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特許5902316痴呆予防のための脳機能向上システム及びその運用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902316
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】痴呆予防のための脳機能向上システム及びその運用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/00 20060101AFI20160331BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   A61M21/00 Z
   G09B19/00 G
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-545840(P2014-545840)
(86)(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公表番号】特表2015-508296(P2015-508296A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】KR2013000486
(87)【国際公開番号】WO2013109120
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2014年6月4日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0006998
(32)【優先日】2012年1月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514140506
【氏名又は名称】ガバプラス. カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ジン カン
【審査官】 中屋 裕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−501583(JP,A)
【文献】 特開2011−191327(JP,A)
【文献】 特開2005−160806(JP,A)
【文献】 特開2009−092696(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2008−0084873(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/00 − 21/02
G09B 1/00 − 9/56
G09B 17/00 − 19/26
A63F 13/00 − 13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の脳機能活性化程度を判断するコンテンツを複数の分類領域及びレベルに細分化して保存する脳機能向上コンテンツ保存部と、
前記脳機能向上コンテンツ保存部に保存されるコンテンツを予め定められた分類方式によって各領域別に選別するコンテンツ選別部と、
前記コンテンツ選別部で選別されたコンテンツに対して伝達されたユーザのフィードバックによる取得点数に基づき、ユーザの達成度を判定する達成度判定部と、
ユーザが、選別されたコンテンツに対して2回以上連続して正解又は誤答のフィードバックを伝達する場合、前記コンテンツ選別部が改めてレベルを調整し選別するように制御するコンテンツ変更調節部をさらに備え、
前記コンテンツ選別部は、前記コンテンツをレベル毎に加重値によって点数に換算し、
各領域別に前記加重値を反映した点数の合計が一定になるようにコンテンツを選別することを特徴にする、痴呆予防のための脳機能向上システム。
【請求項2】
前記コンテンツ選別部は、前記達成度判定部によって判定されたユーザの達成度に応じて、予め定められたレベル以上のコンテンツを選別することを特徴にする、請求項1に記載の痴呆予防のための脳機能向上システム。
【請求項3】
前記分類領域によるユーザの達成度を予め定められた分類基準によって図式化する診断結果算出部と、
前記ユーザの達成度を各領域及び期間別に分類して保存する診断結果保存部と
をさらに備える、請求項1に記載の痴呆予防のための脳機能向上システム。
【請求項4】
前記コンテンツ選別部は、ユーザが受動で付与する領域及びレベルを基準としてコンテンツを選別することを特徴にする、請求項1に記載の痴呆予防のための脳機能向上システム。
【請求項5】
複数のユーザの個人情報を入力してそれぞれに固有の識別文字を付与し、それぞれのユーザが診断された達成度情報に対応して保存するユーザ情報保存部をさらに備える、請求項1に記載の痴呆予防のための脳機能向上システム。
【請求項6】
一定周期に応じた特定時間が設定されており、前記一定周期以後にもユーザが脳機能向上システムを利用しない場合、スリープモードと判断するスリープモード判断部と、
前記スリープモードである場合、ユーザの身元引受人に知らせるためのメッセージを生成するメッセージ生成部と、
