(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902192
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】レゾルシノール誘導体を用いてケラチン成分の色素を除去するための方法
(51)【国際特許分類】
C07D 207/40 20060101AFI20160331BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20160331BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20160331BHJP
C07D 207/46 20060101ALI20160331BHJP
C07D 207/50 20060101ALI20160331BHJP
C07D 311/20 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
C07D207/40CSP
A61K8/49
A61Q19/02
C07D207/46
C07D207/50
C07D311/20
【請求項の数】15
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2013-543612(P2013-543612)
(86)(22)【出願日】2011年11月23日
(65)【公表番号】特表2013-545770(P2013-545770A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】EP2011070816
(87)【国際公開番号】WO2012079938
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年10月24日
(31)【優先権主張番号】1060635
(32)【優先日】2010年12月16日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】61/425,260
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】クザヴィエ・マラ
【審査官】
伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/011630(WO,A1)
【文献】
西独国特許出願公開第20110356(DE,A)
【文献】
特開2007−099775(JP,A)
【文献】
特開平07−300469(JP,A)
【文献】
特開2000−260831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAPLUS/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
R
1は、水素原子又はアセチル基を表し、
Aは、
a)-H、
b)-C
3〜C
8環状又はC
3〜C
20分枝状又はC
2〜C
20不飽和型若しくはC
1〜C
20飽和型の直鎖状のアルキル基であって、N、O及び-CO-、若しくはそれらの組合
せから選択される1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは部分が場合により割り込んでおり、及び/又は、
i)-OR
5、
ii)-SR
5、
iii)-NR
6R
7、
iv)-CONHR
6、
v)-CONR
6R
7、
vi)-COOR
6、
vii)-NHCONHR
6、
viii)-C(O)C
1〜C
4アルキル、
ix)O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を場合により含有し、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
8アルコキシ基で場合により置換されているC
5〜C
12(ヘテロ)アリール基、
x)5から8員を有し、O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む飽和型又は不飽和型の非芳香族複素環であって、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
8アルコキシ基若しくはC
1〜C
4アルキル基で場合により置換されており、環員のうち1つがカルボニル基であることが可能である複素環
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されているアルキル基、
c)O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を場合により含有し、1つ若しくは複数のヒドロキシル基で、及び/又は、C
1〜C
8アルコキシ基若しくはC
1〜C
8アルキル基から選択される1つ若しくは複数の基で場合により置換されている-C
5〜C
12(ヘテロ)アリール基、
d)-NR
2R
3、
e)-OR
4、
f)-C(O)NHR
4、
g)C(O)C
1〜C
10アルキル
{式中、R
2とR
3とは、同一であり又は異なり、
a)-H、
b)-C
3〜C
8環状又はC
3〜C
10分枝状又はC
2〜C
10不飽和型又はC
1〜C
10直鎖状の飽和型のアルキル基であって、N、O及び-CO-、若しくはそれらの組合
せから選択される1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは部分が場合により割り込んでおり、及び/又は、-OR
5から選択される1つ若しくは複数の同一の若しくは異なる基で場合により置換されているアルキル基、
c)O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を場合により含有し、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
8アルコキシ基で場合により置換されているC
5〜C
12(ヘテロ)アリール基
から選択される基を表し、
R
2とR
3とは、それらを担持している窒素と共に複素環を形成することが可能であり、この複素環は、5から8員を有し、N、O及び-CO-から選択される1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは部分を含有してもよく、及び/又は、ヒドロキシル若しくはC
1〜C
4アルコキシから選択される1つ若しくは複数の基を場合により含有するC
1〜C
10炭化水素鎖で場合により置換されており、
R
4は、
a)-H、
b)C
3〜C
8環状又はC
3〜C
10分枝状又はC
1〜C
10直鎖状の飽和型のアルキル基であって、
i)-COOR
6、
ii)O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を場合により含有し、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
8アルコキシ基で場合により置換されているC
5〜C
12(ヘテロ)アリール基
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されているアルキル基、
c)O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を場合により含有し、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
8アルコキシ基で場合により置換されているC
5〜C
12(ヘテロ)アリール基
から選択される基を表し、
R
5は、H及びC
3〜C
8環状又はC
2〜C
10不飽和型又はC
3〜C
10分枝状又はC
1〜C
10直鎖状の飽和型のアルキル炭化水素基から選択され、
R
6とR
7とは、同一であり又は異なり、H、C
3〜C
8環状又はC
2〜C
10不飽和型又はC
3〜C
10分枝状又はC
1〜C
10直鎖状の飽和型のアルキル炭化水素基、場合により窒素原子を含有する(C
1〜C
4)アルキル-C
6(ヘテロ)アリール
基から選択され、
R
6とR
7とは、それらを担持している窒素と共に複素環を形成してもよく、この複素環は、5から8員を有し、N、O及び-CO-から選択される1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは部分を含有してもよく、及び/又は、C
1〜C
10炭化水素鎖で場合により置換されている}、
h)式(II):
【化2】
{式中、
Xは、C
3〜C
8環状若しくはC
3〜C
10分枝状若しくはC
1〜C
10直鎖状の飽和型の炭化水素鎖、又はC
6〜C
12アリーレン基
、又はC
1〜C
4アルキレン-C
6〜C
8シクロアルキレン-C
1〜C
4アルキレン基、又はC
1〜C
4アルキレン-フェニレン-C
1〜C
4アルキレン基を表し、-OH、-COOR
6(式中、R
6は、H、又は、C
3〜C
8環状若しくはC
2〜C
10不飽和型若しくはC
3〜C
10分枝状若しくはC
1〜C
20直鎖状の飽和型のアルキル炭化水素基を表す)から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されており、
R
1は、水素原子又はアセチル基を表す}の基
から選択される基を表し、
Aが式(II)の基を表すとき、式(I)の化合物におけるすべてのR
1基は同一である]
の化合物、さらに、その塩、その光学異性体、及びそのラセミ化合物。
【請求項2】
R
1が、水素原子又はアセチル基を表し、
Aが、
a)-H、
b)-C
3〜C
8環状又はC
3〜C
16分枝状又はC
2〜C
16不飽和型又はC
1〜C
16直鎖状の飽和型のアルキル基であって、N、O、-CO-及び-NHC(O)-から選択される1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは部分が場合により割り込んでおり、及び/又は、
i)-OH、
ii)C
1〜C
4アルコキシ、
iii)-COOR
6、
iv)-CONR
6R
7(式中、R
6とR
7とは、同一であり又は異なり、H、又は、C
3〜C
8環状若しくはC
2〜C
8不飽和型若しくはC
3〜C
8分枝状若しくはC
1〜C
8直鎖状の飽和型のアルキル基を表す)、
v)1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
4アルコキシ基で場合により置換されているフェニル基、
vi)5から8員を有し、O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む飽和型又は不飽和型の複素環であって、環員のうち1つがカルボニル基であることが可能である複素環
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されているアルキル基、
c)OH、C
1〜C
4アルコキシ及びC
1〜C
4アルキルから選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されているC
5〜C
12アリール基
、
d)-NR
2R
3(式中、R
2とR
3とは、同一であり又は異なり、
i)H、
ii)C
3〜C
8環状若しくはC
2〜C
8不飽和型若しくはC
3〜C
8分枝状若しくはC
1〜C
8直鎖状の飽和型のアルキル基であって、酸素原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、ヒドロキシル基若しくはC
