特許第5902523号(P5902523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902523
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】液化ガス輸送用車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/22 20060101AFI20160331BHJP
   F17C 7/02 20060101ALI20160331BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   B60P3/22 Z
   F17C7/02
   B65D88/12 F
   B65D88/12 X
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-67972(P2012-67972)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-199176(P2013-199176A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(72)【発明者】
【氏名】吉野 明
(72)【発明者】
【氏名】國谷 晋吾
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−067175(JP,U)
【文献】 特開平07−304379(JP,A)
【文献】 特開2007−046714(JP,A)
【文献】 実開昭57−003683(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3163449(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3134673(JP,U)
【文献】 特開2005−349891(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3156582(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/22
B65D 88/12
F17C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを収容するタンクと、このタンク内の上記液化ガスを外部に送出する電動ポンプと、それ自体の駆動輪に回転力を与えるエンジンと、そのエンジンに直列に接続され上記駆動輪に回転力を与える発電機能付き動力モータと、その発電機能付き動力モータで発電した電気を蓄電する機能および上記発電機能付き動力モータに電力を供給する機能を有する電池とを備えた液化ガス輸送用車両であって、上記電動ポンプを駆動するための電源を、上記電池と別に搭載したことを特徴とする液化ガス輸送用車両。
【請求項2】
上記電源が、蓄電池およびキャパシタの少なくとも一方である請求項1記載の液化ガス輸送用車両。
【請求項3】
上記電源への電力供給が、上記液化ガス輸送用車両に搭載されたエンジンを利用して駆動される発電機能付き動力モータ、および上記液化ガス輸送用車両の外部に設けられた充電器のいずれか一方によって行われる請求項1記載の液化ガス輸送用車両。
【請求項4】
上記液化ガス輸送用車両自体が、駆動力と、上記タンクを搭載した荷台とを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の液化ガス輸送用車両。
【請求項5】
上記液化ガス輸送用車両が、駆動力を有する牽引車と、この牽引車に牽引される、駆動力を有さない台車と、この台車に載置された、上記タンクを収容したコンテナとからなり、上記電動ポンプが上記台車に搭載され、上記電源が上記牽引車または上記コンテナに搭載されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の液化ガス輸送用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス等の液化ガスを輸送するタンクローリ等の液化ガス輸送用車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体窒素,液体酸素,液体アルゴン,液化天然ガス(LNG),液化石油ガス(LPG)等の液化ガスは、その液化ガスを製造する製造所から、その液化ガスを必要とする企業等の需要者まで、様々な輸送手段で輸送される。その輸送手段の一つとして、例えば、タンクローリ等の液化ガス輸送用車両があげられる。その液化ガス輸送用車両は、図15(a)に示すように、液化ガスを収容するタンクTと、このタンクT内の液化ガスを外部に送出する電動ポンプPとを備えている。その電動ポンプPは、ポンプ本体P0 と、そのポンプ本体P0 を駆動する駆動モータM0 とからなっている。なお、図15(a)において、符号Eは、駆動輪(タイヤ)Wに回転力を与えるエンジン、符号Gは、そのエンジンEの動力を利用して駆動する発電機(オルタネータ)、符号B0 は、その発電機(オルタネータG)と電気的に接続され(図の破線1参照)、その発電機(オルタネータG)で発電した電気を蓄電する鉛蓄電池(バッテリ)である。
