(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902303
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】家具部品を移動させるための同期装置
(51)【国際特許分類】
E05D 15/40 20060101AFI20160331BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
E05D15/40
A47B55/00
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-530052(P2014-530052)
(86)(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公表番号】特表2014-530310(P2014-530310A)
(43)【公表日】2014年11月17日
(86)【国際出願番号】AT2012000221
(87)【国際公開番号】WO2013040611
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2014年7月23日
(31)【優先権主張番号】A1356/2011
(32)【優先日】2011年9月20日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルム ゲー エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステインハウザー,マルクス
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/047396(WO,A1)
【文献】
特開2006−294638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00−15/58
A47B 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動家具部品(3)を移動させるための同期装置(6)であって、
枢動可能な第1作動アーム(101)、及び、その第1作動アームに作動連結された第1回転部(102)を有する第1作動装置(100)と、
枢動可能な第2作動アーム(201)、及び、その第2作動アームに作動連結された第2回転部(202)を有する第2作動装置(200)と、
前記第1及び第2作動装置(100,200)の動作を同期させるための同期ロッド(5)と、
を備えると共に、前記同期ロッド(5)の第1端部領域を前記第1作動装置(100)の第1回転部(102)に接続することができ、且つ、前記同期ロッド(5)の第2端部領域を前記第2作動装置(200)の第2回転部(202)に接続することができるようにした、同期装置(6)において、
前記第1及び第2作動装置(100,200)のうちの少なくとも1つの回転部(202)が、前記同期ロッド(5)の端部に当接支承されるところのばね荷重付与された圧力部(207)を有すると共に、
前記少なくとも1つの回転部(202)に対応する作動アーム(201)が枢動すると、前記ばね荷重付与された圧力部(207)も当該作動アーム(201)と共に回転するように、前記ばね荷重付与された圧力部(207)が当該作動アーム(201)に作動連結されている、ことを特徴とする同期装置。
【請求項2】
前記ばね荷重付与された圧力部(207)が、前記同期ロッド(5)の端部における、円形から逸脱した凹所(7、8)内に係合されて、当該圧力部と当該ロッドとの間のトルク伝達が確実になる、ことを特徴とする請求項1に記載の同期装置。
【請求項3】
前記同期ロッド(5)の少なくとも1つの端部領域が非円形断面を有しており、
前記第1及び第2作動装置のうちの少なくとも1つの回転部(202)が、前記同期ロッド(5)の前記端部領域の外側輪郭に適合する受容スリーブ(204)を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の同期装置。
【請求項4】
前記ばね荷重付与された圧力部(207)がばね(208)の端部によって一体的に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の同期装置。
【請求項5】
前記同期ロッド(5)が不変の長さになるように設計されている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の同期装置。
【請求項6】
前記同期ロッド(5)が全長にわたって同一断面を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の同期装置。
【請求項7】
前記同期ロッド(5)が全長にわたって同一内径の中空プロフィル部材の形態をなしている、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の同期装置。
【請求項8】
