第一支管
および第二支管のそれぞれの適用流量を同じ設定としておき、送出管へと送出される粉体およびガスの流量に応じて、選択する支管の本数を切り替えることで流量の変化に対応させてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1から
図3には、本発明の第1実施形態が示されている。
図1において、粉体搬送装置10は、内部に粉体を貯留する圧送タンク11を有し、圧送タンク11はその下部が円錐状のホッパとされている。圧送タンク11の下端には流動化室11Aが形成され、この流動化室11Aは送出管12を介してパイプラインを構成する搬送管19に接続されている。
【0025】
本実施形態の送出管12は、2本の支管121,122で構成されている。
支管121は、大流量に対応するために大口径の管路とされている。支管122は、小流量に適した小口径の管路とされている。
支管121,122の途中には、それぞれを流れる粉体を含むガスの流量を調節するための送出流量調整弁121A,122Aおよび同ガスの流通を断続する送出開閉弁121B,122Bが設置されている。
【0026】
圧送タンク11の上部には、加圧ガスライン13が接続されている。
加圧ガスライン13は、圧送タンク11内に加圧ガスを供給し、送出管12から粉体を加圧ガスとともに送出させるものである。
加圧ガスライン13の途中には、加圧ガスの流量を調節するための加圧ガス調整弁13Aおよび加圧ガスの流通を断続する加圧ガス開閉弁13Bが設置されている。
圧送タンク11の流動化室11Aには、流動化ガスライン14が接続されている。
流動化ガスライン14は、圧送タンク11の流動化室11A部分に流動化ガスを供給し、当該部分の粉体を流動化させて送出管12から送出するものである。
流動化ガスライン14の途中には、流動化ガスの流量を調節するための流動化ガス調整弁14Aおよび流動化ガスの流通を断続する流動化ガス開閉弁14Bが設置されている。
【0027】
送出管12には、支管121,122のそれぞれに搬送ガスライン15が接続されている。
搬送ガスライン15は、送出管12に搬送ガス(通常は空気)を供給し、流動化室11Aから送出された流体(加圧ガスおよび流動化ガスの混合ガスであって粉体が混合されたもの)に搬送ガスを合流させ、搬送管19へと送って搬送させるものである。
搬送ガスライン15は、2本の分岐管151,152に分岐されている。
分岐管151は、大流量用の支管121と搬送管19との合流部分に接続されている。分岐管152は、小流量用の支管122と搬送管19との合流部分に接続されている。
搬送ガスライン15の途中には、分岐管151,152の分岐よりも上流側に、搬送ガスの流量を調節するための搬送ガス調整弁15Aが設置されている。分岐管151,152には、それぞれ搬送ガスの流通を断続する搬送ガス開閉弁151B,152Bが設置されている。
【0028】
本実施形態では、圧送タンク11の上部に、ブリードガスライン16が接続されている。
ブリードガスライン16は、圧送タンク11内のガス(加圧ガスまたは流動化ガスとして供給されたもの)をブリードガスとして抜き取るものである。
ブリードガスライン16の他端は、搬送ガスライン15の分岐管152(小流量用)に合流されている。
ブリードガスライン16の途中には、ブリードガスの流量を調節するためのブリードガス調整弁16Aおよびブリードガスの流通を断続するブリードガス開閉弁16Bが設置されている。
【0029】
本実施形態の粉体搬送装置10では、予め圧送タンク91内に搬送すべき粉体を収容しておく。そして、流動化ガスライン14から流動化ガスを供給し、流動化室11Aの粉体を流動化させることで、流動化された粉体を含むガスを送出管12から搬送管19へと送出する。
ここで、本実施形態では、送出する粉体およびガスが大流量である時には大流量モードでの運転を行い(
図2参照)、小流量である時には小流量モードでの運転を行う(
図3参照)。
なお、
図2および
図3においては、開いている弁は図中に白抜きで表示し、閉じている弁は図中塗りつぶしで表示している。また、ガス流通がある管路は塗りつぶしの太線で表示し、流通がない管路は白抜きの二重線で表示している。
【0030】
図2において、大流量モードの設定としては、次の操作を行う。