前記スリープモードである場合、ユーザの現在位置情報を生成するGPS部と、前記メッセージ及び前記ユーザの現在位置情報をユーザの身元引受人に転送する通信部とをさらに備える、請求項1に記載の痴呆予防のための脳機能向上システム。
【請求項7】
照明装置、音響装置、及び振動装置のいずれか一以上を備える警告部と、
前記脳機能向上システムから分離可能であり、前記通信部と連動する携帯装置とをさらに備え、前記携帯装置は、前記脳機能向上システムと一定の距離以上になって前記通信部と周期的な通信を遂行することができない場合に、前記警告部を通じて警告音を発する、請求項に記載の痴呆予防のための脳機能向上システム。
【請求項8】
ユーザの個人情報を提供してユーザをシステムに登録する段階と、
複数の領域及びレベル毎に保存された人間の脳機能活性化程度を判断するコンテンツを予め定められた基準によって選別し、ユーザに提示する段階と、
ユーザによって前記提示されたコンテンツにフィードバックを入力する段階と、
前記フィードバックによる取得点数に基づいて達成度を判定する段階と、
前記達成度を反映して、予め定められた基準によって領域別にコンテンツのレベルを変更して選別し、ユーザに提示する段階と、
ユーザが、選別されたコンテンツに対して2回以上連続して正解又は誤答のフィードバックを伝達する場合、前記コンテンツのレベルを調整し選別する段階とを備え、
前記提示する段階は、前記コンテンツをレベル毎に加重値によって点数に換算し、各領域別に前記加重値を反映した点数の合計が一定になるようにコンテンツを選別することを特徴にする、痴呆予防のための脳機能向上システムの運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、痴呆予防のための脳機能向上システムに関し、さらに詳しくは、ユーザの認知能力を診断して学習コンテンツを選別し、選別されたコンテンツによって脳機能を訓練するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
米国精神医学協会で定義されたDSM−V(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の脳領域分類基準によれば、脳領域は、主に注意集中力、視空間能力、記憶力、執行能力、言語能力、計算能力、及び音認知力等に分類することができる。
【0003】
医学界において定義される痴呆を有する患者の基準は、前記脳領域分類基準で記憶力を含む3つ以上の領域において顕著な能力低下を示す場合である。
【0004】
このような痴呆は、認知能力を評価する絵を描くことや、ゲーム形式で具備されるパズル合わせ、会話形式を通じて、痴呆が進行する状況を治療或いは予防することが近年の治療方法である。
【0005】
近年の治療方法では、医者の判断に依存する傾向が強く、痴呆患者の認知能力を評価する際、分析的でないといった問題点が指摘されている。
【0006】
また、痴呆患者を治療するために様々な治療方法が用いられているが、人による会話を通じて行なわれるため、治療経過や治療結果を分析的に検証し難いといった問題点もさらに指摘されている。
【0007】
また、優れた予防プログラムであっても、周期的に学習しない場合は、痴呆予防効果が低下するといった問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の問題点を解決するために、痴呆として分類される患者の認知能力を細分化された基準によって分類して痴呆疾患の進行状態を診断し、患者の痴呆進行程度に適した脳機能向上のためのコンテンツを出力して、その結果値による診断結果を導き出すシステムを構成することを主な目的とする。
【0009】
本発明のその他の目的は、身元引受人に痴呆予防プログラムの実行有無を通知し、また、痴呆予防プログラムを周期的に実行して痴呆を予防することである。
【0010】
本発明のその他の目的は、周期的な痴呆予防プログラム実行有無を通知し、高齢者の状態を間接的に身元引受人に知らせることである。
【0011】
本発明のその他の目的は、以下の実施形態において説明される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムは、人間の脳機能活性化程度を判断するコンテンツを複数の分類領域及びレベルに細分化して保存する脳機能向上コンテンツ保存部と、脳機能向上コンテンツ保存部に保存されるコンテンツを予め定められた分類方式によって各領域別に選別するコンテンツ選別部と、コンテンツ選別部で選別されたコンテンツに対して伝達されたユーザのフィードバックによる取得点数に基づき、ユーザの達成度を判定する達成度判定部とを備え得る。
【0013】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムにおいて、コンテンツ選別部は、前記コンテンツをレベル毎に加重値によって点数に換算し、各領域別において、加重値を反映した点数の合計が一定になるようにコンテンツを選別することを特徴とすることができる。
【0014】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムにおいて、コンテンツ選別部は、達成度判定部によって判定されたユーザの達成度に応じて、予め定められたレベル以上のコンテンツを選別することを特徴とすることができる。
