(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の実施の形態における返品薬仕分け装置の概略構成図である。
図1において、本発明の実施の形態における返品薬仕分け装置1は、複数の返品薬Aが非整列の状態で収容される返品薬収容部2と、返品薬収容部2から1つの返品薬Aをピッキングして仮置きする仮置き部3と、返品薬Aを識別する返品薬識別部4と、返品薬Aを仕分けして収納する返品薬収納部5と、各部の返品薬Aをピッキングして各部へ搬送するピッキング装置6とを有する。
【0015】
返品薬収容部2に収容される返品薬Aは、主としてアンプルまたはバイアルの長筒形薬品容器に各種の注射薬が充填されたものである。返品薬Aには、種類(品名)や使用期限などの薬品情報が文字、記号やバーコードなどにより記された薬品ラベルが付されている。返品薬収容部2は、着脱可能なカセット式となっており、病棟から返品されてくる返品薬Aをバラバラの状態のまま収容した状態で装填することが可能となっている。
【0016】
仮置き部3は、返品薬収容部2に非整列の状態で収容されている複数の返品薬Aの中から返品薬Aを1つずつピッキング装置6によりピッキングして仮置きする台である。ピッキング装置6により仮置き部3に一旦仮置きされた返品薬Aは、後述するように、再度ピッキング装置6によりピッキングされ、その向きが調整されて返品薬識別部4へ載置される。
【0017】
返品薬識別部4は、返品薬Aに表示された薬品ラベルを読み取ることにより、前述の薬品情報を1つずつ識別するものである。返品薬収納部5は、返品薬Aの種類別に区分された複数の収納カセットを有している。返品薬識別部4により識別された返品薬Aは、識別結果に基づいてピッキング装置6により返品薬収納部5の該当する収納カセットへ仕分けされる。すなわち、返品薬収納部5およびピッキング装置6は、返品薬識別部4による識別結果に基づいて返品薬Aを仕分けする仕分け手段として機能する。
【0018】
ピッキング装置6は、
図1のX方向およびY方向、ならびにXY面に対して垂直方向(Z方向)に移動可能なものである。ピッキング装置6の先端部には、返品薬Aを吸着して保持可能な吸着ロッド7が備えられている。また、ピッキング装置6には、ピッキング装置6の直下を撮影するカメラ装置8が設けられている。
【0019】
また、返品薬仕分け装置1は、返品薬識別部4、返品薬収納部5、ピッキング装置6、吸着ロッド7やカメラ装置8等を制御する制御装置9と、返品薬識別部4によって識別できなかった返品薬Aを回収する回収ボックス部10とを備える。
【0020】
次に、返品薬識別部4の詳細について説明する。
図2は返品薬識別部4を斜め上方からみた図、
図3は
図2の返品薬識別部4の断面図である。
【0021】
図2および
図3に示すように、返品薬識別部4は、ピッキング装置6により返品薬Aが載置される受皿部11を備える。受皿部11は、V字状に配置されたベルトコンベア12および載置板13により構成される。ベルトコンベア12は、所定幅の環状ベルト14が水平方向に複数並列に設けられたものである。各環状ベルト14の幅は、仕分けが想定されている返品薬Aの長手方向の長さの最も短いもののよりも短いものとする。なお、本実施形態においては、環状ベルト14の幅は、返品薬Aの長手方向の長さの1/3程度の幅としている。
【0022】
ピッキング装置6により受皿部11上に載置された返品薬Aは、ベルトコンベア12の各環状ベルト14の上面14aおよび載置板13の上面13aのV字状に配置された2面間で、各環状ベルト14の移動に伴って回転し、その回転中、ピッキング装置6に設けられているカメラ装置8によってその薬品ラベルが撮影され、制御装置9により画像処理および薬品ラベルの読み取り処理が行われる。
【0023】
なお、本実施形態においては、受皿部11を、V字状に配置されたベルトコンベア12および載置板13により構成しているが、載置板13に代えてベルトコンベア12を用いることも可能である。また、ベルトコンベア12は、所定幅の環状ベルト14が複数並列に設けられたものであるが、1つの幅広の環状ベルトにより構成することも可能である。
【0024】
