特許第5902336号(P5902336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5902336
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】扱胴
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/22 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   A01F12/22 B
【請求項の数】5
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-67963(P2015-67963)
(22)【出願日】2015年3月30日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】中畠 章博
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−20450(JP,A)
【文献】 特開2013−110990(JP,A)
【文献】 特開2015−59(JP,A)
【文献】 特開2014−121330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F12/18
A01F12/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴軸の前側及び後側にそれぞれ相対回転不能に支持された掻込部及び扱ぎ部を備え、前記掻込部は、前記扱胴軸の回転に応じて刈取穀稈を前記扱ぎ部へ向けて搬送するように前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm枚(mは2以上の整数)の螺旋羽根を有し、前記扱ぎ部は、前記扱胴軸と共に前記扱胴軸の軸線回りに回転するように前記扱胴軸に沿った状態で前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm×n本(nは2の倍数)の扱歯フレームを有している扱胴であって、
前記m×n本の扱歯フレームは、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯間のピッチがP(Pは正数)とされた第1配列の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(P/2)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第2配列の扱歯フレームとを含み、
前記第2配列のうちの一の扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関し前記m枚の螺旋羽根のうちの一の螺旋羽根の後端部に最も近接配置された状態で、前記第1及び第2配列の扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線回りに交互に配置されていることを特徴とする扱胴。
【請求項2】
扱胴軸の前側及び後側にそれぞれ相対回転不能に支持された掻込部及び扱ぎ部を備え、前記掻込部は、前記扱胴軸の回転に応じて刈取穀稈を前記扱ぎ部へ向けて搬送するように前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm枚(mは2以上の整数)の螺旋羽根を有し、前記扱ぎ部は、前記扱胴軸と共に前記扱胴軸の軸線回りに回転するように前記扱胴軸に沿った状態で前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm×n本(nは3の倍数)の扱歯フレームを有している扱胴であって、
前記m×n本の扱歯フレームは、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯間のピッチがP(Pは正数)とされた第1配列の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第2配列の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(2P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第3配列の扱歯フレームとを含み、
前記第3配列のうちの一の扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関し前記m枚の螺旋羽根のうちの一の螺旋羽根の後端部に最も近接配置された状態で、前記扱胴軸の回転方向下流側へ順に、前記第3配列の扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の一方の扱歯フレーム、並びに、前記第1及び第2配列の他方の扱歯フレームが配置されていることを特徴とする扱胴。
【請求項3】
扱胴軸の前側及び後側にそれぞれ相対回転不能に支持された掻込部及び扱ぎ部を備え、前記掻込部は、前記扱胴軸の回転に応じて刈取穀稈を前記扱ぎ部へ向けて搬送するように互いに対して前記扱胴軸の軸線回りに180度離間配置された2枚の第1及び第2螺旋羽根を有し、前記扱ぎ部は、前記扱胴軸と共に前記扱胴軸の軸線回りに回転するように前記扱胴軸に沿った状態で前記扱胴軸の軸線回りに60度間隔で配置された6本の扱歯フレームであって、長手方向に沿って所定ピッチで複数の扱歯が配列されている6本の扱歯フレームを有している扱胴であって、
前記6本の扱歯フレームは、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第1配列の第1及び第2の2本の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第2配列の第1及び第2の2本の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(2P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第3配列の第1及び第2の2本の扱歯フレームとを含み、
前記第3配列の第1扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関し前記第1螺旋羽根の後端部に最も近接するように配置され、前記扱胴軸の回転方向下流側へ順に、前記第3配列の第1扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の一方の第1扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の他方の第1扱歯フレーム、前記第3配列の第2扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の一方の第2扱歯フレーム、並びに、前記第1及び第2配列の他方の第2扱歯フレームが配置されていることを特徴とする扱胴。
【請求項4】
前記第3配列の第1扱歯フレームは、前記扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関し前記第1螺旋羽根の後端部より前記扱胴軸の回転方向下流側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の扱胴。
【請求項5】
前記第1配列の扱歯フレームは、後端部から最後方の扱歯の中心までの距離がL+(2P/3)とされ、前記第3配列の扱歯フレームは、後端部から最後方の扱歯の中心までの距離がLとされ、
前記第1配列の扱歯フレーム及び前記第3配列の扱歯フレームは共に、一端部から当該一端部に最も近接する扱歯までの距離がLで且つ他端部から当該他端部に最も近接する扱歯までの距離がL+(2P/3)とされた共通扱歯フレームによって形成され、
前記共通扱歯フレームの前記一端部が前端部を形成するように配置されることで前記第1配列の扱歯フレームとして利用され、前記共通扱歯フレームの前記他端部が前端部を形成するように配置されることで前記第3配列の扱歯フレームとして利用されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の扱胴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置における扱胴に関する。
【背景技術】
【0002】
