特許第5902162号(P5902162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902162
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】透明インクジェット記録フィルム
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/00 20060101AFI20160331BHJP
   B41M 5/50 20060101ALI20160331BHJP
   B41M 5/52 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   B41M5/00 B
【請求項の数】10
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2013-519709(P2013-519709)
(86)(22)【出願日】2011年7月7日
(65)【公表番号】特表2013-532591(P2013-532591A)
(43)【公表日】2013年8月19日
(86)【国際出願番号】US2011043120
(87)【国際公開番号】WO2012009196
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年5月19日
(31)【優先権主張番号】13/117,214
(32)【優先日】2011年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/363,359
(32)【優先日】2010年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/379,856
(32)【優先日】2010年9月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/386,081
(32)【優先日】2010年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/176,788
(32)【優先日】2011年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507224587
【氏名又は名称】ケアストリーム ヘルス インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン シャロン エム
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ジェイムズ ビー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】スザフラニエク ジョン ディー
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−172885(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/061354(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/061351(WO,A1)
【文献】 特開2004−276468(JP,A)
【文献】 特開2003−251912(JP,A)
【文献】 特開2004−291390(JP,A)
【文献】 特開2004−122782(JP,A)
【文献】 特開2008−246756(JP,A)
【文献】 特開2007−253383(JP,A)
【文献】 特開2007−237549(JP,A)
【文献】 特開2007−125781(JP,A)
【文献】 特開2002−240417(JP,A)
【文献】 米国特許第04592951(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00,5/50,5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット記録フィルムであって、
透明支持体と、
ヒドロキシル基を含有する水溶性または水分散性の架橋性ポリマと、ホウ酸、ホウ酸塩またはボロン酸誘導体と、および任意に界面活性剤とを含む下層と、
ヒドロキシル基を含有する水溶性または水分散性の架橋性ポリマ、無機粒子、および界面活性剤を含む、前記下層上に被覆された画像受容層と、を含み、
前記下層または画像受容層のうちの少なくとも1つが、前記下層内においては少なくとも0.5重量%、また前記画像受容層内においては少なくとも0.2重量%の量で界面活性剤を含み、
前記下層内および前記画像受容層内の前記界面活性剤が、フルオロ脂肪族ポリアクリレートフルオロポリマであり、
前記ボロン酸誘導体は、フェニルボロン酸およびブチルボロン酸のうちの少なくとも1つである、インクジェット記録フィルム。
【請求項2】
前記下層内の架橋性ポリマがポリビニルアルコールを含み、前記ホウ酸塩が四ホウ酸ナトリウム十水和物を含む、請求項1に記載のインクジェット記録フィルム。
【請求項3】
前記下層内の水溶性または水分散性の架橋性ポリマが0.02g/m〜1.8g/mの量で存在し、前記下層内の前記ホウ酸塩が0.02g/m〜2.0g/mの量で存在し、前記下層内の前記界面活性剤が0.001g/m〜0.10g/mの量で存在する、請求項1に記載のインクジェット記録フィルム。
【請求項4】
前記画像受容層内のヒドロキシル基を含有する前記水溶性または水分散性の架橋性ポリマが、ポリ(ビニルアルコール)、部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルメタクリレートを含有するコポリマ、ヒドロキシエチルアクリレートを含有するコポリマ、ヒドロキシプロピルメタクリレートを含有するコポリマ、ヒドロキシセルロースエーテル、またはこれらの混合物を含み、
前記無機粒子が、ヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、コロイド状シリカ、もしくはベーマイトアルミナ、またはこれらの混合物を含み、
前記ホウ酸、ホウ酸塩またはボロン酸誘導体が、ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム十水和物、ホウ酸、フェニルボロン酸、ブチルボロン酸、またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載のインクジェット記録フィルム。
【請求項5】
前記画像受容層がポリビニルアルコールを含み、前記無機粒子がベーマイトアルミナを含む、請求項1に記載のインクジェット記録フィルム。
【請求項6】
前記画像受容層内のヒドロキシル基を含有する前記水溶性または水分散性の架橋性ポリマがポリビニルアルコールを含み、前記画像受容層内の前記無機粒子が少なくとも88重量%を構成し、前記画像受容層内の前記界面活性剤が少なくとも0.20重量%を構成する、請求項1に記載のインクジェット記録フィルム。
【請求項7】
前記画像受容層内の水溶性または水分散性の架橋性ポリマが1.0g/m〜4.5g/mの量で存在し、前記画像受容層内の前記無機粒子が17g/m〜48g/mの量で存在し、前記画像受容層内の前記界面活性剤が0.04g/m〜1.5g/mの量で存在する、請求項1に記載のインクジェット記録フィルム。
【請求項8】
前記下層内の前記界面活性剤が0.5重量%〜5.0重量%の量で存在し、前記画像受容層内の前記界面活性剤が0.2重量%〜3.0重量%の量で存在する、請求項1に記載のインクジェット記録フィルム。
【請求項9】
前記下層および画像受容層内の水溶性または水分散性の架橋性ポリマが、ポリビニルアルコールであり、前記無機粒子がベーマイトアルミナであり、前記ホウ酸塩が四ホウ酸ナトリウム十水和物である、請求項1に記載のインクジェット記録フィルム。
【請求項10】
前記界面活性剤が、前記画像受容層のみに少なくとも0.2重量%の量で存在する、請求項1に記載のインクジェット記録フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明支持体上に被覆された改善されたインクジェット記録フィルム、これらのフィルムの調製方法、ならびにこれらのフィルムの画像形成および使用方法に関する。これらのフィルムは、特に、医療用画像用途に有用である。
【背景技術】
【0002】
典型的なインクジェット記録または印刷システムでは、インク液滴が記録フィルム、要素、または媒体に向かってノズルから高速で噴射され、フィルム上に画像を生ずる。インク液滴、または記録液体は、一般に、染料または顔料等の記録薬剤、および多量の溶媒を含む。溶媒またはキャリア液体は、概して、水、有機材料、例えば、一価アルコール、多価アルコール、またはこれらの混合物から作られている。
【0003】
インクジェット記録フィルムは、概して、少なくとも一方の表面に、インク受容層または画像形成層を担持する支持体を含み、不透明な支持体を有する、反射式観察を目的とするもの、および透明な支持体を有する、透過光による観察を目的とするものが含まれる。
【0004】
そのような画像記録フィルム上に写真画質の画像を達成および維持するためには、インクジェット記録フィルムは、以下のようでなければならない。
・容易に濡れ、パッドリング(puddling)、即ち、不均一な密度をもたらす隣接するインクドットの凝集がないこと。
・画像の滲み(bleeding)を呈さないこと。
・高濃度のインクを吸収し、速乾性であり、次のプリントまたは他の表面と重ねられた際にフィルムが一緒にブロッキングを生じるのを防ぐこと。
・支持体および/または層(1つまたは複数)の間の相互作用による不連続性または亀裂、はじき、櫛筋等の欠陥を呈さないこと。
・吸収されなかった染料が、自由表面で凝集して、染料の結晶化が起こり、像形成領域においてブルームまたはフェロ焼け(ブロンジング)の影響が生じるようなことがないこと。
・水との接触または日光、タングステン灯、または蛍光灯による照射に起因する退色を防ぐのに最適化された画像堅牢度を有すること。
