(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特別デモ演出実行手段は、前記待機モードに移行するときの内部制御モードに応じて複数とおりの継続時間の中の1の継続時間を選択し、前記待機モードの継続時間が選択された時間に達したことを前記特別態様のデモ表示演出への切り替えの条件として設定する、請求項1に記載された遊技機。
前記特別デモ演出実行手段は、前記待機モードに移行するときの内部制御モードによって異なる当選確率が設定されている抽選を実行し、この抽選に当選し、かつ前記待機モードが所定時間以上続いたことを条件として、前記デモ表示演出を特別態様のデモ表示演出に切り換える、請求項1または2に記載された遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、この発明の一実施例であるスロットマシン1の外観を示している。図示のスロットマシン1は、筐体2の開放された前面に前面扉3が開閉可能に取り付けられたものである。図示していないが、筐体2の内部には、リールユニット、電源ユニット、メダル払出機、制御基板などが組み込まれている。扉3は金属製の枠体を本体とし、枠体の中央部および下部にそれぞれ合成樹脂製のパネル4,5が取り付けられ、枠体の上部に液晶表示器6および一対のスピーカ7A,7Bが設けられている。
【0024】
以下、中央のパネル4を「正面パネル4」と呼び、下部のパネル5を「下部パネル5」と呼ぶ。
正面パネル4の高さ中央部には、矩形状の透明な窓部8が設けられており、この窓部8を通して、筐体2の内部のリールユニットを構成する3個のリール9a,9b,9cの外周面を視認することができる。
【0025】
この実施例では、数字の「7」、「BAR」、「blank」、スイカ、チェリーの各図柄をそれぞれ1種類ずつ、リプレイ図柄(「RP」の文字入り)およびベル図柄をそれぞれ2種類ずつ設定し(各図柄については
図5を参照。)、各リール9a,9b,9cに、これらの図柄による21駒分の図柄配列を設定している。各リール9a,9b,9cは、リールユニットと一体に組み付けられたモータ29a,29b,29c(
図4に示す。)によって個別に駆動される。
【0026】
窓部8の縦幅は、各リール9a,9b,9cの3駒分の範囲に対応する長さになっている。各リール9a,9b,9cが停止すると、
図2に示すように、リール9a,9b,9c毎の3個の図柄Zが、上、中、下の高さ位置を揃えて窓部8内に整列する。これらの図柄Zの停止位置に合わせて、3本の水平な入賞ラインL1〜L3と右下がりおよび左下がりの2本の斜めの入賞ラインL4,L5の計5本の入賞ラインとが設定される。
【0027】
図1に参照を戻す。窓部8の右には、アシストリプレイタイム(ART)への移行を報知するための報知ランプ20が設けられている。また窓部8の左にも複数のランプ(図示せず。)が設けられている。
【0028】
正面パネル4と下部パネル5との間には、斜め上方を向く操作面11と前方を向く操作面12とによる遊技操作部10が設けられる。
下部パネル5の下方にはメダル払出口14やメダル受け皿15が設けられている。遊技操作部10のメダル投入口19から投入されたメダルは、前面扉3の内側に設けられたメダル通路(図示せず)を通ってメダル払出機28(
図4に示す。)のホッパー内に取り込まれる。メダル払出機28から放出されるメダルは、図示しないメダル払出通路を介してメダル払出口14に運ばれてメダル受け皿15へ放出される。
【0029】
遊技操作部10の斜め上方を向く操作面11には遊技に供するメダル枚数を設定するための2種類のベットスイッチ16,17、メダル枚数に関する表示を行う数字表示器18、メダルを投入するためのメダル投入口19が配備されている。
【0030】
この実施例のスロットマシン1で1回のゲームを実施するには、3枚のメダルを投入する必要がある。メダル投入口19より投入されたメダルが3枚に達すると、5本の入賞ラインL1〜L5が有効化される。メダル投入口19から4枚以上のメダルが投入されると、最初の3枚がゲームに賭けられ、残りのメダルの枚数が計数されて、その計数値がクレジット枚数として後述する主制御部30のRAM33に保存される。
【0031】
3枚以上のメダルが貯留されている状態下で一方のベットスイッチ16(マックスベットスイッチ)が押されると、クレジット枚数から3枚のメダルが一度に引き落とされて1ゲームを実行可能な状態になる。他方のベットスイッチ17(一枚賭けベットスイッチ)を押す場合には、3回の操作によって1ゲームを実行可能な状態になる。
【0032】
遊技操作部10の前向きの操作面12には、各リール9a,9b,9cを一斉に回転させるための始動レバースイッチ21、各リール9a,9b,9cを個別に停止させるための停止釦スイッチ22a,22b,22c、および精算スイッチ23が配備されている。
精算スイッチ23はクレジット枚数の精算を指示するためのもので、遊技者により精算スイッチ23が操作されると、数字表示器18に表示されたクレジット枚数分のメダルがメダル受け皿15へ放出される。
【0033】
メダル投入口19へのメダル投入またはベットスイッチ16,17の操作(以下、これらを「ベット操作」と総称する。)の後、1ゲームの実行が可能な状態で始動レバースイッチ21が操作されると、主制御部30は、後述する
図6に示す複数種の当選の態様を対象とした抽選処理(内部抽選)を実行する。次に、リール9a,9b,9cの回転を開始し、リール9a,9b,9cが一定の速度に至ると、停止釦スイッチ22a,22b,22cによる停止操作を受け付けて、対応するリール9a,9b,9cを停止させる。各リール9a,9b,9cを停止させる際には、内部抽選の結果から選択した図柄を有効化された入賞ライン上に引き込む制御が実行される。
【0034】
上記の内部抽選とは別に、この実施例では、適宜、当選した役のうち、遊技者にとってより有益な役を揃えることが可能な押し順(停止操作の順序)を報知する制御を含む複数種の内部制御モードを対象に、実行する内部制御モードを選択する抽選(以下、「内部制御モード選択抽選」という。)を実施する。
