(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弁手段は、前記第1の状態および第2の状態を形成するように前記蒸発部と前記第1の溶媒溜め部との間、前記蒸発部と前記第2の溶媒溜め部との間、前記第1の溶媒溜め部と前記ポンプ手段との間および前記第2の溶媒溜め部と前記ポンプ手段との間を開閉すべく制御されることを特徴とする請求項1記載の溶媒回収装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係わる溶媒回収装置の構成を示す図である。同図に示す溶媒回収装置1は、溶媒に溶質を溶解した溶液から溶媒を蒸発させるRE(Rotary Evaporator:回転蒸発器)部3と、この蒸発した溶媒を回収する溶媒回収部5とから構成されている。
【0020】
RE部3は、溶媒に溶質を溶解した溶液を入れる容器であるナスフラスコ31を有し、このナスフラスコ31の細長く斜め上方に伸びた上端は、同様に斜め上方に伸びた連結管33の下端に連結され、この連結管33の途中には、トラップ球35が設けられている。このトラップ球35は、ナスフラスコ31内に入れられた溶液が後述するように加熱されて蒸発する場合に沸点以上の温度に過熱されて突沸して上昇してくる過激な蒸気を捕捉するためのものである。
【0021】
トラップ球35を通過した連結管33の斜め上方に伸びた上端には、回転駆動用モータ37が連結され、この回転駆動用モータ37で連結管33が回転駆動されるが、この連結管33の回転によりナスフラスコ31も同様に回転駆動されるようになっている。また、回転駆動用モータ37は、上下動駆動装置39に連結され、この上下動駆動装置39により矢印101で示すように上下動するようになっている。そして、この上下動駆動装置39による回転駆動用モータ37の上下動は、連結管33、トラップ球35を介してナスフラスコ31に伝達され、ナスフラスコ31も同様に矢印102で示すように上下動するようになっている。
【0022】
回転駆動用モータ37を貫通した連結管33の上端は、大径の連結管41の下端に連結され、この連結管41の上端は、溶媒回収部5に伸びる連結管43の一端に連結され、これにより後述するようにナスフラスコ31内の溶液から蒸発した溶媒がナスフラスコ31から連結管33、トラップ球35、連結管41、連結管43を介して溶媒回収部5に送り込まれるようになっている。なお、連結管41には、コック45が取り付けられ、このコック45のトグル切替操作によるオンオフにより連結管41が選択的に大気から遮断されたり、大気に開放するようになっている。そして、コック45により連結管41が大気に開放された場合には、連結管43を介して溶媒回収部5内を減圧解除するようになっている。すなわち、コック45は、溶媒回収部5内に対する減圧のオン/オフを行うものである。また、このコック45の操作によりナスフラスコ31を取り外すことができるようになっている。
【0023】
ナスフラスコ31の下方には、恒温水槽47が設けられているが、ナスフラスコ31が上下動駆動装置39により下降すると、ナスフラスコ31は恒温水槽47内の水の中に入れられ、上下動駆動装置39によりナスフラスコ31が上昇すると、恒温水槽47内から出るようになっている。なお、恒温水槽47は、図示しないが、加熱手段により加熱されるように構成されていて、恒温水槽47内の水の温度を所望の温度、例えば後述するように、ナスフラスコ31内に入れられた溶媒の沸点などに加熱できるようになっている。
【0024】
溶媒回収部5は、後述するように全体的には八方弁を一体的に構成する4個の三方弁51、53、55および57を有している。RE部3から伸びている前記連結管43の他端は、溶媒回収部5内において二つに分岐し、それぞれ第1および第2の三方弁51および53に連結され、またこれらの三方弁51および53は、それぞれ連結管58および59を介して第1および第2の溶媒溜め部61および63に連結されている。
【0025】
この第1および第2の溶媒溜め部61、63は、後述するように、RE部3のナスフラスコ31から送り込まれてくる蒸発した溶媒を冷却しながら液体として溜め込むものであり、この第1および第2の溶媒溜め部61、63の外周部には、それぞれ第1および第2の冷却管65および67が巻き付けられている。なお、第1、第2の冷却管65、67は、第1、第2の溶媒溜め部61、63内部に内装されていても良いのは言うまでもないことである。
