特許第5902321号(P5902321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902321
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】液体を排出するための装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20160331BHJP
【FI】
   H01M8/04 N
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-552524(P2014-552524)
(86)(22)【出願日】2012年12月22日
(65)【公表番号】特表2015-504232(P2015-504232A)
(43)【公表日】2015年2月5日
(86)【国際出願番号】EP2012005367
(87)【国際公開番号】WO2013110310
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年7月29日
(31)【優先権主張番号】102012004434.8
(32)【優先日】2012年1月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】アルミン・ミューチェレ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン・シュマルツリート
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン・シュタインフーブル
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト・テベズ
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−080434(JP,A)
【文献】 特開2008−235051(JP,A)
【文献】 特開昭54−118330(JP,A)
【文献】 特開昭59−052718(JP,A)
【文献】 特開2005−302708(JP,A)
【文献】 特開2008−103189(JP,A)
【文献】 特開2008−103190(JP,A)
【文献】 特開2007−165278(JP,A)
【文献】 特開2006−040749(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/024206(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/089901(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/083616(WO,A1)
【文献】 特開2010−135194(JP,A)
【文献】 特開平11−351603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システム(1)中の水分離器(12)から液体の水を排出するための装置(13)であって、バルブ装置(15)、液体センサ(16)、及び前記液体センサ(16)の測定値に依存して前記バルブ装置(15)を制御する制御装置(17)を備える装置(13)において、
前記液体センサ(16)が、流れ方向の前記バルブ装置(15)の下流に配置されていること、および
前記液体センサ(16)は、液体がないことと少なくとも2つの異なる量の液体とを区別することができることを特徴とする、装置(13)。
【請求項2】
前記液体センサ(16)が、2つの温度センサ(19、21)及び流体との接触により加熱又は冷却される1つの温度調節エレメント(20)を有し、前記温度調節エレメント(20)が、流れ方向の第1温度センサ(19)の下流に置かれ、かつ第2温度センサ(21)と熱伝導的に接触することを特徴とする、請求項1に記載の装置(13)。
【請求項3】
前記温度調節エレメント(20)が、前記液体が流動する基体(22)を有することを特徴とする、請求項2に記載の装置(13)。
【請求項4】
前記第2温度センサ(21)が、前記液体と接触せずに構成されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の装置(13)。
【請求項5】
前記基体(22)が、金属材料、殊にアルミニウム又はアルミニウム合金から構成されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の装置(13)。
【請求項6】
前記液体センサ(16)が、超音波センサとして構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(13)。