【0035】
図3は、内部制御モード選択抽選により押し順を報知する内部制御モード(以下「ATモード」という。)に切り替えられたときに液晶表示器6に表示される演出画面の例を示す。この実施例の画面は後述する「押し順リプレイ1」の押し順(右→中→左)を報知するもので、始動レバースイッチ21の操作に応じて表示される。画面には、停止釦スイッチ22a,22b,22cの画像202a,202b,202cが現れると共に、これらの画像202a,202b,202cの内部に停止順序を示す数字(1,2,3)が表示される。
【0036】
図3(1)に示す初期の画面では、1番目に操作すべき停止釦スイッチ22cの画像202cが大きく、また目立つ色彩により強調表示され、その上方に「右」の文字が表示される。この表示に従って停止釦スイッチ22cが押されると、
図3(2)に示すように、スイッチ22cの画像202cは小さくかつ薄くなり、次に操作すべき中央の停止釦スイッチ22bの画像202bが強調表示され、その上方に「中」の文字が表示される。この表示に従って停止釦スイッチ22bを操作すると、画像202bも小さくかつ薄くなり、最後に残ったスイッチ22aの画像202aが強調表示され、その上方に「左」の文字が表示される。
このように、スイッチの画像202a,202b,202cの表示の態様を、実際の停止操作の状況に応じて変化させることによって、遊技者は、押し順を容易に認識することができる。なお、上記の画面の表示以外に、スピーカー7A,7Bからも操作すべきスイッチを知らせる音声が出力されるので、「右」「中」「左」の文字による報知は必ずしも必要ではない。
【0037】
図4は、上記スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
この実施例のスロットマシン1には、遊技の進行全般を制御する主制御部30のほか、主制御部30からのコマンドに応じて演出に関する制御を担当する第1および第2の副制御部40,50が設けられる。第1副制御部40は、画像による演出を制御し、第2副制御部50は、音声や電飾による演出を制御する(以下、第1副制御部40および第2副制御部50をまとめて「副制御部40,50」という場合がある。)。
主制御部30,第1副制御部40,第2副制御部50には、それぞれCPU31,41,51、ROM32,42,52、RAM33,43,53が設けられる。
【0038】
さらに、主制御部30や第1副制御部40には、抽選処理のための乱数発生器34,44が設けられる。主制御部30では、乱数発生器34を用いて前述の内部抽選を実行する。第1副制御部40では、乱数発生器44を用いて、前述の内部制御モード選択抽選のほか、実施する演出ステージを選択するための抽選(ステージ選択抽選)を実行する。
【0039】
主制御部30のROM32には、遊技の進行に関する制御を実施するためのプログラム、各リール9a,9b,9cの図柄配列テーブル、内部抽選のための抽選テーブルなどが保存され、RAM33には、プログラムの実行により発生した情報が書き換え可能に保存される。
【0040】
各副制御部40,50でも、それぞれROM42,52に制御に必要なプログラムや固定データが格納され、RAM43,53にはプログラムの実行により発生した情報が保存される。特に副制御部40のROM42には、後述する各種演出ステージの画像や押し順報知用の画像(
図3に例示したもの)、各抽選用の抽選テーブルなどが格納される。
【0041】
主制御部30には、入出力ポート35を介して、遊技操作部10に配備された始動レバースイッチ21,停止釦スイッチ22a,22b,22c,ベットスイッチ16,17,精算スイッチ23や、各リールの基準位置を検出するためのインデックスセンサ24a,24b,24c,メダル投入口19へと投入されたメダルを検出するためのメダル検知センサ26などが接続される。また、主制御部30には、ドライバ回路36を介して、リール9a,9b,9c毎のモータ29a,29b,29cを駆動するリール駆動回路27a,27b,27c,メダル払出機28,数値表示器18などが接続される。
【0042】
各モータ29a,29b,29cはステッピングモータである。主制御部30は、モータ29a,29b,29cに対する駆動パルスを計数することによって、対応するリール9a,9b,9cの回転位置を検出し、またその計数値があらかじめ決定した値になるタイミングでモータ9a,9b,9cを停止させることにより、上記した引き込み制御を実施する。なお、上記の計数値は、インデックスセンサ24a,24b,24cからの検出信号(リールが一回転したことを示す信号)を受ける都度、リセットされる。
【0043】
第1副制御部40には、ドライバ回路45を介して液晶表示器6が接続され、第2副制御部50には、ドライバ回路46を介して、スピーカ7A,7B、報知ランプ20、電飾ランプ25、リール照明用のバックライト26などが接続される。なお、電飾ランプ25は扉3の正面パネル4や下部パネル5などの適所に取り付けられ、バックライト26は、リールユニット内の各リール9a,9b,9cの内側に配備される。
【0044】
主制御部30、第1副制御部40、第2副制御部50は、それぞれ独立の制御基板として形成されており、第1副制御部40は主制御部30と中継基板60を介して接続され、第2副制御部50は第1副制御部40に接続される。主制御部30から送信された各種コマンドは第1副制御部40に送信された後に、第2副制御部50にも転送され、それぞれのCPU41,51がコマンドに応じた制御を実施する。また、第1副制御部40は、抽選により演出ステージを切り替えることや押し順の報知を行うことを決定したときには、その旨を第2副制御部50に連絡し、この連絡を受けた第2制御部50と第1副制御部40との協働により、切り替え後の演出ステージや押し順報知に適した演出が実施される。
【0045】
図5は、各種の役にかかる停止図柄の組み合わせを表形式にして示したものである。
