(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902693
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】選択的に制御可能な電磁気シールド
(51)【国際特許分類】
H02J 50/00 20160101AFI20160331BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
H02J17/00 B
H05K9/00 T
【請求項の数】92
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2013-530344(P2013-530344)
(86)(22)【出願日】2011年9月23日
(65)【公表番号】特表2013-540411(P2013-540411A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】US2011052904
(87)【国際公開番号】WO2012040548
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2014年9月22日
(31)【優先権主張番号】61/444,926
(32)【優先日】2011年2月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/386,535
(32)【優先日】2010年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】302070822
【氏名又は名称】アクセス ビジネス グループ インターナショナル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ダブリュ.バールマン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ティー.ストーナー,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ケー.シュワネック
(72)【発明者】
【氏名】ケイトリン ジェイ.ターナー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン シー.メス
【審査官】
横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−189626(JP,A)
【文献】
特開昭55−093514(JP,A)
【文献】
特開平02−239604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00−50/90
H02J 5/00
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
H01F 38/14
H01F 38/18
H05K 9/00
H04B 5/00− 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲空間よりも低い抵抗の電磁気流路を提供するように、周囲空間の透磁率より実質的に高い透磁率を有する電磁気シールドと、
前記電磁気シールドに近接して配置され、又は配置可能な磁界源であって、該磁界源は前記シールドの少なくとも一部を選択的に実質的に飽和させるのに十分な強度を有する磁界を発生し、それによって前記電磁気シールドが周囲空間より低い抵抗の電磁気流路をもはや提供しないように、前記電磁気シールドの前記透磁率を選択的に減少させる、磁界源と、
を備え、
前記電磁気シールドは、無線電源の電磁転送面と実質的に同一の広がりを有するように構成される、
電磁気シールドシステム。
【請求項2】
前記磁界源は、前記電磁気シールドを実質的に飽和させるのに十分な強度のDC磁界を選択的に発生するように選択的に作用させることができる電磁石である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記磁界源は前記電磁気シールドに隣接する、パターンで配置された複数の電磁石を含み、該電磁石は前記電磁気シールドの種々の領域を選択的に飽和させるように選択的に動作できる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記磁界源は、前記電磁気シールドの近傍に着脱可能に配置できる永久磁石である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記磁界源は、遠隔装置が搭載する磁石であって、前記電磁気シールドに隣接する遠隔装置の配置が、前記磁石が前記電磁気シールドを実質的に飽和させる結果となる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記磁界源は、前記磁界の強度を選択的に変化させることができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記磁界源は、前記シールドの一部だけを選択的に実質的に飽和させるのに十分な強度のDC磁界を発生させるように選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記磁界源は、前記シールドに隣接する、パターンで配置された複数の個別に動作可能な電磁石を含み、該電磁石は前記シールド内に1又は複数の局所開口部を生成するように、単独で又は一緒に、選択的に動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記シールドと分離された補助シールドを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記補助シールドは、前記磁界内にあるとき、実質的に不飽和のままであることができる材料でできている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記電磁気シールドは、可とう性合成フェライトでできている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
電磁界を発生できる電磁界発生器と、
前記電磁界を受信できる電磁界受信器と、
前記電磁界発生器と前記受信器との間に配置された電磁気シールドであって、前記電磁界受信器に届く前記電磁界の能力を選択的に実質的に減少させることができる電磁気シールドと、
前記電磁界の実質的により大きな部分が前記電磁気シールドを通過して前記電磁界受信器に届くことができるように、前記電磁気シールドの少なくとも一部を選択的に飽和させるように選択的に動作可能なDC磁界源と、
を備える電磁転送システム。
【請求項13】
前記磁界源は、前記電磁気シールドに近接して配置された電磁石を含み、該電磁石は、前記電磁気シールドの少なくとも一部を実質的に飽和させるのに十分な強度の磁界を選択的に発生させるように選択的に活性化される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記電磁界受信器は遠隔装置に搭載され、
いつ前記遠隔装置が前記電磁気シールドに隣接して置かれたかを判定する回路と、該判定に応じて前記電磁石を活性化する回路と、を更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記磁界源は前記電磁気シールドと分離されており、該電磁気シールドに隣接して着脱可能に配置可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記磁界源は永久磁石を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記電磁界受信器及び前記磁界源は遠隔装置に搭載され、前記電磁気シールドに隣接して遠隔装置を配置することが、前記電磁気シールドの少なくとも一部を飽和させるように前記磁界源を配置し、前記電磁界が前記電磁気シールドの前記飽和した部分を通過する前記電磁界を受信するように前記電磁界受信器を配置する、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記磁界源は永久磁石を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記電磁界発生器は、無線で電力を転送するために電磁界を発生する、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記電磁界発生器は、前記電磁界受信器を着脱可能に置くことができる転送面に隣接して配置され、前記電磁気シールドは前記電磁界発生器と前記転送面との間に配置される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記電磁界発生器は、電力及び通信のうち少なくとも一つを無線で転送するために電磁界を発生する、請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
前記DC磁界源は、該DC磁界源によって発生される磁界の強度を選択的に変化できる、請求項12に記載のシステム。
【請求項23】
前記電磁気シールドは、可とう性合成フェライトでできている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記電磁気シールドは、高透磁率の第1領域と、低透磁率の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の遷移領域とを有する透磁率曲線を有する軟磁性材料でできており、前記DC磁界源は、前記シールドを前記第1領域から前記第2領域へ遷移させるように選択された磁界強度を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項25】
前記磁界源は、前記電磁気シールドに隣接する、パターンで配置された複数の電磁石を含み、該電磁石はそれぞれ、前記電磁気シールドの隣接部分を実質的に飽和させるのに十分な強度の磁界を選択的に発生させるように選択的に動作可能であり、前記電磁石は、前記シールドを貫通する領域化された開口部を選択的に生成するように個別に作用させることができる、請求項12に記載のシステム。
【請求項26】
前記電磁界発生器は複数の1次コイルを含み、
前記DC磁界源は複数の電磁石を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項27】
前記電磁界発生器は、複数の前記電磁界受信器を同時に受容するのに十分なサイズの転送面に隣接して配置され、前記電磁気シールドは前記電磁界発生器と前記転送面との間に配置され、前記電磁界発生器は、前記電磁界を前記転送面上の任意の場所に配置された電磁界受信器に放出することができる、請求項12に記載のシステム。
【請求項28】
電磁界を発生することができる電磁界源を備える無線電源と、
前記無線電源と分離しており、前記電磁界源に隣接して選択的に置くことができる遠隔装置と、
前記電磁界源と前記遠隔装置との間に配置された電磁気シールドであって、前記電磁界源から前記遠隔装置への前記電磁界の有意な部分の透過を阻止するのに十分な透磁率を有する、電磁気シールドと、
前記電磁気シールドの少なくとも一領域を実質的に飽和させ、前記電磁界の実質的により大きな部分が、前記飽和した領域を通して前記電磁界源から前記遠隔装置へ透過することができるように選択的に動作可能な磁界源と、
を備える無線電力システム。
【請求項29】
前記電磁界源は、1次コイルと、電磁界を発生させるために、前記1次コイルに電力を印加するドライバと、を含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記1次コイルに隣接して配置された電力転送面を更に含む、請求項29の記載のシステム。
【請求項31】
前記電磁気シールドは、前記1次コイルと前記電力転送面との間の前記無線電源に組み込まれている、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記磁界源は前記遠隔装置に搭載され、前記遠隔装置を前記電力転送面の上に置くことが、前記磁界源を前記電磁気シールドの少なくとも一部を実質的に飽和させる位置に配置する、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記磁界源は1又は複数の電磁石を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記磁界源は1又は複数の永久磁石を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記1又は複数の永久磁石は、前記電磁界が前記遠隔装置に届くことができる適切なサイズ及び形状の開口部を前記電磁気シールド内に開くように選択される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記磁界源は前記電磁気シールドに隣接する、パターンで配置された複数の電磁石を含み、該電磁石はそれぞれ、前記電磁気シールドの隣接部分を実質的に飽和させるのに十分な強度の磁界を選択的に発生させるように選択的に動作可能であり、前記電磁石は、前記シールドを貫通する領域化された開口部を選択的に生成するように個別に作用させることができる、請求項31に記載のシステム。
