(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902105
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】眼内治療を目的とした干渉ファイバー管束システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
A61F9/008 120Z
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-557156(P2012-557156)
(86)(22)【出願日】2011年3月7日
(65)【公表番号】特表2013-521101(P2013-521101A)
(43)【公表日】2013年6月10日
(86)【国際出願番号】US2011027453
(87)【国際公開番号】WO2011109838
(87)【国際公開日】20110909
【審査請求日】2014年3月5日
(31)【優先権主張番号】61/311,267
(32)【優先日】2010年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510326175
【氏名又は名称】トプコン・メディカル・レーザー・システムズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TOPCON MEDICAL LASER SYSTEMS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100082821
【弁理士】
【氏名又は名称】村社 厚夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ミンツ ディヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】パランカー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】キンツ グレゴリー
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−515654(JP,A)
【文献】
特許第4421307(JP,B2)
【文献】
特公平06−049083(JP,B2)
【文献】
特開平01−254160(JP,A)
【文献】
特開平05−115571(JP,A)
【文献】
特開2005−334232(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00195375(EP,A2)
【文献】
特表昭62−502710(JP,A)
【文献】
特表2006−501902(JP,A)
【文献】
特表2008−544809(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/109838(WO,A1)
【文献】
特表2009−512463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼のレーザ治療用のシステムであって、システムは、
第1端および第2端が設けられたコヒーレント光ファイバー束と、
コヒーレント光ファイバー束の第1端に連結された第1サブシステムとを備えており、
第1サブシステムは少なくとも2つの分離したレーザエネルギー集中領域を含む或るパターンの治療用光線を生成するにあたり、第1サブシステムが少なくとも2つの分離したレーザエネルギー集中領域の寸法を調節することができて少なくとも2つの分離したレーザエネルギー集中領域により形成される或るパターンを調節することができるとともに或るパターンの治療用光線をコヒーレント光ファイバー束の第1端に向かうよう方向制御する構成になっており、システムは、
コヒーレント光ファイバー束の第2端に連結された第2サブシステムを更に備えており、
第2サブシステムは或るパターンの治療用光線をコヒーレント光ファイバー束の第2端から受光するとともに或るパターンの治療用光線を患者の眼に伝送する構成になっていることを特徴とする、システム。
【請求項2】
第1サブシステムは或るパターンの治療用光線をコヒーレント光ファイバー束の第1端の一部に向かうよう方向制御する構成になっており、第2サブシステムはコヒーレント光ファイバー束の第2端の一部から或るパターンの治療用光線を受光する構成になっており、コヒーレント光ファイバー束の第2端の前記一部はコヒーレント光ファイバー束の第1端の前記一部と合致していることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
コヒーレント光ファイバー束の第1端に対するコヒーレント光ファイバー束の第1端の前記一部の相対位置は、コヒーレント光ファイバー束の第2端に対するコヒーレント光ファイバー束の第2端の前記一部の相対位置と概ね同じであることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
治療用光線は概ね非可視波長の光線であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
治療用光線は出力が30ミリワットから2ワットの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
第1サブシステムは、
レーザ光線を生成する構成のレーザ源と、
レーザ光線を受光してからレーザ光線の寸法を調節することにより少なくとも2つの分離したレーザエネルギー集中領域の寸法を調節する構成の投光点寸法選択機と、
投光点寸法選択機から寸法調節済みのレーザ光線を受光してから受光した寸法調節済みのレーザ光線を選択的に方向制御し直すことにより少なくとも2つの分離したレーザエネルギー集中領域により形成されるパターンを生成する構成の走査機とを備えていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
レーザ源は平均出力が1.2ミリワット未満で概ね可視波長の光線である整列ビームを生成する構成であることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
走査機はコリメータレンズおよび走査装置を備えていることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
走査装置は検流器、微小電気機械システム(MEMS)装置、または、回転式多角形装置を備えていることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