加圧ガス開閉弁13Bを開いて加圧ガスライン13から圧送タンク11へ加圧ガスを供給するとともに、ブリードガス開閉弁16Bを閉じて圧送タンク11からのブリードガスの抜き取りを停止する。また、送出管12において、送出開閉弁121Bを開いて大流量用の支管121を導通させておく。
なお、小流量用の支管122は遮断しておいてもよいが、これを導通させることで両方の支管121,122を用いて更に大流量に対応することができる。
【0031】
このような大流量モードの状態では、加圧ガスライン13から供給される加圧ガスにより、圧送タンク11内が加圧され、流動化ガスライン14からの流動化ガスで流動化された流動化室11Aの粉体が送出管12へと順次送出される。
送出管12に送られた流動化した粉体(粉体と加圧ガスおよび流動化ガスとが混合して流動化したもの)は、支管121(または支管121,122の両方)を経て搬送管19へと送られ、搬送ガスライン15からの搬送ガスと合流して加速され、搬送管19により搬送される。
【0032】
このような大流量モードでは、大流量用の支管121(または支管121,122の両方)を用いることで、大流量レンジでの流量調節を確実かつ高精度に行うことができる。併せて、圧送タンク11から送出される粉体を含むガスの流量は、圧送タンク11の圧力を変更することで適切に調節することができる。
【0033】
大流量モードにおけるガスの収支は次のようになっている。
粉体搬送装置10に入るガスは、加圧ガスライン13からの加圧ガス(流量Q
A)、流動化ガスライン14からの流動化ガス(流量Q
F)、搬送ガスライン15からの搬送ガス(流量Q
I)である。
粉体搬送装置10から出て行くのは、搬送管19へ送り出される流動化した粉体とガスとの混合物(流量Q
T)である。なお、図示省略するが、圧送タンク11内の圧力を一定に保持するために、適宜外部から補充ガスが供給され、その流量はQ
pである。
従って、粉体搬送装置10全体としては、次の関係が成立する。
Q
T=Q
A+Q
F+Q
I−Q
p …(1A)
【0034】
一方、圧送タンク11について見ると、ガスの収支は次のようになっている。
圧送タンク11に入るガスは、基本的に加圧ガスライン13からの加圧ガス(流量Q
A)および流動化ガスライン14からの流動化ガス(流量Q
F)である。
圧送タンク11から出て行くのは、粉体を伴って送出管12へと送出される送出ガス(流量Q
O)である。
従って、圧送タンク11については、次の関係が成立する。
Q
O=Q
A+Q
F−Q
p …(2A)
【0035】
流動化ガスは、流動化室11Aにおいて粉体の流動化を適切に行うために、最小流量Q
FNおよび最大流量Q
FXが制限され、流動化ガスの流量Q
Fは所定の流量範囲内に維持されなくてはならない。
Q
FN≦Q
F≦Q
FX …(3A)
従って、送出ガスの流量Q
O(=Q
A+Q
F−Q
p)は、主に加圧ガスの流量Q
Aを0から最大流量Q
AXまで変化させること(0≦Q
A≦Q
AX)で調節することができる。
【0036】
以上より、送出ガスの流量Q
Oとしては、加圧ガスQ
A=0で流動化ガスQ
F=Q
FNのとき最小となり、加圧ガスQ
A=Q
AXで流動化ガスQ
F=Q
FXのとき最大となる。
つまり、大流量モードでの送出ガスでは、次の関係が成立する。
Q
FN≦Q
O≦Q
AX+Q
FX−Q
p …(4A)
【0037】
図3において、小流量モードの設定としては、次の操作を行う。
加圧ガス開閉弁13Bを閉じて加圧ガスライン13から圧送タンク11へ加圧ガスを停止するとともに、ブリードガス開閉弁16Bを開いて圧送タンク11からのブリードガスの抜き取りを開始する。また、送出管12において、送出開閉弁121Bを閉じて大流量用の支管121を遮断するとともに、送出開閉弁122Bを開いて小流量用の支管122を導通させる。
【0038】
このような小流量モードの状態では、加圧ガスライン13からの加圧ガスはなく、流動化室11Aの粉体を流動化させて送出管12へ送出する機能は専ら流動化ガスライン14からの流動化ガスだけで行われる。
送出管12に送られた流動化した粉体(粉体と流動化ガスとの混合したもの)は、支管122を経て搬送管19へと送られ、搬送ガスライン15からの搬送ガスと合流して加速され、搬送管19により搬送される。
【0039】