扱室内において扱胴軸によって回転されて、刈取穀稈に対して脱穀処理を行う扱胴として、前記扱胴軸の軸線を基準にして径方向外方へ延在した状態の複数の扱歯が機体前後方向に所定ピッチで配列されてなる扱胴フレームを備えた扱胴が提案されている(下記特許文献1〜7)。
【0003】
詳しくは、前記扱胴フレームは、前後方向に沿った状態で前記扱胴軸回りに配置され、前記扱胴軸と共に前記扱胴軸の軸線回りに回転する複数の支持バーと、複数の支持バーの各々に前後方向に沿って所定ピッチで配列された複数の扱歯とを有している。
【0004】
前記特許文献1〜4には、前記支持バーとして中空のパイプ部材を用いること、並びに、前記中空パイプ部材の長手方向に直交する方向に取付孔を貫通させ、前記取付孔に扱歯を挿入させて前記扱歯を前記扱胴軸を基準とした径方向に関し外方へ延在させた状態で前記扱歯を径方向内側及び外側の2箇所で前記中空パイプ部材に固着させることが開示されている。
【0005】
また、前記特許文献1〜7には、前記複数の扱歯の配列に関し、周方向に隣接する扱歯フレーム同士においては扱歯の前後方向位置を位置ズレさせることが開示されている。
特に、前記特許文献1及び2には、周方向に隣接する扱歯フレーム間において、扱歯の配列ピッチを1/2だけ位置ズレさせることで、刈取穀稈に対する脱穀処理を効率的に行えることが記載されている。
【0006】
ところで、前記扱胴フレームについては、前記特許文献1〜3及び5〜7に記載されているように、前記扱胴軸回りに6本を配置させるのが一般的であるが、前記特許文献1及び2に記載されているような、前記扱胴フレームより前方に掻込用螺旋羽根が設けられた扱胴においては、前記螺旋羽根から扱胴フレームへの刈取穀稈の流動性に関し、改善の余地があった。
【0007】
詳しくは、前記特許文献1及び2に記載されている扱胴は、6本の前記扱胴フレームを有する扱ぎ部に加えて、前記扱胴軸の回転に応じて刈取穀稈を前記扱ぎ部へ向けて搬送する2枚の螺旋羽根であって、互いに対して前記扱胴軸の軸線回りに180度離間配置された2枚の螺旋羽根を有する掻込部を備えている。
【0008】
前記掻込部においては、刈取穀稈は前記2枚の螺旋羽根によってスムースに後方へ搬送される一方で、前記扱ぎ部においては、刈取穀稈は前記扱歯によって打撃を受けつつ後方へ搬送されることになり、前記扱ぎ部での刈取穀稈の搬送速度は前記掻込部での搬送速度よりも遅くなる。
【0009】
従って、螺旋羽根を有する前記掻込部を備えた扱胴においては、前記螺旋羽根の後端部と前記扱歯フレームの前端部との境界近傍において刈取穀稈の滞留が生じ易い。
前記特許文献の何れにも斯かる点に着目したものは存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4148978号公報
【特許文献2】特許第5437117号公報
【特許文献3】中国実用新案第ZL200320111091.3号明細書
【特許文献4】中国実用新案第ZL200320110474.9号明細書
【特許文献5】中国実用新案第ZL200420068050.5号明細書
【特許文献6】中国実用新案第ZL02240781.2号明細書
【特許文献7】中国実用新案第ZL200420051275.X号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、扱胴軸回りに等間隔に配置されたm枚(mは2以上の整数)の螺旋羽根と前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm×n本(nは2又は3の倍数)の扱歯フレームとを備えた扱胴であって、前記扱胴軸の周方向に隣接する扱歯フレームの扱歯同士を前記扱胴軸の軸線方向に位置ズレさせつつ、螺旋羽根の後端部と扱胴フレームの前端部との境界近傍において刈取穀稈の滞留が生じることを有効に防止乃至は低減できる扱胴の提供を、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の第1態様は、扱胴軸の前側及び後側にそれぞれ相対回転不能に支持された掻込部及び扱ぎ部を備え、前記掻込部は、前記扱胴軸の回転に応じて刈取穀稈を前記扱ぎ部へ向けて搬送するように前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm枚(mは2以上の整数)の螺旋羽根を有し、前記扱ぎ部は、前記扱胴軸と共に前記扱胴軸の軸線回りに回転するように前記扱胴軸に沿った状態で前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm×n本(nは2の倍数)の扱歯フレームを有している扱胴であって、前記m×n本の扱歯フレームは、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯間のピッチがP(Pは正数)とされた第1配列の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(P/2)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第2配列の扱歯フレームとを含み、前記第2配列のうちの一の扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関し前記m枚の螺旋羽根のうちの一の螺旋羽根の後端部に最も近接配置された状態で、前記第1及び第2配列の扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線回りに交互に配置されている扱胴を提供する。
【0013】
また、本発明の第2態様は、前記目的を達成する為に、扱胴軸の前側及び後側にそれぞれ相対回転不能に支持された掻込部及び扱ぎ部を備え、前記掻込部は、前記扱胴軸の回転に応じて刈取穀稈を前記扱ぎ部へ向けて搬送するように前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm枚(mは2以上の整数)の螺旋羽根を有し、前記扱ぎ部は、前記扱胴軸と共に前記扱胴軸の軸線回りに回転するように前記扱胴軸に沿った状態で前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm×n本(nは3の倍数)の扱歯フレームを有している扱胴であって、前記m×n本の扱歯フレームは、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯間のピッチがP(Pは正数)とされた第1配列の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第2配列の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(2P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第3配列の扱歯フレームとを含み、前記第3配列のうちの一の扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関し前記m枚の螺旋羽根のうちの一の螺旋羽根の後端部に最も近接配置された状態で、前記扱胴軸の回転方向下流側へ順に、前記第3配列の扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の一方の扱歯フレーム、並びに、前記第1及び第2配列の他方の扱歯フレームが配置されているこ扱胴を提供する。
【0014】
また、本発明の第3態様は、前記目的を達成する為に、扱胴軸の前側及び後側にそれぞれ相対回転不能に支持された掻込部及び扱ぎ部を備え、前記掻込部は、前記扱胴軸の回転に応じて刈取穀稈を前記扱ぎ部へ向けて搬送するように互いに対して前記扱胴軸の軸線回りに180度離間配置された2枚の第1及び第2螺旋羽根を有し、前記扱ぎ部は、前記扱胴軸と共に前記扱胴軸の軸線回りに回転するように前記扱胴軸に沿った状態で前記扱胴軸の軸線回りに60度間隔で配置された6本の扱歯フレームであって、長手方向に沿って所定ピッチで複数の扱歯が配列されている6本の扱歯フレームを有している扱胴であって、前記6本の扱歯フレームは、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第1配列の第1及び第2の2本の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第2配列の第1及び第2の2本の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(2P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第3配列の第1及び第2の2本の扱歯フレームとを含み、前記第3配列の第1扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関し前記第1螺旋羽根の後端部に最も近接するように配置され、前記扱胴軸の回転方向下流側へ順に、前記第3配列の第1扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の一方の第1扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の他方の第1扱歯フレーム、前記第3配列の第2扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の一方の第2扱歯フレーム、並びに、前記第1及び第2配列の他方の第2扱歯フレームが配置されている扱胴を提供する。