第1サブシステムは、多モードファイバーを介してレーザ間接検眼鏡(LIO)または眼内探針に接続するためのインターフェイスを更に備えており、インターフェイスは多モードファイバーにより1条の治療用光線を伝送する構成であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
第1サブシステムは、第2サブシステムを含んでいる第2格納庫とは物理的に分離している第1格納庫内に包含されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
第2サブシステムは、細隙灯、眼内探針、または、レーザ間接検眼鏡(LIO)に組み込まれていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
第2サブシステムは、細隙灯、眼内探針、または、レーザ間接検眼鏡(LIO)に接続されていることを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
第2サブシステムは、視野を調節するための視野調節モジュールを備えていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示はレーザによる眼内治療技術に関するものであり、より詳細には、1本または複数本の干渉性ファイバー管束がこれとは別個の格納庫に配置されているレーザ源から眼にレーザエネルギーを搬送するように構成されていることを特徴とするモジューラシステムを利用して眼に外傷部を設けることに関連している。
【背景技術】
【0002】
毎年、合衆国内および諸外国の数千人もの患者がレーザによる眼の治療治療を受けている。かかる治療は、典型例としては、組織構造の標的部位にレーザエネルギーを配給することで糖尿病性網膜症や糖尿病性黄斑浮腫や加齢黄斑変性や緑内障またはその他の疾患などの臨床上の諸問題に対処することに関与している。これらの処置手順について幾つかの種類のシステムが利用できる。
【0003】
例えば、或る種のシステムでは、1条の治療用光線を掌握式レーザ眼内探針や頭部取付式レーザ間接検眼鏡(LIO)や細隙灯などのような光搬送装置により方向制御して、外科医すなわち操作者が目標を定め、或いは、目標に当てることで所望の部位に火傷外傷部を設けることができる。しかしながら、これらシステムはパターン形成能力を欠いており、その代わりに外科医すなわち操作者任せで、光搬送装置を巧みに操ることで1条の治療用光線を利用して所望の外傷パターンを設けるようにしている。
【0004】
もう1つ別種のシステムはパターン形成能力を特徴としており、走査機器、典型例としては検流器を利用して眼の標的領域に或るパターンの外傷部を設ける構成である。例えば、
図1は、細隙灯装置6が走査・パターン形成システム10に連結されている従来のパターン形成走査システム100の一実施例を例示している。走査・パターン形成システム10は治療用光線26を細隙灯装置6により患者2の眼4の中に放射するよう構成されているが、光線は
図2Aに例示されているような1条の治療用光線であってもよいし、或いは、
図2Bないし
図2Eに例示されているもののような或るパターンの治療用光線であってもよい。治療用光線26は、通例は操作者用接眼鏡8のすぐ近くに立つことになる操作者により方向制御される。これらの種類のシステムはパターン形成能力を提供するが、典型例として、走査・パターン形成システム10などのような、患者の極めて近くに配置される嵩張る機器を必要とする。このため、これらのシステムは、患者が細隙灯の台座に着いて自身の頭を真っ直ぐにできないような状態では使用が困難となる。例えば、患者が手術台上に寝て伏している手術室環境で細隙灯装置を使用するとすれば、難しいかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような問題点を緩和しようとして、或る種のレーザ治療システム、例えば、
図1に例示されているシステムはその掌握式眼内探針18またはレーザ間接検眼鏡16が従来の多モードファイバー12、14により走査・パターン形成システム10に連結されている(通例はビーム分割器により多モードファイバー12、14のうちいずれかに割り当てられる)。しかしながら、一般的に、これらの装置は1条の治療用光線しか搬送することができない。その理由として、多モードファイバーは通例は被覆材が設けられた1本のグラスファイバーから構成されていることが挙げられる。その結果、多モードファイバー12、14は或るパターンの治療用光線の複数のレーザエネルギー集中領域21相互の空間的関係を一定に保つことができない。換言すると、多モードファイバー12、14は、ファイバーの近位端に適用された場合は、
図2Bないし
図2Eに例示されているようなファイバーの遠位端におけるパターンを生成することができない。その代わりに、レーザエネルギーが多モードファイバー12、14それぞれにより伝達された際に、複数のレーザエネルギー集中領域21が互いに重畳し合って、1条の複合光線を形成する恐れがある。その結果、眼内探針18およびレーザ間接検眼鏡16は細隙灯装置6により与えられたパターン形成能力を欠落してしまう。
【0006】
図1は従来のパターン形成走査システムの一実施例の簡略化されたシステム図を例示しているにすぎないものと認識するべきである。斯様に、従来のシステムは
図1に例示されているものを少し変更を加えた複数の実施例を含んでおり、例えば、上記以外のシステムとしては、代替例としてレーザ源が走査・パターン形成システム10とは別個に配備されている場合もあれば、レーザ源が細隙灯の台座の内部に配備されている場合もある。しかしながら、或るパターンの治療用光線を搬送するためには、そのような各システムは走査・パターン形成機が光搬送装置の付近に配備されていることを要件とする。
【0007】
従って、細隙灯装置において患者の付近に現行レベルの機器を配備しなくても機能を果たすことができると同時に、細隙灯、レーザ間接検眼鏡、眼内探針などにより或るパターンの光線を当てることができるシステムが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例では、患者の眼のレーザ治療用のシステムを提案している。かかるシステムは、第1端および第2端が設けられた干渉性ファイバー管束と、干渉性ファイバー管束の第1端に連結された第1サブシステムと、干渉性ファイバー管束の第2端に連結された第2サブシステムとを備えており、第1サブシステムは少なくとも2つの分離したレーザエネルギー集中領域を含む或るパターンの治療用光線を生成するにあたり、第1サブシステムが少なくとも2つの分離したレーザエネルギー集中領域の寸法を調節することができて少なくとも2つの分離したレーザエネルギー集中領域により形成される或るパターンを調節することができるとともに治療用光線を干渉性ファイバー管束の第1端に向かうよう方向制御する構成になっており、第2サブシステムは或るパターンの治療用光線を干渉性ファイバー管束の第2端から受光するとともに或るパターンの治療用光線を患者の眼に伝送する構成になっている。
