(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パーツパターンは、インクジェット捺染により捺染するものとし、このインクジェット捺染に用いる捺染プログラムに前記データ表示部の捺染データを組み込んで、1サイクルのインクジェット捺染により前記パーツパターンと前記データ表示部とを同時に生地に設けることを特徴とする請求項8記載のデータ表示部付き生地の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
裁断工程の開始時に、作業者による人為的な作業により各パーツパターンごとに裁断データ類をいちいちデータベースから選択し、裁断プログラムを生成する、という作業は面倒であり、作業効率が低い問題がある。また、裁断データの選択間違いが起こる問題もある。なお、一次元コードが印刷されたラベルから裁断データを読み取るという方法では、
裁断データの選択間違いを防止できる利点があるものの、ラベルの貼付作業やコードリーダーを用いた読み取り作業が要因となって、やはり、作業効率を十分に高められないという問題が残っていた。
【0006】
ところで、生地として、生地ロールから巻き出した帯状生地を用い、この生地の帯長手方向に沿って複数のパターン区画を想定し、各パターン区画ごとにパーツパターンを表示させることがある。最近になって、本出願人は、それぞれのパターン区画ごとに表示させるパーツパターンを異ならせることも視野に入れている。
言うまでもなく、パーツパターンを異ならせれば、選択すべき裁断データも異なってくるので、パターン区画ごと、場合によってはパーツパターンごとに裁断プログラムも組み直す必要がある。
【0007】
このように状況下にあって、全てのパーツパターンに個別に対応させるように、一次元コードが印刷されたラベルを貼付したり、それらのラベルをコードリーダーでいちいち読み取るようなことは、作業者による人為作業として実現性が乏しく、実行不可能と言わざるを得ない。
一方、裁断工程で切り出された生地パーツを下流の工程(縫製工程等)へ移送し、作業する場合には、各生地パーツに関するサイズや形状などの各種データを把握及び管理する必要がある。しかし、生地パーツとして切り出された時点で、当該生地パーツに関する個別情報は生地パーツと切り離されているので、このようなデータ管理はできない。
【0008】
そこで従来は、生地パーツの移送に用いるパレットやケースごとに情報カードを付帯させる、といった簡便な方式で対処していたのが実情である。それ故、面倒であると共に、情報カードの入れ間違いや紛失等が起こると、作業が滞ったり、作業ミスが生じたりする重大問題に繋がることもあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、裁断工程での裁断プログラム生成などのように、種々様々なデータを必要とするデータ管理を迅速、簡単且つ正確に実行できるようにして、衣類の製造など、全体工程にわたる生産能率の飛躍的な向上を図ることも可能にするデータ表示部付き生地及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るデータ表示部付き生地では、パーツパターンの表示領域として生地上に想定される複数のパターン区画に対してそれらの区画内又は区画外に、
前記パターン区画中での前記パーツパターンの特定情報を非接触で読み取り可能にする少なくとも一つのデータ表示部が設けられて
おり、前記生地は帯状に長く形成されたものとされ、複数の前記パターン区画は前記生地の帯長手方向に沿って互いに並んだ配置関係とされ、前記データ表示部は前記パーツパターンと重ならない位置に配置され、且つ前記データ表示部は二次元コードとされていることを特徴とする。
【0010】
具体的に、前記データ表示部は、前記パターン区画の外周部、前記パターン区画内に表示されるパーツパターンの外周部、前記パターン区画内に表示されるパーツパターン中であって切り抜きが予定される余白部
、のうちいずれか一つに配置されたものとすればよい。
前記パターン区画には複数のパーツパターンが分散配置されており、これら各パーツパターンに個別に割り当てて前記データ表示部が配置されているものとしてもよい。
【0011】