【0003】
また、このような、エンジンEのみで駆動する上記液化ガス輸送用車両の他に、最近では、図15(b)に示すような、プラグインハイブリッドを採用する液化ガス輸送用車両も提案されている。このものは、エンジンEと動力モータM1 とが直列に接続され、そのいずれかまたは両方の動力により、駆動輪(タイヤ)Wに回転力を与えるようになっている。上記動力モータM1 は、リチウムイオン二次電池B1 と電気的に接続され(図の破線2参照)、そのリチウムイオン二次電池B1 からの電力により回転駆動するようになっている。また、上記動力モータM1 が駆動輪(タイヤ)Wに回転力を与えていない状態でも、その動力モータM1 は、エンジンEの回転を利用して回転しており、その回転により、発電するようになっている(発電機として作用する)。さらに、ブレーキ時でも、上記動力モータM1 は、回生エネルギーを得るよう発電する(発電機として作用する)ようになっている。そして、それらにより発電した電気は、上記リチウムイオン二次電池B1 に蓄電されるようになっている。なお、液化ガスを収容するタンクTおよびこのタンクT内の液化ガスを外部に送出する電動ポンプPは、図15(a)に示す上記液化ガス輸送用車両と同様である。
【0004】
上記液化ガス輸送用車両による液化ガスの輸送は、つぎのようにして行われる。すなわち、まず、上記製造所において、製造された液化ガスを上記液化ガス輸送用車両のタンクTに充填する。ついで、その液化ガス輸送用車両を上記需要者(企業等)が所有する貯蔵所まで走行させる。その後、その貯蔵所において、上記電動ポンプPの駆動モータM0 と、その貯蔵所に備えられている電源(交流電源)20とを電気的に接続し〔図15(a),(b)に示す一点鎖線21参照、上記電動ポンプPを駆動させ(例えば、特許文献1の図2参照)、上記液化ガス輸送用車両のタンクT内の液化ガスを送出し、上記貯蔵所の貯蔵タンクに移す。このようにして、液化ガスの輸送が完了する。
【0005】
一方、上記液化ガス輸送用車両として、上記電動ポンプPを備えていないもの(加圧式のもの)も、従来より用いられている。この液化ガス輸送用車両でのタンクT内の液化ガスの送出は、そのタンクT内の圧力を上げ、上記貯蔵所の貯蔵タンク内の圧力を下げ、両者の圧力差を利用して行われる。そして、その送出を終えた後は、液化ガス輸送用車両のタンクT内の圧力を元の状態(大気圧程度)に下げ、上記貯蔵所の貯蔵タンク内の圧力を元の状態に上げることが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−237877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、貯蔵所によっては、上記電動ポンプPを駆動させるのに充分な電力が得られない場合がある。すなわち、貯蔵所に、そもそも電源20が備えられていなかったり、電源20が備えられていたとしても、電力が他の用途に使用されているために上記電動ポンプPの駆動に不充分であったり、停電や天災等により電源20を利用することができなかったりする場合があるからである。そのような場合、上記電動ポンプPを備えた液化ガス輸送用車両では、タンクT内の液化ガスを送出することができず、上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すことができない。
【0008】
一方、上記電動ポンプPを備えていない(加圧式の)液化ガス輸送用車両では、上記のように、タンクT内の液化ガスを送出するのに外部からの電力が不要であるため、上記貯蔵所において電力を確保することができなくても、上記タンクT内の液化ガスを上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すことができる。しかしながら、上記のように、タンクT内の液化ガスを送出す際に、そのタンクT内の圧力を上げ、その送出を終えた後は、そのタンクT内の圧力を下げる必要があるため、その送出完了に時間を要する。しかも、上記タンクT内の圧力を上げる必要性から、その昇圧に耐えるよう上記タンクTの周壁を厚くする必要がある。そのため、上記タンクTの重量が増加し、その分、そのタンクT内に収容できる液化ガスの量が少なくなり(車両による輸送では積載重量に規制がある)、輸送効率の点で劣る。また、上記液化ガスを送出している時間は、上記貯蔵所の貯蔵タンク内の圧力を下げる必要があるため、その貯蔵タンクから液化ガスの供給を受けることができない。