【0026】
また、これらの第1および第2の冷却管65、67は、それぞれ第1および第1の冷却装置68および69に連結され、これらの第1および第2の冷却装置68、69から冷媒、例えば冷却水を供給されて、第1および第2の溶媒溜め部61および63を冷却するようになっている。
【0027】
更に、第1の溶媒溜め部61は、別の連結管71を介して第3および第4の三方弁55および57に連結され、また第2の溶媒溜め部63も、更に別の連結管73を介して第3および第4の三方弁55および57に連結されている。また、第3および第4の三方弁55および57は、それぞれ連結管75および77を介してポンプ手段を構成するポンプ81に連結されている。このポンプ81は、上述した各連結管および三方弁を介してナスフラスコ31内を減圧状態にして、ナスフラスコ31内の蒸発した溶媒を引き込むように取り出し送り出すためのものである。
【0028】
第1乃至第4の三方弁51、53、55および57は、それぞれ3個の連結口を有している。すなわち、第1の三方弁51は連結口51a1、51a2、51a3を有し(なお、図では、三方弁自身の符号を省いて、a1、a2、a3なる符号を付している)、第2の三方弁53は連結口53b1、53b2、53b3を有し、第3の三方弁55は連結口55c1、55c2、55c3を有し、第4の三方弁57は連結口57d1、57d2、57d3を有する。
【0029】
また、第1の三方弁51の連結口51a1は、連結管91を介して後述するドラフトに至り、第2の三方弁53の連結口53b2は、連結管93を介してドラフトに至るようになっている。
【0030】
第1および第2の溶媒溜め部61および63の底部は、円錐状に細く窄むように構成され、その中央の最下端部には溶媒排出管82および83がそれぞれ取り付けられ、更に溶媒排出管82および83の途中に開閉弁85および87がそれぞれ取り付けられ、開閉弁85および87の開放により第1および第2の溶媒溜め部61および63に溜まった溶媒が溶媒排出管81および83を介して下方に排出され、溶媒回収フラスコ89に受け入れられるようになっている。
【0031】
次に、
図2乃至
図7を参照して、以上のように構成される溶媒回収装置1の作用について説明する。
【0032】
まず、溶液をナスフラスコ31内に入れてから、このナスフラスコ31を連結管33に連結する。このようにナスフラスコ31を連結管33に連結した状態では、ナスフラスコ31は、
図2において矢印121、122、123、124で示すように第1の溶媒溜め部61を介してポンプ81に連通している。この状態において、ナスフラスコ31を回転駆動用モータ37で回転させながら、上下動駆動装置39でナスフラスコ31を下降させ、ナスフラスコ31を恒温水槽47内の水中に入れる。
【0033】
それから、恒温水槽47に入れられている水を図示しない加熱手段で加熱し、前記溶媒の沸点まで水の温度を加温させるとともに、ポンプ81を作動し、ポンプ81の減圧吸引力を前記矢印121、122、123、124の順序と逆方向の順序でナスフラスコ31内に伝達する。また、第1および第2の冷却装置68、69も作動させて、第1および第2の溶媒溜め部61、63を外周部から冷却する。
【0034】
なお、上述したようにナスフラスコ31を連結管33に連結した後の各動作手順において、ナスフラスコ31を回転させる動作、ナスフラスコ31を下降させる動作、恒温水槽47内の水を加熱させる動作、ポンプ81を作動させる動作、第1および第2の溶媒溜め部61および63を冷却させる動作の順番は、上記に限定されるものでなく、例えば恒温水槽47内の水を加熱させる動作やポンプ81を作動させる動作、第1および第2の溶媒溜め部61および63を冷却させる動作などを先に行ってもよいし、またはすべて同時に行ってもよいものである。
【0035】
上述した状態において、溶媒回収部5の4個の三方弁51、53、55および57は、それぞれ