1〜C
4アルコキシ
基で場合により置換されているアルキル基、
iii)1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
4アルコキシ基で場合により置換されているC
5〜C
12アリール基
を表し、
R
2とR
3とは、それらを担持している窒素と共に、5から8員を有する複素環を形成することが可能であり、前記複素環は、1個又は複数の酸素原子を含有することができ、及び/又は、ヒドロキシル若しくはC
1〜C
4アルコキシから選択される1つ若しくは複数の基を場合により含有するC
1〜C
6炭化水素鎖で場合により置換されている)、
e)-OR
4、
f)-C(O)NHR
4
{式中、R
4は、-H、C
3〜C
8分枝状又はC
1〜C
8直鎖状の飽和型のアルキル基から選択される基を表し、
i)-COOR
6(式中、R
6は、先に定義したとおりである)、
ii)C
5〜C
12アリール基
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されている}、
g)式(II):
【化3】
(式中、gは、C
3〜C
8環状若しくはC
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状の飽和型の炭化水素鎖、又はC
6〜C
12アリーレン
基を表し、OH又はC
1〜C
6アルキル基から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されており、
R
1は、水素原子又はアセチル基を表す)の基
から選択される基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1が、水素原子又はアセチル基を表し、
Aが、
a)H、
b)C
3〜C
8環状若しくはC
3〜C
16分枝状若しくはC
2〜C
16不飽和型若しくはC
1〜C
16直鎖状の飽和型のアルキル基であって、N及びOから選択される1個若しくは複数のヘテロ原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、
i)-OH、
ii)C
1〜C
4アルコキシ、
iii)-CONH
2、
iv)-COOR
6(式中、R
6は、H、又は、C
3〜C
4環状若しくはC
2〜C
4不飽和型若しくはC
3〜C
4分枝状若しくはC
1〜C
4直鎖状の飽和型のアルキル基を表す)、
v)1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
4アルコキシ基で場合により置換されているフェニル基、
vi)5から8員を有し、1個又は複数の窒素原子を含む飽和型又は不飽和型の非芳香族複素環であって、環員のうち1つがカルボニル部分であることが可能である複素環
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されているアルキル基、
c)C
5〜C
12アリール基
、
d)-NR
2R
3(式中、R
2とR
3とは、同一であり又は異なり、H、又は、C
3〜C
8環状若しくはC
2〜C
6不飽和型若しくはC
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状の飽和型のアルキル基、又はC
5〜C
12アリール
基を表し、
R
2とR
3とは、それらを担持している窒素と共に、5から8員を有する複素環を形成することが可能であり、前記複素環は、酸素原子を含有することが可能であり、及び/又は、ヒドロキシル若しくはC
1〜C
4アルコキシから選択される1つ又は複数の基を場合により含有するC
1〜C
6炭化水素鎖で場合により置換されている)、
e)-OR
4(式中、R
4は、H、又は、C
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状の飽和型のアルキル基を表し、
i)-COOH、
ii)C
5〜C
12アリール基
、
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されている)、
f)式(II):
【化4】
(式中、Xは、C
3〜C
8環状若しくはC
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状の飽和型の炭化水素鎖、又はC
6〜C
12アリーレン
基を表し、1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換されている)の基
から選択される基を表す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R1=Hである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
以下の意味:
a)R1=Hであり、A=Hである、
b)R1=Hであり、A=C3〜C16分枝状又はC1〜C16飽和直鎖状のアルキル基である、
c)R1=Hであり、A=C3〜C8分枝状又はC1〜C8飽和直鎖状のアルキル基であり、このアルキル基は、1つ又は2つのヒドロキシル基で置換されており、-SR5基(式中、R5=H又はC1〜C4アルキルである)で場合により置換されている、
d)R1=Hであり、A=フェニル基又はベンジル基である、
e)R1=Hであり、A=C3〜C8分枝状又はC1〜C8のアルキル基であり、このアルキル基はフェニル基で置換されており、このフェニル基は、1つ又は複数のヒドロキシル基及び/又はC1〜C4アルコキシ基で場合により置換されている、
f)R1=Hであり、A=C3〜C8分枝状又はC1〜C8飽和直鎖状の、-COOH基で置換されたアルキル基であり、このアルキル基は、SR5基(式中、R5=H又はC1〜C4アルキルである)で場合により置換されている、
g)R1=Hであり、A=C3〜C8分枝状又はC1〜C8飽和直鎖状の、-COOR6基(式中、R6はC1〜C6アルキル基を表す)で置換されたアルキル基であり、このアルキル基は、ヒドロキシル基、及び/又は-SR5基(式中、R5=H又はC1〜C4アルキルである)及び/又は1つ若しくは複数のヒドロキシル基で場合により置換されているフェニル、又はイミダゾール基で場合により置換されている、
h)R1=Hであり、A=C3〜C8分枝状又はC1〜C8飽和直鎖状の、-CONH2基で置換されたアルキル基であり、このアルキル基は、ヒドロキシル基、1つ若しくは複数のヒドロキシル基で場合により置換されているフェニル基、又は-COOR6基(式中、R6はC1〜C6アルキル基を表す)で場合により置換されている、
i)R1=Hであり、A=-OR4基(式中、R4は、H、C3〜C6分枝状又はC1〜C6直鎖状の飽和型のアルキル基を表し、このアルキル基は、-COOH基又はフェニル基で場合により置換されている)である、
j)R1=Hであり、A=-NR2R3(式中、R2とR3とは、同一であり又は異なり、H、又は、C3〜C6分枝状若しくはC1〜C6直鎖状の飽和型のアルキル基、又はフェニル基を表し、
R2とR3とは、それらを担持している窒素と共に複素環を形成することが可能であり、この複素環は、5又は6員を有し、酸素原子を含有してもよく、ヒドロキシル又はC1〜C4アルコキシから選択される1つ又は複数の基を場合により含有するC1〜C6炭化水素鎖で場合により置換されている)である、
k)R1=Hであり、A=C3〜C6分枝状又はC2〜C6直鎖状のアルキル基であり、このアルキル基は、-CONH-基が割り込んでおりCOOH基で置換されている、
l)R1=Hであり、A=C5〜C6環状アルキル基であり、このアルキル基は-CONH-基が割り込んでいる、
m)R1=Hであり、A=C5〜C6環状アルキル基であり、このアルキル基は酸素原子が割り込んでいる、
n)R1=Hであり、A=前記式(II)(式中、Xは、C5〜C8環状若しくはC3〜C6分枝状若しくはC1〜C6直鎖状の飽和型の炭化水素鎖、又はフェニレン基を表し、1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換されている)の基である
のうち1つを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
以下の化合物:
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-メチルピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-エチルピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-プロピルピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-イソプロピルピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-イソブチルピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-ブチルピロリジン-2,5-ジオン
4-[(1-ブチル-2,5-ジオキソピロリジン-3-イル)メチル]ベンゼン-1,3-ジイルジアセテート
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-テトラデシルピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-フェニルピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-ベンジルピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(1-ヒドロキシ-3-メチルペンタン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(1-ヒドロキシ-4-メチルペンタン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(1-ヒドロキシ-3-メチルブタン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-[1-ヒドロキシ-4-(メチルスルファニル)ブタン-2-イル]ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(1-ヒドロキシ-3-フェニルプロパン-2-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-[2-(4-ヒドロキシフェニル)エチル]ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]ピロリジン-2,5-ジオン
[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]酢酸
2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]プロパン酸
2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-メチルペンタン酸
2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-4-メチルペンタン酸
2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-メチルブタン酸
