特許第5902210号(P5902210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5902210担持型非メタロセン触媒、その製造方法およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902210
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】担持型非メタロセン触媒、その製造方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/658 20060101AFI20160331BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   C08F4/658
   C08F10/00 510
【請求項の数】14
【全頁数】72
(21)【出願番号】特願2014-5079(P2014-5079)
(22)【出願日】2014年1月15日
(65)【公開番号】特開2014-237802(P2014-237802A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年1月19日
(31)【優先権主張番号】201310227368.7
(32)【優先日】2013年6月8日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201310227830.3
(32)【優先日】2013年6月8日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】512054436
【氏名又は名称】中国石化揚子石油化工有限公司
【氏名又は名称原語表記】SINOPEC YANGZI PETROCHEMICAL COMPANY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李傳峰
(72)【発明者】
【氏名】任鴻平
(72)【発明者】
【氏名】▲かん▼林
(72)【発明者】
【氏名】郭峰
(72)【発明者】
【氏名】汪文睿
(72)【発明者】
【氏名】易玉明
(72)【発明者】
【氏名】陳韶輝
(72)【発明者】
【氏名】柏基業
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−8734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/658
C08F 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン重合用担持型非メタロセン触媒を製造するための方法であって、
アルコールの存在下で、マグネシウム化合物を第一溶媒に溶解させて、マグネシウム化合物の溶液を得る工程、
多孔質担体と前記マグネシウム化合物の溶液とを混合させて、第一混合スラリーを得る工程、前記第一混合スラリーを乾燥し、又は前記第一混合スラリーに沈殿剤を添加して、マグネシウム含有担体を得る工程;或いは、前記マグネシウム化合物の溶液を乾燥し、又は前記マグネシウム化合物の溶液に沈殿剤を添加して、マグネシウム含有担体を得る工程、
前記マグネシウム含有担体を、第IVB族金属化合物の群から選ばれる化学的処理剤および次の一般式(X):
Si(OR)mX4-m (X)
[式中、多くのRが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、それぞれ独立してC1-C8直鎖状又は分岐状のアルキルの群から選ばれ
は、0、1、2、3または4であり、
多くのXが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲン原子の群から選ばれる。]で示されるケイ素化合物と接触させて、修飾マグネシウム含有担体を得る工程、ならびに
第二溶媒の存在下で、前記修飾マグネシウム含有担体を、非メタロセン錯体と接触させて、前記担持型非メタロセン触媒を得る工程、
を含む方法であり、
前記非メタロセン錯体は、以下の化学構造式を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
【化1】
[前記の化学構造式において、
qは、0もしくは1であり、
dは、0もしくは1であり、
mは、1、2または3であり、
Mは、Ti(IV)及びZr(IV)からなる群から選ばれる中心金属原子であり、
nは3であり、
Xは、ハロゲン原子、水素原子、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基、硫黄含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基からなる群から選ばれる基であり、多くのXが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、互いに結合しまたは環を形成していてもよく、
Aは、酸素原子,硫黄原子、セレン原子、
【化2】
、-NR23R24、-N(O)R25R26
【化3】
、-PR28R29、-P(O)R30OR31、スルホン基、スルホキシド基または-Se(O)R39からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)であり、
Bは、窒素原子、窒素含有基、リン含有基またはC1−C30炭化水素基からなる群から選ばれる基であり、
Dは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、リン原子、窒素含有基、リン含有基、C1−C30炭化水素基、スルホン基又はスルホキシド基からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)であり、
Eは、窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、セレン含有基、リン含有基またはシアノ基(−CN)からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)であり、
Gは、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基または不活性な官能基からなる群から選ばれる基であり、
記号→は、単結合または二重結合を示し、
記号−は、共有結合またはイオン結合を示し、
記号---は、配位結合、共有結合またはイオン結合を示し、
R1〜R3は、それぞれ独立して水素、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基または不活性な官能基の群から選ばれる基であり、R22〜R31およびR39は、それぞれ独立して水素、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基の群から選ばれる基であり、ここでのこれらの基は同じであってもよいし、また互いに異なっていてもよく、隣接する基は、互いに結合しまたは環を形成していてもよく、
前記不活性な官能基は、ハロゲン原子、酸素含有基、窒素含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、硫黄含有基、スズ含有基、C1−C10エステル基またはニトロ基からなる群から選ばれる基であり、
前記置換C1−C30炭化水素基は、置換基としてハロゲン原子またはC1−C30アルキル基を一つ又は複数有するC1−C30炭化水素基からなる群から選ばれる基であり、
任意に、前記マグネシウム含有担体を、前記化学的処理剤および前記ケイ素化合物と接触させる前に、前記マグネシウム含有担体を、アルミノキサン、アルキルアルミニウムまたはその任意の組合せからなる群から選ばれる予備化学的処理剤によって予備処理する工程をさらに含みてもよい方法。
【請求項2】
上記一般式(X)は、式中、多くのRが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、それぞれ独立してC1-C4直鎖状又は分岐状のアルキルの群から選ばれ、多くのXがそれぞれ独立してClであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多孔質担体は、任意に熱活性化及び/又は前記第IVB族金属化合物で化学的活性化されてもよく、オレフィン単独重合体または共重合体、ポリビニルアルコールまたはその共重合体、シクロデキストリン、ポリエステルまたはコポリエステル、ポリアミドまたはコポリアミド、塩化ビニル単独重合体または共重合体、アクリレート単独重合体または共重合体、メタクリレート単独重合体または共重合体、スチレン単独重合体または共重合体、これらの単独重合体または共重合体が部分的に架橋されたもの、元素周期表において第IIA族、第IIIA族、第IVA族または第IVB族からなる群から選ばれる金属元素の耐火性酸化物または耐火性複合酸化物、クレイ、モレキュラーシーブ、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト及びケイソウ土からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、前記マグネシウム化合物は、マグネシウムハロゲン化物、アルコキシマグネシウムハロゲン化物、アルコキシマグネシウム、アルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハロゲン化物およびアルキルアルコキシマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記多孔質担体は、架橋されたスチレン重合体、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカ・アルミナ、マグネシア・アルミナ、酸化チタン、モレキュラーシーブ及びモンモリロナイトからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、前記マグネシウム化合物はマグネシウムハロゲン化物の群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一溶媒は、C〜C12芳香族炭化水素及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、前記第二溶媒は、C〜C12芳香族炭化水素、ジクロロメタン、及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、前記アルコールは、C1−30脂肪族アルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種である、(ここで、アルコールは、要すれば、ハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基からなる群から選ばれる置換基によって置換されていてもよい。)ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記非メタロセン錯体は、次の化学構造式を有する化合物(A)および化合物(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
【化4】
Fは、窒素原子、窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、セレン含有基またはリン含有基からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記非メタロセン錯体は、次の化学構造式を有する化合物(A−1)ないし化合物(A−4)および化合物(B−1)ないし化合物(B−4)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
【化5】
Yは、酸素原子、窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、セレン含有基またはリン含有基からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)であり、
Zは、窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、セレン含有基、リン含有基またはシアノ基(−CN)からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)であり、
R4、R6〜R21は、それぞれ独立して水素、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基または不活性な官能基の群から選ばれる基であり、ここでのこれらの基は同じであってもよいし、また互いに異なっていてもよく、隣接する基は、互いに結合しまたは環を形成していてもよく、
前記不活性な官能基は、ハロゲン原子、酸素含有基、窒素含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、硫黄含有基、スズ含有基、C1−C10エステル基またはニトロ基からなる群から選ばれる基であり、
R5は、窒素原子上の孤立電子対、水素、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、セレン含有基またはリン含有基からなる群から選ばれる基であり、R5が、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、セレン含有基またはリン含有基である場合には、R5基中のN、O、S、PおよびSeは配位原子としてもよく、
前記置換C1−C30炭化水素基は、置換基としてハロゲン原子またはC1−C30アルキル基を一つ又は複数有するC1−C30炭化水素基からなる群から選ばれる基であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法において、
前記ハロゲン原子は、F、Cl、BrまたはIからなる群から選ばれる基であり、
前記窒素含有基は、
【化6】
、-NR23R24、-T-NR23R24又は-N(O)R25R26からなる群から選ばれる基であり、
前記リン含有基は、
【化7】
、-PR28R29、-P(O)R30R31又は-P(O)R32(OR33)からなる群から選ばれる基であり、
前記酸素含有基は、ヒドロキシル基、-OR34及び-T-OR34からなる群から選ばれる基であり、
前記硫黄含有基は、-SR35、-T-SR35、-S(O)R36または-T-SO2R37からなる群から選ばれる基であり、
前記セレン含有基は、-SeR38、-T-SeR38、-Se(O)R39または-T-Se(O)R39からなる群から選ばれる基であり、
前記T基は、C1−C30炭化水素基又は置換C1−C30炭化水素基からなる群から選ばれる基であり、
R32〜R36およびR38は、それぞれ独立して水素、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基の群から選ばれる基であり、ここでのこれらの基は同じであってもよいし、また互いに異なっていてもよく、隣接する基は、互いに結合しまたは環を形成していてもよく、
前記不活性な官能基は、ハロゲン原子、酸素含有基、窒素含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、硫黄含有基、スズ含有基、C1−C10エステル基またはニトロ基からなる群から選ばれる基であり、
前記R37基は、水素、C1−C30炭化水素基又は置換C1−C30炭化水素基からなる群から選ばれる基であり、
前記C1−C30炭化水素基は、C1−C30アルキル基、C7−C30アルキルアリール基、C7−C30アラルキル基、C3−C30環状アルキル基、C2−C30アルケニル基、C2−C30アルキニル基、C6−C30アリール基、C8−C30縮合環基又はC4−C30ヘテロ環基からなる群から選ばれる基であり、ここで前記ヘテロ環基は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1−3含み、
前記ホウ素含有基は、BF4-、(C6F5)4B-又は(R40BAr3)-からなる群から選ばれる基であり、
前記アルミニウム含有基は、アルキルアルミニウム、AlPh4-、AlF4-、AlCl4-、AlBr4-、AlI4-またはR41AlAr3-からなる群から選ばれる基であり、
前記ケイ素含有基は、-SiR42R43R44又は-T-SiR45からなる群から選ばれる基であり、
前記ゲルマニウム含有基は、-GeR46R47R48又は-T-GeR49からなる群から選ばれる基であり、
前記スズ含有基は、-SnR50R51R52、-T-SnR53又は-T-Sn(O)R54からなる群から選ばれる基であり、
前記Arは、C6−C30アリール基であり、
R40〜R54は、それぞれ独立して水素、前記C1−C30炭化水素基又は前記置換C1−C30炭化水素基からなる群から選ばれる基であり、ここでこれらの基は同じであってもよいし、また互いに異なっていてもよく、隣接する基は互いに結合しまたは環を形成していてもよく、そして、
基Tは、前記規定と同じであることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記非メタロセン錯体は、次の化学構造式を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である
【化8】
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記非メタロセン錯体は、次の化学構造式を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である
【化9】
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対75−400mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対0.02−4.00であり、前記マグネシウム化合物(マグネシウム化合物固体基準)の前記多孔質担体に対する質量比は、1対0.1−20であり、前記沈殿剤の前記第一溶媒に対する体積比は、1対0.2−5であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.01−1であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.01−1であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.01−1であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記予備化学的処理剤(Al元素基準)に対するモル比は、1対0−1.0であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記沈殿剤は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロデカン、シクロノナン、ジクロロメタン、ジクロロヘキサン、ジクロロヘプタン、トリクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロブタン、ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモヘプタン、トリブロモメタン、トリブロモエタン、トリブロモブタン、塩素化シクロヘキサン、塩素化シクロペンタン、塩素化シクロヘプタン、塩素化シクロデカン、塩素化シクロノナン、塩素化シクロオクタン、臭素化シクロヘキサン、臭素化シクロペンタン、臭素化シクロヘプタン、臭素化シクロデカン、臭素化シクロノナン及び臭素化シクロオクタンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第IVB族金属化合物は、第IVB族金属ハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記アルミノキサンは、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンおよびn−ブチルアルミノキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記アルキルアルミニウムは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソアミルアルミニウム、トリn−アミルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリイソヘキシルアルミニウム、ジエチルメチルアルミニウムおよびエチルジメチルアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
オレフィンの単独重合/共重合方法であって、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法によってオレフィン重合用担持型非メタロセン触媒を製造する工程と
前記オレフィン重合用担持型非メタロセン触媒を主触媒とし、アルミノキサン、アルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、フルオロボラン、アルキルボロンおよびアルキルボロンアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を助触媒とし、オレフィンを単独重合又は共重合させる工程と
を備えることを特徴とするオレフィンの単独重合/共重合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非メタロセン触媒に関する。具体的には、本発明は、担持型非メタロセン触媒、その製造方法およびオレフィンの単独重合/共重合におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポスト−メタロセン触媒とも称される非メタロセン触媒は、1990年代の半ば及び終わりに見出されており、その主触媒の中心原子には遷移金属元素のほぼすべてが含まれる。非メタロセン触媒は、性能のいくつかの点に関して、メタロセン触媒に対比しそれを上回っており、チ−グラー触媒、チ−グラー・ナッタ触媒およびメタロセン触媒に続く、オレフィン重合用の第4世代触媒となる。そのような触媒によって製造されたポリオレフィン産品は、好適な特性を示し、そして生産コストの低いことを特徴とする。非メタロセン触媒の配位原子は、酸素、窒素、硫黄およびリンからなり、シクロペンタジエン基又はその誘導体(例えば、インデン基もしくはフロオレン基など)は含まれていない。非メタロセン触媒は、その中心イオンが比較的強い求電子性を示し、ならびに、σ−結合の移動およびオレフィンの挿入に有利なシス−アルキルもしくはハロゲン化金属型の中心構造を有し、中心金属が容易にアルキル化され、カチオン型活性中心の生成を容易にするということを特徴とする。このように生成された錯体は、制限された幾何学配置を有し、立体選択性、電気陰性およびキラル可調整性を有する。更に、形成された金属−炭素結合は容易に分極し、オレフィンの単独重合および共重合を更に容易にする。これらの理由から、比較的高い重合温度下であっても、比較的高い分子量を有するオレフィンポリマーを得ることが可能である。
【0003】
しかしながら、オレフィン重合反応において、均一相触媒は、活性持続期間が短い、反応容器が汚れ付着になりやすい、助触媒としてのメチルアルミノキサンの消費が高い、および形成されたポリマーにおける望ましくない低分子量または高分子量などの問題点の影響を受けるから、オレフィンの溶液重合プロセスもしくは高圧重合プロセスにおいて限られた用途しか見出されず、それによって工業的により広い用途が阻害される、ということが知られている。
【0004】
通常の方法により、非メタロセン触媒が、ある担持化手法で、担持型触媒に形成させることによって、得られたポリマーの粒子モルフォロジーおよび重合における触媒の性能を向上させることができる。このことは、触媒の初期活性の穏やかな低減、触媒の活性持続期間の延長、重合中におけるケーキングもしくはフラッシュ反応の排除もしくは緩和、ポリマーモルフォロジーの向上、およびポリマーの見かけ密度の増大などに反映され、従って、その用途は他の重合方法、例えば、気相重合もしくはスラリー重合などへ拡がっている。
【0005】
中国特許第CN200910180602.9とCN200910180605.2号は、マグネシウム化合物を担体として担持型非メタロセン触媒を製造する方法に関する。しかしながら、劣るポリマーの粒子モルフォロジーという問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許第CN200910180602.9号
【特許文献2】中国特許第CN200910180605.2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、現状は、従来技術の担持型非メタロセン触媒に関連する問題点を伴わず、工業的規模でおよび簡単な方法で好適に製造することができる担持型非メタロセン触媒の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、従来技術に基づいて、鋭意検討の結果、特定の製造方法で担持型非メタロセン触媒を製造することにより、上記問題点が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の担持型非メタロセン触媒の製造方法によれば、プロトン受容体(例えば本分野でこの目的のためによく使用されるもの)の使用は必要とされない。本発明の担持型非メタロセン触媒の製造方法によれば、電子供与体(例えば本分野でチ−グラー触媒又はチ−グラー・ナッタ触媒の製造のためによく使用されるモノエステル類、ジエステル類、ジエ―テル類、ジケトン類又はグリコールエステル類などの化合物)の使用は必要とされない。本発明の担持型非メタロセン触媒の製造方法によれば、厳しい反応要求および反応条件も必要とされない。これらの理由から、本発明の担持型非メタロセン触媒は、製造が容易であって、かつ工業規模での製造に好適である。
【0010】
本発明の第一実施態様によれば、担持型非メタロセン触媒を製造するための方法であって、
アルコールの存在下で、マグネシウム化合物を第一溶媒に溶解させて、マグネシウム化合物の溶液を得る工程、
多孔質担体と前記マグネシウム化合物の溶液とを混合させて、第一混合スラリーを得る工程、
前記第一混合スラリーを乾燥し、又は前記第一混合スラリーに沈殿剤を添加して、マグネシウム含有担体を得る工程、
前記マグネシウム含有担体を、第IVB族金属化合物の群から選ばれる化学的処理剤および次の一般式(X):
Si(OR)mX4-m (X)
