特許第5902108号(P5902108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902108
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】X線検査用車両搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 39/02 20060101AFI20160331BHJP
   G01N 23/04 20060101ALI20160331BHJP
   B65G 39/10 20060101ALI20160331BHJP
   B65G 13/11 20060101ALI20160331BHJP
   B65G 45/04 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   B65G39/02 Z
   G01N23/04
   B65G39/10
   B65G13/11
   B65G45/04
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-22070(P2013-22070)
(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公開番号】特開2014-151996(P2014-151996A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198318
【氏名又は名称】株式会社IHI検査計測
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】今井 功
(72)【発明者】
【氏名】菅井 孝郎
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−153099(JP,A)
【文献】 特開昭61−114910(JP,A)
【文献】 特開2003−312819(JP,A)
【文献】 米国特許第06542580(US,B1)
【文献】 特表2006−510033(JP,A)
【文献】 特開2003−287507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 13/00−13/12
B65G 39/00−39/20
B65G 45/00−45/26
G01N 23/00−23/227
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線検査の被検車両を搭載するパレットを駆動台車によって搬送するX線検査用車両搬送装置であって、
前記被検車両の走行路上に設置され、幅方向に第1の間隔を保ちながら前記被検車両の搬送方向に水平に延びる1対のローラコンベア群を備え、
それぞれの前記ローラコンベア群は、幅方向に隣接して配置された複数列のローラコンベアからなり、かつ前記被検車両の車輪部分の鉛直下方向に位置しており、
それぞれの前記ローラコンベアは、前記パレットを下方向から搬送可能に支持する複数のローラが前記搬送方向に第2の間隔を隔てて配置されており、前記ローラ同士の間にはその上面が前記ローラの上面よりも低く、かつその上面が前記被検車両の車輪と接触可能である高さを有する支持部材が配置されており、
前記被検車両は、前記支持部材の上面を自走できるようになっている、ことを特徴とするX線検査用車両搬送装置。
【請求項2】
前記ローラコンベアは、前記被検車両の搬入位置から前記被検車両の走行経路に交差する位置に設けられた入口側遮蔽扉の手前まで延びる第1のローラコンベアと、前記入口側遮蔽扉の奥側からX線を被検車両に照射するX線照射位置の手前まで延びる第2のローラコンベアと、前記X線照射位置の奥側から被検車両の走行経路に交差する位置に設けられた出口側遮蔽扉の手前まで延びる第3のローラコンベアと、前記出口側遮蔽扉の奥側から前記被検車両の搬出位置まで延びる第4のローラコンベアとからなる、ことを特徴とする請求項1に記載のX線検査用車両搬送装置。
【請求項3】
前記ローラコンベアは、前記搬送方向両端部に配置された端部ローラと、該端部ローラに挟まれた位置に配置された中間ローラとからなり、
前記端部ローラは、隣接するローラコンベアの端部ローラと並列になるように配置されており、
前記中間ローラは、隣接するローラコンベアの中間ローラと複数列千鳥になるように配置されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線検査用車両搬送装置。
【請求項4】
前記ローラに向けた開口部を有するグリース溜まりを備え、