図2に示すような第1の状態に設定されている。すなわち、第1の三方弁51は、連結管43と連結管58とを連結するように連結口51a2と連結口51a3が連通し、連結管91に対しては連通していない。また、第2の三方弁53は、連結管59と連結管93を連結するように連結口53b3と連結口53b2を連通し、連結管43に対しては連通していない。第3の三方弁55は、連結管71と連結管75を連結するように連結口55c1と連結口55c3を連通し、連結管73に対しては連通していない。第4の三方弁57は、連結管77と連結管73を連結するように連結口57d3と連結口57d2を連通し、連結管71に対しては連通していない。
【0036】
上述したような各三方弁51、53、55および57の第1の状態において、ポンプ81が上述したように作動すると、ナスフラスコ31内の蒸発した溶媒は、すなわち図示しない加熱手段による恒温水槽47内の水温の上昇でナスフラスコ31内で蒸発した溶媒は、ポンプ81の減圧吸引力によりナスフラスコ31内から連結管33、トラップ球35、連結管41、連結管43を介して溶媒回収部5内に導かれてから、更に
図2において矢印121、122で示すように、第1の三方弁51の連結口51a2から連結口51a3を通過し、連結管58を介して最初に第1の溶媒溜め部61内に導かれる。
【0037】
第1の溶媒溜め部61内に導かれた溶媒の蒸気は、第1の溶媒溜め部61内において減圧下の第1の冷却管65で冷却されて、気体から液体に液化され、第1の溶媒溜め部61の底に液体として溜められる。しかしながら、第1の溶媒溜め部61内に導かれた溶媒の蒸気は、すべてが第1の溶媒溜め部61において液化されて溜められるものでなく、僅かな一部は気体のまま、第1の溶媒溜め部61を通過した後、矢印123で示すように、連結管71を通り、第3の三方弁55の連結口55c1から連結口55c3を通過し、連結管75を通ってポンプ81内に入る。
【0038】
ポンプ81内に入った溶媒の蒸発した気体は、ポンプ81の作用によりポンプ81から矢印125で示すように連結管77に送り出され、第4の三方弁57の連結口57d3から連結口57d2を通り、矢印126で示すように連結管73を通過して、第2の溶媒溜め部63内に導かれる。
【0039】
第2の溶媒溜め部63内に導かれた溶媒の蒸発した気体は、第2の溶媒溜め部63内において大気圧下の第2の冷却管67で冷却されて液化され、第2の溶媒溜め部63の底に液体として溜められる。このように第2の溶媒溜め部63に送り込まれた残りの気体のうち、更に僅かな一部が気体のまま、第2の溶媒溜め部63を通過した後、矢印127で示すように、連結管59を通り、更に第2の三方弁53の連結口53b3から連結口53b2を通過し、矢印128で示すように、連結管93を通って、図示しないドラフトに排出される。なお、
図2において、RE部3からポンプ81に至るまでの矢印121、122、123、124で示す経路は、ポンプ81の減圧作用により減圧状態にあるが、ポンプ81を通過した後から連結管93を介してドラフトに至るまでの矢印125、126、127、128で示す経路は大気圧状態にある。
【0040】
なお、本実施形態では、溶媒の蒸発した気体は、ポンプ81の減圧作用で第1の溶媒溜め部61に送り込まれて液化され、第1の溶媒溜め部61内に液体として一次捕捉された後、ここで捕捉しきれなかった残りの僅かな一部の溶媒の気体のみが第2の溶媒溜め部63に送り込まれ液化されて、この第2の溶媒溜め部63内に液体として二次捕捉されたものの、この再度の捕捉でも捕捉しきれずに残った更に僅かな一部のみが上述したように連結管93からドラフトに排出されるものであり、この排出される量は、極めて少量であって、第1および第2の溶媒溜め部61、63に捕捉されて回収される溶媒の回収率は極めて高いものとなる。
【0041】
次に、上述したように溶媒の気体が第1の溶媒溜め部61を最初に通過してから、ポンプ81を介して第2の溶媒溜め部63に送り込まれる
図2に示した一連の処理が終了すると、三方弁51、53、55および57は、
図3に示すように切り替えられ、
図3において
図2と逆方向の溶媒回収処理が行われる。
【0042】
すなわち、
図3に示すように、三方弁51、53、55および57が切り替えられることにより、RE部3からの蒸発した溶媒は、
図3で矢印131乃至138で示すように、第2の溶媒溜め部63を最初に通過した後、ポンプ81を通ってから、第1の溶媒溜め部61を通過し、それから連結管91からドラフトに排出されるというように
