(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一作動媒体で作動される第一ランキンサイクルと、前記第一作動媒体よりも低沸点の第二作動媒体で作動される第二ランキンサイクルと、から構成される廃熱回収ランキンサイクルシステムであって、
前記第一ランキンサイクルは、
前記第二作動媒体によって、前記第一作動媒体が凝縮される第一凝縮器を具備し、
前記第二ランキンサイクルは、
前記第一凝縮器に前記第二作動媒体を供給する復水ポンプと、
前記第二作動媒体の流量を変更する調量弁と、
前記第一凝縮器で加熱された前記第二作動媒体を気相と液相とに分離する気液分離装置と、を具備し、
前記第二作動媒体の気相が膨張機に供給され、前記第二作動媒体の液相が熱交換器に供給され、
制御装置が、
前記熱交換器に供給される給水と前記第二作動媒体との間で熱交換される熱量を増加させる場合、前記第二作動媒体の流量を増大させるように前記復水ポンプの運転状態及び前記調量弁の開度を制御し、
前記熱交換器に供給される給水と前記第二作動媒体との間で熱交換される熱量を減少させる場合、前記第二作動媒体の流量を減少させるように、前記復水ポンプの運転状態及び前記調量弁の開度を制御するようにプログラムされている
廃熱回収ランキンサイクルシステム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
まず、本発明の第一実施形態に係るスクロール形流体機械を備えた廃熱回収ランキンサイクルシステム1の構成について
図1を用いて説明する。
【0018】
図1に示すように、廃熱回収ランキンサイクルシステム1は、エンジンからの排気ガス等を熱源として発電と熱供給とを並行して行う熱電併給システムである。
図1に示すように、廃熱回収ランキンサイクルシステム1は、第一作動媒体で作動される第一ランキンサイクル2と、第一作動媒体よりも低沸点である第二作動媒体で作動される第二ランキンサイクル3とを具備する。
【0019】
第一ランキンサイクル2は、外部の熱源によって加熱された第一作動媒体によって発電を行う。第一ランキンサイクル2は、蒸気発生器4と、膨張機である第一スクロール形流体機械5と、第一発電機6と、第一凝縮器7と、第一復水ポンプ8とを具備する。
【0020】
蒸気発生器4は、第一作動媒体を加熱して高温高圧の蒸気を生成する。蒸気発生器4は、エンジンの排気ガスを熱源とする廃熱回収ボイラから構成される。蒸気発生器4は、第一作動媒体と排気ガスとの熱交換によって蒸気を生成する。蒸気発生器4は、作動媒体通路9aを介して第一スクロール形流体機械5に接続される。蒸気発生器4において生成された蒸気は、作動媒体通路9aを介して第一スクロール形流体機械5に供給される。なお、本実施形態において、熱源をエンジンの排気ガスとしたがこれに限定するものではない。
【0021】
膨張機である第一スクロール形流体機械5は、蒸気のエネルギーを回転力に変換して出力する。第一スクロール形流体機械5は、作動媒体通路9bを介して第一凝縮器7に接続される。第一スクロール形流体機械5は、内部に形成される図示しない膨張室に蒸気発生器4から第一作動媒体が気相(蒸気)として供給され、断熱膨張することでクランク軸5aを回転させる。なお、本実施形態において、膨張機をスクロール形としたがこれに限定するものでなくタービン形であってもよい。
【0022】
第一発電機6は、外部からの駆動力によって電気を発電する。第一発電機6は、第一スクロール形流体機械5のクランク軸5aに連結される。すなわち、第一発電機6は、クランク軸5aの回転によって発電可能に構成される。第一発電機6によって発電された電気は、廃熱回収ランキンサイクルシステム1の外部に供給される。
【0023】
第一凝縮器7は、第一作動媒体の気相である蒸気を冷却して凝縮させる(復水させる)。第一凝縮器7は、作動媒体通路9cを介して第一復水ポンプ8に接続される。第一凝縮器7は、作動媒体通路9bを介して第一スクロール形流体機械5から第一作動媒体が供給される。また、第一凝縮器7は、第二ランキンサイクル3の作動媒体通路18dを介して第二作動媒体が供給される。第一凝縮器7は、第一作動媒体と第二作動媒体との熱交換によって第一作動媒体を復水させる。つまり、第一凝縮器7は、第二ランキンサイクル3の第二作動媒体を冷却剤として第一作動媒体を凝縮させる。一方、第二作動媒体は、第一作動媒体との熱交換によって加熱される。