この場合、前記データ表示部は、各パーツパターンに付随させる除去予定位置又は接合予定位置に配置されているものとするのがよい。
前記生地の帯長手方向に沿って想定される各パターン区画ごとの前記データ表示部は、前記生地の帯長手方向で並んで整列配置されているものとするのがよい。
前記生地の帯幅方向に前記パターン区画が複数想定されるものとなっており、各パターン区画ごとに前記データ表示部が配置されているものとしてもよい。
【0012】
この場合、前記生地の帯幅方向に沿って想定される各パターン区画ごとの前記データ表示部は、前記生地の帯幅方向で並んで整列配置されているものとするのがよい。
前記データ表示部は、捺染により捺染された表示物としてもよい。
一方、本発明に係るデータ表示部付き生地の製造方法では、
帯状に長く形成された生地を準備し、前記生地上にその帯長手方向に沿って互いに並んだ配置関係でパーツパターンの表示領域とするパターン区画を想定すると共に、前記パターン区画中での前記パーツパターンの特定情報を非接触で読み取り可能にする少なくとも一つのデータ表示部を
二次元コードにより形成し、前記データ表示部を前記パーツパターンと重ならない配置としつつ前記パーツパターンの捺染と先行、後行、又は並行して設けることを特徴とする。
【0013】
前記パーツパターンは、インクジェット捺染により捺染するものとし、このインクジェット捺染に用いる捺染プログラムに前記データ表示部の捺染データを組み込んで、1サイクルのインクジェット捺染により前記パーツパターンと前記データ表示部とを同時に生地に設けるようにすればよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るデータ表示部付き生地及びその製造方法では、裁断工程での裁断プログラム生成などのように、種々様々なデータを必要とするデータ管理を迅速、簡単且つ正確に実行できるものであり、その結果、衣類の製造など、全体工程にわたる生産能率の飛躍的な向上を図ることも可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る生地1の第1実施形態を示している。本第1実施形態の生地1には、パーツパターン2(切り出そうとする生地パーツを柄状に表示させたもの)の特定情報を非接触で読み取り可能にする、少なくとも一つのデータ表示部3が設けられたものとなっている。この生地1には、パーツパターン2の表示領域として複数のパターン区画4が想定される。前記したデータ表示部3は、これら複数のパターン区画4に対し、それぞれ個別に少なくとも1つを対応させた配置となっている。
【0017】
生地1には、パーツパターン2が未だ設けられていない状態(無地)で生地1上にパターン区画4が想定され、且つデータ表示部3が設けられているものを含むものとする。
なお、このパターン区画4は、パーツパターン2を切り出すときに用いる生地裁断装置(図示略)が、その動作制御の中で設定する仮想的なもの(生地1の画像検出を行った場合に設定する計算上の領域や、コンピュータ画面などで設定する領域)としてもよいし、生地1に対して視覚的に認識できるように囲みライン状又はカラー領域状に表示したもの(レーザー光を照射して表示した囲みライン等を含む)としてもよい。
【0018】
このようなパターン区画4に対するデータ表示部3の具体的な配置は、パターン区画4の区画内に完全に収まる位置とすればよい。但し、パターン区画4の区画外であっても当該パターン区画4との関連性が一義的に特定できる程度に近接する位置としてあれば、問題となることはない。すなわち、データ表示部3はパターン区画4の区画外に配置してもよい。また更に、データ表示部3は、
図1に示したように、パターン区画4の区画ライン上に跨るように(区画内及び区画外へはみ出すように)設けてもよい。
【0019】
本第1実施形態において、生地1は生地ロールから巻き出された帯状生地としてあり、パターン区画4が、生地1の帯長手方向に沿って互いに隣接するように複数想定されるものとしてある。ここにおいて、生地1の帯長手方向は
図1の左右方向であり、生地1の帯幅方向は
図1の上下方向である。また本第1実施形態では、一つのパターン区画4に対して一つのパーツパターン2が表示されていると共に、一つのパターン区画4に対して一つ
のデータ表示部3が設けられている。