【0015】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムにおいて、ユーザが、選別されたコンテンツに対して2回以上連続して正解又は誤答のフィードバックを伝達する場合、コンテンツ選別部が改めてレベルを調整し選別するように制御するコンテンツ変更調節部をさらに備え得る。
【0016】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムにおいて、分類領域によるユーザの達成度を予め定められた分類基準によって図式化する診断結果算出部と、ユーザの達成度を各領域及び期間別に分類して保存する診断結果保存部とをさらに備え得る。
【0017】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムにおいて、コンテンツ選別部は、ユーザが受動で付与する領域及びレベルを基準としてコンテンツを選別することを特徴とすることができる。
【0018】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムにおいて、複数のユーザの個人情報を入力してそれぞれに固有の識別文字を付与し、それぞれのユーザが診断された達成度情報に対応して保存するユーザ情報保存部をさらに備え得る。
【0019】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムにおいて、一定周期に応じた特定時間が設定されており、一定周期以後にもユーザが脳機能向上システムを利用しない場合、スリープモードと判断するスリープモード判断部と、スリープモードである場合、ユーザの身元引受人に知らせるためのメッセージを生成するメッセージ生成部と、スリープモードである場合、ユーザの現在位置情報を生成するGPS部と、メッセージ及びユーザの現在位置情報をユーザの身元引受人に転送する通信部とをさらに備え得る。
【0020】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムにおいて、照明装置、音響装置、振動装置のいずれか一以上を備える警告部と、脳機能向上システムから分離可能であり、通信部と連動する携帯装置とをさらに備え、携帯装置は、脳機能向上システムと一定の距離以上になって通信部と周期的な通信を遂行することができない場合に、警告部を通じて警告音を発することを特徴とすることができる。
【0021】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムの運用方法は、ユーザの個人情報を提供してユーザをシステムに登録する段階と、複数の領域及びレベル毎に保存された人間の脳機能活性化程度を判断するコンテンツを予め定められた基準によって選別し、ユーザに提示する段階と、ユーザによって提示されたコンテンツにフィードバックを入力する段階と、フィードバックによる取得点数に基づいて達成度を判定する段階と、達成度を反映して、予め定められた基準によって領域別にコンテンツのレベルを変更して選別し、ユーザに提示する段階とを備え得る。
【0022】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムの運用方法は、複数の領域及びレベル毎に保存された人間の脳機能活性化程度を判断するコンテンツを予め定められた基準によって選別し、ユーザに提示する段階と、ユーザによって提示されたコンテンツにフィードバックを入力する段階と、フィードバックによるユーザの正解率を算出する段階と、正解率に応じて、予め定められた基準以上又は以下の場合に、変更されたレベルのコンテンツを選別してユーザに提示する段階とを備え得る。
【0023】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムの運用方法は、一定周期に応じた特定時間が設定されており、ユーザが、一定周期に応じて設定時間に脳機能向上システムを利用しているか否かを判断する段階と、ユーザが、一定周期に応じて設定時間に脳機能向上システムを利用していない場合に、ユーザの現在位置情報及び身元引受人に知らせるためのメッセージを生成する段階と、ユーザの現在位置情報及びメッセージを身元引受人に転送する段階とを備え得る。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、細分化された脳領域の固有機能と、事故又は疾患により経験し得る障害とを分析的な診断及び繰り返し学習することで予防、修復し得る効果を有する。
【0025】
また、脳固有の機能を細分化して検証するため、脳機能のうち顕著に低下する部分の認知能力を訓練して改善することができる効果を有する。
【0026】
また、周期的に脳機能向上システムを実行するようにセッティングされると、設定された期間内に脳機能向上システムが実行されなかった場合に身元引受人に通知することにより、周期的に脳機能向上システムを実行させる効果を有する。
【0027】
また、脳機能向上システムが長い期間実行されない場合、身元引受人又は緊急監視センターにそれを通知することにより、ユーザの身の回りの状態を知らせてくれる効果を有する。
【0028】