【0024】
第一復水ポンプ8は、第一作動媒体を蒸気発生器4に供給する。第一復水ポンプ8は、作動媒体通路9dを介して蒸気発生器4に接続される。第一凝縮器7において復水された第一作動媒体は、第一復水ポンプ8によって蒸気発生器4に供給される。
【0025】
第二ランキンサイクル3は、第一作動媒体を熱源として加熱された第二作動媒体によって発電及び給熱を行う。第二ランキンサイクル3は、膨張機である第二スクロール形流体機械10と、第二発電機11と、第二凝縮器12と、復水タンク13と、第二復水ポンプ14と、気液分離装置15と、熱交換器16と、調量弁17、制御装置21とを具備する。
【0026】
膨張機である第二スクロール形流体機械10は、蒸気のエネルギーを回転力に変換して出力する。第二スクロール形流体機械10は、作動媒体通路18aを介して第二凝縮器12に接続される。第二スクロール形流体機械10は、第一凝縮器7で加熱された第二作動媒体のうち後述の気液分離装置15によって分離された気相(蒸気)部分が供給される。第二スクロール形流体機械10は、内部に形成される図示しない膨張室に第二作動媒体が供給され、断熱膨張することでクランク軸10aを回転させる。なお、本実施形態において、膨張機をスクロール形としたがこれに限定するものでなくタービン形であってもよい。
【0027】
第二発電機11は、外部からの駆動力によって電気を発電する。第二発電機11は、第二スクロール形流体機械10のクランク軸10aに連結される。すなわち、第二発電機11は、クランク軸10aの回転によって発電可能に構成される。第二発電機11によって発電された電気は、廃熱回収ランキンサイクルシステム1の外部に供給される。
【0028】
第二凝縮器12は、第二作動媒体からなる蒸気を冷却して凝縮させる(復水させる)。第二凝縮器12は、作動媒体通路18bを介して復水タンク13に接続される。第二凝縮器12は、作動媒体通路18aを介して第二スクロール形流体機械10から第二作動媒体が供給される。また、第二凝縮器12は、冷却水通路19aを介して冷却水が供給される。第二凝縮器12は、第二作動媒体と冷却水との熱交換によって第二作動媒体を復水させる。第二凝縮器12において復水された第二作動媒体は、作動媒体通路18bを介して復水タンク13に供給される。
【0029】
復水タンク13は、第二凝縮器12によって復水された第二作動媒体を溜める。復水タンク13は、作動媒体通路18cを介して第二復水ポンプ14に接続される。
【0030】
第二復水ポンプ14は、第二作動媒体を第一ランキンサイクル2の第一凝縮器7に供給する。第二復水ポンプ14は、単位時間当たりの流量を任意に変更可能に構成される。第二復水ポンプ14は、作動媒体通路18dを介して第一凝縮器7に接続される。復水タンク13内の第二作動媒体は、第二復水ポンプ14によって第一凝縮器7に供給される。すなわち、第二作動媒体は、第一凝縮器7において第一作動媒体から熱が供給される。
【0031】
気液分離装置15は、第二作動媒体を気相(蒸気)と液相とに分離する。気液分離装置15は、気相保持部分15aと液相保持部分15bとから構成される。気液分離装置15には、作動媒体通路18eを介して第一凝縮器7が接続される。これにより、気液分離装置15には、第一凝縮器7において加熱されたことで気相と液相とが混在した第二作動媒体が供給される。また、気液分離装置15は、気相保持部分15aが作動媒体通路18fを介して第二スクロール形流体機械10に接続される。さらに、気液分離装置15は、液相保持部分15bが作動媒体通路18gを介して熱交換器16に接続される。これにより、第二作動媒体は、気相部分が第二スクロール形流体機械10に供給され、液相部分が熱交換器16に供給される。
【0032】
熱交換器16は、第二作動媒体と冷却媒体との間で熱交換するものである。熱交換器16は、作動媒体通路18hを介して復水タンク13に接続される。また、熱交換器16は、冷却媒体として給水通路20を介して外部熱機器群22と接続される。熱交換器16は、作動媒体通路18gを介して液相としての第二作動媒体が供給される。熱交換器16は、第二作動媒体と給水との熱交換によって第二作動媒体を冷却すると共に給水を加熱する。
【0033】
調量弁17は、第二作動媒体の流量を制御する。調量弁17は、作動媒体通路18hに設けられる。調量弁17は、弁の開度を任意に設定することができる。すなわち、調量弁17は、通過する流体の単位時間当たりの流量を任意に変更可能に構成される。