【請求項7】
前記水分離器(12)が、前記燃料電池システムのアノード循環路内に配置されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の装置(13)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の装置を備える燃料電池システムの水分離器から液体の水及び/又はガスを排出するための方法において、
8.1 前記水分離器(12)中に蓄積する凝縮水量を大まかに判定し、
8.2 判定された凝縮水量が予め設定された限界値に達すると直ぐに、前記バルブ装置(15)は開かれ、
8.3 液体の水が前記液体センサ(16)で検出されない場合、直ぐに、再び前記バルブ装置(15)は閉鎖され、
8.4 前記液体センサ(16)で液体の水が検知される場合、
8.4.1 液体の水の流量が予め設定された限界値より上にある場合、前記バルブ装置(15)は開かれたままであり、
8.4.2 液体の水の流量が予め設定された限界値より下にある場合又は液体の水の流量が予め設定された限界値より下に下がる場合、前記バルブ装置(15)は閉鎖され、
8.5 前記バルブ装置の閉鎖とともに、前記蓄積する凝縮水量の大まかな判定が再びスタートすることを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記凝縮水量の大まかな判定が、燃料電池出力に基づいて行われることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記凝縮水量の判定に、計量された水素量及び/又は時間が考慮されることを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念において詳しく定義される方法により、燃料電池システム中の水分離器から液体を排出するための装置に関する。更に、本発明は、このような装置を用いて燃料電池システム中の水分離器から液体を排出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、一般の従来技術から公知である。その機能性は、主として水素と酸素から電気エネルギーと生成水を生じることである。その際、生じる生成水は排気ガスと一緒に燃料電池の領域から搬出される。液体の水をこれらの排気ガスから分離するために、典型的には水分離器が燃料電池システム中には設けられている。このことにより、一方では燃料電池システムから液体の水が流出することが妨げられえ、他方では燃料電池システムが氷点より低い温度で作動されかつ殊に停止される場合に、この液体の水によって管エレメントが場合によっては凍結することが妨げられうる。燃料電池システムの排気ガスが少なくとも部分的に燃料電池に還流される場合には、燃料電池システムはいわゆるカソード−及び/又はアノード再循環を介して処理され、更に生じた生成水を分離するために及び燃料電池内へ再び還流させないために再循環管内に典型的には水分離器もまた存在している。この際、液体の水は燃料電池の部品を濡らし、このことは燃料電池の機能性に不利な影響を与える。
【0003】
殊に燃料電池システムのアノード側の領域における水分離器で決定的に重要であるのは、水分離器から水を時々排出することだが、アノード側の生成物及び反応物中に存在する(残留)水素が外部環境に全く到達しないか又は最少量でのみ到達することでもある。
【0004】
特許文献1からは、液体の水を排出するための装置が公知であり、この装置は、容量型センサ、制御装置並びに制御装置により制御されるバルブ装置を含む。容量型センサは、排出すべき水の流動方向のバルブ装置の手前に存在する。容量型センサの領域に液体がもはや存在しなくなるまでバルブ装置が閉鎖され、そうしてセンサと流動方向のセンサに続くバルブ装置との好適な距離でガスの流出が完全に回避されうるか、又は相応してより短い距離で許容可能な最小値までガスの流出が減少されうる。
【0005】
この構造における問題点は、液体を検出するための容量型センサが燃料電池内で残念ながら有効と実証されていないことである。水分離器中の例えば充填レベルセンサとしての容量型センサ又は上記特許文献1で使用されたような容量型センサは極めて故障を起こやすいことが、数年にわたり、開発−及び研究組織において明らかにされている。この現象は、殊に燃焼システムにおいて生じるが、それというのも容量型センサが、ここで発生した物質及び液体の水の含有量と共に使用するのが明らかに極めて難しく、かつ非常に速く汚れてしまうからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US2006/0088756A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、燃料電池システム中の水分離器から液体の水を排出するための装置を提供することであり、この装置は、上記問題点を回避し、かつ高い水素放出なしに安全かつ確実に液体を外部環境へ排出することを保証する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴部に示された特徴を備える装置によって解決される。更に、請求項8には、このような装置を用いて液体を排出するための方法が提示されている。