前記ばね荷重付与された圧力部(207)が、前記第1及び第2作動装置のうちの少なくとも1つの回転部(202)に対して前記同期ロッド(5)の長手方向に沿った方向に変位可能に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の同期装置。
【請求項9】
前記第1及び第2作動装置のうちの少なくとも1つの回転部(202)が受容スリーブ(204)を有し、
前記ばね荷重付与された圧力部(207)が前記受容スリーブ(204)内に支持され、且つそれを超えて突出する、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の同期装置。
【請求項10】
前記ばね荷重付与された圧力部(207)が、ばね(208)により、前記受容スリーブ(204)に対して付勢されている、ことを特徴とする請求項9に記載の同期装置。
【請求項11】
前記ばね荷重付与された圧力部(207)と前記受容スリーブ(204)との間で保持要素(209)が作動し、その保持要素(209)は、前記受容スリーブ(204)に対する前記ばね荷重付与された圧力部(207)の外向きの伸張動作を制限する、ことを特徴とする請求項3,9又は10に記載の同期装置。
【請求項12】
前記第1及び第2作動装置(100,200)の第1及び第2回転部(102、202)が既に家具(1)に予め取り付けられている場合に、前記同期ロッド(5)は前記第1及び第2回転部(102、202)に接続可能である、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の同期装置。
【請求項13】
組み立てられた状態において、前記同期ロッド(5)が前記第1及び第2作動装置(100,200)の第1及び第2回転部(102,202)に回転不能に接続される、ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の同期装置。
【請求項14】
可動家具部品(3)を備えた家具であって、
前記可動家具部品(3)の動きを、請求項1〜13のいずれか一項に記載の同期装置(6)によって同期させることができるようにした家具。
【請求項15】
前記可動家具部品(3)が、第1及び第2作動装置(100,200)によって家具骨組(2)に対して上方に移動可能である家具フラップであることを特徴とする請求項14に記載の家具。
【請求項16】
家具(1)に取り付けられた2つの作動装置(100,200)の動作を同期させるために設けられる同期ロッド(5)を取り付ける方法であって、
可動家具部品(3)の移動のための前記2つの作動装置が、
枢動可能な第1作動アーム(101)、及び、その第1作動アームに作動連結された第1回転部(102)を有する第1作動装置(100)、並びに、
枢動可能な第2作動アーム(201)、及び、その第2作動アームに作動連結された第2回転部(202)を有する第2作動装置(200)からなり、
前記第2回転部(202)は、ばね荷重付与された圧力部(207)を有する、方法において、
前記第1及び第2作動装置(100,200)を家具(1)に取り付けること、
前記同期ロッド(5)が、前記第1回転部(102)と前記第2回転部(202)とを仮想的に接続する想像接続線(X)に対して斜めの姿勢となるように、前記同期ロッド(5)の一端を前記第2回転部(202)のばね荷重付与された圧力部(207)に押し当てること、
前記同期ロッド(5)を前記想像接続線(X)に沿って配置して、当該同期ロッド(5)の他端を前記第1回転部(102)に向き合わせること、
次いで、前記同期ロッド(5)を前記第2回転部(202)のばね荷重付与された圧力部(207)に向けて押す力を解除することで、前記ばね荷重付与された圧力部(207)のばね作用により、前記同期ロッド(5)の他端が前記第1回転部(102)に押し付けられ、前記同期ロッド(5)を介して前記第1及び第2回転部が同期回転可能に接続されること、を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動家具部品を移動させるための少なくとも2つの作動装置と、少なくとも2つの作動装置の動作を同期させるための同期ロッドとを有し、同期ロッドの第1端部領域を第1作動装置の第1回転部に接続することができ、かつ同期ロッドの第2端部領域を第2作動装置の第2回転部に接続することができるようにした、同期装置に関する。
【背景技術】
【0002】
更に本発明は、記載する種類の少なくとも1つの同期装置を有する家具、および、家具に取り付けられる2つの作動装置の動作を同期させるために設けられる同期ロッドを取り付ける方法に関する。
【0003】