[式中、多くのRが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、それぞれ独立してC1-C8直鎖状又は分岐状のアルキルの群から選ばれ、好ましくは、それぞれ独立してC1-C4直鎖状又は分岐状のアルキルの群から選ばれ、好ましくは、いずれもエチルであり、
mは、0、1、2、3または4であり、
多くのXが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲン原子の群から選ばれ、好ましくは、Clである。]で示されるケイ素化合物と接触させて、修飾マグネシウム含有担体を得る工程、ならびに
第二溶媒の存在下で、前記修飾マグネシウム含有担体を、非メタロセン錯体と接触させて、前記担持型非メタロセン触媒を得る工程
を含む方法に関する。
【0011】
本発明の第二実施態様によれば、担持型非メタロセン触媒を製造するための方法であって、
アルコールの存在下で、マグネシウム化合物を第一溶媒に溶解させて、マグネシウム化合物の溶液を得る工程、
前記マグネシウム化合物の溶液を乾燥し、又は前記マグネシウム化合物の溶液に沈殿剤を添加して、マグネシウム含有担体を得る工程、
前記マグネシウム含有担体を、第IVB族金属化合物の群から選ばれる化学的処理剤および次の一般式(X):
Si(OR)mX4-m (X)
[式中、多くのRが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、それぞれ独立してC1-C8直鎖状又は分岐状のアルキルの群から選ばれ、好ましくは、それぞれ独立してC1-C4直鎖状又は分岐状のアルキルの群から選ばれ、好ましくは、いずれもエチルであり、
mは、0、1、2、3または4であり、
多くのXが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲン原子の群から選ばれ、好ましくは、Clである。]で示されるケイ素化合物と接触させて、修飾マグネシウム含有担体を得る工程、ならびに
第二溶媒の存在下で、前記修飾マグネシウム含有担体を、非メタロセン錯体と接触させて、前記担持型非メタロセン触媒を得る工程
を含む方法に関する。
【0012】
本発明は、さらに
前記のいずれかの実施態様によって製造されたものである担持型非メタロセン触媒、
前記の担持型非メタロセン触媒を主触媒とし、アルミノキサン、アルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、フルオロボラン、アルキルボロンおよびアルキルボロンアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を助触媒とし、オレフィンを単独重合又は共重合させる、オレフィンの単独重合/共重合方法、
前記のいずれかの実施態様によって、担持型非メタロセン触媒を製造する工程、及び得られた担持型非メタロセン触媒を主触媒とし、アルミノキサン、アルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、フルオロボラン、アルキルボロンおよびアルキルボロンアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を助触媒とし、オレフィンを単独重合又は共重合させる工程を含む方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の担持型非メタロセン触媒の製造方法プロセスは、簡単であって容易に実施されるものである。また、活性成分の担持量の調節が可能である。オレフィン重合を触媒してポリオレフィン生成物を得る性能を十分に発揮させることができる。
【0014】
さらに、触媒系が、本発明で得られた担持型非メタロセン触媒と助触媒とを使用することによって構成される場合、比較的少量の助触媒(例えば、メチルアルミノキサンもしくはトリエチルアルミニウム)だけで、比較的高いオレフィン重合活性を達成することができ、共重合に使用される時に、顕著な共重合単量体効果を示し、即ち、相対的同じ条件で、共重合活性が単独重合活性より高くことが発見された。
【0015】
本発明に記載されたオレフィンの単独重合/共重合方法で得られたポリオレフィン生成物(例えば、ポリエチレン)は、優れたポリマーのモルフォロジー、比較的高い嵩密度、比較的狭いポリマーの分子量分布を示す。さらに、本発明に記載された触媒の製造方法で得られた担持型非メタロセン触媒を使用し、水素ガスが存在しない条件下でエチレンを単独重合させると、分子量の比較的高く調節可能な超高分子量ポリエチレンを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施態様を具体的に説明する。しかしながら、ここで明言したいのは、本発明の保護範囲はこれらの実施態様に制限されなく、添付した特許請求の範囲によって確定される。
【0017】
本明細書中で、特に断わらない又は当業者の理解を超えない限り、炭素数が3以上である炭化水素の基又は炭化水素の誘導体の基(例えば、プロピル、プロポキシ、ブチル、ブタン、ブテン、ブテニル、ヘキサン等が挙げられる)は、“n−”又は“ノーマル”といった接頭辞が付けられない時、当該接頭辞が付けられるようにして理解される。例えば、通常、プロピルが“n−プロピル”と理解され、ブタンが“n−ブタン”と理解される。
【0018】
本明細書中で、複雑な叙述を回避するために、化合物の各置換基又は基について、その置換基又は基の結合価が一価、二価、三価又は四価等であるかのことが明記されないが、当業者は、これらの置換基又は基(例えば、本明細書中で記載又は定義された基G、D、B、AやF等が挙げられる。)が所属する化合物の化学構造において、どの位置にあるか又はどのように置換しているかのことによって、これらの置換基又は基の結合価を具体的に判断し、本明細書中で該置換基又は基の定義に当該結合価を付けることができる。
【0019】
本発明の第一実施態様によれば、担持型非メタロセン触媒を製造するための方法であって、
アルコールの存在下で、マグネシウム化合物を第一溶媒に溶解させて、マグネシウム化合物の溶液を得る工程、
多孔質担体と前記マグネシウム化合物の溶液とを混合させて、第一混合スラリーを得る工程、
前記第一混合スラリーを乾燥し、又は前記第一混合スラリーに沈殿剤を添加して、マグネシウム含有担体を得る工程、
前記マグネシウム含有担体を、第IVB族金属化合物の群から選ばれる化学的処理剤および一般式(X)で示されるケイ素化合物と接触させて、修飾マグネシウム含有担体を得る工程、ならびに
第二溶媒の存在下で、前記修飾マグネシウム含有担体を、非メタロセン錯体と接触させて、前記担持型非メタロセン触媒を得る工程
を含む方法に関する。
【0020】
本発明の第二実施態様によれば、担持型非メタロセン触媒を製造するための方法であって、
アルコールの存在下で、マグネシウム化合物を第一溶媒に溶解させて、マグネシウム化合物の溶液を得る工程、
前記マグネシウム化合物の溶液を乾燥し、又は前記マグネシウム化合物の溶液に沈殿剤を添加して、マグネシウム含有担体を得る工程、
前記マグネシウム含有担体を、第IVB族金属化合物の群から選ばれる化学的処理剤および一般式(X)で示されるケイ素化合物と接触させて、修飾マグネシウム含有担体を得る工程、ならびに
第二溶媒の存在下で、前記修飾マグネシウム含有担体を、非メタロセン錯体と接触させて、前記担持型非メタロセン触媒を得る工程
を含む方法に関する。
【0021】
以下、前記マグネシウム化合物を具体的に説明する。
【0022】
本発明により、用語“マグネシウム化合物”とは、本分野で周知されるように、担持型オレフィン重合用触媒の担体としてよく使用される有機又は無機の無水マグネシウム含有化合物(固体)を意味する。
【0023】
本発明により、前記マグネシウム化合物として、例えば、マグネシウムハロゲン化物、アルコキシマグネシウムハロゲン化物、アルコキシマグネシウム、アルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハロゲン化物およびアルキルアルコキシマグネシウムが例示される。
【0024】
具体的に、前記マグネシウムハロゲン化物として、例えば、塩化マグネシウム(MgCl2)、臭化マグネシウム(MgBr2)、ヨウ化マグネシウム(MgI2)およびフッ化マグネシウム(MgF2)などが例示される。塩化マグネシウムがこのましい。
【0025】
前記アルコキシマグネシウムハロゲン化物として、例えば、メトキシ塩化マグネシウム(Mg(OCH3)Cl)、エトキシ塩化マグネシウム(Mg(OC2H5)Cl)、プロポキシ塩化マグネシウム(Mg(OC3H7)Cl)、n−ブトキシ塩化マグネシウム(Mg(OC4H9)Cl)、イソブトキシ塩化マグネシウム(Mg(i-OC4H9)Cl)、メトキシ臭化マグネシウム(Mg(OCH3)Br)、エトキシ臭化マグネシウム(Mg(OC2H5)Br)、プロポキシ臭化マグネシウム(Mg(OC3H7)Br)、n−ブトキシ臭化マグネシウム(Mg(OC4H9)Br)、イソブトキシ臭化マグネシウム(Mg(i-OC4H9)Br)、メトキシヨウ化マグネシウム(Mg(OCH3)I)、エトキシヨウ化マグネシウム(Mg(OC2H5)I)、プロポキシヨウ化マグネシウム(Mg(OC3H7)I)、n−ブトキシヨウ化マグネシウム(Mg(OC4H9)I)およびイソブトキシヨウ化マグネシウム(Mg(i-OC4H9)I)などが例示される。メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウムおよびイソブトキシ塩化マグネシウムがこのましい。
【0026】
前記アルコキシマグネシウムとして、例えば、メトキシマグネシウム(Mg(OCH3)2)、エトキシマグネシウム(Mg(OC2H5)2)、プロポキシマグネシウム(Mg(OC3H7)2)、ブトキシマグネシウム(Mg(OC4H9)2)、イソブトキシマグネシウム(Mg(i-OC4H9)2)および2-エチルヘキシルオキシマグネシウム(Mg(OCH2CH(C2H5)C4H)2)などが例示される。エトキシマグネシウムおよびイソブトキシマグネシウムがこのましい。
【0027】
前記アルキルマグネシウムとして、例えば、メチルマグネシウム(Mg(CH3)2)、エチルマグネシウム(Mg(C2H5)2)、プロピルマグネシウム(Mg(C3H7)2)、n-ブチルマグネシウム(Mg(C4H9)2)およびイソブチルマグネシウム(Mg(i-C4H9)2)などが例示される。エチルマグネシウムおよびn-ブチルマグネシウムがこのましい。
【0028】
前記アルキルマグネシウムハロゲン化物として、例えば、メチル塩化マグネシウム(Mg(CH3)Cl)、エチル塩化マグネシウム(Mg(C2H5)Cl)、プロピル塩化マグネシウム(Mg(C3H7)Cl)、n-ブチル塩化マグネシウム(Mg(C4H9)Cl)、イソブチル塩化マグネシウム(Mg(i-C4H9)Cl)、メチル臭化マグネシウム(Mg(CH3)Br)、エチル臭化マグネシウム(Mg(C2H5)Br)、プロピル臭化マグネシウム(Mg(C3H7)Br)、n-ブチル臭化マグネシウム(Mg(C4H9)Br)、イソブチル臭化マグネシウム(Mg(i-C4H9)Br)、メチルヨウ化マグネシウム(Mg(CH3)I)、エチルヨウ化マグネシウム(Mg(C2H5)I)、プロピルヨウ化マグネシウム(Mg(C3H7)I)、n-ブチルヨウ化マグネシウム(Mg(C4H9)I)およびイソブチルヨウ化マグネシウム(Mg(i-C4H9)I)などが例示される。メチル塩化マグネシウム、エチル塩化マグネシウムおよびイソブチル塩化マグネシウムがこのましい。
【0029】
前記アルキルアルコキシマグネシウムとして、例えば、メチルメトキシマグネシウム(Mg(OCH3)(CH3))、メチルエトキシマグネシウム(Mg(OC2H5)(CH3))、メチルプロポキシマグネシウム(Mg(OC3H7)(CH3))、メチルn−ブトキシマグネシウム(Mg(OC4H9)(CH3))、メチルイソブトキシマグネシウム(Mg(i-OC4H9)(CH3))、エチルメトキシマグネシウム(Mg(OCH3)(C2H5))、エチルエトキシマグネシウム(Mg(OC2H5)(C2H5))、エチルプロポキシマグネシウム(Mg(OC3H7)(C2H5))、エチルn−ブトキシマグネシウム(Mg(OC4H9)(C2H5))、エチルイソブトキシマグネシウム(Mg(i-OC4H9)(C2H5))、プロピルメトキシマグネシウム(Mg(OCH3)(C3H7))、プロピルエトキシマグネシウム(Mg(OC2H5)(C3H7))、プロピルプロポキシマグネシウム(Mg(OC3H7)(C3H7))、プロピルn−ブトキシマグネシウム(Mg(OC4H9)(C3H7))、プロピルイソブトキシマグネシウム(Mg(i-OC4H9)(C3H7))、n-ブチルメトキシマグネシウム(Mg(OCH3)(C4H9))、n-ブチルエトキシマグネシウム(Mg(OC2H5)(C4H9))、n-ブチルプロポキシマグネシウム(Mg(OC3H7)(C4H9))、n-ブチルn−ブトキシマグネシウム(Mg(OC4H9)(C4H9))、n-ブチルイソブトキシマグネシウム(Mg(i-OC4H9)(C4H9))、イソブチルメトキシマグネシウム(Mg(OCH3)(i-C4H9))、イソブチルエトキシマグネシウム(Mg(OC2H5) (i-C4H9))、イソブチルプロポキシマグネシウム(Mg(OC3H7) (i-C4H9))、イソブチルn−ブトキシマグネシウム(Mg(OC4H9)(i-C4H9))およびイソブチルイソブトキシマグネシウム(Mg(i-OC4H9)(i-C4H9))などが例示される。ブチルエトキシマグネシウムがこのましい。
【0030】
これらのマグネシウム化合物は、単独でも、また2種以上を併用してもよく、特に制限されない。
【0031】
例えば、2種以上の混合物として使用する場合、そのマグネシウム化合物の混合物中において、任意の2種のマグネシウム化合物の間のモル比は、例えば、0.25〜4対1、好ましくは0.5〜3対1、最も好ましくは1〜2対1である。
【0032】
以下、前記マグネシウム化合物の溶液を得るための工程を具体的に説明する。
【0033】
この工程によれば、アルコールの存在下で、マグネシウム化合物を第一溶媒(マグネシウム化合物を溶解するための溶媒とも呼ばれる。)に溶解させて、前記のマグネシウム化合物の溶液を得る。
【0034】
当該第一溶媒としては、例えば、C〜C12芳香族炭化水素、ハロゲン化C〜C12芳香族炭化水素、エステル及びエーテルなどの溶媒が例示される。
【0035】
当該C〜C12芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼンが例示される。
【0036】
当該ハロゲン化C〜C12芳香族炭化水素としては、例えば、クロロ−トルエン、クロロ−エチルベンゼン、ブロモ−トルエン、ブロモ−エチルベンゼンが例示される。
【0037】
当該エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ブチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、メチルプロピオナート、エチルプロピオナート、プロピルプロピオナート、ブチルプロピオナート、ブチルブチレートが例示される。
【0038】
当該エーテルとしては、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフランが例示される。
【0039】
中には、C〜C12芳香族炭化水素及びテトラヒドロフランが好ましい。テトラヒドロフランが最も好ましい。
【0040】
これらの溶媒は、1種でも、または任意の割合で2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0041】
本発明により、“アルコール”とは、炭化水素(例えば、C1−30炭化水素)の分子鎖にある少なくとも一つの水素原子が水酸基で置換された化合物を意味する。
【0042】
当該アルコールとしては、例えば、C1−30脂肪族アルコール(C1−30脂肪族一価アルコールが好ましい。)、C6−30芳香族アルコール(C6−30芳香族一価アルコールが好ましい。)およびC4−30脂環式アルコール(C4−30脂環式一価アルコールが好ましい。)などが例示される。C1−30脂肪族一価アルコール又はC2−8脂肪族一価アルコールがさらに好ましい。エタノールおよびブタノールがより好ましい。ここで、アルコールは、要すれば、ハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基からなる群から選ばれる置換基によって置換されていてもよい。
【0043】
当該C1−30脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、2−メチルペンタノール、2−エチルペンタノール、2−ヘキシルブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノールが例示される。エタノール、ブタノールおよび2−エチルヘキサノールが好ましい。
【0044】
当該C6−30芳香族アルコールとしては、例えば、ベンジルアルコール、ベンゼンエタノール(フェネチルアルコール)およびメチルベンジルアルコールが例示される。ベンゼンエタノールが好ましい。
【0045】
当該C4−30脂環式アルコールとしては、例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、メチルシクロペンタノール、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロオクタノール、エチルシクロペンタノール、エチルシクロヘキサノール、エチルシクロオクタノール、プロピルシクロペンタノール、プロピルシクロヘキサノール、プロピルシクロオクタノールが例示される。シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノールが好ましい。
【0046】
当該ハロゲン原子置換されたアルコールとしては、例えば、トリクロロメタノール、トリクロロエタノールおよびトリクロロヘキサノールが例示される。トリクロロメタノールが好ましい。
【0047】
当該アルコキシ置換されたアルコールとしては、例えば、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテルおよび1−ブトキシ−2−プロパノールが例示される。エチレングリコールエチルエーテルが好ましい。
【0048】
これらのアルコールは、1種でも、または任意の割合で2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0049】
前記マグネシウム化合物の溶液を製造するために、前記マグネシウム化合物を、前記第一溶媒と前記アルコールとからなる混合溶剤に量り加えることにより、または前記マグネシウム化合物を、前記第一溶媒に量り加え、それと同時にまたはその後に、前記アルコールを量り加えることにより、溶解させば、特に制限されない。
【0050】
前記マグネシウム化合物の溶液の製造が要る時間(即ち、前記マグネシウム化合物の溶解が要る時間)については、特に制限されておらず、通常は0.5〜24時間であり、好ましくは4〜24時間である。この製造プロセスにおいて、前記マグネシウム化合物の溶解を促進するために、撹拌を使用することができる。この撹拌は、いずれの形態であってもよく、例えば、撹拌パドル(回転速度は通常10〜1000rpmである。)などであってもよい。必要であれば、適当に加熱することにより、溶解を促進させてもよい。
【0051】
本発明の第一実施態様によれば、多孔質担体と前記マグネシウム化合物の溶液とを混合させて、第一混合スラリーを得る。
【0052】
以下、前記多孔質担体を具体的に説明する。
【0053】
本発明により、前記多孔質担体として、本分野で担持型触媒を製造する時に担体としてよく使用される有機又は無機多孔質固体が例示される。
【0054】
具体的に、当該有機多孔質固体として、オレフィン単独重合体または共重合体、ポリビニルアルコールまたはその共重合体、シクロデキストリン、ポリエステルまたはコポリエステル、ポリアミドまたはコポリアミド、塩化ビニル単独重合体または共重合体、アクリレート単独重合体または共重合体、メタクリレート単独重合体または共重合体、及びスチレン単独重合体または共重合体など、ならびにこれらの単独重合体または共重合体が部分的に架橋されたものが例示される。部分的に架橋されたスチレン重合体(例えば、架橋度が2%以上100%未満であるもの)が好ましい。
【0055】
本発明により、当該有機多孔質固体の表面上には、ヒドロキシル基、一級アミノ基、二級アミノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミド基、N−モノ置換アミド基、スルホンアミド基、N−モノ置換スルホンアミド基、メルカプト基、イミド基、及びヒドラジド基から選択される少なくとも1種の活性官能基を有することが好ましい。カルボキシル基及びヒドロキシ基がより好適である。
【0056】
本発明により、使用の前に、前記有機多孔質固体を熱活性化及び/又は化学的活性化することが好ましい。
【0057】
本発明により、前記有機多孔質固体に対して、使用の前に、熱活性化のみを行なってもよい、化学的活性化のみを行なってもよい、又は使用の前に、任意の順序で順次的に熱活性化と化学的活性化を行なってもよい、特に制限されない。
【0058】
この熱活性化は、当業者に周知である方法で行われてもよい。例えば、不活性ガス雰囲気または減圧下で、前記有機多孔質固体を加熱することが例示される。ここでいう不活性ガス雰囲気とは、前記有機多孔質固体と反応しうる成分を極めて小量含有する又は含有していない雰囲気を意味する。この不活性ガス雰囲気としては、Nまたは希ガスの雰囲気が例示され、Nの雰囲気が好ましい。有機多孔質固体は熱に弱いので、当該熱活性化は、前記有機多孔質固体それ自体の構造及び基礎組成を破壊させないことを前提とする。通常、当該熱活性化にかかる温度は、50−400℃、好ましくは100−250℃であるが、当該熱活性化が要る時間は、1〜24時間、好ましくは2〜12時間である。
【0059】
前記有機多孔質固体が熱活性化/化学的活性化の後に不活性ガス雰囲気下で正圧で保存される必要があることは当業者に周知である。
【0060】
当該無機多孔質固体として、元素周期表において第IIA族、第IIIA族、第IVA族または第IVB族からなる群から選ばれる金属元素の耐火性酸化物(例えば、シリコンダイオキサイド(シリカ又はシリカゲルとも呼ばれる)、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、ジルコニア又はトリウムオキシドなどが例示される。)またはこれらの金属元素の任意の耐火性複合酸化物(例えば、シリカ・アルミナ、マグネシア・アルミナ、シリカ・チタニア、チタニア・マグネシア及びチタニア・アルミナなどが例示される。)、クレイ、モレキュラーシーブ(ZSM−5及びMCM−41が例示される。)、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト及びケイソウ土などが例示される。当該無機多孔質固体として、さらに、気体状金属ハロゲン化物または気体状ケイ素化合物を高温下で加水分解することによって調製された酸化物(四塩化ケイ素を高温で加水分解することによって調製されたシリカが例示される。)、又は三塩化アルミニウムを高温下で加水分解することによって調製されたアルミナなどが例示される。
【0061】
当該無機多孔質固体として、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカ・アルミナ、マグネシア・アルミナ、チタニア・シリカ、酸化チタン、モレキュラーシーブ及びモンモリロナイトなどが好ましい。より好ましくはシリカである。
【0062】
本発明により、適当なシリカは、通常の方法で調製されたものでもよいし、また任意の市販されているものでもよい。例えば、Grace社のGrace 955、Grace 948、Grace SP9-351、Grace SP9-485、Grace SP9-10046、Davsion Syloid 245及びAerosil 812,Ineos社のES70、ES70X、ES70Y、ES70W、ES757、EP10X及びEP11、ならびにPQ社のCS-2133及びMS-3040が例示される。
【0063】
本発明により、当該無機多孔質固体の表面上には、ヒドロキシル基などの活性官能基を有することが好ましい。
【0064】
本発明により、使用の前に、前記無機多孔質固体を熱活性化及び/又は化学的活性化することが好ましい。
【0065】
本発明により、前記無機多孔質固体に対して、使用の前に、熱活性化のみを行なってもよい、化学的活性化のみを行なってもよい、又は使用の前に、任意の順序で順次的に熱活性化と化学的活性化を行なってもよい、特に制限されない。
【0066】
この熱活性化は、当業者に周知である方法で行われてもよい。例えば、不活性ガス雰囲気または減圧下で、前記無機多孔質固体を加熱することが例示される。ここでいう不活性ガス雰囲気とは、前記無機多孔質固体と反応しうる成分を極めて小量含有する又は含有していない雰囲気を意味する。この不活性ガス雰囲気としては、Nまたは希ガスの雰囲気が例示され、Nの雰囲気が好ましい。通常、当該熱活性化にかかる温度は、200−800℃、好ましくは400−700℃、より好ましくは400−650℃であるが、当該熱活性化が要る時間は、0.5〜24時間、好ましくは2〜12時間、より好ましくは4〜8時間である。
【0067】
前記無機多孔質固体が熱活性化/化学的活性化の後に不活性ガス雰囲気下で正圧で保存される必要があることは当業者に周知である。
【0068】
本発明により、前記無機多孔質固体又は前記有機多孔質固体に対して行なわれた化学的活性化は、当業者に周知である方法で行われてもよい。例えば、化学的活性化剤で前記無機多孔質固体又は前記有機多孔質固体を化学的活性化することが例示される。
【0069】
以下、当該化学的活性化剤を具体的に説明する。
【0070】
本発明により、第IVB族金属化合物が前記化学的活性化剤に使用される。
【0071】
当該第IVB族金属化合物として、第IVB族金属ハロゲン化物、第IVB族金属アルキレート、第IVB族金属アルコキシレート、第IVB族金属アルキルハロゲン化物および第IVB族金属アルコキシハロゲン化物が例示される。
【0072】
前記の第IVB族金属ハロゲン化物、第IVB族金属アルキレート、第IVB族金属アルコキシレート、第IVB族金属アルキルハロゲン化物および第IVB族金属アルコキシハロゲン化物としては、例えば、次の一般式:
M(OR1)mXnR24-m−n
[式中、
mは、0、1、2、3もしくは4であり、
nは、0、1、2、3もしくは4であり、
Mは、元素周期表において第IVB族金属であり、例えばチタン、ジルコニウム及びハフニウムなどが例示され、
Xは、ハロゲン原子、例えばF、Cl、BrおよびIなどであり、