4-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]ブタン酸
2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-スルファニルプロパン酸
2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-4-(メチルスルファニル)ブタン酸
2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン酸
エチル[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]アセテート
イソプロピル[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]アセテート
エチル2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]プロパノエート
エチル2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-メチルブタノエート
エチル2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノエート
エチル4-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]ブタノエート
イソプロピル4-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]ブタノエート
エチル2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-メチルペンタノエート
エチル2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-4-メチルペンタノエート
エチル2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-フェニルプロパノエート
エチル2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパノエート
エチル2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-ヒドロキシプロパノエート
エチル2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-スルファニルプロパノエート
エチル2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-4-(メチルスルファニル)ブタノエート
2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]アセトアミド
4-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]ブタンアミド
2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-フェニルプロパンアミド
2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド
2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-3-ヒドロキシプロパンアミド
エチル4-アミノ-2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]-4-オキソブタノエート
N-{2-[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]プロパノイル}アラニン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(2-オキソアゼパン-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-メトキシピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-エトキシピロリジン-2,5-ジオン
{[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]オキシ}酢酸
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-ベンジルオキシピロリジン-2,5-ジオン
1-アミノ-3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(ジメチルアミノ)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(モルホリン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2'-(メトキシメチル)-1,1'-ビピロリジン-2,5-ジオン
3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-1-(フェニルアミノ)ピロリジン-2,5-ジオン
1,1'-シクロヘキサン-1,3-ジイルビス[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)ピロリジン-2,5-ジオン]
1,1'-(シクロヘキサン-1,3-ジイルジメタンジイル)ビス[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)ピロリジン-2,5-ジオン]
1,1'-プロパン-1,3-ジイルビス[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)ピロリジン-2,5-ジオン]
1,1'-(2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイル)ビス[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)ピロリジン-2,5-ジオン]
1,1'-エタン-1,2-ジイルビス[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)ピロリジン-2,5-ジオン]
1,1'-ベンゼン-1,4-ジイルビス[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)ピロリジン-2,5-ジオン]
1,1'-シクロヘキサン-1,4-ジイルビス[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)ピロリジン-2,5-ジオン]
1,1'-シクロヘキサン-1,2-ジイルビス[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)ピロリジン-2,5-ジオン]
エチル2,6-ビス[3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]ヘキサノエート
から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
生理学的に許容される媒体中に請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を含む組成物。
【請求項8】
前記化合物(I)が、組成物の総重量に対し0.01重量%〜10重量%の間の量で存在することを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
水、有機溶媒、炭化水素油、シリコーン油、蝋、顔料、充填剤、染料、界面活性剤、乳化剤、活性美容成分、UVフィルター、ポリマー、増粘剤、保存剤、香料、殺菌剤、セラミド、臭気吸収剤、及び酸化防止剤から成る群から選択される少なくとも1つのアジュバントを含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
落屑剤;鎮静剤、有機又は無機の光安定剤、保湿剤;色素除去剤又はプロピグメント化剤;抗糖化剤;NO合成酵素阻害剤;真皮若しくは表皮の巨大分子の合成を刺激する及び/又はその分解を阻害する薬剤;線維芽細胞及び/若しくはケラチン生成細胞の増殖を刺激する又はケラチン生成細胞の分化を刺激する薬剤;筋弛緩剤及び/又は皮膚収縮防止剤;伸張剤;抗汚染剤及び/又はフリーラジカル捕捉剤;微小循環に作用する薬剤;細胞のエネルギー代謝に作用する薬剤;並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの活性成分を含むことを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか一項に記載の組成物を適用することを含む、ケラチン成分を色素除去、明色化、及び/又は白色化するための非治療的で美容的な方法。
【請求項12】
皮膚を色素除去、明色化、及び/又は白色化するための請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ケラチン成分のための白色化剤、明色化剤、及び/又は色素除去剤としての、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の非治療的で美容的な使用。
【請求項14】
請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を調製する方法であって、
A)レゾルシノールを、イタコン酸又はイタコン酸無水物、又は、式(B1)
【化5】
(式中、Rは、H、又は、C
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状のアルキル基を表す)のイタコン酸エステルの1つと反応させて式(III)
【化6】
の化合物を形成するステップと、次いで、
B)前記式(III)の化合物を、場合により活性化状態で、式(IV) A-NH
2(式中、Aは、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物について記載したものと同じ意味を有する)の化合物と、場合により塩基性又は酸性の触媒の存在下で、場合により15℃〜200℃の間の温度に加熱しながら反応させるステップと、
C)場合により、アセチル化反応を実施するステップと
を含む方法。
【請求項15】
式(III):
【化7】
(式中、Rは、H、又は、C
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状のアルキル基を表す)の中間化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルシノール誘導体である新しい化合物、及び、美容処置のための、具体的には、当該化合物を用いた、皮膚を色素除去及び/又は白色化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人生のさまざまな時期において、皮膚、より特定すれば手及び顔に黒ずんだ及び/又はより色の濃い跡を生じる人がおり、このような跡があると、皮膚が異質な外見を呈する。このような跡は、具体的には、皮膚の表面に位置するケラチン生成細胞中の高濃度のメラニンに起因する。
【0003】
良好な有効性を呈する無害の局所用色素除去物質の使用は、色素性の跡を処置するためには特に望ましい。
【0004】
