【文献】
WELDON J A,“A 1.75−GHz Highly Integrated Narrow−Band CMOS Transmitter with Harmonic−Rejection Mixers”,IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS,米国,IEEE SERVICE CENTER,2001年12月,V36 N12,P2003−2015
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
開示する実施形態での特徴、目的、および効果は、以下の詳細な説明および関連する図面により、一層明解になるであろう。
【0015】
本明細書において、高調波除去混合器および受信機のアーキテクチャーについて説明するが、受信機のアーキテクチャーは、直接のダウンコンバージョンまたは低域IF(Intermediate Frequency)受信機の効率良い実施を可能にするために、高調波除去混合器を利用する。受信機デザインの最新アプローチは、受信機のフロントエンド内にスイッチング型混合器を採用することが可能である。この最新アプローチは、システムに低ノイズで、高い線形性を実現することを可能にする。しかしながら、このスイッチング型混合器も、また、ローカル発信器の数倍の周波数帯域幅にある要求外の高調波入力信号を、要求の出力周波数帯域幅に効率的にダウンコンバートする。要求外入力信号の周波数変換は、特にテレビジョン応用において重要となる問題を引き起こす。また、テレビジョン応用において、必要な入力信号の帯域幅が非常に広いため、要求外の高調波が存在する可能性が高い。受信機アーキテクチャー、および高調波抑制混合器を採用して高調波の多い入力信号を処理する方法について、以下に説明する。説明する受信機、混合器および方法は、受信機に対してスイッチング型混合器の利点を実現させると同時に、要求外の高調波に対する混合器のレスポンスを大幅に低減させることができる。
【0016】
図1は、一実施形態である受信機100の簡単な機能ブロック図であり、この受信機は、システム10において高調波除去の信号処理を実施する。以下の記述は、システム10がテレビジョン受信機として機能するように構成された一実施形態について説明する。しかし、システム10は、複数システムのいずれかに構成することも可能である。例えば、システム10は、テレビジョン、テレビジョン受信機、セットトップボックス、または、ビデオレコーダもしくは他のいくつかのテレビジョン受信機と一体化したテレビジョンチューナーでも構成が可能である。別の実施形態において、システム10は、ラジオ受信機、無線トランシーバ、電話受信機、携帯電話、無線電話、または他の通信装置でも構成が可能である。
【0017】
システム10は、情報源スイッチ12を含み、このスイッチは、1つ以上の信号源に連結することができる。例えば、第1の情報源入力は、アンテナ2に連結することができ、第2の情報源入力は、ケーブルテレビジョンの配給元に連結するケーブルのような、有線の情報源に連結することができる。情報源スイッチ12は、受信機100の1つのタイプの信号だけに連結することに限定されない。例えば、情報源スイッチ12は、アンテナ2を介してテレビジョン信号源に連結することができ、ケーブル4を介して、ラジオ放送源と連結することもできる。
【0018】
情報源スイッチ12は、いずれかの信号源からの信号を受信機100の入力部に連結する構成が可能である。受信機100は、例えば、任意の信号源から受信したテレビジョン信号を選択して処理する構成が可能である。任意の信号源には、アナログ用テレビジョン信号が相当し、NTSC、PAL、SECAM、および他の標準規格のようなアナログ用テレビジョン規格に沿ってフォーマット化された信号が該当する。また、受信機100は、デジタル用テレビジョン信号を処理するように構成することもでき、受信する信号源の1つのとしては、デジタルDVB−Tのテレビジョン信号が該当する。
【0019】
受信機100は、情報源スイッチ12からのRF信号を受信することができ、受信信号をIF出力にダウンコンバートすることができる。受信機100からのIF出力は、復調器50に連結することができ、復調器50からベースバンドプロセッサ60に連結することができる。一実施形態において、復調器50は、所定のIFでテレビジョン信号を復調する構成が可能である。復調されたテレビジョン信号は、ベースバンドプロセッサ60に伝達され、このベースバンドプロセッサは、例えば、対応するビデオおよびオーディオ用出力装置(未表示)のために、受信信号をフォーマット処理する構成が可能である。
【0020】