また、ユーザと脳機能向上システムとの間に通信設定を行い、脳機能向上システムがユーザと一定距離以上離れると、警告音が発せられユーザに知らせてくれることで紛失を防止する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムの構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムの運用方法のフローを示す図である。
図3】本発明の他の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムの運用方法のフローを示す図である。
図4】本発明の他の一実施形態による脳機能向上システムの運用方法のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は様々な変更を加えられることができ、また様々な実施形態を有することができるが、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明において詳しく説明する。しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に限定するためのものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変換、均等物乃至代替物を含むものとして理解されなければならない。
【0031】
本発明において用いられる用語は、特定の実施形態を説明するために単に用いられたものであり、本発明を限定しようとするものではない。単数形の表現は、特に言及しない限り、複数形の概念も含むものである。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムの構成を示す図であって、図2は、本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムの運用方法のフローを示す図である。
【0033】
本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムは、脳機能向上コンテンツ保存部10と、コンテンツ選別部20と、コンテンツ変更調節部30と、達成度判定部40と、診断結果算出部50と、診断結果保存部60と、ユーザインターフェース入力部70と、ユーザインターフェース出力部80と、ユーザ情報保存部90と、スリープモード判断部100と、メッセージ生成部200と、GPS部300と、通信部400とを備えて構成される。ここで、図には示していないが、警告部がさらに備えられることもできる。
【0034】
また、ユーザは、脳機能向上システムと連動する携帯装置を携帯することができる。
【0035】
使用脳機能活性化程度を判断して痴呆疾患を診断するために、本発明の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムのプログラムをローディングする(S10)。
【0036】
次いで、ユーザインターフェース出力部80を介してユーザ情報の登録を要求する情報を確認すると、ユーザインターフェース入力部70を介してユーザ情報を提供してユーザを登録することができる(S20)。
【0037】
ユーザインターフェース入力部70は、ユーザがシステムに伝達する文字や音声情報を含むフィードバック情報をデータ化して電気信号として入力するためのキーボード、マウス、又はマイクを含む様々な入力手段を備えることができる。
【0038】
ユーザインターフェース出力部80は、システムがユーザに伝達する情報や、ユーザが入力する情報を出力することができる。ユーザインターフェース出力部80は、表示するためのモニター、音声出力のためのスピーカーを含む様々な出力手段を備えることができる。
【0039】
ユーザが使用登録をするために入力したユーザ情報は、ユーザ情報保存部90に保存され得る。それによって、ユーザ情報保存部90は、登録されたユーザに固有の識別文字を付与し、ユーザの診断及び訓練過程において診断される達成度情報を、それぞれの識別文字と対応して保存することができる。
【0040】
次いで、本発明の一実施形態による脳機能向上システムは、複数の領域及びレベル毎に保存された人間の脳機能活性化程度を判断するコンテンツを予め定められた基準によって選別してユーザに提示する。これによって、ユーザは、ユーザインターフェース入力部70を通じて、選別されたコンテンツに対するフィードバック情報を入力する(S30)。
【0041】
コンテンツ選別部20は、脳機能向上コンテンツ保存部10に保存される人間の7つの脳機能領域のコンテンツを予め定められた分類方式によって選別してユーザインターフェース出力部80に転送することができる。
【0042】
脳機能向上コンテンツ保存部10は、注意集中力コンテンツ110、視空間能力コンテンツ120、記憶力コンテンツ130、執行能力コンテンツ140、言語能力コンテンツ150、計算能力コンテンツ160、及び音認知力コンテンツ170をそれぞれ分類して保存することができる。
【0043】
注意集中力コンテンツ110は、絵合わせや文字注意力を評価するコンテンツを含んで構成されることができる。
【0044】
視空間能力コンテンツ120は、物の自覚力や視覚的結合能力を評価するコンテンツを含んで構成されることができる。
【0045】
記憶力コンテンツ130は、国旗覚え、カード覚え、又は数字覚え等のコンテンツを含んで構成されることができる。