その液化ガスの供給を止められない場合には、切り換え用の貯蔵タンクを別に追加する必要がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、液化ガス輸送用車両で輸送された液化ガスを貯蔵する貯蔵所において電力を確保することができなくても、上記液化ガス輸送用車両自体に搭載された電動ポンプを利用して液化ガスを上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すことができ、また、搭載する液化ガス収容タンクや上記貯蔵タンクの内圧を昇降する必要のない液化ガス輸送用車両の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の液化ガス輸送用車両は、液化ガスを収容するタンクと、このタンク内の上記液化ガスを外部に送出する電動ポンプと、それ自体の駆動輪に回転力を与えるエンジンと、そのエンジンに直列に接続され上記駆動輪に回転力を与える発電機能付き動力モータと、その発電機能付き動力モータで発電した電気を蓄電する機能および上記発電機能付き動力モータに電力を供給する機能を有する電池とを備えた液化ガス輸送用車両であって、上記電動ポンプを駆動するための電源を、上記電池と別に搭載したという構成をとる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液化ガス輸送用車両は、電動ポンプ駆動用の電源を搭載しているため、その電源を利用して電動ポンプを駆動させ、タンク内の液化ガスを送出することができる。これにより、貯蔵所において電力を確保することができなくても、輸送された液化ガスを、上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すことができる。また、上記電動ポンプを備えていなかった従来の加圧式のものに、上記電動ポンプと上記電源とを搭載すると、上記のように、上記電源を利用して上記電動ポンプを駆動させ、上記タンク内の液化ガスを送出することができるようになるため、液化ガスを収容する上記タンクや上記貯蔵所の貯蔵タンクの内圧を昇降する必要がない。そのため、上記液化ガスの送出に要する時間を短縮することができる。また、上記液化ガスを送出している時間でも、上記需要者(企業等)の貯蔵タンク内の圧力を下げる必要がなく、その貯蔵タンクから液化ガスを供給することもでき、切り換え用の貯蔵タンクを追加する必要もない。
【0012】
特に、上記電源が、蓄電池およびキャパシタの少なくとも一方である場合には、液化ガスの製造所等に設けた充電器や液化ガス輸送用車両に搭載された発電機(オルタネータ)等から、上記電源に充電することができる。
【0013】
また、上記電源への電力供給が、上記液化ガス輸送用車両に搭載されたエンジンを利用して駆動される発電機能付き動力モータ、および上記液化ガス輸送用車両の外部に設けられた充電器のいずれか一方によって行われる場合には、走行中に上記発電機能付き動力モータから、停車中に液化ガスの製造所等に設けた上記充電器から、上記電源に充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の液化ガス輸送用車両の第1参考形態を模式的に示す説明図である。
図2】本発明の液化ガス輸送用車両の第参考形態を模式的に示す説明図である。
図3】本発明の液化ガス輸送用車両の第の実施の形態を模式的に示す説明図である。
図4】本発明の液化ガス輸送用車両の第参考形態を模式的に示す説明図である。
図5】本発明の液化ガス輸送用車両の第4参考形態を模式的に示す説明図である。
図6】本発明の液化ガス輸送用車両の第5参考形態を模式的に示す説明図である。
図7】本発明の液化ガス輸送用車両の第参考形態を模式的に示す説明図である。
図8】本発明の液化ガス輸送用車両の第の実施の形態を模式的に示す説明図である。
図9】本発明の液化ガス輸送用車両の第の実施の形態を模式的に示す説明図である。
図10】本発明の液化ガス輸送用車両の第参考形態を模式的に示す説明図である。
図11】本発明の液化ガス輸送用車両の第8参考形態を模式的に示す説明図である。
図12】本発明の液化ガス輸送用車両の第の実施の形態を模式的に示す説明図である。
図13】本発明の液化ガス輸送用車両の第9参考形態を模式的に示す説明図である。
図14】本発明の液化ガス輸送用車両の第の実施の形態を模式的に示す説明図である。
図15】従来の液化ガス輸送用車両を模式的に示す説明図であり、(a)はエンジン駆動車両を示し、(b)はプラグインハイブリッド車両を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0016】