【0005】
加えて、医療用画像出力に適している透明インクジェット記録フィルムは、以下を提供しなければならない。
・少なくとも約2.8の透明な最大光学密度。
・様々な身体構造の密度を区別するのに十分なグレースケール。
・少なくとも現在の医療用X線フィルムのヘイズ値(即ち、約26以下)。
【0006】
ほとんど瞬間的なインク乾燥時間および良好な画質を同時に提供するインクジェット記録フィルムが望ましい。しかしながら、インクジェット記録フィルムが適合する必要のあるインクの組成およびインクの容量は広範囲にわたるので、これらの要求条件を同時に達成するのは困難である。
【0007】
多孔質または非多孔質の支持体の片面もしくは両面に好適な画像受容層として作用する多孔質または非多孔質の単層もしくは多層コーティングを用いるインクジェット記録フィルムが知られている。非多孔質コーティングを使用する記録フィルムは、概して、良好な画質を有するが、不十分なインク乾燥時間を呈する。多孔質コーティングを使用する記録フィルムは、概して、コロイド状粒子を含有し、さらに不十分な画質を有するが、優れた乾燥時間を呈する。
【0008】
インクジェット印刷と共に使用するための多種多様な多孔質画像記録フィルムが知られているが、当該技術分野には多くの未解決の問題があり、既知の製品には、それらの商業的有用性を厳しく制限してきた多くの欠陥がある。
【0009】
インクジェットフィルム用の透明な多孔質インク受容層の設計における課題は、非粒状物をできるだけ少なくして、高品質の、亀裂がないコーティングを提供することである。非粒状物が多く存在し過ぎる場合、この画像記録層は、多孔質ではなくなり、不十分なインク乾燥時間を呈するであろう。粒状物が多く存在し過ぎる場合、この画像記録層は、高レベルのヘイズを有し、亀裂を呈するであろう。
【0010】
透明なインクジェット記録フィルムを調製する際のさらなる課題は、高密度を有する画像を提供することである。典型的なインクジェットフィルムは、反射下地板を使用する。これらのフィルムでは、光が画像形成フィルムに入り、再度、反射時、それがフィルムから出る際に光が吸収されるため、高密度画像が達成される。医療用X線を記録するために使用されるもの等の透明フィルムについては、高密度画像が、多量のインクを置くことによって達成されなければならない。しかしながら、必要とされる多量のインクは、画像の遅乾性をもたらす。遅乾性を補うために、ヒータおよび/または低速スループットが必要とされる。
【0011】
米国特許第4,877,686号(Riouら)は、ホウ酸またはその誘導体を使用して、ヒドロキシル基を含有する高分子バインダおよび粒子を含んでいる充填材においてゲル化を生じさせているインクジェット印刷の記録シートを記載している。しかしながら、この記録シートには、使用されているホウ酸の量では、インクジェットプリンタを用いて印刷される際に亀裂を伴わずに速い乾燥時間を有する記録シートが提供されないという点において問題がある。
【0012】
米国出願公開第2004/0022968号(Liuら)は、高分子バインダおよびホウ酸塩を含んでいる下塗り層ならびに架橋性ポリマおよび無機粒子を含む画像受容層を含む、インクジェット記録要素を記載している。界面活性剤は、最大約0.5重量%で、画像受容層内に存在する。
【0013】
米国特許第6,908,191号(Liuら)は、インクジェット印刷方法を記載している。被覆補助剤は、全溶液重量に基づいて0.01〜0.30重量%の画像受容層内に存在し得る。
【0014】
米国特許第6,623,819号(Missellら)は、インクジェット記録要素を記載している。被覆補助剤は、全溶液重量に基づいて0.01〜0.30重量%の画像受容層内に存在し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,877,686号明細書
【特許文献2】米国出願公開第2004/0022968号明細書
【特許文献3】米国特許第6,908,191号明細書
【特許文献4】米国特許第6,623,819号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
透明支持体上で医療用画像のインクジェット印刷において使用される際に速い乾燥時間を有するインクジェット記録フィルムが必要である。良好なコーティング品質、特に、亀甲割れのないインク受容層を有するインクジェット記録フィルムがさらに必要である。高最大密度、低ヘイズを呈し、放射線科医が、様々な臓器および異なる密度を有する組織を識別することができる十分な多くの階調レベルを記録することができる、医療用画像に有用なインクジェット記録フィルムがさらに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一実施形態において、本発明は、インクジェット記録フィルムを提供し、これには、透明支持体と、ヒドロキシル基を含有する水溶性または水分散性架橋性ポリマ、ホウ酸塩、および任意に界面活性剤を含む下層と、ヒドロキシル基を含有する水溶性または水分散性架橋性ポリマ、無機粒子、および任意に界面活性剤を含む、下層上に被覆された画像受容層と、を含むが、但し、下層または画像受容層のうちの少なくとも1つが、下層内においては少なくとも0.5重量%、画像受容層内内においては少なくとも0.2重量%の量で界面活性剤を含有するものとする。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、インクジェット記録フィルムを提供し、透明支持体はポリエチレンテレフタレートを含み、下層はポリビニルアルコールを含み、ホウ酸塩は、四ホウ酸ナトリウム十水和物を含み、界面活性剤はp−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)を含み、画像受容層はポリビニルアルコールを含み、無機粒子はベーマイトアルミナを含み、界面活性剤はp−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)を含む。
【0019】
さらなる実施形態において、本発明は、インクジェット記録フィルムの調製方法を提供し、本方法には、透明支持体上に、ヒドロキシル基を含有する水溶性または水分散性架橋性ポリマ、ホウ酸塩、および任意に界面活性剤を含む下層と、ヒドロキシル基を含有する水溶性または水分散性架橋性ポリマ、無機粒子、および任意に界面活性剤を含む、下層上に被覆された画像受容層と、を被覆することであるが、但し、下層または画像受容層のうちの少なくとも1つが、下層内においては少なくとも0.5重量%、画像受容層内においては少なくとも0.2重量%の量で界面活性剤を含むものとする、被覆することと、被覆された記録フィルムを乾燥させることと、を含む。
【0020】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記の透明なインクジェット記録フィルム上にインクジェットを用いて印刷することを含む、画像の形成方法を提供する。
【0021】
本発明の他の態様、利点、および利益は、本出願に提供される発明の詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
Sharon M.Simpsonらによる、2011年5月27日に出願された米国特許出願第13/117,214号、表題「TRANSPARENT INK−JET−RECORDING FILM」、Sharon M.Simpsonらによる、2010年7月12日に出願された米国仮出願第61/363,359号、表題「TRANSPARENT INK−JET RECORDING FILM」、Sharon M.Simpsonらによる、2010年9月3日に出願された米国特許仮出願第61/379,856号、表題「TRANSPARENT INK−JET RECORDING FILMS,COMPOSITIONS,AND METHODS」、Sharon M.Simpsonらによる、2010年9月24に出願された米国特許仮出願第61/386,081号、表題「TRANSPARENT INK−JET RECORDING FILMS,COMPOSITIONS,AND METHODS」は、それぞれ、参照によりその全体が組み込まれる。
【0023】
出願者は、下層、画像受容層、あるいは、下層および画像受容層の両方への界面活性剤の添加は、少なくとも2.8の光学密度、26未満のヘイズ、および多くの階調レベルを達成することができる、速乾性のある、亀裂がない透明なインクジェット記録フィルムを提供することに留意する。
【0024】
[定義]
本明細書で使用される、「a」または「an」という用語は、その要素(例えば、本明細書に記載される、インクジェットインク、ポリマ、および界面活性剤)のうちの「少なくとも1つ」を指す。したがって、「インク受容コーティング」という用語は、1つ以上のインクを受容することができるコーティングを指すことができる。
【0025】
「下層」または「埋め込み層」という用語は、層(「埋め込み」「下層」等)上に配置された少なくとも1つの他の層があることを示す。
【0026】
「画像受容層」または「トップコート層」という用語は、下層上に被覆される層を指す。しばしば、画像受容層は、最外層であり、インクジェットインクを吸収する層としての役割を果たす。
【0027】
「コーティング重量」、「被覆重量」、および「被覆率」という用語は、同義語であり、通常、g/mまたはmol/m等の単位面積当たりの重量またはモルで表される。
【0028】
特に記されない限り、「インクジェット記録フィルム」、「インクジェット記録材料」、「インクジェット記録要素」、または「インクジェット記録物品」という用語が、本明細書で使用され、これらの用語は、本発明の実施形態を指す。
【0029】
「透明」という用語は、感知できる散乱または吸収がない可視光を透過することができることを意味する。
【0030】
「物品」という用語は、透明支持体上に1つ以上の「インク受容層」のコーティングを有する構造物を指す。
【0031】