また、本実施形態においては、前述のようにピッキング装置6に設けられたカメラ装置8および制御装置9により、返品薬Aに表示された薬品ラベルを読み取る読取装置を構成しているが、これらのカメラ装置8および制御装置9とは別にカメラ装置や制御装置を設けて独立した読取装置とすることも可能である。
【0025】
次に、ピッキング装置6の詳細について説明する。
図4は吸着ロッド7を示す図であって、(a)は側面図、(b)は下面図、
図5は制御装置9のブロック図である。
【0026】
図4に示すように、吸着ロッド7は、返品薬Aを吸着する主吸着パッド20および2つの補助吸着パッド21と、主吸着パッド20および補助吸着パッド21を一体に保持して回転させるためのブラケット22と、主吸着パッド20および2つの補助吸着パッド21を回転する回転機構を構成するサーボモータ23とを有している。2つの補助吸着パッド21は、主吸着パッド20を中心として所定の間隔を設けて一直線上に配置されている。主吸着パッド20から各補助吸着パッド21までの距離は、返品薬Aの長手方向の長さの範囲内である。サーボモータ23は、主吸着パッド20を中心として主吸着パッド20および2つの補助吸着パッド21を回転する。
【0027】
図5に示すように、制御装置9は、カメラ装置8から返品薬Aの画像を入力して解析することにより返品薬Aのピッキングすべき位置および方向を検出する位置方向検出手段24と、位置方向検出手段24により検出したピッキングすべき位置および方向に基づいて主吸着パッド20、補助吸着パッド21およびサーボモータ23を制御する制御手段25と、位置方向検出手段24による検出の正誤を判定する判定手段26として機能する。なお、位置方向検出手段24の詳細については後述する。
【0028】
制御手段25は、位置方向検出手段24により検出したピッキングすべき位置および方向に基づいて、主吸着パッド20と、2つ補助吸着パッド21のうちの少なくとも1つとにより返品薬Aが吸着されるようにサーボモータ23により主吸着パッド20および補助吸着パッド21を回転させて、主吸着パッド20により返品薬Aのピッキングすべき位置を吸着するとともに補助吸着パッド21により返品薬Aを吸着するように制御する。
【0029】
判定手段26は、主吸着パッド20により返品薬Aを吸着したとき、2つの補助吸着パッド21のうち少なくとも1つにより返品薬Aが吸着されている場合には、位置方向検出手段24による検出が正しいと判定し、2つの補助吸着パッド21の両方により返品薬Aが吸着されない場合には、位置方向検出手段24による検出が正しくない(誤り)であると判定する。
【0030】
図7は制御手段25による主吸着パッド20、補助吸着パッド21およびサーボモータ23の制御例を示す説明図である。
図7(a)に示すように、主吸着パッド20により返品薬Aを吸着した際、2つの補助吸着パッド21の両方により返品薬Aが吸着されない場合は、位置方向検出手段24による検出は正しくない。一方、
図7(b)に示すように、主吸着パッド20により返品薬Aを吸着した際、2つの補助吸着パッド21のいずれか1つにより返品薬Aが吸着された場合は、位置方向検出手段24による検出は正しい。
【0031】
制御手段25は、判定手段26により位置方向検出手段24による検出が正しくないと判定された場合に、主吸着パッド20および2つの補助吸着パッド21による返品薬Aの吸着を解除し、別の返品薬Aを位置方向検出手段24により検出し、検出したピッキングすべき位置および方向に基づいて、主吸着パッド20および2つの補助吸着パッド21により別の返品薬Aが吸着されるようにサーボモータ23により主吸着パッド20および複数の補助吸着パッド21を回転させて、主吸着パッド20により返品薬Aのピッキングすべき位置を吸着するとともに2つの補助吸着パッド21により別の返品薬Aを吸着する。
【0032】
なお、制御手段25は、判定手段26により位置方向検出手段24による検出が正しくないと判定された場合に、主吸着パッド20および2つの補助吸着パッド21による返品薬Aの吸着を解除し、サーボモータ23により主吸着パッド20および複数の補助吸着パッド21を所定角度回転させて、再度、主吸着パッド20により返品薬Aのピッキングすべき位置を吸着するとともに2つの補助吸着パッド21により返品薬Aを吸着する構成とすることも可能である。
【0033】
次に、位置方向検出手段24の詳細について説明する。