図1は、本発明の液化ガス輸送用車両の第1参考形態を示している。この参考形態の液化ガス輸送用車両は、図15(a)に示す従来の液化ガス輸送用車両に、既設の電動ポンプPを駆動させるための電源としてリチウムイオン二次電池B2 を搭載し、既設の発電機(オルタネータG)に電気的に接続した(図の破線3参照)ものである。また、上記リチウムイオン二次電池B2 は直流電源であるのに対し、上記既設の電動ポンプPの駆動モータM0 は、交流電源用であるため、上記リチウムイオン二次電池B2 と上記電動ポンプPの駆動モータM0 との間に、インバータを含む制御装置Cを設け、その制御装置Cを上記リチウムイオン二次電池B2 と上記電動ポンプPの駆動モータM0 とに電気的に接続している(図の破線4,5参照)。それ以外の部分は、図15(a)に示す従来の液化ガス輸送用車両と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。なお、この参考形態の液化ガス輸送用車両は、それ自体が、駆動力(駆動輪W)と、液化ガス収容タンクTを搭載した荷台Nとを有するものである。
【0017】
この第1参考形態の液化ガス輸送用車両による液化ガスの輸送方法の一例について説明する。この例では、液化天然ガス等の液化ガスを製造する製造所に、予め、電気自動車用の充電器10を設置しておく。そして、まず、上記製造所において、製造された液化ガスを上記液化ガス輸送用車両のタンクTに充填するとともに、上記充電器10で上記リチウムイオン二次電池B2 を充電する(図の二点鎖線11参照)。ついで、その液化ガス輸送用車両を上記液化ガスの需要者(企業等)が所有する貯蔵所まで走行させる。この走行中において、上記発電機(オルタネータG)で発電された電気を、上記既設の鉛蓄電池(バッテリ)B0 および上記リチウムイオン二次電池B2 に蓄電する。その後、その貯蔵所において、上記リチウムイオン二次電池B2 の電力により上記電動ポンプPを駆動させ、上記液化ガス輸送用車両のタンクT内の液化ガスを送出し、上記貯蔵所の貯蔵タンクに移す。このようにして、液化ガスの輸送が完了する。
【0018】
このように、この第1参考形態の液化ガス輸送用車両では、上記貯蔵所の電源20〔図15(a)参照〕を利用することなく、この車両自体に搭載した上記リチウムイオン二次電池B2 の電力を利用して、輸送してきた液化ガスを上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すことができる。なお、上記リチウムイオン二次電池B2 は、上記製造所での充電器10による充電と、走行中での発電機(オルタネータG)の発電による蓄電との両方により、充電率を100%にすることが好ましい。
【0019】
より詳しく説明すると、上記リチウムイオン二次電池B2 としては、例えば、電気自動車用のもの(例えば、GSユアサ社製のLEV50)等があげられる。
【0020】
上記リチウムイオン二次電池B2 を充電する充電器10としては、例えば、電気自動車用のもの等があげられ、急速充電器(例えば、高砂製作所社製のTQVC500M3またはTQVC200M3)でもよいし、普通の充電速度の普通充電器でもよい。
【0021】
上記制御装置Cのインバータとしては、例えば、一般産業用のもの等があげられる。
【0022】
上記既設の電動ポンプPの駆動モータM0 は、上記液化ガス輸送用車両のタンクTの容量に応じて、7.5〜30kW程度のものが用いられており、例えば、東芝社製のFCKLW21等があげられる。
【0023】
図2は、本発明の液化ガス輸送用車両の第参考形態を示している。この参考形態の液化ガス輸送用車両は、図1に示す第1参考形態の液化ガス輸送用車両において、既設の鉛蓄電池(バッテリ)B0 を取り外し、発電機(オルタネータG)で発電された電気を上記リチウムイオン二次電池B2 のみに蓄電するようにしたものである。それ以外の部分は、上記第1参考形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0024】
そして、液化ガスの輸送については、この第参考形態においても、上記第1参考形態と同様、上記貯蔵所において、上記電動ポンプPの駆動に上記リチウムイオン二次電池B2 の電力が利用され、上記貯蔵所の電源20〔図15(a)参照〕を利用することなく、輸送してきた液化ガスを上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すことができる。
【0025】
図3は、本発明の液化ガス輸送用車両の第の実施の形態を示している。この実施の形態の液化ガス輸送用車両は、図15(b)に示すプラグインハイブリッドを採用する液化ガス輸送用車両に、既設の電動ポンプPを駆動させるための電源として第2のリチウムイオン二次電池B2 を搭載するとともに、その第2のリチウムイオン二次電池B2 に既設の発電機(動力モータM1 )を電気的に接続した(図の破線6参照)ものである。なお、駆動輪(タイヤ)Wに回転力を与える動力モータM1 用の既設の(第1の)リチウムイオン二次電池B1 も、上記電動ポンプP用の第2のリチウムイオン二次電池B2 も、前記電気自動車用のもの(例えば、GSユアサ社製のLEV50)等が用いられる。
【0026】