本発明による解決は、装置が、従来技術における場合と同様に比較可能に、液体センサ、バルブ装置、及び液体センサの測定値に依存してバルブ装置を制御する制御装置を含むことを予定している。その際、従来技術の場合と違って、この構造は、センサが流れ方向のバルブ装置の下流に配置されているように選択されている。このことにより、液体が対応して排出される場合にのみ、センサが液体と接触することが可能になる。従ってセンサは液体と時折しか接触しないので、センサは負荷がより軽減され、その結果、ここで示された構造においては、容量型センサの使用による上述の欠点をすっかり負わなくてはならないことなく、容量型センサを使用することですら原則的に考えられうる。
【0009】
しかしながら本発明の装置の殊に利点は、この有利な更なる発展形により液体センサを使用することができる点にあり、この液体センサは、2つの温度センサ、及び1つの温度調節エレメントを有し、この温度調節エレメントは、流れ方向の第1の温度センサの下流に置かれ、かつ第2温度センサと熱伝導的に接触する。このようなセンサは、原則的に従来技術から公知である。全詳細についてはドイツ特許出願公開DE102008004812A1に記載されている。センサは安全、確実に機能し、かつ汚れに関して非常に抵抗力がある。もちろん安全かつ確実な機能性のためにセンサは流動媒体を必要とし、この媒体中の液体の部分もしくは流量が簡単に、効率的にかつ確実に検出されうる。このことは従来の構造では可能ではない。液体センサが流れ方向のバルブ装置の下流に配置されている本発明による配置によってこのような構造が可能であるので、センサ領域内の流動する液体ガス混合物もしくは流動する液体に基づいて、流体の液体部分の安全で簡単かつ確実な検知が実現されうる。
【0010】
更なる代替的実施形態において、本発明による装置は、それに関して超音波センサを使用することが予定されうる。流動媒体中の液体の検出のために同様に非常に適しているこのような超音波センサは、流れ方向のバルブ装置の下流への本発明による配置によって、本発明による装置の形態のために同様に非常に有利に使用されうる。
【0011】
本発明による装置は、有利な形態により、更に、燃料電池システムのアノード循環路内に水分離器が配置されていることが予定されうる。アノード循環路において水分離器の領域内に、残留水素を含有するアノード室の排気ガスが存在するが、殊にこのアノード循環路において、液体の排出の際に外部環境にガスが全く到達しないか又は最小の予め設定された量のガスのみが到達することは、重大な意味を持っている。このことにより、水素放出が減少され、かつ同時に大気へと失われかつ燃料電池において電気エネルギーに有効に変換されることができない水素の損失が最小化する。
【0012】
この装置によって、燃料電池システムの水分離器から液体の水及び/又はガスを殊に好ましくかつ効率的に排出する方法が実現されうる。本発明による方法により、水分離器中に蓄積する凝縮水量が大まかに判定される。このことは例えば燃料電池の出力に基づいて行なわれうる。原則的に、付加された水素及び/又は付加された空気の量に基づいて判定することも考えられる。更に、例えば燃料電池の作動シミュレーションに関しても行なわれうる実際の判定の代わりに、経験値を見積もること及び燃料電池システムの作動時間に基づき発生する凝縮水の量を判定することが考えられる。時間と出力などとの相応する評価(Gewichtungen)は、判定値の向上のために同様に考えられかつ可能である。個々の観点は任意に互いに組み合わすことができる。
【0013】
判定される凝縮水量が予め設定された限界値に達したら直ぐに、装置のバルブ装置を開く。その後、主として3つの場合に区別される。
【0014】
液体の水がセンサで検知されない場合、判定は明らかに間違いであろう。バルブ装置は、即座に再び閉鎖される。この際、典型的には、少量のガス、従って水素も失われるが、それというのも、センサの測定値の検出及び引き続くバルブの閉鎖のために一定時間が経過し、その時間においてガスがバルブ装置を通って流出するからである。しかしながら、この量は非常に処理しやすい。更に、この状況は、得られた凝縮水量の比較的ひどい誤判定が起こる場合にのみ生じる。従って、このような状況は、通常運転で極めてめったに生じない。