【請求項37】
前記電磁界源は複数の1次コイルを含み、
前記磁界源は複数の電磁石を含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項38】
前記磁界源は、該磁界源によって発生される磁界の強度を選択的に変化できる、請求項28に記載のシステム。
【請求項39】
前記電磁気シールドは、高透磁率の第1領域と、低透磁率の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の遷移領域とを有する透磁率曲線を有する軟磁性材料でできており、前記磁界源は、前記シールドを前記第1領域から前記第2領域へ遷移させるように選択された磁界強度を有する、請求項28に記載のシステム。
【請求項40】
内部空間を規定する車両車体であって、前記内部空間を該内部空間の外で発生した外部電磁界から遮蔽するように構成された電磁気シールドを含む車体と、
前記内部空間内に配置された電磁界受信器であって、前記外部電磁界を受信するように構成された受信器と、
前記外部電磁界の実質的な部分が、前記車両車体を通過して前記内部空間に入り、前記電磁界受信器によって受信されるように、前記電磁気シールドの少なくとも一部を飽和させるように選択的に動作できる磁界源と、
を備えるシステム。
【請求項41】
電磁界源であって、無線電力及び無線通信のうち少なくとも一つを転送するために電磁界を送信することができる電磁界源と、
前記電磁界源に隣接して配置された電力転送面であって、1又は複数の遠隔装置を着脱可能に受容することができ、前記遠隔装置はそれぞれ電磁界受信器を含む、電力転送面と、
前記電磁界源と、前記電力転送面との間に配置された電磁気シールドと、
前記電磁界源に隣接して配置された補助シールドと、
前記補助シールドを実質的に飽和させることなく、前記電磁気シールドの少なくとも一部を選択的に実質的に飽和させるように構成された磁界源であって、前記磁界源の作用によって前記電磁界の実質的により多くが前記電磁気シールドの前記飽和部分を通過すると共に、前記補助シールドが前記電磁界を含み続け、前記補助シールドが前記磁界源によって実質的に変化しない、磁界源と、
を備えた電磁界転送システム。
【請求項42】
前記補助シールド及び前記電磁気シールドが協同して前記電磁界源を実質的に包囲し、前記電磁気シールドが不飽和のとき、前記電磁界は前記補助シールド及び前記電磁気シールド内に実質的に含まれる、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記磁界源は前記電磁気シールドに対して配置された電磁石を含み、該電磁石は、前記電磁気シールドの少なくとも一部を実質的に飽和させるのに十分な強度の磁界を選択的に発生させるように、選択的に作用させられる、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記磁界源は前記電磁気シールドと分離されており、前記電磁気シールドに隣接して着脱可能に置くことができる、請求項41に記載のシステム。
【請求項45】
前記磁界源は遠隔装置に搭載され、該遠隔装置を前記電磁気シールドに隣接して配置することが、前記磁界源を前記電磁気シールドの少なくとも一部を飽和させるように配置し、前記電磁界受信器を前記電磁気シールドの前記飽和部分を通過する前記電磁界を受信するように配置する、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記磁界源は永久磁石を含む、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記磁界源は電磁石を含む請求項45に記載のシステム。
【請求項48】
前記電磁気シールドは可とう性合成フェライトでできている、請求項42に記載のシステム。
【請求項49】
前記電磁気シールドは、高透磁率の第1領域と、低透磁率の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の遷移領域とを有する透磁率曲線を有する軟磁性材料でできており、前記磁界源は、前記電磁気シールドを前記第1領域から前記第2領域へ遷移させるように選択された磁界強度を有する、請求項42に記載のシステム。
【請求項50】
前記磁界源は、前記電磁気シールドに隣接する、パターンで配置された複数の電磁石を含み、該電磁石はそれぞれ、前記電磁気シールドの隣接部分を実質的に飽和させるのに十分な強度の磁界を選択的に発生させるように選択的に動作可能であり、前記電磁石は、前記シールドを貫通する領域化された開口部を選択的に生成するように個別に作用させることができる、請求項42に記載のシステム。
【請求項51】
前記電磁界源は複数の1次コイルを含み、
前記磁界源は複数の電磁石を含み、該電磁石はそれぞれ、前記1次コイルのうち一つと一意に関係し、前記電磁石のうち一つを使用することが、前記1次コイルのうち対応する一つに隣接する前記電磁気シールドを貫通する開口部を発生させ、前記対応する1次コイルと遠隔装置との間の結合の効率を選択的に増加させる、請求項42に記載のシステム。
【請求項52】
前記電力転送面は複数の前記遠隔装置を同時に受容するのに十分なサイズであり、前記電磁界源は、前記電磁界を前記電力転送面上の任意の場所に配置された電磁遠隔装置に放出することができ、前記磁界源は前記電磁気シールドの一部だけを飽和させることができる、請求項42に記載のシステム。
【請求項53】
外部電磁界源によって発生させた電磁界を受信するように構成された電磁受信器と、
前記受信器を実質的に包囲するシールドであって、前記電磁受信器と外部電磁界源との結合の効率を実質的に減少させるのに十分な透磁率を有するシールドと、を備え、
前記シールドの少なくとも第1部分は、高透磁率の第1領域と、低透磁率の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の遷移領域とを有する透磁率曲線を有する軟磁性材料でできており、前記材料は、適切な強度のDC磁界によって、前記第1領域から前記第2領域へ容易に遷移する、電磁受信システム。
【請求項54】
前記シールドは、前記第1部分を実質的に飽和させるのに適切な強度のDC磁界において不飽和であり続けることができる材料でできた第2部分を含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記シールドの前記第2部分を実質的に飽和させることなく、前記シールドの前記第1部分の少なくとも一領域を実質的に飽和させるのに十分な強度のDC磁界を選択的に発生することができる電磁石を更に含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
独立して動作可能な複数の電磁石を更に含み、該電磁石はそれぞれ、前記シールドの前記第2部分を実質的に飽和させることなく、前記シールドの前記第1部分の隣接領域を実質的に飽和させるのに十分な強度のDC磁界を選択的に発生することができる、請求項54に記載のシステム。
【請求項57】
前記シールドの前記第1部分は可とう性合成フェライトでできている、請求項54に記載のシステム。
【請求項58】
前記電磁受信器は外部電磁界から無線電力を受信することができ、
前記無線電力によって電力供給できる電子負荷を更に含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項59】
前記電磁受信器は外部電磁界から無線通信を受信することができ、
前記無線通信を利用することができる電子負荷を更に含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項60】
前記電磁受信器は外部電磁界から無線電力及び無線通信を受信することができ、
前記無線電力によって電力供給され、前記無線通信を利用することができる電気負荷を更に含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項61】
電磁界経路用のスイッチであって、
電磁界を選択的に発生することができる電磁界発生器と、
前記電磁界発生器に隣接して配置された電磁界受信器と、
前記発生器及び前記受信器の間に配置された電磁気シールドと、
前記電磁気シールドに近接して配置された選択的磁界源であって、前記電磁気シールドの少なくとも一部を、飽和状態と不飽和状態とに遷移させるのに十分な強度の磁界を選択的に発生することができ、前記飽和状態は、該飽和状態が前記電磁界発生器と前記電磁界受信器との間の結合を、前記不飽和状態よりも実質的に大きくできることを特徴とする、選択的磁界源と、
を備えるスイッチ。
【請求項62】
前記磁界源は電磁石である、請求項61に記載のスイッチ。
【請求項63】
前記電磁界発生器は1次コイル及び該1次コイルに電力を供給する回路を含み、該1次コイルは時変電磁界を発生する、請求項62に記載のスイッチ。
【請求項64】
前記電磁界受信器は2次コイルを含む、請求項63に記載のスイッチ。
【請求項65】
前記電磁気シールドは、高透磁率の第1領域と、低透磁率の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の遷移領域とを有する透磁率曲線を有する材料でできており、前記選択的磁界源は、前記電磁気シールドを前記第1領域から前記第2領域へ遷移させるように選択された磁界強度を有する磁界を選択的に生成できる、請求項64に記載のスイッチ。
【請求項66】
前記材料は軟磁性材料である、請求項65に記載のスイッチ。
【請求項67】
前記電磁気シールド材料は、前記不飽和状態において、前記電磁界の有意な部分を前記電磁界発生器に戻す磁束ガイドとして機能する材料でできている、請求項64に記載のスイッチ。
【請求項68】
選択的シールドの方法であって、
電磁界発生器を提供するステップと、
飽和状態と不飽和状態との間を選択的に遷移することができる電磁気シールドを提供するステップと、
前記電磁気シールドの少なくとも一つの部分を前記不飽和状態から前記飽和状態へ遷移させるのに十分な強度のDC磁界を発生することができるDC磁界源を提供するステップと、
前記電磁界発生器及び電磁界受信器の間に前記シールドを配置するステップと、
電磁界を発生させるために前記電磁界発生器を運転するステップと、
前記電磁気シールドの少なくとも一部を選択的に前記飽和状態に遷移させ、前記シールドが前記飽和状態にあるとき、前記不飽和状態にあるときよりも前記電磁界の実質的により多くの部分が前記電磁界受信器に届くことができるようにするために、前記DC磁界源で前記シールドの少なくとも一部を選択的に飽和させるステップと、
を有する方法。
【請求項69】
前記選択的に飽和させるステップは、前記シールドに隣接して永久磁石を配置するステップとして更に規定される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記選択的に飽和させるステップは、前記DC磁界を発生させるために前記シールドに近接して配置された電磁石を運転するステップとして更に規定される、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記配置するステップは、前記電磁界発生器と転送面との間に前記シールドを配置するステップとして更に規定され、
前記転送面上に前記電磁界受信器を含む遠隔装置を置くステップを更に含む、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記DC磁界源は永久磁石であり、
前記選択的に飽和させるステップは、前記シールドに隣接して前記永久磁石を配置するステップを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記永久磁石は遠隔装置に搭載され、
前記選択的に飽和させるステップは、前記遠隔装置を前記シールドに隣接して配置するステップを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記電磁界発生器は複数の1次コイルであり、
前記電磁界発生器を運転するステップは、前記複数の1次コイルの少なくとも一つを運転するステップを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項75】
前記選択的に飽和させるステップは、前記少なくとも一つの運転される1次コイルに近接する領域内の前記シールドを飽和させるステップとして更に規定される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記運転するステップは、無線で電力を転送するために電磁界を生成するように前記電磁界発生器を運転するステップを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項77】
前記運転するステップは、無線で通信を転送するために電磁界を生成するように前記電磁界発生器を運転するステップを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項78】
前記運転するステップは、無線で電力を転送し、無線で通信を転送するために電磁界を生成するように前記電磁界発生器を運転するステップを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項79】
