【実施例】
【0018】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、
図1または
図2に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤20を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤20の裏側に、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置18が着脱可能に配設されている。また、前記中枠12の前面側には、前記遊技盤20を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板13bで前後に開口する窓部13aを覆うよう構成された前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられる。なお、実施例では、前記前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。なお、実施例では、前記図柄表示装置18としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。また、前記上球受け皿14は、前記前枠13と別体に形成してもよい。なお、球受け皿については、上下2枚の球受け皿14,15を備えるものに限らず、1枚の球受け皿のみを設ける構成であってもよい。
【0019】
前記前枠13の右下方位置には、前記中枠12に配設された打球発射装置16を作動する操作ハンドル17が設けられている。前記操作ハンドル17は、左回転方向に付勢された操作レバー17aを備えており、該操作レバー17aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置16が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20に向けて発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー17aの回動量に応じて前記打球発射装置16によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー17aの回動量を操作することで、前記遊技盤20に形成された第1球流下経路21(後述)をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該遊技盤20に形成された第2球流下経路22(後述)をパチンコ球が流下する所謂「右打ち(ゴム打ち)」とを打ち分け得るようになっている。
【0020】
(遊技盤20について)
前記遊技盤20は、
図3に示すように、所定板厚の略矩形状に形成された木材板の表面に、各種絵柄等が描かれた合成樹脂シート(図示せず)等を貼付けて装飾した板部材であって、該遊技盤20の表面(盤面)に配設された略円形状に湾曲形成する案内レール23により、パチンコ球が流下可能な遊技領域20aが画成されている。また、前記遊技盤20の裏面に、前記図柄表示装置18が取り付けられた設置部材19(
図4参照)が配設されている。
【0021】
前記案内レール23は、
図3に示す如く、遊技盤20の左下部から右上部に至るよう左方向に膨出する円弧状に形成された外レール24と、遊技盤20の右上部、右下部および左上部に至るよう右方向に膨出する円弧状に形成された内レール25,26とから構成されている。前記内レール25,26は、外レール24の右上端部に連接して遊技盤20の右上部から下部に亘って配設され、左端縁が右方に凹む円弧状に形成された盤面飾り部材25と、遊技盤20の下部から左上部に亘って配設されて盤面飾り部材25の下端部に連接し、前記外レール24の右方(内側)に離間して位置するレール部材26とから構成され、該外レール24およびレール部材26により1個のパチンコ球が通過可能な発射通路23aが画成されている。ここで、前記内レールを構成するレール部材26は、前記遊技盤20の左上部に開放端を臨ませて外レール24との間に遊技領域20aに開口する打出し口23bを画成するよう構成されて、前記打球発射装置16から発射されたパチンコ球が発射通路23aの下方開口から飛翔して、レール部材26の開放端側の打出し口23bから遊技領域20a内に打ち出されるようになっている。