およびRは、それぞれ独立してC1-C10アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル等の群から選ばれ、RおよびRは同じであってもよいし、互いに異なってもよい。]
で示される化合物が例示される。
【0073】
具体的には、前記第IVB族金属ハロゲン化物として、例えば、チタンテトラフルオリド(TiF4)、チタンテトラクロリド(TiCl4)、チタンテトラブロミド(TiBr4)、チタンテトラアイオダイド(TiI4)、ジルコニウムテトラフルオリド(ZrF4)、ジルコニウムテトラクロリド(ZrCl4)、ジルコニウムテトラブロミド(ZrBr4)、ジルコニウムテトラアイオダイド(ZrI4)、ハフニウムテトラフルオリド(HfF4)、ハフニウムテトラクロリド(HfCl4)、ハフニウムテトラブロミド(HfBr4)、ハフニウムテトラアイオダイド(HfI4)が例示される。
【0074】
前記第IVB族金属アルキレートとして、例えば、テトラメチルチタン(Ti(CH3)4)、テトラエチルチタン(Ti(CH3CH2)4)、テトライソブチルチタン(Ti(i-C4H9)4)、テトラn-ブチルチタン(Ti(C4H9)4)、トリエチルメチルチタン(Ti(CH3)(CH3CH2)3)、ジエチルジメチルチタン(Ti(CH3)2(CH3CH2)2)、トリメチルエチルチタン(Ti(CH3)3(CH3CH2))、トリイソブチルメチルチタン(Ti(CH3)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジメチルチタン(Ti(CH3)2(i-C4H9)2)、トリメチルイソブチルチタン(Ti(CH3)3(i-C4H9))、トリイソブチルエチルチタン(Ti(CH3CH2)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジエチルチタン(Ti(CH3CH2)2(i-C4H9)2)、トリエチルイソブチルチタン(Ti(CH3CH2)3(i-C4H9))、トリn-ブチルメチルチタン(Ti(CH3)(C4H9)3)、ジn-ブチルジメチルチタン(Ti(CH3)2(C4H9)2)、トリメチルn-ブチルチタン(Ti(CH3)3(C4H9))、トリn-ブチルメチルチタン(Ti(CH3CH2)(C4H9)3)、ジn-ブチルジエチルチタン(Ti(CH3CH2)2(C4H9)2)、トリエチルn-ブチルチタン(Ti(CH3CH2)3(C4H9))など、
テトラメチルジルコニウム(Zr(CH3)4)、テトラエチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)4)、テトライソブチルジルコニウム(Zr(i-C4H9)4)、テトラn-ブチルジルコニウム(Zr(C4H9)4)、トリエチルメチルジルコニウム(Zr(CH3)(CH3CH2)3)、ジエチルジメチルジルコニウム(Zr(CH3)2(CH3CH2)2)、トリメチルエチルジルコニウム(Zr(CH3)3(CH3CH2))、トリイソブチルメチルジルコニウム(Zr(CH3)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジメチルジルコニウム(Zr(CH3)2(i-C4H9)2)、トリメチルイソブチルジルコニウム(Zr(CH3)3(i-C4H9))、トリイソブチルエチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジエチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)2(i-C4H9)2)、トリエチルイソブチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)3(i-C4H9))、トリn-ブチルメチルジルコニウム(Zr(CH3)(C4H9)3)、ジn-ブチルジメチルジルコニウム(Zr(CH3)2(C4H9)2)、トリメチルn-ブチルジルコニウム(Zr(CH3)3(C4H9))、トリn-ブチルメチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)(C4H9)3)、ジn-ブチルジエチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)2(C4H9)2)、トリエチルn-ブチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)3(C4H9))など、
テトラメチルハフニウム(Hf(CH3)4)、テトラエチルハフニウム(Hf(CH3CH2)4)、テトライソブチルハフニウム(Hf(i-C4H9)4)、テトラn-ブチルハフニウム(Hf(C4H9)4)、トリエチルメチルハフニウム(Hf(CH3)(CH3CH2)3)、ジエチルジメチルハフニウム(Hf(CH3)2(CH3CH2)2)、トリメチルエチルハフニウム(Hf(CH3)3(CH3CH2))、トリイソブチルメチルハフニウム(Hf(CH3)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジメチルハフニウム(Hf(CH3)2(i-C4H9)2)、トリメチルイソブチルハフニウム(Hf(CH3)3(i-C4H9))、トリイソブチルエチルハフニウム(Hf(CH3CH2)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジエチルハフニウム(Hf(CH3CH2)2(i-C4H9)2)、トリエチルイソブチルハフニウム(Hf(CH3CH2)3(i-C4H9))、トリn-ブチルメチルハフニウム(Hf(CH3)(C4H9)3)、ジn-ブチルジメチルハフニウム(Hf(CH3)2(C4H9)2)、トリメチルn-ブチルハフニウム(Hf(CH3)3(C4H9))、トリn-ブチルメチルハフニウム(Hf(CH3CH2)(C4H9)3)、ジn-ブチルジエチルハフニウム(Hf(CH3CH2)2(C4H9)2)、トリエチルn-ブチルハフニウム(Hf(CH3CH2)3(C4H9))などが例示される。
【0075】
前記第IVB族金属アルコキシレートとして、例えば、テトラメトキシチタン(Ti(OCH3)4)、テトラエトキシチタン(Ti(OCH3CH2)4)、テトライソブトキシチタン(Ti(i-OC4H9)4)、テトラn-ブトキシチタン(Ti(OC4H9)4)、トリエトキシメトキシチタン(Ti(OCH3)(OCH3CH2)3)、ジエトキシジメトキシチタン(Ti(OCH3)2(OCH3CH2)2)、トリメトキシエトキシチタン(Ti(OCH3)3(OCH3CH2))、トリイソブトキシメトキシチタン(Ti(OCH3)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジメトキシチタン(Ti(OCH3)2(i-OC4H9)2)、トリメトキシイソブトキシチタン(Ti(OCH3)3(i-OC4H9))、トリイソブトキシエトキシチタン(Ti(OCH3CH2)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジエトキシチタン(Ti(OCH3CH2)2(i-OC4H9)2)、トリエトキシイソブトキシチタン(Ti(OCH3CH2)3(i-OC4H9))、トリn-ブトキシメトキシチタン(Ti(OCH3)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジメトキシチタン(Ti(OCH3)2(OC4H9)2)、トリメトキシn-ブトキシチタン(Ti(OCH3)3(OC4H9))、トリn-ブトキシメトキシチタン(Ti(OCH3CH2)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジエトキシチタン(Ti(OCH3CH2)2(OC4H9)2)、トリエトキシn-ブトキシチタン(Ti(OCH3CH2)3(OC4H9))など、
テトラメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)4)、テトラエトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)4)、テトライソブトキシジルコニウム(Zr(i-OC4H9)4)、テトラn-ブトキシジルコニウム(Zr(OC4H9)4)、トリエトキシメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)(OCH3CH2)3)、ジエトキシジメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)2(OCH3CH2)2)、トリメトキシエトキシジルコニウム(Zr(OCH3)3(OCH3CH2))、トリイソブトキシメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)2(i-OC4H9)2)、トリメトキシイソブトキシジルコニウム(Zr(OCH3)3(i-C4H9))、トリイソブトキシエトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジエトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)2(i-OC4H9)2)、トリエトキシイソブトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)3(i-OC4H9))、トリn-ブトキシメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)2(OC4H9)2)、トリメトキシn-ブトキシジルコニウム(Zr(OCH3)3(OC4H9))、トリn-ブトキシメトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジエトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)2(OC4H9)2)、トリエトキシn-ブトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)3(OC4H9))など、
テトラメトキシハフニウム(Hf(OCH3)4)、テトラエトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)4)、テトライソブトキシハフニウム(Hf(i-OC4H9)4)、テトラn-ブトキシハフニウム(Hf(OC4H9)4)、トリエトキシメトキシハフニウム(Hf(OCH3)(OCH3CH2)3)、ジエトキシジメトキシハフニウム(Hf(OCH3)2(OCH3CH2)2)、トリメトキシエトキシハフニウム(Hf(OCH3)3(OCH3CH2))、トリイソブトキシメトキシハフニウム(Hf(OCH3)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジメトキシハフニウム(Hf(OCH3)2(i-OC4H9)2)、トリメトキシイソブトキシハフニウム(Hf(OCH3)3(i-OC4H9))、トリイソブトキシエトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジエトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)2(i-OC4H9)2)、トリエトキシイソブトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)3(i-C4H9))、トリn-ブトキシメトキシハフニウム(Hf(OCH3)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジメトキシハフニウム(Hf(OCH3)2(OC4H9)2)、トリメトキシn-ブトキシハフニウム(Hf(OCH3)3(OC4H9))、トリn-ブトキシメトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジエトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)2(OC4H9)2)、トリエトキシn-ブトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)3(OC4H9))などが例示される。
【0076】
前記第IVB族金属アルキルハロゲン化物として、例えば、トリメチルクロロチタン(TiCl(CH3)3)、トリエチルクロロチタン(TiCl(CH3CH2)3)、トリイソブチルクロロチタン(TiCl(i-C4H9)3)、トリn-ブチルクロロチタン(TiCl(C4H9)3)、ジメチルジクロロチタン(TiCl2(CH3)2)、ジエチルジクロロチタン(TiCl2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジクロロチタン(TiCl2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルクロロチタン(TiCl(C4H9)3)、メチルトリクロロチタン(Ti(CH3)Cl3)、エチルトリクロロチタン(Ti(CH3CH2)Cl3)、イソブチルトリクロロチタン(Ti(i-C4H9)Cl3)、n-ブチルトリクロロチタン(Ti(C4H9)Cl3)、
トリメチルブロモチタン(TiBr(CH3)3)、トリエチルブロモチタン(TiBr(CH3CH2)3)、トリイソブチルブロモチタン(TiBr(i-C4H9)3)、トリn-ブチルブロモチタン(TiBr(C4H9)3)、ジメチルジブロモチタン(TiBr2(CH3)2)、ジエチルジブロモチタン(TiBr2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジブロモチタン(TiBr2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルブロモチタン(TiBr(C4H9)3)、メチルトリブロモチタン(Ti(CH3)Br3)、エチルトリブロモチタン(Ti(CH3CH2)Br3)、イソブチルトリブロモチタン(Ti(i-C4H9)Br3)、n-ブチルトリブロモチタン(Ti(C4H9)Br3)、
トリメチルクロロジルコニウム(ZrCl(CH3)3)、トリエチルクロロジルコニウム(ZrCl(CH3CH2)3)、トリイソブチルクロロジルコニウム(ZrCl(i-C4H9)3)、トリn-ブチルクロロジルコニウム(ZrCl(C4H9)3)、ジメチルジクロロジルコニウム(ZrCl2(CH3)2)、ジエチルジクロロジルコニウム(ZrCl2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジクロロジルコニウム(ZrCl2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルクロロジルコニウム(ZrCl(C4H9)3)、メチルトリクロロジルコニウム(Zr(CH3)Cl3)、エチルトリクロロジルコニウム(Zr(CH3CH2)Cl3)、イソブチルトリクロロジルコニウム(Zr(i-C4H9)Cl3)、n-ブチルトリクロロジルコニウム(Zr(C4H9)Cl3)、
トリメチルブロモジルコニウム(ZrBr(CH3)3)、トリエチルブロモジルコニウム(ZrBr(CH3CH2)3)、トリイソブチルブロモジルコニウム(ZrBr(i-C4H9)3)、トリn-ブチルブロモジルコニウム(ZrBr(C4H9)3)、ジメチルジブロモジルコニウム(ZrBr2(CH3)2)、ジエチルジブロモジルコニウム(ZrBr2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジブロモジルコニウム(ZrBr2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルブロモジルコニウム(ZrBr(C4H9)3)、メチルトリブロモジルコニウム(Zr(CH3)Br3)、エチルトリブロモジルコニウム(Zr(CH3CH2)Br3)、イソブチルトリブロモジルコニウム(Zr(i-C4H9)Br3)、n-ブチルトリブロモジルコニウム(Zr(C4H9)Br3)、
トリメチルクロロハフニウム(HfCl(CH3)3)、トリエチルクロロハフニウム(HfCl(CH3CH2)3)、トリイソブチルクロロハフニウム(HfCl(i-C4H9)3)、トリn-ブチルクロロハフニウム(HfCl(C4H9)3)、ジメチルジクロロハフニウム(HfCl2(CH3)2)、ジエチルジクロロハフニウム(HfCl2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジクロロハフニウム(HfCl2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルクロロハフニウム(HfCl(C4H9)3)、メチルトリクロロハフニウム(Hf(CH3)Cl3)、エチルトリクロロハフニウム(Hf(CH3CH2)Cl3)、イソブチルトリクロロハフニウム(Hf(i-C4H9)Cl3)、n-ブチルトリクロロハフニウム(Hf(C4H9)Cl3)、
トリメチルブロモハフニウム(HfBr(CH3)3)、トリエチルブロモハフニウム(HfBr(CH3CH2)3)、トリイソブチルブロモハフニウム(HfBr(i-C4H9)3)、トリn-ブチルブロモハフニウム(HfBr(C4H9)3)、ジメチルジブロモハフニウム(HfBr2(CH3)2)、ジエチルジブロモハフニウム(HfBr2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジブロモハフニウム(HfBr2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルブロモハフニウム(HfBr(C4H9)3)、メチルトリブロモハフニウム(Hf(CH3)Br3)、エチルトリブロモハフニウム(Hf(CH3CH2)Br3)、イソブチルトリブロモハフニウム(Hf(i-C4H9)Br3)、n-ブチルトリブロモハフニウム(Hf(C4H9)Br3)が例示される。
【0077】
前記第IVB族金属アルコキシハロゲン化物として、例えば、トリメトキシクロロチタン(TiCl(OCH3)3)、トリエトキシクロロチタン(TiCl(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシクロロチタン(TiCl(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシクロロチタン(TiCl(OC4H9)3)、ジメトキシジクロロチタン(TiCl2(OCH3)2)、ジエトキシジクロロチタン(TiCl2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジクロロチタン(TiCl2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシクロロチタン(TiCl(OC4H9)3)、メトキシトリクロロチタン(Ti(OCH3)Cl3)、エトキシトリクロロチタン(Ti(OCH3CH2)Cl3)、イソブトキシトリクロロチタン(Ti(i-C4H9)Cl3)、n-ブトキシトリクロロチタン(Ti(OC4H9)Cl3)、
トリメトキシブロモチタン(TiBr(OCH3)3)、トリエトキシブロモチタン(TiBr(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシブロモチタン(TiBr(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシブロモチタン(TiBr(OC4H9)3)、ジメトキシジブロモチタン(TiBr2(OCH3)2)、ジエトキシジブロモチタン(TiBr2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジブロモチタン(TiBr2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシブロモチタン(TiBr(OC4H9)3)、メトキシトリブロモチタン(Ti(OCH3)Br3)、エトキシトリブロモチタン(Ti(OCH3CH2)Br3)、イソブトキシトリブロモチタン(Ti(i-C4H9)Br3)、n-ブトキシトリブロモチタン(Ti(OC4H9)Br3)、
トリメトキシクロロジルコニウム(ZrCl(OCH3)3)、トリエトキシクロロジルコニウム(ZrCl(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシクロロジルコニウム(ZrCl(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシクロロジルコニウム(ZrCl(OC4H9)3)、ジメトキシジクロロジルコニウム(ZrCl2(OCH3)2)、ジエトキシジクロロジルコニウム(ZrCl2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジクロロジルコニウム(ZrCl2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシクロロジルコニウム(ZrCl(OC4H9)3)、メトキシトリクロロジルコニウム(Zr(OCH3)Cl3)、エトキシトリクロロジルコニウム(Zr(OCH3CH2)Cl3)、イソブトキシトリクロロジルコニウム(Zr(i-C4H9)Cl3)、n-ブトキシトリクロロジルコニウム(Zr(OC4H9)Cl3)、
トリメトキシブロモジルコニウム(ZrBr(OCH3)3)、トリエトキシブロモジルコニウム(ZrBr(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシブロモジルコニウム(ZrBr(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシブロモジルコニウム(ZrBr(OC4H9)3)、ジメトキシジブロモジルコニウム(ZrBr2(OCH3)2)、ジエトキシジブロモジルコニウム(ZrBr2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジブロモジルコニウム(ZrBr2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシブロモジルコニウム(ZrBr(OC4H9)3)、メトキシトリブロモジルコニウム(Zr(OCH3)Br3)、エトキシトリブロモジルコニウム(Zr(OCH3CH2)Br3)、イソブトキシトリブロモジルコニウム(Zr(i-C4H9)Br3)、n-ブトキシトリブロモジルコニウム(Zr(OC4H9)Br3)、
トリメトキシクロロハフニウム(HfCl(OCH3)3)、トリエトキシクロロハフニウム(HfCl(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシクロロハフニウム(HfCl(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシクロロハフニウム(HfCl(OC4H9)3)、ジメトキシジクロロハフニウム(HfCl2(OCH3)2)、ジエトキシジクロロハフニウム(HfCl2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジクロロハフニウム(HfCl2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシクロロハフニウム(HfCl(OC4H9)3)、メトキシトリクロロハフニウム(Hf(OCH3)Cl3)、エトキシトリクロロハフニウム(Hf(OCH3CH2)Cl3)、イソブトキシトリクロロハフニウム(Hf(i-C4H9)Cl3)、n-ブトキシトリクロロハフニウム(Hf(OC4H9)Cl3)、
トリメトキシブロモハフニウム(HfBr(OCH3)3)、トリエトキシブロモハフニウム(HfBr(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシブロモハフニウム(HfBr(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシブロモハフニウム(HfBr(OC4H9)3)、ジメトキシジブロモハフニウム(HfBr2(OCH3)2)、ジエトキシジブロモハフニウム(HfBr2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジブロモハフニウム(HfBr2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシブロモハフニウム(HfBr(OC4H9)3)、メトキシトリブロモハフニウム(Hf(OCH3)Br3)、エトキシトリブロモハフニウム(Hf(OCH3CH2)Br3)、イソブトキシトリブロモハフニウム(Hf(i-C4H9)Br3)、n-ブトキシトリブロモハフニウム(Hf(OC4H9)Br3)が例示される。
【0078】
前記第IVB族金属化合物として、前記第IVB族金属ハロゲン化物が好ましく、TiCl4、TiBr4、ZrCl4、ZrBr4、HfCl4及びHfBr4がより好ましく、TiCl4及びZrCl4が最も好ましい。
【0079】
これらの第IVB族金属化合物は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0080】
前記化学的活性化剤は、常温で液状であれば、前記化学的活性化剤で活性化されるべき反応対象(前記無機多孔質固体又は前記有機多孔質固体)に所定量の前記化学的活性化剤を直接滴下添加することにより、前記化学的活性化剤を使用してもよい。
【0081】
前記化学的活性化剤は、常温で固体状であれば、計量と作業を便利にするため、溶液として当該化学的活性化剤を使用することが好ましい。当然なことは、前記化学的活性化剤は、常温で液状であるが、場合によると、溶液として当該化学的活性化剤を使用できることもあり、特に制限されない。
【0082】
前記化学的活性化剤の溶液を調製するときに、ここで用いられる溶媒については、前記化学的活性化剤を溶解し得るのであれば、特に制限されない。
【0083】
具体的に、C〜C12アルカン、C〜C12環式アルカン、ハロゲン化C〜C12アルカン、ハロゲン化C〜C12環式アルカン、C〜C12芳香族炭化水素、ハロゲン化C〜C12芳香族炭化水素などが例示され、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、塩素化ペンタン、塩素化ヘキサン、塩素化ヘプタン、塩素化オクタン、塩素化ノナン、塩素化デカン、塩素化ウンデカン、塩素化ドデカン、塩素化シクロヘキサン、塩素化トルエン、塩素化エチルベンゼン、塩素化キシレンなどが例示される。ペンタン、ヘキサン、デカン、シクロヘキサンおよびトルエンが好ましく、ヘキサンおよびトルエンが最も好ましい。
【0084】
これらの溶媒は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0085】