「画像形成直後」という用語は、画像形成フィルムの立ち下がりが、プリンタから出る時点を指す。
【0032】
「ヘイズ」は、全方向において、光を均一に拡散する広角の散乱である。それは、入射ビームから平均で2.5度を超えて外れる透過光線の百分率である。ヘイズは、コントラストを低下させ、乳状または曇った外観をもたらす。ヘイズ数が低いほど、その材料は霞んでいない。
【0033】
「水性溶媒」という用語は、水が、液体成分として均一溶液中で最大比率で存在することを意味する。
【0034】
「水溶性」という用語は、溶質が、水を用いて均一溶液を形成するか、または水が主成分である溶媒混合液を意味する。
【0035】
「同時コーティング」または「ウェットオンウェット(wet−on−wet)」コーティングは、複数膜を被覆するとき、後続の層が、最初に被覆された層が乾燥する前に、最初に被覆された層の上に被覆されることを意味する。同時コーティングは、支持体のおもて面、裏面、またはその両面に層を塗布するために用いることができる。
【0036】
フィルムの「おもて面」および「裏面」という用語は、それぞれ、「第1および第2の主表面」を指す。透明支持体上に被覆された本明細書に記載されるインクジェット記録フィルムにおいて、インク受容コーティングおよび下層は、支持体のおもて面(第1および第2の主表面)上に被覆される。
【0037】
「前」および「後ろ」という用語は、それぞれ、インクジェットインク源により近接した、およびそれからさらに遠い、層、フィルム、またはコーティングを指す。
【0038】
Research Disclosureは、Kenneth Mason Publications,Ltd.,The Book Barn,Westbourne,Hampshire,PO10 8RS,UKにより発行されている。この刊行物はまた、Research Disclosure,145 Main Street,Ossining,NY 10562(www.researchdisclosure.com)からも入手可能である。
【0039】
さらに、本文書において参照される全ての刊行物、特許、および特許文献は、参照によって個々に組み込まれているかの如く、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0040】
[下層]
下層は、架橋ヒドロキシル基を含有する水溶性または水分散性架橋性ポリマ、ホウ酸塩を含み、任意に、界面活性剤を含有してもよい。
【0041】
下層内に採用されるヒドロキシル基を含有する水溶性または水分散性架橋性高分子バインダは、例えば、ポリ(ビニルアルコール)、部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルメタクリレートを含有するコポリマ、ヒドロキシエチルアクリレートを含有するコポリマ、ヒドロキシプロピルメタクリレートを含有するコポリマ、およびヒドロキシエチルセルロース等のヒドロキシセルロースエーテルであってもよい。特定の実施形態において、ヒドロキシル基を含有する架橋性ポリマは、ポリ(ビニルアルコール)である。ポリマを含有するこれらの架橋ヒドロキシル基の組み合わせは、必要に応じて、使用することができる。
【0042】
下層用高分子バインダは、最大約1.8g/mの量で使用されるのが好ましい。または、下層用高分子バインダは、約0.02〜約1.8g/m、または約0.25〜約2.0g/mの量で使用することができる。
【0043】
本発明において採用されるインクジェット記録要素の下層内に採用されるホウ酸塩またはホウ酸塩誘導体は、例えば、ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム十水和物、ホウ酸、フェニルボロン酸、もしくはブチルボロン酸、またはこれらの混合物であり得る。ホウ酸塩またはホウ酸塩誘導体は、最大約2g/mの量で使用される。少なくとも幾つかの実施形態において、ホウ酸塩またはホウ酸塩誘導体と高分子バインダとの比率は、例えば、重量で約25:75〜約90:10であり得るか、または該比率は、重量で約66:33であり得る。理論によって拘束されることを望まないが、コーティング時、下層内のホウ酸塩またはホウ酸塩誘導体の一部は、画像受容層内の架橋バインダの少なくとも一部を架橋するように画像受容層に拡散すると考えられる。
【0044】
任意の界面活性剤は、p−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)、フルオロ脂肪族ポリアクリレートフルオロポリマ(fluoroaliphatic polyacrylate fluoropolymer)、またはヒドロキシル基末端フッ素化ポリエーテル、またはこれらの混合物である。
【0045】
一実施形態において、界面活性剤は、概して、約0.001g/m〜約0.10g/mの量で、または全乾燥固体の0.5重量%を超える量で、下層内に存在する。
【0046】
1つの特定の実施形態において、下層は、ポリ(ビニルアルコール)ポリマ、ホウ砂、および界面活性剤を含む。
【0047】
一実施形態において、下層に対する固体のコーティング重量は、0.25g/m〜2.0g/mの量で被覆される。別の実施形態において、下層用高分子バインダは、約0.02g/m〜約1.8g/mの量で被覆される。
【0048】
[画像受容層]
画像受容層は、ヒドロキシル基を含有する水溶性または水分散性架橋性ポリマ、無機粒子、および界面活性剤を含む。
【0049】
画像受容層内に採用されるヒドロキシル基を含有する水溶性または水分散性架橋性ポリマは、例えば、ポリ(ビニルアルコール)、部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルメタクリレートを含有するコポリマ、ヒドロキシエチルアクリレートを含有するコポリマ、ヒドロキシプロピルメタクリレートを含有するコポリマ、およびヒドロキシエチルセルロース等のヒドロキシセルロースエーテルであってもよい。特定の実施形態において、ヒドロキシル基を含有する架橋性ポリマは、ポリ(ビニルアルコール)である。
【0050】
画像受容層内に使用されるバインダの量は、インクジェット記録要素に結合力を付与するのに十分であるべきであるが、粒子によって形成される相互接続した細孔構造が、バインダによって塞がれないように最小限に留められるべきでもある。これにより、コーティング中または画像形成中のいずれかの、フィルムの乾燥時に生じる「亀甲割れ」を防ぐ。
【0051】
画像受容層用の高分子バインダは、約1.0g/m〜約4.5g/mの量で使用されることが好ましい。
【0052】
無機粒子には、例えば、金属酸化物、水和金属酸化物、ベーマイトアルミナ、粘土、焼成粘土、炭酸カルシウム、アルミノケイ酸塩、ゼオライト、または硫酸バリウムが含まれる。好ましい実施形態において、金属酸化物は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、またはチタニアである。別の好ましい実施形態において、金属酸化物は、ヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、コロイド状シリカ、もしくはベーマイトアルミナ、またはこれらの組み合わせである。一実施形態において、無機粒子は、概して、最大約50g/mの量で画像受容層内に存在する。
【0053】
無機粒子が、ヒュームドシリカまたはヒュームドアルミナであるとき、それらは、最大約50nmの一次粒径を有することが好ましいが、約300nm未満の凝集体サイズが得られるように凝集することができる。無機粒子が、コロイド状シリカまたはベーマイトアルミナであるとき、それらは、約150nm未満の粒径を有することが好ましい。
【0054】
特に有用な無機粒子は、高空隙率(HP)および約140nmの粒径を有する分散性ベーマイトアルミナ粉末である。そのようなベーマイトアルミナ粉末を含む画像受容層を被覆する混合物を調製するとき、第1に、ベーマイトアルミナ粉末、水、および任意に界面活性剤を含む、組成物を調製することが有用であり得る。次いで、組成物は、バインダおよび任意に他の成分を組み合わせて、画像受容層を被覆する混合物を形成することができる。
【0055】
そのような組成物のpHは、場合によっては、例えば、硝酸等の酸を使用して、低下させてもよい。pHは、例えば、約3.25まで、または約3.25を下回る、または約3.09を下回る、または約2.73を下回る、または約2.17〜約2.73まで低下させてもよい。調製中、そのような組成物は、例えば、少なくとも約80℃の温度まで加熱してもよい。場合によっては、そのような組成物は、例えば、1つ以上のエダクタを使用して混合してもよい。
【0056】
そのような調製手順は、Sharon M.Simpsonらによる2010年9月3日に出願された米国仮特許出願第61/379,856号の表題「TRANSPARENT INK−JET RECORDING FILMS,COMPOSITIONS,AND METHODS」、Sharon M.Simpsonらによる2010年9月24日に出願された米国仮特許出願第61/386,081号の表題「TRANSPARENT INK−JET RECORDING FILMS,COMPOSITIONS,AND METHODS」、William Ruzinskyらによる2010年10月1日に出願された米国仮特許出願第61/388,784号の表題「TRANSPARENT INK−JET RECORDING FILMS,COMPOSITIONS,AND METHODS」において、より詳細に記載されており、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0057】
界面活性剤は、p−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)、フルオロ脂肪族ポリアクリレートフルオロポリマ、またはヒドロキシル基末端フッ素化ポリエーテルである。
【0058】
一実施形態において、界面活性剤は、概して、最大約1.5g/mの量で、または全乾燥固体の少なくとも約0.20重量%の量で、画像受容層内に存在する。別の実施形態において、界面活性剤は、概して、全乾燥固体の少なくとも0.50重量%の量で、画像受容層内に存在する。
