特許第5902435号(P5902435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902435
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】インパルスシール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   B65B51/10 J
   B65B51/10 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-232288(P2011-232288)
(22)【出願日】2011年10月21日
(65)【公開番号】特開2013-86870(P2013-86870A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2014年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(72)【発明者】
【氏名】小野 毅
【審査官】 山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭51−010438(JP,Y1)
【文献】 特開平06−070853(JP,A)
【文献】 実開昭59−069115(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0169893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに圧接離反する一対のシールユニットの一方の圧接面に設けられた発熱体で、前記シールユニット間に挿入される熱可塑性フイルムを熱シールするインパルスシール装置であって、
前記インパルスシール装置は、
前記発熱体に被せる耐熱シートと、
着脱自在に係合する雄型ホックと雌型ホックとからなるアメリカンホック、または面ファスナーと、
互いに係合した前記アメリカンホックまたは前記面ファスナーを、その上からさらに押える押さえ部材と、を備え、
前記アメリカンホックまたは前記面ファスナーの一方を前記耐熱シートの前記発熱体を跨ぐ両側に取り付け、
前記アメリカンホックまたは前記面ファスナーの他方を前記シールユニットの前記発熱体を挟む両側に取り付けて、
前記発熱体に被せた耐熱シートを前記アメリカンホックまたは前記面ファスナーでもって前記シールユニットに取り付けるようにしたことを特徴とするインパルスシール装置。
【請求項2】
前記シールユニットは、平面視がコの字型の圧接面を有し、その圧接面の全周に前記発熱体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインパルスシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱可塑性フイルムで成形された袋の封緘部を瞬間的に加熱してシールするインパルスシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性フイルムで成形された袋の口を熱シールするものとして、インパルスシール装置が知られている。この装置は、一方に発熱体を備えた一対の開閉部材の間に、袋の口を挟んでから発熱体を瞬間的に過熱してシールするが、こうした装置の発熱体には、溶融したフイルムの付着を防止する目的で、耐熱性に優れたテフロン(登録商標)シートが被せられる。
【0003】
このテフロン(登録商標)シートの取り付け方法としては、(1)シートと発熱体との間に粘着剤を介在させて貼付する方法、(2)下記特許文献1に開示されているように、発熱体の前面にテフロン(登録商標)シートを吊下げる方法等が知られている。前者の方法では、発熱体が膨張収縮を繰り返すために、そこに貼付されたシート表面に皺が発生し、
それが原因でシール不足や仕上がり不良が発生する問題がある。また、テフロン(登録商標)シートの交換時には、発熱体に付着した粘着剤を除去しなければならない煩わしさもある。これに対し、後者の方法は、そうした問題や煩わしさが解消されているので、それなりの効果はあるが、発熱体の前面にテフロン(登録商標)シートを吊下げねばならないので、発熱体が上向きの場合には、適用できないという問題がある。
【0004】
一方、発熱体が上向きに配置されたものとしては、下記特許文献2に開示された発明がある。この特許文献2の発明は、繰り出し式のテフロン(登録商標)シートを発熱体に被せてその両端部を押え板で固定し、加熱部位が劣化すると、押え板を外して新たなシートを繰り出し、劣化したシート部分は、繰り出したシートから切除するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−1210号公報
【特許文献2】特開2003−48250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この特許文献2の発明では、発熱体の両側にテフロン(登録商標)シートの端部を固定しておくための固定手段を必要とするため、装置が複雑になり、シート交換時には、固定手段を外すための工具を必要とする問題がある。また、この発明は、発熱体が一条の場合には良いが、複数の場合、例えば、二つ折りにされた矩形状フイルムの周縁を三方シールする場合には、縦方向と横方向のシールが交差する部分では、繰り出し式のシー
トを被せることができないので、この発明を適用できないという問題もある。
【0007】