また、システム10は、モード選択モジュール20を含むことができ、この選択モジュールは、外部情報源(未表示)からのモード選択入力を受信する構成が可能である。この外部情報源とは、例えばユーザからの選択または制御にすることができる。上記モード選択は、受信機100の処理モードに対応することができ、特定の処理帯域幅、チャネル空間、チャネル帯域幅、およびIF周波数の出力を決定するのに使用することができる。
【0021】
モード選択モジュール20は、チャネル選択モジュール30に連結することができる。チャネル選択モジュール30は、モード選択モジュール20に連結することができ、また必要なローカル発振器(LO)制御信号を生成する構成が可能である。チャネル選択モジュール30は、受信機100が、要求RF信号受信および要求IF出力生成を可能にするために必要なLO周波数を、調整するのに必須な制御信号を生成することができる。また、チャネル選択モジュール30は、外部情報源(未表示)からの1つ以上の入力信号を受信することができる。この外部情報源とは、ユーザインターフェイスまたは、要求チャネル選択を示すことができるいくつかの他のモジュールもしくは装置を意味する。
【0022】
チャネル選択モジュール30は、受信機100内のRFおよびIFのLOを独自に制御することができる。例えば、チャネル選択モジュール30は、モード選択と要求チャネル選択の両方をベースにした周波数に、RFのLOを調整することができる。また、チャネル選択モジュール30は、IFのLOの周波数を制御するように構成することができ、必要なモードだけをベースとしてIFのLOの周波数を制御する構成が可能である。他の実施形態において、チャネル選択モジュール30は、各チャネルのためにRFおよびLOの両方の周波数を調整する構成が可能である。
【0023】
また、チャネル選択モジュール30は、受信機100の較正を制御する構成が可能である。この較正内容には、DCオフセットの較正処理、および同相(I:In-phase)信号と直交(Q:Quadrature)信号との平衡化処理を含むことができる。例えば、チャネル選択モジュール30は、受信機100内のRFスイッチを制御することができ、かつ、DCオフセット較正の初期化をすることができる。別の実施形態において、受信機100内の較正モジュールは、チャネル選択信号およびフィルタ制御信号を受信することができ、DCオフセット較正の初期化をすることができる。また、上記モジュールは、DCオフセット較正をする間に、RFスイッチおよびフィルタ帯域幅を制御することもできる。
【0024】
フィルタ制御器40もまた、モード選択モジュール20に連結することができる。フィルタ制御器40は、内部で1つ以上のフィルタ帯域幅を制御する受信機100に、制御信号を供給する構成が可能である。フィルタ制御器40は、受信機100内で要求するチャネル選択に基づき、フィルタ帯域幅を設定する構成が可能である。受信機100は、処理モードに基づき選択を決定することができる。
【0025】
フィルタ制御器40は、またチャネル選択モジュール30と相互通信することができる。各チャネルの変化に追従する所定の較正期間の間、フィルタ制御器40は、受信機100内のフィルタを、所定の帯域幅になるように制御する構成が可能である。例えば、フィルタ制御器40は、DCオフセット較正期間の間、フィルタを最小の帯域幅に調整する構成が可能である。代案として、受信機100内の較正モジュールは、較正期間中、フィルタの帯域幅を制御する構成も可能である。
【0026】
プロセッサ72および付随するメモリ74は、システム10に含むことができ、各モジュール内の1つ以上の機能を実行する構成が可能である。例えば、メモリ74は、ソフトウェアの形で命令を使用することができるプロセッサ72を、1つ以上含むことができる。上記ソフトウェアは、プロセッサ72によって実行されるとき、システム10内の種々のモジュールの機能をいくつかまたは全てを実行することができる。
【0027】
図2は、受信機100の実施形態を簡単化した機能ブロック図である。この受信機は、1つ以上の集積回路(IC)から構成される1つ以上の回路基板上に実装可能である。いくつかの実施形態において、受信機全体を、単一のIC内に集積することは有利である。別の実施形態において、受信機100の一部を、第1のICまたは第1の回路基板に集積し、受信機100の残りを、第2のICまたは第2の回路基板に集積することが、有利になる可能性がある。第1および第2の回路基板を、単一のパッケージ内に実装、または異なるパッケージに実装することが可能である。例えば、受信機内100の信号経路は、第1の回路基板に実装し、1つ以上のローカルな発信回路は、第2の回路基板に実装する。両方の回路基板を、1つ以上の相互接続部を介して連結することで完成することができる。