図2の流れに対して逆方向の流れとなる。
【0043】
更に詳しく説明すると、
図3に示すような第2の状態では、三方弁51、53、55および57は、第1の三方弁51が、連結管58と連結管91とを連結するように連結口51a3と連結口51a1が連通し、連結管43に対しては連通していない。また、第2の三方弁53が、連結管43と連結管59を連結するように連結口53b1と連結口53b3を連通し、連結管93に対しては連通していない。第3の三方弁55が、連結管73と連結管75を連結するように連結口55c2と連結口55c3を連通し、連結管71に対しては連通していない。第4の三方弁57が、連結管77と連結管71を連結するように連結口57d3と連結口57d1を連通し、連結管73に対しては連通していない。
【0044】
上述したような切り替えられた各三方弁51、53、55および57の第2の状態において、RE部3からの蒸発した溶媒は、ポンプ81の減圧吸引力により連結管43を介して溶媒回収部5内に導かれてから、
図3において矢印131、132で示すように、第2の三方弁53の連結口53b1から連結口53b3を通過してから、連結管59を介して最初に第2の溶媒溜め部63内に導かれる。
【0045】
第2の溶媒溜め部63内に導かれた溶媒の蒸気は、第2の溶媒溜め部63内において第2の冷却管67で冷却されて、気体から液体に液化され、第2の溶媒溜め部63の底に液体として溜められる。しかしながら、第2の溶媒溜め部63において液化されなかった僅かな一部は気体のまま、第2の溶媒溜め部63を通過した後、矢印133で示すように、連結管73を通ってから、第3の三方弁55の連結口55c2から連結口55c3を通過し、連結管75を通って矢印134で示すようにポンプ81内に入る。
【0046】
ポンプ81内に入った溶媒の蒸発した気体は、ポンプ81から矢印135で示すように連結管77に送り出され、第4の三方弁57の連結口57d3から連結口57d1を通り、矢印136で示すように連結管71を通過して、第1の溶媒溜め部61内に導かれる。
【0047】
第1の溶媒溜め部61内に導かれた溶媒の蒸発した気体は、第1の溶媒溜め部61内において第1の冷却管65で冷却されて液化され、第1の溶媒溜め部61の底に液体として溜められる。しかしながら、第1の溶媒溜め部61において液化されなかった更に僅かな一部は気体のまま、第1の溶媒溜め部61を通過した後、矢印137で示すように、連結管58を通り、更に第1の三方弁51の連結口53a3から連結口51a1を通過し、矢印138で示すように、連結管91を通って、ドラフトに排出される。なお、
図3の状態において、RE部3からポンプ81に至るまでの矢印131、132、133、134で示す経路は、ポンプ81の減圧作用により減圧状態にあるが、ポンプ81を通過した後から連結管93を介してドラフトに至るまでの矢印135、136、137、138で示す経路は大気圧状態にある。
【0048】
上述したように、
図3では、蒸発した溶媒は、
図2とは逆に最初に第2の溶媒溜め部63に送り込まれて液化され、第2の溶媒溜め部63内に液体として一次捕捉された後、ここで捕捉しきれなかった残りの僅かな一部の溶媒のみが第1の溶媒溜め部61に送り込まれ液化されて、この第1の溶媒溜め部61内に液体として二次捕捉されるものの、この再度の捕捉でも捕捉しきれずに残った更に僅かな一部のみが上述したように連結管91からドラフトに排出されるものであり、この排出される量は、更に極めて少量となり、溶媒の回収率は極めて高いものとなっている。
【0049】
また、
図2で示したように、最初に溶媒を第1の溶媒溜め部61で一次捕捉してから、次に第2の溶媒溜め部63で二次捕捉するという第1の溶媒回収処理に続いて、三方弁51、53、55および57のみを
図2に示す状態から
図3に示す状態に切り替えるだけで、
図3に示したように、最初に溶媒を第2の溶媒溜め部63で一次捕捉してから、次に第1の溶媒溜め部61で二次捕捉するという第2の回収処理を連続的に行うことができ、運転時間を短縮することができる。なお、
図4に示す状態における溶媒の流れは、
図3において矢印131乃至138で示した流れと同じであり、符号を付していないが、同様な矢印で示されている。