【0009】
或る実施例では、第2サブシステムは細隙灯、眼内探針、または、レーザ間接検眼鏡(LIO)の中に組み込まれている。また別な実施例では、第2サブシステムは細隙灯、眼内探針、または、レーザ間接検眼鏡に連結されている。
【0010】
具体的な一実施例においては、第1サブシステムは或るパターンの治療用光線を干渉性ファイバー管束の第1端の一部に向かうよう方向制御する構成になっており、第2サブシステムは干渉性ファイバー管束の第2端の一部から或るパターンの治療用光線を受光する構成になっており、干渉性ファイバー管束の第2端の上記一部は干渉性ファイバー管束の第1端の上記一部と合致している。また別な実施例においては、干渉性ファイバー管束の第1端に対する干渉性ファイバー管束の第1端の上記一部の相対位置は、干渉性ファイバー管束の第2端に対する干渉性ファイバー管束の第2端の上記一部の相対位置と概ね同じである。
【0011】
もう1つの具体的な実施例では、治療用光線は非可視波長の光線であるとともに出力が30ミリワットから2ワットの範囲である。
【0012】
もう1つの実施例においては、第1サブシステムはレーザ光線を生成する構成のレーザ源と、レーザ光線を受光してからレーザ光線の寸法を調節することにより少なくとも2つの分離したレーザエネルギー集中領域の寸法を調節する構成の投光点寸法選択機と、投光点寸法選択機から寸法調節済みのレーザ光線を受光してから受光した寸法調節済みのレーザ光線を選択的に方向制御し直すことにより少なくとも2つの分離したレーザエネルギー集中領域により形成されるパターンを生成する構成の走査機とを備えている。また別な実施例では、第1サブシステムは多モードフィアバーによりレーザ間接検眼鏡または眼内探針に連結するためのインターフェイスを更に備えており、インターフェイスは多モードファイバーを介して1条の治療用光線を伝送する構成である。
【0013】
もう1つ別な実施例においては、レーザ源は平均出力が1.2ミリワット未満で概ね可視波長の光線である整列ビームを生成する構成である。走査機はコリメータレンズおよび走査装置を備えている。走査装置は検流器、微小電気機械システム(MEMS)装置、または、回転式多角形装置を備えているようにしてもよい。
【0014】
もう1つの実施例においては、第1サブシステムは、第2サブシステムを含んでいる第2格納庫とは物理的に分離している第1格納庫内に包含されている。
【0015】
更に別な実施例においては、患者の眼のレーザ治療を目的としたシステムを作動させるためのプロセスが提案されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は眼のレーザ治療システムの一実施例において走査機が患者の付近に格納されているのを多様な態様で例示した図である。
【
図2A】
図2Aは患者の治療に使用される治療用光線パターンの多様な実施例のうちの1つを例示した図である。
【
図2B】
図2Bは患者の治療に使用される治療用光線パターンの多様な実施例のうちの1つを例示した図である。
【
図2C】
図2Cは患者の治療に使用される治療用光線パターンの多様な実施例のうちの1つを例示した図である。
【
図2D】
図2Dは患者の治療に使用される治療用光線パターンの多様な実施例のうちの1つを例示した図である。
【
図2E】
図2Eは患者の治療に使用される治療用光線パターンの多様な実施例のうちの1つを例示した図である。
【
図3】
図3は眼のモジューラレーザ治療システムの一実施例を多様な態様で例示した概略図である。
【
図4A】
図4Aは
図3に例示されているものと同様のモジューラレーザ治療システムと併用することができる干渉性ファイバー管束の複数の特徴のうちの1つを例示した図である。
【
図4B】
図4Bは
図3に例示されているものと同様のモジューラレーザ治療システムと併用することができる干渉性ファイバー管束の複数の特徴のうちの1つを例示した図である。
【
図4C】
図4Cは
図3に例示されているものと同様のモジューラレーザ治療システムと併用することができる干渉性ファイバー管束の複数の特徴のうちの1つを例示した図である。
【
図4D】
図4Dは
図3に例示されているものと同様のモジューラレーザ治療システムと併用することができる干渉性ファイバー管束の複数の特徴のうちの1つを例示した図である。
【
図5】
図5は眼のモジューラレーザ治療システムの一実施例を多様な態様で例示した図である。
【
図6】
図6Aは、
図3および
図5に例示されているものと同様のモジューラレーザ治療システムを利用して出力された一連の治療用光線パターンのうちの初期段階を例示した図である。
図6Bは、
図3および
図5に例示されているものと同様のモジューラレーザ治療システムを利用して出力された一連の治療用光線パターンのうちの次段階を例示した図である。
図6Cは、
図3および
図5に例示されているものと同様のモジューラレーザ治療システムを利用して出力された一連の治療用光線パターンのうちの更に次段階を例示した図である。
【
図7A】
図3および
図5に例示されているものと同様のモジューラレーザ治療システムを利用して外傷パターンを生成するために1条の治療用光線が使用されているのを例示した図である。
【
図7B】
図3および
図5に例示されているものと同様のモジューラレーザ治療システムを利用して外傷パターンを生成するために1条の治療用光線が使用されているのを例示した図である。
【
図8】眼のモジューラレーザ治療システムのまた別な一実施例を多様な態様で例示した図である。
【
図9】眼のレーザ治療システムの一実施例においてレーザエネルギーが干渉性ファイバー管束を利用して細隙灯に向かう方向制御されているのを多様な態様で例示した図である。
【
図10】眼のレーザ治療システムの一実施例においてレーザエネルギーが干渉性ファイバー管束を利用して細隙灯およびレーザ間接検眼鏡に向かう方向制御されているのを多様な態様で例示した図である。
【
図11】眼のレーザ治療システムの一実施例においてレーザエネルギーが干渉性ファイバー管束を利用してレーザ眼内探針に向かう方向制御されているのを多様な態様で例示した図である。
【