高透磁率の第1領域と、低透磁率の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の遷移領域とを有する透磁率曲線を有する軟磁性材料で前記シールドを製造するステップを更に含み、前記DC磁界源は、前記電磁気シールドを前記第1領域から前記第2領域へ遷移させるように選択された磁界強度を有する、請求項68に記載の方法。
【請求項80】
前記軟磁性材料は可とう性合成フェライトである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記電磁気シールドの飽和度を選択的に変化させるために、前記DC磁界源によって発生されたDC磁界の強度を選択的に変化させるステップを更に含む、請求項68に記載の方法。
【請求項82】
電磁界を発生できる電磁界源を備えた無線電源であって、電力転送面を有する無線電源と、
前記電磁界源と前記電力転送面との間に、前記電磁界源に隣接して配置された電磁気シールドであって、前記電磁界源から前記電力転送面へ前記電磁界の有意な部分が通過することを防ぐのに十分な透磁率を有する、電磁気シールドと、
無線電源と分離され、前記電力転送面上に選択的に配置することができる複数の遠隔装置であって、該遠隔装置はそれぞれ、前記電磁気シールドの少なくとも一領域を実質的に飽和させることができる磁界源を含み、前記電磁界の実質的により多くの部分が、前記飽和した領域を通じて前記電磁界源から前記遠隔装置へ前記電磁気シールドを通過できるようにする、遠隔装置と、
を備える無線電力転送システム。
【請求項83】
前記磁界源は可変強度磁界源である、請求項82に記載のシステム。
【請求項84】
前記磁界源は調整可能強度を有する電磁石である、請求項82に記載のシステム。
【請求項85】
前記遠隔装置はそれぞれ、受信電力感知器と、該受信電力感知器の出力に応じて前記強度を調整する磁界強度制御システムとを含む、請求項84に記載のシステム。
【請求項86】
前記受信電力感知器は、電流感知器及び電圧感知器のうち少なくとも一つを含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項87】
前記磁界強度制御システムは、前記電磁石と結合した制御された電流源を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項88】
前記磁界強度制御システムは、前記制御された電流源と結合されて、前記受信電力感知器及び所望の受信電力に応じて、前記制御された電流源の出力レベルを制御する、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
前記遠隔装置はそれぞれ、電力要求条件を前記無線電源に伝える通信回路を含み、
前記無線電源は、前記遠隔装置それぞれから前記電力要求条件を受信する通信回路と、前記遠隔装置それぞれからの前記受信した電力要求条件に応じて、前記無線電源の出力を制御する電力出力制御器と、を含む、請求項82に記載のシステム。
【請求項90】
前記無線電源は、前記遠隔装置から通信を受信する通信回路と、前記遠隔装置から受信した前記通信に応じて、出力電力を制御する電力出力制御器と、を含む、請求項82に記載のシステム。
【請求項91】
前記磁界源は調整可能強度を有する電磁石であり、
前記遠隔装置のうち少なくとも一つは、前記電磁石が最大強度であり、前記遠隔装置が十分な電力を受電していないとき、前記無線電源に通信を送信するように構成される、請求項90に記載のシステム。
【請求項92】
前記転送面は複数の遠隔装置を同時に受容することができ、前記無線電源は1を超える遠隔装置に同時に無線で電力を転送でき、
前記磁界源は可変強度を有する磁界源であり、前記遠隔装置はそれぞれ受信電力感知器と、前記受信電力感知器の出力に応じて、前記強度を調整する磁界強度調整システムと、を含み、前記遠隔装置はそれぞれ、前記無線電源から受電した電力量を個別に制御することができる、請求項82に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁気シールドに関し,より特定すれば,電磁気シールドに選択的制御を提供するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,商用及び家庭双方の環境において無線電力転送システムを実現しようとする努力が広がっている。無線電力システムは,携帯電話機,メディアプレーヤ,無線電話機,PDAのような携帯型電子機器だけでなく,装置,工具及び電気自動車のような高電力装置も含む広範な電気駆動装置用の電源・充電コードを除去することを約束する。効率の良い誘導電力転送は,伝統的な有線又は接触型の送電に関係するいくつかの課題を解決することができるため,科学的興味が増加する領域になってきた。課題は,腐食,機械的摩擦,じょう乱並びに水中及び地下のような場所における非実用性を含むが,それに限定されない。この無線エネルギ転送は,電磁的誘導,回路周波数共振の最適化によって改善され,すべて高度電力用電子回路によって達成される。この技術の構成要素の一つは,入射電磁界が,その電磁界を周囲に非効率的に放散することなく電力に変換される,正確な位置に正確に届けられることである。誘導無線電力転送システムは,電線又は如何なる直接電気接触も必要とせずに,電磁界を用いて電力を電源から遠隔装置へ転送する。電磁界の性質を仮定し,多くの従来型無線電力システムは,無線電源と遠隔装置との比較的精密な整列によって性能を改善する。このことは,遠隔装置が特定の位置又は特定の場所から比較的短い距離の中に置かれる無線電力転送システムの開発につながった。例えば,電力転送の際に,無線電源(例えば,1次部)と遠隔装置(例えば,2次部)とが対面関係で共通の中心を有して整列しているとき,無線電源及び遠隔装置内の平行な平面らせんコイルを用いることは既知である。この種のシステムにおいては,1次部と2次部とは通常類似のサイズである。いくつかの既知のソリューションにおいては,無線電源は筐体又はドック内にあり,可搬型装置が特定の目標位置及び特定の方向に置かれるように強制するシグネチャ面を有する。この種のシステムは効率の良い電力転送を提供するが,いくつかの応用においては求められるかも知れない所望量の位置自由度を欠いている。
【0003】
電源・充電コードを除去することは,それ自体,重要かつ意味深い利点であるが,無線電源と遠隔装置との間の精密な整列の必要性が減少又は除去されるならば,無線電力転送はより魅力的になる。利用者の観点からすれば,可搬型装置を充電面の境界内で無作為な位置及び無作為な方向に置くことができることが望ましいかも知れない。目標範囲が2次装置より十分に大きく,特定の配置及び方向をなくすことができれば,利用者にとっては更に望ましいかも知れない。この点に留意して,遠隔装置と無線電力転送装置との整列において空間的自由度を提供するいくつかの無線電力転送システムが開発された。例えば,大きな1次コイルの直径内に配置された,1又は複数のより小さな2次コイルに電力を転送するために大きな1次コイルを用いることは既知である。大きな1次コイルは空間的自由度を増すが,浮遊電磁界を増加させ,寄生損失を劇的に増加させることがある。充電面内の大きなコイルによって,コイルは充電面全体に浮遊電磁界を放出することがある。浮遊電磁界は,無線電源の十分近傍に置かれたほかの金属物体だけでなく,充電面に置かれた遠隔装置内の金属とも反応することがある。例えば,浮遊電磁界は遠隔装置内の金属を加熱させ,そのため遠隔装置を加熱させることがある。別の例として,浮遊電磁界は,無線電源の近傍に置かれた鍵,貨幣又はほかの金属物体を加熱させることがある。浮遊電磁界の影響に一定の制限を提供するために,電源及び/又は遠隔装置は電磁界の形状を指示することができる追加の磁束ガイド材料を有してもよい。これらの材料は,遠隔装置内外の金属に電磁界が影響することを制限するように配置することができる。例として,磁束ガイド材料はコイルと電池又は印刷回路基板との間に配置して,電池又は印刷回路基板に対する磁界の影響を減少・除去することができる。
【0004】
空間自由度を増加させる別の従来の選択肢は,可搬型装置と自己整列するために,充電面の後,下又は上を移動する誘導コイルを使用することである。これらのソリューションにおいては,コイルは,磁力若しくは動力化機構によって自動的に移動させてもよいし,又は手動調整若しくは機構によって移動させてもよい。この種のシステムは,著しく費用を増加させ,信頼性の問題を生じさせることがある,比較的複雑な機械及び/又は電気機械システムを含むことがある。例えば,機械的アセンブリは移動する部分を必要とし,純粋に電気的なシステムに比べてより故障しやすい。磁力に基づくシステムは,誘引磁石の強度及び1次部を移動させるために必要な応力の量によって変化する,移動範囲の制限があり得る。費用及び信頼性の問題に加えて,動力化システムは1次部が適切な位置に移動するための時間を必要とする。手動調整システムは人の介入が必要であり,したがって,遠隔装置が広い範囲に無作為に配置され,忘れられたとき,思ったほど便利ではない。
【0005】
別の従来型システムにおいては,充電面の後,下又は上にあるコイルの配列を用いて,位置自由度が達成される。これらの配列は,複数の装置を隣り合わせで充電できるように配置された2又は複数の1次コイルを有する充電パッドのような固定,個別の充電位置を含んでもよい。配列の別の実施例においては,充電器上の2次装置の個別位置を少なくできるように重複する多層コイルがあってもよい。配列型システムは複数のコイルを必要とし,したがって実現がより高価になり得る。このシステムはまた,配列内のどのコイルを励磁するかを決定し,遠隔装置に電力を供給するために,コイルを適切な構成に選択的に切り替えるための追加の電子的ハードウェアのような比較的複雑な制御手段を必要とすることがある。
【0006】
便利な可搬型装置に対する消費者の益々増加する要求に応える必要性は,精密結合誘導電力転送の可能性を開拓する強力な駆動力である。この技術の基本思想は,種々の公刊物に詳細に説明されている。しかし,ほとんどの送電パッドの場合のように,誘導電力転送のために磁束を正確に放出する問題に不適切な議論が向けられてきたと考えられる。この問題のいくつかは,空間的自由度(すなわち,電力転送面又は送電パッド上の種々の位置で受電できること)の問題及び電磁界放散(すなわち,磁束が磁束受容システムに十分限定され,環境に著しく転送されないことを確実にすること)の問題として説明される。これらは本技術に対するいくつかの重要な領域であり,干渉と,寄生加熱と,規制放出限度との問題を与える。
【0007】
この電磁界放散問題は伝統的に,不活性期間中は送電を停止する電力電子工学を用いて処理されてきたが,この技術でさえも,通信回路が存在することによって放散される残留電力を有する。さらに,単一コイル送電システムを含む技法は一般に,同時に複数の装置に電力供給をしない小面積の送電パッドにだけ適用できる。大面積充電システム(複数の遠隔装置への電力放出)の場合,電磁界放散の問題は,複数受信器伝達を扱う文献において,ほとんど議論されてこなかった。これは,一つの遠隔装置を除去することによって特定の位置で回路を停止させることが,別の遠隔装置の電力も奪うためである。逆に,電子工学アルゴリズムが,1又は複数の装置が充電されている場合,一つの位置でシステムの停止を含まないときは,周囲への磁界放散の問題が反対の効果を伴って生じることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は,選択的に制御できる電磁気シールドを提供する。一つの実施例においては,本発明は電磁気シールドと,シールド内に選択的に開口部を生成する機構とを提供する。シールド内に選択的に開口部を生成する機構は,シールドの全体又は一部を十分に飽和させ,それによって本質的に一時的にシールド特性を除去するに十分な強度の磁界を生成し磁界源であってよい。例えば,永久磁石又はDC電磁石を用いて,選択的にシールドを飽和させてもよい。不飽和状態においては,磁気シールドは高透磁率を有し,電磁界を自身の中に引き寄せて,磁界の磁束経路として機能する。実効上,シールドは磁界のほとんどの流れがシールド内を通るように向け,シールドの一方の側から他方へ通過する磁界は劇的に減少する。シールドが(外部磁界の存在によって)飽和すると,シールドの透磁率は著しく減少し,磁力線はもはや同程度にはシールド内に引き寄せられない。その結果,シールドが飽和すると,飽和領域におけるシールドの効果は減少し,十分に多くの電磁界が,磁石によって飽和させられた領域において,シールドを通過するか,シールドを迂回して流れる。
【0009】
一つの実施例においては,局所飽和を用いてシールド内に領域分割された開口部を提供してもよい。例えば,電磁界が主に選択された領域内に侵入することが望ましいときは,シールドの一部だけを飽和させることが有利なことがある。
【0010】
本発明は,無線電源がシールド材料を通して遠隔装置に電力を送電できるようにするため,無線電力システムに組み込んでもよい。シールド材料の層を1次部と2次部との間に配置して,1次部が生成した磁界をガイドしてもよい。シールドが飽和していないときは,シールドはほとんどの磁界を自身の中に引き寄せ,1次部に戻る磁力線の経路を提供する。シールド材料は,磁界を材料又は材料のある領域に加えることによって選択的に飽和させられて材料の透磁率を変化させ,それによって磁力線がもはや,飽和領域においてシールド材料内に入らないようにする。その代わり,磁界はほとんど自由に,飽和領域において,無線電源から遠隔装置へ流れる。