このような小流量モードでは、小流量用の支管122を用いることで、小流量レンジでの流量調節を確実かつ高精度に行うことができる。併せて、圧送タンク11から送出される粉体を含むガスの流量は、加圧ガスが停止されて流動化ガスだけとなり、小流量用の支管122に応じた適切な流量に調節することができる。
特に、小流量モードでは、ブリードガスライン16が有効とされ、ブリードガス調整弁16Aを調節してブリードガスの抜き出し量を増加させることで、圧送タンク11から送出管12へと送出されるガス流量を更に減少させ、流動化ガスの最小流量Q
FN以下にまで絞ることができる。
【0040】
小流量モードにおけるガスの収支は次のようになっている。
粉体搬送装置10に入るガスは、流動化ガスライン14からの流動化ガス(流量Q
F)、搬送ガスライン15からの搬送ガス(流量Q
I)である。
粉体搬送装置10から出て行くのは、搬送管19へ送り出される流動化した粉体とガスとの混合物(流量Q
T)である。
従って、粉体搬送装置10全体としては、次の関係が成立する。
Q
T=Q
F+Q
I−Q
p …(1B)
【0041】
一方、圧送タンク11について見ると、ガスの収支は次のようになっている。
圧送タンク11に入るガスは、流動化ガスライン14からの流動化ガス(流量Q
F)だけである。
圧送タンク11から出て行くのは、ブリードガスライン16からのブリードガス(流量Q
B)および粉体を伴って送出管12へと送出される送出ガス(流量Q
O)である。
従って、圧送タンク11については、次の関係が成立する。
Q
O=Q
F−Q
B−Q
p …(2B)
【0042】
流動化ガスは、流動化室11Aにおいて粉体の流動化を適切に行うために、最小流量Q
FNおよび最大流量Q
FXが制限され、流動化ガスの流量Q
Fは所定の流量範囲内に維持されなくてはならない。
Q
FN≦Q
F≦Q
FX …(3B)
従って、送出ガスの流量Q
O(=Q
F−Q
B−Q
p)は、主にブリードガスの流量Q
Bを0から最大流量Q
BXまで変化させること(0≦Q
B≦Q
BX)で調節することができる。
【0043】
以上より、送出ガスの流量Q
Oとしては、流動化ガスQ
F=Q
FXでブリードガスQ
B=0のとき最大であるが、流動化ガスQ
F=Q
FNの状態でブリードガスQ
B=Q
BXとすることで最小となる。
さらに、ブリードガスの最大流量Q
BXを流動化ガスの最小流量Q
FNとすれば、送出ガスの流量Q
Oは0まで減少させることもできる。ただし、流量Q
O=0では粉体の送出がなくなるため、流量Q
Oは0以上であることが必要である。
つまり、大流量モードでの送出ガスでは、次の関係が成立する。
0<Q
FN−Q
BX≦Q
O≦Q
FN …(4B)
【0044】
以上のように、本実施形態では、大流量モードにおいて、式(4A)のように、送出ガスの流量Q
Oを流動化ガスの最小流量Q
FNから加圧ガス最大流量Q
AXと流動化ガスの最大流量Q
FXの和まで変化させることができる。また、小流量モードにおいて、式(4B)のように、送出ガスの流量Q
Oを0から流動化ガスの最小流量Q
FNまで変化させることができる。
その結果、大流量モードと小流量モードとを組み合わせることで、送出ガスの流量Q
Oを0から加圧ガス最大流量Q
AXと流動化ガスの最大流量Q
FXの和まで変化させることができる。
0<Q
O≦Q
AX+Q
FX−Q
p …(5)
【0045】
このような本実施形態によれば、大流量モードと小流量モードとの切り替えにより、大流量および小流量に最適化した支管121,122を用いた送出ガス(流動化した粉体を含む)の流量調節を行うことができるとともに、圧送タンク11から送出される際の送出ガス流量Q
Oを0から粉体搬送装置10としての最大流量(加圧ガス最大流量Q
AXと流動化ガスの最大流量Q
FXの和)まで広範囲に変化させることができる。
従って、本実施形態によれば、単一の圧送タンクを用いて粉体量を広範囲に調節することができる。
【0046】
〔第1実施形態〕
図4には、本発明の第2実施形態が示されている。
図4において、本実施形態の粉体搬送装置10Aは、前述した第1実施形態の粉体搬送装置10と同様な基本構成を備えている。従って、共通の構成については同じ符号を用いるとともに重複する説明を省略するものとし、以下には前述した第1実施形態の粉体搬送装置10と異なる構成について説明する。