皮膚の色素沈着の形成、言い換えればメラニンの形成の機序は、とりわけ複雑であり、概略的には、
チロシン--->ドーパ--->ドパキノン--->ドパクロム--->メラニン
という主要な段階を含む。チロシナーゼ(モノフェノールジヒドロキシルフェニルアラニン:酸素オキシドレダクターゼEC1.14.18.1)は、この一連の反応に関与する必須酵素である。とりわけ、チロシナーゼは、チロシンをドーパ(ジヒドロキシフェニルアラニン)に変換させる反応をそのヒドロキシラーゼ活性により、また、ドーパをドパキノンに変換させる反応をそのオキシダーゼ活性により、触媒する。このチロシナーゼは、成熟形態であるときにのみ、一定の生物学的要因の作用下で作用する。
【0005】
物質は、それが、メラニン形成の行われる表皮メラニン形成細胞の活力に直接作用する場合、及び/又は、メラニン形成に関わる酵素のうち1つを阻害するか、若しくは、メラニン合成鎖の化学化合物のうち1つの構造類似体として入り込むことでこの鎖を分断化でき、それにより確実に色素除去できるか、そのいずれかによりメラニンの生合成におけるステップの1つを妨げる場合に、色素除去物質であると認められる。
【0006】
アルブチン及びコウジ酸は、皮膚の色素除去剤として公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP-0852949
【特許文献2】US4367390
【特許文献3】EP863145
【特許文献4】EP517104
【特許文献5】EP570838
【特許文献6】EP796851
【特許文献7】EP775698
【特許文献8】EP878469
【特許文献9】EP933376
【特許文献10】EP507691
【特許文献11】EP507692
【特許文献12】EP790243
【特許文献13】EP944624
【特許文献14】EP669323
【特許文献15】US2463264
【特許文献16】US5237071
【特許文献17】US5166355
【特許文献18】GB2303549
【特許文献19】DE19726184
【特許文献20】EP893119
【特許文献21】WO93/04665
【特許文献22】DE19855649
【特許文献23】EP518772
【特許文献24】EP518773
【特許文献25】FR-A-2734825
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Synthesis of 7-hydroxycoumarins by Pechmann reaction using Nafion resin/silica nanocomposites as catalysts、Laufer MC、Hausmann H、Holderich WF、J of catalysis、2003、218、315〜320頁
【非特許文献2】Synthesis of 7-hydroxycoumarins catalysed by solid acid catalysts、Hoefnagel A、Gunnewegh E、Downing R、van Bekkum H、J Chem Soc Chem Commun、1995、225〜226頁
【非特許文献3】Selective esterification of non-conjugated carboxylic acids in the presence of conjugated or aromatic carboxylic acids over active carbon supported methanesulphonic acid、Feng, Ze Wang、Zhao, Xin Qi、Bi, Hua、Science in China、Series B: Chemistry (2008)、1(10)、990〜992頁
【非特許文献4】An efficient and regiospecific esterification of dioic acids using PTSA、Devi, A. Rama、Rajaram, S.、Indian Journal of Chemistry、Section B: Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry (2000)、39B(4)、294〜296頁
【非特許文献5】A simple method for the preparation of monomethyl esters of dicarboxylic acids by selective esterification of the nonconjugated carboxyl group in the presence of an aromatic or conjugated carboxyl group、Ram, Ram N.、Meher, Nabin Kumar、Journal of Chemical Research、Synopses (2000)、(6)、282〜283頁
【非特許文献6】Comprehensive Organic Transformation、R. Larock著、Wiley VCH刊、Interconversion of nitriles, carboxylic acids and derivativesの章
【非特許文献7】Phosphorus in organic synthesis-XI、Amino acids and peptides-XXI、Reaction of diethyl phosphorocyanidate with carboxylic acids. A new synthesis of carboxylic esters and amides、Tetrahedron、32、1976、2211〜2217頁
【非特許文献8】「Protecting Groups in Organic Synthesis」、Greene、Wuts、Wiley Interscience
【非特許文献9】R. Schmidt、P. Krien、及びM. Regnier、Anal. Biochem.、235(2)、113〜18頁、1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有効な色素除去作用を呈する物質、とりわけ、アルブチン及びコウジ酸の色素除去作用を超える物質の探索が行われてきた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この点に関し、出願人は、驚くべきことに、また予想外なことに、レゾルシノールから誘導される化合物の中には、低濃度でも良好な色素除去活性を呈するものがあることを見出した。
【0011】
したがって、本発明は、以下に定義する式(I)の新しい化合物を提供する。
【0012】
本発明は、さらに、生理学的に許容される媒体中に以下で定義する少なくとも1つの式(I)の化合物を含む組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、ケラチン成分、より特定すれば皮膚を色素除去、明色化及び/又は白色化するための非治療的で美容的な方法であって、前記の組成物を適用することを含む方法を提供する。
【0014】
本発明は、さらに、ケラチン成分、より特定すれば皮膚のための白色化剤、明色化剤、及び/又は色素除去剤としての、式(I)の化合物の非治療的で美容的な使用を提供する。
【0015】
本発明による化合物は、ヒトの皮膚を有効に色素除去、及び/又は明色化、又はさらには白色化することを可能にする。本化合物は、より特定すれば、茶色がかった色素沈着跡若しくは老化跡がある個体の皮膚、又は、メラニン形成により生じる茶色がかった色の外見を改善したいと願う個体の皮膚に適用することを意図したものである。
【0016】
本化合物は、体毛、まつ毛、頭髪、さらには唇、及び/又は爪を色素除去及び/又は明色化することも可能にし得る。
【発明を実施するための形態】
【0017】
したがって、本発明による新しい化合物は、以下の式(I):
【0019】
[式中、
R
1は、水素原子又はアセチル基を表し、
Aは、
a)-H、
b)-C
3〜C
8環状又はC
3〜C
20分枝状又はC
2〜C
20不飽和型若しくはC
1〜C
20飽和型の直鎖状のアルキル基であって、N、O及び-CO-、若しくはそれらの組合せ、例えば-NHCO-、-NHCONH-から選択される1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは部分が場合により割り込んでおり、及び/又は、
i)-OR
5、
ii)-SR
5、
iii)-NR
6R
7、
iv)-CONHR
6、
v)-CONR
6R
7、
vi)-COOR
6、
vii)-NHCONHR
6、
viii)-C(O)C
1〜C
4アルキル、
ix)O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を場合により含有し、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
8アルコキシ基で場合により置換されているC
5〜C
12(ヘテロ)アリール基、
x)5から8員を有し、O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む飽和型又は不飽和型の非芳香族(non-aroamtic)複素環であって、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
8アルコキシ基若しくはC
1〜C
4アルキル基で場合により置換されており、環員のうち1つがカルボニル基であることが可能である複素環
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されているアルキル基、
c)O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を場合により含有し、1つ若しくは複数のヒドロキシル基で、及び/又は、C
1〜C
8アルコキシ基若しくはC
1〜C
8アルキル基から選択される1つ若しくは複数の基で場合により置換されている-C
5〜C
12(ヘテロ)アリール基、
d)-NR
2R
3、
e)-OR
4、
f)-C(O)NHR
4、
g)C(O)C
1〜C
10アルキル
{式中、R
2とR
3とは、同一であり又は異なり、
a)-H、
b)-C
3〜C
8環状又はC
3〜C
10分枝状又はC
2〜C
10不飽和型又はC
1〜C
10直鎖状の飽和型のアルキル基であって、N、O及び-CO-、若しくはそれらの組合せ、例えば-NHCO-、-NHCONH-から選択される1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは部分が場合により割り込んでおり、及び/又は、-OR
5から選択される1つ若しくは複数の同一の若しくは異なる基で場合により置換されているアルキル基、
c)O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子(heteratom)を場合により含有し、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
8アルコキシ基で場合により置換されているC
5〜C
12(ヘテロ)アリール基
から選択される基を表し、
R
2とR
3とは、それらを担持している窒素と共に複素環を形成することが可能であり、この複素環は、5から8員を有し、N、O及び-CO-から選択される1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは部分を含有してもよく、及び/又は、ヒドロキシル若しくはC