前記開口部には、グリースが充填されており、
前記グリースの一部は、前記ローラの一部に付着し、該ローラの回転に伴って外周全体に付着する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のX線検査用車両搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を搭載するパレットを駆動台車により搬送しながらX線検査をするX線検査用車両搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ等を運搬する車両をX線検査するX線検査装置が非特許文献1に開示され、その車両を運搬する装置が、特許文献1,2に開示されている。
【0003】
非特許文献1の「コンテナ貨物大型X線検査装置」は、コンテナをトラックの荷台に搭載したままX線検査する装置である。
【0004】
このX線検査装置において、車両運転手は、建屋の進入ヤードに入り、所定の場所でコンテナを載せた車両(コンテナ車両)を停止させ下車する。次いで、第1搬送装置が、車両の前輪部分を持ち上げ、入口遮蔽扉が開いた後、X線検査トンネル内を自動走行し、X線検査トンネル内でコンテナ車両を開放して、第1搬送装置は進入ヤードに戻る。次に、第2搬送装置が、X線検査トンネル内で車両の前輪部分を持ち上げ、退出ヤードに向かって自動走行し、その走行中にX線発生装置からX線が照射され、コンテナ車両をX線検査するようになっている。
【0005】
特許文献1の「X線検査方法」は、X線を照射する遮蔽室の下方に、台車用通路を形成し、その通路を自走する搬送台車で、車両の前輪を持ち上げて、遮蔽室を通過させるものである。
【0006】
特許文献2の「搬送装置」は、X線を照射する遮蔽室の下方には台車用通路を形成せず、車両の前方から車両の前輪を持ち上げて自走する地上牽引式搬送台車である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「コンテナ貨物大型X線検査装置」、石川島播磨技報 Vol.43 No.3 (2003−5)
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−287507号公報、「X線検査方法」
【特許文献2】特開2007−331852号公報、「搬送装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来のX線検査用車両搬送装置は、車両の前輪を持ち上げて車両の搬送を行うものである。
しかし、例えば車両の搬送中に搬送装置が故障により停止した場合、車両は前輪を持ち上げられており、さらに搬送装置上に車両が自走可能な走行経路がないため、その場所から退避することはできないといった問題点があった。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、被検車両のX線検査を行うために被検車両を搬送することが可能であり、車両の搬送中に搬送装置が故障により停止した場合においても、車両が自走によってその場所から退避することができるX線検査用車両搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、X線検査の被検車両を搭載するパレットを駆動台車によって搬送するX線検査用車両搬送装置であって、
前記被検車両の走行路上に設置され、幅方向に第1の間隔を保ちながら前記被検車両の搬送方向に水平に延びる1対のローラコンベア群を備え、
それぞれの前記ローラコンベア群は、幅方向に隣接して配置された複数列のローラコンベアからなり、かつ前記被検車両の車輪部分の鉛直下方向に位置しており、
それぞれの前記ローラコンベアは、前記パレットを下方向から搬送可能に支持する複数のローラが前記搬送方向に第2の間隔を隔てて配置されており、前記ローラ同士の間にはその上面が前記ローラの上面よりも低く、かつその上面が前記被検車両の車輪と接触可能である高さを有する支持部材が配置されており、
前記被検車両は、前記支持部材の上面を自走できるようになっている、ことを特徴とするX線検査用車両搬送装置が提供される。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記ローラコンベアは、前記被検車両の搬入位置から前記被検車両の走行経路に交差する位置に設けられた入口側遮蔽扉の手前まで延びる第1のローラコンベアと、前記入口側遮蔽扉の奥側からX線を被検車両に照射するX線照射位置の手前まで延びる第2のローラコンベアと、前記X線照射位置の奥側から被検車両の走行経路に交差する位置に設けられた出口側遮蔽扉の手前まで延びる第3のローラコンベアと、前記出口側遮蔽扉の奥側から前記被検車両の搬出位置まで延びる第4のローラコンベアとからなる。
