【実施例】
【0015】
[1.入力装置の構成および機能概要]
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、
図2および
図3を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、移動体の一例である車両等に取り付けられた入力装置に対して、本願を適用した場合の実施例である。
【0016】
図2に示すように、実施形態に係る入力装置10の一例としての入力装置10は、ユーザからの入力を受け付ける入力部11と、操作対象20を操作するための操作信号を出力する操作信号出力部12と、入力装置10を制御するためのプログラム等を記憶する記憶部13と、入力装置10の外部との送受信を行う通信部14と、入力装置10を制御するシステム制御部15と、入出力インターフェース部16と、を備えている。そして、システム制御部15と入出力インターフェース部16とは、システムバス17を介して接続されている。
【0017】
入力装置10は、操作信号出力部12を介して、空調装置、オーディオ装置、カーナビゲーション装置、電話等の操作対象20に接続されている。また、入力装置10は、ユーザからの入力に関する情報を処理するコンピュータとして機能する。入力装置10は、入力部11で受け付けた操作入力に基づき、操作信号を操作対象20に出力する。
【0018】
入力部11は、例えば、表示機能と位置入力機能を有するタッチパネルである。表示機能の部分は、例えば、液晶表示素子またはEL(Electro Luminescence)素子等によって構成される。位置入力機能の部分は、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式等を実現する素子により構成される。そして、入力部11は、位置入力機能により、ユーザの指等が接触または近接した入力部11の面の位置情報を、所定の分解能の画素単位で取得する。なお、入力部11は、入力部11におけるユーザの指等が接触または近接した位置情報を取得するためタッチパッドでもよい。
【0019】
操作信号出力部12は、各操作対象20とのインターフェースの機能を有する。操作信号出力部12は、各操作対象20と接続され、各操作対象20に操作信号を出力する。
【0020】
記憶部13は、例えば、シリコンディスクドライブ等からなる。記憶部13は、入力部11の設定状態を記憶したり、入力装置10を制御するための各種プログラム等を記憶したりする。各種プログラムは、オペレーティングシステム、入力部11から取得した位置情報を処理するプログラム等が挙げられる。なお、各種プログラムは、例えば、無線通信網等のネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0021】
通信部14は、操作対象20や、車両の速度、車両の走行位置、車両のギアの状態等の走行に関連する走行関連情報を測定する機器等と通信を制御する。なお、入力装置10は、通信部14を介して、操作対象を含む機器に接続している。
【0022】
システム制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)15aと、ROM(Read Only Memory)15bと、RAM(Random Access Memory)15cとを有する。システム制御部15は、CPU15aが、ROM15bや、RAM15cや、記憶部13に記憶された各種プログラムを読み出して実行する。例えば、システム制御部15は、入力部11で受け付けた入力を判定するプログラムを実行する。
【0023】
入出力インターフェース部16は、入力部11等の各部とシステム制御部15とのインターフェースである。
【0024】
また、入力装置10は、入力部11に指が触れた時間を測定するために内部時計(図示せず)を有する。
【0025】
次に、
図3に示すように、入力装置10の入力部11R(11)、11L(11)は、移動体の一例である車両のステアリング30の表側に取り付けられている。
【0026】
ステアリング30は、ステアリングシャフト(図示せず)と接続されたステアリング本体部31と、車両を運転するユーザが握る部分であり、リング形状を有するステアリングホイール部32と、を有する。
【0027】
入力部11は、ステアリング本体部31の表側において、中心部からステアリングホイール部32側に取り付けられている。すなわち、ユーザがステアリングホイール部32を握る際、ユーザの親指が入力部11R、11Lに触れることができる位置に入力部11R、11Lが設置されている。ステアリングホイール部32の回転位置が、車両の直進状態の位置の場合、ユーザが車両の運転席に座った際の、ステアリング本体部31のユーザの左手側に、入力部11Lが取り付けられ、ステアリング本体部31のユーザの右手側に、入力部11Rが取り付けられる。
【0028】
次に、
図3に示すように、車両には、操作対象20の一例として、空調装置21と、カーナビゲーション装置22、オーディオ装置23等が設置されている。また、操作対象20の一例として、ユーザの携帯型無線電話機と近距離無線通信規格で接続し、ユーザが携帯型無線電話機を受けられるようにするための通信機器(図示せず)も設定されている。これらの操作対象20は、入力装置10の操作信号出力部12および通信部14と接続している。
【0029】
空調装置21は、コンプレッサー(図示せず)、車両内に空調された空気を送風する送風部(図示せず)を有し、車両の内部の温度、湿度を制御する。空調装置21の吹き出し口21aが、車両内に設置されている。