この実施例の役物は、ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)の2種類である。ビッグボーナスは「7」の図柄が一列に並んだ図柄組み合わせであり、レギュラーボーナスは「BAR」の図柄が一連に並んだ図柄組み合わせである。これらの役物への入賞が成立した場合には、ボーナスゲームモードに移行して遊技者に大きな特典が与えられるが、ボーナスゲームに関しては、詳細な説明を省略する。
【0046】
再遊技役には、3種類のリプレイ役(RP1,RP2,RP3)が含まれる。第1のリプレイ役RP1は、リプレイ図柄が一列に並んだ図柄組み合わせである。第2のリプレイ役RP2では、中央の図柄のみがリプレイ図柄で、左右の図柄はベル図柄となる。第3のリプレイ役RP3は、左に「7」または「BAR」が位置し、中央に「blank」が位置し、右にベル図柄が位置する構成となる。
【0047】
第1のリプレイ役RP1では、左、中央、右のいずれの停止位置においても、2種類のリプレイ図柄のいずれが停止してもよいものとしている。すなわち、同一のリプレイ図柄による組み合わせも、2種類のリプレイ図柄が混在する組み合わせも、リプレイ役RP1として機能する。リプレイ役RP2のリプレイ図柄およびベル図柄や、リプレイ役RP3のベル図柄についても同様に、2種類の図柄のいずれでもよいものとしている。
このようにリプレイ役RP1,RP2,RP3として機能する図柄の組み合わせを複数とおり設定しておくことにより、これらの役に当選したときには、容易に当選役の図柄を引き込むことが可能になる。
【0048】
この実施例の小役には、2種類のベル役BL1,BL2が含まれる。各ベル役BL1、BL2では、ベル図柄が揃う入賞ラインが異なる(たとえばベル役BL1は水平な入賞ラインL1〜L3に揃えられ、ベル役BL2は斜めのラインL4,L5に揃えられる。)。
【0049】
ベル図柄も2種類あるため、ベル役BL1,BL2を構成する図柄の組み合わせも複数とおりになる。
また、ベル役については、BL1,BL2よりも配当が少ない8種類の図柄組み合わせBL3,BL4,BL5,BL6,BL7,BL8,BL9,BL10が設定される。ベル役BL3,BL4,BL5,BL6,BL7,BL8,BL9,BL10は、いずれの入賞ラインにもベル図柄が並ぶことがない図柄組み合わせ、言い換えると、表示上は、はずれ目となる図柄組み合わせとして設定されている。
【0050】
ベル役BL1,BL2のほか、この実施例では、スイカ図柄が一列に並ぶスイカ役FR1、左のリール9aの下段(入賞ラインL1)にチェリー図柄が停止する角チェリー役FR2、左のリール9aにチェリー図柄が停止する単チェリー役(角チェリー役FR2に対応する図柄組み合わせを除く。)の3種類の小役が設けられる。なお、角チェリー役FR2は、中央の入賞ラインL2に停止する図柄の組み合わせにより表され、複数とおりの図柄組み合わせが角チェリー役FR2に含まれる。
【0051】
上記3種類の小役FR1,FR2,FR3は、入賞によるメダル払い出し枚数はベル役BL1,BL2より少ないが、これらの小役への当選は、ATモードに移行する確率を高めるかどうかを決める抽選(内部制御モード選択抽選)の契機となる。
【0052】
図6は、内部抽選における各種当選の態様を、それぞれに割り当てられた乱数の個数や当選した場合の引き込み制御の対象と共に示す。なお、この抽選に使用される乱数の総数は65536個であり、いずれの当選態様にも割り当てられていない乱数を引いた場合には「はずれ」となる。
【0053】
図6によれば、ビッグボーナスBB、レギュラーボーナスRB、スイカFR1、角チェリーFR2、単チェリーFR3、およびリプレイ役RP1は、それぞれ単独で抽選の対象となり、当選した場合にも、その当選役が単独で引き込み制御の対象となる。一方、リプレイ役RP3は、リプレイ役RP1およびRP2の双方またはいずれか一方と重複当選するように設定され、ベル役BL1,BL2は、他のベル役BL3〜BL10のうちのいずれか2つと重複当選するように設定されている。これら重複当選が生じる役では、実施された押し順によって引き込み制御の対象が変動する。
【0054】
具体的に、ベル役BL1,BL2は、他の8種類のベル役BL3〜BL10の中の2つと組み合わせられ、その組み合わせに応じて「押し順ベル1」「押し順ベル2」「押し順ベル3」という3種類の当選の態様(いずれもベル役BL1またはBL2以外のベル役の組み合わせが異なる4通りの態様を含む。)が設定される。
【0055】
図6に示す設定によれば、「押し順ベル1」に当選した場合には、左の停止釦スイッチ22aが最初に押された場合にのみベル役BL1が引き込み制御の対象となり、その他の停止釦スイッチ22b,22cが1番目に停止操作された場合には、ベル役BL1と重複当選した他の2つのベル役が引き込み制御の対象となる。
【0056】
「押し順ベル2」に当選した場合には、中央の停止釦スイッチ22bが最初に押された場合にのみベル役BL2が引き込み制御の対象となり、その他の停止釦スイッチ22a,22cが最初に押された場合には、ベル役BL2と重複当選した他の2つのベル役が引き込み制御の対象となる。「押し順ベル3」に当選した場合には、右の停止釦スイッチ22cが最初に押された場合にのみベル役BL2が引き込み制御の対象となり、その他の停止釦スイッチ22a,22bが1番目に押された場合には、ベル役BL2と重複当選した他の2つのベル役が引き込み制御の対象となる。
【0057】
再遊技役に関しても、重複当選したリプレイ役の組み合わせに応じて、「押し順リプレイ1」および「押し順リプレイ2」と呼ばれる2種類の当選態様が設けられる。
「押し順リプレイ1」は、3種のリプレイ役RP1,RP2,RP3が重複当選したものである。「押し順リプレイ1」に当選した場合には、「右→中→左」の順に停止釦スイッチが押された場合にのみリプレイ役RP3を引き込み制御の対象とし、それ以外の順序で停止釦スイッチが押された場合には、重複当選した他の2種類のリプレイ役RP1,RP2のいずれか一方を引き込み制御の対象とする。後者のケースについてより具体的にいうと、「右→左→中」の順に停止操作が行われた場合にはリプレイ役RP2を引き込み制御の対象とし、それ以外の押し順による停止操作が行われた場合にはリプレイ役RP1を引き込み制御の対象とする。