【0050】
次に、
図4に示す溶媒回収処理において、
図3と同様に矢印135、136、137、138で示す経路にある第1の溶媒溜め部61は大気圧状態にあるため、第1の溶媒溜め部61に溜まった溶媒は、第1の溶媒溜め部61の底に溶媒排出管82を介して連結されている開閉弁85を開放状態に設定し、この開放した開閉弁85を介して溶媒回収フラスコ89内に回収することができる。この状態においても、溶媒回収装置は動作を連続的に行い、溶媒は第2の溶媒溜め部63に溜められている。
【0051】
次に、
図4で示したように、第1の溶媒溜め部61に溜まった溶媒を溶媒回収フラスコ89に回収した後、第1の溶媒溜め部61の下側の開閉弁85を閉じて、
図5に示すように動作を継続する。この
図5では、上述したように、第1の溶媒溜め部61では二次捕捉を行っており、第2の溶媒溜め部63はポンプ81の減圧吸引作用を受けて、RE部3からの溶媒を一次捕捉を継続している。なお、
図5に示す状態における溶媒の流れは、
図3において矢印131乃至138で示した流れと同じであり、同様な矢印で示されている。
【0052】
次に、
図3乃至
図5で示したように溶媒の気体が第2の溶媒溜め部63を最初に通過してから、ポンプ81を介して第1の溶媒溜め部61に送り込まれる一連の溶媒回収処理が終了すると、
図6に示すように三方弁51、53、55および57が切り替えられ、
図6において
図3乃至
図5の処理と逆方向の溶媒回収処理が行われる。
【0053】
すなわち、
図6に示す溶媒回収処理の流れは、
図2に示した溶媒回収処理の流れと同じであり、三方弁51、53、55および57は、
図2に示した最初の状態に切り替えられ、この切り替えられた状態においてRE部3からの蒸発した溶媒は、
図2と同様の矢印で示すように、ポンプ81の減圧作用で最初に第1の溶媒溜め部61に送り込まれ液体として溜められて一次捕捉された後、ここで捕捉しきれなかった残りの一部の溶媒が第2の溶媒溜め部63に送り込まれ液体として溜められて二次捕捉され、この二次捕捉で回収されなかったほんの僅かな溶媒のみが連結管93からドラフトに排出される。
【0054】
次に、
図6に示す溶媒回収処理は、
図7に示すように続き、
図7において第1の溶媒溜め部61に溶媒を溜めながら、大気圧状態にある第2の溶媒溜め部63に溜められた溶媒が溶媒排出管83から開閉弁87を介して溶媒回収フラスコ89内に回収される。この状態においても、溶媒回収装置は動作を停止することなく、連続的に行い、溶媒は第1の溶媒溜め部61に溜められている。なお、
図7に示す状態における溶媒の流れは、
図6と同じであり、また
図2において矢印121乃至128で示したと同様な矢印で示されている。
【0055】
図7に示す処理が終了すると、
図2に示した最初の状態に戻るというように
図2乃至
図7に示した一連の溶媒回収処理は、連続的に繰り返し実行される。
【0056】
図8は、上述した4個の三方弁51、53、55および57を全体的に1個の八方弁90で構成した
図3の動作状態に対応した溶媒回収装置の構成図である。この
図8に示す溶媒回収装置に使用されている八方弁90は、
図1乃至
図8で示した4個の三方弁51、53、55および57を1個の部材で一体的に構成すべく円盤状に形成され、この円盤内に4個の三方弁51、53、55および57に対応する4個のU字形の連通孔151、153、155、157を有している。なお、八方弁90は、
図8において矢印200で示す反時計方向および後述する
図9に示す矢印201で示す時計方向に回転し得るように構成され、この回転により弁の切り替えが同時にできるようになっている。なお、
図8に示す溶媒回収装置は、
図1に示した溶媒回収装置において4個の三方弁51、53、55および57を1個の八方弁90に変えた点のみが異なるものであり、その他の構成は、
図1の溶媒回収装置と同様であり、同様の構成要素には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
八方弁90に設けられている第1の連通孔151は、前記第1の三方弁51に対応するものであるが、U字形の両端に連結口151aおよび151bがそれぞれ形成され、
