(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜7何れか1項記載の化合物の、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O-laser)から成る群より選ばれる有機電子素子での使用。
請求項1〜7何れか1項記載の少なくとも一つの化合物を含む、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O-laser)から成る群より選ばれる有機電子素子。
請求項1〜7何れか1項記載の化合物が、一以上の発光層で、マトリックス材料と組み合わせて発光化合物として使用されることを特徴とする、請求項10記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
マトリクッス材料が、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルフォン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、インデノカルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、バイポーラーマトリックス材料、シラン、アザボロール、ボロン酸エステル、トリアジン誘導体、亜鉛錯体、ジアザあるいはテトラアザシロール誘導体、ジアザホスホール誘導体、ジベンゾフラン誘導体またはこれらマトリックス材料の混合物から選ばれることを特徴とする、請求項11記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【技術分野】
【0001】
有機半導体が、機能性材料として使用される有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)の構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP 0676461およびWO 98/27136に記載されている。ここで使用される発光材料は、蛍光発光ではなく燐光発光を示す有機金属錯体へとなっている(M.A.aldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。量子力学的理由により、エネルギーとパワー効率における4倍までの増加が、燐光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。しかしながら、一般的には、三重項発光を示すOLEDの場合において、特に、効率、駆動電圧および寿命に関して、一層の改善がいまだに望まれている。これは、特に、比較的短い波長範囲で、すなわち、緑色および青色で発光するOLEDにあてはまる。さらに、多くの燐光エミッターは、溶液からの加工のための高い溶解性を有してはおらず、ここにも改善のさらなるニーズが存在する。
【0002】
先行技術にしたがうと、燐光OLEDに使用される三重項エミッターは、特に、イリジウムおよび白金錯体であり、通常、環状金属錯体として使用される。ここで、リガンドは、多くはフェニルピリジン誘導体である。しかしながら、この錯体の溶解度は低いことが多く、溶液からの加工をより困難とするか、完全に不可能とさえなる。
【0003】
先行技術は、金属にパラ配位でフェニルピリジンリガンドのフェニル環上で随意に置換されたアリールもしくはヘテロアリールで置換されたイリジウム錯体を開示する(WO 2004/026886)。錯体の改善された溶解度が、そこでは、達成された。しかしながら、ここで、錯体の溶解度と効率と寿命に関して改善の必要性が引き続き存在する。
【0004】
驚くべきことに、以下に、より詳細に説明されたある種の金属キレート錯体が、改善された溶解度を有し、さらに、有機エレクトロルミネセンス素子において、特に、効率と寿命に関して改善を生じることが見出された。したがって、本発明は、これら錯体とこれら錯体を含む有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
【0005】
本発明は、式(2)または式(3)の部分M(L)
nを含む式(1)の化合物に関する。
【0006】
M(L)
n(L’)
m 式(1)
【化1】
【0007】
式中:使用される記号と添え字は、以下が適用される:
Mは、イリジウム、ロジウム、白金およびパラジウムから成る群より選ばれる金属であり;
X、X
1は、出現毎に同一であるか異なり、CR
1またはNであり;
Qは、出現毎に同一であるか異なり、R
1C=CR
1、R
1C=N、O、S、SeまたはNR
1であり;
Vは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、SeまたはNR
1であり;
Yは、出現毎に同一であるか異なり、単結合またはC(R
1)
2、C(=O)、O、S、SO、SO
2、NR
1、PR
1もしくはP(=O)R
1より選ばれる二価基であり、
Rは、出現毎に同一であるか異なり、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
1により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、Ge(R
2)
2、Sn(R
2)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、NR
2、O、SもしくはCONR
2で置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基R
1により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
1により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1以上の基R
1により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基であり;
R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
2)
2、CN、NO
2、Si(R
2)
3、B(OR
2)
2、C(=O)R
2、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、OSO
2R
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、Ge(R
2)
2、Sn(R
2)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、NR
2、O、SもしくはCONR
2で置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1以上の基R
2により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基、または二個以上のこれら基の組み合わせであって、ここで、二個以上の基R
1は、互いにモノ-あるいはポリ環状、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を形成してもよく;
R
2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
3)
2、CN、NO
2、Si(R
3)
3、B(OR
3)
2、C(=O)R
3、P(=O)(R
3)
2、S(=O)R
3、S(=O)
2R
3、OSO
2R
3、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
3により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
3C=CR
3、C≡C、Si(R
3)
2、Ge(R
3)
2、Sn(R
3)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
3、P(=O)(R
3)、SO、SO