【0013】
また、別の実施形態によれば、前記ローラコンベアは、前記搬送方向両端部に配置された端部ローラと、該端部ローラに挟まれた位置に配置された中間ローラとからなり、
前記端部ローラは、隣接するローラコンベアの端部ローラと並列になるように配置されており、
前記中間ローラは、隣接するローラコンベアの中間ローラと複数列千鳥になるように配置されている。
【0014】
また、別の実施形態によれば、前記ローラに向けた開口部を有するグリース溜まりを備え、
前記開口部には、グリースが充填されており、
前記グリースの一部は、前記ローラの一部に付着し、該ローラの回転に伴って外周全体に付着する。
【発明の効果】
【0015】
上記本発明の構成によれば、被検車両の走行路上に設置され、幅方向に第1の間隔を保ちながら前記搬送方向に向けて水平に延びる1対のローラコンベア群を備えており、それぞれのローラコンベア群は、幅方向に隣接して配置された複数列のローラコンベアからなる。
この構成によって、パレットをローラコンベアの上に設置し、被検車両をそのパレットに搭載した状態で搬送することが可能になるため、被検車両の前輪を持ち上げることなく被検車両を搬送することができる。
また、それぞれの前記ローラコンベアは、前記パレットを下方向から搬送可能に支持する複数のローラが前記搬送方向に第2の間隔を隔てて配置されており、前記ローラ同士の間にはその上面が前記ローラの上面よりも低く、かつその上面が前記被検車両の車輪と接触可能である高さを有する支持部材が配置されている。
この構成によって、パレットを介さない状態であっても被検車両が支持部材の上面を自走することが可能になる。
よって、上記構成により、本発明によるX線検査用車両搬送装置は、被検車両のX線検査を行うために被検車両を搬送することが可能であり、車両の搬送中に搬送装置が故障により停止した場合においても、車両が自走によってその場所から退避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるX線検査用車両搬送装置の構成図である。
図2図1のローラコンベア群の斜視図である。
図3】本発明によるローラコンベアの第1実施形態図である。
図4図1のローラコンベア群の上面図である。
図5】本発明によるX線発生装置及びX線検出装置を有するX線検査用車両搬送装置の側面図である。
図6】本発明によるX線発生装置及びX線検出装置を有するX線検査用車両搬送装置の斜視図である。
図7】本発明による遮蔽扉を有するX線検査用車両搬送装置の斜視図である。
図8】本発明によるローラコンベアの第2実施形態図である。
図9】本発明によるグリース溜まりの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0018】
本発明のX線検査用車両搬送装置は、X線検査をする被検車両を搭載したパレットを駆動台車によって搬送するものである。
以下、本発明のX線検査用車両搬送装置を単に「搬送装置」と略称する。
【0019】
図1は、本発明によるX線検査用車両搬送装置の構成図である。
【0020】
この図において、1は被検車両であり、コンテナ車両のような大型車両、又は乗用車や小型トラック等の小型車両である。これらの被検車両1は自走してパレット2に乗り込み、このパレット2を介して搬送される。また、被検車両1は、パレット2上を走行することが可能である。
【0021】
図1において、本発明の搬送装置10は、被検車両1の走行路上に設置され、幅方向に間隔を保ちながら搬送方向に向けて水平に延びる1対のローラコンベア群20を備えている。
搬送装置10は、例えば、内部が中空であって一方向に延びる形状を有する検査室(図示しない)に設置されている。この検査室の床面は被検車両1が自走できるように水平になっており、搬送装置10は、この床面の一部に設置されているものを想定している。なお、検査室の床面から後述するパレット2の上面までは一定の高さがあるため、被検車両1は、斜面を有する乗り込み装置(図示しない)を用いることによってパレット2の上面に乗り込むようになっている。
【0022】
ローラコンベア群20は、この例においては、パレット2がローラコンベア群20の上を通過する位置に設置されている。これによって、被検車両1の走行時において被検車両1を搭載したパレット2を下方向から支える。また、パレット2は、図1に示すように、駆動台車13によって搬送方向前方から牽引される構成であってよく、又は搬送方向後方から押進される構成であってもよい。なお、駆動台車13は、後述する軌道11に案内されて前進又は後退するものであってもよい。