【0046】
執行能力コンテンツ140は、絵を完成させることや範疇化能力、類似性能力を評価するコンテンツを含んで構成されることができる。
【0047】
言語能力コンテンツ150は、単語埋めや単語探し能力を評価するコンテンツを含んで構成されることができる。
【0048】
計算能力コンテンツ160は、四則演算を計算する能力を評価するコンテンツを含んで構成されることができる。
【0049】
音認知力コンテンツ170は、音に合う絵探しや、聞き取り検索等のコンテンツを含んで構成されることができる。
【0050】
コンテンツ選別部20は、脳機能向上コンテンツ保存部10に含まれる7つの脳機能領域のコンテンツのうち、診断対象となるユーザが正常、高齢、痴呆であるか、或いは痴呆予備群に属するか否かによって、それぞれ異なるレベルのコンテンツを選別することができる。
【0051】
好ましくは、各領域の総点を100点として基準にし、各レベルによる問題に加重値を付与して100点となるようにコンテンツを選別することができる。例えば、注意集中力コンテンツ110のレベル区間を1〜5段階に構成し、1レベルのコンテンツを100問題選別するか、2レベルのコンテンツを50問題選別するか、或いは5レベルのコンテンツを20問題選別する等の形態で運用することができる。
【0052】
次いで、S30段階でユーザが伝達したフィードバック情報を通じて、コンテンツに対する正解可否を判断して取得点数を精算し、それによる達成度を判定することができる。(S40)
【0053】
達成度判定部40は、取得点数に基づき、複数の区間に設定された達成度等級によって達成度を判定することができる。例えば、達成度判定部40は、ユーザの取得点数によって、100点〜66点の場合はA等級と判定し、65点〜34点の場合はB等級と判定し、33点〜0点はC等級と判定する方式で運用されることができる。
【0054】
ここで、達成度判定部40は、スリープモード判断部100、メッセージ生成部200、GPS部300、及び通信部400と接続され、ユーザが設定された時間に脳機能向上システムを利用しない場合、メッセージ生成部200及びGPS部300にてメッセージ及び現在位置情報をそれぞれ生成させることができる。
【0055】
また、達成度判定部40は、生成されたメッセージ及び現在位置情報を含む緊急メッセージを通信部400を介してユーザの身元引受人に転送することができる。
【0056】
次いで、S40段階においてユーザが判定された達成度等級に合わせて、予め定められた基準によって各領域別においてコンテンツのレベルを変更して選別し、ユーザに提示することで学習段階が進行される。(S50)
【0057】
コンテンツ選別部20は、達成度判定部40で判定したユーザの達成度に応じて、提示するコンテンツのレベルを予め定められたレベル以上のコンテンツで選別することができる。
【0058】
例えば、A等級の達成度は、認知障害の初期段階又は正常レベルとして分類され、レベル3のコンテンツから選別が開始され、B等級の達成度は、軽度の認知障害又は高齢群として分類され、レベル2のコンテンツから選別が開始され、C等級の達成度は、痴呆又は痴呆予備群として分類され、レベル1のコンテンツから選別が開始されるように運用されることができる。
【0059】
次いで、認証領域別にユーザの達成度を予め定められた分類基準によって図式化し、診断及び学習に対する結果を算出することができる(S60)。
【0060】
診断結果算出部50は、一定の期間単位において、ユーザが選別されたコンテンツに応答する過程で取得した取得点数及びそれによる達成度を図式化することができる。
【0061】
図式化の方法としては、棒状グラフ、曲線状グラフ、折れ線状グラフの形態を含むグラフとして結果が示され、取得点数及び達成度等級が文字で併記されることができる。
【0062】
診断結果保存部60は、診断結果算出部50において整理された診断結果データを各認知能力領域と期間別とに分類して保存することができる。
【0063】
次いで、一定の期間が経過すると、再診断を行ってユーザの認知能力の推移を再検査することができる(S70)。
【0064】
スリープモード判断部100は、ユーザが周期的に脳機能向上システムを利用して脳機能向上プログラムを実行しているか否かを判断する。このために、スリープモード判断部100には、ユーザが周期的に脳機能向上システムを利用しなければならない時間が設定されている。
【0065】
例えば、ユーザが、24時間毎、午前10時に脳機能向上システムを利用するように設定すれば、スリープモード判断部100は、該当時間周期ごとに該当時間に脳機能向上システムが実行されているか否かを判断する。即ち、スリープモード判断部100は、ユーザが毎日午前10時に脳機能向上システムを利用しているか否かを判断する。仮に、設定された周期に対応する該当時間になってもユーザが脳機能向上システムを利用していない場合は、スリープモード判断部100は、緊急状況が発生したと判断し、ユーザの現在位置(即ち、脳機能向上システムの位置)を生成するための信号及び緊急状況メッセージを生成するための信号を生成する。
【0066】
ここで、緊急状況メッセージは、ユーザの身元引受人やユーザが居住する周辺の役所に伝達されることができる。