図12】干渉性ファイバー管束により各種治療レベルのレーザエネルギーを搬送するプロセスの一実施例を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当業者が本発明の多様な実施例を考案して利用することができるようにする程度に、以下に説明を提示してゆく。特定の装置、技術、および、適用例の説明は具体例として提示されているにすぎない。本明細書に記載されている各実施例の多様な変更例が当業者には容易に明らかになることと思われるが、それら以外の実施例や適用例に本明細書に規定されている一般原理を適用しても、本発明の技術の真髄および範囲を逸脱することにはならない場合がある。従って、開示されている技術は本明細書に記載および図示されている実施例に限定されるものと解釈するべきではなく、添付の特許請求の範囲と矛盾しない範囲に一致しているものと解釈するべきである。
【0018】
上述のように、眼の所望部位に外傷を設ける、または、同部位の温度を上昇させる目的で、目の標的部位にレーザエネルギーを搬送するためにレーザ治療システムは広く使用されている。レーザエネルギーは、1個のレーザエネルギー集中領域21を有している1条の治療用光線として搬送されて、例えば
図2Aに例示されているような、1個の外傷部を眼に設けることができる。これに代わる例として、レーザエネルギーは、多数の分離したレーザエネルギー集中領域21を有している或るパターンの治療用光線として搬送されて、例えば
図2Bないし
図2Eに例示されているような、多数の外傷部を眼に設けるようにしてもよい。図示したパターンは具体例として提示されているにすぎず、所望の適用例しだいで如何なるパターンが生成されてもよいものと認識するべきである。
【0019】
図3はモジューラレーザ治療システム300の一実施例を例示しているが、かかるシステムは干渉性ファイバー管束を利用することで、多様な種類の光搬送装置により1条の治療用光線や或るパターンの治療用光線を搬送することができる一方で、光搬送装置の付近に配備される機器が最小限で済む。
【0020】
従来の多モードファイバーとは異なり、干渉性ファイバー管束は多数の(例えば、1500本から10万本の間の)光ファイバー管束を集合的に備えており、束になった光ファイバーの本数に等しい画素数の光伝送装置を形成している。これにより、多数の光ファイバー管束の近位面に写像される画像すなわち照射パターンを遠位面で複製することができる。例えば、
図4Aは、干渉性ファイバー管束28、30、32の近位面72からそれらの遠位面74にパターン転送すなわち画像転送する概念を図示している。遠位面74における文字「A」の画像は近位面72に供与される画像と同一であるか、または、少なくとも概ね類似している。
【0021】
画像すなわち照射パターンを複製する能力は干渉性ファイバー管束の重要な特徴であり、この能力ゆえに眼のレーザ治療を目的とした本件開示で干渉性ファイバー管束が利用できるのである。詳述すると、レーザ治療を実施するにあたり重要となるのは、操作者すなわち外科医が眼に供与される治療用光線の波長、出力、持続期間、寸法、パターン(例えば、投光点の配置、一点から他点までの空隙)などを注意深く制御することができるようにすることである。更に、光搬送装置は搬送された全てのレーザパルスに一貫して同じ出力プロファイルを搬送するべきである。パターン形成走査システムの場合に重要となるのは、パターンの各投光点のいずれのレーザエネルギーも一貫して同じ態様で搬送されることである。これらの特性に光搬送装置または光伝送媒体のせいで著しい歪が生じた場合は、眼にレーザエネルギーが不適切に供与される結果となる恐れがある。
【0022】
図4Bは好適な干渉性ファイバー管束28、30、32の具体的な一実施例の断面図であり、画像円62、シリカ被覆54、外側ポリマー皮膜または外側可塑性皮膜60、および、画素または個別ファイバー56が互いに隣接して共通被覆58で保持されているのを例示している。これら干渉性ファイバー管束は、典型的には、140μmから1500μmあたり1600本から10万本の間のファイバーを含んでいる。一実施例では、干渉性ファイバー管束28、30、32は画像円直径が約790ミクロン、ファイバー管束外径が約850ミクロン、全径(外側皮膜を含む)が約950ミクロン、個別ファイバーが約3万本、格子欠陥が約0.1%未満、開口率は比較的高くて約0.4、最小曲げ半径(顕著な側面損失または側面破壊が無い状態で)約50ミリメートル、特別な敷設方法に依存して選択される長さが、例えば、約2メートル、3メートル、4メートル、または、それを超える。
【0023】
他の実施例では、干渉性ファイバー管束28、30、32は、多数のファイバーが個別の被覆で覆われた溶脱画像管束を備えており、これら多数のファイバーは管束端で整列状態にしてフェルールすなわち継口を利用して適所に保持される。このような種類の干渉性ファイバー管束は、典型例では、670μmから1650μmあたり1万本から1万8千本の間のファイバーを含んでいる。
【0024】
干渉性ファイバー管束28、30、32の特殊な具体的特長を前段までに提示してきたが、所望の適用例しだいでは上記以外の各特長を備えている干渉性ファイバー管束を利用してもよいものと認識するべきである。好適な干渉性ファイバー管束28、30、32は、株式会社フジクラ、住友電気工業株式会社、合衆国ニューハンプシャー州セーレムのナショナル・アパーチャ・インコーポレーティッド(National Aperture, Inc.)、ショット(SCHOTT)、三菱電機株式会社などの製造業者から入手できる。
【0025】
ここで再び
図3を参照しながら従来のパターン形成走査システム100の走査・パターン形成システム10と比較すると、モジューラレーザ治療システム300の走査・パターン形成用の各構成部材は2つのサブシステム20、22に分類される。詳述すると、モジューラレーザ治療システム300の近位側サブシステム22は1条の治療用光線または或るパターンの治療用光線を生成するのに必要なレーザ源、投光点寸法選択機、および、走査機を備えている。更に、モジューラレーザ治療システム300の1個または複数個の遠位側サブシステム20は、近位側サブシステム22によって生成された治療用光線を受光して搬送するのに必要な機器を備えている。
【0026】
モジューラレーザ治療システム300は掌握式レーザ眼内探針18、レーザ間接検眼鏡16、細隙灯アダプタ20、および、1個の遠位側サブシステム20を組み込んだ細隙灯装置6(図示せず)などのような光搬送装置を形成している任意の個数の遠位側サブシステム20を備えているようにしてもよく、個々の光搬送装置は近位側サブシステム22から受光した治療用光線を搬送するように構成されている。例えば、遠位側サブシステム20は
