【実施例1】
【0024】
図1は本発明に係る放電加工機用電極保持装置の請求項1記載の実施形態を示す全体斜視図である。
本発明に係る放電加工機用電極保持装置10は、放電加工機Mの主軸Sに装着される電極保持装置であって、基台部20と可動部30と電極固定部40とから構成され、可動部30の回動及び電極固定部40の摺動によって得られる電極固定部40の移動可能領域R内において、電極50の電極固定用雌ネジ部42の位置に自在に対応させて電極50を保持することができる構造を有するものである。
【0025】
図2は本発明に係る放電加工機用電極保持装置の請求項1記載の実施形態を示す分解斜視図である。
基台部20は、上面に放電加工機Mへの取付機構21と位置決め機構22を有し、該基台部20の中心には、可動部30を回動自在に軸支すると共に、該可動部30を任意の角度に配置した状態で螺合圧接部品24により固定することができる固定部23を設けて形成されるものである。
【0026】
取付機構21は、放電加工機Mの主軸Sの先端部に装着されている電極保持ホルダ60を基台部20の上面に設ける取付けネジ穴21aと締付け固定ボルト26によって構成されるものである。
【0027】
位置決め機構22は、放電加工機Mの主軸Sの先端部に装着されている電極保持ホルダ60を基台部20の上面に設けられるノックピン22aとノック穴22bによって嵌合挿入して位置決めされるものである。
【0028】
固定部23は、可動部30を回動自在に軸支するとともに、該可動部30を任意の
角度に配置した状態で螺合圧接部品24によって固定される二基の可動部30が格納される筐体であって、その側面には精密バイスBで狭持出来る平行面25を有して形成される。
【0029】
螺合圧接部品24は、基台部20の中心に設けられる六角穴付ボルト等で可動部30を回動自在に軸支すると共に、該可動部30を任意の角度に配置した状態で締め付け固定するものである。また本実施例では上方から可動部30を締め付け固定しているが下方から締め付け固定する構造とすることも可能である。
【0030】
可動部30は、基台部20の底部に交差状に配設される一対の組合せ可動ロッド31から構成されるもので、移動可能領域R内で電極50の任意の位置に設けられる電極固定用雌ネジ部55の位置に合わせて自在に回動するものである。
【0031】
可動ロッド31は、基台部20に回動自在に軸支されるための軸受部32と該軸受部32の中心を通り外側に直線状に伸びる二本のアーム部33を有して形成されるものである。
【0032】
軸受け部32は、基台部に回動自在に軸支される円盤状の軸受体で、軸受の中心を通り外側に直線状に伸びる二本のアーム部33を有して構成され、固定部23内に回転可能に格納されて螺合圧接部品24で締め付け固定されるものである。
【0033】
アーム部33は、電極固定部40を摺動及び保持を可能とするためのスライド溝34を設けて形成されるもので、移動可能領域R内で電極50の任意の位置に設けられる電極固定用雌ネジ部55の位置に合わせて自在にスライド摺動させて保持するものである。電極50の形状に合わせて自在にアーム部33をスライド摺動させることによって、電極50の撓みを最小限に留めるものである。
【0034】
電極固定部40は、段差部41とアーム部固定用雌ネジ部42と電極固定用雄ネジ部43とスペーサ支持体45から構成されるもので、可動部30の回動及び電極固定部40の摺動によって得られる電極固定部40の移動可能領域R内において、電極50の電極固定用雌ネジ部55の位置に自在に対応させて保持することができるものである。
【0035】
また本実施例における電極固定部40は、四点支持で電極50を締め付け固定して保持しているが、実質作用的には三点支持で電極50を締め付け固定して保持するもので、残りの一点は、移動可能領域R内において締め付け易い近くの位置にある電極50の電極固定用雌ネジ部55を利用し易いように設けてあるものである。
【0036】
段差部41は、電極固定部40のスペーサ支持体45の上端部に設けられ、アーム部33のスライド溝34の下面に当接して摺動保持する突き当て部である。この段差部41が電極50に対して垂直度と水平度が確保されることによって電極50と金型ワークWとの平行度が維持されるものである。
【0037】
アーム部固定用雌ネジ部42は、スペーサ支持体45の上端に設けられ、アーム部33のスライド溝34の下面に当接され、アーム部33と電極固定部40を固定するものである。
【0038】
電極固定用雄ネジ部43は、スペーサ支持体45の下端に設けられ、電極固定用雌ネジ部55に連結して電極50と電極保持装置10を固定するものである。
【0039】
スペーサ支持体45は、上端には段差部41とアーム部固定用雌ネジ部42を有し、中間部にはスパナが掛けられる工具係止部44を有し、下端部には電極固定用雄ネジ部43を有して電極50の電極固定用雌ネジ部55に螺合して電極保持装置10を固定するものである。
【0040】
移動可能領域Rは、アーム部33の摺動及び保持を可能とする電極固定部40のスライド量によって形成されるもので、移動可能領域R内で電極50の任意の位置に設けられる電極固定用雌ネジ部55の位置に合わせて自在に変化する領域である。
【0041】
電極50は、黒鉛(グラファイト)電極または銅電極等の材質で形成され、金型ワークW(被加工物)の仕上げ寸法に加工された電極穴51とその電極穴51の正確な位置を割り出す基準穴52ならび垂直壁53と電極保持装置10の電極固定部40のスペーサ支持体45に連結する電極固定用雌ネジ部55を設けて形成される。
【0042】
電極保持ホルダ60は、放電加工機Mの主軸Sの先端に設けられて電極保持装置10を連結固定するもので、電極保持装置10に転結固定されている電極50の基準点測定や0点位置設定ならびに傾き修正を行うことができる角度修整保持装置である。
【0043】
図3は本発明に係る放電加工機用電極保持装置の取り付け状態を示す説明図である。
(1)電極50の四箇所(実質三箇所)の電極固定用雌ネジ部55に、スペーサ支持体45の下端部に設けられている電極固定用雄ネジ部43を螺合させ、そのスペーサ支持体45の中間部に設けられている工具係止部44にスパナを掛けて締め付け固定する。
(2)スペーサ支持体45の上端部に設けられている段差部41及びアーム部固定用雌ネジ部42に電極保持装置10のアーム部33のスライド溝34をスライド摺動させて嵌め込み、電極固定部締付固定ネジ36で四箇所(実質三箇所)を固定する。
(3)電極保持装置10の上面に設けられるネジ部21aによって構成される取付機構21と、ノック穴22bとノックピン22aによって構成される位置決め機構で電極保持装置10と電極保持ホルダ60を締付け固定ボルト26で連結固定する。
(4)放電加工機Mの主軸Sと電極保持ホルダ60を連結アタッチメント61で連結する。
(5)金型ワークWを放電加工機Mのマグネットテーブルに磁着させて位置決めする。
(6)金型ワークWの位置を電気式接触感知装置Dで測定し、その位置データを放電加工機Mの制御装置に記憶させる。
(7)放電加工機Mの主軸Sに装着されている電極50の基準穴52の位置ならびに垂直壁53を放電加工機Mに内蔵されている電気式接触感知装置Dで測定して位置データを放電加工機Mの制御装置に記憶させる。
(8)制御装置に記憶された位置データから其々の基準点測定ならびに0点位置を割り出して電極50と金型ワークWの基準点測定ならびに0点位置を合わせる。
(9)金型ワークWの加工形状に沿って放電加工機Mの主軸Sを下降させて放電加工を開始する。