図8の状態では、連結口151aは連結管43に連結し、連結口151bは連結管58に連結している。また、第2の連通孔153は、前記第2の三方弁53に対応するものであるが、U字形の両端に連結口153aおよび153bがそれぞれ形成され、連結口153aは連結管93に連結し、連結口153bは連結管59に連結している。第3の連通孔155は、前記第3の三方弁55に対応するものであるが、U字形の両端に連結口155aおよび155bがそれぞれ形成され、連結口155aは連結管71に連結し、連結口155bは連結管75に連結している。第4の連通孔157は、前記第4の三方弁57に対応するものであるが、U字形の両端に連結口157aおよび157bがそれぞれ形成され、連結口157aは連結管73に連結し、連結口157bは連結管77に連結している。なお、八方弁90の第1乃至第4の連通孔151、153、155、157が
図8に示すように連結された状態を第1の状態と称することにする。また、
図8において、a1、a2、a3、b1、b2、b3、c1、c2、c3、d1、d2、d3は、
図1乃至
図8で示した三方弁の連結口を参考のため図示しているものである。
【0058】
図8に示したように、八方弁90によって各連結管43、58、59、71、73、75、77、93、第1の溶媒溜め部61、第2の溶媒溜め部63、ポンプ81およびRE部3が連結された第1の状態は、
図2に示す状態に対応するものであり、その溶媒回収処理は、
図2で説明したものと同じである。
【0059】
すなわち、ポンプ81が作動すると、このポンプ81の減圧作用によりRE部3内からの蒸発した溶媒は、連結管43を介して八方弁90の第1の連通孔151の連結口151aから第1の連通孔151を通過し、その連結口151bから連結管58を介して第1の溶媒溜め部61内に最初に送り込まれる。
【0060】
第1の溶媒溜め部61内に送り込まれた溶媒の蒸気は、第1の溶媒溜め部61内で冷却されて液化され、第1の溶媒溜め部61内に溜められるが、僅かな一部は気体のまま、第1の溶媒溜め部61を通過した後、連結管71を通って、第3の連通孔155の連結口155aから連結口155bを通過し、連結管75を通ってポンプ81内に入る。
【0061】
ポンプ81内に入った溶媒の蒸発した気体は、ポンプ81の作用によりポンプ81から連結管77に送り出され、第4の連通孔157の連結口157bから連結口157aを通り、連結管73を通過して、第2の溶媒溜め部63内に送り込まれる。
【0062】
第2の溶媒溜め部63内に送り込まれた蒸発した溶媒は、第2の溶媒溜め部63内で冷却されて液化され、第2の溶媒溜め部63内に溜められるが、一部が気体のまま、第2の溶媒溜め部63を通過した後、連結管59を通り、更に第2の連通孔153の連結口153bから第2の連通孔153を通過し、第2の連通孔153の連結口153aから連結管93を通って、図示しないドラフトに排出される。
【0063】
なお、上述した八方弁90を使用した溶媒回収装置による溶媒回収処理において、蒸発した溶媒が第1の溶媒溜め部61内に液体として一次捕捉された後、第2の溶媒溜め部63に送り込まれ、この第2の溶媒溜め部63内に液体として二次捕捉されるという一連の溶媒回収処理において溶媒の回収率は
図1乃至
図8で示した溶媒回収装置と全く同様に極めて高いものである。なお、RE部3からポンプ81に至るまでの経路は、ポンプ81の減圧作用により減圧状態にあるが、ポンプ81を通過した後から連結管93を介してドラフトに至るまでの経路は大気圧と同一の気圧状態にある。
【0064】
図9は、
図8に示した溶媒回収処理の第1の状態において、八方弁90を
図8の矢印200で示すように反時計方向に所定角度回転させて切り替え、八方弁90の第1乃至第4の連通孔151、153、155、157を別の連結管に連結させた第2の状態を示しているものである。
【0065】
すなわち、
図9に示す第2の状態では、八方弁90の第1の連通孔151は、連結口151aが連結管58に連結され、連結口151bは連結管93に連結している。また、第2の連通孔153は、連結口153aが結管59に連結し、連結口153bは連結管43に連結している。第3の連通孔155は、連結口155aが連結管75に連結され、連結口155bは連結管73に連結している。第4の連通孔157は、連結口157aが連結管77に連結され、連結口157bは連結管71に連結している。