図6は位置方向検出手段24のブロック図である。
【0034】
位置方向検出手段24は、
図6に示すように、入力画像を二値化する二値化処理手段30と、入力画像から各ピッキング対象物体領域を抽出する対象物体領域抽出手段31と、各ピッキング対象物体領域の重心を導出する重心導出手段32と、各ピッキング対象物体領域の姿勢角度を導出する姿勢導出手段33と、返品薬A等の各対象物M(
図11参照。)を識別する識別手段34と、複数の対象物Mについてのテンプレート画像を記憶するテンプレート記憶手段35とを有する。
【0035】
二値化処理手段30は、カメラ装置8により入力された画像を二値化するものである。二値化処理手段30は、所定の閾値以上の画素値を有する画素を1に、閾値未満の画素値を有する画素を0にそれぞれ置き換えることで二値化する。なお、所定の閾値は、二値化処理により対象物Mの領域を1(黒画素)、背景を0(白画素)に完全に分離できる適切な値を実験的に設定する。また、入力される画像の濃淡にばらつきがある場合は、動的な閾値設定法(例えば、大津展之,判別および最小2乗規準に基づく自動しきい値選定法,電子通信学会論文誌,J63−D−4,pp.349−356,1980)を適用することも可能である。
【0036】
対象物体領域抽出手段31は、二値化された画像から各ピッキング対象物体領域にラベリングを行うことにより、各ピッキング対象物体領域を抽出するものである。ラベリングは、二値化された画像から繋がっている全ての画素に同じ番号(ラベル)を付け、異なる連結成分に別の番号を付けることにより行う。このとき、複数の対象物Mが重なり合ったり直列や並列に繋がったりしている場合には、それらの複数の対象物Mの全体が一つとしてラベリングされることになる。以下、ラベリングされたw個の各ピッキング対象物領域をi(i=1,2,…,w)として説明する。
【0037】
重心導出手段32は、各ピッキング対象物体領域iの重心を導出する。ピッキング対象物体領域iの二値画像をB
i(x,y)(i=1,2,…,w)、ピッキング対象物体領域iの二値画像の横幅および縦幅のピクセル値をそれぞれm
i,n
iとすると、重心座標(xg
i,yg
i)は、
により導出できる。
【0038】
姿勢導出手段33は、各ピッキング対象物体領域iの姿勢角度、例えばその長手方向の角度を導出する。各ピッキング対象物体領域iの長手方向の角度は、重心導出手段32により導出した重心点とエッジ画像とを用いることで導出することができる。例えば、姿勢導出手段33は、各ピッキング対象物体領域iの重心座標(xg
i,yg
i)からの距離が最も遠い各ピッキング対象物体領域iのエッジ上の画素から順に抽出した複数の画素の重心座標(xg
i,yg
i)に対するそれぞれの角度の平均点を算出することにより長手方向の角度を取得する。具体的には、姿勢導出手段33は、重心点からエッジ上の距離Dの最大値からp(<100)%の距離までの間に存在する各ピッキング対象物体領域iのエッジ上の画素を抽出し、それぞれの重心点に対する角度の平均値を算出する。
【0039】
図8は姿勢導出手段33による姿勢検出の説明図である。ここで、Dの上位p%の値をqとし、重心点から最も離れた各ピッキング対象物体領域iのエッジ上の画素の点群を(x
mk,y
mk)(k=1,2,…,q)とすると、重心点から最も離れた各ピッキング対象物体領域iのエッジ上の各画素の点の角度θ
k(k=1,2,…,q)は、
で表される。よって、長手方向の角度θは、
となる。
【0040】
識別手段34は、対象物体領域抽出手段31により抽出した各ピッキング対象物体領域の中から実際にピッキングする各ピッキング対象物体を識別するものである。前述のように、対象物体領域抽出手段31では、複数の対象物Mが重なり合ったり直列や並列に繋がったりしている場合には、それらの複数の対象物Mの全体が一つとしてラベリングされている。そこで、識別手段34はこれらを排除するために、次の評価関数J
iにより識別を行う。
【0041】
ここで、S
iは各ピッキング対象物体領域iの面積、R
iは各ピッキング対象物体領域iに外接する矩形の面積、T
kは予めテンプレート記憶手段35に登録しておくk個のピッキング対象物体のテンプレート画像の面積である。αはJiの第1項と第2項のバランスを取るための重み係数である。なお、識別手段34は、各ピッキング対象物体領域iに外接する矩形を、