そして、この第の実施の形態の液化ガス輸送用車両による液化ガスの輸送方法の一例としては、まず、上記製造所において、製造された液化ガスを上記液化ガス輸送用車両のタンクTに充填するとともに、上記充電器10で上記第1および第2のリチウムイオン二次電池B1 ,B2 を充電する(図の二点鎖線11参照)。ついで、その液化ガス輸送用車両を上記液化ガスの需要者(企業等)が所有する貯蔵所まで走行させ、この走行中に、上記発電機(動力モータM1 )で発電された電気を、上記第1および第2のリチウムイオン二次電池B1 ,B2 に蓄電する。その後、その貯蔵所において、上記第2のリチウムイオン二次電池B2 からの電力により上記電動ポンプPを駆動させ、上記液化ガス輸送用車両のタンクT内の液化ガスを送出し、上記貯蔵所の貯蔵タンクに移す。このようにして、液化ガスの輸送が完了する。
【0027】
このように、この第の実施の形態においても、上記貯蔵所の電源20〔図15(b)参照〕を利用することなく、搭載した上記第2のリチウムイオン二次電池B2 の電力を利用して、輸送してきた液化ガスを上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すことができる。なお、上記第2のリチウムイオン二次電池B2 は、上記製造所での充電器10による充電と、走行中での発電機(動力モータM1 )の発電による蓄電との両方により、充電率を100%にすることが好ましい。
【0028】
図4は、本発明の液化ガス輸送用車両の第参考形態を示している。この参考形態の液化ガス輸送用車両は、図3に示す第の実施の形態の液化ガス輸送用車両において、既設の第1のリチウムイオン二次電池B1 を取り外し、発電機(動力モータM1 )で発電された電気を上記第2のリチウムイオン二次電池B2 のみに蓄電するようにしたものである。それ以外の部分は、上記第の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0029】
そして、液化ガスの輸送については、この第参考形態においても、上記第の実施の形態と同様、上記貯蔵所において、上記電動ポンプPの駆動に上記第2のリチウムイオン二次電池B2 の電力が利用され、上記貯蔵所の電源20〔図15(b)参照〕を利用することなく、輸送してきた液化ガスを上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すことができる。
【0030】
図5は、本発明の液化ガス輸送用車両の第4参考形態を示している。この参考形態の液化ガス輸送用車両は、エンジンEおよび駆動力(駆動輪W)を有するトラクタヘッド(牽引車)Kと、このトラクタヘッドKに牽引される、駆動力を有さないトレーラシャシ(台車)Dと、このトレーラシャシDに載置された、上記タンクTおよび上記電動ポンプPを収容したコンテナSとを備えた従来の液化ガス輸送用車両に、その電動ポンプPの電源となる上記リチウムイオン二次電池B2 を上記コンテナSに搭載したものである。それ以外の部分は、上記第1参考形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、上記第1参考形態と同様の作用・効果を奏する。
【0031】
図6は、本発明の液化ガス輸送用車両の第5参考形態を示している。この参考形態の液化ガス輸送用車両は、図5に示す第4参考形態の液化ガス輸送用車両において、上記リチウムイオン二次電池B2 を上記トラクタヘッドKに搭載したものである。それ以外の部分は、上記第4参考形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、上記第4参考形態と同様の作用・効果を奏する。
【0032】
図7は、本発明の液化ガス輸送用車両の第参考形態を示している。この参考形態の液化ガス輸送用車両は、図6に示す第5参考形態の液化ガス輸送用車両において、既設の鉛蓄電池(バッテリ)B0 を取り外し、発電機(オルタネータG)で発電された電気を上記リチウムイオン二次電池B2 のみに蓄電するようにしたものである。それ以外の部分は、上記第5参考形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0033】
図8は、本発明の液化ガス輸送用車両の第の実施の形態を示している。この実施の形態の液化ガス輸送用車両は、プラグインハイブリッドを採用する液化ガス輸送用車両であり、エンジンE,動力モータM1 ,動力モータM1 用の既設の(第1の)リチウムイオン二次電池B1 および駆動力(駆動輪W)を有するトラクタヘッドKと、このトラクタヘッドKに牽引される、駆動力を有さないトレーラシャシDと、このトレーラシャシDに載置された、上記タンクTおよび上記電動ポンプPを収容したコンテナSとを備えた液化ガス輸送用車両に、その電動ポンプPの電源となる(第2の)リチウムイオン二次電池B2 を上記コンテナSに搭載するとともに、その第2のリチウムイオン二次電池B2 に既設の発電機(動力モータM1 )を電気的に接続したものである。それ以外の部分は、上記第の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、上記第の実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0034】