【0022】
図3に示す如く、前記外レール24と盤面飾り部材25との接続位置は、外レール24および盤面飾り部材25の曲率の相違から段差が形成されており、該段差部分に緩衝ゴム(減勢部)27が配設されている。すなわち、前記外レール24の終端位置に臨むよう緩衝ゴム27が配設されて、前記打球発射装置16から発射されて外レール24に沿って終端位置まで移動して緩衝ゴム27に当接したパチンコ球を減勢し得るようになっている。なお、前記緩衝ゴム27は、前記第2球流下経路22に位置している。
【0023】
(遊技盤20の装着口28)
前記遊技盤20には、
図4に示す如く、前後に貫通する装着口28が前記遊技領域20a内に複数開設されて、各装着口28に対して各種部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域20aの最下部位置には、該遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口29が開設されている。また、前記遊技盤20には、前記遊技領域20a内に多数の遊技釘30が植設されており、遊技領域20aを流下するパチンコ球が遊技釘30に接触することでパチンコ球の流下方向を不規則に変化させるようになっている。なお、前記装着口28の形成数は、遊技盤20に対して取り付けられる各種部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜決定される。
【0024】
実施例の前記遊技盤20には、
図4に示す如く、前記案内レール23で囲まれた遊技領域20aの略中央の大部分が開口する第1装着口28に、前後に開口する開口部31aが形成された枠状装飾部材31が取り付けられ、該枠状装飾部材31の開口部31aを介して図柄表示装置18の表示部が遊技盤20の前面側に臨むよう構成されている。そして、第1装着口28(枠状装飾部材31)の下方に開設された第2装着口(図示せず)に、遊技領域20a(第1球流下経路21)を流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動入賞口32aを有する第1始動入賞装置32が取り付けられ、該第2装着口(第1始動入賞装置32)の右上方に開設された第3装着口(図示せず)に、遊技領域20a(第2球流下経路22)を流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞装置33が取り付けられている。また、実施例のパチンコ機10では、前記枠状装飾部材31における特別入賞装置33の上方であって第2球流下経路22に臨む位置に、該第2球流下経路22を流下するパチンコ球が入賞可能な第2始動入賞口34aを有する第2始動入賞装置34が取り付けられている。
【0025】
そして、前記第1始動入賞装置32に設けられた第1始動入賞口32aまたは第2始動入賞装置34に設けられた第2始動入賞口34aに遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞することで、前記図柄表示装置18において図柄が変動表示されて図柄変動演出が展開され、該図柄変動演出の結果、図柄表示装置18に所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の3つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂大当り(当り)が発生し、大当りの発生に伴って前記特別入賞装置33が開放して多数の賞球を獲得し得る機会が与えられるようになっている。ここで、後述するように、前記第1始動入賞装置32は、第1始動入賞口32aが遊技領域20aに常時開放する常時開放型の入賞装置とされ、前記第2始動入賞装置34は、所定の開放条件および閉鎖条件(何れも後述)に従って第2始動入賞口34aが開閉部材35により開閉される開閉型の入賞装置とされている。そして、前記特別入賞装置33は、開閉体33aにより特別入賞口(図示せず)を常には閉鎖(入賞不能状態と)するよう構成され、大当りの発生に伴って特別入賞口を開放(入賞可能状態と)するよう構成されている。
【0026】