図9に示すように、姿勢導出手段33により導出した各ピッキング対象物体領域iの姿勢角度θ方向に伸ばした直線に平行な2辺とこれに直交する2辺により構成する。各ピッキング対象物体領域iに外接する矩形の面積R
iは、例えば、Rotating Calipers法により求めることが可能である。
【0042】
評価関数J
iの第1項は、各ピッキング対象物体領域iに外接する矩形の面積R
iとその各ピッキング対象物体領域iの面積S
iとの差(R
i−S
i)(
図9の斜線部)を正規化したものである。つまり、
図9(a)に示すように、対象物Mが重心および姿勢角度が正確に取得できている場合には、第1項の値は小さくなる。一方、
図9(b)に示すように、重なり合ったり、同図(c)に示すように対象物Mの姿勢角度が正確でなかったりする場合は、R
i−S
iが大きくなるため、第1項の値もまた大きくなる。したがって、第1項により、対象物Mが重なり合ったり姿勢角度の導出ミスがあったりするピッキング対象物体領域iを排除することが可能である。
【0043】
評価関数J
iの第2項は、各対象物Mのテンプレート画像の面積T
kと各ピッキング対象物体領域iの面積S
iとの差(T
k−S
i)を正規化したものである。前述の第1項のみでは、
図9(d)に示すように対象物Mが直列や並列に繋がった場合に問題となるが、第2項のようにテンプレート画像の面積T
kとの差を評価関数J
iに含ませることで、面積が大きすぎるものや小さすぎるものを排除することができる。
【0044】
識別手段34は、このような評価関数J
iを用い、
を満たすピッキング対象物体領域iをピッキングする対象物Mとして識別する。なお、識別手段34は、
が所定の閾値以上の場合には、対象物Mを正確に識別できていない可能性が大きいため、ピッキングの対象とせず、識別のやり直しを行う。このとき、対象物Mをかき混ぜるなどして、カメラ装置8により入力される画像を変化させる。
【0045】
テンプレート記憶手段35には、複数の対象物Mについて予め各ピッキング対象物体iの種類ごとにテンプレート画像が記憶され、識別手段34は各テンプレート画像の面積T
kを算出する。なお、このテンプレート記憶手段35には、予め各テンプレート画像から算出した各テンプレート画像の面積を記憶する構成とすることも可能である。
【0046】
また、ピッキング装置6により対象物Mをピッキングする位置の座標は、例えば対象物Mの重心座標(x
g,y
g)をピッキング装置6の作業領域に変換したものを使用する。これは対象物Mをピッキング装置6によりピッキングする際、当然対象物Mの重心点を主吸着パッド20により吸着すると安定するためである。
【0047】
次に、上記構成のピッキング装置6によるピッキング手順について説明する。
図10はピッキング装置6によるピッキング手順を示すフロー図、
図11はピッキング装置6によるピッキング手順の例を示す説明図である。
【0048】
図10に示すように、ピッキング装置6では、乱雑に載置された複数の対象物Mを含む画像をカメラ装置8により入力し(S101)、二値化処理手段30により二値化を行い(S102)、対象物体領域抽出手段31によりラベリングを行う(S103)。
図11(a)はカメラ装置8により入力した画像の例を、同図(b)は二値化後、1〜5にラベリングした画像の例をそれぞれ示している。
【0049】
次に、ピッキング装置6は、重心導出手段32により各ピッキング対象物体領域i(i=1,2,3,4,5)の重心座標(xg
i,yg
i)を導出し(S104)、姿勢導出手段33により各ピッキング対象物体領域iの姿勢角度θ
iを導出する(S105)(
図11(c)参照。)。そして、ピッキング装置6は、識別手段34により各ピッキング対象物体領域iの中から実際にピッキングする1つの対象物Mを識別し(S106)(
図11(d)参照。)、ピッキングを行う。
【0050】
以上のように、本実施形態におけるピッキング装置6によれば、評価関数J
iの第1項および第2項によって、乱雑に配置された複数の対象物Mの中から重なり合ったり直列や並列に繋がったりしている対象物Mを排除して、各対象物Mを識別し、正確にピッキングすることが可能である。