【0028】
図2に示す信号の相互接続は、シングルエンドの信号接続で示しているが、一般に相互接続のいくつかまたは全ては、差動接続でも実施可能と理解される。差動による相互接続を実施することは有利であり、例えば、ノイズ除去の目的で実施される。
【0029】
受信機100の部分は、デジタルで実行することができ、信号のデジタル表示により処理する構成が可能である。種々のブロックおよびモジュールの機能について焦点を置いて説明するため、受信機100内のデジタル信号処理および受信機100が有するデジタル部分の具体的実施形態については、詳細な図示をしていない。
【0030】
受信機100は、高調波除去機能を有効に実行する構成が可能である。受信機100が、テレビジョン受信機応用のような、広帯域な入力信号帯域幅の信号を処理するように構成されているとき、入力信号の周波数帯域幅は、数オクターブのスパンを有することがある。このとき、入力信号の周波数帯域幅は、要求入力信号内における高調波として、潜在的に多数の信号を有する可能性がある。要求入力信号内における高調波の1つ以上の信号は、実質的な信号強度を有する可能性があり、要求入力信号より強い可能性さえある。
【0031】
要求入力信号内における高調波の信号は、妨害信号として出現する可能性がある。特定の高調波の周波数は、特別面倒な妨害信号になる可能性がある。何故なら、これらの高調波の周波数が、要求入力信号と同一の周波数に、周波数変換される可能性があるからである。本明細書で公開する受信機のアーキテクチャーと高調波除去混合器は、要求入力信号内における高調波入力信号の妨害効果を実質的に低減するのに使用することができる。
【0032】
受信機100は、RF増幅器102を含むことができ、この増幅器は、受信機100に入力される信号を受信し、そして受信した信号を増幅する。RF増幅器102は、例えば、アンテナとの相互接続または有線接続から、信号を受信する構成が可能である。なお、有線接続には、シングルエンド線路、差動式線路、ツイスト・ペア線、同軸ケーブル、伝送ライン、導波管、光ファイバーを介する光信号を受信するように構成された光受信機、および同等品、または他の信号媒体が該当する。
【0033】
RF増幅器102は、アプリケーションに対応して、いくつかの異なった実施形態または実施形態の組合せのいずれによっても構成が可能である。一実施形態において、RF増幅器102は、低ノイズ増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)にすることができる。別の実施形態において、RF増幅器102は、可変利得増幅器にすることができ、RF増幅器の利得は、受信機100への1つ以上の制御ライン(未表示)によって選択することができる。RF増幅器102が可変利得増幅器の実施形態において、RF増幅器の利得は、自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)ループ(未表示)のような、利得制御ループの一部とすることができる。RF増幅器102は、単一段の増幅器として構成することもでき、または複数段の増幅器を含むことも可能である。複数段の増幅器で使用するとき、増幅器の段構成は、直列、並列、または直並列構成の組合せを含むことができる。
【0034】
RF増幅器102の出力は、フィルタ104に連結することができ、このフィルタは、プログラム可能な高調波除去フィルタとして構成が可能である。フィルタ104は、例えば、帯域幅がプログラム可能なローパス・フィルタとして構成することが可能で、要求外の高調波の周波数成分を低減するためのカットオフ周波数を有する。以下で説明するように、高調波除去の周波数変換ステージでの使用は、フィルタ104における制限を実質的に緩和させることができる。
【0035】
フィルタ104の出力は、
図2に第1の混合器112および第2の混合器114として示す第1および第2の周波数変換モジュールの入力に連結することができる。これらの周波数変換モジュールは、第1の混合器112および第2の混合器114のように混合器として
図2に示しているが、高調波除去機能を有する周波数変換装置のいかなるタイプにもすることができる。例えば、第1および第2の混合器112、114は、二重平衡型混合器、二重直交混合器、干渉計、または入力信号の高調波を除去するために構成された周波数変換装置のいくつかの別のタイプにすることができる。
【0036】
第1および第2の混合器112、114は、同相(I)および直交(Q)の周波数変換信号成分を生成する構成が可能である。説明の目的のために、第1の混合器112は、同相信号経路の部分として記載し、第2の混合器114は、直交信号経路の部分として記載する。