図9は、本発明の液化ガス輸送用車両の第の実施の形態を示している。この実施の形態の液化ガス輸送用車両は、図8に示す第の実施の形態の液化ガス輸送用車両において、上記リチウムイオン二次電池B2 を上記トラクタヘッドKに搭載したものである。それ以外の部分は、上記第の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、上記第の実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0035】
図10は、本発明の液化ガス輸送用車両の第参考形態を示している。この参考形態の液化ガス輸送用車両は、図9に示す第の実施の形態の液化ガス輸送用車両において、既設の第1のリチウムイオン二次電池B1 を取り外し、発電機(動力モータM1 )で発電された電気を上記第2のリチウムイオン二次電池B2 のみに蓄電するようにしたものである。それ以外の部分は、上記第の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0036】
図11は、本発明の液化ガス輸送用車両の第8参考形態を示している。この参考形態の液化ガス輸送用車両は、図15(a)に示す従来の液化ガス輸送用車両に、既設の電動ポンプPを駆動させるための電源としてリチウムイオン二次電池B2 を搭載したものである〔すなわち、図1に示す第1参考形態において、上記リチウムイオン二次電池B2 と既設の発電機(オルタネータG)とを電気的に接続していないものである〕。それ以外の部分は、図15(a)に示す従来の液化ガス輸送用車両と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0037】
そして、液化ガスの輸送については、まず、上記第1参考形態と同様、上記製造所において、製造された液化ガスを上記液化ガス輸送用車両のタンクTに充填するとともに、上記充電器10で上記リチウムイオン二次電池B2 を充電する(図の二点鎖線11参照)。そして、上記貯蔵所において、上記電動ポンプPの駆動に上記リチウムイオン二次電池B2 の電力が利用され、上記貯蔵所の電源20〔図15(a)参照〕を利用することなく、輸送してきた液化ガスを上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すことができる。
【0038】
図12は、本発明の液化ガス輸送用車両の第の実施の形態を示している。この実施の形態の液化ガス輸送用車両は、図15(b)に示す従来の液化ガス輸送用車両に、既設の電動ポンプPを駆動させるための電源として第2のリチウムイオン二次電池B2 を搭載したものである〔すなわち、図3に示す第の実施の形態において、上記第2のリチウムイオン二次電池B2 と既設の発電機(動力モータM1 )とを電気的に接続していないものである〕。それ以外の部分は、図15(b)に示す従来の液化ガス輸送用車両と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0039】
そして、液化ガスの輸送については、まず、上記第の実施の形態と同様、上記製造所において、製造された液化ガスを上記液化ガス輸送用車両のタンクTに充填するとともに、上記充電器10で上記第1および第2のリチウムイオン二次電池B1 ,B2 を充電する(図の二点鎖線11参照)。そして、上記貯蔵所において、上記電動ポンプPの駆動に上記第2のリチウムイオン二次電池B2 の電力が利用され、上記貯蔵所の電源20〔図15(a)参照〕を利用することなく、輸送してきた液化ガスを上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すことができる。
【0040】
図13は、本発明の液化ガス輸送用車両の第9参考形態を示している。この参考形態の液化ガス輸送用車両は、図5に示す第4参考形態において、リチウムイオン二次電池B2 と既設の発電機(オルタネータG)とを電気的に接続していないものである(すなわち、従来のトレーラ型の液化ガス輸送用車両に、既設の電動ポンプPを駆動させるための電源として上記リチウムイオン二次電池B2 を搭載したものである)。それ以外の部分は、上記第4参考形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、上記第8参考形態と同様にして、液化ガスの輸送を行うことができる。
【0041】
