(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の一の実施の形態に係る電磁リレー1を示す平面図であり、
図2は
図1の電磁リレー1における後述のカバー部22を外した状態を示す図である。また、
図3は
図2の矢印A−Aの位置における電磁リレー1の断面図であり、
図4は
図2中の矢印B−Bの位置における電磁リレー1の断面図である。
図3および
図4では、
図2中の矢印A−Aおよび矢印B−Bの位置における断面よりも背後も図示しており、また、カバー部22の断面も図示している。また、
図1ないし
図4では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向として示している。
【0014】
図3に示すように、電磁リレー1は、電磁石3と、電磁石3のON/OFFにより揺動する揺動部4(アーマチュアとも呼ばれる。)と、それぞれが第1固定接触子512を有する2個の第1固定端子部51と、それぞれが第2固定接触子522を有する2個の第2固定端子部52と、それぞれが2個の可動接触子621,622を有する2個の可動端子部6と、揺動部4の運動を可動端子部6に伝達する伝達部材7(カードとも呼ばれる。)と、これらの構成を内部に収容する箱状の筐体2とを備える。なお、
図3では、1つの第1固定端子部51、第2固定端子部52および可動端子部6のみを示している。
【0015】
筐体2は、
図3の上下方向(Z方向)に垂直な方向に広がる板状のベース21を有し、電磁石3、揺動部4、第1および第2固定端子部51,52、可動端子部6、並びに、伝達部材7は、ベース21の上面211側に配置される。筐体2は、ベース21上の電磁石3、揺動部4、第1および第2固定端子部51,52、可動端子部6、並びに、伝達部材7を覆うカバー部22をさらに有する。以下の説明における上下方向は
図3および
図4の上下方向であり、重力方向に一致するものとするが、
図3および
図4の上下方向は重力方向と相違してもよい。
【0016】
図1に示すカバー部22は透明な樹脂にて形成されており、Z方向に垂直な上面部221、および、それぞれがX方向またはY方向に垂直な4個の側面部222を有する。上面部221の外面((+Z)方向を向く面)には、略矩形の第1窓部223および第2窓部224を除き、シボ加工が施される。これにより、上面部221の当該外面において第1および第2窓部223,224を除く領域では、上面部221の上方から筐体2の内部を視認することができない。一方、第1および第2窓部223,224では、上面部221の上方から筐体2の内部を視認することが可能である。
【0017】
図3および
図4に示すように、上面部221の内面((−Z)方向を向く面)には、プリズム225が設けられる。プリズム225は、上面部221の当該内面上に底面が配置された四角錐の形状を有し、(−Z)側に突出する。
図1に示すように、プリズム225の当該底面の大きさは第1窓部223とほぼ同じ、あるいは、第1窓部223よりも僅かに大きく、Z方向において当該底面は第1窓部223の全体と重なる。実際には、プリズム225は、筐体2の一部であるカバー部22と共に1つの部材として樹脂にて形成される。プリズム225により、後述するように伝達部材7が第1窓部223の真下に配置された際に、第1窓部223を介して伝達部材7を視認可能な筐体2の外部における範囲(すなわち、筐体2外部において伝達部材7を視認可能な方向の範囲(角度範囲))が広がる。
【0018】
図3に示すように、電磁石3は、上下方向に伸びる棒状の芯部31と、芯部31の周囲を囲む筒部321を有するボビン32と、筒部321の周囲に形成されたコイル33と、コイル33に接続された一対のコイル側端子34とを有する。芯部31は磁性材料(ここでは、鉄等の磁性金属)により形成される。ボビン32は、筒部321の両端部に設けられる一対のフランジ部322をさらに有し、筒部321および一対のフランジ部322は1つの部材として樹脂にて形成される。一対のコイル側端子34の上部はコイル33を形成する導電線の両端にそれぞれ接続される。コイル側端子34の下部は、ベース21に設けられたコイル側端子挿入孔を介してベース21の下面212から突出する。
【0019】