1〜C
4アルコキシから選択される1つ若しくは複数の基を場合により含有するC
1〜C
10炭化水素鎖で場合により置換されており、
R
4は、
a)-H、
b)C
3〜C
8環状又はC
3〜C
10分枝状又はC
1〜C
10直鎖状の飽和型のアルキル基であって、
i)-COOR
6、
ii)O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を場合により含有し、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
8アルコキシ基で場合により置換されているC
5〜C
12(ヘテロ)アリール基
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されているアルキル基、
c)O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を場合により含有し、1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
8アルコキシ基で場合により置換されているC
5〜C
12(ヘテロ)アリール基
から選択される基を表し、
R
5は、H及びC
3〜C
8環状又はC
2〜C
10不飽和型又はC
3〜C
10分枝状又はC
1〜C
10直鎖状の飽和型のアルキル炭化水素基から選択され、
R
6とR
7とは、同一であり又は異なり、H、C
3〜C
8環状又はC
2〜C
10不飽和型又はC
3〜C
10分枝状又はC
1〜C
10直鎖状の飽和型のアルキル炭化水素基、場合により窒素原子を含有する(C
1〜C
4)アルキル-C
6(ヘテロ)アリール基、より特定すればベンジル基から選択され、
R
6とR
7とは、それらを担持している窒素と共に複素環を形成してもよく、この複素環は、5から8員を有し、N、O及び-CO-から選択される1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは部分を含有してもよく、及び/又は、C
1〜C
10炭化水素鎖で場合により置換されている}、
h)式(II):
【0021】
{式中、
Xは、C
3〜C
8環状若しくはC
3〜C
10分枝状若しくはC
1〜C
10直鎖状の飽和型の炭化水素鎖、又はC
6〜C
12アリーレン基、例えばフェニレン、又はC
1〜C
4アルキレン-C
6〜C
8シクロアルキレン-C
1〜C
4アルキレン基、又はC
1〜C
4アルキレン-フェニレン-C
1〜C
4アルキレン基を表し、-OH、-COOR
6(式中、R
6は、H、又は、C
3〜C
8環状若しくはC
2〜C
10不飽和型若しくはC
3〜C
10分枝状若しくはC
1〜C
20直鎖状の飽和型のアルキル炭化水素基を表す)から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されており、
R
1は、水素原子又はアセチル基を表す}の基
から選択される基を表し、
Aが式(II)の基を表すとき、式(I)の化合物におけるすべてのR
1基は同一である]、
さらに、その塩、その溶媒和物、その光学異性体、及びそのラセミ化合物に合致する。
【0022】
式(I)の化合物の塩としては、前記化合物の従来型の非毒性塩、例えば、酸又は塩基から形成されるものが挙げられる。
【0023】
式(I)の化合物(四級化可能な窒素原子を含むとき)の塩としては、
a)化合物(I)に、鉱酸、より特定すれば、塩酸、ホウ酸、臭化水素酸、ヒドロン酸(hydroic acid)、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸から選択される鉱酸を付加することにより得られる塩、
b)又は、化合物(I)に、有機酸、より特定すれば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、グルコン酸、サリチル酸、酒石酸、テレフタル酸、メチルスルホン酸、エチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフル酸から選択される有機酸を付加することにより得られる塩
が挙げられる。
【0024】
さらに、式(I)の化合物(酸性基を含むとき)に、無機塩基を付加することにより得られる塩、例えば、例としては、水性の水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、及び、ナトリウム、カリウム、若しくはカルシウムの炭酸塩若しくは炭酸水素塩、
又は、有機塩基、例えば第一級、第二級、若しくは第三級アルキルアミン、例としてはトリエチルアミン若しくはブチルアミンを付加することにより得られる塩
が挙げられる。この第一級、第二級、又は第三級アルキルアミンは、1個又は複数の窒素原子及び/又は酸素原子を含んでもよく、したがって、例としては1つ又は複数のアルコール官能基を含んでもよく、より特定すれば、2-アミノ-2-メチルプロパノール、エタノールアミン、トリエタノールアミン、2-ジメチルアミノプロパノール、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、及び3-(ジメチルアミノ)プロピルアミンが挙げられる。
【0025】
さらに、アミノ酸(例としては、リシン、アルギニン、グアニジン、グルタミン酸、アスパラギン酸など)の塩が挙げられる。
【0026】
式(I)の化合物(酸性基を含むとき)の塩は、有利には、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩)及びアンモニウム塩から選択してもよい。
【0027】
式(I)の化合物(四級化可能な窒素原子を含むとき)の塩は、有利には、ハロゲン化物、例えば塩化物及び臭化物から、並びに、クエン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、リン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩から、選択してもよい。
【0028】
本発明において記載する化合物の許容される溶媒和物は、従来型の溶媒和物、例えば、溶媒が存在する結果として前記化合物の調製中に形成されるものを含む。例としては、水、又は、直鎖状若しくは分枝状のアルコール(例えばエタノール若しくはイソプロパノール)が存在することにより得られる溶媒和物が挙げられる。
【0029】
光学異性体は、より特定すれば、エナンチオマー及びジアステレオ異性体である。
【0030】
直鎖状又は分枝状の基は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルから選択してもよい。
【0031】
飽和型の直鎖状又は分枝状アルキル基は、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルから選択してもよい。
【0032】
C
1〜C
4アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、より好ましくはメトキシから選択してもよい。
【0033】
式(I)の化合物は、好ましくは、
R
1が、水素原子又はアセチル基を表し、
Aが、
a)-H、
b)-C
3〜C
8環状又はC
3〜C
16分枝状又はC
2〜C
16不飽和型又はC
1〜C
16直鎖状の飽和型のアルキル基であって、N、O、-CO-及び-NHC(O)-から選択される1つ若しくは複数のヘテロ原子若しくは部分が場合により割り込んでおり、及び/又は、
i)-OH、
ii)C
1〜C
4アルコキシ、
iii)-COOR
6、
iv)-CONR
6R
7(式中、R
6とR
7とは、同一であり又は異なり、H、又は、C
3〜C
8環状若しくはC
2〜C
8不飽和型若しくはC
3〜C
8分枝状若しくはC
1〜C
8直鎖状の飽和型のアルキル基を表す)、
v)1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
4アルコキシ基で場合により置換されているフェニル基、
vi)5から8員を有し、O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む非芳香族の飽和型又は不飽和型の複素環であって、環員のうち1つがカルボニル基であることが可能である複素環
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されているアルキル基、
c)C
5〜C
12アリール基、例えばフェニルであり、OH、C
1〜C
4アルコキシ及びC
1〜C
4アルキルから選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されているアリール基、
d)-NR
2R
3(式中、R
2とR
3とは、同一であり又は異なり、
i)H、
ii)C
3〜C
8環状若しくはC
2〜C
8不飽和型若しくはC
3〜C
8分枝状若しくはC
1〜C
8直鎖状の飽和型のアルキル基であって、酸素原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、ヒドロキシル基若しくはC
1〜C
4アルコキシ基、例えばメトキシで場合により置換されているアルキル基、
iii)1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
4アルコキシ基で場合により置換されているC
5〜C
12アリール基
を表し、
R
2とR
3とは、それらを担持している窒素と共に、5から8員を有する複素環を形成することが可能であり、前記複素環は、1個又は複数の酸素原子を含有することができ、及び/又は、ヒドロキシル若しくはC
1〜C
4アルコキシから選択される1つ若しくは複数の基を場合により含有するC
1〜C
6炭化水素鎖で場合により置換されている)、
e)-OR
4、
f)-C(O)NHR
4
{式中、R
4は、-H、C
3〜C
8分枝状又はC
1〜C
8直鎖状の飽和型のアルキル基から選択される基を表し、
i)-COOR
6(式中、R
6は、先に定義したとおりである)、
ii)C
5〜C
12アリール基
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されている}、
g)式(II):
【0035】
(式中、Xは、C
3〜C
8環状若しくはC
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状の飽和型の炭化水素鎖、又はC
6〜C
12アリーレン基、例えばフェニレンを表し、OH又はC
1〜C
6アルキル基から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されており、
R
1は、水素原子又はアセチル基を表す)の基
から選択される基を表すこと、
さらに、その塩、その溶媒和物、その光学異性体、及びそのラセミ化合物を意味する。
【0036】
式(I)の化合物は、優先的に、
R
1が、水素原子又はアセチル基を表し、
Aが、
a)H、
b)C
3〜C
8環状若しくはC
3〜C
16分枝状若しくはC
2〜C
16不飽和型若しくはC
1〜C
16直鎖状の飽和型のアルキル基であって、N及びOから選択される1個若しくは複数のヘテロ原子が場合により割り込んでおり、及び/又は、
i)-OH、
ii)C
1〜C
4アルコキシ、
iii)-CONH