ここで、実施例のパチンコ機10では、遊技が行なわれる遊技状態として3つの状態が設定されている。すなわち、パチンコ機10において通常行なわれる通常状態と、該通常状態に較べて大当りの発生確率が高く、かつ前記第2始動入賞装置34の第2始動入賞口34aへの入賞確率が高く設定された確率変動状態と、通常状態に較べて大当りの発生確率が同等で、かつ第2始動入賞装置34の第2始動入賞口34aへの入賞確率が高く設定された時間短縮状態が設定されている。そして、前記第1始動入賞口32aまたは第2始動入賞口34aへパチンコ球が入賞した際に、前記遊技状態を変更するか否かがパチンコ機10裏側に配設された制御装置(図示せず)で決定される。
【0027】
また、前記第2始動入賞装置34の右上方には、前記遊技領域20a(第2球流下経路22)を流下するパチンコ球が通過可能な球通過ゲート36が設けられると共に、パチンコ球を検出する球通過検出センサ(図示せず)が球通過ゲート36に設けられている。前記球通過ゲート36の球通過検出センサは、前記制御装置に接続されており、該球通過検出センサの検出に伴って前記第2始動入賞装置34における第2始動入賞口34aを開放するか否かの始動口開放抽選が行なわれ、該始動口開放抽選の結果が当選の場合に、第2始動入賞口34aを開放するよう第2始動入賞装置34が駆動制御されるようになっている。すなわち、実施例のパチンコ機10では、前記球通過ゲート36の球通過検出センサがパチンコ球を検出して行なわれる始動口開放抽選の結果が当選となることが、前記第2始動入賞装置34の第2始動入賞口34aを開放する開放条件とされている。
【0028】
そして、前記第2始動入賞口34aを開放してから所定の閉鎖条件が成立することで、該第2始動入賞口34aが閉鎖されるようになっている。ここで、前記第2始動入賞口34aを閉鎖する閉鎖条件としては、例えば前記開閉部材35が入賞許容位置に移動してからの経過時間(第2始動入賞口34aの開放時間)や、第2始動入賞口34aへの設定数のパチンコ球の入賞等が挙げられるが、これに限られるものではない。すなわち、パチンコ機10において入賞口を開閉する開閉式の始動入賞装置に採用される開閉部材35の開放条件および閉鎖条件に従って第2始動入賞装置34が駆動制御される。
【0029】
(特定条件について)
また、実施例のパチンコ機10では、前記第2始動入賞装置34の第2始動入賞口34aを開放する開放条件および該第2始動入賞口34aを閉鎖する閉鎖条件は、遊技状態に応じて設定されている。すなわち、遊技状態が前記確率変動状態および時間短縮状態の場合には、遊技状態が通常状態の場合に較べて、前記第2始動入賞装置34の第2始動入賞口34aが開放され易くなるよう前記開放条件や閉鎖条件が設定されて、第2始動入賞口34aへの入賞率を高くするよう構成されている。具体的には、実施例では、遊技状態が前記確率変動状態および時間短縮状態の場合には、遊技状態が通常状態の場合に較べて、前記始動口開放抽選の結果が確定するまでの時間が短くなるよう設定されると共に、第2始動入賞口34aの1回の開放毎の開放時間を長く設定することで、確率変動状態および時間短縮状態における第2始動入賞口34aへの入賞確率を高くしている。例えば、遊技状態が通常状態の場合には、始動口開放抽選の結果が確定するまでの時間が略30秒で、かつ第2始動入賞口34aの開放時間が0.1秒/1回に設定されるのに対し、遊技状態が確率変動状態および時間短縮状態の場合には、始動口開放抽選の結果が確定するまでの時間が略2秒で、かつ第2始動入賞口34aの開放時間が2秒/1回に設定されている。
【0030】
そして、前記特別入賞装置33および第2始動入賞装置34の夫々を、前記遊技盤20の右側部に配置したことで、パチンコ球が第1球流下経路21を流下する場合に較べて、前記第2球流下経路22を流下する場合の方が、各入賞装置33,34に入賞し易くなっている。従って、実施例のパチンコ機10は、特定の条件が成立した場合(大当り状態、遊技状態が確率変動遊技状態または時間短縮遊技状態となった場合)に、パチンコ球を第2球流下経路22へ打ち出す「右打ち(ゴム打ち)」を実施し、特定条件が不成立の場合には、パチンコ球を第1球流下経路21へ打ち出す「左打ち」を実施することで、所定の遊技が行なわれるよう構成されている。このように、遊技者が遊技状態(特定条件の成立・不成立)に応じて前記操作ハンドル17を操作してパチンコ球の打ち出し位置を変更するよう構成することで、遊技者に能動的な遊技参加を促し、遊技の興趣を高めるようになっている。すなわち、実施例において特定条件の成立とは、パチンコ球を第2球流下経路22へ打ち出す「右打ち(ゴム打ち)」を実施するのに適した条件の成立をいうものである。