本願出願人の国際公開第2006/113953号は、2つの作動装置が各々、回転自在に取り付けられた部分を有し、同期ロッドを介してこれらの部分を互いに回転不能に接続することができるようにした、明記の一般的種類の同期装置を記載している。第1の取付ステップで、2つの作動装置は家具に予め取り付けられ、次の取付ステップで、同期ロッドは、作動装置の予め取り付けられた回転可能部に接続することができる。同期ロッドは、2つの作動装置の同期回転動作と、したがって可動家具部品の同調動作とをもたらすことができる。回転可能部に回転不能な接続を行うために、同期ロッドは、回転可能部の対応する凹所内に受容される非円形断面を有する。それには、同期ロッドの追加的機械加工が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/113953号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述の不利点を回避しながら、明細書の冒頭部に明示された一般的種類の同期装置を提供することであり、狙いは、2つの回転部に対する同期ロッドの容易な組立および遊びのない接続を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、それは請求項1の特徴によって達成される。本発明のさらなる有利な構成は、従属請求項に記載される。
【0007】
本発明によれば、したがって、作動装置の少なくとも1つの回転部は、同期ロッドの端部に当接支承されるばね荷重圧力部(spring-loaded pressure portion)(ばね荷重が付与された圧力部)を有するようになっている。
【0008】
ばね荷重圧力部は接触圧力を生じ、同期ロッドの長手方向の延長方向の予め定められた保持力により、同期ロッドを2つの作動装置の2つの対向する回転部の間に付勢され遊びのない状態で保持する。この目的には原則として比較的弱いばねで充分である。
【0009】
家具に対向関係に配置された作動装置の2つの回転部の間のトルクの伝達のために、ばね荷重圧力部は、同期ロッドの端部における円形とは逸脱した凹所内に確実な係止関係に係合するように設けることができる。その点に関して、同期ロッドの少なくとも1つの端部領域は非円形断面を有し、かつ作動装置の回転部は、同期ロッドの端部領域の外側輪郭に少なくとも部分的に適合された受容スリーブを有するようにすることができる。
【0010】
本発明の可能な構成では、同期ロッドの前面に当接支承される受容スリーブまたは少なくとも受容スリーブの底部は、ばね荷重圧力部の形を取るようにすることができる。原則として、ばね荷重圧力部がばねの端部によって一体的に形成されれば充分とすることができる。
【0011】
ばね荷重圧力部を作動装置の回転部に配設することは、幾つかの利点を有する。さらに詳しくは、同期ロッドは長さが不変であるように適応させることができ、同期ロッドは全長にわたって同一断面になるようにすることが好ましく、同期ロッドは全長にわたって同一内径の中空プロフィル部材の形を取るようにすることが特に好ましい。
【0012】
換言すると、同期ロッドは、現場で個々に適切な長さに切断される例えば金属の、例えばアルミニウムの単純な押出プロフィル部材から形成することができる。そのようにして、発生する公差の最適補償を達成することが可能である。その点に関して、そのプロフィル部材の追加的機械加工を完全に省くことが可能である。
【0013】
本発明に係る家具は、当該種類の少なくとも1つの同期装置を特徴とする。その場合、家具骨組に対する高さに関して移動可能に取り付けられた家具フラップを移動させるために2つの作動装置を設けることができる。しかし、2つの作動装置は、例えば引出の走行特性を安定化させて、家具骨組に対する引出しの左右の傾動を防止するために、家具骨組に対して変位可能に支持された引出を移動させるように適応させることを可能にすることもできる。
【0014】
原則として、同期装置は、2つの作動装置の回転動作を同期させる場合に使用することができ、したがって例えば、可動家具部品を閉端位置から排出させるために、いわゆるタッチラッチ装置を同期してトリガするためにも使用することができる。そうしたタッチラッチ機能は、可動家具部品に手動の押圧または引張を加えることによって、可動家具部品を排出させることを可能にする。
【0015】
作動装置は可動家具部品の移動のための回転部をそれぞれ有し、家具に取り付けられる2つの作動装置の動作を同期させるために設けられた同期ロッドを取り付ける本発明に係る方法は、次のことを特徴とする。
‐2つの作動装置が家具に取り付けられること、および
‐同期ロッドが、作動装置の回転部間の想像接続線(X)に対して斜めに、回転部のばね荷重圧力部に押し付けられること、および
‐同期ロッドが想像接続線(X)内に枢結されること、および
‐次いで、ばね作用により、ばね荷重圧力部が対向配置された回転部の方向に押され、同期ロッドを介してそこに回転不能に接続されること。
【0016】
本発明の更なる詳細および利点は、以下の詳細な説明に関連して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1a】高さに関して移動可能な家具フラップを持つ家具の斜視図を示す。
【
図1b】家具に取り付けられる同期装置の斜視図を示す。
【
図2b】圧力部と同期ロッドの端部領域の図を示す。
【
図8a】作動装置の回転部に対する同期ロッドの取付を図解する概略図を示す。
【