電磁石3は、芯部31およびコイル33と共に磁気回路を形成するヨーク35をさらに有する。ヨーク35は、上側((+Z)側)のフランジ部322に沿うとともに芯部31の上端に接続される接続部351と、当該フランジ部322の縁近傍における接続部351の端部から他方のフランジ部322の近傍まで垂れ下がる垂下部352とを有する。上下方向に関して、垂下部352の下端は芯部31の下端とほぼ同じ高さであり、コイル33よりも下方に位置する。
【0020】
電磁石3の上方には、
図2に示すように、発光部81およびダイオード82が実装された回路基板8が設けられる。電磁リレー1では、一対のコイル側端子34(
図3参照)が一対のリードフレーム36を介して回路基板8上の2個の基板端子83にそれぞれ電気的に接続される。ダイオード82の両極は2個の基板端子83にそれぞれ電気的に接続され、ダイオード82によりコイル33にて発生する逆起電圧が抑制される。このように、逆起電圧を抑制するダイオード82を電磁リレー1の内部に設けることにより、電磁リレー1が用いられるシステムにおいて、逆起電圧を抑制するためのダイオードを別途設ける必要がなくなり、当該システムの省スペース化を図ることが可能となる。
【0021】
また、回路基板8では、発光部81がダイオード82とは並列に2個の基板端子83に接続される。発光部81では、発光ダイオード等の2個の発光素子811が並列に配置されており、一対のコイル側端子34間において一方の向きに電流を流す際に2個の発光素子811のうちの一方の発光素子811が点灯し、他方の向きに電流を流す際に他方の発光素子811が点灯する。このように、回路基板8には、電磁石3のONにより点灯し、電磁石3のOFFにより消灯する発光素子811が設けられる。
図3に示すように、回路基板8もカバー部22により覆われて筐体2内に配置される。
【0022】
揺動部4は略L字状であり、上下方向におよそ沿って伸びる揺動本体41と、上下方向に関してコイル33よりも下方に位置する揺動本体41の下端部411から電磁石3の真下(正確には、芯部31の真下)に向かって伸びて芯部31の下端面と対向する対向部42とを有する。揺動本体41は、下端部411から上方に伸びるとともに、鉄等の磁性金属により形成される金属部材413を有する。実際には、揺動本体41の金属部材413および対向部42は当該磁性金属により1つの部材として形成される。揺動本体41と対向部42とが連結する部位(すなわち、略L字状の揺動部4における屈曲部)は、ベース21上に設けられるヒンジばね213とヨーク35の下端との間にて挟持される。後述するように、電磁石3のON/OFFにより揺動部4が揺動する際には、当該屈曲部を支点として揺動本体41の上側の先端部412が電磁石3の上部に近接または離間する。すなわち、揺動部4は、上下方向に関してコイル33よりも下方に位置する支点を中心として揺動する。もちろん、揺動部4における支点は任意の位置に設定されてよい。
【0023】
揺動本体41は、樹脂のみにより形成される樹脂部材414をさらに有する。当該樹脂の比重は、金属部材413を形成する磁性金属よりも小さい。樹脂部材414は、金属部材413の上端部と接続され、揺動本体41の先端部412を含む。
図5は、(+Y)側から(−Y)方向を向いてを見た樹脂部材414の近傍を示す図である。
図3および
図5に示す電磁リレー1では、樹脂部材414と金属部材413(および対向部42)との一体成形により揺動部4が形成され、樹脂部材414により金属部材413の上端部の端面および上端部の全ての側面が覆われる。
図5に示すように、金属部材413の上端部には貫通孔4131が形成されており、貫通孔4131内にも樹脂が充填される。これにより、樹脂部材414と金属部材413とが強固に固定される。また、樹脂部材414の上部、すなわち、揺動本体41の先端部412には貫通孔415が形成される。
【0024】
図2に示すように、ベース21は、各辺がX方向またはY方向に平行な略矩形であり、電磁石3および揺動部4は、ベース21の(+Y)側の略半分の領域上に配置される。ベース21上には、
図2および
図3に示すように、電磁石3および揺動部4が配置される空間と、第1および第2固定端子部51,52、並びに、可動端子部6が配置される空間とを仕切る隔壁であって、絶縁性材料により形成される絶縁壁部23が設けられる。詳細には、
図2に示す絶縁壁部23は、揺動部4の(−Y)側にてZX平面に平行に広がる第1隔壁231と、X方向における第1隔壁231の各端部から(+Y)側に向かってYZ平面に平行に広がる第2隔壁232と、各第2隔壁232の(+Y)側の端部からY方向に平行なベース21のエッジに向かってZX平面に平行に広がる第3隔壁233とを有する。