【0023】
図2は、図1のローラコンベア群の斜視図である。
【0024】
ローラコンベア群20は、この例においては、図1ように1対のローラコンベア群20としてパレット2を支える構成を有している。
それぞれのローラコンベア群20は、幅方向に隣接して配置された複数列のローラコンベアからなる。この例におけるローラコンベア群20は、2列のローラコンベア21、22から構成されている。
【0025】
さらに、それぞれのローラコンベア21、22は、パレット2を下方向から搬送可能に支持する複数のローラ21a、22aが搬送方向に向けて間隔を隔てて配置されている。
ローラ21a、22aは、土台23に取り付けられた2枚の壁部23aに囲まれるように取り付けられたシャフト21b、22bによって回転可能に軸支されたローラであり、被検車両1の搬送方向に向けて複数取り付けられている。
また、ローラ21a、22aは、パレット2を下方向から搬送可能に支持するために、その上面が土台23の壁部23aの上面よりも高くなるように設けられている。
【0026】
この構成によって、平板上のパレット2をローラコンベア21、22の上に設置することが可能になり、被検車両1はそのパレット2に乗りこんだ状態で搬送することが可能になる。よって、車輪の前輪を持ち上げることなく被検車両1を搬送することが可能になる。
【0027】
また、ローラ21a、22a同士の間にはその上面がローラ21a、22aの上面よりも低く、かつその上面が被検車両1の車輪と接触可能である高さを有する支持部材21c、22cが配置されており、この支持部材21c、22cは、ローラ21a、22aの間においてローラ21a、22aに接触しない位置において取り付けられている。
なお、支持部材21c、22cは、例えば、ブロック材であることが好ましい。
【0028】
この構成によって、ローラ21a、22a同士の間隔が離れていても、その間隔を支持部材21c、22cによって埋めることが可能になるため、被検車両1はパレット2を介さない状態であってもローラコンベア21、22上を自走することが可能になる。
具体的には、例えばローラ21a、22a同士の間隔が被検車両1の車両よりも広く開いている場合であっても、この支持部材21c、22cを有することによって、その間隔を埋めることが可能になるため、被検車両1はパレット2を介さない状態であってもローラコンベア21、22上を自走することが可能になる。
【0029】
図3は、本発明によるローラコンベアの第1実施形態図であり、図3(A)は、被検車両を搭載するパレットが搬送された場合の模式図であり、図3(B)は、被検車両がローラコンベアの上を走行した場合の模式図である。
【0030】
ローラコンベア群20は、それぞれ被検車両1の車輪部分の鉛直下方向に少なくともその一部が位置しており、被検車両1は、パレット2を介さずにその上面を走行できるようになっている。
具体的には、図3(A)のように、パレット2に搭載した状態の被検車両1を搬送する場合においては、被検車両1の車輪の鉛直下方向に少なくともローラコンベア21、22のそれぞれの一部が位置している。
この構成によって、パレット2におけるローラコンベア21、22によって支えられていない部分に被検車両1の全重量の集中することが防止することによって、パレット2の破損を避けることが可能になる。
【0031】
また、被検車両1の車輪の鉛直下方向に少なくともローラコンベア21、22のそれぞれ一部が位置していることによって、図3(B)のように、パレット2を介しない状態であっても被検車両1がローラコンベア21、22の上を走行することが可能になる。
そのため、搬送装置10の故障等が発生した場合においても、被検車両1がローラコンベア21、22の上を走行することが可能になる。
【0032】
なお、被検車両1がローラコンベア21、22の上を走行する際に、安定的な走行を可能にするため、被検車両1の車輪の全てがローラコンベア21、22の上に搭載可能になるように、ローラコンベア21、22を位置することが好ましい。具体的には、被検車両1のトレッド(車輪中心間距離)は、例えば日本では大型車両の場合、約1800mmから1900mmであるため、ローラコンベア21、22は、このトレッド間隔で設置されていることがより好ましい。
さらに、被検車両1が蛇行して走行する場合も考慮して、被検車両1の車輪の幅と比較してローラコンベア21、22の大きさを十分に大きくすることがより好ましい。
【0033】
また、支持部材21cの上面からローラ21aの上面までは10mm程度の間隔を想定している。