【0031】
(設置部材19について)
前記設置部材19は、前記遊技盤20の外郭形状と略整合する大きさおよび形状に形成された略矩形状の背面板と、該背面板の外周縁部から前方に突出する画壁部とから前方に開口した箱状に形成されて、該画壁部の開口前端部を遊技盤20の裏面に当接させた状態で、当該遊技盤20と設置部材19とがネジにより固定される。そして、前記設置部材19において前記遊技盤20との間に画成される空間に、各種の可動演出装置や各種の発光装置等が設置されて、設置部材19を基材とする1つのユニットとして扱い得るようになっている。また、前記設置部材19の背面板には、前記枠状装飾部材31の開口部31aを前後に整列する位置に、略矩形状の開口部19aが前後に開口するよう開設されると共に、該背面板の裏側に前記図柄表示装置18が着脱自在に取り付けられて、該開口部19aを介して図柄表示装置18の表示部が遊技盤20の前側に臨むようになっている。
【0032】
(枠状装飾部材31について)
前記遊技盤20に配設される前記枠状装飾部材31は、
図4,
図5または
図6に示す如く、前記遊技盤20に開設された前記第1装着口28の内側に沿って延在する環状に形成された枠状基部37と、該枠状基部37に設けられて前記遊技盤20の前面より前方に突出し、前記遊技領域20aと図柄表示装置18の表示部(表示領域)を区切る庇状部38と、該庇状部38の後縁から外方に延出する薄板状の台板部39とを備える。そして、前記枠状基部37を第1装着口28に挿入すると共に台板部39を遊技盤20の前面に当接した状態で、該台板部39をネジ等の固定手段40で遊技盤20に固定することで、枠状装飾部材31が遊技盤20に取り付けられる。ここで、前記庇状部38は、前記枠状装飾部材31(枠状基部37)の左側縁の中間位置から上縁および右下縁に亘って連続して延在するよう設けられており、図柄表示装置18の前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。
【0033】
前記枠状装飾部材31には、
図3,
図4に示す如く、開口部31aの下側に、ステージ42が配設されると共に、開口部31aの左側に、遊技領域20aに開口して該遊技領域20aを流下するパチンコ球を取込んでステージ42に案内する球導入部43が設けられ、該球導入部43からステージ42に通出されたパチンコ球は、ステージ42上を左右に転動した後に、前記第1始動入賞装置32が配設されている遊技領域20aに排出される。またステージ42の後端縁には、左右方向の全長に亘って上側に向けて所定高さで立上がる透明壁44が設けられ、ステージ42上を転動するパチンコ球が図柄表示装置18の表示部側に移動するのを該透明壁44で防止している。なお、実施例では、枠状装飾部材31の枠状基部37や庇状部38の前側に、各種の意匠が施された装飾体や発光装置等の装飾部品41が配設され、これら装飾部品41および透明壁44によって前記図柄表示装置18の表示部を前側に臨ませる開口部31aが画成されている。
【0034】
前記庇状部38は、
図3〜
図6に示す如く、最上部位置から左右方向に下方傾斜するよう形成されて、遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球が庇状部38上で滞ることなく前記枠状装飾部材31の左側方または右側方へ誘導されるよう形成されている。実施例では、前記開口部31aの上方に臨む庇状部38は、左右方向の所定領域が上側に凸となる一定曲率の略弧状に形成された第1転動面(転動面)45を有しており、該第1転動面45の頂部は遊技盤20の左右方向の中央に位置している。また、第1転動面45の右端部には、該第1転動面45の曲率より小さな曲率の第2転動面46が接続されて右下側に向けて延在している。
【0035】
前記庇状部38には、
図3〜