【0058】
「押し順リプレイ2」は、リプレイ役RP2とリプレイ役RP3とが重複当選したものである。この「押し順リプレイ2」に当選した場合には、「右→左→中」の順に停止操作が行われた場合にのみリプレイ役RP3を引き込み制御の対象とし、それ以外の押し順で停止操作が行われた場合には、リプレイ役RP2を引き込み制御の対象とする。
【0059】
内部制御モード選択抽選でATモードに当選して当該モードに移行すると、内部抽選で「押し順リプレイ1,2」や「押し順ベル1,2,3」に当選した場合には、重複当選している役の中で遊技者にとって最も高い利益が得られる役(押し順リプレイ1,2ではリプレイ役RP3であり、押し順ベル1ではベル役BL1であり、押し順ベル2,3ではベル役BL2である。)に対応する押し順が報知される。この報知の対象となる押し順のことを、以下、「正解の押し順」と呼ぶ。
【0060】
さらにこの実施例のスロットマシン1には、第1のリプレイ役RP1への単独当選「ノーマルリプレイ」および上記の「押し順リプレイ1,2」に対する当選確率を複数とおり設定することによって、4種類の遊技モードRT0,RT1,RT2,RT3が設けられている。これらのうち、RT0は初期設定される遊技モードであるため、「通常遊技モード」と呼び、RT1,RT2,RT3の各遊技モードをそれぞれ「第1リプレイタイムRT1」「第2リプレイタイムRT2」「第3リプレイタイムRT3」と呼ぶ。なお、再遊技役以外の役にかかる当選確率については、RT0〜RT3の間での違いはなく、それぞれ一定の当選確率が維持される。また、第2リプレイタイムRT2は、実質的には通常遊技モードと変わらない遊技状態となる。
【0061】
図6に示すように、通常遊技モードRT0および第2、第3のリプレイタイムRT2,RT3では、再遊技役に関してはノーマルリプレイにしか当選しない。通常遊技モードおよび第2リプレイタイムRT2におけるノーマルリプレイへの当選確率は1/7.3であるが、第3リプレイタイムRT3では、「はずれ」に割り当てられていた乱数がノーマルリプレイに割り当てられることによって、ノーマルリプレイに対する当選確率が1/1.31にまで上昇する。
【0062】
第1リプレイタイムRT1では、ノーマルリプレイには当選せず、2種類の押し順リプレイのみに当選する。各押し順リプレイに対する当選確率の合計値は、第3リプレイタイムRT3のノーマルリプレイに対する当選確率と同様に、1/1.31である。
【0063】
図7は、上記4種類の遊技モードの切り替えの流れをそれぞれのモードへの移行の条件と共に示す。
通常遊技モードRT0において第1のリプレイ役RP1に当選し、このリプレイ役RP1への入賞が成立すると、第1リプレイタイムRT1に移行する。第1リプレイタイムRT1では、押し順リプレイ1,2に高い確率で当選するので、これらの当選態様のいずれかに当選している状態下で正解の押し順どおりの停止操作が行われると、第3のリプレイ役RP3への入賞が成立する。この入賞によって第1リプレイタイムRT1から第3リプレイタイムRT3に移行する。
第3リプレイタイムRT3においてあらかじめ定めたN1回のゲームが実行されると、第3リプレイタイムRT3は終了し、通常遊技モードRT0に戻る。
【0064】
第1リプレイタイムRT1において押し順リプレイ1または2に当選したが、正解の押し順とは異なる順序で停止操作が行われた場合には、第3のリプレイ役RP3は引き込みの対象とならない。押し順がはずれたために第2のリプレイ役RP2に入賞すると、第1リプレイタイムRT1から第2リプレイタイムRT2に移行する。第2リプレイタイムRT2においてあらかじめ定めたN2回のゲームが実行されると、第2リプレイタイムRT2は終了して通常遊技モードに戻る。
【0065】
再遊技役への入賞が成立する可能性が高い第1リプレイタイムRT1や第3リプレイタイムRT3では、メダルの目減りが防止される。これに対し、第1リプレイタイムRT1から第2リプレイタイムRT2に移行すると、再遊技役への当選確率が通常遊技と同等にまで低下する。
【0066】
ATモードに移行すると、通常遊技RT0や第2リプレイタイムRT2においても、押し順ベル1〜3のいずれかに当選した場合には、配当が多いベル役BL1,BL2への入賞が得られる正解の押し順(最初に操作すべき停止釦スイッチの種別)が報知される。遊技者は、報知された押し順に従った操作を行うことによって、手持ちメダルの目減りを防ぐことができる。さらに、再遊技当選確率の高い第1リプレイタイムRT1に入ると、押し順リプレイ1,2に当選した場合にも正解の押し順が報知されるので、第3リプレイタイムRT3への移行の条件となるリプレイ役RP3への入賞を容易に成立させることができる。第3リプレイタイムRT3でも、再遊技当選確率が高い状態で維持されるとともに、押し順ベル1,2,3に当選した場合に正解の押し順が報知されるので、遊技者に供与されるメダルの数が増大する。
【0067】
したがって、ATモードに入ると、遊技者は大きな利益が得ることが可能になるが、このように遊技者を利する遊技期間をある程度長く続けても遊技場側が損失を被ることがないようにするには、ATモードに移行する前の遊技者の利益を抑制する必要がある。そこで、この実施例のスロットマシン1には、ATモードに移行する前の状態(以下、「非AT状態」という。)下でのゲームにおいて、左の停止釦スイッチ22a以外の停止釦スイッチが1番最初に操作されてリール9bまたは9cが停止した場合には、遊技者にペナルティを課す仕様が導入されている。
【0068】
具体的には、非AT状態のゲームで左の停止釦スイッチ22a以外のスイッチが最初に操作された場合には、その後の所定回数分のゲームが終了するまで、小役FR1,FR2,FR3に当選しても内部制御モード選択抽選を実施しない、というペナルティが導入されている。このペナルティーを回避するには、遊技者は、ATモードに入るまでは、毎時のゲームで常に左の停止釦スイッチ22aを1番目に操作しなければならないが、そうなると、第1リプレイタイムRT1に入って押し順リプレイ1または2に当選しても、リプレイ役RP3への入賞が成立することはない。この仕組みにより、非AT状態下での第1リプレイタイムRT1から第3リプレイタイムRT3への移行を抑制することができる。