2、
iv)-COOR
6(式中、R
6は、H、又は、C
3〜C
4環状若しくはC
2〜C
4不飽和型若しくはC
3〜C
4分枝状若しくはC
1〜C
4直鎖状の飽和型のアルキル基を表す)、
v)1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び/又は1つ若しくは複数のC
1〜C
4アルコキシ基で場合により置換されているフェニル基、
vi)5から8員を有し、1個又は複数の窒素原子を含む飽和型又は不飽和型の非芳香族複素環であって、環員のうち1つがカルボニル部分であることが可能である複素環
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されているアルキル基、
c)C
5〜C
12アリール基、例えばフェニル、
d)-NR
2R
3(式中、R
2とR
3とは、同一であり又は異なり、H、又は、C
3〜C
8環状若しくはC
2〜C
6不飽和型若しくはC
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状の飽和型のアルキル基、又はC
5〜C
12アリール基、例えばフェニルを表し、
R
2とR
3とは、それらを担持している窒素と共に、5から8員を有する複素環を形成することが可能であり、前記複素環は、酸素原子を含有することが可能であり、及び/又は、ヒドロキシル若しくはC
1〜C
4アルコキシから選択される1つ若しくは複数の基を場合により含有するC
1〜C
6炭化水素鎖で場合により置換されている)、
e)-OR
4(式中、R
4は、H、又は、C
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状の飽和型のアルキル基を表し、
i)-COOH、
ii)C
5〜C
12アリール基、例えばフェニル
から選択される1つ又は複数の同一の又は異なる基で場合により置換されている)、
f)式(II):
【0038】
(式中、Xは、C
3〜C
8環状若しくはC
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状の飽和型の炭化水素鎖、又はC
6〜C
12アリーレン基、例えばフェニレンを表し、1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換されている)の基
から選択される基を表すこと、
さらに、その塩、その溶媒和物、その光学異性体、及びそのラセミ化合物を意味する。
【0039】
優先的には、式(I)の化合物については、R
1=Hである。
【0040】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態を以下に記載する:
R
1=Hであり、A=Hである(化合物1)。
R
1=Hであり、A=C
3〜C
16分枝状又はC
1〜C
16飽和直鎖状のアルキル基である(例えば化合物2〜9)。
R
1=Hであり、A=C
3〜C
8分枝状又はC
1〜C
8飽和直鎖状のアルキル基であり、このアルキル基は、1つ又は2つのヒドロキシル基で置換されており、-SR
5基(式中、R
5=H又はC
1〜C
4アルキルである)で場合により置換されている(例えば化合物12〜19)。
R
1=Hであり、A=フェニル基又はベンジル基である(例えば化合物10及び11)。
R
1=Hであり、A=C
3〜C
8分枝状又はC
1〜C
8のアルキル基であり、このアルキル基はフェニル基で置換されており、このフェニル基は、1つ又は複数のヒドロキシル基及び/又はC
1〜C
4アルコキシ基で場合により置換されている(例えば化合物20〜22)。
R
1=Hであり、A=C
3〜C
8分枝状又はC
1〜C
8飽和直鎖状のアルキル基であり、このアルキル基は-COOH基で置換されており、この-COOH基は、SR
5基(式中、R
5=H又はC
1〜C
4アルキルである)で場合により置換されている(例えば化合物23〜31)。
R
1=Hであり、A=C
3〜C
8分枝状又はC
1〜C
8飽和直鎖状のアルキル基であり、このアルキル基は、-COOR
6基(式中、R
6はC
1〜C
6アルキル基を表す)で置換されており、ヒドロキシル基、及び/又は-SR
5基(式中、R
5=H又はC
1〜C
4アルキル及び/又はフェニルであり、1つ若しくは複数のヒドロキシル基で場合により置換されている)、又はイミダゾール基で場合により置換されている(例えば化合物32〜45)。
R
1=Hであり、A=C
3〜C
8分枝状又はC
1〜C
8飽和直鎖状のアルキル基であり、このアルキル基は-CONH
2基で置換されており、この-CONH
2基は、ヒドロキシル基又はフェニル基で場合により置換されており、このヒドロキシル基又はフェニル基は、1つ若しくは複数のヒドロキシル基、又は-COOR
6基(式中、R
6はC
1〜C
6アルキル基を表す)で場合により置換されている(例えば化合物46〜51)。
R
1=Hであり、A=-OR
4基(式中、R
4は、H、C
3〜C
6分枝状又はC
1〜C
6直鎖状の飽和型のアルキル基を表し、このアルキル基は、-COOH基又はフェニル基で場合により置換されている)である(例えば化合物55〜59)。
R
1=Hであり、A=-NR
2R
3(式中、R
2とR
3とは、同一であり又は異なり、H、又は、C
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状の飽和型のアルキル基、又はフェニル基を表し、
R
2とR
3とは、それらを担持している窒素と共に複素環を形成することが可能であり、この複素環は、5又は6員を有し、酸素原子を含有してもよく、ヒドロキシル又はC
1〜C
4アルコキシから選択される1つ又は複数の基を場合により含有するC
1〜C
6炭化水素鎖で場合により置換されている)である(例えば化合物60〜64)。
R
1=Hであり、A=C
3〜C
6分枝状又はC
2〜C
6直鎖状のアルキル基であり、このアルキル基は、-CONH-基が割り込んでおりCOOH基で置換されている(例えば化合物52)。
R
1=Hであり、A=C
5〜C
6環状アルキル基であり、このアルキル基は-CONH-基が割り込んでいる(例えば、化合物53)。
R
1=Hであり、A=C
5〜C
6環状アルキル基であり、このアルキル基は酸素原子が割り込んでいる(例えば化合物54)。
R
1=Hであり、A=前記式(II)(式中、Xは、C
5〜C
8環状若しくはC
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状の飽和型の炭化水素鎖、又はフェニレン基を表し、1つ又は複数のヒドロキシル基で場合により置換されている)の基である(例えば化合物65〜73)。
【0041】
式(I)の化合物のうち、下記の化合物:
【0052】
さらに、その塩、その溶媒和物、その光学異性体、及びそのラセミ化合物を使用することが好ましい。
【0053】
これらの化合物のうち、下記の化合物:
【0056】
さらに、その塩、その溶媒和物、その光学異性体、及びそのラセミ化合物が、中でもとりわけ優先される。
【0057】
また、本発明は、前記の式(I)の化合物を調製する方法であって、
A)レゾルシノール(A1)を、イタコン酸(B)又はイタコン酸無水物(B')、又は、式(B1)
【0059】
(式中、Rは、H、又は、C
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状のアルキル基を表す)のイタコン酸エステルの1つと反応させて式(III)の化合物Cを形成するステップと、次いで、
B)式(III)の化合物Cを、場合により活性化状態で、式(IV) A-NH
2(式中、Aは、式(I)の化合物について前述したものと同じ意味を有する)の化合物と、場合により塩基性又は酸性の触媒の存在下で、場合により15℃〜200℃の間の温度に加熱しながら反応させるステップと、
C)場合により、アセチル化反応を実施するステップと
を含む方法を提供する。
【0062】
(式中、Rは、H、又は、C
3〜C
6分枝状若しくはC
1〜C
6直鎖状のアルキル基を表す)
の化合物Cを提供する。
【0063】
これらの式(III)の化合物は、前述の調製方法における合成中間体である。
【0064】
したがって、式(I)の化合物は、以下の反応スキームIに従って得られうる:
【0066】
A)レゾルシノールを、イタコン酸(B)又はイタコン酸無水物(B')、又は、前述の式(B1)のイタコン酸エステルの1つの存在下、とりわけ有機溶媒(トルエン、テトラヒドロフラン、ヘプタン、イソオクタン、メチルテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソドデカン、及びそれらの混合物から選択してもよい)の存在下で、
とりわけ15〜200℃の間の温度で、場合により、次の刊行物:Synthesis of 7-hydroxycoumarins by Pechmann reaction using Nafion resin/silica nanocomposites as catalysts、Laufer MC、Hausmann H、Holderich WF、J of catalysis、2003、218、315〜320頁;Synthesis of 7-hydroxycoumarins catalysed by solid acid catalysts、Hoefnagel A、Gunnewegh E、Downing R、van Bekkum H、J Chem Soc Chem Commun、1995、225〜226頁に記載されているように触媒(酸性又は塩基性)の存在下で、より特定すれば、酸性の触媒、例えばメタンスルホン酸、トリフル酸、para-トルエンスルホン酸、及びスルホン酸の樹脂、例えばDowex(登録商標)樹脂又はAmberlyst(登録商標)樹脂(Aldrichにより販売されている)の存在下で反応させて化合物C(III)を得るステップ(スキームII及びIII)。
【0068】
B)次いで、化合物C(III)を式(IV) A-NH
2(式中、Aは、式(I)の化合物について前述したものと同じ意味を有する)の化合物と、場合により、有機溶媒、より特定すればテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドの存在下、
場合により、ルイス酸触媒若しくはブレンステッド酸触媒、又はルイス塩基触媒若しくはブレンステッド塩基触媒から選択される触媒、例えば炭酸カリウム、トリエチルアミン、又はジイソプロピルエチルアミンの存在下で、
場合により、15℃〜200℃の間、より特定すれば30℃〜150℃の間の温度で加熱しながら反応させるステップ。
このステップで、化合物(I)(式中、R
1=Hである)が生成する(スキームI及びV)。
C)場合により、アセチル化反応を実施して化合物(I)(式中、R
1=アセチルである)を得るステップ。
【0069】