【0011】
一つの実施例においては,遠隔装置は永久磁石のような1又は複数の磁石を含み,遠隔装置が無線電源の充電面に置かれたとき,当該磁石の近傍のシールド材料を飽和させて,磁界がシールド材料を通過して遠隔装置へ届くようにする開口部を生成する。磁石は,磁界が遠隔装置の2次部へ通過できるように適切なサイズ及び位置の開口部を開き,一方ではシールドのほかの領域では浮遊電磁界を制限するように,遠隔装置内に選択され,配置される。例えば,磁石の数,サイズ,形状及び材料特性は,開口部の特性を制御するように選択してもよい。一つの実施例においては,シールド材料を飽和させるのに十分な強度を有する1又は複数の永久磁石がある。別の実施例においては,磁石は1又は複数のDC電磁石であって,所望であれば,シールド材料を選択的に飽和させるために,選択的に励磁できる電磁石であってよい。
【0012】
一つの実施例においては,無線電源は1又は複数の電磁石であって,所望であれば,シールド内に開口部を生成するために選択的に用いることができる電磁石であってよい。一つの実施例においては,1又は複数の電磁石はDC電磁石である。無線電源は,充電面にいつ,どこに遠隔装置が置かれるかを決定する回路を備えてもよい。また,磁界が効率よく1又は複数の遠隔装置と結合し,一方では充電面のほかの領域においてほとんど電磁界を阻止することができるように,適切なDC電磁石を活性化する回路も含んでよい。例えば,無線電源は,充電面に置かれた遠隔装置の位置の近傍にある1又は複数のDC電磁石を用いて,遠隔装置の位置だけ,シールドを通して開口部をあけるようにしてもよい。
【0013】
一つの実施例においては,補助シールドと組み合わせて選択的に制御できる磁界を用いてもよい。一つの実施例においては,無線電源は,充電面に対向する1次部に隣接して配置された補助シールドを含む。補助シールドは例えば,無線電源の電子回路及び無線電源の外側の高損失材料への磁界の流れを制限することを支援してもよい。補助シールドは,選択的に制御可能な磁気シールド内に開口部を開くために用いられる磁界によって飽和しないように構成してもよい。この構成は,材料の選択,材料の厚み,アセンブリ内のシールドの幾何学的配置,及びほかの要因によって達成してもよい。結果として,補助シールドは開口部が開いているときでも,効果的なシールドであり続けることができる。
【0014】
類似して,遠隔装置が補助シールドを含んでもよく,補助シールドは遠隔装置の2次部と電子回路との間に配置してもよい。補助シールドは,遠隔装置の電子回路及び遠隔装置の外側の要素への磁界の流れを制限することを支援してもよい。遠隔装置の補助シールドは,選択的に制御可能な磁気シールドに開口部を開くために用いられる磁界によって飽和しないように構成してもよい。この構成は,材料の選択,材料の厚み,アセンブリ内のシールドの幾何学的配置,及びほかの要因によって達成してもよい。結果として,遠隔装置の補助シールドは開口部が開いているときでも,効果的なシールドであり続けることができる。
【0015】
一つの実施例においては,無線電源は磁界によって覆われる大きな楕円形コイルを含む。この実施例においては,1又は複数の遠隔装置は楕円形コイルに沿った本質的に任意の場所に置くことができ,シールドはその選択された位置において飽和し,1次コイルによって発生された磁界が遠隔装置内の2次コイルと結合するようにシールドをより容易に通過できるようにする。例えば,各遠隔装置は,磁気シールドの適切な領域を飽和させるのに十分な強度の,永久磁石のような磁石を有してもよい。別の例としては,無線電源は1次コイルの長手方向に沿って配置された例えばDC電磁石である複数の電磁石を含んでもよい。適切な電磁石を活性化させて,遠隔装置に隣接するシールド内に開口部を開き,一方でシールドの不飽和領域が磁界の流れをほとんど阻止し続けることができるようにしてもよい。
【0016】
一つの実施例においては,無線電源は磁気シールドによって覆われた1次コイルの配列を含む。この実施例においては,1又は複数の遠隔装置はコイルの配列の上の本質的に任意の位置に置くことができる。無線電源はすべてのコイルに同時に電力供給してもよいし,配列の上に置かれた遠隔装置に隣接するコイル(又は複数のコイル)だけに電力を供給するように構成してもよい。シールドは遠隔装置それぞれに隣接して飽和し,下にある1次コイルによって発生された磁界が,遠隔装置内の2次コイルと効率よく結合できるようにする。例えば,遠隔装置はそれぞれ,シールドの領域を飽和させるのに十分な強度の,例えば永久磁石である磁石を有してもよい。別の例として,無線電源は1次コイルの配列(例えば,各コイルと関係する1又は複数の電磁石)内に,又は隣接して配置された,DC電磁石のような複数の電磁石を含んでもよい。適切な電磁石は,遠隔装置に隣接するシールド内に開口部を開くために活性化することができる。
【0017】
本発明は,無線電力及び無線通信のような電磁界を,消費者電子装置,計算機,イヤホン,電気機器,電動工具,車両(例えば,乗用車,商用車及び軍用車)及び軍事用装置に伝達することに関係する応用を含む,広範な応用に用いることができる。無線電力転送においては,本発明は,電力転送/充電の際に遠隔装置を置く位置に関する広範な自由度を有する大きな充電面を提供する。例えば,選択的に制御できるシールドを用いて,広い面上で誘導無線電力転送のような磁界伝達を収束させ,制御することができる。充電器の表面に選択的な磁性開口部を備えることによって,単一の大きな1次コイルを用いて,寄生損失を制限しつつ,1又は複数の2次コイルに伝達することができる。局所化された飽和を組み込んだ実施例は,意図した場所(例えば,シールドが適切に飽和している領域)を除いて,ほとんど磁界を阻止する。局所化された飽和を組み込んだ実施例の一つの利点は,開口部から離れた充電面に置かれた高損失物体が,通常は標準パッド又は電磁界領域に対して通常そうであるように,材料的に寄生損失に影響しないように,開口部から離れた充電面に置くことができるようにしたことである。選択的に制御できるシールドを補助シールドと結合させる実施例においては,本発明は,装置(又は装置の一部)を完全にシールドし,一方同時に,磁界を通過させることが望ましいとき及び場所でシールド内の窓が選択的に開くようにできる能力を提供する。ご高察のとおり,いくつかの実施例においては,本発明は,二つの主要な関心事,すなわち,空間自由度及び磁界放散を取扱い,制御でき,一方でシールド(例えば,磁性フェライト磁束ガイド)の選択的飽和を用いることによって,実質的に,受信器(例えば2次コイル)が必要とする特定の場所(例えば,送信器パッド上の領域)だけに送電ができる機構を提供することができる。このシールドは,過剰な磁束が周囲に放散されないように保護することによって磁束シールドとして作用すると共に,磁束漏洩を制限し,電力転送効率を向上させる磁束ガイドとして作用することができる。
【0018】
本発明のこれら及びほかの目的,利点及び特徴は,現実施例の説明及び図面を参照することによってより十分に理解し,認識されるであろう。
【0019】
本発明の実施例を詳細に説明する前に,本発明は以降の説明で述べられるか,又は図面に示された詳細な動作又は構成要素の詳細な構成及び配置に限定されないことを理解されたい。本発明は,種々のほかの実施形態で実現してもよいし,ここで明確に開示していない代替方法で実践又は実行してもよい。また,ここで用いる表現及び用語は説明のためのものであって,制限としてとらえることは望ましくないことを理解されたい。「含む(including)」及び「有する(comprising)」の用語並びにその変形物は,その後に掲げる項目及びその均等物,並びにその追加項目及び均等物を包含することを意味する。さらに,種々の実施例の説明において列挙を用いることがある。別途明確に言及しない限り,列挙の使用が,本発明を構成要素のいかなる特定の順序又は数に限定すると捉えることは望ましくない。また,列挙の使用は,本発明の範囲から,列挙されたステップ若しくは構成要素と組み合わせ,又は組み込んでもよい如何なる追加のステップ又は構成要素も除外しないと捉えることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施例による無線電源システムのブロック図である。
【
図2】
図1の無線電源システムの一部の底面透視図である。
【
図3】
図1の無線電源システムの一部の上面透視図である。
【
図4】隠れた2次構成要素を強調した,
図1の無線電源システムの一部の上面透視図である。
【
図5】隠れた1次コイルを強調した,
図1の無線電源システムの一部の上面透視図である。
【
図6】
図1の無線電源システムの一部の側面図である。
【
図7】磁気シールドがない場合及びある場合の磁界の比較を示す概略図である。
【
図8】1次コイルによって生成された磁力線に対して,1次補助磁束収束器及び中間シールドが及ぼす影響を示す図である。
【
図9】不飽和磁気シールド及び飽和領域を有する磁気シールドに関する磁界の比較を示す,
図7に類似の概略図である。
【
図10】可搬型装置内の永久磁石が中間シールドに及ぼす効果であって,1次コイルによって生成される磁力線が通過できるようにする効果を表す図である。
【
図11】中間シールドがないときの磁力線を表す図である。
【
図12】種々の強磁性材料の磁化曲線を示すグラフである。
【
図13】材料に対する磁化力の変化に応じた磁束密度の変化を示す例示グラフである。
【
図14A】一組の室内実験において用いられた1次コイルを示す図である。
【
図14B】上記室内実験において用いられた2次コイルを示す図である。
【
図15】中間シールドに関する一組の室内実験において検討された材料の表である。
【
図16A】一組の室内実験において用いられた永久磁石の種々の構成を示す図である。
【
図16B】一組の室内実験において用いられた永久磁石の種々の構成を示す図である。
【
図16C】一組の室内実験において用いられた永久磁石の種々の構成を示す図である。
【
図16D】一組の室内実験において用いられた永久磁石の種々の構成を示す図である。
【
図16E】一組の室内実験において用いられた永久磁石の種々の構成を示す図である。
【
図16F】一組の室内実験において用いられた永久磁石の種々の構成を示す図である。
【
図16G】一組の室内実験において用いられた永久磁石の種々の構成を示す図である。
【
図16H】一組の室内実験において用いられた永久磁石の種々の構成を示す図である。
【
図17A】永久磁石によって開かれた開口部を通した電力の領域分けした転送を説明する実験データを示す図である。
【
図17B】永久磁石によって開かれた開口部を通した電力の領域分けした転送を説明する実験データを示す図である。
【
図17C】永久磁石によって開かれた開口部を通した電力の領域分けした転送を説明する実験データを示す図である。
【
図17D】永久磁石によって開かれた開口部を通した電力の領域分けした転送を説明する実験データを示す図である。
【
図17E】永久磁石によって開かれた開口部を通した電力の領域分けした転送を説明する実験データを示す図である。
【
図17F】永久磁石によって開かれた開口部を通した電力の領域分けした転送を説明する実験データを示す図である。
【
図18A】開いた開口部と閉じた表面を比較した,電力転送及び効率の概要を示す図である。
【
図18B】開いた開口部と閉じた表面を比較した,電力転送及び効率の要約を示す図である。
【
図20】
図19の代替実施例の無線電源の一部の上面透視図である。
【
図21】
図19の代替実施例の無線電源の一部の破断透視図である。
【
図22】1次コイル配列を含む代替実施例の透視図である。
【
図24】遠隔装置内に中間シールドを有する代替実施例のブロック図である。
【
図25】無線電源及び遠隔装置が共振コイルを含む代替実施例のブロック図である。
【
図26】遠隔装置内に磁石を有する楕円形コイルを含む代替実施例を示す図である。
【
図27】無線電源内に楕円形1次コイル及び電磁石を含む代替実施例を示す図である。
【
図28】無線電源及び遠隔装置が共振コイルを含む代替実施例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例を組み込んだ無線電源システムが
図1に示されている。無線電源システム10は概略,無線電源12及び遠隔装置14を含む。この実施例の無線電源12は,1次コイル16と,1次ドライバ18と,中間磁気シールド20と,を含む。使用中,1次ドライバ18は交番信号を1次コイル16に印加して磁界を生成する。この実施例の遠隔装置14は,電子負荷22と,2次コイル24と,永久磁石26と,を含む。適切な磁界があるとき,2次コイル24に電流が誘起され,電子負荷22に電力を供給する。誘起された電力は,遠隔装置14を充電し,及び/又は遠隔装置14に直接電力供給するために用いることができる。図示した中間シールド20は,シールド内に開口部を提供するために,磁界によって選択的に飽和させることができる。不飽和状態においては,中間シールド20は高透磁率を有し,したがって,磁界のほとんどを自身の中に引き込み,磁力線の経路を提供する。この状態において,中間シールド20は当該中間シールド20を通過し,遠隔装置14に届くか,又は浮遊磁界となるかも知れない磁界の量を劇的に減少させる。飽和したとき,シールド20の影響を受けた領域は大幅に減少した透磁率を有し,したがって,自身の中に引き込まれる電磁力線は大幅に少なくなる。このことは,磁界が飽和領域においてほとんど磁気シールドを通過して,遠隔装置と効率よく結合できるようにする。結果として,本発明は,無線電力転送において,とりわけ,浮遊磁界を制限し,シールドの効果を,磁界が遠隔装置に流れることが望ましい領域だけにシールドの効果を選択的に限定することによって,損失を減少させるために用いることができる中間シールドを提供する。