2、NR
3、O、SもしくはCONR
3で置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基R
3により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
3により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1以上の基R
3により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基、または二個以上のこれら基の組み合わせであって、二個以上の隣接する基R
2は、ここで、互いにモノ-あるいはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
R
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、または、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であって、さらに、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R
3は、互いにモノ-あるいはポリ環状脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
R
4は、出現毎に同一であるか異なり、HまたはDであり;
L’は、出現毎に同一であるか異なり、任意の所望のコリガンドであり
nは、Mがイリジウムまたはロジウムであるならば、1、2または3であり、Mが白金またはパラジウムであるならば、1または2であり
mは、0、1、2、3または4であり、
ここで、複数のリガンドLは、互いに連結してもよいか、Lは、任意の所望のブリッジVを介してL’と連結して、三座、四座、五座もしくは六座配位系を形成することもできる。
【0008】
ここで、添え字nとmは、Mがイリジウムまたはロジウムであるときは金属での配位数が6に対応し、Mが白金またはパラジウムであるときは金属での配位数が4に対応するように選択される。
【0009】
本発明の意味でのアリール基は、6〜40個のC原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、2〜40個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、単純な芳香族環、すなわち、ベンゼン、または、単純な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または、縮合アリールもしくはヘテロリール基、たとえば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等の何れかを意味するものと解される。
【0010】
本発明の意味での芳香族環構造は、6〜60個のC原子を環構造中に含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、2〜60個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を環構造中に含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の目的のために、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、その代わりに、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp
3混成のC、NあるいはO原子のような非芳香族単位(H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により中断されていてもよい構造を意味するものと解される。したがって、たとえば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、本発明の目的のための芳香族環構造を意味するものと解されることを意図されており、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖もしくは環状アルキル基またはシリル基により中断される構造も同様である。
【0011】
本発明の意味での環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基は、単環状、二環状もしくは多環状基を意味するものと解される。
【0012】
本発明の目的のためには、C
1〜C
40-アルキル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、上記した基により置換されていてよく、たとえば、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、tert-ペンチル、2-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、tert-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、シクロヘプチル、1-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、シクロオクチル、1-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-(2,6-ジメチル)オクチル、3-(3,7-ジメチル)オクチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは2,2,2-トリフルオロエチルを意味するものと解される。アルケニル基は、たとえば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルを意味するものと解される。アルキニル基は、たとえば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルあるいはオクチニルを意味するものと解される。C
1〜C
40-アルコキシ基は、たとえば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシまたは2-メチルブトキシを意味するものと解される。5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基Rにより置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、たとえば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ベンゾフルオランセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、シス-もしくはトランス-モノベンゾインデノフルオレン、シス-もしくはトランス-ジベンゾインデノフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味するものと解される。
【0013】
二個の隣接する基R
1とR
2が互いに環構造を形成するならば、形成された環構造は、リガンド上で縮合する脂肪族もしくは芳香族環である。この型の環構造の例は、シクロヘキシル基上の縮合もしくはフェニル基上の縮合である。リガンドの二個の異なる芳香族環に、たとえば、フェニル基とピリジン基に結合する基が、互いに環を形成し、たとえば、アザフルオレン構造もしくはフェナントリジン構造を生じることも可能である。さらに、Qが、CR
1=CR
1であるならば、これらの基が互いに全体として芳香族環を形成し、たとえば、イソキノリン構造を形成することも可能である。
【0014】
好ましいものは、帯電していない、すなわち電気的に中性であることを特徴とする式(1)の化合物である。これは、錯体金属原子Mの電荷を補償するように、リガンドLおよびL’の電荷を選択することによる単純な方法で達成される。
【0015】