【0034】
制御装置21は、熱需要に基づいて廃熱回収ランキンサイクルシステム1の制御を行う。制御装置21は、廃熱回収ランキンサイクルシステム1の制御を行うための種々のプログラムやデータが格納される。制御装置21は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
【0035】
制御装置21は、外部熱機器群22に接続され、外部熱機器群22から熱需要についての情報を取得することができる。制御装置21は、廃熱回収ランキンサイクルシステム1を構成する各種装置、例えば、第二復水ポンプ14及び調量弁17に接続される。制御装置21は、第二復水ポンプ14が供給する第二作動媒体の単位時間当たりの流量を制御することができる。また、制御装置21は、調量弁17の開度を制御することができる。
【0036】
このような構成の廃熱回収ランキンサイクルシステム1において、第一ランキンサイクル2は、蒸気発生器4によって加熱された第一作動媒体によって第一スクロール形流体機械5の駆動に用いられる。第一スクロール形流体機械5から排出された第一作動媒体は、第一凝縮器7によって復水された後に蒸気発生器4に供給される。第二ランキンサイクル3は、第一凝縮器7における第一作動媒体との熱交換によって第二作動媒体が加熱される。第二作動媒体は、気液分離装置15によって気相(蒸気)部分と液相部分とに分離される。第二作動媒体のうち気相部分は、第二スクロール形流体機械10の駆動に用いられる。第二作動媒体のうち液相部分は、熱交換器16に供給され給水の加熱に用いられる。このようにして、第一作動媒体によって発電がされるとともに、第二作動媒体によって発電及び給熱が行われる。
【0037】
次に、
図1及び
図2を用いて、廃熱回収ランキンサイクルシステム1における第二作動媒体の相変化について説明する。
【0038】
図2は、本実施形態におけるT−S線図(温度−エントロピ線図)である。図中における矢印は、第二作動媒体のランキンサイクルを示している。
【0039】
図1及び
図2に示すように、温度T1は、第一凝縮器7の入口温度、温度T2は、第二作動媒体の蒸気温度である。点A1は、第一凝縮器7の入口における第二作動媒体の状態である。点A2は、第一凝縮器7での蒸気発生開始点である。点A3は、第一凝縮器7の出口における第二作動媒体の状態である。点A4は、第二スクロール形流体機械10の蒸気排出口における第二作動媒体の状態である。
【0040】
点A1から点A2の間において、第二作動媒体は、液相として存在し、蒸気発生器4によって加熱及び加圧される。そして、点A2の状態において第二作動媒体は、液相から気相(蒸気)への相変化を開始する。
【0041】
点A2から点A3の間において、第二作動媒体は、蒸気発生器4によってさらに加熱及び加圧される。この間において、第二作動媒体は、液相と気相とが混在している。第二作動媒体は、点A3の状態において気相への相変化が完了される。点A3から点A4の間において、第二作動媒体は、第二スクロール形流体機械10の膨張室内において膨張しながら仕事をする。膨張室内における第二作動媒体の膨張は、近似的な断熱膨張であることから第二作動媒体の温度が低下する。この間において、第二作動媒体の一部は、凝縮して気相から液相への相変化を開始する。
【0042】
点A4から点A1の間において、第二作動媒体は、第二凝縮器12によって冷却され、一定圧力の状態で凝縮する。この間において、第二作動媒体は、気相から液相への相変化を開始する。この結果、第二作動媒体は、点A1の状態において液相への相変化が完了する。
【0043】
次に、
図1から
図3を用いて第二ランキンサイクル3における第二復水ポンプ14の動作態様について説明する。
【0044】
図1に示すように、第二作動媒体は、第二復水ポンプ14によって第一凝縮器7に供給される。この際、第一作動媒体から供給される第二作動媒体の単位流量当たりの給熱量は、第二復水ポンプ14の運転状態及び調量弁17の開度から決定される第二作動媒体の単位時間当たりの流量(以下、単に、「流量F」とする)が増加するほど減少する。すなわち、第二作動媒体の相状態は、第二作動媒体の流量Fによって決定される。
【0045】
図3に示すように、第二作動媒体の流量Fが流量Fl未満である場合、第二作動媒体は、第一凝縮器7において第一作動媒体からの熱によって全て気相である蒸気に相変化する。すなわち、第二作動媒体は、