【0022】
開示のために,本発明は主に,特定の無線電源及び特定の遠隔装置について説明する。しかしながら,本発明は,無線電源システムのみならず,ここで説明する特定の無線電源及び遠隔装置と共に用いることに限定されない。むしろ,本発明は,選択的に制御できる磁気シールドによって恩恵を受ける本質的に任意の応用に組み込んでよい。
【0023】
「上面」,「底面」,「上方」,「下方」,「上」,「下」,「内側」,「内側に」,「外側」,「外側に」のような方向に関する用語は,図に示した実施例の方向に基づいて本発明の説明を支援するために用いられる。方向に関する用語の使用は,本発明を如何なる特定の方向の実装に限定すると解釈することは望ましくない。
【0024】
本発明は,(単に「磁気」シールドと呼ばれることもある)電磁気シールドの使用を伴う。
図7は,磁界の磁力線の流路を提供するために,どのように磁気シールドが用いられるかを示している。左の図は,電気が流れ,磁界を発生するコイルの周りの磁力線の形状を概略示している。右の図は,コイルの上の磁気シールドを含む,類似の表現を含む。この図は,磁気シールドがどのように磁力線を自身の中に引き込み,磁束のほとんどに対してガイドとして機能するかを表している。この図はまた,必ずしもすべての磁力線がシールド材料内に含まれる訳ではないことを示している。磁束の流路を提供することによって,シールドは,シールドの上の領域に侵入する磁界の量を劇的に減少させることができる。
【0025】
本発明において磁気シールドとして使用するのに適していることが証明された,いくつかの材料は,一定の軟磁性材料を含む。軟磁性材料は,磁化することができるが,外部磁界が存在しないと磁化されたままにならないものである。これらの材料は微小永久磁石として作用する磁性領域と呼ばれる顕微領域からなる。外部磁界が当該材料に印加される前は,領域は無作為な方向を向いている。これらの微小磁界は無作為な方向を指し,互いに打ち消しあう。したがって,材料は全体として正味磁界を有しない。外部磁界Hが材料に印加されたとき,外部磁界は材料に侵入して領域を整列させ,その微小磁界が転回して外部磁界に平行に整列するようにし,合わさって材料から延長する大きな磁界を生成する。これを磁化と呼ぶ。外部磁界が強ければ強いほど,より領域は整列する。十分に大きな数の領域が並んだとき,飽和が起こり,印加される磁界の更なる増加が大量の更なる領域の整列を起こさせない。この説明は単純化された理由を示す。より完全な説明は,強磁性に関する教科書及びその他を参照されたい。
【0026】
良い磁性コア材料(例えば,磁束用の経路を提供することを意図した材料)は,高透磁率を有することが望ましい。材料の実効透磁率は通常,印加された磁界によって変化し,印加された磁界が飽和磁束密度に近づくと減少する。
図12は9個の強磁性材料の磁化曲線を示している。これらの曲線は,1.薄鋼板,2.ケイ素鋼,3.鋳鋼,4.タングステン鋼,5.磁石鋼,6.鋳鉄,7.ニッケル,8.コバルト,9.マグネタイトの磁化曲線を示している。この曲線は,磁界強度(H)と磁束密度(B)との関係を示している。したがって,これらの曲線は種々の強度の磁界に応じて材料内に生じた磁束を示している。磁界強度と磁束密度との関係は一般に非線形であり,曲線に沿って非常に劇的に変化することがある。増加する磁界強度が材料の飽和に近づくと,曲線は次第に平坦になり,これは,磁界強度の増加が磁束密度の限定された増加に過ぎないか,又は更なる増加がないことになることを表す。任意の与えられた点における曲線の傾斜は,当該特定の磁界強度における材料の透磁率を表す。
図12に示した値は近似であり,示された磁界においてだけ有効である。さらに,値はゼロ周波数に対して与えられたものであり,実際には透磁率は一般に周波数の関数である。周波数を考慮したとき,透磁率は,同相及び位相はずれの応答に対応する複素数であり得る。磁気定数μ0は,アンペールの法則がその値を正確に4π×10
−7H/mに固定しているため,SI単位の正確な値を有する(すなわち,その値に不確定性はない)ことに注意されたい。既知の最高透磁率を有すると考えられる材料は,Metglas(登録商標)磁性合金2714A(コバルト主体)(
図12の曲線9を参照)であり,高周波焼きなまし透磁率1,000,000(最大DC透磁率(μ))を有する。水素焼きなまし(純鉄,N5等級)は透磁率160,000(μ)を有するが,非常に高価である。
【0027】
図12に示す曲線は,磁界強度が増加したときに生じることがある磁束密度の変化を概略表す点で,幾分不完全である。ほとんどの軟磁性材料について,曲線は,磁界強度が同一の値の組を通って減少したとき,幾分異なる線をたどるであろう。これは,一般に「磁気ヒステリシス」と呼ばれる現象の結果である。
図13は,典型的な軟磁性材料のヒステリシス曲線を表すグラフである。このグラフは,x軸に沿った磁化力と,y軸に沿った磁束密度とを示している点で,
図12に類似している。磁化力をシステムに加えた効果を表すために,領域A及びBが
図13に追加されている。領域Aは,磁化力が領域Aの左端から領域Aの右端まで変化したときのシステムの範囲を表している。図示したとおり,曲線の傾斜(例えば,材料の透磁率)はこの範囲を通じて高く止まる。領域Bは,同一のシステムが追加の磁化力の影響下に置かれたときに,システムの動作範囲を表している。例えば,特定の値を有する永久磁石が材料に影響するように置かれたとき,永久磁石は動作範囲をヒステリシス曲線の情報に偏らせる。(この図に示すとおり)材料が飽和に近づく点に偏ったとき,曲線の傾斜(例えば,材料の透磁率)は相対的に平坦になる。シールドは,材料特性の高透磁率(不飽和)領域においては磁束ガイドとして最も効果的であるが,バイアスが加えられると,動作点は,永久磁石のDC磁界及び送信器のAC磁界の合計によって,低透磁率(高飽和)領域に押しやられる。したがって,送信器磁束によるシールドの動作点は,低飽和領域(領域B)に移動する。この実施例において,材料特性は,飽和せずに送信器が発生した磁束を阻止することができるのに十分な保磁力を有するものであるが,DCしきい値磁束が高飽和領域(例えば領域B)に移動できるのに十分鋭いニー(knee)点を有する。
【0028】
電磁気シールドは,本発明の原理に一致する特性を提供する本質的に任意の材料で製造することができる。一般に,シールドは高透磁率,低飽和性及び低導電性を有することが望ましい。より詳細に言えば,シールド材料が自由空間よりも十分に高い透磁率を有することが望ましい。透磁率の特定の程度は応用ごとに異なるが,通常の応用においては,シールド材料が自由空間の透磁率の10倍又はそれ以上であることが望ましい。シールド材料は,材料を通して開口部を生成することが望ましいとき,適切に飽和することができる十分に低い飽和性を有することが望ましい。望ましい飽和の程度は応用ごとに異なるが,シールドを飽和させるために用いられる磁界が存在するとき,透磁率が自由空間の透磁率に達する点まで飽和することができるシールド材料を用いることが望ましい。したがって,ここで用いる「飽和」の用語は実質的な飽和を指し,完全な飽和に限定することは意図していないことを理解されたい。シールド材料の厚みもまた,シールドを飽和させるために必要な磁界の量について役割を演じてよい。例えば,シールドが薄ければ薄いほど,典型的には厚いシールドよりもより容易に飽和する。したがって,シールドの厚みをほかの要因とバランスさせることが望ましい。
図1の実施例の中間シールド20は,磁石26によって選択的に飽和させることができる材料で製造される。より詳細に言えば,磁石26は中間シールド20のすべて又は一部を十分に飽和させることができ,透磁率は磁力線がシールド材料内にもはやほとんど保持されない点まで変化する。その代わり,電磁界は飽和した領域において,シールドを通して,又はシールドから遠隔装置へ自由に流れる。また,シールド材料が使用中に容認できないほど加熱し,又は別様に許容できない損失となることがないように十分低い導電性を有することが望ましい。例えば,電磁界は導電性材料内に渦電流を発生させることがある。渦電流は熱を発生させ,損失となる。渦電流が発生すると,材料の導電性を増加させるため,低導電性の材料を用いることが望ましい。容認できる熱及びほかの損失の量は,応用ごとに異なる。例えば,容認可能なレベルは,所望の効率レベル,周囲の部品又は見栄えに対する想定される影響のような種々の要因に基づいてもよい。これらの要因はまた,シールドされる磁界及びシールドを飽和させるために用いられる磁界の強度についても考慮することが望ましい。いくつかの応用においては,磁界を飽和させるために用いる磁石又は電磁石の磁界強度を制限することが望ましいことがある。例えば,いくつかの応用においては,過度に強い磁界が,磁気記憶媒体又はほかの類似の物品のような傍にある材料に負の影響を与えることがある。磁石及びシールド材料は,磁界強度についての如何なる所望の限度も超えることなく,予期される磁界の存在下において適切な飽和を提供するように選択することが望ましい。中間シールド材料として用いるのに適していることが示されたいくつかの特定の材料は,(TDK Corporationから入手可能なFlexield IRJ09のような)可とう性合成フェライト及び破砕済みフェライト(すなわち,TDK Corporationから入手可能なFlexield IBF20のような,複数の素片に破砕されたフェライト材料)を含む。
図15は,室内実験されたいくつかの材料の透磁率,飽和性及び導電性の特定を示している。図から分かるように,実験した可とう性合成フェライトは,初期透磁率が高く,飽和性及び導電性が低い点で最良の結果を示した。これらの実験した材料のうち,接合鉄は,選択的に制御可能なシールドとして用いるには最も適しない特性を有するように見えた。接合鉄は比較的低透磁率を有し,高飽和値及び比較的高い導電率を有する。破砕済みフェライトは,透磁率が非常に高く,中間の飽和磁束密度を有し,接合鉄より導電性が低い点で,いくつかの応用に適していることが分かった。本発明の磁気シールドは,磁束ガイド,束収束器,又は磁束収束器のような,磁束の流路として機能する能力を反映した名称によって呼ばれることがあることに注意されたい。
【0029】
一つの実施例においては,無線電源と遠隔装置との間で転送される電力量を制御するために,システムがシールドの飽和レベルを変えることもできる。例えば,低電力レベルが必要な遠隔装置は,非常に高い電力レベルを供給できる無線電源に置いてもよい。この例においては,遠隔装置はシールドを部分的に飽和させるのに丁度の強さの磁気バイアスを提供し,利用できる電力のいくらかがシールドを通るようにしてもよいし,まったくしなくてもよい。別の例においては,遠隔装置は,無線電源から受電する電力量を制御するために,可変強度の電磁石を用いてシールド内の飽和レベルを変えてもよい。電磁石の強度を増加させることによって,シールドの飽和レベルが増加し,より多くの磁束が無線電源の表面を通るようにすることができる。電磁石の強度を減少させることによって,飽和レベルが減少し,より少ない量の磁束が無線電源の表面を通るようになる。この例においては,遠隔装置は無線電源から受電する電力量を制御することができてもよい。この例においては,無線電源はもはや,送電される電力量を制御しないため,遠隔装置から通信を受信する必要がない。一つの実施例においては,複数の遠隔装置が同時に無線電源から電力を受電することができる。各装置に分配される電力量は,各遠隔装置におけるシールドの飽和レベルを変化させることによって制御することができる。これによって,種々の電力要求条件を有する遠隔装置が同時に無線電源から電力を受電することができるようになる。また,遠隔装置が,当該無線電源に隣接する種々の位置(例えば,電力転送面上の種々の位置)における電磁界の強度の差に適合できるようになる。例えば,無線電源は複数の装置に電力を供給するのに十分な電力レベルで動作し,個別の遠隔装置は受電する電力量をそれぞれ制御することができる。一つの実施例においては,遠隔装置は種々の位置においてシールドに隣接して配置され,各遠隔装置がシールドを通じて受電する電力量は,各遠隔装置に隣接する磁界の強度を調整することによって制御することができる。一つの実施例においては,各遠隔装置は,可変強度電磁石と,受電した電力を判定し,遠隔装置に適切な量の電力が届くように磁界強度を調整する制御システムとを含んでもよい。動作中,各個別遠隔装置は,当該遠隔装置が所望量の電力を受電していると判定されるまで,関係する磁界の強度を増加させてもよい。例えば,各遠隔装置は電流感知器,電圧感知器又は遠隔装置が受電する電力レベルを示す信号を制御システムに供給することができるほかの感知器を含んでもよい。