【0037】
RF用LO120は、受信したRF信号をベースバンド信号または低域の中間周波数(IF:Intermediate Frequency)信号に周波数変換するように、ローカル発振器の信号を生成する構成が可能である。ここで使用するように、ベースバンド信号の用語は、ベースバンド信号そのもの、または同様に実質的にベースバンド信号となる信号を意味する。任意の信号をダウンコンバートする周波数変換処理が不完全なとき、例えば、LOのオフセット・エラー、または送信機もしくは受信機での相違に起因するとき、この任意の信号は、実質的なベースバンド信号となる。そして、RF信号におけるエラーまたは相違は、規定の周波数処理に関連する。例えば、RF信号は、送信機側のLO周波数シフトまたはドプラーシフトに起因して、規定の処理チャネルから相違する可能性がある。一般的に、エラーまたは相違は、ベースバンド信号の帯域幅におけるほんの一部である。
【0038】
低域IF信号は、ベースバンド信号の帯域幅の2倍以下のIF周波数を参照することができる。しかし、別の実施形態において、低域IF信号は、ベースバンド信号の帯域幅の1.5倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、または他のいくつかの倍数の周波数信号を参照することができる。一般的に、低域IF信号は、周波数変換を追加することなく信号処理することを可能にするため、充分低い周波数での信号を参照することがある。
【0039】
受信機100は、別の処理モードで低域IF信号に変換する間に、いくつかの処理モードでベースバンドに直接変換を使用して処理する構成が可能である。例えば、受信機100は、アナログのTVアプリケーションのために低域IFモードで、デジタルのTVアプリケーションのために実質的に零IFモードで、処理することができる。分離処理モードのために異なる周波数変換モードを使用することは、受信機100のアーキテクチャーを信号特性にあわせて最適化することができるので、有利になることがある。
【0040】
NTSCまたはPALのようなアナログテレビジョンの標準規格は、このローパス・フィルタ特性においてチャネル選択および画像除去の機能を必要としないが、零IFの実施に一般的に含まれるDCオフセットに影響を受けやすい。このことは、アナログテレビジョン受信機100を、低域IF実施に一層適したものにする。低域IF実施は、乏しいチャネル選択性に悩まされるが、零IFに付随するDCオフセット問題を実質的に低減することができる。
【0041】
デジタルTV(例えば、DVB−T)は、一層多いチャネル選択を必要とするが、零IFのアーキテクチャーが導入できるDCオフセットに対して影響がより小さくなる。このことは、デジタルTVを、零IFのアプローチに適したものにし、零IFのアプローチは、より良いチャネル選択性および画像除去の無制限を実現するが、信号にいくつかのDCオフセットを生じる可能性がある。
【0042】
RFのLO120の周波数は、プログラム可能であり、この周波数は、要求信号の周波数の一部において基づきプログラムすることができる。直接変換による周波数変換において、RFのLO120の周波数出力は、実質的に入力信号の両側波帯の中央周波数に等しくすることができる。別の実施形態において、RFのLO120は、要求入力周波数の多様な周波数に調整することができ、かつ、要求のLO周波数に分割する周波数に調整することができる。
【0043】
RFのLO120の出力は、第1の移相器122に連結することができ、この移相器は、少なくとも2つの異なるバージョンのLO信号を生成するように構成される。なお、この2つの異なるバージョンは、実質的に互いに直交するものである。直交するLO信号の不正確は、再生する信号における要求外の信号成分に影響を与えるので、正確な直交するLO信号を生成することが望ましい。一実施形態において、第1の移相器122は、位相シフトした信号経路と直接の信号経路とを含むことができ、ここで、位相シフトした信号経路は、直接の信号経路の信号と比較して、実質的に90度シフトした信号を結果として生成する。別の実施形態において、第1の移相器122は、多相フィルタを含むことができ、この多相フィルタは、2つのLO信号を互いに直交するように生成するように構成される。
【0044】
同相のLO信号は、同相用LOバッファ増幅器116と連結することができ、このバッファ増幅器は、同相のLO信号を増幅し、増幅した信号を、第1の混合器112のLO入力用ポートに連結する。同様に、直交するLO信号は、直交用LOバッファ増幅器118と連結することができ、このバッファ増幅器は、直交のLO信号を増幅し、増幅した信号を、第2の混合器114のLO入力用ポートに連結する。