図2における点A1の状態から点A3の状態に相変化して第一凝縮器7から排出される。気相である第二作動媒体は、気液分離装置15によってすべて第二スクロール形流体機械10に供給される。この結果、第二ランキンサイクル3は、第二スクロール形流体機械10によって発電が行われ、熱交換器16による給水への熱の供給は行われない。
【0046】
図3に示すように、第二作動媒体の流量Fが流量Fl以上流量Fh未満である場合、第二作動媒体は、第一凝縮器7において第一作動媒体から第二作動媒体に供給される第二作動媒体の単位流量当たりの給熱量の減少に伴い、その一部だけが気相に相変化する。すなわち、第二作動媒体は、
図2における点A1の状態から流量Fに応じた点A2と点A3との間の状態に相変化して第一凝縮器7から排出される。具体的には、第二作動媒体の流量Fが流量Flである場合、第二作動媒体は、その大部分が気相に相変化している。第二作動媒体の流量Fが流量Flと流量Fhの間である場合、第二作動媒体は、その流量Fに応じた割合で気相に相変化している。つまり、流量Fに応じた割合で気相と液相とが混在している。第二作動媒体の流量Fが流量Fh近傍である場合、第二作動媒体は、その大部分が液相でありごく一部が気相に相変化している。
【0047】
気相として存在する第二作動媒体は、気液分離装置15によって第二スクロール形流体機械10に供給される。この結果、第二ランキンサイクル3は、第二スクロール形流体機械10によって発電が行われる。一方、液相として存在する第二作動媒体は、気液分離装置15によって熱交換器16に供給される。この結果、第二ランキンサイクル3は、熱交換器16において第二作動
媒体から給水に熱が供給される。
【0048】
図3に示すように、第二作動媒体の流量Fが流量Fhよりも大きい場合、第二作動媒体は、第一凝縮器7において第一作動媒体から第二作動媒体に供給される第二作動媒体の単位流量当たりの給熱量では気相である蒸気に相変化することなく液相を維持する。すなわち、第二作動媒体は、
図2における点A1の状態から相変化を伴わない点A2の状態で第一凝縮器7から排出される。液相である第二作動媒体は、気液分離装置15によってすべて熱交換器16に供給される。この結果、第二ランキンサイクル3は、熱交換器16において第二作動
媒体から給水に熱が供給され、第二スクロール形流体機械10による発電は行われない。
【0049】
このようにして、第二ランキンサイクル3は、第二作動媒体の流量Fを変更することによって、発電量と給水に供給される熱量との割合を変更することができる。
【0050】
以下では、
図4を用いて上述の如く構成される廃熱回収ランキンサイクルシステム1における制御装置21の動作態様について説明する。
【0051】
制御装置21は、外部熱機器群22から熱需要についての情報を取得する。制御装置21は、取得した情報に基づいて第二復水ポンプ14が供給する第二作動媒体の流量F及び調量弁17の開度を制御する(
図1参照)。
【0052】
図4に示すように、制御装置21は、以下のステップで第二復水ポンプ14を制御する。
【0053】
まず、ステップS101において、制御装置21は、制御装置21に接続されている外部熱機器群22からの熱需要についての情報、第二作動媒体の流量Fを取得する。
【0054】
ステップS102において、制御装置21は、外部熱機器群22からの熱需要についての情報から、第二作動媒体の流量Fが熱需要に基づいた目標流量Ftよりも多いか否か判定する。すなわち、第一凝縮器7における熱交換によって気相に相変化しなかった液相である第二作動媒体から給水への給水の単位時間当たりの給熱量が外部熱機器群22からの熱需要よりも多いか否か判定する。その結果、第二復水ポンプ14が供給する第二作動媒体の流量Fが熱需要に基づいた目標流量Ftよりも多いと判定した場合、すなわち、熱交換による第二作動媒体から給水への給水の単位流量当たりの給熱量が外部熱機器群22からの熱需要よりも多いと判定した場合、制御装置21は、ステップをステップS103に移行させる。一方、第二作動媒体の流量Fが熱需要に基づいた目標流量Ftよりも多くないと判定した場合、すなわち、熱交換による第二作動媒体から給水への給水の単位時間当たりの給熱量が外部熱機器群22からの熱需要よりも多くないと判定した場合、制御装置21は、ステップをステップS203に移行させる。
【0055】