【0020】
生地1の帯長手方向に沿って想定される各パターン区画4ごとのデータ表示部3は、生地1の帯長手方向で並んで(一列に並んで)整列配置されている。すなわち、帯長手方向に平行する生地端のうち、少なくとも一方側からの距離が同じとなるように配置されている。
データ表示部3をこのような配置としておくことで、生地1(パターン区画4)の中からデータ表示部3を検出し、読み取る作業を迅速且つ確実に行えるようになる。
【0021】
データ表示部3は、
二次元コード(いわゆるQRコード(登録商標)等)であって、パーツパターン2を一義的に特定するような特定情報につき、この特定情報を非接触のまま読み取り可能にするものである
。このデータ表示部3は、インクジェット捺染の他、スクリーン捺染などの各種捺染方法でも捺染することができる。
データ表示部3を捺染するインクは特に限定されるものではない。例えば、パーツパターン2を捺染によって表示する場合であれば、パーツパターン2の捺染に用いるのと同種のインクを採用してデータ表示部3を捺染すればよい。
【0022】
その他、特定の光を当てたときだけ判別できるようになるインク(例えば、赤外線に対するステルスインクやブラックライトに対する蛍光塗料等)を採用してデータ表示部3を捺染することも可能である。このようなインクを用いると、特定の光を当てない限り、データ表示部3は不鮮明又は視認不能となるので、生地1又は切り出した後の生地パーツとしての外観性を向上させることができる。
【0023】
また、データ表示部3を捺染するインクとして、水溶性のインクを採用することも可能である。このようなインクを用いると、データ表示部3としての用途が終了した後には当該データ表示部3のみを洗い流せる(パーツパターン2は水洗後も残る)ので、生地1又は切り出した後の生地パーツとしての外観性を向上させることができるうえに、情報の流出を防止できる(秘匿性の確保)利点もある。
【0024】
データ表示部3を水溶性のインクで捺染する場合、データ表示部3は、パーツパターン2中の一部に配置するようにしてもよい。この場合、生地1(パターン区画4)からパーツパターン2の輪郭に一致又は沿わせるようにして生地パーツを切り出した後も、切り出された生地パーツに対してデータ表示部3を表示させておくことができることとなる。そのため、裁断工程の下流側(例えば縫製工程など)においても生地パーツの情報管理が行えるという画期的な効果を得ることができる。
【0025】
データ表示部3は、パーツパターン2を一義的に特定するための特定情報を有したものであれば、どのような情報であるかについては特に限定されるものではない。
例えば、データ表示部3は、生地1、又はパターン区画4の中でのパーツパターン2の配置(輪郭座標)を規定した裁断データ(生地裁断装置において裁断ヘッドを移動させるときに用いる座標データ)が多種蓄積されたデータベースから、特定のパーツパターン2に対応した裁断データを読み出すための情報(格納番地等)とすることができる。
【0026】
このような裁断データは、生地1(パターン区画4)からパーツパターン2の輪郭に一致又は沿わせるようにして生地パーツを切り出す際に、裁断プログラムを生成するためのものとして活用できる。
すなわち、裁断工程の開始時に、人為的又は機械的に、専用のコードリーダーやラインセンサカメラ等の画像処理機でデータ表示部3を読み取らせ、データベースに蓄積された多種の裁断データ類の中からパーツパターン2に適合する適正な裁断データを選び出して、プログラム装置で裁断プログラムを生成させる、といった使用が可能となる。
【0027】
その他、データ表示部3は、パーツパターン2の形状、サイズ、色や柄、分類、生地種などの直接的且つ具体的な情報としたり、当該情報をデータベースから読み出すための格納番地等の情報としたりすることもできる。
本第1実施形態では、生地1が帯状生地であって、その帯長手方向に複数のパターン区画4が並んで設けられたものとなっているが、各パターン区画4に設けるパーツパターン2は、それぞれ独自の判断で選出されたものとしてある。従って、隣り合うパターン区画4間で、パーツパターン2が同じである場合もあるし、異なる場合もある。当然に、パー