図3では細隙灯装置6に連結されているのが図示されているが、同時に遠位側サブシステム20は細隙灯アダプタとしても作用する。他の実施例では、これに代えて、細隙灯装置6はその装置本体内に遠位側サブシステム20の各構成部材を組み入れているようにしてもよい。更に、図示されてはいないが、もう1つ別な遠位側サブシステム20は眼内探針18およびレーザ間接検眼鏡16のいずれかの内部に含まれているようにしてもよいし、或いは、これらに接続されているようにしてもよいものと認識するべきである。
【0027】
図3に例示されているように、遠位側サブシステム20は干渉性ファイバー管束28、30、32を介して近位側サブシステム22に接続することができる。干渉性ファイバー管束28、30、32は、上述のように、複数のファイバー管束の近位面に写像される画像すなわち照射パターンを管束の遠位面に複製することができる。これにより、嵩張る投光点寸法選択機および操作・パターン形成システム機器を備えている近位側サブシステム22を遠位側サブシステム20から物理的に離隔させることができるようになり、尚且つ、患者に投与する目的で光搬送装置に治療用光線を伝送することができる。例えば、
図4Cに例示されているように、近位側サブシステム22により生成された或るパターンの治療用光線52は干渉性ファイバー管束28、30、32により遠位側サブシステム20に向かう方向制御され、眼4に或るパターンの外傷部50を設けるようにしてもよい。
図4Dは、或るパターンの治療用光線の写真画像が
図4Cに例示されている構成に類似した態様で構成されている干渉性ファイバー管束および眼内探針により搬送されているのを例示している。
【0028】
或る幾つかの実施例では、近位側サブシステム22と遠位側サブシステム20は別個の格納庫に包含されて干渉性ファイバー管束28によって一緒に接続される。モジューラレーザ治療システム300の遠位側サブシステム20は従来のパターン形成走査システム100の走査・パターン形成システム10よりも概ね小型であり、このような構成は光搬送装置の付近の必要機器量を減じ、結果として、患者の近辺の必要機器量を減じるという点で望ましい。
【0029】
更に、細隙灯6、眼内探針18、および、レーザ間接検眼鏡16はその各々が個別に遠位側サブシステム20を備えているようにしてもよいし、或いは、個別に遠位側サブシステム20に接続されているようにしてもよいので、干渉性ファイバー管束28、30、32により近位側サブシステム22が或るパターンの治療用光線20を患者の眼に配給するにあたり、細隙灯6によって配給することできるようにするのみならず、遠位側サブシステム20を介して眼内探針18およびレーザ間接検眼鏡20によっても配給することができる。
【0030】
図5はモジューラレーザ治療システム300の多様な態様をより詳細に例示している。
図5に例示されているように、近位側サブシステム22のレーザ源38は1条のレーザ光線を伝送するように構成されている。或る幾つかの実施例では、レーザ源38の具体例としては、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ダイオードレーザ、Nd-YAGレーザ、または、これら以外でも眼の治療に好適であれば如何なるものであれパルス式レーザや連続波レーザなどを挙げることができる。レーザ源38によって生成される光線は約1ミリ秒から約1秒の持続時間の連続波またはパルス波であってもよいし、その電力が約30ミリワットから約2ワットであってもよいし、その直径が約50μmから約500μm(例えば、約60μmまたは約400μm)であってもよいし、更には、可視スペクトルの波長(例えば、532nm、561nm、577nm、647nm、659nm、または、670nm)を含んでいてもよいし、または、不可視スペクトルの波長(例えば、810nm)を含んでいるようにしてもよい。
【0031】
或る幾つかの実施例においては、レーザ源38は平均出力が1.2ミリワット未満で可視波長(例えば、635nmまたは640nm)である低出力光線を生成して、整列ビームとして利用されるようにしてもよい。モジューラレーザ治療システム300の操作者は整列ビームを使って光搬送装置を標的に設定するにあたり、治療用光線を搬送する前に患者の標的部位に整列ビームを配置することができる。光搬送装置を標的部位の上に位置決めしてしまえれば、操作者はモジューラレーザ治療システム300の引き金を引き、事前に搬送された整列ビームレーザと概ね同じ部位に向けてレーザ源38から治療用光線を搬送させる。
【0032】
レーザ源38の起動(例えば、パルス持続時間、出力、波長など)は制御装置51により制御される。制御装置51の汎用プロセッサまたは専用プロセッサは、レーザ源38、投光点寸法選択機39、操作機36などのような近位側サブシステム22の多様な構成部材を制御する構成であるとよい。制御装置51はプロセッサに実行させる各種指令を与えるためのコンピュータ読み込み可能な媒体を更に備えている。このような指令は、一般に「コンピュータプログラムコード」(コンピュータプログラムの形式に分類される場合もあれば、それ以外の分類に入る場合もある)と呼ばれるが、実行されると、本明細書に記載されている装置およびプロセスの各実施例の性能や機能をプロセッサが果たすことができる。或る実施例では、コンピュータ読み込み可能な媒体としては、プロセッサにより実行される情報や指令を保存するための、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはそれ以外の動的メモリなどのような主メモリが挙げられる。主メモリは、プロセッサにより実行される指令の実行中に一時的変数またはそれ以外の中間情報を保存するためにも使用される。コンピュータ読み込み可能な記憶媒体は、同様に、プロセッサのために静的情報や指令を保存する目的で接続されているリードオンリーメモリ(ROM)またはそれ以外の静的記憶装置を備えているようにするとよい。
【0033】
近位側サブシステム22の投光点寸法選択機39は患者に搬送される治療用光線の「投光点寸法」を調節する。光線の「投光点寸法」とは、光線のレーザエネルギー集中領域21の寸法を意味する。投光点寸法選択機39の具体例としては、連続変倍光学系、異倍率光学系の回転式タレット、または、これら以外の当業者には周知の何らかの倍率変更用の光学系構成が挙げられる。投光点寸法選択機39は、レーザ源38から1条のレーザ光線を受光してから選択倍率を変動させることにより1条のレーザ光線の寸法を選択的に調節する構成になっているとよい。1条のレーザ光線は、投光点寸法選択機39を標的に設定されるようにしてもよいし、光ファイバーによって投光点寸法選択機39に向かう方向制御されてもよいし、或いは、中継光学系またはコリメータ光学系を使って自由空間レーザ源から投光点寸法選択機39に向かう方向制御されてもよい。1条のレーザ光線を利用して近位側サブシステム22により出力される治療用光線を生成するようにしたので、投光点寸法選択機39を使ってレーザ源38によって生成された1条のレーザ光線の寸法を調節することにより、患者に搬送される治療用光線の「投光点寸法」を調節することができる。投光点寸法選択機39の選択倍率は制御装置51によって制御することができる。