【0030】
カーナビゲーション装置22は、タッチパネル等を含む表示部22aと、加速度センサやジャイロセンサやGPS(Global Positioning System)センサ等の各種のセンサと、CPU、RAMおよびROM等を含む処理部、情報を記憶する記憶部と、入力装置10等の他の機器との通信を行う通信部と、カーナビゲーション装置22を操作するための操作部と、を有する。なお、カーナビゲーション装置22は、インターネットに接続でき、表示部22aにおいて、インターネットの閲覧ができる構成を有していてもよい。
【0031】
オーディオ装置23は、CD、DVD等の再生、ラジオやテレビの電波を受信して、音をスピーカに出力し、映像をカーナビゲーション装置22の表示部22aに出力する。
【0032】
[2.入力装置の動作]
次に、実施例に係る入力装置の動作について
図4から
図10を用い説明する。
図4は、実施例に係る入力装置におけるホールド解除動作の一例を示すフローチャートである。
図5は、ユーザによるステアリングの保持の一例を示す模式図である。
図6、
図8および
図11は、ユーザの指による入力部への接触の一例を示す模式図である。
図7、
図9および
図10はユーザの指による入力部への接触形状の一例を示す模式図である。
図12は、ホールド解除後の入力装置における表示の一例を示す模式図である。
【0033】
入力装置10のシステム制御部15は、通信部14を介して、走行関連情報を取得し、車両が走行状態になったと判定すると、操作対象20へのユーザが意図しない操作等を防ぐため、入力部11R、11Lの状態を、操作対象20への操作入力を受け付けないホールド状態に設定する。なお、カーナビゲーション装置22が直接の操作入力を受け付けないホールド状態になるようにしてもよい。ここで、走行状態の例として、車両の速度が所定の速度以上になった場合、ギアがドライブ状態になった場合等が挙げられる。
【0034】
このように、入力装置10のシステム制御部15は、入力部11を、操作入力を受け付け無いホールド状態に設定するホールド状態設定手段の一例として機能する。また、入力装置10のシステム制御部15は、接触の位置が複数箇所に分離可能な場合に、操作対象を操作するための操作入力を受け付ける状態に入力部を設定する入力部状態設定手段の一例として機能する。
【0035】
次に、
図4に示すように、入力装置10は、入力部11に接触したか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、入力装置10のシステム制御部15は、入力部11Rまたは入力部11Lに入力があったか否かを判定する。
【0036】
図5に示すように、入力部11に接触が無い場合(ステップS1;NO)、ステップS1に戻る。
【0037】
入力部11に接触があった場合(ステップS1;YES)、入力装置10は、入力部11における接触の位置情報を取得する(ステップS2)。具体的には、入力装置10のシステム制御部15は、入力部11R、11Lのユーザの指が接触している部分の接触領域の各画素のx座標およびy座標の位置情報を取得する。例えば、
図6に示すように、ユーザの親指の指5が、入力部11Rおよび入力部11Lに触れている場合、システム制御部15は、
図7に示すように、接触領域C1の各画素のx座標およびy座標の位置情報を取得する。また、
図8に示すように、ユーザの人差し指および中指の2本の指5が、入力部11Lに触れている場合、システム制御部15は、
図9に示すように、接触領域C2の各画素のx座標およびy座標の位置情報を取得する。
【0038】
このように、入力装置10のシステム制御部15は、ユーザからの入力を受け付ける入力部11の入力面が接触された接触の位置情報を取得する位置情報取得手段の一例として機能する。
【0039】
次に、入力装置10は、接触の位置情報から接触形状を算出する(ステップS3)。具体的には、入力装置10のシステム制御部15は、微分処理等の画像処理をして、接触領域の輪郭の情報を抽出する。
【0040】
次に、入力装置10は、接触の位置が分離可能か否かを判定する(ステップS4)。具体的には、入力装置10のシステム制御部15は、抽出された接触領域の輪郭から、接触の位置が分離可能か否かを判定する。例えば、
図9に示すように、システム制御部15は、接触領域C2の領域が2つに分かれている場合、接触の位置が分離可能と判定する。また、
図10に示すように、ユーザの指2本以上により、入力面が触れられ、接触領域C3の領域が2つに分かれている場合も、接触の位置が分離可能と判定する。一方、
図7の場合は、接触領域C1は1つの領域なので、接触の位置が分離可能でないと判定する。これらの場合、システム制御部15は、例えば、接触領域の輪郭の図形のトポロジーにより位相数を算出して、接触の位置が分離可能か否かを判定する。
【0041】
また、
図11に示すように、くびれがある接触領域C4の場合、システム制御部15は、接触領域C4の輪郭に対する曲率半径を算出し、曲率半径のグラフにピークまたはボトムが複数以上あるか等により、くびれがあると判定し、接触の位置が分離可能と判定する。また、システム制御部15は、種々の画像認識の方法により、接触の位置が分離可能か否かを判定してもよい。
【0042】