【0045】
第1の混合器112の出力は、同相用フィルタ132に連結する同相のベースバンド信号とすることができる。同相用フィルタ132は、プログラム可能なフィルタにすることができ、フィルタでの帯域幅は、受信機100に供給される1つ以上の制御信号(未表示)に基づき選択することができる。同相用フィルタ132の帯域幅は、選択することができ、例えば、通信標準規格または受信機100が支援するように構成されたモードに基づき選択することができる。従って、受信機100が、種々のチャネル帯域幅を有する複数の標準規格を支援するように構成されているとき、同相用フィルタ132の帯域幅は、この時点で支援するモードに基づき、選択することができる。
【0046】
入力される信号が、ベースバンド信号または低域IF信号のとき、同相用フィルタ132は、ローパス・フィルタとして構成が可能である。代替として、低域IF信号が、ローパス・フィルタの使用を必要としない充分な帯域幅を有するとき、同相用フィルタ132は、バンドパス・フィルタとして構成が可能である。
【0047】
同相用フィルタ132の出力は、第3の混合器152に連結することができ、この混合器は、同相信号を必要なIF出力に周波数変換するように構成される。一実施形態において、同相用フィルタ132の出力は、ベースバンド信号であり、第3の混合器は、同相のベースバンド信号をIF出力にアップ・コンバートするように構成される。
【0048】
第3の混合器152は、プログラム可能なLOによって駆動することができ、このLOは、第1および第2の混合器112、114のためにLOを生成したときに使用したと全く同一の方法で生成される。IFのLO140は、受信機100によって支援されるモードの一部において基づき、IF出力が選択できるように、プログラムすることができる。例えば、受信機100は、入力信号を所定のIF信号に周波数変換する構成が可能である。この所定のIF信号は、受信機100を有するシステムにおいて、ユーザが設定する方法に任すことができる。例えば、テレビジョン信号用セットトップボックスは、所定のIFで出力信号を生成するように構成可能であり、この所定のIF信号は、例えば70MHzすなわちテレビジョン・チャンネルに対応する周波数である。
【0049】
IFのLO140の出力は、第2の移相器142に連結することができ、この移相器は、実質的に直交するLO信号を生成するように構成される。第2の移相器142からの同相LO出力は、同相用バッファ増幅器156に連結することができ、この増幅器は、同相LO信号を増幅し、増幅した信号を第3の混合器152のLO入力に連結させる。第3の混合器152の出力は、同相のIF信号であり、このIF信号は、信号結合器160の第1の入力に連結する。
【0050】
直交信号の経路も、同相信号の経路と実質的に同一に構成される。一般的に、2つの信号経路は、IおよびQの不整合で発生の可能性がある要求外の信号成分を低減するために、実質的に一致させる。
【0051】
第2の混合器114の出力は、ベースバンドの直交信号にすることができ、この直交信号は、直交用フィルタ134の入力に連結する。直交用フィルタ134は、プログラム可能な帯域幅を有するプログラム可能なローパス・フィルタとして構成が可能である。一般的に、同相用フィルタ132および直交用フィルタ134の配置と帯域幅とは、同一なので、同相分と直交分との信号経路は、実質的に一致した状態を維持する。
【0052】
直交用フィルタ134の出力は、第4の混合器154の入力に連結することができ、この混合器は、直交信号をIF出力にアップ・コンバートするように構成される。第4の混合器154は、IFのLO140によって生成されるLO信号によって駆動される。IFのLO140の出力は、第2の移相器142に連結し、この移相器は、直交するLO信号を生成する。直交するLO信号は、直交用バッファ増幅器158に連結し、この増幅器は、直交LO信号を増幅し、増幅した信号を第4の混合器154のLO入力に連結させる。
第4の混合器152の出力は、直交するIF信号にすることができる。直交するIF信号は、信号結合器160の第2の入力に連結することができる。
【0053】
信号結合器160は、同相のIF信号と直交のIF信号とを結合する構成が可能である。信号結合器160は、例えば、直交IF信号と共に同相IF信号を合計する信号加算器にすることができる。一実施形態において、信号結合器160は、信号の位相が維持されている間に、2つの信号を合計する。別の実施形態において、信号結合器160は、位相の1つを反転させ、そして2つの信号を合計する。さらに別の実施形態において、信号結合器160は、2つの信号の合計を生成し、この出力信号を反転させることができる。