【0034】
近位側サブシステム22の走査機36は、更に、投光点寸法選択機39からの寸法調節済みの1条のレーザ光線を利用して1条の治療用光線または或るパターンの治療用光線を生成する。或る実施例では、走査機36は、コリメータレンズ(図示せず)、第1走査装置および第2走査装置(いずれも図示せず)、および、第1走査装置および第2走査装置を分離する任意の1組のリレーレンズ(図示せず)を備えているようにしてもよく、第1走査装置および第2走査装置の具体例としては検流器、微小電気機械システム(MEMS)装置、回転式多角形装置、または、それ以外の好適な装置などが挙げられる。コリメータレンズは、投光点寸法選択機39から寸法調節済みの1条のレーザ光線を受光する構成であるとよい。コリメータレンズの出力は、検流器、微小電気機械システム装置、回転式多角形装置、または、それ以外の何らかの装置などのような第1走査装置に向かう方向制御をすることのできる平行光線である。第1走査装置の位置は、コンピュータ制御システム(例えば、制御装置51)を利用して高精度調節することで、検流器、微小電気機械システム装置、または、回転式多角形装置などのような第2走査装置に平行光線を向ける。第2走査装置は、コンピュータ制御システム(例えば、制御装置51)に応答して第1走査装置の調節方向に垂直な方向に平行光線を調節する構成にするとよい。換言すると、1対の走査装置を利用して、顕微鏡対物レンズ48および干渉性ファイバー管束28の近位面72に相関的な治療用光線26のX−Y直交座標上位置を調節するとよい。或る実施例においては、このような操作は顕微鏡対物レンズ48および近位面72に相関的に1条の治療用光線を移動させるために行われる。また別な実施例では、走査装置はレーザ源38によって生成されたパルスと同期させられ、尚且つ、比較的迅速に幾つもの位置を通って循環させられることで、
図2Bから
図2Eに例示されているもののような多数のレーザエネルギー集中領域21を含むパターン形成効果を生むことができる。図示のシステムでは、走査機36の第2走査装置を出た光線は、顕微鏡対物レンズ48として周知の特化された1組のレンズにより方向制御されて、干渉性ファイバー管束28の近位面72の開放断面に直接当てられる。顕微鏡対物レンズ48は出力効率を最大限にするために開口率を低くするとよい。
【0035】
更に、モジューラレーザ治療システム300の遠位側サブシステム20は、近位側サブシステム22により生成されたレーザ出力を受光および搬送するよう作用する。遠位側サブシステム20は、近位側サブシステム22によって生成された或るパターンの治療用光線を受光して患者に搬送するのに必要な機器を最小限備えているだけで済む。例えば、遠位側サブシステム20は干渉性ファイバー管束28のインターフェイスと遠位側サブシステム20の視野を調節する視野調節モジュール41とを備えているとよい。視野調節モジュール41の具体例としては、連続変倍光学系、異倍率光学系の回転式タレット、または、これら以外の当業者には周知の何らかの倍率変更用の光学系構成が挙げられる。或る実施例では、遠位側サブシステム20は制御装置51に類似している制御装置(図示せず)を備えており、かかる制御装置は視野調節モジュール41の倍率を設定することにより視野を選択する。また別な実施例では、上述の選択はユーザが手動で行うこともできる。視野調節モジュール41は、干渉性ファイバー管束28から治療用光線を受光してから選択倍率を変動させることにより遠位側サブシステム20の視野を選択的に調節する構成にするとよい。例えば、倍率を上げることにより、視野調節モジュール41は視野を狭くし、それにより、遠位側サブシステム20により出力された治療用光線の画素密度を高めることができる。同様に、倍率を下げることにより、視野調節モジュール41は遠位側サブシステム20が的に指定した視野を広くすることができる。
図5は干渉性ファイバー管束28による近位側サブシステム22と遠位側サブシステム20の間の連結を例示しているが、同様の連結は近位側サブシステム22と、レーザ間接検眼鏡16や眼内探針18などのような移動装置に干渉性ファイバー管束30、32により連結された遠位側サブシステム20との間に、または、上記のような移動装置の内部に包含されている遠位側サブシステム20との間に利用されてもよいものと認識するべきである。
【0036】
このような構成では、モジューラレーザ治療システム300は、どのような所望パターンやどのような投光点寸法を有しているのであれ、或るパターンの治療用光線を生成してから、近位側サブシステム22のレーザ出力を調節することにより干渉性ファイバー管束28、30、32を介して光搬送装置に治療用光線を伝送することができる。このような操作は、モジューラレーザ治療システム300における複数構成部材の物理的配置を修正せずとも実施することができる。例えば、
図6Aから
図6Cは、一連のパターンが、光搬送装置または光搬送装置に含まれている各構成部材を動かさなくとも光搬送装置によって生成および出力されるのを例示している。
【0037】
まず
図6Aから始まって、近位側サブシステム22は1条の治療用光線61を生成して干渉性ファイバー管束28、30、32の近位面72上の一部位に投射する。近位面72上の1条の治療用光線61の位置は近位側サブシステム22の走査機36を用いて制御することができるが、投光点寸法は投光点寸法選択機39を利用して調節することができる。これに応じて、干渉性ファイバー管束28、30、32は、近位面72上の入力部位に一致する遠位面74上の一部位から1条の治療用光線61を出力するようにするとよい。
【0038】
次に、
図6Bに例示されているように、近位側サブシステム22は或るパターンの治療用光線63を生成してから、干渉性ファイバー管束28、30、32の近位面72上に治療用光線63を投射することができる。この実施例では、或るパターンの治療用光線63は