【0015】
第2の場合に、センサは液体の水を検知するが、その際、液体の水の流量が予め設定された限界値より上にある場合、バルブ装置は開いたままである。この場合に、所望の通りに水を排出すべきである。第1の検知において既に、又は時間が経過するうちに液体センサによって検出される液体の水の流量が予め設定された限界値より少なくなると、この場合には比較的少ない残留水量のみが水分離器から流出するので、バルブ装置は再び閉鎖される。
【0016】
バルブ装置が再び閉鎖される時点から、蓄積する凝縮水量の判定が再びスタートし、かつこの方法は初めから始まる。この方法を用いて、上記方法での殊に2つの温度センサ及び温度調節エレメントを備えるセンサの使用の際に、安全で確実な方法が実現されえ、この方法は通常運転で最小の水素放出で働き、かつ水分離器から液体を安全かつ確実に排出することを保証する。このことにより、液体の水が不所望な領域へ侵入することなくかつそこで例えば活性面を湿らすことなく及び/又は不所望な領域で氷点より低い温度で燃料電池システムを停止した際に凍結することなく、燃料電池システムを安全に作動することができる。
【0017】
本発明による装置並びに本発明による方法の更なる有利な形態は、それぞれ関連する従属請求項から明らかになり、かつ図面に関連して以下に詳述されている実施例に基づいて明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】車両における燃料電池システムを原則的に示す図である。
図2】本発明による装置を示す図である。
図3】本発明による液体センサの例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1の図面で、原則的に示された車両2における燃料システム1が著しく略図化されて見て取ることができる。燃料電池システム1は、車両2のための電力、殊に車両2のための駆動力を提供すべきである。燃料電池システム1は、主として燃料電池3からなり、燃料電池3はカソード室4及びアノード室5を有する。カソード室4には、公知の方法で、空気搬送装置6を介して、酸素供給物としての空気が供給される。排気管7を介して、この排気は再びシステムから外へ到達する。空気供給の領域で一般的に知られかつ通常である更なる構成部品、例えばエアフィルタ、加湿器又は同様のものは、図の簡略化のために省略した。同様に排気管の領域の部品、例えば排気中の残留エネルギーを回収するためのタービンも省略した。
【0020】
燃料電池3のアノード室5には、圧縮ガスタンク8からの水素が、圧力調整及び計量装置9を介して供給される。未使用水素は、アノード室5の下流で、公知の方法で、再循環搬送装置11を備える再循環管10を介してアノード室5の入口に再び戻され、新規の水素と混ざってアノード室5に再び供給される。このいわゆるアノード循環路の領域に、次第に水及び不活性ガスが蓄積する。この水は燃料電池3からの生成水であり、その際ここでアノード室の領域には生成水のわずかな部分が及びカソード室4の領域には生成水のより多くの部分が生じる。不活性ガスは、典型的には窒素であり、不活性ガスは、PEM燃料電池として構成された燃料電池3の膜を通って拡散し、かつアノード循環路の領域に蓄積する。水及びガスは時々排出しなければならない。このために、ガスを排出するための及び水を排出するための複合管又は別々の管を備えることができる。本発明にとって、水を排出することのみに関心があるので、以降は水の排出のみに関して更に詳しく述べる。再循環管10中のガスから液体の水を分離するために、ここで示された燃料電池システム1には水分離器12が備えられている。水を排出するための装置13を介して、液体の水は、車両2の外部環境へ排出される。同様に、例えば水は排気流中へ排出され、この中で蒸発及び/又は噴霧されうる。車両2中に水を蓄積し及び/又は有効利用することも可能である。
【0021】
ここで、本発明は、液体の水を排出するための装置13にある。この装置は、図1の図面においてボックスとして表示されているだけである。図2の図面に、本発明の装置13の具体的な構造が示されている。図2から更に、水分離器12並びに再循環管10の一部が見て取れる。水分離器12から重力方向へ下方へと管エレメント14が伸び、この領域に、ここに点線で囲まれた装置13が配置されている。装置13は、液体の水の流れ方向の、バルブ装置15及び液体センサ16から構成される。更に、装置13は制御装置17を含む。この機能性は、液体センサ16を介して液体の存在を検知することである。このことは制御装置17へと更に報告される。その際、液体センサ16は、排出された液中に、液体がないことと少なくとも2つの異なる量の液体とを区別することができる。予め設定された限界値より上にある液体量を、以降、過大液体量と呼び、予め設定された限界値より下にある液体量を過小液体量と呼ぶ。この際、排出管14の領域には常に液体もガスも存在するか、又は液体だけ又はガスだけが存在しうる。