また、溶液中の前記化学的活性化剤の濃度については、場合によると、適当に決定されたものであるが、所定量の前記化学的活性化剤によって前記化学的活性化を行うために十分であれば、特に制限されない。上述したように、化学的活性化剤が液状であれば、化学的活性化剤をそのまま使用して前記活性化を行ってもよいが、化学的活性化剤の溶液に調製された後に使用してもよい。
【0086】
便利なのは、溶液における前記化学的活性化剤のモル濃度は、通常0.01−1.0mol/Lとするが、これに制限されない。
【0087】
前記化学的活性化を行う方法として、例えば、固体状の化学的活性化剤(例えば、ジルコニウムテトラクロリド)が使用されるときに、化学的活性化剤の溶液を予め調製しており、次に活性化するべき反応対象(前記無機多孔質固体又は前記有機多孔質固体)に所定量の化学的活性化剤を含む溶液を添加する(好ましく滴下添加する)ことが例示される。また、液状の化学的活性化剤(例えば、チタンテトラクロリド)が使用されるときに、所定量の化学的活性化剤を、そのまま又は(所定量の化学的活性化剤を含む)溶液に調製された後で、活性化するべき反応対象(前記無機多孔質固体又は前記有機多孔質固体)に添加する(好ましくは滴下添加する)ことが例示される。
【0088】
通常、‐30−60℃(好ましくは‐20−30℃)の反応温度で化学的活性化反応を0.5−24時間、好ましくは1−8時間、より好ましくは2−6時間行なう。ここで、必要であれば、撹拌手段を使用することができる。
【0089】
前記の化学的活性化反応が終わる時に、濾過、洗浄、および乾燥することにより、化学的活性化された無機多孔質固体又は化学的活性化された有機多孔質固体を得る。
【0090】
本発明により、上述した濾過・洗浄・乾燥は、当業者に周知である方法で行われてもよい。ここで、洗浄のための溶媒は、前記化学的活性化剤を溶解する時に使用される溶媒と同じであることが好適である。当該洗浄は、通常、1−8回、好ましくは2−6回、もっとも好ましくは2−4回行われる。
【0091】
上述した乾燥は、当業者に周知である方法で行われてもよい。例えば、不活性ガス雰囲気下での乾燥、真空雰囲気下での乾燥又は真空雰囲気下での加熱乾燥が例示される。不活性ガス雰囲気下での乾燥又は真空雰囲気下での加熱乾燥が好ましい。真空雰囲気下での加熱乾燥が最も好ましい。当該乾燥の温度範囲は、通常、常温から140℃までであり、また乾燥の継続時間は、通常、2−20時間であるが、これに制限されない。
【0092】
本発明により、前記化学的活性化剤の使用量として、前記多孔質担体の前記化学的活性化剤(第IVB族金属元素基準)に対する比率が1g対1−100mmol、好ましくは1g対2−50mmol、より好ましくは1g対10−25mmolとなる。
【0093】
本発明により、前記多孔質担体の表面積については、特に制限されないが、好ましくは、10〜1000m/g(BET法による測定)、より好ましくは、100〜600m/g(BET法による測定)である。前記多孔質担体の細孔容積(窒素吸着法による測定)は、好ましくは0.1〜4cm/g、より好ましくは0.2〜2cm/gである。前記多孔質担体の平均粒子径(レーザ粒子径分析器による測定)は、好ましくは1〜500μm、より好ましくは1〜100μmである。
【0094】
本発明により、前記多孔質担体は、細粉状、粒状、球状、凝結体等の任意の形状にすることができる。
【0095】
本発明により、(任意に熱活性化及び/又は化学的活性化された)多孔質担体と前記マグネシウム化合物の溶液とを混合させて、第一混合スラリーを得る。
【0096】
本発明により、前記多孔質担体と前記マグネシウム化合物の溶液の混合プロセスは、通常の方法で行われてもよく、特に制限されない。例えば、常温から前記マグネシウム化合物の溶液を製造する時にかかる温度までの範囲の温度にて、前記マグネシウム化合物の溶液に前記多孔質担体を量り加え、又は前記多孔質担体に前記マグネシウム化合物の溶液を量り加えて、0.1−8時間、好ましくは0.5−4時間、最も好ましくは1−2時間混合することが例示される。必要であれば、撹拌手段を使用することができる。
【0097】
本発明により、前記多孔質担体の使用量としては、前記マグネシウム化合物(前記マグネシウム化合物の溶液に含まれるマグネシウム化合物の固体に基づいて)の前記多孔質担体に対する質量比が1対0.1−20、好ましくは1対0.5−10、より好ましくは1対1−5となる。
【0098】
こうして得られた第一混合スラリーは、スラリー状の混合系である。必ず必要ではないが、この系の均一性を確保するため、製造された後で、この混合スラリーをシールして所定の時間(2−48時間、好ましは4−24時間、より好ましは6−18時間)静置することが好ましい。
【0099】
本発明の第一実施態様により、前記第一混合スラリーを直接乾燥して、流動性が優れた固体生成物(即ち、本発明のマグネシウム含有担体)が得られる。
【0100】
本発明により、当該直接乾燥は、当業者に周知である方法で行われてもよい。例えば、不活性ガス雰囲気下での乾燥、真空雰囲気下での乾燥又は真空雰囲気下での加熱乾燥などが例示される。ここで、真空雰囲気下での加熱乾燥が好ましい。当該乾燥の温度範囲は、通常、30−160℃、好ましくは60−130℃であり、乾燥の継続時間は、通常、2−24時間であるが、これに制限されない。
【0101】
また、本発明の第一実施態様により、前記第一混合スラリーに沈殿剤を量り加えて、固体物質(固体生成物)が当該第一混合スラリーから沈殿て析出させることにより、本発明のマグネシウム含有担体が得られる。
【0102】
或いは、本発明の第二実施態様により、前記マグネシウム化合物の溶液を直接乾燥して、流動性が優れた固体生成物(即ち、本発明のマグネシウム含有担体)が得られる。
【0103】
本発明により、当該直接乾燥は、当業者に周知である方法で行われてもよい。例えば、不活性ガス雰囲気下での乾燥、真空雰囲気下での乾燥又は真空雰囲気下での加熱乾燥などが例示される。ここで、真空雰囲気下での加熱乾燥が好ましい。当該乾燥の温度範囲は、通常、30−160℃、好ましくは60−130℃であり、乾燥の継続時間は、通常、2−24時間であるが、これに制限されない。
【0104】
また、本発明の第二実施態様により、前記マグネシウム化合物の溶液に沈殿剤を量り加えて、固体物質(固体生成物)が当該溶液から沈殿て析出させることにより、本発明のマグネシウム含有担体が得られる。
【0105】
以下、当該沈殿剤を具体的に説明する。
【0106】
本発明により、用語“沈殿剤”とは、本分野で周知されるように、溶液における溶質(例えば、前記のマグネシウム化合物)の溶解度を低くさせることによって、当該溶質が当該溶液から固体として析出させる化学的不活性な液体を意味する。
【0107】
本発明により、前記沈殿剤として、前記マグネシウム化合物に対して貧溶媒であり、および前記マグネシウム化合物を溶解するための前記溶媒に対して良溶媒である溶媒が例示され、例えば、C〜C12アルカン、C〜C12環式アルカン、ハロゲン化C1〜C10アルカン、ハロゲン化C〜C12環式アルカンが例示される。
【0108】
前記C〜C12アルカンとして、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及びデカンなどが例示されるが、ヘキサン、ヘプタン及びデカンが好ましく、ヘキサンが最も好ましい。
【0109】
前記C〜C12環式アルカンとして、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロデカン及びシクロノナンなどが例示されるが、シクロヘキサンが最も好ましい。
【0110】
前記ハロゲン化C1〜C10アルカンとして、ジクロロメタン、ジクロロヘキサン、ジクロロヘプタン、トリクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロブタン、ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモヘプタン、トリブロモメタン、トリブロモエタン及びトリブロモブタンなどが例示される。
【0111】
前記ハロゲン化C〜C12環式アルカンとして、塩素化シクロヘキサン、塩素化シクロペンタン、塩素化シクロヘプタン、塩素化シクロデカン、塩素化シクロノナン、塩素化シクロオクタン、臭素化シクロヘキサン、臭素化シクロペンタン、臭素化シクロヘプタン、臭素化シクロデカン、臭素化シクロノナン及び臭素化シクロオクタンなどが例示される。
【0112】
これらの沈殿剤は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0113】
沈殿剤は、一括添加されてもよいし、滴下添加されてもよい。一括添加されることが好ましい。この沈殿プロセスにおいて、沈殿剤の分散を促進し、ならびに、最終的に固体の沈殿を容易にするために、撹拌手段を使用することができる。撹拌手段はいずれの形態であってもよく、例えば、撹拌パドルなどであってよく、その回転速度は通常10〜1000rpmであってよい。
【0114】
前記沈殿剤の使用量としては、特に制限されないが、前記沈殿剤の前記溶媒(マグネシウム化合物を溶解するための溶媒)に対する体積比が1対0.2−5、好ましくは1対0.5−2、より好ましくは1対0.8−1.5となる。
【0115】
前記沈殿剤の温度について、特に制限されないが、通常、常温から使用される溶媒と沈殿剤の沸点より低い温度(20−80℃又は40−60℃が好ましい。)までであるが、これに制限されない。また、前記の沈殿プロセスは、通常、常温から使用される溶媒と沈殿剤の沸点より低い温度(20−80℃又は40−60℃が好ましい。)までの範囲の温度にて、0.3−12時間行われるが、これに制限されない。
【0116】
完全に沈殿させた後で、得られた固体生成物を濾過、洗浄および乾燥する。上述した濾過、洗浄および乾燥については特に制限されなく、場合によると、本分野でよく使用されるものが採用される。
【0117】
必要であれば、当該洗浄は、通常、1−6回、好ましくは3−4回行われる。ここで、洗浄のための溶媒は、好ましくは前記沈殿剤と同じであるが、異なっていてもよい。
【0118】
上述した乾燥は、当業者に周知である方法で行われてもよい。例えば、不活性ガス雰囲気下での乾燥、真空雰囲気下での乾燥又は真空雰囲気下での加熱乾燥が例示される。不活性ガス雰囲気下での乾燥又は真空雰囲気下での加熱乾燥が好ましい。真空雰囲気下での加熱乾燥が最も好ましい。
【0119】
当該乾燥の温度範囲は、通常、常温から140℃までであり、また乾燥の継続時間は、通常、2−20時間であるが、前記のマグネシウム化合物を溶解するための溶媒の類型によって異なることがある。例えば、テトラヒドロフランが前記のマグネシウム化合物を溶解するための溶媒として使用されるときに、通常、約80℃の乾燥温度で、真空雰囲気下で2−12時間乾燥してもよいし、またトルエンが前記のマグネシウム化合物を溶解するための溶媒として使用されるときに、通常、約100℃の乾燥温度で、真空雰囲気下で4−24時間乾燥してもよい。
【0120】
本発明により、前記マグネシウム含有担体を、第IVB族金属化合物の群から選ばれる化学的処理剤および一般式(X)で示されるケイ素化合物と接触させて、修飾マグネシウム含有担体を得る。
【0121】
以下、前記ケイ素化合物を具体的に説明する。
【0122】
Si(OR)mX4-m (X)
式中、多くのRが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、それぞれ独立してC1-C8直鎖状又は分岐状のアルキルの群から選ばれ、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、n−へキシル、iso−へキシル、n−ヘプチル、iso−ヘプチル、n−オクチル、iso−オクチルなどが例示される。
【0123】
mは、0、1、2、3または4である。
【0124】
多くのXが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、それぞれ独立してハロゲン原子の群から選ばれる。
【0125】
本発明により、前記のハロゲン原子として、例えば、F、Cl、BrまたはIが例示される。好ましくは、Clである。
【0126】
本発明により、多くのRが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、それぞれ独立してC1-C4直鎖状又は分岐状のアルキルの群から選ばれ、好ましくは、いずれもエチルである
前記ケイ素化合物として、以下の化合物が例示されるが、これに制限されない。
【0127】
テトラメトキシシリコン、テトラエトキシシリコン、テトラn−プロポキシシリコン、テトライソプロポキシシリコン、テトラn−ブトキシシリコン、テトライソブトキシシリコン、テトラn−ペンチルオキシシリコン、テトライソペンチルオキシシリコン、テトラn−オクチルオキシシリコン、テトライソオクチルオキシシリコン、モノメトキシトリエトキシシリコン、ジメトキシジエトキシシリコン、トリメトキシモノエトキシシリコン、モノメトキシトリn−プロポキシシリコン、ジメトキシジn−プロポキシシリコン、トリメトキシモノn−プロポキシシリコン、モノメトキシトリイソプロポキシシリコン、ジメトキシジイソプロポキシシリコン、トリメトキシモノイソプロポキシシリコン、モノメトキシトリn−ブトキシシリコン、ジメトキシジn−ブトキシシリコン、トリメトキシモノn−ブトキシシリコン、モノメトキシトリイソブトキシシリコン、ジメトキシジイソブトキシシリコン、トリメトキシモノイソブトキシシリコン、モノエトキシトリn−プロポキシシリコン、ジエトキシジn−プロポキシシリコン、トリエトキシモノn−プロポキシシリコン、モノエトキシトリイソプロポキシシリコン、ジエトキシジイソプロポキシシリコン、トリエトキシモノイソプロポキシシリコン、モノエトキシトリn−ブトキシシリコン、ジエトキシジn−ブトキシシリコン、トリエトキシモノn−ブトキシシリコン、モノエトキシトリイソブトキシシリコン、ジエトキシジイソブトキシシリコン、トリエトキシモノイソブトキシシリコンなどのテトラC1-C8直鎖状又は分岐状のアルコキシシリコンが例示されるが、テトラメトキシシリコン、テトラエトキシシリコン、テトライソブトキシシリコンが好ましい。テトラエトキシシリコンがより好ましい。
【0128】
トリメトキシクロロシリコン、ジメトキシクロロシリコン、モノメトキシクロロシリコン、トリエトキシクロロシリコン、ジエトキシクロロシリコン、モノエトキシクロロシリコン、トリイソブトキシクロロシリコン、ジイソブトキシクロロシリコン、モノイソブトキシクロロシリコン、トリメトキシブロモシリコン、ジメトキシブロモシリコン、モノメトキシブロモシリコン、トリエトキシブロモシリコン、ジエトキシブロモシリコン、モノエトキシブロモシリコン、トリイソブトキシブロモシリコン、ジイソブトキシブロモシリコン、モノイソブトキシブロモシリコンなどのC1-C8直鎖状又は分岐状のアルコキシハロゲン化シリコンが例示されるが、トリメトキシクロロシリコン、ジメトキシクロロシリコン、トリエトキシクロロシリコン、ジエトキシクロロシリコンが好ましい。トリエトキシクロロシリコンがより好もしい。
【0129】
四フッ化ケイ素、テトラクロロシリコン、テトラブロモシリコン、シリコンテトラアイオダイド、トリブロモクロロシリコン、トリクロロブロモシリコンなどのテトラハロゲン化シリコンが例示されるが、テトラクロロシリコンが好ましい。
【0130】
これらのケイ素化合物は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0131】
以下、当該化学的処理剤を具体的に説明する。
【0132】
本発明により、第IVB族金属化合物が前記化学的処理剤に使用される。
【0133】
当該第IVB族金属化合物として、第IVB族金属ハロゲン化物、第IVB族金属アルキレート、第IVB族金属アルコキシレート、第IVB族金属アルキルハロゲン化物および第IVB族金属アルコキシハロゲン化物が例示される。
【0134】
前記の第IVB族金属ハロゲン化物、第IVB族金属アルキレート、第IVB族金属アルコキシレート、第IVB族金属アルキルハロゲン化物および第IVB族金属アルコキシハロゲン化物としては、例えば、次の一般式:
M(OR1)mXnR24-m−n
[式中、
mは、0、1、2、3もしくは4であり、
nは、0、1、2、3もしくは4であり、
Mは、元素周期表において第IVB族金属であり、例えばチタン、ジルコニウム及びハフニウムなどが例示され、
Xは、ハロゲン原子、例えばF、Cl、BrおよびIなどであり、
およびRは、それぞれ独立してC1-C10アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル等の群から選ばれ、RおよびRは同じであってもよいし、互いに異なってもよい。]
で示される化合物が例示される。
【0135】
具体的には、前記第IVB族金属ハロゲン化物として、例えば、チタンテトラフルオリド(TiF4)、チタンテトラクロリド(TiCl4)、チタンテトラブロミド(TiBr4)、チタンテトラアイオダイド(TiI4)、ジルコニウムテトラフルオリド(ZrF4)、ジルコニウムテトラクロリド(ZrCl4)、ジルコニウムテトラブロミド(ZrBr4)、ジルコニウムテトラアイオダイド(ZrI4)、ハフニウムテトラフルオリド(HfF4)、ハフニウムテトラクロリド(HfCl4)、ハフニウムテトラブロミド(HfBr4)、ハフニウムテトラアイオダイド(HfI4)が例示される。
【0136】
前記第IVB族金属アルキレートとして、例えば、テトラメチルチタン(Ti(CH3)4)、テトラエチルチタン(Ti(CH3CH2)4)、テトライソブチルチタン(Ti(i-C4H9)4)、テトラn-ブチルチタン(Ti(C4H9)4)、トリエチルメチルチタン(Ti(CH3)(CH3CH2)3)、ジエチルジメチルチタン(Ti(CH3)2(CH3CH2)2)、トリメチルエチルチタン(Ti(CH3)3(CH3CH2))、トリイソブチルメチルチタン(Ti(CH3)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジメチルチタン(Ti(CH3)2(i-C4H9)2)、トリメチルイソブチルチタン(Ti(CH3)3(i-C4H9))、トリイソブチルエチルチタン(Ti(CH3CH2)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジエチルチタン(Ti(CH3CH2)2(i-C4H9)2)、トリエチルイソブチルチタン(Ti(CH3CH2)3(i-C4H9))、トリn-ブチルメチルチタン(Ti(CH3)(C4H9)3)、ジn-ブチルジメチルチタン(Ti(CH3)2(C4H9)2)、トリメチルn-ブチルチタン(Ti(CH3)3(C4H9))、トリn-ブチルメチルチタン(Ti(CH3CH2)(C4H9)3)、ジn-ブチルジエチルチタン(Ti(CH3CH2)2(C4H9)2)、トリエチルn-ブチルチタン(Ti(CH3CH2)3(C4H9))など、
テトラメチルジルコニウム(Zr(CH3)4)、テトラエチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)4)、テトライソブチルジルコニウム(Zr(i-C4H9)4)、テトラn-ブチルジルコニウム(Zr(C4H9)4)、トリエチルメチルジルコニウム(Zr(CH3)(CH3CH2)3)、ジエチルジメチルジルコニウム(Zr(CH3)2(CH3CH2)2)、トリメチルエチルジルコニウム(Zr(CH3)3(CH3CH2))、トリイソブチルメチルジルコニウム(Zr(CH3)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジメチルジルコニウム(Zr(CH3)2(i-C4H9)2)、トリメチルイソブチルジルコニウム(Zr(CH3)3(i-C4H9))、トリイソブチルエチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジエチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)2(i-C4H9)2)、トリエチルイソブチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)3(i-C4H9))、トリn-ブチルメチルジルコニウム(Zr(CH3)(C4H9)3)、ジn-ブチルジメチルジルコニウム(Zr(CH3)2(C4H9)2)、トリメチルn-ブチルジルコニウム(Zr(CH3)3(C4H9))、トリn-ブチルメチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)(C4H9)3)、ジn-ブチルジエチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)2(C4H9)2)、トリエチルn-ブチルジルコニウム(Zr(CH3CH2)3(C4H9))など、
テトラメチルハフニウム(Hf(CH3)4)、テトラエチルハフニウム(Hf(CH3CH2)4)、テトライソブチルハフニウム(Hf(i-C4H9)4)、テトラn-ブチルハフニウム(Hf(C4H9)4)、トリエチルメチルハフニウム(Hf(CH3)(CH3CH2)3)、ジエチルジメチルハフニウム(Hf(CH3)2(CH3CH2)2)、トリメチルエチルハフニウム(Hf(CH3)3(CH3CH2))、トリイソブチルメチルハフニウム(Hf(CH3)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジメチルハフニウム(Hf(CH3)2(i-C4H9)2)、トリメチルイソブチルハフニウム(Hf(CH3)3(i-C4H9))、トリイソブチルエチルハフニウム(Hf(CH3CH2)(i-C4H9)3)、ジイソブチルジエチルハフニウム(Hf(CH3CH2)2(i-C4H9)2)、トリエチルイソブチルハフニウム(Hf(CH3CH2)3(i-C4H9))、トリn-ブチルメチルハフニウム(Hf(CH3)(C4H9)3)、ジn-ブチルジメチルハフニウム(Hf(CH3)2(C4H9)2)、トリメチルn-ブチルハフニウム(Hf(CH3)3(C4H9))、トリn-ブチルメチルハフニウム(Hf(CH3CH2)(C4H9)3)、ジn-ブチルジエチルハフニウム(Hf(CH3CH2)2(C4H9)2)、トリエチルn-ブチルハフニウム(Hf(CH3CH2)3(C4H9))などが例示される。
【0137】
前記第IVB族金属アルコキシレートとして、例えば、テトラメトキシチタン(Ti(OCH3)4)、テトラエトキシチタン(Ti(OCH3CH2)4)、テトライソブトキシチタン(Ti(i-OC4H9)4)、テトラn-ブトキシチタン(Ti(OC4H9)4)、トリエトキシメトキシチタン(Ti(OCH3)(OCH3CH2)3)、ジエトキシジメトキシチタン(Ti(OCH3)2(OCH3CH2)2)、トリメトキシエトキシチタン(Ti(OCH3)3(OCH3CH2))、トリイソブトキシメトキシチタン(Ti(OCH3)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジメトキシチタン(Ti(OCH3)2(i-OC4H9)2)、トリメトキシイソブトキシチタン(Ti(OCH3)3(i-OC4H9))、トリイソブトキシエトキシチタン(Ti(OCH3CH2)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジエトキシチタン(Ti(OCH3CH2)2(i-OC4H9)2)、トリエトキシイソブトキシチタン(Ti(OCH3CH2)3(i-OC4H9))、トリn-ブトキシメトキシチタン(Ti(OCH3)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジメトキシチタン(Ti(OCH3)2(OC4H9)2)、トリメトキシn-ブトキシチタン(Ti(OCH3)3(OC4H9))、トリn-ブトキシメトキシチタン(Ti(OCH3CH2)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジエトキシチタン(Ti(OCH3CH2)2(OC4H9)2)、トリエトキシn-ブトキシチタン(Ti(OCH3CH2)3(OC4H9))など、
テトラメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)4)、テトラエトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)4)、テトライソブトキシジルコニウム(Zr(i-OC4H9)4)、テトラn-ブトキシジルコニウム(Zr(OC4H9)4)、トリエトキシメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)(OCH3CH2)3)、ジエトキシジメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)2(OCH3CH2)2)、トリメトキシエトキシジルコニウム(Zr(OCH3)3(OCH3CH2))、トリイソブトキシメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)2(i-OC4H9)2)、トリメトキシイソブトキシジルコニウム(Zr(OCH3)3(i-C4H9))、トリイソブトキシエトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジエトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)2(i-OC4H9)2)、トリエトキシイソブトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)3(i-OC4H9))、トリn-ブトキシメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジメトキシジルコニウム(Zr(OCH3)2(OC4H9)2)、トリメトキシn-ブトキシジルコニウム(Zr(OCH3)3(OC4H9))、トリn-ブトキシメトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジエトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)2(OC4H9)2)、トリエトキシn-ブトキシジルコニウム(Zr(OCH3CH2)3(OC4H9))など、