【0066】
この
図9に示した第2の状態は、前述した
図3に示した状態に対応するものであり、その溶媒回収処理は、
図3で説明したものと同じであるが、ポンプ81が作動すると、このポンプ81の減圧作用によりRE部3内からの蒸発した溶媒は、連結管43を介して八方弁90の第2の連通孔153の連結口153bから第2の連通孔153を通過し、その連結口151bから連結管59を介して第2の溶媒溜め部63内に最初に送り込まれる。
【0067】
第2の溶媒溜め部63内に送り込まれた溶媒の蒸気は、第2の溶媒溜め部63内で冷却されて液化され、第2の溶媒溜め部63内に溜められるが、僅かな一部は気体のまま、第2の溶媒溜め部63を通過した後、連結管73を通って、第3の連通孔155の連結口155bから第3の連通孔155を通過し、その連結口155aから連結管75を通ってポンプ81内に入る。
【0068】
ポンプ81内に入った溶媒の蒸発した気体は、ポンプ81の作用によりポンプ81から連結管77に送り出され、第4の連通孔157の連結口157aから連結口157bを通り、連結管71を通過して、第1の溶媒溜め部61内に送り込まれる。
【0069】
第1の溶媒溜め部61内に送り込まれた溶媒は、第1の溶媒溜め部61内で冷却されて液化され、第1の溶媒溜め部61内に溜められるが、一部が気体のまま、第1の溶媒溜め部61を通過した後、連結管58を通り、更に第1の連通孔151の連結口151aから第1の連通孔151を通過し、その連結口151bから連結管93を通って、図示しないドラフトに排出される。
【0070】
なお、上述した八方弁90を反時計方向に切り替えて行った溶媒回収処理において、蒸発した溶媒が第2の溶媒溜め部63内に液体として一次捕捉された後、第1の溶媒溜め部61に送り込まれ、この第1の溶媒溜め部61内に液体として二次捕捉されるという一連の処理において溶媒の回収率は
図1乃至
図8で示した溶媒回収装置と全く同様に極めて高いものである。
【0071】
図9に示すように第2の状態における溶媒回収処理が終了すると、
図9において矢印201で示すように、八方弁90は、時計方向に所定角度回転されて切り替えられ、
図8に示した第1の状態に戻り、
図8に示した第1の状態における溶媒回収処理が同様に行われ、
図8に示した第1の状態の溶媒回収処理が終了すると、また八方弁90が同様に切り替えられて、同じ溶媒回収処理を行うというように
図8および
図9に示す両溶媒回収処理は、八方弁90の単純な切替動作により交互に繰り返し実行される。八方弁90の切替は、
図8および
図9に矢印200と201で示したように、反時計方向および時計方向に回転させて行うことができるが、これに限定されるものでなく、例えばトグルスイッチを設け、このトグルスイッチを操作することで八方弁90を上述したように切り替えるように構成することも可能である。
【0072】
図10は、終了時および使用前の状態に対応する八方弁90の状態を示す図である。この八方弁90の状態は、
図9の状態において八方弁90を
図10の矢印202で示すように時計方向に前記所定角度の半分程度回転させ、これにより連結管43、58、59、71、73、75、77、91、93を八方弁90の第1の連通孔151乃至第4の連通孔157のいずれとも連結しない状態にし、この状態においてコック45を操作して大気に開放し、溶媒回収部5内の減圧を解除するとともに、ナスフラスコ31を外せるようにしているものである。
【0073】
上述してきた本実施形態にあっては、溶媒にジエチルエーテルを用いた場合の溶媒の回収率が、従来75〜88%であったものが、96〜99%と大幅に改善されるという効果を奏する。
【0074】
図11は、本発明の他の実施形態に係わる溶媒回収装置の構成を示す図である。同図に示す溶媒回収装置100は、
図1に示した溶媒回収装置1において溶媒回収部5を構成する4個の三方弁51、53、55および57の配置、特にこれらの三方弁のうち第3および第4の三方弁55、57の配置が異なるのみであって、その他の構成は同じであり、同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、
図10では、