【0025】
絶縁壁部23は、YZ平面に平行かつベース21の中心を含む面に対して面対称な形状である。
図3に示すように、ベース21の上面211からの第1隔壁231の高さは、第2隔壁232(および第3隔壁233)の高さよりも低く、後述するように伝達部材7は
図2の第1隔壁231の上方((+Z)側)、かつ、2個の第2隔壁232の間に位置しており、Y方向に移動する。
図2に示すように、ベース21上には、さらに、第1隔壁231のX方向における中央から(−Y)側に向かってYZ平面に平行に広がるガイド壁部24が設けられる。
図3に示すように、ベース21の上面211からのガイド壁部24の高さは、第1隔壁231の高さと同じである。
【0026】
図2に示すように、ベース21上において絶縁壁部23よりも(−Y)側の領域は、ガイド壁部24により(+X)側の領域と(−X)側の領域とに仕切られる。これらの2つの領域のそれぞれには、
図3に示すように、(+Y)側から(−Y)方向に向かって、すなわち、絶縁壁部23から離れる方向に向かって順に、第2固定端子部52、可動端子部6、第1固定端子部51が配置される。このように、電磁リレー1は、(+X)側の領域および(−X)側の領域のそれぞれに1つの端子群が設けられた、いわゆる2極タイプのリレーである。
【0027】
図3および
図4に示すように、伝達部材7は、ガイド壁部24の上端を挟む2つの板状部711が設けられた伝達本体71を有し、伝達部材7のY方向の移動がガイド壁部24の上端によりガイドされる。
図3に示すように、伝達本体71の(+Y)側の端部には、(−Z)側へと突出する接続部72が形成され、接続部72の先端には(+Y)側へと突出する突出部721が設けられる。突出部721は、揺動部4の樹脂部材414に形成された貫通孔415内に、貫通孔415とは非接触の状態にて挿入される。換言すると、樹脂部材414の貫通孔415が、伝達部材7の一部である突出部721と係合することにより、伝達部材7の上方への移動を制限する抜止部として機能する。
【0028】
図3および
図4に示すように、伝達部材7の各板状部711においてガイド壁部24とは反対側の面には、可動端子部6と当接する当接部73が設けられる。当接部73には(−Y)側に突出する円柱状の突起部731が形成され、突起部731の先端には(+Z)側に向かって突出する円柱状の係止部732が設けられる。突起部731の直径と係止部732の直径はほぼ同じである。電磁リレー1では、伝達部材7の全体が、着色された樹脂(例えば、赤色に着色された樹脂)にて1つの部材として形成される。
【0029】
図3に示すように、可動端子部6は、一端がベース21に対して固定されるとともに導電性材料にて形成される板ばね部61と、板ばね部61の当該一端から離れた部位において(−Y)側および(+Y)側の面上にそれぞれ設けられる第1および第2可動接触子621,622と、板ばね部61を介して第1および第2可動接触子621,622と電気的に接続される接点側端子63とを有する。
図3および
図4に示すように、板ばね部61の他端(上端)近傍には、例えばバーリング加工により貫通孔611が形成され、当該貫通孔611には伝達部材7の突起部731が挿入される。既述のように、(−Y)方向に突出する突起部731には、貫通孔611を通り抜けた先端側においてY方向に略垂直な方向(ここでは、(+Z)方向)に突出する係止部732が設けられる。
図4に示すように、貫通孔611の直径(内径)α1は円柱状の突起部731の直径(および、係止部732の直径)よりも十分に大きく、突起部731は貫通孔611のおよそ中央に配置される。したがって、突起部731は、常時、貫通孔611の縁と非接触である。また、貫通孔611の直径α1は、Z方向における係止部732の長さα2よりも僅かに小さい。
【0030】
図3に示す第2固定端子部52は、一端がベース21に固定されるとともに導電性材料にて形成される板状部521と、板状部521の他端近傍にて(−Y)側の面上に設けられる第2固定接触子522と、板状部521を介して第2固定接触子522と電気的に接続される接点側端子523とを有する。第1固定端子部51は、一端がベース21に対して固定されるとともに導電性材料にて形成される板ばね部511と、板ばね部511の他端近傍にて(+Y)側の面上に設けられる第1固定接触子512と、板ばね部511を介して第1固定接触子512と電気的に接続される接点側端子513とを有する。第1および第2固定端子部51,52、並びに、可動端子部6における接点側端子513,523,63の下部は、ベース21に設けられた接点側端子挿入孔を介してベース21の下面212から突出する。