【0015】
好ましくは、前記第3配列の第1扱歯フレームは、前記扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関し前記第1螺旋羽根の後端部より前記扱胴軸の回転方向下流側に配置される。
【0016】
好ましくは、前記第1配列の扱歯フレームは、後端部から最後方の扱歯の中心までの距離がL+(2P/3)とされ、前記第3配列の扱歯フレームは、後端部から最後方の扱歯の中心までの距離がLとされる。
この場合において、前記第1配列の扱歯フレーム及び前記第3配列の扱歯フレームは共に、一端部から当該一端部に最も近接する扱歯までの距離がLで且つ他端部から当該他端部に最も近接する扱歯までの距離がL+(2P/3)とされた共通扱歯フレームによって形成され、前記共通扱歯フレームの前記一端部が前端部を形成するように配置されることで前記第1配列の扱歯フレームとして利用され、前記共通扱歯フレームの前記他端部が前端部を形成するように配置されることで前記第3配列の扱歯フレームとして利用される。
【0017】
好ましくは、前記第2配列の扱歯フレームは、一端部から当該一端部に最も近接する扱歯までの距離及び他端部から当該他端部に最も近接する扱歯までの距離が共にL+(P/3)とされる。
【0018】
好ましくは、距離LはP/3とされる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1態様に係る扱胴によれば、扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm枚(mは2以上の整数)の螺旋羽根と、前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm×n本(nは2の倍数)の扱歯フレームとを有し、前記m×n本の扱歯フレームは、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯間のピッチがP(Pは正数)とされた第1配列の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(P/2)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第2配列の扱歯フレームとを含みものとされ、前記第2配列のうちの一の扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関し前記m枚の螺旋羽根のうちの一の螺旋羽根の後端部に最も近接配置された状態で、前記第1及び第2配列の扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線回りに交互に配置されているので、前記扱胴軸の周方向に隣接する扱歯フレームの扱歯同士が前記扱胴軸の軸線方向に位置ズレされた状態で、前記螺旋羽根の後端とこれに隣接する扱歯フレームの最前方に位置する扱歯との間に可及的に広い搬送空間を確保することができ、脱穀処理効率の可及的な向上を図ることができる。
【0020】
本発明の第2態様に係る扱胴によれば、扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm枚(mは2以上の整数)の螺旋羽根と、前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm×n本(nは3の倍数)の扱歯フレームとを有し、前記m×n本の扱歯フレームは、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯間のピッチがP(Pは正数)とされた第1配列の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第2配列の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(2P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第3配列の扱歯フレームとを含むものとされ、前記第3配列のうちの一の扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関し前記m枚の螺旋羽根のうちの一の螺旋羽根の後端部に最も近接配置された状態で、前記扱胴軸の回転方向下流側へ順に、前記第3配列の扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の一方の扱歯フレーム、並びに、前記第1及び第2配列の他方の扱歯フレームが配置されているので、前記扱胴軸の周方向に隣接する扱歯フレームの扱歯同士が前記扱胴軸の軸線方向に位置ズレされた状態で、前記螺旋羽根の後端とこれに隣接する扱歯フレームの最前方に位置する扱歯との間に可及的に広い搬送空間を確保することができ、脱穀処理効率の可及的な向上を図ることができる。
【0021】
本発明の第3態様に係る扱胴によれば、互いに対して前記扱胴軸の軸線回りに180度離間配置された2枚の第1及び第2螺旋羽根と、前記扱胴軸の軸線回りに60度間隔で配置された6本の扱歯フレームとを有し、前記6本の扱歯フレームは、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第1配列の第1及び第2の2本の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第2配列の第1及び第2の2本の扱歯フレームと、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がL+(2P/3)とされ且つ隣接する扱歯間のピッチがPとされた第3配列の第1及び第2の2本の扱歯フレームとを含むものとされ、前記第3配列の第1扱歯フレームが前記扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関し前記第1螺旋羽根の後端部に最も近接するように配置され、前記扱胴軸の回転方向下流側へ順に、前記第3配列の第1扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の一方の第1扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の他方の第1扱歯フレーム、前記第3配列の第2扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の一方の第2扱歯フレーム、並びに、前記第1及び第2配列の他方の第2扱歯フレームが配置されているので、前記扱胴軸の周方向に隣接する扱歯フレームの扱歯同士が前記扱胴軸の軸線方向に位置ズレされた状態で、前記螺旋羽根の後端とこれに隣接する扱歯フレームの最前方に位置する扱歯との間に可及的に広い搬送空間を確保することができ、脱穀処理効率の可及的な向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る扱胴が適用され得るコンバインの左側面図である。
図2図2は、前記コンバインの右側面図である。
図3図3は、前記コンバインの平面図である。
図4図4は、前記コンバインの伝動模式図である。
図5図5は、前記扱胴の側面図である。
図6図6は、前記扱胴の斜視図である。
図7図7は、図5におけるVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、図5におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図9は、図5におけるIX-IX線に沿った断面図である。