図14は、本発明の液化ガス輸送用車両の第の実施の形態を示している。この実施の形態の液化ガス輸送用車両は、図8に示す第の実施の形態において、第2のリチウムイオン二次電池B2 と既設の発電機(動力モータM1 )とを電気的に接続していないものである(すなわち、プラグインハイブリッドを採用するトレーラ型の液化ガス輸送用車両に、既設の電動ポンプPを駆動させるための電源として上記第2のリチウムイオン二次電池B2 を搭載したものである)。それ以外の部分は、上記第の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、上記第の実施の形態と同様にして、液化ガスの輸送を行うことができる。
【0042】
なお、上記各実施の形態および各参考形態では、電動ポンプPの電源として、リチウムイオン二次電池B2 を用いたが、充電も放電も可能なものであれば、他の電源でもよく、例えば、ニッケル水素二次電池を用いてもよいし、キャパシタを用いてもよいし、それら二次電池とキャパシタの両方を併用してもよい。
【0043】
また、上記各実施の形態および各参考形態では、電動ポンプPの駆動モータM0 として、既設の交流電源用のものを用いたが、その駆動モータM0 の電源としてリチウムイオン二次電池(直流電源)B2 を利用することから、その駆動モータM0 を直流電源用のものに換えてもよい。この場合、駆動モータM0 に電気的に接続されている制御装置Cに、交流・直流変換器は不要となる。そして、上記直流電源用の駆動モータM0 としては、例えば、明電舎社製のYCD221/101,YCD221/231,またはピューズ社製のLW15等があげられる。
【0044】
さらに、上記各実施の形態および各参考形態では、液化ガスの製造所に、リチウムイオン二次電池B2 を充電するための充電器10を設置したが、設置しなくてもよい。その場合は、走行中における発電機(オルタネータG,動力モータM1 )での発電により、上記リチウムイオン二次電池B2 を充電するようにする。
【0045】
また、上記第の実施の形態および第4参考形態では、電動ポンプPの電源となるリチウムイオン二次電池B2 をコンテナSに搭載し、上記第の実施の形態および第5,第6参考形態では、そのリチウムイオン二次電池B2 をトラクタヘッドKに搭載したが、それら第2,第3の実施の形態および第4〜第6参考形態では、上記リチウムイオン二次電池B2 をトレーラシャシDに搭載してもよい。
【0046】
つぎに、実施例について説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
【実施例】
【0047】
参考例1〕
〔液化ガス輸送用車両〕
日野自動車社製のエンジン駆動のトラック(20トン車)に、容量13000リットルのタンクと、電動ポンプ(駆動モータ:東芝社製、FCKLW21)とを備えた従来の液化ガス輸送用車両に、図1に示す第1参考形態と同様にして、上記電動ポンプ用の電源としてリチウムイオン二次電池(GSユアサ社製、LEV50)およびインバータを含む制御装置を搭載した。
【0048】
〔液化ガスの輸送〕
液化天然ガスを製造する製造所において、製造された液化天然ガスを上記液化ガス輸送用車両のタンクに充填するとともに、急速充電器(高砂製作所社製、TQVC500M3)で上記リチウムイオン二次電池を、充電率が80%となるよう充電した。ついで、その液化ガス輸送用車両を需要者の貯蔵所まで300km走行させた。この走行中に、上記液化ガス輸送用車両に既設の発電機(オルタネータ)の発電により、上記リチウムイオン二次電池は充電され、充電率が100%となった。その後、上記貯蔵所において、上記リチウムイオン二次電池の電力により上記電動ポンプを駆動させ、上記液化ガス輸送用車両のタンク内の液化ガスを送出し、上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すことができた。この輸送完了時における上記リチウムイオン二次電池の充電率は20%であった。
【0049】
〔参考例
また、上記参考例1において、既設の鉛蓄電池(バッテリ)を取り外し、上記発電機(オルタネータ)で発電された電気を上記リチウムイオン二次電池のみに蓄電するようにした(図2に示す第参考形態参照)。このような液化ガス輸送用車両を用いて、上記参考例1と同様にして液化ガスを輸送した。その結果、上記電動ポンプの駆動に、上記貯蔵所の電源を利用するのではなく、上記リチウムイオン二次電池の電力を利用して、輸送してきた液化ガスを上記貯蔵所のタンクに移すことができた。また、上記液化ガス輸送用車両のタンクから上記貯蔵所の貯蔵タンクに移すのに、約70分の時間を要したが、従来の加圧式の場合の約90分よりも時間を短縮できた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、輸送先の貯蔵所での電源確保を心配することなく、液化ガスを輸送することのできる液化ガス輸送用車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
2 リチウムイオン二次電池
P 電動ポンプ
T タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15