【0031】
電磁リレー1では、電磁石3がOFFである、すなわち、コイル33に電流を流していない時には、ガイド壁部24の(+X)側および(−X)側のそれぞれの領域において、可動端子部6の板ばね部61の上端(より詳細には、貫通孔611の周囲の部位)が伝達部材7の当接部73を(+Y)側に付勢して、伝達部材7が
図3に示す位置に配置される。また、可動端子部6において(−Y)側の第1可動接触子621が(−Y)側の第1固定接触子512から離間する。一方、電磁石3がONである、すなわち、一対のコイル側端子34を介してコイル33に電流を流している時には、
図6に示すように、揺動部4の対向部42が芯部31の下端面側に磁気的に吸引されて揺動本体41の先端部412が(−Y)側に移動する。このとき、先端部412が伝達部材7の接続部72に当接して伝達部材7を(−Y)側に移動し、伝達部材7が
図6に示す位置である第1窓部223の真下(すなわち、プリズム225の真下)に配置される。これにより、伝達部材7の当接部73が板ばね部61の上端を(−Y)側に付勢し、板ばね部61が撓んで第1可動接触子621が第1固定接触子512に当接する(いわゆる、NO接点(またはa接点)が閉状態となる)。以下の説明では、伝達部材7の移動方向(Y方向)を「可動方向」ともいう。
【0032】
このように、伝達部材7が揺動部4の運動を板ばね部61に伝達して板ばね部61が撓むことにより、第1可動接触子621が、第1固定接触子512に当接する当接位置と、第1固定接触子512から可動方向に離れた離間位置との間にて移動可能である。実際には、電磁石のOFFにより、
図3のように第1可動接触子621が離間位置に位置する(すなわち、第1固定接触子512から離間する)際に、第1固定接触子512とは反対方向を向く第2可動接触子622が(+Y)側の第2固定接触子522と当接する(いわゆる、NC接点(またはb接点)が閉状態となる)。また、電磁石のONにより、
図6のように第1可動接触子621が当接位置に位置する際に、第2可動接触子622が第2固定接触子522と離間する。
【0033】
本実施の形態に係る電磁リレー1では、仮に第1可動接触子621と第1固定接触子512とが溶着した場合であっても、電磁石3をOFFにした状態で第2可動接触子622と第2固定接触子522との間隔が所定値(例えば0.5ミリメートル)以上となり、仮に第2可動接触子622と第2固定接触子522とが溶着した場合であっても、電磁石3をONにした状態で第1可動接触子621と第1固定接触子512との間隔が所定値以上となり、強制ガイド接点構造が実現されている。このように、電磁リレー1は強制ガイドリレーである。
【0034】
図7ないし
図10は、カバー部22の上面部221を示す図であり、
図7ないし
図10では、電磁リレー1の状態に従って第1窓部223を介して視認される伝達部材7、および、第2窓部224を介して視認される点灯状態の発光素子811に平行斜線を付している。
【0035】
既述のように、正常な電磁リレー1において、電磁石3がOFFである際には、
図3に示すように、第1可動接触子621は第1固定接触子512から離間した離間位置に配置され、第2可動接触子622が第2固定接触子522に当接する。このとき、伝達部材7は、第1窓部223の真下から逸れた位置、すなわち、Z方向において第1窓部223と重ならない位置に配置される。したがって、
図7に示すように、筐体2の外部において、第1窓部223の真上からは筐体2内の伝達部材7は視認不能である。また、電磁石3の一対のコイル側端子34間にも電流は流れないため、いずれの発光素子811も点灯しない。
【0036】
電磁石3がONである際には、
図6に示すように、第1可動接触子621は第1固定接触子512と当接する当接位置に配置され、第2可動接触子622が第2固定接触子522から離間する。このとき、揺動部4に接続された伝達部材7は、第1窓部223の真下の位置、すなわち、Z方向において第1窓部223と重なる位置に配置される。したがって、
図8に示すように、筐体2の外部において、第1窓部223の真上から筐体2内の伝達部材7の一部が視認可能である。また、電磁石3の一対のコイル側端子34間に電流が流れるため、一方の発光素子811が点灯する。上記のように、可動端子部6に直接的に接続された伝達部材7は、揺動部4の揺動により、