図10図10は、前記扱胴の分解斜視図であり、前方から視た状態を示している。
図11図11は、前記扱胴の分解斜視図であり、後方から視た状態を示している。
図12図12は、図5におけるVII-VII線に沿った断面の分解斜視図である。
図13図13は、図8におけるXIII部拡大図である。
図14図14は、図13に示す取付位置から扱歯フレームを扱胴軸の回転方向上流側且つ扱胴軸の径方向外方側へ変位させた位置で取り付けた状態の拡大図である。
図15図15は、図13に示す取付位置から扱歯フレームを扱胴軸の回転方向下流側且つ扱胴軸の径方向外方側へ変位させた位置で取り付けた状態の拡大図である。
図16図16は、前記扱胴の模式展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る扱胴の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本実施の形態に係る扱胴600が適用されるコンバイン1について説明する。
図1図4に、それぞれ、前記コンバイン1の左側面図、右側面図、平面図及び伝動模式図を示す。
【0024】
図1図4に示すように、前記コンバイン1は、走行機体10と、前記走行機体10に連結された左右一対の走行クローラ20と、前記走行機体10に載置されたエンジン25と、前記エンジン25から前記走行クローラ20へ至る伝動経路に介挿されたトランスミッション30と、前記走行機体10に載置された運転部40と、前記走行機体10の前方に連結された刈取部100と、前記刈取部100によって刈り取られた刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置200と、前記脱穀装置200によって生成された穀粒を貯留するグレンタンク50とを備えている。
【0025】
図1図3に示すように、前記運転部40は、前記走行機体10の前部で且つ機体幅方向一方側に配置されている。
なお、本実施の形態においては、機体幅方向一方側及び他方側は、それぞれ、前記コンバイン1の前進方向を向いて右側及び左側を意味する。
【0026】
前記運転部40は、操縦者が着座可能な運転席41と、前記運転席41の近傍に配置された種々の操作部材とを有している。
【0027】
前記操作部材は、前記コンバイン1の進行方向を変更させる操向操作部材42と、前記コンバイン1の走行速度を変更させる主変速操作部材43及び副変速操作部材44と、前記脱穀装置200の駆動及び停止を切り換え操作する脱穀クラッチ操作部材45と、前記刈取装置100の駆動及び停止を切り換え操作する刈取クラッチ操作部材46とを含んでいる。
【0028】
図1図3に示すように、前記エンジン25は、前記運転部40の下方の空間を利用して前記走行機体10に支持されている。
【0029】
前記エンジン25は、前記運転部40の下方空間において前記走行機体10に支持されたエンジン本体26と、前記エンジン本体26から機体幅方向他方側へ延在された第1出力軸27aと、前記エンジン本体26から機体幅方向一方側へ延在された第2及び第3出力軸27b、27cとを有している。
【0030】
前記トランスミッション30は、前記エンジン25から作動的に入力される回転動力を変速して、前記一対の走行クローラ20に向けて出力するように構成されている。
【0031】
図1及び図3に示すように、前記トランスミッション30は、前記エンジン25より前方において前記運転部40の下方に配置されている。
【0032】
詳しくは、前記トランスミッション30は、前記走行機体10に支持されるミッションケース31と、前記ミッションケース31から機体幅方向他方側へ延在されたトランスミッション入力軸32と、前記トランスミッション入力軸32を介して入力された回転動力を変速する変速機構とを有している。
【0033】
図4に示すように、本実施の形態においては、前記トランスミッション30は、前記変速機構として、前記主変速操作部材43への操作に応じて無段変速を行う油圧式無段変速装置(HST)等の主変速装置35(図4参照)と、前記主変速装置35から作動的に回転動力を入力して、前記副変速操作部材44への操作に応じて多段変速を行うギヤ式変速装置等の副変速装置(図示せず)とを有している。
なお、本実施の形態においては、前記HST35のポンプ軸が前記トランスミッション入力軸32として作用する。
【0034】
前記刈取装置100は、前記走行機体10に昇降自在に連結されており、昇降用油圧シリンダ装置60(図1参照)によって高さ調節可能とされている。
なお、前記昇降用油圧シリンダ装置60へは、前記エンジン25に付設される油圧ポンプ28(図4参照)から作動油が供給される。
【0035】
前記刈取装置100は、前記脱穀装置200における扱室201の前部に設けられた扱口に向けて刈取穀稈を送る搬送経路を画するフィーダハウス110と、前記フィーダハウス110内に配設された供給コンベア115と、前記フィーダハウス110の前端に連接された横長バケット状の穀物ヘッダー120と、前記穀物ヘッダー120内に配設された掻込オーガ125と、前記掻込オーガ125の前方且つ上方に配設されたタインバー付きの掻込リール130と、前記掻込オーガ125の前方且つ下方に配設された刈刃140とを有している。
【0036】
前記供給コンベア115は、搬送方向終端側(後方側)において機体幅方向に沿って配設された刈取入力軸116と、搬送方向始端側(前方側)において機体幅方向に沿って配設された刈取従動軸117と、前記刈取入力軸116に相対回転不能に支持された駆動側回転体118aと、前記刈取従動軸117支持された従動側回転体118bと、前記駆動側回転体118a及び前記従動側回転体118bに巻き回されたコンベア体118cとを有している。
【0037】
斯かる構成において、前記昇降用油圧シリンダ装置60(図1参照)は前記フィーダハウス110の下面と前記走行機体10との間に介挿されており、前記刈取装置100は、前記昇降用油圧シリンダ装置60によって前記刈取入力軸116回り昇降可能となっている。
【0038】
なお、図1図3に示すように、本実施の形態においては、前記刈取装置100は、さらに、前記穀物ヘッダー120の機体幅方向両側から前方へ延びる左右一対の分草体150を有している。
【0039】
前記構成により、前記左右一対の分草体150の間の未刈り穀稈は、穂先側が前記掻込リール130によって掻き込まれつつ、稈側が前記刈刃140によって刈り取られる。
前記刈刃140によって刈り取られた刈取穀稈は、前記掻込オーガ125によって前記穀物ヘッダー120内において前記フィーダハウス110の前端開口付近へ集約され、前記供給コンベア115によって前記フィーダハウス110の前端開口から後端開口へ向けて搬送され、前記扱口から前記扱室201内に投入される。
【0040】
本実施の形態に係る前記コンバイン1は、図1及び図4に示すように、前記供給コンベア115から送られてくる刈取穀稈を前記扱室201の扱口へ送り込むフロントロータ機構160を有している。
【0041】
前記フロントロータ機構160は、前記供給コンベア115の搬送終端と前記扱口との間において機体幅方向に沿ったフロントロータ駆動軸161と、前記フロントロータ駆動軸161に相対回転不能に支持されたフロントロータ(ビータ)162とを有しており、前記供給コンベア115の搬送終端へ搬送された刈取穀稈は前記フロントロータ162によって前記扱口から前記扱室201内に投入されるようになっている。
【0042】
図1及び図4等に示すように、前記脱穀装置200は、前記走行機体10に立設される機枠によって形成される前記扱室201と、前後方向に沿って配設された扱胴軸210と、前記扱胴軸210によって回転駆動される状態で前記扱室201内に収容された本実施の形態に係る扱胴600と、前記扱胴220の下方に配設された受網230(図1参照)とを備えている。
前記扱胴600の詳細については後述する。
【0043】
前記扱胴600によって刈取穀稈から脱穀された脱穀物のうち前記受網230の網目開口より小さい穀粒等の脱穀物は、前記受網230から漏下して、前記脱穀装置200における下記選別機構250によって選別処理を受ける。
一方、前記受網230の網目開口より大きい藁屑等の脱穀物は、前記扱胴220の搬送作用によって前記扱室201の後方に設けられた排塵口205から排出される。
【0044】