図6に示す如く、第1転動面45における左端部(第1球流下経路21側の端部)に接続して、該第1転動面45から所定高さで下がる第1段部(段部)47が設けられている。また庇状部38には、第2転動面46の右端部に接続して、該第2転動面46から所定高さで下がる第2段部48が設けられている。そして、実施例では、庇状部38と案内レール23とで画成される遊技領域20aにおいて、前記第1転動面45の左端部を境界として、該左端部より左側が第1球流下経路21とされ、該左端部より右側が第2球流下経路22とされ、前記案内レール23の打出し口23bは、第1球流下経路21の上方で開口している。また、第1転動面45および第2転動面46は、前記外レール24から下方(内側)に離間して対向するように位置し、第2球流下経路22を画成する第1転動面45および第2転動面46と外レール24との間は、パチンコ球1個分の幅寸法より大きく、かつ遊技球2個分の幅寸法より小さな幅寸設に設定されている。なお、以下の説明では、第2球流下経路22について、第1転動面45と外レール24とで画成される部分については特に上部誘導経路22aと指称する場合もある。
【0036】
すなわち、前記遊技盤20に画成された遊技領域20aには、前記枠状装飾部材31の左側方をパチンコ球が流下する第1球流下経路21、および該枠状装飾部材31の上方から右側方をパチンコ球が流下する第2球流下経路22が設けられており、前記庇状部38の第1段部47に当ったパチンコ球は第1球流下経路21を流下し、該庇状部38の第1転動面45に到来したパチンコ球は第2球流下経路22を流下するようになっている。換言すると、前記打球発射装置16により遊技領域20a内に発射されたパチンコ球は、到達位置に応じて前記枠状装飾部材31およびレール部材26(内レール25,26)の間に形成される第1球流下経路21か、或いは枠状装飾部材31、外レール24および盤面飾り部材25(内レール25,26)の間に形成される第2球流下経路22の何れかを流下する。そして、実施例に係るパチンコ機10では、前記第1球流下経路21をパチンコ球が流下する場合(左打ちした場合)に、パチンコ球が第2球流下経路22を流下する場合に較べて第1始動入賞装置32の第1始動入賞口32aにパチンコ球が入賞する可能性が高くなるよう構成されると共に、該第2球流下経路22をパチンコ球が流下する場合(右打ちの場合)に、パチンコ球が第1球流下経路21を流下する場合に較べて前記特別入賞装置33の特別入賞口や第2始動入賞装置34の第2始動入賞口34aへパチンコ球が入賞する可能性が高くなるよう構成されている。なお、特定の条件が成立した場合に右打ちを行なうことで、遊技者に有利な状態となるパチンコ機10では、前記第1転動面45の左端(上部誘導経路22aの入口)から枠状装飾部材31の右側中間位置までの間に臨む遊技領域20aには遊技釘30が設けられておらず、右打ちした場合にはパチンコ球が短時間で前記球通過ゲート36、第2始動入賞口34aおよび特別入賞口が設けられる領域に達し得るよう構成してある。
【0037】
前記庇状部38に設けた第1段部47は、
図3に示す如く、前記案内レール23に設けた打出し口23bの右上方に位置して、該打出し口23bから遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球が当り得るよう構成される。また、庇状部38に設けた第2段部48は、前記緩衝ゴム27と対向して位置して、該緩衝ゴム27に当って跳ね返ったパチンコ球が当り得る位置に臨んでいる。
【0038】
前記枠状装飾部材31を遊技盤20に固定するための前記台板部39は、
図3に示す如く、前記第1転動面45の左端部より下側に設けられて、第1転動面45と外レール24とで画成される上部誘導経路22a(第2球流下経路22)に臨む位置には、遊技盤20の前面から前側に突出する台板部39が設けられていない。具体的には、第1転動面45より左側では、庇状部38に形成された第1段部47に対応する位置から下側に台板部39が設けられ、第1転動面45より右側では、前記第2転動面46との接続部より右側で庇状部38に形成された第2段部48に対応する位置から下側に台板部39が設けられている。また、前記枠状基部37における第1転動面45の左端部と対応する部位に、
図5および