ツパターン2が同じである場合は、各パターン区画4に対応したデータ表示部3も同じ特定情報を有したものとされており、パーツパターン2が異なる場合は、各パターン区画4に対応したデータ表示部3も異なる特定情報を有したものとされている。
【0028】
このような構成であるので、切り出す生地パーツとして、他品種少量生産に柔軟に対応できることになる。例えば、切り出した生地パーツを用いて衣類を製作する場合、その衣類の購入者が、それぞれの所望するサイズや形状、柄などを要求するものとしても、各購入者のニーズに柔軟に応えることができるものである。
本発明に係る生地1を製造するには、パーツパターン2の表示領域として生地1上に想定されるパターン区画4の区画内又は区画外に、パーツパターン2の特定情報を非接触で読み取り可能にする少なくとも一つのデータ表示部3を、パーツパターン2の捺染と先行、後行、又は並行して設けるようにする。
【0029】
例えば、パーツパターン2及びデータ表示部3を同種のインクでインクジェット捺染により捺染する場合であれば、生地1に対して、パーツパターン2とデータ表示部3とを同時並行して捺染するようにすればよい。
この場合、パーツパターン2のインクジェット捺染に用いる捺染プログラムに対し、データ表示部3の捺染データを組み込んで、1サイクルのインクジェット捺染により、パーツパターン2とデータ表示部3とを生地1に捺染するようにする。但し、1サイクル中においては、パーツパターン2とデータ表示部3のいずれが先行、又は後行するかが限定されるものではなく、場合によっては同時並行させてもよい。
【0030】
一方、データ表示部3の捺染インクとして、特定の光を当てたときだけ判別できるインクや水溶性インクなどを用いる場合であれば、生地1に対してパーツパターン2を捺染するより前に、データ表示部3を先行して捺染するようにしてもよいし、反対に、パーツパターン2を捺染した後に、データ表示部3を後行して捺染するようにしてもよい。
[第2実施形態]
図2は、本発明に係る生地1の第2実施形態を示している。本第2実施形態も第1実施形態(
図1参照)と同様に、生地1は生地ロールから巻き出された帯状生地としてあり、パターン区画4が、生地1の帯長手方向に沿って互いに隣接するように複数想定されるものとしてある。
【0031】
加えて、本第2実施形態では、パターン区画4は、生地1の帯幅方向(
図2の上下方向)にも沿うように、互いに隣接して複数(図例では3区画)想定されるものとしてある。そして、一つのパターン区画4に対して一つのパーツパターン2が表示されていると共に、一つのパターン区画4に対して一つのデータ表示部3が設けられている。
そのため、生地1として、その帯幅が標準サイズを超えた広幅サイズのもの(例えば、1000mmを超えるようなサイズ)としてある。このように生地1の広幅化を行っていても、裁断作業の1サイクル内で多くの生地パーツを切り出すことができるようになるので、裁断作業の高能率化が可能となっている。
【0032】
生地1の帯幅方向に沿って想定される各パターン区画4ごとのデータ表示部3は、生地1の帯幅方向で並んで(一列に並んで)整列配置されている。すなわち、帯幅方向に沿うように(帯長手方向と略直交するように)大断ちされた生地端(
図2の左端側に示した生地先端)からの距離が同じとなるように配置されている。
データ表示部3をこのような配置としておくことで、生地1(パターン区画4)の中からデータ表示部3を検出し、読み取り作業を迅速且つ確実に行えるようになる。
【0033】
本第2実施形態では、前記したように生地1の帯長手方向だけでなく、帯幅方向にも複数のパターン区画4が並んで設けられている。従って、帯長手方向及び帯幅方向で隣り合う全てのパターン区画4について、パーツパターン2を、それぞれ独自の判断で選出されたものとすることができる。それ故、切り出す生地パーツとして、第1実施形態にも増して他品種少量生産に柔軟に対応できることになる。
【0034】
なお、帯長手方向及び帯幅方向で隣り合う全てのパターン区画4について、パーツパターン2を同じとすることも当然に可能である。
[第3実施形態]
図3は、本発明に係る生地1の第3実施形態を示している。本第3実施形態も第1実施形態(
図1参照)と同様に、生地1は生地ロールから巻き出された帯状生地としてあり、パターン区画4が、生地1の帯長手方向に沿って互いに隣接するように複数想定されるものとしてある。