この構成によって、図3(A)のようのローラ21a、22aの上をパレット2が走行している場合において、パレット2が被検車両1の重量によって1mm程度凹んでも支持部材21c、22cを接触することはなく、また、図3(B)のようにローラコンベア21、22の上を被検車両1が自走する場合においては、ローラ21a、22a同士の間隔を支持部材21c、22cが埋めることが可能になり、被検車両1によるローラコンベア21、22上を自走が可能になる。
【0034】
図4は、図1のローラコンベア群の上面図である。
【0035】
この例において、ローラコンベア21は、搬送方向両端部に配置された端部ローラ21dと、その端部ローラ21dに挟まれた位置に配置された中間ローラ21a(端部ローラ21d以外のローラ、以下同じ)とからなり、端部ローラ21dは、隣接するローラコンベア22の端部ローラ22dと並列になるように配置されており(図中のB)、中間ローラ21aは、隣接するローラコンベア21の中間ローラ21aと複数列千鳥になるように配置されている(図中のA)。
【0036】
この構成によって、搬送方向のついてのローラ21a、22aの間隔を所定の間隔に保ちながらローラ21a、22aの数を減らすことが可能になり、搬送装置10としてのコストを低減させることが可能になる。
また、端部ローラ21d、22dについてのみ並列に並べることによって、ローラコンベア21、22の端部における回転力を十分に得ることが可能になるため、パレット2等の搭載を開始してから十分に搭載するまで等の搬送を安定化させることが可能になる。
【0037】
なお、この例においては、図1のようにパレット2の幅方向端部にその下端部が二つに分割したガイド装置12が設けられており、また、ローラコンベア群20の幅方向外方には、ローラコンベア群20と平行して延びる軌道11が設けられている。
この構成によって、軌道11とガイド装置12とは嵌合することが可能になるため、パレット2は軌道11と平行姿勢を保ちながら被検車両1を搬送することが可能になる。
【0038】
図5は、本発明によるX線発生装置及びX線検出装置を有するX線検査用車両搬送装置の側面図であり、図6は、本発明によるX線発生装置及びX線検出装置を有するX線検査用車両搬送装置の斜視図である。
【0039】
この例において、鉛直方向又は水平方向から被検車両1に対してX線14aを照射するX線発生装置14と、パレット2を挟んでX線発生装置14と対向した位置に配置され、パレット2又は被検車両1を透過したX線14aを検出するX線検出装置15とを備えている。
そのため、ローラコンベア21、22は、X線発生装置14とX線検出装置15との間であってX線14aを被検車両1に照射するX線照射位置16の手前まで延びるローラコンベアと、X線照射位置16の奥側からさらに延びるローラコンベアとの間に隙間を有している。
【0040】
この構成によって、被検車両1に対するX線検査時において、X線がローラコンベア21、22によって遮断されることがないため、被検車両1のX線信号のみをより精度よく抽出することが可能になる。
X線発生装置14から発生したX線14aは、この例においては、図6のように幅方向に延びる直線形状であり、X線検査装置14と被検車両1の走行経路との間に設けられたスリット14b、14cを通過して被検車両1に照射するようになっている。
なお、この例においては、X線14aがスリット14b、14cを通過する構成について説明したが、X線検査に支障がなければスリットの数を増減させた構成であってもよい。また、X線検出装置側にスリット15aを設ける構成であってもよい。
【0041】
図7は、本発明による遮蔽扉を有するX線検査用車両搬送装置の斜視図である。
【0042】
この例において、ローラコンベア21、22と交差する位置に設けられ、パレット2を通過させるために開閉可能であって、X線を遮蔽可能である入口側遮蔽扉17a及び出口側遮蔽扉17bが設けられている。入口側遮蔽扉17aは、被検車両1の搬入位置と被検車両1のX線照射位置16との間に位置する扉であり、出口側遮蔽扉17bは、被検車両1のX線照射位置16と被検車両1の搬出位置との間に位置する扉である。
そのため、この例においては、ローラコンベア21、22は、被検車両1の搬入位置から被検車両1の走行経路に交差する位置に設けられた入口側遮蔽扉17aの手前まで延びるローラコンベア、入口側遮蔽扉17aの奥側から出口側遮蔽扉17bの手前まで延びるローラコンベアと、出口側遮蔽扉17bの奥側から被検車両1の搬出位置まで延びるローラコンベアとに分かれている。
【0043】