【0069】
非AT状態の第1リプレイタイムRT1において押し順リプレイ1または2に当選し、ペナルティが課せられることがない押し順、すなわち左の停止釦スイッチ22aを最初に押す操作が行われた結果、リプレイ役RP2に入賞すると、第2リプレイタイムRT2に移行するため、再遊技当選確率が低下する。
図6によれば、押し順リプレイ1および押し順リプレイ2に対する当選確率は同等の比率(1/2.62)に設定されているが、押し順リプレイ2に当選している状態下で押し順を外した場合には必ずリプレイ役RP2に入賞し、押し順リプレイ1に当選している状態下で押し順を外した場合にも所定の割合でリプレイ役RP2への入賞が成立するので、第1リプレイタイムRT1において左の停止釦スイッチ22aを第1に押す停止操作を続けると、リプレイ役RP2への入賞が早期に成立する。よって、合算の再遊技当選確率が高い第1リプレイタイムRT1が長時間続くのを防ぐことができる。
【0070】
上記のペナルティを回避する遊技者の行為によれば、非AT状態においては、通常遊技RT0から数ゲーム分の第1リプレイタイムRT1を経て第2リプレイタイムRT2に移行し、N2回のゲームを消化したことをもって通常遊技RT0に戻る、という流れが繰り返される可能性が高くなる。したがって、ATモードへの移行は、第1リプレイタイムRT1に入る前に生じる可能性が高くなる。
【0071】
第2リプレイタイムRT2においてATモードに移行したとしても、即時に再遊技当選確率を高めることはできない。N2回のゲームを消化して第2リプレイタイムRT2から通常遊技RT0に移行し、さらに通常遊技RT0でリプレイ役RP1に入賞して第1リプレイタイムRT1に移行するまでは、再遊技当選確率は1/7.3で維持される。ただしし、第2リプレイタイムRT2や通常遊技RT0においても、押し順ベル1〜3のいずれかに当選した場合には正解の押し順が報知されるので、報知された押し順に従った停止操作を行えば、メダルの消費が抑制される。
【0072】
ATモードにおいて第1リプレイタイムRT1に入り、押し順リプレイ1または2に当選すると、
図3に示したような画像表示により、リプレイ役RP3に入賞するための正解の押し順が報知される。遊技者は、報知に従った順序で停止操作を行うことによりリプレイ役RP3への入賞を容易に成立させて、第3リプレイタイムRT3に移行することができる。その後はATモードを終了する条件が成立するまで、第3リプレイタイムRT3から通常遊技RT0および第1リプレイタイムRT1を経て第3リプレイタイムRT3に移行する、という流れが繰り返される。
【0073】
この実施例では、ATモードにおいて上記のRT1→RT3→RT0→RT1・・・という流れが繰り返される期間をアシストリプレイタイム(ART)として、正面パネル4の報知ランプ20の点灯によりARTに入ったことを遊技者に報知している。ATモードの終了と共にARTが終了すると、報知ランプ20も消灯する。
【0074】
つぎに、ATモードの出現確率の変動制御やATモードに移行する可能性を報知する演出の制御について説明する。
この実施例では、非AT状態の内部制御モードとして、「低確モード」「高確モード」「超高確モード」の3種類を設定し、これら非AT状態下の内部制御モード下において、ATモードまたは他の内部制御モードに移行するか否かを決める抽選(内部制御モード選択抽選)を実施する。具体的な内部制御モード選択抽選として、この実施例では、実行中の内部制御モードよりも遊技者にとっての価値が高い内部制御モードに移行するか否かを決める昇格抽選と、実行中の内部制御モードよりも遊技者にとっての価値が低いモードに移行するか否かを決める降格抽選との2通りの抽選を、それぞれ異なる条件に従って実施する。
【0075】
図8(1)は昇格抽選用の抽選テーブルの設定例を、
図8(2)は降格抽選用の抽選テーブルの設定例を、それぞれ示す。実際の抽選テーブルは、各内部制御モードに65536個の乱数を割り当てた構成になるが、
図8(1)(2)では、各内部制御モードに割り当てられた乱数の個数により当選確率を表している(数値が大きいほど当選確率が高い。)。
【0076】
昇格抽選は、低確、高確、超高確の各内部制御モードにおいて、小役FR1,FR2,FR3のいずれかに当選したことに応じて実施される。
図8(1)に示すように、低確モード中の昇格抽選では、現在と同じ低確モードが選択される確率が圧倒的に高く(約86.8%)、ATモードが選択される確率は非常に低い(約0.15%)。高確モードでも、現在と同じ高確モードが選択される確率が圧倒的に高い(約90%)が、ATモードが選択される確率は約4%にまで上昇する。一方、超高確モードでATモードが選択される確率は、約67%にまで上昇する。
【0077】
降格抽選は、高確モードおよび超高確モードにおいてノーマルリプレイに当選したことに応じて実施される。
図8(2)に示すように、高確モードでは、25%の確率で価値が低い低確モードへの降格が生じるが、残りの75%の確率で高確モードが維持される。一方、超高確モードでは当該モードが維持されることはなく、高確モードへの降格および低確モードへの降格が、50%ずつの確率で発生する。
【0078】
図9(1)は、この実施例の第1副制御部40に導入されている演出ステージの概要を示し、
図9(2)は、上記の各演出ステージを選択するステージ選択抽選の抽選テーブルの設定例を示す。
【0079】
この実施例では、液晶表示器6に表示される演出の背景画像が異なる4種類の演出ステージA,B,C,Dを設定し、先に述べた昇格抽選や降格抽選に続いて、ステージ選択抽選を実施する。ステージ選択抽選用の抽選テーブルでは、その前の昇格抽選または降格抽選で選択された内部制御モードによって、選択対象の演出ステージの種類や選択確率が変動するように設定されている。
【0080】
具体的に