テトラメトキシハフニウム(Hf(OCH3)4)、テトラエトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)4)、テトライソブトキシハフニウム(Hf(i-OC4H9)4)、テトラn-ブトキシハフニウム(Hf(OC4H9)4)、トリエトキシメトキシハフニウム(Hf(OCH3)(OCH3CH2)3)、ジエトキシジメトキシハフニウム(Hf(OCH3)2(OCH3CH2)2)、トリメトキシエトキシハフニウム(Hf(OCH3)3(OCH3CH2))、トリイソブトキシメトキシハフニウム(Hf(OCH3)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジメトキシハフニウム(Hf(OCH3)2(i-OC4H9)2)、トリメトキシイソブトキシハフニウム(Hf(OCH3)3(i-OC4H9))、トリイソブトキシエトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)(i-OC4H9)3)、ジイソブトキシジエトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)2(i-OC4H9)2)、トリエトキシイソブトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)3(i-C4H9))、トリn-ブトキシメトキシハフニウム(Hf(OCH3)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジメトキシハフニウム(Hf(OCH3)2(OC4H9)2)、トリメトキシn-ブトキシハフニウム(Hf(OCH3)3(OC4H9))、トリn-ブトキシメトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)(OC4H9)3)、ジn-ブトキシジエトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)2(OC4H9)2)、トリエトキシn-ブトキシハフニウム(Hf(OCH3CH2)3(OC4H9))などが例示される。
【0138】
前記第IVB族金属アルキルハロゲン化物として、例えば、トリメチルクロロチタン(TiCl(CH3)3)、トリエチルクロロチタン(TiCl(CH3CH2)3)、トリイソブチルクロロチタン(TiCl(i-C4H9)3)、トリn-ブチルクロロチタン(TiCl(C4H9)3)、ジメチルジクロロチタン(TiCl2(CH3)2)、ジエチルジクロロチタン(TiCl2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジクロロチタン(TiCl2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルクロロチタン(TiCl(C4H9)3)、メチルトリクロロチタン(Ti(CH3)Cl3)、エチルトリクロロチタン(Ti(CH3CH2)Cl3)、イソブチルトリクロロチタン(Ti(i-C4H9)Cl3)、n-ブチルトリクロロチタン(Ti(C4H9)Cl3)、
トリメチルブロモチタン(TiBr(CH3)3)、トリエチルブロモチタン(TiBr(CH3CH2)3)、トリイソブチルブロモチタン(TiBr(i-C4H9)3)、トリn-ブチルブロモチタン(TiBr(C4H9)3)、ジメチルジブロモチタン(TiBr2(CH3)2)、ジエチルジブロモチタン(TiBr2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジブロモチタン(TiBr2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルブロモチタン(TiBr(C4H9)3)、メチルトリブロモチタン(Ti(CH3)Br3)、エチルトリブロモチタン(Ti(CH3CH2)Br3)、イソブチルトリブロモチタン(Ti(i-C4H9)Br3)、n-ブチルトリブロモチタン(Ti(C4H9)Br3)、
トリメチルクロロジルコニウム(ZrCl(CH3)3)、トリエチルクロロジルコニウム(ZrCl(CH3CH2)3)、トリイソブチルクロロジルコニウム(ZrCl(i-C4H9)3)、トリn-ブチルクロロジルコニウム(ZrCl(C4H9)3)、ジメチルジクロロジルコニウム(ZrCl2(CH3)2)、ジエチルジクロロジルコニウム(ZrCl2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジクロロジルコニウム(ZrCl2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルクロロジルコニウム(ZrCl(C4H9)3)、メチルトリクロロジルコニウム(Zr(CH3)Cl3)、エチルトリクロロジルコニウム(Zr(CH3CH2)Cl3)、イソブチルトリクロロジルコニウム(Zr(i-C4H9)Cl3)、n-ブチルトリクロロジルコニウム(Zr(C4H9)Cl3)、
トリメチルブロモジルコニウム(ZrBr(CH3)3)、トリエチルブロモジルコニウム(ZrBr(CH3CH2)3)、トリイソブチルブロモジルコニウム(ZrBr(i-C4H9)3)、トリn-ブチルブロモジルコニウム(ZrBr(C4H9)3)、ジメチルジブロモジルコニウム(ZrBr2(CH3)2)、ジエチルジブロモジルコニウム(ZrBr2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジブロモジルコニウム(ZrBr2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルブロモジルコニウム(ZrBr(C4H9)3)、メチルトリブロモジルコニウム(Zr(CH3)Br3)、エチルトリブロモジルコニウム(Zr(CH3CH2)Br3)、イソブチルトリブロモジルコニウム(Zr(i-C4H9)Br3)、n-ブチルトリブロモジルコニウム(Zr(C4H9)Br3)、
トリメチルクロロハフニウム(HfCl(CH3)3)、トリエチルクロロハフニウム(HfCl(CH3CH2)3)、トリイソブチルクロロハフニウム(HfCl(i-C4H9)3)、トリn-ブチルクロロハフニウム(HfCl(C4H9)3)、ジメチルジクロロハフニウム(HfCl2(CH3)2)、ジエチルジクロロハフニウム(HfCl2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジクロロハフニウム(HfCl2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルクロロハフニウム(HfCl(C4H9)3)、メチルトリクロロハフニウム(Hf(CH3)Cl3)、エチルトリクロロハフニウム(Hf(CH3CH2)Cl3)、イソブチルトリクロロハフニウム(Hf(i-C4H9)Cl3)、n-ブチルトリクロロハフニウム(Hf(C4H9)Cl3)、
トリメチルブロモハフニウム(HfBr(CH3)3)、トリエチルブロモハフニウム(HfBr(CH3CH2)3)、トリイソブチルブロモハフニウム(HfBr(i-C4H9)3)、トリn-ブチルブロモハフニウム(HfBr(C4H9)3)、ジメチルジブロモハフニウム(HfBr2(CH3)2)、ジエチルジブロモハフニウム(HfBr2(CH3CH2)2)、ジイソブチルジブロモハフニウム(HfBr2(i-C4H9)2)、トリn-ブチルブロモハフニウム(HfBr(C4H9)3)、メチルトリブロモハフニウム(Hf(CH3)Br3)、エチルトリブロモハフニウム(Hf(CH3CH2)Br3)、イソブチルトリブロモハフニウム(Hf(i-C4H9)Br3)、n-ブチルトリブロモハフニウム(Hf(C4H9)Br3)が例示される。
【0139】
前記第IVB族金属アルコキシハロゲン化物として、例えば、トリメトキシクロロチタン(TiCl(OCH3)3)、トリエトキシクロロチタン(TiCl(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシクロロチタン(TiCl(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシクロロチタン(TiCl(OC4H9)3)、ジメトキシジクロロチタン(TiCl2(OCH3)2)、ジエトキシジクロロチタン(TiCl2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジクロロチタン(TiCl2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシクロロチタン(TiCl(OC4H9)3)、メトキシトリクロロチタン(Ti(OCH3)Cl3)、エトキシトリクロロチタン(Ti(OCH3CH2)Cl3)、イソブトキシトリクロロチタン(Ti(i-C4H9)Cl3)、n-ブトキシトリクロロチタン(Ti(OC4H9)Cl3)、
トリメトキシブロモチタン(TiBr(OCH3)3)、トリエトキシブロモチタン(TiBr(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシブロモチタン(TiBr(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシブロモチタン(TiBr(OC4H9)3)、ジメトキシジブロモチタン(TiBr2(OCH3)2)、ジエトキシジブロモチタン(TiBr2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジブロモチタン(TiBr2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシブロモチタン(TiBr(OC4H9)3)、メトキシトリブロモチタン(Ti(OCH3)Br3)、エトキシトリブロモチタン(Ti(OCH3CH2)Br3)、イソブトキシトリブロモチタン(Ti(i-C4H9)Br3)、n-ブトキシトリブロモチタン(Ti(OC4H9)Br3)、
トリメトキシクロロジルコニウム(ZrCl(OCH3)3)、トリエトキシクロロジルコニウム(ZrCl(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシクロロジルコニウム(ZrCl(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシクロロジルコニウム(ZrCl(OC4H9)3)、ジメトキシジクロロジルコニウム(ZrCl2(OCH3)2)、ジエトキシジクロロジルコニウム(ZrCl2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジクロロジルコニウム(ZrCl2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシクロロジルコニウム(ZrCl(OC4H9)3)、メトキシトリクロロジルコニウム(Zr(OCH3)Cl3)、エトキシトリクロロジルコニウム(Zr(OCH3CH2)Cl3)、イソブトキシトリクロロジルコニウム(Zr(i-C4H9)Cl3)、n-ブトキシトリクロロジルコニウム(Zr(OC4H9)Cl3)、
トリメトキシブロモジルコニウム(ZrBr(OCH3)3)、トリエトキシブロモジルコニウム(ZrBr(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシブロモジルコニウム(ZrBr(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシブロモジルコニウム(ZrBr(OC4H9)3)、ジメトキシジブロモジルコニウム(ZrBr2(OCH3)2)、ジエトキシジブロモジルコニウム(ZrBr2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジブロモジルコニウム(ZrBr2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシブロモジルコニウム(ZrBr(OC4H9)3)、メトキシトリブロモジルコニウム(Zr(OCH3)Br3)、エトキシトリブロモジルコニウム(Zr(OCH3CH2)Br3)、イソブトキシトリブロモジルコニウム(Zr(i-C4H9)Br3)、n-ブトキシトリブロモジルコニウム(Zr(OC4H9)Br3)、
トリメトキシクロロハフニウム(HfCl(OCH3)3)、トリエトキシクロロハフニウム(HfCl(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシクロロハフニウム(HfCl(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシクロロハフニウム(HfCl(OC4H9)3)、ジメトキシジクロロハフニウム(HfCl2(OCH3)2)、ジエトキシジクロロハフニウム(HfCl2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジクロロハフニウム(HfCl2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシクロロハフニウム(HfCl(OC4H9)3)、メトキシトリクロロハフニウム(Hf(OCH3)Cl3)、エトキシトリクロロハフニウム(Hf(OCH3CH2)Cl3)、イソブトキシトリクロロハフニウム(Hf(i-C4H9)Cl3)、n-ブトキシトリクロロハフニウム(Hf(OC4H9)Cl3)、
トリメトキシブロモハフニウム(HfBr(OCH3)3)、トリエトキシブロモハフニウム(HfBr(OCH3CH2)3)、トリイソブトキシブロモハフニウム(HfBr(i-OC4H9)3)、トリn-ブトキシブロモハフニウム(HfBr(OC4H9)3)、ジメトキシジブロモハフニウム(HfBr2(OCH3)2)、ジエトキシジブロモハフニウム(HfBr2(OCH3CH2)2)、ジイソブトキシジブロモハフニウム(HfBr2(i-OC4H9)2)、トリn-ブトキシブロモハフニウム(HfBr(OC4H9)3)、メトキシトリブロモハフニウム(Hf(OCH3)Br3)、エトキシトリブロモハフニウム(Hf(OCH3CH2)Br3)、イソブトキシトリブロモハフニウム(Hf(i-OC4H9)Br3)、n-ブトキシトリブロモハフニウム(Hf(OC4H9)Br3)が例示される。
【0140】
前記第IVB族金属化合物として、前記第IVB族金属ハロゲン化物が好ましく、TiCl4、TiBr4、ZrCl4、ZrBr4、HfCl4及びHfBr4がより好ましく、TiCl4及びZrCl4が最も好ましい。
【0141】
これらの第IVB族金属化合物は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0142】
前記化学的処理剤は、常温で液状であれば、そのまま、前記化学的処理剤を使用してもよい。前記化学的処理剤は、常温で固体状であれば、計量と作業を便利にするため、溶液として当該化学的処理剤を使用することが好ましい。当然なことは、前記化学的処理剤は、常温で液状であるが、場合によると、溶液として当該化学的処理剤を使用できることもあり、特に制限されない。
【0143】
前記化学的処理剤の溶液を調製するときに、ここで用いられる溶媒については、前記化学的処理剤を溶解し得り、また前記マグネシウム含有担体の既成構造を壊しない(例えば、溶解しない)のであれば、特に制限されない。
【0144】
具体的に、C〜C12アルカン、C〜C12環式アルカン、ハロゲン化C5〜C12アルカン、ハロゲン化C〜C12環式アルカンが例示され、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン、塩素化ペンタン、塩素化ヘキサン、塩素化ヘプタン、塩素化オクタン、塩素化ノナン、塩素化デカン、塩素化ウンデカン、塩素化ドデカン及び塩素化シクロヘキサンなどが例示される。ペンタン、ヘキサン、デカンおよびシクロヘキサンが好ましく、ヘキサンが最も好ましい。
【0145】
これらの溶媒は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0146】
また、溶液中の前記化学的処理剤の濃度については、場合によると、適当に決定されたものであるが、所定量の前記化学的処理剤によって前記化学的処理を行うために十分であれば、特に制限されない。上述したように、化学的処理剤が液状であれば、化学的処理剤をそのまま使用して前記処理を行ってもよいが、化学的処理剤の溶液に調製された後に使用してもよい。
【0147】
便利なのは、溶液における前記化学的処理剤のモル濃度は、通常0.01−1.0mol/Lとするが、これに制限されない。
【0148】
本発明により、前記化学的処理を行う方法として、例えば、溶媒(化学的処理用の溶媒とも呼ばれる。)の存在下で、前記マグネシウム含有担体を、前記化学的処理剤および前記ケイ素化合物と接触させることが例示される。
【0149】
本発明により、当該化学的処理用の溶媒については、前記化学的処理剤と前記ケイ素化合物を溶解し得り、また前記マグネシウム含有担体の既成構造を壊しない(例えば、溶解しない)のであれば、特に制限されない。具体的に、C〜C12アルカン、C〜C12環式アルカン、ハロゲン化C5〜C12アルカン、ハロゲン化C〜C12環式アルカンが例示され、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン、塩素化ペンタン、塩素化ヘキサン、塩素化ヘプタン、塩素化オクタン、塩素化ノナン、塩素化デカン、塩素化ウンデカン、塩素化ドデカン及び塩素化シクロヘキサンなどが例示される。ペンタン、ヘキサン、デカンおよびシクロヘキサンが好ましく、ヘキサンが最も好ましい。
【0150】
これらの溶媒は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0151】
本発明により、前記化学的処理用の溶媒の使用量として、前記マグネシウム含有担体の前記溶媒に対する比率が1g対1−100ml、好ましくは1g対2−40mlであるが、これに制限されない。
【0152】
本発明により、前記ケイ素化合物の使用量として、Mg元素としての前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比が1対0.01−1、好ましくは1対0.01−0.50、より好ましくは1対0.05−0.25となる。
【0153】
本発明により、前記化学的処理剤の使用量として、Mg元素としての前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比が1対0.01−1、好ましくは1対0.01−0.50、より好ましくは1対0.10−0.30となる。
【0154】
第IVB族金属化合物で担体を化学的処理する時に、ある量の第IVB族金属化合物が当該担体に担持される、ということが知られている。本発明者らは、鋭意検討結果、この担持された第IVB族金属化合物において、かなり多くの部分が不活性化状態で存在していることを見出した。さらに、この部分の第IVB族金属化合物は、最後に製造された担持型触媒のオレフィン重合活性に寄与しないことを見出した。本発明者らは、さらに鋭意検討の結果、第IVB族金属化合物で担体を化学的処理すると同時に、前記のケイ素化合物を併用すれば、この部分の第IVB族金属化合物の比率又は担体に担持された第IVB族金属化合物の担持量を著しく減少することができ、それに応じて、非メタロセン錯体の担持量又は非メタロセン錯体の第IVB族金属化合物に対する担持量の比率を増加することができることを見出した。結果的に、当該ケイ素化合物を併用しない場合と比べて、本発明のように当該ケイ素化合物を併用することにより、最後に製造された担持型触媒のオレフィン重合活性を著しく増加することができる。また、本発明者らは、当該ケイ素化合物を併用することにより、得られたポリマーの分子量分布を狭くし、ポリマーの力学性能を改善し、さらにポリマーにおけるコモノマーの配列分布をさらに規則化することもできることをさらに見出した。これらの認識は、いずれも本分野では初めてである。
【0155】
本発明により、前記マグネシウム含有担体と前記化学的処理剤と前記ケイ素化合物との接触順序は、特に制限されない。例えば、これらの三者を同時に接触させ、又は任意の順序で順次的に接触させることが例示される。
【0156】
本発明の実施態様により、前記化学的処理用の溶媒の存在下で、前記マグネシウム含有担体を、前記ケイ素化合物と接触させ(第一接触工程とも呼ばれる。)てから、次に、前記化学的処理剤をさらに添加して、更なる接触を行なう(第二接触工程とも呼ばれる。)ことにより、前記化学的処理を行なう。
【0157】
前記第一接触工程を行う方法として、例えば、撹拌下で、前記マグネシウム含有担体と前記ケイ素化合物を、同時に又は順次的に前記化学的処理用の溶媒に加えて、0−100℃(好ましくは20−80℃)の反応温度で、撹拌下で、接触反応を約0−6時間、好ましくは0.5−4時間継続することにより、スラリーを得ることが例示される。
【0158】
前記のようにスラリーを得てから、当該スラリーを、前記化学的処理剤とさらに接触させる(第二接触工程)。
【0159】
前記第二接触工程を行う方法として、例えば、撹拌下で、前記スラリーに、前記化学的処理剤又は前記化学的処理剤の溶液を添加(好ましく滴下添加)してから、0−100℃(好ましくは20−80℃)の反応温度で、撹拌下で、接触反応を大体0.5−8時間、好ましくは1−4時間継続することが例示される。
【0160】
前記の化学的処理反応が終わる時に、濾過、洗浄、および乾燥することにより、修飾マグネシウム含有担体を得る。
【0161】
本発明により、上述した濾過・洗浄・乾燥は、当業者に周知である方法で行われてもよい。ここで、洗浄のための溶媒は、前記化学的処理用の溶媒と同じであることが好適である。当該洗浄は、通常、1−8回、好ましくは2−6回、もっとも好ましくは2−4回行われる。
【0162】
上述した乾燥は、当業者に周知である方法で行われてもよい。例えば、不活性ガス雰囲気下での乾燥、真空雰囲気下での乾燥又は真空雰囲気下での加熱乾燥が例示される。不活性ガス雰囲気下での乾燥又は真空雰囲気下での加熱乾燥が好ましい。真空雰囲気下での加熱乾燥が最も好ましい。当該乾燥の温度範囲は、通常、常温から140℃までであり、また乾燥の継続時間は、通常、2−20時間であるが、これに制限されない。
【0163】
本発明により、第二溶媒の存在下で、前記修飾マグネシウム含有担体を、非メタロセン錯体と接触させて、前記担持型非メタロセン触媒を得る。
【0164】
本発明により、用語“非メタロセン錯体”とは、メタロセン錯体に対していう単一サイトのオレフィン重合性の触媒であって、その構造においてシクロペンタジエン基又はその誘導体(例えば、インデン基もしくはフロオレン基など)は含まれていなく、アルミノキサンなどの助触媒と組み合わせた際には、オレフィン重合において触媒としての活性を示すことができる金属有機化合物を意味する。そのため、当該非メタロセン錯体は、オレフィン重合性の非メタロセン錯体と記すこともある。当該化合物は、中心金属原子に加えて、前記中心金属原子と配位結合で結合した多座配位子(3配位座又は3配位座以上の配位子が好ましい。)を少なくとも一つ含む。ここで、“非メタロセン配位子”は前記の多座配位子を指す。
【0165】
本発明により、前記非メタロセン錯体は、以下の化学構造式を有する化合物からなる群から選ばれる。
【0166】
【化1】
【0167】
この化学構造式により、中心金属原子Mと配位結合を形成する配位子は、基Xをn個、及び多座配位子(括弧に入れた構造式)をm個含む。当該多座配位子の化学構造式により、配位基である基A、D及びEは、これらの基が有する配位原子(例えば、N、O、S、SeおよびPなどのヘテロ原子)で前記中心金属原子Mと配位結合を形成している。
【0168】
本発明により、前記配位子の全てが有する負電荷の総計の絶対値は、前記中心金属原子Mが有する正電荷の総計の絶対値に等しい。「前記配位子の全て」とは、前記基Xと前記多座配位子とを含む。
【0169】
前記非メタロセン錯体は、次の化学構造式を有する化合物(A)および化合物(B)からなる群から選ばれることがより好ましい。
【0170】
【化2】
【0171】
前記非メタロセン錯体は、次の化学構造式を有する化合物(A−1)ないし化合物(A−4)および化合物(B−1)ないし化合物(B−4)からなる群から選ばれることがより好ましい。
【0172】
【化3】
【0173】
前記化学構造式のすべてにおいて、
qは、0もしくは1である。
【0174】
dは、0もしくは1である。
【0175】
mは、1、2または3である。
【0176】
Mは、元素周期表において第III族ないし第XI族金属原子からなる群から選ばれる中心金属原子であり、好ましくは、第IVB族金属原子であり、例えば、Ti(IV)、Zr(IV)、Hf(IV)、Cr(III)、Fe(III)、Ni(II)、Pd(II) またはCo(II) が例示される。
【0177】
nは、1、2、3または4であり、前記中心金属原子Mの価数状態に依存する。
【0178】
Xは、ハロゲン原子、水素原子、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基、硫黄含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基からなる群から選ばれる基であり、多くのXが同じであってもよく、また互いに異なっていてもよく、互いに結合しまたは環を形成していてもよい。
【0179】
Aは、酸素原子,硫黄原子、セレン原子、
【0180】
【化4】
【0181】
、-NR23R24、-N(O)R25R26
【0182】
【化5】
【0183】
、-PR28R29、-P(O)R30OR31、スルホン基、スルホキシド基または-Se(O)R39からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)である。
【0184】
Bは、窒素原子、窒素含有基、リン含有基またはC1−C30炭化水素基からなる群から選ばれる基である。
【0185】
Dは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、リン原子、窒素含有基、リン含有基、C1−C30炭化水素基、スルホン基又はスルホキシド基からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)である。
【0186】
Eは、窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、セレン含有基、リン含有基またはシアノ基(−CN)からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)である。
【0187】
Fは、窒素原子、窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、セレン含有基またはリン含有基からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)である。
【0188】
Gは、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基または不活性な官能基からなる群から選ばれる基である。