【0054】
信号結合器160の出力は、IF信号の出力を表す。IF信号の出力は、出力用フィルタ170に連結することができ、このフィルタは、例えば、IF出力信号から要求外の信号結果を除去するために構成される、ローパス・フィルタまたはバンドパス・フィルタにすることができる。出力用フィルタ170は、固定の帯域幅フィルタまたはプログラム可能な帯域幅フィルタとして構成が可能である。なお、プログラム可能な帯域幅フィルタにおいて、帯域幅は、一部において受信機100のモードに基づき決定される。
【0055】
出力用フィルタ170の出力は、IF用増幅器172に連結することができ、この増幅器は、上記出力を増幅する構成が可能である。IF用増幅器172は、利得可変増幅器にすることができる。IF用増幅器172の利得は、受信機100の1つ以上の制御入力(未表示)を使用することで、制御することができる。IF用増幅器172の出力は、受信機100の出力にすることができる。
【0056】
受信機100全体を、単一の集積回路上に搭載することは有利である。この理由は、同相信号部分および直交信号部分を作成するときに使用するプロセスおよび条件が、ほぼ一致するので、I信号経路部およびQ信号経路部は、ほぼ一致した結果が得られる。加えて、単一ICに部品を搭載することは、経路長を最短にし、不整合の原因となる変動分を最小にする利点がある。また、単一のIC実装は、一層小さな受信機100のパッケージを得ることができる。
【0057】
図3は、高調波除去受信機のフロントエンド300の簡単化した機能ブロック図であり、このフロントエンド部は、要求入力信号内の高調波成分によって生成される信号を実質的に減衰させる一方で、要求する信号をベースバンドまたはIF信号にダウンコンバートするように構成される。受信機のフロントエンド300は、例えば、
図1、2に示す受信機の実施形態において使用することができる。
【0058】
受信機のフロントエンド300は、アンテナ301を介して入力信号を受信するように構成される。受信機のフロントエンド300は、アンテナ301を介して入力信号を受信するように記載しているが、アンテナ301を削除する構成にして、有線のリンク(未表示)を介して入力信号を受信することも可能である。
【0059】
アンテナ301の出力は、例えば、低ノイズ用などのRF増幅器102に連結される。RF増幅器102は、実質的に全入力周波数帯域幅を増幅する構成が可能である。受信機のフロントエンド300は、テレビジョン信号処理を支援するように構成されており、複数のオクターブに及ぶ入力周波数帯域幅を支援する必要がある。
【0060】
RF増幅器102の出力は、プログラム可能な高調波除去フィルタ140に連結され、このフィルタ140は、帯域幅がプログラム可能なローパス・フィルタとして構成が可能である。プログラム可能な高調波除去フィルタ140のカットオフ周波数は、要求入力信号の周波数の少なくとも一部において基礎となる周波数のために、制御することができる。いくつかの実施形態において、カットオフ周波数は、複数のオクターブに及ぶ広い周波数レンジにわたってプログラム可能である。
【0061】
一般的に、高調波除去は、混合器の使用前に、大量のフィルタ処理を実現するために使用される。信号帯域が、要求入力信号の搬送周波数と比較して狭いRFの応用において、高調波除去は、帯域幅選択フィルタまたはアンテナ301から派生するフロントエンド・フィルタ処理の自然の副生成物である。広い帯域幅での応用において、高調波による干渉は、重要な課題を残しており、必要な高調波抑制を実行する一方で、全帯域のチャネルを受信機が受信できるように、高調波除去用ローパス・フィルタ処理は、プログラム可能にする必要がある。プログラム可能な高調波除去フィルタ104の実施は、パワー面および実装面積で不利益を被ることになる。加えて、プログラム可能な高調波除去フィルタ104単独で入力高調波を除去するときは、効果に限界を生じる可能性があり、さらに、性能面で、信号の経路損失が生じこれに伴いノイズによる劣化を生じる可能性がある。
【0062】
図3に示す受信機のフロントエンド300の実施形態は、要求する基礎周波数より高い高調波でのレスポンスをさらに抑制するために、高調波除去用ダウンコンバータ310を使用する。高調波除去用ダウンコンバータ310は、プログラム可能な高調波除去フィルタ104に課されるフィルタへの要求を緩和することができる。すなわち、このダウンコンバータ310は、プログラム可能な高調波除去フィルタ104の実現する高調波抑制に加えて、ダウンコンバータが実施する高調波抑制によって、全体の高調波抑制機能を向上させることができる。高調波除去用ダウンコンバータ310は、高調波除去混合器を実行する二重の直交用混合器として図示する。高調波除去用ダウンコンバータ310の特定な実施は、