図6Aの1条の治療光線61と投光点寸法が同一であるが、その代わりに、ここでは円形パターンに配置された多数のレーザエネルギー集中領域を含んでいる。円形パターンの治療光線63は、1個の位置が1個のレーザエネルギー集中領域と1対1対応している多数位置を辿って走査機36の第1走査装置および第2走査装置を迅速に循環させることにより生成される。その結果、干渉性ファイバー管束28、30、32は、近位面72上の入力部位に対応する遠位面74上の一部位から円形パターンの治療光線63を出力すればよいことになる。
【0039】
次に
図6Cに例示されているように、近位側サブシステム22はもう1つ別な或るパターンの治療用光線65を生成してから、干渉性ファイバー管束28、30、32の近位面72上に治療用光線65を投射する。或るパターンの治療光線65は
図6Bの円形パターンの治療用光線63と同じ円形パターンに配置された同数のレーザエネルギー集中領域を含んでいるが、この実施例では、投光点寸法が大きくなっている。円形パターの治療用光線65は、円形パターンの治療用光線63を設けるのに必要になるのと同じ態様で、多数の位置を辿って走査機36の第1走査装置および第2走査装置を迅速に循環させることにより生成される。しかしながら、投光点寸法選択機39を使って、円形パターン治療用光線65の投光点寸法を拡大してもよい。その結果、干渉性ファイバー管束28、30、32は、近位面72上の各入力部位に1対1対応する遠位面74上の各部位から円形パターンの治療用光線65を出力するとよいことになる。
【0040】
これと同じ態様で、モジューラレーザ治療システム300は、1条の治療用光線を利用して連続パターンを写すようにしてもよい。例えば、
図7Aは、近位側サブシステム22により干渉性ファイバー管束28、30、32の近位面72の上に1条の治療用光線81が投射されているのを例示している。1条の治療用光線81は、近位側サブシステム22に含まれている走査機36により矩形パターン83に沿って移動させられる。1条の治療用光線81は矢印85によって示された方向に移動させられるので、光線は干渉性ファイバー管束28、30、32の遠位端におけるファイバー管束面の対応位置に出力される。従って、干渉性ファイバー管束28、30、32の近位面72上に写されたパターンは遠位面で再生される。
図7Bは、1条の治療用光線81が
図7Aに例示されているようにファイバー管束面に投射された際に、干渉性ファイバー管束28、30、32の出力を標的部位に供与することにより外傷部87が設けられているのを例示している。従って、モジューラレーザ治療システム300は1条の治療用光線を利用して矩形パターンの外傷部を生成するのに、光搬送装置または光搬送装置に含まれている各構成部材を移動させなくても済む。換言すると、光搬送装置は患者の眼に対して静止位置に置かれているが、近位側サブシステム22は干渉性ファイバー管束28、30、32の内部で治療用光線を移動させることで所望の外傷パターンを生成することができる。
【0041】
図8はモジューラレーザ治療システムのもう1つ別な実施例800を例示しているが、モジューラレーザ治療システム800はモジューラレーザ治療システム300の投光点寸法選択能力および視野調節能力を欠いている点を除けば、モジューラレーザ治療システム300に類似している。モジューラレーザ治療システム300と同様に、モジューラレーザ治療システム800は近位側サブシステム22および遠位側サブシステム20を備えている。
【0042】
近位側サブシステム22のレーザ源38は1条のレーザビームを伝送する構成になっている。レーザ源38の起動(例えば、パルス持続期間、出力、波長など)は制御装置51により制御される。更に、近位側サブシステム22の走査機はレーザ源38により生成された1条の光線を利用して、1条の治療用光線または或るパターンの治療用光線を生成する。走査機はコリメータレンズ44、第1走査装置および第2走査装置、および、1組のリレーレンズ46を備えているようにするとよいが、第1走査装置および第2走査装置の具体例としては検流器34、検流器36、微小電気機械システム(MEMS)装置、回転式多角形装置、または、それ以外の好適な装置が挙げられる。コリメータレンズ44は、レーザ源38により生成された1条の光線を光ファイバー42を介して受光する構成である。コリメータレンズ44の出力は平行光線であるが、この平行光線は第1走査装置、例えば、第1検流器34、微小電気機械システム装置、回転式多角形装置、または、それ以外の好適な装置に向かう方向制御を行うことができる。第1検流器34の位置がコンピュータ制御システム(例えば、制御装置51)を利用して高精度制御されることで、1組のリレーレンズ46により平行光線を第2走査装置、例えば、第2検流器36、微小電気機械システム装置、回転式多角形装置、または、それ以外の好適な装置に向かわせることができるようになる。第2走査装置はコンピュータ制御システム(例えば、制御装置51)に応答して第1検流器34の調節の方向に垂直な方向に平行光線を調節する構成である。換言すると、1対の検流器34、36を利用して、顕微鏡対物レンズ48および干渉性ファイバー管束28の近位面72に相関的に治療用光線26のX-Y直交座標上の位置を調節することができる。或る実施例においては、この操作が実施されるのは、1条の治療用光線を顕微鏡対物レンズ48および近位面72に相関的に移動させるためである。また別な実施例においては、走査装置はレーザ源38によって生成されたパルスと同期させられるとともに幾つかの複数位置を辿って比較的迅速に循環させられることで、
図2Bないし
図2Eに例示されているもののような多数のレーザエネルギー集中領域21を含んでいるパターン形成効果を生じることができる。
【0043】
モジューラレーザ治療システム800の遠位側サブシステム20は、視野調節モジュール41が投射光学系40(例えば、回転式ミラーなど)に置換されている点を除けばモジューラレーザ治療システム300に類似している。遠位側サブシステム20は近位側サブシステム22から治療用光線を受光し、レーザ治療システム300について先に述べたものに類似する態様で治療用光線を出力することができる。
【0044】
図9は、可動設置式近位側サブシステム22が干渉性ファイバー管束28で遠位側サブシステム20に接続されることを特徴とするモジューラレーザ治療システム構成の一実施例900を例示している。遠位側サブシステム20は細隙灯装置6に接続されており、患者の眼に1条の治療用光線および或るパターンの治療用光線を搬送するために利用される。レーザ照射のオン・オフ切り替えなどのような近位側サブシステム22の多様な状態を誘発させるためのフットペダル64が例示されている。これに代わる例として、他の実施例においては、モジューラレーザ治療システム構成900は、近位側サブシステム22の多様な状態を誘発させるためのフットペダル64に代えて、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を備えているようにしてもよい。モジューラレーザ治療システム構成900は、レーザ間接検眼鏡や眼内探針などのような移動装置を支援するためのインターフェイスを更に備えているようにしてもよい。移動装置は干渉性ファイバー管束によって近位側サブシステム22に接続されて、患者の眼に1条の治療用光線および或るパターンの治療用光線を搬送することができる。これに代わる例として、移動装置は従来の多モードファイバーによって近位側サブシステム22に接続されて、従来の1条の光線による治療を施すようにしてもよい。