図9(1)(2)を参照して説明すると、低確モードでは、「学園」を舞台とした種々の演出が実行される演出ステージAと「繁華街」を舞台とした種々の演出が実行される演出ステージBの2種類のうちのいずれかが選択されるが、演出ステージAが選択される確率が圧倒的に高く(80%)設定されている。
【0081】
高確モードでは、上記の演出ステージA,B、および「スポーツジム」を舞台とした種々の演出が実行される演出ステージCの3種類のステージのうちの1つが選択される。演出ステージAが選択される確率は10%であり、残りの90%の確率は演出ステージB,Cに半分ずつ振り分けられている。
超高確モードでは、演出ステージCと、「秘密基地」を舞台とした種々の演出が実行される演出ステージDとのいずれかが選択されるが、演出ステージDが選択される確率が圧倒的に高く(70%)設定されている。
【0082】
図8に示した内部制御モード選択用の抽選テーブルの設定によれば、非AT状態からATモードに移行する可能性は、低確、高確、超高確の順に高められる。
また、
図9(2)に示したステージ選択用の抽選テーブルの設定によれば、演出ステージAおよびBが選択されている場合には、低確モードおよび高確モードのいずれかに滞在している可能性がある。しかし、演出ステージAについては、低確モードでの選択確率が高確モードでの選択確率の8倍となるため、演出ステージAによる演出を見た遊技者は、低確モードが選択されている可能性が非常に高いと感じる。一方、演出ステージBについては、高確モードでの選択確率が低確モードでの選択確率の2倍以上となるため、演出ステージBによる演出を見た遊技者は、演出ステージAによる演出よりは高確モードが選択されている可能性が高いと感じる。
【0083】
演出ステージCは、高確モードにおいて、演出ステージBと同じ確率で選択されるが、演出ステージCは超高確モードにおいても30%の確率で選択され、低確モードでは選択されないので、演出ステージCによる演出を見た遊技者は、高確モード以上が確定したと認識し、超高確モードに滞在している可能性も十分にあると感じる。
演出ステージDは、超高確モードでのみ選択されるので、この演出ステージDによる演出を見た遊技者は、超高確モードに確実に滞在していると認識する。
【0084】
したがって、4種類の演出ステージA,B,C,DからATモードに移行する可能性を推定する遊技者に生じる期待度は、演出ステージA,B,C,Dの順に高められる。特に、超高確モードであることが確約される演出ステージDが出現すると、遊技者の期待度は大幅に高められる。一方、低確モードである可能性が高い演出ステージAが出現した場合には、遊技者は、ATモードへの移行に殆ど期待しない状態になる。
上記の制御や演出によれば、遊技者は、演出ステージの変遷や各演出ステージの出現頻度に基づきARTに移行する可能性を推測しながら遊技を進めることができる。
【0085】
遊技が終了してから所定時間が経過すると、第1副制御部40は待機モードに移行し、液晶表示器6の表示をデモ表示演出に切り替える。
殆どの遊技者は、演出ステージAが長く続いたり、演出ステージAへの降格が生じたことをもって失望し、遊技台を離れてしまうが、
図9(2)に示すように、演出ステージAが実施されている場合でも高確モードが選択されている可能性がある。
【0086】
そこでこの実施例では、待機モードに移行した遊技機(スロットマシン1)において、第1副制御部40に以下の
図10〜12に示すような制御を実行させることにより、客待ち状態で一定時間以上放置された待機中の遊技機、すなわち空き台の稼働を促進し、さらに空き台で遊技が開始されたときの興趣が高められるようにしている。
【0087】
図10は、ゲーム終了に応じて第1副制御部40が実行する処理の手順を示す。
主制御部30は、1回分のゲームが終了する都度、その終了を第1副制御部40に通知する。第1副制御部40のCPU41は、この通知を受けると、内部のタイマによる計時処理を開始し(ステップST1,ST2)、以後、計時時間Tをチェックしつつ主制御部30からのベット操作の通知に待機する。
【0088】
タイマの計時時間Tがあらかじめ定めた上限値T
Aに達する前にベット操作の通知を受けた場合(ステップST3が「YES」)には、CPU41は経過時間Tの値をリセットし(ステップST4)、最初のステップST1に戻る。
一方、ベット操作の通知を受けることなく計時時間Tが上限値T
Aに達した場合(ステップST5が「YES」)には、実行中の内部制御モードおよび演出ステージの種別を保存し(ステップST6)、待機モードに移行する(ステップST7)。ただし、その後も、タイマによる計時処理は続き、所定の時点で主制御部30からベット操作の通知を受けたときに計時処理を終了し(ステップST8,ST9)、これをもってゲーム終了後処理を終了する。
【0089】
図11は、待機モード中のデモ演出にかかる制御の手順を示す。
この実施例の待機モードでは、一定の時間間隔(たとえば5分)をおいて一定の時間長さ(たとえば1分)の動画像によるデモ演出を実施する。この処理のために、副制御部40のCPU41は、図示しない第2のタイマを用いてデモ演出を実施するタイミングになったかどうかをチェックする。
【0090】
デモ演出を実施するタイミングが到来すると(ステップST11が「YES」)、CPU41は、ゲーム終了後処理において計時されている時間Tを所定時間T
B(T
B>T
A)と比較する。計時時間TがT
Bより短い間は、待機前の内部制御モードにかかわらず、ステップST12が「NO」となってステップST15に進み、通常のデモ演出を実行する。これに対し、計時時間TがT
Bより長くなった場合(ステップST12が「YES」)には、待機前の内部制御モードが低確モードである場合を除き、後述する特別態様のデモ演出を実行する(ステップST13→ST14)。待機前の内部制御モードが低確モードであった場合には、計時時間TがT
Bを超えた後も通常のデモ演出が実行される(ステップST13→ST15)。
【0091】
待機モードでは、ゲーム終了後処理(
図10)のST8の判定やデモ演出制御(