【0035】
本第3実施形態では、生地1が広幅化されたもの(例えば、2000mm)として、生地1の帯幅方向(
図3の上下方向)で複数(図例では3つ)のパーツパターン2が分散配置されたものとしてある。但し、第2実施形態(
図2参照)とは異なり、生地1の帯幅方向に略対応するように(生地1の帯幅方向で並んだ全てのパーツパターン2を含めるように)パターン区画4が想定されている。そして、この一つのパターン区画4に対してデータ表示部3は一つだけ設けられている。図例では、パターン区画4の外周部にデータ表示部3が配置されたものとしてある。
【0036】
なお、このように設けられたデータ表示部3が裁断データを読み出すための情報とされる場合では、裁断データ(読み出されたデータ)の中に、各パターン区画4内に配置された全パーツパターン2の配置(輪郭座標)が組み合わされているものとする。
[第4実施形態]
図4は、本発明に係る生地1の第4実施形態を示している。本第4実施形態も第1実施形態(
図1参照)と同様に、生地1は生地ロールから巻き出された帯状生地としてあり、パターン区画4が、生地1の帯長手方向に沿って互いに隣接するように複数想定されるものとしてある。
【0037】
加えて、本第4実施形態も第2実施形態(
図2参照)と同様に、パターン区画4は、生地1の帯幅方向(
図4の上下方向)にも沿うように、互いに隣接して複数(図例では3区画)想定されるものとしてある。そして、一つのパターン区画4に対して一つのパーツパターン2が表示されていると共に、一つのパターン区画4に対して一つのデータ表示部3が設けられている。
【0038】
但し、本第4実施形態では、第2実施形態(
図2参照)とは異なり、パターン区画4内に表示されるパーツパターン2中であって、このパーツパターン2から切り抜きが予定される余白部5Aに対してデータ表示部3が配置されている。
なお、データ表示部3は、図示した余白部5Aとは別の余白部5Bや5Cに対して配置してもよいことは言うまでもない。
[第5実施形態]
図5は、本発明に係る生地1の第5実施形態を示している。本第5実施形態も第1実施形態(
図1参照)と同様に、生地1は生地ロールから巻き出された帯状生地としてあり、パターン区画4が、生地1の帯長手方向に沿って互いに隣接するように複数想定されるものとしてある。
【0039】
加えて、本第5実施形態も第2実施形態(
図2参照)や第4実施形態(
図4参照)と同様に、パターン区画4は、生地1の帯幅方向(
図5の上下方向)にも沿うように、互いに隣接して複数(図例では3区画)想定されるものとしてある。
但し、本第5実施形態では、一つのパターン区画4に対して複数(図例では3つ)のパーツパターン2A,2B,2Cが分散配置されたものとなっている。なお、一つのパターン区画4に対して一つのデータ表示部3が設けられている点は、第2実施形態(
図2参照)や第4実施形態(
図4参照)と同じである。
【0040】
各パターン区画4に表示されるパーツパターン2A,2B,2Cは、1着の衣類を構成するのに必要とされるものとしてグループ化されたものとすることができる。
[第6実施形態]
図6及び
図7は、本発明に係る生地1の第6実施形態を示している。本第6実施形態も第1実施形態(
図1参照)と同様に、生地1は生地ロールから巻き出された帯状生地としてあり、パターン区画4が、生地1の帯長手方向に沿って互いに隣接するように複数想定されるものとしてある。
【0041】
本第6実施形態も第3実施形態(
図3参照)と同様に、生地1が広幅化されたものとしてあり、生地1の帯幅方向に略対応するようにパターン区画4が想定されている。但し、
第3実施形態とは異なり、一つのパターン区画4に対して生地1の帯幅方向(
図6の上下方向)で複数(図例では3つ)のパーツパターン2が分散配置されているだけでなく、生地1の帯長手方向(
図6の左右方向)でも複数(図例では3つ)のパーツパターン2が分散配置されたものとしてある(帯幅方向の各パーツパターン2が、それぞれ2A,2B,2Cで構成されている)。すなわち、図例では一つのパターン区画4に対して総計で9つのパーツパターン2が分散配置されている。
【0042】
そして、それぞれのパーツパターン2に個別に割り当てるようにして、データ表示部3,3,3(それぞれが3A,3B,3Cによって構成)が配置されている。すなわち、一つのパターン区画4に対してデータ表示部3はパーツパターン2の配置数と同じ数が設けられている。