好ましくは、前記扱胴220の上方には取付角度変更可能な複数の送塵弁(図示せず)が設けられ、前記送塵弁の取付角度を変更することにより前記扱室201内の脱穀物の搬送速度が調整可能とされ得る。
【0045】
前記脱穀装置200は、さらに、前記受網230から漏下した脱穀物から穀粒を選別する前記穀粒選別機構250を有している。
【0046】
前記穀粒選別機構250は、前記受網230から漏下された脱穀物に対して比重選別を行う揺動選別体260と、前記揺動選別体260に向けて選別風を供給する選別風供給体280とを有している。
【0047】
前記揺動選別体260は、前記エンジン25から作動的に伝達される動力によって駆動される揺動選別駆動軸261と、前記揺動選別駆動軸261によって揺動される揺動選別盤265とを有している。
前記揺動選別盤265は、グレンパン、チャフシーブ、グレンシーブ及びストローラック等を含む。
【0048】
前記選別風供給体280は、前記エンジン25から作動的に伝達される動力によって駆動される唐箕軸281と、前記唐箕軸281によって駆動される唐箕ファン285とを有している。
【0049】
前記穀粒選別機構250は、さらに、前記揺動選別体260による比重選別作用及び前記選別風供給体280による風選別作用によって脱穀物から選別された穀粒(精粒等の一番物)を集約する一番樋301と、前記一番樋301内に配設された一番コンベア機構310と、前記一番コンベア機構310によって送られてくる一番物を前記グレンタンク50内に搬送する揚穀コンベア機構320と、前記脱穀物から穀粒及び藁の混合物(二番物)を集約する二番樋302と、前記二番樋302内に配設された二番コンベア機構330と、前記二番コンベア機構330によって送られてくる二番物を前記揺動選別盤265の選別始端側へ戻す二番還元コンベア機構340とを有している。
【0050】
ここで、前記コンバイン1における伝動構造について説明する。
図4に示すように、前記エンジン25の前記第2及び第3出力軸27b、27cは、それぞれ、前記油圧ポンプ28及び冷却ファン29を駆動する。
【0051】
一方、前記エンジン25の前記第1出力軸27aは、前記走行部材20を駆動する為の走行系回転動力を出力する。
【0052】
図4に示すように、前記第1出力軸27aは、プーリー伝動機構等の走行系無端体伝動機構400を介して前記トランスミッション入力軸32に作動連結されている。
【0053】
前記第1出力軸27aは、さらに、前記脱穀装置200及び前記刈取装置100を駆動する為の作業系回転動力も出力する。
【0054】
本実施の形態においては、作業系回転動力は、前記唐箕軸281の機体幅方向一方側に相対回転自在に外挿されたパイプ軸500を介して前記脱穀装置200及び前記刈取装置100に伝達されるようになっている。
【0055】
即ち、図4に示すように、前記唐箕軸281は、前記扱室201を形成する機枠に軸線回り回転自在に支持されており、前記唐箕軸281のうち、前記扱室201を形成する機枠より機体幅方向一方側へ延在された部分(前記唐箕軸281の機体幅方向一方側)に前記パイプ軸500が相対回転自在に外挿されている。
【0056】
斯かる構成において、前記第1出力軸27aは、プーリー伝動機構等の第1作業系無端体伝動機構410を介して前記パイプ軸500に作動連結されている。
【0057】
なお、図4に示すように、前記第1作業系無端体伝動機構410には、前記脱穀クラッチ操作部材45への操作に応じて、前記エンジン25から前記脱穀装置200及び前記刈取装置100への動力伝達を係脱させる脱穀クラッチ290が介挿されている。
【0058】
さらに、前記コンバイン1においては、図4に示すように、前記扱室201の前方において、機体幅方向に沿った扱胴入力軸510が設けられている。
【0059】
図4図5及び図7に示すように、前記扱胴入力軸510は、前記扱室201の前方に配置された伝動ケース520に軸線回り回転自在に支持されている。
【0060】
詳しくは、前記扱胴入力軸510は、機体幅方向一方側が前記伝動ケース520から外方へ延在されて、機体幅方向に関し前記運転部40及び前記脱穀装置200の間の間隙に位置し且つ機体幅方向他方側が前記伝動ケース520内に突入された状態で、前記伝動ケース520に軸線回り回転自在に支持されている。
【0061】
斯かる構成において、前記パイプ軸500は、プーリー伝動機構等の第2作業系無端体伝動機構420を介して前記扱胴入力軸510に作動連結されている。
【0062】
前記扱胴軸210は、図4に示すように、前端部が前記伝動ケース520内に突入されており、前記伝動ケース520内において前記扱胴入力軸510に作動連結されている。
【0063】
詳しくは、図4に示すように、前記扱胴入力軸510の機体幅方向他方側は前記伝動ケース520内で終焉されており、前記伝動ケース内においてベベルギヤ機構530を介して前記扱胴軸210の前端部に作動連結されている。
【0064】
さらに、前記コンバイン1においては、機体幅方向一方側が前記伝動ケース520内において前記扱胴入力軸510の機体幅方向他方側に軸線回り相対回転不能に連結された状態で機体幅方向に延びる作業系伝動軸540が設けられており、前記作業系伝動軸540を介して前記刈取装置100及び前記選別機構250に前記エンジン25からの回転動力が伝達されるようになっている。
【0065】
本実施の形態においては、前記作業系伝動軸540は前記ベベルギヤ機構530を利用して、前記扱胴入力軸510に軸線回り相対回転不能に連結されている。
【0066】
即ち、前記ベベルギヤ機構530の駆動側ベベルギヤには前記扱胴入力軸510の機体幅方向他方側が相対回転不能に挿入されるスプライン孔が設けられており、前記作業系伝動軸540は機体幅方向一方側が前記駆動側ベベルギヤのスプライン孔に挿入されることで前記扱胴入力軸510に軸線回り相対回転不能に連結されている。
【0067】
次に、前記作業系伝動軸540から前記刈取装置100への伝動構造について説明する。
前述の通り、前記コンバイン1は前記フロントロータ機構160を有しており、前記作業系伝動軸540から前記刈取装置100へは前記フロントロータ駆動軸161を介して動力伝達されている。
【0068】
前記作業系伝動軸540は、プーリー伝動機構等の第3作業系無端体伝動機構430を介して前記フロントロータ駆動軸161に作動連結されている。
【0069】
なお、図4に示すように、前記第3作業系無端体伝動機構430には、前記刈取クラッチ操作部材46への操作に応じて、動力伝達を係脱させる刈取クラッチ190が介挿されている。
【0070】
前記フロントロータ駆動軸161は、スプロケット伝動機構等の第4作業系無端体伝動機構440を介して前記刈取入力軸116に作動連結されている。
【0071】
なお、本実施の形態においては、図4に示すように、前記フロントロータ駆動軸161と前記刈取入力軸116との間に正逆転切換機構170が介挿されており、前記第4作業系無端体伝動機構440は前記フロントロータ駆動軸161から前記正逆転切換機構170に回転動力を伝達している。
【0072】
詳しくは、前記刈取入力軸116の機体幅方向他方側において前記刈取入力軸116と同軸上に刈取伝動軸105が配設されており、前記フロントロータ駆動軸161は前記第4作業系伝動機構455を介して前記刈取伝動軸105に作動連結されている。
そして、前記刈取伝動軸105と前記刈取入力軸116との間に前記正逆転切換機構170が介挿されている。
【0073】
前記穀物ヘッダー120には、機体幅方向に沿ったヘッダー駆動軸121と、前記掻込オーガ125を支持した状態で機体幅方向沿った掻込軸122とが設けられており、前記刈取入力軸116の機体幅方向一方側が前記ヘッダー駆動軸121にヘッダー駆動チェーン460を介して作動連結され、前記ヘッダー駆動軸121が掻込駆動チェーン461を介して前記掻込軸122に作動連結されている。
【0074】
前記掻込軸122は、前記掻込リール130を支持するリール軸131に作動連結されている。
詳しくは、前記掻込軸122は第1リール駆動チェーン465を介して中間軸466に作動連結され、前記中間軸466は第2リール駆動チェーン467を介して前記リール軸131に作動連結されている。
【0075】
さらに、前記ヘッダー駆動軸121は、刈刃駆動クランク機構470を介して前記刈刃140にも作動連結されている。
【0076】
次に、前記作業系伝動軸540から前記選別機構250への伝動構造について説明する。
図4に示すように、前記作業系伝動軸540は、プーリー伝動機構等の第5作業系無端体伝動機構450を介して前記唐箕軸281にも作動連結されている。