【0189】
Yは、酸素原子、窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、セレン含有基またはリン含有基からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)である。
【0190】
Zは、窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、セレン含有基、リン含有基またはシアノ基(−CN)からなる群から選ばれる基(ここで、N、O、S、SeおよびPはそれぞれ配位原子を表わす。)であり、例えば、-NR23R24、-N(O)R25R26、-PR28R29、-P(O)R30R31、-OR34、-SR35、-S(O)R36、-SeR38又は-Se(O)R39が例示される。
【0191】
記号→は、単結合または二重結合を示す。
【0192】
記号−は、共有結合またはイオン結合を示す。
【0193】
記号---は、配位結合、共有結合またはイオン結合を示す。
【0194】
R1〜R4、R6〜R21は、それぞれ独立して水素、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基(-CH2Cl及び-CH2CH2Clなどのハロゲン化炭化水素基が好ましい。)または不活性な官能基の群から選ばれる基である。R22〜R36、R38およびR39は、それぞれ独立して水素、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基(-CH2Cl及び-CH2CH2Clなどのハロゲン化炭化水素基が好ましい。)の群から選ばれる基である。ここで、これらの基は同じであってもよいし、また互いに異なっていてもよく、R1とR2、R6とR7、R7とR8、R8とR9、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R18とR19、R19とR20、R20とR21、R23とR24、又はR25とR26などの隣接する基は、互いに結合しまたは環(芳香族環が好ましい。)を形成していてもよい。当該芳香族環としては、無置換ベンゼン環、又は置換基として、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基(-CH2Cl及び-CH2CH2Clなどのハロゲン化炭化水素基が好ましい。)または不活性な官能基を1−4個持つベンゼン環が例示される。
【0195】
R5は、窒素原子上の孤立電子対、水素、C1−C30炭化水素基、置換C1−C30炭化水素基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、セレン含有基またはリン含有基からなる群から選ばれる基であり、R5が、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、セレン含有基またはリン含有基である場合には、R5基中のN、O、S、PおよびSeはそれぞれ(前記中心金属原子Mと配位結合を形成する)配位原子でもよい。
【0196】
本発明において、前記不活性な官能基として、ハロゲン原子、酸素含有基、窒素含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、硫黄含有基、スズ含有基、C1−C10エステル基またはニトロ基(−NO)などが例示されるが、C1−C30炭化水素基及び置換C1−C30炭化水素基は、通常、排除される。
【0197】
本発明において、本発明にかかる多座配位子の化学構造式により制限されており、前記不活性な官能基は、
(1)前記の基A、D、E、F、Y又はZと前記中心金属原子Mとの配位プロセスに対して、実質的な阻害がないことと
(2)前記中心金属原子Mとの配位能は、前記の基A、D、E、F、YおよびZのそれぞれよりも低い。また、それらの基と前記中心金属原子Mと形成した配位を取り替えないこと
を特徴とする。
【0198】
本発明により、前記化学構造式のすべてにおいて、場合によると、任意の二つ又は複数個の隣接する基(例えば、基ZとR21、又はR13と基Yが例示される。)は、互いに結合して環を形成していてもよく、前記基Z又はYから由来のヘテロ原子を含むC6−C30芳香族ヘテロ環(ピリジン環などが例示される。)を形成することが好ましい。ここで、前記芳香族ヘテロ環は、C1−C30炭化水素基及び置換C1−C30炭化水素基の群から選ばれる置換基の一つ又は複数個で置換されていてもよい。
【0199】
本発明において、前記ハロゲン原子は、F、Cl、BrまたはIからなる群から選ばれる基であり、前記窒素含有基は、
【0200】
【化6】
【0201】
、-NR23R24、-T-NR23R24又は-N(O)R25R26からなる群から選ばれる基であり、前記リン含有基は、
【0202】
【化7】
【0203】
、-PR28R29、-P(O)R30R31又は-P(O)R32(OR33)からなる群から選ばれる基であり、前記酸素含有基は、ヒドロキシル基、-OR34及び-T-OR34からなる群から選ばれる基であり、前記硫黄含有基は、-SR35、 -T-SR35、 -S(O)R36または-T-SO2R37からなる群から選ばれる基であり、前記セレン含有基は、-SeR38、 -T-SeR38、 -Se(O)R39または-T-Se(O)R39からなる群から選ばれる基である。前記T基は、C1−C30炭化水素基、または置換C1−C30炭化水素基からなる群から選ばれる基である。前記R37基は、水素、C1−C30炭化水素基、または置換C1−C30炭化水素基からなる群から選ばれる基である。
【0204】
本発明において、前記C1−C30炭化水素基は、C1−C30アルキル基(イソブチル基などのC1−Cアルキル基が好ましい。)、C7−C30アルキルアリール基(トリル基、キシレン基、ジイソブチルフェニル基などが例示される。)、C7−C30アラルキル基(ベンジル基が例示される。)、C3−C30環状アルキル基、C2−C30アルケニル基、C2−C30アルキニル基、C6−C30アリール基(フェニル基、ナフチル基、アントリル基などが例示される。)、C8−C30 縮合環基又はC4−C30 ヘテロ環基からなる群から選ばれる基である。ここで、前記ヘテロ環基は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1−3個含む。前記ヘテロ環基としては、ピリジン基、ピロール基、フラン基またはチオフェン基などが例示される。
【0205】
当業者が明らかに理解できるのは、本発明において、前記C1−C30炭化水素基とは、それに結合する基によると、C1−C30ヒドロカーボン-ジ-イル基(二価の基である。C1−C30ヒドロカルビレン基とも呼ばれる)又はC1−C30ヒドロカーボン-トリ-イル基(三価の基である。)を意味することもある。
【0206】
本発明において、前記置換C1−C30炭化水素基とは、不活性な置換基を一つ又は複数個有するC1−C30炭化水素基を意味する。不活性な置換基とは、前記配位基(前記の基A、D、E、F、Y及びZを指す。また、場合によると、基R5をさらに含む。)と前記中心金属原子Mとの配位プロセスに対して、実質的な阻害がない基を意味する。言い換えれば、本発明にかかる多座配位子の化学構造式により制限されて、例えば立体障害などによる被害で、これらの置換基は、前記中心金属原子Mと配位反応を発生し、配位結合を形成する能力又は機会がない。通常、前記不活性な置換基とは、ハロゲン原子又はC1−C30アルキル基(イソブチル基などのC1−Cアルキル基が好ましい。)をいい。
【0207】
本発明において、前記ホウ素含有基は、BF4-、(C6F5)4B-又は(R40BAr3)-からなる群から選ばれる基であり、前記アルミニウム含有基は、アルキルアルミニウム、AlPh4-、AlF4-、AlCl4-、AlBr4-、AlI4-またはR41AlAr3-からなる群から選ばれる基であり、前記ケイ素含有基は、-SiR42R43R44又は-T-SiR45からなる群から選ばれる基であり、前記ゲルマニウム含有基は、-GeR46R47R48又は-T-GeR49からなる群から選ばれる基であり、前記スズ含有基は、-SnR50R51R52、 -T-SnR53又は-T-Sn(O)R54からなる群から選ばれる基であり、前記Arは、C6−C30アリール基であり、R40〜R54は、それぞれ独立して水素、前記C1−C30炭化水素基、前記置換C1−C30炭化水素基からなる群から選ばれる基である(ここで、これらの基は同じであってもよいし、また互いに異なっていてもよく、隣接する基は互いに結合しまたは環を形成していてもよい。)。また、基Tが前記規定と同じである。
【0208】
前記非メタロセン錯体としては、次の化合物が例示される。
【0209】
【化8】
【0210】
【化9】
【0211】
【化10】
【0212】
より好ましくは、前記非メタロセン錯体は、次の化合物の群からなる群から選ばれる。
【0213】
【化11】
【0214】
より好ましくは、前記非メタロセン錯体は、次の化合物の群からなる群から選ばれる。
【0215】
【化12】
【0216】
最も好ましくは、前記非メタロセン錯体は、次の化合物の群からなる群から選ばれる。
【0217】
【化13】
【0218】
これらの非メタロセン錯体は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0219】
本発明により、前記非メタロセン錯体における当該多座配位子は、本分野で電子供与体化合物としてよく使用されるジエ―テル化合物ではない。
【0220】
前記非メタロセン錯体又は前記多座配位子は、当業者が周知される任意の方法で製造される。その製造方法の詳細については、例えば、国際公開WO03/010207号ならびに中国特許第ZL01126323.7号及び第ZL02110844.7号などを参照して、これらの文献は本明細書の一部をなすものとしてここに引用する。
【0221】
本発明により、計量と作業を便利にするため、必要であれば、溶液として当該非メタロセン錯体を使用することができる。
【0222】
前記非メタロセン錯体の溶液を調製するときに、ここで用いられる溶媒については、前記非メタロセン錯体を溶解し得るのであれば、特に制限されない。具体的に、溶媒として、C〜C12芳香族炭化水素、ハロゲン化C〜C12芳香族炭化水素、ハロゲン化C1〜C10アルカン、エステル及びエーテルなどの溶媒が例示され、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、クロロ−トルエン、クロロ−エチルベンゼン、ブロモ−トルエン、ブロモ−エチルベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、エチルアセテート、テトラヒドロフランが例示される。中には、C〜C12芳香族炭化水素、ジクロロメタン、及びテトラヒドロフランが好ましい。
【0223】
これらの溶媒は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0224】
前記非メタロセン錯体の溶解を促進するために、必要であれば、撹拌を使用することができる。回転速度は通常10〜500rpmである。
【0225】
本発明により、便利なのは、前記非メタロセン錯体の前記溶媒に対する比率は、通常0.02−0.30g/ml、好ましく0.05−0.15g/mlとするが、これに制限されない。
【0226】
第二溶媒の存在下で、前記修飾マグネシウム含有担体を、前記非メタロセン錯体と接触させる方法として、以下が例示される。
【0227】
まず、第二溶媒の存在下で、前記修飾マグネシウム含有担体を、前記非メタロセン錯体と接触させること(接触反応とも呼ばれる。)により、第二混合スラリーが得られる。
【0228】
本発明により、前記第二混合スラリーを製造する時に、前記修飾マグネシウム含有担体と前記非メタロセン錯体と(前記第二溶媒と)の接触順序又は接触方法は、特に制限されない。例えば、前記修飾マグネシウム含有担体を、前記非メタロセン錯体と混合させてから、次に、前記第二溶媒をさらに添加すること、又は前記非メタロセン錯体を前記第二溶媒に溶解させることにより、前記非メタロセン錯体の溶液を調製してから、前記修飾マグネシウム含有担体を、前記非メタロセン錯体の溶液と混合させることなどが例示される。後者が好ましい。
【0229】
また、前記第二混合スラリーを製造するために、例えば、常温から用いられる溶剤の沸点より低い温度までの範囲の温度にて、前記第二溶媒の存在下での前記修飾マグネシウム含有担体と前記非メタロセン錯体との接触反応を、0.5−24時間、好ましくは1−8時間、最も好ましくは2−6時間行なうことが例示される。必要であれば、撹拌手段を使用することができる。
【0230】
こうして得られた第二混合スラリーは、スラリー状の混合系である。必ず必要ではないが、この系の均一性を確保するため、製造された後で、この第二混合スラリーをシールして所定の時間(2−48時間、好ましは4−24時間、より好ましは6−18時間)静置することが好ましい。
【0231】
前記第二混合スラリーを調製する又は前記接触反応を行なうときに、ここで用いられる第二溶媒(非メタロセン錯体を溶解するための溶媒とも呼ばれる。)については、前記非メタロセン錯体を溶解し得るのであれば、特に制限されない。具体的に、前記第二溶媒として、C〜C12芳香族炭化水素、ハロゲン化C〜C12芳香族炭化水素、ハロゲン化C1〜C10アルカン、及びエーテルなどの溶媒が例示され、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、クロロ−トルエン、クロロ−エチルベンゼン、ブロモ−トルエン、ブロモ−エチルベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフランが例示される。中には、C〜C12芳香族炭化水素、ジクロロメタン、及びテトラヒドロフランが好ましい。ジクロロメタンがより好ましい。
【0232】
これらの溶媒は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0233】
前記第二混合スラリーを調製する又は前記接触反応を行なうときに、必要であれば、撹拌を使用することができる。回転速度は通常10〜500rpmである。
【0234】
本発明により、前記第二溶媒の使用量としては、前記修飾マグネシウム含有担体を、前記非メタロセン錯体と接触させるために十分であれば、特に制限されない。便利なのは、前記非メタロセン錯体の前記第二溶媒に対する比率は、通常0.01−0.25g/ml、好ましくは0.05−0.16g/mlとするが、これに制限されない。
【0235】
次に、前記第二混合スラリーを直接乾燥して、流動性が優れた固体生成物(即ち、本発明の担持型非メタロセン触媒)が得られる。
【0236】
本発明により、当該直接乾燥は、当業者に周知である方法で行われてもよい。例えば、不活性ガス雰囲気下での乾燥、真空雰囲気下での乾燥又は真空雰囲気下での加熱乾燥などが例示される。ここで、真空雰囲気下での加熱乾燥が好ましい。当該乾燥は、通常、当該混合スラリーにおける溶媒の沸点よりも5−15℃低い温度(通常は30−160℃、好ましくは60−130℃)で行われ、乾燥の継続時間は、通常、2−24時間であるが、これに制限されない。
【0237】
本発明の更なる実施態様により、前記担持型非メタロセン触媒の製造方法は、必要であれば、前記マグネシウム含有担体を、前記化学的処理剤および前記ケイ素化合物と接触させる前に、前記マグネシウム含有担体を、アルミノキサン、アルキルアルミニウムまたはその任意の組合せからなる群から選ばれる予備化学的処理剤によって予備処理する工程(予備処理工程)をさらに含むことができる。
【0238】
本説明書においで、特に断わらない限り、このように予備処理されたマグネシウム含有担体は、依然として、マグネシウム含有担体とも呼ばれる。
【0239】
以下、当該予備化学的処理剤を具体的に説明する。
【0240】
本発明により、当該予備化学的処理剤として、アルミノキサンとアルキルアルミニウムが例示される。
【0241】
前記アルミノキサンとして、次の一般式(I)で示される直鎖状のアルミノキサン((R)(R)Al-(Al(R)-O)n-O-Al(R)(R))、及び次の一般式(II)で示される環状のアルミノキサン(-(Al(R)-O-)n+2-)が例示される。
【0242】
【化14】
【0243】
[式中、基Rはそれぞれ独立して同一であってもまたは異なっていてもよく、同一であることが好ましく、C−Cアルキルの群から選ばれ、メチル、エチルおよびイソブチルが好ましく、メチルが最も好ましく、nは1から50までの任意の整数であり、好ましくは10から30までの任意の整数である]。
【0244】
前記アルミノキサンとして、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンおよびn−ブチルアルミノキサンが好ましく、メチルアルミノキサンおよびイソブチルアルミノキサンがより好ましい。
【0245】
これらのアルミノキサンは、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0246】
前記アルキルアルミニウムとして、以下の式で示される化合物が例示される。
【0247】
Al(R)
[式中、基Rはそれぞれ独立して同一であってもまたは異なっていてもよく、同一であることが好ましく、C−Cアルキルの群から選ばれ、メチル、エチルおよびイソブチルが好ましく、メチルが最も好ましい]。
【0248】
具体的には、前記アルキルアルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)、トリエチルアルミニウム(Al(CH3CH2)3)、トリプロピルアルミニウム(Al(C3H7)3)、トリイソブチルアルミニウム(Al(i-C4H9)3)、トリn−ブチルアルミニウム(Al(C4H9)3)、トリイソアミルアルミニウム(Al(i-C5H11)3)、トリn−アミルアルミニウム(Al(C5H11)3)、トリヘキシルアルミニウム(Al(C6H13)3)、トリイソヘキシルアルミニウム(Al(i-C6H13)3)、ジエチルメチルアルミニウム(Al(CH3)(CH3CH2)2)およびエチルジメチルアルミニウム(Al(CH3CH2)(CH3)2)などが例示される。ここで好ましいものは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよびトリプロピルアルミニウムであり、最も好ましいものはトリエチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムである。
【0249】
これらのアルキルアルミニウムは、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0250】
本発明により、当該予備化学的処理剤としては、前記アルキルアルミニウムのみ、もしくは前記アルミノキサンのみ、または前記アルキルアルミニウムと前記アルミノキサンとの任意の混合物を使用することができる。また、このような混合物においてそれぞれ成分の割合について特に制限されなく、必要に応じて決定される。
【0251】
本発明により、当該予備化学的処理剤は、通常、溶液として採用される。当該予備化学的処理剤の溶液を調製するときに、ここで用いられる溶媒については、前記予備化学的処理剤を溶解し得り、また前記マグネシウム含有担体の既成構造を壊しない(例えば、溶解しない)のであれば、特に制限されない
具体的には、当該溶媒として、例えば、C〜C12アルカン、C〜C12環式アルカン、ハロゲン化C〜C12アルカン、ハロゲン化C〜C12環式アルカンが例示され、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、塩素化ペンタン、塩素化ヘキサン、塩素化ヘプタン、塩素化オクタン、塩素化ノナン、塩素化デカン、塩素化ウンデカン、塩素化ドデカン、塩素化シクロヘキサンが例示される。ペンタン、ヘキサン、デカン、及びシクロヘキサンが好ましく、ヘキサンが最も好ましい。
【0252】
これらの溶媒は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0253】
また、溶液中において前記予備化学的処理剤の濃度は、場合によると、適当に決定されたものであるが、所定量の前記予備化学的処理剤によって前記予備処理を行うために十分なものであれば、特に制限されない。
【0254】
前記予備処理を行うするための方法として、例えば、先ず前記予備化学的処理剤の溶液を予め調製しており、次に、‐40−60℃(好ましくは‐30−30℃)の温度で、当該予備化学的処理剤によって予備処理されるべき前記マグネシウム含有担体に、当該溶液(それにおいて所定量の予備化学的処理剤が含まれた)を量り添加し(好ましく滴下添加し)、又は当該溶液に、当該マグネシウム含有担体を量り添加することにり、反応混合物が得られることが例示される。それを、(必要な場合には、何らかの撹拌手段を伴って)1−8時間、好ましくは2−6時間、より好ましくは3−4時間反応させる。次に、濾過、洗浄、乾燥で、予備処理されたマグネシウム含有担体は、当該反応混合物から分離される。それから、前記マグネシウム含有担体を当該予備処理されたマグネシウム含有担体に取り替えた以外は、前記規定とまったく同様にして、前記化学的処理剤と前記ケイ素化合物との接触反応を行なう。
【0255】
本発明により、上述した濾過・洗浄・乾燥は、当業者に周知である方法で行われてもよい。ここで、洗浄のための溶媒は、前記予備化学的処理剤を溶解するための溶媒と同じであることが好適である。当該洗浄は、通常、1−8回、好ましくは2−6回、もっとも好ましくは2−4回行われる。上述した乾燥は、当業者に周知である方法で行われてもよい。例えば、不活性ガス雰囲気下での乾燥、真空雰囲気下での乾燥又は真空雰囲気下での加熱乾燥が例示される。不活性ガス雰囲気下での乾燥又は真空雰囲気下での加熱乾燥が好ましい。真空雰囲気下での加熱乾燥が最も好ましい。当該乾燥の温度範囲は、通常、常温から140℃までであり、また乾燥の継続時間は、通常、2−20時間であるが、これに制限されない。
【0256】
本発明により、前記第一溶媒の使用量としては、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対75−400ml、好ましくは1mol対150−300ml、より好ましくは1mol対200−250mlとなる。
【0257】
本発明により、前記アルコールの使用量としては、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対0.02−4.00、好ましくは1対0.05−3.00、より好ましくは1対0.10−2.50となる。
【0258】
本発明により、前記多孔質担体の使用量としては、前記マグネシウム化合物(マグネシウム化合物固体基準)の前記多孔質担体に対する質量比は、1対0.1−20、好ましくは1対0.5−10となる。
【0259】
本発明により、前記沈殿剤の使用量としては、前記沈殿剤の前記第一溶媒に対する体積比は、1対0.2−5、好ましくは1対0.5−2、より好ましくは1対0.8−1.5となる。
【0260】
本発明により、前記ケイ素化合物の使用量としては、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.01−1、好ましくは1対0.01−0.50、より好ましくは1対0.05−0.25となる。
【0261】
本発明により、前記化学的処理剤の使用量としては、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.01−1、好ましくは1対0.01−0.50、より好ましくは1対0.10−0.30となる。
【0262】
本発明により、前記非メタロセン錯体の使用量としては、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.01−1、好ましくは1対0.04−0.4、より好ましくは1対0.08−0.2となる。
【0263】
本発明により、前記予備化学的処理剤の使用量としては、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記予備化学的処理剤(Al元素基準)に対するモル比は、1対0−1.0、好ましくは1対0−0.5、より好ましくは1対0.1−0.5となる。
【0264】
上述の方法および工程はすべて、酸素/水が実質的に存在しない条件下で行われることが好ましいということはよく知られている。ここでいう酸素/水が実質的に存在しない条件とは、関与する系において、酸素および水のそれぞれの含有量が10ppm未満に継続して制御されることを意味する。更に、本発明の担持型非メタロセン触媒は、製造された後であって、通常、密封条件下、軽い陽圧下にて貯蔵されることが必要である。
【0265】
本発明は、更なる実施態様において、前記の方法によって製造された担持型非メタロセン触媒(オレフィン重合用の担持型非メタロセン触媒と記すこともある)に関する。
【0266】
本発明は、更なる実施態様において、本発明の担持型非メタロセン触媒をオレフィン重合用触媒とし、オレフィンを単独重合又は共重合させるオレフィンの単独重合/共重合方法に関する。
【0267】
本発明にかかるオレフィンの単独重合/共重合方法においては、以下具体的に言明した内容以外の内容(例えば、重合用反応容器、オレフィンの使用量、触媒及びオレフィンの導入形式など)は、本分野でよく分かったものを直接的に適用することができ、特に制限されないので、ここでそれらについての詳細が省略される。
【0268】
本発明のオレフィンの単独重合/共重合方法により、本発明の担持型非メタロセン触媒を主触媒とし、アルミノキサン、アルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、フルオロボラン、アルキルボロンおよびアルキルボロンアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を助触媒とし、オレフィンを単独重合又は共重合させる。
【0269】
主触媒と助触媒の重合反応系への導入形式は、主触媒を導入てから助触媒を導入してもよいし、助触媒を導入てから主触媒を導入してもよいし、助触媒と主触媒とを接触し混合してから一緒に導入してもよいし、又は助触媒と主触媒をそれぞれ同時に導入してもよい。助触媒と主触媒がそれぞれ導入される時に、同じ加料ラインに逐次に導入されてもよいし、複数個の加料ラインに逐次に導入されてもよい。助触媒と主触媒がそれぞれ同時に導入される時に、複数個の加料ラインが必要となる。連続式重合反応については、複数個の加料ラインに同時に連続的に導入することが好ましいが、バッチ式重合反応については、助触媒と主触媒とを混合してから、同じ加料ラインに一緒に導入すること、又は同じ加料ラインに助触媒を導入てから主触媒を導入することが好ましい。