図1に示した第1および第2の冷却装置68、69は省略している。
【0075】
図11に示す溶媒回収装置100において、RE部3からの蒸発した溶媒は、点線の矢印211、212、213、214、215、216で示すように、最初に第1の溶媒溜め部61を通過し、ここで冷却され液体として溜められて一時捕捉され、残りの一部がポンプ81を通った後、第2の溶媒溜め部63を通過し、ここで同様に冷却され液体として溜められて二次捕捉され、更に残りのほんの一部が第2の三方弁53を通って、ドラフトに排出されるという第1の溶媒回収処理を各三方弁の切り替えられた第1の状態で行う。
【0076】
上述した第1の溶媒回収処理が終了すると、各三方弁は第2の状態に切り替えられ、この第2の状態では、RE部3からの蒸発した溶媒は、実線の矢印221、222、223、224、225、226で示すように、最初に第2の溶媒溜め部63を通過し、ここで冷却され液体として溜められて一時捕捉され、残りの一部がポンプ81を通った後、第1の溶媒溜め部61を通過し、ここで同様に冷却され液体として溜められて二次捕捉され、更に残りのほんの一部が第1の三方弁51を通って、ドラフトに排出されるという第2の溶媒回収処理を各三方弁の切り替えられた第2の状態で行う。そして、この第2の溶媒回収処理が終了すると、各三方弁が前記第1の状態に切り替えられ、前記第1の溶媒回収処理が行われるというように三方弁の切り替えにより第1の溶媒回収処理と第2の溶媒回収処理が交互に繰り返し行われるようになっている。
【0077】
図12は、本発明の別の実施形態に係わる溶媒回収装置の構成を示す図である。同図に示す溶媒回収装置300は、
図11に示した溶媒回収装置100において溶媒回収部5を構成する第1および第2の溶媒溜め部をそれぞれ冷却する冷却水循環装置(
図11では図示を省略、
図1参照)がガラス製の濃縮器(コンデンサ)を使用して冷凍サイクルを構成する1台の冷却水循環装置(チラ―)311で構成されている点が点のみが異なるものであり、その他の構成および作用は同じである。なお、
図12においては、第1および第2の溶媒溜め部61および63および第1および第2の冷却管65、67の符号に対して300台の符号を追加して、それぞれ第1および第2の溶媒溜め部361、363および第1および第2の冷却管365、367として図示している。
【0078】
図12において、冷却水循環装置311の冷凍サイクルで冷却された冷却水は、連結管321から矢印401で示すように三方弁303を介して連結管301に流れ、この連結管301内を矢印402で示すように上昇し、第1の溶媒溜め部361の外周に設けられている第1の冷却管365を螺旋状に通過して、第1の溶媒溜め部361を冷却する。それから、第1の冷却管365と第2の冷却管367とを連結している連結管313を矢印403で示すように通って第2の溶媒溜め部363の外周に設けられている第2の冷却管367内に入り、この第2の冷却管367内を螺旋状に通過して、第2の溶媒溜め部363を冷却し、それから連結管305を矢印404で示すように下降し、三方弁307を介して冷却水循環装置311に戻るという循環経路を通って、第1および第2の溶媒溜め部361および363を循環冷却動作するようになっている。
【0079】
なお、上述した冷却水による循環冷却動作以外の
図12に示す溶媒回収装置300の溶媒回収処理は、
図11に示したものと同じであり、前記第1の状態および第2の状態における溶媒回収動作の流れを実線および点線の矢印を図示している。
【0080】
なお、溶媒回収装置による溶媒回収率は、圧力、水浴温度、チラー温度、回転速度等によって変動するものではあるが、上述してきた各実施形態によれば、いずれの場合にも、大幅な回収率の改善が見込まれる。また、溶媒回収装置の運転中であっても、両方の回収溶媒の溶媒溜め部を冷却したまま、一方の溶媒溜め部から、溶媒を回収できることからエネルギー効率、運転効率を上げつつ、回収溶媒の拡散を抑えることができるといった効果を奏する。
【0081】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、前記実施形態は一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。