図6に示す如く、後方に突出する突部49が設けられており、該突部49は、遊技盤20の裏面に配設した前記設置部材19に形成した孔(図示せず)に嵌り込むよう構成される。なお、台板部39について、前記第1転動面45より左側に設けられる部分については左台板部39と指称し、第1転動面45より右側に設けられる部分については右台板部39と指称して便宜上区別することもある。
【0039】
前記庇状部38における前記第1転動面45および第2転動面46の形成位置には、
図6および
図7に示す如く、該庇状部38の後端縁から開口部31a側に向けて延出する当接部50が設けられ、該当接部50の下端部が前記枠状基部37の前端部に接続されている。そして、枠状装飾部材31を遊技盤20に固定した状態では、庇状部38における第1転動面45および第2転動面46の形成領域では、前記当接部50が遊技盤20の前面に当接することで、第1転動面45および第2転動面46が位置決めされるよう構成されている。
【0040】
前記第1転動面45における頂部(左側に向けて下がる面部と右側に向けて下がる面部との境界(分水嶺となる境界)上に、前後方向に延在する規制リブ51が上側に向けて突設されている。以下の説明では、第1転動面45について、前記規制リブ51から左端部に向けて下方傾斜するよう延在する部分を左傾斜転動面部45aと指称し、規制リブ51から右端部に向けて下方傾斜するよう延在する部分を右傾斜転動面部45bと指称して便宜上区別することもある。そして、前記規制リブ51は、第1転動面45上を転動するパチンコ球が、左傾斜転動面部45aから右傾斜転動面部45b、または右傾斜転動面部45bから左傾斜転動面部45aへ移動するのを規制するべく機能する。なお、規制リブ51の第1転動面45からの突出高さは、該第1転動面45上を転動するパチンコ球の移動を完全に規制するものではなく、パチンコ球の直径(略11mm)に較べて相対的に小さい、具体的には1〜1.5mm程度に設定されて、第1転動面45を転動するパチンコ球の勢いが弱い場合に規制し得る程度に構成してある。
【0041】
前記第1転動面45より右側に設けられた前記右台板部39は、前記第2段部48より上側を始端として、前記遊技盤20に設けられた前記球通過ゲート36の上方位置まで延在するように設けられる。また、前記庇状部38の前端縁には、前記第2段部48より下側において右台板部39の前側に離間して対向するように減勢板52が設けられており、前記第2球流下経路22における第2段部48の形成部位を通り過ぎたパチンコ球は、減勢板52と右台板部39との間を通過した後に、前記球通過ゲート36が位置する第2球流下経路22を流下するよう構成される。
図5に示す如く、減勢板52の右台板部39との対向面に、パチンコ球の流下方向と交差する方向に延在する減勢突条52aが、パチンコ球の流下方向に離間して複数設けられる。また、右台板部39における減勢板52との対向面に、パチンコ球の流下方向と交差する方向に延在する減勢突条39aが、パチンコ球の流下方向に離間して複数設けられる。減勢板52の減勢突条52aと右台板部39の減勢突条39aとは、パチンコ球の流下方向に交互に位置するように設定されると共に、減勢突条52aと対向する右台板部39の前面との離間間隔、および減勢部27と対向する減勢板52の裏面との離間間隔は、パチンコ球の通過を許容する球1個分の寸法(実際には球1個分より僅かに大きく、パチンコ球のスムーズな通過を許容する寸法)に設定され、減勢板52と右台板部39との間を通過するパチンコ球の勢いを適度に減勢し得るよう構成してある。
【0042】
なお、前記減勢板52は透明に形成されて、該減勢板52と右台板部39との間を通過するパチンコ球を前側から視認し得るようになっている。また、減勢板52における右台板部39との対向面における上流端部(右台板部39との間に画成される通路の入口側の端部)には、上流側に向かうにつれて右台板部39から離間する傾斜面(図示せず)が形成されており、前記第2段部48側の第2球流下経路22からのパチンコ球のスムーズな流入を許容し得るよう構成してある。
【0043】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0044】