さらに、好ましいものは、金属原子の周りの価電子の合計が、白金とパラジウムで16、イリジウムとロジウムで18であることを特徴とする式(1)の化合物である。この選好は、これら金属錯体の特別な安定性に基づく。
【0016】
本発明の好ましい具体例では、Mはイリジウムまたは白金を表す。Mは、特に、好ましくは、イリジウムを表す。
【0017】
Mが白金またはパラジウムであるならば、添え字nは、1または2を表す。添え字n=1であるならば、一個の二座リガンドまたは二個の単座リガンドL’、好ましくは、一個の二座リガンドL’が金属Mに配位する。対応して、添え字m=1は、一個の二座リガンドL’であり、添え字m=2は、二個の単座リガンドL’である。添え字n=2であるならば、添え字m=0である。
【0018】
Mがイリジウムまたはロジウムであるならば、添え字nは、1、2または3、好ましくは、2または3を表す。添え字n=1であるならば、四個の単座リガンドまたは二個の二座リガンドまたは一個の二座リガンドと二個の単座リガンドまたは一個の三座リガンドと一個の単座リガンドまたは一個の四座リガンドL’、好ましくは、二個の二座リガンドL’が金属に配位する。対応して、リガンドL’に応じて、添え字mは、1、2、3または4である。添え字n=2ならば、一個の二座リガンドと二個の単座リガンドL’、好ましくは、一個の二座リガンドL’が金属に配位する。対応して、リガンドL’に応じて、添え字mは、1または2である。添え字n=3ならば、添え字mは0である。
【0019】
本発明の好ましい具体例では、記号Xは、出現毎に同一であるか異なり、CR
1である。
【0020】
本発明のさらに好ましい具体例では、すべての記号X
1は、出現毎に同一であるか異なり、CR
1であるか、または、すべての記号X
1は、Nであるかのいずれかである。
【0021】
本発明のさらに好ましい具体例では、記号Qは、出現毎に同一であるか異なり、R
1C=CR
1もしくはR
1C=Nであり、特に、好ましくは、R
1C=CR
1である。
【0022】
本発明のさらに好ましい具体例では、Vは、出現毎に同一であるか異なり、O、SもしくはNR
1であり、特に、好ましくは、Sである。
【0023】
本発明のさらに好ましい具体例では、Yは、出現毎に同一であるか異なり、単結合またはC(=O)もしくはNR
1より選ばれる二価基であり、特に、好ましくは、単結合である。
【0024】
本発明のさらに好ましい具体例では、R
4は、Hである。
【0025】
上記選好は、同時に適用されることが、特に、好ましい。したがって、本発明の特に、好ましい具体例では、使用される記号には以下が適用される。
【0026】
Mは、イリジウムもしくは白金、特に、好ましくは、イリジウムであり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、CR
1であり;
X
1は、すべての記号X
1が、出現毎に同一であるか異なり、CR
1であるか、または、すべての記号X
1が、Nであるように選ばれ;
Qは、出現毎に同一であるか異なり、R
1C=CR
1もしくはR
1C=N、好ましくは、R
1C=CR
1であり;
Vは、出現毎に同一であるか異なり、O、SもしくはNR
1、好ましくは、Sであり;
Yは、出現毎に同一であるか異なり、単結合またはC(=O)もしくはNR
1より選ばれる二価基であり、好ましくは、単結合であり、
R
4は、Hであり、
本発明の特に、好ましい具体例では、式(2)もしくは(3)の部分は、それゆえに、以下の式(4)、(5)、(6)および(7)の部分から選ばれる。
【化2】
【0027】
式中、:使用される記号と添え字は上記の意味を有し、特に、好ましくは、上記好ましい意味を有する。
【0028】
すでに上記したとおりに、ここで、隣接する基R
1は、互いに環を形成してもよい。したがって、たとえば、一以上の基R
2により置換されてもよいキノリンもしくはイソキノリン構造は、ピリジン環から入手可能である。
【0029】
本発明の好ましい具体例では、記号Rは、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々は、1以上の基R
1により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基R
1により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。本発明の特に、好ましい具体例では、記号Rは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に1以上の基R
1により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。基Rは、非常に、特に、好ましくは、以下の式(8)〜(24)の基から選ばれる。
【化3-1】
【化3-2】
【0030】
式中:使用される記号は上記の意味を有し、破線はこの基が結合する位置を示す。
【0031】
本発明の化合物の好ましい具体例では、基R
1の一つは、式(4)〜(7)の化合物もしくは式(8)〜(24)の基の何れかにおいて、スチリル基もしくは末端アルケニル基をあらわす。この型の基は、層中での本発明の化合物の架橋のために適切である。この型の架橋は、溶液から多層素子を製造することができるために適切であり得る。
【0032】
上記したとおりに、このリガンドLを一以上のさらなるリガンドLもしくはL’に連結する架橋単位Zは、基R
1の一つに代えて存在してもよい。本発明の好ましい具体例では、架橋単位Zが、基R
1の一つに代えて存在し、その結果、リガンドは、三座もしくは多座もしくはポリポダル性を有する。この型の二個の架橋単位Zが、存在することも可能である。これは、巨大環状リガンドの形成もしくはクリプタートの形成を生じる。
【0033】
多座リガンドを有する好ましい構造は、以下の式(25)〜(28)の金属錯体である。
【化4】
【0034】
式中:使用される記号は上記の意味を有し、Zは、好ましくは、第3、第4、第5および/または第6主族(IUPAC属13、14、15もしくは16)からの1〜80原子を含む架橋単位、互いに部分リガンドLにまたはLからL’に共有結合する3〜6員環ホモ-もしくはヘテロ環を表す。ここで、架橋単位Vは、非対称構造を有してもよい、すなわち、ZからLもしくはL’への結合は、同一である必要はない。架橋単位Zは、中性、一価、二価もしくは三価で負に帯電するか、一価、二価もしくは三価で正に帯電してもよい。Zは、好ましくは、中性か一価で負に帯電するか、一価で正に帯電する。Zの電荷は、好ましくは、全体が中性の錯体を形成するように選択される。
【0035】
基Zの正確な構造と化学組成は、この基の主な機能が、特に、Lと互いにまたはL’に架橋することによる錯体の化学的および熱的安定性を増加することであることから、錯体の電子的性質に顕著な影響を有することはない。
【0036】
Zは、三価の基、すなわち、三個のリガンドLに互いにブリッジするか、二個のリガンドLからとL’または一個のリガンドLから二個のリガンドL’にブリッジするならば、Zは、出現毎に同一であるか異なり、好ましくは、B、B(R
2)
−、B(C(R
2)
2)
3、(R
2)B(C(R
2)
2)
3−、B(O)
3、(R
2)B(O)
3−、B(C(R
2)
2C(R
2)
2)
3、(R
2)B(C(R
2)
2C(R
2)
2)
3−、B(C(R
2)
2O)
3、(R
2)B(C(R
2)
2O)
3−、B(OC(R
2)
2)
3、(R
2)B(OC(R
2)
2)
3−、C(R
2)、CO
−、CN(R
2)
2、(R
2)C(C(R
2)
2)
3、(R
2)C(O)
3、(R
2)C(C(R
2)
2C(R
2)
2)
3、(R
2)C(C(R
2)
2O)
3、(R
2)C(OC(R
2)
2)
3、(R
2)C(Si(R
2)
2)
3、(R
2)C(Si(R
2)
2C(R
2)
2)
3、(R
2)C(C(R
2)
2Si(R
2)
2)
3、(R
2)C(Si(R
2)
2Si(R
2)
2)
3、Si(R
2)、(R
2)Si(C(R
2)
2)
3、(R
2)Si(O)
3、(R
2)Si(C(R
2)
2C(R
2)