【0059】
別の実施形態において、界面活性剤は、少なくとも0.7重量%の全量で、下層および画像受容層内の両方に存在する。好ましくは、下層は、0.75重量%の界面活性剤を含有し、画像受容層は、0.50重量%の界面活性剤を含有する。より好ましくは、下層が1重量%、画像受容層が0.60重量%の全乾燥固体を含有する。
【0060】
1つの特定の実施形態において、画像受容層は、ポリ(ビニルアルコール)ポリマ、分散性ベーマイトアルミナ、および界面活性剤を含む。
【0061】
一実施形態において、画像受容層は、ポリビニルアルコールを含み、無機粒子は、少なくとも88重量%を構成し、界面活性剤は、少なくとも0.20重量%を構成する。別の実施形態において、無機粒子とポリマを含有する架橋ヒドロキシルとの比率は、90:10〜95:5である。別の実施形態において、無機粒子とポリマを含有する架橋ヒドロキシルとの比率は、90:10〜95:5であり、界面活性剤は、少なくとも約0.20重量%を構成する。特定の実施形態において、無機粒子とポリマを含有する架橋ヒドロキシルとの比率は、92:8であり、界面活性剤は、少なくとも約0.50重量%を構成する。別の特定の実施形態において、無機粒子とポリマを含有する架橋ヒドロキシルとの比率は、94:6であり、界面活性剤は、少なくとも約0.27%を構成する。
【0062】
一実施形態において、画像受容層固体のコーティング重量は、約20g/m〜約60g/mの範囲であってよい。別の実施形態において、画像受容層固体のコーティング重量は、約30g/m〜約50g/mの範囲であってよい。
【0063】
画像受容層に加えて、本発明において採用される記録要素はまた、画像受容層の上に層を含有してもよく、この機能は、光沢を増大させることである。この層に有用な材料は、サブミクロン無機粒子および/または高分子バインダを含む。
【0064】
[裏面層]
下層およびインクジェット画像受容層は、透明フィルム支持体の片側上に被覆することができるが、製造方法はまた、高分子支持体の反対側または裏面、導電層、染料もしくは顔料層、またはつや消し剤(シリカ等)を含有する層、アンチカール層、または1つ以上の層におけるそのような材料の組み合わせを含む、1つ以上のさらなる層上に形成することを含むこともできる。
【0065】
[支持体材料]
インクジェット記録フィルムは、任意の所望の厚みを有し、1つ以上の高分子材料からなる可撓性の透明フィルムであることが好ましい高分子支持体を含む。支持体は、印刷および保存中、寸法安定性を示すこと、および上側の層との好適な付着性を有することが必要とされる。そのような支持体を作製するために有用な高分子材料には、ポリエステル[ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンナフタレート)等]、酢酸セルロース、および他のセルロースエステル、ポリビニルアセタール、ポリオレフィン、ポリカーボネート、およびポリスチレンが挙げられる。好ましい支持体は、良好な寸法安定性を有するポリマ、例えば、ポリエステルおよびポリカーボネートからなっている。
【0066】
また、米国特許第6,630,283号(Simpsonら)に記載される、少なくとも2つの異なる高分子材料からなる多数の交互の層を含む透明多層高分子支持体も有用である。別の支持体は、米国特許第5,795,708号(Boutet)に記載される、二色性ミラー層を含む。
【0067】
支持体材料は、様々な着色剤、顔料、染料、またはこれらの組み合わせを含有し、画像の色および色調ならびに所望のバックグラウンドの色および色調を最適化することができる。例えば、支持体は、得られた画像形成されたフィルム内に青色を提供する1つ以上の染料を含むことができる。あるいは、支持体は、無色であり得、画像の色および色調ならびに任意の所望のバックグラウンドの色は、インクによって最適化することができる。これらの技法の組み合わせを使用することができる。
【0068】
支持体材料は、従来の処置(例えば、コロナ放電)を用いて処置して、上側の層、または下層の付着力を改善することができ、あるいは他の付着促進層を使用することができる。医療用画像用途については、青色に着色する染料の支持体への添加が特に有用である。
【0069】
特に有用な支持体は、7mil(178ミクロン)の青色に着色したポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0070】
[コーティングおよび乾燥]
下層および画像受容層を被覆する組成物は、水または有機溶媒のいずれかで被覆することができるが、水が好ましい。全固体含有量は、最も経済的な方法で有用なコーティング厚を得るように選択されるべきである。
【0071】
これらの層を、1つずつ被覆することができるか、または2つ以上の層を、同時に被覆することもできる。例えば、支持体への下層配合物の塗布を同時に行って、画像受容層は、同一または異なる溶媒を用いて、第2の層がまだ湿潤している間に、第1の層が第2の層の上に被覆される、スライドコーティングを用いてフィルム支持体に同時に塗布される。
【0072】
本明細書に記載されるインクジェット配合物の層は、ディップコーティング、巻ワイヤロッドコーティング、ドクターブレードコーティング、エアナイフコーティング、グラビアロールコーティング、逆巻コーティング、スライドコーティング、ビーズコーティング、押出しコーティング、カーテンコーティング等を含む公知の任意の多くの技法によって被覆することができる。周知のコーティングおよび乾燥方法は、Research Disclosure no.308119、1989年12月発行、1007〜1008頁に詳細に記載されている。スライドコーティングが好ましく、ベース層およびオーバーコートを同時に塗布してもよい。コーティングプロセスの選択は、操作の経済性から決定され、つまり、これは、コーティング固体、コーティング粘性、およびコーティング速度等の配合仕様を決定する。
【0073】
コーティング後、インクジェット記録フィルムは、簡単な蒸発によって一般的に乾燥し、対流加熱等の周知の技法によって促進することができる。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は、本発明の実践を説明するために提供するものであり、それによって本発明を限定する意味は持たない。
【0075】
[実験および実施例のための材料および方法]
以下の実施例において使用する全ての材料は、特に他の指定がない限り、標準的な商業的供給源、例えば、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wisconsin)から容易に入手することができる。全ての百分率は、特に指示のない限り、重量パーセントである。以下の方法および材料を使用した。
【0076】
ベーマイトは、水酸化酸化アルミニウム(γ−ΑΙΟ(ΟΗ))である。
【0077】
ホウ砂は、四ホウ酸ナトリウム十水和物である。
【0078】
Celvolポリ(ビニルアルコール)203は、Sekisuiから入手可能な、87〜89%加水分解され、13,000〜23,000の平均分子量である。
【0079】
Celvolポリ(ビニルアルコール)540は、Sekisui Specialty Chemicals America,LLC(Dallas,TX)から入手可能な、87〜89.9%加水分解され、140,000〜186,000の平均分子量である。
【0080】
Disperal HP−14は、高空隙率(HP)および約140nmの粒径を有する分散性ベーマイトアルミナ粉末である。Sasol North America Inc.(Houston,TX)から入手可能である。
【0081】
DX1060は、Dynax Corp.(Pound Ridge,NY)から入手可能な、30%のカチオン性フルオロ界面活性剤、10%のヘキシレングリコール、および60%の水である。
【0082】
Gohsenol GL−03(Nippon Gohsei Co.Ltd.)のポリビニルアルコールは、86.5〜89.0%加水分解される。
【0083】
Gohsenol KH−20(Nippon Gohsei Co.Ltd.)は、78.5〜81.5%加水分解されたポリビニルアルコールである。
【0084】
Masurf(登録商標)FP−230は、Mason Chemical Co.(Arlington Heights,IL)から入手可能な、9.0%のジプロピルグリコールおよび61%の水中の30%のフルオロ脂肪族ポリアクリレートフルオロポリマであり、カチオン性界面活性剤である。
【0085】
Masurf(登録商標)FP−320は、Mason Chemical Co.(Arlington Heights,IL)から入手可能な、5.0%のグリコール、10.0%のエチルコハク酸塩、および63%の水中の22%のフルオロ脂肪族ウレタンであり、カチオン性界面活性剤である。
【0086】
Masurf(登録商標)FP−420は、Mason Chemical Co.(Arlington Heights,IL)から入手可能な、7.0%のジプロピルグリコールおよび73%の水中の20%のフルオロアクリレートコポリマであり、カチオン性界面活性剤である。
【0087】
Masurf(登録商標)FS−810は、Mason Chemical Co.(Arlington Heights,IL)から入手可能な、26.0%のジプロピルグリコールおよび63.0%の水中の11%のフルオロ脂肪族ポリアクリレートであり、非イオン性界面活性剤である。
【0088】
Masurf(登録商標)SP−320は、Mason Chemical Co.(Arlington Heights,IL)から入手可能な、80%の水中の20%のフルオロアクリレートコポリマであり、カチオン性界面活性剤である。
【0089】
PETは、ポリエチレンテレフタレートであり、インクジェット受容体コーティングの支持体である。支持体、基材、およびフィルムという用語は、同義的に使用される。