遠隔層著の負荷が変化することがある応用においては,受電した電力を判定することができる電流感知器及び電圧感知器双方を含むことが望ましいことがある。遠隔装置の負荷特性が十分に知られている応用においては,感知した特性及び予想される負荷特性に基づいて受電した電力を判定することができる電流感知器又は電圧感知器を含むことが望ましいことがある。制御システムは,電磁石に供給される電力を変化できる本質的に任意の回路又は部品によって,磁界の強度を制御することができる。例えば,電磁石は制御された電流源から電力を受電することができる。制御された電流源は,制御システムによって制御される出力レベルを有することができる。より詳細に言えば,制御システムは,受電した電力と所望の電力との比較に基づいて,制御された電流源の出力レベルを調整することができる。すなわち,受電した電力が低いときは飽和度を増加させるように電流を増加させ,受電した電力が高いときは飽和度を減少させるように電流を減少させる。可変強度磁界源及び関係する制御システムは,遠隔装置内に含んでもよいし,含まなくてもよい。しかし,可変強度磁界源及び関係する制御システムが遠隔装置に含まれるときは,遠隔装置が無線電源と通信する必要なく,所望のレベルの電力制御を行うことができる。これは,補助制御を提供するため,又はほかの目的で通信が望ましくないと言っているのではない。例えば,無線電源が,電力を必要としているすべての遠隔装置に電力供給するために,適切な電力量を供給できるようにするための通信を提供することは望ましい。一つの実施例においては,各遠隔装置が自身の電力要求条件を無線電源に伝えるための通信回路を含み,無線電源が電力要求条件を受信するための通信回路を含んでもよい。無線電源は,電力要求条件を用いて,無線電源が送電する総電力量を決定する電力出力制御器を含んでもよい。最も簡単な実施例においては,無線電源は個別電力要求条件を単に合計して電力出力を決定してもよい。別の例として,システムは,遠隔装置が自身の磁界が最大強度であるときでも十分な電力を受電しないとき,遠隔装置が無線電力システムに電力出力を増加するように知らせることができるようにする通信を含んでもよい。上述の双方の例において,通信は効率を改善することを支援するとともに,各遠隔装置が無線電源から受電する電力量を基本的に制御できるようにする。いくつかの実施例においては,上述の通信機能双方を含むことが望ましい。このことは,すべての遠隔装置の電力要求条件に合わせるために,無線電源が適切な初期電力出力レベルを設定し,必要であれば時間と共に電力出力レベルを調整することができるようにする。不確定性を避けるために,一つの1次部(例えば,一つの1次コイル)又は複数の1次部(例えば,1コイルの配列)を含む無線電源と共に,可変強度磁界源を用いてもよいことに注意されたい。無線電源は,本質的に任意の適切な回路又は部品を用いて,電力出力レベルを変化させてもよい。例えば,無線電源は,1次回路に印加される入力信号のレール電圧,デューティサイクル,動作周波数又は位相を変化させてもよいし,無線電源が共振1次回路を含むときは,1次回路の共振周波数を変化させてもよい。
【0030】
図示のとおり,一つの実施例においては,本発明は,電磁気シールド(例えば無線電力転送パッド磁束ガイド)として用いられた軟磁性材料の非常に非線形な特性を利用することによって,誘導電力供給システムにおける空間自由度を増加させることができる。この非線形性は,材料が高透磁率(μ>>1)の領域,したがって良い磁束ガイドから,大気の透磁率を有する高飽和度(μ≒1)の領域に迅速に切り替わることができ,計算されたバイアスDCしきい値の電磁界を利用することによって,磁束が当該材料を通過して受信器に届くようにするものである。
【0031】
以降より詳細に説明するが,このDCしきい値電磁界はDC磁石又はDC磁石の配列を受信器システムに組み込むことによって達成できる。この配列はバイアス磁界を提供し,したがって,受信器が送信器パッド面のどこに置かれても,磁束シールド(例えば,送信器パッド磁束ガイド)の磁気特性の動作点を変化させる。したがって,受信器システムがどこに置かれるかに応じて,軟フェライトは磁束ガイドか,又は大気の透磁率に近い透磁率を有する高飽和度領域かのいずれかであってよい。軟フェライトは,磁束ガイドとして磁界放散を著しく減少させ,大気の透磁率に近い透磁率を有する高飽和領域として,送信器が生成したAC磁界の相当大きな部分が受信器システムに届くようにし,受信器システムは電圧を誘起し,電力を転送する。
【0032】
上記のとおり,本発明の実施例を組み込んだ無線電源システムが
図1〜6,8及び10に示されている。システム10は,無線で電力を遠隔装置14に供給するように構成された無線電源12を含む。この実施例の無線電源12は,無線電源12から電力を受電するために遠隔装置14を上に置く充電面30を有する。無線電源12は,遠隔装置14内に無線で電力を生成するために,充電面30の上に遠隔装置14を置いたとき,遠隔装置14と結合することができる磁界を発生するように構成されている。より詳細に言えば,本実施例の無線電源12は,発振信号を1次コイルに印加することができる1次ドライバ18を含む。発振信号は,充電面30の上に置かれた適切に構成された遠隔装置14内に電流を誘起することができる磁界を1次コイル16に発生させる。無線電源12は,AC主入力を受電して,1次コイル16からの適切な信号に変換するように構成してもよい。このため,無線電源12は,整流器(図示せず)及びDC‐DC変換器(図示せず)のような電源回路を含んでもよい。整流器及びDC‐DC変換器は,1次ドライバ18が1次コイル16に印加する発振信号に適切なDC電力を供給する。電源回路は,代替として,入力電力を1次ドライバが用いる形態に変換することができる本質的に任意の回路であってよい。無線電源12は,特定の種類の遠隔装置に電力を供給するように構成してもよいし,種々の異なる遠隔装置に電力を供給できてもよい。さらに,無線電源12は同時に一つの遠隔装置だけに電力を供給するように設計してもよいし,同時に複数の装置に電力を供給する能力を備えてもよい。
【0033】
おそらくは
図2に最も良く示されているが,図示されている実施例の1次コイル16は電線のコイルである。この特定の実施例においては,1次コイル16はリッツ(Litz)電線でできた2層らせん巻コイルである。しかし無線電源12は,無線で電力を遠隔装置14に転送するのに適した磁界を発生することができる,本質的に任意のインダクタを含んでもよい。1次コイル16の構成は応用ごとに異なってもよい。例えば,コイルのサイズ(例えば,内径,外径及び厚み)と,コイルの形状と,電線の種別と,巻線の配置と,巻き数と,隣接する巻線間の間隔と,はすべて,所望であれば応用ごとに異なってもよい。
【0034】
無線電源12の上面を「充電面」と呼ぶが,この用語は,無線電源システム10を,遠隔装置を充電するために無線電源が用いられる応用に限定すると解釈することは望ましくない。むしろ,無線電源12が転送する電力は,遠隔装置に直接電力供給するか,及び/又は遠隔装置内に配置された電荷蓄積装置(例えば電池,コンデンサ,超コンデンサ)を充電するために用いてもよい。さらにいくつかの応用においては,無線電源から遠隔装置に転送された磁界は,電力信号ではなく通信信号であってもよい。
【0035】
無線電源12は,1次コイル16と充電面30との間の位置にある1次コイル16に隣接して配置された中間シールド20を含む。一般的な使用では,中間シールド20は,磁界のほとんどを導き,1次コイル16へ戻す流路として機能し,それによって磁界が遠隔装置14内の2次コイル24に届くことをほとんど阻止する。中間シールド20は,選択的に飽和させることができる材料でできている。飽和したとき,飽和領域内の磁気シールドの流路として機能する中間シールド20の能力は劇的に制限される。結果として,磁界は飽和領域内の磁気シールド20をより容易に流れることができる。適切に構成されたとき,これによって磁界が2次コイル24と十分に結合し,効率的に電力を遠隔装置14に転送させることができる。上述のとおり,中間シールド20は,適切な透磁率,飽和度及び導電性の特性を有する本質的に任意の材料でできたものでよい。例えば,中間シールド20は,可とう性合成フェライト(例えば,Flexield IRJ09)又は破砕済みフェライトのような一定の軟磁性材料でできたものでよい。
【0036】
本実施例の無線電源12は,中間シールド20に対向する1次コイル16に隣接して配置された補助シールド28を含む。図示した実施例の補助シールド28は,中間シールド20を飽和させるために用いられる磁界によって飽和しないように構成される。結果として,補助シールド28は,中間シールド20内に開口部が開かれたときでも,効果的なシールドとして機能し続ける。飽和を避けるため,補助シールド28は中間シールド20と異なる材料(例えば,より高い飽和点を有する材料)でできたものでもよいし,及び/又は中間シールド20よりも厚くてもよい。例えば,補助シールド28は,圧縮成形した鉄(pressed iron)でできたものでもよい。いくつかの応用においては,補助シールド28は単に磁界源からより遠いため,飽和を避けることができる。
【0037】
本実施例の遠隔装置14は概略,電子負荷22と,2次コイル24と,永久磁石26とを含む。遠隔装置14は,携帯電話機,PDA,メディアプレイヤ,携帯ラジオ,カメラ,懐中電灯又は本質的に任意の電池駆動可搬型装置のような,一般的な従来型の電子装置であってよい。遠隔装置14の主要な動作と関係する(そして,無線電力転送とは関係しない)部品は,一般に電子負荷22と呼ぶ。電子負荷22については詳細には説明しない。例えば,携帯電話機においては,携帯電話機自体と関係する電子部品を説明することはしない。
【0038】
図示した実施例の2次コイル24は電線のコイルであるが,遠隔装置14は,無線電源12が発生した変化する磁界に応じて十分な電力を発生できる本質的に任意のインダクタを含んでよい。2次コイル24は応用ごとに異なってもよい。例えば,コイルのサイズ(例えば,内径,外径及び厚み)と,コイルの形状と,電線の種別と,巻線の配置と,巻き数と,隣接する巻線間の間隔と,はすべて,所望であれば応用ごとに異なってもよい。
【0039】
図示していないが,遠隔装置14は,2次コイル24内に誘起された電力を電子負荷22用の適切な形態に変換する回路を含んでもよい。例えば,遠隔装置14は,2次コイル24内に誘起されたAC電力をDC電力に変換する整流器(図示せず)を含んでもよい。遠隔装置14はまた,変換が望まれる実施例においてはDC‐DC変換器(図示せず)も含んでよい。
【0040】
図示した実施例においては,永久磁石26は遠隔装置14内に配置され,搭載される。より詳細に言えば,図示した磁石26は2次コイル24と同心であり,概略同一面内に配置される。しかし,磁石26の位置は応用ごとに異なってもよい。図示した実施例においては,遠隔装置14は一つの接合NdFeB磁石(ネオジム(neodymium)磁石,NIB磁石,奇土磁石又はネオ磁石とも呼ばれる)を含む。しかし,この磁石は応用ごとに異なってもよい。例えば,磁石は代替として,フェライト磁石,焼結NdFeB磁石,焼結SmCo磁石又はアルニコ磁石であってよい。磁石26は,遠隔装置14が充電面30に置かれたとき,中間シールド20を十分に飽和させるのに十分な磁界強度を有するように選択される。磁石26はまた,磁界が2次コイル24と適切に結合できるのに十分なサイズ及び形状であり,同時に浮遊磁界が生じる可能性を減少させることができるほど小さい開口部(又は飽和領域)を提供するように構成される。中間シールド20及び磁石26は,磁石26が中間シールド20を選択的に飽和させることができるように構成される。より詳細に言えば,中間シールド20及び磁石26の特性/特質は,遠隔装置14が充電面30に置かれたとき,磁石26が生成する磁界が中間シールド(又は中間シールド20の所望の部分)を十分に飽和させるのに十分であるように選択される。図示した磁石26は円盤型の磁石であるが,磁石の形状は所望の開口部に応じて異なってもよい。例えば,磁石は長方形であってもよいし,リング状磁石であってもよい。
【0041】
遠隔装置14は補助シールド32を含んでもよい。図示した実施例においては,遠隔装置補助シールド32は,充電面30に対向する2次コイル24に隣接して配置される。図示した実施例の遠隔装置補助シールド32は,中間シールド20を飽和させるために用いる磁界によって飽和しないように構成される。結果として,遠隔装置補助シールド32は,中間シールド20に開口部が開いたときでも,効果的なシールドとして機能し続ける。1次補助シールド28と同様に,遠隔装置補助磁気シールド32は中間シールド20と異なる材料(例えば,より高い飽和点を有する材料)でできたものでもよいし,中間シールド20より厚くてもよい。例えば,遠隔装置補助シールド32は圧縮成形した鉄でできたものでもよい。いくつかの応用においては,補助シールド28は単に磁界源からより遠いため,飽和を避けることができる。使用中,無線電源補助シールド28と遠隔装置補助シールド32とは,協同して1次コイル16が生成した磁界をほとんど阻止する。
【0042】
図3〜6は,
図1〜2に示す実施例の更なる図である。
図3は無線電源12の一部の上に置かれた遠隔装置14の一部を示している。より詳細に言えば,
図3は,中間シールド20の上に配置された2次コイル23及び遠隔装置補助シールド32と,1次コイル16と,1次補助シールド28とを示している。