【0051】
また、評価関数J
iについて
が所定の閾値以上の場合にはピッキングの対象としないので、対象物Mを正確に識別できていない可能性が大きい場合には、これを排除して、より正確な識別を行い、各対象物Mをより正確にピッキングすることが可能である。
【0052】
さらに、このピッキング装置6では、各ピッキング対象物体領域iの姿勢角度を導出し、各ピッキング対象物体領域iに外接する矩形を、姿勢導出手段33により導出した各ピッキング対象物体領域iの姿勢角度の2辺とこれに直交する2辺により構成しているので、各ピッキング対象物体領域iの姿勢角度の導出ミスがあったものを排除して各対象物Mを識別し、より正確にピッキングすることが可能となっている。
【0053】
以上のように、本実施形態における返品薬仕分け装置1では、非整列の状態で返品薬収容部2へ収容された様々な種類の返品薬Aは、ピッキング装置6により1つずつピッキングされて仮置き部3に仮置きされ、この仮置き部3で1つずつ画像解析されて、そのピッキングすべき位置および方向が検出され、この検出されたピッキングすべき位置および方向に基づいて仮置き部3の返品薬がピッキング装置6によりピッキングされ、返品薬Aの識別に適した向きに調整されて、返品薬識別部4へ載置され、識別される。その後、この1つずつ自動識別された返品薬Aは、ピッキング装置6によりピッキングされ、識別結果に基づいて返品薬収納部5の該当する収納カセットへ仕分けされる。
【0054】
このように、本実施形態における返品薬仕分け装置1では、返却された様々な種類の返品薬Aを非整列の状態で返品薬収容部2へ収容するだけで、1つずつ返品薬Aが自動識別され、仕分けされる。したがって、薬品の容器の形態やラベルのデザイン等によって非常に似たものが混在していても仕分け間違いをなくすことができる。なお、返品薬Aに表示されたラベルやバーコードなどの汚れ等の原因により返品薬識別部4によって識別できなかった返品薬Aは、他の薬剤との混在を避けるために回収ボックス部10へ仕分けされる。
【0055】
また、本実施形態における返品薬仕分け装置1では、位置方向検出手段24により検出したピッキングすべき位置および方向に基づいて、主吸着パッド20および複数の補助吸着パッド21により返品薬Aが吸着されるようにサーボモータ23により主吸着パッド20および複数の補助吸着パッド21を回転させて、主吸着パッド20により返品薬Aのピッキングすべき位置を吸着した際、位置方向検出手段24による検出が正しい場合には、主吸着パッド20と少なくとも1つの補助吸着パッド21により吸着されるので、ピッキング不良を防止して、アンプルやバイアル等の長筒形薬品容器を、その向きに応じてより正確にピッキングすることが可能となっている。
【0056】
また、位置方向検出手段24による検出が正しくないと判定された場合には、別の返品薬Aについてピッキングすべき位置および方向を検出し、主吸着パッド20および複数の補助吸着パッド21により別の返品薬Aが吸着されるまで別の返品薬Aの検出および吸着を繰り返すか、サーボモータ23により主吸着パッド20および複数の補助吸着パッド21を所定角度回転させ、主吸着パッド20および複数の補助吸着パッド21により返品薬Aが吸着されるまで繰り返すことにより、ピッキング不良が防止されている。
【0057】
また、本実施形態における返品薬仕分け装置1では、V字状に配置された2面間に返品薬Aを載せて回転させる受皿部11であって2面のうち少なくとも1面がベルトコンベア12のベルト上面である受皿部11と、返品薬Aに表示された薬品ラベルを読み取る読取装置とにより、薬品ラベル自動読取装置が構成されているため、返品薬Aの位置および方向が多少ずれていても、返品薬Aは常にV字状の先端部に向かうようになる。したがって、返品薬Aを落とすことなく回転させ、返品薬Aに表示された薬品ラベルを自動的に読み取ることが可能となっている。
【0058】
また、本実施形態における返品薬仕分け装置1では、受皿部11のベルトコンベア12が所定幅の環状ベルトが複数並列に設けられたものであるため、返品薬Aが長手方向に移動することが防止されている。これにより、返品薬Aの長手方向の位置が安定し、返品薬Aに表示された薬品ラベルをより簡単かつ正確に読み取ることが可能となっている。