図6に関連してさらに詳細に説明する。
【0063】
図3に示す受信機のフロントエンド300の実施形態において、プログラム可能な高調波除去フィルタ104の出力は、高調波除去用ダウンコンバータ310の入力に連結される。高調波除去用ダウンコンバータ310は、直交する出力信号を生成するように構成される。出力信号は、要求入力信号およびLO(未表示)の周波数に基づき、ベースバンド、低域IF、またはIFにすることができる。
【0064】
同相フィルタ132は、同相信号成分をフィルタ処理するように構成し、また、直交フィルタ134は、直交信号成分をフィルタ処理するように構成することが可能である。フィルタ132、134の出力は、
図2に示すように、更なる処理のための追加ステージに連結することができる。
【0065】
図4は、高調波除去混合器400の一実施形態の機能ブロック図を簡単にしたものである。高調波除去混合器400は、入力信号における要求外高調波の除去を実現するために、例えば、
図2の受信機内または
図3の受信機のフロントエンドにて、使用することができる。
【0066】
高調波除去混合器400は、410(0)〜410(2n)の「2n+1」個のスイッチング型混合器を含む。RF入力信号は、スイッチング型混合器410(0)〜410(2n)の各々の入力に連結する。スイッチング型混合器410(0)〜410(2n)の各々は、ローカル発信器(LO)420の出力信号の位相オフセット・バージョンによって駆動される。スイッチング型混合器410(0)〜410(2n)の数は、高調波除去の実施数より多くしなければならない。スイッチング型混合器410(0)〜410(2n)の各々は、例えば、CMOSスイッチング型混合器にすることができる。
【0067】
LO420からの出力は、「2n+1」個の移相器430(0)〜430(2n)に連結される。これらの移相器は、位相が異なる複数の移相器、または複数の異なる位相出力を有する1つ以上の移相器からも構成が可能である。移相器430(0)〜430(2n)の各々は、所定の離散する位相によって、LO信号420の位相をシフトするように構成される。LO信号420は、離散ステップ(φ
n−φ
-n)で位相シフトされ、スイッチング型混合器410(0)〜410(2n)のLO入力を駆動するのに使用される。
【0068】
一実施形態において、移相器430(0)〜430(2n)は、半サイクル分を均等に分割したLO信号の「2n+1」バージョンを提供する。例えば、移相器は、LO信号の位相を、−90度〜+90度の間隔において均等に分割して供給する構成が可能である。すなわち、移相器430(0)〜430(2n)の各々は、下記の式で決定される離散する位相シフトを供給する構成が可能である。
φ
n=(n/2)×360/[2(n+1)]
【0069】
スイッチング型混合器410(0)〜410(2n)からの出力の各々は、対応する増幅器440(0)〜440(2n)に連結される。スイッチング型混合器の出力信号は、各々の利得G
n−G
-nによってスケール変換される。一実施形態において、各々の利得は、スイッチング型混合器の各々の増幅器の経路を介して、信号利得が均一になるように構成される。他の実施形態において、全増幅器の利得が、実質的に同一である。もう一つ別の実施形態において、個別利得の各々は、対応する移相器が実現する位相シフトに基づいて決定される異なる値に、設定することができる。例えば、各々の増幅器の利得は、cos(φ
j)に基づくことができる。
【0070】
増幅器440(0)〜440(2n)の出力は、結合器450に連結される。
図4では、結合器は信号用加算器として示す。結合器450は、増幅したスイッチング型混合器の出力を、単一の周波数変換出力信号に結合させる。
【0071】
高調波除去は、混合器400が、混合したRF信号を位相シフトし、スケール変換したバージョン信号を使用して、線形性の混合器(正弦波を理想的に乗算する装置)に近似できる事実から実現する。LO信号420は、位相シフトに基づく種々のスイッチング型混合器410(0)〜410(2n)の推移を制御する。一実施形態において、LO信号の各周期において、「2n+1」個のスイッチング型混合器の推移が存在する。従って、n=0のとき、高調波除去混合器は、単一のスイッチング型混合器のレスポンスに実質的に等しくなる。
【0072】
高調波混合器400は、複数のスイッチング型混合器を含み、各々のスイッチング型混合器は、LO信号の異なる位相で駆動される。このことは、広範囲にわたり高調波の高い除去率を達成する一方で、比較的簡単なLO回路で駆動される低ノイズのスイッチング型混合器を構築可能とする、両方の目的を実現するものである。