2)
3、(R
2)Si(OC(R
2)
2)
3、(R
2)Si(C(R
2)
2O)
3、(R
2)Si(Si(R
2)
2)
3、(R
2)Si(Si(R
2)
2C(R
2)
2)
3、(R
2)Si(C(R
2)
2Si(R
2)
2)
3、(R
2)Si(Si(R
2)
2Si(R
2)
2)
3、N、NO、N(R
2)
+、N(C(R
2)
2)
3、(R
2)N(C(R
2)
2)
3+、N(C=O)
3、N(C(R
2)
2C(R
2)
2)
3、(R
2)N(C(R
2)
2C(R
2)
2)
+、P、P(R
2)
+、PO、PS、PSe、PTe、P(O)
3、PO(O)
3、P(OC(R
2)
2)
3、PO(OC(R
2)
2)
3、P(C(R
2)
2)
3、P(R
2)(C(R
2)
2)
3+、PO(C(R
2)
2)
3、P(C(R
2)
2C(R
2)
2)
3、P(R
2)(C(R
2)
2C(R
2)
2)
3+、PO(C(R
2)
2C(R
2)
2)
3、S
+、S(C(R
2)
2)
3+、S(C(R
2)
2C(R
2)
2)
3+、または、式(29)、(30)、(31)もしくは(32)より成る基から選ばれる。
【化5】
【0037】
式中、破線の結合は、それぞれ部分リガンドLもしくはL’への結合を示し、Aは、出現毎に同一であるか異なり、単結合、O、S、S(=O)、S(=O)
2、NR
2、PR
2、P(=O)R
2、P(=NR
2)、C(R
2)
2、C(=O)、C(=NR
2)、C(=C(R
2)
2)、Si(R
2)
2もしくはBR
2から成る基より選ばれる。その他の使用される記号は上記所与の意味を有する。
【0038】
Zは、二価の基、すなわち、二個のリガンドLに互いにブリッジするか、一個のリガンドLからL’にブリッジするならば、出現毎に同一であるか異なり、好ましくは、BR
2、B(R
2)
2−、C(R
2)
2、C(=O)、Si(R
2)
2、NR
2、PR
2、P(R
2)
2+、P(=O)(R
2)、P(=S)(R
2)、AsR
2、As(=O)(R
2)、As(=S)(R
2)、O、S、Seまたは、式(33)〜(41)の単位から成る基より選ばれる。
【化6】
【0039】
式中、破線は、夫々部分リガンドLもしくはL’への結合を示し、その他の使用される記号は、夫々上記意味を有する。
【0040】
式(1)で生じるような好ましいリガンドL’が、以下に示される。リガンド基L’は、架橋単位Zを介してLに結合するならば、対応して選択されてもよい。
【0041】
リガンドL’は、好ましくは、中性、モノアニオン性、ジアニオン性もしくはトリアニオン性リガンドであり、特に、好ましくは、中性もしくはモノアニオン性リガンドである。それらは、一座配位、二座配位、三座配位もしくは四座配位であってもよく、好ましくは、二座配位、すなわち、好ましくは、二個の配位位置を有している。上記のとおり、リガンドL’は、架橋基Zを介してLに結合してもよい。
【0042】
好ましい中性一座配位リガンドL’は、一酸化炭素、一酸化窒素、たとえば、アセトニトリルのようなアルキルシアニド、たとえば、ベンゾニトリルのようなアリールシアニド、たとえば、メチルイソニトリルのようなアルキルイソシアニド、たとえば、ベンゾイソニトリルのようなアリールイソシアニド、たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリンのようなアミン、たとえば、トリフルオロホスフィン、トリメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンのようなホスフィン、特に、ハロホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィンもしくはアルキルアリールホスフィン、たとえば、トリメチルホスフィット、トリエチルホスフィットのようなホスフィット、たとえば、トリフルオロアルシン、トリメチルアルシン、トリシクロヘキシルアルシン、トリ-tert-ブチルアルシン、トリフェニルアルシン、トリ(ペンタフルオロフェニル)アルシンのようなアルシン、たとえば、トリフルオロスチビン、トリメチルスチビン、トリシクロヘキシルスチビン、トリ-tert-ブチルスチビン、トリフェニルスチビン、トリス(ペンタフルオロフェニル)スチビンのようなスチビン、たとえば、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジンのような窒素含有ヘテロ環、カルベン、特に、アルジュンゴカルベンから成る群より選ばれる。
【0043】
好ましいモノアニオン性一座配位リガンドL’は、水素化物、重水素化物、ハロゲン化物F
−、Cl
−、Br
−、およびI
−、たとえば、メチル-C≡C
−、tert-ブチル-C≡C
−のようなアルキルアセチリド、たとえば、フェニル-C≡C
−のようなアリールアセチリド、シアニド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、たとえば、メタノレート、エタノレート、プロパノレート、イソプロパノレート、tert-ブチレート、フェノレートのような脂肪族もしくは芳香族アルコレート、たとえば、メタンチオレート、エタンチオレート、プロパンチオレート、イソプロンチオレート、tert-ブタンチオレート、チオフェノレートのような脂肪族もしくは芳香族チオアルコレート、たとえば、ジメチルアミド、ジエチルアミド、ジ-イソ-プロピルアミド、モルホリドのようなアミド、たとえば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸のようなカルボキシレート、たとえば、フェニル、ナフチルのようなアリール基および、たとえば、ピロリド、イミダゾリド、ピラゾリドのようなアニオン性窒素含有ヘテロ環から選択される。これらの基中のアルキル基は、好ましくは、C
1〜C
20-アルキル基、特に、好ましくは、C
1〜C
10-アルキル基、非常に、特に、好ましくは、C
1〜C
4-アルキル基である。アリール基はヘテロアリール基を意味するものとも解される。これらの基は、上記に定義されるとおりである。
【0044】
好ましいジ-もしくはトリ-アニオン性リガンドは、O
2−、S
2−、R-C≡M型の配位を生じるカーバイドおよび、R-N=M型の配位を生じるニトレーン(ここで、Rは、一般的に置換基を表す)またはN
3−である。
【0045】
好ましい中性もしくはモノもしくはジアニオン性二座配位または多座配位リガンドL’は、たとえば、エチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、プロピレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルプロピレンジアミン、シス-もしくはトランス-ジアミノシクロヘキサン、シス-もしくはトランス- N,N,N',N'-テトラメチルジアミノシクロヘキサンのようなジアミン、たとえば、2-[1-(フェニルイミノ)エチル]ピリジン、2-[1-(2-メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2-[1-(2,6-ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2-[1-(メチルイミノ)エチル]ピリジン、2-[1-(エチルイミノ)エチル]ピリジン、2-[1-(イソプロピルイミノ)エチル]ピリジン、2-[1-(tert-ブチルイミノ)エチル]ピリジンのようなイミン、たとえば、1,2-ビス(メチルイミノ)エタン、1,2-ビス(エチルイミノ)エタン、1,2-ビス(イソ-プロピルイミノ)エタン、1,2-ビス(tert-ブチルイミノ)エタン、2,3-ビス(メチルイミノ)ブタン、2,3-ビス(エチルイミノ)ブタン、2,3-ビス(イソプロピルイミノ)ブタン、2,3-ビス(tert-ブチルイミノ)ブタン、1,2-ビス(フェニルイミノ)エタン、1,2-ビス(2-メチルフェニルチルイミノ)エタン、1,2-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニルイミノ)エタン、1,2-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニルイミノ)エタン、2,3-ビス(フェニルイミノ)ブタン、2,3-ビス(2-メチルフェニルイミノ)ブタン、2,3-ビス(2,6-ジイソ-プロピルフェニルイミノ)ブタン、2,3-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニルイミノ)ブタン、たとえば、2,2’-ビピリジン、o-フェナントロリンのような二個の窒素原子含有ヘテロ環、たとえば、ビスジフェニルホスフィノメタン、ビスジフェニルホスフィノエタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ビス(ジメチルホスフィノ)メタン、ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジエチルホスフィノ)メタン、ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、ビス(ジエチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)メタン、ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)エタン、ビス(tert-ブチルホスフィノ)プロパンのようなジホスフィン、たとえば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、1,5-ジフェニルアセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、ビス(1,1,1-トリフルオロアセチル)-メタンのような1,3-ジケトン由来1,3-ジケトネート、たとえば、エチルアセトアセテートのような3-ケトエステル由来3-ケトネート、たとえば、ピリジン-2-カルボン酸、キノリン-2-カルボン酸、グリシン、N,N-ジメチルグリシン、アラニン、N,N-ジメチルアミノアラニンのようなアミノカルボン酸由来カルボキシレート、たとえば、メチルサリシリミン、エチルサリシリミン、フェニルサリシリミンのようなサリシリミン由来サリシリミリネート、たとえば、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコールのようなジアルコール由来ジアルコレート、たとえば、1,2-エチレンジチオール、1,3-プロピレンジチオールのようなジチオール由来ジチオレートから選択される。
【0046】
好ましい三座リガンドは、たとえば、テトラキス(1-イミダゾリル)ボレートとテトラキス(1-ピラゾリル)ボレートのような窒素原子含有ヘテロ環のボレートである。
【0047】
さらに、特に、好ましいのは、金属と共に、少なくとも一つの金属−炭素結合を有する環状金属化五員環もしくは六員環、特に、環状金属化五員環を形成する二座配位モノアニオン性リガンドである。これらは、特に、有機エレクトロルミネセンス素子のための燐光金属錯体の分野で一般的に使用されるようなリガンド、すなわち、フェニルピリジン、ナフチルピリジン、フェニルキノリン、フェニルイソキノリン等の型であって夫々は一以上の基R
1で置換されてもよいリガンドである。この型のリガンドの多様性は、燐光エレクトロルミネセンス素子の分野の当業者に知られており、当業者は、式(1)の化合物のためのリガンドL’としてこの型のさらなるリガンドを困難性なく選ぶことができるだろう。一般的に、以下の式(42)〜(69)により示されるとおりの二個の基の組み合わせが、この目的のために、特に、適しており、ここで、一方の基は、好ましくは、中性窒素原子もしくはカルベン原子を介して結合し、もう一方の基は、負に帯電した炭素原子もしく負に帯電した窒素原子を介して結合する。次いで、リガンドL’は、各場合に、#で示される位置で互いに結合するこれら基により式(42)〜(69)の基から形成することができる。基が金属に配位する位置は、*で示される。これらの基は、一もしくは二個の架橋単位Zを介してリガンドLに結合してもよい。
【化7-1】
【化7-2】
【0048】
ここで、使用される記号は、上記記載されるのと同じ意味を有し、好ましくは、各基中の記号Xの最大三個は、Nを表し、特に、好ましくは、各基中の記号Xの最大二個は、Nを表し、非常に、特に、好ましくは、各基中の記号Xの最大一個は、Nを表す。特に、好ましくは、全ての記号Xは、出現毎に同一であるか異なり、CR
1を表す。
【0049】
同様に、好ましいリガンドL’は、η
5-シクロペンタジエニル、η
5-ペンタメチルシクロペンタジエニル、η
6-ベンゼンあるいはη
7-シクロヘプタトリエニルであって、夫々は、一以上の基R
1により置換されてもよい。
【0050】
同様に、好ましいリガンドL’は、1,3,5-シス-シクロヘキサン誘導体、特に、式(70)のもの、1,1,1-トリ(メチレン)メタン誘導体、特に、式(71)のもの、および1,1,1-トリ置換メタン、特に、式(72)と(73)のものである。
【化8】
【0051】
各式中、金属Mへの配位が示され、R
1は、前記の意味を有し、Aは出現毎に同一であるか異なり、O
−、S
−、COO
−、P(R
1)
2もしくはN(R
1)
2である。
【0052】
上記と上記言及された好ましい具体例で示される式(2)〜(73)の構造中の好ましい基R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Br、N(R
2)
2、CN、B(OR
2)
2、C(=O)R
2、P(=O)(R
2)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、2〜10個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基R
2により置換されてよい5〜14個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、ここで、複数のR
1は、互いにモノ-あるいはポリ環状、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を形成してもよい。特に、好ましいR
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Br、CN、B(OR
2)
2、1〜6個のC原子を有する直鎖アルキル基、特に、メチル、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、特に、イソプロピルもしくはter-ブチル(1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の基R
2により置換されてよい5〜12個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、ここで、複数の基R
1は、互いにモノ-あるいはポリ環状、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を形成してもよい。
【0053】
本発明による金属錯体は、原則として、種々のプロセスにより調製することができる。しかしながら、以下に記載されるプロセスが、特に適していることが判明した。
【0054】
したがって、本発明は、さらに、式(74)の金属アルコキシドを有する対応するフリーリガンドの、式(75)の金属ケトケトネートとの、式(76)の金属ハロゲン化物との、または式(77)の二量体金属錯体との反応による、式(1)の金属錯体の化合物の製造方法に関する。
【化9】
【0055】
式中、記号M、m、nおよびはR
1は上記に示された意味を有し、Hal=F、Cl、BrもしくはIである。
【0056】
同様に、アルコキシレートおよび/またはハロゲン化物および/または水酸基とケトケネート基を共に有する金属化合物、特に、イリジウム化合物を使用することも可能である。これら化合物は、帯電していてもよい。出発材料として特に適切である対応するイリジウム化合物は、WO 2004/085449に開示されている。[IrCl