【0067】
メッセージ生成部200は、スリープモード判断部100からメッセージ生成信号の入力を受けると、ユーザが緊急状況にあるといった内容を含む緊急メッセージを生成する。ここで、メッセージは、SMS(Short Messaging Service)又はMMS(Multimedia Messaging Service)メッセージであってもよい。
【0068】
ここで、メッセージ生成部200は、GPS部300からユーザの現在位置情報を受信し、これを緊急メッセージに追加してユーザの位置情報を含むメッセージを生成することができる。
【0069】
GPS部300は、スリープモード判断部100からユーザの現在位置を生成するべき信号の入力を受けると、GPSの動作を開始してユーザの現在位置情報を生成する。
【0070】
ここで、ユーザ位置は脳機能向上システムの位置を意味し、生成されるユーザの現在位置情報は、GPS座標又は住所情報であってもよい。
【0071】
GPS部300は、生成されたユーザの現在位置をメッセージ生成部200に伝達する。
【0072】
通信部400は、ワイファイ(WiFi)又は3Gや4Gのような移動通信を利用することができる機能を遂行する。また、通信部400は、ブルートゥース、ジグビー(zigbee)、エヌエフシー(NFC)のような近距離無線通信を遂行することもできる。
【0073】
通信部400は、脳機能向上システムが生成した緊急メッセージをユーザの身元引受人に転送することができる。
【0074】
ここで、ユーザは、通信部400と連動する装置を携帯して、脳機能向上システムがユーザと一定の距離以上になってユーザが携帯する装置と通信が断絶される場合、通信部400は警告信号を生成して、脳機能向上システムの警告装置(図面には図示しない)に警告信号を伝達して警告音を発することができる。
【0075】
ここで、ユーザによって携帯される通信部400と連動する装置は、ネックレス、腕輪、アンクレット、ベルトの形態等、ユーザがいつも携帯することのできる形態で構成される。
【0076】
また、脳機能向上システムには、ユーザ情報保存部90にシステムの識別情報が含まれているため、通信部400は、遠距離の通信装置からシステムの識別情報を受信して警告信号を生成することもできる。このような場合、脳機能向上システムは、移動通信網又はAP(Access Point)にシステムの識別情報を登録しておいてもよい。
【0077】
例えば、ユーザが携帯電話で該当システムの識別情報に電話をすると、脳機能向上システムが警告音を発する。又は、ユーザがAPを介してシステムの識別情報に該当するアドレスに接続し、脳機能向上システムのアラームを鳴らすことができて、脳機能向上システムの現在位置も知ることができる。
【0078】
ここで、脳機能向上システムは、システム自体から緊急メッセージを生成することができ、通信網がメッセージサーバーと連動している場合は、メッセージ生成信号(位置情報を含むことができる)を通信網のメッセージサーバーにメッセージ送信情報として転送し、メッセージサーバーに保存された緊急メッセージをユーザの身元引受人に転送させることもできる。
【0079】
ここで、脳機能向上システムは、通信部400を通じてユーザの身元引受人と直接通話を遂行することもできる。
【0080】
例えば、ユーザが、スリープモード判断部100に設定されている時間に脳機能向上システムを利用しない場合には、ユーザの身元引受人に緊急メッセージが送信され、ユーザの身元引受人は、移動通信網を介して脳機能向上システムに接続し、ユーザと通話を遂行することもできる。
【0081】
ここで、ユーザが受信しない場合には、ユーザの身辺に異常が発生したと判断し、ユーザが居住する周辺の警察署や緊急状況センターのような役所に自動で繋がり、ユーザの世話をすることができる。
【0082】
本発明における脳機能向上システムは、コンピューターのようなインターネットに接続されている端末であってもよく、ユーザがいつも携帯することができる携帯可能な移動端末であってもよい。
【0083】
図3は、本発明のその他の一実施形態による痴呆予防のための脳機能向上システムの運用方法のフローを示す図である。
【0084】
S100段階のユーザ達成度に応じてコンテンツを選別して提示する段階、及びS200段階のユーザフィードバックの入力段階については、図2を参照して上述したS50段階の学習段階と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0085】
次いで、S200段階によってユーザがフィードバック情報を入力し、ユーザのフィードバック情報によって正解率を算出することができる(S300)。
【0086】
次いで、S300段階で算出された正解率に応じてコンテンツを選別する基準を変更し、修正されたコンテンツを選別して提示することができる(S400)。
【0087】
コンテンツ変更調節部30は、ユーザのフィードバック情報による正解率を分析して、正解が2回以上連続するか、或いは誤答が2回以上連続する場合には、コンテンツ選別部20において改めてレベルを調整して選別するように制御することができる。
【0088】