【0077】
本実施の形態においては、図4に示すように、前記唐箕軸281を介して、前記一番コンベア機構310、前記揚穀コンベア機構320、前記二番コンベア機構330、前記二番還元コンベア機構340及び前記揺動選別軸261へ回転動力が作動的に駆動されている。
【0078】
詳しくは、図4に示すように、前記一番コンベア機構310は、前記一番樋301内に配設された一番コンベア軸311と、前記一番コンベア軸311に設けられた一番コンベア312とを有している。
【0079】
前記揚穀コンベア機構320は、下端側が前記一番樋301の機体幅方向一方側に連通され且つ上端側が前記グレンタンク50の投入口に連通された揚穀筒325内に配設され、下端側が前記一番コンベア軸311に作動連結された揚穀軸321と、前記揚穀軸321に設けられた揚穀コンベア322とを有している。
【0080】
前記二番コンベア機構330は、前記二番樋302内に配設された二番コンベア軸321と、前記二番コンベア軸321に設けられた二番コンベア322とを有している。
【0081】
前記二番還元コンベア機構340は、下端側が前記二番樋302の機体幅方向一方側に連通され且つ上端側が前記揺動選別盤265の選別始端側へ向けて開口された二番還元筒345内に配設され、下端側が前記二番コンベア軸321に作動連結された二番還元軸341と、前記二番還元軸341に設けられた二番還元コンベア342とを有している。
【0082】
斯かる構成において、前記唐箕軸281の機体幅方向他方側が、コンベア用プーリー伝動機構480を介して前記一番コンベア軸311及び前記二番コンベア軸321の機体幅方向他方側に作動連結されている。
【0083】
さらに、前記二番コンベア軸321の機体幅方向他方側が、揺動選別用プーリー伝動機構485を介して前記揺動選別軸261の機体幅方向他方側に作動連結されている。
【0084】
以下、本実施の形態に係る前記扱胴600の詳細構造について説明する。
図5及び図6に、それぞれ、前記扱胴600の側面図及び斜視図を示す。
図7図9に、それぞれ、図5におけるVII-VI線、VIII-VIII線及びIX-IX線に沿った断面図を示す。
さらに、図10及び図11に、前記扱胴600の分解斜視図を示す。
【0085】
前記扱胴600は、前記扱胴軸210に相対回転不能に支持される扱胴本体610と、前記扱胴本体610に着脱自在に連結される複数の扱歯フレーム700とを備えている。
【0086】
図10及び図11等に示すように、前記扱胴本体610は、前記扱胴軸210に固着された前側プレート620及び後側プレート630と、前記扱胴軸210の回りを覆うように前記前側プレート620及び前記後側プレート630に固着された遮蔽板650とを有している。
【0087】
前記前側プレート620は、図11に示すように、前記扱胴軸210に相対回転不能に支持される前側プレート体621と、前記前側プレート体621から後方へ延びる前側フランジ625とを有している。
本実施の形態においては、前記前側フランジ625は、前記前側プレート体621の後面に溶接等によって固着されている。
【0088】
前記後側プレート630は、図9及び図10に示すように、前記前側プレート体621から前記扱胴軸210の軸線方向に離間された位置で前記扱胴軸210に相対回転不能に支持される後側プレート体631と、前記後側プレート体631から前方へ延びる後側フランジ635とを有している。
本実施の形態においては、前記後側フランジ635は、前記前側プレート体631の前面に溶接等によって固着されている。
【0089】
前記遮蔽板650は、前記扱胴軸210の外周を囲繞するように前記前側取付フランジ625及び前記後側取付フランジ635に固着されている。
【0090】
好ましくは、前記遮蔽板650は、前記扱胴軸210の周方向に分割された複数の分割遮蔽板を有するものとされ、前記複数の分割遮蔽板の少なくとも一つが残りの分割遮蔽板に対して着脱可能に連結される。
【0091】
図7図11に示すように、本実施の形態においては、前記遮蔽板650は、前記扱胴軸の周方向に分割された第1〜第3の3枚の分割遮蔽板650(1)〜650(3)を有している。
【0092】
図12に、図5におけるVII-VII線に沿った断面の分解斜視図を示す。
本実施の形態においては、図12に示すように、前記第1及び第2分割遮蔽板650(1)、650(2)は、前記前側取付フランジ625及び前記後側取付フランジ635に溶接等によって分離不能に固着されている。
そして、前記第3分割遮蔽板650(3)が、ボルト等の締結部材655によって前記第1及び第2分割遮蔽板650(1)、650(2)に着脱可能に連結されている。
【0093】
斯かる構成によれば、前記前側プレート620、前記後側プレート630及び前記遮蔽板650によって画される前記扱胴本体610の内部空間にアクセスする必要が生じた際の作業性を向上させることができる。
【0094】
前記複数の扱歯フレーム700は、前記扱胴軸210の軸線方向に沿い且つ前記扱胴軸210の周方向に等間隔に配置されるように、前記扱胴本体610を形成する前記遮蔽板650に着脱可能に連結されている。
【0095】
斯かる構成によれば、前記扱胴本体610を形成する前記遮蔽板650を取り外すこと無く、任意の前記扱歯フレーム700だけを取り外すことができる。
従って、刈取穀稈に対する扱ぎ処理において最も摩耗や損傷が生じ易い扱歯730のメンテナス及び/又は交換作業を容易に行うことができる。
【0096】
前記扱歯フレーム700は、長尺の支持バー710と、前記支持バー710の長手方向に沿って所定ピッチで配列された複数の扱歯730とを有している。
【0097】
前記支持バー710は、前記複数の扱歯730が固着される長尺のバー本体711と、前記バー本体711の長手方向に離間された状態で前記バー本体711に連結された複数の取付ブラケット715とを有している。
【0098】
図7図9等に示すように、本実施の形態においては、前記バー本体711は中空部材とされている。
【0099】
本実施の形態においては、前記取付ブラケット715は、前記バー本体711を挟んで前記バー本体711の幅方向一方側及び他方側へ延びる一対の取付片716を有している。
前記一対の取付片716には貫通孔717(下記図13図15参照)が設けられている。
【0100】
前記遮蔽板650には、前記取付片716の貫通孔717に対応した位置に取付孔が形成されており、前記支持バー711は、前記取付片716に形成された貫通孔717及び前記遮蔽板650に形成された取付孔に挿通されるボルト等の締結部材720によって前記遮蔽板650に着脱可能に連結されている。
【0101】
なお、本実施の形態においては、図7図11に示すように、前記扱胴600には、前記前側プレート620及び前記後側プレート630の間において前記扱胴軸210に相対回転不能に支持された第1中間プレート640(1)と、前記第1中間プレート640(1)及び前記後側プレート630の間において前記扱胴軸210に相対回転不能に支持された第2中間プレート640(2)とが設けられている。
【0102】
前記第1及び第2中間プレート640(1)、640(2)の各々は、前記扱胴軸210に相対回転不能に支持される中間プレート体641と、前記中間プレート体641の径方向外端部から前記扱胴軸210の軸線方向に延びる中間取付フランジ645とを有している。
【0103】
本実施の形態においては、図10及び図11等に示すように、前記支持バー710には、前方から後方へ順に配置された第1〜第4の4個の前記取付ブラケット715が設けられており、前記扱胴軸210の軸線方向に関し、前記第1〜第4取付ブラケット715は、それぞれ、前記前側プレート620の前側取付フランジ625、前記第1中間プレート640(1)の中間取付フランジ645、前記第2中間プレート640(2)の中間取付フランジ645、及び、前記後側プレート630の後側取付フランジ635と同一位置に配置されている。
【0104】
前記前側取付フランジ625、前記第1中間プレート640(1)の中間取付フランジ645、前記第2中間プレート640(2)の中間取付フランジ645、及び、前記後側取付フランジ635には、それぞれ、対応する前記取付ブラケット715における前記貫通孔717に対向する位置に取付孔が形成されている。
【0105】
斯かる構成において、前記第1〜第4取付ブラケット715を前記遮蔽板650に着脱可能に連結する為の締結部材720は、前記取付ブラケット715の貫通孔717及び前記遮蔽板650の対応する前記取付孔に加えて、対応する前記取付フランジ625、635、645の取付孔に挿通され、これらを共締めしている。