【0270】
本発明により、前記オレフィン単独重合/共重合方法をどのような重合プロセスで実施するかという点に関しては、特に制限されなく、当業者に知られている常套の方法を用いることができる。例えば、スラリープロセス、エマルジョンプロセス、溶液プロセス、塊状プロセス及び気相プロセスなどが例示される。ここで、スラリープロセス及び気相プロセスが好ましい。
【0271】
本発明により、前記オレフィンとして、C2〜C10のモノオレフィン、ジオレフィン、環状オレフィン及び他のエチレン性不飽和化合物が例示される。
【0272】
具体的には、例えば、当該C2〜C10のモノオレフィンとして、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンおよびスチレンなどが例示される。前記環状オレフィンとしては、1−シクロペンテン及びノルボルネンなどが例示される。前記ジオレフィンとしては、1,4−ブタジエン、2,5−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、ノルボルナジエンおよび1,7−オクタジエンなどが例示される。前記の他のエチレン性不飽和化合物としては、酢酸ビニルおよび(メタ)クリレートなどが例示される。
【0273】
本発明により、エチレンの単独重合又はエチレンとC3〜C12α―オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα―オレフィン(コモノマーとも呼ばれる。)との共重合がさらに好ましい。当該C3〜C12α―オレフィンとして、C3〜C8α―オレフィンがさらに好ましい。具体的には、当該α―オレフィンとして、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ドデセンや4−メチル−1−へキセンなどが例示される。プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどが好ましく、プロピレン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどがさらに好ましい。
【0274】
これらのα―オレフィンは、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0275】
本発明により、前記コモノマーの使用量としては、通常、0.5−10g/mg主触媒、好ましくは1−5g/mg主触媒となる。
【0276】
本発明により、当該助触媒は、アルミノキサン、アルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、フルオロボラン、アルキルボロンおよびアルキルボロンアンモニウム塩からなる群から選ばれる。ここで、アルミノキサン及びアルキルアルミニウムが好ましい。
【0277】
前記アルミノキサンとして、次の一般式(I-1)で示される直鎖状のアルミノキサン((R)(R)Al-(Al(R)-O)n-O-Al(R)(R))、及び次の一般式(I I-1)で示される環状のアルミノキサン(-(Al(R)-O-)n+2-)が例示される。
【0278】
【化15】
【0279】
[式中、基Rはそれぞれ独立して同一であってもまたは異なっていてもよく、同一であることが好ましく、C−Cアルキルの群から選ばれ、メチル、エチルおよびイソブチルが好ましく、メチルが最も好ましく、nは1から50までの任意の整数であり、好ましくは10から30までの任意の整数である]。
【0280】
前記アルミノキサンとして、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンおよびn−ブチルアルミノキサンが好ましく、メチルアルミノキサンおよびイソブチルアルミノキサンがより好ましく、メチルアルミノキサンが最も好ましい。
【0281】
これらのアルミノキサンは、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0282】
前記アルキルアルミニウムとして、以下の式で示される化合物が例示される。
【0283】
Al(R)
[式中、基Rはそれぞれ独立して同一であってもまたは異なっていてもよく、同一であることが好ましく、C−Cアルキルの群から選ばれ、メチル、エチルおよびイソブチルが好ましく、メチルが最も好ましい]。
【0284】
具体的には、前記アルキルアルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)、トリエチルアルミニウム(Al(CH3CH2)3)、トリプロピルアルミニウム(Al(C3H7)3)、トリイソブチルアルミニウム(Al(i-C4H9)3)、トリn−ブチルアルミニウム(Al(C4H9)3)、トリイソアミルアルミニウム(Al(i-C5H11)3)、トリn−アミルアルミニウム(Al(C5H11)3)、トリヘキシルアルミニウム(Al(C6H13)3)、トリイソヘキシルアルミニウム(Al(i-C6H13)3)、ジエチルメチルアルミニウム(Al(CH3)(CH3CH2)2)およびエチルジメチルアルミニウム(Al(CH3CH2)(CH3)2)などが例示される。ここで好ましいものは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよびトリプロピルアルミニウムであり、されに好ましいものはトリエチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムであり、最も好ましいものはトリエチルアルミニウムである。
【0285】
これらのアルキルアルミニウムは、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0286】
前記ハロゲン化アルキルアルミニウムとして、以下の式で示される化合物が例示される。
【0287】
Al(R)3−n
[式中、基Rはそれぞれ独立して同一であってもまたは異なっていてもよく、同一であることが好ましく、C−Cアルキルの群から選ばれ、メチル、エチルおよびイソブチルが好ましく、メチルが最も好ましい。Xは、ハロゲン原子であり、好ましくはClである。nは1又は2である]。
【0288】
具体的には、前記ハロゲン化アルキルアルミニウムとして、モノクロロジメチルアルミニウム(Al(CH3)2Cl)、ジクロロメチルアルミニウム(Al(CH3)Cl2))、モノクロロジエチルアルミニウム(Al(CH3CH2)2Cl)、ジクロロエチルアルミニウム(Al(CH3CH2)Cl2)、モノクロロジプロピルアルミニウム(Al(C3H7)2Cl)、ジクロロプロピルアルミニウム(Al(C3H7)Cl2))、モノクロロジn−ブチルアルミニウム(Al(C4H9)2Cl)、ジクロロn−ブチルアルミニウム(Al(C4H9)Cl2)、モノクロロジイソブチルアルミニウム(Al(i-C4H9)2Cl)、ジクロロイソブチルアルミニウム(Al(i-C4H9)Cl2)、モノクロロジn−ペンチルアルミニウム(Al(C5H11)2Cl)、ジクロロn−ペンチルアルミニウム(Al(C5H11)Cl2)、モノクロロジイソペンチルアルミニウム(Al(i-C5H11)2Cl)、ジクロロイソペンチルアルミニウム(Al(i-C5H11)Cl2)、モノクロロジn−へキシルアルミニウム(Al(C6H13)2Cl)、ジクロロn−へキシルアルミニウム(Al(C6H13)Cl2)、モノクロロジイソへキシルアルミニウム(Al(i-C6H13)2Cl)、ジクロロイソへキシルアルミニウム(Al(i-C6H13)Cl2)、モノクロロメチルエチルアルミニウム(Al(CH3) (CH3CH2)Cl)、モノクロロメチルプロピルアルミニウム(Al(CH3) (C3H7)Cl)、モノクロロメチルn−ブチルアルミニウム(Al(CH3) (C4H9)Cl)、モノクロロメチルイソブチルアルミニウム(Al(CH3) (i-C4H9)Cl)、モノクロロエチルプロピルアルミニウム(Al(CH2CH3)(C3H7)Cl)、モノクロロエチルn−ブチルアルミニウム(AlCH2CH3)(C4H9)Cl)、モノクロロメチルイソブチルアルミニウム(AlCH2CH3)(i-C4H9)Cl)などが例示される。モノクロロジエチルアルミニウム、ジクロロエチルアルミニウム、モノクロロジn−ブチルアルミニウム、ジクロロn−ブチルアルミニウム、モノクロロジイソブチルアルミニウム、ジクロロイソブチルアルミニウム、モノクロロジn−へキシルアルミニウム、ジクロロn−へキシルアルミニウムが好ましく、モノクロロジエチルアルミニウム、ジクロロエチルアルミニウム及びモノクロロジn−へキシルアルミニウムがさらに好ましく、モノクロロジエチルアルミニウムが最も好ましい。
【0289】
これらのハロゲン化アルキルアルミニウムは、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0290】
前記フルオロボラン、前記アルキルボロンおよび前記アルキルボロンアンモニウム塩については、本分野でよく使用されるものであれば、特に制限されなく、そのまま使用してもよい。
【0291】
また、本発明により、これらの助触媒は、単独でも、または場合によれば、任意の割合で2種以上を併用してもよく、特に制限されない。
【0292】
本発明により、前記オレフィン単独重合/共重合方法の重合プロセス(例えば、スラリープロセス)によれば、必要であれば、重合用溶媒を使用することもある。
【0293】
当該重合用溶媒としては、本分野でオレフィン単独重合/共重合を行うのに一般に使用されるものであれば、特に制限されない。
【0294】
当該重合用溶媒としては、C〜C10アルカン(例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン又はデカンなど)、ハロゲン化C1〜C10アルカン(例えば、ジクロロメタン)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、キシレン)などが例示される。ヘキサンが最も好ましく使用される。
【0295】
これらの重合用溶媒は、単独でも、または任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0296】
本発明により、当該オレフィン単独重合/共重合における重合反応圧力は、通常、0.1−10MPa、好ましく0.1−4MPa、より好ましく0.4−3MPaであるが、これに制限されない。本発明により、当該オレフィン単独重合/共重合における重合反応温度は、通常、‐40−200℃、好ましく10−100℃、より好ましく40−95℃であるが、これに制限されない。
【0297】
また、本発明により、当該オレフィン単独重合/共重合は、水素の存在または不在下で行うことができる。水素が存在する場合、水素の分圧は、前記重合反応圧力の0.01%〜99%、好ましく0.01%〜50%であるが、これに制限されない。
【0298】
本発明により、当該オレフィン単独重合/共重合を行う時に、前記助触媒(Al又はB元素基準)の前記担持型非メタロセン触媒(中心金属原子基準)に対するモル比は、通常、1−1000対1、好ましくは10−500対1、より好ましくは15−300対1であるが、これに制限されない。
【0299】
実施例
本発明について以下の実施例を用いて更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0300】
ポリマーの嵩密度(単位:g/cm3)は、中国標準(Chinese Standard)GB 1636−79によって測定する。
【0301】
担持型非メタロセン触媒中における第IVB族金属元素(例えば、Ti)およびMg元素のそれぞれの含有量は、ICP−AES法によって、非メタロセン配位子の含有量は、元素分析法によって、測定する。
【0302】
触媒の重合活性は、以下のようにして計算される。
【0303】
重合反応の終了時に、反応容器内のポリマー生成物を、濾過し、乾燥させて、その重量(質量基準)を計測した。その後、触媒の重合活性は、ポリマー生成物の重量を、重合中に使用した触媒の量(質量基準)で除することによって得られる値(単位:kgポリマー/g触媒、またはkgポリマー/gCat)により表現する。
【0304】
ポリマーの分子量Mw、Mn及び分子量分布(Mw/Mn)は、150℃の測定温度にて、溶媒として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて、GPC V2000型ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置(WATERS Co., USA)によって測定する。
【0305】
ポリマーの粘度平均分子量は、以下のようにして計算される。
【0306】
ASTMD4020−00に準拠して、高温希釈型ウベローデ粘度計(毛細管内径は0.44mmであり、恒温浴の媒介は#300シリコンオイルであり、希釈用溶媒はデカリンであり、温度は135℃である)により、当該ポリマーの極限粘度を測定する。その後、以下の公式で当該ポリマーの粘度平均分子量Mvを算出する。
【0307】
Mv=5.37×104×[η]1.37
ここで、ηは極限粘度である。
【0308】
第一実施態様の実施例
実施例1
無水塩化マグネシウムをマグネシウム化合物として使用し、テトラヒドロフランを第一溶媒として使用し、エタノールをアルコールとして使用し、シリカゲル(ES757、Ineos社から)を多孔質担体として使用し、TiCl4を化学的処理剤として使用し、テトラエトキシシリコンをケイ素化合物として使用し、ジクロロメタンを第二溶媒として使用し、
【0309】
【化16】
【0310】
を非メタロセン錯体として使用した。
【0311】
シリカゲルを、N2雰囲気下で600℃で、4時間持続し焼成し、熱活性化を行った。
【0312】
マグネシウム化合物5gを計量し、第一溶媒に添加した後、アルコールをそれに添加してから、常温で完全に溶解させて、マグネシウム化合物の溶液を得た。その後、多孔質担体を添加し、2時間撹拌してから、第一混合スラリーを得た。次に、それを、90℃まで均一的に加熱し、そのまま真空乾燥して、マグネシウム含有担体を得た。
【0313】
こうして得られたマグネシウム含有担体を、ヘキサンに添加して、常温で、10分の時間で、ケイ素化合物を滴下により添加し、30分の時間で、化学的処理剤を滴下により添加してから、60℃まで均一的に加熱し、この温度で2時間で反応させてから、濾過し、ヘキサンによって3回洗浄し(各回ごとにヘキサンの使用量=ヘキサンの添加量)、最後に60℃で真空乾燥して、修飾マグネシウム含有担体を得た。
【0314】
室温下で、非メタロセン錯体を、第二溶媒に添加してから、修飾マグネシウム含有担体を添加し、撹拌下で、4時間で反応させた。次に、シールして12時間静置してから、常温で、そのまま真空乾燥して、担持型非メタロセン触媒を得た。
【0315】
ここで、前記マグネシウム化合物(マグネシウム化合物固体基準)の前記多孔質担体に対する質量比は、1対2であり、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対2であり、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対210mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.1であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.20であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.08であり、前記非メタロセン錯体の前記第二溶媒に対する割合は、0.1g/mlである。
【0316】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-1と称する。
【0317】
実施例2
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0318】
当該マグネシウム含有担体を、ケイ素化合物と化学的処理剤で処理する前に、予備化学的処理剤としてのトリエチルアルミニウムで予備処理し、予備処理されたマグネシウム含有担体を得る。
【0319】
具体的は、マグネシウム含有担体を、ヘキサンに添加して、予備化学的処理剤としてのトリエチルアルミニウム(濃度0.88mol/Lのヘキサン溶液)をゆっくり滴下により添加し、60℃にて撹拌下で2時間で反応させてから、濾過し、ヘキサンによって3回洗浄し(各回ごとにヘキサンの使用量=ヘキサンの添加量)、最後に60℃で真空乾燥して、予備処理されたマグネシウム含有担体を得る。
【0320】
ここで、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記予備化学的処理剤(Al元素基準)に対するモル比は、1対0.2である。
【0321】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-2と称する。
【0322】
実施例3
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0323】
当該マグネシウム含有担体を、ケイ素化合物と化学的処理剤で処理する前に、予備化学的処理剤としてのメチルアルミノキサンで予備処理し、予備処理されたマグネシウム含有担体を得る。
【0324】
具体的は、マグネシウム含有担体を、トルエンに添加して、予備化学的処理剤としてのメチルアルミノキサン(濃度10wt%のトルエン溶液)をゆっくり滴下により添加し、60℃にて撹拌下で2時間で反応させてから、濾過し、トルエンによって3回洗浄し(各回ごとにトルエンの使用量=トルエンの添加量)、最後に100℃で真空乾燥して、予備処理されたマグネシウム含有担体を得る。
【0325】
ここで、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記予備化学的処理剤(Al元素基準)に対するモル比は、1対0.4である。
【0326】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-3と称する。
【0327】
実施例4
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0328】
多孔質担体をTiOに変更した。TiOを、N2雰囲気下で400℃で、4時間持続し焼成し、熱活性化を行った。
【0329】
非メタロセン錯体を
【0330】
【化17】
【0331】
に変更し、第一溶媒をトルエンに変更し、化学的処理剤をZrCl4に変更し、アルコールをn−ブタノールに変更し、マグネシウム化合物をイソブトキシ塩化マグネシウム(Mg(i-OC4H9)Cl)に変更し、ケイ素化合物をテトライソブトキシシリコンに変更し、第二溶媒をトルエンに変更した。
【0332】
第一混合スラリーに、沈殿剤としてのヘキサンを添加し、完全に沈殿させて、ろ過、沈殿剤で3回洗浄してから、60℃で真空乾燥した。
【0333】
ここで、前記マグネシウム化合物(マグネシウム化合物固体基準)の前記多孔質担体に対する質量比は、1対1であり、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対1であり、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対150mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.05であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.30であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.10であり、前記沈殿剤の前記第一溶媒に対する体積比は、1対1であり、前記非メタロセン錯体の前記第二溶媒に対する割合は、0.06g/mlである。
【0334】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-4と称する。
【0335】
実施例5
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0336】
マグネシウム化合物を無水臭化マグネシウム(MgBr2)に変更し、アルコールを2−エチルヘキサノールに変更し、第一溶媒をヘキサンに変更し、第二溶媒をヘキサンに変更した。多孔質担体をアルミナに変更した。アルミナを、N2雰囲気下で700℃で、6時間持続し焼成した。
【0337】
非メタロセン錯体を
【0338】
【化18】
【0339】
に変更し、ケイ素化合物をトリエトキシクロロシリコンに変更し、化学的処理剤をTiBr4に変更した。第一混合スラリーは、そのまま105℃で真空乾燥された。
【0340】
ここで、前記マグネシウム化合物(マグネシウム化合物固体基準)の前記多孔質担体に対する質量比は、1対5であり、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対0.7であり、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対280mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.10であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.05であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.25であり、前記非メタロセン錯体の前記第二溶媒に対する割合は、0.05g/mlである。
【0341】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-5と称する。
【0342】
実施例6
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0343】
マグネシウム化合物をエトキシマグネシウム(Mg(OC2H5)2)に変更し、アルコールをトリクロロメタノールに変更し、第一溶媒をキシレンに変更した。多孔質担体をシリカとマグネシアの混合物(質量基準で1:1)に変更した。シリカとマグネシアの混合物を、Ar雰囲気下で600℃で、4時間持続し焼成した。
【0344】
非メタロセン錯体を
【0345】
【化19】
【0346】
に変更し、ケイ素化合物をテトラクロロシリコンに変更し、化学的処理剤をテトラエチルチタン(Ti(CH3CH2)4)に変更した。
【0347】
第一混合スラリーに、沈殿剤としてのシクロヘキサンを添加し、完全に沈殿させて、ろ過、沈殿剤で3回洗浄してから、80℃で真空乾燥した。
【0348】
ここで、前記マグネシウム化合物(マグネシウム化合物固体基準)の前記多孔質担体に対する質量比は、1対10であり、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対0.7であり、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対200mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.15であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.04であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.14であり、前記沈殿剤の前記第一溶媒に対する体積比は、1対1.5であり、前記非メタロセン錯体の前記第二溶媒に対する割合は、0.16g/mlである。
【0349】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-6と称する。
【0350】
実施例7
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0351】
マグネシウム化合物をエチルマグネシウム(Mg(C2H5)2)に変更し、アルコールをベンゼンエタノールに変更し、第一溶媒をジエチルベンゼに変更した。多孔質担体をモンモリロナイトに変更した。モンモリロナイトを、N2雰囲気下で400℃で、8時間持続し焼成した。
【0352】
非メタロセン錯体を
【0353】
【化20】
【0354】
に変更し、ケイ素化合物をテトラメトキシシリコンに変更し、化学的処理剤をテトラn-ブチルチタン(Ti(C4H9)4)に変更した。
【0355】
第一混合スラリーは、そのまま130℃で真空乾燥された。
【0356】
ここで、前記マグネシウム化合物(マグネシウム化合物固体基準)の前記多孔質担体に対する質量比は、1対3であり、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対1.5であり、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対400mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.50であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.01であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.45である。
【0357】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-7と称する。
【0358】
実施例8
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0359】
マグネシウム化合物をエチル塩化マグネシウム(Mg(C2H5)Cl)に変更し、アルコールをシクロヘキサノールに変更し、第一溶媒をシクロヘキサンに変更した。多孔質担体を部分的に架橋されたスチレン重合体(架橋度が30%である。)に変更した。スチレン重合体を、N2雰囲気下で85℃で、12時間持続し乾燥した。
【0360】
非メタロセン錯体を
【0361】
【化21】
【0362】
に変更し、ケイ素化合物をテトラエトキシシリコンとテトラクロロシリコンの混合物(モル基準で1:1)に変更し、化学的処理剤をトリイソブトキシクロロチタン(TiCl(i-OC4H9)3)に変更した。
【0363】
ここで、前記マグネシウム化合物(マグネシウム化合物固体基準)の前記多孔質担体に対する質量比は、1対0.5であり、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対2.5であり、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対210mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.20であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.20であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.02である。