【0090】
PF−159は、100%のヒドロキシ末端フッ素化ポリエーテルである。それは、BASF Chemical Co.(Florham Park,NJ)からの非イオン性界面活性剤である。
【0091】
Surfactant 10Gは、p−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)である。それはまた、Olin 10Gとしても知られている。それは、Dixie Chemical Co.(Houston,TX)から入手可能である。
【0092】
Zonyl(登録商標)8740は、DuPont Chemical Solutions Enterprise(Wilmington,DE)から入手可能な、70%の水中の30%のペルフルオロメチルアクリル酸コポリマの分散である。
【0093】
Zonyl(登録商標)FS−300は、DuPont Chemical Solutions Enterprise(Wilmington, DE)から入手可能な、60%の水中の40%のフルオロメチルアクリル酸アルコール置換ポリエチレングリコールである。
【0094】
Zonyl(登録商標)FSNは、DuPont Chemical Solutions Enterprise(Wilmington, DE)から入手可能な、30%のイソプロピルアルコールおよび30%の水中の40%の非イオン性フルオロ界面活性剤である。
【0095】
[試料の画像形成]
試料は、Wasatch Raster Image Processor(RIP)を使用して、Epson7900インクジェットプリンタを用いて画像形成された。グレースケール画像は、インクジェットプリンタに同梱されているEpsonインクのフォトブラック、ライトブラック、ライトライトブラック、マゼンタ、ライトマゼンタ、シアン、ライトシアン、イエローの組み合わせによって作成された。試料は、少なくとも2.8の最大光学密度を有する17ステップのグレースケールウェッジで印刷された。少なくとも2.8の光学密度でパッチの百分率は、シートがプリンタから出た後5秒未満で評価された。
【0096】
それぞれの試料の光学密度(OD)は、送信モードにおいて、目盛り付きX−Rite Model DTP 41 Spectrophotomer(X−Rite Inc.Grandville,MI)を用いて測定された。
【0097】
[インクの乾燥測定]
1枚のフィルムを、設定されたインクジェットプリンタを用いて画像形成し、17ステップのグレースケールウェッジを生成した。フィルムがプリンタから出た直ぐ後、インクジェット画像をひっくり返し、1枚の白色紙上に保持した。最大密度を有するステップにおける湿潤インクの割合は、0(完全に乾燥)〜100(長方形におけるインクが完全に湿潤)のスケールにおいて等級分けされた。少なくとも2.8の光学密度を有するフィルムの一部は、実質的に乾燥している(即ち、画像形成後5秒未満で、25%以下の湿潤値を有する ことが好ましい。約3を超える最大密度を有するフィルムの一部は、画像形成後5秒未満で、75%以下の湿潤値を有することがより好ましい。
【0098】
試料は、試料の湿潤率が、界面活性剤を含有しない同様に調製された試料のものよりも少なかった場合、ヘイズ値が、24%を下回る限り、本発明として考えられた。
【0099】
[ヘイズの測定]
ヘイズ(%)は、BYK−Gardner(Columbia,MD)から入手可能な、Haze−gard Plus Hazemeterを用いた従来の手段によりASTM D 1003に従って測定した。インクジェット記録フィルムに対する全ヘイズは、できるだけ低くなければならない。それは26%を超えてはならず、好ましくは、それは24%を超えるべきではない。支持体のヘイズ値は、約2.5±1%である。一貫したヘイズ測定を提供するため、それぞれの実施例中の全ての試料は、同じロットの支持体上に被覆された。
【0100】
<実施例1>
以下の実施例は、画像受容層内のみの界面活性剤の使用を示す。
【0101】
[下層の調製]
コーティング溶液は、3.33gの脱イオン水と、15%の水溶液として0.67gのポリ(ビニルアルコール)GL−03と、5%の水溶液として6.00gのホウ砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物)とを混合することによって調製した。ホウ砂とポリ(ビニルアルコール)との比率は、重量で75:25であった。コーティング溶液は、7mil(178ミクロン)のポリエチレンテレフタレート支持体上に、室温でナイフコーティングされた。コーティングは、風乾させた。下層の乾燥コーティング重量は、0.64g/mであった。
【0102】
[画像受容層の調製]
インクジェット画像受容層(比較実施例1−1)のコーティング溶液は、20%の水溶液(6.82g純量)として34.12gのDisperal HP−14(70%の硝酸を用いてpHを3.25まで調節)と、10%の水溶液(0.593g純量)として5.93gのGohsenol KH−20ポリ(ビニルアルコール)とを混合することによって調製した。完成したコーティング溶液は、17.9%固体であった。本発明のコーティング溶液の本発明実施例1−2もまた、上記の通りに調製されたが、10%溶液として0.60gのSurfactant 10Gを添加した(0.06g純量)。完成したコーティング溶液は、18.0%固体であった。無機粒子とポリマとの重量比率は、92:8であった。
【0103】
溶液は、上で調製された下層上に、室温でナイフコーティングされた。それぞれの溶液は、下層のそれぞれの上に、コーティングされた。全てのコーティングは、強制空気オーブン内で、85℃で10分間乾燥させた。乾燥したコーティングにおける、亀甲割れは観察されなかった。画像受容層は、34g/m(10.0mil(254ミクロン)ナイフギャップを使用して)でコーティングされた。合計で、2つの試料が調製された。
【0104】
試料は、上記の通りに画像形成された。表Iは、コーティングに添加した界面活性剤の重量、インクジェット画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、および印刷の完了後5秒たってもなお湿潤であった3.2の光学密度を有するパッチの割合を示す。
【0105】
データは、インクジェット画像受容層への0.80重量%のSurfactant 10Gの添加により、少なくとも2.8の光学密度を有するインクパッチを乾燥する時間を改善したことを示す。
【0106】
【表1】
【0107】
<実施例2>
以下の実施例は、画像受容層内のみの界面活性剤の使用を示す。
【0108】
[下層の調製]
コーティング溶液は、3.84gの脱イオン水と、15%の水溶液として0.88gのGL−03ポリ(ビニルアルコール)と、5%の水溶液として5.28gのホウ砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物)とを混合することによって調製した。ホウ砂とPVAとの比率は、重量で67:33であった。コーティング溶液は、7mil(178ミクロン)のポリエチレンテレフタレート支持体上に、室温でナイフコーティングされた。コーティングは、風乾させた。下層の乾燥コーティング重量は、0.64g/mであった。
【0109】
[画像受容層の調製]
画像受容層用コーティング溶液は、20%水溶液(6.82g純量)として34.12gのDisperal HP−14(70%の硝酸を用いてpHを3.25まで調節)と、10%水溶液(0.593g純量)として5.93gのCelvol 540ポリ(ビニルアルコール)とを混合することによって調製した。完成したコーティング溶液(比較実施例2−1)は、17.9%固体であった。さらなるコーティング(比較実施例2−2)は、上記の通りに調製したが、10%溶液として0.30gのSurfactant 10Gを添加した。さらなるコーティング溶液もまた、上記の通りに調製したが、10%溶液として0.50gのSurfactant 10G(0.05g純量;実施例2−3)、1.00gのMasurf(登録商標)FP−420(0.10g純量;実施例2−4)、0.75gのMasurf(登録商標)FS−810(0.075g純量;実施例2−5)、0.60gのMasurf(登録商標)FP−230(0.060g純量;実施例2−6)、または30%溶液として0.53gのZonyl 8740(0.159g純量;実施例2−7)を添加した。完成したコーティング溶液は、それぞれ、18.0%、18.1%、18.1%、18.0%、または18.3%固体であった。無機粒子とポリマとの重量比率は、92:8であった。
【0110】
溶液は、上で調製された下層上に、室温でナイフコーティングされた。それぞれの溶液は、下層のそれぞれの上に、コーティングされた。全てのコーティングは、強制空気オーブン内で、85℃で10分間乾燥させた。乾燥したコーティングにおける、亀甲割れは観察されなかった。画像受容層は、34g/m(10.0mil(254ミクロン)のナイフギャップを使用)でコーティングされた。合計で、7つの試料が調製された。
【0111】
試料は、上記の通りに画像形成された。表IIおよびIIIは、それぞれのコーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、インクジェット画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合、および印刷されていないコーティングにおいて測定されたヘイズを説明する。
【0112】
下表IIIに示されるデータは、0.67重量%の界面Surfactant 10G、1.33重量%のMasurf(登録商標)FP−420、1.00重量%のMasurf(登録商標)FS−810、0.80重量%のMasurf(登録商標)FP−230、または2.1重量%のZonyl 8740の添加により、3.1の透明な光学密度で測定されたブラックインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。0.40重量%のSurfactant 10Gの添加は、インクの乾燥時間を改善しなかった。Surfactant 10Gのヘイズと比較して、界面活性剤Masurf(登録商標)FP−420およびMasurf(登録商標)FP−230を用いたヘイズは低かった。界面活性剤Zonyl 8740の添加によってヘイズは影響を受けなかった。