図8b】作動装置の回転部に対する同期ロッドの取付を図解する概略図を示す。
【
図8c】作動装置の回転部に対する同期ロッドの取付を図解する概略図を示す。
【
図8d】作動装置の回転部に対する同期ロッドの取付を図解する概略図を示す。
【
図9a】簡略化された実施形態における同期ロッドの回転部への取付を示す。
【
図9b】簡略化された実施形態における同期ロッドの回転部への取付を示す。
【
図9c】簡略化された実施形態における同期ロッドの回転部への取付を示す。
【
図9d】簡略化された実施形態における同期ロッドの回転部への取付を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1aは、家具骨組(家具カーカス)2と、作動装置100、200を介して家具骨組2に対する高さに関して移動可能に取り付けられたフラップ3とを有する、家具1を示す。
図1bの図では、対向側壁に取り付けられた作動装置100、200が見えるように、フラップ3は取り除かれている。2つの作動装置100、200は同期ロッド5と共に、フラップ3を移動させるための同期装置6を形成する。図示する実施形態では、2つの作動装置100、200は、好ましくは水平軸線を中心に枢動可能であってそれぞれフラップ3に接続される、少なくとも1つの作動アーム101、201をそれぞれ有する。それぞれの回転部102、202は作動アーム101、202に運動的に連結されるが、左側の作動装置100の回転部102は
図1bでは見えない。トーションシャフトの形態の同期ロッド5は、2つの回転部102、202の連結同期回転動作も生成されるように、2つの作動装置100、200の動作の同期のために設けられている。同期ロッド5は使用位置で略水平に延びることが好ましい。
【0019】
図2aは同期装置6の斜視図を示し、2つの作動装置100、200は、家具1の相互に対向する側面に固定される。作動装置100、200は、作動アーム101、201を開方向に加圧しかつこうしてフラップ3の重量を相殺するように設けられた、ばね装置(ここでは見えない)をそれぞれ有する。作動装置100、200の少なくとも1つは、ばね装置の代わりに、またはばね装置の補足として、作動アーム101、201を駆動するための電動機を有することもできる。2つの作動アーム101、201の枢動(旋回動作)は、同期ロッド5によって同期することができる。作動アーム101、201には、フラップ3にそれぞれ接続されるそれぞれの取付部103、203が配設される。
【0020】
図2bは、ばね荷重圧力部107、207と同期ロッド5の端部領域の斜視図を示す。組み立てられた状態では、圧力部107、207は突起111、211により、同期ロッド5の前面の円形とは異なる凹所7、8内に係合される。図示する構成は、トルクを伝達するための信頼できる確実な係合接続をもたらすことを可能にする。
【0021】
図3aは、作動アーム201が枢着された作動装置200の一部の分解組立図を示す。作動アーム201の枢動により回転部202も回転するように、作動アーム201に回転部202が接続される。回転部202は、ばね荷重圧力部207の対応シャフト206を受容するために設けられた、非円形開口205を持つ受容スリーブ204を含む。ばね荷重圧力部207は、圧力部207が両端部の間で同期ロッド5の長手方向の延長方向に限定的に変位することができるように、ばね208によって受容スリーブ204に対して付勢される。圧力部207は静止位置で受容スリーブ204を超えて突出し、ばね作用に抗して受容スリーブ204内に軸線方向に押し込むことができる。保持要素209は圧力部207と受容スリーブ204との間で作動し、保持要素209は、圧力部207がばね208の力によって受容スリーブ204から完全に押し出されないように、受容スリーブ204に対する圧力部207の外向きの伸張動作を制限する。保持要素209は受容スリーブ204の溝210内に配設され、かつその端部領域に、一方では作動アーム201と受容スリーブ204との間に、他方ではばね荷重圧力部207に係合する突起を有する。圧力部207は、組立位置で同期ロッド5の端部における円形とは異なる凹所7、8(
図2b)内に係合される突起211を備える。
【0022】
図3bは、
図3aに示した部分の別の斜視図を示し、圧力部207は保持要素209に接続されている。
図3cは回転部202の取付位置を示し、圧力部207のシャフト206は受容スリーブ204内に変位可能に取り付けられ、それを超えて突出する。この位置から圧力部207は、ばね208の力に抗して受容スリーブ204内に押し込むことができる。
図3cは回転部202の工場からの配送状態を示す。
【0023】