図7に示す非視認位置と
図8に示す視認位置との間を移動することにより、第1可動接触子621(および第2可動接触子622)の状態を示すメカニカルインジケータとして機能する。
【0037】
一方、
図9に示すように、筐体2の外部において、第1窓部223の真上から筐体2内の伝達部材7(の一部)が視認されるにもかかわらず、いずれの発光素子811も点灯していない場合には、電磁リレー1において異常が発生していると判断することができる。具体的には、いずれの発光素子811も消灯していることから電磁石3に電流を流していない状態(すなわち、無励磁状態)である。また、この状態において、伝達部材7が第1窓部223の真下に配置され、第1可動接触子621が第1固定接触子512と当接する当接位置に配置されることから(
図6参照)、可動端子部6が正常に移動しない異常、例えば第1可動接触子621と第1固定接触子512との溶着(NO接点の溶着)が発生している可能性が高いと判断される。
【0038】
また、
図10に示すように、筐体2の外部において、第1窓部223の真上から筐体2内の伝達部材7が視認されないにもかかわらず、一方の発光素子811が点灯している場合にも、電磁リレー1において異常が発生していると判断することができる。具体的には、発光素子811が点灯していることから電磁石3に電流を流している状態(すなわち、励磁状態)である。また、この状態において、伝達部材7が第1窓部223とZ方向において重ならない位置に配置され、第1可動接触子621が第1固定接触子512から離間した離間位置に配置されることから(
図3参照)、可動端子部6が正常に移動しない異常、例えば第2可動接触子622と第2固定接触子522との溶着(NC接点の溶着)が発生している、または、電磁石3のコイル33等に断線が発生している可能性が高いと判断される。
【0039】
以上に説明したように、電磁リレー1では、第1可動接触子621が当接位置に位置する際における伝達部材7が第1窓部223を介して筐体2の外部から視認され、第1可動接触子621が離間位置に位置する際における伝達部材7が第1窓部223を介して筐体2の外部から視認されない。このように、可動端子部6に直接的に接続された伝達部材7の位置を確認することにより、第1可動接触子621の位置をより確実に(高い信頼性にて)確認することができる。また、電磁リレー1では、電磁石3のコイル33に電気的に接続された発光素子811の点灯が筐体2の外部から視認される。これにより、伝達部材7の位置の確認と、発光素子811の点灯または消灯の確認とを合わせて、電磁リレー1の状態を正確かつ詳細に把握することができる。
【0040】
また、筐体2が箱状であり、筐体2の第1窓部223が形成される面を介して発光素子811の点灯が視認される。これにより、電磁リレー1を所定のシステムに取り付けた状態において、カバー部22の全ての側面部222(
図1参照)が他の部材により覆われる場合であっても、第1窓部223および第2窓部224が形成される上面部221を観察可能とすることにより、電磁リレー1における状態を確認することができる。
【0041】
さらに、電磁リレー1では、プリズム225により、第1窓部223の下方の伝達部材7が第1窓部223を介して視認可能な筐体2の外部における範囲が広げられる。これにより、第1窓部223の下方における伝達部材7を容易に視認することができる。また、プリズム225が、カバー部22と共に1つの部材として樹脂にて形成されるため、プリズム225を有する電磁リレー1を容易に製作することができる。
【0042】
ところで、電磁石3のON/OFFの多数回の繰り返しにより、万一、可動端子部6の板ばね部61(
図3参照)が折れた(断線した)場合、伝達部材7自体は可動方向に正常に移動可能であるため、伝達部材7の位置の確認、および、発光素子811の点灯または消灯の確認のみでは、電磁リレー1の上記異常を検出することができない。そこで、可動端子部6の接点側端子63と、第2固定端子部52の接点側端子523(電磁石3がON状態である場合は、第1固定端子部51の接点側端子513)との間の電気的な接続(導通)の有無を確認することにより、板ばね部61の断線の有無を特定することが考えられる。この場合に、仮に、板ばね部61が貫通孔611を有していないときには、