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【0115】
<実施例3>
下層は、実施例2に記載される通りに調製した。下層は、界面活性剤を含有しなかった。
【0116】
[画像受容層の調製]
インクジェット画像受容層のための本発明のコーティング溶液は、20%水溶液(8.20g純量)として41.0gのDisperal HP−14(70%の硝酸を用いてpHを3.25まで調節)と、10%水溶液(0.713g純量)として7.13gのCelvol 540ポリ(ビニルアルコール)と、0.48gの10%のSurfactant 10G溶液(0.048g純量;実施例3−1)とを混合することによって調製し、0.54gの20%のMasurf(登録商標)FP−420溶液(0.108g純量;実施例3−2)、0.74gの11% Masurf(登録商標)FS−810溶液(0.081g純量;実施例3−3)、0.60gの10%のMasurf(登録商標)FP−230溶液(0.06g純量;実施例3−4)、または30%の溶液(0.165g純量;実施例3−5)の0.55gのZonyl 8740を添加した。完成したコーティング溶液は、それぞれ、18.0%、18.1%、18.1%、18.0%、または18.2%固体を含有した。無機粒子とポリマとの重量比率は、92:8であった。
【0117】
溶液は、上で調製された下層上に、室温でナイフコーティングされた。それぞれの溶液は、下層のそれぞれの上に、コーティングされた。全てのコーティングは、強制空気オーブン内で、85℃で10分間乾燥させた。乾燥したコーティングにおける、亀甲割れは観察されなかった。インクジェット画像受容層は、41g/m(12.0mil(305ミクロン)のナイフギャップを使用)でコーティングされた。合計で、5つの試料が調製された。
【0118】
試料は、上記の通りに画像形成された。表IVおよびVは、それぞれのコーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合、および印刷されていないコーティングにおいて測定されたヘイズを説明する。
【0119】
下表Vに示されるデータは、0.54重量%のSurfactant 10G、1.20重量%のMasurf(登録商標)FP−420、0.90重量%のMasurf(登録商標)FS−810、0.67重量%のMasurf(登録商標)FP−230、または1.82重量%のZonyl 8740の添加により、3.0〜3.1の透明なブラック密度として測定されたインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。加えて、Surfactant 10Gのヘイズと比較して、界面活性剤Masurf(登録商標)FP−420、Masurf(登録商標)FS−810、およびMasurf(登録商標)FP−230を用いたヘイズは低かった。界面活性剤Zonyl 8740の添加を伴って最小ヘイズが生じた。
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【0122】
<実施例4>
下層は、Celvol 203の15%溶液を、GL−03の代わりに使用したことを除いては、実施例2に記載される通りに調製した。下層は、界面活性剤を含有しなかった。
【0123】
[画像受容層の調製]
画像受容層は、実施例2に記載される通りに調製した。界面活性剤を含まない比較実施例4−1もまた、実施例2に記載される通りに調製した。本発明実施例4−2および4−3は、0.50gのSurfactant 10Gを、10%溶液(0.05g純量)として添加し、0.40gの10%のPF−159溶液(0.04g純量)を、18.0%固体として添加したことを除いては、上記の通りに調製した。
【0124】
溶液は、ナイフコーティングし、上記に記載されるパッチ密度を有する状態でインクジェット印刷した。
【0125】
試料は、上記の通りに画像形成された。表VIは、それぞれのコーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合を説明する。
【0126】
下表VIに示されるデータは、0.67重量%のSurfactant 10Gまたは0.53重量%のPF−159の添加により、3.0の透明ブラック密度で測定されたインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。
【0127】
【表6】
【0128】
<実施例5>
下層は、15%のCelvol 203が、GL−03の代わりに使用されたことを除いて、実施例1に記載される通りに調製した。下層は、界面活性剤を含有しなかった。
【0129】
[画像受容層の調製]
インクジェット画像受容層は、実施例3に記載される通りに調製した。界面活性剤を含まない比較実施例(実施例5−1)もまた、実施例3に記載される通りに調製した。本発明のコーティング(実施例5−2、5−3、および5−4)は、0.66gのSurfactant 10Gを10%溶液(0.066g純量)として添加し、0.73gのMasurf(登録商標)FP−230を10%溶液(0.073g純量)として添加し、0.64gの30%のZonyl 8740溶液(0.192g純量)を添加したことを除いては、上記の通りに調製した。コーティング溶液の全固体率は、それぞれ、18.0%、18.0%、および18.3%であった。溶液は、ナイフコーティングし、上記に記載されるパッチ密度を有する状態でインクジェット印刷した。印刷は、56〜62%の相対湿度で生じた。
【0130】
表VIIは、それぞれのコーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合、および印刷されていないコーティングにおいて測定されたヘイズを説明する。
【0131】
下表VIIに示されるデータは、0.73重量%のSurfactant 10G、0.81重量%のMasurf(登録商標)FP−230、または2.10重量%のZonyl 8740の添加により、2.8〜2.9の透明ブラック密度で測定されたインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。加えて、Surfactant 10Gのヘイズと比較して、界面活性剤Masurf(登録商標)FP−230を用いたヘイズは低かった。界面活性剤Zonyl 8740の添加により、ヘイズは、影響を受けなかった。
【0132】
【表7】
【0133】
<実施例6>
以下の実施例は、画像受容層内のみ、ならびに下層および画像受容層内の両方における界面活性剤の使用を示す。
【0134】
[下層の調製]
コーティング溶液は、3.84gの脱イオン水と、15%の水溶液(0.132g純量)として0.88gのCelvol 203ポリ(ビニルアルコール)と、5%の水溶液(0.264g純量)として5.28gのホウ砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物)とを混合することによって調製した。ホウ砂とPVAとの比率は、重量で67:33であった。コーティング溶液は、7mil(178ミクロン)のポリエチレンテレフタレート支持体上に、室温でナイフコーティングされた。コーティングは、風乾させた。下層の乾燥コーティング重量は、0.64g/mであった。比較実施例6−1および本発明実施例6−3は、上記の通りに被覆された。比較実施例6−2は、1.0重量%のSurfactant 10Gを含有した。本発明実施例6−4および6−5は、それぞれ、0.50%および1.0重量%のSurfactant 10Gを含有した。本発明実施例6−4および6−5は、上記のコーティング溶液に、0.20gおよび0.40gのSurfactant 10Gの1.0%溶液を添加することによって調製した。
【0135】
[画像受容層の調製]
画像受容層用コーティング溶液は、20%水溶液(6.82g純量)として34.12gのDisperal HP−14(70%の硝酸を用いてpHを3.25まで調節)と、10%水溶液(0.593g純量)として5.93gのCelvol540ポリ(ビニルアルコール)とを混合することによって調製した。完成したコーティング溶液(比較実施例6−1および6−2)は、17.9%固体であった。さらなる本発明のコーティング溶液もまた、上記の通りに調製したが、0.50gのSurfactant 10Gの10%溶液を、実施例6−3、6−4、および6−5に添加した。完成したコーティング溶液は、18.0%固体であった。無機粒子とポリマとの重量比率は、92:8であった。
【0136】
溶液は、上で調製された下層上に、室温でナイフコーティングされた。それぞれの溶液は、下層のそれぞれの上に、コーティングされた。全てのコーティングは、強制空気オーブン内で、85℃で10分間乾燥させた。乾燥したコーティングにおける、亀甲割れは観察されなかった。画像受容層は、34g/m(10.0mil(254ミクロン)のナイフギャップを使用)でコーティングされた。合計で、5つの試料が調製された。
【0137】
試料は、上記の通りに画像形成された。これらの試料については、21%の相対湿度で印刷が実行された。表VIIIは、それぞれのコーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合を説明する。
【0138】
下表VIIIに示されるデータは、インクジェット画像受容層にのみ0.67重量%のSurfactant 10Gの添加、または下層への1.0重量%のSurfactant 10G、およびインクジェット画像受容層への0.67%重量%のSurfactant 10Gの添加により、3.0の透明ブラック密度として測定されたインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。下層への0.50重量%のSurfactant 10Gの添加だけでは、インクの乾燥時間を改善しなかった。