前記前枠13の前面側に設けられた前記操作ハンドル17の操作レバー17aを遊技者が回転操作すると、前記打球発射装置16から発射されたパチンコ球が前記遊技盤20に設けた案内レール23により画成された発射通路23aを通って打出し口23bから遊技領域20a内に打ち出される。このとき、前記操作レバー17aの回動量に応じてパチンコ球の打ち出し位置が変化し、打ち出し位置に応じて遊技領域20aの第1球流下経路21または第2球流下経路22をパチンコ球が流下する。前記特定条件が成立していない状態(大当り状態、確率変動状態、時間短縮状態となっていない状態)では、第1球流下経路21を流下する「左打ち」となるようパチンコ球が打ち出されて、前記第1始動入賞装置32にパチンコ球が入賞すると、前記制御装置の制御に基づいて前記図柄表示装置18での図柄変動演出が開始され、図柄変動演出の結果、図柄表示装置18に所定の図柄組み合わせが表示されると大当りが発生する。大当りが発生すると、図柄表示装置18に表示された図柄組み合わせに応じて、前記遊技盤20の右方(第2球流下経路22)に設けられた特別入賞装置33が開放されると共に、前記制御装置の制御に基づいて図柄表示装置18において大当り演出が行なわれる。
【0045】
前記特定条件が成立していない状態で遊技者が左打ちを行なう場合に、前記枠状装飾部材31における第1段部47にめがけてパチンコ球を遊技領域20aに打ち出すように打球発射装置16の打球力を調節する。すなわち、打球発射装置16から発射されて打出し口23bから打ち出されたパチンコ球が第1段部47に当った場合は、該パチンコ球は前記第1始動入賞装置32に入賞する可能性が第2球流下経路22より高い第1球流下経路21を確実に流下する。また、打球発射装置16の打球力を調節している際には、該打球発射装置16から発射されたパチンコ球が、前記第1段部47を越えて前記第1転動面45における左傾斜転動面部45aに打ち出されることがある。しかしながら、該左傾斜転動面部45aは、第1転動面45の頂部から第1球流下経路21に向かって下方傾斜しているので、該左傾斜転動面部45aに打ち出されたパチンコ球を第1球流下経路21に案内することができる。更に、第1転動面45の頂部には規制リブ51が突設されているので、左傾斜転動面部45aに打ち出されたパチンコ球が勢いによって右方に転動した場合においても、該規制リブ51によって移動を規制して第1球流下経路21に戻すことが可能となる。すなわち、前記第1球流下経路21を流下させようとして第1段部47にめがけて打ち出されたパチンコ球の勢いは弱く、該パチンコ球が左傾斜転動面部45aに打ち出されたとしても、該左傾斜転動面部45aの傾斜および規制リブ51によって、第1転動面45の右傾斜転動面部45bまでパチンコ球が移動してしまうのを防止し、遊技者が意図している第1球流下経路21にパチンコ球を戻すことができ、遊技者が不満を覚えて興趣が低下するのを防ぐことができる。
【0046】
また、左打ちに際してパチンコ球の打ち出し位置の目印となる第1段部47には、枠状装飾部材31を遊技盤20に固定するための前記台板部39が位置しているから、該第1段部47に多くのパチンコ球が当っても枠状装飾部材31における第1段部47の部位が位置ズレしたり変形するのを抑制し得る。更に、第1段部47が接続する第1転動面45の左端部と対応する枠状基部37に突設した突部49が、前記設置部材19の孔に嵌り込んで枠状基部37は左右方向の位置規制がなされているので、第1段部47にパチンコ球が当った際の衝撃によって枠状装飾部材31が位置ズレするのを確実に防ぐことができる。
【0047】
実施例に係るパチンコ機10では、特定条件が成立する前記大当りの発生や、確率変動状態や時間短縮状態へ移行した際に、遊技者は操作レバー17aの回動量を調節してパチンコ球を第2球流下経路22に向けて打ち出す右打ちを行なう。すなわち、遊技者は打球発射装置16の打球力を強めるように操作レバー17aを右回転させるので、前記打出し口23bから打ち出されたパチンコ球は、前記外レール24に沿って枠状装飾部材31の右側に打ち込まれる。前述したように、前記第1転動面45と外レール24とで画成される上部誘導経路22a(第2球流下経路22)には、前記枠状装飾部材31を固定するための台板部39は存在しておらず、該上部誘導経路22aには遊技盤20の前面から前側に突出する部分がないので、当該上部誘導経路22aを通過する際にパチンコ球が台板部39に接触して勢いが弱められたり第1球流下経路21側に跳ね返ることはない。従って、特定条件の成立によって遊技者が右打ちを行なった場合は、パチンコ球を遊技者が意図している第2球流下経路22に確実に案内することができ、遊技者に多くの利益を獲得し得る機会を与えることができる。すなわち、遊技者が右打ちを行なう場合は、短時間でより多くのパチンコ球を第2球流下経路22に打ち込んで多くの利益を得ようとして遊技を行なっており、実施例のパチンコ機10は該遊技者の意図に沿った遊技を行ない得るものであって、遊技者が不満を覚えて興趣が低下するのを防止し得る。
【0048】
ここで、前記右打ちに際して殆どの遊技者は、前記操作レバー17aを限界位置まで右回転させて前記打球発射装置16の打球力を最大とするため、該打球発射装置16から発射されたパチンコ球の殆どは、前記外レール24に沿って終端位置まで移動して、前記緩衝ゴム27に当って減勢された状態で前記庇状部38上に落下する。前記緩衝ゴム27と対向する庇状部38には、
図3に示す如く、上端(第2転動面46との接続端)から下端に向けて下方傾斜する前記第2段部48が形成されているので、緩衝ゴム27に当って落下または跳ね返ったパチンコ球は、該第2段部48に当ることで下側に案内される。すなわち、緩衝ゴム27に当って跳ね返ったパチンコ球が前記第2転動面46に移動するのを防ぐことができる。
【0049】
なお、前記緩衝ゴム27に当って跳ね返ったパチンコ球が、前記第2段部48より上側の第2転動面46または第1転動面45まで戻ってしまう場合もある。この場合において、第2転動面46の曲率は小さく、左端(第1転動面45との接続端)から右端に向けての傾斜が大きいので、該第2転動面46まで戻ったパチンコ球が第1転動面45まで移動するのを抑制し得る。また、第1転動面45までパチンコ球が戻ったとしても、該第1転動面45における右傾斜転動面部45bの傾斜および前記規制リブ51によって、該パチンコ球が左傾斜転動面部45aに移動してしまうのを防止することができる。すなわち、右打ちを行なっている際に、遊技者が意図していない第1球流下経路21にパチンコ球が流下するのを防止することができ、興趣の低下を抑制し得る。また、前記庇状部38における緩衝ゴム27で減勢されたパチンコ球が落下する部位(第2段部48や第2転動面46の右端部)には、遊技盤20にネジ止め固定された台板部39が設けられているので、庇状部38における右打ちに際して多くのパチンコ球が当たる部分の位置ズレや変形状を防ぐことができる。
【0050】
ここで、前記第2球流下経路22に打ち込まれたパチンコ球の勢いが強すぎると、第2球流下経路22に位置する前記球通過ゲート36や第2始動入賞装置34が、パチンコ球が衝突した際の衝撃によって破損するおそれがある。実施例のパチンコ機10では、前記枠状装飾部材31における前記第2段部48の下側に、前記右台板部39に対向する減勢板52を設けているので、該右台板部39と減勢板52との間を通過するパチンコ球の勢いを適度に減勢して、下流側に位置する前記球通過ゲート36や第2始動入賞装置34にパチンコ球が衝突した際の衝撃を弱めることができ、該球通過ゲート36や第2始動入賞装置34が損傷するのを抑制し得る。すなわち、実施例のパチンコ機10では、前記上部誘導経路22aに台板部39を臨ませないようにすることで、前記枠状装飾部材31の上側の第2球流下経路22を通過するパチンコ球の勢いを弱めたり第1球流下経路21に跳ね返ってしまうことなく、速やかに第2球流下経路22を流下させ得るようにすることで、短時間で多くのパチンコ球を第2球流下経路22に流下させたいという遊技者の望みを適えつつ、球通過ゲート36や第2始動入賞装置34が破損するのを防止することができる。
【0051】
(変更例)
なお、遊技機の構成としては、実施例のものに限らず、種々の変更が可能である。
(1) 実施例では、枠状装飾部材における第1転動面(転動面)を曲面形状としたが、頂部を挟んで左右に直線的に傾斜するものであってもよい。
(2) 実施例では、遊技盤を木材板で形成したが、これに限られるものではなく、遊技盤を合成樹脂材から透明または不透明に形成するようにしてもよい。
(3) 実施例では、遊技機としてパチンコ機を例示して説明したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機やピンボール機、スロットマシン機等の各種遊技機を採用し得る。