本第6実施形態では、各パーツパターン2の外周部にデータ表示部3が近接配置されたものとしてある。そのため、生地1(パターン区画4)からパーツパターン2の輪郭に一致又は沿わせるようにして生地パーツを切り出すときに、
図7に示すように、生地パーツ(パーツパターン2Aを切り出したものとして例示)に対し、データ表示部3Aが付随するように切り出すことができる。
【0043】
ここにおいて、パーツパターン2に対するデータ表示部3の配置(生地パーツに対するデータ表示部3の付随距離)をどの程度、近接させておくかについては、生地パーツにおいて「除去予定位置」であること、或いは「接合予定位置」であることを前提とする。殊に、「除去予定位置」とする場合、切り取り除去が簡単に行え且つ生地パーツを傷めない位置とすることが好適とされ、且つデータ表示部3の占有面積以外に、無駄な除去生地を可及的に生じさせない範囲とすることが好適とされる。
【0044】
なお、データ表示部3を切り取り除去する場合は、
図7に示すように、除去を容易にするために、生地パーツとの境界部分に切れ目7を設けたりミシン目(図示略)を設けたりするとよい。また、生地パーツの繊維目を意識して、データ表示部3の切り取りや引きちぎりが容易且つ綺麗に行える向きで、切れ目7やミシン目を設ける(パーツパターン2に対するデータ表示部3の配置を配慮する)のが好適である。
【0045】
このような第6実施形態であれば、切り出された生地パーツに付随するデータ表示部3により、裁断工程の下流側(例えば縫製工程など)においても、各生地パーツの情報管理が行えるようになり、極めて有益なものとなる。
また、データ表示部3としての用途(情報管理)が終了した後には、このデータ表示部3を切り取り除去したり、縫製時に接合部内へ隠したりすればよく、こうすることで生地パーツ又はこの生地パーツを用いて縫製した製品としての外観性を向上させることができるものである。また、情報の流出を防止できる(秘匿性の確保)利点もある。
【0046】
ところで、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、生地1の生地質や厚さ等は何ら限定されるものではなく、天然素材でも合繊素材でもよいし、場合によっては不織布等としてもよい。また広幅サイズであるか標準サイズであるかについても何ら限定されない。
【0047】
また生地1は、パターン区画4が互いに隣接するように複数想定される大きさを有するものであれば、帯状生地であることが限定されるものではなく、一枚生地(帯状生地の帯長手方向を所定長さに粗切りされたものを含む)としてもよい。この場合、本明細書中で説明した「帯長手方向」や「帯幅方向」は、それぞれ「一辺側」、「他辺側」と読み替えるものとする。
【0048】
言うまでもなくパーツパターン2の形状、大きさ、配置、配置数、データ表示部3の種類や配置、配置数などは何ら限定されない。
データ表示部3は、裁断プログラムの生成に用いることが限定されるものではなく、切り出された生地パーツとしての管理など、別の目的に用いることも可能である。
パーツパターン2の輪郭に一致又は沿わせるようにして生地パーツを切り出す場合のみならず、パーツパターン2を一部又は全部含ませるようにしつつ当該パーツパターン2との位置的関連を持たせて他の形状の生地パーツを切り出すような場合を含む。
【0049】
データ表示部3は、水溶性インクを用いた捺染により表示させる場合には、パーツパターン2中の一部に配置してもよい旨、説明した。しかし、水溶性インク以外の染料による捺染でデータ表示部3を捺染する場合であっても、パターン区画4内に表示されるパーツパターン2中の一部に(例えば、柄の一部として)、データ表示部3を配置するようにしてもよい
。
【0050】
パーツパターン2は捺染以外の表示方法によって表示することも可能である。例えば、生地1のベースとなる生地組織(編組織や織組織)に対してパーツパターン2の領域だけを異なる生地組織にしたり、或いは刺繍によって表示したりする方法等を採用することもできる。また情報を記憶させたICタグを生地1に対して貼り付けたり、生地組織中へ埋め込んだりするようにしてもよい。