【0139】
【表8】
【0140】
<実施例7>
以下の実施例は、画像受容層内のみ、ならびに下層内および画像受容層内の両方における界面活性剤の使用を示す。
【0141】
[下層の調製]
コーティング溶液は、3.84gの脱イオン水と、15%の水溶液(0.132g純量)として0.88gのCelvol 203ポリ(ビニルアルコール)と、5%の水溶液(0.264g純量)として5.28gのホウ砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物)とを混合することによって調製した。ホウ砂とPVAとの比率は、重量で67:33(2:1)であった。コーティング溶液は、7mil(178ミクロン)のポリエチレンテレフタレート支持体上に、室温でナイフコーティングされた。コーティングは、風乾させた。下層の乾燥コーティング重量は、0.64g/mであった。比較実施例7−1および本発明実施例7−2は、上記の通りに被覆された。本発明実施例7−3および7.4は、それぞれ、0.75重量%および1.25重量%のSurfactant 10Gを含有した。本発明実施例7−3および7−4は、上記のコーティング溶液に、0.30gおよび0.50gのSurfactant 10Gの1.0%溶液を添加することによって調製した。
【0142】
[画像受容層の調製]
画像受容層用コーティング溶液は、20%水溶液(8.2g純量)として41.0gのDisperal HP−14(70%の硝酸を用いてpHを3.25まで調節)と、10%水溶液(0.713g純量)として7.13gのCelvol 540ポリ(ビニルアルコール)とを混合することによって調製した。完成したコーティング溶液(比較実施例7−1)は、17.9%固体であった。さらなる本発明のコーティング溶液もまた、上記の通りに調製したが、0.60gのOlin 10Gを、実施例7−2、7−3、および7.4に添加した。完成したコーティング溶液は、18.0%であった。無機粒子とポリマとの重量比率は、92:8であった。
【0143】
溶液は、上で調製された下層上に、室温でナイフコーティングされた。それぞれの溶液は、下層のそれぞれの上に、コーティングされた。全てのコーティングは、強制空気オーブン内で、85℃で10分間乾燥させた。乾燥したコーティングにおける、亀甲割れは観察されなかった。画像受容層は、41g/m(12.0mil(305ミクロン)のナイフギャップを使用)でコーティングされた。合計で、4つの試料が調製された。
【0144】
試料は、上記の通りに画像形成された。これらの試料については、51%〜55%の相対湿度で印刷が実行された。表IXは、それぞれのコーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合を説明する。
【0145】
下表IXに示されるデータは、画像受容層にのみ0.67重量%のSurfactant 10Gの添加、または下層への0.75重量%もしくは1.25重量%のSurfactant 10Gの添加、および画像受容層への0.67重量%のSurfactant 10Gの添加により、2.9〜3.0の透明ブラック密度として測定されたインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。
【0146】
【表9】
【0147】
<実施例8>
以下の実施例は、画像受容層内のみの界面活性剤の使用を示す。下層は、実施例1に記載される通りに調製した。
【0148】
[画像受容層の調製]
画像受容層用コーティング溶液(比較実施例8−1)は、20%水溶液(6.972g純量)として34.86gのDisperal HP−14(70%の硝酸を用いてpHを3.25まで調節)と、10%水溶液(0.455g純量)として4.45gのCelvol 540ポリ(ビニルアルコール)とを混合することによって調製した。完成したコーティング溶液は、17.9%固体であった。本発明実施例8−2および8−3は、上記の通りに調製したが、10%溶液として、それぞれ、0.20gまたは0.60gのSurfactant 10Gを添加した(それぞれ、0.02g純量または0.06g純量)。完成したコーティング溶液は、18.0%固体であった。無機粒子とポリマとの重量比率は、94:6であった。
【0149】
溶液は、上で調製された下層上に、室温でナイフコーティングされた。それぞれの溶液は、下層のそれぞれの上に、コーティングされた。全てのコーティングは、強制空気オーブン内で、85℃で10分間乾燥させた。乾燥したコーティングにおける、亀甲割れは観察されなかった。画像受容層は、34g/m(10.0mil(254ミクロン)のナイフギャップを使用)でコーティングされた。合計で、3つの試料が調製された。
【0150】
試料は、上記の通りに画像形成された。表Xは、コーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、インクジェット画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合を説明する。
【0151】
下表Xに示されるデータは、画像受容層への0.27重量%または0.80重量%のSurfactant 10Gの添加により、3.0〜3.1の透明ブラック密度で測定されたインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。
【0152】
【表10】
【0153】
<実施例9>
以下の実施例は、画像受容層内のみの界面活性剤の使用を示す。下層は、実施例1に記載される通りに調製した。
【0154】
[画像受容層の調製]
インクジェット画像受容層用コーティング溶液(比較実施例9−1)は、20%水溶液(6.972g純量)として34.86gのDisperal HP−14(70%の硝酸を用いてpHを3.25まで調節)と、10%水溶液(0.455g純量)として4.45gのCelvol 540ポリ(ビニルアルコール)とを混合することによって調製した。完成したコーティング溶液は、17.9%固体であった。本発明実施例9−2および9−3もまた、上記の通りに調製したが、10%溶液として、それぞれ、0.30gまたは0.45gのSurfactant 10Gを添加した(それぞれ、0.03g純量または0.045g純量)。完成したコーティング溶液は、18.0%固体であった。本発明実施例9−4および9−5は、上記の通りに調製したが、0.75gの10%のMasurf(登録商標)FS−810溶液(0.075g純量)および0.75gの10%のMasurf(登録商標)FP−230溶液(0.075g純量)を含有した。完成したコーティング溶液は、18.1%固体であった。無機粒子とポリマとの重量比率は、94:6であった。
【0155】
溶液は、実施例8に記載される通りに、ナイフコーティングされ、印刷された。合計で、5つの試料が調製された。
【0156】
試料は、上記の通りに画像形成された。表XIは、コーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合を説明する。
【0157】
下表XIに示されるデータは、画像受容層への0.40重量%もしくは0.60重量%のSurfactant 10Gの添加、画像受容層への1.0重量%のMasurf(登録商標)FS−810、または1.0重量%のMasurf(登録商標)FP−230の添加により、3.0〜3.1の透明ブラック密度で測定されたインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。
【0158】
【表11】
【0159】
<実施例10>
以下の実施例は、画像受容層内のみの界面活性剤の使用を示す。下層は、実施例1に記載される通りに調製した。
【0160】
[画像受容層の調製]
インクジェット画像受容層は、本発明実施例10−2、10−3、10−4、および10−5が、10%溶液として、それぞれ、Surfactant 10Gの0.40g(0.04g純量)もしくは0.50g(0.05g純量)、1.20g(0.12g純量)のZonyl 8740、または1.00g(0.10g純量)のMasurf(登録商標)FP−420を含有したことを除いては、実施例9に記載される通りに調製した。完成した溶液は、実施例10−2および10−3については、18.0%固体であり、実施例10−4については、18.2%固体であり、実施例10−5については、18.1%固体であった。無機粒子とポリマとの比率は、94:6であった。
【0161】
溶液は、実施例8に記載される通りの状態で、ナイフコーティングされ、インクジェット印刷された。合計で、5つの試料が調製された。
【0162】
試料は、上記の通りに画像形成された。表XIIは、コーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合を説明する。
【0163】
下表XIIに示されるデータは、画像受容層への0.54重量%もしくは0.67重量%のSurfactant 10G、画像受容層への1.60重量%のZonyl 8740、または1.33重量%のMasurf(登録商標)FP−420の添加により、2.7〜3.2の透明ブラック光学密度で測定されたインクジェットパッチの乾燥時間を軽減したことを示す。
【0164】
【表12】
【0165】
<実施例11>
以下の実施例は、画像受容層内のみの界面活性剤の使用を示す。下層は、実施例1に記載される通りに調製した。
【0166】
[画像受容層の調製]
インクジェット画像受容層は、本発明実施例11−2が、10%溶液(0.06g純量)として、0.60gのSurfactant 10Gを含有したことを除いては、実施例10に記載される通りに調製した。比較実施例11−3、11−4、および11−5は、それぞれ、10%溶液として、0.60g(0.06g純量)のDX−1060、Zonyl(登録商標)FS−300、またはZonyl(登録商標)FSNを含有した。完成した溶液は、全ての実施例において、18.0%固体であった。