図4は,隠れた2次コイル24が遠隔装置補助シールド32を通して見えるようにしたことを除いて,本質的に
図3と同一である。
図5もまた,1次コイル16が,中間シールド20と,2次コイル24と,遠隔装置補助シールド32とを通して見えるようにしたことを除いて,本質的に
図3と同一である。
図3〜5は充電面30を示していないことに注意されたい。いくつかの応用においては,分離された充電面30を中間シールド20の上に配置してもよい。別の応用においては,中間シールドを充電面とし,遠隔装置を中間シールドの上に直接置いてもよい。
図6は,2次コイル24と,中間シールド20の上に配置さえた磁石26及び遠隔装置補助シールド32と,1次コイル16と,1次補助シールド28との側面図である。無線電源12及び遠隔装置14の残りの部分は,
図3〜6には示していない。
【0043】
上述の通り,中間シールド20は1次コイル16によって生成される磁界の2次コイル24への流れをほとんど制御する。
図9は,磁気シールド上の飽和の効果を表している。左の図はシールドを通る磁力線の流れを示している。右の図は,シールドが磁石によって実質的に飽和させられたとき,磁界を引き込み,導く能力をどのようにシールドが失うかを示している。この制御は,外部永久磁石の磁界が中間シールドの近くにあるとき,中間シールドの局所領域にある磁区をバイアスすることによって達成される。外部永久磁石が中間シールドの近くにないときは,中間シールドは磁界が環境に逃げることを最小化する。
図8は,磁力線が,どのように図示した実施例の中間シールド20に向けられるかを示す図である。図から分かるように,1次コイル16によって発生された磁界は,補助シールド28及び中間シールド20を通る幾分閉じたループに流れ込む。しかし,外部磁石が中間シールドの近くにあるときは,永久磁石が材料をバイアスさせ,透磁率が大気の透磁率(1.0の値)に近づく飽和領域を生成する。これによって,1次コイルからの磁界が中間シールドに入り,2次コイルと結合することができるようになる。
図10は中間シールド20の一部が飽和したとき,磁力線がどのように流れるかを示す図である。図から分かるように,1次コイル16によって発生された磁界はほとんど,磁石26によって飽和させられた領域に達するまで中間シールド20を通って流れる。その領域においては,磁界はより容易に2次コイル24に向かって流れ,2次コイルと結合することができる。システムが中間シールド20を含まないときは,より多くの浮遊磁界が環境に漏れ出すであろう。
図11は,中間シールド20が無いとき,磁力線がどのようにシステム10内を流れるかを示す図である。浮遊磁界は通常,損失の増加と等価である。これは,寄生金属物体が漏洩磁界を遮る場合に最も重要な問題である。
【0044】
外部磁界は,永久磁石の種別,サイズ及び量と,中間シールドの種別及び厚みとを均衡させて,種々の大きさの領域を飽和させるように構成することができる。容易に飽和する必要がある中間シールドと,圧縮成形鉄のような,より堅固で飽和しにくいシールド材料との均衡は,システム全体を効果的にシールドできるようにすると共に,開口部を形成できるようにする。非常に指向性を有する磁石又は磁石の配列を用いることによって,この機構を非常に領域特定にすることができ,したがって,いつでも磁束ガイドの1又は複数の部分だけを飽和させることを容易にすることができる。
【0045】
図示した実施例の磁石26は単一の磁石であるが,遠隔装置14は複数の磁石を含んでもよい。磁石は,種々のパターンに配置して種々のサイズ及び形状の開口部を生成することができる。例えば,
図16A〜Hは,種々の代替可能な磁石配置を示している。これらの図はそれぞれ,2次コイルに対して取り得る磁石の構成を示している。異なる磁石配置は,異なるサイズ,形状及び特性を有する開口部を形成することになる。
図17A〜Fは,開口部の特性に関する磁石配置の影響を理解することに関係した情報を提供する。これらの図は,単一の1次コイル及び2次コイルの対について,実験室内で行った実験の結果を示している。
図14A及び14Bは,これらの実験を行うために用いた1次コイル16’及び2次コイル24’を示している。1次コイル16’は,合計26回巻き(各層で13回巻き)のリッツ電線を有する2層1次コイルである。1次コイル16’は約50mm×100mmである。2次コイル24’は単層の単線の平面コイルである。2次コイル24’は15回巻きの電線を有し,約30mm×40mmである。2次コイル24’は補助シールド32’に搭載される。実験を行うために,磁石は1次コイル16’の上に置かれ,1次コイル16’が励磁された。次に2次コイル24’が1次コイル16’及び磁石26’の上を掃引し,2次コイル24’に誘起された電圧が記録された。これらの実験から収集されたデータを用いて,
図17A〜Fに示す電圧応答マップが作られた。
図17Aは単一の接合NdFeB磁石の結果を示す。
図17Bは二つの隣接する接合NdFeB磁石を用いた実験の結果を示す。
図17Cは,図示したフェライト磁石のパターンで実験を行ったときの結果を示す。
図17Dは本質的に同じパターンであるが接合NdFeB磁石を用いた結果を示す。図から分かるように,接合NdFeB磁石が非常に大きな開口部を生成した。
図17Eは,磁石の極性が磁石の色の変化によって示すように交番する,6個の磁石の配置を示す。
図17Fは,磁石の極性が変化しない,6個の磁石の類似の配置を示す。
【0046】
室内実験は,電力転送効率を,選択的にシールドを飽和させることによって劇的に変化させることができることを示した。
図18Aは,磁石がないとき,シールドされたシステムにおいて達成される電力転送の効率を示している。Flexield IRJ09でできた中間シールドを用いたとき,無線電力転送は概略14.546%の効率であった。破砕済みフェライトでできた中間シールドを用いたとき,効率は概略14.585%であった。シールド材料を飽和させると結果が著しく改善した。
図18Bは磁石があるときシステム内で達成される電力転送の効率を示している。Flexield IRJ09でできた中間シールドを用いたとき,磁石があるときの無線電力転送は概略82.141%の効率であった。破砕済みフェライトでできた中間シールドを用いたとき,磁石があるときの効率は概略42.802%であった。
【0047】
図1〜6,8,10及び11に示した実施例において,中間シールド20は遠隔装置14が搭載する永久磁石26によって選択的に飽和させられる。この実施例は,2次コイル24が充電面30上のどこに置かれても,開口部が2次コイルと整列して自動的に発生されるように,飽和している磁界源が常に遠隔装置14と共にあるようにする。この方法はいつも望ましい訳ではない。例えば,いくつかの応用においては,遠隔装置内に永久磁石を備えることは望ましくないことがある。代替として,飽和した磁界源を無線電源に組み込んでもよい。本発明の代替実施例を
図19〜21に示す。この実施例の無線電源112は,1次コイル116と,1次ドライバ118と,中間磁気シールド120と,複数の電磁石126a〜cとを含む(
図19参照)。この実施例の遠隔装置114は,電子負荷122及び2次コイル124を含む。遠隔装置114は永久磁石26を含まない。
図20及び21に示すとおり,無線電源112及び遠隔装置114はそれぞれ補助シールド128及び132を含んでもよい。
【0048】
ここで
図20及び21を参照すると,電磁石126a〜cを1次コイル116の中心に配置してもよい。例えば,電磁石126a〜cを1次コイル116の中央開口部を横切って均等に並べてもよい。しかし,電磁石はコイルの外周の上,下又は外側に配置してもよい。この実施例において,無線電源112は,中間シールド120の全体又は一部を十分に飽和させる磁界を生成するために選択的に励磁できる,複数のDC電磁石126a〜cを含む。この実施例は3個の電磁石を示しているが,電磁石の数は異なってもよい。例えば,いくつかの実施例においては単一の電磁石だけを含むことが望ましいことがある。別の実施例においては,例えばより長いコイルを有する場合,又は各個別電磁石の強度がより低い場合に,3個を超える電磁石を含んでもよい。
【0049】
無線電源は電圧,周波数,デューティサイクル,位相又は無線電源回路118の共振周波数に対する任意の数の変形を用いることによって,遠隔装置に送電される電力を変化させることができる。しかし,無線電源はまた,無線電源内に配置された電磁石126a〜cの磁界強度を変化させることによってシールドの飽和レベルを変化させてもよい。
【0050】
この実施例における中間シールド120の機能は,前の実施例において説明したものと同一である。しかし,この実施例においては,局所領域において中間シールドを飽和させる方法は,無線電源内の1又は複数のDC電磁石126a〜cを選択的に励磁することによって達成される。磁石26と同様,特定領域において励磁されるDC電磁石は,当該領域において2次装置に無線電力を送電するための局所開口部を開く磁界を生成する。
【0051】
どの電磁石を用いるかを決定する方法は,応用によって異なってもよい。一つの実施例においては,方法は電磁石を一つずつ順に励起するステップと,遠隔装置の存在を検査するステップとを含んでもよい。例えば,3個の電磁石によって,無線電源は第1電磁石を活性化させて第1開口部を開き,次に遠隔装置の存在を検査するために疎通確認(ping)を実行してもよい。疎通確認過程は,1次コイルを短パルス電力で励起して磁界を発生させるステップと,潜在的な装置が存在するかどうかを判定するために,無線電源内の電流のような電力の特性を監視するステップとを含んでもよい。潜在的な装置が存在するときは,遠隔装置は電磁界から電力を引き込み,遠隔装置の反射インピーダンスが無線電源内の電流の増加を起こす。代替方法として,疎通確認過程は充電面の上又は近くに置かれた電極の電気容量の変化を求めるステップを含んでもよい。第1開口部を通じて潜在装置が見付からなかったときは,無線電源は第1電磁石を不活性化し,第2電磁石を活性化して第2開口部を開き,次に第2開口部を通して潜在装置を検査するために第2疎通確認を行う。第2開口部を通じて潜在装置が見付からなかったときは,無線電源は第2電磁石を不活性化し,第3電磁石を活性化して第3開口部を開き,次に第3開口部を通して潜在装置を検査するために第3疎通確認を行う。電磁石(及び結果として異なる開口部)を通じた循環過程は,遠隔装置が見付かるまで周期的に継続してもよい。見付かると,適切な電磁石を励磁して,所望の位置に所望のサイズの開口部を提供することができる。
【0052】
いくつかの実施例においては,遠隔装置があるときだけ1次コイルを励磁するのが望ましいことがある。飽和している磁石を遠隔装置が搭載している応用においては,無線電源は,磁気シールドがないかのように,潜在遠隔装置の存在を時折“ping”してもよい。充電面上の遠隔装置の存在を検出する種々のシステム及び方法は周知であり,したがって詳細には説明しない。しかし,一つの実施例においては,無線電源は1次部に周期的に電力を印加し,潜在遠隔装置が存在するかどうかに応じて変化する電力の特性を評価することによって潜在遠隔装置の存在を認識してもよい。例えば,無線電源は,少量の電力を1次部に印加し,潜在遠隔装置があるかどうかを判定するために,1次部(又はタンク回路)内の電流を監視することによって,遠隔装置の疎通確認を行ってもよい。遠隔装置が存在するときは,無線電源は電力供給を開始してもよい。コイルに電力を供給する代わりに,疎通確認過程が,充電面の上又は近くに置かれた電極の電気容量の変化を求めるステップを含んでもよい。
【0053】
1又は複数の電磁石を備える無線電源を含む実施例においては,いつ1次を励磁するかを決定する方法は,どの電磁石を励磁するかを決定する上述の方法に類似している。単一電磁石を備える実施例においては,無線電源は一時的に電磁石を活性化して中間シールド内に開口部を開き,開口部が開いている間に,遠隔装置があるかどうか疎通確認を行ってもよい。無線電源が複数の電磁石を含むときは,無線電源は電磁石を一つずつ個別に巡回してもよい。例えば,二つの電磁石を備えるとき,無線電源は第1開口部を開くために第1電磁石を活性化し,次に遠隔装置があるかどうかを検査するために疎通確認を行ってもよい。第1開口部を通した潜在装置がないときは,無線電源は第1電磁石を不活性化し,第2電磁石を活性化して第2開口部を開き,次に第2開口部を通した遠隔装置があるかどうかを検査するために疎通確認を行ってもよい。電磁石(結果として異なる開口部)を巡回する過程は,遠隔装置が見付かるまで続けてよい。遠隔装置が見付かると,1次を励起することができる。複数の電磁石を備えた応用においては,遠隔装置が見付かると適切な電磁石もまた励磁される。遠隔装置を検出する過程は,代替又は追加として,無線電源と遠隔装置との間の通信の交換を含んでもよい。例えば,疎通確認過程が潜在遠隔装置が存在することを示したとき,無線電源は,遠隔装置が両立する装置(例えば,無線電源から受電することができる装置)であることを確認するために,遠隔装置に通信を要求してもよい。代替として,遠隔装置は,無線電力転送電磁界があるとき,両立する装置であることを確認するために一方的に通信を送るように構成してもよい。
【0054】
本発明はまた,1次コイルの配列を含む無線電源に組み込んでもよい。1次コイルの配列を備えた実施例を