化合物B1(式中、RはH以外である)は、酸性媒体であるイタコン酸中で、式ROH(式中、Rは、前述した意味を有する)の1つ又は複数のアルコールでの選択的エステル化を行うことによる慣用的な方法で入手してもよく、これについては以下の文献に記載されている(Selective esterification of non-conjugated carboxylic acids in the presence of conjugated or aromatic carboxylic acids over active carbon supported methanesulphonic acid、Feng, Ze Wang、Zhao, Xin Qi、Bi, Hua、Science in China、Series B: Chemistry (2008)、1(10)、990〜992頁/An efficient and regiospecific esterification of dioic acids using PTSA、Devi, A. Rama、Rajaram, S.、Indian Journal of Chemistry、Section B: Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry (2000)、39B(4)、294〜296頁/A simple method for the preparation of monomethyl esters of dicarboxylic acids by selective esterification of the nonconjugated carboxyl group in the presence of an aromatic or conjugated carboxyl group、Ram, Ram N.、Meher, Nabin Kumar、Journal of Chemical Research、Synopses (2000)、(6)、282〜283頁)。
【0070】
本合成方法のステップ(B)の特定の一実施形態によれば、化合物CのR基がHを表すとき、式(I)の化合物は、酸の活性化についての公知の手法、とりわけ、Comprehensive Organic Transformation、R. Larock著、Wiley VCH刊、Interconversion of nitriles, carboxylic acids and derivativesの章に記載されている手法に従って酸Cを活性化させることにより得てもよい。
【0071】
酸の活性化の手法としては、
・酸塩化物の中間体形成(例:塩化チオニル又は塩化オキサリル又は1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペンアミンを用いる)、
・混合無水物の中間体形成[例:C
2〜C
6クロロギ酸アルキル(例えばクロロギ酸イソブチル)を、塩基(例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン)の存在下で用いる(スキームIV)]、
・カルバミミデート(carbamimidate)又はアシルホスホネートの中間体形成(例:カルボジイミド又はシアノリン酸ジエチルを用いる。Phosphorus in organic synthesis-XI、Amino acids and peptides-XXI、Reaction of diethyl phosphorocyanidate with carboxylic acids. A new synthesis of carboxylic esters and amides、Tetrahedron、32、1976、2211〜2217頁)
が挙げられる。
【0074】
式(I)の化合物(式中、R
1はアセチル基を表す)は、式(I)の化合物(式中、R
1=Hである)をアセチル化することにより得てもよい。
【0075】
アセチル化反応は、無水酢酸又は塩化アセチルを用いて、特に、非プロトン性溶媒、例えばトルエン、ピリジン、又はテトラヒドロフランの存在下で、実施してもよい。
【0076】
アセチル化反応は、アセチル化する予定のない官能基上の保護基を用い、次いで、有機合成の公知の手法に従い脱保護反応を実施することによる、選択的アセチル化反応であってもよい。
【0077】
これらのステップはすべて、保護/脱保護戦略を用いることもでき、このような戦略は、著作物「Protecting Groups in Organic Synthesis」、Greene、Wuts、Wiley Interscienceにまとめられているように、有機化学において一般に用いられる。
【0078】
本調製方法の特定の一実施形態によれば、式(I)[式中、Aは、前述の式(II)の基を表す]の化合物は、化合物C(III)を、以下の反応スキーム:
【0080】
に従い、式(V) H
2N-X-NH
2のジアミンの存在下で反応させることにより調製してもよい。
【0081】
この反応は、溶媒、より特定すればテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドの有無によらず行うことができる。
【0082】
この反応は、ルイス酸触媒若しくはブレンステッド酸触媒、又はルイス塩基触媒若しくはブレンステッド塩基触媒から選択される触媒、例えば炭酸カリウム、トリエチルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンの存在下で行ってもよい。
【0083】
この反応は、0℃〜200℃の間、より特定すれば30℃〜150℃の間の温度で実施してもよい。
【0084】
本発明による式(I)の化合物は、特に化粧品分野で用いられる。
【0085】
本発明による組成物は、生理学的に許容される媒体中に前記の式(I)の化合物を含む。
【0086】
生理学的に許容される媒体は、ヒトのケラチン成分、例えば、顔若しくは体の皮膚、唇、粘膜、まつ毛、爪、頭皮、及び/又は毛髪と適合性のある媒体である。
【0087】
化合物(I)は、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対し0.01重量%〜10重量%の間、好ましくは0.1重量%から5重量%まで、とりわけ0.5重量%から3重量%までの間であってもよい量で存在してもよい。
【0088】
本発明による組成物は、有利には化粧品組成物であり、化粧品分野において一般に用いられるアジュバントを含んでもよい。
【0089】
具体的に挙げられるものは、水;有機溶媒、特にC
2〜C
6アルコール;油、特に炭化水素油、シリコーン油;蝋、顔料、充填剤、染料、界面活性剤、乳化剤;活性美容成分、UVフィルター、ポリマー、増粘剤、保存剤、香料、殺菌剤、臭気吸収剤、及び酸化防止剤である。
【0090】
これらの任意選択的な化粧品アジュバントは、本組成物中に、組成物の総重量に対し0.001重量%から80重量%まで、とりわけ0.1重量%から40重量%までの割合で存在してもよい。いずれの場合も、これらのアジュバントもその割合も、意図した添加により、本発明による化合物の有利な特性に悪影響が及ぶことも実質的に及ぶこともないように、当業者により選択されよう。
【0091】
本発明による組成物中への導入に有利であろう活性剤は、落屑剤;鎮静剤、有機又は無機の光安定剤、保湿剤;色素除去剤又はプロピグメント化剤(propigmenting agent);抗糖化剤;NO合成酵素阻害剤;真皮若しくは表皮の巨大分子の合成を刺激する及び/又はその分解を阻害する薬剤;線維芽細胞及び/若しくはケラチン生成細胞の増殖を刺激する又はケラチン生成細胞の分化を刺激する薬剤;筋弛緩剤及び/又は皮膚収縮防止剤(dermal decontractant);伸張剤(tensioning agent);抗汚染剤(anti-pollution agent)、及び/又はフリーラジカル捕捉剤;微小循環に作用する薬剤;細胞のエネルギー代謝に作用する薬剤;並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物である。
【0092】
そのような追加的な化合物の例は、以下のとおりである:レチノール及びその誘導体(例えばパルミチン酸レチニル);アスコルビン酸及びその誘導体(例えばアスコルビルリン酸マグネシウム及びアスコルビルグルコシド);トコフェロール及びその誘導体(例えば酢酸トコフェリル);ニコチン酸及びその前駆体(例えばニコチンアミド);ユビキノン;グルタチオン及びその前駆体(例えばL-2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸);植物抽出物、特に植物タンパク質及びその加水分解産物、さらには植物ホルモン;海産物抽出物(例えば藻類抽出物);細菌抽出物;サポゲニン(例えばジオスゲニン、及び、それらを含有する自然薯抽出物);セラミド;ヒドロキシ酸(例えばサリチル酸及び5-n-オクタノイルサリチル酸);レスベラトロール;オリゴペプチド及び擬ジペプチド及びそのアシル誘導体;マンガン塩及びマグネシウム塩、とりわけグルコン酸塩;並びにそれらの混合物。
【0093】
用語「落屑剤」は、
・剥離を促進することにより落屑に直接的に作用する能力を有する任意の化合物、例えば、β-ヒドロキシ酸、とりわけサリチル酸及びその誘導体(5-n-オクタノイルサリチル酸など);α-ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、若しくはマンデル酸;尿素;ゲンチシン酸;オリゴフコース;ケイ皮酸;エンジュ抽出物;レスベラトロール、
・或いは、落屑に関与する酵素に、又は、コルネオデスモソーム、グリコシダーゼ、角質層キモトリプシン酵素(SCCE)、若しくは他のプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン様のもの)の分解に作用する能力を有する任意の化合物、そのいずれかを意味する。落屑剤としては、無機塩をキレート化するための以下の薬剤:EDTA;N-アシル-N,N'N'-エチレンジアミン三酢酸;アミノスルホン酸化合物、とりわけ(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES);2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン)誘導体;グリシンタイプのアルファアミノ酸の誘導体(EP-0852949に記載されているもの、さらにはTrilon Mの商品名でBASFにより販売されているメチルグリシン二酢酸ナトリウム);蜂蜜;糖誘導体、例えばO-オクタノイル-6-D-マルトース及びN-アセチルグルコサミンが挙げられる。
【0094】
落屑剤は、一般に、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対し0.01重量%から15重量%までの範囲、好ましくは0.1重量%から10重量%までの範囲の割合で存在する。
【0095】
本発明による組成物中で使用してもよい鎮静剤としては、五環系のトリテルペン、及び、それを含有する植物(例:スペインカンゾウ)の抽出物、例としてはβ-グリチルレチン酸並びにその塩及び/又は誘導体(グリチルレチン酸モノグルクロニド、グリチルレチン酸ステアリル、又は3-ステアロイル-オキシグリシルレチン酸、ウルソール酸及びその塩、オレアノール酸及びその塩、ベツリン酸及びその塩、ボタン及び/又はシャクヤクの抽出物、サリチル酸塩、とりわけサリチル酸亜鉛、Codif社製のフィコサッカリド(phycosaccharide)、カラフトコンブの抽出物、キャノーラ油、ビサボロール及びカモミール抽出物、アラントイン、SEPPIC製のSepivital EPC(ビタミンE及びCのリン酸ジエステル)、ω-3不飽和油、例えばジャコウバラ油、クロフサスグリ油、エキウム(ecchium)油、魚油、プランクトン抽出物、カプリロイルグリシン、SEPPIC製のSeppicalm VG(パルミトイルプロリンナトリウム及びセイヨウスイレン、ピジウム抽出物、ボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)の抽出物、センチペーダ・カニンガミ(Centipeda cunninghami)の抽出物、ヒマワリの抽出物、アマの抽出物、トコトリエノール、コーラノキの抽出物、ピペロナール、クローブの抽出物、ヤナギランの抽出物、アロエベラ、バコパ・モニエリ(Bacopa monieri)の抽出物、フィトステロール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、インドメタシン、及びベタメタゾンが挙げられる。