このように、入力装置10のシステム制御部15は、接触の位置情報に基づき、入力面における接触の位置が複数箇所に分離可能か否かを判定する分離判定手段の一例として機能する。また、入力装置10のシステム制御部15は、接触の位置情報から接触形状を算出し、当該接触形状に基づき入力部11における接触の位置が複数箇所に分離可能か否かを判定する分離判定手段の一例として機能する。
【0043】
接触の位置が分離可能でない場合(ステップS4;NO)、入力装置10は、ステップS1の処理に戻る。
【0044】
接触の位置が分離可能の場合(ステップS4;YES)、入力装置10は、ホールド状態を解除する(ステップS5)。具体的には、入力装置10のシステム制御部15は、入力部11R、11Lのホールド状態を解除し、操作入力が受け付けられる状態にする。例えば、
図12に示すように、システム制御部15は、入力部11Rの画面に操作入力を受け付けるための表示をする。なお、このとき、カーナビゲーション装置22のホールド状態を解除するように、入力装置10が通信部14を介して、カーナビゲーション装置22のホールド状態を解除する信号を送信してもよい。また、カーナビゲーション装置22の表示部22aに
図12に示すような表示ができるように、入力装置10が通信部14を介して、信号を送ってもよい。
【0045】
なお、ユーザの指が、入力部11Rにおける接触の位置が分離可能の場合、システム制御部15は、入力部11Rのホールド状態を解除せず、入力部11Lのみホールド状態を解除してもよい。
【0046】
このように、入力装置10のシステム制御部15は、接触の位置が複数箇所に分離可能な場合に、ホールド状態を解除して、操作入力を受け付ける状態に入力部11を設定する入力部状態設定手段の一例として機能する。
【0047】
次に、入力装置10は、操作入力を受け付ける(ステップS6)。具体的には、入力装置10のシステム制御部15は、入力部11R、11Lから、操作対象20への操作入力を受け付ける。例えば、
図12に示すように、入力部11Rにおいて、接触した位置に基づき、空調の温度を上げる、または、温度を下げるための操作入力を受け付ける。
【0048】
以上説明したように、実施例に係る動作によれば、移動体のステアリング30の表側に取り付けられ、操作対象を操作するための入力装置10において、ユーザからの入力を受け付ける入力部11の入力面が接触された接触の位置情報を取得し、接触の位置情報に基づき、入力面における接触の位置が複数箇所に分離可能か否かを判定し、接触の位置が複数箇所に分離可能な場合に、操作対象20を操作するための操作入力を受け付ける状態に入力部11を設定することにより、走行中、ユーザがステアリングを保持している間、例えば、ステアリングの表側に取り付けられた入力部11の入力面に、ユーザの親指1本が触れることに対して、2本以上の指が触れる場合は少ないので、移動体の走行中に、ユーザが意図しない操作の発生を防止できる。
【0049】
また、指5の接触の位置情報から接触形状を算出し、当該接触形状に基づき入力部11における接触の位置が複数箇所に分離可能か否かを判定する場合、様々な接触パターンに対応しやすくなる。
【0050】
入力部11を、操作入力を受け付け無いホールド状態に設定し、接触の位置が複数箇所に分離可能な場合に、ホールド状態を解除して、操作入力を受け付ける状態に入力部11を設定する場合、ホールド状態を解除の操作というワンクッションの操作が必要になるため、ユーザが意図しない操作の発生をより防止できる。
【0051】
なお、ステップS5のホールドの解除の処理を経ないで、ステップS6の操作入力を受け付けてもよい。例えば、操作対象20の一例の電話を受ける場合、電話が鳴り、入力部11R、11Lにユーザの指が2本以上触れた場合、ステップS5のホールドの解除の処理を経ないで、ステップS6の操作入力の受付の処理として、電話回線に接続できるようにしてもよい。また、走行中、渋滞情報等の確認画面がカーナビゲーション装置22の表示部22aに出た場合、ステップS5のホールドの解除の処理を経ないで、ステップS6の操作入力の受付の処理として、確認画面が消えるようにしてもよい。また、入力部11R、11Lにユーザの指が2本以上触れると、ホールド解除の処理を経ないで、空調装置等の設定温度が上がる、または、下がるようにしてもよい。
【0052】
[3. 入力装置の取り付けに関する変形例]
次に、入力装置の取り付けに関する変形例について、
図13および
図14を用いて説明する。
図13は、実施例に係る入力装置の取り付けの第1変形例を示す模式図である。
図14は、実施例に係る入力装置の取り付けの第2変形例を示す模式図である。
【0053】
図13に示すように、入力装置10の入力部11Uが、ステアリング本体部31の中央から図中下の部分のステアリング本体部31に取り付けられてもよい。入力部11Uの構成は、入力部11R、入力部11Lと同様である。
【0054】
この入力部11Uにユーザの指が複数以上触れた場合に、システム制御部15は、ホールド状態を解除する。
【0055】
なお、入力装置10が、入力部11Uのみを、ホールド状態を解除する入力部に設定してもよい。
【0056】
また、
図14に示すように、入力装置10が、カーナビゲーション装置22の表示部22aを、ホールド状態を解除する入力部に設定してもよい。この場合、カーナビゲーション装置22の表示部22aが、ユーザからの入力を受け付ける入力部の一例となる。
【0057】
この場合、ユーザの手がステアリングホイール部32から離れて、操作対象を操作するようにするため、移動体の走行中に、ユーザが意図しない操作の発生をより防止できる。