図22及び23に示す。無線電源システム210は,複数の一次コイル216を備える無線電源212と,中間磁気シールド220と,補助シールド228とを含んでもよい。1次コイル216は中間シールド220の下に配置されるが,隠れたコイルは開示のために,
図22においては中間シールド220を通して見えるようになっている。無線電源212はまた,一つの1次コイルを個別に励磁するか,2又は複数のコイルを一緒に励磁することができるドライバ回路(図示せず)も含んでよい。通常,無線電源212は,遠隔装置214に電力を配電するために最適な位置にある1又は複数の1次コイルを励磁する。この実施例においては,無線電源21は重複する構成で配置された2層1次コイルを含む(
図23参照)。しかし,コイル配列の構成は応用ごとに異なってもよい。
【0055】
本実施例の遠隔装置214は,2次コイル224と,磁石226と,補助シールド232とを含んでもよい。2次コイル224及び磁石226は補助シールド232の下に配置されているが,
図22においては,隠れたコイル及び磁石は補助シールド232を通して見えるようになっている。使用中,磁石は遠隔装置214に隣接する中間シールド220内に開口部を生成して,磁界が遠隔装置214と改善された効率で結合できるようにする。代替として,磁石226を無線電源212内の複数の電磁石で置き換えてもよい。例えば,無線電源212は,中間シールド220内に適切なサイズ及び位置の開口部を発生させるために,個別又は集合で励磁することができる電磁石の配列を含んでもよい。
【0056】
前述の実施例は,中間シールドが無線電源内に配置されている無線電源システムを開示している。いくつかの応用においては,中間シールドを遠隔装置内に組み込むことが望ましいことがある。例えば,一定の外部磁界から全体としてシールドされる遠隔装置を提供することが望ましいことがある。
図24は,中間シールド320が遠隔装置314に組み込まれている無線電源システム310の代替実施例を示している。この実施例の無線電源312は,1次コイル316と,1次ドライバ318と,永久磁石326とを含む。この実施例の遠隔装置314は,電子負荷322と,中間磁気シールド320と,2次コイル324とを含む。図示していないが,無線電源312及び遠隔装置314は,補助シールドを含んでもよい。遠隔装置314が無線電源312に隣接して置かれたとき,磁石326は遠隔装置314内の中間シールド320を飽和させ,開口部を開いて磁界が2次コイル324に届くようにする。磁石326は永久磁石として示されているが,代替として1又は複数の電磁石であってもよい。例えば,大きな1次コイル316を用いて,遠隔装置314の位置と対応する局所領域にだけ,シールド320を貫通する開口部を開くために選択的に用いることができる電磁石の配置を有することが望ましいことがある。
【0057】
いくつかの応用においては,無線電源及び遠隔装置双方に中間シールド(図示せず)を組み込むことが望ましいことがある。このような応用においては,中間シールドを選択的に飽和させるため,無線電源及び/又は遠隔装置に1又は複数の電磁石を配置してもよい。代替として,無線電源及び遠隔装置双方の外にある磁界源(例えば,永久磁石又は電磁石)を用いてもよい。
【0058】
本発明はまた,絶縁した共振コイルを組み込んだ無線電源システムと共に用いてもよい。例えば,
図25に示すように,無線電源システム410は,1次コイル416と,1次共振コイル417と,中間シールド420とを含んでもよい。この実施例の遠隔装置414は,2次コイル424と,2次共振コイル425と,磁石426と,電子負荷422とを含んでもよい。共振コイルは一般に周知であり,したがって詳細には説明しない。使用中,1次コイル416が1次共振コイル417を励磁し,次に1次共振コイルが,2次共振コイル425と結合してエネルギを転送するための電磁界を発生させることを説明すれば十分である。2次共振コイル425は次に,2次コイル424と結合して電流を誘起する電磁界を発生させる。中間シールド420を,1次共振コイル417と2次共振コイル425との間に配置してもよい。
【0059】
絶縁した共振コイルを組み込んだ無線電源システムを備える,本発明の別の実施例を
図28に示す。無線電源システム710は,1次コイル716と,1次共振コイル717と,中間磁気シールド720とを備えた無線電源712を含んでもよい。中間磁気シールド720は,無線電源712とは異なる個別エンティティ730に付属させてもよいし,統合してもよい。この実施例の遠隔装置714は,2次コイル724と,2次共振コイル725と,磁石726と,電子負荷722とを含んでもよい。共振コイルは一般に周知であり,したがって詳細には説明しない。使用中,1次コイル716が1次共振コイル717を励磁し,次に1次共振コイルが,2次共振コイル725と結合してエネルギを転送するための電磁界を発生させることを説明すれば十分である。2次共振コイル725は次に,2次コイル724と結合して電流を誘起する電磁界を発生させる。
図25の実施例と,
図28の実施例との一つの違いは,
図28の実施例はコイルとシールドとの間にいくらかの間隔を含むことである。
【0060】
シールドを,無線電源とは別の個別エンティティの上又は内部に配置することは,ほかの実施例においても同様に可能である。例えば
図1において,中間シールド20を誘導無線電源から取り除き,代わりに
図28に示した個別エンティティの一部としてもよい。中間シールドを無線電源から遠く,特に1次コイルから離しておくことは有用である。個別エンティティが中間シールドを搭載するようにすることは,シールドを外部に露出することなく,遠隔装置により近くすることができる。さらに,シールドが個別エンティティに付属するか,統合されているため,シールドは依然として外力から保護される。一つの実施例においては,個別エンティティは,天板,テーブル,又は遠隔装置を表面に隣接して置くことができる本質的に任意のほかの表面のような表面である。表面は一般に,Formica(登録商標),木製薄板(wood venner)又はほかの積層物のような任意の通常の表面材でできたものであってよい。中間シールドは,製造中に表面と統合してもよいし,表面を取り付ける際に取り付けてもよい。面730内の中間シールドの位置は,1コイルと中間シールドとの間の距離を規定する。
図28に示すとおり,中間シールドは表面の上近くに配置してもよい。これによってシールドは装置の近くに保たれるが,消費側は露出せず,材料は保護される。さらに,この構成によって,中間シールドを1次コイル717から離して配置でき,このことはいくつかの状況においては望ましいことがある。
【0061】
本発明の代替実施例を
図26に示す。この実施例においては,無線電源システム510は,楕円形1次コイル516と,楕円形1次コイル516の全長の上に配置された中間シールと520とを備えた無線電源512を含む。
図26は特定サイズの楕円形コイルを示しているが,コイルのサイズは,その長さも含めて,応用ごとに異なってもよい。例えば,楕円形1次コイルは,机又はほかの作業面の全長に沿って伸びるのに十分な長さのものであってよい。
図26の実施例において,遠隔装置514は2次コイル524を含み,中間シールド520を選択的に飽和させる磁石526は,2次コイル524に隣接する位置にある。中間シールド520は,シールド内に開口部を形成するために飽和させることができる領域だけを除いて,シールド520の全長に沿う磁界をほとんど阻止する。
【0062】
中間シールド520及び1次楕円形コイル516のいくつかの追加図面を
図29A及び29Bに示す。
図29Aは無線電源512の透視図及び上面図であって,中間シールドは隠れており,楕円形1次コイル516は見えている。任意選択の補助シールド528は,1次楕円形コイルの下に伸びている。
図29Bは無線電源512の透視図及び上面図であり,中間シールドは示されており,1次楕円形コイル516は陰線で示されている。任意選択の補助シールド528は1次楕円形コイルの下に伸びている。
【0063】
図26は,遠隔装置514内の磁石526を用いて中間シールド520内に開口部を選択的に開くが,システムは代替として,無線電源内の電磁石を用いて開口部を発生させてもよい。
図27は,中間シールド620を選択的に飽和させるために楕円形1次コイル616及び複数の電磁石626を含む無電電源612を備える代替無線電源システム610を示している。この実施例において,遠隔装置614は2次コイル624を含むが,磁石は含まない。電磁石626は2次コイル624の位置と整列して励磁され,シールド620を飽和させ,誘導電力転送を可能にする。電磁石626が個別に励磁してもよいし,一緒に励磁してもよい。例えば,複数の電磁石を,1を超える遠隔装置に電力を供給するように励磁してしてもよいし,単一の電磁石で可能なものより大きな開口部を生成するように励磁してもよい。例えば,
図27に示す構成において,図示した位置にある遠隔装置614に電力を供給するために開口部を開くように4個の一まとめにした電磁石626を励磁することが望ましいことがある。
【0064】
図30A〜Bに示す一つの実施例においては,電磁石は1次楕円形コイルの中心に沿って配置されている。
図30Aは無線電源612の透視図及び上面図であって,中間シールドは隠れており,DC電磁石626及び楕円形1次コイル616は見えている。任意選択の補助シールド628は,1次楕円形コイル及び電磁石の下に伸びている。
図30Bは無線電源612の透視図及び上面図であって,中間シールドは示されており,DC電磁石626及び1次楕円形コイル616は陰線で示されている。任意選択の補助シールド628は1次楕円形コイルの下に伸びている。
図30A〜Bに示した構成においては,電磁石の近傍に配置された遠隔装置に電力を供給するために,開口部を開くために,1又は複数の電磁石626を励磁することが望ましいことがある。
【0065】
上述のとおり,本発明は要求に応じて磁気シールドを貫通して窓を開いて磁界(例えば,電力又は通信)が透過するようにし,一方,この窓を要求に応じて閉じることができる能力を提供する。本発明は金属筐体に用いることができ,開口部が走査及びEMPに対するセキュリティを保持できる,より高信頼のカバー及び更に機能的な筐体を可能にする。
【0066】
本発明はまた,無線電力(又はほかの磁界)が放射できる領域を最小化する能力も提供する。これによって,完全にシールドされたかごが無線電力電子回路を囲み,無線電力転送(又は,通信のような磁界によって実行されるほかの機能)に必要なかごの領域だけを開くことを可能にする。例えば,本発明の原理は,システムをシールドすることによって無線電力装置の放射露出を制限すると共に,電力転送に必要なとき及び場所に開口部を可能にするために使用することができる。
【0067】
高察のとおり,本発明は磁界が選択的に電磁界経路を通過できるようにする機構を提供する。この観点から,本発明は,領域ごとに電磁界の流れを選択的に活性化,不活性化する機構を提供する。したがって,本発明は,磁石又はほかの磁界源によってバイアスされる磁気電力スイッチを備える能力を提供する。
【0068】
ほかの潜在的応用は軍用車両の車体(hull)にある。ここで説明したシールド材料及び技術は,EMI/RFIを制限し,EMCを強化するために用いることができる。これらの特徴は可搬型電子回路において実現されるだけでなく,磁界伝達を伴う本質的に任意の応用においてもそうである。航空機,無人機又は潜水艦の機体・船体における金属を透過する電力の転送は,本発明の潜在応用の例である。例えば,電力源及び車両の車体はシールドされるが,開口部はシールド内に容易に開くことができ,電力転送のために双方の面に開口部を形成し,又は通信のような磁界によって実行されるほかの機能を実行することができる。いくつかの応用において,本発明の選択的シールドの原理は,一定種別のEMPに対抗して保護するが,局所領域において選択的に開くことができ,電力転送及び無線通信のような種々の目的で,電磁界の流入を制御することができるようにする。
【0069】
上記の説明は,本発明の現実施例についてのものである。本願請求項に規定された本発明の精神及び広範な態様から逸脱することなく,種々の代替及び変更を行ってもよい。本願請求項は,均等論を含む特許法の原理に従って解釈すべきである。本明細書は説明のために呈示されたものであり,本願発明のすべての実施例の徹底的な説明として,又はこれらの実施例に関係して図示若しくは説明した特定の要素に請求項の範囲を限定するものとして解釈することは望ましくない。例えば,制限なしに,説明した本発明の個別要素は,実質的に類似の機能を提供するか,又は別様に適切な動作を提供する代替要素によって置き換えてもよい。例えばこのことは,現在当業者が知っているかも知れない現在既知の代替要素と,開発の際に当業者が代替物として認識するかも知れない,将来開発されるかも知れない代替要素と,を含む。さらに,開示した実施例は,共に説明した,協同して一群の利点を提供するかも知れない複数の特徴を含む。本発明は,請求項において明確に言及した場合を除き,これらの特徴のすべてを含むか,言及した利点のすべてを提供する実施例だけに限定されるものではない。例えば,「一つの(a/an)」,「この(the)」又は「前記(said)」の用語を使用した単数の請求項の要素のいかなる参照も,当該要素を単数に限定するものととらえてはならない。