図11)が繰り返される。しかし、主制御部30からベット操作の通知を受けると、ゲーム終了後処理が終了すると共にデモ演出制御も中止され、
図12に示す復帰処理が進行する。
【0092】
復帰処理では、ベット操作の通知を受けて(ステップST21)、タイマの計時時間Tをチェックする(ステップST22)。この時間TがT
Bより短い場合(ステップST22が「NO」)、すなわち待機モード中には通常のデモ演出しか実行されなかった場合には、待機前の演出ステージを選択し(ステップST26)、しかる後に待機前の内部制御モードに復帰して、選択した演出ステージによる演出を実行する(ステップST27)。
【0093】
一方、時間TがT
Bを超えている場合(ステップST22が「YES」)には、CPU41は、待機前の内部制御モードをチェックする。待機前の内部制御モードが高確モードまたは超高確モードであった場合(ステップST
23が「NO」)、すなわち特別態様のデモ演出が実行されていた場合には、CPU41は、さらに待機前の演出ステージをチェックする。ここで、待機前に選択されていた演出ステージより期待度の高い演出ステージが存在する場合(ステップST24が「YES」)には、ステップST25において期待度がより高い演出ステージを選択し、その後にステップST27に進む。
【0094】
ステップST24における判断は、待機前の内部制御モードにおいて選択可能な演出ステージの範囲で実施される。つまり高確モードであれば、演出ステージAまたはBが選択されている場合に、超高確モードであれば演出ステージCが選択されている場合に、ステップST24の判定が「YES」となってステップST25に進む。超高確モードで演出ステージCが選択されている場合のステップST25では、演出ステージDが選択され、高確モードで演出ステージBが選択されている場合のステップST25では、演出ステージCが選択される。また、高確モードで演出ステージAが選択されている場合のステップST25では、抽選で演出ステージBおよびCのいずれか一方を選択する。
【0095】
上記のように待機前と異なる演出ステージが選択された場合には、ステップST27では、待機前の内部制御モードに復帰した後、新たに選択された演出ステージによる演出を開始する。
【0096】
時間TがT
Bを超えた場合でも、待機前の内部制御モードが低確モードであるか、または待機前の内部制御モードにおいて最も期待度が高い演出ステージ(高確モードであれば演出ステージC、超高確モードであれば演出ステージD)が選択されていた場合には、ステップ26において、待機前の演出ステージが選択される。
【0097】
図11のデモ演出制御および
図12の復帰処理によれば、高確モードや超高確モードから待機モードに移行した遊技機で、その移行からT
B時間以上が経過しても遊技が行われない場合には、特別態様のデモ演出が実施される。この段階で遊技者がベット操作を行うと、待機モードに移行したときの内部制御モードに復帰すると共に、復帰した内部制御モードにおいて実施可能な演出ステージによる演出が実施される。ここで、待機モードへの移行時の演出ステージよりも期待度の高い演出ステージが存在する場合には、その期待度の高い演出ステージによる演出に切り替えられる。例えば、待機モードに移行したときの内部制御モードが高確モードであるが演出ステージAが選択されていた場合には、待機モードから復帰した際には、演出ステージAよりも高確モードに滞在している期待値が高い演出ステージB、または高確モード以上が確定する演出ステージCが選択されることになる。これにより、遊技の結果によって演出ステージAに降格してしまうまでは、遊技者の遊技意欲を持続させることが可能になる。
【0098】
また、待機モードへの移行時の内部制御モードが超高確モードであった遊技機では、復帰後には必ず演出ステージDが出現するので、遊技者に、より大きな驚きや喜びを喚起することができる。
【0099】
図13は、デモ表示演出画面の変遷の例を示す。図中の左側に示す画面(イ)は、通常デモ表示の例である。この例では、画面の中央に「あいてま〜す」というメッセージが大きく表示されると共に、画面の下端部において、「PACHISULO」という文字列(「パチスロ」の意味)が右手から左手に向かって繰り返し移動表示されている。また、図示していないが、背景部分では、適宜、色彩が変更されたり、輝度の高い模様が現れる場合がある。
図11の制御により、上記の表示は、一定の時間繰り返され、休止期間をおいて再び同様の画面が表示される。
【0100】
図13の右側に示す画面(ロ)〜(ヘ)は、特別態様のデモ表示の例を示す。
特別態様のデモ表示でも、初期の画面は通常デモ表示と殆ど変わらないが、下端部で移動する「PACHISULO」の文字列群の中に「CHANCE」(チャンス)という文字列が混入する状態になる(画面(ロ)(ハ)(ニ)中の点線で囲んだ範囲の文字列を参照。)。この「CHANCE」と「PACHISULO」とが混在する文字列群の移動表示は、休止期間を挟んで所定サイクル以上繰り返される(
図11のST11〜ST14のループの繰り返しにより実現する。)が、あるサイクルにおいて画面の幅中央部に「CHANCE」の文字列が到達したときに、「あいてま〜す」および「CHANCE」の各文字列が画面の上方に移動を開始する(画面(ホ))。
【0101】
この移動の間に、「あいてま〜す」はしだいに小さくなって、画面の上端部に到達したときに消失する。反対に「CHANCE」はしだいに大きくなって、画面の中央部で停止し、感嘆符付きの文字列として強調表示される(画面(ヘ))。また、この段階の「CHANCE」は、適宜、文字列の色彩が変化したり、上下、左右に微小に振動するなど、目立つ状態で表示される。
【0102】
上記の演出制御によれば、長時間使用されることがなく放置されていた遊技機に特別態様の演出表示を行わせることにより、遊技者を惹き付けて、その遊技機で遊技をしてみようという気にさせることができ、遊技機の稼働率を高めることができる。さらに、待機モードに移行する直前に、AT移行抽選への当選確率が高い内部制御モードが選択されていた場合には、ベット操作によりデモ表示演出が終了すると同時に高確演出ステージが登場するので、遊技者に大きな喜びや期待感を喚起させて、その後の遊技の興趣を高めることができる。