【0047】
本実施形態の送出管12は、4本の支管121,122,123,124で構成されている。
支管121〜124は、それぞれ口径が異なり、支管121から支管124へと順次口径が小さくなるように設定されている。最大口径の支管121は、大流量に対応するために十分に大口径の管路とされている。支管124は、小流量に適した小口径の管路とされている。
支管121〜124の途中には、それぞれを流れる粉体を含むガスの流量を調節するための送出流量調整弁121A〜124Aおよび同ガスの流通を断続する送出開閉弁121B〜124Bが設置されている。
【0048】
搬送ガスライン15は、4本の分岐管151,152,153,154に分岐されている。
分岐管151〜154は、それぞれ送出管12の支管121〜124と搬送管19との合流部分に接続されている。
搬送ガスライン15の途中には、分岐管151〜154の分岐よりも上流側に、搬送ガスの流量を調節するための搬送ガス調整弁15Aが設置されている。分岐管151〜154には、それぞれ搬送ガスの流通を断続する搬送ガス開閉弁151B〜154Bが設置されている。
【0049】
ブリードガスライン16の他端は、2本に分岐され、搬送ガスライン15の分岐管153,154(口径が最小および二番目に小さい2本)に合流されている。
これらの分岐管153,154に合流する手前には、開閉弁16C,16Dが設置されている。
【0050】
このような本実施形態においては、前述した第1実施形態と同様に、大流量モードと小流量モードとに切り替えることで、広範囲な粉体量の調節に対応する。
ここで、前記第1実施形態では、大流量モードで加圧ガスライン13による加圧ガス供給を行い、小流量モードでブリードガスライン16によるガス抜き出しを行うとともに、送出管12で大流量用の支管121と小流量の支管122とを切り替えていた。
これに対し、本実施形態では、加圧ガスライン13およびブリードガスライン16による大流量モードと小流量モードとの切り替えは同様に行いつつ、送出管12における支管の切り替えが更に多様化される。
【0051】
本実施形態の支管121〜124は、それぞれが異なる口径とされて送出流量に応じた選択が可能であるが、これらを組み合わせることで更に広範囲な流量への対応が可能である。
例えば、
図4に示す状態では、支管121,123の2本が導通状態とされ、各々に分岐管151,153からの搬送ガスが供給される。支管121,123は、それぞれ口径が最大および3番目であり、比較的大流量への対応に適している。
ここで、支管121,122を用いれば更に大流量に対応でき、全ての支管121〜124を同時に導通させれば最大とすることができる。
【0052】
一方、支管124だけを導通させれば送出流量が最小の場合に適応することができ、支管124ではブリードガスライン16からのブリードガスの受け取りも行える。送出流量が増した場合には、支管123に切り替えることで対応する送出流量を増すことができ、更に送出流量が増した際には支管122と支管124との組み合わせ等と切り替えてゆくことができる。この際、小流量モードでは、支管123,124の何れかが導通状態とされ、ブリードガスライン16からのブリードガスの受け取りが行えるような選択をすることが望ましい。
【0053】
以上のように、本実施形態では、送出管12における送出流量への対応が広範囲に行える。圧送タンク11からの送出流量Q
Oの調節については、前述した第1実施形態で述べたように、流量Q
Oを0から加圧ガス最大流量Q
AXと流動化ガスの最大流量Q
FXの和まで変化させることができ、送出管12における広範囲な調節にも十分対応することができる。
このような第2実施形態の構成とすることで、前述した第1実施形態よりも更に広範囲な調節を行うことができる。
【0054】
〔変形例〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、圧送タンク11の具体的形状や規格等は実施にあたって適宜選択すればよく、圧送タンク11に関連する周辺設備等も従来の装置に基づいて適宜設定すればよい。
また、本発明の粉体搬送装置で搬送する粉体としては、何ら限定されるものではなく、あらゆる種類の粉体に適用することができる。