この発明は、これらの問題を解決したもので、これまでの方式とは違って、粘着剤や工具を使わずに、発熱体に被せるテフロン(登録商標)シートを手で簡単に交換することができる新たなインパルスシール装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、互いに圧接離反する一対のシールユニットの一方の圧接面に設けられた発熱体で、前記シールユニット間に挿入される熱可塑性フイルムを熱シールするインパルスシール装置であって、前記インパルスシール装置は、前記発熱体に被せる耐熱シートと、着脱自在に係合する雄型ホックと雌型ホックとからなるアメリカンホック、または面ファスナーと、互いに係合した前記アメリカンホックまたは前記面ファスナーを、その上からさらに押える押さえ部材と、を備え、前記アメリカンホックまたは前記面ファスナーの一方を前記耐熱シートの前記発熱体を跨ぐ両側に取り付け、前記アメリカンホックまたは前記面ファスナーの他方を前記シールユニットの前記発熱体を挟む両側に取り付けて、前記発熱体に被せた耐熱シートを前記アメリカンホックまたは前記面ファスナーでもって前記シールユニットに取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のインパルスシール装置であって、前記シールユニットは、平面視がコの字型の圧接面を有し、その圧接面の全周に前記発熱体が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び2に係る発明によれば、耐熱シートに取り付けられた結合具の一方をシールユニットに取り付けられた他方の結合具に係合するだけで、耐熱シートを発熱体に被せてシールユニットに取り付けることができる。しかも、この結合具は、手で簡単に着脱できるので、工具を使わずに、耐熱シートの交換を行うことができる。さらに、この耐熱シートには、粘着層がないので、発熱体からフイルムへの熱伝導性が向上して、発熱体への通電時間を短くすることができる。そのため、消費電力を抑えるとともに、発熱体の耐久性も向上する。
【0011】
また、請求項に係る発明によれば、シールユニットで三方シールを行うことができるので、三方シールを行う包装機用のインパルスシール装置として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明に係るインパルスシール装置の、特に、下側シールユニットとその上に被せる耐熱シートの一実施形態の外観斜視図。
図2】上記実施形態のインパルスシール装置が搭載される包装機による包装方法の概要を説明する斜視図。
図3】上記包装機のインパルスシール装置で三方シールする場合の説明図。
図4】上記実施形態の一部拡大斜視図。
図5図4に示す一部分の側面図であって、結合具の一方を装着する図。
図6図4に示す一部分の側面図であって、装着された結合具の上から押え部材でさらに押えている図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るインパルスシール装置の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、インパルスシール装置を構成する一対のシールユニットのうち、特に下側シールユニット100と、その上に被せる耐熱シート200のそれぞれの外観斜視図を示す。
上側シールユニットは、下側シールユニット100に対して圧接離反するように構成されているが、上下一対のシールユニットは、主要部が面対称となるため、ここでは、耐熱シート200が取り付けられる下側シールユニット100だけを示している。また、このシールユニット100を除くインパルスシール装置としての構成は、周知であるため、ここでは、シールユニット100とそれに被せる耐熱シートの構成を示している。
【0015】
この一対のシールユニットは、トレーを使わずに生鮮食品や野菜等を熱可塑性フイルムで密封する包装機で使用される。この包装機によるシールユニットの使用については、本出願人が既に出願した特開2011−31953号、特開2011−31954号、特開2011−46447号等で詳細に開示しているので、ここでは、そのシールユニットによる包装について簡単に説明する。
【0016】
まず、図2に示すように、上下に連なった帯状フイルムFを二つ折りにしながら、折られたフイルムFの間に被包装物Aを収納する。続いて、図3に示すように、二つ折りになったフイルムFの開口三辺を上下一対のシールユニット100間に挟み込んで圧接し、斜線で示す部分を熱シールする。同時に、下辺に沿う2条のシール領域R1、R2の間にナイフを入れて切断する。符合Nは、その切断線を示す。この切断により、三方シールされ
た袋体Bと、図2に示す上下のフイルムF1、F2とに分離されるが、この上下のフイルムF1,F2は、図3の下側シール領域R2によるシールによって接合される。これにより、次の二つ折り工程に備えて、繋がった上下のフイルムF1,F2が図2の帯状フイルムFとなって上下方向に張設される。
【0017】
こうした三方シールを行うシールユニット100は、図1に示すように、左右一対の縦部材10、20と、これと直交する方向に配置された横部材30と、その横部材30と平衡に配置された第2の横部材40とを備える。これらの部材10,20,30,40は、アルミ材で構成され、それらの圧接面(上面)には、絶縁シートが貼り付けられ、その上に発熱体50が設置されている。この発熱体50は、鉄クロム材からなるもので、薄肉の細長い板状に成形されている。また、縦部材10、20上面の発熱体50と、横部材30上面の発熱体50とが交差する部位では、絶縁シートを介して縦、横の発熱体50が上下に積層されている。そして、各発熱体50の両端部は、各部材10,20,30,40の長手方向の両端部に取り付けられた絶縁体60を介して、それぞれの給電ケーブルと接続されている。
【0018】
また、縦部材10、20は、下側フレーム70に取り付けられ、横部材30、40は、図示しないブラケットを介して下側フレーム70に取り付けられている。また、下側フレーム70は、図示しない包装機内のフレームに取り付けられる。
【0019】
耐熱シート200は、薄くて柔軟なテフロン(登録商標)シートでもって平面視コの字型に成形され、縦方向のシート201は、縦部材10、20の上に被せられ、その両側縁が縦部材10、20の側面に折り曲げられる。また、横方向のシート202は、横部材30の上に被せられ、その一方の側縁が横部材30の側面側に折り曲げられ、他方の側縁が横部材30の上面に沿って配置される形状に成形されている。また、耐熱シート200の長手方向に沿う両縁には、着脱自在に係合する一対の結合具80の、一方の結合具81が一定ピッチで取り付けられ、その耐熱シート200が装着される縦部材10、20の両側面には、他方の結合具82が同じく一定ピッチで取り付けられている。また、横部材30の長手方向に沿う手前側側面には、ブロック31が取り付けられ、そのブロック31の上面と、それと反対側の横部材30の側面にも、同様な結合具82が一定ピッチで取り付けられている。