【0364】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-8と称する。
【0365】
参考例 A
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0366】
ケイ素化合物が添加されないとなった。
【0367】
得られた触媒をCAT-Aと称する。
【0368】
参考例 B
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0369】
Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.05である。
【0370】
得られた触媒をCAT-Bと称する。
【0371】
参考例 C
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0372】
Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.20である。
【0373】
得られた触媒をCAT-Cと称する。
【0374】
参考例 D
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0375】
非メタロセン錯体が添加されないとなった。
【0376】
得られた触媒をCAT-Dと称する。
【0377】
応用実施例
前記製造した触媒CAT-1ないしCAT-8ならびに触媒CAT-AないしCAT-Dのそれぞれを使用し、以下の条件にて以下の方法で、エチレンの単独重合及び共重合と超高分子量ポリエチレンの製造を行った。
【0378】
単独重合:重合用の5Lオートクレーブ、スラリー重合プロセス、重合用溶媒としてのヘキサン2.5L、重合全圧0.8MPa、重合温度85℃、水素分圧0.2MPa、ならびに重合時間2時間。
【0379】
まず、オートクレーブにヘキサン2.5Lを入れ、撹拌手段を始動させた。次に、担持型非メタロセン触媒および助触媒の混合物20mgを添加し、さらに0.2MPaになるまで水素ガスを供給した後、エチレンを連続的に供給して、重合全圧を0.8 MPaに維持した。重合反応が結束した後、オートクレーブの内部を大気に開放して、内容物としてのポリマーを排出し、乾燥後にその重量(質量基準)を計量した。当該重合反応の詳細及び重合の評価結果を以下の表1に示す。
【0380】
共重合:重合用の5Lオートクレーブ、スラリー重合プロセス、重合用溶媒としてのヘキサン2.5L、重合全圧0.8MPa、重合温度85℃、水素分圧0.2MPa、ならびに重合時間2時間。
【0381】
まず、オートクレーブにヘキサン2.5Lを入れ、撹拌手段を始動させた。次に、担持型非メタロセン触媒および助触媒の混合物20mgを添加し、一括にコモノマーとしてのヘキセン−1を50g添加し、さらに0.2MPaになるまで水素ガスを供給した後、エチレンを連続的に供給して、重合全圧を0.8 MPaに維持した。重合反応が結束した後、オートクレーブの内部を大気に開放して、内容物としてのポリマーを排出し、乾燥後にその重量(質量基準)を計量した。当該重合反応の詳細及び重合の評価結果を以下の表1に示す。
【0382】
超高分子量ポリエチレンを製造するための重合:重合用の5Lオートクレーブ、スラリー重合プロセス、重合用溶媒としてのヘキサン2.5L、重合全圧0.5MPa、重合温度70℃、ならびに重合時間2時間。
【0383】
まず、オートクレーブにヘキサン2.5Lを入れ、撹拌手段を始動させた。次に、担持型非メタロセン触媒および助触媒の混合物20mgを添加した後、エチレンを連続的に供給して、重合全圧を0.5 MPaに維持した。重合反応が結束した後、オートクレーブの内部を大気に開放して、内容物としてのポリマーを排出し、乾燥後にその重量(質量基準)を計量した。当該重合反応の詳細及び重合の評価結果を以下の表2に示す。
【0384】
【表1】
【0385】
【0386】
【表2】
【0387】
表1が示すように、本発明にかかる方法によって調製された担持型非メタロセン触媒を使用し、重合を行うことにより得られたポリマーは、分子量分布がとても狭いことがわかる。本分野でよく知っているのは、一般、チ−グラー・ナッタ触媒を使用して重合を行うことにより得られたポリエチレンは、分子量分布が5以上である。
【0388】
表1中の番号2と番号3、番号5と番号7、番号8と番号10での試験結果、又は表2中の番号3と番号4での試験結果から判るように、助触媒の使用量を増えて、即ち、助触媒の触媒における活性金属に対するモル比を増えてみた場合、触媒の重合活性とポリマーの嵩密度に対して顕著な影響がなかった。このことから、本発明にかかる方法によって調製された担持型非メタロセン触媒を使用して、比較的少量の助触媒だけで、比較的高いオレフィン重合活性を達成することができ、かつこれによって得られたポリエチレンなどのポリマーは、優れたポリマーのモルフォロジーおよび高いポリマーの嵩密度を示したことがわかる。
【0389】
表1中の番号1と番号2、番号5と番号6、番号8と番号9での試験結果を対比すると判るように、共重合に使用される時に、触媒の重合活性は、著しく高くなった。このことから、本発明にかかる方法によって調製された担持型非メタロセン触媒は、比較的顕著な共重合単量体効果を示したことがわかる。
【0390】
表1中の番号1と番号16での試験結果を、又は表2中の番号1と番号6での試験結果を、対比すると判るように、ケイ素化合物が添加されなければ、触媒における活性金属の含有量が増加することができるが、触媒の重合活性とこうして得られたポリマーの嵩密度が低くなって、ポリマーの分子量分布も広くなって、こうして得られた超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量も著しく低くなったことがわかる。
【0391】
表1中の番号1と番号17及び18での試験結果を、又は表2中の番号1と番号7及び8での試験結果を、対比すると判るように、ケイ素化合物の使用量を増加させてみた場合、触媒における活性金属の含有量が効果的に減少されることができる同時に、触媒の重合活性とこうして得られたポリマーの嵩密度が高くなって、ポリマーの分子量分布も狭くなって、こうして得られた超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量も高くなった。このことから、ケイ素化合物は、触媒における(不活性化状態で存在している)活性金属の含有量を効果的に減少させ、触媒の重合活性とポリマーの嵩密度を高くさせ、ポリマーの分子量分布を狭くさせ、超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量も高くさせる作用を発揮したことがわかる。
【0392】
表1中の番号1と番号19での試験結果を、又は表2中の番号1と番号9での試験結果を、対比すると判るように、非メタロセン錯体が添加されなければ、こうして得られた触媒は、チ−グラー・ナッタ触媒となって、触媒の重合活性とポリマーの嵩密度が低くなって、ポリマーの分子量分布も広くなって、こうして得られた超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量も低くなったことがわかる。
【0393】
第二実施態様の実施例
実施例1
無水塩化マグネシウムをマグネシウム化合物として使用し、テトラヒドロフランを第一溶媒として使用し、n−ブタノールをアルコールとして使用し、TiCl4を化学的処理剤として使用し、ヘキサンを沈殿剤として使用し、テトラエトキシシリコンをケイ素化合物として使用し、ジクロロメタンを第二溶媒として使用し、
【0394】
【化22】
【0395】
を非メタロセン錯体として使用した。
【0396】
マグネシウム化合物5gを計量し、それに第一溶媒とアルコールとを添加した後、常温で完全に溶解させて、マグネシウム化合物の溶液を得た。次に、マグネシウム化合物の溶液に、沈殿剤を添加し、完全に沈殿させて、ろ過、沈殿剤で3回(各回60ml)洗浄してから、60℃まで均一的に加熱し、そのまま真空乾燥して、マグネシウム含有担体を得た。
【0397】
こうして得られたマグネシウム含有担体を、ヘキサンに添加して、常温で、10分の時間で、ケイ素化合物を滴下により添加し、30分の時間で、化学的処理剤を滴下により添加してから、60℃まで均一的に加熱し、この温度で2時間で反応させてから、濾過し、ヘキサンによって3回洗浄し(各回ごとにヘキサンの使用量=ヘキサンの添加量)、最後に60℃で真空乾燥して、修飾マグネシウム含有担体を得た。
【0398】
次に、非メタロセン錯体を第二溶媒に添加し得られた溶液に、修飾マグネシウム含有担体を添加し、常温で、撹拌下で、6時間で反応させ、常温で、そのまま真空乾燥して、担持型非メタロセン触媒を得た。
【0399】
ここで、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対0.5であり、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対210mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.1であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.15であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.08であり、前記沈殿剤の前記第一溶媒に対する体積比は、1対1であり、前記非メタロセン錯体の前記第二溶媒に対する割合は、0.1g/mlである。
【0400】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-1と称する。
【0401】
実施例2
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0402】
当該マグネシウム含有担体を、ケイ素化合物と化学的処理剤で処理する前に、予備化学的処理剤としてのトリエチルアルミニウムで予備処理し、予備処理されたマグネシウム含有担体を得た。
【0403】
具体的は、マグネシウム含有担体を、ヘキサンに添加して、予備化学的処理剤としてのトリエチルアルミニウム(濃度0.88mol/Lのヘキサン溶液)をゆっくり滴下により添加し、60℃にて撹拌下で2時間で反応させてから、濾過し、ヘキサンによって3回洗浄し(各回ごとにヘキサンの使用量=ヘキサンの添加量)、最後に60℃で真空乾燥して、予備処理されたマグネシウム含有担体を得た。
【0404】
ここで、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記予備化学的処理剤(Al元素基準)に対するモル比は、1対0.2である。
【0405】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-2と称する。
【0406】
実施例3
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0407】
当該マグネシウム含有担体を、ケイ素化合物と化学的処理剤で処理する前に、予備化学的処理剤としてのメチルアルミノキサンで予備処理し、予備処理されたマグネシウム含有担体を得た。
【0408】
具体的は、マグネシウム含有担体を、トルエンに添加して、予備化学的処理剤としてのメチルアルミノキサン(濃度10wt%のトルエン溶液)をゆっくり滴下により添加し、60℃にて撹拌下で2時間で反応させてから、濾過し、トルエンによって3回洗浄し(各回ごとにトルエンの使用量=トルエンの添加量)、最後に100℃で真空乾燥して、予備処理されたマグネシウム含有担体を得た。
【0409】
ここで、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記予備化学的処理剤(Al元素基準)に対するモル比は、1対0.4である。
【0410】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-3と称する。
【0411】
実施例4
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0412】
非メタロセン錯体を
【0413】
【化23】
【0414】
に変更し、マグネシウム化合物をエチルマグネシウム(Mg(C2H5) 2)に変更し、アルコールをエタノールに変更し、第一溶媒をトルエンに変更し、化学的処理剤をZrCl4に変更し、ケイ素化合物をテトライソブトキシシリコンに変更し、沈殿剤をシクロヘキサンに変更し、第二溶媒をトルエンに変更した。
【0415】
ここで、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対1.64であり、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対150mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.05であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.20であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.15であり、前記沈殿剤の前記第一溶媒に対する体積比は、1対2であり、前記非メタロセン錯体の前記第二溶媒に対する割合は、0.06g/mlである。
【0416】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-4と称する。
【0417】
実施例5
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0418】
マグネシウム化合物を無水臭化マグネシウム(MgBr2)に変更し、アルコールをトリクロロメタノールに変更し、第一溶媒をエチルベンゼンに変更し、第二溶媒をテトラヒドロフランに変更した。
【0419】
非メタロセン錯体を
【0420】
【化24】
【0421】
に変更し、ケイ素化合物をトリエトキシクロロシリコンに変更し、化学的処理剤をTiBr4に変更した。
【0422】
マグネシウム化合物の溶液は、そのまま110℃で真空乾燥されて、修飾マグネシウム含有担体を得た。
【0423】
ここで、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対1であり、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対250mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.30であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.20であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.25であり、前記非メタロセン錯体の前記第二溶媒に対する割合は、0.05g/mlである。
【0424】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-5と称する。
【0425】
実施例6
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0426】
マグネシウム化合物をエトキシ塩化マグネシウム(MgCl(OC2H5))に変更し、アルコールを2−エチルヘキサノールに変更し、第一溶媒をキシレンに変更した。
【0427】
非メタロセン錯体を
【0428】
【化25】
【0429】
に変更し、沈殿剤をデカンに変更し、ケイ素化合物をテトラクロロシリコンに変更し、化学的処理剤をテトラエチルチタン(Ti(CH3CH2)4)に変更した。
【0430】
ここで、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対0.25であり、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対300mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.05であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.04であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.14であり、前記沈殿剤の前記第一溶媒に対する体積比は、1対1.5である。
【0431】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-6と称する。
【0432】
実施例7
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0433】
マグネシウム化合物をエトキシマグネシウム(Mg(OC2H5) 2)に変更し、アルコールをベンゼンエタノールに変更し、第一溶媒をジエチルベンゼに変更した。
【0434】
非メタロセン錯体を
【0435】
【化26】
【0436】
に変更し、沈殿剤をペンタンに変更し、ケイ素化合物をテトラメトキシシリコンに変更し、化学的処理剤をテトラn-ブチルチタン(Ti(C4H9)4)に変更した。
【0437】
ここで、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対2.5であり、前記マグネシウム化合物の前記第一溶媒に対する割合は、1mol対400mlであり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.50であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.30であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.45であり、前記沈殿剤の前記第一溶媒に対する体積比は、1対0.5である。
【0438】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-7と称する。
【0439】
実施例8
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0440】
マグネシウム化合物をメチル塩化マグネシウム(Mg(CH)Cl)に変更し、アルコールをシクロヘキサノールに変更し、第一溶媒をクロロトルエンに変更した。
【0441】
非メタロセン錯体を
【0442】
【化27】
【0443】
に変更し、ケイ素化合物をテトラエトキシシリコンとテトラクロロシリコンの混合物(モル基準で1:1)に変更した。
【0444】
ここで、Mg元素基準での前記マグネシウム化合物の前記アルコールに対するモル比は、1対3.0であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記化学的処理剤(第IVB族金属元素基準)に対するモル比は、1対0.10であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記非メタロセン錯体に対するモル比は、1対0.10であり、Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.02である。
【0445】
得られた担持型非メタロセン触媒をCAT-8と称する。
【0446】
参考例 A
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0447】
ケイ素化合物が添加されないとなった。
【0448】
得られた触媒をCAT-Aと称する。
【0449】
参考例 B
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0450】
Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.05である。
【0451】
得られた触媒をCAT-Bと称する。
【0452】
参考例 C
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0453】
Mg元素基準での前記マグネシウム含有担体の前記ケイ素化合物(Si元素基準)に対するモル比は、1対0.20である。
【0454】
得られた触媒をCAT-Cと称する。
【0455】
参考例 D
以下の変更点を除いて、実施例1と実質的に同じ操作を行った。
【0456】
非メタロセン錯体が添加されないとなった。
【0457】
得られた触媒をCAT-Dと称する。
【0458】
応用実施例
前記製造した触媒CAT-1ないしCAT-8ならびに触媒CAT-AないしCAT-Dのそれぞれを使用し、以下の条件にて以下の方法で、エチレンの単独重合及び共重合と超高分子量ポリエチレンの製造を行った。
【0459】
単独重合:重合用の5Lオートクレーブ、スラリー重合プロセス、重合用溶媒としてのヘキサン2.5L、重合全圧0.8MPa、重合温度85℃、水素分圧0.2MPa、ならびに重合時間2時間。
【0460】
まず、オートクレーブにヘキサン2.5Lを入れ、撹拌手段を始動させた。次に、担持型非メタロセン触媒および助触媒の混合物20mgを添加し、さらに0.2MPaになるまで水素ガスを供給した後、エチレンを連続的に供給して、重合全圧を0.8 MPaに維持した。重合反応が結束した後、オートクレーブの内部を大気に開放して、内容物としてのポリマーを排出し、乾燥後にその重量(質量基準)を計量した。当該重合反応の詳細及び重合の評価結果を以下の表3に示す。
【0461】
共重合:重合用の5Lオートクレーブ、スラリー重合プロセス、重合用溶媒としてのヘキサン2.5L、重合全圧0.8MPa、重合温度85℃、水素分圧0.2MPa、ならびに重合時間2時間。
【0462】
まず、オートクレーブにヘキサン2.5Lを入れ、撹拌手段を始動させた。次に、担持型非メタロセン触媒および助触媒の混合物20mgを添加し、一括にコモノマーとしてのヘキセン−1を50g添加し、さらに0.2MPaになるまで水素ガスを供給した後、エチレンを連続的に供給して、重合全圧を0.8 MPaに維持した。重合反応が結束した後、オートクレーブの内部を大気に開放して、内容物としてのポリマーを排出し、乾燥後にその重量(質量基準)を計量した。当該重合反応の詳細及び重合の評価結果を以下の表3に示す。
【0463】
超高分子量ポリエチレンを製造するための重合:重合用の5Lオートクレーブ、スラリー重合プロセス、重合用溶媒としてのヘキサン2.5L、重合全圧0.5MPa、重合温度70℃、ならびに重合時間2時間。
【0464】
まず、オートクレーブにヘキサン2.5Lを入れ、撹拌手段を始動させた。次に、担持型非メタロセン触媒および助触媒の混合物20mgを添加した後、エチレンを連続的に供給して、重合全圧を0.5 MPaに維持した。重合反応が結束した後、オートクレーブの内部を大気に開放して、内容物としてのポリマーを排出し、乾燥後にその重量(質量基準)を計量した。当該重合反応の詳細及び重合の評価結果を以下の表4に示す。
【0465】
【表3】
【0466】
【0467】
【表4】
【0468】
表3が示すように、本発明にかかる方法によって調製された担持型非メタロセン触媒を使用し、重合を行うことにより得られたポリマーは、分子量分布がとても狭いことがわかる。本分野でよく知っているのは、一般、チ−グラー・ナッタ触媒を使用して重合を行うことにより得られたポリエチレンは、分子量分布が5以上である。
【0469】
表3中の番号2と番号3、番号5と番号7、番号8と番号10での試験結果、又は表4中の番号3と番号4での試験結果から判るように、助触媒の使用量を増えて、即ち、助触媒の触媒における活性金属に対するモル比を増えてみた場合、触媒の重合活性とポリマーの嵩密度に対して顕著な影響がなかった。このことから、本発明にかかる方法によって調製された担持型非メタロセン触媒を使用して、比較的少量の助触媒だけで、比較的高いオレフィン重合活性を達成することができ、かつこれによって得られたポリエチレンなどのポリマーは、優れたポリマーのモルフォロジーおよび高いポリマーの嵩密度を示したことがわかる。
【0470】
表3中の番号1と番号2、番号5と番号6、番号8と番号9での試験結果を対比すると判るように、共重合に使用される時に、触媒の重合活性は、著しく高くなった。このことから、本発明にかかる方法によって調製された担持型非メタロセン触媒は、比較的顕著な共重合単量体効果を示したことがわかる。
【0471】
表3中の番号1と番号16での試験結果を、又は表4中の番号1と番号6での試験結果を、対比すると判るように、ケイ素化合物が添加されなければ、触媒における活性金属の含有量が増加することができるが、触媒の重合活性とこうして得られたポリマーの嵩密度が低くなって、ポリマーの分子量分布も広くなって、こうして得られた超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量も著しく低くなったことがわかる。
【0472】
表3中の番号1と番号17及び18での試験結果を、又は表4中の番号1と番号7及び8での試験結果を、対比すると判るように、ケイ素化合物の使用量を増加させてみた場合、触媒における活性金属の含有量が効果的に減少されることができる同時に、触媒の重合活性とこうして得られたポリマーの嵩密度が高くなって、ポリマーの分子量分布も狭くなって、こうして得られた超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量も高くなった。このことから、ケイ素化合物は、触媒における(不活性化状態で存在している)活性金属の含有量を効果的に減少させ、触媒の重合活性とポリマーの嵩密度を高くさせ、ポリマーの分子量分布を狭くさせ、超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量も高くさせる作用を発揮したことがわかる。
【0473】
表3中の番号1と番号19での試験結果を、又は表4中の番号1と番号9での試験結果を、対比すると判るように、非メタロセン錯体が添加されなければ、こうして得られた触媒は、チ−グラー・ナッタ触媒となって、触媒の重合活性とポリマーの嵩密度が低くなって、ポリマーの分子量分布も広くなって、こうして得られた超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量も低くなったことがわかる。
【0474】
本発明の範囲または精神から離れることなく、本発明について種々の変更および変形を行うことができるということは、当業者には明らかであろう。従って、特許請求の範囲に記載された範囲およびその均等の範囲に含まれるのであれば、本発明についての種々の変更および変形も本発明の範囲内のものであると解されたい。