【0167】
溶液は、実施例8に記載される通りに、ナイフコーティングされ、乾燥させた。合計で、5つの試料が調製された。乾燥したコーティングにおける、亀甲割れは観察されなかった。無機粒子とポリマとの重量比率は、94:6であった。
【0168】
試料は、上記の通りに画像形成された。表XIIIおよびXIVは、それぞれのコーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合、および刷り込まれたコーティングにおいて測定されたヘイズを説明する。
【0169】
下表XIVに示されるデータは、画像受容層への0.80重量%のSurfactant 10Gの添加により、3.1の透明光学密度で測定されたブラックインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。画像受容層への0.80重量%のZonyl(登録商標)FS−300または0.80%重量%のZonyl(登録商標)FSNの添加もまた、インクの乾燥時間を改善したが、Surfactant 10Gよりも高いヘイズを有した。0.80重量%のDX1060の添加は、3.1の透明光学密度での乾燥ブラックインクパッチを示したが、非常に高いヘイズを有した。
【0170】
【表13】
【0171】
【表14】
【0172】
<実施例12>
以下の実施例は、画像受容層内のみの界面活性剤の使用を示す。下層は、実施例1に記載される通りに調製した。
【0173】
[画像受容層の調製]
インクジェット画像受容層は、実施例10に記載される通りに調製した。実施例12−2は、10%溶液として、0.20g(0.02g純量)のSurfactant 10Gを含有した。比較実施例12−3および12−4は、10%溶液として、それぞれ、0.20g(0.02g)のDX−1060またはZonyl(登録商標)FS−300を含有した。完成した溶液は、全ての実施例において、17.9%固体であった。
【0174】
溶液は、実施例8に記載される通りの状態で、ナイフコーティングされ、インクジェット印刷された。合計で、4つの試料が調製された。無機粒子とポリマとの重量比率は、94:6であった。
【0175】
試料は、上記の通りに画像形成された。表XVおよびXVIは、それぞれのコーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合、および印刷されていないコーティングにおいて測定されたヘイズを説明する。
【0176】
下表XVIに示されるデータは、画像受容層への0.27重量%のSurfactant 10Gの添加により、3.1の透明光学密度で測定されたブラックインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。画像受容層への0.27重量%のDX1069の添加もまた、インクの乾燥時間を改善したが、Surfactant 10Gよりも高いヘイズを有した。0.27重量%のZonyl(登録商標)FS−300の添加は、3.1の透明光学密度でインクの乾燥時間をわずかしか改善しなかったが、Surfactant 10Gよりも高いヘイズを有した。
【0177】
【表15】
【0178】
【表16】
【0179】
<実施例13>
以下の実施例は、画像受容層内のみの界面活性剤の使用を示す。下層は、実施例1に記載される通りに調製した。
【0180】
[画像受容層の調製]
インクジェット画像受容層は、実施例10に記載される通りに調製した。本発明実施例13−2および13−3は、10%溶液として、それぞれ、0.20g(0.02g純量)または0.60g(0.06g純量)のSurfactant 10Gを含有した。比較実施例13−4および13−5は、10%溶液として、それぞれ、0.20g(0.02g純量)または0.60g(0.06g純量)のMasurf(登録商標)FP−320を含有した。完成した溶液は、実施例13−2および13−4については、17.9固体であり、実施例13−3および13−5については、18.0%固体であった。
【0181】
溶液は、実施例8に記載される通りの状態で、ナイフコーティングされ、インクジェット印刷された。合計で、5つの試料が調製された。無機粒子とポリマとの重量比率は、94:6であった。
【0182】
試料は、上記の通りに画像形成された。表XVIIは、それぞれのコーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合を説明する。
【0183】
表XVIIに示されるデータは、画像受容層への0.27%または0.80重量%のSurfactant 10Gの添加により、3.1の透明光学密度で測定されたブラックインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。画像受容層への0.27%のMasurf(登録商標)FP−320の添加は、3.1の透明光学密度でブラックインクパッチの乾燥時間を改善しなかった。0.80%のMasurf(登録商標)FP−230の添加は、画像受容層配合物がコーティング前に凝固したため、被覆されなかった。
【0184】
【表17】
【0185】
<実施例14>
以下の実施例は、画像受容層内のみの界面活性剤の使用を示す。下層は、実施例1に記載される通りに調製した。
【0186】
[画像受容層の調製]
インクジェット画像受容層は、実施例1に記載される通りに調製した。比較実施例14−2および14−3は、10%溶液として、それぞれ、0.40g(0.04g純量)または0.60g(0.06g純量)のZonyl(登録商標)FSNまたはMasurf(登録商標)SP−320を含有した。完成した溶液は、全ての実施例において、18.0%であった。
【0187】
溶液は、実施例8に記載される通りの状態で、ナイフコーティングされ、インクジェット印刷された。合計で、3つの試料が調製された。無機粒子とポリマとの重量比率は、94:6であった。
【0188】
試料は、上記の通りに画像形成された。表XVIIIは、それぞれのコーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、画像受容層に添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合を説明する。
【0189】
下表XVIIIに示されるデータは、画像受容層への0.54%のZonyl(登録商標)FSNまたは0.80%のSP−320の添加は、3.1の透明光学密度でブラックインクパッチの乾燥時間を改善しなかったことを示す。高濃度のSP−320は、画像受容層配合物がコーティング前に凝固したため、被覆されなかった。
【0190】
【表18】
【0191】
<実施例15>
以下の実施例は、画像受容層内のみ、ならびに下層内および画像受容層内の両方における界面活性剤の使用を示す。
【0192】
[下層の調製]
コーティング溶液は、3.84gの脱イオン水と、15%水溶液(0.132g純量)として0.88gのCelvol 203ポリ(ビニルアルコール)と、5%水溶液(0.264g純量)として5.28gのホウ砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物)とを混合することによって調製した。ホウ砂とPVAとの比率は、重量で67:33(2:1)であった。コーティング溶液は、7mil(178ミクロン)のポリエチレンテレフタレート支持体上に、室温でナイフコーティングされた。コーティングは、風乾させた。下層の乾燥コーティング重量は、0.64g/mであった。比較実施例15−1および本発明の実施例15−2は、上記の通りに被覆された。本発明実施例15−3および15.4は、2.00重量%のSurfactant 10Gを含有した。本発明実施例15−3および15−4は、上記のコーティング溶液に、0.80gのSurfactant 10Gの1.0%溶液を添加することによって調製した。
【0193】
[画像受容層の調製]
画像受容層用コーティング溶液は、20%水溶液(8.2g純量)として41.0gのDisperal HP−14(70%の硝酸を用いてpHを3.25まで調節)と、10%水溶液(0.713g純量)として7.13gのCelvol 540ポリ(ビニルアルコール)とを混合することによって調製した。完成したコーティング溶液(比較実施例15−1)は、17.9%固体であった。さらなる本発明のコーティング溶液もまた、上記の通りに調製したが、0.60gのOlin 10Gを、実施例15−2、15−3、および15.4に添加した。完成したコーティング溶液は、18.0%におけるものであった。無機粒子とポリマとの重量比率は、92:8であった。
【0194】
溶液は、上で調製された下層上に、室温でナイフコーティングされた。それぞれの溶液は、下層のそれぞれの上に、コーティングされた。全てのコーティングは、強制空気オーブン内で、85℃で10分間乾燥させた。乾燥したコーティングにおける、亀甲割れは観察されなかった。画像受容層は、41g/m(12.0mil(305ミクロン)のナイフギャップを使用)でコーティングされた。合計で、4つの試料が調製された。
【0195】
試料は、上記の通りに画像形成された。これらの試料については、50%〜55%の相対湿度で印刷が実行された。表XIXは、それぞれのコーティングに添加した界面活性剤の重量パーセント、トップコートに添加した界面活性剤タイプ、印刷の完了後5秒での湿潤パッチの密度の割合を説明する。
【0196】
下表XIXに示されるデータは、画像受容層にのみ0.67重量%のSurfactant 10Gの添加、または下層にのみ2.00重量%のSurfactant 10Gの添加、または下層への2.00重量%のSurfactant 10Gの添加および画像受容層への0.67重量%のSurfactant 10Gの添加により、2.8〜2.9の透明ブラック密度で測定されたインクパッチの乾燥時間を改善したことを示す。
【0197】
【表19】