2(acac)
2]
─、たとえば、Na[IrCl
2(acac)
2]が、特に適している。
【0057】
錯体は、好ましくは、WO2002/060910およびWO2004/085449に記載されたとおりに合成される。ヘテロレプチック錯体は、たとえば、WO2005/042548にしたがって合成することもできる。ここで、合成は、たとえば、熱的、光化学的および/またはマイクロウェーブ照射により、活性化することもできる。
【0058】
これらのプロセスにより、本発明による式(1)の化合物が、高純度で、好ましくは、99%超の純度で得られる(
1H−NMRおよび/またはHPLCにより測定。)。
【0059】
ここで説明される合成方法は、特に、以下に示される本発明による構造1〜154の調製を容易にする。
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【化10-4】
【化10-5】
【化10-6】
【化10-7】
【化10-8】
【化10-9】
【化10-10】
【化10-11】
【化10-12】
【化10-13】
【化10-14】
【化10-15】
【化10-16】
【化10-17】
【化10-18】
【化10-19】
【化10-20】
【0060】
上記式(1)の錯体および上記好ましい具体例は、電子素子中で活性成分として使用することができる。電子素子は、アノード、カソードおよび少なくとも一つの層を含み、この層が、少なくとも一つの有機もしくは有機金属化合物を含む素子を意味するものと解される。したがって、本発明による電子素子は、アノード、カソードおよび上記少なくとも一つの式(1)の化合物を含む少なくとも一つの層を含む。ここで、好ましい電子素子は、少なくとも一つの層中に、上記少なくとも一つの上記の式(1)の化合物を含む、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O-laser)から成る群より選ばれる。特に、好ましいのは、有機エレクトロルミネセンス素子である。活性成分は、一般的にアノードとカソードの間に導入された有機もしくは無機材料であり、たとえば、電荷注入、電荷輸送もしくは電荷障壁材料であるが、特に、発光材料とマトリックス材料である。本発明による化合物は、有機エレクトロルミネセンス素子中の発光材料として特に良好な性質を有する。したがって、有機エレクトロルミネセンス素子が本発明の好ましい具体例である。
【0061】
有機エレクトロルミネセンス素子は、カソード、アノードおよび少なくとも一つの発光層を含む。これらの層とは別に、さらなる層、たとえば、各場合に、一以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子注入層、励起子障壁層、電荷生成層および/または有機もしくは無機P/N接合である。たとえば、有機エレクトロルミネセンス素子中で励起子障壁機能および/または電荷バランス調節能を有する中間層も、同様に二個の発光層の間に導入されてよい。しかしながら、これらの層の夫々は、必ずしも存在する必要がないことに留意する必要がある。有機エレクトロルミネセンス素子は、一つの発光層または複数の発光層を含んでもよい。複数の発光層が存在するならば、これらは、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発することができる種々の発光化合物が、発光層に使用される。特に、好ましいのは、その3層が青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)3層構造であるか、3以上の発光層を有する構造である。
【0062】
本発明の好ましい具体例では、有機エレクトロルミネセンス素子は、一以上の発光層に発光化合物として式(1)の化合物もしくは上記好ましい具体例を含む。
【0063】
式(1)の化合物が発光層中で発光化合物として使用されるならば、好ましくは、一以上のマトリックス材料と併用して使用される。式(1)の化合物とマトリックス材料の混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む混合物全体を基礎として、式(1)の化合物を1〜99重量%、好ましくは、2〜40重量%、特に、好ましくは、3〜30重量%、特に、5〜25重量%を含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む混合物全体を基礎として、マトリックス材料を99〜1重量%、好ましくは、98〜60重量%、特に、好ましくは、97〜70重量%、特に、95〜75重量%を含む。
【0064】
本発明による化合物のために適切な材料は、たとえば、WO 2004/013080、WO 2004/093207、WO 2006/005627もしくはWO 2010/006680にしたがうケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホンであり、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N.N-ビスカルバゾリルビフェニル)またはWO 2005/039246、US2005/0069729、JP 2004/288381、 EP1205527もしくはWO 2008/086851に記載されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO07/063754もしくはWO08/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、たとえば、未公開出願DE102009023155.2およびDE102009031021.5にしたがうインデノカルバゾール誘導体、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール、たとえば、WO 07/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 06/117052にしたがうアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 2010/015306、 WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうトリアジン誘導体、または、たとえば、EP652273もしくはWO 2009/062578にしたがう亜鉛錯体、WO 2010/054729にしたがうジアザ-あるいはテトラアザシロール誘導体、WO 2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体またはWO 2009/148015にしたがうジベンゾフラン誘導体である。
【0065】
複数の異なるマトリックス材料、特に、少なくとも一つの電子伝導性マトリックス材料と少なくとも一つの正孔伝導性マトリックス材料を混合物として使用することも好ましいかもしれない。好ましい組み合わせは、たとえば、本発明による金属錯体のための混合マトリックスとしての、芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドもしくはトリアリールアミン誘導体もしくはカルバゾール誘導体トリアジンと一緒のトリアジンの使用である。同様に好ましいものは、たとえば、未公開出願DE102009014513.3に開示されたとおりの正孔輸送にも電子輸送にも関与しない材料と正孔もしくは電子輸送材料の混合物である。
【0066】
カソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、金属合金または、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属もしくはランタノイド(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)のような種々の金属を含む多層構造である。また、適切なのは、アルカリ金属、アルカリ土類金属および銀の合金、たとえば、マグネシウムと銀の合金である。多層構造の場合、比較的高い仕事関数を有するさらなる金属、たとえば、Agが、前記金属に加えて使用されてもよく、その場合、たとえば、Mg/Ag、Ca/AgもしくはBa/Agのような金属の組み合わせが、一般的に使用される。金属カソードと有機半導体との間に高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を導入することも好ましいかもしれない。この目的に適切なのは、たとえば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属フッ化物のみならず対応する酸化物もしくは炭酸塩(たとえば、LiF、Li
2O、BaF
2、MgO、NaF、CsF、Cs
2CO
3等)である。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0067】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する金属を含む。アノードは、好ましくは、4.5eV対真空超の仕事関数を有する。この目的に適切なのは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO
x、Al/PtO
x)が好まれてもよい。幾つかの用途のために、少なくとも一つの電極は、有機材料の放射(O-SC)もしくは光のカップリング-アウト(OLED/PLED、O-LASER)のいずれかを容易にするために透明であるか部分的に透明である必要がある。透明であるか部分的に透明であるアノードのための好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に、好ましいのは、イリジウム錫酸化物(ITO)もしくはイリジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに、好ましいのは、伝導性でドープされた有機材料、特に、伝導性ドープポリマーである。
【0068】
一般的に、先行技術にしたがって層のために使用される全材料を、さらなる層に使用することができ、当業者は、進歩性を要することなく、電子素子において、本発明による材料とこれら材料の各々を結合することができるだろう。
【0069】
この型の素子の寿命は、水および/または空気の存在で劇的に低下することから、素子は、(用途に応じて)対応して構造化され、接点を供給され、最後に密封シール(用途に応じて)される。
【0070】
更に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、通常、10
−5mbar未満、好ましくは10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中での気相堆積により適用されることを特徴とする。初期圧力は、より低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0071】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用されることを特徴とする。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、ひいては構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0072】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)インクジェット印刷あるいはノズル印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。本発明による式(1)の化合物は、有機溶媒中で非常に良好な溶解性を有することから、それらは、溶液からの加工のために特に適切である。したがって、本発明の化合物は好ましくは、溶液から加工される。
【0073】
有機エレクトロルミネセンス素子は、また、1以上の層を溶液から適用し、また、1以上の他の層を気相堆積により適用することにより、ハイブリッドシステムとして製造することもできる。したがって、たとえば、式(1)の化合物とマトリックス材料を含む発光層を溶液から適用し、正孔障壁層および/または電子輸送層を頂上に真空気相堆積により適用することもできる。
【0074】
溶液からの加工のために、式(1)の化合物の溶液もしくは調合物が必要である。ここで、二以上の溶媒を使用することが好ましいかもしれない。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-あるいはp-キシレン、メチルベンゾエート、ジメチルアニソール、メシチレン、テトラリン、ベラトロール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0075】
したがって、本発明は、さらに、少なくとも一つの式(1)の化合物と一以上の溶媒、特に、有機溶媒を含む溶液もしくは調合物に関する。この型の溶液を調製することができる方法は、当業者により知られ、たとえば、WO 2002/072714、WO 2003/019694 およびそこに引用された文献に記載されている。
【0076】
本発明の有機電子素子、特に、有機エレクトロルミネセンス素子は、先行技術を凌駕する以下の驚くべき効果により特徴付けられる。
【0077】
1.式(1)の化合物は、多様な通常の有機溶媒中で非常に良好な溶解性を有し、それゆえ溶液からの加工に非常に高度に適している。特に、本発明による化合物は、先行技術に記載される関連する化合物よりも高い溶解性を有する。
【0078】
2.発光材料として、式(1)の化合物を含む有機エレクトロルミネセンス素子は、優秀な寿命を有する。特に、寿命は、先行技術にしたがう関連する化合物の場合よりも良好である。
【0079】
3.発光材料として、式(1)の化合物を含む有機エレクトロルミネセンス素子は、優秀な効率を有する。特に、効率は、先行技術にしたがう関連する化合物の場合よりも良好である。
【0080】
上記したこれらの利点は、その他の電子特性を損なうことはない。
【0081】
本発明は、次の例により、より詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。当業者は、進歩性を要することなく、本発明による更なる電子素子を製造するために説明を使用することができ、開示された範囲全体にわたって本発明を実施することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【0083】
[例]
以下の合成は、他に断らない限り、無水溶媒中で、保護ガス雰囲気下で行われる。出発材料1,2,10および11と溶媒は、商業的に、たとえば、アルドリッチから入手できる。化合物4、化合物15および化合物17は、WO 2002/068435にしたがって、または WO 2002/068435に記載されたプロセスと類似して調製することができる。化合物7は、J. Mater. Chem. 2007, 17, 3714-3719と類似して調製することができる。
【0084】
例1:化合物6の合成
【化11】
【0085】
a)1-ブロモ-3-([3,1’;5,1”]ターフェン-1-イル)ベンゼン(化合物3)の合成:
40.0g(146ミリモル)の[3,1’;5,1”]ターフェニル-3-ボロン酸(2)、18.8g(146ミルモル)の1-ヨード-3-ブロモベンゼン(1)と109.3g(730ミリモル)の炭酸カリウムが、1350mlのトルエンと1150mlの水中に懸濁される。844mg(0.73ミリモル)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が、この懸濁液に添加され、反応混合物は、16時間還流下加熱される。冷却後、有機層が分離され、200mlの水で三度洗浄され、硫酸ナトリウムを使用して乾燥され、引き続き蒸発幹固される。残留物は、エタノールで洗浄され、酢酸エチルから再結晶化され、最後に、減圧下乾燥される。収率は、47.6g(123ミリモル)で、理論値の84.5%に対応する。