例えば、ユーザが注意集中力領域でB等級の達成度を取得し、レベル2以上のコンテンツが選別且つ提示されて学習する過程において、3つのコンテンツに対して連続して正解した場合は、当該領域である注意集中力領域でレベル3以上のコンテンツを選別することで選別基準が変更され得る。
【0089】
逆に、ユーザが2つのコンテンツに対して連続して誤答であった場合、当該領域である注意集中力領域でレベル1以上のコンテンツを選別することで選別基準が変更され得る。
【0090】
S500段階については、図2を参照して上述したS60段階と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0091】
図4は、本発明のその他の一実施形態による脳機能向上システムの運用方法のフローを示す図である。
【0092】
S210段階は、脳機能向上システムがスリープモードであるか否かを判断する段階である。
【0093】
ここで、スリープモードは、設定された周期に応じて設定された時間にユーザが脳機能向上システムを使用しておらず、設定周期以上であるにもかかわらず脳機能向上システムが動作していない場合を意味する。
【0094】
上述したように、ユーザが周期的に脳機能向上システムを利用する時間が設定されている場合、ユーザが設定された時間に設定された周期に応じて脳機能向上システムを利用しているか否かを判断する段階である。
【0095】
S220段階は、ユーザが設定された周期に応じて設定された時間に脳機能向上システムを利用していない場合、ユーザの現在位置情報を生成する段階である。ユーザの現在位置情報は、上述したように、GPS部300を通じて生成される。或いは、脳機能向上システムが移動通信網と連動している場合には、基地局の情報を利用するLBS(Location based Service)サーバーを介してユーザの現在位置情報が生成される。
【0096】
S230段階は、メッセージ生成部200においてSMS又はMMSメッセージを生成する段階である。
【0097】
S240段階は、生成されたユーザ位置情報と生成されたSMS又はMMSメッセージを含む緊急メッセージを生成し、ユーザの身元引受人又はユーザが居住する役所若しくはユーザを保護する保護施設に転送する段階である。
【0098】
本発明の脳機能向上システムは、主に高齢者が利用し、特に、高齢独身者が利用する場合に脳機能向上システムから緊急メッセージが送信された場合は、ユーザの身近にて異常が発生したと推測されることができる。従って、このような場合には、直ちにユーザを捜してユーザの身近における異常発生有無が確認されなければならない。
【0099】
本発明の脳機能向上コンテンツ(110〜170)を7つの領域に分けて分析的にユーザを診断する方式については、「Hofmann M, Hock C, Kuhler A, Muller-Spahn F. Interactive computer-based cognitive training in patients with Alzheimer's disease. J Psychiatr Res 1996;30:493-501.」及び「Flynn D, van Schaik P, Blackman T, Femcott C, Hobbs B, Calderon C. Developing a virtual reality-based methodology for people with dementia: a feasibility study. Cyberpsychol Behav2003;6:591-611.」に理論的根拠が示されている。
【0100】
コンピューターを利用した痴呆研究のうち、1996年に報告されたHoffman等の研究は、10人の痴呆患者を対象に、患者たちが慣れ親しんだ50〜150枚の写真を準備し、認知リハビリのためのシナリオに合わせてコンピューターで写真を見せつつタッチスクリーン(touch-screen)から刺激を受けるシステムを構成した。3週間の訓練の結果、痴呆患者たちの遂行能力が向上したことが報告されており、Flynn等によって、公園を背景にした仮想空間を6人の痴呆患者に適用した時、痴呆患者が特に副作用なく仮想空間に対する現実を感じ、ジョイ・スティックで自然に行き来することができたと報告されている。即ち、痴呆患者に仮想現実技術を適用して認知機能評価や認知リハビリに用いることができる根拠が提示されたと評価されている。
【0101】
従って、本発明は、前記論文に基づいて理論的な裏付があり、それに応じた認知能力弱化による痴呆疾患の予防及び改善の効果のあることが立証される。
【0102】
以上、本発明の実施形態を参照して説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者なら、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正及び変更することができるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、痴呆を予防することができる産業上利用可能性を有し、一人暮らしをしている高齢者の身近において異常が発生したことを直ちに身元引受人に知らせることができ、危急状況の際に直ちに対処することができるといった産業上利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4