【0022】
水分離器12の領域内での故障を起こしやすい充填レベルセンサを省くことができるように、制御装置17は、生じた生成水もしくは凝縮水の量を判定する。このことは、殊に燃料電池3の電力Pに基づいて合計されて(aufsummiert)又は時間に関して統合されて(aufintegriert)行なうことができる。このことを、図2の図面にPと共に記載された矢印18が示していて、矢印18は対応するデータを制御装置17へと送る。この判定が水分離器12中の、予め設定された限界値より上にある、従って液体分離器12を空にすることが必要とされる液体量もしくは凝縮水量を確認すると直ぐに、制御装置17によってバルブ装置15が開かれる。同時に再び、凝縮水量の判定が「ゼロ」に設定される。液体分離器16においては、バルブ装置15の開放後、主として3つの異なる状態が確認されうる。
【0023】
生じた凝縮水量の誤判定を前提とするので通常運転では典型的にめったに生じない第1の状態は、液体センサ16の領域内に液体が存在しない状態である。この場合に、制御装置17はバルブ装置15を直ぐに再び閉鎖する。バルブ装置15と液体センサ16との間の管の長さ及び液体センサ16の測定値を検知するための場合による遅延によってのみ、わずかな量のガスが排出されることになる。しかし、この量は典型的には極わずかであり、かつ水素もしくは残留水素を含有する場合でも許容されうる。更に、この状況は、上述のように通常運転では水量の誤判定が生じた場合のみ起こるのであって、このようなことは典型的には非常に度々起こるというわけではではない。
【0024】
第2のありうる場合は、上記定義による過大容量流の液体の水が検知されることにある。この場合には、バルブ装置15は開いたままである。第3の場合は、すぐに過小容量流の液体の水が検出されるか、又は液体の水の容量流が排出の間に過大容量流検出から今や過小容量流検出へと減少し、その場合、制御装置17によってバルブ装置15が閉鎖される。
【0025】
バルブ装置15が閉鎖される場合常に、いずれの理由からも同様に、先ず「ゼロ」にセットされた凝縮水量の判定が再びスタートし、かつこの方法は初めら始まる。めったに起こらない第1の場合を除いて、外部環境への水素の漏出が安全かつ確実に回避され、かつ同時に液体の安全で確実な排出が達成されるので、水分離器が「あふれる」ことにより燃料電池3及び/又は再循環管10に流れ込むこと(Fluten)が避けられうる。
【0026】
殊に適当な液体センサ16をここで以下に簡単に説明する。このために、図3を参照とする。正確な構造及び正確な機能性は、更に、ドイツ国特許公開明細書DE102008004812A1に記載されている。液体センサ16は、主として第1温度センサ19及び流れ方向のこの温度センサ19に続く温度調節エレメント20から構成され、温度調節エレメント20は第2温度センサ21と熱伝導的に連結している。温度調節エレメント20は基体(Grundkoerper)22を含む。この基体22は、殊に良好な熱伝導性の材料、例えばアルミニウムから構成されていてよい。使用される物質に応じて、温度調節エレメント20の基体22の周りが液体の内容物質に対して化学的に耐性になるように、セラミック材料又は相応するコーティングも考えられる。殊に、ここで示されるような基体22は、複数の開口部23を有し、この開口部を流体が流動する。温度調節エレメント20は、例えば予め設定された温度値まで加熱することができるか又は冷却することができる。基体22と温度が温度センサ19によって分かっている流体とが接触する際に、基体22は加熱又は冷却されることになる。その結果生じる温度変化は、第2温度センサ21を介して安全かつ確実に検出されうる。その際、測定は、流体中に液相が存在する場合に流体がより大きな熱容量を有しているという認識を基礎としている。従って流体は、液相中では、液相が存在しないか又はわずかな部分の液相を有する流体によるよりも著しい、流体が周囲を流れる基体23の、温度調節エレメント20によって調節された温度変化を引き起こす。第1温度センサ19の領域で測定された流体の温度及び、供給及び還流故に温度調節エレメント20によって温度調節された基体22の温度と、流体を調節する温度センサ21における温度とを比較することにより、液体の存在を簡単かつ効果的に検出することができる。殊に、流体中に存在する液体の量を安全かつ確実に限定することができる。このことは殊に流動する流体において理想的に機能するので、このような液体センサ16は、ここに記載した装置13で実施されるように、バルブ装置15の下流への設置が際立って適している。
図1
図2
図3