【0106】
前述の通り、本実施の形態においては、前記扱歯フレーム700は、前記取付ブラケット715を介して前記遮蔽板650の外表面に連結されている。
斯かる構成においては、図7等に示すように、前記扱胴軸210の径方向に関し、前記遮蔽板650の外表面と前記バー本体711の底面(前記扱胴軸210を基準にして径方向内方を向く面)との間に、隙間765が生じ得る。
【0107】
前記扱胴600による刈取穀稈に対する脱穀処理に際し前記隙間765に刈取穀稈が挟まると、前記扱胴600の伝動構造に負荷が掛かると共に、脱穀効率が悪化する虞がある。
【0108】
この点に関し、本実施の形態においては、図7図11に示すように、前記遮蔽板650の外表面には、前記隙間765のうち前記扱胴軸210の軸線方向に関し隣接する取付ブラケット715の間に位置する部分を、前記扱胴軸210の回転方向に関し下流側から覆う閉鎖板670が設けられており、前記閉鎖板670によって前記隙間765に刈取穀稈が挟まることを有効に防止乃至は低減している。
【0109】
また、本実施の形態に係る前記扱胴600は下記構成を備えることによって、前記扱胴軸210の周方向及び径方向に関し前記扱歯フレーム700の取付位置が調整可能となっている。
【0110】
即ち、図7図9等に示すように、前記遮蔽板650は、横断面視において径方向外方へ突出する複数の凸状部660を有するように形成されている。
前記複数の凸状部66は、前記扱歯フレーム700と同数だけ設けられており、前記扱胴軸210の軸線回りに等間隔に配置されている。
本実施の形態においては、前記扱胴600には、6本の前記扱歯フレーム700が設けられている。従って、前記遮蔽板650は、前記扱胴軸210の軸線回りに6個の前記凸状部660を有している。
【0111】
図13に、図8におけるXIII部拡大図を示す。
図13に示すように、本実施の形態においては、前記取付ブラケット715の前記一対の取付片716は、前記バー本体711を前記凸状部660の径方向外方に位置させた状態で前記凸状部660の一方側及び他方側の側面に沿うように形成されている。
【0112】
そして、図13に示すように、前記取付片716に形成された前記貫通孔717は、長手方向が前記扱胴軸210の周方向に沿った長孔とされている。
【0113】
かかる構成によれば、前記扱歯フレーム700の取付位置を、図13に示す基準取付位置より前記扱胴軸210の回転方向上流側且つ径方向外方側に変位させること(図14参照)、及び、基準取付位置より前記扱胴軸210の回転方向下流側及び径方向外方側に変位させること(図15参照)ができる。
なお、図14及び図15における符号725は、前記扱歯フレーム700の取付位置を基準取付位置から変位させたことにより生じる隙間を埋める為のスペーサである。
【0114】
図5等に示すように、本実施の形態に係る扱胴600においては、前記遮蔽板650及び前記扱歯フレーム700によって形成される扱ぎ部600Bに加えて、前記扱ぎ部600Bよりも前方に、前記扱胴軸210の回転に伴って刈取穀稈を前記扱ぎ部600Bへ向けて搬送する掻込部600Aが設けられている。
【0115】
前記掻込部600Aは、前記扱胴軸210の回転に応じて刈取穀稈を前記扱ぎ部600Bへ向けて搬送する複数の螺旋羽根760であって、前記扱胴軸210の軸線回りに等間隔に配置された複数の螺旋羽根760を有している。
本実施の形態においては、図5図11等に示すように、前記掻込部600Aは、前記扱胴軸210に相対回転不能に支持され且つ後端面において前記前側プレート620に締結部材を介して連結される切頭円錐状のドラム体750を備えており、前記複数の螺旋羽根760は前記ドラム体750の外周面に設けられている。
【0116】
ところで、複数の扱歯フレーム700が前記扱胴軸210の軸線回りに配置されている扱胴600においては、前記扱歯730による刈取穀稈への打撃効率を向上させる為に、前記扱胴軸210の周方向に隣接する扱歯フレーム700の扱歯同士が前記扱胴軸210の軸線方向に関し位置ズレされることが望ましい。
【0117】
さらに、本実施の形態におけるように、刈取穀稈に対して打撃による脱穀処理を行う前記扱歯フレーム700の前方に、刈取穀稈を前記扱歯フレーム700へ向けて搬送する螺旋羽根760が設けられている扱胴600においては、前記扱歯フレーム700を含む扱ぎ部600Bでの刈取穀稈の搬送速度が前記螺旋羽根760を含む前記掻込部600Aでの刈取穀稈の搬送速度よりも遅くなる為に、前記掻込部600A及び前記扱ぎ部600Bの間の境界近傍において刈取穀稈の滞留が生じ易くなる。
脱穀効率の向上を図る為には、この刈取穀稈の滞留も可及的に防止することが望ましい。
【0118】
この二つの要望に応える為に、本実施の形態に係る前記扱胴600は下記構成を備えている。
図16に、前記扱胴600の模式展開図を示す。
【0119】
本実施の形態においては、2枚の前記螺旋羽根760が前記扱胴軸210の軸線回りに等間隔(180度間隔)に設けられ、6本の前記扱歯フレーム700が前記扱胴軸210の軸線回りに等間隔(60度間隔)に設けられている。
【0120】
図16に示すように、前記6本の扱歯フレーム700は、前端部から最前方の扱歯730Fの中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯730間のピッチがPとされた第1配列の第1及び第2の2本の扱歯フレーム700(1)と、前端部から最前方の扱歯730Fの中心までの距離がL+(P/3)とされ且つ隣接する扱歯730間のピッチがPとされた第2配列の第1及び第2の2本の扱歯フレーム700(2)と、前端部から最前方の扱歯730Fの中心までの距離がL+(2P/3)とされ且つ隣接する扱歯730間のピッチがPとされた第3配列の第1及び第2の2本の扱歯フレーム700(3)とを含んでいる。
なお、本実施の形態においては、LはP/3とされている。
【0121】
そして、前記第3配列の第1扱歯フレーム700(3)が前記扱胴軸210の軸線を基準とした周方向位置に関し一方の螺旋羽根(第1螺旋羽根760(1))の後端部に最も近接するように配置され、前記扱胴軸210の回転方向R下流側へ順に、前記第1及び第2配列の一方(本実施の形態においては第2配列の扱歯フレーム700(2))の第1扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の他方(本実施の形態においては第1配列の扱歯フレーム700(1))の第1扱歯フレーム、前記第3配列の第2扱歯フレーム、前記第1及び第2配列の一方の第2扱歯フレーム、並びに、前記第1及び第2配列の他方の第2扱歯フレームが配置されている。
【0122】
斯かる構成によれば、前記扱胴軸210の周方向に隣接する扱歯フレーム700の扱歯730を前記扱胴軸210の軸線方向に関し位置ズレさせつつ、前端部から最前方の扱歯730Fまでの距離が最も大きい第3配列の第1扱歯フレーム700(3)が前記第1螺旋羽根760(1)の後端に近接配置され且つ前記第3配列の第2扱歯フレーム700(3)が他方の螺旋羽根(第2螺旋羽根760(2))の後端に近接配置されることになる。
【0123】
従って、前記複数の扱歯フレーム700による刈取穀稈に対する脱穀処理効率を向上させつつ、前記螺旋羽根760の後端と前記扱歯フレーム700の前端との境界近傍において刈取穀稈が滞留することを有効に防止することができる。
【0124】
好ましくは、図16に示すように、前記第3配列の第1扱歯フレーム700(1)は、前記扱胴軸210の軸線を基準とした周方向位置に関し前記第1螺旋羽根760(1)の後端部より前記扱胴軸210の回転方向下流側に配置される。
【0125】
斯かる構成によれば、前記第1螺旋羽根760(1)の後端とこれに近接される第3配列の第1扱歯フレーム700(3)における最も前方の扱歯730Fとの間の空間を広げ、同様に、前記第2螺旋羽根760(2)の後端とこれに近接される第3配列の第2扱歯フレーム700(3)における最も前方の扱歯730Fとの間の空間を広げることができる。
【0126】
本実施の形態においては、図16に示すように、前記第1配列の扱歯フレーム700(1)は、後端部から最後方の扱歯730Rの中心までの距離がL+(2P/3)とされ、前記第3配列の扱歯フレーム700(3)は、後端部から最後方の扱歯730Rの中心までの距離がLとされている。
【0127】