【0020】
この一対の結合具80は、所謂アメリカンホックと言われるもので、耐熱シート200側の結合具81には、雌型ホックが使用され、各部材10、20、30側の結合具82には、雄型ホックが使用されるが、これらを逆に使用しても良い。なお、以下の説明においては、一方の結合具81を雌型ホック81といい、他方の結合具82を雄型ホック82として説明するが、これは一例であって、その逆も可能である。
【0021】
前記雄型ホック82の各部材10、20、30への取り付けは、まず、図示しない耐熱シートに一定ピッチで雄型ホック82を取り付け、そのシートを各部材10,20、30の側面やブロック31の上面に貼り付ける。その上から雄型ホック82を露出させる貫通孔が設けられた押え板11、21、32を被せ、その押え板11、21、32をネジMで固定する。これにより、各雄型ホック82は、貫通孔から露出された状態で各部材10、20、30に固定されることになる。したがって、そこに結合された耐熱シート200を手で剥がしたとしても、各部材10、20、30に取り付けられた雄型ホック82が各部材10、20、30から外れるようなことはない。
【0022】
一方、横部材30の向かって手前側に設けられた第2の横部材40は、図3に示すシール領域R2を形成するもので、その手前側側面には、図示しないブラケットを介してプレート41が取り付けられ、そのプレート41の上に雄型ホック82が取り付けられたシートが貼付され、その上から雄型ホック82を露出させる貫通孔が設けられた押え板42が被せられてネジ留めされている。
【0023】
また、この横部材40の前記ブロック31と対面する側面には、図4に示すように、雄型ホック82の先端突起部を挿入するための横穴43が設けられ、その横穴43に、図4に示す第2の耐熱シート203に取り付けられた雄型ホック82の先端突起部が入り込むようになっている(図5を参照)。また、横部材30と第2の横部材40との間には、図5図6に示すように、上側シールユニットに設けられるナイフが入り込むための溝90が設けられ、その溝90に押え部材44が設けられている。この押え部材44は、前記横穴43に嵌りこんだ雄型ホック82の頭を、その上から押え付けるもので、図4乃至図6に示すように、回転軸45を中心として揺動するように構成され、図1の左端部に設けられた引張りバネ46により、横穴43に嵌り込んだ雄型ホック82の頭を押さえつけるようになっている。これにより、指先が入らない溝90であっても、横部材40の側面に設けられた横穴43に耐熱シート203の雄型ホック82を固定することができる。
【0024】
一方、この耐熱シート203の他方の縁部には、雌型ホック81が取り付けられ、この雌型ホック81は、押え板42で固定された上向きの雄型ホック82と係合するようになっている。そして、図6に示すように、下向きに垂らされた耐熱シート203下部の雄型ホック82を、横部材40の横穴43に挿入して押え部材44で固定した後、耐熱シート203を矢印Kの方向に折り曲げて、耐熱シート203上部の雌型ホック81を押え板42から露出した雄型ホック82に被せて係合する。これにより、第2の横部材40の上に第2の耐熱シート203を取り付けることができる。
【0025】
一方、平面視コの字型の耐熱シート200の、特に縦方向シート201と横方向シート202が交差する部位には、図1に示すように切り込み204が設けられ、この切り込み204により、縦方向のシート201を縦部材10、20に被せてから、その側縁を下向きに折ることができ、また、横方向シート202を横部材30に被せてから、その一方の側縁を横部材30の側面に沿って折ることができるようになっている。
【0026】
なお、横部材30に沿って設けられた押え板32と、第2の横部材40に沿って設けられた押え板42には、図示しない上側シールユニットに設けられた押え板が当接し、これらの押え板32、42を所定圧力で押えるようになっている。これにより、上側シールユニットのナイフが作動するときに、上下の押え板の間に挟みこまれたフイルムFが押えられて、フイルムFがずれないようになっている。
【0027】
また、図4乃至図6では、前記押え板42の手前側に、それ連なる保護カバー47を設けているが、図1では、その保護カバー47を外した状態で示している。
【0028】
以上、この発明の一実施形態を説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、その他の種々の態様も採用可能である。例えば、シールユニットを、袋の口を一方向にシールするだけのものであっても良いし、二方向にシールものであっても良い。また、着脱自在に係合する結合具としては、アメリカンホックに代えて、面ファスナーを使用することもできる。その場合には、シールユニット側に取り付ける面ファスナーをその上から格子状の押え板を被せて固定する。そうすれば、他方の面ファスナーが取り付けられた耐熱シートを剥ぎ取っても、シールユニット側の面ファスナーが取れるおそれはない。
【0029】
また、この実施形態では、第2の横部材40の側面に横穴43を設け、そこに雄型ホックの突起部を挿入するようにしたが、この横穴43に代えて、側面に突起状のピンを取り付け、そのピンに耐熱シートに取り付けた鳩目を挿入し、その上から押え部材44で押え付けるようにしても良い。同様に、縦部材10、20側にも側面に横穴を設けてそこに雄型ホックを挿入し、その上から押え部材で押え付けるようにしてもよい。或いは、それに代えて、側面にピンを取り付け、そのピンに耐熱シール側の鳩目を挿入し、その上から押え部材で押えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0030】
50 発熱体
80 結合具
100 シールユニット
200 耐熱シート
F フイルム
図2
図3
図1
図4
図5
図6