【0045】
図10は、卓上設置式近位側サブシステム22が干渉性ファイバー管束28を介して遠位側サブシステム20に接続されることを特徴とするモジューラレーザ治療システム構成の一実施例1000を例示している。遠位側サブシステム20は細隙灯装置6に接続されて、患者の眼に1条の治療用光線および或るパターンの治療用光線を搬送するために利用される。近位側サブシステム22の一部として例示されているのが干渉性ファイバー管束インターフェイスバス66であり、このインターフェイスバスは走査検流器によって給電されるとともに、干渉性ファイバー管束28を介して遠位側サブシステム20に関連するレーザ間接検眼鏡16、眼内探針(図示せず、ポート68が利用されることもある)、または、細隙灯装置に1条の治療用光線や或るパターンの治療用光線を向かわせるために利用される。或る実施例では、検流器の大きな動き(例えば、±18度)は異なるファイバーポートを選択するために利用されるが、検流器の小さな動きはファイバーでパターンを形成するためにポート内で使用される。代替例として、近位側サブシステム22に含まれているビーム分割器を検流器の代用としてもよい。また別な1条光線用のバス(図示せず)を設けることで、近位側サブシステム22が従来の多モードファイバーにより1条のレーザ光線をレーザ間接検眼鏡または眼内探針に伝送することができるようにして、近位側サブシステム22を従来の1条光線用のレーザ間接検眼鏡または眼内探針に容易に適合させることができる。
【0046】
図11を参照すると、干渉性ファイバー管束29を使って可動設置式近位側サブシステム22がインターフェイス23に接続されることを特徴とするモジューラレーザ治療システム構成の一実施例1100が例示されている。インターフェイス23は、全て同一寸法または異なる寸法の(例えば、同一径または異径の、もしくは、同一画素数または異画素数の)干渉性ファイバー管束相互の間の複数の結合部を含んでいる。インターフェイス23は手術室式の顕微鏡70に接続されており、干渉性ファイバー管束32のまた別な部分を介して患者の眼に1条の治療用光線および或るパターンの治療用光線を搬送するために利用されるが、干渉性ファイバー管束32は顕微鏡アームに固定式に接続されていてもよいし、或いは、着脱自在式に接続されていてもよいが、最終的に遠位側サブシステム20(図示せず)を備えている眼内探針18に接続されるとよい。干渉性ファイバー管束の端部・端部の結合部(または、切断面・切断面の結合部)は従来の1:1光画像化装置型の機器を利用するとともに、従来のガラスレンズや射出成形可塑レンズやミラーなどのような反射光学系やグリンレンズ(屈折率分布型レンズ)や回折レンズのような各種レンズなどを利用して効率よく達成することができる。これに代わる例として、上記以外のスケーリング因子を採用してもよく、具体例を挙げると、大きい(例えば、直径が大きく画素数も高い)恒久取付式ファイバーが小さい(例えば、直径が小さく画素数も低い)眼内探針ファイバーに結合されて、組になったファイバー相互の画素・画素の整合を回避するようにしてもよい。使い捨て可能なキット、例えば、眼内探針用キットなどのキットは、眼内探針に加えて6インチ程度の公称結合長の干渉性ファイバー管束および1:1の光画像化装置と協働するフェルール型すなわち継口型接合面を備えているが、光画像化装置は干渉性ファイバー管束の遠位端に結合され、干渉性ファイバー管束はもっと近位の、遠位側サブシステム20または近位側サブシステム22のいずれかに結合されるとよい。
【0047】
図12は、干渉性ファイバー管束を介して治療レベルのレーザエネルギーを搬送するプロセスの一実施例1200を例示している。ブロック1210で、治療用光線が生成される。治療用光線は少なくとも2個の分離したレーザエネルギー集中領域21を含んでおり、少なくとも2個の分離したレーザエネルギー集中領域21の寸法と少なくとも2個の分離したレーザエネルギー集中領域21により形成されたパターンとは、第1サブシステムにより調節可能である。この操作は、例えば、モジューラレーザ治療システム300の近位側サブシステム22に類似している、または、それと同一であるサブシステムを利用して実施されるとよい。ブロック1220で、レーザエネルギーは治療用光線の形態を取って、モジューラレーザ治療システム300の干渉性ファイバー管束28、30、32に類似している、または、それと同一である干渉性ファイバー管束の第1端に向かう方向制御がなされる。ブロック1230で、治療用光線は干渉性ファイバー管束の第2端から受光される。或る実施例では、この操作は、遠位側サブシステム20に類似している、または、それと同一のサブシステムを利用して実施されるとよい。ブロック1240で、受光された治療用光線は患者に搬送される。或る実施例においては、治療用光線は細隙灯やレーザ間接検眼鏡や眼内探針またはそれ以外の好適な装置によって搬送されて、患者の眼に所望の外傷パターンを生じるようにするとよい。
【0048】
多様な具体的実施例をここに説明してきた。これら実施例についての言及は非限定的な意味で行われている。これら実施例は本件開示の技術の、より余すところなく適用可能な態様を例示する目的で提示されている。多様な変更を施すことができるであろうし、これら多様な実施例の真髄および範囲から逸脱しなければ、本発明の実施例の均等物で代用することができるであろう。加えて、特定の状況、特定の素材、特定の物質組成、特定の過程、特定の手順行為、または、特定工程段を上述の多様な実施例の目的、真髄、または、範囲に適合させるために多様な修正を施すことができるであろう。更に、当業者なら正しく評価することであるが、本件に記載および例示されている個々の変形例はその各々が別個の構成部材および別個の特徴を有しており、それら構成部材および特徴は他の複数の実施例のいずれの特徴からも容易に分離させることができ、或いは、そのような特徴と容易に結び付けられて、尚且つ、上述の多様な実施例の範囲および真髄から逸脱するものではない。このような修正例はいずれも、本明細書に添付した特許請求の範囲に入るものと解釈されるべきである。