ステップS103において、制御装置21は、第二復水ポンプ14の運転状態及び調量弁17の開度を制御して第二作動媒体の流量Fを目標流量Ftまで減少させる。これにより、熱交換器16における給水への給水の単位時間当たりの給熱量が減少する。一方、第一凝縮器7における熱交換によって気相に相変化した第二作動媒体の流量が増加する。これにより、第二スクロール形流体機械10に供給される第二作動媒体が増加し、第二発電機11による発電量が増加する。その後、制御装置21は、ステップをステップS101に戻す。
【0056】
ステップS203において、制御装置21は、外部熱機器群22からの熱需要についての情報から、第二作動媒体の流量Fが熱需要に基づいた目標流量Ftよりも少ないか否か判定する。すなわち、第一凝縮器7における熱交換によって気相に相変化しなかった第二作動媒体から給水への給水の単位時間当たりの給熱量が外部熱機器群22からの熱需要よりも少ないか否か判定する。その結果、第二作動媒体の流量Fが熱需要に基づいた目標流量Ftよりも少ないと判定した場合、すなわち、熱交換による第二作動媒体から給水への給水の単位時間当たりの給熱量が外部熱機器群22からの熱需要よりも少ないと判定した場合、制御装置21は、ステップをステップS204に移行させる。一方、第二作動媒体の流量Fが熱需要に基づいた目標流量Ftよりも少なくないと判定した場合、すなわち、熱交換による第二作動媒体から給水への給水の単位時間当たりの給熱量が外部熱機器群22からの熱需要よりも少なくないと判定した場合、制御装置21は、ステップをステップS101に戻す。
【0057】
ステップS204において、制御装置21は、第二復水ポンプ14の運転状態及び調量弁17の開度を制御して第二作動媒体の流量Fを流量Ftまで増加させる。これにより、熱交換器16における給水への給水の単位時間当たりの給熱量が増加する。一方、第一凝縮器7における熱交換によって気相に相変化した第二作動媒体の流量が減少する。これにより、第二スクロール形流体機械10に供給される第二作動媒体が減少し、第二発電機11による発電量が減少する。その後、制御装置21は、ステップをステップS101に戻す。
【0058】
また、本実施形態における廃熱回収ランキンサイクルシステム1の他の実施形態として、気液分離装置15に液面位置検出手段である液面検出センサー15cを設けた構成のものがある。液面検出センサー15cは、気液分離装置15において分離された液相である第二作動媒体の液面を検出するものである。液面検出センサー15cは、制御装置21に接続される(
図1参照)。また、制御装置21は、液面検出センサー15cが検出する第二作動媒体の液面位置についての液面信号Sを取得することができる。
【0059】
以下では、
図5を用いて上述の如く液面検出センサー15cを設けた廃熱回収ランキンサイクルシステム1における制御装置21の動作態様について説明する。
【0060】
まず、ステップS101において、制御装置21は、制御装置21に接続されている外部熱機器群22からの熱需要についての情報、第二復水ポンプ14の運転状態及び調量弁17の開度から決定される第二作動媒体の流量F、及び液面検出センサー15cから気液分離装置15における第二作動媒体の液面についての液面信号Sを取得する。
【0061】
ステップS111において、制御装置21は、液面信号Sが気液分離装置15に蒸気を分離できる限界の液面位置Slよりも高いか否か判定する。すなわち、気液分離装置15において気相である第二作動媒体が熱交換器16に供給されることがない液面位置か否か判定する。その結果、液面信号Sが液面位置Slよりも高いと判定した場合、すなわち、気相である第二作動媒体が熱交換器16に供給されることがないと判定した場合、制御装置21は、ステップをステップS102に移行させる。一方、液面信号Sが液面位置Slよりも高くないと判定した場合、すなわち、気相である第二作動媒体が熱交換器16に供給されると判定した場合、制御装置21は、ステップをステップS312に移行させる。
【0062】
ステップS312において、制御装置21は、第二復水ポンプ14を制御して第二作動媒体の流量Fを所定量だけ増加させる。すなわち、制御装置21は、第二復水ポンプ14を制御して、気液分離装置15における第二作動媒体の液面位置を高くする。その後、制御装置21は、ステップをステップS101に戻す。
【0063】
ステップS102からステップS204までは既に説明した実施形態と同様であるのでその具体的説明を省略する。