この構成によって、入口側遮蔽扉17a及び出口側遮蔽扉17bは、ローラコンベア21、22と接触することなく開閉可能になるため、被検車両1のX線検査時には入口側遮蔽扉17a及び出口側遮蔽扉17bを閉めることによってX線を遮蔽することができる。また、入口側遮蔽扉17a及び出口側遮蔽扉17bを開けることによって被検車両1を通過させることが可能になる。なお、入口側遮蔽扉17a及び出口側遮蔽扉17bは、この例においては、ローラコンベア21、22と垂直に設けられている開閉ガイド18に従って開閉を行う。
【0044】
上記の例においては、X線発生装置14及びX線検出装置15を有する場合と、入口側遮蔽扉17a及び出口側遮蔽扉17bを有する場合とを別々に説明したが、これらを両方有している構成であってもよい。その場合、ローラコンベア21、22は、被検車両1の搬入位置から被検車両1の走行経路に交差する位置に設けられた入口側遮蔽扉17aの手前まで延びるローラコンベア(第1のローラコンベア)、入口側遮蔽扉17aの奥側からX線を被検車両1に照射するX線照射位置16の手前まで延びるローラコンベア(第2のローラコンベア)と、X線照射位置16の奥側から被検車両1の走行経路に交差する位置に設けられた出口側遮蔽扉17bの手前まで延びるローラコンベア(第3のローラコンベア)と、出口側遮蔽扉17bの奥側から被検車両1の搬出位置まで延びるローラコンベア(第4のローラコンベア)とからなる。
【0045】
図8は、本発明によるローラコンベアの第2実施形態図である。
【0046】
搬送装置10は、ローラ21a、22aに向けた開口部24aを有するグリース溜まり24を備えており、開口部24aには、グリース25が充填されている。
また、そのグリース25の一部は、ローラ21a、22aの一部に付着しており、ローラ21a、22aの回転に伴ってローラ21a、22aの外周全体に付着するようになっている。
【0047】
この例においては、図9のように、グリース溜まり24は、コの字形状を有しており、その内部にはグリース25が充填されている。また、ローラ21a、22aに向けて開口部24aを有しているが、ローラ21a、22aが近接して位置しており、さらにグリース25が有する粘性によって、この開口部24aとローラ21a、22aの間の隙間からグリース25が流れ出ないような構成を有しているものを想定している。
また、グリース25は、少なくともその一部がローラ21a、22aに付着する程度に充填しておく必要がある。
【0048】
本実施形態においては、この構成によって、ローラ21a、22aとパレット2との間に過度の摩擦が生じるような場合においても、互いに滑合するため、ローラ21a、22a又はパレット2の破損を防止することが可能になる。
【0049】
上記本発明の構成によれば、被検車両の走行路上に設置され、幅方向に第1の間隔を保ちながら前記搬送方向に向けて水平に延びる1対のローラコンベア群を備えており、それぞれのローラコンベア群は、幅方向に隣接して配置された複数列のローラコンベアからなる。
この構成によって、パレットをローラコンベアの上に設置し、被検車両をそのパレットに搭載した状態で搬送することが可能になるため、被検車両の前輪を持ち上げることなく被検車両を搬送することができる。
また、それぞれの前記ローラコンベアは、前記パレットを下方向から搬送可能に支持する複数のローラが前記搬送方向に第2の間隔を隔てて配置されており、前記ローラ同士の間にはその上面が前記ローラの上面よりも低く、かつその上面が前記被検車両の車輪と接触可能である高さを有する支持部材が配置されている。
この構成によって、パレットを介さない状態であっても被検車両が支持部材の上面を自走することが可能になる。
よって、上記構成により、本発明によるX線検査用車両搬送装置は、被検車両のX線検査を行うために被検車両を搬送することが可能であり、車両の搬送中に搬送装置が故障により停止した場合においても、車両が自走によってその場所から退避することができる。
【0050】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1 被検車両、2 パレット、10 搬送装置、
11 軌道、12 ガイド装置、13 駆動台車、
14 X線発生装置、14a X線、14b、14c スリット、
15 X線検出装置、15a スリット、16 X線照射位置、
17a 入口側遮蔽扉、17b 出口側遮蔽扉、
18 開閉ガイド、20 ローラコンベア群、
21 ローラコンベア、
21a ローラ(中間ローラ)、21b シャフト、
21c 支持部材、21d 端部ローラ、
22 ローラコンベア、
22a ローラ(中間ローラ)、22b シャフト、
22c 支持部材、22d 端部ローラ、
23 土台、23a 壁部、
24 グリース溜まり、24a 開口部、25 グリース
図1
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