【0096】
鎮静剤は、一般に、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対し0.01重量%から15重量%までの範囲、好ましくは0.1重量%から10重量%までの範囲の割合で存在する。
【0097】
有機光安定剤は、特に、以下から選択する:アントラニレート;ケイ皮酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体;サリチル酸誘導体;樟脳誘導体;トリアジン誘導体、例えば、特許出願US4367390、EP863145、EP517104、EP570838、EP796851、EP775698、EP878469、EP933376、EP507691、EP507692、EP790243、EP944624に記載されているもの;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリレート誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;ビス-ベンザゾリル誘導体(特許EP669323及びUS2463264に記載されているようなもの);p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体(特許出願US5237071、US5166355、GB2303549、DE19726184、及びEP893119に記載されているようなもの);スクリーニングポリマー及びスクリーニングシリコーン、例えば、特に特許出願WO93/04665に記載されているもの;α-アルキルスチレンベースのダイマー、例えば特許出願DE19855649に記載されているもの。
【0098】
無機光安定剤は、特に、被覆されている又は被覆されていない金属酸化物の顔料又はナノ顔料(一次粒子の平均サイズが一般に5nm〜100nmの間、好ましくは10nm〜50nmの間)、例としては、酸化チタン(非晶質、又は、ルチル型結晶及び/若しくはアナターゼ型結晶のもの)のナノ顔料、酸化鉄のナノ顔料、酸化亜鉛のナノ顔料、酸化ジルコニウムのナノ顔料、又は酸化セリウムのナノ顔料から選択してもよく、これらはすべて、周知の紫外線安定剤である。さらに、標準的なコーティング剤は、アルミナ及び/又はステアリン酸アルミニウムである。そのような被覆されている又は被覆されていない金属酸化物のナノ顔料は、特許出願EP518772及びEP518773に具体的に記載されている。
【0099】
光安定剤は、一般に、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対し0.1重量%から20重量%までの範囲、好ましくは0.2重量%から15重量%までの範囲の割合で存在する。
【0100】
本発明による組成物は、化粧品分野で普通に使用される任意の調合物形態、特に、場合によりゲル化された水溶液又は水性アルコール溶液、分散系、場合により、ローションタイプの2相分散系、水中油エマルション又は油中水エマルション又は多相エマルション(例としては、W/O/W又はO/W/O)、水性ゲル、小球を利用して水相中に油を分散させたもの(この小球は、ポリマーナノ粒子、例えばナノスフェア及びナノカプセル、又は、さらに良好には、イオン型及び/又は非イオン型の脂質ベシクルであることが考えられる)、水性又は油性のゲルの形態であってもよい。これらの組成物は、通常の方法により調製する。本発明によれば、エマルション、特に水中油エマルションの形態の組成物が、好ましくは使用される。
【0101】
本発明による組成物は、スキンケア組成物、特に、顔、手、足、主要な解剖学的ひだ、若しくは体のための、クレンジング用、保護用、処置用、若しくはケア用のクリーム(例としては、日中用クリーム、夜用クリーム、メイクアップ除去用クリーム、ファンデーションクリーム、若しくは日焼け止め用クリーム);液体ファンデーション、メイクアップ除去用乳液、保護用若しくはケア用の体用乳液、若しくは日焼け止め用乳液;又は、スキンケア用のローション、ゲル、若しくはムース、例えばクレンジングローションを構成してもよい。
【0102】
本発明を、下記の非限定的な例により、さらに詳細に例証する。
【0103】
(実施例)
(実施例1)
化合物10の合成
【0105】
a)(7-ヒドロキシ-2-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-3-イル)酢酸(C1)の合成
【0107】
ディーン・スターク装置を備える丸底フラスコ中で、10gのレゾルシノール及び11.8gのイタコン酸を、Amberlyst 15樹脂(Aldrich製)の存在下で150mlのトルエン/ジオキサン混合物(体積比1/1)に溶解した。反応混合物を100℃で3時間加熱した。冷却した後、未精製の反応生成物を濾過し、濾液を真空下で濃縮した。粗生成物を、熱いうちに酢酸エチルから再結晶化させた。これにより10gの白色の粉末が得られ、これは、予想生成物と一致した(収率50%)。
融点:174〜175℃
【0108】
b)化合物10の合成:
前述の(7-ヒドロキシ-2-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-3-イル)酢酸(ステップaにより得たもの)450mg(2mmol)を15mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した溶液を、223mg(2.2mmol)のトリエチルアミン及び0.3g(2.2mmol)のクロロギ酸イソブチルと混合した。反応の後、この溶液を、250mg(2.2mmol)のフェニルアミン(又はアニリン=アミンA-NH
2、このときA=フェニルである)を15mlのTHFに溶解したものに加えた。20℃での撹拌に続いて、反応混合物を真空下で、次いで、40℃のTHF中にて炭酸カリウムの存在下で濃縮し、その後、濾過し、濾液を濃縮し、シリカカラムを用いたクロマトグラフィーにより精製すると、0.18g(収率30%)の予想化合物10が得られた。
【0109】
1H NMR及び質量スペクトルは、予想生成物の構造と一致する。
【0112】
ベンジルアミンを使用して、先に実施例1のb)に記載した手順を繰り返した。これにより、0.35g(収率56%)の化合物11が得られた。
【0113】
1H NMR及び質量スペクトルは、予想生成物の構造と一致する。
【0116】
a)エチル(7-ヒドロキシ-2-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-3-イル)アセテート(C2)の合成:
【0118】
100mlのトルエンを、4.4g(0.04mol)のレゾルシノール及び6.32g(0.04mol)のイタコン酸のエチルモノエステル、さらに8.8gのAmberlyst 15樹脂(Aldrich製)と混合した。反応混合物を2時間撹拌し、次いで、濾過して冷却した。濾液を濃縮し、シリカカラムを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製(溶出剤はCH
2Cl
2:MeOH=50:1)したものをヘキサン/酢酸エチルの3/1混合物から再結晶化させると、4.6g(収率46%)の予想されたラクトンC2が、白色の固体の形態で得られた。
融点:102〜103℃
【0119】
1H NMR及び質量スペクトルは、予想生成物の構造と一致する。
【0120】
b)化合物7の合成:
5.5g(22mmol)のエチル(7-ヒドロキシ-2-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-3-イル)アセテート(化合物C2)を50mlのTHFに溶解した溶液を、1.6g(22mmol)のブチルアミン(アミンA-NH
2、このときA=C
4H
9である)及び3g(22mmol)の炭酸カリウムと混合した。この混合物を40℃で12時間撹拌した。濾過及び濾液の濃縮に続いて、シリカカラムを用いたクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、5g(収率82%)の予想化合物7が得られた。
融点:122〜123℃
【0121】
1H NMR及び質量スペクトルは、予想生成物の構造と一致する。
【0122】
(実施例4〜25)
化合物の合成
以下の表に挙げるとおりの異なるアミンを使用して、前述の実施例3のb)の手順を繰り返した。
【0128】
25ml丸底フラスコに、1g(0.004mol)のエチル(7-ヒドロキシ-2-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-3-イル)アセテート(化合物C2)、0.829g(0.06mol)の炭酸カリウム、及び0.120g(0.02mol)のエチレンジアミンを10mlのテトラヒドロフランに溶解したものを入れた。反応混合物を40℃で12時間加熱した。塩の濾過に続き、濾液を真空下で濃縮し、次いで、酢酸エチル中に取り出した。こうして得られた沈殿物を濾過した。これをシリカカラム(溶出剤はジクロロメタン/メタノール、95/5)で精製すると、予想生成物に対応する0.35g(収率33%)の白色の粉末が得られた。
融点:125℃
【0129】
1H NMR及び質量スペクトルは、予想生成物の構造と一致する。
【0130】
(実施例27)
構造的なメラニン形成に及ぼす活性の実証
生物学的試験により、化合物1、7、12、及び32の色素除去活性が実証された。化合物1がメラニン形成に及ぼす調節効果を、特許FR-A-2734825、さらにはR. Schmidt、P. Krien、及びM. Regnierによる論文であるAnal. Biochem.、235(2)、113〜18頁、1996に記載されている方法により測定した。この試験は、ケラチン生成細胞とメラニン形成細胞との共培養物に対して実施する。
【0131】
試験した化合物について、次のパラメーター:
・細胞毒性:ロイシンの取込量の推定による
・メラニン合成に及ぼす阻害活性:対照を100%とし、これに対するチオウラシルの取込量対ロイシンの取込量の比率を推定することによる(対照とは、試験対象とする化合物を用いずに実施する試験のことである)
を確認した。IC50値(メラニン合成の50%が阻害される濃度)を確認した。
【0132】
試験は、公知の色素除去化合物であるアルブチン及びコウジ酸を用いても実施した。
【0135】
したがって、本発明による化合物1、7、12、及び32は、メラニン形成の阻害における有効性が実証され、さらに、アルブチン及びコウジ酸より有効である。
【0136】
(実施例28)
以下(重量%):
化合物7(実施例3) 2%
カルボマー(Carbopol 981、Lubrizol製) 1%
保存剤 適量
水 100%となる量
を含む、皮膚のための色素除去用ゲルを調製する。
【0137】
皮膚に適用すると、本組成物は茶色の跡を除去する。
【0138】
化合物1(実施例15)又は化合物32(実施例5)又は化合物12(実施例6)を用いて、同様の組成物を調製する。