【0064】
以上が本実施形態に係る廃熱回収ランキンサイクルシステム1の動作態様についての説明である。なお、本発明の技術的思想は、上述したスクロール形流体機械への適用に限るものではなく、その他の構成のスクロール形流体機械に適用することが可能である。
【0065】
加えて、廃熱回収ランキンサイクルシステム1は、例えば高温蒸気を用いて推進力を得る船舶等に利用することが可能である。また、本スクロール形流体機械は、他の機器から廃熱を回収して回転動力に変換する動力機械として用いることが可能である。
【0066】
以上の如く、第一作動媒体で作動される第一ランキンサイクル2と、第一作動媒体よりも低沸点の第二作動媒体で作動される第二ランキンサイクル3と、から構成される廃熱回収ランキンサイクルシステム1であって、第一ランキンサイクル2は、第二作動媒体によって第一作動媒体の蒸気が凝縮される第一凝縮器7を具備し、第二ランキンサイクル3は、第一凝縮器7に第二作動媒体を供給する復水ポンプである第二復水ポンプ14と、復水ポンプ14の流量を変更する調量弁17と、第一凝縮器7で加熱された第二作動媒体を気相と液相とに分離する気液分離装置15と、を具備し、第二作動媒体の気相が膨張機に供給され、第二作動媒体の液相が熱交換器16に供給される。このように構成することで、第二ランキンサイクル3において、廃熱を膨張機の動力として回収するだけでなく給水を加熱するための熱として回収することができる。これにより、廃熱が熱需要に応じた形態で効率的に回収される。
【0067】
また、制御装置21を更に備え、熱交換器16に供給される給水と第二作動媒体との間で熱交換される熱量を増加させる場合、前記第二作動媒体の流量を増大させるように前記復水ポンプの運転状態及び調量弁17の開度を制御し、熱交換器16に供給される給水と前記第二作動媒体との間で熱交換される熱量を減少させる場合、前記第二作動媒体の流量を減少させるように前記復水ポンプの運転状態及び調量弁17の開度を制御する。このように構成することで、第二作動媒体の流量Fを変更して第二作動媒体における気相と液相との割合を変更し、第二スクロール形流体機械10おいてされる仕事量と熱交換器16において放出される熱量との比率を変更することができる。これにより、廃熱が熱需要に応じた形態で効率的に回収される。
【0068】
また、気液分離装置15が第二作動媒体から気相を分離できる限界の液面位置が検出される液面検出手段を更に備え、制御装置21は、液面検出手段によって液面位置が検出されると、第二作動媒体の流量を増加させるように前記復水ポンプの運転状態及び調量弁17の開度を制御する。このように構成することで、熱交換器16に蒸気が供給されることを防止することができる。これにより、これにより、熱交換器16の効率を低下させることがない。
【0069】
以下では、
図6を用いて、本発明に係る廃熱回収ランキンサイクルシステム1における第二実施形態である排廃熱回収ランキンサイクルシステム30について説明する。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0070】
排廃熱回収ランキンサイクルシステム30は、廃熱回収ランキンサイクルシステム1に加えて、第二凝縮器12に給水が供給されるように給水通路を切り替えるための切り替え弁23を更に備える。
【0071】
切り替え弁23は、給水通路20を切り替える。切り替え弁23は、給水通路20に設けられる。また、切り替え弁23には、冷却水通路19bが接続されている。切り替え弁23は、スプールを摺動させることにより位置X及び位置Yに切り換えることが可能である。また、冷却水通路19cには、冷却水通路を遮断する冷却水弁24が設けられる。
【0072】
切り替え弁23が位置Xの状態にある場合、冷却水通路19bは給水通路20と遮断される。従って、給水通路20には、給水が供給され、冷却水は供給されない。この際、冷却水弁24は、冷却水通路19cを遮断しない状態であり、冷却水が冷却水弁24を介して外部に排出される。切り替え弁23が位置Yの状態にある場合、冷却水通路19bは給水通路20と連通される。従って、給水通路20には、給水が供給されずに冷却水が供給される。この際、冷却水弁24は、冷却水通路19cを遮断する状態であり、冷却水が冷却水弁24を介して外部に排出されない。
【0073】