図11中に二点鎖線にて示すように、板ばね部61の自由端側の部位が第2固定端子部52と板ばね部61の固定端側の部位とに引っ掛かって両者を電気的に接続する可能性があり、板ばね部61の断線の有無を正確に特定することができなくなる。
【0043】
これに対し、電磁リレー1では、板ばね部61が貫通孔611を有し、可動方向におよそ沿って突出する伝達部材7の突起部731が、貫通孔611を通り抜けた先端側において可動方向に略垂直な方向に突出する係止部732を有する。これにより、板ばね部61が折れた場合に、板ばね部61の自由端側の部位が落下することを防止することができ、当該部位が第2固定端子部52と板ばね部61の固定端側の部位とを電気的に接続することが防止される。その結果、可動端子部6の接点側端子63と、第2固定端子部52の接点側端子523との間の電気的な接続の有無を確認して、板ばね部61の断線の有無を正確に特定することが可能となる。
【0044】
なお、板ばね部61の自由端側の部位の落下をより確実に防止するには、係止部732が突出する方向に関して、係止部732の長さが貫通孔611の直径よりも大きい、あるいは、第1可動接触子621が離間位置に位置する際において、可動方向に関して貫通孔611から突起部731の先端までの距離が、第1可動接触子621と第1固定接触子512との間の間隙の幅よりも長いことが好ましい。また、正常な電磁リレー1において、第1可動接触子621が当接位置および離間位置のいずれに配置された状態においても、突起部731が貫通孔611の縁と非接触であることにより、電磁リレー1の通常の動作時に、突起部731が損傷することを防止することが可能となる。
【0045】
上記電磁リレー1では、様々な変形が可能である。
【0046】
第1可動接触子621が第1固定接触子512に当接する際の伝達部材7の位置を「第1の位置」と呼び、第1可動接触子621が第1固定接触子512から可動方向に離間する際の伝達部材7の位置を「第2の位置」と呼ぶと、上記実施の形態では、第1の位置に配置された際の伝達部材7が第1窓部223を介して筐体2の外部から視認され、第2の位置に配置された際の伝達部材7が第1窓部223を介して筐体2の外部から視認されない。しかしながら、電磁リレー1では、上面部221における第1窓部223の位置が変更され、第1の位置に配置された際の伝達部材7が第1窓部223を介して筐体2の外部から視認されず、第2の位置に配置された際の伝達部材7が第1窓部223を介して筐体2の外部から視認されてもよい。以上のように、電磁リレー1では、第1の位置および第2の位置の一方の位置に配置された際の伝達部材7が第1窓部223を介して筐体2の外部から視認され、第1の位置および第2の位置の他方の位置に配置された際の伝達部材7が筐体2の外部から視認されないことが重要である。
【0047】
当該一方の位置に配置された際の伝達部材7が第1窓部223を介して視認可能な筐体2の外部における範囲は、プリズム225以外の光学素子(例えば、ミラーやレンズ)により広げられてもよい。この場合に、電磁リレー1の設計によっては、当該光学素子が筐体2のカバー部22とは個別の部材(分離可能な部材)として設けられてもよい。また、上記機能を有する光学素子は、筐体2の外部のみに設けられてもよく、さらに、筐体2の内部および外部の双方に設けられてもよい。
【0048】
電磁リレー1では、第2窓部224を設けることにより、発光素子811の点灯または消灯の視認性が向上するが、カバー部22の上面部221において発光素子811の点灯または消灯が視認可能であるならば、第2窓部224は省略されてもよい。
【0049】
第1窓部223および第2窓部224は、上面部221の一部を除去することにより形成される開口にて実現されてもよい。また、電磁リレー1の内部の構造によっては、第1窓部223および第2窓部224は、側面部222に設けられてもよい。
【0050】
係止部732は必ずしも突起部731の先端に形成される必要はなく、当該先端と当接部73との間に形成されてもよい。
【0051】
可動端子部6に直接的に接続された伝達部材7の位置を確認することにより、可動接触子621,622の位置をより確実に確認する上記手法は、1つの可動端子部に対して1つの固定端子部のみが設けられる電磁リレー(もちろん、1つの可動端子部および1つの固定端子部の複数の組合せを含む電磁リレーであってもよい。)にて採用されてもよい。
【0052】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。