【0086】
b)3-[3,1’;5,1”]ターフェン-1-イル)フェニル1-ピナコリルボロネート(化合物5)の合成:
40.0g(104ミリモル)の1-ブロモ-3-[3,1’;5,1”]ターフェン-1-イル)ベンゼン(3)、29.0g(114ミリモル)のビスピナコラートジボロンと29.5g(301ミリモル)の酢酸カリウムが、800mlのジメチルスルホキシド中に懸濁される。4.24g(5.2ミリモル)の1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロライド*DCMが、この懸濁液に添加され、反応混合物は、16時間還流下加熱される。冷却後、600mlの酢酸エチルと400mlの水が添加され、有機層が分離され、200mlの水で三度洗浄され、硫酸ナトリウムを使用して乾燥され、引き続き蒸発幹固される。粗生成物は、ヘプタンから再結晶化され、最後に、減圧下乾燥される。収率は、34.5g(80ミリモル)で、理論値の46.1%に対応する。
【0087】
c)ファク-トリス[2-(2-ピリジニル)-κN])(5-(3-[3,1’;5,1”]ターフェン-1-イル)フェニル)κC]イリジウム(III)(化合物6)の合成:
1.7g(2.0ミリモル)のファク-トリス[2-(2-ピリジニル)-κN](5-ブロモフェニル)κC]イリジウム(III)、7.42g(17ミリモル)の3-[3,1’;5,1”]ターフェン-1-イル)フェニル1-ピナコリルボロネート(5)と2.51g(12ミリモル)の燐酸カリウムが、100mlのトルエン、100mlのジオキサンと111mlの水中に懸濁される。4mg(0.1ミリモル)の酢酸パラジウム(II)と35mg(0.2ミリモル)のトリ-o-トリルホスフィンが、この懸濁液に添加され、反応混合物は、24時間還流下加熱される。冷却後、有機層が分離され、200mlの水で三度洗浄され、シリカゲルでろ過され、硫酸ナトリウムを使用して乾燥され、引き続き蒸発幹固される。残留物は、ジオキサン/エタノールから再結晶化され、最後に、減圧下乾燥される。収率は、2.42g(1.6ミリモル)で、理論値の80.9%に対応する。
【0088】
例3:化合物9の合成
【化12】
【0089】
a)2-(3-ピナコリルボロナートフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(化合物8)の合成:
合成は、化合物5の合成と同様に実行される。収率は、31.9g(73ミリモル)で、理論値の81.3%に対応する。
【0090】
b)ファク-トリス[2-(2-ピリジニル)-κN](5-(3-フェニル(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)フェニル)κC]イリジウム(III)(化合物9)の合成
合成は、化合物6の合成と同様に実行される。収率は、1.5g(0.95ミリモル)で、理論値の55.6%に対応する。
【0091】
例3:化合物14の合成
【化13】
【0092】
a)(3-ブロモフェニル)-[1,1’;3’,1”]ターフェニル-5’-イルメタノン(化合物12)の合成:
300mlのテトラヒドロフラン中の20.0g(64.7ミリモル)の3-ブロモ-[3,1’;5,1”]ターフェニルの溶液が、1.7g(71.2ミルモル)のマグネシウム屑にゆっくりと滴下され、混合物は、3時間還流下加熱される。次いで、溶液は、−40℃まで冷却され、100mlのテトラヒドロフラン中の11.8g(65ミルモル)の3-ブロモベンゾニトリル溶液が滴下される。添加後、溶液は、6時間還流下加熱される。冷却後、600mlの酢酸エチルと400mlの水が添加され、有機層が分離され、200mlの水で三度洗浄され、硫酸ナトリウムを使用して乾燥され、引き続き蒸発幹固される。残留物は、エタノールから再結晶化され、引き続き、減圧下乾燥される。収率は、21.7g(53ミリモル)で、理論値の81.3%に対応する。
【0093】
b)3-ピナコリルボロナートフェニル-[1,1’;3’,1”]ターフェニル-5’-イルメタノン(化合物13)の合成:
合成は、化合物5の合成と同様に実行される。収率は、15.7g(34ミリモル)で、理論値の76.2%に対応する。
【0094】
c)ファク-トリス[2-(2-ピリジニル-κN)(5-(3-フェニル-3-[1,1’;3’,1”]ターフェニル-5’-イルメタノンκC]イリジウム(III)(化合物14)の合成
合成は、化合物6の合成と同様に実行される。収率は、1.7g(1.03ミリモル)で、理論値の57.3%に対応する。
【0095】
例4:ファク-トリス[2-(1-イソキノリニル)-κN](5-(3-[3,1’;5,1”]ターフェン-1-イル)フェニル)フェニル)κC]イリジウム(III)(化合物16)の合成
【化14】
【0096】
合成は、化合物6の合成と同様に実行される。収率は、6.52g(3.8ミリモル)で、理論値の65.6%に対応する。
【0097】
例5:ファク-トリス[2-(2-キノリニル-κN)(5-(3-[3,1’;5,1”]ターフェン-1-イル)フェニル)フェニル)κC]イリジウム(III)(化合物18)の合成
【化15】
【0098】
合成は、化合物6の合成と同様に実行される。収率は、3.46g(2.0ミリモル)で、理論値の69.2%に対応する。
【0099】
例6:本発明による化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子の製造と特性決定
TEG-1、TER-1、TER-3(WO 2004/085449にしたがって合成)、TMM-1(WO 2010/015306にしたがって合成)とTMM-2(WO 2009/124627にしたがって合成)および本発明によるTEG-2〜TEG-4、TER-2とTER-4の構造が、明確化のために以下に示される。
【0100】
エミッターの構造
【化16-1】
【化16-2】
【0101】
本発明による材料は、溶液から使用することができ、良好な特性を有するにもかかわらず顕著により単純な素子をもたらす。このような素子の製造は、ポリマー発光ダイオード(PLED)の製造に基づいており、文献に既に何度も記載されてきた(たとえば、WO 2004/037877)。本場合には、本発明による化合物もしくは同様の可溶性の比較例の化合物(TEG-1、TER-1およびTER-3)は、トルエン中に溶解する。このような溶液の典型的な固形物含量は、スピンコーティングにより達成される素子に典型的である80nmの層厚であるならば、16〜25g/lである。
図1は、この型の素子の典型的構造を示し、赤色発光素子には48重量%のTMM-1、48重量%のTMM-2および4重量%のTERの組成が使用される。構造化されたITO基板といわゆるバッファー層(PEDOT、真性PEDOT:PSS)のための材料は、商業的に入手可能である(テクノプリント社他からのITO、H.C.Stackからの水性分散液クレヴィオス バイトロンPとしてのPEDOT:PSS)。使用される中間層は正孔注入のために使用され、この場合は、メルク社からのHIL-012が使用される。発光層は、不活性ガス雰囲気中で、本場合ではアルゴン中でスピンコーティングにより達成され、120℃で10分間の加熱により乾燥される。最後に、バリウムとアルミニウムカソードが真空気相堆積により適用される。正孔障壁層および/または電子輸送層は、発光層とカソードとの間に気相堆積により適用することもでき、中間層は一以上の層により置き代えられることもできるが、溶液からの発光層の堆積という下流の加工工程により再剥離しない条件を満足する必要があるだけである。
【0102】
素子は、標準方法により特性決定され、言及されたOLEDの例は、未だ、最適化されていない。表1は、得られたデータを要約している。ここで、加工された素子の場合には、本発明による材料は、以前に入手できるものよりも、効率および/または寿命において優れている。
【0103】
表1
図1の素子構成における溶液加工材料の結果と赤色発光素子のための上記組成物の結果
【表1】