制御装置21は、外部熱機器群22に接続され、外部熱機器群22から熱需要についての情報を取得することができる。制御装置21は、廃熱回収ランキンサイクルシステム30を構成する各種装置、例えば、切り替え弁23及び冷却水弁24に接続され、切り替え弁23の位置及び冷却水弁24の開閉をすることができる。
【0074】
このような構成の廃熱回収ランキンサイクルシステム30において、第二スクロール形流体機械10の駆動に用いられた第二作動媒体は、第二凝縮器12によって冷却される。すなわち、第二凝縮器12に供給される冷却水には、第二作動媒体との熱交換によって熱が供給される。外部熱機器群22からの熱需要が、第二作動媒体の流量Fを流量Flとしたときの第二凝縮器12における冷却水への冷却水の単位時間当たりの給熱量よりも小さい場合、制御装置21は、切り替え弁23を位置Yの状態に切り替えるとともに冷却水弁24を閉状態にして、加熱された冷却水を給水通路20に供給させる。これにより、第二発電機11による発電量を減少させることなく外部熱機器群22に熱を供給することができる。
【0075】
以下では、
図7を用いて上述の如く構成される廃熱回収ランキンサイクルシステム30における制御装置21の動作態様について説明する。
【0076】
まず、ステップS101において、制御装置21は、制御装置21に接続されている外部熱機器群22からの熱需要についての情報、第二復水ポンプ14の運転状態及び調量弁17の開度から決定される第二作動媒体の流量F、及び切り替え弁23の位置を取得する。
【0077】
ステップS131において、制御装置21は、外部熱機器群22からの熱需要が、第二作動媒体の流量Fを流量Flとしたときの第二作動媒体から冷却水への冷却水の単位時間当たりの給熱量よりも多いか否か判定する。その結果、外部熱機器群22からの熱需要が第二作動媒体の流量Fを流量Flとしたときの第二作動媒体から冷却水への冷却水の単位時間当たりの給熱量よりも多いと判定した場合、制御装置21は、ステップをステップS132に移行させる。一方、外部熱機器群22からの熱需要が第二作動媒体の流量Fを流量Flとしたときの第二作動媒体から冷却水への冷却水の単位時間当たりの給熱量よりも多くないと判定した場合、制御装置21は、ステップをステップS432に移行させる。
【0078】
ステップS132において、制御装置21は、切り替え弁23を制御して給水通路20を連通させるとともに冷却水通路19bと給水通路とを遮断させる。すなわち、制御装置21は、切り替え弁23を位置Xの状態に制御して加熱された冷却水を給水通路20に供給させない。合わせて冷却水弁24を遮断しない状態に制御する。その後、制御装置21は、ステップをステップS102に移行させる。
【0079】
ステップS432において、制御装置21は、第二復水ポンプ14を制御して第二作動媒体の流量Fを流量Flにさせる。すなわち、制御装置21は、第二復水ポンプ14を制御して第二作動媒体を全て気相として第二スクロール形流体機械10に供給させる。その後、制御装置21は、ステップをステップS433に移行させる。
【0080】
ステップS433において、制御装置21は、切り替え弁23を制御して給水通路20を遮断させるとともに冷却水通路19bと給水通路20とを連通させる。すなわち、制御装置21は、切り替え弁23を位置Yの状態に制御して加熱された冷却水を給水通路20に供給させる。合わせて冷却水弁24を遮断状態に制御する。その後、制御装置21は、ステップをステップS101に戻す。
【0081】
ステップS102からステップS204までは既に説明した実施形態と同様であるのでその具体的説明を省略する。制御装置21は、ステップをステップS101に戻す。
【0082】
以上の如く、冷却水によって膨張機である第二スクロール形流体機械10から排出された第二作動媒体が凝縮される第二凝縮器12と、給水が供給される供給先である外部熱機器群22に給水に代えて冷却水が供給されるように冷却水の経路が変更される切り替え弁23と、を更に備え、制御装置21は、給水と第二作動媒体との間で熱交換される給水の単位流量当たりの熱量が第二凝縮器12において冷却水と第二作動媒体との間で熱交換される冷却水の単位流量当たりの熱量以下の場合に、冷却水が外部熱機器群22に供給されるように切り替え弁23を切り替える。このように構成することで、熱需要が少ない場合には、給水の供給先である外部熱機器群22に熱を供給しつつ第二作動媒体を全て膨張機に供給することができる。これにより、廃熱が熱需要に応じた形態で効率的に回収される。