【0103】
なお、デモ表示演出の画面は
図13の例に限らず、たとえば、通常のデモ表示演出として一定のデモムービーを再生し、特別態様のデモ表示演出として、同様のデモムービーの再生と共に、タイトル画面やメーカのロゴなどを表示してもよい。また、デモムービーの一部を変化させることによっても、特別態様の演出画面を構成することができる。
【0104】
いずれにしても、注意して観察しないと通常のデモ表示演出との違いがわかりにくいような演出を実施することにより、遊技場に長く滞在している遊技者や来店頻度の高い遊技者など、微小な演出の変化に気づく可能性が高い遊技者にメダルが還元される機会を増やすことができる。
【0105】
なお、上記の実施例では、待機前の内部制御モードが低確モードの場合には、特別態様の演出を行わないようにしたが、低確モードで待機モードに入った場合にも、T
B以上の時間が経過したことを条件に特別態様のデモ演出を実施してもよい。その場合に、待機前に演出ステージAが選択されていた場合には、演出ステージBに選択を切り替えて待機モードを解除してもよい。
【0106】
また、上記の実施例では、高確モードまたは超高確モードから待機モードに移行した場合には、例外なく、一定の時間T
Bが経過した後に特別態様のデモ演出を行うようにしたが、待機前の内部制御モードの種別によって特別態様のデモ演出を行うタイミングや当該演出を行う確率を変動させてもよい。
【0107】
また上記の実施例では、待機モードからの復帰時に待機前とは異なる演出ステージが選択された場合には、待機モードの解除の直後から新たに選択された演出ステージが開始されるようにしたが、その開始を、復帰からやや遅らせてもよい。たとえば、復帰後の最初の始動レバースイッチ21の操作により各リール9a,9b,9cが回転を開始したときに、演出ステージの選択を切り替えてもよい。
【0108】
また、上記の実施例では、昇格抽選でATモードに当選した場合には即時にATモードに移行するものとしたが、これに限らず、ATモードへの当選から所定回数分のゲームを経てATモードに移行する機種もある。この種の遊技機において、ATモードへの当選からATモードに移行するまでの潜伏期間中に待機モードに移行して長時間放置された場合にも、特別態様のデモ表示演出や待機モードからの復帰後の演出ステージの変更によって遊技者の期待度を高めることができる。
【0109】
潜伏期間中の内部制御モード(以下、「潜伏モード」という。)から待機モードに移行した場合には、特別の態様のデモ演出を実施することについて、非AT状態における他の内部制御モードからの移行とは異なる条件を設定してもよい。
【0110】
たとえば、潜伏モードから待機モードに移行した場合には、その移行から1時間が経過したことをもって必ず特別態様のデモ演出を開始する一方、潜伏モード以外の内部制御モードから待機モードに移行した場合には、特別態様のデモ演出が開始されるまでの時間にばらつきをもたせる(最小1時間とする。)ことによって、待機モードから1時間で特別態様のデモ演出が開始された場合には、待機前に潜伏モードであった可能性が高いと印象づけることができる。または、潜伏モードから待機モードに移行した場合には、一定時間経過後に必ず特別態様のデモ演出を開始するが、潜伏モード以外の内部制御モードから待機モードに移行した場合には、特別態様のデモ演出が開始されないケースを所定の割合で発生させてもよい。
【0111】
上記のように特別態様のデモ演出を行うタイミングや特別態様のデモ演出の実行確率を待機前の内部制御モードに応じて変動させることによって、待機モードに移行してからの様子を観察している人を通りすがりの人よりも有利にすることができる。
【0112】
また、特別態様のデモ演出が開始されるまでの時間やデモ演出が実施される確率にばらつきを持たせることによって、「ハイエナ行為」と呼ばれる悪質行為が助長されるのを防ぐことができる。
ハイエナ行為とは、殆どお金を使うことなく、待機モードを解除して演出ステージや各種報知ランプの状態を確認しながら、有利な遊技状態の空き台を探し回る行為のことである。高確モードか超高確モードから待機モードに移行した場合に、一定時間経過後に必ず特別態様のデモ演出が開始されるようにすると、同一の時間帯に複数の台で特別態様のデモ演出が実施される可能性が高まり、そのデモ演出のタイミングを見計らってハイエナ行為が行われるおそれがある。これに対し、特別態様のデモ演出が実行される頻度やタイミングがばらつくと、同一の時間帯に特別態様のデモ演出が実施される空き台の数は少なくなるので、ハイエナ行為はやりづらくなる。
【0113】
したがって、長く遊技場に滞在して遊技を続ける善意の遊技客に高確モードの遊技機を提供できる機会を高めて、客サービスを向上することが可能になる。
また、待機モードに移行する際の内部制御モードが潜伏モードである場合の特別態様のデモ演出の実施条件を他より有利にすることにより、特別のデモ演出が実施され始めた遊技機の利用を促進することができるので、長く空き台として放置される遊技台を減らすことができる。
【0114】
待機モードから復帰した後の演出ステージの選択についても同様に、復帰したモードの種別によって演出ステージの選択条件に差を持たせることができる。たとえば、潜伏モードから待機モードに移行した場合には、ベット操作に応じて潜伏モードに復帰した際に必ず高期待度の演出ステージ(たとえば前出の演出ステージD)を実施するが、潜伏モード以外の内部制御モードから待機モードに移行した場合には、待機前に実施していた演出ステージより期待度の高い演出ステージが存在しても、所定の割合で待機前と同じ演出ステージを選択するようにしてもよい。
【0115】
最後に上記では、ARTを実施する機能を有するスロットマシンにおける演出制御を例に説明したが、これに限らず、たとえば、パチンコ機においても、同様の演出制御の切り替えをすることにより、待機モードに移行した遊技機が長時間放置されるのを防ぐことができる。