【0073】
図5は、高調波除去混合器500の一実施形態を簡単化した機能ブロック図であり、この例では、混合器は、3つの異なる位相を使用する。この場合、
図5の実施形態は、
図4の一般化した高調波除去混合器におけるn=1のときに対応する。
【0074】
従って、RF入力信号は、3つのスイッチング型混合器410(0)〜410(2)に連結される。LO420の出力は、3つの異なる移相器430(0)〜430(2)に連結される。上記で説明した数式を使用することにより、3つの移相器430(0)〜430(2)は、+45度、0度、および−45度の位相シフトを実現する。スイッチング型混合器410(0)〜410(2)の出力は、対応する増幅器440(0)〜440(2)に連結される。対応する増幅器の利得は、各々を1/√2、1、および1/√2でスケール変換する。3つの増幅器440(0)〜440(2)の出力は、信号加算器450の入力に連結され、ここで、IF出力またはベースバンド信号として合計される。
【0075】
図6は、ダウンコンバート600の機能を簡単化したブロック図であり、このダウンコンバートは、高調波除去混合器620、630、640、および650を有する。高調波除去混合器620、630、640、および650の各々は、
図4または
図5に示す構成が可能である。
【0076】
図6のダウンコンバート600は、二重平衡型直交用混合器として実施される。
図6に示す二重平衡型直交用混合器は第5次および第9次の高調波に対し、さらなる高調波除去を実現する。二重平衡型直交用構成によって実現される、さらなる高調波除去は、より簡単な高調波除去混合器620、630、640、および650を、コア部において使用することを可能にする。このことは、製作面、実装面積、ゲート総数、複雑度、および費用面の観点から、有利になる可能性がある。
【0077】
二重平衡型直交用混合器として構成されるダウンコンバート600において、RF入力信号は、多相フィルタ610に連結される。多相フィルタ610は、入力信号から多相の出力を生成する。
図6に示す実施形態において、多相フィルタ610は、同相および直交の出力信号を生成するように構成される。
【0078】
直交の出力信号は、第1および第2の高調波混合器620、630に連結される。同相の出力信号は、第3および第4の高調波混合器640、650に連結される。
【0079】
第2および第3の高調波混合器630、640は、同相のLO信号で駆動される。第1および第4の高調波混合器620、650は、直交のLO信号で駆動される。第1および第3の高調波混合器620、640の出力は、直交のダウンコンバート信号を生成するために結合される。一方、第2および第3の高調波混合器630、650の出力は、同相のダウンコンバート信号を生成するために結合される。
【0080】
高調波混合器、高調波混合器を利用する受信機、および高調波入力の影響を低減するために入力信号の処理方法について、説明してきた。高調波混合器は、複数のスイッチング型混合器を含むことができ、各々のスイッチング型混合器は、共通のLO信号の異なる位相で駆動される。スイッチング型混合器の出力は、結合または他の方法で単一の出力信号に合計することができる。この出力信号は、入力信号の高調波成分からの影響を低減する効果を示す。
【0081】
ここで公開した実施形態に関連して説明した方法、処理、およびアルゴリズムのステップは、直接的なハードウェア、プロセッサの実行するソフトウェア・モジュール、または両方の組合せで、実現することができる。上記の方法または処理における種々のステップまたは実施は、説明した順序で実施することができ、または別の順序でも実施することができる。加えて、上記方法または処理における1つ以上のステップは、この方法または処理の中から、省略または追加することができる。追加するステップ、ブロック、および実施は、現存する方法および処理の要素に、開始時点、終了時点、または中間時点において追加することができる。
【0082】
開示した実施形態の上記説明は、当業者で普通の技術を有する人がだれでも、本発明を使用できるように提示している。これらの実施形態に対する種々の変形が、当業者で普通の技術を有する人には、既に明らかになっているであろうし、また、ここで規定した一般的な原理は、開示した精神または範囲から逸脱することなく、別の実施形態にも適用することができる。従って、開示範囲は、ここに記載した実施形態に限定されるものではなく、ここに開示した原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲と同一とするべきである。