斯かる構成によれば、前記第1配列の扱歯フレーム700(1)及び前記第3配列の扱歯フレーム700(3)を共に、一端部から当該一端部に最も近接する扱歯までの距離がLで且つ他端部から当該他端部に最も近接する扱歯までの距離がL+(2P/3)とされた共通扱歯フレーム700Cによって形成することができる。
【0128】
即ち、前記共通扱歯フレーム700Cの前記一端部が前端部を形成するように配置することで前記第1配列の扱歯フレーム700(1)として利用し、前記共通扱歯フレーム700Cの前記他端部が前端部を形成するように配置することで前記第3配列の扱歯フレーム700(3)として利用することができる。
【0129】
斯かる構成によれば、2種類の扱歯フレーム(即ち、前記共通扱歯フレーム700Cと前記第2配列の扱歯フレーム700(2)として利用される扱歯フレーム)によって3種類の扱歯ピッチを得ることができる。
【0130】
特に、脱穀処理に際しては、扱歯フレーム700における複数の扱歯730のうち前方に位置する扱歯の摩耗が大きくなる。
従って、前記共通扱歯フレーム700Cの一端部が前端部を形成するように配置させることで前記第1配列の扱歯フレーム700(1)として所定脱穀作業時間だけ利用した後に、当該共通扱歯フレーム700Cの前後を入れ替えて前記第3配列の扱歯フレーム700(3)として利用すること、並びに、前記共通扱歯フレーム700Cの他端部が前端部を形成するように配置させることで前記第3配列の扱歯フレーム700(3)として所定脱穀作業時間だけ利用した後に、当該共通扱歯フレーム700Cの前後を入れ替えて前記第1配列の扱歯フレーム700(1)として利用することで、扱歯を無駄なく有効利用することができる。
【0131】
また、本実施の形態においては、図16に示すように、前記第2配列の扱歯フレーム700(2)は、一端部から当該一端部に最も近接する扱歯までの距離及び他端部から当該他端部に最も近接する扱歯までの距離が共にL+(P/3)とされている。
【0132】
斯かる構成によれば、前記第2配列の扱歯フレーム700(2)を形成する扱歯フレームの前後を入れ替えた後においても、当該扱歯フレームを前記第2配列の扱歯フレーム700(2)として利用することができる。
【0133】
従って、前記第2配列の扱歯フレーム700(2)を形成する扱歯フレームを一端部が前端部を形成するように配置させた状態で脱穀作業を所定時間行った後に、前記扱歯フレームを前後逆転配置させて脱穀作業を行うことにより、前記第2配列の扱歯フレーム700(2)を形成する扱歯フレームの複数の扱歯を無駄なく有効利用することができる。
【0134】
なお、本実施の形態に係る前記扱胴600は、2枚の前記螺旋羽根760と、6本の前記扱歯フレーム700とを有しているが、本発明は斯かる形態に限定されるものでは無い。
【0135】
即ち、前記扱胴軸210の軸線回りに等間隔に配置されたm枚(mは2以上の整数)の螺旋羽根760と、前記扱胴軸210の軸線回りに等間隔に配置されたm×n本(nは2の倍数)の扱歯フレーム700とを備えた扱胴(以下、第1構成の扱胴という)においては、下記構成を採用することで、前記扱胴軸210の周方向に隣接する扱歯フレーム700の扱歯を前記扱胴軸210の軸線方向に関し位置ズレさせつつ、前記螺旋羽根760の後端と前記扱歯フレーム700の前端との境界近傍において刈取穀稈が滞留することを有効に防止することができる。
【0136】
なお、前記第1構成の扱胴には、前記螺旋羽根760が2枚で且つ前記扱歯フレーム700が4本の扱胴、前記螺旋羽根760が2枚で且つ前記扱歯フレーム700が8本の扱胴、及び、前記螺旋羽根760が3枚で且つ前記扱歯フレーム700が6本の扱胴が該当する。
【0137】
前記m×n本の扱歯フレーム700は、前端部から最前方の扱歯730Fの中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯730間のピッチがP(Pは正数)とされた第1配列の扱歯フレーム700(1)と、前端部から最前方の扱歯730Fの中心までの距離がL+(P/2)とされ且つ隣接する扱歯730間のピッチがPとされた第2配列の扱歯フレーム700(2)とを含むものとされる。
【0138】
その上で、前記第2配列の一の扱歯フレーム700(2)が前記扱胴軸210の軸線を基準とした周方向位置に関し前記m枚の螺旋羽根760のうちの一の螺旋羽根760の後端部に最も近接配置された状態で、前記第1及び第2配列の扱歯フレーム700(1)、700(2)が前記扱胴軸210の軸線回りに交互に配置される。
【0139】
斯かる構成によれば、前記第1構成の扱胴において、扱歯による刈取穀稈に対する打撃を効率良く行いつつ、掻込部及び扱ぎ部の間の境界部分に刈取穀稈が滞留することを有効に防止することができる。
【0140】
これに対し、前記扱胴軸210の軸線回りに等間隔に配置されたm枚(mは2以上の整数)の螺旋羽根760と、前記扱胴軸の軸線回りに等間隔に配置されたm×n本(nは3の倍数)の扱歯フレーム700とを備えた扱胴(以下、第2構成の扱胴という)においては、下記構成を備えることができる。
【0141】
前記m×n本の扱歯フレーム700は、前端部から最前方の扱歯730Fの中心までの距離がLとされ且つ隣接する扱歯730間のピッチがP(Pは正数)とされた第1配列の扱歯フレーム700(1)と、前端部から最前方の扱歯730Fの中心までの距離がL+(P/3)とされ且つ隣接する扱歯730間のピッチがPとされた第2配列の扱歯フレーム700(2)と、前端部から最前方の扱歯730Fの中心までの距離がL+(2P/3)とされ且つ隣接する扱歯730間のピッチがPとされた第3配列の扱歯フレーム700(3)とを含むものとされる。
【0142】
その上で、前記第3配列の一の扱歯フレーム700(3)が前記扱胴軸210の軸線を基準とした周方向位置に関し前記m枚の螺旋羽根760のうちの一の螺旋羽根760の後端部に最も近接配置され、さらに、当該第2配列の扱歯フレーム700(3)から前記扱胴軸210の回転方向下流側へ順に、前記第1及び第2配列の一方の扱歯フレーム、並びに、前記第1及び第2配列の他方の扱歯フレームが配置される。
【0143】
斯かる構成によれば、前記複数の螺旋羽根の760の後端には必ず前記第3配列の扱歯フレーム700(3)が近接配置されることになる。
従って、前記第2構成の扱胴において、扱歯による刈取穀稈に対する打撃を効率良く行いつつ、掻込部及び扱ぎ部の間の境界部分に刈取穀稈が滞留することを有効に防止することができる。
【0144】
なお、当然ながら、扱歯による刈取穀稈に対する打撃を効率良く行いつつ、掻込部及び扱ぎ部の間の境界部分に刈取穀稈が滞留することを有効に防止する為の前記構成は、前記遮蔽板650を有さない構造の扱胴にも適用可能である。
【0145】
即ち、前記扱ぎ部が、扱胴軸に固着された前側プレート及び後側プレートと、前記扱胴軸の軸線回りに配置され且つ扱胴軸と共に軸線回りに回転するように前記前側プレート及び前記後側プレートに支持された複数の扱歯フレームとを有し、前記扱ぎ部の内部空間が外部に連通状態とされている構造においても、扱歯による刈取穀稈に対する打撃を効率良く行いつつ、掻込部及び扱ぎ部の間の境界部分に刈取穀稈が滞留することを有効に防止する為の前記構成を有効に適用することができる。
【符号の説明】
【0146】
210 扱胴軸
600 扱胴
600A 掻込部
600B 扱ぎ部
700(1) 第1配列の扱歯フレーム
700(2) 第2配列の扱歯フレーム
700(3) 第3配列の扱歯フレーム
730 扱歯
760(1) 第1螺旋羽根
760(2) 第2螺旋羽根
【要約】
【課題】扱歯フレームの扱歯による打撃効率を向上させつつ、螺旋羽根と扱胴フレームとの境界近傍における刈取穀稈の滞留を防止乃至は低減させ得る扱胴を提供する。
【解決手段】m×n本(mは2以上の整数、nは3の倍数)の扱歯フレームは、扱歯間のピッチがP(Pは正数)とされており、前端部から最前方の扱歯の中心までの距離がそれぞれL、L+(P/3)及びL+(2P/3)とされた第1配列、第2配列及び第3配列の扱歯フレームを含む。第3配列のうちの一の扱歯フレームが扱胴軸の軸線を基準とした周方向位置に関しm枚の螺旋羽根のうちの一の螺旋羽根の後端部に最も近接配置され、扱胴軸の回転方向下流側へ順に、第3配列の扱歯フレーム、第1及び第2配列の一方の扱歯フレーム、並びに、第1及び第2配列の他方の扱歯フレームが配置されている。
【選択図】図16
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16