図4は、最初の取付工程で家具1に固定される2つの作動装置100、200を持つ同期装置6を示す。拡大図は、それぞれの作動装置100、200の2つの回転部102、202を示す。同期ロッド5の取付は、回転部102、202と共に2つの作動装置100、200が家具1に予め取り付けられるときにも可能である。図示する実施形態では、左側の作動装置100の回転部102は非弾接圧力部107(non-sprung pressure portion 107)を有する一方、右側の作動装置200の回転部202は、ばね荷重圧力部207(spring-loaded pressure portion 207)を押し込むことによって2つの回転部102、202間の内部間隔を一時的に増大することができるように、シャフト206と共に受容スリーブ204の方向に押すことのできるばね荷重圧力部207を備える。カバー部112、212は同期ロッド5に変位可能に取り付けられ、これらカバー部は、同期ロッド5の取付が達成された後、圧力部107、207上に配置することができる。
【0024】
図5は、わずかに傾斜させて右側の端部領域をばね荷重圧力部207の2つの突起211上に押し付けることのできる同期ロッド5のさらなる取付手順を示す。同期ロッド5の左側の端部領域は当初、非弾接圧力部107にまだ接続されていない。
【0025】
図6はその後の取付工程を示し、右側のばね荷重圧力部207は、同期ロッド5に手動で圧力を加えることによってばね208の力に抗して、予め定められた移動距離だけ受容スリーブ204内に押し込むことができる。同期ロッド5は今や、2つの作動装置100、200の2つの回転部102、202間の想像接続線上に配置されている。
【0026】
図7は、圧力部107、207に接続された同期ロッド5を示す。今や、
図6以降、取付者による同期ロッド5への圧力はもはや加えられず、そうすると伸張するばね208のため、ばね荷重圧力部207はシャフト206と共に再び外に出るので、同期ロッド5の左側の端部は、左側の非弾接圧力部107の突起111上に押し付けられる。2つの作動アーム101、201の動作は今や確実な係止関係によって同期される。次いで、2つのカバー部112、212は2つの圧力部107および207に押し付けることができる。
【0027】
図8a〜
図8dは、2つの対向配置された作動装置100、200の2つの回転部102、202に対する同期ロッド5の取付を図解する、非常に概略的な図を示す。
図8aに示すように、2つの作動装置100、200はそれらの回転部102、202と共に家具1に予め取り付けられており、その後、同期ロッド5は回転部102、202間の想像接続線(X)に対して斜めに、右側の回転部202のばね荷重圧力部207に押し付けられ、その場合、ばね荷重圧力部207の突起211は、同期ロッド5の中空プロフィル部材に受容される。
図8bで、同期ロッド5は矢印によって示される方向に手動で押され、その場合、圧力部207はシャフト206と共に、ばね力に抗して受容スリーブ204の方向に押圧される。
図8cに示すように、同期ロッド5は2つの回転部201、202間の想像接続線(X)内に枢結される。
図8dに示すように、同期ロッド5は、伸張するばね208(
図3a参照)によって矢印で示される方向に左側に変位され、その場合、左側の非弾接圧力部107の突起111は、同期ロッド5の端部内に係合する。
【0028】
図9a〜
図9dもまた、作動装置100、200の回転部201、202の簡略化された実施形態を非常に概略的な形で示す。左側の回転部102は好ましくは非円形断面の開口105を有する一方、右側の回転部202の開口205内にばね208が取り付けられる。
図9aを参照すると、回転部102、202はすでに家具1に予め取り付けられており、その後、同期ロッド5は、2つの回転部201、202間の想像接続線(X)に対して斜めに、回転部202のばね荷重圧力部207に押し付けられる。図示する実施形態では、回転部202のばね荷重圧力部207は、ばね208の端部によって一体的に形成され、同期ロッド5は、手動で圧力を加えることによって、開口205内に押し込まれる(
図9b)。
図9cに示す通り、同期ロッド5は想像接続線(X)内に枢結されており、手動力が維持されている間、ばね208は圧縮されている。今、手動圧力が同期ロッド5から取り除かれると、同期ロッド5の左側の端部領域は、ばね208の伸張のため、左側の回転部102に設けられた開口105内に移動することができ、同期ロッド5は2つの回転部102、202の間に遊びのない状態で保持される。上で既述した通り、確実に係止された接続により、トルクの伝達を達成することができる。
【0029】
本発明は図示した実施形態に限定されず、添付する特許請求の範囲内に含めることのできる全ての変形および技術的均等物を含み、あるいはそれらまで拡張される。説明に使用した例えば上、下、左、右などのような位置的言及は、直接説明しかつ例証した図にも関連しており、位置を変更すると、新しい位置に適切に転換される。圧力部207は家具1に予め取り付けられ、作動アーム201が枢動すると、圧力部207もそれと共に回転するように、作動アーム201に運動的に連結されるようにすることが好ましく、その場合、同期ロッド5は、すでに予め取り付けられた圧力部207に接続することができる。同期ロッド5の取付を容易にするために、圧力部207が取り付けられる回転部202は、好ましくは回転軸だけを中心に回転自在に取り付けられるようにすることができる。